説明

アルカリ骨材反応抑制剤の注入装置及び注入方法

【課題】複数の注入孔に必要な量の抑制剤を確実かつ効率的に注入することが可能な、アルカリ骨材反応抑制剤の注入装置及び注入方法を提供する。
【解決手段】コンクリート構造物1に設けられた注入孔2から亜硝酸リチウム水溶液等の抑制剤3を加圧注入して、コンクリート構造物1のアルカリ骨材反応を抑制するアルカリ骨材反応抑制剤の注入装置100であって、注入孔2,2,2に挿入固定可能で、先端から抑制剤3を噴出する複数のパッカー10,10,10と、複数のパッカー10,10,10にそれぞれ接続されて、接続されたパッカーに対して抑制剤3を供給する複数の抑制剤供給タンク20,20,20と、複数の抑制剤供給タンク20,20,20を加圧する加圧手段5とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物に設けられた注入孔に亜硝酸リチウム水溶液等の抑制剤を加圧注入して、コンクリート構造物のアルカリ骨材反応を抑制するアルカリ骨材反応抑制剤の注入装置及び注入方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリートによって形成された壁、橋脚、防波堤等のコンクリート構造物においては、コンクリート中に含まれるナトリウムやカリウム等のアルカリ金属成分が骨材と反応してアルカリ骨材反応が生じ、その結果、コンクリート構造物が内部で異常膨張してひび割れ等が生じる原因となっている。
【0003】
従来、このようなアルカリ骨材反応を抑制する方法としては、亜硝酸リチウム水溶液等をコンクリート構造物に浸透させる方法が提案されており、例えば特許文献1には、コンクリート構造物の表面に注入孔を形成して、その注入孔から亜硝酸リチウム水溶液等を加圧注入することにより、コンクリート構造物のより内奥部にまで亜硝酸リチウム等を浸透させるようにした発明が記載されている。
【0004】
ここで、図10を参照して、上記従来の加圧注入方法により、コンクリート構造物に複数の注入孔を設けて亜硝酸リチウム水溶液等の抑制剤を注入する方法について説明する。
【0005】
図10は、従来のアルカリ骨材反応抑制剤の注入装置200を示す構成図である。コンクリート構造物1には、複数の注入孔2が設けられており、それぞれの注入孔2,2,2には、先端から亜硝酸リチウム水溶液等の抑制剤3を噴出する複数のパッカー10,10,10が挿入され固定されている。さらに、複数のパッカー10,10,10には、それぞれ抑制剤3が流れる抑制剤パイプ71,72,73が接続されている。
【0006】
抑制剤71,72,73は、分配器7を経由して抑制剤パイプ70に接続されており、抑制剤パイプ70は、抑制剤3が貯蔵された貯蔵タンク4に接続されている。また、貯蔵タンク4には空気パイプ80を介してエアーコンプレッサー等の加圧ポンプ5が接続されている。
【0007】
以上の構成の注入装置200を使用する場合には、まず加圧ポンプ5を稼働させて空気パイプ80から圧縮空気を貯蔵タンク4に送り込む。そうすると、貯蔵タンク4内の抑制剤3が押し出され、抑制剤パイプ70、分配器7、抑制剤パイプ71,72,73を経由して、パッカー10,10,10へと送られる。そして、パッカー10の先端から抑制剤3が噴出し、コンクリート構造物1の内部に加圧注入され浸透していく。
【0008】
なお、その他の注入装置として、特許文献2には、圧力センサーを用いた制御機構により、コンクリート構造物にあけた孔から亜硝酸リチウム水溶液を自動注入するようにした発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−173380号公報
【特許文献2】特開2005−60144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図10に示した注入装置200を用いて複数の注入孔2,2,2から抑制剤3を注入する場合には、以下のような問題が生じる。
【0011】
通常、コンクリート構造物1の広範囲についてアルカリ骨材反応を抑制するためには、コンクリート構造物1に複数の注入孔2,2,2を設けて、それぞれの注入孔2に対して、コンクリート構造物1の成分や、注入孔2の間隔に応じて算出される量の抑制剤3を注入する必要がある。ところがコンクリート構造物1の状態(ひび割れ等)は部位によって様々であるため、複数の注入孔2を設けた場合に、それぞれの注入孔2において一定圧力下で一定時間内に注入可能な抑制剤3の量は異なる。
