説明

アルカリ金属を含むシリサイド組成物およびその製造方法

【課題】水を還元する能力の大きな低下なしに大気中で容易に扱われ得るアルカリ金属シリサイド組成物を提供する。
【解決手段】アルカリ金属とケイ素とを混合する工程、および、生じる混合物を温度約475℃以下に加熱する工程を包含する、アルカリ金属シリサイド組成物の製造方法、およびこの方法により得られる組成物。組成物は乾燥Oと反応しない。約18.2、28.5、29.5、33.7、41.2、47.4、および56.2から選択される2θ角を有する少なくとも三つのピークを含有する粉末X線回折パターンおよび約18ppmにおいて固体状態23Na MAS NMRスペクトルピークを有する。組成物は水と反応して水素ガスを発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データ
本出願は2004年6月14日出願の仮出願出願番号60/578,818および2005年4月4日出願の仮出願出願番号60/667,693の優先権を主張し、これらの開示全体を参照としてここに組み込む。
【0002】
発明の分野
本発明は、アルカリ金属とケイ素の温度約475℃以下での相互作用によって製造されるアルカリ金属シリサイド組成物に関する。この組成物は、水を還元し、純粋な水素ガスの供給源を生じる安定な源を提供する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
アルカリ金属は、その金属状態、すなわち中性状態で非常に反応性が高い。アルカリ金属は空気および水分に対して非常に反応性が高く、これらに曝されると自然に着火し得る。このような活性度と関連する特有の危険を避けるために、中性金属はしばしば、中性金属が酸化または他の反応を引き起こし得る大気と接触するのを遮るために、減圧または不活性液体、例えば油の下で貯蔵されなければならない。例えば、ナトリウム金属はしばしばヌジョール油(Nujol oil)中で貯蔵され、これは厄介な不純物を避けるために化学反応での使用の前に除去しなくてはならない。このことはその輸送および使用に厳しい制約を与える。
【0004】
アルカリ金属とケイ素化合物との多数の化合物が調製されてきた。例えば、ナトリウム(Na)とケイ素(Si)との既知の化合物がNaSiからNa(Si)(これはNaSi46と考えられている)からNaSi136(1.5<x<24)までの範囲の化学量論で存在する。(非特許文献1〜3参照。)。これらの既知の化合物はNaとSiとを高温、常に500℃以上まで加熱することによって、場合によっては冷表面にNa蒸気を凝縮することにより除去しながら、形成される。(非特許文献4および5参照。)。Mayeri等はケイ素をナトリウムの存在下約650℃の温度まで反応させてナトリウムシリサイドを形成する。名目上の組成NaSiのシリサイドがNaを石英(SiO)と加熱することによって調製され得るという報告もまたあったが、この組成はわずかだという証言がある。(非特許文献6参照。)。
【0005】
NaSiは非常に反応性であるため、空気の存在下で自燃性であるか、または自然発火可能である、と考えられるべきである、としばしば思われてきた。NaSiは更に最近「空気および水分反応性」と見なされている。(非特許文献7参照。)。しかしながら、この研究は、NaSi46の包接構造が空気および水分に対して非反応性であることを示した。同上。しかしながら、NaSiと水との反応が素早く、かつ「激しい」ので、アルカリ金属と水との反応で起こるように、反応熱が、形成された水素を燃焼し得ることは、一般的に認められている。このことは、特有の危険を避けるために減圧または不活性な雰囲気下で保存しなければ、NaSiの貯蔵および取り扱いに厳しい制約を与える。
【0006】
NaSi材料の合成の主な問題は、低温部分でのNaの凝縮を避けるためのNaおよびSiの密閉系での加熱の必要性であった。通常、例えば、多結晶NaSi粉末を調製するために、溶接され(welded shut)、かつ500℃で三日間加熱されたモリブデン(Mo)管中で、過剰のNaがSiと加熱された。(非特許文献8参照。)。別の研究では、ステンレス鋼容器が使用された。(非特許文献9参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Witte,J.;Schnering,H.G.,”The Crystal Structure of NaSi and NaGe (独語)”Zeit Anorgan Allege Chemie 1964,327,260−273
【非特許文献2】Cros,C.;Pouchard,M.;Hagenmueller,P.,”Two new Phases of the Silicon−Sodium System.(仏語)”C.R.Acad.Sc.Paris 1965,260,4764−4767
【非特許文献3】He,J.;Klug,D.D.;Uehara,K.;Preston,K.F.;Ratcliffe,C.I.;Tse,J.S.,”NMR and X−ray Spectroscopy of Sodium−Silicon Clathrates”J.Phys.Chem.B 2001,105
【非特許文献4】He,J.;Klug,D.D.;Uehara,K.;Preston,K.F.;Ratcliffe,C.I.;Tse,J.S.,”NMR and X−ray Spectroscopy of Sodium−Silicon Clathrates”J.Phys.Chem.B 2001,105.
