説明

アルキルアミノ、アリールアミノおよびスルホンアミドシクロペンチルアミド系のケモカイン受容体活性調節剤

ある種の炎症性および免疫調節性の障害および疾患、アレルギー疾患、アトピー性状態(アレルギー性鼻炎、皮膚炎、結膜炎および喘息など)ならびに関節リウマチおよびアテローム性動脈硬化などの自己免疫病の予防または治療に有用なケモカイン受容体活性の調節剤である式(I)の化合物、およびこれらの化合物を含む医薬組成物、ならびにケモカイン受容体が関与するそのような疾患の予防または治療におけるこれら化合物および組成物の使用。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ケモカイン類は、強力な走化性活性を有する小さい(70〜120アミノ酸)催炎性サイトカインのファミリーである。ケモカインは、非常に多様な細胞によって放出されて、単球、大食細胞、T細胞、好酸球、好塩基球および好中球を炎症部位に引きつける走化性サイトカインである(総説:Schall, Cytokine, 3, 165-183 (1991)およびMurphy, Rev. Immun., 12, 593-633 (1994))。これらの分子は当初、4種類の保存システインによって定義され、最初のシステイン対の配置に基づいて2種類のサブファミリーに分類された。IL−8、GROα、NAP−2およびIP−10などがあるCXC−ケモカインファミリーでは、これら2個のシステインが1個のアミノ酸によって分離されており、RANTES、MCP−1、MCP−2、MCP−3、MIP−1α、MIP−1βおよびエオタキシン(eotaxin)などがあるCC−ケモカインファミリーでは、これら2個の残基が隣接している。
【0002】
インターロイキン−8(IL−8)、好中球活性化蛋白−2(NAP−2)およびメラノーマ成長刺激活性蛋白(MGSA)などのα−ケモカイン類は、主として好中球に対して走化性であるのに対して、RANTES、MIP−1α、MIP−1β、単核球走化性蛋白−1(MCP−1)、MCP−2、MCP−3およびエオタキシンなどのβ−ケモカイン類は大食細胞、単球、T−細胞、好酸球および好塩基球に対して走化性である(Deng et al., Nature, 381, 661-666 (1996))。
【0003】
ケモカイン類は、非常に多様な細胞種によって分泌され、白血球および他の細胞に存在する特異的G蛋白共役受容体(GPCR)に結合する(総説:Horuk, Trends Pharm. Sci., 15, 159-165 (1994))。これらのケモカイン受容体はGPCRのサブファミリーを形成し、それは現在、15の特性決定された構成員および多くの孤立体(orphan)からなる。C5a、fMLP、PAFおよびLTB4などの雑多な化学誘引剤の受容体とは異なり、ケモカイン受容体は白血球の小群でより選択的に発現される。従って、特異的ケモカインの生成が、特定の白血球小群の補充機序を提供する。
【0004】
同系のリガンドに結合すると、ケモカイン受容体は会合3量体G蛋白を介して細胞内信号を変換し、結果的に細胞内カルシウム濃度が急速に上昇する。CCR−1(または「CKR−1」または「CC−CKR−1」)[MIP−1α、MIP−1β、MCP−3、RANTES](Ben-Barruch, et al., J. Biol. Chem., 270, 22123-22128 (1995); Beote, et al., Cell, 72, 415-425 (1993));CCR−2AおよびCCR−2B(または「CKR−2A」/「CKR−2A」または「CC−CKR−2A」/「CC−CKR−2A」)[MCP−1、MCP−2、MCP−3、MCP−4];CCR−3(または「CKR−3」または「CC−CKR−3」)[エオタキシン、エオタキシン2、RANTES、MCP−2、MCP−3](Rollins, et al., Blood, 90, 908-928 (1997));CCR−4(または「CKR−4」または「CC−CKR−4」)[MIP−1α、RANTES、MCP−1](Rollins, et al., Blood, 90, 908-928 (1997));CCR−5(または「CKR−5」または「CC−CKR−5」)[MIP−1α、RANTES、MIP−1β](Sanson et al., Biochemistry, 35, 3362-3367 (1996));およびダッフィ式血液型抗原[RANTES、MCP−1](Chaudhun et al., J. Biol. Chem., 269, 7835-7838 (1994))という特徴的パターンを有するβ−ケモカイン類に結合または応答するヒトケモカイン受容体が少なくとも7種類ある。β−ケモカイン類には、ケモカインの中でも、エオタキシン、MIP(「大食球炎症蛋白」)、MCP(「単核球化学誘引性蛋白」)およびRANTES(「活性化に基づく調節、正常T細胞発現および分泌(regulation-upon-activation, normal T expressed and secreted)」)などがある。
【0005】
CCR−1、CCR−2、CCR−2A、CCR−2B、CCR−3、CCR−4、CCR−5、CXCR−3、CXCR−4などのケモカイン受容体は、喘息、鼻炎およびアレルギー疾患などの炎症性および免疫調節性の障害および疾患、ならびに関節リウマチおよびアテローム性動脈硬化などの自己免疫病の重要な介在物質であることが示唆されている。CCR−5遺伝子における32塩基対欠失について同型接合であるヒトは、関節リウマチに対する感受性が相対的に低いように思われる(Gomez, et al., Arthritis & Rheumatism, 42, 989-992 (1999))。アレルギー性炎症における好酸球の役割に関する総説がキタらによって報告されている(Kita, H., et al., J. Exp. Med., 183, 2421-2426 (1996))。アレルギー性炎症におけるケモカイン類の役割についての総説が、ルストガーによって報告されている(Lustger, A. D., New England J. Med., 338(7), 426-445 (1998))。
【0006】
ケモカインのある小群は、単球および大食球に対する強力な化学誘引物質である。これらのうちで最も特徴的なものはMCP−1(単球化学誘引物質蛋白−1)であり、それの主要な受容体はCCR2である。MCP−1は、齧歯類およびヒトなどの多様な動物種で炎症刺激に対する応答として多様な細胞種で産生され、単球およびリンパ球のある小群における走化性を刺激する。特にMCP−1産生は、炎症部位での単球および大食球の浸潤と相関している。マウスにおける同種組換えによるMCP−1またはCCR2のいずれかの欠失によって、チオグリコレート注射およびリステリアモノサイトゲネス感染に応答した単球補充に顕著な減弱が生じる(Lu et al., J. Exp. Med., 187: 601-608 (1998); Kurihara et al. J. Exp. Med. 186: 1757-1762 (1997); Boring et al. J. Clin. Invest. 100: 2552-2561 (1997); Kuziel et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 94: 12053-12058 (1997))。さらにこれらの動物は、住血吸虫またはマイコバクテリア抗原注射誘発の肉芽腫病変への単球浸潤の低減を示す(Boring et al. J. Clin. Invest. 100: 2552-2561 (1997); Warmington et al. Am J. Path. 154: 1407-1416 (1999))。これらのデータは、MCP−1誘発CCR活性化が炎症部位への単球補充において主要な役割を果たすこと、ならびにこの活動の拮抗が免疫炎症疾患および自己免疫疾患での治療効果を与えるだけの免疫応答抑制を生じさせることを示唆している。
【0007】
従って、CCR−2受容体などのケモカイン受容体を調節する薬剤は、そのような障害および疾患において有用であると考えられる。
【0008】
さらに、血管壁における炎症病変への単球の補充は、アテローム発生性プラーク形成の病因の主要要素である。高コレステロール血症状態での血管壁に対する損傷後に、内皮細胞および内膜平滑筋細胞によってMCP−1が産生および分泌される。損傷部位に補充された単球は、血管壁に浸潤し、放出MCP−1に反応して泡沫細胞に分化する。現在いくつかの研究グループが、高脂肪飼料に維持したAPO−E−/−、LDL−R−/−またはアポBトランスジェニックマウスに戻し交雑したMCP−1−/−またはCCR2−/−マウスにおいて、大動脈病変の大きさ、大食球含有量および壊死が小さくなることを明らかにしている(Boring et al. Nature 394: 894-897 (1998); Gosling et al. J. Clin. Invest. 103: 773-778 (1999))。そこでCCR2拮抗薬は、動脈壁における単球の補充および分化を妨害することで、アテローム性動脈硬化病変形成および病的進行を阻害することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ケモカイン受容体活性の調節剤であり、ある種の炎症性および免疫調節性の障害および疾患、アレルギー疾患、アトピー性状態(アレルギー性鼻炎、皮膚炎、結膜炎および喘息など)ならびに関節リウマチおよびアテローム性動脈硬化などの自己免疫病の予防または治療に有用な下記式の化合物:
【0010】
【化8】

に関するものである。本発明はさらに、これら化合物を含む医薬組成物ならびにケモカイン受容体が関与するそのような疾患の予防または治療におけるこれら化合物および組成物の使用に関するものでもある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下記式Iの化合物に関するものである。
【0012】
【化9】

式中、
Zは、NまたはCであって、2個以下のZがNであり;
は、−C1−6アルキル、−C0−6アルキル−O−C1−6アルキル、−C0−6アルキル−S−C1−6アルキル、−C0−6アルキル−SO−C1−6アルキル、−C0−6アルキル−SO−C1−6アルキル、−C0−6アルキル−SO−NR12−C0−6アルキル、−(C0−6アルキル)−(C3−7シクロアルキル)−(C0−6アルキル)ヒドロキシ、複素環、−CN、−NR1212、−NR12COR13、−NR12SO14、−COR11、−CONR1212およびフェニルから選択され;アルキルおよびシクロアルキルは未置換であるか独立にハロ、ヒドロキシ、−0−C1−3アルキル、トリフルオロメチル、C1−3アルキル、−O−C1−3アルキル、−COR11、−SO14、−NHCOR15、−NHSOCH、複素環、=Oおよび−CNから選択される1〜7個の置換基で置換されており;フェニルおよび複素環は独立に、未置換であるか独立にハロ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、トリフルオロメチルおよびNHCOR15から選択される1〜3個の置換基で置換されており;
に結合したZがNである場合にはRは酸素であるか非存在であり、Rに結合したZがCである場合にはRは水素、1〜3個のフッ素で置換されていても良いC1−3アルキル、1〜3個のフッ素で置換されていても良い−O−C1−3アルキル、ヒドロキシ、塩素、フッ素、臭素およびフェニルから選択され;
に結合したZがNである場合にはRは酸素であるか非存在であり、Rに結合したZがCである場合にはRは水素、ヒドロキシ、ハロ、C1−3アルキルから選択され;前記アルキルは未置換であるか独立にフッ素、ヒドロキシおよび−COR11、−NR1212、−COR11、−CONR1212、−NR12COR13、−OCONR1212、−NR12CONR1212、−複素環、−CN、−NR12−SO−NR1212、−NR12−SO−R14、−SO−NR1212およびニトロから選択される1〜6個の置換基で置換されており;
に結合したZがNである場合にはRは酸素であるか非存在であり、Rに結合したZがCである場合にはRは水素、1〜3個のフッ素で置換されていても良いC1−3アルキル、1〜3個のフッ素で置換されていても良い−O−C1−3アルキル、ヒドロキシ、塩素、フッ素、臭素およびフェニルから選択され;
は、C0−6アルキル(アルキルは未置換であるかフッ素およびヒドロキシルから選択される1〜6個の置換基で置換されている。)、−O−C1−6アルキル(アルキルは未置換であるか1〜6個のフッ素で置換されている。)、−CO−C1−6アルキル(アルキルは未置換であるか1〜6個のフッ素で置換されている。)、−S−C1−6アルキル(アルキルは未置換であるか1〜6個のフッ素で置換されている。)、ピリジル(未置換であるかハロ、トリフルオロメチル、C1−4アルキルおよびCOR11から選択される1以上の置換基で置換されている。)、フッ素、塩素、臭素、−C4−6シクロアルキル、−O−C4−6シクロアルキル、フェニル(未置換であるかハロ、トリフルオロメチル、C1−4アルキルおよびCOR11から選択される1以上の置換基で置換されている。)、−O−フェニル(未置換であるかハロ、トリフルオロメチル、C1−4アルキルおよびCOR11から選択される1以上の置換基で置換されている。)、−C3−6シクロアルキル(アルキルは未置換であるか1〜6個のフッ素で置換されている。)、−O−C3−6シクロアルキル(アルキルは未置換であるか1〜6個のフッ素で置換されている。)、−複素環、−CNおよび−COR11から選択され;
に結合したZがNである場合にはRは酸素であるか非存在であり、Rに結合したZがCである場合にはRは水素、1〜3個のフッ素で置換されていても良いC1−3アルキル、1〜3個のフッ素で置換されていても良い−O−C1−3アルキル、ヒドロキシ、塩素、フッ素、臭素およびフェニルから選択され;
は、水素、C1−8アルキル(未置換であるかヒドロキシ、ハロ、−O−C1−6アルキル、−CN、−NR1212、−NR12COR13、−NR12SO14、−COR11、−CONR1212、フェニルおよび複素環から選択される1〜6個の置換基で置換されており、前記アルキル、フェニルおよび複素環は未置換であるかハロ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、−COH、−CO−C1−6アルキルおよびトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基で置換されている。)および−SO1−6アルキル(未置換であるかヒドロキシ、ハロ、−O−C1−6アルキル、CN、−NR1212、−NR12COR13、−NR12SO14、−COR11、−CONR1212、フェニルおよび複素環から選択される1〜6個の置換基で置換されており、前記アルキル、フェニルおよび複素環は未置換であるかハロ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、−COH、−CO−C0−6アルキルおよびトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基で置換されている)から選択され;
は、C1−10アルキル、−SO1−10アルキル、ピリジルまたはフェニルから選択され;これらは未置換であるかヒドロキシ、ハロ、−O−C1−6アルキル、−S−C1−6アルキル、CN、−NR1212、−NR12COR13、−NR12SO14、−COR11、−CONR1212、−SO14、複素環、=O(酸素が二重結合を介して結合している。)、フェノキシおよびフェニルから選択される1〜5個の置換基で置換されており;前記アルキル、フェニル、フェノキシおよび複素環は、未置換であるかハロ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、−COR11、−CN、−NR1212、−SO14、−NR12COR13、−NR12SO14および−CONR1212から選択される1〜3個の置換基で置換されており;前記アルキルおよびアルコキシは、1〜5個のフッ素で置換されていても良く;
10およびR16は独立に、=O、水素、フェニル、C1−6アルキル(未置換であるか以下の置換基:−COR11、ヒドロキシ、フッ素、塩素および−O−C1−3アルキルのうちの1〜6個で置換されている。)から選択され;
11は独立に、ヒドロキシ、水素、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、ベンジル、フェニル,C3−6シクロアルキルから選択される;前記アルキル、フェニル、ベンジルおよびシクロアルキル基は、未置換であるか独立にハロ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、−COH、−CO−C1−6アルキルおよびトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基で置換されており;
12は、水素、C1−6アルキル、ベンジル、フェニル、C3−6シクロアルキルから選択され;前記アルキル、フェニル、ベンジルおよびシクロアルキル基は、未置換であるか独立にハロ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、−COH、−CO−C1−6アルキルおよびトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基で置換されており;
13は、水素、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、ベンジル、フェニル、C3−6シクロアルキルから選択され;前記アルキル、フェニル、ベンジルおよびシクロアルキル基は、未置換であるか独立にハロ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、−COH、−CO−C1−6アルキルおよびトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基で置換されており;
14は、ヒドロキシ、C1−6−アルキル、−O−C1−6アルキル、ベンジル、フェニル、C3−6シクロアルキルから選択され;前記アルキル、フェニル、ベンジルおよびシクロアルキル基は、未置換であるか独立にハロ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、−COH、−CO−C1−6アルキルおよびトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基で置換されており;
15は、水素およびC1−3アルキルから選択され;
またはRおよびR15が一体となって、−CH(CR17171−3−、−CHNR18−、−NR18−CR1717−、−CR1717O−、−CR1717SO−、−CR1717SO−、−CR1717S−、−CR1717−および−NR18−から選択される連結基(連結基の左側がR15でのアミド窒素に結合している)を有する炭素環または複素環を形成しており;
17は、水素、ヒドロキシ、ハロおよびC1−3アルキルから選択され;前記アルキルは、未置換であるか独立にフッ素およびヒドロキシ、−NR1212、COR11、−CONR1212、−NR12COR13、−OCONR1212、−NR12CONR1212、−複素環、−CN、−NR12−SO−NR1212、−NR12−SO−R14、−SO−NR1212および=Oから選択される1〜6個の置換基で置換されており;1個のR17が二重結合を介して環に連結されている場合、同じ位置の他のR17は非存在であり;
18は、水素、C1−3アルキル(未置換であるか独立にフッ素およびヒドロキシ、COR13、SO14およびSONR1212から選択される1〜6個の置換基で置換されている。)から選択され;
点線は存在しても良い結合を表す。
【0013】
本発明の好ましい化合物は、下記式Iaの化合物を含む。
【0014】
【化10】

式中、R、R、R、R、RおよびZは本明細書で記載されており;Rは、水素、ヒドロキシ、C1−3アルキル(未置換であるか独立にフッ素およびヒドロキシから選択される1〜6個の置換基で置換されている。)、−COR11、−CONR1212、−NR12COR11、−NR12−SO−R14、−SO−NR1212および=Oから選択され;Rは二重結合を介して環に連結されている。
【0015】
本発明の好ましい化合物は、下記式Ibの化合物も含む。
【0016】
【化11】