【0012】
そこで作業前に、予めそれぞれの注入孔2に少量の抑制剤3を試験的に注入し、その浸透状況からそれぞれの注入孔2ごとに、予め算出した量の抑制剤3を注入するための所要時間を算出しておく。そして、注入開始後、それぞれの注入孔2についての所要時間が経過すると、パッカー10から抑制剤パイプを外してその注入孔2に対する注入を終了する。この作業をそれぞれの注入孔2ごとに行う。
【0013】
このように、従来の注入方法においては、複数の注入孔2ごとに時間を管理しながら、時間が経過したらパイプを外して注入を停止するという煩雑な作業が発生するため、非効率的であった。また、時間管理に失敗すると、必要な量の抑制剤3を注入することができなかったり、必要以上に抑制剤3を注入してしまったりするという問題もあった。
【0014】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、複数の注入孔に必要な量の抑制剤を確実かつ効率的に注入することが可能な、アルカリ骨材反応抑制剤の注入装置及び注入方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に係る発明のアルカリ骨材反応抑制剤の注入装置は、コンクリート構造物に設けられた注入孔から亜硝酸リチウム水溶液等の抑制剤を加圧注入して、コンクリート構造物のアルカリ骨材反応を抑制するアルカリ骨材反応抑制剤の注入装置であって、前記注入孔に挿入固定可能で、先端から前記抑制剤を噴出する複数のパッカーと、前記複数のパッカーにそれぞれ接続されて、接続されたパッカーに対して前記抑制剤を供給する複数の抑制剤供給タンクと、前記複数の抑制剤供給タンクを加圧する加圧手段とを有することを特徴とする。
【0016】
請求項2に係る発明のアルカリ骨材反応抑制剤の注入方法は、コンクリート構造物に設けられた注入孔から亜硝酸リチウム水溶液等の抑制剤を加圧注入して、コンクリート構造物のアルカリ骨材反応を抑制するアルカリ骨材反応抑制剤の注入方法であって、先端から前記抑制剤を噴出する複数のパッカーを、複数の前記注入孔に挿入固定し、複数の抑制剤供給タンクを、前記抑制剤を貯蔵した状態で前記複数のパッカーにそれぞれ接続し、前記複数の抑制剤供給タンクを加圧手段により加圧して、前記複数のパッカーに前記抑制剤を供給して先端から噴出させることを特徴とする。
【0017】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のアルカリ骨材反応抑制剤の注入方法において、前記複数の注入孔を一定間隔に設け、前記複数の抑制剤供給タンクに、それぞれ同一量の抑制剤を貯蔵した状態で加圧を開始することを特徴とする。
【0018】
なお、上記請求項において、抑制剤としては、亜硝酸リチウム水溶液のほか、水酸化リチウム水溶液、珪酸リチウム水溶液、硝酸リチウム水溶液等の各種リチウム塩の水溶液を用いることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コンクリート構造物に設けられた複数の注入孔に複数のパッカーを挿入固定し、パッカーの先端から抑制剤を噴出させるので、コンクリート構造物に広範囲に抑制剤を加圧注入して内奥部にまで浸透させることができる。
【0020】
また、複数のパッカーには、パッカーに抑制剤を供給するための抑制剤供給タンクがそれぞれ接続されており、これら複数の抑制剤供給タンクを加圧手段により加圧することで、それぞれの抑制剤供給タンクからそれぞれのパッカーに1対1で抑制剤を供給することができる。従って、1つ1つの抑制剤供給タンクに、対応する注入孔に対して必要な量の抑制剤を貯蔵しておいてから加圧するだけで、それぞれの注入孔に対して必要な量の抑制剤を確実に注入することができ、必要な量が注入された後そのままにしておいても、余分な抑制剤が注入されることはない。そのため、注入が完了するたびに注入孔ごとにパイプを外すなどの煩雑な作業を行う必要がない。
【0021】
また、複数の注入孔を一定間隔に設け、複数の抑制剤供給タンクに、それぞれ同一量の抑制剤を貯蔵した状態で加圧を開始することにより、広範囲のコンクリート構造物に対して均一に抑制剤を加圧注入することができる。
【0022】
以上、本発明によれば、複数の注入孔に必要な量の抑制剤を確実かつ効率的に注入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係るアルカリ骨材反応抑制剤の注入装置を示す構成図である。