【非特許文献5】Mayeri,D.;Phillips,B.L.;Augustine,M.P.;Kauzlarich,S.M.,”NMR Study of the Synthesis of Alkyl−Terminated Silicon Nanoparticles from the Reaction of SiCl4 with the Zintl Salt, NaSi”Chem.Mater.2001,13,765−770
【非特許文献6】Novotny,H.;Scheil,E.,”A Ternary Compound in the System Aluminum−Silicon−Sodium(独語)”Metallforsch.1947,2,76−80
【非特許文献7】He,J.;Klug,D.D.;Uehara,K.;Preston,K.F.;Ratcliffe,C.I.;Tse,J.S.,”NMR and X−ray Spectroscopy of Sodium−Silicon Clathrates”J.Phys.Chem.B 2001,105
【非特許文献8】Mayeri,D.;Phillips,B.L.;Augustine,M.P.;Kauzlarich,S.M.,”NMR Study of the Synthesis of Alkyl−Terminated Silicon Nanoparticles from the Reaction of SiCl4 with the Zintl Salt, NaSi”Chem.Mater.2001,13,765−770
【非特許文献9】He,J.;Klug,D.D.;Uehara,K.;Preston,K.F.;Ratcliffe,C.I.;Tse,J.S.,”NMR and X−ray Spectroscopy of Sodium−Silicon Clathrates”J.Phys.Chem.B 2001,105
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、アルカリ金属シリサイド組成物を便利にかつ安価に調製し、このアルカリ金属シリサイド組成物が水を還元する能力の大きな低下なしに大気(空気)中で容易に扱われ得るようにする要求が存在する。この還元反応は、アルカリ金属シリサイド組成物の固体の単位質量あたり多量の水素を発生させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要旨
本発明は一般的にアルカリ金属シリサイド(アルカリ金属のケイ化物)組成物、アルカリ金属シリサイド組成物の製造方法、およびアルカリ金属シリサイド組成物の使用方法に関する。本発明の実施で、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、およびセシウム(Cs)を含む、いずれのアルカリ金属が使用されてもよい。
【0010】
具体的には、本発明はアルカリ金属と粉末ケイ素とを不活性雰囲気下で混合し、生じる混合物を温度約475℃以下に加熱した生成物を含有する、乾燥Oと反応しないアルカリ金属シリサイド組成物に関する。この態様で、このアルカリ金属シリサイド組成物はナトリウムシリサイド(例えばNaSi)、カリウムシリサイド(例えばKSi)などであり得る。
【0011】
加えて、本発明は約18.2、28.5、29.5、33.7、41.2、47.4、および56.2から選択される2θ角を有する少なくとも三つのピークを含有する粉末X線回折パターンを有するナトリウムシリサイド組成物に関する。更に、本発明は、固体状態23Naマジック角回転(MAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルピークを約18ppmに有するナトリウムシリサイド組成物に関する。これらの態様で、ナトリウムシリサイドは例えばNaSiであり得る。
【0012】
更に、本発明は、水の存在下で存在する揮発性または引火性物質をアルカリ金属シリサイド組成物に曝し、アルカリ金属シリサイド組成物が、水と発熱反応し、制御された燃焼を起こし、それによって揮発性または引火性物質を除去する工程を包含する、制御された方法で揮発性または引火性物質を除去する方法にも関する。
【0013】
加えて、本発明は、揮発性または引火性物質をアルカリ金属シリサイド組成物に曝す工程、およびこのアルカリ金属シリサイド組成物を水に曝し、アルカリ金属シリサイド組成物が水と発熱反応し、制御された燃焼を起こし、それによって揮発性または引火性物質を除去する工程を包含する、揮発性または引火性物質を制御された方法で除去する方法に関する。
【0014】
更に、本発明は、アルカリ金属と粉末ケイ素とを不活性雰囲気下で混合する工程および生じる混合物を温度約475℃以下まで加熱する工程を包含する、乾燥Oと反応しないアルカリ金属シリサイド組成物の製造方法に関する。
【0015】
これらの態様で、このアルカリ金属シリサイド組成物はナトリウムシリサイド(例えばNaSi)、カリウムシリサイド(例えばKSi)などであり得る。更に、このアルカリ金属シリサイド組成物と水との発熱反応は揮発性または引火性物質を消費または清掃し得る。
【0016】
更に、本発明は、ここで記述された任意のアルカリ金属シリサイド組成物と水とを接触する工程を包含する、水素ガスを発生させる方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1はNaとSiの混合物の発熱反応を示す示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す。