式中、R、R、R、R、RおよびZは本明細書で記載されている。
【0017】
本発明の好ましい化合物は、下記式Icの化合物も含む。
【0018】
【化12】

式中、R、R、R、R、RおよびZは本明細書で記載されている。
【0019】
本発明のより好ましい化合物は、下記式Idの化合物も含む。
【0020】
【化13】

式中、R、R、R、R、RおよびZは本明細書で記載されている。
【0021】
本発明のより好ましい化合物は、下記式Ieの化合物も含む。
【0022】
【化14】

式中、R、R、R、RおよびZは本明細書で記載されている。
【0023】
本発明のより好ましい化合物は、下記式Ifの化合物も含む。
【0024】
【化15】

式中、R、RおよびRは本明細書で記載されている。
【0025】
本発明では、Rが−C0−6アルキル、−C0−6アルキル−O−C1−6アルキルおよび−(C0−6アルキル)−(C3−7シクロアルキル)−(C0−6アルキル)から選択され:前記アルキルおよび前記シクロアルキルは、未置換であるか独立にハロ、ヒドロキシ、−O−C1−3アルキル、トリフルオロメチル、C1−3アルキル、−O−C1−3アルキル、−COR11、−CN、−NR1212および−CONR1212から選択される1〜7個の置換基で置換されていることが好ましい。
【0026】
本発明では、Rが、
未置換であるか独立にハロ、ヒドロキシ、−O−C1−3アルキル、トリフルオロメチルおよび−COR11から選択される1〜6個の置換基で置換されている−C0−6アルキル、
未置換であるかNHCOR15で置換されているチアゾリル、
未置換であるか独立にハロ、トリフルオロメチルおよび−COR11から選択される1〜6個の置換基で置換されている−C0−6アルキル−O−C1−6アルキル、および
未置換であるか独立にハロ、ヒドロキシ、−O−C1−3アルキル、トリフルオロメチルおよび−COR11から選択される1〜7個の置換基で置換されている−(C3−5シクロアルキル)−(C0−6アルキル)
から選択されることがより好ましい。
【0027】
本発明では、RがC1−6アルキル、ヒドロキシルで置換されたC1−6アルキルおよび1〜6個のフッ素で置換されたC1−6アルキルから選択されることがさらに好ましい。
【0028】
本発明では、Rが−CH(CH、−CH(OH)CHおよび−CHCFから選択されることが最も好ましい。
【0029】
本発明では、Rが水素であるか、またはRとR15が−CH−CH−および−CH−O−から選択される連結基によって一体となっていることが好ましい。
【0030】
本発明では、Rに結合したZがNである場合には、Rは非存在であるかO(N−オキサイドを与える)であることが好ましい。
【0031】
本発明では、Rに結合したZがNである場合には、Rは非存在であることがより好ましい。
【0032】
本発明では、Rに結合したZがCである場合には、Rは水素、ハロ、ヒドロキシ、C1−3アルキルから選択され;前記アルキルは未置換であるか独立にフッ素およびヒドロキシ、−COR11、−CONR1212、−複素環、−NR12−SO−NR1212、−NR12−SO−R14、−SO−NR1212、−ニトロおよび−NR1212から選択される1〜6個の置換基で置換されていることが好ましい。
【0033】
本発明では、Rに結合したZがCである場合には、Rは水素、フッ素またはトリフルオロメチルであることがより好ましい。
【0034】
本発明では、Rに結合したZがCであることが好ましい。
【0035】
本発明では、Rが水素であることが好ましい。
【0036】
本発明では、Rが1〜6個のフッ素で置換されたC1−6アルキル、1〜6個のフッ素で置換された−O−C1−6アルキル、塩素、臭素およびフェニルから選択されることが好ましい。
【0037】
本発明では、Rがトリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、塩素、臭素およびフェニルから選択されることがより好ましい。
【0038】
本発明では、Rがトリフルオロメチルであることが最も好ましい。
【0039】
本発明では、Rに結合したZがCであることが好ましい。
【0040】
本発明では、Rが水素であることが好ましい。
【0041】
本発明では、Rが水素またはメチルであることが好ましい。
【0042】
本発明では、Rが水素であることがより好ましい。
【0043】
本発明では、Rが、ヒドロキシで置換されていても良いC1−8アルキル、1〜6個のフッ素で置換されたC1−6アルキル、−COR11で置換されたC1−6アルキル、ベンジル(未置換であるかヒドロキシ、メトキシ、塩素、フッ素、−COR11、メチルおよびトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基で置換されている。)、−CH−ピリジル(未置換であるかヒドロキシ、メトキシ、塩素、フッ素、メチルおよびトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基で置換されている。)から選択されることが好ましい。
【0044】
本発明では、Rがヒドロキシル、水素、=O(Rが二重結合を介して環に連結されている。)から選択されることが好ましい。
【0045】
本発明では、Rが水素であることがより好ましい。
【0046】
本発明では、R10が水素であることが好ましい。
【0047】
本発明では、R15が水素であるかRで記載のようにRに連結されていることが好ましい。
【0048】
本発明では、R16が酸素であって、二重結合を介して連結されていることが好ましい。
【0049】
ジアステレオマーおよびエナンチオマーの独立の合成またはそれらのクロマトグラフィー分離は、本明細書に開示の方法に適切な変更を加えることで、当業界で公知の方法によって行うことができる。これらの絶対立体化学は、結晶性生成物または結晶性中間体のX線結晶解析によって決定することができ、それらは必要に応じて、既知の絶対配置の不斉中心を有する試薬で誘導体化する。
【0050】
ジアステレオマーおよびエナンチオマーの独立の合成またはそれらのクロマトグラフィー分離は、本明細書に開示の方法に適切な変更を加えることで、当業界で公知の方法によって行うことができる。これらの絶対立体化学は、結晶性生成物または結晶性中間体のX線結晶解析によって決定することができ、それらは必要に応じて、既知の絶対配置の不斉中心を有する試薬で誘導体化する。
【0051】
当業者には明らかなように、本明細書で使用されるハロまたはハロゲンとは、塩素、フッ素、臭素およびヨウ素を含むものである。同様に、C1−8アルキルにおけるようなC1−8とは、直鎖または分岐配置で1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個または8個の炭素を有し、C1−8アルキルは具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルおよびオクチルを含むような基を識別するものと定義される。同様に、Cアルキルの場合のようなCは、直接共有結合の存在を識別するものと定義される。本明細書で使用される「複素環」という用語は、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキザリニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニルならびにそれらのN−オキサイドなどの基を含むものである。
【0052】
本明細書において「製薬上許容される」という表現は、妥当な医学的判断の範囲内において、過度の毒性、刺激、アレルギー応答その他の問題もしくは合併症を生じることなく、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに好適であり、しかも妥当な利益/危険比を与える化合物、材料、組成物および/または製剤を指すのに用いられる。
【0053】
本明細書で使用される「製薬上許容される塩」とは、親化合物がそれの酸塩もしくは塩基塩を製造することで修飾された誘導体を指す。製薬上許容される塩の例には、アミン類などの塩基性残基の無機酸または有機酸の塩;カルボン酸類などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩などがあるが、これらに限定されるものではない。製薬上許容される塩には、例えば無毒性の無機または有機酸から形成される親化合物の従来の無毒性の塩または4級アンモニウム塩が含まれる。例えばそのような従来の無毒性塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導される塩;ならびに酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などの有機酸から製造される塩などがある。
【0054】
本発明の製薬上許容される塩は、従来の化学的方法によって、塩基性部分または酸性部分を有する親化合物から製造することができる。一般にはそのような塩は、水もしくは有機溶媒中、または2種類の混合液中、遊離酸または遊離塩基の形でのその化合物を、化学量論量の適切な塩基または酸と反応させることで製造することができる。エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水系媒体が好ましい。好適な塩は、例えばレミングトンの著作にある(Remington′s Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1985, p.1418)。
【0055】
本発明の例としては、実施例および本明細書に開示の化合物の使用がある。
【0056】
本発明に含まれる具体的な化合物には、実施例の標題化合物からなる群から選択される化合物ならびにそれの製薬上許容される塩およびそれの個々のジアステレオマーなどがある。
【0057】
その化合物は、ケモカイン受容体活性の調節を必要とする患者でその調節を行う方法であって、有効量のその化合物を投与する段階を有する方法において有用である。
【0058】
本発明は、ケモカイン受容体活性調節剤としての前記化合物の使用に関する。詳細にはこれら化合物は、ケモカイン受容体、特にCCR−2の調節剤として有用である。
【0059】
本発明による化合物のケモカイン受容体活性調節剤としての有用性は、CCR−2結合の測定に容易に適合させることができるバン・リパーら(Van Riper et al., J. Exp. Med., 177, 851-856 (1993))が開示しているようなケモカイン結合のアッセイなどの当業界で公知の方法によって示すことができる。
【0060】
単球、THP−1細胞などの各種細胞種での内因性CCR−2受容体に対する125I−MCP−1の阻害を測定することで、または真核細胞中でクローニング受容体を異種発現させた後に、CCR−2結合アッセイでの受容体アフィニティを求めた。細胞を、被験化合物またはDMSOおよび125I−MCP−1を加えた結合緩衝液(50mM Hepes、pH7.2、5mM MgCl、1mM CaClおよび0.50%BSA)中に室温で1時間懸濁させて、結合を行わせた。細胞をGFBフィルターで回収し、500mM NaClを含む25mM Hepes緩衝液で洗浄し、細胞結合125I−MCP−1を定量した。
【0061】
走化性アッセイにおいて、静脈全血または白血球泳動した(leukophoresed)血液から単離し、フィコール−ハイペーク(Ficoll-Hypaque)遠心とそれに続くノイラミニダーゼ処理ヒツジ赤血球によるロゼット化(rosetting)によって精製したT細胞欠乏PBMCを用いて、走化作用を行った。細胞を単離した後、その細胞を0.1mg/mL BSA含有HBSSで洗浄し、細胞1×10個/mLで懸濁させた。細胞を暗所にて、2μMカルシエン−AM(Calcien-AM)(Molecular Probes)によって37℃で30分間蛍光標識した。標識した細胞を2回洗浄し、0.1mg/mL BSA含有のL−グルタミン(フェノールレッドを含まない)を含んだRPMI1640に5×10個/mLで懸濁させた。同じ媒体で希釈した10ng/mLのMCP−1(Peprotech)または媒体のみを底部ウェルに加えた(27μL)。DMSOまたは各種濃度の被験化合物とともに15分間前インキュベーションした後、単球(150000個)をフィルターの上面に加えた(30μL)。底部ウェルに同濃度の被験化合物またはDMSOを加えて、拡散による希釈を防止した。37℃、5%COで60分間インキュベーションした後、フィルターを取り出し、0.1mg/mL BSA含有HBSSで上面を洗浄して、フィルター内に移動しなかった細胞を除去した。化学誘引物質非存在下で、自然移動(走化性)を測定した。
【0062】
詳細には、後述の実施例の化合物は、上記アッセイでCCR−2受容体に対する結合における活性を有しており、概してIC50は約1μM未満であった。このような結果は、ケモカイン受容体活性の調節剤として使用した場合にその化合物が固有の活性を有することを示すものである。
【0063】
哺乳動物のケモカイン受容体は、ヒトなどの哺乳動物における好酸球および/またはリンパ球の機能を妨害または促進する上での標的を提供する。ケモカイン受容体機能を阻害もしくは促進する化合物は、治療を目的とした好酸球および/またはリンパ球の機能調節に特に有用である。従って、ケモカイン受容体機能を阻害または促進する化合物は、非常に多様な炎症性および免疫調節性の障害および疾患、アレルギー疾患、アレルギー性鼻炎、皮膚炎、結膜炎および喘息などのアトピー性状態ならびに関節リウマチおよびアテローム性動脈硬化などの自己免疫病の治療、予防、改善、管理またはリスク低下において有用であると考えられる。
【0064】
例えば、哺乳動物のケモカイン受容体(例:ヒトケモカイン受容体)の1以上の機能を阻害する本発明の化合物を投与して、炎症を阻害(すなわち、軽減または予防)することができる。その結果、白血球移動、走化性、排出作用(例えば、酵素、ヒスタミンのもの)または炎症介在物質放出などの1以上の炎症プロセスが阻害される。
【0065】
ヒトなどの霊長類以外に、他の各種哺乳動物を、本発明の方法に従って治療することができる。例えば、雌ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラットまたは他のウシ類、ヒツジ類、ウマ類、イヌ類、ネコ類、齧歯類またはネズミ類などの哺乳動物(これらに限定されるものではない)を治療することができる。しかしながら、この方法は、鳥類(例:ニワトリ)などの他の動物種で行うこともできる。
【0066】
炎症および感染に関連する疾患および状態を、本発明の化合物を用いて治療することができる。好ましい実施形態では、その疾患または状態は、リンパ球の作用を阻害または促進して、炎症応答を調節するものである。
【0067】
ケモカイン受容体機能の阻害薬で治療することができるヒトその他の動物の疾患または状態には、喘息、特に気管支喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎(例:レフラー症候群、慢性好酸球性肺炎)、遅発型過敏症、間質性肺疾患(ILD)(例:特発性肺線維症または関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎または皮膚筋炎に関連するILD)などの呼吸器アレルギー性疾患等の炎症性またはアレルギー性の疾患および状態;全身性アナフィラキシーまたは過敏応答、薬剤アレルギー(例:ペニシリン、セファロスポリン類に対するもの)、昆虫刺傷アレルギー;関節リウマチ、乾癬性関節炎、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、重症筋無力症、若年型糖尿病などの自己免疫疾患;糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、ベーチェット病;同種異系移植片拒絶反応または移植片対宿主疾患などの移植片拒否反応(例:移植術);クローン病および潰瘍性大腸炎などの炎症性大腸疾患;脊椎関節症;鞏皮症;乾癬(T細胞介在乾癬を含む)および皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、蕁麻疹などの炎症性皮膚疾患;脈管炎(例:壊死性、皮膚性および過敏性の脈管炎);好酸球性筋炎、好酸球性筋膜炎;皮膚もしくは臓器の白血球浸潤を伴う癌などがあるが、これらに限定されるものではない。再潅流損傷、アテローム性動脈硬化、ある種の血液悪性腫、サイトカイン誘発毒性(例:敗血症ショック、エンドトキシンショック)、多発性筋炎、皮膚筋炎などの望ましくない炎症応答を阻害すべき他の疾患または状態を治療することができる。
【0068】
ケモカイン受容体機能の調節剤によって治療することができるヒトその他の動物における疾患または状態には、AIDSその他のウィルス疾患などの免疫不全症候群の患者、免疫抑制を引き起こす放射線療法、化学療法、自己免疫疾患療法または薬物療法(例:副腎皮質ホルモン療法)を受けている患者におけるような免疫抑制;受容体機能の先天的不全その他の原因による免疫抑制;ならびに線虫(蛔虫);(鞭虫病、蟯虫症、蛔虫症、十二指腸虫症、糞線虫症、旋毛虫病、フィラリヤ症);吸虫(肝蛭)(住血吸虫症、肝吸虫症)、条虫(サナダムシ)(包虫症、無鉤条虫症、嚢虫症);内臓寄生虫、内臓幼虫移行症(例:小回虫)、好酸球性胃腸炎(例:Anisaki spp., Phocanema ssp.)および皮膚幼虫移行症(Ancylostrona braziliense, Ancylostoma caninum)などの寄生虫感染のような(これらに限定されるものではない)寄生病などの感染疾患などがあるが、これらに限定されるものではない。さらに、細胞移動の方向違いを生じる形での、ケモカイン受容体の内部移行誘発または化合物送達によって受容体発現の喪失を引き起こすだけの化合物の送達を考える場合、サイトカイン受容体機能の促進剤についても、上記の炎症疾患、アレルギー疾患および自己免疫疾患の治療を想到することができる。
【0069】
従って本発明の化合物は、非常に多様な炎症性および免疫調節性の障害および疾患の、アレルギー状態、アトピー性状態ならびに自己免疫病の治療、予防、改善、管理またはリスク低下において有用である。ある具体的な実施形態では本発明は、関節リウマチまたは乾癬性関節炎などの自己免疫疾患の治療、予防、改善、管理またはリスク低下への当該化合物の使用に関するものである。
【0070】
別の態様では、本発明を用いて、CCR−2などのケモカイン受容体の特異的作働薬または拮抗薬の候補剤を評価することができる。従って本発明は、ケモカイン受容体の活性を調節する化合物に関するスクリーニングアッセイの準備および実行における上記化合物の使用に関するものである。例えば本発明の化合物は、より強力な化合物についての優れたスクリーニング手段である受容体突然変異体を単離するのに有用である。さらに、本発明の化合物は、例えば競争的阻害によって、他の化合物がケモカイン受容体に結合する部位を確認または決定するのに有用である。本発明の化合物はまた、CCR−2などのケモカイン受容体の特異的調節剤の候補剤を評価する上で有用である。当業界において認められているように、これら受容体に対して高い親和性を有する非ペプチド系(代謝に対して耐性の)化合物がなかったことで、上記ケモカイン受容体の特異的作働薬および拮抗薬を十分に評価することができなかった。そこで本発明の化合物は、そのような目的のために販売される商業的製品となるものである。
【0071】
本発明はさらに、ヒトおよび動物におけるケモカイン受容体活性を調節するための医薬品の製造方法であって、本発明の化合物と医薬用の担体もしくは希釈剤とを組み合わせる段階を有してなる方法に関するものでもある。
【0072】
本発明はさらに、レトロウィルス、特にヘルペスウィルスまたはヒト免疫不全ウィルス(HIV)による感染の治療、予防、改善、管理またはリスク低下ならびにAIDSなどの結果的に生じる病的状態の治療および発症遅延における本発明の化合物の使用に関するものでもある。AIDSの治療またはHIV感染の予防もしくは治療には、症候性および無症候性の両方のAIDS、ARC(AIDS関連の合併症)ならびにHIVに対する実際または潜在的曝露という広範囲のHIV感染状態の治療が含まれるものと定義されるが、それに限定されるものではない。例えば本発明の化合物は、例えば輸血、臓器移植、体液交換、噛みつき、偶発的な注射針突き刺しまたは手術時の患者血液に対する曝露などによるHIVへの曝露が疑われる過去の事象があった後における、HIVによる感染の治療において有用である。
【0073】
本発明の別の態様では、標的細胞のCCR−2等のケモカイン受容体へのケモカインの結合を阻害する方法で本発明の化合物を使用することができ、その方法においては、前記ケモカインのケモカイン受容体への結合を阻害する上で有効な量の前記化合物と標的細胞とを接触させる段階がある。
【0074】
上記の方法で治療される患者は、ケモカイン受容体活性の調節が望まれる哺乳動物、好ましくはヒト(男性または女性)である。本明細書で使用される「調節」とは、拮抗、作働、部分的拮抗、逆作働および/または部分的作働を含むものである。本発明の好ましい態様においては、調節とはケモカイン受容体活性の拮抗を指す。「治療上有効量」という用語は、研究者、獣医、医師その他の臨床関係者が追求している組織、系、動物またはヒトの生理的もしくは医学的応答を引き出すだけの当該化合物の量を意味する。
【0075】
本明細書で使用される「組成物」という用語は、所定量で所定の成分を含有するもの、ならびに直接もしくは間接に所定の成分を所定量で組み合わせることで得られるものを含むものである。「製薬上許容される」とは、担体、希釈剤または賦形剤が、製剤における他の成分と適合性であり、その製剤の投与を受ける患者に対して有害性があってはならないことを意味するものである。
【0076】
化合物の「投与」という用語は、本発明の化合物を、処置を必要とする者に対して与えることを意味するものと理解すべきである。
【0077】
本明細書で使用する場合、「治療」という用語は、上記状態の治療ならびに防止もしくは予防療法の両方を指すものである。
【0078】
ケモカイン受容体活性を調節することで、喘息およびアレルギー疾患などの炎症性および免疫調節性の障害および疾患ならびに関節リウマチおよびアテローム性動脈硬化などの自己免疫病そして前述の病気を治療、予防、改善、管理またはリスク低下するための併用療法としては、本発明の化合物とそのような用途が知られている他の化合物との組み合わせが例として挙げられる。
【0079】
例えば、炎症の治療、予防、改善、管理またはリスク低下では、オピエート作働薬、5−リポキシゲナーゼ阻害薬などのリポキシゲナーゼ阻害薬、シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬などのシクロオキシゲナーゼ阻害薬、インターロイキン−1阻害薬などのインターロイキン阻害薬、NMDA拮抗薬、一酸化窒素阻害薬もしくは一酸化窒素合成阻害薬、非ステロイド系抗炎症薬またはサイトカイン抑制抗炎症薬などの抗炎症薬もしくは鎮痛薬との併用、例えばアセトアミノフェン、アスピリン、コデイン、エンブレル(embrel)、フェンタニル、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラク(ketorolac)、モルヒネ、ナプロキセン、フェナセチン、ピロキシカム、ステロイド系鎮痛薬、スフェンタニル(sufentanyl)、サンリンダク(sunlindac)、テニダップ(tenidap)などの化合物との併用で、本発明の化合物を用いることができる。同様に、本発明の化合物は、疼痛緩和剤;カフェイン、H2−拮抗薬、シメチコン、水酸化アルミニウムもしくは水酸化マグネシウムなどの増強剤;フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、シュードフェドリン(pseudophedrine)、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリンもしくはレボ−デスオキシ−エフェドリンなどの鬱血除去薬;コデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタンもしくはデキストラメトルファン(dextramethorphan)などの鎮咳薬;利尿薬;ならびに鎮静性もしくは非鎮静性抗ヒスタミン剤とともに投与することができる。
【0080】
同様に本発明の化合物は、本発明の化合物が有用である疾患または状態の治療/予防/抑制または改善において使用される他の薬剤と併用することができる。そのような他薬剤は、その薬剤について通常使用される経路および量で、本発明の化合物と同時にまたは順次に投与することができる。本発明の化合物を1以上の他薬剤と同時に用いる場合、本発明の化合物とともにそのような他薬剤を含む医薬組成物が好ましい。従って、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物に加えて1以上の他の有効成分も含有するものが含まれる。
【0081】
別個に投与するかまたは同じ医薬組成物で投与される、本発明の化合物と併用可能な他の有効成分の例としては、(a)米国特許第5510332号、WO95/15973、WO96/01644、WO96/06108、WO96/20216、WO96/22966、WO96/31206、WO96/40781、WO97/03094、WO97/02289、WO98/45656、WO98/53814、WO98/53817、WO98/53818、WO98/54207およびWO98/58902に記載のようなVLA−4拮抗薬;(b)ベクロメタゾン、メチルプレドニソロン、ベタメタゾン、プレドニソン、デキサメタゾンおよびヒドロコルチゾンなどのステロイド類;(c)シクロスポリン、タクロリマス(tacrolimus)、ラパマイシン(rapamycin)および他のFK−506型免疫抑制剤などの免疫抑制剤;(d)ブロモフェニラミン、クロルフェニラミン、デキスクロルフェニラミン、トリプロリジン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、トリペレナミン、ヒドロキシジン、メトジラジン、プロメタジン、トリメプラジン、アザタジン(azatadine)、シプロヘプタジン、アンタゾリン、フェニラミン、ピリラミン、アステミゾール、テルフェナジン、ロラタジン(loratadine)、デスロラタジン、セチリジン(cetirizine)、フェクソフェナジン(fexofenadine)、デスカルボエトキシロラタジンなどの抗ヒスタミン類(H1−ヒスタミン拮抗薬);(e)β2−作働薬(テルブタリン、メタプロテレノール、フェノテロール、イソエタリン、アルブテロール、ビトルテロールおよびピルブテロール)、テオフィリン、クロモリンナトリウム、アトロピン、臭化イプラトロピウム、ロイコトリエン拮抗薬(ザフィルルカスト(zafirlukast)、モンテルカスト(montelukast)、プランルカスト(pranlukast)、イラルカスト(iralukast)、ポビルカスト(pobilukast)、SKB−106203)、ロイコトリエン生合成阻害薬(ジロイトン(zileuton)、BAY−1005)などの非ステロイド系抗喘息薬;(f)プロピオン酸誘導体(アルミノプロフェン(alminoprofen)、ベノキサプロフェン、ブクロキシル酸(bucloxic acid)、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン(fluprofen)、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン(miroprofen)、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸およびチオキサプロフェン(tioxaprofen))、酢酸誘導体(インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナック、フェンクロジン酸(fenclozic acid)、フェンチアザク、フロフェナク(furofenac)、イブフェナック、イソキセパック、オキシピナク(oxpinac)、スリンダク、チオピナク(tiopinac)、トルメチン、ジドメタシン(zidometacin)およびゾメピラク)、フェナム酸(fenamic acid)誘導体(フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸およびトルフェナム酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(ジフルニサルおよびフルフェニサル(flufenisal))、オキシカム類(イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカム(sudoxicam)およびテノキシカム)、サリチル酸類(アセチルサリチル酸、スルファサラジン)およびピラゾロン類(アパゾン、ビズピペリロン(bezpiperylon)、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン)などの非ステロイド系抗炎症剤(NSAID);(g)シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害薬;(h)ホスホジエステラーゼIV型(PDE−IV)の阻害薬;(i)他のケモカイン受容体、特にCCR−1、CCR−2、CCR−3、CXCR−3およびCCR−5の拮抗薬;(j)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬(ロバスタチン、シンバスタチン(simvastatin)およびプラバスタチン(pravastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、アトルバスタチン(atorvastatin)、ロスバスタチンおよび他のスタチン類)、金属封鎖剤(コレスチラミンおよびコレスチポール)、コレステロール吸収阻害剤(エゼチミベ(ezetimibe))、ニコチン酸、フェノフィブリン酸(fenofibric acid)誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレートおよびベンザフィブレート(benzafibrate))およびプロブコールなどのコレステロール低下剤;(k)インシュリン、スルホニル尿素類、ビグアニド類(メトホルミン)、α−グルコシダーゼ阻害薬(アカルボース)およびグリタゾン類(glitazones)(トログリタゾン(troglitazone)およびピオグリタゾン(pioglitazone))などの抗糖尿病薬;(l)インターフェロンβ(インターフェロンβ−1α、インターフェロンβ−1β)の製剤;(m)5−アミノサリチル酸およびそれのプロドラッグ、アザチオプリンおよび6−メルカプトプリンなどの代謝拮抗剤ならびに細胞毒性癌化学療法薬などの他の化合物などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
第2の有効成分に対する本発明の化合物の重量比は変動し得るものであって、各成分の有効用量によって決まる。通常は、それぞれの有効用量を用いる。そこで例えば、本発明の化合物をNSAIDと併用する場合、NSAIDに対する本発明の化合物の重量比は、約1000:1〜約1:1000、好ましくは約200:1〜約1:200の範囲である。本発明の化合物および他の有効成分の併用も、概して上記の範囲内であるが、各場合について、各有効成分の有効用量を用いるべきである。
【0083】
このような組み合わせにおいて、本発明の化合物および他の活性薬剤は、別個または併用で投与することができる。さらに、1種類の薬剤の投与を、他の薬剤の投与の前、同時または後に行うことができる。
【0084】
本発明の化合物は、経口投与、非経口投与(例:筋肉、腹腔内、静脈、ICV、大槽内の注射もしくは注入、皮下注射またはインプラント)、吸入噴霧投与、経鼻投与、膣投与、直腸投与、舌下投与または局所投与することができ、単独もしくは組み合わせて、各投与経路に適した従来の無毒性の製薬上許容される担体、補助剤および媒体を含む好適な単位製剤に製剤することができる。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サルなどの温血動物の治療以外に、本発明の化合物は、ヒトでの使用において有効である。
【0085】
本発明の化合物を投与するための医薬組成物は簡便には、単位製剤で提供することができ、製薬業界で公知のいずれかの方法によって調製することができる。いずれの方法にも、1以上の補助成分を構成する担体と有効成分とを組み合わせる段階がある。医薬組成物は通常、有効成分を液体担体もしくは微粉砕固体担体またはその両方と均一かつ十分に混和し、必要に応じて、得られた物を所望の製剤に成形することで製造される。医薬組成物には、対象の活性化合物を、疾患のプロセスまたは状態に対して所望の効果を発揮するだけの量で含有させる。本明細書で使用する場合、「組成物」という用語は、所定量で所定の成分を含有するもの、ならびに直接もしくは間接に所定の成分を所定量で組み合わせることで得られるものを含むものである。
【0086】
有効成分を含む医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ剤、水系もしくは油系の懸濁液、分散性粉体もしくは粒剤、乳濁液、硬もしくは軟カプセルまたはシロップもしくはエリキシル剤などの経口用に適した剤型とすることができる。経口投与用組成物は、医薬組成物の製造に関して当業界で公知のいずれかの方法に従って製造することができ、そのような組成物には、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤から成る群から選択される1以上の薬剤を含有させて、医薬的に見た目および風味が良い製剤を提供することができる。錠剤は、錠剤製造に好適な無毒性の製薬上許容される賦形剤との混合で有効成分を含有する。これらの賦形剤には例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムもしくはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;コーンスターチもしくはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤;デンプン、ゼラチンもしくはアカシアなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸もしくはタルクなどの潤滑剤などがあり得る。錠剤は未コーティングとすることができるか、または公知の方法によってコーティングを施して、消化管での崩壊および吸収を遅延させ、それによって比較的長期間にわたって持続的作用を提供するようにすることができる。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を用いることができる。それにはさらに、米国特許第4256108号、同4166452号および同4265874号に記載の方法によってコーティングを施して、徐放用の浸透圧性治療用錠剤を製剤することができる。
【0087】
経口投与用製剤は、有効成分を例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンなどの不活性固体希釈剤と混和した硬ゼラチンカプセルとして、または有効成分を例えば落花生油、液体パラフィンもしくはオリーブ油などの水系もしくは油系媒体と混和した軟ゼラチンカプセルとして提供することもできる。
【0088】
水系懸濁液は、水系懸濁液の製造に好適な賦形剤と混和した形で活性材料を含む。そのような賦形剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガムなどの懸濁剤がある。分散剤または湿展剤には、レシチンなどの天然ホスファチド、または例えばポリオキシエチレンステアレートなどのアルキレンオキサイドと脂肪酸との縮合生成物、またはヘプタデカエチレンオキシセタノールなどのエチレンオキサイドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、またはポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなどのエチレンオキサイドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物、または例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートなどのエチレンオキサイドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物があり得る。水系懸濁液には、例えばp−ヒドロキシ安息香酸のエチルもしくはn−プロピルエステルなどの1以上の保存剤、1以上の着色剤、1以上の香味剤、ショ糖もしくはサッカリンなどの1以上の甘味剤を含有させることもできる。
【0089】
油系懸濁液は、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油などの植物油または液体パラフィンなどの鉱油中に有効成分を懸濁させることで製剤することができる。油系懸濁液には、蜜ロウ、硬パラフィンもしくはセチルアルコールなどの増粘剤を含有させることができる。上記のような甘味剤および香味剤を加えて、風味の良い経口製剤を得ることができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤を加えることで防腐することができる。
【0090】
水を加えることで水系懸濁液を調製する上で好適な分散性粉体および粒剤では、有効成分を、分散剤もしくは湿展剤、懸濁剤および1以上の保存剤と混合する。好適な分散剤もしくは湿展剤および懸濁剤の例としては、前述したものがある。例えば甘味剤、香味剤および着色剤などの別の賦形剤を存在させることもできる。
【0091】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型乳濁液の形とすることもできる。油相は、オリーブ油もしくは落花生油などの植物油または液体パラフィンなどの鉱油、またはそれらの混合物とすることができる。好適な乳化剤には、アカシアガムもしくはトラガカントガムなどの天然ガム;例えば大豆レシチンなどの天然ホスファチド;ならびに、ソルビタンモノオレエートなどの脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導されるエステルもしくは部分エステル、および例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどのエチレンオキサイドと前記部分エステルとの縮合生成物があり得る。乳濁液にはさらに、甘味剤および香味剤を含有させることもできる。
【0092】
シロップおよびエリキシル剤は、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールまたはショ糖などの甘味剤を加えて製剤することができる。そのような製剤には、粘滑剤、保存剤ならびに香味剤および着色剤を含有させることもできる。
【0093】
医薬組成物は、無菌の注射用水系もしくは油系懸濁液の形とすることができる。この懸濁液は、上記の好適な分散剤もしくは湿展剤および懸濁剤を用いて、公知の方法に従って製剤することができる。無菌注射製剤は、例えば1,3−ブタンジオール溶液のように、無毒性の非経口的に許容される希釈剤もしくは溶媒中の無菌注射用液剤または懸濁液とすることもできる。使用可能な許容される担体および溶媒には、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液などがある。さらに、従来から溶媒または懸濁媒体として、無菌の固定油が使用されている。それに関しては、合成モノもしくはジグリセリドなどのいかなる種類の固定油も使用可能である。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を注射剤の製剤に使用することができる。
【0094】
本発明の化合物は、薬剤の直腸投与用の坐剤の形で投与することもできる。そのような組成物は、常温では固体であるが直腸体温では液体となることで、直腸で融解して薬剤を放出する好適な無刺激性賦形剤と該薬剤とを混和することで製剤することができる。そのような材料には、カカオ脂およびポリエチレングリコール類がある。
【0095】
局所用には、本発明の化合物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、液剤または懸濁液などを用いる(この投与法に関して、局所投与には含嗽液およびうがい剤が含まれる)。
【0096】
本発明の医薬組成物および方法にはさらに、上記の病的状態の治療に通常用いられる前述のような他の治療上活性な化合物を含ませることができる。
【0097】
ケモカイン受容体調節が必要な状態の治療、予防、改善、管理またはリスク低下では、適切な用量レベルは通常、約0.01〜500mg/kg/日であり、それは単回または複数回で投与することができる。好ましくは、用量レベルは約0.1〜約250mg/kg/日であり、より好ましくは約0.5〜約100mg/kg/日である。好適な用量レベルは、約0.01〜250mg/kg/日、約0.05〜100mg/kg/日、または約0.1〜50mg/kg/日とすることができる。この範囲内で、用量を0.05〜0.5、0.5〜5または5〜50mg/kg/日とすることができる。経口投与の場合、有効成分を1.0〜1000mg含む錠剤、好ましくは有効成分を2.0〜500mg、より好ましくは3.0〜200mg、特には1、5、10、15、20、25、50、75、100、150、175、200、250、300、400、500、600、750、800、900および1000mg含む錠剤の形で組成物を提供して、治療を受ける患者への用量を症状に応じて調節する。その化合物は、1日当たり1〜4回、好ましくは1日当たり1回もしくは2回の投与法で投与することができる。
【0098】
しかしながら、特定の患者についての具体的な用量レベルおよび投与回数は変動し得るものであって、使用する具体的化合物の活性、代謝安定性およびその化合物の作用期間の長さ、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与の形態および時刻、排泄速度、併用薬剤、特定の状態の重度、治療を受けている宿主などの多様な要素によって決まることは明らかであろう。
【0099】
図式
本発明の化合物の製造方法をいくつか、下記の図式および実施例に示す。原料は市販されているか、公知の手順によって製造されるか、または本明細書に説明の方法に従って製造される。
【0100】
1,1,3−三置換シクロペンタン骨格を有する本発明の範囲に含まれる化合物1−5の製造に用いられる主要経路の一つを、図式1に示した。この経路によれば、ケト酸1−1(製造については、図式2A、2B、2Cおよび2Dに示した)をアミン1−2(市販されているか、文献の手順に従って合成される)にカップリングさせる。これは、最初にオキサリルクロライドなどの試薬で酸をそれの酸塩化物に変換し、次にトリエチルアミンなどの塩基存在下にアミン1−2と合わせる等の各種方法によって行うことができる。還元剤として例えばNaB(OAc)HまたはNaBHCNを用いてアミン(NH−R)(市販されているか、文献の手順に従って合成される)で1−3を還元的アミノ化して、1−5aの形の最終生成物を得る。これらの化合物はさらに、アルデヒドまたはケトン(O=R)を用いる還元的アルキル化によってさらに修飾することで、1−5bの形の異なる最終生成物を製造することができる。化合物1−5は多くの場合、シスおよびトランス異性体の混合物として得られる。1−1が単一の立体異性体である場合、1−5の可能な異性体は2種類のみとなり得る(シスおよびトランス)。これらは、分取TLC、フラッシュクロマトグラフィー、MPLC、またはキラル固定相を有するカラムを用いるHPLCなどの各種方法によって分離することができる。1−1がラセミ体である場合、合計で少なくとも4種類の可能な1−5の異性体が得られる可能性がある。やはりこれらは、キラル固定相を有するカラムを用いるHPLC、または上記方法の組み合わせによって分離することができる。
【0101】
【化16】

