説明

アルコキシイミダゾール−1−イルメチルビフェニルカルボン酸の結晶形

本発明は、4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸の結晶性遊離塩基形態を提供する。また、本発明は、結晶性化合物を含む医薬組成物、結晶性化合物を調製するためのプロセスおよび中間体、ならびに高血圧などの疾患を処置するための結晶性化合物の使用方法も提供する。本発明の別の態様は、式Iの化合物の結晶形を、1つまたは複数の他の治療剤と組み合わせて含む組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンジオテンシンII 1型受容体拮抗活性およびネプリライシン阻害活性を有する、アルコキシイミダゾール−1−イルメチルビフェニルカルボン酸の新規結晶形に関する。また、本発明は、結晶性化合物を含むまたはそのような化合物から調製した医薬組成物、結晶性化合物を調製するためのプロセスおよび中間体、ならびに高血圧などの疾患を処置するためのそのような化合物の使用方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
2008年4月23日に出願の、どちらもAllegrettiらの同一出願人による特許文献1および特許文献2は、AT受容体拮抗活性およびネプリライシン(NEP)酵素阻害活性を保有する新規化合物を開示しており、その開示は本明細書中に参考として組み込まれている。特に、化合物4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸がこれらの出願中で具体的に開示されている。
【0003】
4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸の化学構造は式Iによって表される。
【0004】
【化1】

【0005】
長期保管用の化合物を調製する場合ならびに医薬組成物および配合物を調製する場合、多くの場合、吸湿性でも潮解性でもない治療剤の結晶形を有することが望ましい。また、顕著に分解せずに材料を加工、たとえば微粒子化することを可能にする、比較的高い融点(すなわち約150℃より高い)を有する結晶形を有することも有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許公開第2008/0269305号明細書
【特許文献2】米国特許公開第2009/0023228号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
式Iの化合物の結晶形はこれまでに報告されていない。したがって、許容されるレベルの吸湿性および比較的高い融点を有する、式Iの化合物の安定な非潮解性の形態の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸の結晶形に関する。
【0009】
本発明の一態様は、式Iの化合物の結晶形を調製するプロセスに関する。一実施形態では、4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸の結晶形を調製するプロセスは、4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸を不活性希釈剤と接触させて混合物を形成することと、混合物を約25℃〜約50℃まで加熱することと、混合物を冷却して結晶形を形成することとを含む。
【0010】
本発明の別の態様は、4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸を精製するプロセスに関する。一実施形態では、このプロセスは、4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)−メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸の結晶形を形成することを含む。また、本発明は、本明細書中に記載のプロセスによって調製した生成物にも関する。
【0011】
本発明の一態様は、製薬上許容される担体と4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸の結晶形とを含む医薬組成物に関する。
【0012】
本発明の別の態様は、式Iの化合物の結晶形を、1つまたは複数の他の治療剤と組み合わせて含む組成物に関する。したがって、一実施形態では、本発明は、(a)製薬上許容される担体および治療上有効な量の式Iの化合物の結晶形、ならびに(b)治療上有効な量の、利尿剤、βアドレナリン作動性受容体遮断剤、カルシウムチャネル遮断剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、AT受容体拮抗剤、ネプリライシン阻害剤、非ステロイド性抗炎症剤、プロスタグランジン、抗脂質剤、抗糖尿病剤、抗血栓剤、レニン阻害剤、エンドセリン受容体拮抗剤、エンドセリン変換酵素阻害剤、アルドステロン拮抗剤、アンジオテンシン変換酵素/ネプリライシン阻害剤、バソプレシン受容体拮抗剤、およびその組合せから選択される薬剤を含み、結晶形および薬剤を一緒にまたは別々に配合する組成物に関する。薬剤を別々に配合する場合、製薬上許容される担体を含め得る。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、処置を必要としている患者に、治療上有効な量の4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸の結晶形を投与することを含む、高血圧または心不全を処置する方法に関する。
【0014】
また、本発明は、医薬品を製造するための4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸の結晶形の使用にも関する。さらに、本発明は、医薬品を製造するため、特に高血圧または心不全を処置する医薬品を製造するための4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸の結晶形の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
添付の図面を参照して本発明の様々な態様を例示する。
【図1】図1は、式Iの化合物の結晶形の粉末X線回折(PXRD)パターンを示す図である。
【図2】図2は、式Iの化合物の結晶形の示差走査熱量(DSC)温度記録計を示す図である。
【図3】図3は、式Iの化合物の結晶形の熱重量分析(TGA)のトレースを示す図である。
【図4】図4は、式Iの化合物の結晶形の動的水分収着(DMS)プロフィールを示す図である。
【図5】図5は、式Iの化合物の結晶形の赤外線(IR)吸収スペクトルを示す図である。
【図6】図6は、式Iの化合物の結晶形の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸の結晶形を提供する。この結晶形はどの対イオンとも会合しておらず、本明細書中で遊離塩基結晶形と呼ぶ。
【0017】
活性薬剤(すなわち式Iの化合物)は1つのキラル中心を含有し、(S)立体配置を有する。しかし、当業者には、別段に指定しない限りは、全体としての組成物の有用性がそのような異性体の存在によって排除されない限りは、少量の(R)立体異性体が本発明の組成物中に存在し得ることが理解されよう。さらに、式Iの化合物は塩基性部分(イミダゾール)および酸性部分(カルボン酸)をどちらも含有するため、これは双性イオンとして存在し得る。
【0018】
本発明は、4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸の結晶形を提供する。驚くべきことに、この結晶形は、大気の水分に曝された場合にも潮解性でないことが判明した。さらに、本発明の結晶性化合物は許容されるレベルの吸湿性および高い融点を有する。
【0019】
式Iの化合物はAT受容体拮抗活性およびNEP阻害活性を有する。式Iの化合物の結晶形は、同じ活性、したがって高血圧および心不全などの疾患の処置において同じ有用性を有することが予想される。したがって、他の使用のなかでとりわけ、式Iの化合物の結晶形は、高血圧または心不全を処置するための医薬組成物の調製に有用である。
【0020】
式Iの化合物は市販のAutoNomソフトウェア(MDL、San Leandro,California)を用いて命名した。
【0021】
定義
本発明の化合物、組成物、方法およびプロセスを説明する場合、別段に指定しない限りは、以下の用語は以下の意味を有する。さらに、本明細書中で使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」には、使用する文脈により明らかにそうでないと指示される場合以外は、対応する複数形が含まれる。用語「含む(comprising)」、「含める(including)」、および「有する(having)」は包括的であることを意図し、記載した要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。本明細書中で使用する成分の量および分子量、反応条件などの特性等を表すすべての数値は、別段に指定しない限りは、すべての場合で用語「約」によって修飾されると理解されたい。したがって、本明細書中に記載する数値は、本明細書によって得ようとする所望の特性に応じて変動し得る近似である。少なくとも、特許請求の範囲の均等物の教義の適用を限定する試みとしてではなく、それぞれの数値は、少なくとも報告した有効桁に鑑みて、かつ通常の四捨五入の技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0022】
本明細書中で使用する場合、語句「式を有する」または「構造を有する」とは、限定することを意図せず、用語「含む」が一般的に使用される様式と同じように使用する。
【0023】
本明細書中で使用する場合、用語「融点」とは、固体から液体への相変化に対応する熱転移の、示差走査熱量によって最大の吸熱熱流が観察される温度を意味する。
【0024】
用語「製薬上許容される」とは、本発明中で使用した場合に生物学的または他の様式で許容されないものではない材料をいう。たとえば、用語「製薬上許容される担体」とは、許容されない生物学的効果を引き起こさずに、または組成物の他の構成要素と許容されない様式で相互作用せずに、組成物内に取り込ませて患者に投与することができる材料をいう。そのような製薬上許容される材料は、典型的には毒性および製造の試験の必須の基準を満たし、米国食品医薬品局によって適切な不活性成分として同定された材料が含まれる。
【0025】
用語「治療上有効な量」とは、それを必要としている患者に投与した場合に処置をもたらすために十分な量、すなわち、所望の治療効果を得るために必要な薬物の量を意味する。たとえば、高血圧を処置するために治療上有効な量とは、たとえば、高血圧の症状を低下、抑制、排除もしくは予防する、または高血圧の根底にある原因を処置するために必要な化合物の量である。一実施形態では、治療上有効な量とは、血圧を低下させるために必要な量、または正常な血圧を維持するために必要な薬物の量である。他方で、用語「有効量」とは、所望の結果を得るために十分な量を意味し、これは必ずしも治療的な結果でなくてもよい。たとえば、AT受容体を含む系を研究する場合、「有効量」とは受容体を拮抗するために必要な量であり得る。
【0026】
本明細書中で使用する場合、用語「処置すること」または「処置」とは、哺乳動物(特にヒト)などの患者において疾患または病状(高血圧など)を処置することまたはその処置を意味し、(a)疾患もしくは病状を未然に予防すること、すなわち、患者の予防的処置を行なうこと、(b)患者において疾患もしくは病状を排除するもしくはその回帰を引き起こすことなどによって、疾患もしくは病状を寛解させること、(c)患者において疾患もしくは病状の発生を遅らせるもしくは停止させることなどによって、疾患もしくは病状を抑制すること、または(d)患者において疾患もしくは病状の症状を軽減させることが含まれる。たとえば、用語「高血圧の処置」には、高血圧を未然に予防すること、高血圧を寛解させること、高血圧を抑制すること、および高血圧の症状を軽減させること(たとえば血圧を下げること)が含まれる。用語「患者」には、処置または疾患の予防を必要としている、あるいは疾患の予防または具体的な疾患もしくは病状の処置ついて現在処置されている、ヒトなどの哺乳動物が含まれることを意図する。また、用語「患者」には、本発明の化合物を評価中の試験対象またはアッセイで使用中の試験対象、たとえば動物モデルも含まれる。
【0027】
一般合成手順
本発明の結晶性化合物は、以下および実施例中に記載のように、容易に入手可能な出発物質から合成することができる。本発明の結晶性化合物を生成するために使用できる方法はいくつか存在する。しかし、結晶含有量ならびに結晶の晶癖(大きさおよび形状)は、調製方法および溶媒組成に部分的に基づいて変動し得ることに注意されたい。結晶は、板および針の形態学を有するものとして観察されている。
【0028】
具体的なプロセス条件(すなわち、結晶化の温度、時間、反応物質のモル比、溶媒、圧力など)を与えるが、別段に記述しない限りは他のプロセス条件も使用できることを理解されたい。一部の例では、反応または結晶化を室温で実施し、実際の温度測定は行なわなかった。室温とは、実験室環境における周囲温度に一般的に関連する範囲内の温度を意味するととることができ、典型的には約25℃〜約50℃の範囲であることを理解されたい。他の例では、反応または結晶化を室温で実施し、温度を実際に測定および記録した。
【0029】
一般に、結晶化は適切な不活性希釈剤または溶媒の系中で実施し、その例には、それだけには限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、酢酸エチル、アセトニトリル、ジクロロメタン、メチルt−ブチルエーテルなど、およびその混合物が含まれ、任意選択で水を含有する。前述の結晶化のうちの任意のものが完了した後、沈殿、濃縮、遠心分離などの任意の慣用の手段によって結晶性化合物を反応混合物から単離することができる。
【0030】
本発明で用いる4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]−イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸は、市販の出発物質および試薬から、実施例に記載の手順を用いて、または本出願の背景技術のセクションに記載した同一出願人による米国出願に記載の手順を用いて、容易に調製することができる。本発明の方法に記載のモル比は、当業者が利用可能な様々な方法によって容易に決定することができる。たとえば、そのようなモル比はH NMRによって容易に決定することができる。あるいは、元素分析およびHPLC方法を用いてモル比を決定することができる。
【0031】
一般に、式Iの化合物の結晶形は、4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]−イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸を不活性希釈剤で処理して完全に溶解させることによって、調製することができる。適切な不活性希釈剤には、例として示しそれに限定するものではないが、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、水などが含まれる。他の適切な不活性希釈剤には、例として示しそれに限定するものではないが、アセトンと水、アセトニトリルと水、およびメタノールと水などの、不活性希釈剤の組合せが含まれる。具体的な一実施形態では、不活性希釈剤は、アセトン、アセトニトリルまたはアセトンと水との組合せである。一般に、溶解は、約20℃〜約50℃の範囲の温度、一実施形態では約30〜45℃の範囲の温度、別の実施形態では約15〜25℃の温度で実施する。その後、溶液を冷却して本発明の結晶性化合物を形成させる。具体的な一実施形態では、溶液を25℃などの約20〜30℃まで、別の実施形態では4℃などの約0〜8℃まで冷却する。適切な時間の後、結晶が観察される。一実施形態では、結晶は、約20〜24時間の期間の後、別の実施形態では約4時間の期間の後に観察される。結晶が観察された後、母液の体積を減らし、結晶を単離および乾燥させることができる。
【0032】
一実施形態では、本発明の結晶性化合物は、4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]−イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸をアセトンで処理して完全に溶解させ、冷却して結晶化をもたらすことによって調製する。その後、生じる固体を単離および乾燥させて、本発明の結晶性化合物を得ることができる。典型的には、このプロセスは、前述の温度範囲のうちの任意のもので実施することができる。一実施形態では、溶解ステップを約30〜45℃、たとえば約35〜40℃で実施し、冷却ステップを約0〜8℃、たとえば約4℃で実施する。
【0033】
別の実施形態では、本発明の結晶性化合物は、4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]−イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸をアセトニトリルで処理して完全に溶解させ、冷却して結晶化をもたらすことによって調製する。その後、生じる固体を単離および乾燥させて、本発明の結晶性化合物を得ることができる。典型的には、このプロセスは、前述の温度範囲のうちの任意のもので実施することができる。一実施形態では、溶解ステップを約30〜45℃、たとえば約35℃で実施し、冷却ステップを約0〜8℃、たとえば約4℃で実施する。
【0034】
別の実施形態では、本発明の結晶性化合物は、4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイル−アミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸のチオールで保護された形態を用いて調製する。この方法は、4’−{5−[((S)−2−アセチルスルファニル−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]−2−エトキシ−4−エチルイミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸をメタノール中で脱保護し、水を加えて完全に溶解させ、冷却して結晶化をもたらすことを含む。標準の脱保護の技術ならびにNaOH、ナトリウムメトキシド、第一級アルキルアミン、およびヒドラジンなどの試薬を使用してチオール保護基を除去し得る。脱保護ステップには、1,4−ジチオスレイトールなどの還元剤が含まれ得る。その後、生じる固体を単離および乾燥させて、本発明の結晶性化合物を得ることができる。典型的には、このプロセスは、前述の温度範囲のうちの任意のもので実施することができる。一実施形態では、脱保護ステップを約−5℃〜5℃、たとえば約0℃で実施し、溶解ステップを約15〜25℃、たとえば約20℃で実施し、冷却ステップを約0〜8℃、たとえば約4℃で実施する。
【0035】
結晶特性
他の利点のなかでとりわけ、式Iの化合物の結晶形の形成は、化合物自体の精製に有用であることが発見されている。たとえば、本発明の結晶性化合物は98.5%の純度を有する。
【0036】
粉末X線回折の分野では周知のように、PXRDスペクトルの相対的なピーク高さは試料の調製および機器の形状に関連するいくつかの要因に依存する一方で、ピークの位置は実験の詳細に比較的鈍感である。PXRDパターンを実施例3に記載のように得た。したがって、一実施形態では、本発明の結晶性化合物は、特定のピーク位置を有するPXRDパターンによって特徴づけられる。
【0037】
式Iの化合物の結晶形は、ピーク位置が図1に示すものに実質的に従うPXRDパターンによって特徴づけられている。これらのピークを、相対強度の降順で以下に記載する。
【0038】
【表1】