【図2】注入装置のパッカーと抑制剤供給タンクを示す斜視図である。
【図3】注入装置のパッカーと抑制剤供給タンクを示す分解斜視図である。
【図4】パッカーを示す正面図である。
【図5】抑制剤供給タンクを示す正面図である。
【図6】コンクリート構造物にパッカーを挿入固定した状態を示す図である。
【図7】パッカーに抑制剤供給タンクを接続し抑制剤を貯蔵する様子を示す図である。
【図8】抑制剤供給タンクに抑制剤を貯蔵した状態を示す図である。
【図9】抑制剤供給タンクに抑制剤を貯蔵する他の方法を示す図である。
【図10】従来例に係るアルカリ骨材反応抑制剤の注入装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1乃至図9を参照して、本発明の実施形態に係るアルカリ骨材反応抑制剤の注入装置及び注入方法について説明する。なお、本実施形態において、コンクリート構造物に注入してアルカリ骨材反応を抑制する抑制剤3としては、亜硝酸リチウム水溶液のほか、水酸化リチウム水溶液、珪酸リチウム水溶液、硝酸リチウム水溶液等の各種リチウム塩の水溶液を用いることができる。
【0025】
最初に本実施形態に係るアルカリ骨材反応抑制剤注入装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るアルカリ骨材反応抑制剤の注入装置100を示す構成図である。注入装置100は主として、複数のパッカー10,10,10と、複数の抑制剤供給タンク20,20,20と、加圧手段から構成されている。
【0026】
パッカー10は、コンクリート構造物1に設けられた複数の注入孔2,2,2に挿入固定可能であり、パッカー10の先端からは抑制剤3を噴出することができるようになっている。
【0027】
抑制剤供給タンク20は、内部に抑制剤3を貯蔵することが可能であり、パッカー10に接続されて、接続されたパッカー10に対して抑制剤3を供給するようになっている。ここで、複数のパッカー10と複数の抑制剤供給タンク20は、それぞれ1対1に対応して接続されており、1つの抑制剤供給タンク20からは1つのパッカー10に対してのみ抑制剤3を供給するようになっている。パッカー10と抑制剤供給タンク20の詳細な構成については後述する。
【0028】
本実施形態における加圧手段は、エアーコンプレッサー等の加圧ポンプ5と、加圧ポンプ5から供給される圧縮空気を抑制剤供給タンク20に送る空気パイプから構成されている。加圧ポンプ5に接続された空気パイプ60は、分配器6を介して空気パイプ61,62,63に分岐し、分岐した空気パイプ61,62,63は、抑制剤供給タンク20,20,20に1本ずつ接続されている。これにより、加圧ポンプ5を稼働させることで、抑制剤供給タンク20,20,20をそれぞれ加圧することができるようになっている。
【0029】
なお、本実施形態では加圧手段としてエアーコンプレッサー等を用いて空気圧を利用するようにしたが、空気圧に限定されるものではなく、油圧などその他の加圧手段を用いてもよい。
【0030】
次に、図2乃至図5を参照して、本実施形態に係るパッカー10と抑制剤供給タンク20の詳細な構成について説明する。図2は、パッカー10と抑制剤供給タンク20を示す斜視図であり、図3は、その分解斜視図である。また図4は、パッカー10を示す正面図であり、図5は、抑制剤供給タンク20を示す正面図である。
【0031】
図2及び図3に示すように、抑制剤供給タンク20は、抑制剤3を貯蔵するための貯蔵部30と、貯蔵部30の下端部に固定される下蓋部40と、貯蔵部30の上端部に固定される上蓋部50とから構成されている。貯蔵部30と下蓋部40、貯蔵部30と上蓋部50は、それぞれ着脱可能である。また、下蓋部40には、パッカー10が接続されるようになっている。
【0032】
図4に示すように、パッカー10は、抑制剤3を噴出するための噴出孔を長手方向に備えた軸体19の外周に、ナット11,12、ワッシャー17,ゴムスリーブ13,ワッシャー18,金属筒状体14,ナット15が装着されて構成されている。コンクリート構造体1の注入孔2にパッカー10を固定する際には、ゴムスリーブ13が注入孔2に埋没するまでパッカー10を挿入した後、ナット15を回転させて金属筒状体14を下方に押し、ワッシャー17,18に挟まれたゴムスリーブ13を軸方向に収縮させるとともに径方向に膨張させる。そして、膨張させたゴムスリーブ13を注入孔2の壁面に圧接させることにより、パッカー10を注入孔2に固定することができる。パッカー10を注入孔2から外す場合には、ナット15を逆回転させればよい。
