説明

アルカリ電気化学セル

高ドレイン率及び低ドレイン率の両方で最適な実行時間を提供することができるアルカリ電気化学セルが開示される。一実施態様では、セルのゲル化アノードは、広範な放電条件に対して効率よく放電できる特有の物理的特性を有する制限された量の亜鉛粉末を含む。また、アノードは、亜鉛の放電高率を改善するために選択される電解質を含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、一般に亜鉛アノードを含む水銀を含まないアルカリセルに関するものである。より詳細には、本発明は種々の放電条件で最適な動作を提供することができるアルカリ電気化学セルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
市販されている円筒アルカリ電気化学セルは、AA、AAA、C及びDとして一般に知られているセルサイズで広く入手可能である。多くの場合、前記セルは消費者に購入され、次いで装置に動力を供給する必要があるまで保管される。バッテリー動力を備えた装置の増大により、多くの消費者は多数のバッテリー動力を備えた装置を所有する。家庭で見つけられるいつかの前記装置としては、ラジオ、テレビのリモコン、テープレコーダー、子供用のオモチャ、手持ち式コンピューターゲーム、コンパクトディスクプレーヤー、フラッシュユニット及び35ミリフィルムを組み込んだカメラ及びデジタルカメラなどが挙げられる。全体では、これらの装置は広範な放電条件を示している。例えば、柱時計は、かなり低率で、かつ、作動中の短い休止期間をもつ電流を供給するバッテリーを必要とするため、バッテリー製造分野で「低ドレイン(drain)」装置として知られている。したがって、前記時計は1つのAAサイズバッテリーで1年よりも長く動力が供給され得る。別の装置(例えば、コンパクトディスクプレーヤー)は、時計で必要とされるよりも高い率で電流を供給する複数のバッテリーを必要とするが、作動中に実質的な休止期間をもち(すなわち、1日当たり250ミリアンペアを1時間)、「ハイテク」装置として知られている。他の装置(例えば、デジタルカメラ)は高電圧で実質的な電流を供給するバッテリーを必要とし(すなわち、休止期間なしで1000ミリワットドレイン)、「高ドレイン」装置として認識されている。消費者がバッテリーを購入する場合、消費者は、特定のバッテリーが挿入される装置を知らないかもしれない。したがって、消費者は、低ドレイン、高ドレイン及び/又はハイテク放電条件であるかもしれない種々の装置で十分に機能するバッテリーを購入しようとするであろう。消費者が、バッテリーの特定のブランドがすべての装置で使用される場合に最適な動作を提供すると信じれば、消費者は異なるブランドのバッテリーよりもそのブランドのバッテリーを購入するであろう。したがって、多くのバッテリー製造業者は、そのバッテリーが十分な期間広範囲の装置に動力を供給するために、「総目的」バッテリーとし消費者に認められるバッテリーを開発し、市場に出そうとする。
【0003】
その製品が種々の装置に動力を供給する期間を改善することに加えて、バッテリー製造業者は絶えず努力し、バッテリーのコストを下げている。コストを下げる1つの方法は、バッテリーの電極の1つ又は両方の電気化学的に活性な物質の量を減らすことである。例えば、アノードの亜鉛の量及び/又はカソードの二酸化マンガンの量を減らすことができた。しかしながら、この選択は、電気化学的に活性な物質の量の減少が、バッテリーが装置に動力を供給する期間であるバッテリーの「実行時間」を一般に減少させるために、製造業者に受け入れられない。さらに、アノードの亜鉛の容積を減らすことによって、アノード内の電気伝導度を不十分にし、それによって放電中のセルの散発性又は早発性故障をもたらす。この問題は、処理に関して、より環境にやさしいバッテリーを製造するために水銀がアノードから除去されたときに、アルカリバッテリーの製造業者によって認識された。残念ながら、水銀を除去することで、亜鉛粒子間の伝導度の喪失によって大分部のセルが不安定な放電パターンを示すこととなる。この問題を解決するために、アノードの亜鉛の量を増やしてアノード全体の伝導性マトリックスを保証した。水銀を添加せず、アノードの電気化学的に活性な材料として粒子状亜鉛粉末のみを含む従来のセルにおいて、アノードは28容積%以上の粒子状亜鉛粉末を含んでいた。ここで使用されるフレーズ「水銀を添加しない」は、アノードが50ppm未満の水銀しか含まないことを意味する。好ましくは、アノードは水銀をまったく含まない。したがって、セルの実行時間に悪影響を与えないで、水銀を含まないセルに含まれる電気化学的に活性な物質の量を減らす方法を見出す必要性が広く認識されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特定の装置(例えば、デジタルカメラ)のバッテリー性能を改善する方法の問題に関する従前の試みは、一般にセル内部の構成の変更に関するものである。1つの例において、アノード中の亜鉛の量を増やすことによってセルの構成を変更した。しかしながら、この変更は、セルを著しく放電させた後、電解質の受け入れられない漏れをもたらした。別の例において、1つの電極を、他の電極によって画定される中心に位置を合わせたキャビティ内に挿入したセル設計を用いる代わりに、ある製造業者は、2つの電極片及び1つのセパレータを互いに並べ、巻いてコイルを形成する「ゼリーロール」構成を用いた。ゼリーロール構成を有するバッテリーは高ドレイン装置において一般に十分な性能を示す。残念ながら、同セルは、電気化学的に活性な物質の実質的な部分がゼリーロールの大きなアノード-カソード間表面積による化学的に不活性なセパレータによって置き換えられなければならないために、低ドレイン装置において実質的に低い動作を与える。したがって、ゼリーロール構成によって製造されたバッテリーは、セルの全電気化学容量が高い率で放電する能力よりも重要である装置においての使用に十分に適していない。
