説明

アルキル化芳香族組成物、ゼオライト触媒組成物及びその製造方法

【課題】新規なアルキル化芳香族組成物、ゼオライト触媒組成物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、新規なアルキル化芳香族組成物、ゼオライト触媒組成物およびその製造方法に関する。触媒組成物は、制御された大細孔構造を持つY型ゼオライトとモルデナイト型ゼオライトとからなる。また、本発明は、触媒組成物の製造、および新規なアルキル化芳香族組成物の製造におけるその使用にも関する。本発明の触媒組成物はアルキル化工程において失活速度の低減を示し、それにより触媒の寿命が増加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアルキル化芳香族組成物、ゼオライト触媒組成物およびその製造方法に関するものである。触媒組成物は、制御された大細孔構造を持つY型ゼオライトとモルデナイト型ゼオライトとからなる。また、本発明は、触媒組成物の製造、および新規なアルキル化芳香族組成物の製造におけるその使用にも関する。本発明の触媒組成物はアルキル化工程において失活速度の低減を示し、それにより触媒の寿命が増加する。
【背景技術】
【0002】
種々のルイス酸またはブレンステッド酸触媒を用いて、芳香族炭化水素の接触アルキル化反応を行うことはよく知られている。代表的な市販の触媒としては、リン酸/珪藻土、ハロゲン化アルミニウム、三フッ化ホウ素、塩化アンチモン、塩化第二スズ、塩化亜鉛、ポリ(フッ化水素)オニウム、およびフッ化水素を挙げることができる。プロピレンなどの低分子量オレフィンを用いるアルキル化は、液相または蒸気相で実施することができる。C16オレフィンなどの高分子量オレフィンを用いるアルキル化では、液相にて通常はフッ化水素を存在させてアルキル化を行う。高分子量オレフィンを用いたベンゼンのアルキル化はとりわけ困難であり、フッ化水素処理を必要とする。しかしながら、フッ化水素は環境上魅力的とは言い難い。
【0003】
上記に挙げた酸を使用した場合には極めて腐食が起こり易く、よって特別な取扱いと装置が必要になる。また、これらの酸の使用では環境上の問題を抱えることがある。別の問題は、これら酸の使用によって、生成する生成物の精密な化学組成に対する所望の制御が困難になることにある。よって、もっと安全でもっと簡易で、好ましくは固体状態の触媒を使用することが好ましい。この簡易な方法は、結果的に少ない資本投資しか必要とせず、その結果、より安価な生成物をもたらすことになる。
【0004】
固体結晶性アルミノケイ酸塩のゼオライト触媒は、芳香族炭化水素をオレフィンでアルキル化するのに有効であることが知られている。触媒として有用なゼオライト材料は通常、直径が20オングストローム未満の微細孔範囲にある均一な細孔を持つ無機結晶性物質である。ゼオライトは、天然でも産出されるし、また合成でも製造できる。合成のゼオライトとしては例えば、A、X、Y、L及びオメガ型ゼオライトが挙げられる。金属アルミノリン酸塩や金属ケイリン酸塩を生成させることも可能である。ホウ素やガリウム、鉄、ゲルマニウムなど他の物質も、構造骨格のアルミニウムまたはケイ素を置換するために使用することができる。
【0005】
これらのゼオライト触媒材料は、特定の用途に向けてその触媒特性を増大させるべく更に改良するために、微結晶粉末として市販されている。ゼオライト触媒の触媒特性を増大させる更なる改良の方法も、当該分野ではよく知られていて、例えばゼオライト触媒を成形した粒子にすること、触媒母体の陽イオンを交換すること等がある。
【0006】
ゼオライト粉末を成形した粒子にすることは、クレー、無機化合物または有機化合物などの好適な結合剤物質を添加することにより触媒粉末のゲル又はペーストを作り、次いでゲル又はペーストを所望の形状に押し出すことによって行なうことができる。また、結合剤を使用しないでゼオライト粉末を粒子にすることもできる。代表的な触媒粒子としては、断面が円形であるか、あるいは触媒粒子の中心部から外に向かって広がった複数の弓形の丸い突出部がある押出成形物が挙げられる。
【0007】
固定床反応器で使用される触媒粒子に伴う一つの問題は、触媒失活である。アルキル化
を含む大部分の炭化水素転換法において、主な触媒失活はコークスの生成により引き起こされる。この触媒失活は、アルキル化反応にゼオライト触媒を使用する際の重大な問題である。この失活問題についても当該分野ではよく知られていて、失活のメカニズムには、オレフィンが重合して、ゼオライト材料の活性部位を含む細孔から外に拡散できない大分子種になることが含まれることもよく分かっている。
【0008】
アルキル芳香族炭化水素の製造におけるゼオライト触媒の使用は一般に、ノルマルアルファオレフィンまたは分枝鎖オレフィンおよび任意に促進剤を用いて、芳香族炭化水素を接触アルキル化することにより行われる。
【0009】
ゼオライト触媒の製造方法、並びに結合剤を使用して又は使用しないで触媒粒子や押出物に更に成形、形成する方法については、多数の特許文献に記述されている。また、芳香族炭化水素のアルキル化にゼオライト触媒を使用することについても、多数の特許文献に開示されている。
【0010】
特許文献1には、合成ゼオライト材料の製造であって、水和により制御された有効孔径を持つ収着体を生成させ、そして収着体およびそのゼオライト前駆体を直接凝結体の形で与える製造方法が開示されている。
【0011】
特許文献2には、シリカとアルミナとの比が3より大きく約3.9までの範囲にあるY型ナトリウムゼオライトの製造方法が開示されている。
【0012】
特許文献3には、結晶性ゼオライトの塊状体又は成形物の製造方法が開示されている。また、この特許文献には、化学分析と共にX線粉末回折パターンを用いた触媒材料の同定方法も開示されている。
【0013】
特許文献4には、アルキル化工程でアルキル化芳香族生成物の高度の「重質分」の生成を制御でき、所望の分子量を得るのにアルキル化芳香族生成物を蒸留するよりも有利であることが開示されている。
【0014】
特許文献5及び6には、ゼオライト触媒からナトリウム又は他のアルカリ金属イオンを除去する技術が開示されている。また、特許文献5には、そのようなナトリウム又は他のアルカリ金属イオンの除去が、液相反応でのオレフィンによる芳香族炭化水素のアルキル化の際にゼオライト触媒を活性化することも開示されている。
【0015】
特許文献7、8及び9には、「重質アルキレート」分が中性スルホネートおよび過塩基性スルホネートに影響を及ぼすことが開示されている。特許文献9には、分子量分布または「重質アルキレート」の影響が、中性及びHOBスルホネート両方の性能に及ぶことが明らかにされ、そして特許文献7では、ジアルキレート含量が、対応するスルホネートのさび性能に影響することが明らかにされている。特許文献8では、モノアルキレートスルホネートが好ましいとされている。特許文献4、7、8及び9は、如何なる目的であれ参照すべき内容として本明細書の記載とする。
【0016】
特許文献10には、大きさが200ミクロンを越え、高い強度と優れた吸着特性に特徴がある結晶性アルミノケイ酸塩ゼオライトを結晶化するのに、核生成中心を使用することが開示されている。
【0017】
特許文献11には、C2〜C4オレフィンで芳香族炭化水素をアルキル化するための非常に安定で活性な触媒の製造法が開示されている。触媒は、失活速度が非常に改善された酸性の結晶性アルミノケイ酸塩ゼオライトである。
【0018】
特許文献12には、ベンゼンおよび低分子量オレフィンを二酸化硫黄の存在下で希土類交換X又はY型ゼオライト触媒と接触させることからなる、ベンゼンをアルキル化するアルキル化法が開示されている。
【0019】
特許文献13には、アルキル芳香族炭化水素を製造するのに低結晶度の部分崩壊ゼオライト触媒を使用することが開示されている。アルキル化反応には、アルキル化反応を行う前に触媒床を水素で状態調節することも含まれる。
【0020】
特許文献14、15、16及び17には、押出成形物に捕捉されて蒸熱されたシリカ対アルミナ比の低いY型ゼオライトを使用して触媒を改質する、炭化水素転換触媒の製造法が開示されている。
【0021】
特許文献18には、消泡性の清浄分散潤滑油添加剤の製造方法が開示されている。その方法には更に、生成物をもっと塩基性にするための炭酸塩化も含まれる。
【0022】
特許文献19には、モノアルキル化の選択度が増したアンモニウム交換、蒸気安定化Y型ゼオライト触媒を使用するアルキル化法が開示されている。その方法には、充分な量の炭質材料がアルキル化触媒上に均一に堆積してそのアルキル化活性度を実質的に抑えるような条件下で、少なくとも一種の有機化合物を存在させることが含まれる。
【0023】
特許文献20には、シリカとアルミナとのモル比が少なくとも15:1である酸性モルデナイト型ゼオライト触媒の存在下で、多環芳香族化合物をアルキル化して、パラアルキル化異性体に富んだ置換多環芳香族化合物の混合物を生成させる方法が開示されている。
【0024】
特許文献21には、水素化するためにY型ゼオライト触媒を使用することが開示されている。Y型ゼオライト触媒は、変性した結晶性アルミノケイ酸塩Y型ゼオライト、結合剤、および少なくとも一種の水素添加成分であるVI族あるいはVIII族金属から構成される。
【0025】
特許文献22には、シリカとアルミナとのモル比が少なくとも15:1である酸性モルデナイト型ゼオライト触媒の存在下で、多環芳香族化合物をアルキル化して、線状アルキル化異性体に富んだ置換多環芳香族化合物を生成させる方法が開示されている。
【0026】
特許文献23には、ナフタレンまたはモノ−イソプロピルナフタレンのアルキル化に、シリカの対アルミナ比が15乃至110のY型ゼオライト触媒を使用することが開示されている。
【0027】
特許文献24には、芳香族炭化水素供給物を液相アルキル化条件下で、シリカを含有する大細孔で小粒子径のゼオライト触媒を存在させて、アルキル化剤と接触させる工程を含む芳香族のアルキル化法が開示されていて、触媒の孔容積は半径450オングストロームの細孔で約0.25乃至0.50cc/gであり、触媒の粒子径は1/32インチ以下である。
【0028】
特許文献25には、炭素原子1個乃至8個を持つアルキル化剤による芳香族化合物のアルキル化の際に、酸性モルデナイト型ゼオライト触媒を使用して、線状アルキル化異性体に富んだ置換芳香族化合物を生成させることが開示されている。酸性モルデナイト触媒の特徴は、そのシリカとアルミナとのモル比、その多孔度および対称指数にある。
【0029】
特許文献26には、ナフタレンから長鎖アルキル置換芳香族化合物を製造する方法が開
示されていて、その方法は0.5乃至3.0重量%の水の存在下でゼオライトアルキル化触媒を使用している。水の存在により、モノアルキル化生成物が製造される選択度が増す。
【0030】
特許文献27及び28には、アルキル化及び/又はアルキル交換反応活性度を有する触媒組成物であって、水を触媒組成物の全重量に基づき3.5重量%より多く含有する触媒組成物の製造方法、および該触媒組成物と炭素原子2個乃至25個を含むオレフィンを使用する芳香族のアルキル化法が開示されている。
【0031】
特許文献29には、シリカとアルミナとの比が少なくとも160:1で、対称指数が約1.0より高い酸性モルデナイト型ゼオライト触媒の存在下で、ベンゼンまたは置換ベンゼンをアルキル化する方法が開示されている。触媒の製造方法も開示されている。