【0102】
さらに、化合物1−5自体を修飾して、新たなケモカイン受容体調節剤1−5.1を得ることができる。例えば、化合物1−5に含まれるエステル官能基を加水分解して相当するカルボン酸とすることができ、それもケモカイン受容体調節剤であることができる。
【0103】
ケモカイン調節剤1−5を得る別経路を図式1Aに示した。この図式に示したように、ケト−エステル1−6(R30は、適切なアルキル基である)を、水素化ホウ素トリアセトキシナトリウムまたは水素化ホウ素シアノナトリウムシアノなどの各種条件下で、アミンを用いて還元的にアミノ化することで、アミノエステル1−7を形成することができると考えられる。リチウムビス(トリメチルシリル)アミドなどの適切な塩基の存在下にアルキル塩化物、臭化物またはヨウ化物などのアルキル化剤でエステル1−7をアルキル化することで、中間体エステル1−8を得る。上記の変換で形成されるこれらのエステルは一般的には、1,3−シス−および1,3−トランス−ジアステレオマー異性体の混合物を与え、これはカラムクロマトグラフィーを用いて個々のジアステレオマー異性体対に分離することができると考えられる。同様のジアステレオマー異性体分離は、後の段階で、1−8を加水分解的に開裂させて個々の酸1−9を得た後に行うことも可能であると考えられる。この加水分解は、エステル基および置換基Rの性質に応じて室温〜高温にて水酸化リチウム、ナトリウムまたはカリウムなどの通常の条件下で容易に行われた。これらのジアステレオマー異性体は、トランス−エピマーと比較した場合に、シス−ジアステレオマー異性体の酸の方が溶解度が低いという知見を利用して、各種溶媒からの結晶化によって分離することができた。
【0104】
次に、DCC、EDCなどのカルボジイミド試薬およびDMAP、HOATもしくはHOBTなどの触媒等の標準的なアミド結合形成反応条件下に、酸1−9およびベンジルアミン誘導体1−2から式1−5cの化合物を形成する。
【0105】
【化17】