【図2】図2は本発明のナトリウムシリサイド組成物および常套の方法によって調製されるNaSiの粉末X線回折(XRD)パターンを示す。
【図3】図3は本発明のナトリウムシリサイド組成物の粉末X線回折(XRD)パターンを示す。
【図4】図4は常套の方法によって調製されるNaSiの粉末X線回折(XRD)パターンを示す。
【図5】図5は本発明のナトリウムシリサイド組成物および常套の方法によって調製されるナトリウムシリサイド組成物の固体状態23Na MAS NMRスペクトルを示す。
【図6】図6は本発明のNaSi生成物の発熱反応を表す示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
添付の図1〜6に表され、かつここに記述されるように、本発明は、アルカリ金属とケイ素とを不活性雰囲気下で混合し、生じる混合物を温度約475℃以下まで加熱した生成物を含有する、乾燥Oと反応しないアルカリ金属シリサイド組成物に関する。ここに記述される工程によると、生じる組成物は、この組成物と水とを接触させることによって水素源として使用され得る。ナトリウム(Na)、カリウム(K)、セシウム(Cs)、またはルビジウム(Rb)を含むいずれのアルカリ金属が使用されてもよいが、アルカリ金属シリサイド組成物に使用されるアルカリ金属がナトリウムまたはカリウムであることが好ましい。加えて、いずれのタイプのケイ素、粉末ケイ素、または結晶性粉末ケイ素が使用されてもよい(例えば、粉末結晶性ケイ素(Alfa Aesar、325メッシュ))。本発明のナトリウムシリサイド組成物からの理論H収量は、約0.098kg H/kg NaSiであり、米国エネルギー省(DOE)の2005年の水素燃料源の達成目標の二倍以上であり、2015年の達成目標0.081kg H/kg 燃料よりも多い。従って、ナトリウムが最も好ましいアルカリ金属であり、かつナトリウムシリサイドが最も好ましいアルカリ金属シリサイド組成物である。
【0019】
図1は示差走査熱量測定(DSC)ディスプレイを使用する二つの温度領域でのNaとSiとの間で起こる一対の発熱反応を示す。このDSC結果はShimadzu DSC−50計測器を使用して得た。実験は密閉銅容器中で行った。実験中、化学量論量のナトリウム金属とケイ素との混合物を化合させ約550℃に加熱した。一般的に、ナトリウム金属とケイ素を1:1の化学量論比で混合するか、もしくはわずかに過剰のケイ素を有する混合物であることが好ましい。この実験の終わりに、反応が行われたフラスコのガラスにわずかなNaコーティングが存在した。加えて、実験中約80%のNaがケイ素と反応したと考えられる。
【0020】
走査1 101は約300〜450℃にわたり、使用されるNa1グラムあたり約1.0キロジュールの熱(kJ/g)の放出をもたらす最初の発熱の存在を表す。この発熱は約420℃でピークを迎え、約472℃でベースラインに戻り、ここで吸熱の開始が起こる。約472〜505℃にわたる、この吸熱は約500℃に谷を有し、この材料からのアルカリ金属の浸出を示すと考えられる。二回目の発熱が約505〜560℃にわたっており、NaSiの解離をもたらし、使用されるNa1gあたり約0.25kJの量でナトリウム金属を生じる。Naの解離は、NaSi材料表面上にNa金属が存在するため、本来自燃性の生成物であると考えられる。
【0021】
従って、図1のDSC結果は、一または二反応が起こり、ナトリウムの一以上のシリサイドを形成することをはっきりと示す。走査1 101が完了した後、生じる材料を同じ条件の下で二回目の再加熱し、この結果を走査2 102として示す。走査2 102は、98℃において最初の反応で約550℃でナトリウムが放出された場合に予想されるようなNaの融解吸熱を示さず、複雑に連続した別の反応を示す。顕著な融解吸熱の欠落の原因はDSCカップ中での遅い反応にあり、分解反応が起こる時間がない。しかしながら、明らかにNaSiの最初の形成は、別の様々な複雑な反応が続く。
【0022】
図2および3は、本発明のアルカリ金属シリサイド組成物材料の粉末X線回折(XRD)パターンを示す。この粉末X線回折パターンは線源に銅を使用するRigaku 200B X線回折計を使用して得た。特に、図2は直径0.7mmの毛管中での試料Ni−Si−4(約400℃でアニールした)の粉末X線回折パターンを示す。図3は別の試料の粉末X線回折パターンを示す。
【0023】
既知の結晶構造から算出されるNaSiの全てのピークがこの実験パターン中に存在する。(Witte,J.;Schnering,H.G.,”The Crystal Structure of NaSi and NaGe(独語)”Zeit Anorgan Allege Chemie 1964,327,260−273参照。)。図2中の上のパターン(実験パターン201)および図3中のパターンは、異なる材料の形成に加えて、NaSiまたは近似する同素体の存在を示し、図2の下のパターン(文献パターン202)および図4のパターン(常套のNaSiの粉末XRDパターン)と比較すると少なくとも七つの別の粉末回折ラインを生じる、NaSi、未反応ケイ素、および他の未知の生成物の混合物を示す。2θ角約18.2、28.5、29.5および33.7の四つの新しいピークが実験パターン201 図2に示され、2θ角約28.5、29.5、33.7、41.2、47.4および56.2の六つの新しいピークが図3に示される。これらの別のピークの存在は、本発明のナトリウムシリサイドが文献中に見られる既知のナトリウムシリサイドとは異なることを示す。