【0032】
特許文献30には、シリカとアルミナとのモル比が少なくとも30:1で、X線回折で決定した特定の結晶構造を持つ酸性モルデナイト型ゼオライト触媒の存在下で、アルキル化および/またはアルキル交換反応を行うことにより、アルキル化ベンゼンを製造することが開示されている。
【0033】
特許文献31には、遷移金属を含むゼオライト触媒を存在させて触媒が失活しないようなアルキル化条件下で、ベンゼンと線状オレフィンと分子水素の混合物を同時に供給することからなる、線状アルキルベンゼンの製造方法が開示されている。
【0034】
特許文献32には、10乃至90%の変性Y型ゼオライトから形成された変性Y型ゼオライト触媒と、10乃至90%の結合剤とからなる触媒組成物の製造方法であって、変性Y型ゼオライトと結合剤のスラリーを使用して、IRスペクトルの波長3602センチメートル分の1に明確な吸収ピークを示す触媒組成物を形成する方法が開示されている。また、この特許文献には、Y型ゼオライト構造のアルミナを鉄で置換することも開示されている。
【0035】
特許文献33には、一次元の細孔構造を持つ酸性触媒の存在下でノルマルアルファオレフィンを異性化し、次いで異性化したオレフィンを使用して第二の酸性触媒の存在下で芳香族炭化水素をアルキル化する方法が開示されていて、第二の酸性触媒は、シリカとアルミナとの比が少なくとも40:1のY型ゼオライトであってよいとされている。
【0036】
特許文献34には、超アルカリ性のアルカリ土類金属アルキルアリールスルホネートの製造が開示されている。アルキルアリールスルホネートのアルキル基は炭素原子を14〜40個含み、そしてアルカリ土類金属のアリールスルホネート基は線状アルキル鎖の1もしくは2位に0〜13%を占めるモル比で固定されている。
【0037】
特許文献35には、非アルキル化単環芳香族炭化水素の少なくとも一部を除去し、次いで残っているアルキル化反応生成物を分子篩またはクレーなどの酸性触媒の存在下で反応させることにより、アルキル化反応生成物の残留オレフィン含量を低減する方法が開示されている。
【0038】
特許文献36には、TBNが3〜500の範囲にある低過塩基性及び高過塩基性スルホネートを製造するために、予備異性化ノルマルアルファオレフィンからアルキルベンゼンを製造することが開示されている。この方法では、触媒としてHF、もしくは平均孔径が少なくとも6オングストロームのゼオライトなどの固体酸性アルキル化触媒が使用されている。
【0039】
特許文献37には、多孔質の結晶性物質、例えばMCM−22を用いて芳香族をアルキル化し、そして双極子モーメントが少なくとも0.05デバイの極性化合物の使用によりその場で触媒を再生する方法が開示されている。
【0040】
アルファ−オレフィンでアルキル化すると、殆どの固体酸性触媒は多量の2−アリール結合を生じさせることが知られており、非特許文献1に記載がある。これは、特にモルデナイト型ゼオライトにおいて事実である。
【0041】
ゼオライトに関する二つの概括的な論文として次のものがある:非特許文献2及び非特許文献3。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献1】米国特許第3094383号明細書
【特許文献2】米国特許第3130007号明細書
【特許文献3】米国特許第3119660号明細書
【特許文献4】米国特許第3288716号明細書
【特許文献5】米国特許第3641177号明細書
【特許文献6】米国特許第3929672号明細書
【特許文献7】米国特許第3764533号明細書
【特許文献8】米国特許第4259193号明細書
【特許文献9】米国特許第5112506号明細書
【特許文献10】米国特許第3777006号明細書
【特許文献11】米国特許第4185040号明細書
【特許文献12】米国特許第4395372号明細書
【特許文献13】米国特許第4570027号明細書
【特許文献14】米国特許第4762813号明細書
【特許文献15】米国特許第4767734号明細書
【特許文献16】米国特許第4879019号明細書
【特許文献17】米国特許第5111792号明細書
【特許文献18】米国特許第4764295号明細書
【特許文献19】米国特許第4876408号明細書
【特許文献20】米国特許第4891448号明細書
【特許文献21】米国特許第4916096号明細書
【特許文献22】米国特許第5004841号明細書
【特許文献23】米国特許第5026941号明細書
【特許文献24】米国特許第5118896号明細書
【特許文献25】米国特許第5175135号明細書
【特許文献26】米国特許第5191135号明細書
【特許文献27】米国特許第5240889号明細書
【特許文献28】米国特許第5324877号明細書
【特許文献29】米国特許第5198595号明細書
【特許文献30】米国特許第5243116号明細書
【特許文献31】米国特許第5453553号明細書
【特許文献32】米国特許第5506182号明細書
【特許文献33】米国特許第5922922号明細書
【特許文献34】米国特許第5939594号明細書
【特許文献35】米国特許第6031144号明細書
【特許文献36】米国特許第6337310号明細書
【特許文献37】米国特許第6525234号明細書
【非特許文献】
【0043】
【非特許文献1】S.シバサンカー、A.サンガラジ(S. Sivasanker, A. Thangaraj)著、「固体酸触媒上での長鎖オレフィンによるベンゼンのアルキル化における異性体分布(Distribution of Isomers in the Alkylation of Benzene with Long-Chain Olefins over Solid Acid Catalysts)」、ジャーナル・オブ・カタリシス(Journal of Catalysis)、1992年、第138号、p.386−390
【非特許文献2】ローズマリー・ツォスタク(Rosemarie Szostak)著、「分子篩便覧(Handbook of Molecular Sieves)」、ニューヨーク、ヴァン・ノストランド・ラインホルド(Van Nostrand Reinhold)、1992年
【非特許文献3】ローズマリー・ツォスタク(Rosemarie Szostak)著、「分子篩:合成及び同定の原理(Molecular Sieves: Principles of Synthesis and Identification)」、英国、ロンドン、第2版、チャップマン・アンド・ホール(Chapman and Hall)、1999年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0044】
本発明は、新規なアルキル化芳香族組成物、並びに本発明の触媒複合体の存在下でアルキル化し、更にスルホン化し、そしてアルキル化芳香族スルホン酸を炭酸塩化して過塩基性にすることからなる炭酸塩化した過塩基性アルキル化芳香族スルホネートの製造方法に関する。
【0045】
また、本発明は、Y型ゼオライトとモルデナイト型ゼオライトとからなる制御された大細孔構造を持つゼオライト触媒組成物に関する。また、本発明は、触媒組成物の製造方法にも関する。触媒および触媒組成物はアルキル化工程において失活速度の低減を示し、それにより触媒および触媒組成物の寿命が増加する。
【課題を解決するための手段】
【0046】
本発明は特に、下記化合物の混合物を含むアルキル化芳香族組成物に関する:
(a)Y型ゼオライトからなり、ピーク孔径が、ASTM試験第D4284−03による測定値として約2000オングストローム以下であり、そして約500オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、ASTM試験第D4284−03による測定値としてグラム当り約0.30ミリリットル以下である大細孔構造を持つアルキル化触媒の存在下に、アルキル化反応を行なって得られたアルキル化芳香族炭化水素アルキル化生成物、および
(b)シリカとアルミナとのモル比が約50:1乃至約105:1の範囲にあるモルデナイト型ゼオライトからなり、ピーク孔径が、ASTM試験第D4284−03による測定値として約900オングストローム以下であり、そして約500オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、ASTM試験第D4284−03による測定値としてグラム当り約0.30ミリリットル以下である大細孔構造を持つアルキル化触媒の存在下に、アルキル化反応を行なって得られたアルキル化芳香族炭化水素アルキル化生成物。
【0047】
混合物における(a)のアルキル化芳香族炭化水素の重量%は、全アルキル化芳香族組成物に基づき約40%乃至約99%の範囲にあることができる。好ましくは、混合物における(a)のアルキル化芳香族炭化水素の重量%は、全アルキル化芳香族組成物に基づき約50%乃至約90%の範囲にあり、より好ましくは、混合物における(a)のアルキル化芳香族炭化水素の重量%は、全アルキル化芳香族組成物に基づき約70%乃至約80%の範囲にある。
【0048】
アルキル化芳香族組成物のアルキル基は、アルファオレフィン、異性化オレフィン、分枝鎖オレフィンまたはそれらの混合物から誘導することができる。アルファオレフィンまたは異性化オレフィンは、炭素原子約6個乃至約40個を有する。好ましくは、アルファオレフィンまたは異性化オレフィンは炭素原子約20個乃至約40個を有する。分枝鎖オレフィンは、炭素原子約6個乃至約70個を有し、好ましくは、分枝鎖オレフィンは炭素
原子約8個乃至約50個を有し、さらに好ましくは、分枝鎖オレフィンは炭素原子約12個乃至約18個を有する。
【0049】
アルキル化芳香族組成物のアルキル基は、炭素原子約6個乃至約40個を持つ部分分枝鎖異性化オレフィンであってもよい。好ましくは、部分分枝鎖異性化オレフィンは炭素原子約20個乃至約40個を有する。
【0050】
アルキル化芳香族組成物の芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンまたはそれらの混合物であってもよい。好ましくは、芳香族炭化水素はトルエンまたはベンゼンである。
【0051】
(a)で用いるY型ゼオライトおよび(b)で用いるモルデナイト型ゼオライトは、結合剤を含んでいてもよい。好ましくは、(a)工程のY型ゼオライトの結合剤および(b)工程のモルデナイト型ゼオライトの結合剤が共にアルミナである。
【0052】
(a)で用いるY型ゼオライトおよび(b)で用いるモルデナイト型ゼオライトは、タブレットの形状であってもよい。
【0053】
本発明の別の態様は、下記の工程からなるアルキル化芳香族組成物の製造方法に関する:
(a)Y型ゼオライトからなり、ピーク孔径が、ASTM試験第D4284−03による測定値として約2000オングストローム以下であり、そして約500オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、ASTM試験第D4284−03による測定値としてグラム当り約0.30ミリリットル以下である大細孔構造を持つゼオライト触媒を存在させて、少なくとも一種の芳香族炭化水素を、アルキル化条件下で少なくとも一種のオレフィンと接触させて、第一のアルキル化芳香族炭化水素生成物を生成させる工程、
