説明

アルキル化芳香族の製造

【解決手段】開示されているのは、第一および第二のアルキル化触媒の存在下にアルキル化可能芳香族、アルキル化剤ならびに微量の水および不純物を含む供給原料流を接触させることにより、かかるアルキル化触媒のサイクル長を改善するために該水および不純物が除かれる、アルキル化芳香族を製造する方法である。不純物の一部分および水は脱水ゾーンにおいて除かれる。いくつかの実施形態においては大孔径のモレキュラーシーブである第一のアルキル化触媒を有する第一のアルキル化ゾーンは、不純物、たとえば含窒素化学種およびその他の化学種の大部分を除きかつアルキル化可能芳香族化合物の比較的小部分をアルキル化する作用をする。いくつかの実施形態においては中孔径のモレキュラーシーブである第二のアルキル化触媒を有する第二のアルキル化ゾーンは、不純物の比較的小部分を除きかつアルキル化可能芳香族化合物の大部分をアルキル化する作用をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示発明は、アルキル化剤、アルキル化可能芳香族ならびに微量の水および不純物を含む供給原料流からアルキル化芳香族化合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルキル化芳香族化合物、たとえばクメン、エチルベンゼンおよびsec−ブチルベンゼンは多くの場合、酸性モレキュラーシーブ触媒(たとえば、ゼオライト)の存在下にアルキル化可能芳香族(たとえば、ベンゼン)とアルキル化剤(たとえば、オレフィン、例としてエチレン、プロピレンおよびブチレン)とを液相アルキル化反応することによって製造される。液相芳香族アルキル化方法は多くの場合、初期の気相技術におけるよりも操業コストが低減され望ましくない副生成物(たとえば、キシレン)の生成が少なくなる結果をもたらす。
【0003】
かかる液相芳香族アルキル化反応に使用することができる酸性モレキュラーシーブ触媒は、ゼオライトベータ、ゼオライトY、ゼオライトオメガ、ZSM−5、ZSM−12、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、MCM−58、MCM−68、UZM−8、フォージャサイト、モルデナイト、多孔結晶性マグネシウムシリケートおよびタングステン酸塩修飾ジルコニア(たとえば、Zr(WO))を含み、これらのすべては従来技術で知られている。
【0004】
液相芳香族アルキル化反応の操業、とりわけ比較的低温度におけるその操業は、アルキル化可能芳香族またはアルキル化剤の供給原料流中の微量不純物(たとえば、「触媒毒」)に対する触媒の感受性が大きくなる結果をもたらした。かかる不純物はしばしば、触媒再生の必要度が頻繁になりそこまで至ると触媒の取替が必要になる触媒の究極寿命の低下をもたらした。触媒の取替は多くの場合、プロセスの停止、失われた生産および多大なコストを生じる。芳香族および/またはアルキル化剤の供給原料流を前処理して触媒毒を除くための様々な方法が開発された。これらの方法は蒸留、吸着および抽出を含む。
【0005】
米国特許第6,313,362号(Green)(特許文献1)は芳香族アルキル化方法を教示し、該方法では液相工程においてアルキル化反応生成物が大孔径のモレキュラーシーブ触媒、たとえばMCM−22と接触されて、液相アルキル化反応の前に不純物が除かれる。除かれていると教示された不純物は、オレフィン、ジオレフィン、スチレン、含酸素有機化合物、含イオウ化合物、含窒素化合物およびオリゴマー化合物を含む。
【0006】
米国特許第4,358,362号(Smith)(特許文献2)は、触媒に有害な不純物を含む供給原料流をゼオライト吸着剤と接触させることによって、ゼオライト触媒の触媒活性を高める方法を教示する。この開示技術は、12超のSi/Al比、10〜12員環および1〜12の拘束指数(Constraint Index)を有する吸着剤、好ましくはZSM−11を使用している。
【0007】
米国特許第5,030,786号(Shamshoum)(特許文献3)は、反応器への供給原料中の水の濃度を低減することによって触媒寿命が増加する、エチルベンゼンを製造する方法を教示する。
【0008】
米国特許第5,744,686号(Gajda)(特許文献4)は、芳香族炭化水素流を約5.5オングストローム未満の平均孔径を有する選択的吸着剤と接触させることによって、該流から窒素化合物を除く方法を教示する。選択的吸着剤とは、孔閉鎖ゼオライト4A、ゼオライト4A、ゼオライト5A、シリカライト、F−シリカライト、ZSM−5およびこれらの混合物から成る群から選択された非酸性モレキュラーシーブである。
【0009】
アルキル化ベンゼンを調製する方法が米国特許第6,297,417号(Samson)(特許文献5)に教示されている。該方法は、約130℃〜約300℃の温度で前処理ゾーンにおいてベンゼン供給原料を固体酸、たとえば酸性クレイまたは酸性ゼオライトと接触させて、アルキル化およびトランスアルキル化触媒の寿命を改善することを含む。
【0010】
米国特許第6,355,851号(Wu)(特許文献6)は、ゼオライトで触媒されたクメンの合成方法を教示し、該方法では、ベンゼン供給原料が「熱い」クレイ床に接触され、引き続いて該ベンゼン供給原料を蒸留して、オレフィン性有毒物から熱いクレイ処理の間に生成された高分子量物質からベンゼンが分離され、引き続いてこのベンゼン留出物が環境温度のクレイに接触される「冷たい」クレイ処理がされる。プロピレン供給原料は、アルミナと接触されて微量のナトリウム化合物および水分を除かれ、モレキュラーシーブと接触されて水を除かれ、そして2種類の変性アルミナと接触されて他の触媒毒を除かれることによって前処理される。前処理されたプロピレン供給原料およびベンゼン供給原料は次に、ゼオライト触媒の存在下に反応されて、触媒活性の急速な劣化を生じることなくクメンを生成する。
【0011】
PCT国際公開WO0214240(Venkat)(特許文献7)は、芳香族供給原料中の極性汚染物質を5.6オングストローム超の孔径を有するモレキュラーシーブと130℃未満の温度で接触させることによって除去する方法を教示する。
【0012】
米国特許第6,894,201号(Schmidt)(特許文献8)は、アルキル化の前にアルキル化反応物質、たとえばベンゼンから窒素化合物を除く方法を教示し、該方法は、塩基性有機窒素化合物を吸着する慣用の吸着剤床および弱塩基性窒素化合物、たとえば亜硝酸塩を吸着する酸性モレキュラーシーブの熱い吸着剤床を使用する。同特許は、水が弱塩基性窒素化合物の吸着を促進すること、ならびに分留カラムからの高められた温度および適当な水濃度のアルキル化反応物質流を熱い吸着剤床に通すと有利であり得ることを教示する。
【0013】
米国特許第7,199,275号(Smith)(特許文献9)は、部分的に脱水された炭化水素供給原料が少なくとも2の異なるモレキュラーシーブ物質、たとえば約5未満のSi/Alモル比を有する第一のモレキュラーシーブおよび約5超のSi/Alモル比を有する第二のモレキュラーシーブと接触される炭化水素の転化方法を教示する。また、同特許は、かかる原料が少なくとも約6オングストロームの孔を有する第一のモレキュラーシーブおよび約6オングストローム未満の孔を有する第二のモレキュラーシーブと接触される方法も教示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第6,313,362号明細書
【特許文献2】米国特許第4,358,362号明細書
【特許文献3】米国特許第5,030,786号明細書
【特許文献4】米国特許第5,744,686号明細書
【特許文献5】米国特許第6,297,417号明細書
【特許文献6】米国特許第6,355,851号明細書
【特許文献7】WO0214240号パンフレット
【特許文献8】米国特許第6,894,201号明細書
【特許文献9】米国特許第7,199,275号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
これらの先行文献は、アルキル化触媒との接触による供給原料流のアルキル化方法であって、該供給原料流がアルキル化可能芳香族化合物、アルキル化剤ならびに微量の水および不純物を含み、該供給原料流がアルキル化されるのと同時に該水および不純物の一部分が除去されるアルキル化方法については何も教示していない。供給原料流中の水および不純物の存在は、アルキル化プロセスにおけるアルキル化触媒の触媒活性およびサイクル長に悪い影響を与える。
【0016】
したがって、水および不純物によるかかるアルキル化触媒の活性およびサイクル長への悪い影響が軽減されるように、かかる供給原料流を第一のそして次にそれと異なる第二のアルキル化触媒と接触させて、水および不純物の一部分を除きかつアルキル化可能芳香族の一部分をアルキル化することによるアルキル化芳香族を製造するための改善された方法の必要が存在する。本開示発明はこの必要およびその他の必要を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本明細書は、アルキル化剤、アルキル化可能芳香族ならびに微量の水および不純物を含む供給原料流からアルキル化芳香族化合物を製造する方法を記載する。水および任意的に不純物の一部分は脱水ゾーンにおいて除かれる。反応ガード床では、脱水された流およびアルキル化剤は、第一のアルキル化触媒と、そして次に別の第二のアルキル化触媒と接触され、この流がアルキル化されるのと同時に、在り得る残留する不純物が除かれる。あるいは、非反応ガード床では、脱水された流は第一の触媒と接触され、そこで、在り得る残留不純物が除かれ、次にこの流がアルキル化触媒との接触によってアルキル化剤でアルキル化される。
【0018】
第一のアルキル化ゾーン中の第一のアルキル化触媒は、いくつかの実施形態では大孔径のモレキュラーシーブである。第二のアルキル化ゾーン中の第二のアルキル化触媒は、いくつかの実施形態では中孔径のモレキュラーシーブまたはMCM−22ファミリー物質である。
【0019】
何らかの理論に拘束されるつもりはないが、脱水工程は水の濃度を低減し、任意的にアルキル化可能芳香族供給原料中の不純物のレベルを低減すると考えられる。不純物の一部分は水の一部分が除かれるのと同時に除かれる。このことは、第一のアルキル化工程が、アルキル化可能芳香族供給原料中に含まれている残留する不純物、たとえば含窒素化学種およびその他の化学種、の一部分、好ましくはその大部分を除き、かつアルキル化可能芳香族化合物の一部分をアルキル化することを可能にする。好ましくは、残留する不純物の少なくとも80重量%、少なくとも70重量%または少なくとも60重量%が除かれる。第二のアルキル化工程が次なる順番として残留する不純物の一部分を除き、かつアルキル化可能芳香族化合物の大部分をアルキル化する作用をする。好ましくは、アルキル化可能芳香族化合物の少なくとも80重量%、少なくとも70重量%または少なくとも60重量%がアルキル化剤でアルキル化される。
