説明

アルカリ還元水を利用した焼酎の製造方法

【課題】本発明は従来の焼酎に比べてミネラル含量が豊富で、香味が極めて優れており、さらに、従来の焼酎に比べて著しく低い初期酸化還元電位値を表すことにより二日酔い緩和効果がある焼酎の製造方法を提供する。
【解決手段】アルカリ還元水(電解還元水)を利用した焼酎の製造方法に関するものにして、より詳しくは水を電気分解して得たアルカリ還元水(電解還元水)を利用して焼酎を製造することを特徴とする焼酎の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルカリ還元水を利用した焼酎の製造方法に関する。より詳しくは水を電気分解して得たアルカリ還元水を割水として利用することを特徴とする焼酎の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
焼酎は我々韓民族の古くから飲用してきた酒として、一般的に市販されている25v/v%の希釈式焼酎、近来に至り開発された多様なアルコール度数と風味を有する希釈式焼酎、さらに、在来の伝統蒸留式焼酎(乙類焼酎)が現在開発されている。焼酎は一般的に蒸留方法により、蒸留式と希釈式とに区分される。蒸留式焼酎(乙類焼酎)は在来式焼酎を製造する際に用いる単式蒸留器を利用して製造される。具体的には澱粉が多く含まれている米、麦、サツマ芋、そば等の澱粉質原料を茹でるか又は蒸して糊化させ、麹等の黴酵素を利用して糖分化させ、もろみを作って発酵させ、蒸留器で1又は2回程度蒸留して製造される。反面、希釈式焼酎はアルコール濃度が高い酒精に水を混合してアルコール度数を一定に下げることにより製造されるものとして、穀類、薯類等を発酵原料とした中性酒精又は穀類を原料とした穀物酒精を糖化、発酵及び蒸留させ25v/v%内外の濃度に希釈して製造された焼酎を言う。最近では希釈式焼酎に対する需要が増加し、多様なアルコール度数と風味とを有する希釈式焼酎に対する製品開発が活発化している。原料酒精と割水とを混合する時、磁化水処理や遠赤外線処理をする等多くの新たな技術を適用して、焼酎の綺麗で優しい味を醸し出すことが最近の趨勢である。一般的に焼酎は80%程が水で構成されていることから、如何なる水を用いて製造するかが極めて重要である。最近に至り水道水からウイルスが検出されたことがあって、水の安全性に対する一般的な関心が増幅しつつある。従って、焼酎の製造時綺麗な水を用いることが何よりも重要である。現在焼酎製造には硬水軟化、遠赤外線セラミック処理、イオン交換樹脂、逆浸透圧等の方法で処理された用水が使用されている。しかしながら、前記方法等で処理された水は綺麗な点が長所ではあるものの、水中に存在する天然ミネラル成分が人為的に除去され人体に必要な微量元素の供給を抑制する短所がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここに、本発明者等はミネラル成分が豊富で味が豊かな嗜好度の高い焼酎を製造する為に研究を重ねる中で、アルカリ還元水を利用して希釈式焼酎を製造する方法を開発することにより本発明を完成した。
【0004】
従って、本発明の目的はアルカリ還元水を利用し、ミネラル成分が豊富で味が豊かな嗜好度の高い焼酎の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記のような目的を達成する為に本発明は、(a)電解装置で水を電気分解してアルカリ還元水を製造する段階;(b)95v/v%の酒精に前記(a)段階のアルカリ還元水を配合して30〜60v/v%の希釈酒精を製造し、脱臭及び濾過する段階;及び(c)前記(b)段階の希釈酒精に前記(a)段階のアルカリ還元水又は15〜30v/v%の酒精を配合して、最終アルコール濃度15〜30v/v%に調整して濾過する段階を含むことを特徴とするアルカリ還元水を利用した焼酎の製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、アルカリ還元水(電解還元水)は還元力を有するpH7.5〜8.5の電解水を指すものであって、水を電気分解する時陰極部分で生成される。