したがって、低ドレイン率で放電するバッテリーを必要とする装置において十分な実行時間を提供すると同時に、高ドレイン率で放電するバッテリーを必要とする装置において十分な実行時間を提供できる、安価な、水銀を含まないアルカリ電気化学セルが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要約)
本発明は種々の放電条件下で効率よく放電できる電気化学セルを提供する。一実施形態では、本発明の電気化学セルは以下の構成要素を含む。その中にキャビティを画定する第1電極を収容する容器。セパレータは前記キャビティを覆い、第1電極に接する。50ppm未満の加えられた水銀を有し、既知の容積を有する第2電極は前記セパレータで覆われたキャビティ内に配置される。第2電極は、2.80g/ccよりも大きく、3.65g/ccよりも小さいタップ密度を有する亜鉛粉末を含む。前記亜鉛は第2電極の容積の28.0容積%未満を占める。多量のアルカリ電解質は前記容器内に配置され、前記電極及びセパレータと接している。
他の実施形態では、本発明は以下の工程を含む方法である。セパレータで覆われたキャビティを画定する第1電極を収容する端部が開口した容器を供給する工程。2.80g/ccよりも大きく、3.65g/ccよりも小さいタップ密度を有する亜鉛粉末を、ゲル化剤及びアルカリ溶液と混合して既知の容積を有し、50ppm未満の水銀を有するゲル化混合物を生成する工程。混合物中の亜鉛は混合物の容積の28.0容積%未満を占める。セパレータで覆われたキャビティ内に前記混合物を配置する工程。容器の開口端を密閉して密閉型電気化学セルを作製する工程。
【0006】
他の実施態様では、本発明の電気化学セルは少なくとも以下の構成要素及び性能特性を有するLR6バッテリーである。その中にキャビティを画定する第1電極を収容する容器。50ppm未満の水銀及びゲル化アノード全体にわたって一様に分布された4.3グラム以下の亜鉛粉末を含み、第1電極によって画定されたキャビティ内に配置される第2電極。前記電極間に位置するセパレータ。セパレータ及び両電極と接しているアルカリ電解質。1日あたり250ミリアンペアの一定電流で1時間放電した場合に、前記セルは合計積算時間で少なくとも538分間0.90ボルトの最小閉回路電圧を有する。あるいは、1日あたり43オームの抵抗器で4時間放電した場合に、前記セルは合計積算時間で少なくとも99時間0.9ボルトの最小閉回路電圧を有する。あるいは、1ワットの率で連続して放電した場合に、前記セルは少なくとも58分間1.0ボルトの最小閉回路電圧を有する。
【0007】
さらに他の実施態様では、本発明は以下の構成要素を含む電気化学セルである。その中にキャビティを画定する第1電極を収容する容器。前記キャビティを覆い、第1電極に接するセパレータ。亜鉛粉末を含む第2電極は前記セパレータで覆われたキャビティ内に配置される。亜鉛粉末は2.80g/ccよりも大きく、3.65g/ccよりも小さいタップ密度、400cm2/gよりも大きいBET比表面積、少なくとも14%のKOH吸収値及び130μm未満のD50を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(説明)
ここで、図面、より詳細には図1を参照すると、本発明の組み立てられた電気化学セルの断面図が示されている。初めにセルの内部から、セルの構成部品は、容器10、容器10の内面に隣接して配置された第1電極50、第1電極50の内面56と接しているセパレータ20、セパレータ20によって画定されるキャビティ内に配置された第2電極60及び容器10に固定された密閉組立部品70である。容器10は開放端12、閉鎖端14及びその間の側壁16を有する。閉鎖端14、側壁16及び密閉組立部品70はセルの電極が収容されるキャビティを画定する。
第1電極50(本明細書においてカソードとしても参照される。)は、二酸化マンガン、グラファイト及び水酸化カリウムを含む水溶液の混合物である。前記電極は多量の前記混合物を端部が開口した容器へ配置され、次いで前記混合物を容器の側壁と同心であるキャビティを画定する固体管状形状に成形するラムを用いて形成される。第1電極50はレッジ52及び内面56を有する。あるいは、カソードは二酸化マンガンを含む混合物から複数のリングを前もって成形し、次いで前記リングを容器に挿入して管状に成形された第1電極を形成することによって形成してもよい。図1に示されるセルは典型的には3又は4つのリングを含む。
【0009】
第2電極60(本明細書においてアノードとしても参照される。)は、水性アルカリ電解質、亜鉛粉末及び架橋ポリアクリル酸のようなゲル化剤の均質混合物である。水性アルカリ電解質は水酸化カリウム、水酸化ナトリウム又はその混合物のようなアルカリ金属水酸化物を含む。水酸化カリウムが好ましい。本発明のセルで使用するのに適しているゲル化剤は架橋ポリアクリル酸(例えば、ノベオン社(クリーブランド、オハイオ、USA)から入手可能なカルボポール940(商標))であってもよい。カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド及びポリアクリル酸ナトリウムはアルカリ電解質溶液での使用に適した他のゲル化剤の例である。亜鉛粉末は純粋な亜鉛又は合金であってもよい。ガス化防止剤(gassing inhibitor)、有機若しくは無機防錆剤、結合剤又は界面活性剤のような追加の成分を上述の成分に加えてもよい。ガス化防止剤又は防錆剤の例としては、インジウム塩(例えば、水酸化インジウム)、過フルオロアルキルアンモニウム塩、アルカリ金属硫化物などが挙げられる。界面活性剤の例としては、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンアルキルエーテル、過フルオロアルキル化合物などが挙げられる。上述の成分をリボン・ブレンダ又はドラム・ミキサー内で混合し、次いでこの混合物をウエット・スラリーにすることで、第2電極を製造してもよい。