【0039】
したがって、一実施形態では、本発明の結晶性化合物は、6.66±0.20、9.8±0.20、および18.12±0.20の2θ値で回折ピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンによって特徴づけられており、12.68±0.20、13.54±0.20、15.02±0.20、19.32±0.20、21.20±0.20、22.62±0.20、24.56±0.20、25.30±0.20、25.96±0.20、および27.32±0.20から選択される2θ値で1つまたは複数の追加の回折ピークを有することによってさらに特徴づけられている。
【0040】
示差走査熱量(DSC)のトレースを実施例4に記載のように得た。したがって、一実施形態では、本発明の結晶性化合物は、そのDSC温度記録計によって特徴づけられている。一実施形態では、図2に示されるように、本発明の結晶性化合物は、約144℃の融点を示し、約150℃未満で著しい熱分解がないDSC温度記録計によって特徴づけられている。
【0041】
実施例4に記載のように熱重量分析(TGA)を本発明の結晶性化合物で行なった。したがって、一実施形態では、本発明の結晶性化合物は、そのTGAのトレースによって特徴づけられている。一実施形態では、図3に示されるように、本発明の結晶性化合物は、約200℃未満の温度(これは融点よりも著しく高い)で溶媒および/または水の損失(1.8%)を示すTGAのトレースによって特徴づけられている。
【0042】
本発明の結晶性化合物は、許容されるレベルの吸湿性を有する可逆的な収着/脱離プロフィールを有することが実証されている。たとえば、図4に示されるように、式Iの化合物の結晶形は吸湿性の性向を有さないまたは最小限しか有さず、75%までの相対湿度に曝された際に約1%未満の重量増加しか示さなかった。
【0043】
本発明の結晶性化合物の赤外線(IR)吸収スペクトルを実施例10に記載のように得た。したがって、一実施形態では、図5に示されるように、本発明の結晶性化合物は、3324±1、2958±1、2872±1、2527±1、1709±1、1643±1、1551±1、1500±1、1357±1、1254±1、1133±1、1062±1、869±1、799±1、759±1、および695±1cm−1で有意な吸収バンドを有するIR吸収スペクトルによって特徴づけられている。
【0044】
さらに、本発明の結晶性化合物は、高温に曝された際に安定であることが判明している。たとえば、40℃で28日間保管した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による結晶性遊離塩基の分析では最小限の化学分解しか示されなかった。
【0045】
本発明の結晶性化合物のこれらの特性を、以下の実施例中にさらに例示する。
【0046】
有用性
式Iの化合物はアンジオテンシンII 1型(AT)受容体拮抗活性およびネプリライシン(NEP)阻害活性を保有する、すなわち、化合物は酵素−基質の活性を阻害することができる。AT受容体に対する化合物の親和性の1つの測度は、AT受容体との結合の阻害定数(K)である。pK値とは、Kの10を底とする負の対数である。化合物がNEP活性を阻害する能力の1つの測度は阻害濃度(IC50)であり、これは、NEP酵素による基質変換の最大半量阻害をもたらす化合物の濃度である。pIC50値とは、IC50の10を底とする負の対数である。式Iの化合物は、約7.0以上のAT受容体でのpKを示し、約7.0以上のNEPに対するpIC50を示す。
【0047】
AT受容体結合および/またはNEP阻害活性などの、式Iの化合物および本発明の結晶性化合物の特性を決定するための例示的なアッセイを実施例に記載し、例として示しそれに限定するものではないが、ATおよびATの結合(アッセイ1に記載)、ならびにNEP阻害(アッセイ2に記載)を測定するためのアッセイが含まれる。有用な第二アッセイには、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害(やはりアッセイ2に記載)およびアミノペプチダーゼP(APP)阻害(Sulpizioら、(2005)JPET、315:1306−1313に記載)を測定するためのアッセイが含まれる。麻酔下のラットにおいてACE、AT、およびNEPに対するin vivo阻害効力を評価するための薬力学的アッセイは、どちらもAllegrettiらの米国公開第2008/0269305号および第2009/0023228号に記載されており(Seymourら、Hypertension、7(補遺I):I−35−I−42、1985およびWigleら、Can.J.Physiol.Pharmacol.、70:1525−1528、1992も参照)、AT阻害はアンジオテンシンII昇圧応答のパーセント阻害として測定し、ACE阻害はアンジオテンシンI昇圧応答のパーセント阻害として測定し、NEP阻害は尿中の環状グアノシン3’,5’−一リン酸(cGMP)排出量の増加として測定する。有用なin vivoアッセイには、意識のある自然発症高血圧ラット(SHR)モデル、すなわちAT受容体遮断の測定に有用なレニン依存性高血圧モデル(どちらもAllegrettiらの米国公開第2008/0269305号および第2009/0023228号に記載、Intenganら、(1999)Circulation 100(22):2267−2275およびBadyalら、(2003)Indian Journal of Pharmacology、35:349−362も参照)、ならびに意識のあるデスオキシコルチコステロン酢酸塩(DOCA塩)ラットモデル、すなわちNEP活性の測定に有用な体積依存性高血圧モデル(どちらもAllegrettiらの米国公開第2008/0269305号および第2009/0023228号に記載、Trapaniら、(1989)J.Cardiovasc.Pharmacol.、14:419−424、Intenganら、(1999)Hypertension、34(4):907−913、およびBadyalら、(2003)上記も参照)が含まれる。SHRおよびDOCA塩モデルはどちらも、血圧を低下させる試験化合物の能力を評価するために有用である。また、DOCA塩モデルは、血圧の上昇を予防または遅延させる試験化合物の能力を測定するためにも有用である。式Iの化合物および本発明の結晶性化合物は、上記のアッセイのうちの任意のもの、または同様の性質のアッセイにおいて、AT受容体を拮抗し、NEP酵素を阻害すると予想される。したがって、前述のアッセイは、本発明の結晶性化合物の治療的有用性、たとえば降圧剤としてのその有用性を決定するために有用である。結晶性化合物の他の特性および利用性は、当業者に周知の他のin vitroおよびin vivoアッセイを用いて実証することができる。
【0048】
したがって、式Iの化合物の結晶形は、AT受容体拮抗およびNEP阻害に応答性の病状の処置および/または予防において、有用性が見つかると予想される。たとえば、AT受容体を拮抗し、したがってアンジオテンシンIIのその受容体に対する作用を妨害することによって、本発明の結晶性化合物は、強力な昇圧剤であるアンジオテンシンIIによって生じる血圧の増加の予防において、有用性が見つかると予想される。さらに、NEPを阻害することによって、結晶性化合物は、ナトリウム利尿ペプチド、ボンベシン、ブラジキニン、カルシトニン、エンドセリン、エンケファリン、ニューロテンシン、サブスタンスPおよび血管作動性腸管ペプチドなどの、NEPによって代謝される内在性ペプチドの生物学的効果を増強させるとも予想される。たとえば、ナトリウム利尿ペプチドの効果を増強することによって、結晶性化合物は、緑内障の処置に有用であることが予想される。また、この結晶性化合物は、他の生理的作用、たとえば、腎臓系、中枢神経系、生殖器系および胃腸管系に対する作用を有することも予想される。
【0049】
本発明の結晶性化合物は、心血管病および腎臓病などの病状を処置および/または予防することにおいて、有用性が見つかると予想される。特に興味深い心血管病には、鬱血性心不全、急性心不全、慢性心不全、ならびに急性および慢性の非代償性心不全などの心不全が含まれる。特に興味深い腎臓病には糖尿病性腎症および慢性腎臓病が含まれる。本発明の一実施形態は、患者に治療上有効な量の本発明の結晶性化合物を投与すること含む、高血圧を処置する方法に向けられている。典型的には、治療上有効な量とは、患者の血圧を下げるために十分な量である。一実施形態では、結晶性化合物は経口剤形として投与する。
【0050】
本発明の別の実施形態は、患者に治療上有効な量の本発明の結晶性化合物を投与することを含む、心不全を処置する方法に向けられている。典型的には、治療上有効な量とは、血圧を下げるおよび/または腎機能を向上させるために十分な量である。一実施形態では、結晶性化合物は静脈内剤形として投与する。心不全を処置するために使用する場合、結晶性化合物は、利尿剤、ナトリウム利尿ペプチド、およびアデノシン受容体拮抗剤などの他の治療剤と組み合わせて投与し得る。
【0051】
また、本発明の結晶性化合物は、予防的治療、たとえば、心筋梗塞後の心不全の進行の予防、血管形成術後の動脈再狭窄の予防、血管手術後の血管壁の肥厚の予防、アテローム性動脈硬化症の予防、および糖尿病性血管障害の予防においても有用であると予想される。
【0052】
さらに、NEP阻害剤としては、本発明の結晶性化合物はエンケファリナーゼを阻害すると予想され、これは内在性エンケファリンの分解を阻害し、したがって、そのような化合物は鎮痛剤としても有用性が見つかり得る。また、そのNEP阻害特性が原因で、結晶性化合物は、鎮咳剤および止痢剤(たとえば水様下痢を処置するため)としても有用であると予想され、また、月経障害、早産、子癇前症、子宮内膜症、生殖障害(たとえば、男性および女性の不妊症、多嚢胞性卵巣症候群、着床不全)、ならびに男性勃起不全および女性性的興奮障害を含めた、男性および女性の性機能不全の処置においても有用性が見つかる。より具体的には、結晶性化合物は、女性患者が性的表現において満足を見い出すことが困難またはできないこととして多くの場合定義される、女性性機能不全の処置において有用であると予想される。これは、例として示しそれに限定するものではないが、性的欲求低下障害、性的興奮障害、オルガスム障害および性交痛障害を含めた様々な多様な女性性的障害に及ぶ。そのような障害、特に女性性機能不全を処置するために使用した場合、結晶性化合物は、以下の第二薬剤、すなわち、PDE5阻害剤、ドーパミン作用剤、エストロゲン受容体作用剤および/または拮抗剤、アンドロゲン、ならびにエストロゲンのうちの1つまたは複数と組み合わせ得る。
【0053】
1回の投薬あたり投与する本発明の結晶性化合物の量または1日あたり投与する合計量は、事前に決定し得るか、または、患者の状態の性質および重篤度、処置する状態、患者の年齢、重量、および全体的な健康、活性薬剤に対する患者の寛容、投与経路、ならびに化合物および投与する任意の第二薬剤の活性、有効性、薬物動態学および毒性学プロフィールなどの薬理学的考慮等を含めた数々の要因を考慮して個々の患者に基づいて決定し得る。疾患または病状(高血圧など)を患っている患者の処置は、事前に決定された投薬量または処置する医師によって決定された投薬量から開始することができ、疾患または病状の症状を予防、寛解、抑制、または緩和させるために必要な期間の間続ける。そのような処置を受けている患者は、典型的には、治療の有効性を決定するためにルーチンに基づいて監視する。たとえば、高血圧の処置において、血圧の測定を使用して処置の有効性を決定し得る。本明細書中に記載の他の疾患および状態の同様の指標は周知であり、処置する医師が容易に利用可能である。医師による連続的な監視は、任意の所定の時点で最適な量の結晶性化合物が投与されることを保証し、また、処置の期間の決定を容易にする。これは、第二薬剤も投与する場合、その選択、投薬量、および治療期間も調整を必要とし得るため、特に貴重である。このようにして、所望の有効性を示す最小量の活性薬剤が投与され、さらに、疾患または病状の処置が成功するために必要な長さだけ投与を続けられるように、処置レジメンおよび投薬スケジュールを治療の経過にわたって調整することができる。
【0054】
本発明の結晶性化合物はAT受容体拮抗活性およびNEP酵素阻害活性を保有するため、AT受容体またはNEP酵素を有する生物系または試料を調査または研究するため、たとえば、AT受容体またはNEP酵素が役割を果たす疾患を研究するための研究ツールとしても有用である。AT受容体および/またはNEP酵素を有する任意の適切な生物系または試料をそのような研究で用いてよく、これはin vitroまたはin vivoのどちらで実施してもよい。そのような研究に適した代表的な生物系または試料には、それだけには限定されないが、細胞、細胞抽出物、形質膜、組織試料、単離した器官、哺乳動物(マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ブタ、ヒトなど)等が含まれ、哺乳動物が特に興味深い。本発明の具体的な一実施形態では、哺乳動物中のAT受容体は、ATを拮抗する量の結晶性化合物を投与することによって拮抗する。別の特定の実施形態では、哺乳動物中のNEP酵素活性は、NEPを阻害する量の結晶性化合物を投与することによって阻害する。また、結晶性化合物は、そのような化合物を用いた生物学的アッセイを実施することによって研究ツールとして使用することもできる。
【0055】
研究ツールとして使用する場合、AT受容体および/またはNEP酵素を含む生物系または試料を、典型的には、AT受容体を拮抗するまたはNEP酵素を阻害する量の結晶性化合物と接触させる。生物系または試料を結晶性化合物に曝露した後、AT受容体を拮抗するおよび/またはNEP酵素を阻害する効果を、慣用の手順および機材を用いて、たとえば、結合アッセイにおいて受容体結合を測定することまたは機能的アッセイにおいてリガンドに媒介される変化を測定することよって決定する。曝露には、細胞または組織を化合物と接触させること、化合物を哺乳動物に、たとえば腹腔内、静脈内または皮下投与によって投与することなどが包含される。この決定ステップは、応答を測定すること(定量分析)を含むことができるか、または観察を行なうこと(定性分析)を含むことができる。応答の測定は、たとえば、放射性リガンド結合アッセイおよび機能的アッセイにおけるリガンドに媒介される変化の測定などの慣用の手順および機材を用いて、生物系または試料に対する結晶性化合物の効果を決定することを含む。アッセイの結果を用いて、活性レベルならびに所望の結果を達成するために必要な化合物の量、すなわち、AT受容体を拮抗するおよび/またはNEP酵素を阻害する量を決定することができる。典型的には、決定ステップは、AT受容体リガンドに媒介される効果を決定することおよび/またはNEP酵素を阻害する効果を決定することを含む。
【0056】
さらに、本発明の結晶性化合物は、他の化学物質を評価するための研究ツールとして使用することができ、したがって、たとえば、AT受容体拮抗活性および/またはNEP阻害活性を有する新しい化合物を発見するためのスクリーニングアッセイにも有用である。このようにして、結晶性化合物は、試験化合物および結晶性化合物で得られた結果を比較して、ほぼ同等または優れた活性を有する試験化合物が存在する場合はそれを同定することを可能にするアッセイにおいて、標準として使用する。たとえば、試験化合物または試験化合物の群のKデータ(たとえば結合アッセイによって決定)を本発明の結晶性化合物のKデータと比較して、所望の特性を有する試験化合物、たとえば、本発明の化合物とほぼ同等または優れたK値を有する試験化合物が存在する場合はそれを同定する。本発明のこの態様には、別々の実施形態として、比較データを作成すること(適切なアッセイを使用)および試験データを分析して目的の試験化合物を同定することがどちらも含まれる。したがって、試験化合物は、生物学的アッセイにおいて、(a)試験化合物を用いて生物学的アッセイを実施して第1のアッセイ値を提供するステップと、(b)本発明の化合物を用いて生物学的アッセイを実施して第2のアッセイ値を提供するステップであって、ステップ(a)をステップ(b)の前、その後、またはそれと同時に実施するステップと、(c)ステップ(a)からの第1のアッセイ値をステップ(b)からの第2のアッセイ値と比較するステップとを含む方法によって評価することができる。例示的な生物学的アッセイにはAT受容体結合アッセイおよびNEP酵素阻害アッセイが含まれる。
【0057】
医薬組成物および配合物
式Iの結晶性化合物は、典型的には医薬組成物または配合物の形態で患者に投与する。そのような医薬組成物は、それだけには限定されないが、経口、直腸、経膣、経鼻、吸入、局所(経皮が含まれる)、眼球、および非経口の投与様式を含めた、任意の許容される投与経路によって患者に投与し得る。さらに、本発明の化合物は、たとえば経口で、1日に複数の用量(たとえば、1日に2回、3回、もしくは4回)、単一の1日用量または単一の1週用量で投与し得る。当業者には、本発明の結晶性化合物を配合した後は、もはや結晶形でない場合がある、すなわち、結晶性化合物を適切な担体に溶かし得ることが理解されよう。
【0058】
したがって、一実施形態では、本発明は、製薬上許容される担体と4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸の結晶形とを含む医薬組成物に関する。また、そのような医薬組成物は、所望する場合は他の治療剤および/または配合剤も含有し得る。組成物を記述する場合、「本発明の結晶性化合物」は、担体などの配合物の他の構成要素と識別するために本明細書中で「活性薬剤」とも呼び得る。
【0059】
本発明の医薬組成物は、典型的には治療上有効な量の本発明の結晶性化合物を含有する。しかし、当業者には、医薬組成物が、バルク組成物などの治療上有効な量より多く、または治療上有効な量より少なく、すなわち、治療上有効な量を達成するために複数投与用に設計された個々の単位用量を含有し得ることを理解されよう。典型的には、組成物は、約0.01〜30wt%、たとえば約0.01〜10wt%を含めた、約0.01〜95wt%の活性薬剤を含有し、実際の量は、配合物自体、投与経路、投薬頻度などに依存する。一実施形態では、たとえば、経口剤形に適した組成物は、約5〜70wt%、または約10〜60wt%の活性薬剤を含有し得る。
【0060】
任意の慣用の担体または賦形剤は本発明の医薬組成物で使用し得る。特定の担体もしくは賦形剤、または担体もしくは賦形剤の組合せの選択は、特定の患者または病状もしくは病状の種類を処置するために使用する投与様式に依存する。この点で、特定の投与様式用の適切な組成物の調製は、製薬分野の当業者の技術範囲内に十分ある。さらに、そのような組成物中で使用される担体または賦形剤は市販されている。さらなる例示として、慣用の配合の技術は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Lippincott Williams&White、Baltimore,Maryland(2000)およびH.C.Anselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第7版、Lippincott Williams&White、Baltimore,Maryland(1999)に記載されている。
【0061】
製薬上許容される担体として役割を果たすことができる材料の代表的な例には、それだけには限定されないが、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖、コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン、微結晶セルロース、およびカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースや酢酸セルロースなどのその誘導体等のセルロース、粉末トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、カカオ脂および坐薬ワックスなどの賦形剤、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油などの油、プロピレングリコールなどのグリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル、寒天、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、アルギン酸、発熱物質を含まない水、等張生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、リン酸緩衝液、クロロフルオロカーボンおよびヒドロフルオロカーボンなどの圧縮噴霧剤ガス、ならびに医薬組成物中で用いられる他の無毒性の適合性物質が含まれる。
【0062】
医薬組成物は、典型的には、活性薬剤を製薬上許容される担体および1つまたは複数の任意選択の成分と徹底的かつ密に混合または混和することによって調製する。その後、慣用の手順および機材を用いて、生じた均一に混和した混合物を錠剤、カプセル、丸薬、缶、カートリッジ、分注器などに成形または充填し得る。
【0063】
本発明の結晶性化合物はチオール基を含有するため、チオールが酸化してジスルフィドを形成することを最小限にするまたは排除するために追加の考慮を与え得る。固体配合物では、これは、乾燥時間を短縮すること、配合物の水分含有量を減少すること、ならびにアスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素ナトリウムなどの材料、およびラクトースと微結晶セルロースとの混合物などの材料を含めることによって達成し得る。液体配合物では、チオールの安定性は、アミノ酸、抗酸化剤、またはエデト酸二ナトリウムとアスコルビン酸との組合せを加えることによって向上させ得る。
【0064】
一実施形態では、医薬組成物は経口投与に適している。経口投与用の適切な組成物は、それぞれが事前に決定した量の活性薬剤を含有する、カプセル、錠剤、丸薬、ロゼンジ、カシェ剤、糖衣錠、散剤、顆粒、水性もしくは非水性の液体中の液剤もしくは懸濁液、水中油もしくは油中水の液体乳濁液、エリキシルまたはシロップなどの形態であり得る。
【0065】
固体剤形(カプセル、錠剤、丸薬など)での経口投与を意図する場合、組成物は、典型的には、活性薬剤とクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの1つまたは複数の製薬上許容される担体とを含む。また、固体剤形は、デンプン、微結晶セルロース、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸などの充填剤または増量剤、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシアなどの結合剤、グリセロールなどの湿潤剤、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、および/または炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、パラフィンなどの溶液緩染剤、第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、セチルアルコールおよび/またはモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、カオリンおよび/またはベントナイト粘土などの吸収剤、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、および/またはその混合物などの潤滑剤、着色料、ならびに緩衝剤も含み得る。
【0066】
剥離剤、湿潤剤、コーティング剤、甘味料、香味料および香料、保存料ならびに抗酸化剤も医薬組成物中に存在し得る。錠剤、カプセル、丸薬などの例示的なコーティング剤には、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマー、酢酸セルローストリメリテート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの、腸溶コーティングに使用されるものが含まれる。製薬上許容される抗酸化剤の例には、アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、メタ硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤、およびクエン酸、エチレンジアミン四酢酸、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート化剤等が含まれる。
【0067】
また、組成物は、例として様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、または他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/もしくはミクロスフェアを用いて、活性薬剤の遅放または徐放性を提供するようにも配合し得る。さらに、本発明の医薬組成物には乳白剤を含有させてもよく、胃腸管の特定の部分において、任意選択で遅延様式で、活性薬剤のみ、またはそれを優先的に放出するように配合し得る。使用できる包埋組成物の例には、ポリマー物質およびワックスが含まれる。また、活性薬剤は、任意選択で上述の賦形剤のうちの1つまたは複数と共に、微小カプセル封入形態であることもできる。
【0068】
経口投与用の適切な液体剤形には、例示として、製薬上許容される乳濁液、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁液、シロップおよびエリキシルが含まれる。液体剤形は、典型的には、活性薬剤と、不活性希釈剤、たとえば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、たとえば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(たとえば、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物などとを含む。懸濁液は、たとえば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにその混合物などの懸濁剤を含有し得る。
【0069】
経口投与を意図する場合、本発明の医薬組成物は単位剤形で梱包し得る。用語「単位剤形」とは、患者への投薬に適切な物理的に区別された単位をいい、すなわち、それぞれの単位は、単独でまたは1つもしくは複数の追加の単位と組み合わせて所望の治療効果を生じるように計算された、事前に決定された量の活性薬剤を含有する。たとえば、そのような単位剤形は、カプセル、錠剤、丸薬などであり得る。
【0070】
別の実施形態では、本発明の組成物は吸入投与に適しており、典型的にはエアロゾルまたは粉末の形態である。そのような組成物は、一般に、噴霧器、乾燥粉末、または定量吸入器などの周知の送達装置を用いて投与する。噴霧器装置は、組成物が患者の気道内へと運ばれる霧として噴霧されることを引き起こす、高速の空気の流れを生じる。例示的な噴霧器配合物は、担体に溶かして溶液を形成した活性薬剤、または微粒子化して担体と組み合わせて呼吸に適した大きさの微粒子化した粒子の懸濁液を形成する活性薬剤を含む。乾燥粉末吸入器は、活性薬剤を、吸気中に患者の空気流中に分散される易流動性の粉末として投与する。例示的な乾燥粉末配合物は、ラクトース、デンプン、マンニトール、デキストロース、ポリ乳酸、ポリ乳酸−コ−グリコリド、およびその組合せなどの賦形剤と乾式混和した活性薬剤を含む。定量吸入器は、圧縮噴霧剤ガスを用いて測定した量の活性薬剤を放出する。例示的な定量配合物は、クロロフルオロカーボンまたはヒドロフルオロアルカンなどの液化した噴霧剤中の活性薬剤の溶液または懸濁液を含む。そのような配合物の任意選択の構成要素には、エタノールまたはペンタンなどの共溶媒、ならびにトリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、レシチン、グリセリン、およびラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤が含まれる。そのような組成物は、典型的には、冷却または加圧したヒドロフルオロアルカンを、活性薬剤、エタノール(存在する場合)および界面活性剤(存在する場合)を含有する適切な容器に加えることによって調製する。懸濁液を調製するためには、活性薬剤を微粒子化し、その後、噴霧剤と組み合わせる。あるいは、懸濁液配合物は、界面活性剤のコーティングを活性薬剤の微粒子化した粒子上に噴霧乾燥させることによって調製することができる。その後、配合物を吸入器の一部分を形成するエアロゾル缶内に装填する。
【0071】
また、本発明の結晶性化合物は、非経口的に(たとえば、皮下、静脈内、筋肉内、または腹腔内注射によって)投与することもできる。そのような投与には、活性薬剤を無菌的な溶液、懸濁液、または乳濁液中で提供する。そのような配合物を調製するための例示的な溶媒には、水、生理食塩水、プロピレングリコールなどの低分子量アルコール、ポリエチレングリコール、油、ゼラチン、オレイン酸エチルなどの脂肪酸エステル等が含まれる。また、非経口配合物は、1つまたは複数の抗酸化剤、可溶化剤、安定化剤、保存料、湿潤剤、乳化剤、および分散剤も含有し得る。界面活性剤、追加の安定化剤またはpH調整剤(酸、塩基もしくは緩衝液)および抗酸化剤は、配合物に安定性をもたらすため、たとえば、エステルおよびアミド結合の加水分解、または化合物中に存在するチオールの二量体化を最小限にするまたは回避するために、特に有用である。これらの配合物は、無菌的な注射用媒体、滅菌剤、濾過、放射線照射、または熱を使用することによって無菌的にし得る。具体的な一実施形態では、非経口配合物は、製薬上許容される担体としてシクロデキストリン水溶液を含む。適切なシクロデキストリンには、アミラーゼ、β−シクロデキストリンまたはシクロヘプタアミロースなどのように、1,4位置で連結された6個以上のα−D−グルコピラノース単位を含有する環状分子が含まれる。例示的なシクロデキストリンには、ヒドロキシプロピルなどのシクロデキストリン誘導体ならびにヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンなどのスルホブチルエーテルシクロデキストリンが含まれる。そのような配合物の例示的な緩衝液には、シトレート、ラクテートおよびマレエート緩衝溶液などのカルボン酸系の緩衝液が含まれる。
【0072】
また、本発明の結晶性化合物は、既知の経皮送達系および賦形剤を用いて経皮投与することもできる。たとえば、化合物を、プロピレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、アザシクロアルカン−2−オンなどの浸透増強剤と混ぜ、パッチまたは同様の送達系内に取り込ませることができる。所望する場合は、ゲル化剤、乳化剤および緩衝液を含めたさらなる賦形剤をそのような経皮組成物中で使用し得る。
【0073】
所望する場合は、本発明の結晶性化合物を1つまたは複数の他の治療剤と組み合わせて投与し得る。したがって、一実施形態では、本発明の医薬組成物は、本発明の結晶性化合物と同時投与する他の薬物を含有する。たとえば、組成物は、利尿剤、βアドレナリン作動性受容体遮断剤、カルシウムチャネル遮断剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、AT受容体拮抗剤、ネプリライシン阻害剤、非ステロイド性抗炎症剤、プロスタグランジン、抗脂質剤、抗糖尿病剤、抗血栓剤、レニン阻害剤、エンドセリン受容体拮抗剤、エンドセリン変換酵素阻害剤、アルドステロン拮抗剤、アンジオテンシン変換酵素/ネプリライシン阻害剤、およびその組合せの群から選択される1つまたは複数の治療剤(「第二薬剤(複数可)とも呼ばれる」)をさらに含み得る。そのような治療剤は当分野で周知であり、例を以下に記載する。本発明の結晶性化合物を第二薬剤と組み合わせることによって、三重治療を達成することができる。すなわち、2つの活性構成要素のみを使用することで、AT受容体拮抗活性、NEP阻害活性、および第二薬剤(たとえばβアドレナリン作動性受容体遮断剤)に関連する活性を達成することができる。2つの活性構成要素を含有する組成物は、典型的には、3つの活性構成要素を含有する組成物よりも配合が容易なため、そのような二構成要素の組成物は、3つの活性構成要素を含有する組成物を超える顕著な利点を提供する。したがって、本発明のさらに別の実施形態では、医薬組成物は、本発明の結晶性化合物、第2の活性薬剤、および製薬上許容される担体を含む。第3、第4などの活性薬剤も組成物中に含め得る。組合せ療法では、投与する本発明の結晶性化合物の量、および第二薬剤の量は、単独療法で典型的に投与する量よりも少ない場合がある。
【0074】
本発明の結晶性化合物は、第2の活性薬剤と物理的に混合して両方の薬剤を含有する組成物を形成してもよく、または、それぞれの薬剤を別々かつ別個の組成物中に存在させ、同時にもしくは別々の時点で患者に投与してもよい。たとえば、結晶性化合物は、慣用の手順および機材を用いて第2の活性薬剤と組み合わせて、本発明の化合物および第2の活性薬剤を含む活性薬剤の組合せを形成することができる。さらに、活性薬剤は、製薬上許容される担体と組み合わせて、本発明の化合物、第2の活性薬剤、および製薬上許容される担体を含む医薬組成物を形成し得る。本実施形態では、典型的には、組成物の構成要素を混合または混和して物理的な混合物を作製する。その後、本明細書中に記載の経路のうちの任意のものを用いて、物理的な混合物を治療上有効な量で投与する。
【0075】
あるいは、活性薬剤は、患者に投与する前は別々かつ別個ままであり得る。本実施形態では、薬剤は投与前に物理的に一緒に混合せず、同時にまたは別々の時点で別々の組成物として投与する。そのような組成物は、別々に梱包することができ、またはキット中で一緒に梱包し得る。別々の時点で投与する場合、第二薬剤は、典型的には、結晶性化合物の投与の24時間未満以内、結晶性化合物の投与と同時から投薬の約24時間後のいずれかの範囲で投与する。これは連続投与とも呼ぶ。したがって、本発明の結晶性化合物は、2つの錠剤、すなわちそれぞれの活性薬剤に1つの錠剤を用いて、別の活性薬剤と共に同時にまたは連続的に経口投与することができ、連続とは、結晶性化合物を投与した直後または事前に決定された一定の時間後(たとえば1時間後もしくは3時間後)に投与することを意味し得る。あるいは、組合せを異なる投与経路によって投与し得る、すなわち、一方を経口によって、他方を吸入によって投与する。
【0076】
本発明の一実施形態では、キットは、本発明の結晶性化合物を含む第1の剤形と、本明細書中に記載の第二薬剤のうちの1つまたは複数を含む少なくとも1つの追加の剤形とを、本発明の方法を実施するために十分な量で含む。第1の剤形および第2(または第3など)の剤形は、患者において疾患または病状を処置または予防するために治療上有効な量の活性薬剤を一緒になって含む。
【0077】
含まれる場合、第二薬剤(複数可)は、典型的には、本発明の結晶性化合物と同時投与した場合に治療上有益な効果を生じる量で投与されるように、治療上有効な量で存在する。本発明の結晶性化合物と組み合わせて投与するこれらの第二薬剤の適切な用量の範囲は、約0.05μg/日〜約100mg/日である。第二薬剤は、製薬上許容される塩、溶媒和物、光学的に純粋な立体異性体などの形態であることができる。また、第二薬剤は、プロドラッグ、たとえばエステル化されたカルボン酸基を有する化合物の形態であってもよい。したがって、以下に記載の第二薬剤には、そのような形態がすべて含まれることを意図し、市販されている、または慣用の手順および試薬を用いて調製することができる。
【0078】
一実施形態では、本発明の結晶性化合物を利尿剤と組み合わせて投与する。代表的な利尿剤には、それだけには限定されないが、アセタゾラミドおよびジクロルフェナミドなどの炭酸脱水酵素阻害剤、アセタゾラミド、アンブシド、アゾセミド(azosernide)、ブメタニド、ブタゾラミド、クロラミノフェナミド、クロフェナミド、クロパミド、クロレキソロン、ジスルファミド、エトキソラミド、フロセミド、メフルシド、メタゾラミド、ピレタニド、トルセミド、トリパミド、およびキシパミドなどのスルホンアミド誘導体を含めたループ利尿剤、エタクリン酸などの非スルホンアミド利尿剤およびチエニル酸、インダクリノンやキンカルベート(quincarbate)などの他のフェノキシ酢酸化合物、マンニトールなどの浸透圧利尿剤、スピロノラクトンなどのアルドステロン拮抗剤を含めたカリウム保持性利尿剤、およびアミロライドやトリアムテレンなどのNaチャネル阻害剤、アルチアジド、ベンドロフルメチアジド、ベンジルヒドロクロロチアジド、ベンズチアジド、ブチアジド、クロルタリドン、クロロチアジド、シクロペンチアジド、シクロチアジド、エピチアジド、エチアジド、フェンキゾン、フルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、インダパミド、メチルクロチアジド、メチクラン、メトラゾン、パラフルチジド、ポリチアジド、キネタゾン、テクロチアジド、およびトリクロロメチアジドなどのチアジドおよびチアジド様利尿剤、ならびにその組合せが含まれる。特定の実施形態では、利尿剤は、アミロライド、ブメタニド、クロロチアジド、クロルタリドン、ジクロルフェナミド、エタクリン酸、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、インダパミド、メチルクロチアジド、メトラゾン、トルセミド、トリアムテレン、およびその組合せから選択される。利尿剤は、約5〜50mg/日、より典型的には6〜25mg/日を提供するために十分な量で投与し、一般的な投薬量は6.25mg、12.5mgまたは25mg/日である。
【0079】
また、本発明の結晶性化合物はβアドレナリン作動性受容体遮断剤と組み合わせて投与してもよい。代表的なβアドレナリン作動性受容体遮断剤には、それだけには限定されないが、アセブトロール、アルプレノロール、アモスラロール、アロチノロール、アテノロール、ベフノロール、ベタキソロール、ベバントロール、ビソプロロール、ボピンドロール、ブシンドロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、ブブリジン、ブトフィロロール、カラゾロール、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、セタモロール、クロラノロール、ジレバロール、エパノロール、エスモロール、インデノロール、ラベトロール、レボブノロール、メピンドロール、メチプラノロール、コハク酸メトプロロールおよび酒石酸メトプロロールなどのメトプロロール、モプロロール、ナドロール、ナドキソロール、ネビバロール、ニプラジロール、オキシプレノロール、ペンブトロール、ペルブトロール、ピンドロール、プラクトロール、プロネタロール、プロプラノロール、ソタロール、スフィナロール、タリンドール、テルタトロール、チリソロール、チモロール、トリプロロール、キシベノロール、ならびにその組合せが含まれる。具体的な一実施形態では、βアドレナリン作動性受容体遮断剤は、アテノロール、ビソプロロール、メトプロロール、プロプラノロール、ソタロール、およびその組合せから選択される。
【0080】
一実施形態では、本発明の結晶性化合物をカルシウムチャネル遮断剤と組み合わせて投与する。代表的なカルシウムチャネル遮断剤には、それだけには限定されないが、アムロジピン、アニパミル、アラニピン、バルニジピン、ベンシクラン、ベニジピン、ベプリジル、クレンチアゼム、シルニジピン、シンナリジン、ジルチアゼム、エホニジピン、エルゴジピン、エタフェノン、フェロジピン、フェンジリン、フルナリジン、ガロパミル、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン、リドフラジン、ロメリジン、マニジピン、ミベフラジル、ニカルジピン、ニフェジピン、ニグルジピン、ニルジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ニバルジピン、ペルヘキシリン、プレニラミン、リョシジン、セモチアジル、テロジリン、チアパミル、ベラパミル、およびその組合せが含まれる。特定の実施形態では、カルシウムチャネル遮断剤は、アムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニグルジピン、ニルジピン、ニモジピン、ニソルジピン、リョシジン、ベラパミル、およびその組合せから選択される。
【0081】
また、本発明の結晶性化合物はアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤と組み合わせて投与することもできる。代表的なACE阻害剤には、それだけには限定されないが、アキュプリル、アラセプリル、ベナゼプリル、ベナゼプリラート、カプトプリル、セラナプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナラプリラート、フォシノプリル、フォシノプリラート、イミダプリル、リシノプリル、モエキシプリル、モノプリル、モベルトプリル、ペントプリル、ペリンドプリル、キナプリル、キナプリラート、ラミプリル、ラミプリラート、酢酸サララシン、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリル、ゾフェノプリル、およびその組合せが含まれる。特定の実施形態では、ACE阻害剤は、ベナゼプリル、エナラプリル、リシノプリル、ラミプリル、およびその組合せから選択される。
【0082】
一実施形態では、本発明の結晶性化合物を、アンジオテンシンII 1型受容体遮断剤(ARB)としても知られるAT受容体拮抗剤と組み合わせて投与する。代表的なARBには、それだけには限定されないが、アビテサルタン、ベンジルロサルタン(benzyllosartan)、カンデサルタン、カンデサルタンシレキセチル、エリサルタン、エムブサルタン、エノルタソサルタン、エプロサルタン、フォンサルタン、フォラサルタン、グリシルロサルタン、イルベサルタン、イソテオリン、ロサルタン、メドキシミル、ミルファサルタン、オルメサルタン、オポミサルタン、プラトサルタン、リピサルタン、サプリサルタン、サララシン、サルメシン、タソサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、ゾラサルタン、およびその組合せが含まれる。特定の実施形態では、ARBは、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、イルベサルタン、サプリサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、およびその組合せから選択される。例示的な塩には、メシル酸エプロサルタン、ロサルタンカリウム塩、およびオルメサルタンメドキソミルが含まれる。典型的には、ARBは、約4〜600mg/用量を提供するために十分な量で投与し、例示的な1日投薬量の範囲は20〜320mg/日である。
【0083】
別の実施形態では、本発明の結晶性化合物をネプリライシン(NEP)阻害剤と組み合わせて投与する。代表的なNEP阻害剤には、それだけには限定されないが:カンドキサトリル、カンドキサトリラート、ドキセカドトリル(dexecadotril)((+)−N−[2(R)−(アセチルチオメチル)−3−フェニルプロピオニル]グリシンベンジルエステル)、CGS−24128(3−[3−(ビフェニル−4−イル)−2−(ホスホノメチルアミノ)プロピオンアミド]プロピオン酸)、CGS−24592((S)−3−[3−(ビフェニル−4−イル)−2−(ホスホノメチルアミノ)プロピオンアミド]プロピオン酸)、CGS−25155(N−[9(R)−(アセチルチオメチル)−10−オキソ−1−アザシクロデカン−2(S)−イルカルボニル]−4(R)−ヒドロキシ−L−プロリンベンジルエステル)、Hepworthら(Pfizer Inc.)のWO2006/027680号に記載の3−(l−カルバモイルシクロヘキシル)プロピオン酸誘導体、JMV−390−1(2(R)−ベンジル−3−(N−ヒドロキシカルバモイル)プロピオニル−L−イソロイシル−L−ロイシン)、エカドトリル、ホスホラミドン、レトロチオルファン、RU−42827(2−(メルカプトメチル)−N−(4−ピリジニル)ベンゼンプロピオンアミド)、RU−44004(N−(4−モルホリニル)−3−フェニル−2−(スルファニルメチル)プロピオンアミド)、SCH−32615((S)−N−[N−(1−カルボキシ−2−フェニルエチル)−L−フェニルアラニル]−β−アラニン)およびそのプロドラッグSCH−34826((S)−N−[N−[1−[[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ]カルボニル]−2−フェニルエチル]−L−フェニルアラニル]−β−アラニン)、シアロルフィン、SCH−42495(N−[2(S)−(アセチルスルファニルメチル)−3−(2−メチルフェニル)プロピオニル]−L−メチオニンエチルエステル)、スピノルフィン、SQ−28132(N−[2−(メルカプトメチル)−1−オキソ−3−フェニルプロピル]ロイシン)、SQ−28603(N−[2−(メルカプトメチル)−1−オキソ−3−フェニルプロピル]−β−アラニン)、SQ−29072(7−[[2−(メルカプトメチル)−1−オキソ−3−フェニルプロピル]アミノ]ヘプタン酸)、チオルファンおよびそのプロドラッグラセカドトリル、UK−69578(シス−4−[[[1−[2−カルボキシ−3−(2−メトキシエトキシ)プロピル]シクロペンチル]カルボニル]アミノ]シクロヘキサンカルボン酸)、UK−447,841(2−{1−[3−(4−クロロフェニル)プロピルカルバモイル]−シクロペンチルメチル}−4−メトキシ酪酸)、UK−505,749((R)−2−メチル−3−{1−[3−(2−メチルベンゾチアゾール−6−イル)プロピルカルバモイル]シクロペンチル}プロピオン酸)、5−ビフェニル−4−イル−4−(3−カルボキシプロピオニルアミノ)−2−メチルペンタン酸および5−ビフェニル−4−イル−4−(3−カルボキシプロピオニルアミノ)−2−メチルペンタン酸エチルエステル(WO2007/056546号)、Khderら(Novartis AG)のWO2007/106708号に記載のダグルトリル[(3S,2’R)−3−{1−[2’−(エトキシカルボニル)−4’−フェニルブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸]、ならびにその組合せが含まれる。特定の実施形態では、NEP阻害剤は、カンドキサトリル、カンドキサトリラート、CGS−24128、ホスホラミドン、SCH−32615、SCH−34826、SQ−28603、チオルファン、およびその組合せから選択される。NEP阻害剤は、約20〜800mg/日を提供するために十分な量で投与し、典型的な1日投薬量の範囲は50〜700mg/日であり、より一般的には100〜600または100〜300mg/日である。
【0084】
さらに別の実施形態では、本発明の結晶性化合物を非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)と組み合わせて投与する。代表的なNSAIDには、それだけには限定されないが、アセメタシン、アセチルサリチル酸、アルクロフェナク、アルミノプロフェン、アンフェナク、アミプリロース、アモキシプリン、アニロラク、アパゾン、アザプロパゾン、ベノリラート、ベノキサプロフェン、ベズピペリロン、ブロペラモール、ブクロキシン酸、カルプロフェン、クリダナク、ジクロフェナク、ジフルニサル、ジフタロン、エノリカム、エトドラク、エトリコキシブ、フェンブフェン、フェンクロフェナク、フェンクロジン酸、フェノプロフェン、フェンチアザク、フェプラゾン、フルフェナム酸、フルフェニサル、フルプロフェン、フルルビプロフェン、フロフェナク、イブフェナック、イブプロフェン、インドメタシン、インドプロフェン、イソキセパク、イソキシカム、ケトプロフェン、ケトロラック、ロフェミゾール、ロルノキシカム、メクロフェナメート、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メサラミン、ミロプロフェン、モフェブタゾン、ナブメトン、ナプロキセン、ニフルム酸、オキサプロジン、オクスピナク、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、ピルプロフェン、プラノプロフェン、サルサレート、スドキシカム、スルファサラジン、スリンダク、スプロフェン、テノキシカム、チオピナク、チアプロフェン酸、チオキサプロフェン、トルフェナム酸、トルメチン、トリフルミデート、ジドメタシン、ゾメピラック、およびその組合せが含まれる。特定の実施形態では、NSAIDは、エトドラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メロキシカム、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、およびその組合せから選択される。
【0085】
さらに別の実施形態では、本発明の結晶性化合物を抗脂質剤と組み合わせて投与する。代表的な抗脂質剤には、それだけには限定されないが、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンおよびシンバスタチンなどのスタチン、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)、ならびにその組合せが含まれる。
【0086】
さらに別の実施形態では、本発明の結晶性化合物を抗糖尿病剤と組み合わせて投与する。代表的な抗糖尿病剤には、それだけには限定されないが、インスリンおよびインスリン誘導体などの注射用薬物、メトホルミンなどのビグアニド、グルカゴン拮抗剤、アカルボースおよびミグリトールなどのα−グルコシダーゼ阻害剤、レパグリニドなどのメグリチニド、オキサジアゾリジンジオン、クロルプロパミド、グリメピリド、グリピジド、グリブリド、およびトラザミドなどのスルホニル尿素、ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンなどのチアゾリジンジオンを含めた経口で有効な薬物、ならびにその組合せが含まれる。
【0087】
一実施形態では、本発明の結晶性化合物を抗血栓剤と組み合わせて投与する。代表的な抗血栓剤には、それだけには限定されないが、アスピリン、抗血小板剤、ヘパリン、およびその組合せが含まれる。また、本発明の化合物は、レニン阻害剤と組み合わせて投与してもよく、その例には、それだけには限定されないが、アリスキレン、エナルキレン、レミキレン、およびその組合せが含まれる。別の実施形態では、本発明の化合物は、エンドセリン受容体拮抗剤と組み合わせて投与し、その代表的な例には、それだけには限定されないが、ボセンタン、ダルセンタン、テゾセンタン、およびその組合せが含まれる。また、本発明の化合物は、エンドセリン変換酵素阻害剤と組み合わせて投与してもよく、その例には、それだけには限定されないが、ホスホラミドン、CGS26303、およびその組合せが含まれる。さらに別の実施形態では、本発明の化合物は、アルドステロン拮抗剤と組み合わせて投与し、その代表的な例には、それだけには限定されないが、エプレレノン、スピロノラクトン、およびその組合せが含まれる。
【0088】
また、組み合わせた治療剤も、本発明の化合物のさらなる組合せ療法に役立ち得る。たとえば、Vaseretic(登録商標)の商標で販売されているACE阻害剤エナラプリル(マレイン酸塩形態)と利尿剤ヒドロクロロチアジドとの組合せ、またはカルシウムチャネル遮断剤アムロジピン(ベシル酸塩形態)とARBオルメサルタン(メドキソミルプロドラッグ形態)との組合せ、またはカルシウムチャネル遮断剤とスタチンとの組合せを、すべて本発明の化合物と共に使用し得る。また、二重作用薬剤も本発明の結晶性化合物との組合せ療法に役立ち得る。たとえば、AVE−0848((4S,7S,12bR)−7−[3−メチル−2(S)−スルファニルブチラミド]−6−オキソ−1,2,3,4,6,7,8,12b−オクタヒドロピリド[2,1−a][2]ベンズアゼピン−4−カルボン酸)、AVE−7688(イレパトリル)およびその親化合物、BMS−182657(2−[2−オキソ−3(S)−[3−フェニル−2(S)−スルファニルプロピオンアミド]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−1−イル]酢酸)、CGS−26303([N−[2−(ビフェニル−4−イル)−1(S)−(1H−テトラゾール−5−イル)エチル]アミノ]メチルホスホン酸)、CGS−35601(N−[1−[4−メチル−2(S)−スルファニルペンタンアミド]シクロペンチルカルボニル]−L−トリプトファン)、ファシドトリル、ファシドトリラート、エナラプリラート、ER−32935((3R,6S,9aR)−6−[3(S)−メチル−2(S)−スルファニルペンタンアミド]−5−オキソペルヒドロチアゾロ[3,2−a]アゼピン−3−カルボン酸)、ジェムパトリラト(gempatrilat)、MDL−101264((4S,7S,12bR)−7−[2(S)−(2−モルホリノアセチルチオ)−3−フェニルプロピオンアミド]−6−オキソ−1,2,3,4,6,7,8,12b−オクタヒドロピリド[2,1−a][2]ベンズアゼピン−4−カルボン酸)、MDL−101287([4S−[4α,7α(R),12bβ]]−7−[2−(カルボキシメチル)−3−フェニルプロピオンアミド]−6−オキソ−1,2,3,4,6,7,8,12b−オクタヒドロピリド[2,1−a][2]ベンズアゼピン−4−カルボン酸)、オマパトリラト、RB−105(N−[2(S)−(メルカプトメチル)−3(R)−フェニルブチル]−L−アラニン)、サムパトリラト、SA−898((2R,4R)−N−[2−(2−ヒドロキシフェニル)−3−(3−メルカプトプロピオニル)チアゾリジン−4−イルカルボニル]−L−フェニルアラニン)、Sch−50690(N−[1(S)−カルボキシ−2−[N2−(メタンスルホニル)−L−リジルアミノ]エチル]−L−バリル−L−チロシン)、ならびにその組合せなどのアンジオテンシン変換酵素/ネプリライシン(ACE/NEP)阻害剤も含め得る。具体的な一実施形態では、ACE/NEP阻害剤は、AVE−7688、エナラプリラート、ファシドトリル、ファシドトリラート、オマパトリラト、サムパトリラト、およびその組合せから選択される。
【0089】
また、α−アドレナリン作動性受容体作用剤およびバソプレシン受容体拮抗剤などの他の治療剤も組合せ療法に役立ち得る。例示的なα−アドレナリン作動性受容体作用剤には、クロニジン、デクスメデトミジン、およびグアンファシンが含まれる。例示的なバソプレシン受容体拮抗剤にはトルバプタンが含まれる。
【0090】
以下の配合物は、本発明の代表的な医薬組成物を例示する。
【0091】
経口投与用の例示的な硬ゼラチンカプセル
本発明の結晶性化合物(50g)、噴霧乾燥したラクトース(440g)およびステアリン酸マグネシウム(10g)を徹底的に混和する。その後、生じる組成物を硬ゼラチンカプセル内に装填する(500mgの組成物/カプセル)。あるいは、結晶性化合物(20mg)をデンプン(89mg)、微結晶セルロース(89mg)およびステアリン酸マグネシウム(2mg)と共に徹底的に混和する。その後、混合物を45番メッシュの米国標準篩(U.S.sieve)に通し、硬ゼラチンカプセル内に装填する(200mgの組成物/カプセル)。
【0092】
経口投与用の例示的なゼラチンカプセル配合物
本発明の結晶性化合物(100mg)をモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(50mg)およびデンプン粉末(250mg)と共に徹底的に混和する。その後、混合物をゼラチンカプセル内に装填する(400mgの組成物/カプセル)。
【0093】
あるいは、結晶性化合物(40mg)を微結晶セルロース(Avicel PH 103、259.2mg)およびステアリン酸マグネシウム(0.8mg)と共に徹底的に混和する。その後、混合物をゼラチンカプセル(サイズ#1、白色、不透明)内に装填する(300mgの組成物/カプセル)。
【0094】
経口投与用の例示的な錠剤配合物
本発明の結晶性化合物(10mg)、デンプン(45mg)および微結晶セルロース(35mg)を20番メッシュの米国標準篩に通し、徹底的に混合する。このようにして生成された顆粒を50〜60℃で乾燥させ、16番メッシュの米国標準篩に通す。ポリビニルピロリドンの溶液(滅菌水中の10%溶液として4mg)をカルボキシメチルナトリウムデンプン(4.5mg)、ステアリン酸マグネシウム(0.5mg)、およびタルク(1mg)と共に混合し、その後、この混合物を16番メッシュの米国標準篩に通す。その後、カルボキシメチルナトリウムデンプン、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを顆粒に加える。混合後、混合物を錠剤機で圧縮して、100mgの重量の錠剤が得られる。
【0095】
あるいは、結晶性化合物(250mg)を微結晶セルロース(400mg)、ヒュームド二酸化ケイ素(10mg)、およびステアリン酸(5mg)と共に徹底的に混和する。その後、混合物を圧縮して錠剤を形成する(665mgの組成物/錠剤)。
【0096】
あるいは、結晶性化合物(400mg)をコーンスターチ(50mg)、クロスカルメロースナトリウム(25mg)、ラクトース(120mg)、およびステアリン酸マグネシウム(5mg)と共に徹底的に混和する。その後、混合物を圧縮して1割線を有する錠剤を形成する(600mgの組成物/錠剤)。
【0097】
あるいは、結晶性化合物(100mg)を、ゼラチン水溶液(20mg)を用いてコーンスターチ(100mg)と共に徹底的に混和する。混合物を乾燥させ、微粉末へと粉砕する。微結晶セルロース(50mg)およびステアリン酸マグネシウム(5mg)をゼラチン配合物と混ぜ、顆粒化し、生じる混合物を圧縮して錠剤を形成する(100mgの活性物/錠剤)。
【0098】
経口投与用の例示的な懸濁液配合物
以下の成分を混合して、10mLの懸濁液あたり100mgの活性薬剤を含有する懸濁液を形成する。
【0099】
【表2】