【0020】
製造されたアルキル化芳香族化合物は主にモノアルキル化芳香族化合物を含み、それとともに、アルキル化反応ゾーンにおいて付随的に製造された微量のポリアルキル化芳香族化合物も含む。ポリアルキル化芳香族化合物は、次にトランスアルキル化工程において別個のトランスアルキル化触媒の存在下に追加のアルキル化可能芳香族化合物と接触することによって追加のモノアルキル化芳香族化合物に転化されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1〜8はそれぞれ、本開示発明の実施形態に従ってアルキル化芳香族化合物を製造する方法のプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
本明細書で使用される「アルキル化可能芳香族化合物」の語は、アルキル基を受け取ることができる芳香族化合物を意味する。アルキル化可能芳香族化合物の1の非限定的な例はベンゼンである。
【0023】
本明細書で使用される「アルキル化剤」の語は、アルキル化可能芳香族化合物にアルキル基を供与することができる化合物を意味する。アルキル化剤の非限定的な例はエチレン、プロピレンおよびブチレンである。もう一つの非限定的な例は、アルキル化可能芳香族化合物にアルキル基を供与する能力のある任意のポリアルキル化芳香族化合物である。
【0024】
本開示発明に有用であるアルキル化可能芳香族化合物に関連して本明細書で使用される「芳香族」の語は、芳香族の技術分野で認識されている範囲に従って理解されるべきであり、置換および非置換の単核および多核化合物を包含する。ヘテロ原子(たとえば、NまたはS)を有し芳香族特性を示す化合物も、これらの化合物が、選択された反応条件下で以下に定義されるような触媒毒として作用しない限り、有用である。
【0025】
本明細書で使用される「少なくとも部分的に液相」の語句は、所与の温度、圧力および組成において少なくとも1重量%の液相、任意的に少なくとも5重量%の液相を有する混合物を意味する。
【0026】
本明細書で使用される「触媒毒」の語は、モレキュラーシーブまたはゼオライトのサイクル長を短くする作用をする、本明細書で定義される不純物を意味する。
【0027】
本明細書で使用される「サイクル長」の語は、再生と再生との間の全通油時間または未使用触媒の充填と再生との間の通油時間を意味する。未使用触媒または再生触媒が通油下に置かれた後、該触媒はコークの堆積または毒物によって不活性化され得る。触媒が不活性化されると、反応ゾーンは、同じ生産性または触媒活性を維持するために、より高い温度で操業されなければならない。典型的には反応器の金属学的知見によって決定されるまたは経済的因子が正当化する限界温度に反応ゾーン温度が達すると、触媒は再生されなければならない。
【0028】
本明細書で使用される「骨格タイプ」の語は、Ch. Baerlocher, W.M. MeierおよびD.H. Olsen著、「ゼオライト骨格タイプ総覧(Atlas of Zeolite Framework Types)」、第5版、Elsevier社刊、2001年に記載された意味を有する。
【0029】
本明細書で使用される周期表元素族の番号付けは、国際純正応用化学連合によって2007年6月22日に公表された元素の周期表に記載された意味を有する。
【0030】
本明細書で使用される「不純物」の語は、以下のものに限定されることなく、以下の元素、すなわち窒素、ハロゲン、酸素、イオウ、ヒ素、セレン、テルル、リンおよび第1族〜第12族金属のうちの少なくとも1を有する化合物を含む。
【0031】
本開示で使用される不純物含有量は、反応ゾーンにおけるアルキル化可能芳香族化合物とアルキル化剤とを合わせた総重量を基準とした不純物のwppmを意味する。
【0032】
本明細書で使用される「MCM−22ファミリー物質」(または「MCM−22ファミリーの物質」または「MCM−22ファミリーのモレキュラーシーブ」)の語は、以下を含む。
(i)共通の一次結晶構成単位である「MWW骨格トポロジーを有する単位格子」から作られたモレキュラーシーブ。単位格子とは三次元空間内に配列された原子の空間配置であり、Ch. Baerlocher, W.M. MeierおよびD.H. Olsen著、「ゼオライト骨格タイプ総覧(Atlas of Zeolite Framework Types)」、第5版、Elsevier社刊、2001年に記載された結晶を記述する。
(ii)共通の二次構成単位である「上記のMWW骨格タイプ単位格子の二次元配列」から作られたモレキュラーシーブであり、「1単位格子厚さ、好ましくは1のc軸単位格子厚さの単層」を形成する。
(iii)共通の二次構成単位である「1または1超の単位格子厚さの層」から作られたモレキュラーシーブであり、該1超の単位格子厚さの層は、MWW骨格トポロジーを有する1単位格子厚さの単位格子の少なくとも2の単層を積層、充填または結合することによって作られる。かかる二次構成単位の積層は規則的な様式、不規則な様式、ランダムな様式およびこれらの任意の組み合わせであることができる。または
(iv)MWW骨格トポロジーを有する単位格子の任意の規則的もしくはランダムな二次元または三次元の組み合わせによって作られたモレキュラーシーブ。
【0033】
MCM−22ファミリー物質は、格子面間隔dのピークを(焼成後あるいは合成されたままの状態で)12.4±0.25、3.57±0.07および3.42±0.07オングストロームに含むX線回折パターンを有することによって特性付けられる。MCM−22ファミリー物質はまた、格子面間隔dのピークを(焼成後あるいは合成されたままの状態で)12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07および3.42±0.07オングストロームに含むX線回折パターンを有することによって特性付けられることもできる。モレキュラーシーブを特性付けるのに使用されるX線回折データは、銅のK−アルファ二重線を入射放射線として使用する標準方法ならびにシンチレーションカウンターおよび付帯するコンピューターを収集システムとして備えた回折計によって得られる。
【0034】
「モノアルキル化芳香族化合物」の語は、1のアルキル置換基のみを有する芳香族化合物を意味する。モノアルキル化芳香族化合物の非限定的な例はエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン(クメン)およびsec−ブチルベンゼンである。
【0035】
本明細書で使用される「通油下」の語は、触媒がアルキル化またはトランスアルキル化条件下に置かれていることと理解されるべきである。アルキル化またはトランスアルキル化条件は、温度、圧力、1または複数のアルキル化可能芳香族化合物、1または複数のアルキル化剤およびWHSVを含み、これらは(供給原料中の全部の1または複数のアルキル化可能芳香族化合物基準で)少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも10重量%の1または複数のアルキル化可能芳香族化合物を1または複数のモノアルキル化芳香族化合物に転化するのに適している。
【0036】
本明細書で使用される「触媒毒容量」の語は、Thermogravimetric Analyzer(型式Q5000、米国、デラウェア州、New Castle、TA Instruments社製)上で200℃、60分間、窒素流下に乾燥された触媒サンプル1グラム当たりに吸収されるコリジン(触媒毒)のミリモル数を意味する。乾燥後、コリジン触媒毒は、コリジン分圧3トールで60分間、該触媒サンプル上に散布される。触媒毒容量は以下の式から計算される:
(コリジン散布後の触媒サンプル重量−乾燥後触媒サンプル重量)×10÷(コリジンの分子量×乾燥後触媒サンプル重量)。
触媒サンプル重量および乾燥後触媒サンプル重量がグラム単位で測定されるときは、コリジンの分子量は121.2グラム/ミリモルである。
【0037】
本明細書で使用される「ポリアルキル化芳香族化合物」の語は、1より多いアルキル置換基を有する芳香族化合物を意味する。ポリアルキル化芳香族化合物の非限定的な例はポリアルキル化ベンゼン、たとえばジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼンおよびトリイソプロピルベンゼンである。
【0038】
本明細書で使用される「wppb」の語は、10億分の重量部と定義される。
【0039】
本明細書で使用される「wppm」の語は、100万分の重量部と定義される。
供給原料および生成物
【0040】
本開示発明に使用することができる適当な非置換芳香族化合物は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペリレン、コロネンおよびフェナントレンを含み、ベンゼンが好ましい。
【0041】
本開示発明に使用することができる置換芳香族化合物は、芳香核に直接結合された少なくとも1の水素原子を有しなければならない。芳香環は1以上のアルキル、アリール、アルカリール、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、ハロゲン基および/またはアルキル化反応を妨げない他の基によって置換されることができる。一般に、芳香族化合物上に置換基として存在することができるアルキル基は1〜約22の炭素原子、普通には約1〜8の炭素原子、最も普通には約1〜4の炭素原子を含む。
【0042】
本開示発明に使用することができる適当な置換芳香族化合物は、以下のものに限定されることなく、トルエン、キシレン、イソプロピルベンゼン、ノルマルプロピルベンゼン、アルファメチルナフタレン、エチルベンゼン、メシチレン、デュレン、シメン、ブチルベンゼン、プソイドクメン、o−ジエチルベンゼン、m−ジエチルベンゼン、p−ジエチルベンゼン、イソアミルベンゼン、イソヘキシルベンゼン、ペンタエチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラエチルベンゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,2,4−トリエチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、m−ブチルトルエン、p−ブチルトルエン、3,5−ジエチルトルエン、o−エチルトルエン、p−エチルトルエン、m−プロピルトルエン、4−エチル−m−キシレン、ジメチルナフタレン、エチルナフタレン、2,3−ジメチルアントラセン、9−エチルアントラセン、2−メチルアントラセン、o−メチルアントラセン、9,10−ジメチルフェナントレンおよび3−メチルフェナントレンを含む。
【0043】
