説明

アルカリ溶解型リソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物

デュアルダマシンプロセスに使用され、生産効率の向上に寄与するリソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物を提供する。 具体的には、高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する基板にフォトレジストを被覆しリソグラフィープロセスを利用して基板上に画像を転写する方法による半導体装置の製造において使用され、フォトレジストを被覆する前の該基板に被覆される、水酸基又はカルボキシル基を有するポリマー及び架橋剤を含有することを特徴とするギャップフィル材形成組成物である。かかるギャップフィル材形成組成物から得られたギャップフィル材層はアルカリ水溶液によるエッチバックが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、新規なリソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物に関するものである。さらに詳しくは、ホールやトレンチなどの凹凸のある基板上の平坦化性に優れ、アルカリ水溶液に可溶であり、アルカリ水溶液によるエッチバックが可能であり、フォトレジスト層とのインターミキシングが起こらず、優れたレジストパターンが得られるリソグラフィー用ギャップフィル材を提供するものである。特に近年、半導体デバイスの配線遅延を小さくするために用いられる配線材Cu(銅)を導入するためのデュアルダマシンプロセスに使用されるリソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物に関するものである。
【背景技術】
従来、半導体デバイスの製造において、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。前記微細加工はシリコンウエハの上にフォトレジスト組成物の薄膜を形成し、そして、その上に半導体デバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線などの活性光線を照射し、現像することにより得られたフォトレジストパターンを保護膜としてシリコンウエハをエッチング処理する加工法である。ところが、近年、半導体デバイスの高集積度化が進み、使用される活性光線もi線(365nm)からKrFエキシマレーザー(248nm)へと短波長化される傾向にある。これに伴い活性光線の基板からの乱反射や定在波の影響が大きな問題となってきていた。そこでフォトレジストと基板の間に反射防止膜(Bottom Anti−Reflective Coating、BARC)を設ける方法が広く検討されるようになってきた。
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、α−シリコン等の無機反射防止膜と、吸光性物質と高分子化合物とからなる有機反射防止膜が知られている。前者は膜形成に真空蒸着装置、CVD装置、スパッタリング装置等の設備を必要とするのに対し、後者は特別の設備を必要としない点で有利とされ数多くの検討が行われている。例えば、架橋反応基であるヒドロキシル基と吸光基を同一分子内に有するアクリル樹脂型反射防止膜や架橋反応基であるヒドロキシル基と吸光基を同一分子内に有するノボラック樹脂型反射防止膜等が挙げられる(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
有機反射防止膜材料に望まれる特性としては、光や放射線に対して大きな吸光度を有すること、フォトレジスト層とのインターミキシングが起こらないこと(フォトレジスト溶剤に不溶であること)、塗布時または加熱乾燥時に反射防止膜材料から上塗りフォトレジスト中への低分子拡散物がないこと、フォトレジストに比べて大きなドライエッチング速度を有すること等がある(例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3参照。)。
ところが、0.13μm以下の微細度を持つLSIパターンルールになると、配線遅延がLSIの高速化に与える影響が多くなり、現状のLSIのプロセス技術により、LSIの高性能化を進展させていくことは、難しくなってきている。そこで、配線遅延を小さくするために用いられる材料の一つが配線材Cuある。
配線材を現在のAlからCuへ変えるために導入される技術がデュアルダマシンプロセスである(例えば、特許文献3参照。)。そのプロセスにおいては、従来の配線材Alの基板に比べアスペクト比(凹凸)が大きい基板上に反射防止膜を用いることになる。
デュアルダマシンプロセス用反射防止膜材料に要求されている特性としては、上記に記載した特性の他に、ホール周辺部の下地基板における反射防止膜の被覆性を制御することである。また、一定膜厚で反射防止膜を塗布したときに、光や放射線に対して大きな吸光度を有し、かつ基板の凹凸形状に依存しない高平坦化性を持っていることである。
しかし、有機系反射防止膜用材料をデュアルダマシンプロセス用反射防止膜材料として用いることは難しくなってきている。そこで、光や放射線に対して大きな吸光度を有する無機や有機系反射防止膜と、平坦化を目的とするリソグラフィー用ギャップフィル材の2層を使用するプロセスが考えられている。リソグラフィー用ギャップフィル材は、Gap−Filling材であり、即ち充填材或いは平坦化材である。デュアルダマシンプロセスに有効なポリマー溶液を用いたギャップフィル材形成組成物が知られている(例えば特許文献4参照。)。また、ある種の充填用組成物が知られている(例えば特許文献5参照。)。
ギャップフィル材を用いたプロセスでは、一般に、ホール等凹凸を有する基板上にギャップフィル材組成物を塗布、焼成し、ギャップフィル材層を形成した後、余分なギャップフィル材層のエッチングによる除去、すなわちエッチバックが行なわれる。エッチバックにより所望の膜厚のギャップフィル材層が得られ、また、ギャップフィル材層の表面を高平坦化することが可能となる。そして、このギャップフィル材層の上に直接、若しくは反射防止膜層を形成した後、フォトレジスト層を形成し、その後のリソグラフィープロセスによる基板の加工が行なわれる。
エッチバックはドライエッチングにより行なわれることが一般的である。この場合、ギャップフィル材層を形成した基板を、一旦、コート&デベロッパー装置(塗布及び現像装置)からドライエッチング装置に移動させドライエッチングによるエッチバックを行ない、その後、反射防止膜若しくはフォトレジスト層形成の為にコート&デベロッパー装置に戻す必要がある。すなわち、エッチバックを行なうために二つの装置間を移動させる必要があり、生産効率の低下を招いている点が、このプロセスの欠点として挙げられていた。
特許文献1:米国特許第5919599号明細書
特許文献2:米国特許第5693691号明細書
特許文献3:米国特許第6057239号明細書
特許文献4:国際公開第02/05035号パンフレット
特許文献5:特開2002−47430号公報
非特許文献1:トム・リンチ(Tom Lynch)他3名、「プロパティアンドパーフォーマンスオブニアーUVリフレクティビティコントロールレーヤー(Properties and Performance of Near UV Reflectivity Control Layers)」、(米国)、インアドバンスインレジストテクノロジーアンドプロセシングXI(in Advances in Resist Technology and Processing XI)、オムカラム・ナラマス(Omkaram Nalamasu)編、プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedings of SPIE)、1994年、第2195巻(Vol.2195)、p.225−229
非特許文献2:ジー・テイラー(G.Taylor)他13名、「メタクリレートレジストアンドアンチリフレクティブコーティングフォー193nmリソグラフィー(Methacrylate Resist and Antireflective Coatings for 193nm Lithography)」、(米国)、インマイクロリソグラフィー1999:アドバンスインレジストテクノロジーアンドプロセシングXVI(in Microlithography 1999:Advances in Resist Technology and Processing XVI)、ウイル・コンレイ(Will Conley)編、プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedings of SPIE)、1999年、第3678巻(Vol.3678)、p.174−185