【0100】
経口投与用の例示的な液体配合物
適切な液体配合物は、シトレート、ラクテートおよびマレエート緩衝溶液などのカルボン酸系緩衝液を用いたものである。たとえば、本発明の結晶性化合物(DMSOと事前に混合し得る)を100mMのクエン酸アンモニウム緩衝液と混和し、pHをpH5に調整するか、または、100mMのクエン酸溶液と混和し、pHをpH2に調整する。また、そのような溶液には、シクロデキストリンなどの可溶化賦形剤が含まれる場合もあり、たとえば、溶液には10wt%のヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンが含まれ得る。
【0101】
他の適切な配合物には、シクロデキストリンを含むまたは含まない5%のNaHCO溶液が含まれる。
【0102】
注射による投与用の例示的な注射用配合物
本発明の結晶性化合物(0.2g)を0.4Mの酢酸ナトリウム緩衝溶液(2.0mL)と混和する。生じる溶液のpHを、必要に応じて0.5Nの塩酸水溶液または0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH4に調整し、その後、十分な注射用水を加えて合計体積20mLをもたらす。その後、混合物を、無菌的なフィルター(0.22ミクロン)を通して濾過して、注射による投与に適した無菌的な溶液が得られる。
【0103】
吸入による投与用の例示的な組成物
本発明の結晶性化合物(0.2mg)を微粒子化し、その後、ラクトース(25mg)と混和する。その後、この混和した混合物をゼラチン吸入カートリッジ内に装填する。たとえば乾燥粉末吸入器を用いてカートリッジの含有物を投与する。
【0104】
あるいは、微粒子化した結晶性化合物(10g)を、レシチン(0.2g)を脱塩水(200mL)に溶かすことによって調製した溶液中に分散させる。生じる懸濁液を噴霧乾燥させ、その後、微粒子化して、約1.5μm未満の平均直径を有する粒子を含む微粒子化した組成物を形成する。その後、微粒子化した組成物を、吸入器によって投与した場合に約10μg〜約500μgの本発明の化合物/用量を提供するために十分な量で、加圧した1,1,1,2−テトラフルオロエタンを含有する定量吸入器カートリッジ内に装填する。
【0105】
あるいは、結晶性化合物(25mg)をシトレート緩衝(pH5)等張生理食塩水(125mL)に溶かす。化合物が溶けるまで混合物を撹拌および超音波処理する。溶液のpHを検査し、必要な場合は1Nの水酸化ナトリウム水溶液をゆっくりと加えることによってpH5に調整する。溶液は、約10μg〜約500μgの活性薬剤/用量を提供する噴霧器装置を用いて投与する。
【実施例】
【0106】
本発明の具体的な実施形態を例示するために以下の調製物および実施例を提供する。しかし、これらの具体的な実施形態は、具体的に指定した場合以外は、いかなる様式でも本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0107】
別段に指定しない限りは以下の略記は以下の意味を有し、本明細書中で使用するが定義されていないすべての他の略記は、その標準の一般に認識されている意味を有する。
AcOH 酢酸
AT アンジオテンシンII 1型(受容体)
AT アンジオテンシンII 2型(受容体)
BSA ウシ血清アルブミン
BuNBr 臭化テトラブチルアンモニウム
DCC 1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM ジクロロメタンまたは塩化メチレン
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
Dnp 2,4−ジニトロフェニル
DOCA 酢酸デオキシコルチコステロン
DTT 1,4−ジチオスレイトール
EDC N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド
EDTA エチレンジアミン四酢酸
EGTA エチレングリコールビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’N’−四酢酸
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
HATU N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HCTU (2−(6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスフェート)
IPAc 酢酸イソプロピル
Mca (7−メトキシクマリン−4−イル)アシル
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
MTBE メチルt−ブチルエーテル
NaOMe ナトリウムメトキシド
NBS N−ブロモスクシンイミド
NEP ネプリライシン(EC3.4.24.11)
PBS リン酸緩衝生理食塩水
SHR 自然発症高血圧ラット
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
トリス トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
Tween−20 モノラウリン酸ポリエチレングリコールソルビタン
別段に注記しない限りは、試薬、出発物質および溶媒などのすべての材料は商業的供給者(Sigma−Aldrich、Fluka Riedel−de Haen、Strem Chemicals,Inc.など)から購入し、さらに精製せずに使用した。
【0108】
別段に注記しない限りは、反応は窒素雰囲気下で実行した。反応の進行は薄層クロマトグラフィー(TLC)、分析用高速液体クロマトグラフィー(分析用HPLC)、および質量分析によって監視し、特定の実施例ではその詳細を記載する。分析用HPLCで使用した溶媒は、溶媒Aが98%の水/2%のMeCN/1.0mL/LのTFAであり、溶媒Bが90%のMeCN/10%の水/1.0mL/LのTFAであった。
【0109】
それぞれの調製物または実施例で具体的に記載したように反応を後処理した。一般的に、抽出および温度や溶媒依存性の結晶化などの他の精製方法ならびに沈殿によって反応混合物を精製した。さらに、反応混合物は、分取HPLCによって、典型的にはMicrosorb C18およびMicrosorb BDSカラムパッキングならびに慣用の溶出液を用いて、ルーチン的に精製した。反応生成物の特徴づけは、質量およびH−NMR分光測定によってルーチン的に実施した。NMR測定には、試料を重水素化溶媒(CDOD、CDCl、またはDMSO−d)に溶かし、Varian Gemini2000機器(400MHz)を用いて、標準の観察条件下でH−NMRスペクトルを得た。化合物の質量分析同定は、典型的には、エレクトロスプレーイオン化方法(ESMS)を使用して、Applied Biosystems(Foster City,CA)モデルAPI 150EX機器またはAgilent(Palo Alto,CA)モデル1200LC/MSD機器を用いて実施した。
【0110】
調製物1
5−ブロモ−2−エトキシ−3H−イミダゾール−4−カルボアルデヒド
【0111】
【化2】