高分子量アルキル芳香族炭化水素も出発物質として使用することができ、芳香族炭化水素をオレフィンオリゴマーでアルキル化することによって製造されるような芳香族炭化水素を含む。かかる生成物は当該技術分野においてしばしばアルキレートと呼ばれ、以下のものに限定されることなく、ヘキシルベンゼン、ノニルベンゼン、ドデシルベンゼン、ペンタデシルベンゼン、ヘキシルトルエン、ノニルトルエン、ドデシルトルエン、ペンタデシルトルエン等を含む。非常に多くの場合アルキレートは、芳香核に結合したアルキル基の大きさが約C〜約C16の間で様々である高沸点留分として得られる。
【0044】
実質的な量のベンゼン、トルエンおよび/またはキシレンを含み得るリフォーメート流は、本開示発明の方法のためのアルキル化可能芳香族供給原料としてとりわけ適しているといえる。本開示発明の方法はポリマー級エチレンおよび希釈エチレンからのエチルベンゼンの製造を特に指向しているけれども、この方法は他のC〜C20アルキル芳香族化合物、たとえばクメンさらに同じくC6+アルキル芳香族、たとえばC〜C16の直鎖および近直鎖アルキルベンゼンの製造に同じように適用可能である。
【0045】
本開示発明に使用することができる適当な1もしくは複数のアルキル化剤は、1もしくは複数のアルケン化合物、1もしくは複数のアルコール化合物および/または1もしくは複数のアルキルベンゼンならびにこれらの混合物を含む。本開示発明の方法に有用であり得る他の適当なアルキル化剤は一般に、以下のものに限定されることなく、アルキル化可能芳香族化合物と反応する能力のあるアルキル化に利用可能な1以上の脂肪族基を有する任意の脂肪族または芳香族有機化合物を含む。好適なアルキル化剤の例は、C〜C16オレフィン、たとえばC〜Cオレフィン、例としてエチレン、プロピレン、ブテンおよびペンテン;C〜C12アルカノール(モノアルコール、ジアルコール、トリアルコール等を含む。)、好ましくはC〜Cアルカノール、たとえばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびペンタノール;C〜C20エーテル、たとえばC〜Cエーテル、例としてジメチルエーテルおよびジエチルエーテル;アルデヒド、たとえばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒドおよびn−バレルアルデヒド;ハロゲン化アルキル、たとえば塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチルおよび塩化ペンチル;1または複数のポリアルキル化芳香族化合物、たとえばビ−アルキル化ベンゼン(たとえば、1または複数のビ−エチルベンゼンまたはビ−イソプロピルベンゼン)および1または複数のトリアルキル化ベンゼン(たとえば、トリ−エチルベンゼンまたはトリ−イソプロピルベンゼン)等である。かくして、アルキル化剤は好ましくはC〜Cオレフィン、C〜Cアルカノール、1または複数のビ−エチルベンゼン、1または複数のビ−イソプロピルベンゼン、1または複数のトリ−エチルベンゼンおよび1または複数のトリ−イソプロピルベンゼンから成る群から選択されることができる。
不純物
【0046】
本開示発明では、アルキル化可能芳香族化合物を含む供給原料流は不純物を含むことがある。任意的に、第一のアルキル化剤流および/または第二のアルキル化剤流も不純物を含むことがある。不純物は以下の元素、すなわち窒素、ハロゲン、酸素、イオウ、ヒ素、セレン、テルル、リンおよび第1族〜第12族金属のうちの少なくとも1を有する化合物を含む。かかる不純物の例はコリジンおよびN−ホルミルモルホリンを含む。本開示発明の目的のためには、「不純物」の語は水、すなわちHOを含まない。
【0047】
いくつかの実施形態では、当該供給原料流(または第一および/もしくは第二のアルキル化剤流)中の当該不純物の量は、当該供給原料流の重量基準で20wppm未満、15wppm未満、10wppm未満、5wppm未満または1wppm未満である。
水含有量
【0048】
1以上の実施形態では、供給原料流は水を含むことがある。任意的に、第一のアルキル化剤流および/または第二のアルキル化剤流も水を含むことがある。供給原料流または1もしくは複数のアルキル化剤流は、たとえば1以上の脱水ゾーンにおいて蒸留、吸着、蒸発、抽出または減圧フラッシングによって脱水されることができる。脱水ゾーンは蒸留カラム、ベンゼンカラムまたはフラッシングカラム、軽質分カラムまたは抽出塔、吸収塔またはフラッシュ槽であることができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、供給原料流は、該供給原料の温度および圧力条件にある水で飽和されている。他の実施形態では、当該供給原料流中の水の量は、当該供給原料流の重量基準で少なくとも500wppm、少なくとも400wppm、少なくとも300wppmまたは少なくとも200wppmである。
【0050】
不純物または水のレベルは、慣用の手法、たとえばGC、GC/MSまたは当業者に知られた他の適当な手法によって測定されることができる。
反応条件
【0051】
本開示発明の方法は、
(1)適当な脱水条件下に操業されて、水の少なくとも一部分および任意的に不純物の一部分を除く、脱水ゾーン、
(2)第一のアルキル化触媒を有する第一のアルキル化反応ゾーンであって、該第一のアルキル化ゾーンが適当な第一の反応条件下に操業されて、残留する不純物の大部分を除き、かつアルキル化可能芳香族化合物の一部分をアルキル化する、第一のアルキル化反応ゾーン、および
(3)第一のアルキル化触媒と異なる第二のアルキル化触媒を有する第二のアルキル化反応ゾーンであって、該第二のアルキル化ゾーンが適当な第二の反応条件下に操業されて、残留する不純物の一部分を除き、そしてアルキル化可能芳香族化合物の大部分をアルキル化して、追加量のモノアルキル化芳香族化合物を製造する、第二のアルキル化反応ゾーン
を含む。
【0052】
脱水ゾーンでは、適当な脱水条件は、芳香族流から水および不純物を分離するための従来技術で知られた慣用の脱水条件である。
【0053】
第一のアルキル化反応ゾーンおよび/または第二のアルキル化反応ゾーンにおいて、アルキル化可能芳香族化合物およびアルキル化剤が少なくとも部分的に液相の条件下に接触されるときに、好適な第一および第二の条件は、それぞれ、100〜285℃の温度、好ましくは150〜260℃の温度、689〜4601kPa−aの圧力、好ましくは1500〜3000kPa−aの圧力、および反応器全体についてのアルキル化剤およびアルキル化可能芳香族化合物の合計基準で10〜100hr−1、好ましくは20〜50hr−1のWHSVを含む。アルキル化可能芳香族化合物とアルキル化剤と(たとえば、それぞれベンゼンとエチレンと)の全モル比は1:1〜10:1、2:1〜8:1、3:1〜7:1または1.5:1〜4.5:1の範囲にある。
【0054】
いくつかの実施形態では、第一のアルキル化反応ゾーンは反応ガード床として操業されることができ、そこで供給原料流中の不純物の少なくとも一部分が除かれる。この実施形態では、アルキル化可能芳香族化合物とアルキル化剤と(たとえば、それぞれベンゼンとエチレンと)の全モル比はアルキル化の操業単独におけるよりもはるかに高く、10:1〜200:1、または15:1〜150:1、または20:1〜100:1、または25:1〜50:1の範囲にある。
【0055】
他の実施形態では、第一のアルキル化反応ゾーンは、非反応ガード床として操業される第一の反応ゾーンであり、そこで供給原料流中の不純物の少なくとも一部分が除かれる。この実施形態では、アルキル化可能芳香族化合物のみが第一の反応ゾーンに供給される。
【0056】
いくつかの実施形態では、本開示発明の方法は処理物質を有する処理ゾーンを含み、該処理ゾーンは不純物の一部分を除くのに適した処理条件下に操業される。処理ゾーンは脱水ゾーンの上流にあっても下流にあってもよい。処理ゾーンは第一および第二のアルキル化ゾーンの上流にある。
【0057】
処理物質が不純物の一部分を除くのに使用されるときは、好適な処理条件は、約30〜200℃、好ましくは約60〜150℃の温度、約0.1hr−1〜約200hr−1、好ましくは約0.5hr−1〜約100hr−1、より好ましくは約1.0hr−1〜約50hr−1の重量時空間速度(WHSV)およびおよそ環境気圧〜3000kPa−aの圧力を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、開示される本発明の方法は、適当なトランスアルキル化条件下に操業されるトランスアルキル化ゾーンを含み、ポリアルキル化芳香族化合物とアルキル化可能芳香族化合物とから追加量のモノアルキル化芳香族化合物を製造する。
【0059】
トランスアルキル化ゾーンにおいて、ポリアルキル化芳香族化合物(たとえば、1もしくは複数のポリエチルベンゼンまたは1もしくは複数のポリイソプロピルベンゼン)がアルキル化可能芳香族化合物と少なくとも部分的に液相の条件下に接触されるとき、好適なトランスアルキル化条件は、約100〜約300℃の温度、696〜4137kPa−a(101〜600psia)の圧力、アルキレーション反応ゾーンへの1または複数のポリアルキル化芳香族化合物供給原料の重量基準で約0.5hr−1〜約100hr−1のWHSV、およびベンゼンと1または複数のポリアルキル化芳香族化合物との1:1〜30:1、好ましくは1:1〜10:1、より好ましくは1:1〜5:1のモル比を含むことができる。
触媒
【0060】
本開示発明の方法は、(1)第一のアルキル化触媒および(2)第一のアルキル化触媒と異なる第二のアルキル化触媒を含む。
【0061】
第一のアルキル化触媒は、2未満の拘束指数および第一の触媒毒容量を有する大孔径のモレキュラーシーブを含む。
【0062】
拘束指数とは、アルミノシリケートまたはモレキュラーシーブがその内部構造中に様々な大きさの分子をどの程度まで、統制された進入を許すかについての便利な指標である。たとえば、アルミノシリケートの内部構造中への進入およびそこからの脱出が非常に制限されるアルミノシリケートは拘束指数について高い値を有し、この種類のアルミノシリケートは通常、小孔径、たとえば5オングストローム未満の孔を有する。他方、アルミノシリケート構造の内部への比較的自由な進入を許すアルミノシリケートは拘束指数について低い値を有し、通常、大孔径の孔を有する。拘束指数を測定することができる方法は米国特許第4,016,218号に十分に記載されている。
【0063】
好適な大孔径のモレキュラーシーブは、ゼオライトベータ、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミナY(Deal Y)、超疎水性Y(UHP−Y)、希土類交換Y(REY)、モルデナイト、TEA−モルデナイト、ZSM−3、ZSM−4、ZSM−14、ZSM−18およびZSM−20を含む。ゼオライトZSM−14は米国特許第3,923,636号に記載されている。ゼオライトZSM−20は米国特許第3,972,983号に記載されている。ゼオライトベータは米国特許第3,308,069号および米国再発行特許第28,341号に記載されている。低ナトリウム超安定Yモレキュラーシーブ(USY)は米国特許第3,293,192号および3,449,070号に記載されている。脱アルミナYゼオライト(Deal Y)は米国特許第3,442,795号に見られる方法によって調製されることができる。超疎水性Y(UHP−Y)は米国特許第4,401,556号に記載されている。希土類交換Y(REY)は米国特許第3,524,820号に記載されている。モルデナイトは天然に存在する物質であるが、合成形態で、たとえばTEA−モルデナイト(すなわち、テトラエチルアンモニウム指向剤を含む反応混合物から調製された合成モルデナイト)としても入手可能である。TEA−モルデナイトは米国特許第3,766,093号および3,894,104号に記載されている。