【0010】
アノード製造プロセスにおいてゲル化剤によって吸収される水性アルカリ電解質に加えて、追加の量の水酸化カリウム水溶液(本明細書において「フリー電解質」とも参照される。)を、この製造プロセスにおいて、セルに加えてもよい。第1電極によって画定されるキャビティに配置することによって、フリー電解質をセルに組み込んでもよい。セルにフリー電解質を組み込むために使用される方法は重要ではないが、第1電極50、第2電極60及びセパレータ20と接触していることが条件である。図1に示したセルで使用されてもよいフリー電解質は36.5重量%のKOHを含む水溶液である。
図1に示されるボビン型亜鉛/二酸化マンガンアルカリセルにおいて、セパレータ20は一般にカソード(第1電極)とアノード(第2電極)を分離する層状イオン透過性不織繊維布として調製される。適したセパレータは国際公開第WO03/043103号パンフレットに記載されている。セパレータは陽極材料(二酸化マンガン)及び陰極(亜鉛)材料の物理的な誘電分離を維持し、電極材料間のイオンの輸送を可能にする。さらに、セパレータは電極用ウィッキング媒体及びアノードゲルがカソードの表面と接触しないようにする環として作用する。典型的なセパレータは一般に2つ以上の紙層を含む。従来のセパレータは、第1電極によって画定されるキャビティ内に実質的に挿入されるカップ状バスケット内にセパレータ材料を前もって形成するか、又は互いに対して90℃(角)回転されたセパレータ材料の2つの長方形のシートをキャビティ内に挿入することによって組み立てられるセルの中にバスケットを形成することによって一般に形成される。前もって形成される従来のセパレータは、典型的には第1電極の内壁に従い、閉鎖された底端部を有する円筒形にロールされる不織布のシートから作られる。
【0011】
密閉組立部品70は密閉部材72及び集電体76を含む。密閉部材72は、セルの内圧が過剰になったときに密閉部材72が破断させるベント82を含むように成形される。密閉部材72はナイロン6,6又は別の材料(例えば、金属)から作られてもよいが、集電体76は第1電極用集電体として機能する容器10から電気的に絶縁されていなければならない。集電体76は真鍮から造られる細長い釘状部材である。集電体76は密閉部材72の中心に位置する穴を介して挿入される。
第2電極の組成は、本明細書においてさらに詳細に説明される。本発明のセルで使用するのに適した第2電極の組成を表1に示す。量は重量%で表される。
【表1】

【0012】
アノードを調製する方法は以下の工程を含む。0.1NのKOH溶液を亜鉛粉末と混合する。32重量%のKOH溶液をゲル化剤と混合する。前記溶液はゲル化剤によって吸収される。亜鉛粉末と0.1NのKOH溶液の混合物をゲル化剤と混合して、亜鉛粒子が混合物中に一様に分布している均質混合物を形成する。
アルカリ電解質を有する一次(再充電不能)バッテリーで使用するのに適したアノードは、典型的には粒子状亜鉛をゲル化剤、アルカリ水溶液及び上述の任意成分の添加剤と混合することによって製造される。任意の1つの成分と1つ以上の他の成分との比は、ある制限範囲内で、処理装置、粒子間接触を維持する必要性などのセル設計基準及び費用制約条件によって課される種々の制限に従って調整できる。水銀を含まないバッテリー(本明細書において50ppm未満の水銀をアノード中に含むもの)における粒子間接触の維持に関して、多くのセル設計者は、亜鉛粒子の粒子間接触を維持するために、少なくとも28容積%の亜鉛粉末を用いて特定化している。粒子状亜鉛の容積に関するこの良く知られた制限と対照的に、本発明のセルにおけるアノードの亜鉛の量は、28.0容積%未満に減らすことができる。27.0容積%未満の亜鉛、より具体的には26.9容積%の亜鉛のセルを以下に記載するように製造した。27.0容積%の亜鉛、26.0容積%の亜鉛又は24.0容積%の亜鉛のアノードは可能である。亜鉛の容積%は、以下に説明されるように、セパレータで覆ったキャビティにアノードを配置する直前にアノードの容積で亜鉛の容積を割ることによって決定される。亜鉛の容積%は、アノードがセパレータによって画定されるキャビティ内に挿入されるとすぐに、アノードに組み込まれた電解質の一部がセパレータ及びカソードに移動するために、アノードをセパレータバスケットに配置する前に決定されなければならない。亜鉛の容積%は以下の手順を用いて決定される。セル中の亜鉛の重量を亜鉛の密度(7.13g/cc)で割って、セル中の亜鉛の容積を計算する。セルにアノード混合物を配置する直前のアノード混合物の重量をアノード混合物の測定した密度で割って、アノード混合物の容積を計算する。次いで、亜鉛の容積をアノード混合物の容積で割って亜鉛の容積%を得る。アノード混合物の見かけ上の密度は以下の手順を用いて決定される。既知の容積(例えば、35cc)を有する空の容器を秤量する。アノードが容器を完全に満たすように、多量のアノードを前記容器に配置する。充填された容器を秤量し、次いで空の容器の重量を引いてアノードの重量を計算する。アノードの重量を容器の容積で割ってアノードの見かけの密度を得る。
【0013】
