説明

アルキルアミン誘導体の製造方法

本発明は不純物が殆ど生成されなくて高純度であり、大量生産が可能なアルキルアミン誘導体の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアルキルアミノエステル塩酸塩の加水分解時、酸を使用してアルキルアミン誘導体を高純度でかつ大量生産できるようにする製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素4個を基本骨格とする下記の化学式1中、R、Rが全てメチル基である化合物は、反応式1のように化学式IIで表される医薬品(HKI−272、Neratinib)及び化学式IIIで表される医薬品(BIBW−2992、Tovok)の製造に非常に有用に用いることができる。
【0003】
【化1】

・・・(化学式1)
【0004】
上記式中、R及びRは、それぞれ独立的に炭素数1乃至2のアルキル基を表し、同一のメチル基である化合物が好ましい。
【0005】
【化2】

・・・(反応式1)
【0006】
【化3】

・・・(反応式2)
【0007】
上記反応式1乃至2に示したように、化学式1の化合物は塩酸塩の形態で化学式II及びIIIの医薬品の製造に使用される。上記化学式II及びIIIの化合物はHER−2 Tyrosine Kinase Inhibitorで、薬理活性を示す抗ガン剤として使用され、既存のその他の化合物よりも副作用対比効能に優れた化合物として知られている(US 003/050222A1、US 2004/0162442 A1、US 7、126、025、B2)
【0008】
しかし、上記化学式1の化合物は、製造上多くの制約条件が存在し、産業的や学問的に非常に興味深くて有用な化合物である。従って、上記化学式1の化合物を大量生産するための新たな方法の開発が必要である。
【0009】
しかし、従来の化学式1の化合物の製造方法としては、次の反応式3を除いては、工業的に大量生産が可能な技術がないのが実情である(US7、126、025、B2)。
【0010】
【化4】

・・・(反応式3)
【0011】
即ち、上記化学式1の化合物は、現在知られている上記反応式3で表される方法によって製造するほかないため、人体への毒性が非常に激しい四塩化炭素あるいはベンゼンを溶媒と使用しなければならない問題がある。これと共に、上記方法は反応上激しい反応を避けられない短所によって反応時に爆発の危険がある。従って、既存の化学式1の製造方法は上記問題点によって極めて制限的であり、産業的に大量生産が非常に困難である方法だけが知られている。
【0012】
また、既存の化学式1の製造方法は、多量の不純物生成を避けられない致命的な問題点を有していて、この方法を利用して製造した化学式1の化合物は多量の不純物を含むようになる。従って、上記方法によって製造された化学式1の化合物を利用して化学式II及びIIIの生理活性物質を製造すると、製造工程で原、副材料の投入量などにおいて各反応別に変動が激しくなる。また、結果的に不純物を多く含む化学式II及びIIIの化合物を製造せざるを絵図、化学反応後の精製工程に非常に多くの経済的費用を支払わなければ、目的とする医薬品としての価値を持つ目的化合物を得ることができない。
【0013】
また、反応式3のような工程で化学式1の化合物を製造すれば、目的化合物を得ることはできるが、反応時要求される当量などを予測することができないため、多くの副産物が生じるようになる。また、前記副産物を除去する方法は物理的な再結晶方法などを用いているが、生成される不純物の構造などが化学式1の化合物と非常に類似しているため、これを除去する経済的費用が過多になる。しかし、不純物を医薬品の品質基準で要求する水準以下に製造したり精製する方法は、今のところ探せていないのが実情である。
【0014】
言い換えると、反応式3に示したように臭素化反応を進行した後のアミン基の導入後、エステルを塩基で加水分解する場合、厳しい不純物水準を要求する医薬品製造では使用できないのが現状である。また、反応式3に示したように塩基を用いてエチルエステルを加水分解すると、3番位置にヒドロキシル基が添加された4−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシブチル酸(以下、ノルカルニチン)塩酸塩が不純物として多量生成され、アミン基の導入時に生成されるビス不純物と共に所望の高純度の目的化合物である化学式1を得ることができないのも致命的な短所である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明は上記の従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、ジアルキルアミノエステル塩酸塩の加水分解時、酸を使用して不純物であるノルカルニチンの生成を最大限抑制するアルキルアミン誘導体の製造方法を提供することにある。