【0064】
国際ゼオライト協会構造委員会(IZA−SC)によってMWWトポロジーに属すると認定されたゼオライト物質は、10および12員環の両方の存在によって生じる2の孔体系を有する多層物質である。「ゼオライト骨格タイプ総覧」は、現在少なくとも5の異なる名称を付けられた物質をこの同じトポロジーを有するものとして分類しており、MCM−22、ERB−1、ITQ−1、PSH−3およびSSZ−25を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0065】
いくつかの実施形態では、第二のアルキル化触媒、好ましくは酸性触媒は、第二の触媒毒容量を有するMCM−22ファミリーモレキュラーシーブを含む。MCM−22ファミリーモレキュラーシーブは、様々な炭化水素転化方法に有用であることが見出された。MCM−22ファミリーモレキュラーシーブの例は、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、ITQ−1、ITQ−2、ITQ−30、PSH−3、SSZ−25、ERB−1およびUZM−8である。
【0066】
MCM−22ファミリーに属する物質は、MCM−22(米国特許第4,954,325号に記載されている。)、PSH−3(米国特許第4,439,409号に記載されている。)、SSZ−25(米国特許第4,826,667号に記載されている。)、ERB−1(欧州特許第0293032号に記載されている。)、ITQ−1(米国特許第6,077,498号に記載されている。)、ITQ−2(国際出願WO97/17290号に記載されている。)、ITQ−30国際出願WO2005118476号に記載されている。)、MCM−36(米国特許第5,250,277号に記載されている。)、MCM−49(米国特許第5,236,575号に記載されている。)、MCM−56(米国特許第5,362,697号に記載されている。)およびUZM−8(米国特許第6,756,030号に記載されている。)を含む。
【0067】
上記のMCM−22ファミリーモレキュラーシーブは、MCM−22物質がこのモレキュラーシーブの10員環の内部孔体系と連通していない12員環の外表面ポケットを有する点において、以下で述べる従来の大孔径ゼオライトアルキル化触媒、たとえばモルデナイトと区別されることが理解されなければならない。
【0068】
あるいは、第二のアルキル化触媒、好ましくは酸性触媒は、2〜12の拘束指数を有する中孔径のモレキュラーシーブ(米国特許第4,016,218号に定義されている。)を含むことができ、たとえばZSM−5、ZSM−11、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35およびZSM−48である。ZSM−5は米国特許第3,702,886号および米国再発行特許第29,948号に詳細に記載されている。ZSM−11は米国特許第3,709,979号に詳細に記載されている。ZSM−12は米国特許第3,832,449号に記載されている。ZSM−22は米国特許第4,556,477号に記載されている。ZSM−23は米国特許第4,076,842号に記載されている。ZSM−35は米国特許第4,016,245号に記載されている。ZSM−48は米国特許第4,234,231号に、より詳細に記載されている。
【0069】
1以上の実施形態では、当該第一のアルキル化触媒の当該第一の触媒毒容量は、当該第二のアルキル化触媒の当該第二の触媒毒容量よりも大きく、ここで当該触媒毒容量はコリジン容量によって測定されたものである。
【0070】
いくつかの実施形態では、本開示発明の方法は処理物質を含む。この処理物質はクレイ、樹脂、Linde−X型、Linde−A型およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。処理物質は酸性または非酸性であることができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、本開示発明の方法はトランスアルキル化触媒を含む。このトランスアルキル化触媒は2未満の拘束指数を有する大孔径のモレキュラーシーブを含む。トランスアルキル化触媒は第一のアルキル化触媒と同じでも異なっていてもよい。
本発明の方法の詳細な説明
【0072】
アルキル化芳香族化合物、たとえばモノアルキル化およびポリアルキル化芳香族化合物を製造する方法の1の実施形態(たとえば、反応ガード床)の操業では、かかる方法は、
(a)供給原料流を脱水ゾーンに供給し、当該供給原料流がアルキル化可能芳香族化合物、水および不純物を含む工程であって、当該不純物が以下の元素、すなわち窒素、ハロゲン、酸素、イオウ、ヒ素、セレン、テルル、リンおよび第1族〜第12族金属のうちの少なくとも1を有する化合物を含む工程、
(b)当該脱水ゾーンにおいて当該供給原料流から当該水の少なくとも一部分を除いて、当該アルキル化可能芳香族化合物、あり得る残留する水および当該不純物を含む脱水された流を製造する工程、
(c)適当な少なくとも部分的に液相の第一の反応条件下にある第一のアルキル化反応ゾーンにおいて、当該脱水された流の少なくとも一部分と第一のアルキル化剤流とを第一の触媒毒容量を有する第一のアルキル化触媒と接触させて、当該不純物の少なくとも一部分を除き、かつ当該第一のアルキル化剤流で当該アルキル化可能芳香族化合物の一部分をアルキル化して、そして1または複数のアルキル化芳香族化合物(たとえば、モノアルキル化およびポリアルキル化芳香族化合物)、未反応のアルキル化可能芳香族化合物、あり得る残留する水およびあり得る残留する不純物を含む第一のアルキル化された流を製造する工程であって、当該残留する不純物が当該脱水された流中の当該不純物と比較して少なくとも25%だけ低減される工程、および
(d)適当な少なくとも部分的に液相の第二の反応条件下にある第二のアルキル化反応ゾーンにおいて、当該第一のアルキル化された流と第二のアルキル化剤流とを、当該第一のアルキル化触媒と異なりかつ第二の触媒毒容量を有する第二のアルキル化触媒と接触させ、当該第二のアルキル化剤流で当該未反応のアルキル化可能芳香族化合物の少なくとも一部分をアルキル化し、そして追加の当該1または複数のアルキル化芳香族化合物、未反応のアルキル化可能芳香族化合物、あり得る残留する水およびあり得る残留する不純物を含む第二のアルキル化された流を製造する工程
を含む。
【0073】
反応ガード床では、除かれなければ第二のアルキル化触媒を被毒するであろう反応性不純物(たとえば、触媒毒)の一部分が、アルキル化可能芳香族化合物がアルキル化剤でアルキル化されるのと同時に、第一のアルキル化触媒によって第一のアルキル化反応ゾーンにおいて供給原料流から除かれる。
【0074】
アルキル化芳香族化合物、たとえばモノアルキル化およびポリアルキル化芳香族化合物を製造する方法の他の実施形態(たとえば、非反応ガード床)の操業では、かかる方法は
(a)供給原料流を脱水ゾーンに供給する工程であって、当該供給原料流がアルキル化可能芳香族化合物、水および不純物を含み、当該不純物が以下の元素、すなわち窒素、ハロゲン、酸素、イオウ、ヒ素、セレン、テルル、リンおよび第1族〜第12族金属のうちの少なくとも1を有する化合物を含む工程、
(b)当該脱水ゾーンにおいて当該供給原料流から当該水の少なくとも一部分を除いて、当該アルキル化可能芳香族化合物、あり得る残留する水および当該不純物を含む脱水された流を製造する工程、
(c)適当な少なくとも部分的に液相の第一の反応条件下にある第一の反応ゾーンにおいて、当該脱水された流の少なくとも一部分を第一の触媒毒容量を有する第一のアルキル化触媒と接触させて、当該不純物の少なくとも一部分を除き、そして当該アルキル化可能芳香族化合物、あり得る残留する水およびあり得る残留する不純物を含む、低減された量の不純物を有するアルキル化可能芳香族流を製造する工程であって、好ましくは、当該残留する不純物が当該脱水された流中の当該不純物と比較して少なくとも25%だけ低減される工程、および
(d)適当な少なくとも部分的に液相の第二の反応条件下にあるアルキル化反応ゾーンにおいて、当該アルキル化可能芳香族流とアルキル化剤流とを、当該第一の触媒とは異なりかつ第二の触媒毒容量を有するアルキル化触媒と接触させる工程であって、当該第二のアルキル化剤流で当該未反応のアルキル化可能芳香族化合物の少なくとも一部分をアルキル化し、そして1または複数のアルキル化芳香族化合物、未反応のアルキル化可能芳香族化合物、あり得る残留する水およびあり得る残留する不純物を含む第二のアルキル化された流を製造する工程
を含む。
【0075】
非反応ガード床では、第一の反応ゾーンにおいてアルキル化剤の不存在下に供給原料流から第一の触媒によって不純物が除かれ、アルキル化可能芳香族化合物のアルキル化は生じない。
【0076】
好ましくは当該不純物の少なくとも80重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも60重量%、または少なくとも50重量%が工程(c)において除かれる。
【0077】
任意的に工程(b)では、当該脱水ゾーンにおいて当該供給原料流中の当該不純物の少なくとも一部分が除かれる。好ましくは、工程(b)後の当該脱水された流中の不純物は、当該供給原料流中の不純物よりも10重量%少なく、5重量%少なくまたは1重量%少ない。より好ましくは、脱水ゾーンにおいて不純物の少なくとも一部分を除いた後の当該脱水された流中の不純物は1000wppb未満、750wppb未満、500wppb未満または250wppb未満である。
【0078】
反応ガード床では、当該第一のアルキル化触媒の第一の触媒毒容量は、当該第二のアルキル化触媒の第二の触媒毒容量よりも大きくあることができる。好ましくは、当該第一のアルキル化触媒の第一触媒毒容量は、当該第二のアルキル化触媒の当該第二触媒毒容量よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%または少なくとも50%大きい。
【0079】
非反応ガード床では、当該第一の触媒の第一の触媒毒容量は、当該アルキル化触媒の第二の触媒毒容量よりも大きくあることができる。好ましくは、当該第一の触媒の第一の触媒毒容量は、当該アルキル化触媒の当該第二の触媒毒容量よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%または少なくとも50%大きい。
