説明

アルギランセマムの属間ハイブリッド植物及び生産方法

【課題】アルギランセマム(Argyranthemum)属間ハイブリッド植物、及びハイブリッド植物の生産効率を増大させるための方法を提供する。
【解決手段】新しい植物を、雌性親としてのアルギランセマム属と、雄性親としてのI.ベルシコロール及びグレビオニス種の植物との間の新しい効率的な属間ハイブリダイゼーション法。雌性親である四倍体又は異数性四倍体のアルギランセマムを、雄性親としてのI.ベルシコロール及びグレビオニス種の群の植物と他家受粉することにより得た胚を救出する工程を含む前記方法、かかる植物の生産方法、並びに、属間ハイブリッド植物及びその部分。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の背景]
[0001]本発明は、アルギランセマム(Argyranthemum)属間ハイブリッド植物、及びハイブリッド植物の生産効率を増大させるための方法に関する。より具体的には、本発明は、四倍体及び異数性四倍体(aneu−tetraploid)のアルギランセマム植物の生産、並びに四倍体又は異数性四倍体植物である雌性アルギランセマムと、イスメリア・ベルシコロール(Ismelia versicolor)及びグレビオニス(シュンギク;Glebionis)種の群の雄性植物との交雑から得られる属間ハイブリッド植物の生産に関する。引用したすべての刊行物は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]特定の植物の特徴は、種間ハイブリダイゼーションと呼ばれる、他の種と時折交雑する能力である。種間ハイブリダイゼーションは、アルギランセマムを含むいくつかの種において同定されている。例えば、アルギランセマムでは、受粉への地理的な障壁が除去されると、多くの種が自然に交雑することが報告されている(Francisco−Ortega,J.、Santos−Guerra,A.、Mesa−Coello,R.、Gonzalez−Feria,E.及びCrawford,D.、Genetic resource conservation of the endemic genus Argyranthamum Sch.Bip.(Asteraceae:Anthimideae)in the Macronesian Islands、Genetic Resources and Crop Evolution、43:33〜39頁(1996年))。アルギランセマムの商業的に育種された変種において利用可能な広範な花色で、アルギランセマムのいくつかの種が、Cunneen,T.M.、The Marguerite Daisy(Argyranthemum spp):developing an understanding for breeding、Ph.D.Thesis、University of Sydney Faculty of Agriculture(1996年)によって報告された現代の品種の発育に関与していたことが示唆されている。したがって、現代の品種は、アルギランセマム×ハイブリッドとして最も良く説明される。すべてのアルギランセマム種は、Humphries,C.J.、A revision of the Macronesian genus Argyranthemum Webb ex Schults Bip.(Compositae−Anthimideae)、Bulletin of the British Museum(Natural History)、Botany、5:145〜243頁(1976年)及びFjellheim,S.、Holten Jorgensen,M.、Kjos,M.、Borgen,L.、A molecular study of hybridization and homoploid hybrid speciation in Argyranthemum(Asteraceae)on Tenerife、the Canary Islands、Botanical Journal of the Linnean Society 159(1):19〜31頁、2009年に報告されている通り、2n=2x=18の二倍体染色体数を有する。
【0003】
[0003]長い時間をかけて、植物は、分類学者によってより正確に説明及び調査され、それにより分類学者は属名及び種名に変更を加えている。グレビオニス属には、Mabberley,D.J.、Mabberley’s Plant Book、Cambridge University Press(2008年)によれば、現在G.コロナリア(coronaria)及びG.セゲタム(segetum)の2種がある。しかしこれらの種は、歴史的にクリサンセマム(Chrysanthemum)及びキサントプタルマム(Xanthopthalmum)にも含まれている。イスメリア属には、現在I.ベルシコロール1種のみが存在する。歴史的に、この種は、クリサンセマム・カリナタム(Chrysanthemum carinatum)、グレビオニス・カリナタム(Glebionis carinatum)及びイスメリア・ベルシコロールとして知られている。混乱を避けるために、本出願では、グレビオニス属にはG.コロナリア及びG.セゲタムの2種が含まれ、イスメリア属にはI.ベルシコロールの1種が含まれるという2008年のMabberleyの慣例を適用する。
【0004】
[0004]遺伝の複雑性は、育種法の選択に影響を及ぼす。遺伝性の高い形質にとって好適な1つ又はいくつかの遺伝子を望ましい品種に伝達するために、戻し交雑による育種が使用される。この手法は、病害に耐性のある品種の育種のために広く使用されているものである。数々の遺伝子によって制御される遺伝形質を定量的に改善するために、様々な循環選抜技術が使用される。自家受粉作物における循環選抜の使用は、受粉の容易性、それぞれの受粉からハイブリッドが成功する頻度、及び成功したそれぞれの交雑からのハイブリッド子孫の数に応じて決まる。
【0005】
[0005]戻し交雑育種は、単純なメンデル遺伝に従う形質を、循環親である望ましいホモ接合性品種又は近交系に伝達するために使用されてきた。伝達される形質の供給源は、ドナー親と呼ばれる。生じた植物は、循環親(例えば、品種)の属性及びドナー親から伝達された望ましい形質を有すると期待される。最初の交雑の後、ドナー親の表現型を有する個体を選抜し、循環親に繰り返し交雑し戻す(戻し交雑する)。生じた植物は、循環親(例えば、品種)の属性及びドナー親から伝達された望ましい形質を有すると期待される。
【0006】
[0006]系統育種は、一般に自家受粉作物の改善のために使用される。好適な相補的な形質を有する2つの親を交雑して、F集団を生産する。F集団は、1つ又は複数のF植物を自家受粉させることによって生産される。最良の個体の選抜は、F集団において開始することができる。次いで、最良の科(families)における最良の個体は、F世代の開始において選抜される。科の複製試験をF世代において開始して、低い遺伝力を有する形質の選抜の有効性を改善することができる。同系交配の進んだ段階(すなわち、F及びF世代)において、最良の系統又は表現型が類似している系統の混ざったものを、新しい品種としての潜在的な販売可能性について試験する。
【0007】
[0007]育種集団から品種を発育させるために、系統育種法及び循環選抜育種法が使用される。育種プログラムによって、2つ以上の品種又は様々な幅広い供給源からの望ましい形質を育種プールに組み入れ、それから自家受粉及び所望の表現型の選抜によって品種を発育させる。どれが商業的に可能な潜在性を有するかを決定するために、新しい品種を評価する。
【0008】
[0008]集団選抜及び循環選抜を使用して、自家受粉又は他家受粉作物のいずれかの集団を改善することができる。遺伝的に変わりやすいヘテロ接合性個体の集団は、いくつかの異なる親を交雑することによって同定、又は創出される。最良の植物は、個体の優位性、傑出した後代、又は優れた組合せ能力を基にして選抜される。選抜された植物を交雑して新しい集団を生産し、それからさらなる選抜サイクルを継続する。
【0009】
[0009]異なる形質及び作物に一般に使用される他の育種法の説明は、いくつかの参考文献の1つに見出すことができる(例えば、Allard,R.W.、Principles of Plant Breeding、John Wiley and Sons Inc.(1960年);Simmonds,N.W.、Principles of Crop Improvement、Longman Group、New York、USA(1981年))。
【0010】
[0010]各育種プログラムは、育種手順の効率の周期的な客観的評価を含むべきである。評価基準は、目的及び目標に応じて変わるが、適切な標準、改良された育種系統の全体的な価値、及び投入量単位当たり(例えば、1年当たり、支出額当たりなど)の生産品種の成功数の比較を基にした、選抜による1年当たりの利益を含むべきである。
【0011】
[0011]有望な改良育種系統は、徹底的に試験され、商業上の標的地域(複数可)を代表する環境において3年以上、適切な標準と比較される。最良の系統は、新しい商業用品種の候補となる。それでもいくつかの形質を欠いているものは、さらなる選抜用に新しい集団を生産するための親として使用することができる。
【0012】
[0012]マーケティング及び流通の最終段階に至るこれらの過程には、最初の交雑が行われる時からいくつかのステップが必要である。したがって、新しい品種の開発は、正確な将来計画、効率的な資金の使用、及び最小限の方向転換を必要とする時間のかかる過程である。
【0013】
[0013]大部分の形質について、他の交絡植物(confoundingplant)の形質又は環境因子によってその遺伝子型の真の価値が覆い隠されるため、最も困難な課題は、遺伝的に優れた個体の同定である。優れた植物の1つの同定方法は、他の実験植物及び/又は一般的な品種と比較してその性能を観察することである。1回の観察で結論に到達しない場合、観察を繰り返すことによって、その遺伝的価値をより良好に見積もることができる。
【0014】
[0014]種間ハイブリダイゼーションは、例えば野生種から関連の栽培種への遺伝子移入によって、植物の新しい形態の創出、及びある種から他の種への望ましい特徴の伝達を可能にしてきた。しかし、生存可能な種間ハイブリッド種子又は植物を創出するための任意の2種の能力は、予測不可能であり、また不可能であることがしばしば証明されている。
【0015】
[0015]異なる属間の2つの植物の交雑である属間ハイブリダイゼーションは、相対的な遺伝的距離が種間よりも属間の方が大きいため、種間ハイブリダイゼーションよりも予測不可能であり可能性が低い。ほんのいくつか成功した属間ハイブリッドが報告されているが、それらは人間の介入及び胚救出の使用によってのみ可能であることが多い。胚救出の一形態は胚珠培養であり、これは種子から胚珠を無菌で取り出し、その胚珠を人工培地上に置いて胚を発芽させ、植物に生育させることができるものである。アルギランセマムでは、属間ハイブリッドは、雌性二倍体であるA.フルテッセンス(frutescens)と、雄性二倍体であるG.カリナタム(異名 I.ベルシコロール)との間及び雌性二倍体であるA.フルテッセンスと雄性二倍体であるG.コロナリアとの間で報告されており、これらはすべて胚珠培養によって発育したものである(Ohtsuka,H.及びInaba,Z.、Intergeneric hybridization of marguerite(Argyranthemum frutescens)with annual chrysanthemum(Glebionis carinatum)and crown daisy(G. coronaria)using ovule culture、Plant Biotechnology、25、535〜539頁(2008年);Ohtsuka,H.及びInaba,Z.、Breeding of Argyranthemum by interspecific and intergeneric hybridization.1.Intergeneric hybridization of Argyranthemum and Ismeria carinata(syn.Chrysanthemum carinatum)、I.coronaria(syn.Chrysanthemum coronaria)through ovule culture、Journal of the Japanese Society for Horticultural Science、72(Suppl.1)、264頁(2003年);Iwazaki,Y.、Ueda,Y.及びYamada,H.、Studies on the acquisition method of an intergeneric hybridization of Argyranthemum and Ismelia by ovule culture、Horticultural Research(Japan)、6(Suppl.1)、212頁(2007年))。しかし、効率(実施した受粉の回数対生産された開花植物の数)及び生産された植物の質は非常に低い。