【0016】
また、本発明の他の目的は、アミン基の導入時に生成するビス不純物を化学的に目的化合物に変化させて、化学式II、IIIの医薬品などに用いられる高純度の目的化合物である化学式1を製造することができるアルキルアミン誘導体の製造方法を提供することにある。
【0017】
さらに、本発明の他の目的は、反応条件が温和で、大量生産が可能で、かつ経済的なアルキルアミン誘導体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明は、C1−4アルキル4−ジアルキルアミノクロトン酸エステル塩酸塩を酸の存在下で加水分解して、4−ジアルキルアミノクロトン酸塩酸塩を製造する段階を含むアルキルアミン誘導体の製造方法を提供する。
【0019】
前記C1−4アルキル4−ジアルキルアミノクロトン酸エステル塩酸塩は、エチル4−ジメチルアミノクロトン酸エステル塩酸塩であるのが好ましい。
【0020】
また、前記加水分解時の酸は、塩酸、硫酸、ベンゼンスルホン酸、メチル基に置換されたベンゼンスルホン酸、カルボン酸、炭素数1乃至3のアルキルカルボン酸、フェニルカルボン酸、燐酸、臭素酸またはヨウ素酸を使用するのが好ましい。
【0021】
また、前記4−ジアルキルアミノクロトン酸塩酸塩は、下記の化学式1で表される化合物であるのが好ましい。
【0022】
【化5】

・・・(化学式1)
【0023】
上記式中、R及びRは、それぞれ独立的に炭素数1乃至2のアルキル基を表し、同一のメチル基であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、ジアルキルアミノエステル塩酸塩の加水分解時に酸を用いて不純物であるノルカルニチンの生成を最大限抑制し、アミン基導入時に生成されるビス不純物を化学的に目的化合物に変化させて、化学式II、IIIの医薬品などに用いることができる高純度の目的化合物である化学式1を製造することができるアルキルアミン誘導体の製造方法を提供する効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明は、加水分解時に不純物の生成を抑制し、アミン化反応時に生成されたビス化合物を目的化合物に化学的に変化させることができるアルキルアミン誘導体の製造方法に関する。従って、本発明は、産業的に有用で、大量生産を容易にするだけでなく、経済的に効率的で、温和な反応条件で目的化合物である化学式1の4−ジアルキルアミノクロトン酸塩酸塩を製造する方法に関する。
【0026】
一般に、上記化学式1で表される化合物を製造するためには、高純度の臭素化合物の製造及び加水分解反応が必要である。しかし、従来方法の場合、加水分解過程で塩基を使用するため、不純物であるノルカルニチンが多量生成され、アミン化反応時に回避不可能なビス不純物が再結晶化過程で除去されないという問題によって、高純度の化学式1の化合物を製造することが困難であった。
【0027】
つまり、前記加水分解時に苛性ソーダ及びリチウムヒドロキシド、カルシウムヒドロキシドのような塩基を利用して低温で加水分解を行っても、ノルカルニチンが不純物として約30%以上生成される。従って、本発明はこれを防止するために酸触媒を利用することによって、加水分解時に不純物として生成されるノルカルニチンの生成比率を3%以内に減らすことができる。また、前記苛性ソーダのような塩基を利用すれば、前記アミン化反応時に生成される3,4−ビス(トリアルキルアミノ)ブチル酸エチルエステルが目的とする化学式1の4−ジアルキルアミノクロトン酸塩酸塩に転換されず、3,4−ビス(トリアルキルアミノ)ブチル酸で反応が終結して、目的化合物である純粋な化学式1の化合物を99%以上の純度で得られないという短所がある。
【0028】
従って、本発明は上記問題点を解決するために、C1−4アルキル4−ジアルキルアミノクロトン酸エステル塩酸塩を酸の存在下で加水分解して4−ジアルキルアミノクロトン酸塩酸塩を製造する段階を含んでアルキルアミン誘導体を製造することができる。
【0029】
このような方法により、アミン化反応で生成されたアルキル3,4−ビス(トリアルキルアミノ)ブチル酸エステルが3,4−ビス(トリアルキルアミノ)ブチル酸で反応が終結しない。また、加水分解によって4−ジアルキルアミノクロトン酸塩酸塩中、4−ジアルキルアミノ−3−ヒドロキシブチル酸塩酸塩が3%以下であり、3,4−ビス(トリアルキルアミノ)ブチル酸ジ塩酸塩が0.1%以下に存在するようになる。従って、本発明は4−ジアルキルアミノクロトン酸の塩酸塩を99.5%以上の高純度及び70%以上の収率で得ることができるので、従来に比べて経済的に大量生産が可能である。