非特許文献3:ジム・ディー・メーダー(Jim D.Meador)他6名、「リセントプログレスイン193nmアンチリフレクティブコーティングス(Recent Progress in 193nm Antireflective Coatings)」、(米国)、インマイクロリソグラフィー1999:アドバンスインレジストテクノロジーアンドプロセシングXVI(in Microlithography 1999:Advances in Resist Technology and Processing XVI)、ウイル・コンレイ(Will Conley)編、プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedings of SPIE)、1999年、第3678巻(Vol.3678)、p.800−809
上述した従来のプロセスの欠点を克服する為に、本発明者は、ギャップフィル材層のエッチバックをアルカリ水溶液を用いて行なうプロセスをここに提案する。このプロセスにより、ギャップフィル材組成物の塗布からエッチバック、フォトレジスト層の形成までの一連の工程をコート&デベロッパー装置(塗布及び現像装置)で行なうことが可能となり、大幅な生産効率の改善が測られる。
かかるアルカリ水溶液によるエッチバックを可能にするためのギャップフィル材、すなわちアルカリ溶解型リソグラフィー用ギャップフィル材に要求されている特性としては、アスペクト比(凹凸)が大きい基板上を平坦化できること、ギャップフィル材層がアルカリ水溶液に対する適度な溶解性(エッチバック性)を有すること、エッチバック後のギャップフィル材層が反射防止膜若しくはフォトレジスト組成物に用いられている溶剤に不溶であること(反射防止膜層、フォトレジスト層とのインターミキシングが起こらないこと)、加熱乾燥時にギャップフィル材層から上塗り反射防止膜又はフォトレジスト層への低分子拡散物がないこと、フォトレジストに比べて大きなドライエッチング速度を有することである。
本発明の課題は、かかる要求を十分に満足し得る新規なリソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物を提供することである。本発明において、ホールやトレンチなどの凹凸のある基板上の平坦化性に優れ、アルカリ水溶液に可溶であり、アルカリ水溶液によるエッチバックが可能であり、フォトレジスト層とのインターミキシングが起こらず、優れたレジストパターンが得られるリソグラフィー用ギャップフィル材層を形成するための新規なリソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物が提供される。特に近年、半導体デバイスの配線遅延を小さくするために用いられる配線材Cu(銅)を導入するためのデュアルダマシンプロセスに使用されるリソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物が提供される。
【発明の開示】
本発明は、第1観点として、高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する基板にフォトレジストを被覆しリソグラフィープロセスを利用して基板上に画像を転写する方法による半導体装置の製造において使用され、フォトレジストを被覆する前の該基板に被覆される、水酸基又はカルボキシル基を有するポリマー及び架橋剤を含有することを特徴とするギャップフィル材形成組成物、
第2観点として、前記ポリマーの重量平均分子量が500〜30000である第1観点に記載のギャップフィル材形成組成物、
第3観点として、前記ポリマーが水酸基又はカルボキシル基を主鎖に有する繰り返し単位を含む重合体である第1観点に記載のギャップフィル材形成組成物、
第4観点として、前記ポリマーが水酸基又はカルボキシル基を側鎖に有する繰り返し単位を含む重合体である第1観点に記載のギャップフィル材形成組成物、
第5観点として、前記ポリマーがアクリル酸又はメタクリル酸を繰り返し単位として含む重合体である第1観点に記載のギャップフィル材形成組成物、
第6観点として、前記ポリマーがアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルを繰り返し単位として含む重合体である第1観点に記載のギャップフィル材形成組成物、
第7観点として、前記ポリマーがデキストリンエステル化合物である第1観点に記載のギャップフィル材形成組成物、
第8観点として、前記ポリマーがヒドロキシスチレンを繰り返し単位として含む重合体である第1観点に記載のギャップフィル材形成組成物、
第9観点として、前記ポリマーが、その構造内に芳香環構造を有さないものである第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載のギャップフィル材形成組成物、
第10観点として、前記架橋剤が少なくとも2個の架橋形成官能基をもつ架橋剤である第1観点に記載のギャップフィル材形成組成物、
第11観点として、アルカリ溶解速度調整剤を更に含有する第1観点乃至第10観点のいずれか一つに記載のギャップフィル材形成組成物、
第12観点として、第1観点乃至第11観点のいずれか一つに記載のギャップフィル材形成組成物を基板上に塗布し焼成することによる、半導体装置の製造に用いるギャップフィル材層の形成方法、
第13観点として、第1観点乃至第11観点のいずれか一つに記載のギャップフィル材形成組成物を半導体基板上に塗布し焼成した後の、濃度0.1%〜20%であるアルカリ水溶液に対する溶解速度が毎秒3〜200nmであるギャップフィル材層、である。
本発明は、ホール基板に平坦化性を付与する事を目的としたリソグラフィー用ギャップフィル材層を形成するためのギャップフィル材形成組成物に係る。本発明のギャップフィル材形成組成物より得られたギャップフィル材層は、基板の平坦化、アルカリ水溶液によるエッチバックのための適度なアルカリ溶解速度だけでなく、高いエッチング速度を有する。
そして、本発明のギャップフィル材層により、ホールを有する基板の凹凸を埋めて平坦化でき、また、アルカリ水溶液によりエッチバックを行なうことで平坦化性を高めることができ、それによって、その上に塗布されるフォトレジストなどの塗布膜の膜厚の均一性を上げることができる。
本発明のギャップフィル材形成組成物により、そしてフォトレジスト層と比較して大きなドライエッチング速度を有し、フォトレジスト層とのインターミキシングを起こさず、加熱乾燥時にフォトレジスト中への拡散物がない、優れたリソグラフィー用ギャップフィル材層を得ることができる。
また、本発明のギャップフィル材形成組成物より形成されたギャップフィル材層はアルカリ水溶液によるエッチバックが可能なため、ギャップフィル材層形成からフォトレジスト層の形成までをコート&デベロッパー装置(塗布及び現像装置)で行なうことができる。これにより、従来、エッチバックの為に必要であったドライエッチング装置への移動という工程を省くことができる。そのため、本発明のギャップフィル材組成物を使用することにより、生産効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のギャップフィル材形成組成物を使用した製造プロセスを示す模式図であり、図2は、アルカリ水溶液によるエッチバック後のギャップフィル材層を示す図であり、図中の(a)は基板であり、(b)はアルカリ水溶液によるエッチバック前のギャップフィル材層であり、(c)はアルカリ水溶液によるエッチバック後のギャップフィル材層であり、(d)は反射防止膜の層であり、(e)はフォトレジストの層を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明は、高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する基板にフォトレジストを被覆しリソグラフィープロセスを利用して基板上に画像を転写する方法による半導体装置の製造において使用され、フォトレジストを被覆する前の該基板に被覆される、水酸基又はカルボキシル基を有するポリマー及び架橋剤を含有することを特徴とするギャップフィル材形成組成物に関するものである。また、半導体デバイスの配線遅延を小さくするために用いられる配線材Cu(銅)を導入するためのデュアルダマシンプロセスに使用されるリソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物に関するものである。
本発明のギャップフィル材形成組成物は、基本的に、水酸基又はカルボキシル基を有するポリマー、架橋剤及び溶剤からなるものであり、任意成分として架橋触媒、界面活性剤、アルカリ溶解速度調整剤等を含むものである。本発明のギャップフィル材形成組成物の固形分は、例えば0.1〜70質量%であり、0.1〜50質量%であり、又、例えば0.5〜50質量%である。ここで固形分とは、ギャップフィル材形成組成物の全成分から溶剤成分を除いたものである。