【0080】
反応ガード床では、工程(c)においてアルキル化剤でアルキル化される当該アルキル化芳香族化合物の部分は、当該アルキル化可能芳香族化合物の少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも10%、少なくとも13%または少なくとも15%である。
【0081】
反応ガード床では、当該第二のアルキル化剤流の流量は、当該第一のアルキル化剤流の流量よりも大きくあることができる。好ましくは、当該第二のアルキル化剤流の流量は、当該第一のアルキル化剤流の流量よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%または少なくとも50%大きい。
【0082】
いくつかの実施形態では、工程(c)の前に、当該脱水された流は処理物質を内蔵する処理ゾーンに供給され、そしてそれから当該脱水された流は、適当な処理条件下にある当該処理ゾーンにおいて当該処理物質と接触されて当該不純物の残留する量の少なくとも一部分が除かれて、当該第一のアルキル化された流が製造される。これらの実施形態では、当該処理物質との接触後の不純物の量は、当該脱水された流におけるよりも1重量%少なく、5重量%少なく、10重量%少なくまたは15重量%少ない。
【0083】
他の実施形態では、工程(a)の前に、当該供給原料流は処理物質を内蔵する処理ゾーンに供給され、そしてそれから当該供給原料流は、適当な処理条件下にある当該処理ゾーンにおいて当該処理物質と接触されて、当該不純物の少なくとも一部分が除かれる。好ましくは、処理後の不純物の量は、当該供給原料流におけるよりも1重量%少なく、5重量%少なく、10重量%少なくまたは15重量%少ない。これらの実施形態では、処理物質はクレイ、樹脂、活性アルミナ、Linde−X型、Linde−A型およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0084】
反応ガード床では、当該第一のアルキル化触媒は2未満の拘束指数を有する大孔径のモレキュラーシーブである。かかる大孔径のモレキュラーシーブはゼオライトベータ、フォージャサイト、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミナY(Deal Y)、希土類Y(REY)、超疎水性Y(UHP−Y)、モルデナイト、TEA−モルデナイト、ZSM−3、ZSM−4、ZSM−14、ZSM−18、ZSM−20およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0085】
非反応ガード床では、当該第一の触媒は2未満の拘束指数を有する大孔径のモレキュラーシーブである。かかる大孔径のモレキュラーシーブはゼオライトベータ、フォージャサイト、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミナY(Deal Y)、希土類Y(REY)、超疎水性Y(UHP−Y)、モルデナイト、TEA−モルデナイト、ZSM−3、ZSM−4、ZSM−14、ZSM−18、ZSM−20およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0086】
第二のアルキル化触媒(たとえば、反応ガード床)またはアルキル化触媒(たとえば、非反応ガード床)は、MWW骨格トポロジーの単位格子を有しかつ格子面間隔dのピークを12.4±0.25、3.57±0.07および3.42±0.07オングストロームに含むX線回折パターンによって特性付けられるMCM−22ファミリー物質である。かかるMCM−22ファミリー物質はERB−1、ITQ−1、ITQ−2、ITQ−30、PSH−3、SSZ−25、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、UZM−8、EMM−10、EMM−10P、EMM−12、EMM−13およびこれらの混合物から成る群から選択される。
【0087】
脱水ゾーンにおいて水の少なくとも一部分を除いた後、当該脱水された流中の水は、当該脱水された流基準で100wppm未満、50wppm未満、25wppm未満または10wppm未満である。
【0088】
水は、たとえば蒸留、吸着、蒸発、抽出または減圧フラッシングによって除かれる。脱水ゾーンは蒸発カラム、ベンゼンカラムまたは軽質分カラムである。
【0089】
当該第一のアルキル化ゾーンまたは当該第一の反応ゾーンにおいてさらに不純物を除いた後、当該第一のアルキル化された流中の不純物の量は、当該供給原料流の重量基準で25%少なく、20%少なく、15%少なく、10%少なくまたは5%少ない。好ましくは、当該第一のアルキル化ゾーンにおいてさらに不純物を除いた後の当該第一のアルキル化された流中の不純物の量は100wppb未満、75wppb未満、50wppb未満または25wppb未満である。
【0090】
当該第二のアルキル化された流中の不純物は、当該第一のアルキル化された流中の不純物よりも10重量%少なく、5重量%少なくまたは1重量%少ない。好ましくは、当該第二のアルキル化された流中の不純物は1wppm未満、5wppm未満、10wppm未満、15wppm未満、20wppm未満または25wppm未満である。
【0091】
いくつかの実施形態では、1または複数のアルキル化反応ゾーンは好ましくは単一の反応容器内に置かれる。あるいは、当該第一のアルキル化反応ゾーンは別の容器内に置かれてもよく、反応ガード床として操業されてもよい。当該第一の反応ゾーンは別の容器内に置かれてもよく、非反応ガード床として操業されてもよい。反応または非反応ガード床中の触媒は、第二のアルキル化触媒よりも頻繁な再生および/または取替に付される。したがってガード床が操業しない間、典型的には、1または複数のアルキル化供給原料を反応器内の直列接続された反応ゾーンに直接、供給することができるように、バイパス回路が備えられる。
【0092】
好ましくは、バイパス可能な反応ガード床は第二のアルキル化ゾーンの上流に置かれる。バイパス可能な非反応ガード床はアルキル化ゾーンの上流に置かれる。かかるガード床は並流の上向き流または下向き流の操作で操業されることができる。反応または非反応ガード床は適当な少なくとも部分的に液相の条件下に維持される。
【0093】
反応ガード床では、アルキル化可能芳香族化合物の少なくとも一部分およびアルキル化剤の少なくとも一部分は、第二のアルキル化反応ゾーンに入る前に該反応ガード床を通される。
【0094】
非反応ガード床では、アルキル化可能芳香族化合物は、アルキル化反応ゾーンに入る前に該非反応ガード床を通される。
【0095】
反応ガード床または非反応ガード床で使用される触媒組成物は、第二のおよび後続のアルキル化反応ゾーンで使用される触媒組成物と異なる。反応ガード床または非反応ガード床で使用される触媒組成物は、複数の触媒の組成物(たとえば、モルデナイトとゼオライトYとの混合物、またはゼオライトベータとゼオライトYとの混合物)を有することができる。反応ガード床および通常、それぞれのアルキル化反応ゾーンは、アルキル化触媒の存在下にアルキル化剤でアルキル化可能芳香族化合物のアルキル化を起こさせるのに有効な条件下に維持される。
【0096】
他のいくつかの実施形態では、当該脱水された流はさらに、蒸留ゾーンからの塔頂流の少なくとも一部分を含む。
【0097】
他の実施形態では、当該脱水された流は冷却され、当該脱水された流の少なくとも一部分が凝縮されて、あり得る残留する水および不純物の少なくとも一部分が除かれる。
【0098】
他の実施形態では、本方法は当該脱水された流を蒸留ゾーンに供給して、接触工程(c)の前に、あり得る残留する水の当該少なくとも一部分がさらに除かれる。
【0099】
他の実施形態では、本方法は、当該脱水された流と蒸留ゾーンからの流とを一緒にして、接触工程(c)の前に、当該あり得る残留する水の少なくとも一部分が除かれる工程をさらに含み、ここで当該蒸留ゾーンは蒸留カラム、ベンゼンカラムまたは軽質分カラムである。
【0100】
他の実施形態では、本方法は、当該脱水ゾーンからの当該脱水された流の少なくとも一部分を蒸留カラムへの還流として供給する工程をさらに含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、当該アルキル化可能芳香族化合物はベンゼンである。当該第一のアルキル化剤流または当該第二のアルキル化剤流はオレフィンを含む。任意的に、当該第一または第二のアルキル化剤流は、アルキル化剤と不純物のみを、もしくはアルキル化剤と水のみを、もしくはアルキル化剤と不純物と水との混合物を含む。
【0102】
当該アルキル化芳香族化合物は、いくつかの実施形態ではモノアルキル化芳香族化合物である。かかる場合には、当該アルキル化剤はエチレンであり当該モノアルキル化芳香族化合物はエチルベンゼンであり、または当該アルキル化剤はプロピレンであり当該モノアルキル化芳香族化合物はクメンであり、または当該アルキル化剤はブチレンであり当該モノアルキル化芳香族化合物はsec−ブチルベンゼンである。
【0103】
本方法のいくつかの実施形態では、モノアルキル化芳香族化合物流、および任意的に当該ポリアルキル化化合物流は、当該第二のアルキル化された流から分離される。
【0104】
いくつかの実施形態では、当該アルキル化芳香族化合物はポリアルキル化芳香族化合物であり、本方法は、トランスアルキル化反応ゾーンにおいて適当なトランスアルキル化条件下に工程(e)の当該ポリアルキル化芳香族化合物をトランスアルキル化触媒と接触させて、追加量の当該モノアルキル化芳香族化合物を製造する工程をさらに含む。
【0105】
他の実施形態では、当該トランスアルキル化触媒は2未満の拘束指数を有する大孔径のモレキュラーシーブである。
【0106】
他の実施形態では、当該大孔径のモレキュラーシーブはゼオライトベータ、フォージャサイト、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミナY(Deal Y)、希土類Y、モルデナイト、TEA−モルデナイト、ZSM−3、ZSM−4、ZSM−18、ZSM−20およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0107】
本開示発明の方法に使用されるアルキル化反応器は、所望のモノアルキル化芳香族化合物、たとえばエチルベンゼンの選択性が非常に高いが、典型的には、少なくとも少量のポリアルキル化化学種も製造するものであることができる。最終のアルキル化反応ゾーンからの流出物は、モノアルキル化芳香族化合物とポリアルキル化芳香族化合物とを回収する分離工程に付されることができる。ポリアルキル化芳香族化合物の少なくとも一部分は、アルキル化反応器とは分離していてもよいトランスアルキル化反応器に供給されることができる。トランスアルキル化反応器では、ポリアルキル化芳香族化合物はアルキル化可能芳香族化合物と反応されて、追加のモノアルキル化芳香族化合物を含む流出物が製造される。これらの流出物の少なくとも一部分は分けられて、アルキル化芳香族化合物(モノアルキル化芳香族化合物および/またはポリアルキル化芳香族化合物)が回収される。