【0106】
さらに、中間体1−3をキラルHPLCによって分割して、1−3.1および1−3.2を得ることができる(図式1B)。次にこれから、シス異性体1−5a.1または1−5b.1およびトランス異性体1−5a.2または1−5b.2が得られると考えられる。
【0107】
【化18】

【0108】
1−5aおよび1−5bの形のケモカイン受容体調節剤の合成の別の主要経路を図式1Cに示した。この経路によれば、中間体1−10(図式2Cに記載)を、EDCなどのペプチドカップリング試薬を用いてアミン1−2と縮合させることで1−11を得る。ジオキサンなどの溶媒中でのHClなどの標準的な条件下でBoc保護基を脱離させ、次に得られたアミン1−12を水素化ホウ素トリアセトキシナトリウムなどの還元剤の存在下にアルデヒドまたはケトン(O=R)で処理することで1−5aを得る。ケトンまたはアルデヒド(R=R)でさらに還元的アミノ化することで、新たなケモカイン調節剤1−5bを得る。
【0109】
【化19】

【0110】
1−5cの形のケモカイン受容体調節剤合成の別途主要経路を図式1Dに示した。この経路によれば、中間体1−12(図式1Cに記載)を、適切な塩基を用いてアルキルブロマイドでアルキル化して、新たなケモカイン調節剤1−5aを得る。
【0111】
【化20】

【0112】
中間体1−1および中間体1−6の製造に用いられる主要経路の一つを図式2Aに示した。この経路によれば、公知の手順(Stetter, H., Kuhlman, H., Liebigs Ann. Chim., 1979, 944)に従って合成することができる3−オキソシクロペンタンカルボン酸(2−1)を、標準的な条件下にエステル化する。R30がtert−ブチル基を表す場合、個々のエステル1−6は、硫酸の存在下に酸2−1と適切なアルコール(この場合はtert−ブタノール)を反応させることで製造することができる。2−1におけるオキソ基の保護は、多くの方法によって行うことができる(Greene, T., Wuts, P. G. M., Protective Groups in Organic Chemistry, John Wiley & Sons, Inc., New York, NY 1991)。特に好適なジメチルアセタール保護基は、酸性触媒の存在下に塩化メチレンおよびメチルアルコールなどの好適な溶媒中、試薬としてオルトギ酸トリメチルを用いて導入することができる。別法として、R30がメチル基である場合、オルトギ酸トリメチルおよびパラ−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いることで、酸2−1を直接2−3に変換することができる。リチウムジイソプロピルアミドなどの適切な塩基存在下に塩化、臭化もしくはヨウ化アルキルなどのアルキル化剤でエステル2−3をアルキル化することで、中間体2−4を得る。2−4中に存在するエステル保護基は、そのエステルの性質に応じて、多くの方法で脱離させることができる。メチルエステル(R30=メチル)は、室温または高温にて酸または塩基の存在下に加水分解することができるが、tert−ブチルエステル(R30=tert−ブチル)は酸性条件下に容易に開裂させることができる。これらの条件下で、ジメチルアセタールが同時に脱保護されて、1−1が得られる。
【0113】
【化21】

【0114】
中間体1−1は、図式2Bおよび2Cに示した方法などの各種方法で、単一の立体異性体(1−1a)として製造することができる。図式2Bによれば、ラセミ体の1−1を、それのベンジルエステルに変換することができる。このエステル化を行うには多くの方法があり、そのうちの一つには、例えばオキサリルクロライドを用いた相当する酸塩化物への変換とそれに続くトリエチルアミンなどの塩基存在下でのベンジルアルコールによる処理が関与する手順がある。次に、ラセミ体のベンジルエステル2−5をキラル分取HPLCによって分離して、2−5aを単一の立体異性体として得ることができる。ベンジル基の脱離によるキラルケト酸2−1aの取得は、いくつかの方法で行うことができる。ある簡便な方法は、Pd/Cなどの触媒存在下での加水分解によるものである。
【0115】
【化22】

【0116】
図式2Cによれば、市販の光学的に純粋なアミノ酸2−6を原料として、キラルケト酸中間体1−1aを製造することができる。カルボン酸基の保護は、多様な方法で行うことができる。R30がメチルである場合、エステル化は、HClなどの酸触媒存在下にメタノールで処理することで行うことができる。BocOで処理すると、2−7のアミン基が保護される。リチウムビス(トリメチルシリル)アミドなどの適切な塩基の存在下に、塩化、臭化またはヨウ化アルキルなどのアルキル化剤でエステル2−8の立体選択的アルキル化を行うことで、中間体2−9が得られる。Pd/Cなどの触媒存在下での水素化によって、2−10が得られる。エステル加水分解による1−10の取得は、R30基に応じた標準的な条件下で行うことができる。例えば、R30がメチル(メチルエステル)である場合、加水分解は、加熱を行ったり行わなかったりしながら、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムもしくは水酸化カリウムなどの塩基で処理することで行うことができる。Boc保護基は、ジオキサンなどの溶媒中のHClまたはTFAのような標準的な酸性条件下で脱離させることができる。2−11の酸化による1−1aの取得(構成要素Rがキラルである場合には単一の立体異性体として、または構成要素Rがキラル中心を有する場合は立体異性体の混合物として)は、NBSによる処理とそれに続くナトリウムメトキシドによる処理などのいくつかの方法で行うことができる。
【0117】
【化23】

【0118】
本発明の範囲に含まれる化合物を合成する別の主要経路を図式3Aおよび3Bに詳細に示した。
【0119】
【化24】

【0120】
これによれば、市販のアミノチアゾール酢酸エチル3−1を、好ましくは高温にてベンゾフェノンイミンで処理する。次に、水素化ナトリウムなどの強塩基を用いてエステル3−2から発生させたエノレートを、好ましくは望ましくない副反応を抑制するための追加の共溶媒(例:DMPU)の存在下に、ジメトキシエタンなどの好適な溶媒中で、1,4−ジクロロ−2−ブテンによって二重アルキル化する。得られたシフ塩基3−3を前記の方法に従って開裂させ、触媒量のDMAP3−5の存在下にBOCOで処理することで3−4におけるアミノ基を保護する。二重結合へのボランの付加(March, J. Advanced Organic Chemistry, 4th edition, John Wiley & Sons Inc., New York, p. 702-707参照)を行い、次に形成された付加物のクロロクロム酸ピリジニウム介在の直接酸化を行って、ケトン3−6をかなりの収率で直接製造する。
【0121】
【化25】

【0122】
次に、中間体3−6に存在するエステル基を塩基触媒加水分解によって脱離させ、前記の方法に従って酸1−1bをアミン1−2にカップリングさせる。最終化合物1−5dの製造における最後の段階は、上記で詳述したアミンによるケトンの還元的アミノ化である。図式1に記載の場合と同様に、この合成手順によってジアステレオマー異性体の混合物が得られ、これらの分離は、順相、逆相もしくはキラル相でのクロマトグラフィーを用いて行うことができる。
【0123】
式Iの化合物を合成するには、より特殊な方法がいくつかある。これらの経路については、実験の部でさらに詳細に説明する。場合により、前記の反応図式を行う順序を変えて、反応を促進したり、または望ましくない反応生成物を回避することができる。下記の実施例は、さらに詳細な説明を行うことのみを目的として提供されるものであって、開示の発明を限定するものではない。
【0124】
溶液の濃縮は通常、減圧下にロータリーエバポレータで行った。フラッシュクロマトグラフィーはシリカゲル(230〜400メッシュ)で行った。NMRスペクトラムは、別段の断りがない限りCDCl溶液で得たものである。カップリング定数(J)はヘルツ(Hz)単位である。略称:酢酸エチル(EA)、ジエチルエーテル(エーテル)、トリエチルアミン(TEA)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、飽和水溶液(sat′d)、室温(rt)、時間(h)、分(min)。
【0125】
以下は、下記の実施例で使用される化合物、または市販されていない可能性がある下記の実施例で使用される化合物に代えることができる化合物を製造するための代表的な手順である。
【0126】
中間体および実施例
中間体1
【0127】
【化26】

【0128】
段階A
【0129】
【化27】

【0130】
(1S)−(+)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オン(10.3g、94.4mmol)のEtOAc(200mL)溶液および10%Pd/C(0.5g)の混合物を、水素風船下に室温で水素化した。24時間後、反応混合物を濾過し、溶媒留去して生成物10.4g(100%)が残り、これをメタノール250mLおよびHCl(12M、6mL)に取った。得られた混合物を、反応が完了するまで(72時間)、室温で攪拌した。メタノールの留去とそれに続く高真空下での乾燥によって、標題化合物をオフホワイト固体として得た(16.0g、96%)。H NMR(DO、500MHz):3.70(s、3H)、3.01(m、1H)、2.38(m、1H)、2.16〜1.73(m、6H)。
【0131】
段階B
【0132】
【化28】

【0133】
段階Aからの中間体(10.2g、56.8mmol)の脱水塩化メチレン(200mL)懸濁液に、ベンゾフェノンイミン(10.2g、56.8mmol)を室温で加え、得られた混合物を24時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を溶媒留去したところ黄色油状物が残り、それをエーテル(100mL)で磨砕し、濾過し、溶媒留去した。この操作を2回繰り返して、生成物が塩化アンモニウム不純物含まないようにした。得られた油状物を十分に真空乾燥して、標題化合物(18.03g、>100%)を得て、さらなる精製は必要なかった。H NMR(CDCl、500MHz):7.5〜7.18(m、10H)、3.75(m、1H)、3.7(s、3H)、2.78(m、1H)、2.26〜1.71(m、6H)。
【0134】
段階C
【0135】
【化29】

【0136】
LDA(ジイソプロピルアミン(7.7g、76.1mmol)およびn−ブチルリチウム(30.4mL、2.5Mヘキサン溶液、76mmol)から製造)のTHF(120mL)溶液に−78℃で、段階Bからのエステル(18.0g、58.6mmol)を加えた。得られたワイン色溶液を20分間攪拌し。その後これを2−ヨードプロパン(14.9g、88.0mmol)で反応停止した。反応混合物を3時間かけて徐々に昇温させて0℃とし、その温度をさらに3時間維持した。水で反応停止し、EtOAcで抽出した。有機層を水、ブラインで洗浄し、脱水し(無水硫酸マグネシウム)、濃縮して油状物を得た。得られた粗シフ塩基(20.0g)のTHF(100mL)溶液に、HCl(5.0mL、12M)を加え、室温で3時間攪拌した。全ての揮発分を除去した後、塩酸塩を塩化メチレン(250mL)に取り、飽和重炭酸ナトリウム溶液(250mL)およびジ−tert−ブチルジカーボネート(26.0g、1.4当量)を加えた。得られた混合物を室温で終夜高攪拌した。有機層を分離し、水、ブラインで洗浄し、脱水し(無水硫酸マグネシウム)、濃縮して、油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン:EtOAc/19:1)による精製によって、所望の生成物を得た(4.91g、30%)。H NMR(500MHz、CDCl):4.79(br、1H)、4.01(m、1H)、3.71(s、3H)、2.18〜1.60(m、6H)、1.44(s、9H)、0.87(d、J=6.9Hz、3H)、0.86(d、J=6.9Hz、3H)。
【0137】
段階D
【0138】
【化30】

【0139】
前段階からのエステル(4.91g、17.2mmol)のMeOH(100mL)溶液に、LiOH(3.6g、85mmol)の水(20mL)およびTHF(10mL)溶液を加えた。得られた混合物を、反応が完結するまで(18時間)、80℃で加熱した。メタノールを減圧下に除去し、粗生成物を水/EtOAc(200mL、1:4)に取り、冷却して0℃とした。混合物の酸性度をpH6に調節した。EtOAc層を分離し、水、ブラインで洗浄し、脱水し(無水硫酸マグネシウム)、濃縮してて、油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン:EtOAc/1:1+2%AcOH)による精製によって、中間体1(3.9g、84%)を得た。H NMR(500MHz、CDCl):11.36(br、1H)、6.49(br、1H)、4.83(m、1H)、3.71(s、3H)、2.30〜1.55(m、6H)、1.46(s、9H)、0.94(d、J=6.9Hz、3H)、0.933(d、J=6.9Hz、3H)。
【0140】
中間体2
【0141】
【化31】

【0142】
段階A
【0143】
【化32】

【0144】
中間体1(2.09g、7.71mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(2.96g、15.4mmol)のDCM(100mL)溶液を攪拌しながら、それに3,5−ビス(トリフルオロ)ベンジルアミン塩酸塩(2.26g、8.10mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(1.05g、8.10mmol)および1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(1.15g、8.48mmol)を加えた。反応液を室温で18時間攪拌してから、DCMで希釈し、1N HClで2回、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で1回、ブラインで1回洗浄した。有機層をMgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。生成物を、中圧液体クロマトグラフィー(シリカゲル、60%EA/ヘキサン)によって精製して、無色油状物2.23gを得て、それを段階Bで直接用いた。
【0145】
段階B
【0146】
【化33】

【0147】
段階Aからの生成物を塩化水素(4Nジオキサン溶液、25mL)に溶かし、室温で攪拌した。1.5時間後、反応液を減圧下に濃縮して、白色固体1.79gを得た(2段階で54%)。ESI−MS;C1822Oの計算値:396.4;実測値397.2(M+EI)。
【実施例】
【0148】
(実施例1)
【0149】
【化34】

【0150】
中間体2(塩酸塩、33mg、0.076mmol)の塩化メチレン(2mL)懸濁液を室温で攪拌しながら、これにジイソプロピルエチルアミン16μL(0.95mmol)および4−フルオロベンズアルデヒド9.5mg(0.076mmol)を加えた。この反応混合物に、モレキュラーシーブス4Å4個と次にNa(OAc)BH24mgを加えた。終夜攪拌後、反応混合物を溶媒留去し、生成物(21mg)をシリカゲルプレートでの分取TLC(CHCl:CHOH:NHOH/85:15:1)によって単離した。H NMR(400MHz、CDOD):0.85(t、6H)、3.68(q、2H)、4.48(q、2H)、7.00(m、2H)、7.29(q、2H)、7.82(s、1H)、7.87(s、2H)。LCMS;C2527O[M+H];計算値:505、実測値:505。
【0151】
(実施例2〜14)
に記載の手順に従って実施例1、一連の類似の標的化合物を合成した。それらの構造およびMS−特性を下記の表にまとめた。
【0152】
【表2】


【0153】
中間体3
【0154】
【化35】

【0155】
段階A
【0156】
【化36】

【0157】
(2−アミノチアゾール−4−イル)酢酸エチル54g(0.29mol)およびベンゾフェノンイミン50g(0.28mol)の無希釈混合物を、190℃で5時間攪拌し、冷却して室温とし、CHCl100mLで希釈した。混合物全体をシリカゲルカラムの上に移し、20%EtOAc/ヘキサンで溶離した。標題化合物を明黄色固体として得た(70g、収率69%)。H NMR(300MHz、CDCl):1.26(t、3H)、3.74(s、2H)、4.15(q、2H)、6.87(s、1H)、77.25〜7.86(m、10H)。LCMS;C2018Sの[M+H];計算値:351、実測値:351。
【0158】
段階B
【0159】
【化37】

【0160】
(2−ジフェニルメチレンアミノ−チアゾール−4−イル)酢酸エチル(段階A、実施例195)35g(0.10mol)、シス−1,3−ジクロロ−2−ブテン(13mL、0.11mol)のDME(500mL)中混合物に室温で、固体NaH(オイル中60%、10g、0.25mol)を複数回に分けて加えた。得られた混合物を2日間攪拌し、氷−水2000mLに投入し、エーテル1500mLで抽出した。エーテル層を水で洗浄し(500mLで3回)、NaSOで脱水し、溶媒留去した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、5%EtOAc/ヘキサン)によって、標題化合物を油状物として得た(24g、59%)。H NMR(300MHz、CDCl):1.20(t、3H)、2.87(d、2H)、3.19(d、2H)、4.14(q、2H)、5.29(s、2H)、6.71(s、1H)、7.26〜7.81(m、10H)。LCMS;C2422Sの[M+H];計算値:403、実測値:403。
【0161】
段階C
【0162】
【化38】

【0163】
1−(2−ジフェニルメチレンアミノ−チアゾール−4−イル)−3−シクロペンテンカルボン酸エチル(段階B、実施例195)24g(0.059mol)を4N HCl/ジオキサン100mLに溶かした。1時間後、水1.8mLを加えた。混合物を3時間攪拌し、溶媒留去して乾固させた。残留物をCHCl100mLに溶かし、DIEA 15mLを加えた。混合物全体をシリカゲルカラム上に乗せ、20%EtOAc/ヘキサンで溶離してベンゾフェノンを得て、次に40%EtOAc/ヘキサンで溶離して標題化合物を明黄色固体(12.0g、85%)として得た。H NMR(300MHz、CDCl):1.19(t、3H)、2.79(d、12H)、3.15(d、2H)、4.13(q、2H)、5.66(s、2H)、5.82(広い、2H)、6.19(s、1H)。
【0164】
段階D
【0165】
【化39】

【0166】
1−(2−アミノ−チアゾール−4−イル)−3−シクロペンテンカルボン酸エチル(段階C、実施例195)12g(50mmol)、ジ−tert−ブチルジカーボネート28g(0.13mol)およびDMAP 0.6gのCHCl(250mL)中混合物を終夜攪拌し、溶媒留去した。シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー精製(10%EtOAc/ヘキサン)後に、標題化合物(21.0g、96%)を黄色油状物として得た。H NMR(300MHz、CDCl):1.18(t、3H)、1.49(d、18H)、2.88(d、2H)、3.18(d、2H)、4.13(q、2H)、5.65(s、2H)、6.83(s、1H)。LCMS;C2130Sの[M+H];計算値:439、実測値:439。
【0167】
段階E
【0168】
【化40】