本発明のギャップフィル材形成組成物における前記水酸基又はカルボキシル基を有するポリマー成分の含有量としては、固形分中、例えば1〜99質量%であり、例えば20〜80質量%であり、また、例えば30〜70質量%である。
本発明のギャップフィル材形成組成物における前記ポリマーとしては、アクリル酸やヒドロキシスチレンのような付加重合性不飽和結合を有するモノマーより製造される付加重合性ポリマー、ポリエステル、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリカーバメート、ポリアミド、フェノール樹脂などの縮合重合性ポリマー、デキストリンエステル化合物等、種々のポリマーを使用することが出来る。また、該ポリマーは、その構造内に水酸基又はカルボキシル基を含んでいるものである。そのようなポリマーとしては、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコールなどのような、ポリマーの主鎖を構成する炭素原子に直接カルボキシル基、水酸基が結合しているポリマー、また、ポリ(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートのような、ポリマーの主鎖に結合した側鎖に水酸基、カルボキシル基が結合しているポリマー等、種々のタイプのポリマーを使用することができる。
本発明における前記ポリマーは、水酸基又はカルボキシル基を含む付加重合性不飽和結合を持つモノマーの重合により製造することができる。
そのような付加重合性不飽和結合を持つモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシスチレン、4−ビニルベンジルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−カルボキシスチレン、ビニル酢酸、ペンテン酸、3−ブテン−1−オール、クロトン酸、4−マレイミドブタン酸、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド等を挙げることが出来る。本発明のポリマーの製造には、これらのモノマー1種を用いることができ、また、2種以上のモノマーを組み合わせて用いることが出来る。
また、本発明のポリマーは、上記の水酸基又はカルボキシル基を含む付加重合性不飽和結合を持つモノマーと水酸基又はカルボキシル基を含まない付加重合性不飽和結合を持つモノマーの重合によっても製造することが出来る。水酸基又はカルボキシル基を含まない付加重合性不飽和結合を持つモノマーを組み合わせて用いることにより、得られるポリマーのアルカリ水溶液への溶解速度、ガラス転移温度、溶剤への溶解性、ドライエッチング速度、下地基板との密着性及びレジストポイズニング耐性等を調整することができる。
そのような水酸基又はカルボキシル基を含まない付加重合性不飽和結合を持つモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、マレイミド類等が挙げられる。
アクリル酸エステル類としてはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルなどのアクリル酸アルキルエステル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸(2−フェニルエチル)などのアクリル酸アラルキルエステル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチルなどのアクリル酸アリールエステル等が挙げられる。
メタクリル酸エステル類としてはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸シクロヘキシルなどのメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸(2−フェニルエチル)などのメタクリル酸アラルキルエステル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ナフチルなどのメタクリル酸アリールエステル等が挙げられる。
クロトン酸エステル類としてはクロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸イソプロピル、クロトン酸ヘキシル、クロトン酸シクロヘキシル、グリセリンモノクロトネートなどのクロトン酸アルキルエステル、クロトン酸ベンジル、クロトン酸(2−フェニルエチル)などのクロトン酸アラルキルエステル、クロトン酸フェニル、クロトン酸ナフチルなどのクロトン酸アリールエステル等が挙げられる。
アクリルアミド類としては、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、アクリルアミドメチルセルロースアセテートブチレート等が挙げられる。
メタクリルアミド類としては、メタクリルアミド、2−メタクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、(3−メタクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、メタクリルアミドメチルセルロースアセテートブチレート等が挙げられる。
スチレン類としては、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン、シアノスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン、4−ビニルベンズアミド、4−ビニル安息香酸メチル等を挙げることが出来る。
ビニルエーテル類としては、エチルビニルエーテル、2−メトキシエチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、2−メトキシプロピレン、N−(2−ビニロキシエチル)ピペリジン、ヘキシルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル等が挙げられる。
ビニルエステル類としては、例えば酢酸ビニルエステル、クロロ酢酸ビニルエステル、トリフルオロ酢酸ビニルエステル、ヘキサン酸ビニルエステルビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテートが挙げられる。
マレイミド類としては、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ブチルマレイミド等が挙げられる。
また、その他、無水マレイン酸、アクリロニトリル、エステル、エーテル等の付加重合性不飽和結合を持つモノマーを用いることができる。
本発明における付加重合性ポリマーはランダム重合体、ブロック重合体あるいはグラフト重合体のいずれであってもよい。本発明のリソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物を構成する重合体は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などの方法により合成することができる。その形態は溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合等の方法により製造することが出来る。
本発明における前記ポリマーとしては、また、水酸基又はカルボキシル基を含むポリエステル、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリカーバメート、ポリアミド、フェノール樹脂、などの縮合重合性ポリマー、及びデキストリンエステル化合物を用いることができる。
フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒存在下で重縮合して得られる。この際使用されるフェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、p−フェニルフェノール、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、ピロガロール、α−ナフトール、β−ナフトール、ビスフェノール−A、ジヒドロキシ安息香酸エステル、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール等を挙げることができる。これらの化合物のうちフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール等が好ましい。
