説明

アルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物およびそれを用いた金属ベース回路基板

【課題】高反射率のアルカリ現像型光硬化性熱可塑性ソルダーレジスト組成物およびそれを用いた高光反射機能を併せ持つ金属ベース回路基板を提供する。
【解決手段】屈折率1.4〜2.5かつ平均粒子長径1.0〜20μmの無機物質及び屈折率2.5〜3.0かつ平均粒子長径0.1〜0.5μmの無機物質を含有するアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物、並びに金属箔上に絶縁層を形成し、絶縁層上に回路を形成した金属ベース回路基板において、絶縁層及び回路上に上述のソルダーレジスト組成物を用いて白色膜を設けた金属ベース回路基板であり、好ましくは、白色膜の可視光の460nm、525nm、及び620nmの反射率がいずれも80%以上である金属ベース回路基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物およびそれを用いた金属ベース回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶表示装置は、様々の分野で使用されており、特にパーソナルコンピューターやテレビ等の電子産業分野では数多く使用されてきた。これらの液晶表示装置のなかで、特に直下型のバックライトシステムを採用しているものは、液晶パネルの背面にバックライトを配置しており、該バックライトは光源からの出射光を導光板に入射させ、その伝播した光を導光板の表面側からプリズムシート等を介して出射させることによって、液晶パネルの背面を全体的に照射するようにしている。バックライトの光源としては、CFL(冷陰極管)といわれる小型の蛍光管や発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を使用したものが多い。以下、発光ダイオード(LED)はLEDと記す。しかし、近年環境面への配慮から、水銀を使用しているCFLに替わってLEDを光源としたバックライトが広がりつつある。
【0003】
加えて、テレビ向けの液晶表示装置のさらなる大面積化が望まれており、このためには大光量が必要である。従って、可能な限り多くの光量を液晶部分に供給する必要がある。このため、バックライトから供給する光量を最大化するためには、LEDからの出射光のみならず反射光を有効利用する必要がある。反射光を有効利用するためには、光反射シートを用いることが一般的である。
【0004】
従来、光源としてLEDを用いた直下型バックライト用の光反射シートの使用法としてはプリント回路基板上にLEDパッケージを実装し、さらに、該プリント回路基板上に光反射シートを貼り付けていた。このように、プリント回路基板と光反射シートは別々の物とされていた(特許文献1)。
【0005】
また従来のソルダーレジスト膜を有するプリント配線板は、LEDの光の利用効率を上げるための光反射シート代替までには至っていない(特許文献2〜9)。
【0006】
【特許文献1】特開2006−310014号公報
【特許文献2】特公平1−54390号公報
【特許文献3】特公平7−17737号公報
【特許文献4】特開平9−183920号公報
【特許文献5】特開2005−108896号公報
【特許文献6】特開2005−311233号公報
【特許文献7】特開2006−96962号公報
【特許文献8】特開2007−101830号公報
【特許文献9】特開2007−322546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来、直下型バックライト用のLEDパッケージ実装用プリント回路基板には、光反射機能がないため、バックライト用のプリント回路基板として使用する場合は、LEDパッケージ実装後に光反射シートを貼り付ける必要があった。このため、製造時の工数及び必要部材の増加により、製造プロセス上取り扱いが煩雑になり、不便であるという問題があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、光反射率の高い白色の塗膜を安定して製造可能なアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物およびそれを用いたまったく新しい金属ベース回路基板の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、(A)有機混合物と、(B)無機混合物と、(C)溶剤と、を含むアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物であって、
上述の(A)有機混合物が、
(A−1)カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基含有ポリマーと、
(A−2)アクリル系化合物と、
(A−3)光重合開始剤と、
(A−4)エポキシ化合物と、
を含有し、
上述の(B)無機混合物が、
(B−1)屈折率1.4〜2.5かつ平均粒子長径1.0〜20μmの第1の無機物質と、
(B−2)屈折率2.5〜3.0かつ平均粒子長径0.1〜0.5μmの第2の無機物質と、
を含有し、
(A)/(B)の体積%比が、70/30〜30/70であり、
(B−1)/(B−2)の体積%比が、5/95〜80/20であり、
(B)/((A)+(B)+(C))の体積%比が、20/100〜50/100であり、
上述の(A−2)アクリル系化合物の配合量は、(A−1)中の(メタ)アクリロイル基1mol当量に対して、(A−2)中のアクリロイル基が、0.2〜5.0mol当量となるように配合されており、
上述の(A−3)光重合開始剤の配合量は、((A−1)+(A−2))中の(メタ)アクリロイル基1mol当量に対して、(A−3)光重合開始剤が、0.1〜5.0mol当量となるよう配合されており、
上述の(A−4)エポキシ化合物の配合量は、((A−1)+(A−2))中の(カルボキシル基+水酸基)1mol当量に対して、(A−4)中のエポキシ基0.5〜3.0mol当量となるよう配合されている、
アルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物が提供される。
【0010】
このような配合組成によれば、光反射率の高い塗膜を製造安定性よく形成することができるアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物が得られる。そのため、このソルダーレジスト組成物を用いれば、LEDの光の利用効率を上げるための光反射シートに代替し得る、光反射率の高いソルダーレジスト膜を備えるバックライト用のプリント回路基板を製造安定性よく作製することが可能になる。
【0011】
また、本発明によれば、金属箔と、金属箔上に設けられている絶縁層と、絶縁層上に設けられている回路と、上述のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物を用いて絶縁層および回路上に設けられている白色膜と、を備える金属ベース回路基板が提供される。
【0012】
このような回路基板は、光反射シートを貼り付けなくても、金属ベース回路基板のみで反射光を有効利用することができるため、製造工程の簡易化や必要部材の削減等により生産性の向上等を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ソルダーレジスト組成物の組成を上述の配合とすることにより、光反射率の高い白色のソルダーレジスト塗膜を製造安定性よく形成することができ、そのためLED実装後に光反射シートを貼り付けなくても、金属ベース回路基板のみで反射光を有効利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<用語の説明>