【0030】
この時、前記C1−4アルキル4−ジアルキルアミノクロトン酸エステル塩酸塩は、アルキル4−ヒドロキシクロトン酸エステルを臭素化反応させて臭素化化合物を製造し、これをアミン化反応させて製造することができる。
【0031】
また、前記4−ジアルキルアミノクロトン酸塩酸塩は、下記の化学式1で表される化合物であるのが好ましい。
【0032】
【化6】

・・・(化学式1)
【0033】
上記式中、 R及びRは、それぞれ独立的に炭素数1乃至2のアルキル基を表し、同一のメチル基であるのが好ましい。
【0034】
以下、次の反応式4を参照して、本発明の製造方法についてさらに具体的に説明する。
【0035】
【化7】

・・・(反応式4)
【0036】
上記式中、R及びRは、それぞれ独立的にメチル基またはエチル基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
【0037】
上記反応式4に示したように、本発明は化学式(5)のアルキル4−クロロ−3−ヒドロキシブチル酸エステルを無水エタノールで苛性ソーダによって処理すれば、化学式(4)の純粋なアルキル4−ヒドロキシ−クロトン酸エステルを得ることができる(Step1)。
【0038】
次に、本発明は純粋に生成した化学式(4)のクロトン酸エステルを臭素化反応させた後、減圧下で蒸留して精製すると、高純度の化学式(3)の臭素化合物を得ることができる(Step2)。
【0039】
前記臭素化反応は、トリフェニルホスフィン臭素塩を利用する条件で行われる。この時、前記臭素化試薬として使用する前記トリフェニルホスフィン臭素塩は、トリフェニルホスフィンと臭素あるいはN−ブロモコハク酸イミドなどの反応によって製造されたものを使用することができる。
【0040】
また、前記臭素化反応は、選択的にC〜CアルキルスルホニルクロライドまたはC〜C置換されたベンゼンスルホニルクロライドとアルキル4−ヒドロキシクロトン酸エステルを反応させてスルホン酸塩化合物を製造した後、金属ブロマイドまたは4次アルキルアンモニウムブロマイドのような無機または有機臭素塩を反応させてアルキル4−ブロムクロトン酸エステルを製造することも可能である。
【0041】
この時、前記C〜Cアルキルスルホニルクロライドはメタンスルホニルクロライドであるのが好ましい。前記C〜C置換されたベンゼンスルホニルクロライドは、ベンゼンスルホニルクロライドまたはメチルベンゼンスルホニルクロライドである。また、前記金属ブロマイドまたは4次アルキルアンモニウムブロマイドは、ソジウムブロマイド、カリウムブロマイド、カルシウムブロマイド、リチウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイドまたはテトラエチルアンモニウムブロマイドであり、これらは単独あるいは0.1当量から2当量で1種以上混合して使用することができる。
【0042】
また、前記臭素化反応は、通常0℃の低温でメチレンクロライド、THF、DMFなどの有機合成に使用される有機溶媒で行える。
前記Step2の反応以降に、本発明は化学式(3)の臭素化化合物に対するアミン化反応を進行して、4−位置にジアルキルアミノ基を有する化学式(2)のエステル塩酸塩化合物を製造することができる(Step3)。
【0043】
前記アミン化反応は、有機溶媒に溶解したジアルキルアミン、好ましくはジメチルアミンを、有機溶媒に溶解した化学式(3)の臭素化合物溶液に低温で2〜2.5当量でゆっくり滴加して進行することができる。以降、前記反応物に酢酸エチル塩酸溶液を利用して、純粋に化学式(2)のC1−4アルキル4−ジアルキルアミノクロトン酸エステル塩酸塩を得ることができる。
【0044】
この時、前記アミン化反応により、化学式(2)の化合物と共に3,4−ビス(トリアルキルアミノ)ブチル酸エチルエステル化合物が生成し得るが、これは以降の加水分解反応を通じて除去できる。具体的に、前記ジメチルアミンによる反応で3,4−ビス(トリメチルアミノ)ブチル酸エチルエステルが生成できる。
【0045】
この時、前記塩酸塩の製造に使用される化合物は酢酸エチル塩酸溶液だけでなく、酢酸メチル塩酸溶液など通常のアルキル酢酸エステル塩酸溶液を使用することができる。
また、前記有機溶媒は、メチレンクロライド、THF、DMFなどの通常の有機合成に使用されるものであればいずれも使用可能であり、その種類が特に限られない。また、前記アミン化反応は−10℃以上10℃以下の温度で行われるのが好ましい。