アルカリ還元水(電解還元水)はクラスターの大きさが小さく、カルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛等活性化されたイオン形態のミネラルが豊富である。さらに、アルカリ還元水(電解還元水)は還元力が大きいばかりでなく、活性酸素と結合して水を作る原子状態の水素である活性水素を多量含んでいる。従って、活性酸素を極めて効果的に除去する。従って、アルカリ還元水(電解還元水)は慢性下痢、腸内異常発酵、消化不良、胃酸過多、二日酔い解消、制酸作用等に卓越した効果があるものとして知られている。しかしながら、アルカリ還元水(電解還元水)がアルコールと混合されたり、前記アルカリ還元水(電解還元水)を利用して酒を製造する場合にも前記のようなアルカリ還元水(電解還元水)の活性や効果が維持されるか否かについては全く確認されていなかった。
【0007】
従って、本発明は焼酎を製造する場合において、割水としてアルカリ還元水(電解還元水)を利用することにより、ミネラルが豊富な焼酎を製造して焼酎の品質を改善及び増進させたばかりでなく二日酔い緩和効果を得た。本発明のアルカリ還元水(電解還元水)を利用した希釈式焼酎製造方法を図1に示す。
【0008】
(a)段階:アルカリ還元水(電解還元水)の製造
取水源より送られた原水よりアルカリ還元水(電解還元水)を製造する。前記原水を電解装置(アルカリ還元水(電解還元水)製造装置)に通過させる前に、巨大原生生物及び砂のような異物を除去するのが好ましい。異物の除去は濾過を通じて行える。好ましくは、活性炭濾過槽及び超精密濾過装置を利用して行える。より好ましくは活性炭濾過槽を利用して1次濾過後、再度超精密濾過装置を利用して2次濾過することができる。活性炭濾過及び超精密濾過は当業界において公知である方法により行うことができる。例えば、活性炭濾過はカラム濾過槽等を利用して行うことができ、超精密濾過はカートリッジ濾過器又はシート濾過器等を利用して行える。超精密濾過の際、濾過膜の気孔の大きさは0.05〜20μm、好ましくは、0.1〜10μm、さらに好ましくは5μmである。
【0009】
以降、濾過を通じて異物が除去された水を電解装置で電気分解してアルカリ還元水(電解還元水)を製造する。アルカリ還元水(電解還元水)の製造は当業界において公知である産業用処理方法により行える。アルカリ還元水(電解還元水)の製造は商業的に市販されている一般的な電解装置を利用して行える。前記水は陽極電極と陰極電極が設置された電解装置の電解槽を通過しながら両電極に連結された電流により、陰極電極部分ではアルカリ還元水(電解還元水)に、陽極電極部分では電解酸性水に電気分解される。アルカリ還元水(電解還元水)の好ましい製造条件は処理容量1時間当たり2〜10m3、電流10〜100Aが好ましく、時間当たりアルカリ還元水(電解還元水)の生産量は300〜4,000Lが好ましい。アルカリ還元水(電解還元水)の製造条件は水の処理容量によって適切に調節できる。さらに製造されたアルカリ還元水(電解還元水)は飲料用水有用基準範囲に属するpH7.5〜pH8.5が好ましい。
【0010】
一方、アルカリ還元水(電解還元水)の製造効率を向上させ、アルカリ還元水(電解還元水)で製造された焼酎pHを安定的に維持する為には、異物が除去された水を電解装置で直ちに電気分解するよりは遊離炭酸除去工程を行い、水の遊離炭酸含量を減少させ、電解装置で電気分解するのが好ましい。従って、本発明の方法は前記(a)以前に水から遊離炭酸を除去する段階を追加して含めることができる。遊離炭酸除去工程は当業界において公知である産業用処理方法により行える。好ましくは、水を遊離炭酸の除去膜が設置された装置に通過させて行える。前記遊離炭酸除去の為、使用される膜としてはポリプロピレン(Polypropylene)材質のカートリッジ脱気濾過膜を利用するのが好ましい。