上記フェノール類と重縮合するアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、トリオキサン、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、フェニルアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−ニトロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、o−エチルベンズアルデヒド、m−エチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−ノルマルブチルアルデヒド、フルフラール、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド等を挙げることができる。これらのうち、ホルムアルデヒドが好ましい。
また、デキストリンエステル化合物は、デキストリンの水酸基の少なくとも50%が式(1):

で表されるエステル基となったデキストリンエステル化合物である。
デキストリンは多数の水酸基を有する高分子量の化合物であり有機溶剤に対する溶解性が低い。そのため、有機溶剤を用いたギャップフィル材形成組成物に使用することは困難である。本発明のギャップフィル材形成組成物に使用されるデキストリンエステル化合物は、デキストリンの水酸基をエステル化することによって有機溶剤に対する溶解性を向上されたものである。有機溶剤に対する十分な溶解性を有するという点から、本発明のギャップフィル材形成組成物に使用されるデキストリンエステル化合物は、デキストリンの水酸基の少なくとも50%が式(1)で表されるエステル基となったデキストリンエステル化合物である。または、本発明のギャップフィル材形成組成物に使用されるデキストリンエステル化合物は、デキストリンの水酸基の少なくとも60%が、または、少なくとも70%が式(1)で表されるエステル基となったデキストリンエステル化合物である。
式(1)中、Rは水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子または炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、または、炭素数1〜6のアルキル基、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子または炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基で置換されていてもよいフェニル基、ナフチル基またはアントリル基を表す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ノルマルペンチル基、シクロヘキシル基及びノルマルオクチル基等である。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基等である。アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基及びシクロヘキシルオキシカルボニル基等である。
ギャップフィル材層のアルカリ水溶液に対する溶解性という点から、Rとしては、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基及びカルボキシブチル基等のカルボキシアルキル基や、カルボキシフェニル基及びカルボキシナフチル基等が好ましい。
本発明のギャップフィル材形成組成物に使用されるデキストリンエステル化合物は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、デンプンが、酸、アルカリ、酵素、加熱などの既存の方法によりデキストリンに加水分解される。例えば、特開昭48−67447号公報や特開昭61−205494号公報に記載の方法などが挙げられる。また、特開平10−215893号公報に記載の、アルカリ加水分解と酵素液化を経る方法などを挙げることができる。デキストリンの分子量は、反応温度、反応溶液のpH、及び酵素添加量等により調整できる。イオン交換樹脂による処理、分種カラム、再沈殿法などによる精製により、目的のデキストリンを得ることができる。
このようにして得られたデキストリンのデキストリンエステル化合物への変換は、デキストリンと酸クロリド、酸ブロミド、カルボニルイミダゾール化合物、カルボン酸活性エステル化合物及び酸無水物等のカルボン酸誘導体との反応によって、水酸基をエステル基に変換することにより行なうことができる。例えば、デキストリンの水酸基のアセトキシ基への変換は、ピリジンなどの塩基を用いた条件下、アセチルクロリドや無水酢酸と反応させることによって行なうことができる。
水酸基のエステル基への変換には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シクロヘキサンカルボン酸、クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シアノ酢酸、エトキシ酢酸、イソ酪酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、安息香酸、ブロモ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ヨード安息香酸、ニトロ安息香酸、メチル安息香酸、エトキシ安息香酸、tert−ブトキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸、クロロナフタレンカルボン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、及びアントラセンカルボン酸などのカルボン酸化合物から誘導される酸クロリド、酸ブロミド、カルボニルイミダゾール化合物、カルボン酸活性エステル化合物を使用することができる。また、これらのカルボン酸の無水物を用いることもできる。さらに、デキストリンの水酸基のエステル基への変換は、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの縮合剤存在下、デキストリンに前記のカルボン酸化合物を反応させることによっても行なうことができる。
水酸基のエステル基への変換には、酸クロリド、酸ブロミド、カルボニルイミダゾール化合物、カルボン酸活性エステル化合物及び酸無水物等のカルボン酸誘導体の一種を用いることができ、また、二種以上を組み合わせて用いることができる。
デキストリンの水酸基のエステル基への変換の割合は、使用する酸クロリド、酸ブロミド、カルボニルイミダゾール化合物、カルボン酸活性エステル化合物及び酸無水物等のカルボン酸誘導体の当量を変えることによって調整することができる。
デキストリンの水酸基残量の測定は、例えば、1規定水酸化ナトリウム水溶液を用い、pHメーターによりpH8〜11の変曲点で終点判断する滴定により行なうことができる。
本発明のギャップフィル材形成組成物に使用されるデキストリンエステル化合物は、直鎖構造である場合と、分岐構造である場合とがあり、そのどちらであってもよい。分岐構造は、デンプンの枝分かれ構造(アミロペクチン)に由来する。
本発明のギャップフィル材形成組成物に用いられる前記ポリマーの重量平均分子量としては、例えば500〜30000であり、例えば500〜20000であり、また、例えば1000〜15000である。
重量平均分子量が500未満では非結晶状態のギャップフィル材層を得ることが困難であり、更に、ギャップフィル材形成組成物塗布後の焼成工程において昇華する可能性が高く、そのため、ギャップフィル材層の形成不備、装置の汚染などの不利益をもたらすことが考えられる。重量平均分子量が30000を超える場合には、ギャップフィル材形成組成物の流動性が低下し、基板に形成されたホールへの充填が不十分となり、ホール内に空孔、隙間を発生させ、最終的な基板の加工に支障をきたすことが考えられる。
本発明のギャップフィル材形成組成物における前記架橋剤の含有量としては、固形分中、例えば1〜99質量%であり、例えば20〜80質量%であり、また、例えば30〜70質量%である。
本発明のギャップフィル材形成組成物における前記架橋剤としては、メラミン系、置換尿素系、エポキシ基を含有するポリマー系等が挙げられる。好ましくは、メトキシメチル化グリコールウリル、またはメトキシメチル化メラミンなどの化合物であり、特に好ましくは、テトラメトキシメチルグリコールウリル、またはヘキサメトキシメチルメラミンである。また、好ましくは、グリシジルエーテル化合物であり、特に好ましくは、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス(シクロヘキセニルメチル)修飾カプロラクトン、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