【0169】
1−(2−ビス−Boc−アミノ−チアゾール−4−イル)−3−シクロペンテンカルボン酸エチル(段階D、実施例195)13g(30mmol)の無水エーテル(50mL)溶液に−78℃で、ボラン−ジメチルスルフィドのTHF溶液(14mL、0.024mmol)を滴下した。冷却浴を外し、混合物を室温で3時間攪拌し、CHCl250mLで希釈し、酢酸ナトリウム25gおよびPCC55gを加えた。混合物を終夜攪拌した。混合物全体をシリカゲルカラムに乗せ、10%EtOAc/ヘキサン、次に30%EtOAc/ヘキサンで溶離した。2つの成分が得られた。最初に溶出した異性体(黄色油状物、6.0g)が標題化合物と確認された。H NMR(300MHz、CDCl):1.21(t、3H)、1.50(s、18H)、2.33(t、2H)、2.42〜2.70(m、2H)、2.78〜3.10(dd、2H),4.18(q、3H)、6.88(s、1H)。LCMS;C2130Sの[M+H];計算値:455、実測値:455。
【0170】
段階F
【0171】
【化41】

【0172】
実施例195段階Eでのフラッシュクロマトグラフィーから遅く溶出した成分は、標題化合物であることがわかった(ガム状物、1.80g)。H NMR(300MHz、CDCl):1.16(t、3H)、1.46(s、9H)、2.27(3、2H)、2.38〜2.62(m、2H)、2.64〜3.00(dd、2H)、4.11(q、2H)、6.66(s、1H)。LCMS;C1622Sの[M+H];計算値:355、実測値:355。
【0173】
段階G
【0174】
【化42】

【0175】
1−(2−tert−ブトキシカルボニル−アミノ−チアゾール−4−イル)−3−オキソ−シクロペンタンカルボン酸エチル(段階F、実施例195)1.4g(4.0mmol)および水酸化リチウム・1水和物0.82g(13mmol)のMeOH 20mLおよび水2mL溶液中の混合物を、室温で終夜攪拌した。混合物全体をシリカゲルカラムに投入し、10%MeOH/CHClで溶離した。減圧下に溶媒留去することで、明黄色固体を得た。標題生成物1.30gが、綿毛状固体として得られた。H NMR(300MHz、CDCl):1.52(t、9H)、2.10〜3.20(m、8H)、6.60(s、1H)。
【0176】
中間体4
【0177】
【化43】

【0178】
1−(2−tert−ブトキシカルボニル−アミノ−チアゾール−4−イル)−3−オキソ−シクロペンタンカルボン酸(中間体3)0.65g(2.0mmol)、(3,5−ビス−トリフルオロメチル)ベンジルアミン塩酸塩0.70g(2.5mmol)およびEDC(5.0mmol)0.95gのCHCl(50mL)中混合物を、2時間攪拌した。反応混合物をCHCl100mLで希釈し、3N HCl水溶液(50mLで3回)、飽和NaHCO水溶液(50mL)および水(100mL)で洗浄し、NaSOで脱水し、減圧下に溶媒留去た。標題化合物1.0gが黄色固体として得られた。H NMR(400MHz、CDCl):1.55(s、9H)、2.10〜2.22(m、2H)、2.38〜2.64(m、2H)、2.70〜3.23(dd、2H)、4.48〜4.64(m、2H)、6.74(s、1H)、7.36(広い、1H)、7.63(s、2H)、7.77(s、1H)、7.98(広い、1H)。LCMS;C2323Sの[M+H]計算値:552、実測値:552。
【0179】
中間体5
【0180】
【化44】

【0181】
1−(2−tert−ブトキシカルボニル−アミノ−チアゾール−4−イル)−3−オキソ−シクロペンタンカルボン酸(中間体3)0.65g(2.0mmol)、3−フルオロ−5−トリフルオロメチルベンジルアミン塩酸塩0.65g(2.5mmol)およびEDC(5.0mmol)0.95gの(50mL)CHCl中混合物を、2時間攪拌した。反応混合物をCHCl100mLで希釈し、3N HCl水溶液(50mLで3回)、飽和NaHCO水溶液(50mL)、水(100mL)で洗浄し、NaSOで脱水し、減圧下に溶媒留去した。標題化合物0.9gを黄色固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl):1.56(s、9H)、2.18(m、1H)、2.38〜2.65(m、3H)、2.70(d、1H)、3.12(d、1H)、4.48(m、2H)、6.74(s、1H)、7.10(d、1H)、7.20〜7.35(m、3H)、7.99(広い、1H)。LCMS;C2223Sの[M+H];計算値:502、実測値:502。
【0182】
中間体6
【0183】
【化45】

【0184】
N−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−1−(2−tert−ブトキシカルボニル−アミノ−チアゾール−4−イル)−3−オキソ−シクロペンタンカルボアミド(中間体5)1.1g(2.0mmol)および無希釈TFA5mLの混合物を室温で1時間攪拌し、溶媒留去した。残留物をEtOAc50mLに溶かし、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、NaSOで脱水し、溶媒留去し、真空乾燥した。標題化合物(0.85g、94%)を黄色固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl):2.20(m、1H)、2.38(m、1H)、2.52(m、2H)、2.60(d、1H)、3.18(d、1H)、4.58(m、2H)、5.34(広い、2H)、6.31(s、1H)、7.65(2、2H)、7.75(s、1H)、7.80(広い、1H)。LCMS;C1815Sの[M+H];計算値:452、実測値:452。
【0185】
中間体7
【0186】
【化46】

【0187】
N−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−1−(2−アミノ−チアゾール−4−イル)−3−オキソ−シクロペンタンカルボアミド(中間体6)0.85g(1.9mmol)、無水酢酸1.0mLおよびピリジン2.0mLのCHCl(20mL)中混合物を終夜攪拌し、CHCl50mLで希釈し、水および2N HCl水溶液で洗浄し、NaSOで脱水し、溶媒留去した。標題化合物(0.74g)を、分取TLC(10%MeOH/CHCl)での精製後に明黄色固体として得た。LCMS;C2017Sの[M+H];計算値:494、実測値:494。
【0188】
中間体8
【0189】
【化47】

【0190】
段階A
【0191】
【化48】

【0192】
4−トリフルオロメチルフェニルアセトニトリル(40g、215mmol)の2N NH/MeOH(400mL)溶液に、ラネーNi(約4.0g)を加えた。反応混合物をパール振盪器に入れ、約22.7kg(50ポンド)圧下に終夜振盪した。溶液をセライトで濾過し、減圧下に濃縮して、所望のアミンを得た(38g、95%)。ESI−MS;C10Nの計算値:189;実測値:190(M+H)。
【0193】
段階B
【0194】
【化49】

【0195】
上記アミン(段階A、中間体8)(38g、200mmol)およびDIEA(52mL、300mmol)をDCM(300mL)に溶かした。溶液を冷却して0℃としてから、TFAA(36mL、250mmol)をゆっくり加えた。反応混合物を氷浴でさらに10分間攪拌してから、昇温させて室温とした。反応は30分以内に完結し、水に投入し、DCMで抽出した(2回)。有機層を1N HClおよび飽和NaCl溶液で洗浄し、MgSOで脱水し、減圧下に濃縮して、所望のアミドを得た(56g、98%)。ESI−MS;C11NOの計算値:285;実測値:286(M+H)。
【0196】
段階C
【0197】
【化50】

【0198】
アミド(中間体8段階B)(73g、256mmol)およびパラホルムアルデヒド(11.5g、385mmol)の混合物に、酢酸200mLを加えた。反応混合物を室温で5分間攪拌してから、濃硫酸(200mL)を加えた。発熱反応が観察された。30分後、TLCで変換が完了したことが示された。混合物を冷却して室温としてから、氷水(2000mL)上に注ぎ、EtOAcで抽出した(500mLで3回)。合わせた有機層を水(2回)、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濾過し、溶媒留去し、真空乾燥した。所望のアミド(72.7g、96%)を明黄色固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.22(q、J=11.67Hz、8.46Hz、1H)、7.11(t、J=10.53Hz、1H)、7.03(d、J=11.67Hz、1H)、4.79(d、J=23.57Hz、2H)、3.91(t、J=6.18Hz、1H)、3.87(t、J=5.72Hz、1H)、2.97(m、2H)。ESI−MS;C12NOの計算値:297;実測値:298(M+H)。
【0199】
段階D
【0200】
【化51】

【0201】
アミド(中間体8段階C)(50g、168mmol)をEtOH(200mL)に溶かしてから、固体KCO(50g、360mmol)およびHO(50mL)を加えた。反応混合物を15時間還流させてから、減圧下に濃縮した。濃縮物をHO(100mL)で希釈し、DCMで抽出した(5回)。合わせた有機層をMgSOで脱水し、濾過し、濃縮し、FC(10%[NHOH/MeOH1/9]/DCM)で精製して、アミン(中間体8段階D)(30g、89%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.11(d、J=8.4Hz、1H)、7.01(bd、J=8.4Hz、1H)、6.89(s、1H)、4.03(s、2H)、3.15(t、J=6.1Hz、2H)、2.80(t、J=5.6Hz、2H)、1.80(s、1H)。ESI−MS;C1010Nの計算値:201;実測値:202(M+H)。
【0202】
中間体9
【0203】
【化52】

【0204】
段階A
【0205】
【化53】

【0206】
この化合物を文献手順(Stetter, H., Kuhlman, H. Liebigs Ann. Chim., 1979, 944)に従って製造した。
【0207】
段階B
【0208】
【化54】

【0209】
ケト酸(中間体2段階A)(20g、156mmol)を最初にMeOHに溶かしてから、TMOF(85mL、781mmol)を加えた。TsOH(3g、15.6mmol)を最後に加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌してから、減圧下に濃縮し、エーテルで希釈し、飽和NaHCOで反応停止し、ブラインで洗浄し、無水MgSOで脱水した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(25/75、エーテル/ペンタン)によって精製して、ケタールエステル(21.52g、73.2%)を得た。H NMR(500MHz、CDCl)δ3.68(s、3H)、3.21(d、J=9.9Hz、6H)、2.89(p、J=8.5Hz、1H)、2.14〜2.05(m、2H)、2.02〜1.80(m、4H)。
【0210】
段階C
【0211】
【化55】

【0212】
火炎乾燥させた500mL丸底フラスコに、脱水THF(150mL)を加えた。その溶液を冷却して−78℃としてから、iPrNH(19.2mL、137.3mmol)、2.5M nBuLi(55mL、137.3mmol)および無希釈のケタールエステル(中間体2段階B)(21.52g、114.4mmol)をその順序で加えた。反応混合物を−78℃で30分間攪拌してから、2−ヨードプロパン(34.3mL、343.2mmol)を加えた。反応液を−78℃でさらに20分間攪拌した後、混合物を冷蔵庫(0℃)に終夜入れた。混合物を10%クエン酸で反応停止し、エーテルで抽出した(3回)。合わせた有機層をHOおよびブラインで洗浄し、無水MgSOで脱水し、濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(20/80エーテル/ペンタン)によって精製して、アルキル化エステル(16.74g、63.6%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.69(s、3H)、3.18(d、J=20.5Hz、6H)、2.57(d、J=13.9Hz、1H)、2.29(m、1H)、1.90(p、J=6.8Hz、1H)、1.81(m、2H)、1.65(m、2H)、0.89(q、J=11.9Hz、6.8Hz、6H)。
【0213】
段階D
【0214】
【化56】

【0215】
アルキル化エステル(中間体2段階C)(16.74g、72.7mmol)をEtOH(30mL)に溶かしてから、NaOH(11g、275mmol)のHO(30mL)溶液を加えた。反応混合物を3日間還流させてから、冷却して室温とし、濃HClで酸性とした。有機溶媒を減圧下に留去し、水層をDCMで抽出した(5回)。合わせた有機層を無水MgSOで脱水し、減圧下に濃縮して、所望のケト酸を得た(11.07g、89.5%)。H NMR(500MHz、CDCl)δ2.70(d、J=18.1Hz、1H)、2.44〜2.39(m、1H)、2.30〜2.15(m、2H)、2.14(dd、J=18.1Hz、1.0Hz、1H)、2.06(p、J=6.9Hz、1H)、1.98(m、1H)、0.98(dd、J=11.4Hz、6.9Hz、6H)。
【0216】
段階E
【0217】
【化57】

【0218】
ケト酸(中間体2段階D)(2g、11.76mmol)のDCM(50mL)溶液に、オキサリルクロライド(1.54mL、17.64mmol)と次にDMF 2滴を加えた。混合物を室温で80分間攪拌してから、減圧下に濃縮した。濃縮物をDCMに溶かし、中間体8(2.36g、11.76mmol)およびEtN(2.13mL、15.29mmol)のDCM溶液にゆっくり加えた。得られた混合物を室温で18時間攪拌してから、HO、1N HCl、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄し、無水MgSOで脱水し、減圧下に濃縮した。粗生成物をMPLC(60/40、EtOAc/ヘキサン)によって精製して、2−Eを得た(3.18g、76.6%)。H NMR(500MHz、CDCl)δ7.46(d、J=7.3Hz、1H)、7.39(s、1H)、7.29(d、J=7.7Hz、1H)、4.81(ABq、2H)、3.93(m、1H)、3.82(m、1H)、2.94(m、3H)、2.54(m、1H)、2.43(d、J=8.5Hz、1H)、2.32(m、2H)、2.26(p、J=6.6Hz、1H)、2.16(m、1H)、0.93(dd、J=19.7Hz、6.8Hz、6H)。LC−MS;C1923NO[M]計算値:354.16、実測値:354.25。
【0219】
中間体10
【0220】
【化58】

【0221】
段階A
【0222】
【化59】

【0223】
フラスコに、Boc−アミノ酸(中間体1、1.10g、4mmol)、イソキノリン塩酸塩(中間体8、0.944g、4mmol)、PyBrOP(1.85g、4mmol)、DMAP(0.29g、2.4mmol)、DIEA(2.77mL、16mmol)およびDCM(20mL)を加えた。得られた混合物を、窒素下に36時間攪拌した。取得物全体をシリカゲルカラムに乗せ、20%EtOAc/ヘキサンで溶離した。所望のBoc−アミドをガム状固体として得た(1.5g、82%)。ESI−MS;C2433の計算値:454;実測値:455(M+H)。
【0224】
段階B
【0225】
【化60】

【0226】
Bocアミノアミド(中間体10段階A)を4N HCl/ジオキサン10mLで1時間処理し、溶媒留去し、真空乾燥した。中間体11を黄色固体として得た(1.2g)。ESI−MS;C1925Oの計算値:354;実測値:355(M+H)。
【0227】
中間体11
【0228】
【化61】

【0229】
段階A
【0230】
【化62】

【0231】
5−トリフルオロメチル−2−ピリジナール(51g、310mmol)および酢酸ナトリウム(26.2g、319mmol)の氷酢酸(200mL)溶液に、臭素(16.7mL、325mmol)を加え、得られた混合物を80℃で2.5時間加熱した。反応液を放冷して室温とし、減圧下に溶媒留去した。残留物を飽和NaHCO溶液で中和し、酢酸エチルで抽出した(200mLで3回)。有機層を合わせ、MgSOで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去して、粗生成物74.45g(98%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.04(d、J=2.6Hz、1H)、7.89(m、1H)。
【0232】
段階B
【0233】
【化63】

【0234】
窒素下にて、NaH(8.9g、220mmol)の無水テトラヒドロフラン(500mL)懸濁液に、中間体11段階Aに記載の置換ピリジン(48.8g、202mmol)を少量ずつ加えた。中間体の添加完了後、反応混合物を冷却して−78℃とし、tert−ブチルリチウム(260mL、444mmol)を注射器で滴下した。5分間攪拌後、N,N−ジメチルホルムアミド(50mL、707mmol)をゆっくり加えて、温度を−50℃以下に維持した。得られた混合物を10時間攪拌しながら、これを昇温させて室温とした。混合物を2N HClで反応停止し、酢酸エチル(1000mL)で希釈した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、減圧下に溶媒留去した。所望の生成物を酢酸エチルおよびヘキサンから析出させ、濾過して、明褐色固体を得た(28.55g、74%)。H NMR(500MHz、CDOD)δ10.13(s、1H)、8.21(s、2H)。
【0235】
段階C
【0236】
【化64】

【0237】
中間体11段階Bからの中間体(18g、95mmol)、ギ酸ナトリウム(7.1g、110mmol)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(7.3g、110mmol)およびギ酸(150mL)の混合物を室温で2時間攪拌し、終夜加熱還流した。反応混合物を冷却し、室温で7日間経過させた。反応液を水に投入し、酢酸エチルで抽出した(3回)。合わせた有機層を水(2回)、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、所望の生成物を褐色粉末として得た(17.84g、90%)。H NMR(400MHz、CDOD)δ8.37(d、J=2.7Hz、1H)、8.19(q、J=0.7Hz、0.3Hz、1H)。
【0238】
段階D
【0239】
【化65】

【0240】
オキシ塩化リン(13.4mL、144mmol)およびキノリン(8.7mL、73mmol)の混合物に、中間体11段階Cからの生成物(24.6g、131mmol)を加え、得られた混合物を3時間加熱還流した。反応液を冷却して100℃としてから、水(70mL)をゆっくり加えた。混合物をさらに冷却して室温とし、飽和NaHCO溶液で注意深く中和した。水層を酢酸エチルで抽出し(3回)、有機層を合わせ、MgSOで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物(23.5g、87%)を得た。H NMR(500MHz、CDCl)δ8.88(d、J=2.0Hz、1H)、8.26(d、J=2.5Hz、1H)。
【0241】
段階E
【0242】
【化66】

【0243】
NaH(7.8g、200mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)懸濁液に窒素下にて、マロン酸tert−ブチルメチル(20mL、120mmol)の無水テトラヒドロフラン(100mL)溶液を注射器によって滴下した。反応混合物を0.5時間攪拌してから、中間体11段階Dで製造した中間体(20.1g、97.6mmol)のテトラヒドロフラン(200mL)溶液を注射器でゆっくり加えた。反応液を室温で終夜攪拌し、飽和NHCl溶液で反応停止した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(3回)。合わせた有機層を水で洗浄し(3回)、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去した。フラッシュクロマトグラフィーによって、純粋な所望の生成物31.76g(95%)を得た。H NMR(500MHz、CDCl)δ9.03(d、J=1.5Hz、1H)、8.25(d、J=2.0Hz、1H)、5.25(s、1H)、3.86(s、3H)、1.52(s、9H)。
【0244】
段階F
【0245】
【化67】

【0246】
ラネーNi(1g)および中間体11段階Eからの生成物(18.2g、52.9mmol)のエタノール(130mL)懸濁液をパールの装置に乗せ、約0.28MPa(40psi)のHで終夜水素化した。懸濁液をセライトで濾過し、濾液を減圧下に溶媒留去して、粗生成物16.35g(98%)を得た。H NMR(500MHz、CDCl)δ8.83(s、1H)、7.89(s、1H)、7.82(s、1H)、4.83(d、J=16Hz、1H)、4.72(s、1H)、4.49(d、J=16Hz、1H)、1.45(s、9H)。
【0247】
段階G
【0248】
【化68】