本明細書において、アルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物とは、フォトマスク等によるマスキングによる非露光部分をアルカリ水溶液で取り除き、その後熱および/または光により硬化させてソルダーレジスト膜を形成することができる、アルカリ現像が可能であって、かつ、光硬化および/または熱硬化が可能なソルダーレジスト組成物を意味する。
【0015】
本明細書において、ソルダーレジスト組成物とは、回路基板等の半田付けを行う時に、半田付けが不要な部分を保護するためのコーティング材を意味する。
【0016】
本明細書において、(メタ)アクリロイルとは、メタアクリロイルとアクリロイルの総称である。
【0017】
本明細書において、「〜」なる記載は、定義される範囲の下限及び上限の数値も含み、「下限数値以上であって上限数値以下」の範囲を意味する。
【0018】
本明細書において、分子量とは、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、GPCという)等で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
<ソルダーレジスト組成物>
【0021】
本実施形態に係るアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物は、(A)有機混合物と、(B)無機混合物と、(C)溶剤と、を含む。
【0022】
ここで、上述の(A)有機混合物は、(A−1)カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基含有ポリマーと、(A−2)アクリル系化合物と、(A−3)光重合開始剤と、(A−4)エポキシ化合物と、を含有する。
【0023】
また、上述の(B)無機混合物は、(B−1)屈折率1.4〜2.5かつ平均粒子長径1.0〜20μmの第1の無機物質と、(B−2)屈折率2.5〜3.0かつ平均粒子長径0.1〜0.5μmの第2の無機物質と、を含有する。
【0024】
また、上述の(A)〜(C)の配合組成については、(A)/(B)の体積%比が、70/30〜30/70であり、(B−1)/(B−2)の体積%比が、5/95〜80/20であり、(B)/((A)+(B)+(C))の体積%比が、20/100〜50/100である。
【0025】
さらに、上述の(A−2)アクリル系化合物の配合量は、(A−1)中の(メタ)アクリロイル基1mol当量に対して、(A−2)中のアクリロイル基が、0.2〜5.0mol当量となるように配合されている。
【0026】
そして、上述の(A−3)光重合開始剤の配合量は、((A−1)+(A−2))中の(メタ)アクリロイル基1mol当量に対して、(A−3)光重合開始剤が、0.1〜5.0mol当量となるよう配合されている。
【0027】
また、上述の(A−4)エポキシ化合物の配合量は、((A−1)+(A−2))中の(カルボキシル基+水酸基)1mol当量に対して、(A−4)中のエポキシ基0.5〜3.0mol当量となるよう配合されている。
【0028】
本実施形態のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物は、このような配合組成を採っているため、光反射率の高い塗膜を製造安定性よく形成することができる。そのため、本実施形態のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物を用いれば、LEDの光の利用効率を上げるための光反射シートに代替し得る、光反射率の高いソルダーレジスト膜を備えるバックライト用のプリント回路基板を製造安定性よく作製することが可能になる。
【0029】
<(A)有機混合物>
本実施形態に用いる(A)有機混合物は、(A−1)カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基含有ポリマーと、(A−2)アクリル系化合物と、(A−3)光重合開始剤と、(A−4)エポキシ化合物と、を含有する。このように、本実施形態のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物は、4種類の有機化合物をバランスよく配合した有機混合物を用いているため、光反射率の高い塗膜を製造安定性よく形成することができる。
【0030】
また、本実施形態に用いる(A)有機混合物は、(A−1)〜(A−4)に加えて、さらに(A−5)アミン類および/または酸無水物を併用することもできる。(A−5)アミン類および/または酸無水物を併用すると、硬化が促進されより好ましい。
【0031】
<(A−1)カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基含有ポリマー>
(A−1)カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基含有ポリマーは、特に限定されず、カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を分子中に有するポリマーを意味する。
【0032】
(A−1)カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基含有ポリマーとしては、例えば、新中村化学工業(株)製のエポキシアクリレート、製品名NKオリゴ FA−7440/PGMAc、ダイセル・サイテック(株)製の酸基含有アクリレート、製品名CYCLOMER(ACA200M、ACA230AA、ACAZ250、ACAZ251、ACAZ300、ACAZ320)等を挙げることができる。なおこれらは(C)溶剤との混合物になっており、好ましくは芳香族環を含まないダイセル・サイテック(株)製、製品名CYCLOMERがよい。これらのカルボキシル基および(メタ)アクリロイル基含有ポリマーは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
(A−1)カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基含有ポリマーは、その樹脂酸価が30〜150mgKOH/gの範囲にあることが好ましい。樹脂酸価が30mgKOH/g以上の場合、弱アルカリ水溶液での未露光部分の除去が容易である。また、樹脂酸価が150mgKOH/g以下であれば、硬化被膜の耐水性、電気特性等が向上される。
【0034】
また、(A−1)カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基含有ポリマーの重量平均分子量は、5,000〜100,000の範囲にあることが好ましい。重量平均分子量が5,000以上であれば、指触乾燥性が良好である。また、重量平均分子量が100,000以下であれば、現像性、貯蔵安定性が向上される。
【0035】
<(A−2)アクリル系化合物>
(A−2)アクリル系化合物は、特に限定されず、アクリル化合物及び/又はメタアクリル化合物を意味する。
【0036】
(A−2)アクリル系化合物としては、例えば、エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのモノ又はジアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコール又はこれらのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物の多価アクリレート類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート及び、これらのフェノール類のエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物などのアクリレート類;グルセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテルのアクリレート類;メラミンアクリレート;及び/又は上記アクリレート類に対応するメタクリレート類、トリシクロデシルメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルのアクリル酸変性物等を挙げることができる。これらのアクリル系化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