このような架橋剤は、ギャップフィル材形成組成物の基板上への塗布後の焼成によるギャップフィル材層の形成時に、架橋剤成分同士または前記水酸基又はカルボキシル基を有するポリマー成分と架橋反応を起こすことができ、それにより、形成されるギャップフィル材層の有機溶剤への溶解性を低下させることが出来る。
本発明のギャップフィル材形成組成物より形成されたギャップフィル材層の上には、後のリソグラフィープロセスにおいて反射防止膜組成物又はフォトレジスト組成物が塗布される。このとき、ギャップフィル材層が反射防止膜又はフォトレジスト組成物に一般的に使用されている有機溶剤、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等に溶解するようであると、ギャップフィル材層と反射防止膜又はフォトレジスト層との間でインターミキシングが起こり、後のリソグラフィープロセスにおいて解像度の低下などの悪影響をもたらすこととなる。本発明のギャップフィル材形成組成物においては、前記の架橋反応によりそのような悪影響の原因となるインターミキシングを防ぐことが出来る。
本発明のギャップフィル材形成組成物にはアルカリ溶解速度調整剤を添加することができる。アルカリ溶解速度調整剤とはギャップフィル材形成組成物より形成されたギャップフィル材層のアルカリ水溶液に対する溶解速度を調整できる化合物である。アルカリ溶解速度調整剤の種類、添加量を調整することによりギャップフィル材層のアルカリ水溶液に対する溶解速度をコントロールすることが可能となる。
そのようなアルカリ溶解速度調整剤としては、ナフトキノン化合物、t−ブトキシカルボニル基含有化合物、ヒドロキシル基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、フェニル含有化合物等が挙げられる。アルカリ溶解速度調整剤の添加量は、ポリマー100質量部に対して100質量部以下であり、好ましくは80質量部以下であり、又は50質量部以下である。
本発明のギャップフィル材形成組成物には前記架橋反応を促進するための触媒として、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、などの酸性化合物又は/及び、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシラート、2−ニトロベンジルトシラート等の熱酸発生剤を添加する事が出来る。添加量、ポリマーの種類、架橋剤の種類、添加量等により変動するが、架橋剤の添加量100質量部に対して例えば0.01〜30質量部であり、例えば0.1〜30質量部であり、また、例えば0.5〜20質量部である。
さらに、本発明のリソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物には、上記以外に必要に応じて更なるレオロジー調整剤、接着補助剤、界面活性剤などを添加することができる。
レオロジー調整剤は、主にギャップフィル材形成組成物の流動性を向上させ、特に焼成工程において、ホール内部へギャップフィル材形成組成物の充填性を高める目的で添加される。具体例としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジノルマルブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジノルマルブチルマレート、ジエチルマレート、ジノニルマレート等のマレイン酸誘導体、メチルオレート、ブチルオレート、テトラヒドロフルフリルオレート等のオレイン酸誘導体、またはノルマルブチルステアレート、グリセリルステアレート等のステアリン酸誘導体を挙げることができる。これらのレオロジー調整剤は、ギャップフィル材形成組成物あたり通常30質量%未満の割合で添加される。
接着補助剤は、主に基板あるいは反射防止膜又はフォトレジスト層とギャップフィル材形成組成物より形成されたギャップフィル材層の密着性を向上させ、特に現像において剥離しないようにする目的で添加される。具体例としては、例えば、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフエニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン等のクロロシラン類、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール等のシラザン類、ビニルトリクロロシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン類、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン等の複素環状化合物や、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア等の尿素、またはチオ尿素化合物を挙げることができる。これらの接着補助剤は、ギャップフィル材形成組成物の全量に対して通常10質量%未満、好ましくは5質量%未満の割合で添加される。
本発明のギャップフィル材形成組成物には、ピンホールやストレーション等の発生がなく、表面むらに対する塗布性をさらに向上させるために、界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフエノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、商品名エフトップEF301,EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製)、商品名メガファックF171、F173、R−08、R−30(大日本インキ(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、商品名アサヒガードAG710,サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等を上げることができる。これらの界面活性剤の添加量は、本発明のギャップフィル材形成組成物あたり通常0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下である。これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また2種以上の組合せで添加することもできる。
本発明のギャップフィル材形成組成物は溶液状態で使用されることが好ましく、そのため種々の溶剤が用いられる。ギャップフィル材形成組成物の前記ポリマー、架橋剤等を溶解させる溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、等を用いることができる。これらの有機溶剤は単独で、または2種以上の組合せで使用される。さらに、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を混合して使用することができる。
本発明のギャップフィル材形成組成物は、高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する基板を用いた半導体装置製造プロセス、特にデュアルダマシンプロセスのリソグラフィープロセスにおいて使用されるものである。以下、本発明のギャップフィル材形成組成物を使用したプロセスについて示す(図1)。
高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、ガラス基板、ITO基板等)の上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明のギャップフィル材形成組成物が塗布され、その後、焼成することによりギャップフィル材層が形成される(図1の(1)工程)。焼成する条件としては、焼成温度60℃〜220℃、焼成時間0.3〜120分間の中から適宜、選択される。塗布の際、ホール内へのギャップフィル材形成組成物の充填性を担保するために過剰量のギャップフィル材形成組成物が使用され、その結果、形成されるギャップフィル材層は厚膜(基板上部の膜厚として0.01〜5μm)となる。また、ホールが密に存在する部分と疎に存在する部分を有する基板においては、ホールの疎密の為に基板上の膜厚に差が生じることがあるが、この差を極力小さくするために過剰量のギャップフィル材形成組成物を使用して、厚膜に塗布されることがある。