好ましい遊離炭酸の除去工程条件は空気圧力10〜35m3/時間当たりである。遊離炭酸の除去は原水内遊離炭酸の含量が2〜10ppmになるようにすることが好ましい。遊離炭酸の含量が2ppm未満の場合には過度な空気圧力が必要となり、遊離炭酸の含量が10ppmを超過の場合には電解還元水製造時生産効率が落ちるようになる。このように遊離炭酸が除去された水を直ちに電解装置に移送してアルカリ還元水(電解還元水)で前記と同様な方法で製造する。製造されたアルカリ還元水(電解還元水)は使用前迄割水貯蔵庫に貯蔵する。
【0011】
(b)段階:酒精の希釈、脱臭及び濾過
95v/v%の酒精を前記(a)段階で製造されたアルカリ還元水(電解還元水)で希釈する。つまり、95v/v%の酒精に前記アルカリ還元水(電解還元水)を配合して30〜60v/v%、好ましくは30〜50v/v%さらに好ましくは40v/v%に希釈する。前記酒精は中性酒精又は穀物酒精の場合もあり得る。前記中性酒精は穀類、薯類等の原料を単式発酵させた後、連続式蒸留を通じて原料より由来する味と香りを完全に除去し、純粋なアルコールのみが残るように製造した酒精を言う。さらに前記穀物酒精は澱粉や糖分が含まれた原料を発酵させて精製し、精製過程中に微量成分の穀物固有の香りと味を完全に除去せず、残っているように製造した酒精を言う。以降、前記希釈酒精に活性炭を加え脱臭する。前記脱臭は活性炭処理槽で活性炭100〜2,000重量ppm、好ましくは500〜1,000重量ppm、より好ましくは700重量ppmを添加して1〜5時間、好ましくは2〜4時間放置して行うことができる。以降、超精密濾過を介して活性炭と希釈された酒精を分離する。前記超精密濾過はカートリッジ濾過器又はシート濾過器を利用して行うことができ、好ましくは、カートリッジ濾過器を利用することができる。さらに、前記濾過膜の気孔の大きさは0.05〜20μm好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは4μm、である。
【0012】
(c)段階:最終アルコール濃度調整及び添加物添加
前記(b)段階で製造された希釈酒精のアルコール濃度を最終的に調整する。好ましくは前記(a)段階で得たアルカリ還元水(電解還元水)を割水として使用し、前記(b)段階で得た希釈酒精を最終的に15〜30v/v%、好ましくは20〜30v/v%、より好ましくは、20〜22v/v%のアルコール濃度に調整する。この際前記割水でアルカリ還元水(電解還元水)の代わりに20〜30v/v%、より好ましくは23〜25v/v%の酒精を使用することもできる。以降、焼酎の味を良くする為に嗜好度により食塩のような無機塩、アスパラギン酸、アミノ酸、ステビオサイド、砂糖、ブドウ糖、クエン酸及び糖アルコール類で成る群より選ばれる一つ以上の添加物を追加的に添加することができる。この他にも機能性食品抽出物を添加することもできる。前記添加物は最終アルコール濃度が調整された酒精の全体重量に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜2重量%、より好ましくは1重量%の量で添加できる。以降、当業界に公知の方法により濾過を行った。好ましくは、木綿及び石綿、活性炭槽、珪藻土、イオン交換樹脂、特殊炭素濾過等のような多様な方法を利用して行うことができ、焼酎原料の風味及び良い香味を活かせるように簡単に行うことがさらに好ましい。以降、規格を調整して瓶詰製品化する。
【0013】
さらに、本発明は前記方法により製造された焼酎を提供する。本発明に伴いアルカリ還元水(電解還元水)を利用して製造された焼酎は、香味優れていて人体に有益な各種のミネラル成分が極めて豊富である。さらに、初期酸化還元電位値が極めて低く酸性化した人体のpH均衡を回復させることができ、飲酒後発生する二日酔い、例えば、下痢、消化不良、胃酸過多を緩和させる効果がある。
【実施例】