【0024】
図5は、本発明の方法によって調製されるNaSiと文献中に与えられる方法によって調製されるナトリウムシリサイドの固体状態23Na MAS NMRスペクトルの比較を示す。(He,J.;Klug,D.D.;Uehara,K.;Preston,K.F.;Ratcliffe,C.I.;Tse,J.S.,”NMR and X−ray Spectroscopy of Sodium−Silicon Clathrates”J.Phys.Chem.B 2001,105参照。)。固体状態23Na MAS NMRスペクトルをVarian VXR−400S分光計を使用して得た。図において明らかなように、この形およびケミカルシフト挙動は文献によって報告されるものと大きく異なる。同上。特に、図5に示されるNMRスペクトルは、本発明の組成物のピーク501が約18ppmに生じ、一方、文献によって伝えられるナトリウムシリサイド材料のピーク502はピークを約52ppmに有することを示す。明らかに、ほとんどのNaの環境が二つの調製品で異なる。本発明の組成物における標準のケミカルシフトおよびスペクトルのシンメトリーが、Naに関して、異なる方法によって他の場合に調製されるNaSi試料よりもさらにシンメトリーな環境を示唆する。このケミカルシフトの差は、文献によって示される組成物とは異なる組成物の存在を決定的に立証している。更に、以前の固体状態23Na MAS NMRの研究がHeで報告されるケミカルシフトの近くに、本発明の組成物で観測されるピークとは全く異なる、非常にブロードなピークを観測したことに注目すべきである。(Gryko,J.;McMillan,P.F.;Sankey,O.F.”NMR Studies of Na Atoms in Silicon Clathrate Compounds”Phys.Rev.B,1996,54,3037−3039、およびHe,J.;Klug,D.D.;Uehara,K.;Preston,K.F.;Ratcliffe,C.I.;Tse,J.S.,”NMR and X−ray Spectroscopy of Sodium−Silicon Clathrates”J.Phys.Chem.B 2001,105参照。)。本発明の組成物の実験中にNaの標準の位置に観測されるシングルの比較的狭いNMRピークは、本発明の組成物の試料中でナトリウムイオンが比較的シンメトリーな環境中にあることを示唆する。
【0025】
図6は、一晩400℃に加熱したNaと、等モル量の粉末Siとの反応生成物を含有する本発明の材料から始まる二つのDSCトレースを示す。走査1 601は500℃までナトリウムの融解吸熱も顕著な発熱も示さず、500℃以上で顕著な発熱反応、おそらく約550℃でNaSiからのNaの放出がある。このことは、Na(最初に使用される量の約半分)の融解による吸熱および放出されたNaと走査1での放出により形成された生成物との間の反応の結果として300℃で開始する実質的な吸熱を示す、走査2 602によって確認される。
【0026】
より高温での他の材料の形成を防ぐために、本発明の組成物はアルカリ金属とケイ素との混合物を温度約475℃以下、最も好ましくは本発明のNaSi組成物の形成に最適な温度であるように思われる温度約400℃に加熱することによって作り出される。より高温で製造される組成物は水と反応した時の水素の収率を下げる。更に、乾燥した空気中での本発明の組成物の安定性が、本明細書中に記載された方法が「被保護(保護された)」生成物を生じることを示唆する。この保護はこの材料上のSiO様コーティングの形成によるものであると思われる。
【0027】
従って、本発明は、アルカリ金属を粉末シリコンと不活性雰囲気中で混合する工程および生じる混合物を温度約475℃以下に加熱する工程を包含する、乾燥Oと反応しないアルカリ金属シリサイド組成物の製造方法に関する。この態様で、加熱工程は、生じる混合物を約150℃まで加熱する工程、この生じる混合物を約150℃から約200℃まで加熱する工程、この生じる混合物を約200℃から約250℃まで加熱する工程、この生じる混合物を約250℃から約300℃まで加熱する工程、および、この生じる混合物を約300℃から温度約475℃以下まで加熱する工程を包含する、長時間にわたって生じる段階的加熱が行われてもよい。この生じる混合物を約300℃から温度約475℃以下まで加熱する工程は、より好ましくは、この生じる混合物を約300℃から約390〜425℃の温度まで加熱する工程を包含し、最も好ましくはこの生じる混合物を約300℃から約400℃の温度まで加熱する工程を包含する。
【0028】