厚い膜のギャップフィル材層を用いてその後のリソグラフィープロセスを行なうことは解像度などの点で問題があるため、余分なギャップフィル材層のエッチングによる除去、すなわちエッチバックが行なわれる。本発明のギャップフィル材層はアルカリ水溶液に対して可溶であるため、アルカリ水溶液を用いてエッチバックが行なわれる(図1の(2)工程)。このアルカリ水溶液によるエッチバック工程では、使用するアルカリ水溶液の種類、濃度又はエッチバックの時間等の選択によって、ギャップフィル材層を所望の膜厚に調整することが可能である。また、エッチバックによって、ギャップフィル材層の表面の平坦性を高めることもできる。エッチバック後、焼成温度100℃〜220℃、焼成時間0.3〜120分間の中から適宜、選択される条件での焼成工程を加えることができる。
次いで、エッチバック後のギャップフィル材層の上に、反射防止膜層の形成(図1の(3)工程)、フォトレジスト層の形成(図1の(4)工程)がなされ、その後、露光、現像、ドライエッチングによる基板加工などが行なわれる。
ここで、本発明のギャップフィル材形成組成物を用いた図1の(1)〜(4)の工程では、ギャップフィル材層のエッチバックをアルカリ水溶液で行なうことが可能であるため((2)の工程)、(1)〜(4)の一連の工程を汎用されているコート&デベロッパー装置(塗布及び現像装置)を用いて行なうことが可能である。
従来は、ギャップフィル材層をアルカリ水溶液でエッチバックすることが出来なかったため、ドライエッチングによってエッチバックが行なわれていた。そのため、基板を移動することが必要であった。すなわち、基板をコート&デベロッパー装置からドライエッチング装置に移動(図1の(A)工程)、ドライエッチングによるエッチバック(図1の(2’)工程)、ドライエッチング装置からコート&デベロッパー装置への基板の移動(図1の(A’)工程)という、装置間での基板の移動という工程が必要であった。
これに対し、本発明のギャップフィル材形成組成物を用いたプロセスでは一連の工程を一つの装置で行なうことができ、従来のプロセスに対して生産効率を向上させることが可能となる。
エッチバックに用いられるアルカリ水溶液としては特に制限はないが、ポジ型フォトレジストの現像液として使用されているアルカリ水溶液を用いることができる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリの水溶液、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミンの水溶液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第4級アンモニウム塩の水溶液、ピロール、ピペリジン等の環状アミンの水溶液を挙げることができる。また、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、アニオン系等の界面活性剤を適当量添加したアルカリ水溶液を使用することもできる。また、使用されるアルカリ水溶液の濃度としては、例えば0.1%〜20%濃度のものから適宜、選択して用いることができる。また、NMD−3(東京応化工業(株)製)等も使用することができる。
エッチバックの時間としては、10秒〜300秒の間から、使用するアルカリ水溶液の種類、濃度、所望とするギャップフィル材層の膜厚、状態などに応じて適宜選択することができる。
また、ギャップフィル材層をアルカリ水溶液でエッチバックする際のアルカリ水溶液への溶解速度としては、膜厚の減少速度として毎秒3〜200nmであることが好ましく、また、毎秒3〜100nmであることが好ましく、また、5〜50nmであることが好ましい。これより溶解速度が速い場合には、エッチバックにより除去されるギャップフィル材層の量、すなわち、減少する膜厚量を制御することが困難となり、また、これより溶解速度が遅い場合には、エッチバックに要する時間が長くなり、生産性の低下をもたらすこととなる。
ギャップフィル材層のアルカリ水溶液への溶解速度は、使用する組成物に含まれるポリマーの種類、ポリマー中の水酸基、カルボキシル基の含有量、組成物に添加されるアルカリ溶解速度調整剤の種類及び添加量、等を変化させることにより調整することができる。
ギャップフィル材層のアルカリ水溶液への溶解速度は、最終的には、ギャップフィル材形成組成物の種類、アルカリ水溶液の種類および濃度、の組み合わせにより決定される。
また、ギャップフィル材層をアルカリ水溶液でエッチバックを行なう条件(ギャップフィル材組成物の種類、アルカリ水溶液の種類および濃度、時間)を適宜選択することにより、基板に形成されるギャップフィル材層の状態を制御することができる。すなわち、エッチバック条件により基板上面の上にもギャップフィル材層がある状態(図2の(S1))、基板のホールの内部のみをギャップフィル材層で充填している状態(図2の(S2))、または基板のホールの一部をギャップフィル材層で充填しているパーシャルフィルの状態(図2の(S3))を選択することができるものである。
本発明のギャップフィル材形成組成物より形成されるギャップフィル材層は、半導体装置製造のプロセスにおいては、フォトレジストの露光、現像、基板の加工などの後、最終的には、完全に除去されるものであり、その除去は、通常、ドライエッチングによって行なわれる。ドライエッチングによる除去は、一般的には、その除去される層に含まれる芳香環構造の割合が大きくなるほどその速度が小さくなることが知られている。そのため、本発明のギャップフィル材層においては、そのドライエッチングによる除去の速度を大きくしたい場合には、使用されるギャップフィル材形成組成物に含まれる芳香環構造の量を少なくすれば良く、特に、そのポリマー成分に含まれる芳香環構造の量を少なくすればよい。
よって、ドライエッチングによる除去速度の大きなギャップフィル材層が要求される場合には、その構造内に芳香環構造を有さないポリマーが好ましく用いられる。
そのようなポリマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及びビニルアルコール等から選ばれたモノマーのみから製造されるポリマーが挙げられる。また、それらのモノマーに、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、メタクリル酸イソプロピルエステル、メタクリル酸ヘキシルエステル等のアクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステル、エチルビニルエーテル、エチルブチルエーテルなどのアルキルビニルエーテル、酢酸ビニルエステル、酪酸ビニルエステル等のアルキルカルボン酸ビニルエステル、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−アルキルマレイミド、マレイン酸無水物、アクリロニトリル、等から選ばれたモノマーを共重合させることによって製造されるポリマーが挙げられる。
例えば、ポリメタクリル酸、ポリ(2−ヒドロキシエチル)メタクリレート、ポリビニルアルコール、アクリル酸とメタクリル酸エチルエステルの共重合ポリマー、ビニルアルコールとブチルビニルエーテルの共重合ポリマー、メタクリル酸エチルエステルと2−ヒドロキシエチルビニルエーテルの共重合ポリマー、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとアクリル酸プロピルエステルとアクリロニトリルの共重合ポリマー、メタクリル酸と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとメタクリル酸エチルエステルの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとメタクリル酸エチルエステルと無水マレイン酸の共重合ポリマー、メタクリル酸と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとメタクリル酸メチルエステルとN−シクロヘキシルマレイミドの共重合ポリマー等が挙げられる。
本発明におけるギャップフィル材層の上層に塗布、形成されるフォトレジストとしてはネガ型、ポジ型いずれも使用でき、ノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物とアルカリ可溶性バインダーと光酸発生剤とからなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジストなどがあり、例えば、シプレー社製商品名APEX−E、住友化学工業(株)製商品名PAR710、信越化学工業(株)製商品名SEPR430等が挙げられる。そして、フォトレジストを形成後、所定のマスクを通して露光し、現像、リンス、乾燥することによりフォトレジストパターンを得ることができる。必要に応じて露光後加熱(PEB:Post Exposure Bake)を行うこともできる。