【0112】
2,4,5−トリブロモ−1H−イミダゾール(1a)(98.7g、324mmol、1.0当量)を1.20LのDCMに溶かし、0℃まで冷却した。これにDIPEA(62mL、360mmol、1.1当量)を加え、次いで[β−(トリメチルシリル)エトキシ]メチルクロライド(60.2mL、340mmol、1.05当量)をゆっくりと加えた。溶液を室温までゆっくりと温めた。2時間後、混合物を1MのHPO/飽和NaCl水溶液(1:10;2×600mL)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、蒸発乾固して、中間体(1b)が静置した際に固化したかすかな黄色液体として得られた(137g)。
【0113】
中間体(1b)(130g、290mmol、1.0当量)を無水EtOH(650mL)に溶かした。これにカリウムt−ブトキシド(98.6g、879mmol、3.0当量)をゆっくりと加え、混合物を16時間加熱還流した。その後、混合物を室温まで冷却し、濾過し、濃縮した。生じた油状物をEtOAc(800mL)に溶かし、飽和NaHCO(400mL)で洗浄した。層を分離し、有機物を飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、中間体(1c)が茶色油状物として得られた(115.3g)。MS m/z:[M+H]、C1120BrSiの計算値401.9、実測値401.2。
【0114】
中間体(1c)(69.5g、174mmol、1.0当量)を無水THF(600mL)に溶かし、窒素下で−78℃まで冷却した。ヘキサン中のn−ブチルリチウムの2.5Mの溶液(72.9mL、180mmol、1.05当量)を滴下し、混合物を−78℃で10分間撹拌した。その後、DMF(40mL、520mmol、3.0当量)を加え、混合物を−78℃で15分間撹拌し、その後、室温まで温めた。反応を水(10mL)で反応停止させ、EtOAc(600mL)で希釈し、水(100mL)、飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。回収した材料をシリカゲルクロマトグラフィー(15〜30%のEtOAc:ヘキサン)によって精製して、中間体(1d)が淡黄色油状物として得られた(45g)。
【0115】
中間体(1d)(105.8g、303mmol、1.0当量)を氷中、0℃で冷却した。TFA(300mL)を加え、混合物を0℃で15分間撹拌し、その後、室温まで温めた。90分後、混合物を減圧下で濃縮し、EtOAc(700mL)に再度溶かした。有機物を飽和バイカーボネート(2×600mL)、飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、黄色固形物が得られた。材料をヘキサン(300mL)に懸濁させ、0℃で30分間撹拌した。材料を濾過し、固形物を冷ヘキサン(150mL)で洗浄して、表題化合物が淡い白色固形物として得られた(61.2g)。1H-NMR(CDCl3)δ(ppm):1.4(m、3H)、4.5(m、2H)、5.2(s、1H)、9.2(d、1H)。
【0116】
調製物2
4’−ブロモメチル−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸t−ブチルエステル
【0117】
【化3】