本発明は更に、水の存在下で存在する揮発性または引火性物質をアルカリ金属シリサイド組成物に曝す工程を包含する、揮発性または引火性物質を制御された方法で除去する方法に関する。この態様で、アルカリ金属シリサイド組成物は、水と発熱的に反応し、制御された燃焼を起こし、それによって揮発性または引火性物質を除去する。加えて、本発明は、揮発性または引火性物質の制御された方法での揮発、ドライブオフ(driving off)、消費、水溶性物質への転化、あるいは清掃方法に関する。この方法は、揮発性または引火性物質をアルカリ金属シリサイド組成物に曝す工程、およびこのアルカリ金属シリサイド組成物を水に曝す工程を包含する。ある態様で、このアルカリ金属シリサイド組成物は水と発熱的に反応し、制御された燃焼を生じ、それによって揮発性または引火性物質を清掃する。更に、本発明は、揮発性または引火性物質を制御された方法で消費する方法に関する。この方法は揮発性または引火性物質をアルカリ金属シリサイド組成物に曝す工程、およびこのアルカリ金属シリサイド組成物を水に曝す工程を包含する。他の態様で、このアルカリ金属シリサイド組成物は、水と発熱的に反応し、制御された燃焼を生じ、それによって揮発性または引火性物質を消費する。上述の各実施態様において、アルカリ金属シリサイド組成物がナトリウムシリサイドであることが好ましい。加えて、上述の方法の適用性は、常套の方法では容易に清掃されず、その代わりに他の清掃方法(例えば化学的な清掃)を必要とする揮発性および引火性の物質の清掃に関して最も明白である。
【0029】
本発明の材料は、油、燃料などを含むあらゆる不溶性の揮発性または引火性の材料の清掃に使用され得る。例えば、本発明の材料は水に流出した油に適用され得る。本発明の材料(例えばナトリウムシリサイド)は流出が起こっている水面と接触すると、この材料は水と発熱反応し、制御された燃焼を起こす。点火が流出物の自然燃焼を起こし、次に流出油の燃焼および流出物の清掃を生じうる。使用される本発明の材料の量は重大でないので、この使用は特に有利である。燃焼の開始にこの材料の初期量が適用された後、更なる量を必要に応じて適用し、所望の量が除去されるまで流出物質を更に燃焼する。この材料は、様々な方法(例えば、農薬散布と似た方法で飛行機からのスプレーまたは滴下、またはヘリコプターからのスプレーまたは滴下による方法)で例えば流出物に適用され得る。
【0030】
加えて、本発明の材料は、この材料の水への遅延露出による水との時限放出反応を提供し得る、水溶性貯蔵容器(例えば水溶性ポーチ(water−soluble pouch))に入れられ得るか、もしくは任意の保持材料(containment material)(例えば発泡体、ポリマー、多孔質材料等)に組み込まれ得るかもしくは封入され得る。このように、この材料をボートによって水への流出物(例えば、流出油)に供給してもよく、次に、このボートが燃焼の開始前にその場を離れ得る。
【0031】
加えて、本発明の材料は、乾燥した環境で揮発性または引火性の物質を清掃するために使用され得る。この場合、本発明の材料は揮発性または引火性の物質に添加され得る(例えば、これらの物質の表面に適用され得る)。次に、水を(例えば噴霧によって)導入してもよく、この材料と水との反応を開始し、これらの物質の燃焼を開始し得る。同様に、揮発性または引火性の物質に最初に水を添加してもよく、次に本発明の材料の添加が燃焼を開始する。
【0032】
本発明のアルカリ金属シリサイド組成物は、粒子が無光沢表面を有するさらさらしたアモルファスの灰色〜黒色の粉末から直径約1〜5mmの硬質粒子まで変動する。最終生成物は調製方法に依存して異なる。製品の取り扱いの容易さ、空気からの低い吸湿性、および水素を発生させる水との素速い反応が組み合わさり、この材料を使い勝手のよい純粋な水素の高収量源にしている。
【実施例】
【0033】
実施例
以下の各実施例において、排気可能なエルレンマイヤーフラスコ(evacuable Erlenmeyer flasks)を使用してアルカリ金属シリサイド材料の試料を調製した。ケイ素をこのフラスコに入れ、次にこのフラスコをUltraTorr取り付け具(UltraTorr fitting)およびKontes減圧バルブを備える減圧ラインに取り付けた。次に減圧下でこのフラスコを炎で加熱し、ヘリウムを充填したグローブボックスに入れ、ここでナトリウム片を添加した。このフラスコをグローブボックスから取り出した後、フラスコを再び排気し、ナトリウム片を融解した。圧力が約3×10−5torrで安定したら、チューブをフラスコの上部で封止し、フラスコとその内容物を炉の中で所望の反応温度で一晩以上加熱した。この反応の完了後、フラスコを再びグローブボックスに入れ、管状部を破断して開け、内容物を貯蔵および別の研究のために取り出した。
【0034】
実施例1−最初の実験
【0035】
Naはホウケイ酸ガラスと温度300℃以上で反応し、それによって暗色化を生じることが知られているが、Naと結晶性粉末Siとの等モル混合物を排気された50mLおよび125mLエルレンマイヤーフラスコ中で加熱することによって粉末または固体の生成物を調製した。500℃における一晩の加熱が、破砕可能な塊と共に灰色〜黒色の粉末を生じた。この温度で製造された三種の異なる調製品は試料1kgあたり0.042、0.054、および0.058kgのHに相当する量のHを放出することが見いだされる生成物を生じた。従って、温度条件および組成が最適でない可能性があることを見つけ出した。文献および図1および6におけるDSC結果は500℃が高すぎる温度であることを示唆している。従って、ナトリウムとケイ素との混合物を約400℃まで加熱することによって試料を調製した。生じる生成物は試料1kgあたり0.072kgのHに相当する水素収量を生じた。この収量はDOEによって計画された2005年および2010年の水素の目標収量を上回り、2015年の達成目標とほぼ等しい。これらの結果は、特に製造の容易さおよび生成物の空気安定性の観点から、非常に有利である。