(b)シリカとアルミナとのモル比が約50:1乃至約105:1の範囲にあるモルデナイト型ゼオライトからなり、ピーク孔径が、ASTM試験第D4284−03による測定値として約900オングストローム以下であり、そして約500オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、ASTM試験第D4284−03による測定値としてグラム当り約0.30ミリリットル以下である大細孔構造を持つゼオライト触媒を存在させて、少なくとも一種の芳香族炭化水素を、アルキル化条件下で少なくとも一種のオレフィンと接触させて、第二のアルキル化芳香族炭化水素生成物を生成させる工程、そして
(c)第一のアルキル化芳香族炭化水素生成物と第二のアルキル化芳香族炭化水素生成物を混ぜ合わせて、アルキル化芳香族組成物を形成する工程、
ただし、(a)工程と(b)工程は任意の順序で行うことができる。
【0054】
上記の方法は更に、(b)工程において失活したゼオライト触媒を好適な溶媒でフラッシュして再活性化する工程を含んでいてもよく、好ましくは、溶媒は芳香族炭化水素である。より好ましくは、芳香族炭化水素はベンゼンである。
【0055】
上記の方法は更に、アルキル化芳香族組成物をスルホン化してアルキル化芳香族スルホン酸を生成させる工程を含んでいてもよい。このアルキル化芳香族スルホン酸をアルカリ土類金属および二酸化炭素と反応させて、炭酸塩化した過塩基性アルキル化芳香族スルホネートを生成させることができる。
【0056】
アルキル化芳香族組成物中の第一アルキル化芳香族炭化水素生成物は、全アルキル化芳香族組成物に基づき約40%乃至約99%の範囲にあることができる。好ましくは、アルキル化芳香族組成物中の第一アルキル化芳香族炭化水素生成物は、全アルキル化芳香族組成物に基づき約50%乃至約90%の範囲にある。より好ましくは、アルキル化芳香族組
成物中の第一アルキル化芳香族炭化水素生成物は、全アルキル化芳香族組成物に基づき約70%乃至約80%の範囲にある。
【0057】
(a)工程および(b)工程において、オレフィンは独立に、アルファオレフィン、異性化オレフィン、分枝鎖オレフィンまたはそれらの混合物であってもよい。アルファオレフィンまたは異性化オレフィンは、炭素原子約6個乃至約40個を有することができる。好ましくは、アルファオレフィンまたは異性化オレフィンが炭素原子約20個乃至約40個を有する。分枝鎖オレフィンは、炭素原子約6個乃至約70個を有することができる。好ましくは、分枝鎖オレフィンは炭素原子約8個乃至約50個を有する。より好ましくは、分枝鎖オレフィンは炭素原子約12個乃至約18個を有する。
【0058】
(a)工程または(b)工程において、オレフィンは独立に部分分枝鎖異性化オレフィンであってもよく、そしてオレフィンは炭素原子約6個乃至約40個を有することができる。好ましくは、部分分枝鎖異性化オレフィンは炭素原子約20個乃至約40個を有する。
【0059】
アルキル化芳香族組成物の芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンまたはそれらの混合物であってもよい。好ましくは、芳香族炭化水素はトルエンまたはベンゼンである。
【0060】
(a)工程および(b)工程において、ゼオライト触媒の約400オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積は、グラム当り約0.30ミリリットル以下であることが好ましい。より好ましくは、(a)及び(b)工程においてゼオライト触媒の約300オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積は、グラム当り約0.25ミリリットル以下であり、さらに好ましくは、約300オングストローム以下の孔径の細孔でグラム当り約0.20ミリリットル以下であり、そして最も好ましくは、約300オングストローム以下の孔径の細孔でグラム当り約0.08ミリリットル乃至約0.16ミリリットルの範囲にある。
【0061】
(a)及び(b)工程において、ゼオライト触媒の約400オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積は、グラム当り約0.05ミリリットル乃至約0.18ミリリットルの範囲にあることが好ましい。より好ましくは、(a)及び(b)工程において、ゼオライト触媒の約300オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積は、グラム当り約0.08ミリリットル乃至約0.16ミリリットルの範囲にある。
【0062】
(a)工程において、Y型ゼオライト触媒のピーク孔径は、約700オングストローム乃至約1800オングストロームの範囲にあることが好ましい。より好ましくは、(a)工程でY型ゼオライト触媒のピーク孔径は約750オングストローム乃至約1600オングストロームの範囲にある。さらに好ましいのは、(a)工程でY型ゼオライト触媒のピーク孔径は約900オングストローム乃至約1400オングストロームの範囲にある。
【0063】
(b)工程においてモルデナイト型ゼオライト触媒のピーク孔径は、約400オングストローム乃至約800オングストロームの範囲にあることが好ましい。より好ましくは、(b)工程でモルデナイト型ゼオライト触媒のピーク孔径は約400オングストローム乃至約700オングストロームの範囲にある。さらに好ましいのは、(b)工程でモルデナイト型ゼオライト触媒のピーク孔径は約450オングストローム乃至約600オングストロームの範囲にある。
【0064】
上記方法の(a)工程において、Y型ゼオライト触媒のシリカとアルミナとの比は約5:1乃至約100:1の範囲にあることが好ましい。より好ましいのは、(a)工程でY
型ゼオライト触媒のシリカとアルミナとの比は約30:1乃至約90:1の範囲にある。さらに好ましいのは、(a)工程でY型ゼオライト触媒のシリカとアルミナとの比は約60:1乃至約80:1の範囲にある。
【0065】
上記方法の(b)工程において、モルデナイト型ゼオライト触媒のシリカとアルミナとの比は約60:1乃至約80:1の範囲にあることが好ましい。
【0066】
(a)工程のY型ゼオライトおよび(b)工程のモルデナイト型ゼオライトは、結合剤を含んでいてもよい。好ましくは、(a)工程のY型ゼオライトの結合剤および(b)工程のモルデナイト型ゼオライトの結合剤はアルミナである。
【0067】
(a)工程のY型ゼオライトおよび(b)工程のモルデナイト型ゼオライトは、タブレットの形状であってもよい。
【0068】
本発明のまた別の態様は、Y型ゼオライトと、シリカとアルミナとのモル比が約50:1乃至約105:1の範囲にあるモルデナイト型ゼオライトとからなり、ピーク孔径がASTM試験第D4284−03による測定値として約2000オングストローム以下であり、そして約500オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、ASTM試験第D4284−03による測定値としてグラム当り約0.30ミリリットル以下である大細孔構造を持つゼオライト触媒を存在させて、少なくとも一種の芳香族炭化水素を、少なくとも一種のオレフィンと接触させることからなるアルキル化芳香族組成物の製造方法に関する。
【0069】
ゼオライト触媒の約400オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積は、グラム当り約0.30ミリリットル以下であることが好ましい。より好ましいのは、ゼオライト触媒の約300オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積はグラム当り約0.25ミリリットル以下である。さらに好ましいのは、ゼオライト触媒の約300オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積はグラム当り約0.20ミリリットル以下である。
【0070】
ゼオライト触媒の約400オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積は、グラム当り約0.05ミリリットル乃至約0.18ミリリットルの範囲にあることができる。好ましくは、ゼオライト触媒の約300オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積はグラム当り約0.08ミリリットル乃至約0.16ミリリットルの範囲にある。
【0071】
ゼオライト触媒のピーク孔径は、約400オングストローム乃至約1500オングストロームの範囲にあることが好ましい。より好ましいのは、ゼオライト触媒のピーク孔径は約500オングストローム乃至約1300オングストロームの範囲にある。さらに好ましいのは、ゼオライト触媒のピーク孔径は約600オングストローム乃至約1100オングストロームの範囲にあり、そして最も好ましいのは、ゼオライト触媒のピーク孔径は約750オングストローム乃至約900オングストロームの範囲にある。
【0072】
Y型ゼオライトのシリカとアルミナとのモル比は約5:1乃至約100:1の範囲にあり、またモルデナイト型ゼオライトのシリカとアルミナとのモル比は約50:1乃至約105:1の範囲にあることが好ましい。より好ましいのは、Y型ゼオライトのシリカとアルミナとのモル比は約30:1乃至約90:1の範囲にあり、そしてさらに好ましいのは、Y型ゼオライトおよびモルデナイト型ゼオライトのシリカとアルミナとのモル比は独立に約60:1乃至約80:1の範囲にある。
【0073】
ゼオライト触媒は結合剤を含んでいてもよい。結合剤はアルミナであることが好ましい。
【0074】
ゼオライト触媒はタブレットの形状であってもよい。
【0075】
本発明の更に別の態様は、下記の成分:
(a)Y型ゼオライト、および
(b)シリカとアルミナとのモル比が約50:1乃至約105:1の範囲にあるモルデナイト型ゼオライト、
からなり、そしてピーク孔径が、ASTM試験第D4284−03による測定値として約2000オングストローム未満であり、約500オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、ASTM試験第D4284−03による測定値としてグラム当り約0.30ミリリットル以下である大細孔構造を持つゼオライト触媒組成物に関する。
【0076】
ゼオライト触媒組成物の約400オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積は、グラム当り約0.30ミリリットル以下であることが好ましい。より好ましいのは、ゼオライト触媒組成物の約300オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積はグラム当り約0.25ミリリットル以下である。さらに好ましいのは、約300オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積はグラム当り約0.20ミリリットル以下である。
【0077】