アノードの容積の28%未満に粉末亜鉛の量を制限することは、亜鉛粉末における粒子状亜鉛のみを組み込む、従来の水銀を含まないセル設計との対比であると考えられる。28容積%未満に亜鉛の量を減らすことは、50ppm未満の水銀を含むゲル化アノードがアノードの高さ及び幅全体で一様に分布した亜鉛粒子間の接触を達成し、維持するために、粒子状亜鉛の最小容積を有する必要があるため、重要である。粒子間接触はバッテリーの耐用年数にわたって維持されなければならない。アノードにおける亜鉛の容積が低すぎると、セルの電圧は、セルが装置に動力を供給するときに、容認できないほど低い値に急激に減少する場合がある。電圧の低下は、一部のアノードの亜鉛粒子間の接続性が喪失し、それによってアノードの一部が電気的に分離され、そのためセルの放電に関与できなくなることによってもたらされると考えられている。電圧が低いままであると、消費者はセルを交換する。電圧が容認できる値にすぐに回復すると、装置は通常状態で動作を再開する場合がある。しかしながら、消費者は、装置の実行の一時的な中断が、バッテリーの使用期間が終わったサインであると、誤って認識し、早めにセルを交換させる場合がある。したがって、セル製造業者は、バッテリーの寿命全体で確実な動作を保証するために、水銀を含まないゲル化アノードにおいて最小容積よりも多くの粒子状亜鉛を従来使っていた。
【0014】
本発明のセルにおいて有用な亜鉛は、N.V.UMICORE, S.A.(ブリュッセル、ベルギー)からBIA 115の商品名で購入できる。この亜鉛は2000年8月17日に公開された国際公開第WO00/48260号パンフレットに一般的に記載されている遠心アトマイゼーション法で製造される。この刊行物は、亜鉛粉末を生成するために使用される亜鉛合金の組成及び製造方法を開示する。しかしながら、亜鉛粒子の多くの物理的特性は開示されていない。好ましい実施態様において、本発明のセルにおける亜鉛粉末は以下の物理的及び化学的特性の多くを有する。第1に、亜鉛粉末の粒子サイズは130μm未満、より好ましくは100〜130μm、最も好ましくは110〜120μmのD50メジアン値を有することを特徴とする。D50メジアン値は材料試験協会(ASTM)標準B214-92(表題:粒状金属粉末の篩分析標準試験方法)に記載される篩分析手順及びASTM D1366-86(1991年再認可)(表題:顔料の粒子サイズ特性を報告するための標準的技法)に記載される報告手順を用いて決定される。ASTM標準B214-92及びD1366-86(1991年再認可)は参照により本明細書に組み込まれるものとする。本明細書において使用されるように、亜鉛粉末のD50メジアン値は、ASTM D-1366-86に示されるように、累積重量%を上部サイズ限度データに対してプロットし、次いで50%累積重量値に相当する直径(すなわち、D50)を見つけることによって決定される。第2に、亜鉛粉末のBET比表面積は少なくとも400cm2/gである。より好ましくは、前記表面積は少なくとも450cm2/gである。BET比表面積は、亜鉛サンプルを150℃で1時間脱ガスした後、多点校正を有するMicromeritics社製トライスター3000BET比表面積測定装置で測定される。第3に、亜鉛粉末のタップ密度は2.80g/ccよりも大きく、3.65g/ccよりも小さい。より好ましくは、タップ密度は2.90g/ccよりも大きく、3.55g/ccよりも小さい。最も好ましくは、亜鉛粉末のタップ密度は3.00g/ccよりも大きく、3.45g/ccよりも小さい。タップ密度は以下の手順を用いて測定される。50グラムの亜鉛粉末を50ccのメスシリンダーに入れる。亜鉛粉末を含むメスシリンダーをQuanta Chrome社(ボイントンビーチ、フロリダ、米国)製モデルAT-2“Auto Tap”タップ密度測定装置のようなタップ密度測定装置に固定する。520回たたくようにタップ密度測定装置を設定する。タップ密度測定装置を作動させ、メスシリンダーを垂直方向に520回素早く移動させることによってメスシリンダーをたたく。メスシリンダーの亜鉛粉末の最終容積を読み取る。亜鉛粉末の重量を、たたいた後の亜鉛粉末によって占められる容積で割ることによって亜鉛粉末のタップ密度を決定する。第4に、亜鉛粉末は少なくとも14%のKOH吸収値を有する。より好ましくは、KOH吸収値は15%以上である。KOH吸収値を決定するために使用される方法は図5に関連する明細書の部分に後述される。
【0015】
上述の物理的特性に加えて、好ましい亜鉛はそれに組み込まれるビスマス及び/又はインジウム及び/又はアルミニウムとの合金である。ビスマスの好ましい量は75〜125ppmである。インジウムの好ましい量は175〜225ppmである。アルミニウムの好ましい量は75〜125ppmである。
バッテリー産業内では、バッテリーを評価及び特徴付けるために使用される1つの広く受け入れられたプロトコールは所定の電気試験回路で個々のセルを放電し、次いでバッテリーが最小閉回路電圧を維持できる時間を記録することを含む。これらの「放電試験」はバッテリー製造業者によって使用されて異なるセル構成の実行時間を評価する。放電試験におけるバッテリー性能の評価を標準化するために、多くのセルサイズ及び試験法が米国規格協会(ANSI)及び国際電気標準会議(IEC)のような組織によって定義され、承認されている。バッテリーサイズ(例えば、LR6サイズバッテリー)は、IECの国際標準60086-2(エディション10.1)によって定義され、50.5mmの最大高さ及び14.5mmの最大直径を有する。バッテリー(例えば、LR6バッテリー)の放電試験を記載する1つの刊行物は、全国電機製造業者協会によって2001年に発行されたANSI C18.1M, Part 1-2001-American National Standard for Protable Primary Cells and Batteries with Aqueous Electrolyte-General Specificationsというタイトルである。その19ページに記載されたLR6バッテリーの放電試験は、バッテリーの電気化学実行性能を評価するための認められた方法としてバッテリー産業内で広く受け入れられている。試験の一部は、「高率」試験として一般に知られており、他の試験は「ハイテク」試験として知られており、さらに他の試験は「低率」試験として知られている。