【0036】
約400℃に加熱することによって得られる材料は、溶液および黒色不溶性材料の両方を製造し、NaのSiとの反応が上述の条件下では完全ではないことを示唆する。なぜならば純粋なNaSiは例えば以下の反応式
2NaSi(s)+5HO(l) → NaSi(水性)+5H
の反応によって完全に水に可溶性である生成物を製造すると考えられるからである。
【0037】
従って、未反応Siを回収し、これをより多くのNaと反応させ、それによって、使用されるSiに基づいて最終収量をほぼ100%まで増加することが可能であることが見いだされた。この可能性を試験するために、水と、上述の第二のタイプの調製品の1.0グラムとの反応から残渣を約0.5g回収し、これを乾燥し、かつ約400℃で等モル量のナトリウムと反応させた。生じる材料が試料1kgあたり0.023kgのHに相当する量の水素を生じた。従って、もとの調製品からの総収量は試料1kgあたり約0.10kgのHであった。最初のNa+Siの調製品からの未反応材料の回収が明らかに可能である。
【0038】
ホウケイ酸ガラス中400℃におけるNaとSiとの反応の生成物はナトリウムフリーである。このことは図5の固体状態23Na MAS NMRスペクトルに示される金属ナトリウムの存在によるピークの欠如によって更に説明される。図6に示されるこの温度におけるNaのSiとの反応の生成物のDSCはNaの融解吸熱を示さない。代わりに、約500℃における発熱ピークのみを示す。再走査(repeat run)は、文献の結果に一致して、この高温反応がナトリウム金属を生じることを明確に示す。(Cros,C.;Pouchard,M.;Hagenmueller,P.,”Two new Phases of the Silicon−Sodium System.(仏語)”C.R.Acad.Sc.Paris 1965,260,4764−4767.、およびHe,J.;Klug,D.D.;Uehara,K.;Preston,K.F.;Ratcliffe,C.I.;Tse,J.S.,”NMR and X−ray Spectroscopy of Sodium−Silicon Clathrates”J.Phys.Chem.B 2001,105.)。
【0039】
実施例2−空気中での安定性
【0040】
本発明のNa−Si材料は水と速やかに反応して水素を発生させ、かつこの過程で熱を放出する。しかしながら、この材料は乾燥酸素に対して少なくとも一日にわたって完全に非反応性である。相対湿度が高くない限り、この粉末は空気中で秤量することができ、あるいは、ある容器から他の容器へ移動され得る。ある試料をアルミ秤量皿中で研究室の空気に曝し、水分と緩やかに反応のみさせた。二時間後、少量の液体の水を添加し、この黒色片が速やかに水素を発生させた。ここで開示した本発明の組成物の調製方法は、二酸化ケイ素または他の何らかの組成物の表面層によって保護されたアルカリ金属シリサイドをもたらしそうである。いずれにしても、生じる材料は空気中で扱いやすく、要求に応じて水素を発生させる能力をもたらす。
【0041】
これらの結果は、化学量論組成がNaSiのシリサイドを未知量の他の物質(場合によってはガラス状SiOおよび未反応ケイ素)と共に含みうる、安定な粉末または粒状材料を製造することが容易であることを示す。この生成物は、乾燥空気中で安定であり、湿気のある空気中でのみ緩やかに反応するが、水中に導入されると高収量の水素を発生させる。この気体生成物は、水蒸気および少量のシラン(例えばSiH)以外何も混入していない純粋な水素である。従って、この材料は燃料電池における使用に関する優れた水素源である。
【0042】
実施例3−500℃におけるナトリウムとケイ素粉末との反応
【0043】
試料Na−Si−1を、排気可能なエルレンマイヤーフラスコへの粉末結晶質ケイ素(Alfa Aesar、325メッシュ)0.56gの導入によって調製した。気体酸素トーチ(gas−oxygen torch)(〜300℃)で減圧下でガス抜き後、このフラスコをヘリウム充填グローブボックス中に入れ、ナトリウム金属0.46gを添加した。排気およびナトリウムの融解後、このフラスコのステム(stem)を減圧下で密封し、このフラスコおよび内容物を炉の中で300℃で2時間、400℃で22時間および500℃で48時間加熱した。パイレックスフラスコがこの過程で暗赤褐色になり、生成物は粉末および小さな硬い塊の両方から成った。グローブボックス中、生成物0.66gを回収した。試料24.5mgが、水の添加で水素0.517ミリモル(mmol)を発生させた。これは試料1kgあたり0.0423kgのHに相当する。水素がナトリウムシリサイドからのみ製造される場合、この量はNaSi43%に相当する。
【0044】
実施例4−本発明の生成物からの残渣の回収
【0045】
水素の収量によるとNa+Siの第二の調製品(試料Na−Si−2)はNaSi55%に相当する。生成物の試料1.0gを窒素充填グローブボックス中で水と反応させ、多量の水素を発生させた。この反応は、緩やかなガスの放出が混合を生じ続けたため、遠心分離によって除去できない黒色残渣を残した。この水素の連続放出は、残渣が元素状態のケイ素を含む場合、この塩基性溶液中で予期され得る。生成物をHClで中和し、遠心分離を繰り返すことにより洗い、乾燥させた。生じる黒色粉末(0.49g)を500℃で再びNaと反応させ、試料1kgあたり0.021gのHを発生させた。