【0046】
前記Step3の次に、本発明は収得した化学式(2)のアルキル4−ジアルキルアミノクロトン酸エステル塩酸塩を酸で加水分解して、化学式(1)の4−ジアルキルアミノクロトン酸塩酸塩を得ることができる。特に、本発明は、加水分解時に酸を使用することによって、ノルカルニチンを3%以下に生成させて、不純物の含有量を最小化することができる。また、本発明では酸触媒あるいは酸を利用して化学式(2)の化合物でエステル基を加水分解することによって、3,4−ビス(トリアルキルアミノ)ブチル酸エステルを所望の目的化合物である化学式(1)の4−ジアルキルアミノクロトン酸に転換されるようにする特徴がある。
【0047】
従って、本発明の方法によれば、加水分解によって不純物として10%以下のノルカルニチンである4−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシブチル酸塩酸塩を生成する。また、前記加水分解によって3,4−ビス(トリアルキルアミノ)ブチル酸ジ塩酸塩が除去されるので、不純物として生成された4−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシブチル酸塩酸塩の含有量が3%以下に制限される。従って、前記不純物は0.1%以下の3,4−ビス(トリアルキルアミノ)ブチル酸ジ塩酸塩が残存する。また、前記不純物は3%以下の4−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシブチル酸塩酸塩だけが生成し得る。また、加水分解後に再結晶を通じて3,4−ビス(トリアルキルアミノ)ブチル酸ジ塩酸塩が除去される。これによって4−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシブチル酸塩酸塩の含有量を0.1%以下に減らし、3,4−ビストリメチルアミノブチル酸ジ塩酸塩が0.02%以下に存在する4−ジアルキルアミノクロトン酸塩酸塩を製造することができる。このことにより、本発明では純粋な目的化合物である4−ジアルキルアミノクロトン酸の塩酸塩を99.5%以上の高純度で得ることができる。
【0048】
この時、前記加水分解は水と少量の酸触媒を利用して行うことができ、加水分解後イソプロパノールで結晶化を進行すれば、純粋な4−ジアルキルアミノクロトン酸塩酸塩を99.5%以上の純度及び70%以上の収率で得ることができる。
また、前記加水分解時の酸は、塩酸、硫酸、ベンゼンスルホン酸、メチル基に置換されたベンゼンスルホン酸、カルボン酸、炭素数1乃至3のアルキルカルボン酸、フェニルカルボン酸、燐酸、臭素酸またはヨウ素酸を使用するのが好ましい。好ましくは、別途の酸触媒を除去する工程が必要でない側面から塩酸を使用する。
【0049】
前記酸の使用量は、C1−4アルキル4−ジアルキルアミノクロトン酸エステル塩酸塩に対して1.05〜10当量、より好ましくは1.1〜1.2当量である。この時、酸の含有量範囲が本発明の範囲を逸脱した条件で加水分解を行えば、ノルカルニチンが過剰生成されて、結晶化段階で経済的な方法で0.1%以下に除去するのが不可能である。
【0050】
また、前記加水分解は50〜110℃の温度で行えるが、好ましくは90〜105℃で加水分解を行う。加水分解時温度が50℃未満であれば、エステルの加水分解反応時にビス不純物の除去反応が起きない。また、その温度を110℃以上に昇温することは過度な熱エネルギーを使うため経済的に望ましくない。但し、ビス不純物を目的化合物に転換させる工程時間と、ノルカルニチンの生成反応が速くて加水分解時にその量が3%以上と生成される可能性もあるので、その温度範囲は90〜105℃に調節した方が良い。
【0051】
以上のような本発明の方法において、最も好ましくは、塩酸触媒を利用してエチル4−ジメチルアミノクロトン酸エステルを90〜105℃の水溶液で反応させた後、再結晶方法によって4−ジアルキルアミノクロトン酸塩酸塩中4−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシブチル酸塩酸塩及び3,4−ビストリメチルアミノブチル酸ジ塩酸塩が0.02%以下に存在する4−ジアルキルアミノクロトン酸塩酸塩を製造することを含む。
【0052】
このような方法によって製造された化学式1の化合物は、不純物が殆どないので、医薬品(HKI−272、BIBW−2992など)の製造に使用する時、精製過程を最小化することができる。