ゼオライト触媒組成物の約400オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積は、グラム当り約0.05ミリリットル乃至約0.18ミリリットルの範囲にあってもよい。好ましくは、ゼオライト触媒組成物の約300オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積はグラム当り約0.08ミリリットル乃至約0.16ミリリットルの範囲にある。
【0078】
ゼオライト触媒組成物のピーク孔径は、約400オングストローム乃至約1500オングストロームの範囲にあることが好ましい。より好ましいのは、ゼオライト触媒組成物のピーク孔径は約500オングストローム乃至約1300オングストロームの範囲にある。さらに好ましいのは、ゼオライト触媒組成物のピーク孔径は約600オングストローム乃至約1100オングストロームの範囲にあり、そして最も好ましくは、ゼオライト触媒組成物のピーク孔径は約750オングストローム乃至約900オングストロームの範囲にある。
【0079】
(a)工程のY型ゼオライトのシリカとアルミナとの比は、約5:1乃至約100:1の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、Y型ゼオライトのシリカとアルミナとのモル比は約30:1乃至約90:1の範囲にあり、そしてさらに好ましくは、Y型ゼオライトのシリカとアルミナとのモル比は約60:1乃至約80:1の範囲にある。
【0080】
(b)工程のモルデナイト型ゼオライトのシリカとアルミナとのモル比は、約60:1乃至約80:1の範囲にあることが好ましい。
【0081】
ゼオライト触媒組成物は結合剤を含んでいてもよい。結合剤はアルミナであることが好ましい。
【0082】
ゼオライト触媒組成物はタブレットの形状であってもよい。
【発明の効果】
【0083】
本発明の触媒組成物は、アルキル化工程において失活速度の低減を示し、それにより触媒の寿命が増加する。
【発明を実施するための形態】
【0084】
[定義]
「アルキレート」は、アルキル化芳香族炭化水素を意味する。
【0085】
「2−アリール含量」は、アルキレート(本発明のアルキル化法に用いたオレフィンから誘導されたアルキル鎖が、芳香環に結合しているアルキレート種)であって、芳香環へのアルキル鎖の結合がアルキル鎖に沿って2位にあるような化学種からなるもの全部のパーセントとして定義される。
【0086】
「結合剤」は、ゼオライト粒子と結合して更に有益な形状になる母材又は多孔質母材として作用することができる、任意の好適な無機物質を意味する。
【0087】
「分枝鎖オレフィン」は、エチレンよりも高級なオレフィン単量体の重合から誘導され、相当な数の分枝を含むオレフィンを意味する、ただし、分枝は炭素原子約1個乃至約30個を持つアルキル基である。エチレンと高分子量オレフィンの混合物も使用できる。
【0088】
「焼成」は、本明細書で使用するとき、触媒を実質的に乾燥した環境下で約400℃乃至約1000℃に加熱することを意味する。
【0089】
「炭酸塩化・過塩基性」は、アルカリ土類金属アルカリ芳香族スルホネートのようなものを記述するのに使用され、芳香族スルホン酸部の当量の数に対するアルカリ土類金属部の当量の数の比率が1より大きく、通常は10より大きく、おそらくは20かそれ以上ほど大きい。
【0090】
水銀圧入式ポロシメトリにより得られる「累積孔容積」は、本明細書で使用するとき、ASTM D4284−03の第14.1.6項で測定したグラフの累積孔容積分布から
導き出した、グラム当りのミリリットルで表した全容積の該当部分、もしくは規定した上限と下限の孔径間の同じデータの対応する表で表現した値を意味する。孔径の下限を規定しないときは、下限は、最小検出限界、またはASTM D4284−03の第14.1
.6項で測定した最小半径である。
【0091】
「乾量基準」、「無水基準」および「無揮発分基準」は、触媒複合体、またはNa2
・Al23・xSiO2などの金属酸化物に基づいて表した原料の乾燥重量を意味する。
【0092】
「フラッシュ」は、本明細書で使用するとき、本発明のモルデナイト触媒およびモルデナイト触媒複合体を再活性化するために、失活した触媒および触媒複合体を反応器内で芳香族炭化水素などの好適な溶媒と接触させることを意味する。
【0093】
「灼熱減量(LOI)」は、本明細書で使用するとき、ゼオライト複合体および原料試料を538℃で1時間加熱したときに揮発もしくは蒸発するそれらのパーセント重量損失を意味する。温度が約538℃以上であると、「灼熱減量」はパーセント揮発分に近似する。
【0094】
「大細孔」、「中細孔」および「微細孔」は、本明細書で使用するとき、純正・応用化学国際連合(IUPAC)、物理化学部により、1971年7月23日のIUPAC評議会(米国、ワシントンD.C.)で採用された、物理化学の量と単位の記号及び用語マニュアル、付録II定義、コロイド界面化学第1部の用語及び記号に示された定義に従う。幅又は直径が〜50ナノメートル(500オングストローム)を越える細孔を「大細孔」と呼ぶ。幅または直径が〜2.0ナノメートル(20オングストローム)を越えない細孔を「微細孔」と呼ぶ。中間の大きさ(2.0ナノメートル<幅または直径≦50nm)の細孔を「中細孔」と呼ぶ。
【0095】
「水銀圧入式ポロシメトリ」は、触媒の孔容積分布を水銀圧入式ポロシメトリにより決定するのに使用されるASTM試験第D4284−03の方法を意味する。水銀細孔分布は、カンタクローム走査型水銀ポロシメータSP−100型を用いて測定した。装置で使用したソフトウェアのバージョンは、V2.11(日付1993年10/27)である。計算に用いた界面張力はセンチメートル当り473ダインであり、接触角は140度である。
【0096】
「ノルマルアルファオレフィン」および「線状アルファオレフィン」は、炭素−炭素二重結合が主として炭素鎖の末端又は「アルファ」位置、すなわちC1とC2の間に存在して、アルキル分枝の率が高くはないような直鎖オレフィンを意味する。ノルマルアルファオレフィンはエチレンの重合から誘導される。
【0097】
「ノルマルアルファオレフィン異性化」は、ノルマルアルファオレフィンを、低いアルファオレフィン含量(二重結合がC1とC2の間にある)と、高い内部オレフィン含量(二重結合がC1とC2の間以外の位置にある)と、任意に高率の分枝とを有する異性化オレフィンに転換することを意味する。
【0098】
「部分分枝鎖オレフィン」は、分枝の率が出発ノルマルアルファオレフィンよりも高い、ノルマルアルファオレフィンの異性化のオレフィン生成物として定義される。
【0099】
「ピーク孔径」は、本明細書で使用するとき、本発明の触媒の細孔ピークについて、ASTM試験第D4284−03の方法により測定された大細孔範囲におけるピーク孔径(すなわち、14.2項に規定されているように、大細孔領域内で孔径分布の微分プロットが最大になる孔径)を意味する。
【0100】
「解凝固」は、水和アルミナを含む結合剤粒子の大凝結体を、酸の添加により遥かに小さな一次粒子に分散することを意味する。
【0101】
「パーセント揮発分」は、本明細書で使用するとき、触媒複合体または原料の実際の重量と、実質乾燥、無水又は無揮発分基準での物質の重量との差で、実際の試料重量のパーセントとして表した差を意味する。
【0102】
「SAR」又は「シリカとアルミナとの比」は、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとのモル比、SiO2モル:Al23モルを意味する。
【0103】
「触媒材料を成形するのに充分な水」は、ゼオライト粉末とアルミナ粉末との酸による解凝固混合物を押出し可能な素材にするのに必要な水の量を意味する。
【0104】
「タブレット化」は、本明細書で使用するとき、ゼオライト粉末またはゼオライト粉末と結合剤粉末の混合物から、粉末をダイで圧縮することにより触媒凝結体を形成する方法を意味する。
【0105】
水銀圧入式ポロシメトリで得られる「全孔容積」は、本明細書で使用するとき、グラフの累積孔容積分布(ASTM D4284−03の第14.1.6項)から導き出した、
グラム当りのミリリットルで表した全孔容積、もしくは同一データの対応する表により表現した値を意味する。
【0106】
本明細書で使用するとき、特に断わらない限りはパーセントは全て重量%である。
【0107】
前述したように、本発明は、新規なアルキル化芳香族組成物およびそのスルホン化及び
炭酸塩化生成物に関する。芳香族炭化水素のアルキル化は、Y型ゼオライトとモルデナイト型ゼオライトとからなる制御された大細孔構造を持つゼオライト触媒組成物の存在下で実施される。本発明の触媒の特徴は、水銀圧入式ポロシメトリ、ASTM試験第D4284−03により得られる孔容積分布にある。水銀圧入式ポロシメトリは、累積孔容積(pv)対孔径(pd)のグラフを与える。また、水銀圧入式ポロシメトリは、導関数、デルタpd(Δpd)分のデルタpv(Δpv)から大細孔のピーク孔径を決定するためにも使用される。グラフは、本発明の触媒を特徴づけるために用いられる。
【0108】
ゼオライト触媒組成物は、Y型ゼオライトとモルデナイト型ゼオライトを用いて製造された。また、Y型ゼオライトとモルデナイト型ゼオライトを混ぜ合わせて、本発明のゼオライト触媒組成物を製造することもできる。ゼオライト触媒組成物がY型ゼオライトとモルデナイト型ゼオライトの両方を含有する場合には、結合工程および成形工程の前にY型ゼオライトとモルデナイト型ゼオライト粉末を混合することにより、ゼオライト触媒複合体を製造することができる。シリカの対アルミナ比が公称でそれぞれ60と6.7であるゼオリスト・インターナショナル社より入手できるY型ゼオライト、商品名CBV760及びCBV600は、本発明のゼオライト触媒組成物の製造に使用できる。ただし、シリカの対アルミナ比が5から110の間にあるY型ゼオライトが、本発明のゼオライト触媒組成物の製造には使用できる。シリカの対アルミナ比が公称で90である同じくゼオリスト・インターナショナル社より入手できるモルデナイト型ゼオライト、商品名90Aは、本発明のゼオライト触媒組成物の製造に使用できる。シリカの対アルミナ比が50から105の間にあるモルデナイト型ゼオライトが、本発明のゼオライト触媒組成物の製造に使用できる。
【0109】
本発明の触媒は、当該分野では公知の操作を用いてタブレット、押出物または他の任意の形状に成形することができる。押出物の製造にはアルミナなどの結合剤の存在を必要とする。タブレット化した触媒には結合剤の存在は不要であるが、タブレット化したゼオライト触媒中に結合剤が存在してもよい。結晶性ゼオライト粉末も圧縮してタブレットにすることができる。本発明のタブレット化した触媒は、アルキル化反応における失活速度が例外的に遅い。
【0110】
一種以上のオレフィンを用いた芳香族炭化水素のアルキル化は固定床反応器内において、Y型ゼオライトのみ、モルデナイト型ゼオライトのみもしくはY型ゼオライトとモルデナイト型ゼオライト両方からなる本発明のゼオライト触媒組成物の存在下で実施することができる。アルキル化工程は水を添加しないで、乾燥した芳香族炭化水素とオレフィン供給物を用いて行う。アルキル化過程における水の存在は本発明の触媒の失活速度を増大させると考えられる。Y型ゼオライトとモルデナイト型ゼオライトを用いたアルキル化を分離型固定床反応器で行うと、アルキル化芳香族炭化水素が混ざり合って所望の量のアルファオレフィン対分枝鎖オレフィンを得ることができる。ノルマルアルファオレフィンとモルデナイト型ゼオライトのみからなるゼオライト触媒組成物を用いたアルキル化反応は、主としてアルキル鎖の芳香環への結合がアルキル鎖に沿った2位にあるアルキル化芳香族炭化水素を与える。一方、Y型ゼオライトのみからなるゼオライト触媒組成物とノルマルアルファオレフィンを用いたアルキル化反応は、主としてアルキル鎖に沿った2位以外への結合を与える。