【0249】
中間体11段階Fからの生成物(16g、51mmol)の塩化メチレン(60mL)中混合物にTFA(30mL)を加え、得られた混合物を室温で0.5時間攪拌した。溶液を減圧下に溶媒留去し、残留物を塩化メチレンに溶かした。飽和重炭酸ナトリウム溶液をゆっくり加えることで混合物を中和し、有機層を除去した。水層を塩化メチレンで抽出し(4回)、合わせた有機層をNaSOで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去して、所望の生成物10.42g(95%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.81(s、1H)、7.78(s、1H)、7.30(s、1H)、4.63(s、2H)、3.90(s、2H)。
【0250】
段階H
【0251】
【化69】

【0252】
中間体11段階Gからの生成物(18.0g、83.3mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液に、1.0Mボランのテトラヒドロフラン溶液(417mL、420mmol)を加え、得られた溶液を室温で終夜攪拌した。溶液を減圧下に溶媒留去し、残留物を1%HCl/メタノール溶液で処理した。得られた混合物を50℃で終夜加熱して、ボラン錯体を分解した。酸性メタノールでの処理を2回繰り返して、ボラン錯体の除去を確実に行った。この粗生成物(83.3mmol、100%変換と仮定)およびジイソプロピルエチルアミン(43mL、250mmol)の塩化メチレン溶液をジ−tert−ブチルジカーボネート(36.4g、167mmol)で処理し、得られた混合物を室温で終夜攪拌した。溶液を飽和重炭酸ナトリウム溶液、水およびブラインで洗浄した。水層を合わせ、塩化メチレンで逆洗浄した(2回)。合わせた有機層をNaSOで脱水し、濾過し、溶媒留去して乾固させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーおよびMPLCによって精製して、(11.89g、47%)を黄色固体として得た。H NMR(500MHz、CDCl)δ8.69(s、1H)、7.66(s、1H)、4.67(s、2H)、3.79(t、J=6.0Hz、2H)、3.08(t、J=5.5Hz、2H)、1.51(s、9H)。
【0253】
段階I
【0254】
【化70】

【0255】
中間体11段階Hに記載の生成物(11.89g)を、4N HClのジオキサン溶液で処理した。溶液を室温で2時間攪拌し、減圧下に溶媒留去して、中間体12(10.85g、99%)を黄色粉末として得た。LC−MS;C10の計算値202.07、実測値:[M+H]203.0。
【0256】
中間体12
【0257】
【化71】

【0258】
段階A
【0259】
【化72】

【0260】
中間体11(4.6g、16mmol)および中間体1(4.0g、14mmol)を最初にトルエンとの共沸蒸留によって脱水し(50mLで3回)、30分間高真空下に置いた。窒素下にて、4−ジメチルアミノピリジン(1.08g、8.60mmol)、無水塩化メチレン(40mL)およびジイソプロピルエチルアミン(7.0mL、40mmol)をこの順序で加えた。中間体8が溶けた後、ブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート(6.80g、14.3mmol)を加え、直ちにジイソプロピルエチルアミン(7.0mL、40mmol)を加えた。反応混合物を室温で終夜攪拌し、飽和NaHCOで反応停止した。水層を塩化メチレンで逆洗浄し(50mLで3回)、有機層を合わせ、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して(0%から60%酢酸エチル/ヘキサンの段階的勾配)、生成物(4.80g、74%)を黄色泡状物として得た。H NMR(500MHz、CDCl)δ8.72(s、1H)、7.70(s、1H)、4.88(brd、J=17.0Hz、1H)、4.78(d、J=17.6Hz、1H)、4.04〜3.84(m、2H)、3.52(brs、1H)、3.12(brt、J=5.6Hz、1H)、2.32〜2.06(m、3H)、1.98〜1.70(m、4H)、1.64〜1.54(m、1H)、1.44(s、9H)、0.92〜0.82(m、6H)。LC−MS;C2332の計算値:455.24、実測値:[M+H]456.2。
【0261】
段階B
【0262】
【化73】

【0263】
中間体12段階Bからの生成物(1.2g、2.6mmol)を4N HClのジオキサン溶液(50mL)に溶かし、得られた溶液を室温で1時間攪拌した。反応液を減圧下に溶媒留去して、生成物(904mg、97%)を白色粉末として得た。LC−MS;C1824Oの計算値:355.20、実測値:[M+H]356.2。
【0264】
中間体13
【0265】
【化74】

【0266】
段階A
【0267】
【化75】

【0268】
3−オキソシクロペンタン−カルボン酸メチル(20g、160mmol)およびオルトギ酸トリメチル(85mL、780mmol)のメタノール溶液を、触媒量のp−トルエンスルホン酸(3g、15.6mmol)で処理し、得られた溶液を室温で4時間攪拌した。溶媒を減圧下に留去し、残留物をエーテル(600mL)に溶かした。溶液を飽和重炭酸ナトリウム(200mLで2回)、水(150mL)、ブライン(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、前記と同様に溶媒留去した。フラッシュカラム(溶離液:25%エーテル/ペンタン)による精製によって、所望の生成物21.52g(73%)を透明油状物として得た。H NMR(500MHz、CDCl)δ3.68(s、3H)、3.21(d、J=9.9Hz、6H)、2.89(p、J=8.5Hz、1H)、2.14〜2.05(m、2H)、2.02〜1.80(m、4H)。
【0269】
段階B
【0270】
【化76】

【0271】
火炎乾燥500mL丸底フラスコに、脱水テトラヒドロフラン150mLを入れ、窒素下とし、アセトン/ドライアイス浴を用いて冷却して−78℃とした。ジイソプロピルアミン(19.2mL、137mmol)を、注射器を用いてその冷却溶媒に加えた。2.5M n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(55mL、140mmol)を、その溶液にゆっくり加えた。5分間攪拌後、中間体3段階Aに記載のメチルケタール(21.52g、114.4mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液を注射器で滴下し、得られた混合物を−78℃で2時間攪拌した。2−ヨードプロパン(34.3mL、343mmol)を注射器で滴下し、得られた混合物を終夜攪拌しながら、これを徐々に昇温させて室温とした。10%クエン酸溶液で反応停止し、有機層を分液した。水層をエーテルで抽出し(150mLで3回)、全ての有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去した。粗生成物を、20%エーテル/ペンタンの溶離液を用いるフラッシュカラムによって精製して、所望の生成物16.74g(64%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.69(s、3H)、3.18(d、J=20.5Hz、6H)、2.57(d、J=13.9Hz、1H)、2.29〜2.20(m、1H),1.90(p、J=6.8Hz、1H)、1.88〜1.80(m、2H)、1.69〜1.61(m、2H)、0.89(dd、J=11.9Hz、6.8Hz、6H)。
【0272】
段階C
【0273】
【化77】

【0274】
中間体13段階Bからのエステル(16.74g、72.7mmol)のエタノール(30mL)溶液を5M NaOH水溶液(55mL)で処理し、得られた混合物を3日間加熱還流した。混合物を冷却して室温とし、濃塩酸によって酸性とした。有機溶媒を減圧下に留去し、水層を塩化メチレンで抽出した(100mLで5回)。有機抽出液を合わせ、無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去して、粗3−オキソシクロペンタンカルボン酸(11.07g、90%)を黄色油状物として得た。化合物の極性および発色団が存在しないことから、精製を試みなかった。H NMR(500MHz、CDCl)d2.70(d、J=18.1Hz、1H)、2.44〜2.39(m、1H)、2.30〜2.15(m、2H)、2.14(dd、J=18.1、1.0Hz、1H)、2.06(p、J=6.9Hz、1H)、1.98(m、1H)、0.98(dd、J=11.4,6.9Hz、6H)。
【0275】
段階D
【0276】
【化78】

【0277】
段階Cからの酸(540mg、3.20mmol)の塩化メチレン(50mL)溶液に、オキサリルクロライド(0.834mL、9.60mmol)を加え、次にN,N−ジメチルホルムアミド2滴を加えた。溶液を室温で80分間攪拌し、減圧下に溶媒留去した。残留物を塩化メチレン(2mL)に溶かし、中間体12(880mg、3.20mmol)およびトリエチルアミン(0.820mL、6.50mmol)の塩化メチレン(20mL)溶液を調製したものに注射器で加えた。得られた混合物を室温で18時間攪拌し、水(25mL)で反応停止した。有機層を分離し、飽和重炭酸ナトリウムおよびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒留去した。粗生成物を、0%から70%酢酸エチル/ヘキサンの段階的勾配溶離液を用いるMPLCによって精製して、中間体2を得た(720mg,64%)。H NMR(500MHz、CDCl)。
【0278】
段階E
【0279】
【化79】

【0280】
分取キラルパック(ChiralPak)ADカラムを取り付けたHPLCを用いるキラル分離によって、中間体13段階Dからの生成物の分割を行った。その分離は、100mg/回で注入を行い、流量9mL/分で25%イソプロパノールおよび75%ヘプタンの溶離液を用いて行った。
【0281】
(実施例15)
【0282】
【化80】

【0283】
中間体9(0.130g、0.37mmol)のDCM(2.0mL)溶液をN雰囲気下に室温で、4Åモレキュラーシーブスの存在下に、DCM(2.0mL)に溶かした1−(3−メチルオキセタン−3−イル)メテンアミン0.074g(0.73mmol)の溶液で処理し、得られた混合物を45分間攪拌した。Na(AcO)BH0.154g(0.73mmol)をそのフラスコに加え、得られた混合物を終夜攪拌した。混合物をセライトで濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。シスおよびトランス生成物(ラセミ体)を、30%EtOAc/10%MeOH/1%NHOH/ヘキサンで溶離を行う分取プレートTLCによって分離した。ラセミ体のシスジアステレオマーを、20%イソプロパノール/ヘプタンで溶離を行うODカラムでの逆相キラルHPLCによって分離した。標題生成物0.0152g(帯域1)およびそのシスジアステレオマー異性体0.0146g(帯域2)を得た。LCMS;C2433[M+H];計算値:439.25、実測値:439.2。
【0284】
(実施例16)
【0285】
【化81】

【0286】
実施例15を2.0N HCl(2.0mL)で処理して、標題生成物をHCl塩として得た。LCMS;C2434ClF[M+H];計算値:475.23、実測値:475.1。
【0287】
(実施例17)
【0288】
【化82】

【0289】
中間体9に代えて中間体13を用いた以外は、実施例15についての手順に従って、標題生成物を得た。LCMS;C2332[M+H];計算値:440.24、実測値:440.2。
【0290】
(実施例18)
【0291】
【化83】

【0292】
実施例17を2.0N HCl(2.0mL)で処理して、標題生成物をHCl塩として得た。LCMS;C2333ClF[M+H];計算値:476.22、実測値:476.2。
【0293】
(実施例19)
【0294】
【化84】

【0295】
中間体12(0.1g、0.23mmol、HCl塩)のDCM(3.0mL)溶液をN雰囲気下、4Åモレキュラーシーブスの存在下に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン0.08mL(0.46mmol)およびα−イソプロピルアセト酢酸エチル0.08g(0.46mmol)で処理した。室温で45分間攪拌した後、混合物にNa(AcO)BH0.146g(0.69mmol)を加え、終夜攪拌した。混合物をセライトで濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。逆相HPLCによって、標題生成物54mg(46%)を4種類のジアステレオマー異性体の混合物として得た。LCMS;C2740[M+H]計算値:512.30、実測値:512.2。
【0296】
(実施例20〜38)
実施例19に記載の手順に従って、一連の類似の標的化合物を合成した。それらの構造およびMS特性を、下記の表にまとめた。
【0297】
【表3】


【0298】
(実施例39)
【0299】
【化85】

【0300】
実施例34(0.045g、0.105mmol)の脱水MeOH(3.0mL)溶液に、ホルムアルデヒド0.079mL(1.057mmol、37%水溶液)およびNaBHCN0.02g(0.317mmol)を加え、混合物を18時間攪拌した。溶媒を留去し、得られた油状物を水/DCMで希釈した。層を分離し、有機層を脱水し(MgSO)、減圧下に濃縮した。逆相HPLCによって標題生成物を得て、それをHCl塩に変換した。LCMS;C2436O[M+H];計算値:440.28、実測値:440.2。
【0301】
中間体14
【0302】
【化86】

【0303】
段階A
【0304】
【化87】

【0305】
テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸メチル(2.0g、14mmol)の脱水THF(20mL)溶液を0℃にてN下で、LAH14mL(14mmol、1.0M THF溶液)で処理し、混合物を2時間攪拌した。水0.5mLと次に15%NaOH0.5mL、最後に別の水1.5mLで反応停止した。得られた白色懸濁液をセライトで濾過し、濾液を脱水し(MgSO)、減圧下に濃縮して、標題生成物(1.1g)を透明油状物として得た。H NMR(CDCl、400MHz)δ:3.99〜4.03(dd、2H)、3.51〜3.53(d、2H)、3.38〜3.45(t、2H)、1.72〜1.80(m、1H)、1.65〜1.68(d、1H)、1.52(s(b)、1H)、1.29〜1.40(m、2H)。
【0306】
段階B
【0307】
【化88】

【0308】
オキサリルクロライド溶液(4.73mL、9.47mmol、2.0M DCM溶液)を−78℃でN雰囲気下に、DMSO1.34mL(18.9mmol)でゆっくり処理し、5分後に、段階Aからの生成物のDCM溶液をゆっくり加えた。得られた混合物を15分間攪拌し、トリエチルアミン6.25mLを混合物に加えた。5分後、反応液を室温で1時間攪拌し、水で反応停止した。層を分離し、水層をDCMで洗浄した(2回)。合わせた有機層を脱水し(MgSO)、減圧下に濃縮した。標題化合物を油状物として得て、それ以上精製せずに次の段階で用いた。1H NMR(CDCl、400MHz)δ:9.62(s、1H)、4.15〜4.17(d、2H)、3.45〜3.55(t、2H)、3.15〜3.18(m、2H)、1.99〜2.15(m、1H)、1.82〜1.89(d、2H)。
【0309】
中間体15
【0310】
【化89】

【0311】
4−アリルアニソール(1.0g、6.7mmol)のTHF/HO(1:1)(40mL)溶液に、OsO 17.1mgと次にNaIO 4.28g(20.1mmol)を加えた。1時間攪拌後、混合物をエーテルで希釈し、層を分離した。有機層を脱水し(MgSO)、減圧下に濃縮して、標題生成物を得た。H NMR(CDCl、400MHz)δ:9.74(s、1H)、7.04〜7.14(d、2H)、6.91〜6.94(d、2H)、3.82(s、3H)、3.65(s、2H)。
【0312】
(実施例40)
【0313】
【化90】

【0314】
中間体14を用いて実施例19についての手順に従って、標題生成物を逆相HPLC精製によって得た。LCMS;C2434[M+H];計算値:454.26、実測値:454.15。
【0315】
(実施例41)
【0316】
【化91】

【0317】
中間体15を用いて実施例19についての手順に従って、標題生成物を逆相HPLC精製によって得た。LCMS;C2734[M+H];計算値:490.26、実測値:490.2。
【0318】
(実施例42)
【0319】
【化92】

【0320】
中間体12(塩酸塩、50mg、0.117mmol)の塩化メチレン(2mL)懸濁液を室温で攪拌しながら、それにトリエチルアミン40μL(0.3mmol)および2−フルオロベンズアルデヒド14.4mg(0.1166mmol)を加えた。この反応混合物に、モレキュラーシーブス4Å 4個と次にNa(OAc)BH 50mgを加えた。終夜攪拌後、反応混合物を溶媒留去し、生成物(48mg)をギルソン(Gilson)逆相クロマトグラフィーによって単離した。
【0321】
O[M+H];計算値:463.52、実測値:505。
【0322】
(実施例43〜57)
実施例42に記載の手順に従って、一連の類似の標的化合物を合成した。それらの構造およびMS特性を、下記の表にまとめた。
【0323】
【表4】


【0324】
(実施例58)
【0325】
【化93】

【0326】
中間体7(100mg、0.203mmol)のDCM(2mL)溶液を攪拌しながら、それに4−クロロベンジルアミン(74.1mg、0.528mmol)、モレキュラーシーブス(4Å、過剰量、測定せず)およびNa(OAc)BH(172mg、0.812mmol)加えた。得られた反応混合物を室温で終夜攪拌してから濾過し、展開溶媒として10%MeOH/DCMを用いる分取TLCによって精製した。2種類のジアステレオマーを分離した(高帯域−58Aおよび低帯域−58B)。4N HCl(50μL)を加えることで、生成物を所望のHCl塩に変換した。両方の化合物をLC−MASSによって確認した。C2725SClFの計算値MW=618、実測値:M+1=619。
【0327】
(実施例59および実施例60)
【0328】
【化94】

【0329】
中間体12(45mg、0.11mmol)を、オクタナール(17mg、0.13mmol)、DIEA(38μL、0.22mmol)、水素化ホウ素トリアセトキシナトリウム(110mg、0.55mmol)および4Åモレキュラーシーブス(50mg)とDCM(10mL)中で混合した。得られた反応混合物を室温で2日間攪拌してから、DCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。生成物を分取TLC(2.7%MeOH/0.7%NHOH/97%DCM)によって分離および精製し、2M HCl/エーテルを加えることでそれらのHCl塩に変換した。濃縮後、実施例59 11mgを、実施例60 15mgとともに得た。
【0330】
実施例59:LC−MS;C2640Oの計算値:精密質量:467.31;実測値468.4。
【0331】
実施例60:LC−MS;C3456Oの計算値:精密質量:579.44;実測値580.45。
【0332】
(実施例61)
【0333】
【化95】

【0334】
段階A
【0335】
【化96】

【0336】
Pd/C(10%)2.5gを含有する(1S,4R)−(+)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オン50g(0.46mol)のメタノール(200mL)溶液を、約0.34MPa(50psi)の水素下にパールの装置で1時間水素化した。触媒を、セライト層での濾過によって除去した。濾液を溶媒留去し、残留物を真空乾燥した。得られた白色固体(50g)を塩化メチレン200mLに溶かし、ジ−tert−ブチルジカーボネート110g(0.50mol)およびDMAP 1.0gを加えた。反応混合物を室温で終夜攪拌し、シリカゲルカラムに乗せ、10%EtOAc/ヘキサンで溶離した。標題化合物(83g、86%)を白色固体として得た。NMR(400MHz、CDCl):1.40(d、1H)、1.51(s、9H)、1.70〜1.95(m、5H)、2.84(m、1H)、4.50(m、1H)。
【0337】
段階B
【0338】
【化97】