【0014】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
但し、下記実施例には本発明を例示するものであり、本発明の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【0015】
実施例1:アルカリ還元水(電解還元水)を利用した希釈式焼酎の製造
取水源より送られた原水の巨大原生生物及び砂のような異物を除去する為に、前記原水を活性炭濾過槽を介して1次濾過後、気孔の大きさ5μmの精密濾過装置を介して2次濾過を行った。濾過した水を還元水製造装置(日本国オカノ社のアルカリ水製造装置)で電気分解してアルカリ還元水(電解還元水)を製造した。アルカリ還元水(電解還元水)の製造条件は処理容量1時間当たり3m3、電流40Aとし、製造されたアルカリ還元水(電解還元水)はpH8.3に維持した。95v/v%の酒精に前記アルカリ還元水(電解還元水)を配合して40v/v%に希釈した後、活性炭処理槽で活性炭700重量ppmを添加して4時間放置した。以降、気孔の大きさ4μmのカートリッジ超精密濾過器を利用して活性炭と希釈された酒精を分離した。希釈酒精の最終アルコール濃度はアルカリ還元水(電解還元水)を添加して21v/v%に調整した。追加的にステビオサイド、砂糖及びクエン酸等の添加物を希釈式焼酎全体重量に対して1重量%の量で添加した。製造された希釈式焼酎を超精密濾過で精製した。
【0016】
比較例1:一般割水を利用した希釈式焼酎の製造
アルカリ還元水(電解還元水)の代わりに活性炭濾過及び超精密濾過を通じて異物を除去した一般割水を用いたことを除いては前記実施例1と同様な方法により希釈式焼酎を製造した。
【0017】
実験例1:焼酎の酸化還元電位測定
実施例1及び比較例1で製造された各希釈式焼酎の還元水と酸化水の測定基準となる酸化還元電位(ORP)を測定した。かつ、さらに他の分析指標としてpH値を測定した。酸化還元電位及びpHの測定はpH/DO/ORP(酸化還元電位)測定器(酸化還元電位計、東亜デパ工業製)を利用して行った。酸化還元電位はpH/DO/ORP測定器に酸化還元電位測定用電極を連結して測定し、pHは前記pH/DO/ORP測定器にpH電極を連結して測定した。両実験共に前処理無しに測定を行った。その結果を下記表1に示した。
【0018】
【表1】

前記表1で見る通り、実施例1の希釈式焼酎の酸化還元電位値は比較例1の希釈式焼酎に比べて著しく低い反面、pH値はさらに高いものとして表れた。前記結果は本発明によりアルカリ還元水(電解還元水)を利用して製造した希釈式焼酎が低い酸化還元電位を介して活性酸素を除去し、これを通じて二日酔い緩和効果のあることを示すものである。さらに、前記結果は本発明の希釈式焼酎が酸性化した人体のpH均衡を回復させ得ることを示す。
【0019】
実験例2:焼酎の硬度比較分析
硬度とは水の強度を示すものにして、水中に溶解されているCa2+、Mg2+等の2価陽イオン金属イオンに対応するCaCO3のppm(mg/L)で示される値である。従って、硬度分析値が高いとミネラル成分等が多く含まれていることを示す。ミネラル成分等は人体内の代謝過程で重要な因子として作用する成分にして、アルコール代謝促進と二日酔い解消効果がある。ここに、前記実施例1及び比較例1で製造された希釈式焼酎に対して硬度を比較分析した。硬度は水質環境試験法の飲用湧き水水質公正試験法にある硬度分析法(水質環境試験法、第3章検査項目別試験方法、2〜1硬度測定法、p41,2002年)を基準にして分析した。その結果を下記表2に示した。
【0020】
【表2】

その結果、前記表2で見る通り、アルカリ還元水(電解還元水)を利用して製造された実施例1の希釈式焼酎の硬度分析値が比較例1の希釈式焼酎に比べて著しく高いものして示された。これにより、本発明で製造された希釈式焼酎にミネラル含量が豊富であることを確認することができた。前記結果から本発明の希釈式焼酎が二日酔い解消効果を奏するものと思料される。
【0021】