【0111】
従来より公知の任意の方法によりアルキル化反応を実施することができる。芳香族炭化水素を、本発明の触媒を存在させてアルキル化反応条件下で一種以上のオレフィンと反応させる。上記のアルキル化工程は、水を添加しないで乾燥した芳香族炭化水素とオレフィン供給物を用いて行う。アルキル化工程における水の存在は本発明の触媒の失活速度を増大させると考えられる。
【0112】
芳香族炭化水素は単環であっても二環であってもよいが、好ましくは、芳香族炭化水素は単環の芳香族炭化水素である。芳香族炭化水素は、アルキル化芳香族炭化水素、例えばアルキル基が炭素原子約4個乃至約80個を持つモノアルキル化芳香族炭化水素であってもよい。使用する芳香族炭化水素がモノアルキル化芳香族であるとき、アルキル化反応の生成物はジアルキル化芳香族炭化水素である。
【0113】
芳香族炭化水素のアルキル化に使用できるオレフィンは、炭素原子約4個乃至約80個を持つ線状鎖オレフィンまたは分枝鎖オレフィンであってよい。さらに、本発明のアルキル化工程に使用するために、ノルマルアルファオレフィンを異性化して部分分枝鎖オレフィンを得ることもできる。このようにして得られる部分分枝鎖オレフィンは、アルファ−オレフィン、ベータ−オレフィン、内部−オレフィン、三置換オレフィンおよびビニリデンオレフィンであってもよい。
【0114】
本発明のアルキル化芳香族炭化水素のアルキル化芳香族炭化水素スルホン酸は、公知の任意のスルホン化反応により製造することができる。さらに、アルキル化芳香族スルホン酸をアルカリ土類金属および二酸化炭素と反応させて、潤滑油に清浄剤として有用な炭酸塩化した過塩基性アルキル化芳香族スルホネートを得ることもできる。炭酸塩化は、従来より公知の任意の方法により行うことができる。過塩基性の程度は、炭酸塩化工程に使用する反応条件およびアルカリ土類金属と二酸化炭素の量を変えることによって制御することができる。
【0115】
本発明の新規なアルキル化組成物は、実施例1〜4で後述するようにして製造した本発明のゼオライト触媒組成物の存在下で、上述したアルキル化反応を行うことにより得ることができる。
【0116】
[ノルマルアルファオレフィンの異性化操作]
異性化工程は、バッチ式または連続式で実施することができる。工程温度は50℃乃至250℃の範囲であってよい。バッチ式では、一般的な方法は撹拌下にあるオートクレーブまたはガラス製フラスコを使用することであり、所望の反応温度に加熱してもよい。連続法は、固定床法で最も効率良く行われる。固定床法の空間速度は、0.1乃至10又はもっと高い時間当り重量の空間速度範囲とすることができる。
【0117】
固定床法では、異性化触媒を反応器に充填し、真空下または不活性乾燥ガスが流れる中で少なくとも150℃の温度で活性化するか、あるいは乾燥する。活性化した後、異性化触媒の温度を所望の反応温度に調整し、そしてオレフィン流を導入する。部分分枝鎖の異性化オレフィンを含む反応器からの流出液を集める。得られた部分分枝鎖異性化オレフィンは、非異性化オレフィンとは異なるオレフィン分布(アルファオレフィン、ベータオレフィン、内部オレフィン、三置換オレフィンおよびビニリデンオレフィン)と分枝含量を含んでいる。
【0118】
[芳香族炭化水素のアルキル化操作]
ノルマルアルファオレフィン、部分分枝鎖異性化オレフィンおよび分枝鎖オレフィンによる芳香族炭化水素のアルキル化は、当該分野の熟練者には知られている任意の方法で実施することができる。
【0119】
アルキル化反応は一般に、芳香族炭化水素とオレフィンを用いて1:15乃至25:1のモル比で行う。工程温度は、約100℃乃至約250℃の範囲であってよい。この工程は水を添加しないで行う。オレフィンの沸点が高いので、液相でこの工程を行うことが好ましい。アルキル化工程はバッチ式で行っても連続式で行ってもよい。バッチ式では、一般的な方法は撹拌下にあるオートクレーブまたはガラス製フラスコを使用することであり
、所望の反応温度に加熱してもよい。連続法は、固定床法で最も効率良く行われる。固定床法の空間速度は、0.01乃至10又はもっと高い時間当り重量の空間速度範囲とすることができる。
【0120】
固定床法では、アルキル化触媒を反応器に充填し、真空下または不活性乾燥ガスが流れる中で少なくとも150℃の温度で活性化するか、あるいは乾燥する。活性化した後、アルキル化触媒を周囲温度まで冷やし、芳香族炭化水素化合物流を導入し、任意にトルエンを導入する。圧力が所望の反応温度で芳香族炭化水素供給組成物の泡立ち点の圧力より高くなるように、背圧弁により圧力を上げる。系を所望の圧力まで加圧した後、温度を所望の反応温度まで上げる。次いで、オレフィン流を芳香族炭化水素に混合して触媒の上を流れるようにする。アルキル化芳香族炭化水素と未反応オレフィンと余分な芳香族炭化水素化合物とからなる反応器流出物を集める。次に、余分な芳香族炭化水素化合物を、減圧下での蒸留、ストリッピング、蒸発、もしくは当該分野の熟練者には公知のその他任意の手段により取り除く。
【0121】
[アルキル化芳香族炭化水素のスルホン化操作]
アルキル化炭化水素のスルホン化は、当該分野の熟練者に公知の任意の方法により実施することができる。
【0122】
スルホン化反応は一般には、約65℃に維持した落下フィルム式チューブ反応器内で行う。アルキル化芳香族炭化水素をチューブに入れ、窒素で希釈した三酸化硫黄をアルキル化芳香族炭化水素に加える。アルキル化芳香族炭化水素と三酸化硫黄とのモル比を約1.05:1に維持する。得られたアルキル化芳香族スルホン酸は、約10%の100ニュートラル油で希釈した後、所望の残留スルホン酸含量(最大で約0.5%)になるまで温度を約85℃に維持しながら、生成物キログラム当り約10リットルの速度で窒素を吹き込んで撹拌することで熱処理してもよい。
【0123】
[アルキル化芳香族スルホン酸の炭酸塩化・過塩基性化操作]
アルキル芳香族スルホン酸の炭酸塩化・過塩基性化は、当該分野の熟練者には公知の任意の方法により実施することができ、アルキル芳香族スルホネートが生成する。
【0124】
一般に炭酸塩化・過塩基性化反応は、反応器内でアルキル化芳香族スルホン酸、希釈油、芳香族溶媒およびアルコールを存在させて行う。温度を約20℃から80℃の間に維持しながら反応混合物を撹拌し、アルカリ土類金属と二酸化炭素を反応物に加える。
【0125】
炭酸塩化・過塩基性化の程度は、反応混合物に添加するアルカリ土類金属と二酸化炭素の量、炭酸塩化工程で用いる反応体および反応条件によって制御することができる。
【0126】
[失活したモルデナイト型ゼオライト触媒及び複合体の再活性化]
一旦モルデナイト型ゼオライト触媒及び触媒複合体が完全に失活すると、オレフィンが重合によってゼオライト材料の活性部位を含む結晶微細孔から外に拡散することができない大分子種になるために、アルキル化反応は停止する。しかし、失活したモルデナイト型ゼオライト触媒及び触媒複合体を取り除くために、反応器床を交換する必要はない。アルキル化実施の最後に反応器へのオレフィン供給流を止めて、芳香族炭化水素流を充分な時間、一般には約12時間乃至約24時間反応器に通してフラッシュし続けるようにすることによって、失活したモルデナイト型ゼオライト触媒及び触媒複合体を再活性化する。
【実施例】
【0127】
[実施例1] ゼオライト触媒組成物1の製造
ゼオリスト・インターナショナル社またはその他任意の商業源より入手したY型ゼオラ
イト粉末とモルデナイト型ゼオライト粉末を混合することにより、ゼオライト触媒組成物1を製造する。Y型ゼオライトとモルデナイト型ゼオライトの粉末を、所望とするアルキル化芳香族生成物に基づいて任意の割合で混合する。
【0128】
一例として、Y型ゼオライト触媒粉末をモルデナイト型ゼオライト触媒粉末と混合して、最終ゼオライト触媒組成物において最終比85:15を得る。
【0129】
ゼオライト触媒組成物1を次のような方法により製造する:
【0130】
ゼオリスト・インターナショナル社より入手した市販のY型ゼオライト(商品名CBV760及びCBV600)、およびモルデナイト型ゼオライト(商品名CBV90A)の試料について、試料を538℃で1時間加熱することにより灼熱減量(LOI)を求めた。得られたLOIは、使用したY型ゼオライトとモルデナイト型ゼオライトのバッチのパーセント揮発分を与える。セイソル社より入手した商品名バーサル、水和酸化アルミニウムの市販試料のLOIも、試料を538℃で1時間加熱することにより得る。次に、Y型ゼオライト、モルデナイト型ゼオライトおよびアルミナ粉末のLOIから得られた結果に基づいてアルミナ粉末の量を量り分けて、無揮発分基準でY型ゼオライト85%とモルデナイト型ゼオライト15%とからなる複合体のゼオライト含量80%(無揮発分基準)を得る。
【0131】
三種類の乾燥粉末をベーカー・パーキンス混合機に入れて4分間乾式混合をした。ゼオライトとアルミナ粉末の乾燥重量の0.7重量%(100%硝酸に基づき)となる濃硝酸(70.7%)の量を計算する。この70.7%硝酸の量を量り分けて脱イオン水に溶解する。
【0132】
最終濃度である全揮発分およそ50%を得るのに必要な水と70.7%硝酸の全量を次のようにして計算する。Y型ゼオライト、モルデナイト型ゼオライトおよびアルミナ粉末の揮発分を計算する。硝酸溶液は揮発分100%であるとみなす。よって、加えなければならない脱イオン水の量は、最終濃度である50%の揮発分から三種類の粉末の揮発分を引いた差である。
【0133】
混合機内の粉末に、脱イオン水をぜん動ポンプを用いて5分かけて添加する。次いで、混合機の壁の汚れを落とすことができるように混合機を止める。次に、混合を再開し、硝酸水溶液をぜん動ポンプを用いて5分かけて添加する。酸添加の終了後に混合を全部で40分間続け、時折混合を差し控えて混合機の側面の汚れを落とせるようにした。混合時間の最後にパーセント揮発分を測定する。混合物が押出可能な様相を示すまで追加量の脱イオン水を添加し、再度、パーセント揮発分を測定する。
【0134】
湿潤混合物を、ボンノット押出機の1.27ミリメートル、不整四組ローブのダイインサートから押し出す。湿潤した長い円筒状ストランドを121℃で8時間乾燥する。次に、長い円筒状ストランドを破砕して長さと直径との比が2:6の押出物にする。押出物をふるいにかけて1.0ミリメートルより長い部分を残す。
【0135】
次に、押出物をマッフル炉内で次のような温度プログラムにて焼成する。
【0136】
押出物を2時間かけて593℃まで加熱した後、593℃で1/2時間維持し、次いで204℃まで冷却する。全重量の押出物を得る。
【0137】
水銀圧入式ポロシメトリを使用して押出物の特徴を得る。水銀圧入式ポロシメトリのデータから、ピーク孔径をオングストロームで得、また300オングストローム未満の孔径
の細孔の累積孔容積を得る。
【0138】