<(A−3)光重合開始剤>
(A−3)光重合開始剤は、特に限定されず、光の照射によりモノマーやオリゴマーの重合を開始させることが可能な化合物を意味する。
【0038】
(A−3)光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類;(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィネイト等のフォスフィンオキサイド類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン等のアミノアルキルフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−タ−シャリ−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタ−ル等のケタール類;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;又はキサントン類;各種パーオキサイド類、チタノセン系開始剤などが挙げられ、これらの光重合開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なおこれらの光重合開始剤は、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の光増感剤等と併用しても良い。
【0039】
<(A−4)エポキシ化合物>
(A−4)エポキシ化合物は、特に限定されず、エポキシ環を含有する化合物を意味する。
【0040】
(A−4)エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型またはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格エポキシ樹脂、ナフタレン骨格エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格を持つトリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、キレート型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
<(A−5)アミン類および/または酸無水物>
(A−5)アミン類および/または酸無水物は、アミン類のみ、酸無水物のみ、さらにアミン類および酸無水物の混合物のいずれであってもよい。
【0042】
このような(A−5)アミン類としては、公知のものを使用することができる。アミン類としては、例えば、メラミン、ジシアンジアミド、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、m−キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、イソフォロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ラロミン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニルジアミン、ジアミノジスルフォン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリシクロヘキシルポリアミン混合物、N−アミノエチルピペラジン等を挙げることができる。これらのアミン類は単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0043】
このような(A−5)酸無水物としては、公知のものを使用することができる。酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水マレイン酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアゼライン酸無水物、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等を挙げることができる。これらの酸無水物は単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0044】
<(A)有機混合物の配合組成>
繰り返しになるが、本実施形態に用いる(A)有機混合物は、(A−1)カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基含有ポリマーと、(A−2)アクリル系化合物と、(A−3)光重合開始剤と、(A−4)エポキシ化合物と、を含有する。このように、本実施形態のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物は、4種類の有機化合物をバランスよく配合した有機混合物を用いているため、光反射率の高い塗膜を製造安定性よく形成することができる。
【0045】
このように4種類の有機化合物をバランスよく配合した有機混合物において、(A−2)アクリル系化合物の配合量は、(A−1)中の(メタ)アクリロイル基1mol当量に対して、(A−2)アクリル系化合物中のアクリロイル基0.2〜5.0mol当量となるよう配合するのが好ましい。(A−2)アクリル系化合物中のアクリロイル基0.2当量以上では、光硬化性が向上し、露光、現像後のパターン形成が容易となり好ましい。逆に(A−2)アクリル系化合物中のアクリロイル基5.0mol当量以下の場合だと、ソルダーレジスト組成物の非露光部分をアルカリ水溶液で取除くことが容易となり、現像残りが抑制しやすくなり好ましい。
【0046】
また、(A−3)光重合開始剤の配合量は、((A−1)+(A−2))中の(メタ)アクリロイル基1mol当量に対して、(A−3)光重合開始剤0.1〜5.0mol当量となるよう配合するのが好ましい。(A−3)光重合開始剤0.1mol当量以上では、光硬化性が向上し、露光、現像後のパターン形成が容易となり好ましい。逆に(A−3)光重合開始剤5.0mol当量以下の場合だと、耐熱変色性が向上し、また硬化後の塗膜に亀裂が発生し難くなり好ましい。
【0047】
そして、(A−4)エポキシ化合物の配合量は、((A−1)+(A−2))中の(カルボキシル基+水酸基)1mol当量に対して、(A−4)エポキシ化合物に含有するエポキシ基0.5〜3.0mol当量となるよう配合するのが好ましい。(A−4)エポキシ化合物に含有するエポキシ基0.5mol当量以上では、熱硬化性が向上し、また(A−1)カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基含有ポリマー中のカルボン酸基+水酸基および(A−2)アクリル系化合物中のカルボキシル基および水酸基が未反応の状態で残る割合が少なくなるため、硬化塗膜の耐湿性、電気特性、はんだ特性、耐薬品性が向上するため好ましい。逆に(A−4)エポキシ化合物に含有するエポキシ基3.0mol当量以下の場合だと、ソルダーレジスト組成物の非露光部分をアルカリ水溶液で取除くことが容易となり、現像残りが発生し難くなり好ましい。
【0048】
また、繰り返しになるが、本実施形態に用いる(A)有機混合物では、(A−5)アミン類および/または酸無水物を併用すると、インキ特性がより向上し塗膜がより均一にきれいに塗膜ができ、また、硬化が促進されより好ましい。このとき、(A−5)アミン類およびまたは酸無水物の配合量は、(A−4)エポキシ化合物に含有するエポキシ基1当量に対して、アミン類中のアミン当量(第一アミン+第二アミン+第三アミン)および/または酸無水物中の無水酸当量の合計が1当量以下となるよう配合するのが好ましい。1当量以下であると耐熱変色性、耐光変色性が向上し、また硬化後、塗膜に亀裂が発生し難くなるため好ましい。