【0016】
[0016]例えば、Ohtsuka及びInaba(2008年)は、A.フルテッセンス×G.カリナタム(異名 I.ベルシコロール)の70回の受粉から16個の胚しか得られず、それを胚珠培養によって発芽させたが、そのうち5つの開花植物しか発育しなかったことを報告した。これらの5つの植物は、G.カリナタム(異名I.ベルシコロール)と類似の形態を有していた。しかし、開花後に2つが死滅し、残りの3つは淡緑色の葉を有し、脆弱な生育を示した。Ohtsuka及びInaba(2008年)は、A.フルテッセンス×G.コロナリアの61回の受粉から26個の胚しか得られず、それを胚珠培養によって発芽させたが、そのうち16個の開花植物しか発育しなかったことも報告した。これらの16の植物は、一般に、ほとんど枝分れのない直立の活発な生育、及び白色又は白色/黄色の舌状花色と共に淡緑色の葉を特徴としていた。Ohtsuka及びInaba(2008年)はさらに、この交雑の組合せからは「花壇及び鉢植え植物の生産に有用となり得る新しい特徴を見出すことができなかった」と説明している。
【0017】
[0017]本発明は、異数性四倍体のアルギランセマム植物を雌性親として利用することによって、属間ハイブリッド植物の低い生産効率を克服するものである。本発明の方法から生じた後代の数は、予想外に著しく増大し、これらの後代は、二倍体の雌性親アルギランセマムの使用と比較して著しく頑強であり、観賞用として有用であった。本発明はまた、イスメリア・ベルシコロール及びグレビオニス・コロナリアを雄性親として使用することによって、属間ハイブリッド植物の質の欠如を克服するものである。本発明はまた、グレビオニス・セゲタム及びグレビオニス・コロナリアを用いて交雑を実施すると、予想外に種間後代を生産した。これらの種間ハイブリッド雄を、雌性である異数性四倍体のアルギランセマムと交配させることに成功した。本発明より前には、グレビオニス・セゲタムと交雑させたアルギランセマムに関して、いかなる倍数性レベルでもハイブリダイゼーションに成功したという以前の報告はなかった。
【0018】
[0018]関連技術及びそれに関連する限定についての前述の例は、例示的なものであり、排他的なものではない。関連技術の他の限定は、本明細書を読む際に当業者に明らかとなろう。
【発明の概要】
【0019】
[0019]以下の実施形態及びその態様を、範囲を制限するものではない例示的な体系、手段及び方法と共に説明する。様々な実施形態において、前述の問題の1つ又は複数は、低減又は排除されており、他の実施形態は他の改善を目的とする。
【0020】
[0020]本発明の一態様は、異数性四倍体のアルギランセマム植物を雌性親として利用することによって、属間ハイブリッド植物の生産効率の欠如を克服するものである。本明細書で使用される場合、異数性四倍体という用語は、四倍体及び異数性四倍体の両方のアルギランセマム植物を指す。本発明の方法から生じた後代の数は、予想外に著しく増大し、これらの後代は、二倍体の雌性親アルギランセマムの使用と比較して著しく頑強であり、観賞用として有用であった。本発明の技術は、イスメリア・ベルシコロール及びグレビオニス・コロナリアを雄性親として使用して、生産された植物の生産効率及び質を増大させた。本発明はまた、グレビオニス・セゲタムを用いて交雑を実施すると、予想外に種間後代を生産した。本発明より前には、グレビオニス・セゲタムと交雑させたアルギランセマムに関して、いかなる倍数性レベルでもハイブリダイゼーションに成功したという以前の報告はなかった。
【0021】
[0021]本発明のさらなる一態様は、雌性親としての異数性四倍体のアルギランセマム植物と、雄性親としてのI.ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の植物との交雑から生産される属間ハイブリッド植物を提供することである。
【0022】
[0022]本発明のさらなる一態様は、雌性親としての異数性四倍体のアルギランセマム植物と、雄性親としてのI.ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の植物との交雑から生産される属間交雑ハイブリッド植物の植物部分を提供することである。
【0023】
[0023]本発明のさらなる一態様は、属間交雑を提供してハイブリッド植物又はその部分を生産し、それをクローン繁殖させることである。
【0024】
[0024]本発明のさらなる一態様は、雌性親としての異数性四倍体のアルギランセマム植物を、雄性親としてのI.ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の植物と交雑するステップと、その交雑から生じた胚を救出するステップと、それから生育した属間ハイブリッド植物を得るステップとを含む、属間ハイブリッド植物を生産する方法を提供することである。
【0025】
[0025]本発明のさらなる一態様は、(a)I.ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の植物である第1の植物と、異数性四倍体のアルギランセマム植物である第2の植物とを栽培するステップと、(b)第1の植物から花粉を収集するステップと、(c)この花粉を用いて第2の植物の頭状花序に受粉させるステップと、(d)胚を単離し、適切な培地においてインビトロで発芽させるステップと、(e)この胚の生育から生じた属間ハイブリッド植物を得るステップとを含む、属間ハイブリッド植物を生産する方法を提供することである。
【0026】
[0026]本発明のさらなる一態様は、(a)属間ハイブリッドであるアルギランセマム植物の挿し木を得るステップであって、前記属間ハイブリッドは、雌性親である異数性四倍体のアルギランセマムと、雄性親としてのイスメリア・ベルシコロール、グレビオニス・コロナリア及びグレビオニス・セゲタムからなる群の植物との交雑から生産された属間ハイブリッドである、ステップと、(b)この挿し木を栽培して属間ハイブリッドであるアルギランセマム植物を得るステップとを含む、属間ハイブリッド植物を生産する方法を提供することである。
【0027】
[0027]本発明のさらなる一態様は、挿し木の基部(base)に植物ホルモン組成物を適用し、根の形成を誘発して属間ハイブリッド植物を生産することによってさらに定義付けられる、属間ハイブリッド植物の生産方法を提供することである。
【0028】
[0028]本発明のさらなる一態様は、(a)アルギランセマム植物を栽培するステップと、(b)前記植物の成長点に抗有糸分裂薬を適用するステップと、(c)処理した成長点から苗条(シュート、shoot)を出芽させるステップと、(d)こうして発育した推定上の異数性四倍体の苗条を選抜するステップと、(e)細胞学的核型分析によって前記苗条の染色体組を評価するステップと、(f)前記苗条を植物に生育させるステップと、(g)染色体安定性を検査するステップとを含む、アルギランセマム植物の染色体数を変更し、二倍体2n=2x=18から、異数性四倍体の2n=4x=32、33、34、35、36、37〜38まで体細胞染色体数を増大させる方法を提供することである。
【0029】
[0029]本発明のさらなる一態様は、アルギランセマム植物の染色体数を変更する方法を提供することであり、変更した染色体数は、異数性四倍体植物を生産するための異数性四倍体であると定義される。異数性四倍体のアルギランセマム植物の植物部分は、花、挿し木、種子、花粉、胚珠又は細胞である。次いで植物を、植物部分からクローン繁殖させる。
【0030】
[0030]本発明のさらなる一態様は、アルギランセマム属の植物、好ましくは標的とする形質の育種にとって有用な適切な遺伝的特徴(例えば、雄性及び雌性の稔性、適切な習性、開花の早さ、頭状花序の大きさと色、開花期間、頭状花序の形状等)を有する植物を提供することである。
【0031】
[0031]本発明のさらなる一態様は、アルギランセマム植物の異数性四倍体形態を、好ましくはコルヒチン又は他の倍数体誘発剤(複数可)を使用することによって発育させることである。
【0032】
[0032]本発明のさらなる一態様は、好ましくは染色体数によって、並びに/或いは二倍体祖先と比較して、全体的な頭状花序の直径の増大、頭状花序の管状花部の直径の増大、花柄の幅の増大、より大きい葉の大きさ、及びより大きい花粉直径などの形態的変化を植物に与えることによって、異数性四倍体植物を安定化し、確認することである。
【0033】
[0033]本発明のさらなる一態様は、本発明の異数性四倍体植物が、32、33、34、35、36、37〜38の範囲の染色体数を有することである。
【0034】
[0034]本発明のさらなる一態様は、本発明の属間(intergenetic)ハイブリッド植物が、23、24、25、26、27、28〜29の範囲の染色体数を有することである。
【0035】
[0035]本発明のさらなる一態様は、(a)雄性親として生育した前記属間ハイブリッド植物を、雌性親としての異数性四倍体のアルギランセマム植物と戻し交雑するステップと、(b)前記交雑から胚を生産するステップと、(c)前記胚に対して胚救出を使用するステップと、(d)前記胚から生育した戻し交雑の属間ハイブリッド植物を得るステップとを含む方法を提供することである。
【0036】
[0036]本発明のさらなる一態様は、(a)雄性親として生育した前記属間ハイブリッド植物を、I.ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の二倍体雌性親と戻し交雑するステップと、(b)前記交雑から胚を生産するステップと、(c)前記胚に対して胚救出を使用するステップと、(d)前記胚から生育した戻し交雑の属間ハイブリッド植物を得るステップとを含む方法を提供することである。
【0037】
[0037]本発明のさらなる一態様は、(a)雌性親として生育した前記属間ハイブリッド植物を、I.ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の二倍体雄性親と戻し交雑するステップと、(b)前記交雑から胚を生産するステップと、(c)前記胚に対して胚救出を使用するステップと、(d)前記胚から生育した戻し交雑の属間ハイブリッド植物を得るステップとを含む方法を提供することである。
【0038】
[0038]本発明のさらなる一態様は、(a)I.ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の植物を、あらゆる組合せ及び方向で交雑するステップと、(b)前記交雑から胚を生産するステップと、(c)前記胚に対して胚救出を使用するステップと、(d)次いで雌性親である異数性四倍体のアルギランセマムとの交雑において雄性親として使用できる種間ハイブリッド植物を得るステップとを含む方法を提供することである。
【0039】
[0039]本発明のさらなる一態様は、(a)重弁花のための遺伝子(複数可)を有する雌性親である異数性四倍体のアルギランセマムを、やはり重弁花遺伝子(複数可)を含有することができる雄性親(イスメリア・ベルシコロール及びグレビオニス・コロナリアなど)と交雑するステップと、(b)前記交雑から胚を生産するステップと、(c)前記胚に対して胚救出を使用するステップと、(d)重弁花又はアネモネの特徴を発現する属間ハイブリッド植物を得るステップとを含む方法を提供することである。
【0040】
[0040]先に記載の例示的な態様及び実施形態に加えて、以下の説明を研究することによって、さらなる態様及び実施形態が明らかになろう。
定義
【0041】
[0041]以下の説明及び表では、いくつかの用語が使用される。かかる用語が与えられる範囲を含む、本明細書及び特許請求の範囲の明確かつ一貫した理解のために、以下の定義を提示する。
【0042】
[0042]対立遺伝子。対立遺伝子は、ある形質又は特徴に関する、遺伝子の1つ又は複数の代替形態のいずれかである。二倍体の細胞又は生物では、所与の遺伝子の2つの対立遺伝子が、一対の相同な染色体上の対応する座を占める。
【0043】
[0043]アミプロホス−メチル(APM)。本明細書で使用される場合、アミプロホス−メチル(APM)は、染色体の倍加を誘発するために植物育種において使用される化合物を指す。
【0044】
[0044]雄ずい群。雄しべと総称される植物の花の雄性部分。
【0045】
[0045]アネモネ。細長い花冠筒部を有する管状花を有する頭状花序。アネモネ型の頭状花序は、標準(一重)と重弁花の中間の形状の頭状花序に見える。アネモネの頭状花序は、重弁花の頭状花序とは異なっており、後者の花弁は、管状花における雄しべの代わりである。
【0046】
[0046]異数性四倍体。本明細書で使用される場合、異数性四倍体は、四倍体植物、及び一倍体のおよそ4倍の染色体数を有する任意の植物を意味する。例えば、本発明の異数性四倍体のアルギランセマム植物は、32、33、34、35、36、37又は38個の染色体を有する。
【0047】
[0047]異数性三倍体。本明細書で使用される場合、異数性三倍体は、三倍体植物、及び一倍体のおよそ3倍の染色体数を有する任意の植物を意味する。例えば、本発明の異数性三倍体植物は、23、24、25、26、27、28又は29個の染色体を有する。