【0033】
図5に示すように、抑制剤供給タンク20の貯蔵部30は、両端に開口部を有する筒状体31から構成されており、内部に抑制剤3を貯蔵するようになっている。そして、筒状体31の両端には、下蓋部40及び上蓋部50を固定するための、ねじ山32,33が設けられている。下蓋部40は、貯蔵部30のねじ山32に螺合するキャップ42から構成されており、貯蔵部30の下流側の開口部を塞ぐようになっている。上蓋部50は、貯蔵部30のねじ山33に螺合するキャップ52から構成されており、貯蔵部30の上流側の開口部を塞ぐようになっている。ここで、貯蔵部30の筒状体31は、貯蔵された抑制剤3の量を外側から確認できるように、透明な素材を用いることが好ましい。
【0034】
なお、パッカー10の抑制剤3の噴出側とは逆の端部(図4における右側)には、抑制剤供給タンク20の下蓋部40と連結するための連結部16が設けられている。また、抑制剤供給タンク20下蓋部40の端部には、パッカー10の連結部16と連結するための連結部41が設けられている。さらに、抑制剤供給タンク20上蓋部50の端部には、空気パイプ61,62,63と連結するための連結部51が設けられている。これらの連結部の構造は特に限定されないが、効率的な作業を行うためには、ワンタッチで着脱可能な構造のものが好ましい。
【0035】
次に、図1及び図6乃至図9を参照して、本実施形態に係るアルカリ骨材反応抑制剤の注入方法について説明する。ここで、図6は、コンクリート構造物にパッカーを挿入固定した状態を示す図、図7は、パッカーに抑制剤供給タンクを接続し抑制剤を貯蔵する様子を示す図、図8は、抑制剤供給タンクに抑制剤を貯蔵した状態を示す図、図9は、抑制剤供給タンクに抑制剤を貯蔵する他の方法を示す図である。
【0036】
まず事前に、コンクリート構造物1の表面に複数の注入孔2を設ける。ここで、後述するようにコンクリート構造物1に対して均一に抑制剤を加圧注入するためには、複数の注入孔2を一定間隔に設けることが好ましい。そして、図6に示すように、コンクリート構造物1に設けられた複数の注入孔2,2,2のそれぞれに、複数のパッカー10,10,10を挿入して固定する。
【0037】
次に、図7に示すように、固定したパッカー10,10,10のそれぞれの上端部に、下蓋部40、貯蔵部30を順に固定する。そして、貯蔵部30の上流側開口部から抑制剤3を入れて貯蔵部30の内部に貯蔵し、貯蔵部30の上端部に上蓋部50を固定する。以上により、図8に示すように、抑制剤3を貯蔵した状態で、複数のパッカー10,10,10にそれぞれ、複数の抑制剤供給タンク20,20,20が接続される。
【0038】
なお、このときそれぞれの抑制剤供給タンク20に貯蔵される抑制剤3の量は、コンクリート構造物1の成分や、注入孔2の間隔に応じて算出されるが、注入孔2が一定間隔に設けられている場合には、それぞれの抑制剤供給タンク20にそれぞれ同一量の抑制剤を入れればよい。
【0039】
また、抑制剤供給タンク20に抑制剤3を入れるためには、図7に示すように、固定したパッカー10の上端部に、下蓋部40、貯蔵部30を順に固定した状態で行う方法の他にも、例えば、図9(a)に示すように、下蓋部40と貯蔵部30だけを固定し、下蓋部40から抑制剤3が漏れないように栓をするなどしてから、抑制剤3を入れて上蓋部50を固定してもよい。そうすると図9(b)に示すような、抑制剤3貯蔵済の抑制剤供給タンク20を予め用意しておくことが可能であり、現場ではパッカー10に抑制剤供給タンク20を次々と接続するだけでよいため、作業効率が向上する。
【0040】
次に、図1に示すように、抑制剤供給タンク20,20,20にそれぞれ、空気パイプ61,62,63を接続する。そして、加圧ポンプ5を稼働させることで、空気パイプ60、分配器6、空気パイプ61,62,63を介して圧縮空気が送られて、抑制剤供給タンク20,20,20が加圧される。そうすると、抑制剤供給タンク20内に貯蔵された抑制剤3がパッカー10に供給されパッカー10の先端から噴出し、注入孔2からコンクリート構造物1の内部に加圧注入されて浸透する。
【0041】
本実施形態に係るアルカリ骨材反応抑制剤の注入装置及び注入方法は、以上のように構成されているので、次のような作用効果を奏する。
【0042】
コンクリート構造物1に設けられた複数の注入孔2,2,2に複数のパッカー10,10,10を挿入固定し、パッカー10,10,10の先端から抑制剤3を噴出させるので、コンクリート構造物1に広範囲に抑制剤3を加圧注入して内奥部にまで浸透させることができる。