【実施例】
【0016】
1つの実験では、本発明のいくつかのLR6バッテリーを構成した。セルの電極、セパレータ、密閉組立部品及び容器の物理的配置を図1に示す。第2電極を製造するために使用される組成は表1に開示されている。実験のセルを以下のようにして製造した。以下のカソード材料を一緒に混合し、容器に挿入された環とし、これによって管状形状カソードを形成した。電解二酸化マンガン(90.96重量%)、グラファイト(4.49重量%)、40重量%のKOH水溶液(3.72重量%)、コアチレン(coathylene)バインダー(0.44重量%)及びニオブドープ二酸化チタン(0.39重量%)。カソードの内面は管状の中心に位置するキャビティを画定する。開放端及び閉鎖端を有するチューブを形成するために、セパレータ材料の細片を延ばし、成形した。管状成形セパレータをカソードによって画定されるキャビティに挿入した。2.85g/ccの見かけ密度を有する6.36グラム量の第2電極をセパレータで覆われたキャビティ内に配置する。6.36gを2.85g/ccで割ることによってアノードの容積(2.23cc)が決定される。各セルの亜鉛の量は4.27gであった。4.27gを7.13g/ccで割ることによって亜鉛の容積(0.60cc)を決定した。0.60ccを2.23ccで割ることによって亜鉛の容積%(26.9%)を決定した。第2電極に含まれる電解質に加えて、36.5重量%のKOH溶液をさらに0.96ccセパレータで覆われたキャビティに配置した。第2電極を挿入する前に、0.96ccの第1部分をセパレータで覆われたキャビティに注入した。第2電極を挿入した後、36.5重量%のKOH溶液の残部をセパレータで覆われたキャビティに注入した。次いで、密閉組立部品を容器の開放端に固定した。端部カバー及びラベルを容器の外面に固定した。
【0017】
次いで、本発明に従って構成されたセルを以下に記載される3つの個々の実用試験で放電した。いくつかの実験の一部として、いくつかの異なる製造業者から市販されているLR6バッテリーも同じ放電試験で評価した。試験結果を図3に示す。各試験で、本発明のセルは市販のセルよりも高い平均動作を提供した。
LR6サイズバッテリーの低率試験の1つは、バッテリーを43オームの抵抗器で4時間放電し、次いで20時間休止させることを条件として指定する。この試験は、バッテリーの閉回路電圧が、多くの装置(例えば、ラジオ)が作動しなくなる機能的エンドポイントであると考えられる0.9ボルト未満に下がるまで毎日続けられる。図3に示すように、本発明の8つのセルを上述の試験で1日あたり43オームで4時間放電させた場合、平均実行時間は100.4時間であった。対照的に、市販のセルの最もよいものの実行時間(示されない)は97.7時間であった。
LR6サイズバッテリーのハイテク試験は、バッテリーを1日あたり250ミリアンペアの一定電流で1時間放電し、次いで23時間休止させることを条件として指定する。試験は、バッテリーの閉回路電圧が0.9ボルト未満に下がるまで毎日続けられる。図3に示すように、本発明の10のセルを上述のとおり1日あたり250ミリアンペアの一定電流で1時間放電した場合、平均実行時間は552分であった。本発明のすべてのセルは少なくとも538分の実行時間を超えた。また、図3のデータは、4つのバッテリー製造業者から市販されているバッテリーを250ミリアンペアの一定電流試験で試験したことを示す。市販のセルの平均実行時間は467〜510分の範囲であった。
【0018】
LR6サイズバッテリーの高率試験は、バッテリーの閉回路電圧が1.0ボルト未満に下がるまで、バッテリーを1000ミリワットドレイン率で連続して放電させることを要求する。図3に示すように、本発明の5つのセルを1000ミリワット試験で評価した場合、平均実行時間は60分であった。本発明のすべてのセルは少なくとも58分の実行時間を超えた。また、図3のデータは、4つのバッテリー製造業者から市販されているバッテリーを1000ミリワット試験で試験したことを示す。市販のバッテリーの最も高い平均実行時間は47分であった。市販のバッテリーのいずれも49分を超えなかった。
上述のバッテリー試験のすべてを、周囲温度が約21℃であった環境で行った。放電試験でのバッテリーの実行時間は周囲温度が高くなると増加し、周囲温度が低くなると減少するために、19〜23℃の周囲温度を維持することは重要である。実行時間に対する周囲温度の変化の影響の程度は試験によって変わる。バッテリー製造業においてよく知られているように、バッテリーを放電させた場合、バッテリー内で起こる発熱化学反応はバッテリーの温度を高くする。高ドレイン試験で、セルの表面の温度は40℃を超える。したがって、セルの温度及び周囲温度は実質的に異なっており、2つの異なる特性であると考えられる。
いくつかの異なる放電試験でのアノードの放電効率を示す種々のセル構成のチャートを図2に示す。本明細書で用いられるように、アノードの放電効率は、セルのアンペア時出力を亜鉛の理論的なアンペア時入力で割ることによって決定される。亜鉛の入力は亜鉛のグラム数に821mAhr/gを掛けることによって計算される。例えば、4.3グラムの亜鉛を含むセルは3,530mAhrの入力を有すると考えられる。同じセルが放電試験で3000mAhrの出力を提供する場合、亜鉛の放電効率は85%であった。