【0108】
本開示発明の1以上の実施形態が図1〜8に例示される。
【0109】
図1はアルキル化芳香族化合物、たとえばモノアルキル化芳香族化合物、例としてエチルベンゼンを製造するプロセス50を示し、アルキル化可能芳香族化合物、水および不純物を含む供給原料流1が、処理物質4を内蔵する処理ゾーン2aを有する処理槽2に供給され、そこで供給原料流1は適当な処理条件下に処理されて上記の当該不純物の第一の部分が除かれて、処理槽流出物流5を製造する。任意的に、処理槽流出物流5は熱交換器12aで加熱されまたは冷却されることができる。
【0110】
処理槽流出物流5は次に脱水ゾーン14、たとえば脱軽質分蒸留カラムに供給され、そこで当該水の少なくとも一部分および任意的に当該不純物の第二の部分が処理槽流出物流5から除かれて、当該アルキル化可能芳香族化合物、あり得る残留量の水および当該不純物を含む脱水された流13を製造する。
【0111】
脱水された流13は蒸留ゾーン18の貯槽16に供給される。蒸留ゾーン18はベンゼン蒸留カラムであることができる。貯槽16で、脱水された流13は蒸留ゾーン18からの塔頂流15(これは熱交換器12cによって冷却される。)と一緒にされて、貯槽流出物17が製造される。貯槽流出物17の一部分は蒸留ゾーン18に還流19として供給される。貯槽16からの蒸気分24は脱水ゾーン14に供給されて、さらに分けられる。貯槽流出物17の残りの部分である流21は、アルキル化反応器20へのアルキル化可能芳香族供給原料流41およびトランスアルキル化反応器30へのアルキル化可能芳香族供給原料流39を形成する。任意的に、流21は熱交換器12bで加熱されまたは冷却されることができる。重質化合物(たとえば、ポリアルキル化芳香族化合物)は蒸留ゾーン18の塔底流22として取り出され、下流の分離装置(図示しない。)で分けられて、モノアルキル化芳香族化合物、たとえばエチルベンゼンおよびポリアルキル化芳香族化合物、たとえば以下で述べるポリアルキル化供給原料流39aを製造する。
【0112】
アルキル化反応器20は、第一のアルキル化触媒26を内蔵する少なくとも第一のアルキル化ゾーン20aと第二のアルキル化触媒28を内蔵する少なくとも第二のアルキル化ゾーン20bとを有し、該第一のアルキル化ゾーン20aは該第二のアルキル化ゾーン20bの上流に置かれかつそれと流体連結している。いくつかの実施形態では、複数の直列接続されたアルキル化ゾーンがある。第一のアルキル化触媒は第一の触媒毒容量を有し、また第二のアルキル化触媒は第二の触媒毒容量を有し、該第一の触媒毒容量は該第二の触媒毒容量よりも大きい。この実施形態では、第一のアルキル化反応ゾーンは、アルキル化反応器20内に一体になっている反応ガード床である。
【0113】
第一のアルキル化触媒26は、2未満の拘束指数を有する大孔径のモレキュラーシーブを含む。いくつかの実施形態では、第二のアルキル化触媒は上記のMCM−22ファミリーモレキュラーシーブを含む。他の実施形態では、第二のアルキル化触媒は、2〜12の拘束指数を有する中孔径のモレキュラーシーブを含む。
【0114】
第一のアルキル化反応ゾーン20aにおいて、アルキル化反応器へのアルキル化可能芳香族供給原料流41と、第一のアルキル化剤流43の一部分とが、第一のアルキル化反応ゾーンにおいて好適な少なくとも部分的に液相の第一の反応条件下に第一のアルキル化触媒26と接触される。当該不純物の重量基準で少なくとも一部分が除かれ、また当該アルキル化可能芳香族化合物の重量基準で少なくとも一部分が当該アルキル化剤流43でアルキル化されて、1または複数の第一のアルキル化芳香族化合物、未反応のアルキル化可能芳香族化合物、あり得る残留する水およびあり得る残留する不純物を含む第一のアルキル化された流を製造する。
【0115】
第一のアルキル化された流は、第二のアルキル化反応ゾーン20bにおいて適当な少なくとも部分的に液相の第二の反応条件下に(当該第一のアルキル化触媒と異なる)第二のアルキル化触媒28の存在の下に当該アルキル化剤43の他の部分と接触される。当該未反応のアルキル化可能芳香族化合物は当該第二のアルキル化剤流でアルキル化されて、追加の当該1または複数のアルキル化芳香族化合物、あり得る残留する水およびあり得る残留する不純物を含む第二のアルキル化された流を製造する。第一および第二のアルキル化された流ならびにもしあれば後続のアルキル化ゾーンからのものが一緒にされて、未反応のアルキル化可能芳香族化合物、あり得る残留する水ならびにモノアルキル化芳香族化合物およびポリアルキル化芳香族化合物を含むアルキル化された流出物45を形成する。ありそうもないが、ひょっとしたらいくらかの残留するアルキル化剤も存在する。
【0116】
アルキル化可能芳香族化合物および(下流の分離装置(図示しない。)からのポリアルキル化芳香族化合物を含む)ポリアルキル化供給原料流39aを含む、トランスアルキル化反応器へのアルキル化可能芳香族供給原料流39は、トランスアルキル化反応器30のトランスアルキル化ゾーン30aに供給される。トランスアルキル化ゾーン30aは少なくとも1のトランスアルキル化触媒34を有する。いくつかの実施形態では、トランスアルキル化触媒34は2未満の拘束指数を有する大孔径のモレキュラーシーブである。
【0117】
トランスアルキル化ゾーン30aにおいて、ポリアルキル化供給原料流39a中のポリアルキル化芳香族化合物は、適当な少なくとも部分的に液相のトランスアルキル化条件下にトランスアルキル化触媒34の存在の下にトランスアルキル化反応器アルキル化可能芳香族供給原料流39と接触されて、トランスアルキル化反応器流出物47中の追加の当該モノアルキル化芳香族化合物を製造する。
【0118】
アルキル化された流出物45は、任意的にトランスアルキル化反応器流出物47と一緒にされて、蒸留供給原料流49として蒸留ゾーン18に供給されて、当該ポリアルキル化化合物と重質化合物とからモノアルキル化化合物を分離する。
【0119】
図2〜4は、図1のモノアルキル化芳香族化合物を製造するために、プロセス50の蒸留ゾーン18に、脱水された流13を使用する他の実施形態を示す。図1におけるのと同じ番号を有する装置機器および流は同じものである。図2の実施形態では、脱水された流13は還流19とともに蒸留ゾーン18に供給される。塔頂流15は熱交換器12cで冷却されそれから貯槽16に流入する。流17はアルキル化可能芳香族流を含み、貯槽16から流出する。流17の一部分は分割され、上記の還流19として蒸留ゾーン18に供給される。図1におけるのと同じように、流17の残りの部分である流21は、トランスアルキル化反応器30へのトランスアルキル化反応器アルキル化可能芳香族供給原料流39およびアルキル化反応器20へのアルキル化可能芳香族供給原料流41を形成する。
【0120】
図3の実施形態では、脱水された流13は蒸留ゾーン18からの塔頂流15と一緒にされそれから熱交換器12cで冷却されて流23を形成し、これは次に貯槽16に供給される。アルキル化可能芳香族化合物を含む流25は貯槽16から流出し還流27と流29とに分割される。流25の残りの部分である流29は、トランスアルキル化反応器30へのトランスアルキル化反応器アルキル化可能芳香族供給原料流39およびアルキル化反応器20へのアルキル化可能芳香族供給原料流41を形成する。
【0121】
図4の実施形態では、蒸留ゾーン18の塔頂流15は貯槽16に流入して図1におけるのと同じように流17を形成する。この実施形態では、脱水された流13は還流19と一緒にされて蒸留ゾーン18への合体された還流33を形成する。流17の残りの部分である流35は、トランスアルキル化反応器30へのトランスアルキル化反応器アルキル化可能芳香族供給原料流39およびアルキル化反応器20へのアルキル化可能芳香族供給原料流41を形成する。任意的に、流35は熱交換器12bで加熱されまたは冷却されることができる。
【0122】
図5は、分離された容器中にありかつ反応様式または非反応様式で操作されるガード床を使用してモノアルキル化芳香族化合物100、たとえばエチルベンゼンを製造するためのプロセス100を示す。ガード床が非反応様式で操作されるときは、アルキル化剤は供給されない。ガード床が反応様式で操作されるときは、ガード床はアルキル化剤の一部分の供給を受ける。
【0123】
アルキル化可能芳香族化合物、水および不純物を含む供給原料流101は、脱水ゾーン14、たとえば脱軽質分蒸留カラムに供給される。図1におけるのと同じ番号を有する装置機器および流は同じものである。脱水ゾーン14において、当該水の少なくとも一部分および任意的に当該不純物の一部分が供給原料流101から除かれて、当該アルキル化可能芳香族化合物、あり得る残留量の当該不純物およびあり得る残留する水を含む脱水された流109が製造される。脱水された流109は、処理物質102aを内蔵する処理ゾーン102に供給され、そこで適当な処理条件下に処理されて、追加の当該不純物が除かれて流出物流111を製造する。不純物および処理物質102aは上記と同じものである。任意的に、流出物流111は熱交換器(図示しない。)で加熱されまたは冷却されることができる。
【0124】
流出物流111は蒸留ゾーン18の貯槽16に供給され、そこで蒸留ゾーン18からの塔頂流115と一緒にされて合体された流出物117を製造する。蒸留ゾーン18はベンゼン蒸留カラムであることができる。合体された流出物117の一部分は蒸留ゾーン18に還流119として供給される。貯槽16からの蒸気分124は脱水ゾーン14に供給され、さらなる分離をされる。合体された流出物117の残りの部分である流121は、熱交換器12dで加熱されまたは冷却されることができる。また、流121はトランスアルキル化反応器30へのアルキル化可能芳香族供給原料流139および(反応または非反応)ガード床22へのアルキル化可能芳香族供給原料流141を形成する。重質化合物(たとえば、ポリアルキル化芳香族化合物)は蒸留ゾーン18の塔底流122として取り出され、下流の分離装置(図示しない。)で分けられて、アルキル化芳香族化合物、たとえばエチルベンゼンおよびポリアルキル化芳香族化合物、たとえば以下で述べるポリアルキル化供給原料流139aを製造する。
【0125】
ガード床22はアルキル化反応器20から分かれており、少なくとも第二のアルキル化ゾーン20bの上流に置かれかつそれと流体連結している。ガード床22が反応ガード床であるときは、それは第一のアルキル化ゾーンであり、第一のアルキル化触媒26を内蔵する。ガード床22が非反応ガード床であるときは、アルキル化剤が供給されないのでそれはアルキル化ゾーンではない。
【0126】