【0048】
[0048]抗有糸分裂(anti−miotic)剤。本明細書で使用される場合、抗有糸分裂は、染色体の倍加を誘発するために植物育種において使用される、有糸分裂(細胞分裂)を停止させることによって細胞の成長を妨害するために使用される化合物又は化学物質を指す。抗有糸分裂剤の例には、それに限定されるものではないが、コルヒチン、トリフルラリン、オリザリン及びアミプロホス−メチル(APM)が含まれる。
【0049】
[0049]無配偶生殖。受精なしの無性生殖による、標準の有性生殖の代替。開花植物では、無配偶生殖という用語は、一般に、種子による無性生殖を特定するために使用される。
【0050】
[0050]アルギランセマム。本明細書で使用される場合、アルギランセマムは、キク(Asteraceae)科の植物の属を指す。アルギランセマム属には、それらに限定されるものではないが、A.アダウクタム(adauctum)、A.ブロウソネティ(broussonetii)、A.カリクリサム(callichrysum)、A.コロノピフォリウム(coronopifolium)、A.ディセクタム(dissectum)、A.エスカレイ(escarrei)、A.フィリフォリウム(filifolium)、A.フォエニキュラセウム(foeniculaceum)、A.フルテッセンス、A.グラキレ(gracile)、A.ハエモトマ(haemotomma)、A.ハオウアリテウム(haouarytheum)、A.ヒエレンス(hierrense)、A.レムシイ(lemsii)、A.リディイ(lidii)、A.マダレンス(madarense)、A.ピンナティフィダム(pinnatifidum)、A.スヴェンテニイ(sventenii)、A.スンディンギイ(sundingii)、A.タラソフィラム(thalassophilum)、A.テネリファエ(tenerifae)、A.ビンセンティ(vincentii)、A.ウェッビイ(webbii)及びA.ウィンテリ(winteri)を含む約24種が含まれる(Humphries,C.J.、A revision of the Macronesian genus Argyranthemum Webb ex Schults Bip.(Compositae−Anthimideae)、Bulletin of the British Museum(Natural History)、Botany、5:145〜243頁(1976年))。
【0051】
[0051]無性繁殖/無性生殖。無性繁殖又は生殖は、有性生産した種子を除く、すべての種類の植物繁殖を意味する。無性繁殖の例には、それらに限定されるものではないが、挿し木、接木(grafting)、系統分け、無配偶生殖又は組織培養における再生が含まれる。
【0052】
[0052]戻し交雑。戻し交雑は、育種家が、ハイブリッド後代を親の一方に繰り返し交雑し戻す過程である。例えば、第1世代ハイブリッドFは、Fハイブリッドの親の遺伝子型の1つを有する。
【0053】
[0053]頭状花序。頭状花序は、管状花(disc floret)と呼ばれる無柄の花の中心の管状花(disc)及び舌状花と呼ばれる花弁のような構造の外輪の形態の花序を指す。管状花は一般に完全であり、舌状花は一般に不完全である。頭状花序(capitulum)の複数形は、頭状花序(capitula)である。
【0054】
[0054]細胞。本明細書で使用される場合、細胞には、単離されているか、組織培養であるか、又は植物若しくは植物部分に組み込まれているかに関わらず、植物細胞が含まれる。
【0055】
[0055]キメラ。キメラ又はキメラ植物は、2つ以上の遺伝的に異なる細胞の群からなる植物である。遺伝的差異は、通常、突然変異から生じる。
【0056】
[0056]染色体数。植物細胞が有する染色体の数。
【0057】
[0057]染色体安定性。本明細書で使用される場合、染色体安定性とは、急激な又は極度の変化又は変動を受けない染色体を指す。
【0058】
[0058]コルヒチン。コルヒチンは、イヌサフラン(autumn crocus)から得られる薄黄色のアルカロイド、C2225NOであり、染色体の倍加を誘発するために植物育種において使用される。
【0059】
[0059]挿し木。発根(rooting)又は接木を介して、新しい植物を繁殖させるために植物から取り出した、茎、葉又は根などの植物から生じる部分。
【0060】
[0060]二倍体。二倍体(体細胞の染色体数2n=2xによって示される)は、染色体の各種類の一対(相同の対)を有し、したがって基本(一倍体)の染色体数(記号xによって示される)が倍加している体細胞又は植物である。
【0061】
[0061]管状花。キク科(Compositae)又はキク科(Asteraceae)植物の頭状花序の中心部を構成する小管状の放射相称小花の1つ。
【0062】
[0062]優性遺伝。特定の特徴又は形質の表現型が優性対立遺伝子によって決定される遺伝方式を指す。
【0063】
[0063]優性突然変異。優性突然変異の表現型は、ヘテロ接合体遺伝子型に見られる。
【0064】
[0064]重弁花。1つ又は複数の花弁が雄しべを代替している管状花を有する頭状花序。
【0065】
[0065]除雄。自家受粉を防止するための花の葯の除去。
【0066】
[0066]。前胚が胚及び胚柄に分化したときの、受精又は単為生殖後の若い植物個体。
【0067】
[0067]胚培養。単離した植物の胚の、適切な培地におけるインビトロでの生育。
【0068】
[0068]胚救出。本明細書で使用される場合、胚救出とは、脆弱で未成熟であり、又はそうでなければ親植物上で成熟した生存可能な種子に成長しない胚を、植物育種家が出芽させるために使用する方法である。例えば、胚救出の一形態は胚珠培養であり、これは種子から胚珠を無菌で取り出し、その胚珠を人工培地上に置いて胚を発芽させ、植物に成長させることができるものである。
【0069】
[0069]。記号「F」は、F世代の自家受粉から生じた世代を示す。「F」の数は、遺伝学で一般的に使用される用語であり、雑種世代を示す。「F」世代は、第1世代、すなわちF世代のメンバーの自家受粉又は自家交配(self mating)から生じた子孫を示す。
【0070】
[0070]配偶子。有性融合に関与して接合子を形成することができる細胞又は核。
【0071】
[0071]遺伝子。本明細書で使用される場合、遺伝子は核酸のセグメントを指す。遺伝子は、形質転換又は様々な育種法を使用して、異種からであろうと同種からであろうと、ある種のゲノムに導入することができる。
【0072】
[0072]遺伝子環境相互作用/遺伝子型環境相互作用。遺伝子と環境との相互作用の表現型作用を指す。
【0073】
[0073]遺伝的形質転換。外来遺伝物質の、取込み、ゲノムの導入、及び発現から生じた細胞の遺伝子変異を指す。
【0074】
[0074]転換した遺伝子(転換)。遺伝子が転換された(転換)植物は、戻し交雑と呼ばれる植物育種技術によって生育される植物を指し、この場合、戻し交雑技術、遺伝子操作又は突然変異によって変種に導入された1つ又は複数の遺伝子に加えて、変種の所望の形態学的及び生理学的特徴の本質的にすべてが回復する。
【0075】
[0075]遺伝子型。細胞又は生物の遺伝子構成を指す。
【0076】
[0076]グレビオニス種。本明細書で使用される場合、グレビオニス種は、それらに限定されるものではないが、シュンギク(Crown Daisy)としても知られているグレビオニス・コロナリア及びアラゲシュンギク(Corn Marigold)(Mabberley 2008年)としても知られているグレビオニス・セゲタムを含むキク科の植物の属を指す。以前の属名には、キサントプタルマム及びクリサンセマムが含まれていた。
【0077】
[0077]雌ずい群。植物の花の胚珠生産部。
【0078】
[0078]半数体。半数体は、染色体組の各染色体のただ1つの代表を含有する細胞核であり、記号nで示される。半数体数(n)は、半数体細胞核における染色体の数である。配偶子は半数体細胞である。
【0079】
[0079]ヘテロ接合性。特定の遺伝子座の対応する対立遺伝子が異なっている遺伝子構成を指す。
【0080】
[0080]より高い生育温度(Higher growing temperatures)。本明細書で使用される場合、より高い生育温度とは、後代を生産するために使用される親が耐えることができた温度よりも高い温度で生育し、その温度に耐える後代植物の能力を指す。
【0081】
[0081]ホモ接合性。特定の遺伝子座の対応する対立遺伝子が同一である遺伝子構成を指す。
【0082】
[0082]同系交配。遺伝的に密接に関係した配偶子の融合による子孫の生産と定義される。
【0083】
[0083]近交退化。近交退化は、近親育種の結果としての所与の集団における又は自家受粉からまた生じた植物における適応度の低下である。これは一般に、通常は異系交配する種において生じる。
【0084】
[0084]花序。主枝又は枝分れの配置から構成される茎上に配置された花の群又は集団。
【0085】
[0085]属間交雑。属間交雑は、それぞれ異なる属の2つの個体の有性ハイブリダイゼーションを意味する。例えば、イスメリア・ベルシコロール植物と交雑させたアルギランセマム植物。
【0086】
[0086]属間ハイブリッド。属間ハイブリッドは、属間交雑から、又は2つの異なる属の間の交雑から生じたF世代の植物を意味する。
【0087】
[0087]種間交雑。種間交雑は、同属のそれぞれ異なる種の2つの個体の有性ハイブリダイゼーションを意味する。例えば、グレビオニス・セゲタム植物と交雑させたグレビオニス・コロナリア植物。
【0088】
[0088]種間ハイブリッド。種間ハイブリッドは、種間交雑から、又は2つの異なる種の間の交雑から生じたF世代の植物を意味する。
【0089】
[0089]I.ベルシコロール。本明細書で使用される場合、I.ベルシコロールは、それに限定されるものではないが、ハナワギク(Tricolor Daisy)(Mabberley 2008年)としても知られているイスメリア・ベルシコロールを含むキク科の植物の属を指す。イスメリア・ベルシコロールに対して使用されていた以前の属名及び種名には、グレビオニス・カリナタ(carinata)、グレビオニス・カリナタム及びクリサンセマム・カリナタムが含まれる。
【0090】
[0090]核型分析。本明細書で使用される場合、核型分析は、染色した分裂中期の染色体の光学顕微鏡分析による、染色体数及び構成の確認を意味する。細胞を収集し、分化を誘導し、次いで分裂中期(染色体が凝縮し、したがって目に見えるようになる細胞分裂の段階)において停止させる。染色体(chromsome)は、明暗バンドのパターンを示す特定の色素で染色される。染色体の大きな変化は、核型分析を使用して検出することができる。
【0091】
[0091]遺伝子座。遺伝子座は、例えば、除草剤耐性、昆虫抵抗性、病害抵抗性、花色、花の形状、植物の高さなどの1つ又は複数の形質を付与する。形質は、例えば、戻し交雑、天然突然変異若しくは誘発突然変異によって変種のゲノムに導入される天然に生じる遺伝子、又は遺伝子転換技術により導入される導入遺伝子によって付与され得る。遺伝子座は、単一の染色体上の位置において統合された1つ又は複数の対立遺伝子を含むことができる。
【0092】
[0092]。M世代は、突然変異原で処理された世代である。後続の世代は、M、M、M等と示される。
【0093】
[0093]一遺伝子性遺伝。特定の特徴又は形質の表現型が、単一遺伝子によって決定される遺伝方式を指す。
【0094】
[0094]一倍体。一倍体の染色体数は、単一(非相同)の組の染色体の数(x)であり、半数体(n)の数と異なり得る。
【0095】
[0095]突然変異。突然変異は、細胞のゲノムのDNA配列における変化であり、放射線又は化学物質などの突然変異原によって、並びにDNA複製中に生じるエラーによって生じる。
【0096】
[0096]オリザリン。本明細書で使用される場合、オリザリンは、染色体の倍加を誘発するために植物育種において使用される化合物を指す。
【0097】
[0097]異系交配。異系交雑としても知られており、遠縁の配偶子の融合による子孫の生産と説明される。異系交配は同系交配の反意語である。
【0098】
[0098]胚珠培養。切除した胚珠の、適切な培地におけるインビトロでの培養。
【0099】
[0099]表現型。花色、植物の大きさなどの植物の観察可能な任意の特徴又は形質を指す。
【0100】
[0100]植物。本明細書で使用される場合、植物という用語には、種子又は葯が除去された植物を含む、未成熟の又は成熟したすべての植物への言及が含まれる。植物を生産する種子又は胚も、植物であるとみなされる。
【0101】
[0101]植物ホルモン組成物。本明細書で使用される場合、植物ホルモン組成物は、植物の生育を制御する化学物質を指す。例えば、インドール−3−酪酸、N−ベンジルアデニン及びジベレリン酸。
【0102】
[0102]植物部分。本明細書で使用される場合、植物部分という用語には、それらに限定されるものではないが、プロトプラスト、葉、茎、根、根端、葯、雌しべ、種子、胚、花粉、胚珠、子葉、胚軸、頭状花序、舌状花弁/小花、管状花の花弁/小花、苗条、組織、葉柄、細胞、分裂組織細胞等が含まれる。