【0019】
図2に示されるデータを検討することによって明らかなように、本発明のセルは、下記の低ドレイン、ハイテク及び高ドレイン試験での5つのブランドの市販のセルの平均アノード放電効率よりも高い平均アノード放電効率を有した。例えば、本発明のセルは、1日あたり43オームで4時間低ドレイン実用試験で放電した場合、77.8%の平均アノード放電効率を有した。対照的に、5つの市販のブランドのバッテリーサンプルは72.8%以下の平均アノード放電効率を有した。77.8%と72.8%の間の5%の相違は放電効率において実質的、かつ、有意な増加である。1日あたり250ミリアンペアで1時間ハイテク試験で、本発明のセルは61.1%の平均アノード放電効率を有した。5つのブランドの市販のバッテリーは56.4%以下の平均アノード放電効率を有した。1000ミリワット高ドレイン連続試験で、本発明のセルは22.8%の平均アノード放電効率を有した。5つのブランドの市販のバッテリーは17.4%以下の平均アノード放電効率を有した。4.4%の改善は最もよい市販のセルに対して25%の改善を示す。
図4はいくつかのアノード混合物の抵抗率をアノードにおける亜鉛の重量%に対して示したグラフである。データは8つの異なるアノード混合物の抵抗率測定を示す。各アノード混合物は、溶液が32重量%のKOHの代わりに36重量%のKOHを含む以外は、表1に示した同じ4つの成分を含んでいた。しかしながら、亜鉛の重量%を63%から72%に変えたため、他の3つの成分の量も調整した。アノード混合物の組成及び測定した抵抗率を表2に示す。
【0020】
【表2】

【0021】
抵抗率は、小さな電圧摂動(例えば、10mV)を有する65kHz〜1Hzの範囲の周波数を、本明細書においてDで表される一定の内径を有する円筒チューブ内に閉じ込めた多量のアノード混合物にかけることによって測定された。アノードによって占められるチューブの長さはLで表される。アノードの抵抗を掃引の高周波端部でのインピーダンスデータから求めた。下記式を用いて抵抗率を計算した。
抵抗=抵抗率(L/S)
(式中、S=(D/2)2π)
本発明のセルで使用される亜鉛を含む5つのアノード混合物の抵抗率を用いて図4の曲線90をプロットした。市販の亜鉛粉末を含むアノード混合物の抵抗率を用いて曲線92をプロットした。図4の曲線は、本発明のセルで使用される亜鉛粉末を含むアノード混合物の抵抗率が、亜鉛の重量%が68重量%よりも低くなったときに、有意に増加しないことを明らかに示すが、曲線92によって表されるアノード混合物は4mΩ・cm〜9mΩ・cmよりも大きい有意な増加を示す。セルの内部抵抗のいずれの増加もセルの実行時間の減少をもたらすため、亜鉛の重量%を68重量%未満に減らした場合にアノード混合物の抵抗率を増加させない亜鉛粉末を用いることに、明らかな優位性がある。
【0022】
図5は異なる重量%のKOHを用いて亜鉛粉末のKOH吸収値を示す。以下の方法を用いて亜鉛のKOH吸収値を決定した。第1に、5ccシリンジ及び32重量%のKOHに浸漬されており、シリンジの大きく開口した端部へのセパレータの挿入を容易にするのに適したサイズであり、シリンジを通して押すことができ、それによってシリンジの反対側の小さな開口をブロックする1つのセパレータを供給する。第2に、シリンジ及び吸収された電解質を含むセパレータを秤量する。第3に、32重量%のKOH水溶液2リットルをシリンジの大きく開口した端部に配置し、シリンジの反対側の小さな開口を通る電解質の流れをブロックする。第4に、既知量(例えば、5グラム)の粒子状亜鉛を慎重に秤量し、シリンジの開口端部に配置する。容器の形状、溶液の容積及び亜鉛の容積は、すべての亜鉛粒子がKOH水溶液の表面下に完全に沈められることを保証するために調整されなければならない。第5に、さらに32重量%のKOH溶液1.5ccを容器に導入して、亜鉛が溶液で完全に覆われることを保証する。第6に、KOH溶液をシリンジの1つの端部の小さな開口を通して120分間シリンジを垂直位に向け、小さな開口をブロックする物を移動させて流す。亜鉛の粒子間に捕らえられた吸収されていない溶液の小滴がないことを保証するために、ペーパータオルに載せても追加のKOH溶液が観測されなくなるまでペーパータオルに数回容器を軽くたたく。第7に、それに吸収された溶液を含む亜鉛、シリンジ及びセパレータの合計重量を決定する。乾燥亜鉛粒子、湿ったセパレータ及びシリンジの重量をそれに吸着された電解質を含む亜鉛を含むシリンジと湿ったセパレータとの合計重量から引くことによって、亜鉛の表面に吸収された電解質溶液の量を決定する。亜鉛に吸収されたKOHの重量を、溶液中に配置する前の亜鉛粒子の重量で割ることによって、KOH吸収値を決定する。
【0023】
図5において、曲線94は本発明のセルで有用な亜鉛のKOH吸収値を示す。曲線96は市販の亜鉛のKOH吸収値を示す。吸収された溶液におけるKOHの重量%は30〜40%で変化するが、本発明のセルで有用な亜鉛によって吸収された溶液の重量は少なくとも14%であった。さらに、同じサンプルのKOH吸収は少なくとも15%を超えた。対照的に、市販の亜鉛のKOH吸収は13%を超えなかった。粒子状亜鉛粉末のKOH吸収値は、本発明のセルで有用な亜鉛を同定することにおいて有用であるいくつかの測定可能な特性の1つであると考えられる。