ゼオライト触媒組成物を、芳香族炭化水素のアルキル化に使用するパイロットプラントの反応器に充填する。この反応器からの反応流出液は、オレフィン供給流の99%以上の転換を示す。芳香族炭化水素としてベンゼンを用いてアルキル化反応をゼオライト触媒組成物を用いて行うと、アルキル鎖の芳香環への結合がアルキル化ベンゼンのアルキル鎖に沿った2位に位置するものが、Y型ゼオライト複合体を単独でアルキル化反応に使用した場合よりもずっと多くなる。
【0139】
余分なベンゼンを蒸留、ストリッピングまたはその他任意の好適な手段により取り除き、そしてアルキル化ベンゼンを当該分野では公知のスルホン化操作を用いてスルホン化する。さらに、アルキルベンゼンスルホン酸をアルカリ土類金属と二酸化炭素で炭酸塩化する。
【0140】
[実施例2] Y型ゼオライト触媒複合体の製造
ゼオリスト・インターナショナル社より入手したY型ゼオライト、CBV760(商品名)を用いて、上記実施例1に記載したようにしてY型ゼオライト触媒複合体を製造した。
【0141】
[実施例3] モルデナイト型ゼオライト触媒複合体の製造
ゼオリスト・インターナショナル社より入手したモルデナイト型ゼオライト、CBV90A(商品名)を用いて、上記実施例1に記載したようにしてモルデナイト型ゼオライト触媒複合体を製造した。
【0142】
[実施例4] ゼオライト触媒組成物2の製造
実施例2及び3で製造したY型ゼオライト触媒複合体とモルデナイト型ゼオライト触媒複合体とを混合することにより、ゼオライト触媒組成物を製造する。Y型ゼオライト触媒複合体とモルデナイト型ゼオライト触媒複合体を、所望のアルキル化芳香族生成物に基づいて任意の割合で混合する。一例として、Y型ゼオライト触媒複合体をモルデナイト型ゼオライト触媒複合体と混合して、ゼオライト触媒組成物2において最終比85:15を得る。
【0143】
得られたゼオライト触媒組成物2を、下記実施例5に記載するように芳香族炭化水素のアルキル化のためのパイロットプラントの反応器に充填する。
【0144】
[実施例5] Y型ゼオライト触媒複合体を用いたアルキルベンゼン組成物の製造
一般に、ノルマルアルファオレフィン、部分分枝鎖異性化オレフィンおよび分枝鎖オレフィンによる芳香族炭化水素のアルキル化を以下に記載するようにして実施した:
【0145】
アルキル化試験には、15.54ミリメートルのスケジュール160ステンレス鋼製パイプで組み立てた固定床反応器を使用した。反応器の圧力を適当な背圧弁により維持した。アルキル化実施過程で断熱温度制御を維持できるように、反応器および加熱器を組み立てた。反応器の底部に、850マイクロメートル乃至2ミリメートルのアランダム粒子192グラムの床を充填して、予備加熱区域とした。次に、固定床反応器に、実施例2で製造したY型ゼオライト触媒複合体と同様のY型ゼオライト触媒複合体100グラムを充填した。充填の間反応器を穏やかに振動させて反応器内の触媒が最大充填嵩密度となるようにした。最後に、間隙充填として触媒床の空隙を150マイクロメートルのアランダム粒子351グラムで満たした。
【0146】
次に、反応器を閉め、密封し、そして窒素下で圧力を調べた。次いで、アルキル化触媒
を、周囲温度及び圧力で測定して毎時20リットルの窒素流下で200℃で15時間脱水した後、窒素下で100℃まで冷却した。触媒床には次に、ベンゼンを逆流で毎時195グラムの流速で導入した。温度を(断熱温度制御下で)182℃の実施開始温度まで上げ(触媒床の直前で測定)、圧力を14.6気圧まで上げた。
【0147】
温度および圧力が所望の実施開始条件である182℃と14.6気圧になったときに、モル比が10:1のベンゼンとC20-24NAOおよび乾燥しきった活性アルミナからなる
供給混合物を逆流で導入した。供給物が反応器内の触媒に達するにつれて、反応が起こり始めて内部の触媒床温度が入口温度よりも高くなった。約8時間の操業後、反応器の発熱量は20℃であった。26時間の操業では、生成物のオレフィン転換は99.1%であった。実施408時間の操業後に実施を止めたが、実施を続けることも可能であった。この時点で、オレフィン転換は99.45%であった。
【0148】
実施過程で、余分なベンゼンを含むアルキル化芳香族炭化水素生成物を集めた。蒸留して余分な芳香族炭化水素を除去した後、分析は、実施過程で99%より高いオレフィンの転換が達成されたことを示した。
【0149】
固定床反応器を、15.54ミリメートルのスケジュール160ステンレス鋼製パイプで組み立てた。反応器の圧力を適当な背圧弁により維持した。アルキル化実施過程で断熱温度制御を維持できるように、反応器および加熱器を組み立てた。反応器の底部に、酸で洗浄した850マイクロメートル乃至2ミリメートルのアランダム粒子を少量充填して、予備加熱区域とした。次に、固定床反応器にそのままのアルキル化押出物触媒100グラムを充填した。最後に、触媒床の空隙を150マイクロメートルの酸で洗浄したアランダム粒子で間隙充填により満たした。次に、Y型ゼオライトまたはモルデナイト型ゼオライトアルキル化触媒を、窒素流下で200℃で少なくとも8時間脱水した後、窒素ガス下で周囲温度まで冷却した。触媒床には次に、ベンゼンを逆流で導入した。温度(恒温温度制御)および圧力を上げて実施開始条件にした。標準の操作圧力は11.91気圧であった。触媒床の温度が断熱温度制御下で約160℃乃至約175℃まで上がるように、およそ150℃の初期温度を選択した。温度および圧力が所望の実施開始条件になったときに、反応器の系を断熱温度制御に切り換えた。オレフィンとベンゼンとからなる乾燥供給混合物を逆流で導入した。ベンゼンとオレフィンとのモル比は10:1であった。反応が起こり始めるにつれて、触媒床では温度が上がって入口温度よりも高くなった。
【0150】
実施過程で、余分なベンゼンを含むアルキル化ベンゼン生成物を集めた。蒸留して余分なベンゼンを除去した後、分析は、実施過程で99%より高いオレフィンの転換が達成されたことを示した。
【0151】
[実施例6] アルキルベンゼン組成物の製造
一般に、ノルマルアルファオレフィン、部分分枝鎖異性化オレフィンおよび分枝鎖オレフィンによる芳香族炭化水素のアルキル化を以下に記載するようにして実施した:
【0152】
固定床反応器を、15.54ミリメートルのスケジュール160ステンレス鋼製パイプで組み立てた。反応器の圧力を適当な背圧弁により維持した。アルキル化実施過程で断熱温度制御を維持できるように、反応器および加熱器を組み立てた。反応器の底部に、850マイクロメートル乃至2ミリメートルのアランダム粒子170グラムの床を充填して、予備加熱区域とした。次に、固定床反応器に、実施例3で製造したモルデナイト触媒複合体と同様のモルデナイト触媒複合体100グラムを充填した。最後に、触媒床の空隙を150マイクロメートルのアランダム粒子309グラムで間隙充填により満たした。反応器を穏やかに振動させながら触媒とアランダムを充填して、確実に高充填かさ密度とした。充填後、反応器を閉め、密封し、そして圧力を調べた。
【0153】
次に、アルキル化触媒を、周囲温度及び圧力で測定して毎時20リットルの窒素流下で200℃まで加熱し、そして200℃で23時間脱水した。次いで、触媒床を窒素下で100℃まで冷却した。触媒床には次に、ベンゼンを逆流で毎時200グラムの流速で導入した。温度を(断熱温度制御下で)154℃の実施開始温度まで上げ(触媒床の直前で測定)、圧力を12.66気圧まで上げた。
【0154】
温度および圧力が所望の実施開始条件である154℃と12.66気圧になったときに、モル比が15:1のベンゼンとC20-24NAOおよび充分に乾燥した活性アルミナから
なる供給混合物を、逆流で毎時200グラムで導入した。供給物が反応器内の触媒に達するにつれて、反応が起こり始めて内部の触媒床温度が入口温度よりも高くなった。約8時間の操業後、反応器の発熱量は20℃であった。最初の57時間の操業では、オレフィン転換は100%から98.8%に減少した(実施期間1)。この時点で、触媒床をベンゼンを用いて毎時200グラムで18時間フラッシュした。ベンゼンによるフラッシュに続いて、ベンゼンとオレフィンの供給流を再開した。入口温度を57実施時間で162℃に上げた。351実施時間まで(実施期間2、57〜351実施時間)供給を続けた。オレフィン転換は、実施期間2において最初は98.9%であったが、321実施時間で98.1%に下がり、351実施時間で更に95.3%まで下がった。351実施時間で二回目のベンゼンフラッシュを17時間行った。二回目のベンゼンフラッシュ後に、供給流を再び再開して実施期間3を開始した。550実施時間まで供給を続けた。オレフィン転換は、最初は98.5%であったが、519実施時間で98.3%に下がり、そして550実施時間で97.0%まで下がった。三回目のベンゼンフラッシを週末に行った。三回目のベンゼンフラッシュ後に供給流を再開して実施期間4を開始した。実施期間4の開始時にオレフィン転換は98.8%であり、942実施時間でオレフィン転換は98.4%であった。942時間の操業後に実施を止めたが、それ以上続けることも可能であった。
【0155】
実施過程で、余分なベンゼンを含むアルキル化芳香族炭化水素生成物を集めた。蒸留して余分な芳香族炭化水素を除去した後、分析は、大半の実施過程で97%より高いオレフィンの転換が達成されたことを示した。
【0156】
[実施例7] アルキルベンゼンスルホン酸の製造
上記実施例5及び6におけるようにY型ゼオライト触媒を用いて製造したアルキル化ベンゼン85重量%とモルデナイト型ゼオライトを用いて製造したアルキル化ベンゼン15重量%との混合物を、下記の条件を用いて、チューブ状反応器(長さ2メートル、内径1センチメートル)内に三酸化硫黄(SO3)と空気を順流で同時に流すことによりスルホ
ン化した。
【0157】
反応器温度は60℃であり、SO3流速は毎時73グラムであり、そしてアルキレート
流速は、SO3の対アルキレートモル比が1.05で毎時327グラムであった。酸素と
二酸化硫黄(SO2)の混合物を酸化バナジウム(V25)を含む触媒炉に通すことによ
り、SO3を発生させた。
【0158】
得られた粗製アルキルベンゼンスルホン酸は、生成物の全重量に基づき次のような性状を示した:HSO3の重量%は15.61%であり、H2SO4の重量%は0.53であっ
た。
【0159】
粗製アルキルベンゼンスルホン酸(1665グラム)を、100ニュートラル希釈油83グラムで希釈し、そして約300rpmで回転するステンレス鋼製機械撹拌器、冷却器および撹拌翼の真上に位置する窒素導入用のガス導入管(内径2ミリメートル)を備えた4リットル四つ口ガラス製反応器に入れた。反応器の内容物を減圧下(40ミリメートル
Hg)に置き、反応器を撹拌しながら110℃まで加熱し、そしてH2SO4の重量%が約0.3重量%未満になるまで約30分間、窒素を毎時約30リットルで混合物に吹き込んだ。この物質が最終アルキルベンゼンスルホン酸である。
【0160】
最終アルキルベンゼンスルホン酸は、生成物の全重量に基づき次のような性状を示した:HSO3の重量%は14.95であり、H2SO4の重量%は0.17であった。
【0161】
[実施例8] アルキルベンゼンスルホネートの製造
加熱及び冷却能力を備え、300から350rpmの間で回転するステンレス鋼製機械撹拌器、撹拌翼の真上に位置するCO2添加用のガス導入管(内径2ミリメートル)、窒
素ガス下にある蒸留カラムと冷却器を備えた5リットル四つ口ガラス製反応器に、収集物129.4グラムを入れた。