【0118】
0℃で冷却したDCM中の1.0MのDCC(800mL、800mol)の溶液に、2−ブロモ安息香酸(2a)(161g、800mmol)を加え、次いでDMAP(9.0g、740mmol)およびt−ブチルアルコール(82.4mL、880mmol)を加えた。混合物を室温で10分間撹拌し、その後、室温まで温め、撹拌した。16時間後、その後、混合物を濾過した。有機物を飽和NaHCO(400mL)、飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗中間体(2b)が油状物として得られた(228.8g)。
【0119】
粗中間体(2b)(109.6g、426mmol)および3−フルオロ−4−メチルフェニル−ボロン酸(72.2g、449mmol)をイソプロピルアルコール(360mL、4.7mmol)に懸濁させた。水中の炭酸ナトリウムの2.0Mの溶液(360mL、720mmol)を加え、混合物を窒素下で脱気した。その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(4.9g、4.3mmol)を加え、混合物を90℃で46時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、EtOAc(800mL)で希釈し、層を分離した。有機物を飽和NaCl水溶液で洗浄し、減圧下で濃縮した。回収した油状物をシリカゲルクロマトグラフィー(3×4〜6%のEtOAc:ヘキサン)によって精製して、中間体(2c)が透明な油状物として得られた(93.3g)。
【0120】
中間体(2c)(89.8g、314mmol、1.0当量)をCCl(620mL、6.4mol)に溶かし、窒素下で脱気した。NBS(55.8g、314mmol)を加え、次いで過酸化ベンゾイル(1.5g、6.3mmol)を加え、混合物を90℃、窒素下で7時間加熱した。反応を氷浴中で冷却し、濾過し、減圧下で濃縮した。回収した油状物を150mLの3%のEtOAc:ヘキサンで粉砕した。溶液を−20℃で2時間冷却し、その後、濾過し、冷3%のEtOAc:ヘキサン溶液(200mL)で洗浄して、表題化合物がオフホワイト色固形物として得られた(88.9g)。1H-NMR(CDCl3)δ(ppm):1.3(m、9H)、4.6(s、2H)、7.0-7.1(m、2H)、7.3(dd、1H)、7.4(m、1H)、7.5(m、1H)、7.8(dd、1H)。
【0121】
調製物3
4’−(5−アミノメチル−2−エトキシ−4−エチルイミダゾール−1−イルメチル)−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸t−ブチルエステル
【0122】
【化4】