【0103】
[0103]受粉。受粉は、花粉が植物に移動することによって受精及び有性生殖することができる方法である。
【0104】
[0104]後代。本明細書で使用される場合、後代には、アルギランセマム植物と、I.ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の植物との交雑から生産されたF植物が含まれる。後代には、それらに限定されるものではないが、後続のF、F、F、F、F、F、F、F及びF10世代の、親との交雑及び後代間の交雑がさらに含まれる。
【0105】
[0105]プロトプラスト融合/体細胞の融合。2つの異なる植物からのプロトプラスト(すなわち、細胞壁のない植物細胞)が一緒になって融合して、両方の特徴を有する新しいハイブリッド植物を形成する、植物の育種法を指す。
【0106】
[0106]量的形質遺伝子座(QTL)。量的形質遺伝子座(QTL)とは、通常は連続して分布する数値的に表し得る形質を、ある程度制御する遺伝子座を指す。
【0107】
[0107]舌状花。舌状花又は小舌状花は、いくつかのキク科(Compositae)又はキク科(Asteraceae)植物の頭状花序における、外側の不規則な小花の1つである。いくつかのキク科(Asteraceae)又はキク科(Compositae)植物では、舌状花の小舌は花弁と呼ばれる。
【0108】
[0108]劣性遺伝。特定の特徴又は形質の表現型が劣性対立遺伝子によって決定される遺伝方式を指す。
【0109】
[0109]劣性突然変異。劣性突然変異の表現型は、ホモ接合性遺伝子型のみに見られる。
【0110】
[0110]再生。再生とは、組織培養からの植物の発育を指す。
【0111】
[0111]有性繁殖/有性生殖。種子からの植物の繁殖を指す。
【0112】
[0112]体細胞。胞子、配偶子又はそれらの前駆体以外の植物の任意の細胞。
【0113】
[0113]四倍体。本明細書で使用される場合、四倍体とは、一倍体の染色体数の4倍の染色体数を有する細胞又は植物を指す。四倍体のアルギランセマムの染色体数は36であり、体細胞において2n=4xで示される。
【0114】
[0114]トリフルラリン。本明細書で使用される場合、トリフルラリンは、染色体の倍加を誘発するために植物育種において使用される化合物を指す。
【0115】
[0115]三倍体。本明細書で使用される場合、三倍体とは、一倍体の染色体数の3倍の染色体数を有する細胞又は植物を指す。三倍体の染色体数は27であり、体細胞において2n=3xで示される。
[発明の詳細な説明]
【0116】
[0116]以下の実施形態及びその態様を、範囲を制限するものではない例示的な体系、手段及び方法と共に説明する。様々な実施形態において、前述の問題の1つ又は複数は、低減又は排除されており、他の実施形態は他の改善を目的とする。
【0117】
[0117]本発明の一態様では、観賞植物としての使用に望ましい独特の特徴を有する新しい植物が生産された。本発明のこれらの新しい植物は、過去に知られていない異数性三倍体の属間ハイブリッドであり、オーストラリア、ニューサウスウェールズ州のYellow Rockで創出された。異数性三倍体植物は、異数性四倍体のアルギランセマム種植物とI.ベルシコロール及びグレビオニス種の群の植物との交雑から、属間ハイブリッド植物を効率的に生産することができるという予想外の知見から生産された。
【0118】
[0118]本発明は、属間ハイブリッド植物の生産効率の欠如という過去の問題を克服するものである。異数性四倍体のアルギランセマム植物を雌性親として利用することによって、異数性三倍体の後代の数は、予想外に著しく増大する。さらにこの後代は、二倍体の雌性親アルギランセマムとの交雑のものよりも著しく頑強であり、観賞用として有用である。本発明は、イスメリア・ベルシコロール及びグレビオニス・コロナリアを雄性親として使用して、生産された植物の生産効率及び質を増大させた。本発明はまた、グレビオニス・セゲタムを用いて交雑を実施して、種間後代を生産した。過去には、グレビオニス種と交雑させたアルギランセマムに関して、いかなる倍数性レベルでもハイブリダイゼーションに成功したという報告はなかった。
【0119】
[0119]本発明のさらなる一態様は、雌性親としての異数性四倍体のアルギランセマム植物と、雄性親としてのハナワギクとしても知られているイスメリア・ベルシコロール、シュンギクとしても知られているグレビオニス・コロナリア、及びアラゲシュンギクとしても知られているグレビオニス・セゲタムからなる群の植物との交雑から生産される属間ハイブリッド植物を提供することである。
【0120】
[0120]本発明のさらなる一態様は、雌性親としての異数性四倍体のアルギランセマム植物と、雄性親としてのI.ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の植物との交雑から生産される属間交雑ハイブリッド異数性三倍体植物の植物部分を提供することである。
【0121】
[0121]本発明の一態様は、属間交雑を提供して、クローン繁殖させたハイブリッド異数性三倍体植物又はその部分を生産することである。
【0122】
[0122]本発明のさらなる一態様は、雌性親としての異数性四倍体のアルギランセマム植物を、雄性親としてのI.ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の植物と交雑するステップと、その交雑から生じた胚を救出するステップと、それから生育した属間ハイブリッド植物を得るステップとを含む、属間交雑ハイブリッド異数性三倍体植物を生産する方法を提供することである。
【0123】
[0123]本発明のさらなる一態様は、(a)I.ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の植物である第1の植物と、異数性四倍体のアルギランセマム植物である第2の植物とを栽培するステップと、(b)第1の植物から花粉を収集するステップと、(c)この花粉を用いて第2の植物の頭状花序に受粉させるステップと、(d)胚を単離し、適切な培地においてインビトロで発芽させるステップと、(e)この胚の生育から生じた属間ハイブリッド異数性三倍体植物を得るステップとを含む、属間ハイブリッド異数性三倍体植物を生産する方法を提供することである。
【0124】
[0124]本発明のさらなる一態様は、(a)雌性親としての異数性四倍体のアルギランセマムと、雄性親としてのイスメリア・ベルシコロール、グレビオニス・コロナリア及びグレビオニス・セゲタムからなる群の植物との交雑から生産された属間ハイブリッド植物の挿し木を得るステップと、(b)この挿し木を栽培して属間ハイブリッド植物を得るステップとを含む、属間ハイブリッド植物を生産する方法を提供することである。
【0125】
[0125]本発明のさらなる一態様は、挿し木の基部に植物ホルモン組成物を適用し、根の形成を誘発して属間ハイブリッド植物を生産することによってさらに定義付けられる、属間ハイブリッド植物の生産方法を提供することである。
【0126】
[0126]本発明のさらなる一態様は、(a)アルギランセマム植物を栽培するステップと、(b)前記植物の成長点に抗有糸分裂薬を適用するステップと、(c)処理した成長点から苗条を出芽させるステップと、(d)こうして発育した推定上の異数性四倍体の苗条を選抜するステップと、(e)細胞学的核型分析によって前記苗条の染色体組を評価するステップと、(f)前記苗条を植物に生育させるステップと、(g)染色体安定性を検査するステップとを含む、アルギランセマム植物の染色体数を変更して、二倍体2n=2x=18から、異数性四倍体の2n=4x=32、33、34、35、36、37〜38(異数性四倍体)まで体細胞染色体数を増大させる方法を提供することである。
【0127】
[0127]本発明のさらなる一態様は、アルギランセマム植物の染色体数を変更する方法を提供することであり、変更した染色体数は、異数性四倍体植物を生産するための異数性四倍体と定義される。異数性四倍体のアルギランセマム植物の植物部分は、花、挿し木、種子、花粉、胚珠又は細胞である。次いで植物を、植物部分からクローン繁殖させる。
【0128】
[0128]本発明のさらなる一態様は、アルギランセマム属の植物、好ましくは標的とする形質の育種にとって有用な適切な遺伝的特徴(例えば、雄性及び雌性の稔性、適切な習性、開花の早さ、頭状花序の大きさと色、開花期間、花の形状等)を有する植物を提供することである。
【0129】
[0129]本発明のさらなる一態様は、アルギランセマム植物の異数性四倍体形態を、好ましくはコルヒチン又は他の倍数体誘発剤(複数可)を使用することによって発育させることである。
【0130】
[0130]本発明のさらなる一態様は、好ましくは染色体数によって、並びに/或いは二倍体祖先と比較して、全体的な頭状花序の直径の増大、頭状花序の管状花部の直径の増大、花柄の幅の増大、大きい葉の大きさ、及び大きい花粉直径などの形態的変化を植物に与えることによって、異数性四倍体植物を安定化し、確認することである。
【0131】
[0131]本発明のさらなる一態様は、本発明の異数性四倍体植物が、32、33、34、35、36、37〜38の範囲の染色体数を有することである。
【0132】
[0132]本発明のさらなる一態様は、本発明の属間ハイブリッド異数性三倍体植物が、23、24、25、26、27、28〜29の範囲の染色体数を有することである。
【0133】
[0133]本発明のさらなる一態様は、(a)雄性親として生育した前記属間ハイブリッド植物を、雌性親である異数性四倍体のアルギランセマム植物と戻し交雑するステップと、(b)前記交雑から胚を生産するステップと、(c)前記胚に対して胚救出を使用するステップと、(d)それから生育した戻し交雑の属間ハイブリッド植物を得るステップとを含む方法を提供することである。
【0134】
[0134]本発明のさらなる一態様は、(a)I.ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の植物を、あらゆる組合せ及び方向で交雑するステップと、(b)前記交雑から胚を生産するステップと、(c)前記胚に対して胚救出を使用するステップと、(d)次いで雌性親である異数性四倍体のアルギランセマムとの交雑において雄性親として使用できる種間ハイブリッド植物を得るステップとを含む方法を提供することである。
【0135】
[0135]本発明のさらなる一態様は、(a)重弁花のための遺伝子(複数可)を有する雌性親である異数性四倍体のアルギランセマムを、やはり重弁花遺伝子(複数可)を含有することができるイスメリア・ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の雄性親と交雑するステップと、(b)前記交雑から胚を生産するステップと、(c)前記胚に対して胚救出を使用するステップと、(d)重弁花又はアネモネの特徴を発現する属間ハイブリッド植物を得るステップとを含む、重弁花の異数性三倍体の属間ハイブリッドを発育させる方法を提供することである。
【0136】
[0136]先に記載の例示的な態様及び実施形態に加えて、以下の説明を研究することによって、さらなる態様及び実施形態が明らかになろう。
I.異数性四倍体のアルギランセマム種の発育
【0137】
[0137]本発明は、32、33、34、35、36、37〜38の範囲の染色体数を有すると本明細書において定義される異数性四倍体のアルギランセマム植物を生産する方法を提供する。
【0138】
[0138]アルギランセマム植物は、以下の種又は以下の種のハイブリッドのいずれか1つから派生する。A.アダウクタム、A.ブロウソネティ、A.カリクリサム、A.コロノピフォリウム、A.ディセクタム、A.エスカレイ、A.フィリフォリウム、A.フォエニキュラセウム、A.フルテッセンス、A.グラキレ、A.ハエモトマ、A.ハオウアリテウム、A.ヒエレンス、A.レムシイ、A.リディイ、A.マダレンス、A.ピンナティフィダム、A.スヴェンテニイ、A.スンディンギイ、A.タラソフィラム、A.テネリファエ、A.ビンセンティ、A.ウェッビイ及びA.ウィンテリ。アルギランセマム植物の異数性四倍体形態を、好ましくは抗有糸分裂薬を使用することによって、発育させる。抗有糸分裂薬の例には、それらに限定されるものではないが、コルヒチン、トリフルラリン、オリザリン、アミプロホス−メチル及び他の倍数体誘発剤(複数可)が含まれる。四倍体は、自然発生することがあり、又はコルヒチンなどの紡錘糸阻害剤を使用して誘発することができる。コルヒチンを用いて誘発する倍数体化の技術は、1930年代から使用されている。コルヒチンは、紡錘糸へのチューブリン(tublin)サブユニットの組込みを阻害し、その結果、染色体移動が生じることができなくなり、有糸分裂の分裂中期段階の細胞が蓄積する。染色分体が分離するが、紡錘体によって別個の細胞に分割されない場合、その染色体数は倍加して、同質倍数体を創出する。育種目的で倍数体を創出する場合、配偶体組織を生じさせる頂端分裂組織の層が倍加する必要がある。倍加の成功の可能性を最適化するために、活発に生育する多数の小さい分裂組織が処理される。通常、コルヒチンは、組織及び種に応じて0.1%〜2.0%の濃度で使用される。コルヒチン又は他の紡錘糸阻害剤を用いて種子を処理する方法は、Poehlman,J.M.、Breeding Field Crops、University of Missouri、Holt,Rinehart and Winston Inc.(1966年);Watts,L.、Flower and Vegetable Plant Breeding、Grower Books(1980年);Callaway D.J.及びCallaway M.B.、Breeding Ornamental Plants、Timber Press Inc.(2000年)に論じられている通り当技術分野において周知である。