【0162】
収集物は、前もって高TBNの炭酸塩化した過塩基性合成スルホネートを遠心分離およびデカンテーションにより精製する過程で生じたスラッジ部分の混合物であり、収集物の内容物を再循環させるためにこの実施例の反応混合物に加えた。収集物は、TBNが197であり、キシレン溶媒およそ73グラム、活性スルホン酸カルシウム12グラム、水酸化カルシウムと炭酸カルシウム9グラム、二酸化炭素8グラム、および100ニュートラル希釈油23グラムを含有していた。
【0163】
次に、メタノール40グラム、キシレン溶媒207グラム、上記実施例7のアルキルベンゼンスルホン酸(HSO3は反応混合物の全重量に基づき14.95重量%であった)
296.5グラム(0.59モル)を、室温で15分かけて反応器に入れた。水酸化カルシウム160グラム(2.16モル)、キシレン溶媒362グラムおよびメタノール94.2グラムのスラリを反応器に加え、そして反応器の内容物を25℃まで冷却した。続いて、反応器の温度を約32℃まで上げながら、CO233グラム(0.79モル)を39
分かけてガス導入管より反応器に加えた。次いで、水酸化カルシウム160グラム(2.16モル)、キシレン溶媒384グラムおよびメタノール131グラムからなる第二のスラリを、CO20.9グラムと同時に約1分かけて反応器に加えた。次に、反応器の温度
を約30℃から約41℃に上げながら、CO292グラムを64分かけて反応器に添加し
た。次に、酸化物82グラムとキシレン溶媒298グラムからなる第三のスラリを、CO21.4グラムと同時に約1分かけて反応器に加えた。次に、反応器温度をおよそ38℃
に保ちながら、CO255グラム(1.25モル)をおよそ60分かけて反応器に添加し
た。
【0164】
次に、反応器をまず大気圧で約40分かけて65℃まで加熱し、次いで大気圧で約60分かけて93℃にし、最後に大気圧で約30分かけて130℃にすることによって、反応器から水とメタノールを蒸留した。その後、反応器の温度を大気圧で約60分かけて110℃まで下げ、次いでおよそ30℃まで冷却し、そして600ニュートラル希釈油475.7グラム、続いてキシレン溶媒413グラムを反応器に加えた。次に、遠心分離により生成物中の沈降物を取り除いた。生成物を30ミリメートルHgの減圧下でおよそ45分かけて204℃まで加熱し、そして生成物を30ミリメートルHgの減圧下、204℃で10分間維持することにより、生成物中のキシレン溶媒を蒸留した。減圧の代わりに窒素ガスを導入し、内容物を室温まで冷却して、生成物の全重量に基づき下記の性状を示す過塩基性スルホネートを得た。
【0165】
カルシウムの重量%は16.2であり、TBNは429であり、硫黄の重量%は1.70であり、スルホン酸カルシウムの重量%は0.94であり、そして粘度は100℃で111cStであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化合物の混合物を含むアルキル化芳香族組成物:
(a)Y型ゼオライトからなり、ピーク孔径が、ASTM試験第D4284−03による測定値として約2000オングストローム以下であり、そして約500オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、ASTM試験第D4284−03による測定値としてグラム当り約0.30ミリリットル以下である大細孔構造を持つアルキル化触媒の存在下にてアルキル化反応が行なうことにより得られたアルキル化芳香族炭化水素アルキル化生成物、および
(b)シリカとアルミナとのモル比が約50:1乃至約105:1の範囲にあるモルデナイト型ゼオライトからなり、ピーク孔径が、ASTM試験第D4284−03による測定値として約900オングストローム以下であり、そして約500オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、ASTM試験第D4284−03による測定値としてグラム当り約0.30ミリリットル以下である大細孔構造を持つアルキル化触媒の存在下にてアルキル化反応が行なうことにより得られたアルキル化芳香族炭化水素アルキル化生成物。
【請求項2】
混合物中の(a)のアルキル化芳香族炭化水素の重量%が、全アルキル化芳香族組成物に対して約40%乃至約99%の範囲にある請求項1に記載のアルキル化芳香族組成物。
【請求項3】
混合物中の(a)のアルキル化芳香族炭化水素の重量%が、全アルキル化芳香族組成物に対して約50%乃至約90%の範囲にある請求項2に記載のアルキル化芳香族組成物。
【請求項4】
混合物中の(a)のアルキル化芳香族炭化水素の重量%が、全アルキル化芳香族組成物に対して約70%乃至約80%の範囲にある請求項3に記載のアルキル化芳香族組成物。
【請求項5】
アルキル化芳香族組成物のアルキル基が、アルファオレフィン、異性化オレフィン、分枝鎖オレフィンまたはそれらの混合物から誘導されたものである請求項1に記載のアルキル化芳香族組成物。
【請求項6】
アルファオレフィンまたは異性化オレフィンが炭素原子約6個乃至約40個を有する請求項5に記載のアルキル化芳香族組成物。
【請求項7】
アルファオレフィンまたは異性化オレフィンが炭素原子約20個乃至約40個を有する請求項6に記載のアルキル化芳香族組成物。
【請求項8】
分枝鎖オレフィンが炭素原子約6個乃至約70個を有する請求項5に記載のアルキル化芳香族組成物。
【請求項9】
分枝鎖オレフィンが炭素原子約8個乃至約50個を有する請求項8に記載のアルキル化芳香族組成物。
【請求項10】
分枝鎖オレフィンが炭素原子約12個乃至約18個を有する請求項9に記載のアルキル化芳香族組成物。
【請求項11】
アルキル化芳香族組成物のアルキル基が、炭素原子約6個乃至約40個を持つ部分的に分枝鎖を有する異性化オレフィンである請求項1に記載のアルキル化芳香族組成物。
【請求項12】
部分的分枝鎖異性化オレフィンが炭素原子約20個乃至約40個を有する請求項11に記載のアルキル化芳香族組成物。
【請求項13】
アルキル化芳香族組成物の芳香族炭化水素がトルエンまたはベンゼンである請求項1に記載のアルキル化芳香族組成物。
【請求項14】
(a)で用いるY型ゼオライトおよび(b)で用いるモルデナイト型ゼオライトが結合剤を含んでいる請求項1に記載のアルキル化触媒。
【請求項15】
(a)で用いるY型ゼオライトの結合剤および(b)で用いるモルデナイト型ゼオライトの結合剤がアルミナである請求項14に記載のアルキル化触媒。
【請求項16】
(a)で用いるY型ゼオライトおよび(b)で用いるモルデナイト型ゼオライトがタブレットの形状にある請求項1に記載のアルキル化触媒。
【請求項17】
下記の工程からなるアルキル化芳香族組成物の製造方法:
(a)Y型ゼオライトからなり、ピーク孔径が、ASTM試験第D4284−03による測定値として約2000オングストローム以下であり、そして約500オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、ASTM試験第D4284−03による測定値としてグラム当り約0.30ミリリットル以下である大細孔構造を持つゼオライト触媒の存在下に、少なくとも一種の芳香族炭化水素を、アルキル化条件下にて少なくとも一種のオレフィンと接触させて、第一のアルキル化芳香族炭化水素生成物を生成させる工程、
(b)シリカとアルミナとのモル比が約50:1乃至約105:1の範囲にあるモルデナイト型ゼオライトからなり、ピーク孔径が、ASTM試験第D4284−03による測定値として約900オングストローム以下であり、そして約500オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、ASTM試験第D4284−03による測定値としてグラム当り約0.30ミリリットル以下である大細孔構造を持つゼオライト触媒の存在下に、少なくとも一種の芳香族炭化水素を、アルキル化条件下にて少なくとも一種のオレフィンと接触させて、第二のアルキル化芳香族炭化水素生成物を生成させる工程、そして
(c)第一のアルキル化芳香族炭化水素生成物と第二のアルキル化芳香族炭化水素生成物を混ぜ合わせて、アルキル化芳香族組成物を形成する工程、
ただし、(a)工程と(b)工程は任意の順序で行うことができる。
【請求項18】
(b)工程が更に、失活したゼオライト触媒を芳香族炭化水素でフラッシュして再活性化する工程を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
さらに、アルキル化芳香族組成物をスルホン化してアルキル化芳香族スルホン酸を生成させる工程を含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
さらに、アルキル化芳香族スルホン酸をアルカリ土類金属および二酸化炭素と反応させて、炭酸塩化した過塩基性アルキル化芳香族スルホネートを生成させる工程を含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
アルキル化芳香族組成物中の第一アルキル化芳香族炭化水素生成物が、全アルキル化芳香族組成物に対して約40%乃至約99%の範囲にある請求項18に記載の方法。
【請求項22】
アルキル化芳香族組成物中の第一アルキル化芳香族炭化水素生成物が、全アルキル化芳香族組成物に対して約50%乃至約90%の範囲にある請求項21に記載の方法。
【請求項23】
アルキル化芳香族組成物中の第一アルキル化芳香族炭化水素生成物が、全アルキル化芳香族組成物に対して約70%乃至約80%の範囲にある請求項22に記載の方法。
【請求項24】
(a)工程および(b)工程において、オレフィンが独立に、アルファオレフィン、異性化オレフィン、分枝鎖オレフィンまたはそれらの混合物である請求項18に記載の方法。
【請求項25】
アルファオレフィンまたは異性化オレフィンが炭素原子約6個乃至約40個を有する請求項24に記載の方法。
【請求項26】
アルファオレフィンまたは異性化オレフィンが炭素原子約20個乃至約40個を有する請求項25に記載の方法。
【請求項27】
分枝鎖オレフィンが炭素原子約6個乃至約70個を有する請求項24に記載の方法。
【請求項28】
分枝鎖オレフィンが炭素原子約8個乃至約50個を有する請求項27に記載の方法。
【請求項29】
分枝鎖オレフィンが炭素原子約12個乃至約18個を有する請求項28に記載の方法。
【請求項30】
(a)工程または(b)工程において、オレフィンが独立に、炭素原子約6個乃至約40個を持つ部分的に分枝鎖を有する異性化オレフィンである請求項18に記載の方法。
【請求項31】
部分的分枝鎖異性化オレフィンが炭素原子約20個乃至約40個を有する請求項30に記載の方法。
【請求項32】
(a)工程および(b)工程において、芳香族炭化水素が独立に、トルエンまたはベンゼンである請求項18に記載の方法。
【請求項33】
(a)及び(b)工程において、ゼオライト触媒の約400オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、グラム当り約0.30ミリリットル以下である請求項18記載の方法。
【請求項34】
(a)及び(b)工程において、ゼオライト触媒の約300オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、グラム当り約0.25ミリリットル以下である請求項33に記載の方法。