【0123】
5−ブロモ−2−エトキシ−3H−イミダゾール−4−カルボアルデヒド(42.0g、192mmol)および4’−ブロモメチル−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸t−ブチルエステル(70.0g、192mmol)をDMF(890mL、12mol)に溶かし、溶液を0℃で冷却した。炭酸カリウム(26.5g、192mmol)をゆっくりと加え、混合物を0℃で終夜撹拌した。その後、反応を水で反応停止させた。混合物をEtOAc(3×300mL)で抽出し、飽和NaCl水溶液(500mL)で洗浄し、減圧下で濃縮した。回収した油状物をMeOH(450mL)に溶かした。撹拌しながら水(112mL)をゆっくりと加えて、生成物を沈殿させた。沈殿物をさらに1時間撹拌した後、濾過によって収集した。固形物をEtOAcに溶かし、減圧下で濃縮した。残渣を終夜静置し、その後、3%のEtOAc:ヘキサン中で撹拌し、濾過によって収集した。濾液を減圧下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、中間体(3a)(8.4g)が得られた。
【0124】
中間体(3a)(54.2g、108mmol)を1,2−ジメトキシエタン(670mL、6.5mol)に溶かした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1240mg、1.1mmol)を加えた。15分後、水(240mL、13mol)および炭酸カリウム(14.9g、108mmol)を加え、混合物を85℃、窒素下で加熱した。この温度で10分間撹拌した後、2,4,6−トリビニルシクロトリボロキサンピリジン錯体(11.7g、48.4mmol)を加え、混合物を2時間撹拌した。その後、混合物をEtOAc(200mL)で希釈し、水および飽和NaCl水溶液で洗浄し、減圧下で濃縮した。混合物を別のロットと合わせ、シリカゲルクロマトグラフィー(0〜50%のEtOAc:ヘキサン)によって精製して、中間体(3b)(47.1g)が得られた。
【0125】
中間体(3b)(19.0g、42.2mmol)をピリジン(250mL、3.1mol)に溶かした。塩酸ヒドロキシルアミン(8.8g、126mmol)を加え、次いで水(75mL、4.2mol)を加え、混合物を室温で終夜撹拌した。その後、水(300mL)を加え、混合物を30分間撹拌した。沈殿剤を濾取し、真空下で乾燥させて、中間体(3c)(17.3g)が得られた。
【0126】
中間体(3c)(5.1g、11mmol)を酢酸(100mL、1.8mol)および硫酸(640μL、12mmol)に溶かした。混合物を窒素下で脱気し、10%のPd/C、Degussa型、湿50%(0.05:0.45:0.5、パラジウム:カーボンブラック:水、1.5g、723μmol)を加えた。その後、混合物を水素下(50psi)、Parr揺動器上で脱気し、室温で揺動した。12時間後、混合物を濾過し、減圧下で濃縮した。回収した材料をEtOAc(50mL)に溶かし、飽和NaHCO(50mL)および飽和NaCl水溶液で洗浄し、その後、液体を蒸発させた。材料をシリカゲルクロマトグラフィー(0〜10%のMeOH:DCM)によって精製して、表題化合物が透明な油状物として得られた(4.6g、96%の純度)。MS m/z:[M+H]、C2632FNの計算値454.3、実測値454.2。1H NMR(CDCl3) 7.82(1H、d)、7.50(1H、t)、7.42(1H、t) 7.35(1H、d)、7.27(1H、d)、7.12(1H、s)、7.04(1H、d)、5.34(1H、b)、4.65(2H、s)、4.40(2H、q)、4.12(2H、q)、2.70(1H、b)、1.50(3H、t)、1.28(9H、s)、1.17(3H、t)。
【0127】
調製物4
(S)−2−アセチルスルファニル−4−メチルペンタン酸
【0128】
【化5】

【0129】
D−ロイシン(8.2g、62.7mmol)を水中の3.0MのHBr(99mL、0.3mol)に溶かし、0℃まで冷却した。水中のNaNO(6.9g、100mmol)の溶液(11.3mL、627mmol)を20分間かけてゆっくりと加えた。混合物を0℃で3時間撹拌し、その後、エチルエーテルで2回抽出し、水、その後飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、(R)−2−ブロモ−4−メチルペンタン酸(11.5g)がオフイエロー色の油状物として得られた。これをさらに精製せずに次のステップに持ち越した。
【0130】
チオ酢酸(4.2g、54.4mmol)およびDMF(100mL、1.0mol)を合わせ、混合物を氷浴中で冷却した。炭酸ナトリウム(5.8g、54.4mmol)を加えた。30分後、DMF(20mL)中の(R)−2−ブロモ−4−メチルペンタン酸(10.1g、51.8mmol)を滴下し、混合物を0℃〜室温で6時間かけて撹拌した。混合物を100mLのEtOAcで希釈し、100mLの1:1の1NのHCl:飽和NaCl水溶液で抽出した。層を分離し、水相を追加のEtOAc(100mL)で抽出した。有機物を合わせ、飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。回収した油状物をジイソプロピルエーテル(45mL、320mmol)に溶かし、0℃で冷却した。ジシクロヘキシルアミン(10.1mL、50.7mmol)を滴下し、固形物を溶液から出させた。さらに30分間撹拌した後、材料を濾過し、75mLの冷ジイソプロピルエーテルで洗浄した。回収した固形物(14g)を100mLのEtOAcに懸濁させた。150mLの5%のKHSOを加え、層を分離した。有機物を飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。その後、回収した油状物を共沸させて(3×25mLのトルエン)、表題化合物(6.1g)がジシクロヘキシルアミン塩として得られた。
【0131】
実施例1
4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸
【0132】
【化6】