【0139】
[0139]倍数性の変化は、交雑可能性(crossability)、稔性、細胞の大きさ及びヘテロ接合性に影響を及ぼす。これらの因子は、植物育種において潜在的な利益と同時に制限をもたらす。倍数性の操作は、異なる倍数性の分類群間の生殖質の遺伝子移入のために使用されていた。例えば、種間ユリ属のハイブリッドのF不稔性を克服するために、コルヒチンを使用して四倍体が誘発された。4つのユリ属種の複合ハイブリッド間で、四倍体レベルの種間交雑が行われた。Van Tuyl,J.及びvan Holsteijn,H.Lily breeding research in the Netherlands Acta Horticulturae、414:35〜45頁(1996年)を参照されたい。天然では二倍体のブッデレヤ・グロボサ(Buddleja globosa)の四倍体植物を、コルヒチン処理を使用して生産し、ブッデレヤ・ダビディイ(Buddleja davidii)に黄色の花色を導入するために、ブッデレヤ・グロボサを天然の四倍体のブッデレヤ・ダビディイと交雑させている。Rose,J.、Kubba,J.及びTobutt,K.Induction of tetraploids for breeding hardy ornamentals、Acta Horticulturae、560:109〜112頁(2001年)を参照されたい。すべて黄色花のシクラメン・ペルシカム(Cyclamen persicum)品種は二倍体であり、花弁上に「目」を有していない。コルヒチン処理を使用して、四倍体の黄色花のシクラメンが誘導された。四倍体の「目付き」品種と交雑させた後、黄色花の「目付き」選抜が種子によって維持されないように分離が行われた。Takamura,T.、Sugimura,T.、Tanaka,M.及びKage,T.Breeding of the yellow−flowered tetraploid cyclamen with“eye”、Acta Horticulturae、454:119〜126頁(1998年)を参照されたい。
【0140】
[0140]本発明は、(a)アルギランセマム植物を栽培するステップと、(b)その植物の成長点に抗有糸分裂薬を適用するステップと、(c)植物の処理した成長点から苗条を出芽させるステップと、(d)植物からこうして発育した推定上の異数性四倍体の苗条を選抜するステップと、(e)細胞学的核型分析によって異数性四倍体の苗条の染色体組を評価するステップと、(f)異数性四倍体の苗条を植物に生育させるステップと、(g)染色体安定性を検査するステップとを含む、アルギランセマム植物の染色体数を変更して、32、33、34、35、36、37〜38の範囲の染色体数を有する異数性四倍体植物を発育させる方法を提供する。当業者は、四倍性の誘発によって、予想した四倍体数よりも多い又は少ない染色体数の植物を生じさせることができ、かかる異数体植物は、本明細書では異数性四倍体と定義され、これには32、33、34、35、36、37〜38の範囲の染色体数の植物が含まれることを理解されよう。
II.属間ハイブリッド植物の生産
【0141】
[0141]花き産業は、開花植物の新しく異なる変種の開発に懸命である。かかる新しい変種を創出するための有効な一方法は、花色の操作による方法である。花色は主に、フラボノイド及びカロテノイドの2種類の色素に起因する。フラボノイドは、黄色から赤色、さらに青色までの範囲の色に寄与する。カロテノイドは、赤みがかった色−橙色又は黄色の色合いを付与し、一般に黄色又は橙色の花の唯一の色素である。花色に大きく寄与するフラボノイド分子はアントシアニンであり、これはシアニジン、デルフィニジン、ペツニジン、ペオニジン、マルビジン及びペラルゴニジンのグリコシル化誘導体であり、液胞に局在している。様々なアントシアニンによって、際立った色の差が得られる。花色はまた、無色のフラボノイドとの共色素沈着(co−pigmentation)、金属錯化、グリコシル化、アシル化、メチル化及び液胞のpHによって影響を受ける。Forkman,G.Flavonoids as flower pigments:the formation of the natural spectrum and its extension by genetic engineering、Plant Breeding 106:1〜26頁(1991年)を参照されたい。
【0142】
[0142]本発明は、新しい花色、及び改善された耐熱性、より大きい頭状花序などの他の有用な属性を有する属間ハイブリッド異数性三倍体植物の生産効率を予想外に増大させた。本発明の方法は、以下の種、イスメリア・ベルシコロール、グレビオニス・コロナリア又はグレビオニス・セゲタムのいずれか1つの雄性との属間交雑において、異数性四倍体のアルギランセマム植物を雌性親として使用し、前記交雑は、以下の(a)第1の植物から花粉を収集するステップと、(b)この花粉を用いて第2の植物の頭状花序に受粉させるステップと、(c)受粉から生じた胚を胚救出によって単離するステップと、(d)寒天の栄養培地で胚を培養するステップと、(e)この胚の生育から生じた属間ハイブリッド小植物を得るステップと、(f)温室の生育培地に小植物を移植し、そこで成熟した属間ハイブリッド植物に発育させるステップとを含んでいた。
【0143】
[0143]本発明のさらなる一態様は、(a)イスメリア・ベルシコロール、グレビオニス・コロナリア又はグレビオニス・セゲタムからなる群の植物を、あらゆる組合せで交雑し、前記交雑から胚を生産するステップと、(b)前記胚に対して胚救出を使用するステップと、(c)次いで雌性親である異数性四倍体のアルギランセマムとの交雑において雄性親として使用できる種間ハイブリッド植物を得るステップとを含む方法を提供することである。
【0144】
[0144]異数性四倍体の雌性親であるアルギランセマムを使用することによって、ハイブリッド後代の数は、予想外に著しく増大し、その後代は、二倍体の雌性親のアルギランセマムの使用と比較して著しく頑強であり、観賞植物として有用であった。
【0145】
[0145]本発明のさらなる一態様は、本発明の属間ハイブリッド植物が、23、24、25、26、27、28〜29の範囲の染色体数を有する、本明細書に定義の異数性三倍体であることである。
【0146】
[0146]本発明のさらなる一態様は、(a)雌性親としての異数性四倍体のアルギランセマム植物と、雄性親としてのイスメリア・ベルシコロール、グレビオニス・コロナリア及びグレビオニス・セゲタムからなる群の植物との交雑から生産された属間ハイブリッド植物の挿し木を得るステップと、(b)この挿し木を栽培して属間ハイブリッド植物を得るステップとを含む、属間ハイブリッド植物を繁殖させることである。
【0147】
[0147]本発明のさらなる一態様は、挿し木の基部に植物ホルモン組成物を適用し、根の形成を誘導して属間ハイブリッド植物を生産することによってさらに定義付けられる、属間ハイブリッド植物の生産方法を提供することである。
【0148】
[0148]先に記載の例示的な態様及び実施形態に加えて、以下の実施例を研究することによって、さらなる態様及び実施形態は明らかになろう。
【実施例】
【0149】
[0149]本発明をさらに例示するために以下の実施例を提示する。これらの実施例は、いかなる方法によっても、添付の特許請求の範囲に記載の制限を超えて本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない。本発明の精神及び範囲内であれば多くの変更及び改変を行うことができる。
実施例1−異数性四倍体のアルギランセマム種の発育
【0150】
[0150]本発明は、アルギランセマム植物の染色体数を変更して、体細胞染色体数を二倍体から異数性四倍体に倍加する新しい方法を提供する。本発明の染色体数の変更方法を、まずアルギランセマム植物の栽培から開始し、次いでコルヒチン、トリフルラリン、オリザリン又はアミプロホス−メチル(APM)などの抗有糸分裂薬を、アルギランセマム植物の成長点に適用した。次いでアルギランセマム植物の処理した成長点から異数性四倍体の苗条を出芽させ、アルギランセマム植物の成長点から発育した推定上の異数性四倍体の苗条を選抜した。次いで、異数性四倍体の苗条の染色体組を細胞学的核型分析によって評価し、次いで分析した異数性四倍体の苗条を植物に生育させた。新しいアルギランセマム植物の染色体安定性を検査し、新しい異数性四倍体のアルギランセマム植物を選抜し、維持した。I.ベルシコロール植物の頭状花序から花粉を収集し、次いで受容性のアルギランセマム異数性四倍体植物の頭状花序に適用した。次いで、交雑から胚を救出し、次いで受粉から生じた救出した胚を、組織培養において胚救出によって単離し、属間ハイブリッド植物を新しい胚の組織から生産した。
【0151】
[0151]本発明の一態様は、それらに限定されるものではないが、雄性及び雌性の稔性、適切な習性、開花の早さ、頭状花序の大きさ及び色、開花時期、並びに頭状花序の形状を含む、標的とする形質の育種にとって有用な適切な遺伝的特徴を有するアルギランセマム属の植物を得るステップを含んでいた。アルギランセマム植物が得られた後、以下の方法を使用して異数性四倍体のアルギランセマム植物を発育させた。100本の挿し木を、栄養増殖ストックプラント(vegetatively growing stockplant)から収集し、カットした基部を2000ppmのインドール−酪酸粉末に浸漬し、次いで繁殖用くさび型の商標オアシス(Oasis)(登録商標)に植えた。次いで挿し木を、約20℃に維持した繁殖用ハウス内の間欠的噴霧の下に置いた。3週間後、挿し木を温室条件に順化させ、次いで標準の苗床である鉢植え用の(potting)ミックスを充填した10cm直径の鉢100個のそれぞれに、1つの植物を植えた。鉢に植えた植物を、最低温度15℃の温室に置いた。約2週間後、植物はコルヒチン適用の準備ができた。コルヒチンは、水溶性ゲルを用いて0.1%〜2.0%重量/体積のペーストとして調製した。植物を処理するために、ある範囲のコルヒチン濃度を使用することによって、処理される各系統についてどの濃度によって最適な結果が得られるかを決定することができた。
【0152】
[0152]ペーストを芽に対して十分に適用し、24時間後に細かい水の噴霧を使用して洗い流した。適用中に植物の数及び塗布した芽を計数することによって、終了時に生産効率の測定を行うことができた。
【0153】
[0153]その後の数週間、最良の実践及び生育手順に従って(例えば、Hamrick,D.(Ed)、Ball Red Book、Crop Production Volume 2、Ball Publishing(2003年))、植物を観察し、維持した。新しい苗条を、異四倍性の徴候について評価した。これらの徴候には以下の、通常の葉よりも大きい葉を有する苗条及び広い葉柄の直径、大きい柱頭の小花、大きい中心管状花部を有する頭状花序、長い花柄の長さ及び幅の頭状花序、並びに大きい花粉直径の小花が含まれていた。二倍体に見える苗条を、その植物から刈り落とした。選抜した推定上の異数性四倍体の苗条に標識を付し、さらなる生育を促進するために刈り落とした。
【0154】
[0154]新しい推定上の異数性四倍体の苗条を生産したら、挿し木を採取し、繁殖させた。これらの第2世代植物を、表現型を基にして異四倍性の安定性及び均一性について継続的に評価した。次いで、核型分析を実施することによって推定上の異数性四倍体を確認し、又は廃棄した。確認後、植物を少なくともさらに2回繁殖させて、安定な異数性四倍体になるようにした。植物を、定期的に四倍性の形態学的特徴について視覚的に調査した。植物の形態的変化には、二倍体祖先と比較して、それらに限定されるものではないが全体的な頭状花序の直径の増大、頭状花序の管状花部の直径の増大、花柄の幅の増大、大きい葉の大きさ、及び大きい花粉直径が含まれていた。アルギランセマム、イスメリア種及びグレビオニス種の選抜系統、並びに属間ハイブリッドについて染色体を計数した。
実施例2−アルギランセマム、イスメリア及びグレビオニス系統の染色体数
【0155】
[0155]以下の表1は、アルギランセマム、イスメリア及びグレビオニス系統の染色体数を示す。1列目は、植物の識別番号を示し、2列目は属及び系統を示し、3列目は染色体数の範囲を示し、4列目は確認された倍数性レベルを示す。
【表1】