実験例3:焼酎のミネラル含量比較測定
前記実施例1及び比較例1で製造された各希釈式焼酎に含まれたナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のミネラル(陽イオン)成分を下記のような方法により比較分析した。ミネラル成分の分析はイオンクロマトグラフィーを利用して行った。イオンクロマトグラフィーはIonPacAS14(カラム:長さ250mm、直径4mm、ガードカラム:長さ50mm、直径4mm)カラムを使用し、検出器はSCD(Suppressed Conductivity Detector)検出器を使用した。さらに、運搬溶媒としてはMSA(20mM Methane Sulfonic Acid)を使用した。この時運搬溶媒の速度は1mL/min、圧力は45.0PSIに調整し、注入量は25μlとし、試料の前処理無しで分析をした。その結果を表3に示した。
【0022】
【表3】

その結果、前記表3で見る通り、アルカリ還元水(電解還元水)を利用して製造された実施例1の希釈式焼酎の各種ミネラル含量が比較例1の希釈式焼酎に比べて著しく高いものとして示された。これは実験例2の硬度測定結果(表2)と一致する。
【0023】
実施例2:遊離炭酸含量が減少したアルカリ還元水(電解還元水)を利用した希釈式焼酎の製造
遊離炭酸は清涼飲料や薬水(湧水)のスカッと刺激的な味を出す気体で、人体には無害である。しかしながら、このような遊離炭酸は水のpHを下げる為、水に遊離炭酸の含量が多い場合にはアルカリ還元水(電解還元水)の製造効率が落ちる。従って、本発明者等はアルカリ還元水(電解還元水)製造効率を向上させ、アルカリ還元水(電解還元水)で製造された希釈式焼酎pHを安定的に維持する為、アルカリ還元水(電解還元水)を製造する前に、水から遊離炭酸を除去する工程を追加して行った。
まず、取水源より送られた原水を前記実施例1に記載された方法と同様な方法で濾過し、異物を除去して得た水を遊離炭酸除去装置(日本オカノ社製)に通過させた。遊離炭酸の除去は空気圧力20m3/時間当たりとした。遊離炭酸除去工程が処理される前に水の遊離炭酸含量が20ppmであったが、前記遊離炭酸除去工程が処理された水の遊離炭酸含量は5ppmであった。このように遊離炭酸の濃度が減少した水を前記実施例1と同様な方法により、電解還元水に製造しこれを利用して希釈式焼酎を製造した。
【0024】
実験例4:実施例2で製造された希釈式焼酎の酸化還元電位測定
前記実施例2で製造された希釈式焼酎の酸化還元電位(ORP)及びpHを前記実験例1と同様な方法により測定した。その結果を前記実施例1及び比較例1の希釈式焼酎の結果と共に下記表4に示した。
【0025】
【表4】

前記表4で見る通り、遊離炭酸除去工程を経た原水から製造されたアルカリ還元水(電解還元水)を割水として利用して製造された希釈式焼酎(実施例2)の酸化還元電位値は−100mVであった。これは実施例1で製造された希釈式焼酎の酸化還元電位値(−87mV)よりさらに低いものである。反面、pH値は実施例1の希釈式焼酎に比べてさらに高く表れた。
【0026】
実験例5:焼酎の二日酔い緩和効果に対する比較分析
本発明によりアルカリ還元水(電解還元水)を割水として利用して製造された希釈式焼酎が、実際に二日酔い緩和効果を示すのかを確認する為、次のような実験を行った。前記実施例1、実施例2、比較例1で製造された各希釈式焼酎に対して、体重70〜80kgの20代後半から30代初盤の男性実験要員それぞれ15名を対象に二日酔い解消実験を実施した。実験方法は各希釈式焼酎400mlを調理されたおでん15g8片と共に30分間飲用後6時間睡眠させた。睡眠から覚めて1時間後設問を通じて二日酔い発生有無を調査した。二日酔い項目は頭痛、腹痛(下痢含む)、胃痛(胸焼け含む)とした。その結果を表5に示し、表5に示された数値は二日酔いが発生した人員である。
【0027】
【表5】