【0049】
<(B)無機混合物>
本実施形態に用いる(B)無機混合物は、(B−1)屈折率1.4〜2.5かつ平均粒子長径1.0〜20μmの第1の無機物質と、(B−2)屈折率2.5〜3.0かつ平均粒子長径0.1〜0.5μmの第2の無機物質と、を含有する。このように、本実施形態のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物は、(B−1)屈折率が小さく平均粒子長径が大きい無機物質と、(B−2)屈折率が大きく平均粒子長径が小さい無機物質と、の2種類をバランスよく配合した無機混合物を用いているため、光反射率の高い塗膜を製造安定性よく形成することができる。このように、平均粒子長径が大きい粗粒子と平均粒子長径が小さい微粒子を混合することにより各々を単独で用いた場合よりも高充填が可能となり、無機粒子を高充填することによる塗布性の低下を抑制することができる。また、屈折率が小さい無機物質は平均粒子長径が大きい方が反射率が高くなる傾向があり、屈折率の大きい無機物質は平均粒子長径が小さい方が反射率が大きくなる傾向がある。そのため、適度な範囲で特定の屈折率を持った平均粒子長径が大きい粗粒子と平均粒子長径が小さい微粒子を混合併用することにより、塗布性能の低下を抑制しつつ、反射率を向上させることができ、実用可能な配合組成の絶妙なバランスの上に反射率が高い白色のソルダーレジスト膜の作製が可能になったのである。
【0050】
また、本実施形態に用いる(B)無機混合物は、(B−3)第3の無機物質として、屈折率1.4〜2.5かつ平均粒子長径0.1〜0.5μmの無機物質を併用すると、反射率がより高くなるため好ましい。
【0051】
<(B−1)第1の無機物質>
(B−1)第1の無機物質は、特に限定されず、屈折率1.4(好ましくは1.5以上)〜2.5(好ましくは2.0以下)かつ平均粒子長径1.0〜20μmの白色の無機物質を使用することができる。(B−1)第1の無機物質の屈折率が1.4以上または1.5以上であれば、平均粒子長径20μm以下の無機物質で反射率が低下しない傾向があり好ましい。一方、(B−1)第1の無機物質の屈折率が2.5以下または2.0以下であれば、平均粒子長径1μm以上の無機物質を用いても反射率が低下しない傾向があり好ましい。
【0052】
(B−1)屈折率1.4〜2.5かつ平均粒子長径1.0〜20μmの無機物質としては、例えば、二酸化珪素(屈折率1.5)、硫酸バリウム(屈折率1.6)、酸化マグネシウム(屈折率1.7)、酸化アルミニウム(屈折率1.8)、酸化亜鉛(屈折率2.0)、タルク(屈折率1.6)、マイカ(屈折率1.6)が挙げられ、これらは単独または二種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
具体的には、堺化学工業(株)製の大粒子硫酸バリウム・製品名BMH−60、板状硫酸バリウム・製品名A、HF、H、HM、HL、HP、HG、日本タルク(株)製のタルク・製品名MS−P、MS、SWE、SW、SSS、NTL、L−1、K−1、L−G、P−2、P−3、P−4、P−6、P−8、C−31、(株)山口雲母工業所製のマイカ・製品名A−11、SJ−005、SJ−010、堺化学工業(株)製の酸化亜鉛・製品名 LPZINC−2、LPZINC−3、LPZINC−11、神島化学工業(株)製の酸化マグネシウム・製品名スターマグP、HP−30、HP−30A、協和化学工業(株)製の酸化マグネシウム・製品名キョーワマグ30、キョーワマグ150、パイロキスマ5Q、電気化学工業(株)製の二酸化珪素・製品名FS−5DC、FS−3DC、FB−5DC、FB−3SDC、FB−5SDX、FB−1SDX、電気化学工業(株)製の酸化アルミニウム・製品名DAM−03、DAM−05、DAM−10、DAW−03、DAW−05、DAW−10、ASFP−30等を使用することができる。
【0054】
<(B−2)第2の無機物質>
(B−2)第2の無機物質は、特に限定されず、屈折率2.5〜3.0かつ平均粒子長径0.1〜0.5μmの白色の無機物質を好適に使用することができる。(B−2)第2の無機物質の屈折率が2.5以上、3.0以下であれば、平均粒子長径0.1〜0.5μmで反射率が高くなる傾向があるため好ましい。
【0055】
(B−2)屈折率2.5〜3.0かつ平均粒子長径0.1〜0.5μmの白色の無機物質としては、ルチル型酸化チタン(屈折率2.7)が挙げられる。具体的には、石原産業(株)製CR−50、CR50−2、CR−57、CR−60、CR−60−2、CR−63、CR−67、CR−58、CR−58−2、CR−Super70、CR−80、CR−85、CR−90、CR−90−2、CR−93、CR−95、CR−953、CR−97、UT771、PF−690、PF−691、PF−711、PF−739、PF−740、PC−3、S−305、堺化学工業(株)製SR−1、R−42、R−45M、R−650、R−32、R−5N、GTR−100、GTR−300、R−62N、R−7E、R−44、R−3L、R−11P、R−21、R−25、TCR−52、R−310、D−918、FTR−700、富士チタン工業(株)製TR−600、TR−700、TR−750、TR−840、TR−900、テイカ(株)製JR−301、JR−403、JR−405、JR−600A、JR−605、JR−600E、JR−603、JR−805、JR−806、JR−701、JRNC、JR−800、JR、チタン工業(株)製KA−10、KA−20、KA−30、KR−310、KR−380、KV−200等を使用することができる。これらは単独または二種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
<(B−3)第3の無機物質>
(B−3)第3の無機物質は、特に限定されず、屈折率1.4〜2.5かつ平均粒子長径0.1〜0.5μmの無機物質を好適に使用可能である。単独使用では反射率が低いが、(B−1)、(B−2)と併用することにより反射率が上がる。
【0057】
このような(B−3)屈折率1.4〜2.5かつ平均粒子長径0.1〜0.5μmの無機物質としては、公知のものを使用することができる。例えば二酸化珪素(屈折率1.5)、硫酸バリウム(屈折率1.6)、酸化マグネシウム(屈折率1.7)、酸化アルミニウム(屈折率1.8)、酸化亜鉛(屈折率2.0)が挙げられ、これらは単独または二種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0058】
具体的には、堺化学工業(株)製硫酸バリウム・製品名B−30、B−31、B−32、B−33、B−34、B−35、B−35T、ハクスイテック(株)製の酸化亜鉛・製品名F−1、岩谷化学工業(株)製の酸化マグネシウム・製品名MTK−30、MJ−30、電気化学工業(株)製の二酸化珪素・製品名SFP−20M、電気化学工業(株)製の酸化アルミニウム・製品名ASFP−20、等を使用することができる。
【0059】
本実施形態に用いる(B)無機混合物に含まれる、(B−1)第1の無機物質、(B−2)第2の無機物質および(B−3)第3の無機物質の粒子長径は、いずれも光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡等により直接観察、測定することができる。粒子長径は粒子を平面上に置いた粒子の平面図において、輪郭に接し、短径(粒子の平面図について、輪郭に接する最短間隔の二つの平行線間の距離)を決定する平行線に直角方向の二つの平行線間の距離である(改訂二版 粉体理論と応用、昭和54年5月12日発行、発行所 丸善株式会社より)。ここで平均粒子長径は粒子100個以上の長径を測定した平均値である。
【0060】
<(B)無機混合物の配合組成>