【0053】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例によって限定されることではない。
【実施例1】
【0054】
【化8】

・・・(反応式4−1)
【0055】
[Step1]
3 L one−neckフラスコにエチル4−クロロ−3−ヒドロキシブチレート(ethyl 4−chloro−3−hydroxybutyrate)(200g、1.2mol)と無水EtOH(1200mL)を入れて、無水EtOH(800mL)に完全に溶解したNaOH(52.8g、1.1eq)溶液を0℃でゆっくり添加した。NaOH溶液を全て添加した後に自然に室温まで温度を上げ、15時間程度攪拌した。反応が終わると、AcOH(69mL、1eq)を入れて10分間攪拌した後、濃縮して、EtOHを除去した。
【0056】
濃縮液にメチレンクロライド(1L)と水(1L)を入れて抽出した後、水層をメチレンクロライド(1L)で二回抽出した。有機層を集めて飽和したNaHCO(600mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥した後、濾過濃縮させて、(E)−ethyl 4−hydroxybut−2−enoateを85%の収率で133g得た。
H−NMR(δppm、CDCl,400Mz):6.95(m、1H)、6.00(m、1H)、4.25(m、2H)、4.10(q、2H)、1.20(t、3H)
【0057】
[Step2]
3 L one−neckフラスコにトリフェニルホスフィン(295g、1.12mol)とメチレンクロライド(665mL)を入れて、0℃で10分間攪拌した。その後メチレンクロライド(665mL)に溶解した臭素(179.3g)をゆっくり1時間滴加した。この時、反応器の温度は0℃に維持した。臭素を全て滴加した後、反応物を30分間さらに攪拌した。メチレンクロライド(665mL)に溶解した(E)−ethyl 4−hydroxybut−2−enoate(133g、1.02mol)を反応混合物にゆっくり1時間滴加した。この時、反応器の温度も0℃に維持しなければならない。(E)−ethyl 4−hydroxybut−2−enoateが全て滴加された後、0℃で30分間さらに攪拌した(TLCで反応を確認、EtOAc:hexane=1:4)。反応物の有機層を水洗(900mL×2)した後、有機層を無水MgSOで乾燥した後、濾過濃縮させると、多量のPh3P=Oが生成物と共に析出される。n−ヘキサン(1L)を添加した後、30分間撹拌機(mechanical stirrer)で攪拌後濾過して、トリフェニルホスフィンオキシド(triphenylphosphine oxide)を除去した。濾過液を減圧下で濃縮し、濃縮液を真空蒸留して、(E)−ethyl 4−bromobut−2−enoateを81.2%の収率で160g得た。
H−NMR(δppm、CDCl、400Mz):6.92(m、1H)、5.95(m、1H)、4.15(q、2H)、3.95(m、2H)、1.25(t、3H)
【0058】
[Step3]
5 L three−neckフラスコに(E)−ethyl 4−bromobut−2−enoate(160g、0.83mol)とメチレンクロライド(1.6L)を入れて、−10℃で10分間攪拌した。50%のMeNH(187.1g、2.5eq)をメチレンクロライド(1.6L)で抽出し、抽出時の水層は捨てる。以降、メチレンクロライドに溶解されたMeNH溶液をゆっくり1時間前記フラスコに滴加した。この時、反応機の内部温度は5℃以下に維持した。メチレンクロライドに溶解されたMeNH溶液を全て滴加した後、反応の進行程度をTLCで確認し、出発物質が見られないまで攪拌した。攪拌は約30分程度かかり、反応時間が長くならないように注意する。反応溶液に水(1280mL)を加えた。反応混合物を分別漏斗を利用して分離した後、有機層を塩基水溶液(水(830mL)にNaOH(66.4g、2eq)を溶解した溶液とbrine溶液(800mL)とを予め混合して使用)で洗浄した。分離された有機層を無水MgSO4で乾燥した後、濾過濃縮した。濃縮液を2 L two−neckフラスコに移してEtOAc(1380mL)に溶解した後、4.5M HClが溶解されているEtOAc溶液(222mL、1.2eq)をゆっくり滴加した。反応容器の温度が室温に下がった後、反応混合物を濾過器で濾過して、濾過器に残った固体をEtOAc(500mL)で洗浄した。固体をone−neckに移した後、減圧装置で乾燥して、(E)−ethyl 4−(dimethylamino)but−2−enoate hydrochloride80%を収率で128.6g得た。