【0339】
(1S,4R)−(+)−n−BOC−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−3−オン63.0g(300mmol)およびベンジルアルコール32g(300mmol)のTHF(200mL)中混合物を窒素下に攪拌しながら、これに水素化リチウム2.8g(300mmol)を複数回に分けて加えた。得られた混合物を終夜攪拌した。TLCは、変換の完了を示していた。混合物全体を氷水/EtOAcの攪拌混合物(500mL)に投入した。有機相を分離し、水で洗浄し(200mLで2回)、NaSOで脱水し、溶媒留去し、真空乾燥した。標題化合物(95.5g、100%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl):1.44(s、9H)、1.60(m、1H)、1.72(m、1H)、1.95(m、3H)、2.24(m、1H)、2.90(m、1H)、4.08(m、1H)、4.98(広い、1H)、5.13(s、2H)、7.38(m、5H)。
【0340】
段階C
【0341】
【化98】

【0342】
(1S,3R)−(N−BOC−3−アミノ)−シクロペンタンカルボン酸ベンジル96g(300mmol)および4N HCl/ジオキサン300mLの混合物を、1時間攪拌した。溶媒を減圧下に除去し、残留物を高真空下に終夜乾燥させ、CHCl300mLに懸濁させた。この懸濁液に、ベンゾフェノンイミン54.4gを加えた。得られた混合物を終夜攪拌した。沈澱を濾過によって除去し、濾液をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、溶媒留去し、真空乾燥した。標題化合物を、明黄色油状物として得た(116.0g、100%)。H NMR(400MHz、CDCl):1.80(m、1H)、1.95(m、2H)、2.15(m、2H)、2.50(m、1H)、2.89(m、1H)、3.61(m、1H)、5.20(s、2H)、7.18(d、2H)、7.38(m、8H)、7.47(m、3H)、7.64(d、2H)。
【0343】
段階D
【0344】
【化99】

【0345】
火炎乾燥500mL丸底フラスコに、脱水THF(130mL)を加えた。溶媒を冷却して−78℃としてから、ジイソプロピルアミン(10.5mL、75.2mmol)、2.5M n−ブチルリチウム(30mL、75mmol)および段階Cで製造した生成物(25g、65mmol)のTHF(20mL)溶液を、この順序で加えた。反応混合物を−78℃で30分間攪拌してから、アセトン(14.4mL、196mmol)を加えた。反応液をさらに1時間攪拌した後、混合物を飽和NHClで反応停止し、エーテルで抽出し、MgSOで脱水し、濃縮した。粗生成物をMPLC(EtOAc:ヘキサン/25:75)によって精製した。シスおよびトランス異性体を分割し、シス体が所望の異性体であった(シス、6.8g;トランス、3.47g)。シス異性体:H NMR(400MHz、CDCl):7.58(m、2H)、7.48〜7.28(m、11H)、7.14(m、2H)、5.22(s、2H)、3.78(p、J=12.1Hz、6.2Hz、1H)、3.46(s、1H)、2.56〜2.50(m、1H)、2.27(dd、J=13.9Hz、5.9Hz、1H)、2.08(dd、J=13.8Hz、6.6Hz、1H)、1.92(m、1H)、1.83〜1.69(m、2H)、1.09(d、J=14.0Hz、6H)。
【0346】
段階E
【0347】
【化100】

【0348】
前段階からのイミン(6.8g、15mmol)をTHF(50mL)に溶かしてから、2N HCl水溶液(50mL)を加えた。反応混合物を攪拌し、TLCによってモニタリングした。反応完結後、混合物を減圧下に濃縮してTHFを除去した。水層を飽和NaCO溶液でpH9.0の塩基性とし、DCMで抽出した。有機層をMgSOで脱水し、ジ−tert−ブチルジカーボネート(4.4g、20mmol)を加えた。反応液を室温で終夜攪拌してから、DCMで抽出し、MgSOで脱水し、減圧下に濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、(2.9g、50%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)7.39(m、5H)、5.20(s、2H)、4.62(bs、1H)、4.13(b、1H)、3.40(s、1H)、2.25(dd、J=14.5Hz、8.1Hz、1H)、2.16(m、1H)、2.01(m、2H)、1.89(m、1H)、1.44(s、9H)、1.18(s、6H)。
【0349】
段階F
【0350】
【化101】

【0351】
前段階からのベンジルエステル(2.9g)、Pd/C(300mg)およびエタノール(50mL)の混合物を、約0.34MPa(50psi)圧下にパール装置上に終夜置いた。混合物をセライトで濾過し、減圧下に濃縮して、所望の生成物を得た(2.01g、91.0%)。H NMR(500MHz、CDCl):6.56(s、1/2H)、5.17(s、H)、4.00(d、J=43.3Hz、1H)、2.40〜1.70(m、6H)、1.46(b、9H)、1.27(b、6H)。
【0352】
段階G
【0353】
【化102】

【0354】
段階Fからの酸(3.72g、13.0mmol)、3,5−ビストリフルオロメチルベンジルアミン塩酸塩(3.62g、13.0mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(2.26mL、13.0mmol)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(1.76g、13.0mmol)の塩化メチレン(30mL)溶液をEDC(3.72g、19.4mmol)で処理し、反応混合物を室温で2時間攪拌した。これを水(50mL)に投入し、塩化メチレンで抽出した。合わせた有機抽出液をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧下に除去して、油状の粗生成物4.80gを得た。これをさらに、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチルヘキサン/2:3)によって精製して、純粋な生成物3.18g(48%)を得た。H NMR(500MHz、CDCl):8.40(bs、1H)、7.76(s、1H)、7.75(s、2H)、5.34(d、J=6.18Hz、1H)、4.56(m、2H)、4.0(m、1H)、3.21(s、1H)、2.15(dd、J=14.2、4.81Hz、1H)、2.05〜1.85(m、4H)、1.62(m、1H)、1.41(bs、9H)、1.26(s、3H)、1.23(s、3H)。13C NMR(125MHz、CDCl):178.4、155.7、141.8、131.9(m)、127.5、121.0、79.1、74.6、52.3、42.7、37.8、33.4、31.6、28.3、27.0、26.3。
【0355】
段階H
【0356】
【化103】

【0357】
前段階からのBOC保護アミンの溶液(3.18g、6.20mmol)をジオキサン/HCl(4.0N)中で1時間撹拌した。溶媒を減圧下に除去して、純粋な塩酸塩を得た(2.63g、94%)。LCMS;C1822[M+H];計算値:413.16、実測値:413.20。
【0358】
段階I
【0359】
【化104】

【0360】
前段階からのアミン塩酸塩(147mg、0.328mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(228μL、1.31mmol)の塩化メチレン(8mL)溶液を2−ニトロフェニルスルホニルクロライド(88mg、0.39mmol)で処理し、室温で1時間撹拌した。反応混合物を塩化メチレン(50mL)で希釈し、水で洗浄した(50mLで2回)。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に除去した。残留物(188mg)を分取TLC(酢酸エチル:ヘキサン/6:4)によって精製して、所望の生成物145mgを得た。H NMR(500MHz、CDCl):8.23(bt、J=5.72Hz、1H)、8.12(m、1H)、7.75(bm、5H)、6.59(d、J=7.78Hz)、4.63(dd、J=16.0、6.0Hz)、4.53(dd、J=15.6、6.0Hz)、4.0(m、1H)、2.45(s、1H)、2.22(dd、J=14.4、2.5Hz、1H)、2.02(dd、J=13.7、6.7Hz、1H)、1.80(m、3H)、1.6(m、1H)、1.24(s、3H)、1.18(s、3H)。LCMS;C2425S[M+H];計算値:598.14、実測値:598.15。
【0361】
段階J
【0362】
【化105】

【0363】
トリブチルホスフィン((200μ、0.804mmol)のTHF(8mL)溶液を冷却して0℃とし、無希釈のジエチルアゾジカルボキシレート(126μL、0.804mmol)を注射器によって加えた。冷却下に30分間撹拌した後、前段階からのアミド(240mg、0.402mmol)およびメチルアルコール(100mL、2.47mmol)のTHF(6mL)溶液を加えた。冷却浴を外し、反応混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒留去して乾固させ、残留物を水(20mL)で希釈し、粗生成物を酢酸エチルで抽出した(30mLで3回)。合わせた有機抽出液を無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に除去した。残留物(459mg)をさらに、分取TLC(酢酸エチル+ヘキサン/6:4)によって前精製し、再度分取TLCおよびベンゼン−ジエチルエーテル(4:1)を溶離液として用いて精製した。このようにして、所望の純粋な生成物126mg(63%)を得た。H NMR(500MHz、CDCl):8.07(t、J=6.0Hz、1H)、7.97(m、1H)、7.75〜7.60(m、6H)、4.57(d、J=6.0Hz、2H)、4.30(m、1H)、4.18(m、2H)、3.18(s、1H)、2.82(s、3H)、2.64(s、1H)、2.32(m、1H)、2.14(m、1H)、1.92(dd、J=14.0、8.9Hz、1H)、1.70(m、3H)、1.25(m、9H)。LCMS;C2527S[M+H];計算値:612.15、実測値:612.10。
【0364】
段階K
【0365】
【化106】

【0366】
前段階で製造を説明したスルホンアミド(145mg、0.237mmol)、炭酸カリウム(火炎乾燥、100mg、0.279mmol)およびDMFの混合物をチオフェノール(30μL、0.24mmol)で処理し、室温で6時間撹拌した。水(5mL)に投入することで反応停止し、生成物を酢酸エチルで抽出した(10mLで3回)。合わせた有機抽出液を脱水し(無水硫酸ナトリウム)、濾過し、溶媒留去して乾固させることで、粗生成物151mgを得た。これをさらに、分取TLC(酢酸エチル+エチルアルコール+水酸化アンモニウム/90:9:1)によって精製して、純粋な生成物37mg(37%)を得た。H NMR(500MHz、CDCl):10.30(s、1H)、7.79(s、1H)、7.74(s、2H)、5.82(s、1H)、4.57(dd、J=15.3、5.5Hz、1H)、4.44(dd、J=15.3、5.5Hz、1H)、3.25(m、1H)、2.35(m、1H)、2.26(s、3H)、1.95(bm、3H)、1.70(bm、4H)、1.32(s、3H)、1.17(s、3H)。LCMS;C1924[M+H]427.40、実測値:427.15。
【0367】
(実施例62〜96)
下記の表には、異なるアルデヒドを用いて実施例1に記載の方法に従って製造した他の化合物を示した。これらの生成物は、各場合でLC−MSによって確認した。
【0368】
【表5】




【0369】
(実施例97〜106)
下記の表には、異なるアルデヒドを用いて実施例15に記載の方法に従って製造した化合物を示した。これらの生成物は、各場合でLC−MSによって確認した。
【0370】
【表6】


【0371】
(実施例107)
【0372】
【化107】

【0373】
段階A
【0374】
【化108】

【0375】
2−フルオロ−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル(5.23g、27.7mmol)のTHF(140mL)溶液を冷却し(0℃)、それにカリウムt−ブトキシド(3.88g、34.6mmol)のTHF(35mL)懸濁液を急速に滴下した。反応混合物を徐々に昇温させて室温とし、終夜攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、次にエーテルおよび1M HCl溶液を加え、層を分液した。エーテル層を飽和NaHCO溶液、次にブラインで洗浄し、無水MgSOで脱水し、濾過し、濃縮した。MPLC(シリカ、25%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって、白色結晶固体を得た。H NMR(CDCl、500MHz):δ7.84(d、J=2.0Hz、1H)、7.73(dd、J=8.5、2.0Hz、1H)、7.27(d、J=9.0Hz)、1.55(s、9H)。
【0376】
段階B
【0377】
【化109】

【0378】
段階Aに記載の方法に従って製造したニトリル(7.6g、31mmol)のエタノール(100mL)溶液に、水酸化アンモニウム溶液(28〜30%、25mL)およびラネー(登録商標)2800ニッケル(水中スラリー、約3.5g)を加えた。得られた混合物を約0.34MPa(50psi)の水素ガス下にパール装置を用いて24時間攪拌した。反応混合物をセライトで濾過し、エタノールと次に水で洗浄した。濾液を減圧下に濃縮して乾固させ、こうして得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー[シリカ、5%から10%勾配(1%ずつ上昇)の(10%水酸化アンモニウム溶液(28〜30%)/メタノール)/DCM]によって精製して、1−[2−tert−ブトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]メタンアミンを無色油状物として得て、これは冷凍庫で保存していると結晶化した。H NMR(CDCl、500MHz):δ7.56(d、J=2.0Hz、1H)、7.44(dd、J=8.5,2.0Hz、1H)、7.12(d、8.5Hz、1H)、3.90(s、2H)、2.70(brs、2H)、1.51(s、9H)。
【0379】
段階C
【0380】
【化110】

【0381】
中間体1(3.42g、12.6mmol)を、段階Bからの生成物(3.43g、13.9mmol)およびEDC(3.62g、18.9mmol)のDCM(50mL)溶液と合わせた。室温で24時間後、反応混合物をDMAP200mgで処理し、得られた溶液を2日間攪拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、1N HCl、次にブラインで洗浄した。有機層をMgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、粗所望生成物3.50gを得た。それをMPLC(0%から50%EA/ヘキサン)によって精製して、所望の純粋な生成物1.64gを得た。
【0382】
段階D
【0383】
【化111】

【0384】
前段階からの生成物(1.64g、3.28mmol)を4M HClのジオキサン溶液(40mL)に溶かし、室温で3.5時間攪拌してから、減圧下に濃縮し、高真空下に終夜乾燥させた。得られたHCl塩をDCM(200mL)およびDIEA(1.1mL、6.5mmol)に溶かし、TFAA(509μL、3.61mmol)で処理した。得られた反応混合物を室温で2.5時間攪拌してから、重曹で反応停止し、DCMで希釈した。層を分離し、DCM層を1N HClおよびブラインで洗浄した。有機層をMgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、所望の生成物1.53gを得た。LC−MS[M+Na]=463.45。
【0385】
段階E
【0386】
【化112】

【0387】
前段階からの生成物(1.53g)を、p−トルエンスルホン酸(150mg)およびパラホルムアルデヒド(1.5g)のベンゼン(50mL)溶液と合わせた。得られた反応混合物を、ディーン/スタークトラップ装置で4時間加熱還流した。反応混合物を冷却して室温とし、ジエチルエーテルで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液と次にブラインで洗浄した。有機層をMgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、所望の生成物1.53gを得た。LC−MS(M+H)=453。
【0388】
段階F
【0389】
【化113】

【0390】
前段階からの生成物(1.53g、3.38mmol)を、KCO(2.23g、16.9mmol)の水(2.5mL)およびメタノール(100mL)混合液中溶液と合わせた。得られた反応混合物を室温で終夜攪拌し、加熱して50℃として4.5時間経過させて、変換を行った。反応混合物を濃縮し、粗取得物をDCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液と次にブラインで洗浄した。有機層をNaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して所望の生成物1.31gを得たが、それには精製が必要なかった。LC−MS(M+H)=357。
【0391】
段階G
【0392】
【化114】

【0393】
段階Fからのアミン(0.022g、0.047mmol)、アルデヒド(9.0mg、0.046mmol)の塩化メチレン(2mL)中混合物に室温で、4Åモレキュラーシーブス(0.05g)と次にNa(OAc)BH(50mg、0.24mmol)を加えた。得られた混合物を12時間攪拌し、濾過した。塩化メチレン層をブラインで洗浄し、脱水し、溶媒留去し、分取クロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物18mgを塩酸塩として得た。LC−MS(M+H)=535.4。
【0394】
(実施例108)
【0395】
【化115】

【0396】
実施例107(15mg、0.028mmol)のTHF/MeOH(1.0mL、1:1)中混合物に室温で、水酸化リチウム・1水和物(60mg、0.14mmol)を加え、終夜攪拌した。揮発分を留去し、逆相クロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物12mgを得た。LC−MS(M+H)=521.5。
【0397】
(実施例109)
【0398】
【化116】

【0399】
実施例108(0.025g、0.044mmol)のMeOH(3.0mL)溶液に、ホルマリン溶液(10当量、37%水溶液)およびNaCNBH(0.014g、0.22mmol)をこの順で加え、得られた混合物を室温で終夜攪拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層をブラインで洗浄し、脱水し、溶媒留去して粗生成物を得た。これを次にTHF/MeOH(2.0mL、1:1)に取り、実施例108について記載のものと同様の手順でLiOH(5当量)でケン化した。LC−MS(M+H)=535.5。
【0400】
(実施例110)
【0401】
【化117】

【0402】
段階A
【0403】
【化118】

【0404】
(1S)−(+)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オン(10.3g、94.4mmol)の酢酸エチル(200mL)溶液および10%Pd/C(0.5g)の混合物を、室温で水素化した。24時間後、反応混合物を濾過し、溶媒留去したところ、生成物10.4g(100%)が残り、これをメタノール250mLおよびHCl(12M、6mL)に取った。得られた混合物を、反応が完結するまで(72時間)、室温で攪拌した。メタノールの留去とそれに続く高真空下での乾燥によって、標題化合物をオフホワイト固体として得た(16.0g、96%)。H NMR(500MHz、DO):δ3.70(s、3H)、3.01(m、1H)、2.38(m、1H)、2.16〜1.73(m、6H)。
【0405】
段階B
【0406】
【化119】

【0407】
段階Aからの中間体(10.2g、56.8mmol)の脱水塩化メチレン(200mL)懸濁液に、ベンゾフェノンイミン(10.2g、56.8mmol)を室温で加え、得られた混合物を24時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を溶媒留去したところ黄色油状物が残り、それをエーテル(100mL)で磨砕し、濾過し、溶媒留去した。この操作を2回繰り返して、生成物に塩化アンモニウム不純物が存在しないようにした。得られた油状物を十分に真空乾燥して、標題化合物(18.03g、>100%)を得て、さらなる精製は必要なかった。H NMR(500MHz、CDCl):δ7.5〜7.18(m、10H)、3.75(m、1H)、3.7(s、3H)、2.78(m、1H)、2.26〜1.71(m、6H)。
【0408】
段階C
【0409】
【化120】