【0133】
TFA塩の調製
4’−(5−アミノメチル−2−エトキシ−4−エチルイミダゾール−1−イルメチル)−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸t−ブチルエステル(5.0g、11.0mmol)、(S)−2−アセチルスルファニル−4−メチルペンタン酸(ジシクロヘキシルアミン塩;2.1g、11.0mmol)、4−メチルモルホリン(1.2mL、11.0mmol)、および1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(1.5g、11.0mmol)を合わせ、DMF(120mL、1.6mol)に溶かし、その後、0℃で10分間冷却した。EDC(2mL、11.0mmol)を加え、混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、室温で2時間撹拌した。反応を水(100mL)で反応停止させ、生成物をEtOAc(100mL)で抽出し、その後、濃縮した。混合物をカラムクロマトグラフィー(0〜50%のEtOAc:ヘキサン)によって精製して、アセチルスルファニルエステル中間体、4’−{5−[((S)−2−アセチルスルファニル−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]−2−エトキシ−4−エチルイミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸t−ブチルエステルが得られた。
【0134】
このエステル中間体をDCM:TFA(それぞれ10mL)に溶かし、混合物を室温で3時間撹拌し、その後、濃縮した。残渣をEtOAc中に取り、飽和NaHCO溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮して、5.3gのアセチルスルファニル酸中間体、4’−{5−[((S)−2−アセチルスルファニル−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]−2−エトキシ−4−エチルイミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸が得られた。
【0135】
この酸中間体をMeOH(30mL)に溶かした。溶液を脱気し、窒素下で撹拌し、0℃で冷却した。MeOH中の0.5MのNaOMe(25mL、2当量)を加え、混合物を0℃、窒素下で20分間撹拌した。その後、混合物を1NのHCl(15mL)で酸性化した。混合物を濃縮し、EtOAcに溶かし、水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、その後、濃縮した。生成物を分取HPLC、0.5%のTFAを含む10〜70%のMeCN:水(70分方法)によって精製して、2.3gのTFA塩が得られた。
【0136】
HCl塩の調製
Amberlite IRA−900樹脂(80g、Aldrich)を1MのHCl(600mL)に懸濁させた。混合物を60分間かけて時折揺動した。上清のバルクを傾瀉して湿樹脂が得られた、その後、これを100mLのプラスチックカラムに移した。通過した溶出液のpHが約5となるまで、水(200mL)および50%のMeCN水溶液(200mL)を用いた溶出によってカラムを洗浄した。4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイル−アミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸のTFA塩(2.3g、3.5mmol)を50%のMeCN水溶液(8mL)に溶かし、準備したカラムに装填した。化合物を重力下で50%のMeCN水溶液を用いて溶出させた。画分を5mLの体積で収集し、HPLCによって分析した。所望の質量を有する画分を合わせ、凍結乾燥して、表題化合物がHCl塩として得られた(1.5g、97%の純度)。
【0137】
表題化合物の調製
このHCl塩をMeOH(5mL)および水(5mL)に溶かし、混合物はpH2.2を有していた。一連の100μLの1NのNaOHの注入を用いて材料のpHを4.2までゆっくりと上げ、その後、1NのHCl(25μL)、NaOH(2×25μL)、その後、HCl(25μL)で調整して、等電点に到達した。溶液は曇っていることが観察された。材料は油分離していた(oiling out)。EtOAc(20mL)を加えて固形物を抽出し、その後、これを水層から除去し、濃縮して、表題化合物(1.3g、98%の純度)が得られた。イオンクロマトグラフィーを用いたこの材料のイオン含有量の分析により、0.06%のNa、0.1%のCl、および<0.1%のTFA(w/w)が得られた。
【0138】
実施例2
4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸の結晶性遊離塩基
実施例1に記載のように調製した4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]−イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸は、粉末X線回折によって非結晶性であることが決定された。
【0139】
この非晶形(35.7mg)をアセトン(1mL)に加えて、約36mg/mLの溶液が得られた。溶液を35〜40℃まで約30分間加熱し、その後、徐々に室温まで冷却した。その後、溶液を約44時間冷蔵した(4℃)。沈殿物が観察され、室温の穏やかな窒素流下で体積が半分に減った。固形物を単離し、窒素下で乾燥させて、表題結晶性化合物(22.3mg)が得られた。生成物の結晶性性質はXRPDパターン、DSC温度記録計、およびTGAのトレース分析によって確認した。
【0140】
実施例3
粉末X線回折
粉末X線回折パターンは、Rigaku Miniflex PXRD回折計を用いて、Cu Kα(30.0kV、15.0mA)の照射を使用して得た。分析は、2〜40°の2シータの角度の範囲にわたって0.03°のステップサイズを用いた、2°(2θ)/分の連続走査モードで実行する角度計で行なった。試料は、粉末材料の薄層として石英検体ホルダー上で調製した。機器は、ケイ素金属標準を用いて、±0.02°の2シータの角度以内に較正した。実施例2の結晶形の試料の代表的なPXRDパターンを図1に示す。
【0141】
図1に示される、数々の強い粉末回折ピークおよび比較的平らなベースラインは、実施例2の結晶形が良好な結晶化度を保有していたことを強く示す。それとは正反対に、結晶化前の出発物質である実施例1の非晶質化合物はどの回折ピークも示さなかった。
【0142】
実施例4
熱分析
示差走査熱量(DSC)は、熱分析コントローラを備えたTA InstrumentsモデルQ−100モジュールを用いて行なった。データを収集し、TA Instruments熱溶液ソフトウェアを用いて分析した。覆ったアルミニウムパン内に実施例2の結晶形の1.64mgの試料を正確に秤量した。22℃で5分の等温平衡期間の後、22℃から250℃までの10℃/分の直線加熱勾配を用いて試料を加熱した。代表的なDSC温度記録計を図2に示す。
【0143】
DSC温度記録計は、本発明の結晶性化合物が約144℃の融点を有し、150℃未満で熱分解がなく、優れた熱安定性を有することを実証している。この複雑でない熱プロフィールは、144℃での融解吸熱より前に望ましくない吸熱または発熱ピークを全く示さず、これは、この結晶性固形物が無水結晶形である可能性が最も高いことを示唆している。
【0144】
代表的なTGAのトレースを図3に示し、これは実施例2の結晶形の試料が室温から200℃までに少量(約1.8%)の重量を失ったことを示しており、これは、残留の水分または溶媒の損失と一致している。
【0145】
実施例5
動的水分収着評価
VTI大気微量天秤(atmospheric microbalance)、SGA−100システム(VTI Corp.、Hialeah、FL、33016)を用いて、実施例2の結晶形の試料について動的水分収着(DMS)評価(水分収着−脱離プロフィールとしても知られる)を行なった。約4.27mgの試料サイズを使用し、湿度は分析の開始時に周囲値に設定した。DMS分析は、2%の相対湿度(RH)から90%のRHの全湿度範囲にわたって5%のRH/ステップの走査測度からなっていた。DMSの実行は25℃の等温で行なった。代表的なDMSプロフィールを図4に示す。
【0146】
DMSプロフィールは、本発明の結晶性化合物が重要でない吸湿性を有する可逆的な収着/脱離プロフィールを有することを実証している。結晶性化合物は、2%のRHから90%のRHまでの広範囲の湿度に曝した際に少しの重量増加しか有さず、75%までのRHに曝された際に約1%未満の重量増加しか有さず、これは、結晶形は周囲条件下において最小限の吸湿性の危険性しか保有しないことを示している。
【0147】
実施例6
4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸の結晶性遊離塩基
実施例2に記載の様式と同様であるが、アセトンの代わりにMeCNを使用して、表題結晶性化合物を調製した。
【0148】
非晶質4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)−メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸(98.8mg)をMeCN(4mL)に加えて、約24.7mg/mLの溶液が得られた。溶液を35℃まで約30分間加熱し、その後、徐々に室温まで冷却した。その後、溶液を約42時間冷蔵した(4℃)。沈殿物が観察され、室温の穏やかな窒素流下で体積が半分に減った。固形物を単離し、窒素下で乾燥させて、表題結晶性化合物(73.8mg)が得られた。
【0149】
同様のPXRDパターン、DSC温度記録計、およびTGAのトレースによって証明されるように、同じ結晶性物質が実施例2と同様に得られた。しかし、この物質は、約151℃のわずかに高い融点によって証明されるように、実施例2の物質と比較して向上した結晶化度の特性を示した。
【0150】
調製物5
結晶性遊離塩基4’−(5−アミノメチル−2−エトキシ−4−エチルイミダゾール−1−イルメチル)−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸t−ブチルエステル
【0151】
【化7】

【0152】
5−ブロモ−2−エトキシ−3H−イミダゾール−4−カルボアルデヒド(22.0g、100mmol、1.1当量)、4’−ブロモメチル−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸t−ブチルエステル(33.0g、90mmol、1当量)、およびBuNBr(1.6g、5mmol、0.05当量)を、トルエン(400mL)および1NのNaOH(120mL、120mmol、1.2当量)に溶かした。生じた混合物を27℃で48〜60時間撹拌した。トルエン層を分離し、水(2×200mL)で洗浄し、その後、蒸留によって除去した。EtOH(350mL)を残渣に加え、固体が溶けるまで混合物を50〜60℃まで加熱した。混合物を4時間かけて室温まで冷却し、その後、4℃まで冷却し、4℃で4時間撹拌した。固形物を濾取し、冷EtOH(60mL)で洗浄し、室温、真空下で24時間乾燥させて、中間体(5a)(約39g)が得られた。
【0153】
中間体(5a)(20.0g、40mmol、1当量)、カリウムエチルトリフルオロボレート(7.1g、52mmol、1.3当量)、酢酸パラジウム(II)(224mg、1mmol、0.025当量)、cataCXium(登録商標)A(ブチルジ−1−アダマンチルホスフィン、CAS#321921−71−5、538mg、1.45mmol、0.04当量)、およびCsCO(45g、138mmol、3.45当量)を、トルエン(240mL)および水(80mL)に溶かした。混合物を真空下で窒素(3×)を用いてフラッシュし、その後、90℃まで16時間加熱した。その後、混合物を室温まで冷却し、層を分離した。有機層を水(2×200mL)で洗浄し、その後、減圧下で蒸留して、油状物が得られた。油状物をEtOH(240mL)に溶かした。水(80mL)を加え、混合物を30分間撹拌した。混合物を濾過して固体を除去し、固形物を75%のEtOH(130mL)で洗浄し、濾液を収集して、EtOH溶液中の中間体(5b)が得られ、これを次のステップで直接使用した。
【0154】
中間体(5b)(10mmol、1当量)のEtOH溶液を、塩酸ヒドロキシルアミン(27.2g、52mmol、1.3当量)およびNaHCO(35.2g、3.45当量)と合わせた。混合物を40℃で24時間撹拌し、その後、室温まで冷却した。沈殿剤を濾取し、75%のEtOH(100mL)および50%のEtOH(200mL)で洗浄し、その後、減圧下、30℃で24時間乾燥させて、中間体(5c)(15g)が得られた。
【0155】
中間体(5c)(5g)を、EtOH(100mL)、NHOH(28%、6mL)、およびレイニーNi(湿10g)と合わせて、スラリーを形成した。混合物を窒素下で脱気し(3×)、水素下(3×)で脱気し、その後、水素下(1atm)で3時間撹拌した。混合物を濾過して触媒を除去し、固形物をEtOH(20mL)で洗浄した。その後、濾液を木炭(0.5g)で処理し、再度濾過した。その後、濾液を真空下で蒸留して、油状物が得られた。ヘプタン(50mL)を加え、混合物を蒸留して、油状物を形成した(2×)。混合物を加熱し、4℃で24時間撹拌することによって残った油状物をヘプタン(60mL)に溶かした。その後、固形物を濾過し、冷ヘプタン(10mL)で洗浄し、室温で24時間乾燥させて、表題化合物が結晶性物質として得られた(3.8g)。
【0156】
調製物6
結晶性遊離塩基4’−{5−[((S)−2−アセチルスルファニル−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]−2−エトキシ−4−エチルイミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸
【0157】
【化8】

【0158】
結晶性4’−(5−アミノメチル−2−エトキシ−4−エチルイミダゾール−1−イルメチル)−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸t−ブチルエステル(ジシクロヘキシルアミン塩、18g、40mmol、1当量)、(S)−2−アセチルスルファニル−4−メチルペンタン酸(18g、48mmol、1.2当量)、およびHCTU(19g、48mmol、1.2当量)を、事前に冷却した容器(0℃で10分間)中で合わせ、冷DCM(240mL)を加えた。混合物を1±2℃で5〜15時間撹拌した。4%のNaHCO(200mL)を加え、混合物を15分間撹拌した。DCM層を分離し、約100mLまで蒸留した。IPAc(150mL)を加え、150mLまで蒸留した。さらなるIPAc(200mL)を加え、混合物を4%のNaHCO(2×200mL)および水(200mL)で洗浄した。溶液を15%のNHCl(300mL)と共に15分間撹拌し、1NのHClを用いてpHを5.5に調整し、その後、1時間撹拌した。固形物を濾取した。濾液をIPAc(50mL)で洗浄し、IPAc層を分離した。IPAc層を15%のNHCl(200mL)と共に3時間撹拌し、すべての固体を濾取した。濾液を飽和NaCl水溶液(150mL)で洗浄し、真空下で約60mLまで蒸留した。DCM(50mL)を加え、留去した。DCM(200mL)を加え、混合物を0〜5℃で冷却した。TFA(70mL)を15℃未満でゆっくりと加え(わずかに発熱性)、混合物を20℃で16時間撹拌した。混合物を約150mlまで濃縮し、IPAc(150mL)を加えた。混合物を約150mLまで蒸留した。さらなるIPAc(150mL)を加え、約150mLまで再度蒸留した。IPAc(200mL)を加え、生じた溶液を、10℃未満の事前に冷却した水(250mL)中のKCO(52g)に15分間かけてゆっくりと加えた(穏やかに発熱性、pH>7、反応停止中は>6でなければならない)。移行中にpHを監視し、pHが6未満に下がった場合はさらなる塩基(8g)を加えた。IPAc層を分離し、飽和NaCl水溶液(150mL)で洗浄した。IPAc溶液を約50mLまで蒸留した。MTBE(100mL)を加え、混合物を約50mLまで蒸留した。さらなるMTBE(100mL)を加え、混合物を室温で3時間撹拌してスラリーを形成し、その後、これを4℃で16時間撹拌した。固形物を濾取し、MTBE/ジイソプロピルエーテル(1:1;100mL)で洗浄した。その後、固形物を室温で60時間、窒素下で乾燥させて、表題化合物が結晶性物質として得られた(18.2g)。
【0159】
実施例7
4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸の結晶性遊離塩基
結晶性4’−{5−[((S)−2−アセチルスルファニル−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]−2−エトキシ−4−エチルイミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸(2.3g、4mmol、1当量)およびDTT(62mg、0.4mmol、0.1当量)をMeOH(30mL)に溶かした。生じた溶液を窒素で脱気し(3回)、0℃で冷却した。NaOMe(MeOH中に25%、1.7mL)を加え、混合物を0℃で30分間撹拌した。AcOH(3g、50mmol、4当量)を加えて反応を0℃で反応停止させた。混合物を20℃まで温めた。脱イオン水(10mL)をゆっくりと加えた。混合物を20℃で3時間撹拌し、その後、沈殿物が形成されるまで4℃で1時間撹拌した。固形物を濾過し、MeOH/HO(2:1;30mL)で洗浄し、その後、窒素下、20℃で48時間乾燥させて、表題結晶性化合物(1.2g)が得られた。
【0160】
同様のPXRDパターン、DSC温度記録計、およびTGAのトレースによって証明されるように、同じ物質が実施例2と同様に得られた。
【0161】
実施例8
熱安定性
実施例6のように調製した結晶形の試料を60℃で5日間加熱した。試料はその純度の2%のみを失い、したがって、本発明の結晶性化合物は優れた熱安定性を有する。他方で、実施例1の非晶質化合物の試料は60℃で1日間加熱した後にその純度の約50%を失った。
【0162】
実施例9
微粒子化
実施例7のように調製した結晶性遊離塩基の試料をジェットミルで微粒子化して、易流動性の白色粉末が得られた。微粒子化プロセス中に問題には遭遇しなかった。粒子径の分布は以下のとおりであった。
【0163】
【表3】