本発明におけるギャップフィル材層の上層には、また、フォトレジストの塗布、形成前に反射防止膜層が塗布、形成されることがある。そこで使用される反射防止膜組成物としては特に制限はなく、これまでリソグラフィープロセスにおいて慣用されているものの中から任意に選択して使用することができ、また、慣用されている方法、例えば、スピナー、コーターによる塗布及び焼成によって反射防止膜の形成を行なうことができる。反射防止膜組成物としては、例えば、吸光性化合物、樹脂及び溶剤を主成分とするもの、化学結合により連結した吸光性基を有する樹脂、架橋剤及び溶剤を主成分とするもの、吸光性化合物、架橋剤及び溶剤を主成分とするもの、吸光性を有する高分子架橋剤及び溶剤を主成分とするもの、等が挙げられる。これらの反射防止膜組成物はまた、必要に応じて、酸成分、酸発生剤成分、レオロジー調整剤等を含むことができる。吸光性化合物としては、反射防止膜の上に設けられるフォトレジスト中の感光成分の感光特性波長領域における光に対して高い吸収能を有するものであれば用いることができ、例えば、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アゾ化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、アントラキノン化合物、トリアジン化合物等が挙げられる。樹脂としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリスチレン、ノボラック樹脂、ポリアセタール樹脂、(メタ)アクリル樹脂等を挙げることができる。化学結合により連結した吸光性基を有する樹脂としては、アントラセン環、ナフタレン環、ベンゼン環、キノリン環、キノキサリン環、チアゾール環といった吸光性芳香環構造を有する樹脂を挙げることができる。
本発明のギャップフィル材形成組成物を適用する基板としては、主に、高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する半導体装置製造に慣用されている基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、ガラス基板、ITO基板等)である。しかし、1より小さいアスペクト比のホールを有する基板や、段差を有する基板に対しても、その表面を平坦化する為に使用することができる。また、段差などを有さない基板に対しても使用することもできる。なお、これらの基板は、その表面の層にCVD法などで形成された無機系の反射防止膜を有するものであってもよく、その上に本発明のギャップフィル材形成組成物を塗布することもできる。
本発明のギャップフィル材形成組成物より形成されるギャップフィル材層は、また、リソグラフィープロセスにおいて使用される光の波長によっては、その光に対する吸収を有することがあり、そのような場合には、基板からの反射光を防止する効果を有する層として機能することができる。さらに、本発明のギャップフィル材層は、基板とフォトレジストとの相互作用の防止するための層、フォトレジストに用いられる材料又はフォトレジストへの露光時に生成する物質の基板への悪作用を防ぐ機能とを有する層、加熱焼成時に基板から生成する物質の上層フォトレジストへの拡散、悪作用を防ぐ機能を有する層、として使用することも可能である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、及びシクロヘキシルマレイミドのモル比が13.5:25.5:25.7:35.3に調整した上記の4種類のモノマー総重量50gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200gに溶解させた後、反応液中に窒素を30分ながした。その反応液を70℃に保ちながら重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.5gと、連鎖移動剤として1−ドデカンチオール0.3gを添加し、窒素雰囲気下で撹拌した。24時間撹拌後、重合停止剤として4−メトキシフェノール0.1gを添加した。
得られた固形分濃度23.1%のポリマー溶液490.3gに、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−(3−シクロヘキセニルメチル)修飾e−カプロラクトン(ナガセケムテック(株)製、商品名GT−401)の20%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液25.5g、3、4、5−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル安息香酸メチル(東洋合成工業(株)製、商品名NMG−300)34.0g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5.1g、および界面活性剤としてR−30(大日本インキ化学(株)製)の1%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液5.1gを混合し、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート124.2gを混合し23.0%溶液とした後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、リソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物溶液を調製した。
得られた溶液をスピナーにより、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で120℃1分間加熱し、リソグラフィー用ギャップフィル材層(膜厚1.1μm)を形成した。このギャップフィル材層を、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に所定時間浸漬し、アルカリ溶解速度の測定を行った。浸漬時間及び膜厚の減少量より求めたところ、ギャップフィル材層のアルカリ溶解速度は毎秒18nmであった。
得られた溶液をスピナーにより、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で120℃1分間、次いで205℃1分間焼成を行ないギャップフィル材層(膜厚1.0μm)を形成した。このギャップフィル材層をフォトレジストに使用される溶剤、例えば乳酸エチル、ならびにプロピレングリコールモノメチルエーテルに浸漬し、その溶剤に不溶であることを確認した。
得られた溶液をスピナーにより、ホール(直径0.18μm、深さ1.1μm)を有するシリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で120℃1分間加熱し、リソグラフィー用ギャップフィル材層(膜厚1.1μm)を形成した。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、ギャップフィル材層を形成したホールを有するシリコンウェハー基板の断面形状を観察することにより、リソグラフィー用ギャップフィル材層の平坦化性を評価した。得られたリソグラフィー用ギャップフィル材層のホール埋め込み性は、ホール中に空孔、隙間等の発生もなく良好であった。
さらに、ホールを有するシリコンウェハーに塗布、形成したリソグラフィー用ギャップフィル材層を、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に55秒間浸漬し、その後、ホットプレート上で205℃1分間加熱した。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、ギャップフィル材層を形成したホールを有するシリコンウェハー基板の断面形状を観察することにより、ギャップフィル材層の平坦化性を評価した。得られたギャップフィル材層の基板表面上のホール埋め込み性は、ホール中に空孔、隙間等の発生もなく良好であり、また、高い平坦化性が達成された。これはリソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物の高い流動性により高平坦化性が得られたこと、及びリソグラフィー用ギャップフィル材層がアルカリ水溶液によるエッチバックプロセスにおいて、適正なアルカリ溶解速度を有しているためである。
【実施例2】
4−ヒドロキシスチレンとメチルアクリレートの共重合体ポリマー(重合比25:75、丸善石油化学(株)製品マルカリンカーCMA30)47.5g、テトラブトキシメチルベンゾグアナミン(三井サイテック(株)製品Mycoat1128)16.96g、ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸0.033g及び乳酸エチル106.8gの混合物に界面活性剤R−30(大日本インキ化学(株)製)の1%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート106.8gを加えて22%溶液とした後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、リソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物溶液を調製した。