H−NMR(δppm、DO、400Mz):6.85(m、1H)、6.23(m、1H)、4.15(q、2H)、4.90(d、2H)、2.85(s、6H)、1.25(t、3H)
【0059】
[Step4]
250mL two−neckフラスコに(E)−ethyl 4−(dimethylamino)but−2−enoate hydrochloride(20g、0.103mol)を水(102mL)に溶解した後、conc.HCl(2.6mL)を加えた。反応混合物を3時間還流させた後、反応混合物を室温に下げた。反応中生成されたEtOHを減圧蒸留で除去した後、水(34mL)を添加した。さらにconc.HCl(1.3mL)を加えた後、反応混合物をさらに2時間還流させて、反応混合物から水を減圧蒸留によって除去した。残った固体にIPA(100mL)を加えて再結晶した。再結晶時IPA溶液を40〜50℃で加熱し、室温で2時間攪拌した。生成された固体を濾過器で濾過した後、IPA(10mL)で固体を洗浄した。得られた固体を集めて乾燥して(E)−4−(dimethylamino)but−2−enoic acid hydrochlorideを70%の収率で12gを得た。(99.8% Purity by HPLC、Corona Detector)
H−NMR(δppm、DO、400Mz):6.95(m、1H)、6.30(m、1H)、4.00(m、2H)、2.9d(s、6H)
【比較例】
【0060】
実施例と同様にStep1乃至Step3を行い、実施例のStep4の代わりに下記のとおりStep4を行った。
【0061】
つまり、実施例1のStep3で製造された(E)−ethyl 4−(dimethylamino)but−2−enoate hydrochloride16gを100mLの水に溶解した後、50%の苛性ソーダ水溶液16gを5℃以下で1時間にわたってゆっくり滴加して、同一温度で2時間加水分解を行った。反応液は塩酸を用いてpHを7に合わせて、水溶液を除去後、NMRでノルカルニチンが生成される比率を確認した。同一条件で−20℃以下で反応を行った後、pHを7に合わせて、水溶液を除去後、NMRでノルカルニチンが生成される比率を確認した。上記の2つの温度条件でリチウムヒドロキシド、カルシウムヒドロキシドを利用して、同一に反応を行って分析を実施した。
【0062】
ノルカルニチン:H−NMR(DO、δppm、400Mz):4.35(m、1H)、3.20(m、2H)、2.91(s、6H)、2.45(d、2H)
ビス不純物:H−NMR(DO、δppm、400Mz):4.25(m、1H)、3.71(m、2H)、3.15(m、2H)、3.09(s、6H)、2.96(s、2H)
【0063】
NMRの確認結果、塩基を使用した6条件の反応において、いずれも前記のNMRパターンを示すノルカルニチンが目的化合物対比30%以上生成されることが確認できた。また、5%以下にStep3で生成されたビス不純物は、エチルエステルだけが加水分解されたNMR形態を現わした。これは、塩基を使用すると、ノルカルニチンが多量生成され、ビス不純物は除去できないことを意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1−4アルキル4−ジアルキルアミノクロトン酸エステル塩酸塩を酸の存在下で加水分解して、4−ジアルキルアミノクロトン酸塩酸塩を製造する段階を含むアルキルアミン誘導体の製造方法。
【請求項2】
前記C1−4アルキル4−ジアルキルアミノクロトン酸エステル塩酸塩はエチル4−ジメチルアミノクロトン酸エステル塩酸塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸は、塩酸、硫酸、ベンゼンスルホン酸、メチル基に置換されたベンゼンスルホン酸、カルボン酸、炭素数1乃至3のアルキルカルボン酸、フェニルカルボン酸、燐酸、臭素酸またはヨウ素酸を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記酸は塩酸を使用する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記酸は、C1−4アルキル4−ジアルキルアミノクロトン酸エステル塩酸塩に対して1.05〜10当量で使用する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記酸は、4−ジアルキルアミノクロトン酸エステル塩酸塩に対して1.1〜1.2当量で使用する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記加水分解は50〜110℃の温度で行う、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記加水分解後、0.1%以下の3,4−ビストリメチルアミノブチル酸ジ塩酸塩が残存する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、加水分解によって不純物として10%以下の4−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシブチル酸塩酸塩を生成する、請求項1に記載の方法