【0164】
微粒子化したしていない材料と比較して、微粒子化した材料において粉末X線回折パターン、TGA、DSC、DMS、化学純度、キラル純度および水分含有量の顕著な変化は観察されなかった。たとえば、実施例5に注記されているように、実施例2の結晶性遊離塩基の試料の代表的なDMSのトレースでは、40〜75%のRHの湿度範囲で1%未満の重量増加が示された一方で、実施例7のように調製した微粒子化した結晶性遊離塩基はこの湿度範囲内で0.7%の重量増加を示した。
【0165】
実施例10
赤外線分析
赤外線(IR)吸収スペクトルは、Nicolet減衰全反射(ATR)試料ホルダーを備えたAvatar360FT−IR分光計を用いて、4000〜675cm−1の周波数範囲にわたって決定した。実施例6のように調製した結晶性遊離塩基の試料の代表的なIR吸収スペクトルを図5に示し、ピークのリストを以下に提供する。
【0166】
【表4】

【0167】
有意な吸収バンドが3324±1、2958±1、2872±1、2527±1、1709±1、1643±1、1551±1、1500±1、1357±1、1254±1、1133±1、1062±1、869±1、799±1、759±1、および695±1cm−1で観察された。
【0168】
実施例11
固体状態の安定性評価
それぞれの約100mgの、実施例7のように調製した結晶性遊離塩基の試料を、複数のバイアル中、5℃(密閉容器)、25℃(密閉容器)、および40℃(密閉容器)で保管した。指定した間隔で、代表的なバイアルの内容物全体を以下のHPLC方法によって分析した。
【0169】
カラム:Agilent Zorbox SB−C18、4.6×250mm、5μm(部品番号880975−902)。移動相A:80%のHO、20%のMeCN、0.01%のTFA。移動相B:80%のMeCN、20%のHO、0.01%のTFA。流速:1mL/分。注入体積:20μL。検出器:250nm。
【0170】
試料は、HPLC上に注射するために、溶解度に応じて100%のMeCN中に0.2〜0.5mg/mLのストック溶液として調製した。
【0171】
試料の純度はHPLCの面積のパーセンテージ(%AUC)として決定した。28日間保管した後、すべての条件下で保持した結晶性遊離塩基試料について、化学的純度に検出可能な変化はなく、物質の外見に観察可能な変化はなかった。
【0172】
たとえば、以下に示すように、40℃で28日間保管した後、結晶性遊離塩基の化学的純度に検出可能な変化はなかった一方で、非晶質遊離塩基およびTFA塩(どちらも実施例1に記載のように調製した)は純度の低下を示した。
【0173】
【表5】

【0174】
アッセイ1
ATおよびATの放射性リガンド結合アッセイ
これらのin vitroアッセイを用いて、ATおよびAT受容体と結合する試験化合物の能力を評価した。
【0175】
ヒトATまたはAT受容体を発現する細胞からの膜調製物
クローニングしたヒトATまたはAT受容体を安定して発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO−K1)由来の細胞系を、それぞれ、10%のウシ胎児血清、10μg/mlのペニシリン/ストレプトマイシン、および500μg/mlのジェネティシンを添加したHAM−F12培地中、5%のCO加湿インキュベーター内、37℃で成長させた。AT受容体を発現する細胞は、100nMのPD123,319(AT拮抗剤)をさらに存在させて成長させた。培養物が80〜95%のコンフルエンスに達した際、細胞をPBSで徹底的に洗浄し、5mMのEDTAで持ち上げた。細胞を遠心分離によってペレット化し、MeOH−ドライアイス中でスナップ凍結し、さらに使用するまで−80℃で保管した。
【0176】
膜調製物には、細胞ペレットを溶解緩衝液(25mMのトリス/HCl、pH7.5、4℃、1mMのEDTA、および1錠剤の完全プロテアーゼ阻害剤カクテル錠+50mLの緩衝液あたり2mMのEDTA(Rocheカタログ番号1697498、Roche Molecular Biochemicals、Indianapolis,IN))中に再懸濁させ、氷上でタイトフィットのDounceガラスホモジナイザー(10回のストローク)を用いてホモジナイズした。ホモジネートを1000×gで遠心分離し、上清を収集し、20,000×gで遠心分離した。最終ペレットを膜緩衝液(75mMのトリス/HCl、pH7.5、12.5mMのMgCl、0.3mMのEDTA、1mMのEGTA、250mMのスクロース、4℃)中に再懸濁させ、20Gゲージの針を通して押し出すことによってホモジナイズした。膜懸濁液のタンパク質濃度は、Bradford、(1976)Anal Biochem.、72:248−54に記載の方法によって決定した。膜をMeOH−ドライアイス中でスナップ凍結し、さらに使用するまで−80℃で保管した。
【0177】
ヒトATおよびATアンジオテンシン受容体に対する化合物の親和性を決定するためのリガンド結合アッセイ
結合アッセイは、96ウェルのAcrowellフィルタープレート(Pall Inc.、カタログ番号5020)中、100μLの全アッセイ体積で、アッセイ緩衝液(50mMのトリス/HCl、pH7.5、20℃、5mMのMgCl、25μMのEDTA、0.025%のBSA)中、ヒトAT受容体を含有する膜には0.2μgの膜タンパク質、またはヒトAT受容体を含有する膜には2μgの膜タンパク質を用いて行なった。リガンドのK値を決定するための飽和結合研究は、N末端をユーロピウムで標識したアンジオテンシン−II([Eu]AngII、H−(Eu−N)−Ahx−Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe−OH、PerkinElmer、Boston,MA)を、0.1nM〜30nMの範囲の8個の異なる濃度で用いて行なった。試験化合物のpK値を決定するための置換アッセイは、2nMの[Eu]AngIIおよび1pM〜10μMの範囲の11個の異なる濃度の薬物を用いて行なった。薬物をDMSO中に1mMの濃度で溶かし、そこから、アッセイ緩衝液で連続希釈した。非特異的結合は、10μMの非標識のアンジオテンシン−IIの存在下で決定した。アッセイは、120分間、暗所、室温または37℃でインキュベーションし、Acrowellフィルタープレートを通して迅速に濾過することによって結合反応を停止させ、次いで、Waters濾過マニフォールドを用いて200μLの氷冷洗浄バッファー(50mMのトリス/HCl、pH7.5、4℃、5mMのMgCl)で3回洗浄した。プレートを軽く叩いて乾燥させ、50μlのDELFIA増強溶液(PerkinElmerカタログ番号4001−0010)と共に、室温で5分間、揺動器上でインキュベーションした。フィルターと結合した[Eu]AngIIを、Fusionプレートリーダー(PerkinElmer)上で時間分解蛍光(TRF)を用いてすぐに定量した。結合データは、1部位競合の3−パラメータモデルを使用して、GraphPad Prismソフトウェアパッケージ(GraphPad Software,Inc.、San Diego,CA)を用いて、非直線回帰分析によって分析した。BOTTOM(曲線最小値)は、10μMのアンジオテンシンIIの存在下で決定される、非特異的結合の値に固定されていた。薬物のK値を、観察されたIC50値およびChengら、(1973)Biochem Pharmacol.、22(23):3099−108に記載のCheng−Prusoff方程式に従った[Eu]AngIIのK値から計算した。AT受容体よりもAT受容体に対する試験化合物の選択性を、AT/ATの比として計算した。試験化合物の結合親和性はK値の負の10を底とする対数(pK)として表した。
【0178】
このアッセイでは、より高いpK値は、試験化合物が試験した受容体に対してより高い結合親和性を有することを示す。実施例1の化合物は、約7.0を超えるpK値を有することが判明した。
【0179】
アッセイ2
ヒトおよびラットNEPならびにヒトACEでの阻害効力(IC50)を定量するためのin vitroアッセイ
ヒトおよびラットNEPならびにヒトアンジオテンシン変換酵素(ACE)での化合物の阻害活性は、以下に記載のin vitroアッセイを用いて決定した。
【0180】
ラット腎臓からのNEP活性の抽出
ラットNEPを成体スプラーグドーリーラットの腎臓から調製した。腎臓全体を冷PBSで洗浄し、腎臓1gあたり5mLの緩衝液の比の氷冷溶解緩衝液(1%のTriton X−114、150mMのNaCl、50mMのトリス、pH7.5、Bordier、(1981)J.Biol.Chem.、256:1604−1607)中にとった。polytron手持ち組織粉砕器を用いて試料を氷上でホモジナイズした。ホモジネートを、スイングバケツローター内で5分間、3℃で、1000×gで遠心分離した。ペレットを20mLの氷冷溶解緩衝液中に再懸濁させ、氷上で30分間インキュベーションした。その後、試料(15〜20mL)を25mLの氷冷クッション緩衝液(6%w/vのスクロース、50mMのpH7.5、トリス、150mMのNaCl、0.06%、Triton X−114)上に層状に重ね、37℃まで3〜5分間加熱し、スイングバケツローター内で室温で3分間、1000×gで遠心分離した。上部の2層を吸引除去し、濃縮された膜画分を含有する粘稠の油性沈殿物が残った。グリセロールを50%の濃度まで加え、試料を−20℃で保管した。タンパク質濃度は、BSAを標準として用いたBCA検出システムを使用して定量した。
【0181】
酵素阻害アッセイ
組換えヒトNEPおよび組換えヒトACEを購入した(R&D Systems、Minneapolis,MN、カタログ番号それぞれ1182−ZNおよび929−ZN)。蛍光発生ペプチド基質Mca−BK2(Mca−Arg−Pro−Pro−Gly−Phe−Ser−Ala−Phe−Lys(Dnp)−OH、Johnsonら、(2000)Anal.Biochem.、286:112−118)をヒトNEPおよびACEアッセイに使用し、Mca−RRL(Mca−DArg−Arg−Leu−(Dnp)−OH、Medeirosら、(1997)Braz.J.Med.Biol.Res.、30:1157−1162)をラットNEPアッセイに使用した(どちらもAnaspec、San Jose,CAからのもの)。
【0182】
試験化合物をアッセイ緩衝液で10μM〜20pMの12個の濃度まで希釈した。アッセイは、25μLの酵素を12個の濃度のそれぞれの12.5μLの試験化合物に加えることによって開始させた。試験化合物を酵素と10分間平衡させた後、12.5μLの蛍光原基質を加えて反応を開始させた。20分間のインキュベーション後に10μLの3.6%の氷酢酸を加えることによって反応を停止させた。
【0183】
スルフヒドリル含有試験化合物では、試験化合物を400μMの濃度のトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(Thermo Scientific、Rockford,IL)(TCEP)を含有するアッセイ緩衝液で希釈し得る。その後、試験化合物を40分間、室温で還元させた後、酵素を加える。その後、試験化合物を酵素と20分間平衡させた後、蛍光原基質を加える。反応は上記のように停止させる。
【0184】
プレートは、励起および発光波長をそれぞれ320nmおよび405nmに設定し、蛍光光度計で読み取った。生データ(相対蛍光単位)を、それぞれ3個の標準のNEPおよびACE阻害剤を用いた平均の高い読取り(阻害なし、100%の酵素活性)および平均の低い読取り(完全阻害、最高の阻害剤濃度、0%の酵素活性)からの%活性に対して正規化した。正規化したデータの非直線回帰を1部位競合モデル(GraphPad Software,Inc.、San Diego,CA)を用いて行なった。データはpIC50値として報告した。実施例1の化合物は約7.0以上のpIC50値を有することが判明した。
【0185】
本発明は、その具体的な態様または実施形態を参照しながら記載したが、当業者には、本発明の真の精神および範囲から逸脱せずに、様々な変化を行なうことができる、または均等物を置換することができることが理解されよう。さらに、適用される特許法および規定によって許可される程度に、本明細書中で引用するすべての出版物、特許および特許出願は、それぞれの文書が本明細書中に個々に参考として組み込まれている場合と同じ程度に、その全体で本明細書中に参考として組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
6.66±0.20、9.8±0.20、および18.12±0.20の2θ値で回折ピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられる、4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸の結晶性遊離塩基。
【請求項2】
12.68±0.20、13.54±0.20、15.02±0.20、19.32±0.20、21.20±0.20、22.62±0.20、24.56±0.20、25.30±0.20、25.96±0.20、および27.32±0.20から選択される2θ値で1つまたは複数の追加の回折ピークを有することによって特徴づけられる、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
ピーク位置が図1に示すパターンのピーク位置に実質的に従う粉末X線回折パターンによって特徴づけられる、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
約144℃〜約148℃の範囲の融点を有する示差走査熱量のトレースによって特徴づけられる、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
図2に示すものに実質的に従う示差走査熱量のトレースによって特徴づけられる、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
3324±1、2958±1、2872±1、2527±1、1709±1、1643±1、1551±1、1500±1、1357±1、1254±1、1133±1、1062±1、869±1、799±1、759±1、および695±1cm−1で有意な吸収バンドを有する赤外線吸収スペクトルによって特徴づけられる、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
製薬上許容される担体と請求項1に記載の結晶性化合物とを含む医薬組成物。
【請求項8】
利尿剤、βアドレナリン作動性受容体遮断剤、カルシウムチャネル遮断剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、AT受容体拮抗剤、ネプリライシン阻害剤、非ステロイド性抗炎症剤、プロスタグランジン、抗脂質剤、抗糖尿病剤、抗血栓剤、レニン阻害剤、エンドセリン受容体拮抗剤、エンドセリン変換酵素阻害剤、アルドステロン拮抗剤、アンジオテンシン変換酵素/ネプリライシン阻害剤、およびその組合せから選択される第二治療剤をさらに含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
a)(i)4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸をアセトンで処理して完全に溶解させること、または(ii)4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸をアセトニトリルで処理して完全に溶解させること、または(iii)4’−{5−[((S)−2−アセチルスルファニル−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]−2−エトキシ−4−エチルイミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸をメタノール中で脱保護し、水を加えて完全に溶解させることと、
b)冷却して結晶化をもたらすことと、
c)生じる固体を単離して、請求項1に記載の結晶性遊離塩基を得ることと
を含む、請求項1に記載の結晶性遊離塩基を調製するプロセス。
【請求項10】
請求項9に記載のプロセスによって調製した生成物。
【請求項11】
請求項1に記載の結晶性遊離塩基を形成することを含む、4’−{2−エトキシ−4−エチル−5−[((S)−2−メルカプト−4−メチルペンタノイルアミノ)メチル]イミダゾール−1−イルメチル}−3’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸を精製するプロセス。
【請求項12】
請求項11に記載のプロセスによって調製した生成物。
【請求項13】
医薬品を製造するための請求項1に記載の結晶性遊離塩基の使用。
【請求項14】
前記医薬品が高血圧または心不全の処置に有用である、請求項13に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−504145(P2012−504145A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529357(P2011−529357)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/058803
【国際公開番号】WO2010/039719
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(500154711)セラヴァンス, インコーポレーテッド (129)
【Fターム(参考)】