繰り返しになるが、本実施形態に用いる(B)無機混合物は、(B−1)屈折率1.4〜2.5かつ平均粒子長径1.0〜20μmの第1の無機物質と、(B−2)屈折率2.5〜3.0かつ平均粒子長径0.1〜0.5μmの第2の無機物質と、を含有する。このように、本実施形態のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物は、(B−1)屈折率が小さく平均粒子長径が大きい無機物質と、(B−2)屈折率が大きく平均粒子長径が小さい無機物質と、の2種類をバランスよく配合した無機混合物を用いているため、光反射率の高い塗膜を製造安定性よく形成することができる。
【0061】
このように2種類の無機化合物をバランスよく配合した無機混合物において、(B−1)/(B−2)の体積%比は、5/95〜80/20であることが好ましい。(B−1)および(B−2)の合計体積中の(B−1)の体積比が5%以上だとソルダーレジスト組成物に無機物質(B)を容易に高含量配合することができる。また無機物質高配合した場合にもインキ特性の低下を抑制し、基板に均一にきれいにソルダーレジスト組成物を塗布することができる。(B−1)の体積比が80%以下であると、後述するソルダーレジスト組成物の溶剤(C)を揮発乾燥後、または硬化後、塗膜に亀裂ができることを抑制する、また塗膜と基板の密着性が低下することを抑制するので塗膜不良が減少する。
【0062】
また、繰り返しになるが、本実施形態に用いる(B)無機混合物は、(B−3)第3の無機物質として、屈折率1.4〜2.5かつ平均粒子長径0.1〜0.5μmの無機物質を併用すると、反射率がより高くなるため好ましい。このとき、(B−1)/(B−2)/(B−3)の体積%比が、5/95/0(0を含まない)〜80/5/15となることが更に好ましい。(B−1)、(B−2)および(B−3)の合計体積のうち(B−3)の体積%が0を超えると、更に反射率が高くなるため好ましい。また、先述の合計体積のうち(B−3)の体積%が15%以下であれば、硬化後の塗膜が基板から剥離することを抑制することができる。
【0063】
<(C)溶剤>
(C)溶剤は、特に限定されず、本実施形態のソルダーレジスト組成物における粘度の調整や塗膜の物性制御等の目的で用いられ、公知の有機溶剤を使用できる。
【0064】
(C)溶剤としては、例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロプレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及び上記グリコールエーテル類のエステル化物などのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテルなどの石油系溶剤等を使用することができる。これらの溶剤は単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0065】
<全体の配合組成>
繰り返しになるが、本実施形態のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物では、(A)有機混合物と、(B)無機混合物と、(C)溶剤と、の全体の配合組成における3種類の主要な構成成分のバランスがよいため、光反射率の高い塗膜を製造安定性よく形成することができる。
【0066】
すなわち、本実施形態のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物では、(A)有機混合物/(B)無機混合物の体積%比は、70/30〜30/70、即ち溶剤(C)揮発乾燥、更に硬化後の塗膜(A)+(B)中の無機物質(B)の体積%は30〜70となることが好ましい。硬化塗膜中の(B)が30体積%以上だと満足な反射率が得られ、70以下であれば硬化後の塗膜が基板から剥離しにくい。
【0067】
さらに、本実施形態のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物では、(B)/((A)+(B)+(C))の体積%比が、20/100〜50/100であることが好ましい。((A)+(B)+(C))中の(B)の体積%が20%以上だと塗膜の厚みの制御が容易となり、また満足な反射率が得られ、50%以下であればソルダーレジスト組成物の粘度が高くなり過ぎず、基板に均一にきれいに塗布することができる。
【0068】
<その他の成分>
さらに、本実施形態のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物では、必要に応じて、硬化促進剤、熱重合禁止剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、カップリング剤、難燃助剤等が、硬化塗膜中の(B−1)、(B−2)、(B−3)の全体積%が30〜70となる範囲内で添加できる。
【0069】
<ソルダーレジスト膜の形成>
本実施形態のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物は、液状、ペースト状の形態で提供することが好ましい。このような形態であれば、金属ベース回路基板への塗布性能が優れているからである。
【0070】
本実施形態のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物は、必要があれば溶剤等で希釈して塗布方法に適した粘度に調整することができる。これを、回路を形成された金属ベース基板に、スクリーン印刷法、カーテンコート法、スプレーコート法、ロールコート法等の方法により塗布する。次に例えば70〜90℃の温度で組成物中に含まれる(C)溶剤を揮発乾燥させることにより、タックの無い塗膜を形成できる。
【0071】
その後、フォトマスクを通して選択的に紫外線(300〜450nm等)等の活性エネルギー線により露光し、未露光部を希アルカリ水溶液により現像してレジストパターンを形成することにより、本発明の金属ベース回路基板を得ることができる。ここで用いられる露光するための照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ又はメタルハライドランプ等を用いることができる。また、活性光線としてレーザー光線なども用いることができる。また、ここで用いられる希アルカリ水溶液としては、0.5〜5重量%の炭酸ナトリウム水溶液が一般的であるが、他のアルカリ、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等の水溶液を用いることもできる。
【0072】
このようにして得られた塗膜を更に100〜200℃で熱硬化させることによりソルダーレジスト塗膜を形成させる。
【0073】
本実施形態のソルダーレジスト組成物を用いて、上述のような方法によって形成されたソルダーレジスト膜は、後述する実施例で示すように、高反射率を有することがわかった。
【0074】
<金属ベース回路基板>
更に、本実施形態のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物を用いて白色膜を設けることにより、光反射シートを貼り付ける必要のない金属ベース回路基板を得ることができる。
【0075】
以下、図を用いて更に本発明を詳しく説明する。
【0076】
図1は、本実施形態の金属ベース回路基板の一例である。本実施形態の金属ベース回路基板においては、金属箔1と絶縁層2及び回路3とからなる金属ベース回路基板上に高反射率の白色膜4を、本実施形態のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物を用いて形成したものであり、複数のLEDパッケージ5が半田接合部6などにより接合搭載されている。本実施形態の金属ベース回路基板は、本実施形態のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物を用いて形成した白色膜が高反射率を有することが特徴であり、400〜800nmの可視光領域に対して80%以上の反射率、さらに好ましい実施態様においては、460nm(青色)と525nm(黄色)及び620nm(赤色)に対して80%以上の反射率を持つことが好ましい。
【0077】