【請求項10】
前記方法は、加水分解によって不純物として3%以下の4−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシブチル酸塩酸塩だけを生成する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、加水分解後再結晶を通じて不純物として0.1%以下の4−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシブチル酸塩酸塩だけを残存させる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、4−ジアルキルアミノクロトン酸塩酸塩を99.5%以上の純度で製造する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記アルキル4−ジアルキルアミノクロトン酸エステル塩酸塩は、アルキル4−ヒドロキシクロトン酸エステルを臭素化反応させて臭素化化合物を製造し、これをアミン化反応させて製造する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記臭素化反応は、トリフェニルホスフィン臭素塩を使用して行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記トリフェニルホスフィン臭素塩は、トリフェニルホスフィンと臭素あるいはブロモコハク酸イミドの反応によって製造する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記臭素化反応は、C〜CアルキルスルホニルクロライドまたはC〜C置換されたベンゼンスルホニルクロライドとアルキル4−ヒドロキシクロトン酸エステルを反応させてスルホン酸塩化合物を製造した後、金属ブロマイドまたは4次アルキルアンモニウムブロマイドを反応させてアルキル4−ブロムクロトン酸エステルを製造する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記C〜Cアルキルスルホニルクロライドはメタンスルホニルクロライドである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記金属ブロマイドまたは4次アルキルアンモニウムブロマイドは、ソジウムブロマイド、カリウムブロマイド、カルシウムブロマイド、リチウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイドまたはテトラエチルアンモニウムブロマイドであり、これらは単独あるいは0.1当量から2当量で1種以上混合して使用する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、塩酸触媒を利用してエチル4−ジメチルアミノクロトン酸エステルを90〜105℃の水溶液で反応させた後、再結晶方法によって4−ジアルキルアミノクロトン酸塩酸塩中4−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシブチル酸塩酸塩及び3,4−ビストリメチルアミノブチル酸ジ塩酸塩が0.02%以下に存在する4−ジアルキルアミノクロトン酸塩酸塩を製造する、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2012−526802(P2012−526802A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510755(P2012−510755)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【国際出願番号】PCT/KR2010/003057
【国際公開番号】WO2010/131921
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(508278457)コーロン ライフ サイエンス インク (1)
【Fターム(参考)】