実施例3−開発したアルギランセマム異数性四倍体系統の起源及び説明
【0156】
[0156]以下の表2は、生産し、次いで表4〜12に示す育種交雑で使用したアルギランセマム異数性四倍体植物の起源及び説明を提示するものである。二倍体親系統(1列目に示す、2列目には表現型を示す)を、染色体の倍加を引き起こすことができる化学的突然変異原である様々な量のコルヒチンで処理した。さらなる育種及び分析のために選抜した異数性四倍体植物(それらの識別番号によって示す)を3列目に示す。異数性四倍体系統の表現型を4列目に示す。
【表2】


実施例4−表4〜13に示した育種交雑で使用した雄性グレビオニス種及びI.ベルシコロール変種
【0157】
[0157]以下の表3は、表4〜13に示した育種交雑で使用したグレビオニス種及びI.ベルシコロール変種の植物名及び説明を提示するものである。植物名を1列目に示す。植物の識別番号を2列目に示し、頭状花序の形状及び色を3列目に示す。
【表3】


実施例5−イスメリア・ベルシコロール植物を用いたアルギランセマム異数性四倍体植物のハイブリダイゼーション法
【0158】
[0158]本発明のもう1つの態様は、アルギランセマム属の異数性四倍体植物を、イスメリア・ベルシコロールからなる群の植物と交雑させるステップを含んでいた。新しい異数性四倍体植物を、適切な特徴に関して選抜して、多年生、興味深い頭状花序の色及び形状、高い密集習性、開花の早さなどの標的とする所望の形質のために育種で使用した。次いで、雄性親として使用する選抜したイスメリア・ベルシコロール植物から、花粉を取り出した。その花粉を、アルギランセマムの頭状花序が受容性である場合には、小筆を使用して、異数性四倍体のアルギランセマム雌性植物の頭状花序の上に適用した。アルギランセマム種は異系交配し、自家受粉しないので、アルギランセマムの頭状花序の除雄は不要であった。次いで、イスメリア・ベルシコロール植物の花粉を受粉させた異数性四倍体のアルギランセマム植物の頭状花序を、2〜3週間後に回収し、小花を取り出した。次いで、各小花に無菌技術を適用した。好ましくは、材料を被覆するための1%次亜塩素酸ナトリウム(sodium hypochloride)を添加した容器に小花を無傷のまま入れ、その後1滴のツイーン(Tween)20界面活性剤を添加した。容器を蓋で閉鎖し、毎分1回、5分間振とうした。次いで容器を空にし、オートクレーブした蒸留水で小花を3回すすいだ。次いで小花を取り出し、個々に分析した。次いで、任意の発育中の種皮及び子房壁組織を取り出して、胚珠を露出させた。次いで胚珠から胚を取り出し、ペトリ皿内の適切な胚救出培地上に置いた。培地は、好ましくは推奨割合の半分(すなわち2.21g/L)のMurashige及びSkoog(1962年)塩(Murashige,T.及びSkoog,F、A revised medium for rapid growth and bio assays with tobacco tissue cultures、Physiologia Plantarum、15:473〜497頁(1962年))、1%活性炭、20g/L スクロース及び0.7%寒天を含有していた。培地をpH5.8に調節した後、121℃で17分間、1kg/mでオートクレーブにかけた。分析した胚を入れたペトリ皿をパラフィルムで封止し、25℃の継続的な温度で1日16時間、蛍光灯の下に維持した生育チャンバー内に置いた。2〜4週間後、発芽した胚を温室環境に移し、そこでアルギランセマム植物の生育に適した従来の苗床の実践に従って(例えば、Hamrick,D.(Ed)、(2003年))、胚の発育を促進して成熟した植物にした。例えば、発芽した胚を、肥料を含む、種子を生育させる混合物に移し、湿潤に保ち、日陰に置いた。その後、発芽した胚を、従来の鉢植え用の培地及び高光度とともに、より大きい鉢に移し、生育させ、開花させた。次いで、望ましい推定上の異数性三倍体のFハイブリッド植物を選抜し、挿し木を採取した。
実施例6−属間ハイブリッド異数性三倍体植物の生産効率の比較
【0159】
[0159]以下の表4は、二倍体のアルギランセマム系統04−92対異数性四倍体のアルギランセマム系統04−92(本発明の植物の識別番号08−129)と、4つの異なるイスメリア・ベルシコロール系統との交雑による、属間ハイブリッド異数性三倍体植物の生産効率の比較を示す。アルギランセマム×イスメリア・ベルシコロールの交雑の各組合せについて、3個の頭状花序を受粉させた。
【表4】

【0160】
[0160]表4に示す通り、属間ハイブリッド胚の生産効率は、イスメリア・ベルシコロールとの交雑において、二倍体アルギランセマム祖先を使用するよりも異数性四倍体の雌性親アルギランセマムを使用した場合に予想外に改善された。驚くべきことには、異数性四倍体の雌性系統04−92から合計129個の胚が得られたが、二倍体の雌性系統04−92からは胚が得られなかった。表4において得られた胚を、胚救出培地上においてインビトロで生育させた。表5は、これらの胚から発育した植物の数を示す。
【表5】

【0161】
[0161]表5に示す通り、雌性異数性四倍体の親系統04−92から救出した129個の胚から、合計61の植物が予想外に生産された。著しく対照的に、二倍体の雌性親は、同じ交雑の組合せから胚を全く生産しなかった。Ohtsuka及びInaba(2008)は、雌性親として二倍体アルギランセマム・フルテッセンスを使用した場合、生産された胚の数は使用した雌性親によって決まり、常に非常に少ないことを見出した。Ohtsuka及びInaba(2008年)と比較して、本発明の方法論を使用する植物の生産効率は、著しく高かった。本発明の方法論を使用すると、12回の受粉から61の植物が発育した(受粉した頭状花序1つ当たり5つの植物が発育した)。これは、Ohtsuka及びInaba(2008年)によって記載の、70回の受粉から発育した5つの植物と比較される(受粉した頭状花序1つ当たり0.07の植物が発育した)。過去に刊行された情報を上回る予想外の効率改善に加えて、本発明の異数性四倍体のアルギランセマム系統04−92を使用して発育させた植物は、Ohtsuka及びInabaによって発育したものと比較して全般的に非常に頑強であり、多年生であった。白色から、クリーム色、レモン色及び黄色の、ある範囲の頭状花序の色が観察された。異数性三倍体のハイブリッド植物は、夏季(高温)の間、開花の増大を示し、その大部分(約95%)に花粉がなかった(雄性不稔)。予想外に、著しい数のこれらの異数性三倍体植物が、観賞植物としての生産に適していた。
実施例7−雌性親としてのアルギランセマム異数性四倍体植物及び雄性親としてのイスメリア・ベルシコロール植物を使用する2年にわたる交雑の、いくつかの交雑の組合せからのハイブリッド胚及び植物の生産効率の概要
【0162】
[0162]表6は、表9A、9B及び9C、10A、10B及び10C、並びに11A、11B及び11Cに見られる詳細な情報の概要を示すものである。
【表6】

【0163】
[0163]本発明の方法を使用して、受粉した724個の頭状花序から3051の開花植物が発育したが(受粉した頭状花序1つ当たり約4つの植物が発育した)、これはOhtsuka及びInaba(2008年)による70回の受粉から発育した5つの植物と比較される(受粉した頭状花序1つ当たり0.07の植物が発育した)。過去に刊行された情報を上回る予想外の効率の改善(約60倍の増加)に加えて、本発明の方法を使用して発育させた植物は全般的に非常に頑強であり、多年生であった。開花まで生存したこれらの新しい植物の中で、その後死滅したものはなかった。また、頭状花序の色は、白色から、クリーム色、レモン色、黄色、杏色、プラム色、ピンク色、及び赤色にわたり、それらは各色の間にグラデーション(shade)を有しており、いくつかの頭状花序は、ピンク色/暗いピンク色及び白色/黄色の輪のパターンを含んでいた。異数性三倍体のハイブリッド植物は、夏季(高温)の間、開花の増大を示し、その大部分(約95%)に花粉がなかった(雄性不稔)。著しい数の植物が、観賞植物としての生産に適していた。
実施例8−グレビオニス・コロナリア植物を用いたアルギランセマム植物のハイブリダイゼーション法
【0164】
[0164]本発明のもう1つの態様は、アルギランセマム属の異数性四倍体植物を、グレビオニス・コロナリアからなる群の植物と交雑するステップを含んでいた。新しい異数性四倍体植物を、適切な特徴に関して選抜して、多年生、興味深い頭状花序の色及び形状、高い密集習性、開花の早さなどの標的とする所望の形質のために育種で使用した。次いで、雄性親として使用する選抜したグレビオニス・コロナリア植物から、花粉を取り出した。その花粉を、アルギランセマムの頭状花序が受容性である場合には、小筆を使用して、異数性四倍体のアルギランセマム雌性植物の頭状花序の上に適用した。アルギランセマム種は異系交配し、自家受粉しないので、アルギランセマムの頭状花序の除雄は不要であった。次いで、グレビオニス・コロナリア植物の花粉を受粉させた異数性四倍体のアルギランセマムの頭状花序を、2〜3週間後に回収し、小花を取り出した。次いで、各小花に無菌技術を適用した。好ましくは、材料を被覆するための1%次亜塩素酸ナトリウムを添加した容器に小花を無傷のまま入れ、その後1滴のツイーン20界面活性剤を添加した。容器を蓋で閉鎖し、毎分1回、5分間振とうした。次いで容器を空にし、オートクレーブした蒸留水で小花を3回すすいだ。次いで小花を取り出し、個々に分析した。次いで、任意の発育中の種皮及び子房壁組織を取り出して、胚珠を露出させた。次いで胚珠から胚を取り出し、ペトリ皿内の適切な胚救出培地上に置いた。培地は、好ましくは推奨割合の半分(すなわち2.21g/L)のMurashige及びSkoog(1962年)塩、1%活性炭、20g/L スクロース及び0.7%寒天を含有していた。培地をpH5.8に調節した後、121℃で17分間、1kg/mでオートクレーブにかけた。分析した胚を入れたペトリ皿をパラフィルムで封止し、25℃の継続的な温度で1日16時間、蛍光灯の下に維持した生育チャンバー内に置いた。2〜4週間後、発芽した胚を温室環境に移し、そこでアルギランセマム植物の生育に適した従来の苗床の実践に従って(例えば、Hamrick,D.(Ed)、(2003年))、胚の発育を促進して成熟した植物にした。例えば、発芽した胚を、肥料を含む、種子を生育させる混合物に移し、湿潤に保ち、日陰に置いた。その後、発芽した胚を、従来の鉢植え用の培地及び高光度とともに、より大きい鉢に移し、生育させ、開花させた。次いで、望ましい推定上の異数性三倍体のFハイブリッド植物を選抜し、挿し木を採取した。表7は、表11A、11B及び11Cに見られる詳細な情報の概要を示すものである。
【表7】