上記記載は好ましい実施態様のみの記載であると考えられる。本発明の変更は、当業者及び本発明を実施するものであれば気付くであろう。したがって、当然のことながら、添付図面に示された、及び上述の実施態様は説明することのみを目的とし、本発明の範囲を限定することを目的とするものではなく、本発明は、均等論を含め、特許法の原理に従って解釈される特許請求の範囲によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のアルカリ電気化学セルの断面図である。
【図2】本発明のセル及び市販のセルの放電効率を示すチャートである。
【図3】本発明のセル及び市販のセルの実用容量を示すチャートである。
【図4】アノード混合物の抵抗率を示すグラフである。
【図5】2つの亜鉛粉末のKOH吸収値を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む電気化学セル:
a)第1電極を収容する容器、ここで第1電極はその中のキャビティを画定する;
b)前記キャビティを覆い、第1電極に接するセパレータ;
c)前記セパレータで覆われたキャビティ内に配置された第2電極、ここで第2電極は既知の容積及び50ppm未満の水銀を有し、2.80g/ccよりも大きく、3.65g/ccよりも小さいタップ密度を有する亜鉛粉末を含み、前記亜鉛粉末は第2電極の容積の28.0容積%未満を占める;及び
d)前記容器内に配置され、前記電極及び前記セパレータと接している多量のアルカリ電解質。
【請求項2】
亜鉛の容積が第2電極の容積の27.0%以下である、請求項1記載の電気化学セル。
【請求項3】
亜鉛の容積が第2電極の容積の26.0%以下である、請求項1記載の電気化学セル。
【請求項4】
亜鉛の容積が第2電極の容積の24.0%以下である、請求項1記載の電気化学セル。
【請求項5】
第2電極がゲル化剤を含み、前記ゲル化剤が吸収される量のアルカリ水溶液を含み、前記溶液が36重量%以下の水酸化カリウムを含む、請求項1記載の電気化学セル。
【請求項6】
前記溶液が34重量%以下の水酸化カリウムを含む、請求項5記載の電気化学セル。
【請求項7】
前記溶液が32重量%以下の水酸化カリウムを含む、請求項5記載の電気化学セル。
【請求項8】
第2電極が4mΩ・cm未満の抵抗率値を有する、請求項5記載の電気化学セル。
【請求項9】
前記粒子状亜鉛が400cm2/gよりも大きいBET比表面積、少なくとも14%のKOH吸収値及び130μm未満のD50を有する、請求項1記載の電気化学セル。
【請求項10】
前記タップ密度が2.90g/ccよりも大きく、3.55g/ccよりも小さい、請求項1記載の電気化学セル。
【請求項11】
前記タップ密度が3.00g/ccよりも大きく、3.45g/ccよりも小さい、請求項1記載の電気化学セル。
【請求項12】
前記BET比表面積が450cm2/gよりも大きい、請求項9記載の電気化学セル。
【請求項13】
前記KOH吸収値が少なくとも15%である、請求項9記載の電気化学セル。
【請求項14】
前記D50が100〜130μmである、請求項9記載の電気化学セル。
【請求項15】
前記D50が110〜120μmである、請求項14記載の電気化学セル。
【請求項16】
前記粒子状亜鉛が75〜125ppmのビスマス、175〜225ppmのインジウム及び75〜125ppmのアルミニウムを含む亜鉛合金である、請求項1記載の電気化学セル。
【請求項17】
以下の工程を含む電気化学セルの製造方法:
a)第1電極及びセパレータを収容する端部が開口した容器を供給する工程、ここで第1電極は前記セパレータに覆われたキャビティを画定する;
b)2.80〜3.65g/ccのタップ密度を有する亜鉛粉末をゲル化剤及びアルカリ溶液と混合して既知の容積を有するゲル化混合物を生成する工程、ここで前記混合物中の前記亜鉛粉末は前記混合物の容積の28.0容積%未満を占め、前記混合物は50ppm未満の水銀を含む;
c)前記セパレータに覆われたキャビティ内に前記混合物を配置する工程;及び
d)前記容器の開口端を密閉して密閉型電気化学セルを作製する工程。
【請求項18】
前記アルカリ溶液が36重量%以下の水酸化カリウムを含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記アルカリ溶液が34重量%以下の水酸化カリウムを含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記アルカリ溶液が32重量%以下の水酸化カリウムを含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記亜鉛が前記混合物の容積の27.0容積%以下を占める、請求項17記載の方法。
【請求項22】
前記亜鉛が前記混合物の容積の26.0容積%以下を占める、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記亜鉛が前記混合物の容積の24.0容積%以下を占める、請求項22記載の方法。
【請求項24】
以下を含むLR6サイズ電気化学セルであって:
a)その中央に位置するキャビティを画定する第1電極を収容する円筒容器;
b)50ppm未満の水銀を有し、前記キャビティ内に配置される第2電極、ここで第2電極は2.80〜3.65g/ccのタップ密度を有する4.3g以下の亜鉛粉末を含む;
c)前記電極間に位置するセパレータ;及び
d)前記電極及びセパレータと接している多量のアルカリ電解質;
1日あたり250ミリアンペアの一定電流で1時間放電した場合に、0.90ボルトの最小閉回路電圧を、合計積算時間で少なくとも538分間有する前記セル。
【請求項25】
前記セルが、1日あたり43ohmの抵抗器で4時間放電した場合に、0.9ボルトの最小閉回路電圧を、合計積算時間で少なくとも100時間有する、請求項24記載の電気化学セル。
【請求項26】