【0046】
実施例5−最高収量試料(試料Na−Si−4)の調製
【0047】
図1に示されるように、NaとSiとの反応で放出される熱の示差走査熱量測定(DSC)試験から、生じる二つの発熱過程の存在が明らかになった。約400℃におけるNaSiの形成後、更なる加熱がこの生成物の解離をNa金属および他のシリサイドの形成と共に起こしたと考えられる。この結果は幾分意外であった。というのも、純粋なNaSiは一般的に500℃以上で調製されるからである。500℃ではなく400℃での調製が本発明の生成物の収量を増加させるか否かを試験するために、試料を、フラスコおよびその内容物を400℃で一晩加熱すること以外、実施例3に開示したように調製した。生じた生成物は塊がさらに少なく、水素収量がNaSi73%に相当した。図6に示されるこの試料のDSCは、560℃への加熱でのナトリウムの形成を裏付け、再加熱によって発熱反応が生じたこと(これはナトリウムシリサイドの再形成の結果だと考えられる)を示した。
【0048】
特に、図6はNa4.9mgとSi5.0mgとの反応の示差走査熱量測定(DSC)トレースを示す。Naの質量を測定された融解熱から決定した。400℃におけるピークでの発熱はNaSiの形成が原因であり、更なる加熱が第二の反応を引き起こすと思われる。結果として、走査2 602は、走査1 601において形成される様々な生成物の更なる反応を示す。走査2 602はフリーのナトリウムの融解吸熱を示さない。これは、DSCカップ中で550℃に加熱した時にNaを放出する400℃でアニールされた予備形成試料の振る舞いと対照をなす。DSCカップ中でNaSiを形成する反応は緩やかであり、ナトリウムを放出する第二の反応はDSC試験の短時間のうちに起こる機会がないと思われる。
【0049】
実施例6−カリウムシリサイド(KSi)材料の調製
【0050】
KSi材料を、最初に化学量論量のSigma−Aldrichからの粉末(350メッシュ)のSiと、K金属チャンク(K metal chunks)とを減圧ラインに取り付けるステムを備えたエルレンマイヤーフラスコ中で混合することによって製造した。これはHe充填グローブボックス中で行われた。Heをポンプで排気し、この混合物を炎でKが融解するまで加熱し、系から気体を除いて約10〜5Torrにして、この点でパイレックスステムを炎で密封した。次にこのエルレンマイヤーをマッフル炉に入れ、150℃、200℃、250℃、300℃および350℃でそれぞれ約二時間加熱し、次に400℃で一晩加熱した。チューブをグローブボックス中で破断して開け、生成物を壁から掻き取った。粉末およびチャンクから成る材料およびチャンクを粉砕して微粉末にした。グローブボックスから取り出した試料をアルミニウム秤量皿に流し込み、研究室の空気に曝した。これは、加熱も炎もない場合、緩やかに反応した。しかしながら、少量の粉末をビーカーの水に放り込むと、速やかに発火した。
【0051】
水との反応で水素の収量は約50パーセント(50%)しかKSiに転化していないことを示唆し、このことは調製により長い反応時間またはより良好な攪拌が必要であることを示唆する。従って、合成条件の最適化が本発明のナトリウムシリサイド組成物で達成される収量に匹敵する収量に導くことが期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属と粉末ケイ素とを不活性雰囲気中で混合する工程および
生じる混合物を温度約475℃以下に加熱する工程
からの生成物を含有し、乾燥Oと反応しない、アルカリ金属シリサイド組成物。
【請求項2】
該アルカリ金属シリサイド組成物がナトリウムシリサイドまたはカリウムシリサイドである、請求項1記載のアルカリ金属シリサイド組成物。
【請求項3】
該アルカリ金属シリサイド組成物がNaSiまたはKSiである、請求項2記載のアルカリ金属シリサイド組成物。
【請求項4】
該生じる混合物を温度約475℃以下に加熱する工程が、該生じる混合物を温度約390〜425℃に加熱することを包含する、請求項1記載のアルカリ金属シリサイド組成物。
【請求項5】
該生じる混合物を温度約390〜425℃に加熱する工程が、該生じる混合物を温度約400℃に加熱することを包含する、請求項4記載のアルカリ金属シリサイド組成物。
【請求項6】
アルカリ金属とケイ素とのモル比が約1:1である、請求項1記載のアルカリ金属シリサイド組成物。
【請求項7】
請求項1記載のアルカリ金属シリサイド組成物と水とを接触させる工程を包含する、水素ガスを発生させる方法。
【請求項8】
約18.2、28.5、29.5、33.7、41.2、47.4および56.2から選択される2θ角を有する少なくとも三つのピークを含む粉末X線回折パターンを有する、ナトリウムシリサイド組成物。
【請求項9】
該ナトリウムシリサイドがNaSiである、請求項8記載のナトリウムシリサイド組成物。
【請求項10】
ナトリウム金属とケイ素とのモル比が約1:1である、請求項8記載のナトリウムシリサイド組成物。
【請求項11】
請求項8記載のナトリウムシリサイド組成物を水と接触させる工程を包含する、水素ガスを発生させる方法。
【請求項12】
固体状態の23Na MAS NMRスペクトルにおいて、約18ppmにシングルピークを有する、ナトリウムシリサイド組成物。
【請求項13】