すなわち、要約すれば、本実施形態の金属ベース回路基板は、金属箔1と、金属箔1上に設けられている絶縁層2と、絶縁層2上に設けられている回路3と、本実施形態のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物を用いて絶縁層2および回路3上に設けられている白色膜4と、を備える金属ベース回路基板であるということになる。
【0078】
本実施形態の金属ベース回路基板は、上記構成を有しており、しかも絶縁層2の熱伝導率が1〜4W/mKで、導体回路3と金属箔1との間の耐電圧が1.5kV以上、望ましく2kV以上という、高い放熱性と耐電圧特性を有しており、LED光源から発生する熱を、効率よく金属ベース回路基板裏面側に放熱し、さらに、外部に放熱することにより、LEDパッケージ実装回路基板の蓄熱を低減し、LEDの温度上昇を小さくすることにより、LEDの発光効率低下を抑制することができる。このため、光反射機能を持つ高反射率の白色膜4の効果とあわせて、明るく且つ長寿命のバックライトを提供することができる。
【0079】
本実施形態において、金属箔1としては、良好な熱伝導性を持つ銅および銅合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金、鉄ならびにステンレスなどが使用可能である。また、金属箔1の厚みとしては、9μm以上400μm以下のものが使用できる。金属箔1の厚みが9μm以上あれば金属ベース回路基板の剛性が低下するために実使用に適さなくなることもないし、厚みが400μm以下の場合は厚みが増し小型化や薄型化にも有用である。
【0080】
本実施形態において、絶縁層2の厚さは、80μm以上200μm以下が好ましい。80μm以上であれば電気絶縁性が確保できるし、200μm以下で熱放散性が十分に達成できるし、小型化や薄型化に寄与できる。
【0081】
絶縁層2は、通常熱硬化性樹脂を用いるが、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂などが使用できる。中でも、無機フィラーを含みながらも、硬化状態において、金属箔1と回路3との接合力及び絶縁性に優れた後述する二官能性エポキシ樹脂と重付加型硬化剤とを主成分としたものが好ましい。重付加型硬化剤としては、機械的及び電気的性質に優れた酸無水物類やフェノール類が好ましく、熱硬化性樹脂に含まれるエポキシ樹脂のエポキシ当量に対して活性水素等量が0.8〜1倍となるように添加することが絶縁層の機械的及び電気的性質を確保するため好ましい。
【0082】
エポキシ樹脂としては、2官能性エポキシ樹脂であるビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネロペンチルグリコールジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等を使用したものが望ましい。
【0083】
重付加型硬化剤としては、酸無水物類の無水フタル酸、テトラヒドロメチル無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水メチルナジック酸、フェノール類であるフェノールノボラック等が望ましい。
【0084】
また、上述のエポキシ樹脂と重付加型硬化剤の硬化反応を促進するため硬化触媒を加えても良い。硬化触媒としてはイミダゾール系が好ましく、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−メチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ〔1,2−a〕ベンズイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン、1−シアノメチル−2−メチルイミダゾール等が好ましい。その添加量は、所望の硬化速度を得るために任意に変更してよい。
【0085】
絶縁層2を構成する熱硬化性樹脂中の塩化物イオン濃度は、1000ppm以下であることが好ましく、500ppm以下であることがより好ましい。硬化性樹脂組成物中の塩化物イオン濃度が1000ppm以下であれば、高温下、直流電圧下においてイオン性不純物の移動が起こりにくく、電気絶縁性の低下が抑制される。
【0086】
絶縁層2に含有される無機フィラーとしては、電気絶縁性で熱伝導性の良好なものが好ましく、例えば、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化硼素などが用いられる。絶縁層2中の無機フィラーの含有量は、50〜75体積%が好ましく、無機フィラーの粒度は平均粒径が0.6〜2.4μm及び5〜20μmの2種類のものを含有していることが好ましい。平均粒径が大きい粗粒子と平均粒径が小さい微粒子を混合することにより各々を単独で用いた場合よりも高充填が可能となり、良好な熱伝導性を得ることが可能となる。また、粒子形状は破砕、球状、鱗片状のものがある。無機フィラー含有量は50体積%以下であるとLEDパッケージを使用したバックライト用の回路基板として必要な熱伝導性を得ることが困難であり、75%以上であると絶縁材が高粘度化し絶縁材の塗工が困難となり、機械的性質及び電気的性質の問題が生じ易い。また、無機フィラー中のナトリウムイオン濃度は、500ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましい。無機フィラー中のナトリウムイオン濃度が500ppm以下であれば、高温下、直流電圧下においてもイオン性不純物の移動が抑制され、電気絶縁性が低下することを抑制できる。
【0087】
回路3の厚みは、9μm以上140μm以下であることが好ましく、9μm以上であれば回路としての機能が十分達成できるし、140μm以下でならば厚みが増し過ぎて小型化や薄型化が難しくなることもない。
【0088】
<作用効果>
【0089】
本実施形態に係るアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物をおよびそれを用いた金属ベース回路基板は、本発明者等が、高反射率の白色のソルダーレジスト塗膜を製造安定性よく形成するために、鋭意検討した結果、ソルダーレジスト組成物に含有される有機混合物・無機混合物の配合組成、無機混合物に含まれる無機物質の屈折率、粒径、含有量を所定の範囲に調整することにより高反射率の白色のソルダーレジスト塗膜を製造安定性よく形成することができることを見出し、完成したものである。
【0090】
すなわち、本実施形態に係るソルダーレジスト組成物は、有機混合物・無機混合物の配合組成、無機物質の屈折率、粒径、含有量を所定の範囲に調整されたソルダーレジスト組成物であって、露光後、フォトマスク等によるマスキングによる非露光部分をアルカリ水溶液で取除き、その後熱・光により硬化させることにより、高反射率の白色のソルダーレジスト塗膜を製造安定性よく形成することができるアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物である。
【0091】
また、本実施形態に係る金属ベース回路基板は、非紫外線照射光源としてLEDを使用した直下型バックライト用の金属ベース回路基板及び光反射シートであり、詳しくは上述のソルダーレジスト組成物を用いて得られた光反射シート代替の高反射率の白色塗膜を有する高反射率白色金属ベース回路基板である。
【0092】
すなわち、本実施形態に係る金属ベース回路基板は、金属箔上に絶縁層を形成し、絶縁層上に回路を形成した金属ベース回路基板であって、絶縁層及び回路上に上述のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物を用いて白色膜を設けた金属ベース回路基板である。本実施形態に係る金属ベース回路基板では、好ましくは、白色膜の可視光の460nm、525nm、及び620nmの反射率がいずれも80〜95%である。また、本実施形態に係る金属ベース回路基板では、好ましくは、絶縁層の熱伝導率が1〜4W/mKである。また、本実施形態に係る金属ベース回路基板では、好ましくは、絶縁層が二官能性エポキシ樹脂を含有する。