【0165】
[0165]表7に示す通り、本発明の方法論を使用すると、受粉した168個の頭状花序から、予想外に369の開花植物が発育したが(受粉1回あたり約2.2の植物が発育した)、これはOhtsuka及びInaba(2008年)による61回の受粉から発育した16の植物と比較される(0.26の植物/受粉1回)。これは、驚くべきことには効率の8倍の増大であった。過去に刊行された情報を上回る予想外の効率の改善に加えて、発育した植物は、ほとんど枝分れのない背の高いものから、多くの枝分れを有する背の低いものまで、その習性は多岐にわたった。開花反応も早咲きから遅咲きにわたり、頭状花序の色は、白色からクリーム色、さらには鮮黄色の多岐にわたった。頭状花序の形状は、一重からアネモネ、さらには重弁にわたった。Ohtsuka及びInaba(2008年)は、二倍体アルギランセマム・フルテッセンス×グレビオニス・コロナリアを使用する交雑の結果を説明しており、その植物の大部分が、ほとんど枝分れのない直立の茎(一
植物当たり0〜2個の枝分れ)であり、強力な植物活力を示したことに言及している。頭状花序の色は白色であったが、舌状花の基部周辺に淡黄色を有していた植物はほとんどなかった。頭状花序の形状は一重であった。本発明の方法論によって発育した植物は、Ohtsuka及びInaba(2008)によって発育した植物よりも観賞植物として有用であった。本発明のハイブリッド異数性三倍体植物は、夏季(高温)の間、開花の増大を示し、その多くが花粉を有していた。本発明の多くの植物が、観賞植物としての生産に適していた。
実施例9−グレビオニス・セゲタム植物を用いたアルギランセマム植物のハイブリダイゼーション法
【0166】
[0166]本発明のもう1つの態様は、アルギランセマム属の異数性四倍体植物を、グレビオニス・セゲタムからなる群の植物と交雑するステップを含んでいた。新しい異数性四倍体植物を、適切な特徴に関して選抜して、多年生、興味深い頭状花序の色及び形状、高い密集習性、開花の早さなどの標的とする所望の形質のために育種で使用した。次いで、雄性親として使用する選抜したグレビオニス・セゲタム植物から、花粉を取り出した。その花粉を、アルギランセマムの頭状花序が受容性である場合には、小筆を使用して、異数性四倍体のアルギランセマム雌性植物の頭状花序の上に適用した。アルギランセマム種は異系交配し、自家受粉しないので、アルギランセマムの頭状花序の除雄は不要であった。次いで、グレビオニス・セゲタム植物の花粉を受粉させた異数性四倍体のアルギランセマムの頭状花序を、2〜3週間後に回収し、小花を取り出した。次いで、各小花に無菌技術を適用した。好ましくは、材料を被覆するための1%次亜塩素酸ナトリウムを添加した容器に小花を無傷のまま入れ、その後1滴のツイーン20界面活性剤を添加した。容器を蓋で閉鎖し、毎分1回、5分間振とうした。次いで容器を空にし、オートクレーブした蒸留水で小花を3回すすいだ。次いで小花を取り出し、個々に分析した。次いで、任意の発育中の種皮及び子房壁組織を取り出して、胚珠を露出させた。次いで胚珠から胚を取り出し、ペトリ皿内の適切な胚救出培地上に置いた。培地は、好ましくは推奨割合の半分(すなわち2.21g/L)のMurashige及びSkoog(1962年)塩、1%活性炭、20g/Lスクロース及び0.7%寒天を含有していた。培地をpH5.8に調節した後、121℃で17分間、1kg/mでオートクレーブにかけた。分析した胚を入れたペトリ皿をパラフィルムで封止し、25℃の継続的な温度で1日16時間、蛍光灯の下に維持した生育チャンバー内に置いた。2〜4週間後、発芽した胚を温室環境に移し、そこでアルギランセマム植物の生育に適した従来の苗床の実践に従って(例えば、Hamrick,D.(Ed)、(2003年))、胚の発育を促進して成熟した植物にした。例えば、発芽した胚を、肥料を含む、種子を生育させる混合物に移し、湿潤に保ち、日陰に置いた。その後、発芽した胚を、従来の鉢植え用の培地及び高光度とともに、より大きい鉢に移し、生育させ、開花させた。次いで、望ましい推定上の異数性三倍体のFハイブリッド植物を選抜し、挿し木を採取した。表8は、表11A、11B及び11Cに見られる詳細な情報の概要を示すものである。
【表8】

【0167】
[0167]表8に示す通り、本発明の方法を使用すると、驚くべきことには受粉した207個の頭状花序から69の開花植物が発育した(受粉1回当たり0.33の植物が発育した)。アルギランセマムとグレビオニス・セゲタムとの間のハイブリッドは、過去に報告されておらず、したがってこの結果は非常に予想外であり、驚くべきものである。雌性親としての二倍体アルギランセマムと、雄性親としてのグレビオニス・セゲタムとの過去の交雑では、受粉した100個を超える頭状花序から胚は得られなかった。この過去の業績を上回る予想外の効率の改善に加えて、発育した植物は、全般的に十分に枝分れし、観賞植物として有用となり得る。
実施例10−ハイブリッド異数性三倍体の系統を生産するための2009年の属間交雑受粉、救出した胚、及び生育した植物の数
【0168】
[0168]表9A、9B及び9Cは、オーストラリア、NSW、Yellow Rockで2009年に実施した属間交雑受粉の結果を示す。異数性四倍体の雌性アルギランセマム植物(植物の識別番号を、各表の最初の列に示す)を、雄性二倍体であるイスメリア・ベルシコロール及びグレビオニス種(植物の識別番号を、各表の一番上の行に示す)と交雑させた。発育した胚を、受粉の14〜21日後に回収し、胚救出した。表9Aは、各交雑について受粉した頭状花序の数を示す。表9Bは、回収した胚の数を示す。表9Cは、発芽し、温室の鉢に植えた胚の数を示す。
【表9】

【0169】
[0169]例えば、先の表9Aに示す通り、雌性アルギランセマム異数性四倍体植物09−1と雄性イスメリア・ベルシコロール二倍体植物08−75との間の交雑では、3個の頭状花序を受粉させた(1行目、1列目)。
【表10】

【0170】
[0170]例えば、先の表9Bに示す通り、雌性アルギランセマム異数性四倍体植物09−1と雄性イスメリア・ベルシコロール二倍体植物08−75の3回の受粉から(表9A、1行目、1列目)、44個の胚を救出した(表9B、1行目、1列目)。
【表11】

【0171】
[0171]例えば、先の表9Cに示す通り、救出した44個の胚(表9B)のうち、25個の胚が発芽し、温室で植物に生育した(表9C、1行目、1列目)。
実施例11−ハイブリッド異数性三倍体の系統を生産するための2010年の属間交雑受粉、救出した胚、及び生育した植物の数
【0172】
[0172]表10A、10B及び10Cは、オーストラリア、NSW、Yellow Rockで2010年に実施した属間交雑受粉の結果を示す。異数性四倍体の雌性アルギランセマム植物(植物の識別番号を、各表の最初の列に示す)を、雄性二倍体であるイスメリア及びグレビオニス種(植物の識別番号を、各表の一番上の行に示す)と交雑させた。発育した胚を、受粉の14〜21日後に回収し、胚救出した。表10Aは、各交雑について受粉した頭状花序の数を示す。表10Bは、回収した胚の数を示す。表10Cは、発芽し、温室の鉢に植えた胚の数を示す。
【表12】

【0173】
[0173]例えば、先の表10Aに示す通り、雌性アルギランセマム異数性四倍体植物09−2と雄性イスメリア・ベルシコロール二倍体植物08−80(1行目、1列目)との交雑では、3個の頭状花序を受粉させた。
【表13】

【0174】
[0174]例えば、先の表10Bに示す通り、雌性アルギランセマム異数性四倍体植物09−2と雄性イスメリア・ベルシコロール二倍体植物08−80の3回の受粉から(表10A、1行目、1列目)、5個の胚を救出した(表10B、1行目、1列目)。
【表14】

【0175】
[0175]例えば、先の表10Cに示す通り、救出した5個の胚(表10B)のうち、3つの胚が発芽し、温室で植物に生育した(表10C、1行目、1列目)。
実施例12−後代の多様性を増大させるための2010年の属間交雑受粉、救出した胚、及び生育した植物の数
【0176】
[0176]表11A、11B及び11Cは、オーストラリア、NSW、Yellow Rockで2010年に実施した属間交雑受粉の結果を示す。後代の多様性を増大させるために、新しい雄性二倍体I.ベルシコロール及びグレビオニス種植物を、この交雑プログラムで雄性親として使用した。異数性四倍体の雌性アルギランセマム植物(植物の識別番号を、各表の最初の列に示す)を、雄性二倍体イスメリア・ベルシコロール及びグレビオニス種(植物の識別番号を、各表の一番上の行に示す)と交雑させた。発育したハイブリッド胚を、14〜21日目に回収し、胚救出した。表11Aは、各交雑について受粉した頭状花序の数を示す。表11Bは、回収した胚の数を示す。表11Cは、発芽し、温室の鉢に植えた胚の数を示す。
【表15】

【0177】
[0177]例えば、先の表11Aに示す通り、雌性アルギランセマム異数性四倍体植物09−2と雄性イスメリア・ベルシコロール二倍体植物09−25(1行目、1列目)との交雑で、3つの花を受粉させた。
【表16】

【0178】
[0178]例えば、先の表11Bに示す通り、雌性アルギランセマム異数性四倍体植物09−2と雄性イスメリア・ベルシコロール二倍体植物09−25の3回の受粉から(表11A、1行目、1列目)、66個の胚を救出した(表11B、1行目、1列目)。
【表17】

【0179】
[0179]例えば、先の表11Cに示す通り、救出した66個の胚(表11B)のうち、32個の胚が発芽し、温室で植物に生育した(表11C、1行目、1列目)。
実施例13−発育した属間ハイブリッド系統の染色体数
【0180】
[0180]表12は、表9、10及び11に示した交雑から発育したいくつかの属間ハイブリッド三倍体系統の染色体数を示す。1列目は植物の識別番号を示し、2列目は系統の系統を示し、3列目は染色体数を示し、4列目は確認された倍数性を示す。
【表18】