【0043】
また、複数のパッカー10,10,10には、パッカーに抑制剤3を供給するための抑制剤供給タンク20,20,20がそれぞれ接続されており、これら複数の抑制剤供給タンク20,20,20を加圧手段5により加圧することで、それぞれの抑制剤供給タンク20,20,20からそれぞれのパッカー10,10,10に1対1で抑制剤3を供給することができる。従って、1つ1つの抑制剤供給タンク20,20,20に、対応する注入孔2に対して必要な量の抑制剤3を貯蔵しておいてから加圧するだけで、それぞれの注入孔2,2,2に対して必要な量の抑制剤3を確実に注入することができ、必要な量が注入された後そのままにしておいても、余分な抑制剤3が注入されることはない。そのため、注入が完了するたびに注入孔ごとにパイプを外すなどの煩雑な作業を行う必要がない。
【0044】
また、複数の注入孔2,2,2を一定間隔に設け、複数の抑制剤供給タンク20,20,20に、それぞれ同一量の抑制剤3を貯蔵した状態で加圧を開始することにより、広範囲のコンクリート構造物1に対して均一に抑制剤を加圧注入することができる。
【0045】
以上、本発明によれば、複数の注入孔2,2,2に必要な量の抑制剤3を確実かつ効率的に注入することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 コンクリート構造物
2 注入孔
3 抑制剤
4 貯蔵タンク
5 加圧ポンプ
6 分配器
7 分配器
10 パッカー
11 ナット
12 ナット
13 ゴムスリーブ
14 金属筒状体
15 ナット
16 連結部
17 ワッシャー
18 ワッシャー
19 軸体
20 抑制剤供給タンク
30 貯蔵部
31 筒状体
32 ねじ山
33 ねじ山
40 下蓋部
41 連結部
42 キャップ
50 上蓋部
51 連結部
52 キャップ
60 空気パイプ
61 空気パイプ
62 空気パイプ
63 空気パイプ
70 抑制剤パイプ
71 抑制剤パイプ
72 抑制剤パイプ
73 抑制剤パイプ
80 空気パイプ
100 注入装置
200 注入装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物に設けられた注入孔から亜硝酸リチウム水溶液等の抑制剤を加圧注入して、コンクリート構造物のアルカリ骨材反応を抑制するアルカリ骨材反応抑制剤の注入装置であって、
前記注入孔に挿入固定可能で、先端から前記抑制剤を噴出する複数のパッカーと、
前記複数のパッカーにそれぞれ接続されて、接続されたパッカーに対して前記抑制剤を供給する複数の抑制剤供給タンクと、
前記複数の抑制剤供給タンクを加圧する加圧手段とを有することを特徴とするアルカリ骨材反応抑制剤の注入装置。
【請求項2】
コンクリート構造物に設けられた注入孔から亜硝酸リチウム水溶液等の抑制剤を加圧注入して、コンクリート構造物のアルカリ骨材反応を抑制するアルカリ骨材反応抑制剤の注入方法であって、
先端から前記抑制剤を噴出する複数のパッカーを、複数の前記注入孔に挿入固定し、
複数の抑制剤供給タンクを、前記抑制剤を貯蔵した状態で前記複数のパッカーにそれぞれ接続し、
前記複数の抑制剤供給タンクを加圧手段により加圧して、前記複数のパッカーに前記抑制剤を供給して先端から噴出させることを特徴とするアルカリ骨材反応抑制剤の注入方法。
【請求項3】
前記複数の注入孔を一定間隔に設け、前記複数の抑制剤供給タンクに、それぞれ同一量の抑制剤を貯蔵した状態で加圧を開始することを特徴とする請求項2に記載のアルカリ骨材反応抑制剤の注入方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−38347(P2011−38347A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187902(P2009−187902)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【出願人】(596045155)福徳塗装工業株式会社 (1)
【出願人】(391010183)極東興和株式会社 (9)
【出願人】(506251502)井上建設株式会社 (2)
【出願人】(300078615)広島ガステクノ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】