得られた溶液をスピナーにより、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で145℃1分間加熱し、リソグラフィー用ギャップフィル材層(膜厚1.0μm)を形成した。このギャップフィル材層を、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に所定時間浸漬し、アルカリ溶解速度の測定を行った。浸漬時間及び膜厚の減少量より求めたところ、ギャップフィル材層のアルカリ溶解速度は毎秒5.0nmであった。
得られた溶液をスピナーにより、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で135℃1分間加熱し、リソグラフィー用ギャップフィル材層(膜厚1.0μm)を形成した。このギャップフィル材層を、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に所定時間浸漬し、アルカリ溶解速度の測定を行った。浸漬時間及び膜厚の減少量より求めたところ、ギャップフィル材層のアルカリ溶解速度は毎秒9.0nmであった。
得られた溶液をスピナーにより、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で135℃1分間、または145℃1分間、次いで205℃1分間加熱を行ないギャップフィル材層(膜厚1.0μm)を形成した。このギャップフィル材層をフォトレジストに使用される溶剤、例えば乳酸エチル、ならびにプロピレングリコールモノメチルエーテルに浸漬し、その溶剤に不溶であることを確認した。
得られた溶液をスピナーにより、ホール(直径0.13μm、深さ0.8μm)を有するシリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で120℃1分間加熱し、ギャップフィル材層(膜厚1.0μm)を形成した。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、ギャップフィル材層を形成したホールを有するシリコンウェハー基板の断面形状を観察することにより、リソグラフィー用ギャップフィル材層の平坦化性を評価した。得られたリソグラフィー用ギャップフィル材層のホール埋め込み性は、ホール中に空孔、隙間等の発生もなく良好であった。
【実施例3】
デキストリンエステル化合物GS−Ac2(デキストリンの末端基割合:2−カルボキエチルカルボニルオキシ基2.5%、水酸基17.5%、アセトキシ基80%、重量平均分子7400、群栄化学工業(株)製)を固形分濃度49.6%で溶解させた乳酸エチルの溶液20.0gに、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン(サイメル1123、三井サイテック(株)製品)2.18g、ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸0.00393g、界面活性剤R−30(大日本インキ化学(株)製)0.0496g、エポトートYH434L(東都化成(株)製)0.50g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4.70g、及び乳酸エチル32.23gを加え、18.0%溶液とした後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、ギャップフィル材形成組成物の溶液を調製した。
得られた溶液をスピナーにより、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で175℃1分間加熱し、リソグラフィー用ギャップフィル材層(膜厚1.0μm)を形成した。このギャップフィル材層を、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に所定時間浸漬し、アルカリ溶解速度の測定を行った。浸漬時間及び膜厚の減少量より求めたところ、ギャップフィル材層のアルカリ溶解速度は毎秒50nmであった。
得られた溶液をスピナーにより、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で175℃1分間、次いで205℃1分間加熱を行ないギャップフィル材層(膜厚1.0μm)を形成した。このギャップフィル材層をフォトレジストに使用される溶剤、例えば乳酸エチル、ならびにプロピレングリコールモノメチルエーテルに浸漬し、その溶剤に不溶であることを確認した。
得られた溶液をスピナーにより、ホール(直径0.13μm、深さ0.8μm)を有するシリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で175℃1分間加熱し、ギャップフィル材層(膜厚1.0μm)を形成した。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、ギャップフィル材層を形成したホールを有するシリコンウェハー基板の断面形状を観察することにより、リソグラフィー用ギャップフィル材層の平坦化性を評価した。得られたリソグラフィー用ギャップフィル材層のホール埋め込み性は、ホール中に空孔、隙間等の発生もなく良好であった。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する基板にフォトレジストを被覆しリソグラフィープロセスを利用して基板上に画像を転写する方法による半導体装置の製造において使用され、フォトレジストを被覆する前の該基板に被覆される、水酸基又はカルボキシル基を有するポリマー及び架橋剤を含有することを特徴とするギャップフィル材形成組成物。
【請求項2】
前記ポリマーの重量平均分子量が500〜30000である請求項1に記載のギャップフィル材形成組成物。
【請求項3】
前記ポリマーが水酸基又はカルボキシル基を主鎖に有する繰り返し単位を含む重合体である請求項1に記載のギャップフィル材形成組成物。
【請求項4】
前記ポリマーが水酸基又はカルボキシル基を側鎖に有する繰り返し単位を含む重合体である請求項1に記載のギャップフィル材形成組成物。
【請求項5】
前記ポリマーがアクリル酸又はメタクリル酸を繰り返し単位として含む重合体である請求項1に記載のギャップフィル材形成組成物。
【請求項6】
前記ポリマーがアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルを繰り返し単位として含む重合体である請求項1に記載のギャップフィル材形成組成物。
【請求項7】
前記ポリマーがデキストリンエステル化合物である請求項1に記載のギャップフィル材形成組成物。
【請求項8】
前記ポリマーがヒドロキシスチレンを繰り返し単位として含む重合体である請求項1に記載のギャップフィル材形成組成物。
【請求項9】
前記ポリマーが、その構造内に芳香環構造を有さないものである請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のギャップフィル材形成組成物。
【請求項10】
前記架橋剤が少なくとも2個の架橋形成官能基をもつ架橋剤である請求項1に記載のギャップフィル材形成組成物。
【請求項11】
アルカリ溶解速度調整剤を更に含有する請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のギャップフィル材形成組成物。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のギャップフィル材形成組成物を基板上に塗布し焼成することによる、半導体装置の製造に用いるギャップフィル材層の形成方法。
【請求項13】
請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のギャップフィル材形成組成物を半導体基板上に塗布し焼成した後の、濃度0.1%〜20%であるアルカリ水溶液に対する溶解速度が毎秒3〜200nmであるギャップフィル材層。

【国際公開番号】WO2004/061526
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【発行日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564524(P2004−564524)
【国際出願番号】PCT/JP2003/016735
【国際出願日】平成15年12月25日(2003.12.25)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】