【0181】
[0181]表12に示す通り、属間ハイブリッド異数性三倍体の系統は、23〜27の染色体数の範囲であった。
実施例14−重弁花の三倍体の属間ハイブリッドを生産するための方法
【0182】
[0182]本発明のさらなる一態様は、重弁花の異数性三倍体の属間ハイブリッドの開発であった。かかる植物は、驚くべきことには、重弁花のための遺伝子(複数可)を有する異数性四倍体のアルギランセマム雌性親を使用し、やはり重弁花遺伝子(複数可)を含有することができる雄性親(イスメリア・ベルシコロール及びグレビオニス・コロナリアなど)の花粉を異数性四倍体のアルギランセマム雌性親に適用すると発育した。個々の交雑の組合せから生じた後代を、この特徴について分離し、任意の所与の科において、一重花からアネモネ、さらには完全な重弁花までの植物を選抜した。重弁花及びアネモネ花の後代の生産効率を改善するためには、雌性異数性四倍体のアルギランセマム植物及び雄性花粉の親が、重弁花又はアネモネの特徴を発現することが好ましい。しかし、かかる後代は、一重花のグレビオニス・コロナリアと交雑させたアネモネ花の異数性四倍体のアルギランセマム親(例えば、表11A、11B、11Cに見られる08−121×10−19)から、一重花5つ、重弁花4つ、及びアネモネ花1つの比で生産された。08−119×10−20を使用したさらなる交雑では、アネモネ頭状花序を備えて発育する3つの植物が得られた。08−121×10−21の交雑では、1つの重弁花及び1つの一重花植物が得られた。さらなる交雑では、一重花を有する雄性イスメリア・ベルシコロール親08−85の花粉を、異数性四倍体のアルギランセマム雌性親09−21(アネモネ花を有する)の頭状花序に適用した。発育した40の植物のうち、6つが重弁花であり、34が一重花であった。さらなる09−21×10−12の交雑では、34の植物が発育し、そのうち6つが重弁花であり、3つがアネモネ花であり、25が一重花であった。
実施例15−種の交雑−グレビオニス種とI.ベルシコロールのハイブリダイゼーションによる種のための方法
【0183】
[0183]本発明のさらなる一態様では、異数性四倍体の雌性親であるアルギランセマムとの交雑に使用した雄性親のいくつかは、驚くべきことにはそれら自体の間で交雑し、胚救出後に生存可能な後代を生産することが見出された。該植物は別個の属に由来し、異なる属の植物によって生存可能なハイブリッド胚が生産され得ることはまれであることから、この結果は予想外である。以下の親が交雑し、開花植物に生育する生存可能な後代を生産し得ることが見出された。
イスメリア・ベルシコロール×グレビオニス・セゲタム
グレビオニス・セゲタム×イスメリア・ベルシコロール
イスメリア・ベルシコロール×グレビオニス・コロナリア
グレビオニス・コロナリア×イスメリア・ベルシコロール
グレビオニス・セゲタム×グレビオニス・コロナリアの交雑によって胚が生じたが、植物の数に関して記録されたデータは利用できない。限られた数のグレビオニス・コロナリア×グレビオニス・セゲタムの交雑が完了した。
【0184】
[0184]これらのハイブリダイゼーションの後代を、後代の多様性をさらに増大させ、新しい遺伝子及び遺伝子の組合せを後代に組み込むために、異数性四倍体のアルギランセマム雌性親との交雑に雄性親として使用した。例えば、グレビオニス・セゲタムは、異数性四倍体のアルギランセマム雌性親と交雑させる場合、多くの後代を生産しない。グレビオニス・セゲタムをイスメリア・ベルシコロール(異数性四倍体のアルギランセマム雌性と容易に交雑して、望ましい後代を生産する)と交雑させることによって、グレビオニス・セゲタムの遺伝子を、異数性三倍体の後代に組み込んだ。この種類のハイブリダイゼーションは、架橋交雑(bridging cross)と呼ばれる。
実施例16−2010年の種間交雑受粉、救出した胚及び生育した植物の数
【0185】
[0185]以下の表13A、13B及び13Cは、オーストラリア、NSW、Yellow Rockで2010年に実施した種間交雑の結果を示す。雌性親系統を最初の列に示し、雄性親系統を各表の一番上の行に示し、それらの植物の識別番号によって列挙する。胚を、受粉の14〜21日後に救出した。表13Aは、各交雑について受粉した頭状花序の数を示す。表13Bは、救出した胚の数を示す。表13Cは、発芽し、温室の鉢に植えた胚の数を示す。
【表19】

【0186】
[0186]先の表13Aに示す通り、例えば、雌性グレビオニス・セゲタム植物08−89と雄性イスメリア・ベルシコロール植物08−80との交雑において、2個の頭状花序を受粉させた(16行目、6列目)。
【表20】

【0187】
[0187]先の表13Bに示す通り、雌性グレビオニス・セゲタム植物08−89と雄性イスメリア・ベルシコロール植物08−80の2回の受粉から、14個の胚を救出した(16行目、6列目)。
【表21】

【0188】
[0188]先の表13Cに示す通り、救出した14個の胚(表12B)のうち、10個の胚が発芽し、温室で植物に生育した(16行目、6列目)。
【0189】
[0189]いくつかの例示的態様及び実施形態を先に論じてきたが、当業者は、それらの特定の改変、置換、付加及び下位の組合せを認識されよう。したがって、以下の添付の特許請求の範囲及び今後導入される特許請求の範囲は、かかるすべての改変、置換、付加及び下位の組合せを、それらの真の精神及び範囲内に含まれるものとして包含すると解釈されることを企図する。
【0190】
[0190]本発明を説明する文脈(特に、以下の特許請求の範囲の文脈)における、用語「a」、「an」及び「the」並びに類似の指示対象の使用は、本明細書に別段示されず、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「包含する(including)」及び「含有する(containing)」という用語は、別段指定されない限り制限のない用語(すなわち「それに限定されるものではないが、含む」を意味する)と解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書に別段の指示がない限り、その範囲に含まれるそれぞれ別個の値を個々に参照する省略法として働くことを単に企図し、それぞれ別個の値は、それがあたかも本明細書に個々に記載されるように本明細書に組み込まれる。例えば、範囲10〜15が開示される場合、11、12、13及び14も開示されている。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書に別段指定されず、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書に提示の任意のすべての例又は例示的用語(例えば「など」)の使用は、単に本発明をより明らかにするためのものであり、別段特許請求されない限り、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書では、特許請求されていない任意の要素が本発明の実施に必須であることを示すと解釈されるべき用語はない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌性親としての異数性四倍体のアルギランセマム植物と、イスメリア・ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の雄性親植物との交雑から生産される属間ハイブリッド植物。
【請求項2】
雌性親としての異数性四倍体のアルギランセマム植物と、雄性親としてのイスメリア・ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の雄性親植物との交雑から生産される属間ハイブリッド植物の植物部分。
【請求項3】
プロトプラスト、葉、茎、根、根端、葯、雌しべ、種子、胚、花粉、胚珠、子葉、胚軸、頭状花序(capitulum)、舌状花(ray floret)、管状花(disc floret)、苗条(shoot)、組織、葉柄、細胞及び分裂組織細胞からなる群から選択される、請求項2に記載の植物部分。
【請求項4】
請求項1に記載の植物からクローン繁殖させる属間ハイブリッド植物又はその植物部分。
【請求項5】
a.雌性親としての異数性四倍体のアルギランセマム植物を、雄性親としてのイスメリア・ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の植物と交雑するステップと、
b.前記交雑から胚を生産するステップと、
c.前記胚に対して胚救出を使用するステップと、
d.前記胚から生育した属間ハイブリッド植物を得るステップと、
を含む、属間ハイブリッド植物を生産する方法。
【請求項6】
a.イスメリア・ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の植物である第1の植物と、異数性四倍体のアルギランセマム植物である第2の植物とを生産するステップと、
b.前記第1の植物から花粉を収集するステップと、
c.この花粉を用いて前記第2の植物の花に受粉させるステップと、
d.組織培養における胚救出によって前記受粉から生じた胚を単離するステップと、
e.前記胚の生育から生じた属間ハイブリッド植物を得るステップと、
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法によって生産される属間ハイブリッド植物又はその部分。
【請求項8】
請求項6に記載の方法によって生産される属間ハイブリッド植物又はその部分。
【請求項9】
a.雌性親としての異数性四倍体のアルギランセマム植物と、雄性親としてのイスメリア・ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の植物との交雑から生産された属間ハイブリッド植物の挿し木を得るステップと、
b.前記挿し木を生育させて属間ハイブリッド植物を得るステップと、
を含む、属間ハイブリッド植物を生産する方法。
【請求項10】
前記挿し木の基部に植物ホルモン組成物を適用して根の形成を誘発するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法によって生産される属間ハイブリッド植物。
【請求項12】
アルギランセマム植物の染色体数を変更して異数性四倍体を生産する方法であって、
a.前記アルギランセマム植物を生育させるステップと、
b.前記植物に抗有糸分裂薬を適用するステップと、
c.前記植物から苗条を出芽させるステップと、
d.前記異数性四倍体の苗条を選抜するステップと、
e.前記苗条の染色体組を評価するステップと、
f.前記苗条を植物に生育させるステップと、
g.前記植物の染色体安定性を検査するステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記変更した染色体数が異数性四倍体である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法によって生産される異数性四倍体植物。
【請求項15】
プロトプラスト、葉、茎、根、根端、葯、雌しべ、種子、胚、花粉、胚珠、子葉、胚軸、頭状花序(capitulum)、舌状花(ray floret)、管状花(disc floret)、苗条(shoot)、組織、葉柄、細胞及び分裂組織細胞からなる群から選択される、請求項14に記載の異数性四倍体のアルギランセマム植物の植物部分。
【請求項16】
請求項15に記載の植物部分からクローン繁殖させる、アルギランセマム植物又はその部分。
【請求項17】
1つ又は複数の属間ハイブリッド植物が請求項1に記載の交雑から生産される、前記交雑から生産される属間ハイブリッド植物又はその部分。
【請求項18】
1つ又は複数の属間ハイブリッド植物が請求項2に記載の交雑から生産される、前記交雑から生産される属間ハイブリッド植物又はその部分。
【請求項19】
1つ又は複数の属間ハイブリッド植物が請求項5に記載の方法から生産される、前記方法から生産される属間ハイブリッド植物又はその部分。
【請求項20】
1つ又は複数の属間ハイブリッド植物が請求項6に記載の方法から生産される、前記方法から生産される属間ハイブリッド植物又はその部分。
【請求項21】
1つ又は複数の属間ハイブリッド植物が請求項9に記載の方法から生産される、前記方法から生産される属間ハイブリッド植物又はその部分。
【請求項22】
a.重弁花表現型を発現するための1つ又は複数の遺伝子を有する雌性親である異数性四倍体のアルギランセマムを、雄性親としてのイスメリア・ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の植物と交雑するステップと、
b.前記交雑から胚を生産するステップと、
c.前記胚に対して胚救出を使用するステップと、
d.前記胚から生育した属間アネモネ又は重弁花植物を得るステップと、
を含む、アネモネ又は重弁花との属間ハイブリッド植物を生産する方法。
【請求項23】
前記変更した染色体数が、32、33、34、35、36、37、38又は39である、請求項12に記載の方法。
【請求項24】
前記植物が、23、24、25、26、27、28又は29の染色体数を有する、請求項1に記載の属間ハイブリッド植物。
【請求項25】
a.雄性親として生育した前記属間ハイブリッド植物を、雌性親である異数性四倍体のアルギランセマムと交雑するステップと、
b.前記交雑から胚を生産するステップと、
c.前記胚に対して胚救出を使用するステップと、
d.前記胚から生育した属間ハイブリッド植物を得るステップと、
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項26】
a.雄性親として生育した前記属間ハイブリッド植物を、雌性親としてのイスメリア・ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の植物と交雑するステップと、
b.前記交雑から胚を生産するステップと、
c.前記胚に対して胚救出を使用するステップと、
d.前記胚から生育した属間ハイブリッド植物を得るステップと、
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項27】
a.雌性親として生育した前記属間ハイブリッド植物を、雄性親としてのイスメリア・ベルシコロール及びグレビオニス種からなる群の植物と交雑するステップと、
b.前記交雑から胚を生産するステップと、
c.前記胚に対して胚救出を使用するステップと、
d.前記胚から生育した属間ハイブリッド植物を得るステップと、
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項28】
a.雌性親としての異数性四倍体のアルギランセマム植物を、ハイブリッドの雄性親と交雑するステップと、
b.前記交雑から胚を生産するステップと、
c.前記胚に対して胚救出を使用するステップと、
d.前記胚から生育した属間ハイブリッド植物を得るステップと、
を含む、属間ハイブリッド植物を生産する方法。
【請求項29】
前記雄性親が、イスメリア・ベルシコロールとグレビオニス・セゲタムの属間交雑から得られたハイブリッドである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記雄性親が、イスメリア・ベルシコロールとグレビオニス・コロナリアの属間交雑から得られたハイブリッドである、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記雄性親が、グレビオニス・セゲタムとグレビオニス・コロナリアの種間交雑から得られたハイブリッドである、請求項28に記載の方法。

【公開番号】特開2012−152209(P2012−152209A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−209666(P2011−209666)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(511232433)ボンザ ボタニカルズ ピーティーワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】