【0410】
火炎乾燥1000mL丸底フラスコに、脱水テトラヒドロフラン400mLを入れ、窒素下とし、アセトン/ドライアイス浴を用いて冷却して−78℃とした。その冷却した溶媒に、ジイソプロピルアミン(27.4mL、195mmol)を注射器で加えた。得られた溶液を、2.5M n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(55mL、140mmol)で徐々に処理した。5分間攪拌後、段階Bに記載の生成物(40g、130mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液を注射器で滴下し、得られた混合物を−78℃で2時間攪拌した。2−ヨード−1,1,1−トリフルオロエタン(47mL、480mmol)を注射器によって滴下し、得られた混合物を終夜攪拌しながら、徐々に室温まで昇温させた。飽和塩化アンモニウム溶液(400mL)で反応停止し、有機層を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(150mLで3回)、全ての有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去した。粗生成物を、それ以上精製せずに次の段階で用いた。LC−MS;C2222NO計算値:389.26、実測値:[M+H]390.4。
【0411】
段階D
【0412】
【化121】

【0413】
中間体12段階Aからの生成物(130mmol、100%変換と仮定)のテトラヒドロフラン(200mL)溶液に、2N塩酸200mLを加え、得られた混合物を室温で終夜攪拌した。溶液を減圧下に濃縮してテトラヒドロフランを除去し、水層を塩化メチレン(300mL)で希釈した。高攪拌しながら5N水酸化ナトリウムをゆっくり加えることで、水層のpHをpH10に調節した。有機層を分液漏斗を用いて除去し、水層を塩化メチレンで抽出した(150mLで2回)。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液に、ジイソプロピルエチルアミン(22.7mL、130mmol)およびジ−tert−ブチルジカーボネート(32.7g、150mmol)を加え、得られた溶液を室温で終夜攪拌した。混合物を1N塩酸、次に飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去した。MPLC(5g/回)による精製によって、所望のシス(R,S)異性体5.87g(14%)および不所望のトランス(S,S)異性体12.31g(29%)を得た。さらに、5.22g(12%)を、上記2種類のジアステレオマーの1:1混合物として回収した。H NMR(500MHz、CDCl)δ(最初の所望の異性体)5.05および4.40(1重線、1H)、3.76(s、3H)、2.73(ddd、J=11.0、12.8、14.8Hz、1H)、2.38(ddd、J=10.7、12.8、15.0Hz、1H)2.32〜2.26(m、1H)、2.21(brdd、J=3.6、14.5Hz、1H)、2.18〜2.11(m、1H)、2.02(dd、J=8.8、14.4Hz、1H)、1.61(dd、J=7.8,13.2Hz、1H)1.52(brs、10H)。H NMR(500MHz、CDCl)δ(2番目の不所望の異性体)4.52および4.06(1重線、1H)、3.72(s、3H)、2.72(dd、J=7.1、13.5Hz、1H)、2.66(ddd、J=10.6、12.8、15.0Hz、1H)、2.53(ddd、J=11.0、12.8、14.9Hz、1H)2.26(見かけのdd、J=7.1、13.5Hz、1H)、2.18〜2.07(m、1H)、1.78(dd、J=8.6、13.5Hz、1H)、1.57〜1.48(m、2H)1.46(s、9H)。
【0414】
段階E
【0415】
【化122】

【0416】
中間体12段階Bに記載の所望のシス(R,S)生成物(4.0g、12mmol)の1:1:1テトラヒドロフラン/メタノール/水(84mL)溶液中の混合物に、固体LiOH(2.60g、62.0mmol)を加え、得られた溶液を加熱して60℃とし、18時間攪拌した。混合物を放冷して室温とし、濃縮して有機溶媒を除去した。水層を、6N塩酸を徐々に加えることでpH4〜5の酸性とした。その酸性水層を塩化メチレンで抽出し(100mLで3回)、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去して、中間体12(3.86g、99%)を黄色油状物として得た。冷蔵庫で5℃にて2日間放置した後、取得物が結晶化した。
【0417】
段階F
【0418】
【化123】

【0419】
中間体1を段階Eからの生成物に代えた以外は、中間体12の場合と同様にして、本化合物を製造した。LC−MS;C1719O計算値:395.17、実測値:[M+H]396.2。
【0420】
段階G
【0421】
【化124】

【0422】
段階Fからの生成物およびトリメチルアセトアルデヒドを用い、実施例19の製造について記載の手順に従って、実施例110を合成した。LC−MS;C2229O計算値:465.22、実測値:[M+H]466.1。
【0423】
(実施例111)
【0424】
【化125】

【0425】
中間体12(105mg、0.3mmol)および2−ブロモ−3−メチルブタン酸エチル(82mg、0.39mmol)のDMF(5mL)中混合物に、炭酸カリウム(124mg、0.9mmol)を加えた。反応液を0℃で終夜攪拌し4、酢酸エチルに投入した。有機層を飽和重炭酸ナトリウムで3回洗浄し、MgSOで脱水し、濃縮して残留物を得て、それを逆相HPLCによって精製した。LC−MS;C2536計算値:483.58、実測値:[M+H]484.4。
【0426】
(実施例112)
【0427】
【化126】

【0428】
中間体12および2−ブロモペンタン酸エチルを用い、実施例111と同様の手順に従った。LC−MS;C2536計算値:483.58、実測値:[M+H]484.5。
【0429】
(実施例113)
【0430】
【化127】

【0431】
中間体2および2−ブロモプロパン酸メチルを用い、実施例111と同様の手順に従った。LC−MS;C2228計算値:482.48、実測値:[M+H]483.5。
【0432】
(実施例114)
【0433】
【化128】

【0434】
中間体10(174mg、0.5mmol)、(3−ブロモメチル)フェニル酢酸メチル(40mg、0.2mmol)および塩化メチレン(5mL)を室温で終夜攪拌した。反応混合物を濃縮して粗油状物を得て、これを逆相HPLCによってさらに精製して、所望の生成物のトリフルオロ酢酸塩を黄色油状物として得た(41mg、41%)。LC−MS;C2936計算値:516.61、実測値:[M−CH501.13。
【0435】
(実施例115)
【0436】
【化129】

【0437】
実施例114(20mg、0.03mmol)、1.0N水酸化リチウム水溶液(2mL)およびエタノール(2mL)の混合物を室温で終夜攪拌した。反応混合物を濃縮して油状物を得て、これをさらに逆相HPLCによって精製して、酸を無色油状物として得た(10mg、50%)。LC−MS;C2834計算値:502.58、実測値:M503.68。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iの化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【化1】

[式中、
Zは、NまたはCであって、2個以下のZがNであり;
は、−C1−6アルキル、−C0−6アルキル−O−C1−6アルキル、−C0−6アルキル−S−C1−6アルキル、−C0−6アルキル−SO−C1−6アルキル、−C0−6アルキル−SO−C1−6アルキル、−C0−6アルキル−SO−NR12−C0−6アルキル、−(C0−6アルキル)−(C3−7シクロアルキル)−(C0−6アルキル)ヒドロキシ、複素環、−CN、−NR1212、−NR12COR13、−NR12SO14、−COR11、−CONR1212およびフェニルから選択され;アルキルおよびシクロアルキルは未置換であるか独立にハロ、ヒドロキシ、−0−C1−3アルキル、トリフルオロメチル、C1−3アルキル、−O−C1−3アルキル、−COR11、−SO14、−NHCOR15、−NHSOCH、複素環、=Oおよび−CNから選択される1〜7個の置換基で置換されており;フェニルおよび複素環は独立に、未置換であるか独立にハロ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、トリフルオロメチルおよびNHCOR15から選択される1〜3個の置換基で置換されており;
に結合したZがNである場合にはRは酸素であるか非存在であり、Rに結合したZがCである場合にはRは水素、1〜3個のフッ素で置換されていても良いC1−3アルキル、1〜3個のフッ素で置換されていても良い−O−C1−3アルキル、ヒドロキシ、塩素、フッ素、臭素およびフェニルから選択され;
に結合したZがNである場合にはRは酸素であるか非存在であり、Rに結合したZがCである場合にはRは水素、ヒドロキシ、ハロ、C1−3アルキルから選択され;前記アルキルは未置換であるか独立にフッ素、ヒドロキシおよび−COR11、−NR1212、−COR11、−CONR1212、−NR12COR13、−OCONR1212、−NR12CONR1212、−複素環、−CN、−NR12−SO−NR1212、−NR12−SO−R14、−SO−NR1212およびニトロから選択される1〜6個の置換基で置換されており;
に結合したZがNである場合にはRは酸素であるか非存在であり、Rに結合したZがCである場合にはRは水素、1〜3個のフッ素で置換されていても良いC1−3アルキル、1〜3個のフッ素で置換されていても良い−O−C1−3アルキル、ヒドロキシ、塩素、フッ素、臭素およびフェニルから選択され;
は、C1−6アルキル(アルキルは未置換であるかフッ素およびヒドロキシルから選択される1〜6個の置換基で置換されている。)、−O−C1−6アルキル(アルキルは未置換であるか1〜6個のフッ素で置換されている。)、−CO−C1−6アルキル(アルキルは未置換であるか1〜6個のフッ素で置換されている。)、−S−C1−6アルキル(アルキルは未置換であるか1〜6個のフッ素で置換されている。)、ピリジル(未置換であるかハロ、トリフルオロメチル、C1−4アルキルおよびCOR11から選択される1以上の置換基で置換されている。)、フッ素、塩素、臭素、−C4−6シクロアルキル、−O−C4−6シクロアルキル、フェニル(未置換であるかハロ、トリフルオロメチル、C1−4アルキルおよびCOR11から選択される1以上の置換基で置換されている。)、−O−フェニル(未置換であるかハロ、トリフルオロメチル、C1−4アルキルおよびCOR11から選択される1以上の置換基で置換されている。)、−C3−6シクロアルキル(アルキルは未置換であるか1〜6個のフッ素で置換されている。)、−O−C3−6シクロアルキル(アルキルは未置換であるか1〜6個のフッ素で置換されている。)、−複素環、−CNおよび−COR11から選択され;
に結合したZがNである場合にはRは酸素であるか非存在であり、Rに結合したZがCである場合にはRは水素、1〜3個のフッ素で置換されていても良いC1−3アルキル、1〜3個のフッ素で置換されていても良い−O−C1−3アルキル、ヒドロキシ、塩素、フッ素、臭素およびフェニルから選択され;
は、水素、C1−8アルキル(未置換であるかヒドロキシ、ハロ、−O−C1−6アルキル、−CN、−NR1212、−NR12COR13、−NR12SO14、−COR11、−CONR1212、フェニルおよび複素環から選択される1〜6個の置換基で置換されており、前記アルキル、フェニルおよび複素環は未置換であるかハロ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、−COH、−CO−C1−6アルキルおよびトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基で置換されている)および−SO1−6アルキル(未置換であるかヒドロキシ、ハロ、−O−C1−6アルキル、CN、−NR1212、−NR12COR13、−NR12SO14、−COR11、−CONR1212、フェニルおよび複素環から選択される1〜6個の置換基で置換されており、前記アルキル、フェニルおよび複素環は未置換であるかハロ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、−COH、−CO−C0−6アルキルおよびトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基で置換されている。)から選択され;
は、C1−10アルキル、−SO1−10アルキル、ピリジルまたはフェニルから選択され;これらは未置換であるかヒドロキシ、ハロ、−O−C1−6アルキル、−S−C1−6アルキル、CN、−NR1212、−NR12COR13、−NR12SO14、−COR11、−CONR1212、−SO14、複素環、=O(酸素が二重結合を介して結合している。)、フェノキシおよびフェニルから選択される1〜5個の置換基で置換されており;前記アルキル、フェニル、フェノキシおよび複素環は、未置換であるかハロ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、−COR11、−CN、−NR1212、−SO14、−NR12COR13、−NR12SO14および−CONR1212から選択される1〜3個の置換基で置換されており;前記アルキルおよびアルコキシは、1〜5個のフッ素で置換されていても良く;
10およびR16は独立に、=O、水素、フェニル、C1−6アルキル(未置換であるか以下の置換基:−COR11、ヒドロキシ、フッ素、塩素および−O−C1−3アルキルのうちの1〜6個で置換されている。)から選択され;
11は独立に、ヒドロキシ、水素、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、ベンジル、フェニル,C3−6シクロアルキルから選択される;前記アルキル、フェニル、ベンジルおよびシクロアルキル基は、未置換であるか独立にハロ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、−COH、−CO−C1−6アルキルおよびトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基で置換されており;
12は、水素、C1−6アルキル、ベンジル、フェニル、C3−6シクロアルキルから選択され;前記アルキル、フェニル、ベンジルおよびシクロアルキル基は、未置換であるか独立にハロ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、−COH、−CO−C1−6アルキルおよびトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基で置換されており;
13は、水素、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、ベンジル、フェニル、C3−6シクロアルキルから選択され;前記アルキル、フェニル、ベンジルおよびシクロアルキル基は、未置換であるか独立にハロ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、−COH、−CO−C1−6アルキルおよびトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基で置換されており;
14は、ヒドロキシ、C1−6−アルキル、−O−C1−6アルキル、ベンジル、フェニル、C3−6シクロアルキルから選択され;前記アルキル、フェニル、ベンジルおよびシクロアルキル基は、未置換であるか独立にハロ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、−COH、−CO−C1−6アルキルおよびトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基で置換されており;
15は、水素およびC1−3アルキルから選択され;
またはRおよびR15が一体となって、−CH(CR17171−3−、−CHNR18−、−NR18−CR1717−、−CR1717O−、−CR1717SO−、−CR1717SO−、−CR1717S−、−CR1717−および−NR18−から選択される連結基(連結基の左側がR15でのアミド窒素に結合している。)を有する炭素環または複素環を形成しており;
17は、水素、ヒドロキシ、ハロおよびC1−3アルキルから選択され;前記アルキルは、未置換であるか独立にフッ素およびヒドロキシ、−NR1212、COR11、−CONR1212、−NR12COR13、−OCONR1212、−NR12CONR1212、−複素環、−CN、−NR12−SO−NR1212、−NR12−SO−R14、−SO−NR1212および=Oから選択される1〜6個の置換基で置換されており;1個のR17が二重結合を介して環に連結されている場合、同じ位置の他のR17は非存在であり;
18は、水素、C1−3アルキル(未置換であるか独立にフッ素およびヒドロキシ、COR13、SO14およびSONR1212から選択される1〜6個の置換基で置換されている。)から選択され;
点線は存在しても良い結合を表す。]
【請求項2】
下記式Iaの請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【化2】

[式中、Rは、水素、ヒドロキシ、C1−3アルキル(未置換であるか独立にフッ素およびヒドロキシから選択される1〜6個の置換基で置換されている)、−COR11、−CONR1212、−NR12COR11、−NR12−SO−R14、−SO−NR1212および=Oから選択され;Rは二重結合を介して環に連結されている。]
【請求項3】
下記式Ibの請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【化3】

【請求項4】
下記式Icの請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【化4】

【請求項5】
下記式Idの請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【化5】

【請求項6】
下記式Ieの請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【化6】

【請求項7】
下記式Ifの請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【化7】

【請求項8】
が−C1−6アルキル、−C0−6アルキル−O−C1−6アルキルおよび−(C0−6アルキル)−(C3−7シクロアルキル)−(C0−6アルキル)から選択され:前記アルキルおよび前記シクロアルキルは、未置換であるか独立にハロ、ヒドロキシ、−O−C1−3アルキル、トリフルオロメチル、C1−3アルキル、−O−C1−3アルキル、−COR11、−CN、−NR1212および−CONR1212から選択される1〜7個の置換基で置換されている請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項9】
が、
未置換であるか独立にハロ、ヒドロキシ、−O−C1−3アルキル、トリフルオロメチルおよび−COR11から選択される1〜6個の置換基で置換されている−C0−6アルキル、
未置換であるか独立にハロ、トリフルオロメチルおよび−COR11から選択される1〜6個の置換基で置換されている−C0−6アルキル−O−C1−6アルキル、
未置換であるか独立にハロ、ヒドロキシ、−O−C1−3アルキル、トリフルオロメチルおよび−COR11から選択される1〜7個の置換基で置換されている−(C3−5シクロアルキル)−(C0−6アルキル)
から選択される請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項10】
が、未置換であるかヒドロキシルおよびフッ素から選択される1〜6個の置換基で置換されたC1−6アルキルである請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項11】
が、−CH(CH、−CH(OH)CHおよび−CHCFから選択される請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項12】
が、未置換であるかNHCOR15で置換されているチアゾリルから選択される請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項13】
に結合したZがCである請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項14】
が水素であるか、RとR15が−CH−CH−または−CH−O−によって連結されている請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項15】
に結合したZがNであり、Rが非存在であるかOである請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項16】
に結合したZがNであり、Rが非存在である請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項17】
に結合したZがCであり;Rが、水素、ハロ、ヒドロキシ、C1−3アルキルから選択され;前記アルキルが未置換であるか独立にフッ素およびヒドロキシ、−COR11、−CONR1212、−複素環、−NR12−SO−NR1212、−NR12−SO−R14、−SO−NR1212、−ニトロおよび−NR1212から選択される1〜6個の置換基で置換されている請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項18】
に結合したZがCであり、Rが水素である請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項19】
に結合したZがCである請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項20】
が水素である請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項21】
が1〜6個のフッ素で置換されたC1−6アルキル、1〜6個のフッ素で置換された−O−C1−6アルキル、塩素、臭素およびフェニルから選択される請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項22】
がトリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、塩素、臭素およびフェニルから選択される請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項23】
がトリフルオロメチルである請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項24】
に結合したZがCである請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項25】
が水素である請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項26】
が水素またはメチルである請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項27】
が水素である請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項28】
が、ヒドロキシで置換されていても良いC1−8アルキル、1〜6個のフッ素で置換されたC1−6アルキル、−COR11で置換されたC1−6アルキル、ベンジル(未置換であるかヒドロキシ、メトキシ、塩素、フッ素、−COR11、メチルおよびトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基で置換されている。)、−CH−ピリジル(未置換であるかヒドロキシ、メトキシ、塩素、フッ素、メチルおよびトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基で置換されている。)から選択される請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項29】
がヒドロキシ、水素、=O(Rは二重結合を介して環に連結されている。)から選択される請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項30】
が水素である請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項31】
10が水素である請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項32】
15が水素であるかRに連結されている請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項33】
16がである請求項1に記載の化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項34】
下記のものから選択される化合物ならびに該化合物の製薬上許容される塩および個々のジアステレオマー。
【表1】








【請求項35】
不活性担体および請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項36】
有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する、哺乳動物でのケモカイン受容体活性の調節方法。
【請求項37】
患者に対して有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する、炎症性および免疫調節性の障害または疾患の治療、改善、管理またはリスク低下方法。
【請求項38】
患者に対して有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する、関節リウマチの治療、改善、管理またはリスク低下方法。

【公表番号】特表2007−519633(P2007−519633A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547521(P2006−547521)
【出願日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/043777
【国際公開番号】WO2005/067502
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】