【請求項35】
(a)及び(b)工程において、ゼオライト触媒の約300オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、グラム当り約0.20ミリリットル以下である請求項34に記載の方法。
【請求項36】
(a)及び(b)工程において、ゼオライト触媒の約400オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、グラム当り約0.05ミリリットル乃至約0.18ミリリットルの範囲にある請求項35に記載の方法。
【請求項37】
(a)及び(b)工程において、ゼオライト触媒の約300オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、グラム当り約0.08ミリリットル乃至約0.16ミリリットルの範囲にある請求項36に記載の方法。
【請求項38】
(a)工程において、Y型ゼオライト触媒のピーク孔径が、約700オングストローム乃至約1800オングストロームの範囲にある請求項18に記載の方法。
【請求項39】
(a)工程において、ゼオライト触媒のピーク孔径が、約750オングストローム乃至約1600オングストロームの範囲にある請求項38に記載の方法。
【請求項40】
(a)工程において、ゼオライト触媒のピーク孔径が、約800オングストローム乃至約1400オングストロームの範囲にある請求項39に記載の方法。
【請求項41】
(b)工程において、モルデナイト型ゼオライト触媒のピーク孔径が、約400オングストローム乃至約800オングストロームの範囲にある請求項18に記載の方法。
【請求項42】
(b)工程において、モルデナイト型ゼオライト触媒のピーク孔径が、約400オングストローム乃至約700オングストロームの範囲にある請求項41に記載の方法。
【請求項43】
(b)工程において、モルデナイト型ゼオライト触媒のピーク孔径が、約450オングストローム乃至約600オングストロームの範囲にある請求項42に記載の方法。
【請求項44】
(a)工程において、Y型ゼオライト触媒のシリカとアルミナとの比が、約5:1乃至約100:1の範囲にある請求項18に記載の方法。
【請求項45】
(a)工程において、Y型ゼオライト触媒のシリカとアルミナとの比が、約30:1乃至約90:1の範囲にある請求項44に記載の方法。
【請求項46】
(a)工程において、Y型ゼオライト触媒のシリカとアルミナとの比が、約60:1乃至約80:1の範囲にある請求項45に記載の方法。
【請求項47】
(b)工程において、モルデナイト型ゼオライト触媒のシリカとアルミナとの比が、約50:1乃至約105:1の範囲にある請求項18に記載の方法。
【請求項48】
(b)工程において、モルデナイト型ゼオライト触媒のシリカとアルミナとの比が、約60:1乃至約80:1の範囲にある請求項47に記載の方法。
【請求項49】
(a)工程のY型ゼオライトおよび(b)工程のモルデナイト型ゼオライトが結合剤を含んでいる請求項18に記載のゼオライト触媒。
【請求項50】
(a)工程のY型ゼオライトの結合剤および(b)工程のモルデナイト型ゼオライトの結合剤がアルミナである請求項49に記載のゼオライト触媒。
【請求項51】
(a)工程のY型ゼオライトおよび(b)工程のモルデナイト型ゼオライトがタブレットの形状にある請求項18に記載のゼオライト触媒。
【請求項52】
Y型ゼオライトと、シリカとアルミナとのモル比が約50:1乃至約105:1の範囲にあるモルデナイト型ゼオライトとからなり、ピーク孔径がASTM試験第D4284−03による測定値として約2000オングストローム以下であり、そして約500オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、ASTM試験第D4284−03による測定値としてグラム当り約0.30ミリリットル以下である大細孔構造を持つゼオライト触媒の存在下に、少なくとも一種の芳香族炭化水素を、少なくとも一種のオレフィンと接触させることからなるアルキル化芳香族組成物の製造方法。
【請求項53】
ゼオライト触媒の約400オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、グラム当り約0.30ミリリットル以下である請求項52記載の方法。
【請求項54】
ゼオライト触媒の約300オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、グラム当り約0.25ミリリットル以下である請求項53に記載の方法。
【請求項55】
ゼオライト触媒の約300オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、グラム当り約0.20ミリリットル以下である請求項54に記載の方法。
【請求項56】
ゼオライト触媒の約400オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、グラム当り約0.05ミリリットル乃至約0.18ミリリットルの範囲にある請求項55に記載の方法。
【請求項57】
ゼオライト触媒の約300オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、グラム当り約0.08ミリリットル乃至約0.16ミリリットルの範囲にある請求項56に記載の方法。
【請求項58】
ゼオライト触媒のピーク孔径が、約400オングストローム乃至約1500オングストロームの範囲にある請求項52に記載の方法。
【請求項59】
ゼオライト触媒のピーク孔径が、約500オングストローム乃至約1300オングストロームの範囲にある請求項58に記載の方法。
【請求項60】
ゼオライト触媒のピーク孔径が、約600オングストローム乃至約1100オングストロームの範囲にある請求項59に記載の方法。
【請求項61】
ゼオライト触媒のピーク孔径が、約750オングストローム乃至約900オングストロームの範囲にある請求項60に記載の方法。
【請求項62】
Y型ゼオライトのシリカとアルミナとのモル比が約5:1乃至約100:1の範囲にあり、そしてモルデナイト型ゼオライトのシリカとアルミナとのモル比が約50:1乃至約105:1の範囲にある請求項52に記載の方法。
【請求項63】
Y型ゼオライトのシリカとアルミナとのモル比が、約30:1乃至約90:1の範囲にある請求項62に記載の方法。
【請求項64】
Y型ゼオライトおよびモルデナイト型ゼオライトのシリカとアルミナとのモル比が独立に、約60:1乃至約80:1の範囲にある請求項63に記載の方法。
【請求項65】
ゼオライト触媒が結合剤を含んでいる請求項52に記載の方法。
【請求項66】
結合剤がアルミナである請求項65に記載の方法。
【請求項67】
ゼオライト触媒がタブレットの形状にある請求項52に記載の方法。
【請求項68】
下記の成分:
(a)Y型ゼオライト、および
(b)シリカとアルミナとのモル比が約50:1乃至約105:1の範囲にあるモルデナイト型ゼオライト、
からなり、そしてピーク孔径が、ASTM試験第D4284−03による測定値として約2000オングストローム未満であり、約500オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、ASTM試験第D4284−03による測定値としてグラム当り約0.30ミリリットル以下である大細孔構造を持つゼオライト触媒組成物。
【請求項69】
約400オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、グラム当り約0.30ミ
リリットル以下である請求項68に記載のゼオライト触媒組成物。
【請求項70】
約300オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、グラム当り約0.25ミリリットル以下である請求項69に記載のゼオライト触媒組成物。
【請求項71】
約300オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、グラム当り約0.20ミリリットル以下である請求項70に記載のゼオライト触媒組成物。
【請求項72】
約400オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、グラム当り約0.05ミリリットル乃至約0.18ミリリットルの範囲にある請求項71に記載のゼオライト触媒組成物。
【請求項73】
約300オングストローム以下の孔径の細孔の累積孔容積が、グラム当り約0.08ミリリットル乃至約0.16ミリリットルの範囲にある請求項72に記載のゼオライト触媒組成物。
【請求項74】
ピーク孔径が、約400オングストローム乃至約1500オングストロームの範囲にある請求項68に記載のゼオライト触媒組成物。
【請求項75】
ピーク孔径が、約500オングストローム乃至約1300オングストロームの範囲にある請求項74に記載のゼオライト触媒組成物。
【請求項76】
ピーク孔径が、約600オングストローム乃至約1100オングストロームの範囲にある請求項75に記載のゼオライト触媒組成物。
【請求項77】
ピーク孔径が、約750オングストローム乃至約900オングストロームの範囲にある請求項76に記載のゼオライト触媒組成物。
【請求項78】
(a)成分のY型ゼオライトのシリカとアルミナとのモル比が約5:1乃至約100:1の範囲にある請求項68に記載のゼオライト触媒組成物。
【請求項79】
(a)成分のY型ゼオライトのシリカとアルミナとのモル比が、約30:1乃至約90:1の範囲にある請求項78に記載のゼオライト触媒組成物。
【請求項80】
(a)成分のY型ゼオライトのシリカとアルミナとのモル比が、約60:1乃至約80:1の範囲にある請求項79に記載のゼオライト触媒組成物。
【請求項81】
(b)成分のモルデナイト型ゼオライトのシリカとアルミナとのモル比が、約50:1乃至約105:1の範囲にある請求項68に記載のゼオライト触媒組成物。
【請求項82】
(b)成分のモルデナイト型ゼオライトのシリカとアルミナとのモル比が、約60:1乃至約80:1の範囲にある請求項81に記載のゼオライト触媒組成物。
【請求項83】
ゼオライト触媒組成物が結合剤を含んでいる請求項68に記載のゼオライト触媒組成物。
【請求項84】
結合剤がアルミナである請求項83に記載のゼオライト触媒組成物。
【請求項85】
ゼオライト触媒組成物がタブレットの形状にある請求項68に記載のゼオライト触媒組成物。

【公開番号】特開2012−12404(P2012−12404A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190703(P2011−190703)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【分割の表示】特願2005−71798(P2005−71798)の分割
【原出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(598037547)シェブロン・オロナイト・カンパニー・エルエルシー (135)
【出願人】(598066514)シェブロン・オロナイト・エス.アー. (20)
【Fターム(参考)】