該ナトリウムシリサイドがNaSiである、請求項12記載のナトリウムシリサイド組成物。
【請求項14】
ナトリウム金属とケイ素とのモル比が約1:1である、請求項12記載のナトリウムシリサイド組成物。
【請求項15】
請求項12記載のナトリウムシリサイド組成物と水とを接触させる工程を包含する、水素ガスを発生させる方法。
【請求項16】
揮発性または引火性の物質を水の存在下で制御しながら除去する方法であって、当該方法が、アルカリ金属シリサイド組成物に、揮発性または引火性の物質を曝す工程を包含し、アルカリ金属シリサイド組成物を水と発熱反応させて、燃焼を制御し、それによって、揮発性または引火性の物質を除去する、方法。
【請求項17】
該アルカリ金属シリサイド組成物がナトリウムシリサイドまたはカリウムシリサイドである、請求項16記載の方法。
【請求項18】
該アルカリ金属シリサイド組成物がNaSiまたはKSiである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
該アルカリ金属シリサイド組成物中のアルカリ金属とケイ素とのモル比が約1:1である、請求項16記載の方法。
【請求項20】
該アルカリ金属シリサイド組成物と水との発熱反応が揮発性または引火性の物質を消費する、請求項16記載の方法。
【請求項21】
該アルカリ金属シリサイド組成物と水との発熱反応が揮発性または引火性の物質を清掃する、請求項16記載の方法。
【請求項22】
揮発性または引火性の物質を制御しながら除去する方法であって、当該方法が、
アルカリ金属シリサイド組成物に、揮発性または引火性の物質を曝す工程、および
該アルカリ金属シリサイド組成物を水に曝す工程
を包含し、
該アルカリ金属シリサイド組成物を水と発熱反応させて、燃焼を制御し、それによって、揮発性または引火性の物質を除去する、方法。
【請求項23】
該アルカリ金属シリサイド組成物がナトリウムシリサイドまたはカリウムシリサイドである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
該アルカリ金属シリサイド組成物がNaSiまたはKSiである、請求項23記載の方法。
【請求項25】
該アルカリ金属シリサイド組成物中のアルカリ金属と粉末ケイ素とのモル比が約1:1である、請求項22記載の方法。
【請求項26】
該アルカリ金属シリサイド組成物と水との発熱反応が揮発性または引火性の物質を消費する、請求項22記載の方法。
【請求項27】
該アルカリ金属シリサイド組成物と水との発熱反応が揮発性または引火性の物質を清掃する、請求項22記載の方法。
【請求項28】
アルカリ金属と粉末ケイ素とを不活性雰囲気中で混合する工程;および
該生じる混合物を温度約475℃以下に加熱する工程
を包含する、乾燥Oと反応しないアルカリ金属シリサイド組成物の製造方法。
【請求項29】
該加熱工程が、
該生じる混合物を約150℃まで加熱する工程;
該生じる混合物を約150℃から約200℃まで加熱する工程;
該生じる混合物を約200℃から約250℃まで加熱する工程;
該生じる混合物を約250℃から約300℃まで加熱する工程;および
該生じる混合物を約300℃から温度約475℃以下まで加熱する工程
のうち少なくとも一つの工程を包含する、長時間にわたって起こる段階的加熱である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
該アルカリ金属シリサイド組成物がナトリウムシリサイドまたはカリウムシリサイドである、請求項28記載の方法。
【請求項31】
該アルカリ金属シリサイド組成物がNaSiまたはKSiである、請求項30記載の方法。
【請求項32】
該生じる混合物を約300℃から温度約475℃以下まで加熱する工程が、該生じる混合物を約300℃から約390〜425℃の温度まで加熱することを包含する、請求項29記載の方法。
【請求項33】
該生じる混合物を約300℃から約390〜425℃の温度まで加熱する工程が、該生じる混合物を約300℃から約400℃の温度まで加熱することを包含する、請求項32記載の方法。
【請求項34】
該アルカリ金属と該粉末ケイ素とのモル比が約1:1である、請求項28記載の方法。
【請求項35】
請求項28記載の方法によって得られるアルカリ金属シリサイド組成物と水とを接触させる工程を包含する、水素ガスを発生させる方法。
【請求項36】
該長時間が、約二時間から約三日間までに及ぶ、請求項29記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−232895(P2012−232895A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−149641(P2012−149641)
【出願日】平成24年7月3日(2012.7.3)
【分割の表示】特願2007−516608(P2007−516608)の分割
【原出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
【出願人】(506414842)シグナ・ケミストリー・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (4)
【氏名又は名称原語表記】SIGNA CHEMISTRY LLC
【出願人】(594114134)ミシガン ステイト ユニバーシティー (22)
【Fターム(参考)】