【0093】
また、本実施形態に係る金属ベース回路基板では、好ましくは、絶縁層が酸無水物若しくはフェノール類を含有し、二官能型エポキシ樹脂のエポキシ当量に対して活性水素当量が0.8〜1倍となるように酸無水物若しくはフェノール類を含有する。さらに、本実施形態に係る金属ベース回路基板では、好ましくは、絶縁層が熱硬化性樹脂を25〜50体積%含有し、残部として0.6〜2.4μm及び5〜20μmの2種類の平均粒径を持ち、かつ形状が球状、破砕状若しくは鱗片状の無機フィラーを含む。
【0094】
本実施形態に係る金属ベース回路基板によれば、反射率の高い白色のソルダーレジスト塗膜を形成することができ、またLED実装後に光反射シートを貼り付けなくても、金属ベース回路基板のみで反射光を有効利用することができる。言い換えれば、電子部品の実装という従来のプリント回路基板の機能に加えて、光反射機能という新しい機能を持った回路基板が得られる。光反射機能を持った本実施形態の金属ベース回路基板を、例えば、LEDを用いた直下型バックライト用のプリント回路基板として使用するときは、金属ベース回路基板上の高反射率の白色塗膜を光反射シートとして使用すればよいので、高価な光反射シートを使用せずともよく、バックライト製造時の工数及び必要部材の低減することができ、コストダウンにつながる。
【0095】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0096】
例えば、上記実施の形態では、本実施形態のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物を用いて白色膜を設けた回路基板を金属ベース回路基板であるとしたが、特に金属ベース回路基板に限定する趣旨ではない。
【0097】
すなわち、本実施形態のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物は、金属ではないコア基板上にプリプレグ等を積層してなる通常の回路基板に塗布した場合であっても、同様に反射率の高い白色のソルダーレジスト塗膜を形成することができる。そのため、この場合であっても、LEDを用いた直下型バックライト用のプリント回路基板として使用するときは、通常の回路基板上の高反射率の白色塗膜を光反射シートとして使用すればよいので、高価な光反射シートを使用せずともよく、バックライト製造時の工数及び必要部材の低減することができ、コストダウンにつながる。
【実施例】
【0098】
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0099】
実施例1〜13、比較例1〜16について、表1〜表4に示した配合量(質量部)に従って各成分を配合・撹拌後、3本ロールを用いて分散・混練させてアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物を調合した。
【0100】
調合した実施例1〜13、比較例1〜16の組成物を、スクリーン印刷法により硬化後の膜厚が約25μmとなるよう下記に示す金属ベース回路基板上に塗布した。
【0101】
金属ベース回路基板は35μm厚の銅箔上に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、「EP−828」)対し、硬化剤としてフェノールノボラック(大日本インキ化学工業社製、「TD−2131」)を加え、平均粒子径が1.2μmである破砕状粗粒子の酸化珪素(龍森社製、「A−1」)と平均粒子径が10μmである破砕状粗粒子の酸化珪素(龍森社製、「5X」)を合わせて絶縁層中56体積%(球状粗粒子と球状微粒子は質量比が7:3)となるように配合し、硬化後の厚さが100μmになるように絶縁層を形成し、つぎに200μm厚のアルミ箔を張り合わせ、加熱することにより絶縁層を熱硬化させ、絶縁層中の無機フィラー全体でナトリウムイオン濃度が50ppm以下である金属ベース基板を得た。さらに、得られた金属ベース基板について、所定の位置をエッチングレジストでマスクして銅箔をエッチングした後、エッチングレジストを除去して銅回路を形成して得た。この時、銅回路上のLEDパッケージ実装部分には白色塗膜を形成しない。
【0102】
ソルダーレジスト組成物塗布後、80℃で30分間乾燥させた。次に400mJ/cmの積算光量で紫外線露光し、28℃1%の炭酸ナトリウム水溶液を現像液として非露光部の除去を行い、続いて150℃60分間の条件下で熱硬化を行った。
【0103】
露光は松下電工製紫外線硬化装置ANUP7324を用いて行った。積算光量測定はTOPCON社UVチェッカーUVR−T1を用いて行った。膜厚の測定はサンコウ電子研究所製過電流膜厚計EDY−1000を用いて行った。反射率の測定は横河M&C製分光測色計CD100を用いて行った。
【0104】
(A−1)−1:ダイセル・サイテック(株)製 CYCLOMER ACA200M、固形分47〜50wt%、溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテル、樹脂密度1.2g/cm、樹脂酸価106〜121、重量平均分子量10000〜17000、二重結合当量(アクリロイル基当量)450
(A−1)−2:ダイセル・サイテック(株)製 CYCLOMER ACAZ251、固形分44.5〜46.5wt%、溶媒ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、密度1.1g/cm、樹脂密度1.2g/cm、樹脂酸価58〜74、重量平均分子量10000〜18000、二重結合当量(アクリロイル基当量)380
(A−1)−3:ダイセル・サイテック(株)製 CYCLOMER ACA230AA、固形分51〜55wt%、溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテル、密度1.1g/cm、樹脂密度1.2g/cm、樹脂酸価33〜47、二重結合当量(アクリロイル基当量)450
【0105】
(A−2)−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、二重結合当量(アクリロイル基当量)96.3、密度1.155g/cm、分子量578
【0106】
(A−3)−1:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド チバジャパン(株)製 IRGACURE819 分子量419
(A−3)−2:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン チバジャパン(株)製 IRGACURE907 密度1.2g/cm、分子量279
(A−3)−3:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、チバジャパン(株)製 DAROCUR TPO 分子量350
【0107】
(A−4)−1:水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシ樹脂レジン(株)製 YX−8000エポキシ当量205、密度1.2
【0108】
(A−5)−1:メラミン 分子量126.12 、密度1.57g/cm、1分子内に第1アミン3当量、第3アミン3当量含有、アミン当量21
(A−5)−2:ジシアンジアミド 分子量84.08 、密度1.4g/cm、1分子内に第1アミン1当量、第2アミン2当量、第3アミン1当量含有、アミン当量21
(A−5)−3:3or4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、日立化成工業(株)製HN5500 密度1.16g/cm、分子量168、酸無水物当量168
【0109】
(B−1)−1:大粒子硫酸バリウム、堺化学工業(製)製 BMH−60 平均粒子長径6μm、密度4.5g/cm