第2電極がゲル化剤を含み、前記ゲル化剤が吸収される量の水溶液を含み、前記溶液が36重量%以下のKOHを含む、請求項24記載の電気化学セル。
【請求項27】
第2電極が、前記亜鉛粉末に加えて、33重量%以下の水酸化カリウムを有する水溶液を含み、水酸化カリウムの前記重量%が前記容器に第2電極を配置する直前の第2電極の水及び水酸化カリウムの合計量をベースとする、請求項26記載の電気化学セル。
【請求項28】
第2電極の水溶液中の前記水酸化カリウムが32重量%未満である、請求項27記載の電気化学セル。
【請求項29】
第2電極の水溶液中の前記水酸化カリウムが31重量%以下である、請求項28記載の電気化学セル。
【請求項30】
以下を含むLR6電気化学セルであって:
a)その中央に位置するキャビティを画定する第1電極を収容する円筒容器;
b)前記キャビティ内に配置される第2電極、ここで第2電極は2.80〜3.65g/ccのタップ密度及び50ppm未満の水銀を有する4.3g以下の亜鉛粉末を含む;
c)前記電極間に位置するセパレータ;及び
d)前記電極及びセパレータと接している多量の電解質;
1日あたり43ohmの抵抗器で4時間放電した場合に、0.90ボルトの最小閉回路電圧を、合計積算時間で少なくとも100時間有する前記セル。
【請求項31】
前記セルが、1ワットの率で連続放電した場合に、1.0ボルトの最小閉回路電圧を、少なくとも58分間有する、請求項30記載の電気化学セル。
【請求項32】
第2電極が、前記亜鉛粉末に加えて、33重量%以下の水酸化カリウムを有する水溶液を含み、水酸化カリウムの前記重量%が前記容器に第2電極を配置する直前の第2電極の水及び水酸化カリウムの合計量をベースとする、請求項30記載の電気化学セル。
【請求項33】
第2電極の水溶液中の水酸化カリウムが32重量%未満である、請求項32記載の電気化学セル。
【請求項34】
第2電極の水溶液中の水酸化カリウムが31重量%以下である、請求項33記載の電気化学セル。
【請求項35】
以下を含むLR6サイズ電気化学セルであって:
a)その中央に位置するキャビティを画定する第1電極を収容する円筒容器;
b)前記キャビティ内に配置され、50ppm未満の加えられた水銀を有する第2電極、ここで第2電極は2.80〜3.65g/ccのタップ密度を有する4.3g以下の亜鉛粉末を含む;
c)前記電極間に位置するセパレータ;及び
d)前記電極及びセパレータと接している多量の電解質;
1ワットの率で放電した場合に、1.0ボルトの最小閉回路電圧を、少なくとも58分間有する前記セル。
【請求項36】
前記セルが、1日あたり250ミリアンペアの一定電流で1時間放電した場合に、0.90ボルトの最小閉回路電圧を、合計積算時間で少なくとも538分間有する、請求項35記載の電気化学セル。
【請求項37】
第2電極が、前記粒子状亜鉛に加えて、33重量%以下の水酸化カリウムを有する水溶液を含み、水酸化カリウムの前記重量%が前記容器に第2電極を配置する直前の第2電極の水及び水酸化カリウムの合計量をベースとする、請求項35記載の電気化学セル。
【請求項38】
第2電極の水溶液中の前記水酸化カリウムが32重量%未満である、請求項37記載の電気化学セル。
【請求項39】
第2電極の水溶液中の前記水酸化カリウムが31重量%以下である、請求項38記載の電気化学セル。
【請求項40】
以下を含む電気化学セルであって:
a)第1電極を収容する容器、ここで第1電極はその中のキャビティを画定する;
b)前記キャビティを覆い、第1電極に接するセパレータ;
c)亜鉛粉末を含み、前記セパレータで覆われたキャビティ内に配置された第2電極、ここで亜鉛粉末は2.80g/ccよりも大きく、3.65g/ccよりも小さいタップ密度、400cm2/gよりも大きいBET比表面積、少なくとも14%のKOH吸収値及び130μm未満のD50を有する;及び
d)前記容器内に配置され、前記電極及び前記セパレータと接している多量のアルカリ電解質。
【請求項41】
前記タップ密度が2.90g/ccよりも大きく、3.55g/ccよりも小さい、請求項40記載の電気化学セル。
【請求項42】
前記タップ密度が3.0g/ccよりも大きく、3.45g/ccよりも小さい、請求項41記載の電気化学セル。
【請求項43】
前記BET比表面積が450cm2/gよりも大きい、請求項40記載の電気化学セル。
【請求項44】
前記KOH吸収値が少なくとも15%である、請求項40記載の電気化学セル。
【請求項45】
前記D50が100〜130μmである、請求項40記載の電気化学セル。
【請求項46】
前記D50が110〜120μmである、請求項45記載の電気化学セル。
【請求項47】
前記亜鉛粉末が75〜125ppmのビスマス、175〜225ppmのインジウム及び75〜125ppmのアルミニウムを含む亜鉛合金である、請求項40記載の電気化学セル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−511883(P2007−511883A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539601(P2006−539601)
【出願日】平成16年11月3日(2004.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/036476
【国際公開番号】WO2005/050761
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(504288351)エヴァレディ・バッテリー・カンパニー・インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】