第二のアルキル化ゾーン20bは第二のアルキル化触媒28を内蔵する。第一のアルキル化触媒は第一の触媒毒容量を有し、第二の触媒毒容量を有する第二のアルキル化触媒とは異なる。第一の触媒毒容量は第二の触媒毒容量よりも大きい。好ましくは、第一のアルキル化触媒26は2未満の拘束指数を有する大孔径のモレキュラーシーブを含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、第二のアルキル化触媒は上記のMCM−22ファミリーモレキュラーシーブを含む。他のいくつかの実施形態では、第二のアルキル化触媒は2〜12の拘束指数を有する中孔径のモレキュラーシーブを含む。
【0128】
ガード床22が反応ガード床であるときは、アルキル化可能芳香族供給原料流141とアルキル化剤流143の一部分とは、少なくとも部分的に液相の条件下に第一のアルキル化触媒26の存在の下に接触されて、1または複数のアルキル化芳香族化合物、未反応のアルキル化可能芳香族化合物、あり得る残留する水およびあり得る残留する不純物を含む第一のアルキル化された流を形成する。
【0129】
ガード床22が非反応ガード床であるときは、ガード床22はアルキル化可能芳香族供給原料流141を受け入れ、このアルキル化可能芳香族供給原料流141は適当な少なくとも部分的に液相の第一の反応条件下に(アルキル化剤の不存在下に)第一のアルキル化触媒26と接触され、当該不純物の重量基準で少なくとも一部分が除かれて、当該アルキル化可能芳香族化合物、あり得る残留する水およびあり得る残留する不純物を含むアルキル化可能芳香族流を製造する。
【0130】
第一のアルキル化された流またはアルキル化可能芳香族流は、次に第二のアルキル化ゾーン20bに供給され、好適な少なくとも部分的に液相の第二の反応条件下に第二のアルキル化触媒28の存在の下に追加のアルキル化剤流143と接触されて、追加量のアルキル化芳香族化合物を含む第二のアルキル化された流を製造する。
【0131】
第一および第二のアルキル化された流ならびにもしあれば後続のアルキル化ゾーンからのものは一緒にされて、アルキル化芳香族化合物、未反応のアルキル化可能芳香族化合物、あり得る残留する水およびあり得る残留する不純物を含むアルキル化された流出物145を形成する。
【0132】
アルキル化可能芳香族化合物を含むトランスアルキル化反応器アルキル化可能芳香族供給原料流139およびポリアルキル化芳香族化合物を含むポリアルキル化芳香族供給原料流139aは、トランスアルキル化ゾーン30aに供給される。トランスアルキル化ゾーン30aは少なくとも1のトランスアルキル化触媒34を有する。いくつかの実施形態では、トランスアルキル化触媒34は2未満の拘束指数を有する大孔径のモレキュラーシーブである。
【0133】
トランスアルキル化ゾーン30aでは、ポリアルキル化芳香族供給原料流139aが、適当な少なくとも部分的に液相のトランスアルキル化条件下にトランスアルキル化触媒34の存在の下に、トランスアルキル化反応器アルキル化可能芳香族供給原料流139と接触されて、トランスアルキル化反応器流出物147中に追加の当該モノアルキル化芳香族化合物を製造する。
【0134】
アルキル化された流出物145は、任意的にトランスアルキル化反応器流出物147と一緒にされ、蒸留ゾーン18に蒸留供給原料流149として供給されて、当該ポリアルキル化化合物および重質化合物からモノアルキル化化合物を分離する。ポリアルキル化化合物および重質化合物は、下流の分離装置(図示しない。)で分けられる。
【0135】
図6〜8は、図5のモノアルキル化芳香族化合物を製造するためのプロセス100の蒸留ゾーン18における(脱水された流109を含む)流出物流111を使用する他の実施形態を示す。図5におけるのと同じ番号を有する装置機器および流は同じものである。図6の実施形態では、流出物流111は還流119とともに蒸留ゾーン18に供給される。蒸留ゾーン18の塔頂流115は貯槽16に流入する。アルキル化可能芳香族流を含む流117は貯槽16から流出する。流117の一部分は分割され、蒸留ゾーン18に還流119として供給される。流117の残りの部分である流121は、図5におけるのと同じように、トランスアルキル化反応器30へのトランスアルキル化反応器供給原料流139およびガード床22へのアルキル化反応器供給原料流141を形成する。任意的に、流121は熱交換器12dで加熱されまたは冷却されることができる。
【0136】
図7の実施形態では、流出物流111は蒸留ゾーン18からの塔頂流115と一緒にされ、それから熱交換器12cで冷却されて流123を形成し、これは次に貯槽16に供給される。アルキル化芳香族化合物を含む流125は貯槽16から流出する。この流125は還流127と流129とに分割される。流125の残りの部分である流129は、トランスアルキル化反応器30へのトランスアルキル化反応器アルキル化可能芳香族供給原料流139およびガード床22へのアルキル化可能芳香族供給原料流141を形成する。任意的に、流129は熱交換器12dで加熱されまたは冷却されることができる。
【0137】
図8の実施形態では、塔頂流115は図5におけるのと同じように貯槽16に流入して、流117および還流119を形成する。この実施形態では、流出物流111は、流117の分割流である流119と一緒にされて、蒸留ゾーン18への還流133を形成する。流117の残りの部分である流135は、トランスアルキル化反応器30へのトランスアルキル化反応器アルキル化可能芳香族供給原料流139およびガード床22へのアルキル化可能芳香族供給原料流141を形成する。任意的に、流135は熱交換器12dで加熱されまたは冷却されることができる。
【0138】
本開示発明は、以下の実施例を参照してこれから、より詳細に説明される。
[実施例1〜6]
触媒毒容量の測定
【0139】
実施例1〜6では、気相中にあるコリジンを供給することによってコリジンについての触媒毒容量が測定され、その吸収量が熱重量分析計によって記録された。全吸収量は、含窒素化合物を吸収するゼオライトの容量の一つの尺度である。
【表1】

【0140】
表1に示すように、MWWトポロジーを有する触媒についてのコリジンを用いた触媒毒容量は、非MWWトポロジーを有する触媒についてのものよりもはるかに小さかった。
[実施例7および8]
【0141】
実施例7および8では、N−ホルミルモルホリン(NFM)不純物を吸収するMWW触媒およびゼオライトベータ触媒の容量が測定された。2のアルキル化反応器が直列に置かれ、第一のアルキル化触媒を有する第一のアルキル化反応器(Rx1)にNFM不純物含有ベンゼン供給原料が供給された。Rx1の流出物が第二のアルキル化触媒を有する第二のアルキル化反応器(Rx2)への供給原料であった。Rx1およびRx2の各反応器は別々のエチレン注入点を有し、この配置は多段階の直列接続されたアルキル化反応器の最初の2段階に似ている。これらの実験の場合、Rx1は反応ガード床であり、アルキル化反応器における第一の反応ゾーンであった。いつRx1がその最大触媒毒容量に到達し触媒毒がRx1によってもはや完全には保持し切れないかを示す指標に、Rx2の不活性化が用いられた。NFMはベンゼン供給原料の重量基準で0.3wppmの濃度で供給された。
【0142】
実施例におけるNFM吸収容量は、通油開始時間とRx2で不活性化が観察される時間とから計算される。
【表2】

【0143】
表2に示すように、ゼオライトベータのNFM吸収容量は第一の触媒として、MWWを含む第一の触媒よりも優れている。
【0144】
本明細書に引用されたすべての特許、特許出願、試験方法、優先権書類、論文、刊行物、マニュアルおよび他の文献は、かかる開示物が本明細書の開示と不整合にならない程度にまでおよびかかる取り込みが許されるすべての管轄権に対して、参照によって完全に取り込まれる。
【0145】
本明細書に数値の下限および数値の上限が示されているときは、あり得る下限からあり得る上限までの範囲が意図されている。
【0146】
本開示発明の例示的な実施形態が詳細に説明されてきたけれども、様々な他の変形が、当業者には明らかであり、かつ本開示発明の精神および範囲を逸脱することなく当業者によって容易に作られることができることが理解されるだろう。したがって、本明細書に添付された特許請求の範囲は実施例および本明細書に記載された説明に限定されることは意図されず、この特許請求の範囲は本開示発明に存在する特許を受けることができる新しさのすべての特徴を、本開示発明の属する技術分野の当業者によって本開示発明の均等物として扱われるであろうすべての特徴を含めて、包含すると解釈されるべきことが意図される。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル化芳香族化合物を製造する方法において、当該方法が、
(a)供給原料流を脱水ゾーンに供給し、当該供給原料流がアルキル化可能芳香族化合物、水および不純物を含む工程であって、当該不純物が以下の元素、すなわち窒素、ハロゲン、酸素、イオウ、ヒ素、セレン、テルル、リンおよび第1族〜第12族金属のうちの少なくとも1を有する化合物を含む工程、
(b)適当な脱水条件下に操業される当該脱水ゾーンにおいて当該供給原料流から当該水の少なくとも一部分を除いて、当該アルキル化可能芳香族化合物、あり得る残留する水および当該不純物を含む脱水された流を製造する工程、
(c)適当な少なくとも部分的に液相の第一の反応条件下にある第一のアルキル化反応ゾーンにおいて、当該脱水された流の少なくとも一部分と第一のアルキル化剤流とを第一の触媒毒容量を有する第一のアルキル化触媒と接触させて、当該不純物の少なくとも一部分を除き、かつ当該第一のアルキル化剤流で当該アルキル化可能芳香族化合物の少なくとも一部分をアルキル化し、そして1または複数のアルキル化芳香族化合物、未反応のアルキル化可能芳香族化合物、あり得る残留する水およびあり得る残留する不純物を含む第一のアルキル化された流を製造する工程、および
(d)適当な少なくとも部分的に液相の第二の反応条件下にある第二のアルキル化反応ゾーンにおいて、当該第一のアルキル化された流と第二のアルキル化剤流とを、当該第一のアルキル化触媒と異なりかつ第二の触媒毒容量を有する第二のアルキル化触媒と接触させて、当該第二のアルキル化剤流で当該未反応のアルキル化可能芳香族化合物の少なくとも一部分をアルキル化し、そして追加の当該1または複数のアルキル化芳香族化合物、未反応のアルキル化可能芳香族化合物、あり得る残留する水およびあり得る残留する不純物を含む第二のアルキル化された流を製造する工程
を含む、上記の方法。
【請求項2】
除去工程(b)において、当該供給原料流中の当該不純物の少なくとも一部分が当該脱水ゾーンにおいて除かれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(c)の前に、当該脱水された流が処理物質を内蔵する処理ゾーンに供給され、当該脱水された流が、適当な処理条件下にある当該処理ゾーンにおいて当該処理物質と接触されて、当該不純物の少なくとも一部分が除かれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)の前に、当該供給原料流が、処理物質を内蔵する処理ゾーンに供給され、そしてそれから当該供給原料流が、適当な処理条件下にある当該処理ゾーンにおいて当該処理物質と接触されて、当該不純物の少なくとも一部分が除かれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