その結果、前記表5で見る通り、本発明によりアルカリ還元水(電解還元水)を利用して製造された焼酎(実施例1及び2)が一般割水を利用して製造した焼酎(比較例1)に比べて二日酔い発生の頻度が低く表れた。特に、遊離炭酸除去工程を含む工程で製造された焼酎の場合、(実施例2)二日酔い緩和効果がさらに優れたものとして表れた。これにより、アルカリ還元水(電解還元水)を利用して製造された焼酎が従来の焼酎に比べて二日酔い緩和効果があることを確認できた。
【0028】
実験例6:官能検査
前記実施例1、実施例2及び比較例1で製造された各焼酎に対して訓練された検査要員総23名による9点尺度法(1:極めて悪い、3:良くない、5:普通、7:良い、9:極めて良い)を通じて優しい味、綺麗な味及び全体的な選好度を調査した。その結果を下記表6に表し、検査結果統計分析は分散分析法(ANOA Analysis)を利用した。
【0029】
【表6】

その結果、前記表6で見る通り、本発明によりアルカリ還元水(電解還元水)を利用して製造された焼酎が全般的な嗜好度、優しい味、綺麗な味、香り等全ての項目において高い嗜好度を表し、これは比較例1の希釈式焼酎と比べて統計的に有意的差を示した。特に、本発明で製造した希釈式焼酎は焼酎官能において最も重要な因子である全般的嗜好度及び優しい味で高い数値を示した。これによりアルカリ還元水(電解還元水)を利用して希釈式焼酎を製造することにより、焼酎の味と香りを改善及び増進させ得ることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上察した通り、本発明ではアルカリ還元水を利用して焼酎を製造することにより、焼酎の品質を改善及び増進させたばかりでなく二日酔い緩和効果が得られた。本発明の方法により製造された焼酎は従来の焼酎に比べてミネラル含量が豊富で味と香りが優れている。さらに、従来の焼酎に比べてpH値が高く豊富なミネラルを含み著しく低い酸化還元電位値を示すことにより、二日酔い緩和効果が極めて優れている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に伴う電解還元水を利用した希釈式焼酎(日本の甲類焼酎と同じ意味)の製造方法を段階別に示した図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水を電解装置で電気分解し、アルカリ還元水を製造する段階;(b)95v/v%の酒精に前記(a)段階のアルカリ還元水を配合して30〜60v/v%の希釈酒精を製造し、脱臭及び濾過する段階;及び(c)前記(b)段階の希釈酒精に前記(a)段階のアルカリ還元水又は15〜30v/v%の酒精を配合して最終アルコール濃度15〜30v/v%で調整し、濾過する段階を含むことを特徴とするアルカリ還元水を利用した希釈式焼酎の製造方法。
【請求項2】
前記(a)段階前に水の遊離炭酸含量が2〜10ppmとなるように水から遊離炭酸を除去する段階を追加して含むことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
無機塩、アスパラギン酸、アミノ酸、ステビオサイド、砂糖、ブドウ糖、クエン酸及びソルビトルでなる群より選ばれる一つ以上の添加物を添加する段階を追加して含むことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法で製造されたアルカリ還元水を利用した希釈式焼酎。

【図1】
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【公開番号】特開2007−319083(P2007−319083A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152995(P2006−152995)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(506187706)斗山株式会社 (1)
【Fターム(参考)】