(B−1)−2:板状硫酸バリウム、堺化学工業(製)製 A 平均粒子長径6μm、密度4.5g/cm
【0110】
(B−2)−1:酸化チタン、石原産業(株)製CR−90 平均粒子長径0.25μm、密度4.2g/cm
【0111】
(B−3)−1:硫酸バリウム、堺化学工業(株)製バリエースB−30 平均粒子長径0.3μm、密度4.5g/cm
【0112】
(C)−1:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 密度0.95g/cm
消泡剤:信越化学工業(株)KS−66 密度1.01g/cm
【0113】
ソルダーレジスト組成物は下記の評価を行った。
塗布性:ソルダーレジスト組成物の基板への塗布性能。
現像性:塗布後、80℃で30分間乾燥、紫外線露光後、28℃1%の炭酸ナトリウム水溶液での非露光部の除去性および紫外線露光部の光硬化残存性目視観察。
硬化塗膜外観:硬化塗膜の外観(亀裂の有無・塗膜表面粗さ等)目視観察。
密着性:硬化塗膜と基板の密着性目視観察。
◎:良好
○:ほぼ良好
△:やや不良
×:不良
【0114】
更に良好に形成された硬化塗膜について反射率の測定を行った。なお反射率は、絶縁層上に比べてより低い反射率を示す銅回路上に設けた塗膜部分の反射率を測定した。評価結果を表1〜表4に示す。
【0115】
【表1】

【0116】
【表2】

【0117】
【表3】

【0118】
【表4】

【0119】
表1〜表4から明らかなように、本実施例1〜13においては、特定の屈折率および特定の平均粒子長径の無機物質を併用することにより、無機物質を高含有量配合しても塗布性、現像性、硬化塗膜外観、密着性に優れ、また高反射率のソルダーレジスト組成物として優れることがわかる。
【0120】
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明のアルカリ現像型光硬化性熱可塑性ソルダーレジスト組成物およびそれを用いた金属ベース回路基板は、LEDパッケージを実装する金属ベース基板表面に高反射率の白色塗膜を形成しているので、通常のプリント回路基板と類似の構成のまま光反射機能を有している。このため、高価な光反射シートを使用しなくてもLED光源の反射光を液晶部分に供給することができる。また、液晶バックライト製造時の工数を削減することもでき、効率的であり、LED用の金属ベース回路基板として産業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明に係る金属ベース回路基板の一例の断面図である。
【符号の説明】
【0123】
1 金属箔
2 絶縁層
3 回路
4 白色膜
5 LEDパッケージ
6 半田接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)有機混合物と、(B)無機混合物と、(C)溶剤と、を含むアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物であって、
前記(A)有機混合物が、
(A−1)カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基含有ポリマ−と、
(A−2)アクリル系化合物と、
(A−3)光重合開始剤と、
(A−4)エポキシ化合物と、
を含有し、
前記(B)無機混合物が、
(B−1)屈折率1.4〜2.5かつ平均粒子長径1.0〜20μmの第1の無機物質と、
(B−2)屈折率2.5〜3.0かつ平均粒子長径0.1〜0.5μmの第2の無機物質と、
を含有し、
(A)/(B)の体積%比が、70/30〜30/70であり、
(B−1)/(B−2)の体積%比が、5/95〜80/20であり、
(B)/((A)+(B)+(C))の体積%比が、20/100〜50/100であり、
前記(A−2)アクリル系化合物の配合量は、(A−1)中の(メタ)アクリロイル基1mol当量に対して、(A−2)中のアクリロイル基が、0.2〜5.0mol当量となるように配合されており、
前記(A−3)光重合開始剤の配合量は、((A−1)+(A−2))中の(メタ)アクリロイル基1mol当量に対して、(A−3)光重合開始剤が、0.1〜5.0mol当量となるよう配合されており、
前記(A−4)エポキシ化合物の配合量は、((A−1)+(A−2))中の(カルボキシル基+水酸基)1mol当量に対して、(A−4)中のエポキシ基0.5〜3.0mol当量となるよう配合されている、
アルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物。
【請求項2】
前記(B)無機混合物が、(B−3)屈折率1.4〜2.5かつ平均粒子長径0.1〜0.5μmの第3の無機物質をさらに含有し、
(B−1)/(B−2)/(B−3)の体積%比が、5/95/0(0を含まない)〜80/5/15である、請求項1記載のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物。
【請求項3】
前記(A)有機混合物が、(A−5)アミン類および/または酸無水物をさらに含有する、請求項1又は2記載のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物。
【請求項4】
前記(B−1)第1の無機物質が、硫酸バリウム、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、タルク、マイカから選ばれる単独または二種類以上の組み合わせからなる無機物質であり、
前記(B−2)第2の無機物質が、ルチル型酸化チタンであり、
前記(B−3)第3の無機物質が、硫酸バリウム、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムから選ばれる単独または二種類以上の組み合わせからなる無機物質である、請求項1乃至3いずれかに記載のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物。
【請求項5】
金属箔と、
前記金属箔上に設けられている絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられている回路と、
請求項1乃至4いずれかに記載のアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物を用いて前記絶縁層および前記回路上に設けられている白色膜と、
を備える金属ベース回路基板。
【請求項6】
前記白色膜の460nm、525nmおよび620nmにおける反射率が、いずれも80%以上である、請求項5記載の金属ベース回路基板。
【請求項7】
前記絶縁層の熱伝導率が、1〜4W/mKである、請求項5または6記載の金属ベース回路基板。
【請求項8】
前記絶縁層が、二官能性エポキシ樹脂を含有する、請求項5乃至7いずれかに記載の金属ベース回路基板。
【請求項9】
前記絶縁層が、酸無水物またはフェノール類をさらに含有する、請求項8に記載の金属ベース回路基板。
【請求項10】
前記二官能型エポキシ樹脂のエポキシ当量に対して、活性水素当量が0.8〜1倍となるように、前記酸無水物または前記フェノール類を含有する、請求項9項記載の金属ベース回路基板。
【請求項11】
前記絶縁層が、熱硬化性樹脂を25〜50体積%含有し、残部として0.6〜2.4μmおよび5〜20μmの2種類の平均粒子長径を持ち、かつ形状が球状、破砕状若しくは鱗片状の無機フィラーを含有する、請求項5乃至10いずれかに記載の金属ベース回路基板。

【図1】
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【公開番号】特開2009−194235(P2009−194235A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35070(P2008−35070)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】