当該第一のアルキル化触媒が、2未満の拘束指数(Constraint Index)を有する大孔径のモレキュラーシーブである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
当該大孔径のモレキュラーシーブが、ゼオライトベータ、フォージャサイト、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミナY(Deal Y)、希土類Y(REY)、超疎水性Y(UHP−Y)、モルデナイト、TEA−モルデナイト、ZSM−3、ZSM−4、ZSM−14、ZSM−18、ZSM−20およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
当該第二のアルキル化触媒が、MWW骨格トポロジーの単位格子を有しかつ格子面間隔dのピークを12.4±0.25、3.57±0.07および3.42±0.07オングストロームに含むX線回折パターンによって特性付けられるMCM−22ファミリー物質である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
当該MCM−22ファミリー物質が、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、ITQ−30、PSH−3、SSZ−25、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、UZM−8、EMM−10、EMM−10P、EMM−12、EMM−13およびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
当該1または複数のアルキル化芳香族化合物が、モノアルキル化芳香族化合物およびポリアルキル化芳香族化合物を含み、当該方法が
(e)当該第二のアルキル化された流からモノアルキル化芳香族化合物を分離する工程、
(f)当該第二のアルキル化された流からポリアルキル化芳香族化合物を分離する工程、および
(g)トランスアルキル化反応ゾーンにおいて適当な少なくとも部分的に液相のトランスアルキル化条件下に、当該ポリアルキル化芳香族化合物流と当該供給原料流の他の部分とをトランスアルキル化触媒と接触させ、当該ポリアルキル化芳香族化合物流をトランスアルキル化して、追加の当該モノアルキル化芳香族化合物を製造する工程
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
当該トランスアルキル化触媒が、2未満の拘束指数を有する大孔径のモレキュラーシーブである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
アルキル化芳香族化合物を製造する方法において、当該方法が、
(a)供給原料流を脱水ゾーンに供給し、当該供給原料流がアルキル化可能芳香族化合物、水および不純物を含む工程であって、当該不純物が以下の元素、すなわち窒素、ハロゲン、酸素、イオウ、ヒ素、セレン、テルル、リンおよび第1族〜第12族金属のうちの少なくとも1を有する化合物を含む工程、
(b)適当な脱水条件下に操業される当該脱水ゾーンにおいて、当該供給原料流から当該水の少なくとも一部分を除いて、当該アルキル化可能芳香族化合物、あり得る残留する水および当該不純物を含む脱水された流を製造する工程、
(c)適当な少なくとも部分的に液相の第一の反応条件下にある第一の反応ゾーンにおいて、当該脱水された流の少なくとも一部分を第一の触媒毒容量を有する第一の触媒と接触させて、当該不純物の少なくとも一部分を除き、そして当該アルキル化可能芳香族化合物、あり得る残留する水およびあり得る残留する不純物を含みかつ低減された量の不純物を有するアルキル化可能芳香族流を製造する工程、および
(d)適当な少なくとも部分的に液相の第二の反応条件下にあるアルキル化反応ゾーンにおいて、工程(c)の当該アルキル化可能芳香族流とアルキル化剤流とを、当該第一の触媒と異なりかつ当該第一の触媒毒容量よりも大きい第二の触媒毒容量を有するアルキル化触媒と接触させて、当該アルキル化剤流で当該未反応のアルキル化可能芳香族化合物の少なくとも一部分をアルキル化し、そして1または複数のアルキル化芳香族化合物、未反応のアルキル化可能芳香族化合物、あり得る残留する水およびあり得る残留する不純物を含むアルキル化された流を製造する工程
を含む、上記の方法。
【請求項12】
除去工程(b)において、当該供給原料流中の当該不純物の少なくとも一部分が当該脱水ゾーンにおいて除かれる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
工程(c)の前に、当該脱水された流が、処理物質を内蔵する処理ゾーンに供給され、そして当該脱水された流が、適当な処理条件下にある当該処理ゾーンにおいて当該処理物質と接触されて、当該不純物の少なくとも一部分が除かれる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
工程(a)の前に、当該供給原料流が、処理物質を内蔵する処理ゾーンに供給され、そして当該供給原料流が、適当な処理条件下にある当該処理ゾーンにおいて当該処理物質と接触されて、当該不純物の少なくとも一部分が除かれる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
当該処理物質が、クレイ、樹脂、活性アルミナ、Linde−X型、Linde−A型およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項3、4、13および14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
当該第一の触媒が、2未満の拘束指数を有する大孔径のモレキュラーシーブである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
当該大孔径のモレキュラーシーブが、ゼオライトベータ、フォージャサイト、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミナY(Deal Y)、希土類Y(REY)、超疎水性Y(UHP−Y)、モルデナイト、TEA−モルデナイト、ZSM−3、ZSM−4、ZSM−14、ZSM−18、ZSM−20およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
当該アルキル化触媒が、MWW骨格トポロジーの単位格子を有しかつ格子面間隔dのピークを12.4±0.25、3.57±0.07および3.42±0.07オングストロームに含むX線回折パターンによって特性付けられるMCM−22ファミリー物質である、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
当該MCM−22ファミリー物質が、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、ITQ−30、PSH−3、SSZ−25、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、UZM−8、EMM−10、EMM−10P、EMM−12、EMM−13およびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
当該アルキル化可能芳香族化合物がベンゼンである、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
当該アルキル化剤流がオレフィンおよび当該不純物を含み、当該不純物の少なくとも一部分が工程(c)において除かれる、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
当該アルキル化剤がエチレンであり当該モノアルキル化芳香族化合物がエチルベンゼンであり、または当該アルキル化剤がプロピレンであり当該モノアルキル化芳香族化合物がクメンであり、または当該アルキル化剤がブチレンであり当該モノアルキル化芳香族化合物がsec−ブチルベンゼンである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
当該1または複数のアルキル化芳香族化合物がモノアルキル化芳香族化合物およびポリアルキル化芳香族化合物を含み、当該方法が、
(e)当該第二のアルキル化された流からモノアルキル化芳香族化合物を分離する工程、
(f)当該第二のアルキル化された流からポリアルキル化芳香族化合物を分離する工程、および
(g)適当な少なくとも部分的に液相のトランスアルキル化条件下にあるトランスアルキル化反応ゾーンにおいて、当該ポリアルキル化芳香族化合物流と当該脱水された流の他の部分とをトランスアルキル化触媒と接触させ、当該ポリアルキル化芳香族化合物流をトランスアルキル化し、そして追加の当該モノアルキル化芳香族化合物を製造する工程
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項24】
当該トランスアルキル化触媒が、2未満の拘束指数を有する大孔径のモレキュラーシーブである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
当該大孔径のモレキュラーシーブが、ゼオライトベータ、フォージャサイト、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミナY(Deal Y)、希土類Y(REY)、超疎水性Y(UHP−Y)、モルデナイト、TEA−モルデナイト、ZSM−3、ZSM−4、ZSM−14、ZSM−18、ZSM−20およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項10または24に記載の方法。

【公表番号】特表2013−521336(P2013−521336A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−557019(P2012−557019)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/026844
【国際公開番号】WO2011/112189
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【出願人】(503282220)ストーン アンド ウェブスター プロセス テクノロジー インコーポレーテッド (11)
【Fターム(参考)】