説明

アルコキシシランおよび特定のアロファネートおよび/またはビウレット基を有するプレポリマー、その製造方法およびその使用

本発明は、アルコキシシラン基を含んでなるポリウレタンプレポリマー、アロファネート化によって変性された前記ポリウレタンプレポリマー、シラン官能性または非官能性アルキルまたはアリール基を有するそのアロファネート構造、その製造方法、および接着剤、シーラント、プライマーまたはコーティングのためのバインダーとしてのその利用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アロファネート化および/またはビウレット化によって変性されたアルコキシシラン官能性プレポリマーであって、そのアロファネートおよび/またはビウレット構造が、少なくとも一つのシラン官能性または非官能性アルキルまたはアリール基を有するプレポリマー、その製造方法および接着剤、シーラント、プライマーまたはコーティングのためのバインダーとしてのその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
シラン重縮合によって架橋するアルコキシシラン官能性ポリウレタンは、すでに確立されている。例えばこの主題についての概要記事は、Adhesives Age、1995年4月、第30頁以下(著者:Ta−Min Feng、B.A.Waldmann)に見出される。この種の、アルコキシシランで終端された、湿気硬化性の一成分ポリウレタンは、建築および自動車産業で、エラストマーのコーティング、シーリングおよび接着材料としてますます用いられている。
【0003】
US3627722またはUS3632557によると、この種のアルコキシシラン官能性ポリウレタンは、ポリエーテルポリオールと、例えば、過剰のポリイソシアネートを反応させてNCO含有プレポリマーを生成し、その後、該プレポリマーを次にアミノ官能性アルコキシシランとさらに反応させることによって調製し得る。得られたアルコキシシラン官能性プレポリマーは、高い濃度のウレア基とウレタン基とを含有し、それは、生成物のその部分で高い粘度を生じる。
【0004】
ウレア基によって生じる水素結合密度の割合を少なくとも減少させる一つの効果的な方法は、置換ウレアを生じさせるために第二級アミノシランを用いることである。多様な方法が、この目標のために提案された;US3627722およびUS3632557では、アルキル置換アミノシランが用いられ、US4067844では、アクリレートと第一級アミノシランとを付加反応させ、EP−A596360では、マレイン酸エステルと第一級アミノシランとを付加反応させ、EP−A676403では、アリール置換アミノシランを導入する。しかし、これらの方法は全て、末端ウレア基上の一つ水素原子のみを置換でき、全てのさらなるウレアプロトンとウレタンプロトンは、水素結合によって、高い粘度の原因となり続ける。
【0005】
水素結合の密度、従って粘度を減少させるさらなる適当な方法は、EP−A372561に開示されている。そこでは、非常に長鎖状のポリエーテルポリオールが、ポリイソシアネートとの反応を経て、低い延長度で用いられる。このため、特定の製造方法の効力によって、低い不飽和度と多分散性とともに高官能価を有するポリエーテルが必要とされる。この技術のさらなる態様は、WO99/48942およびWO00/26271において明らかにされている。しかしながら、この原理は、低弾性率のバインダーとして設計された非常に長鎖状のプレポリマーの場合にのみ重要な効果を生じ、単に水素結合密度の一部を排除し得るのみである。
【0006】
US4345053には、ウレタン密度、および従って水素結合密度を減少させる、さらなる可能性が教示されている。OH官能性プレポリマーはイソシアネート官能性アルコキシシランで終端され、それは、最終的に、終端あたり一つのウレア基を節減することを意味する。しかしながら、OH官能性プレポリマーは、ポリエーテルポリオールとジイソシアネートとの延長から生じるウレタン基をなお含有する。このウレタン基は、同じくEP−A372561で開示されるように、低い不飽和度と多分散性を有する、特別に調製された長鎖状ポリエーテルを用いることによって節減し得る。この取組方法の不利な特徴には、一方で、この目的に対して必要であるイソシアネートシランが、入手しにくい化合物であるため高価であり、ならびにポリエーテルのOH基と副反応する傾向があり、他方で、ここで再び、粘度が増加するウレタン基の一部を排除し得るのみという事実が含まれる。
【0007】
アロファネート構造を有するポリイソシアネートは、そのアロファネート構造を有さないポリイソシアネートと比べると、比較的低い粘性であるという事実が多種多様に文献、例えば、EP−B0682012に記載されている。
【0008】
その技術においては、それらは、一価または多価アルコールと、過剰な量の芳香族、脂肪族および/または脂環式ジイソシアネート(GB−A994890、US3769318、EP−A0000194またはEP−A0712840を参照されたい)とを反応させることによって調製される。イソシアネート官能性バインダーを得るために、そこでは、もっぱらジ−またはポリイソシアネートのみを使用する。早期の架橋を避けるため、過剰のポリイソシアネートを用いる必要があり、ポリイソシアネートは、ウレタン化およびアロファネート化が行われた後、減圧を用いて蒸留によって除去されなければならない。この取組方法では、さらなるイソシアネート官能性基は、アロファネート窒素によって結合される。
【0009】
同じくウレタンとイソシアネート以外のイソシアネート誘導体から、間接的にアロファネートを調製することも可能である。従ってEP−A0825211には、オキサジアジントリオンに由来するアロファネート構造を構成するための方法が記載されている;さらなる経路は、アロファネート構造へウレットジオン(水性、高固体およびパウダーコーティングの国際シンポジウム2001年の議事録(Proceedings of the International Waterborne、High−Solids、and Powder Coatings、Symposium 2001)、第28回、第405〜419頁、ならびにUS−A20030153713を参照されたい)から開始することである。しかしながら、いずれの経路も、精製された出発分子を必要とし、副産物を多く含むアロファネート生成物のみを生じる。さらに、前駆体は、少なくとも二官能性のポリイソシアネートのみを用いて製造される。
【0010】
同じくモノイソシアネートの使用は、アロファネート化学に関連してすでに開示された。出願US5663272およびUS5567793には、多官能性アルコールとの反応によって、NCO−およびOH遊離ウレタンを得るためにフェニルイソシアネートが使用され、次いで、それは、液状MDIポリイソシアネートを与えるために、特定のMDI品種とのアロファネート化によって変性される。この取組方法の場合には、さらなる加工に先立ってモノマージイソシアネートを含有する。
【特許文献1】US3627722
【特許文献2】US3632557
【特許文献3】US4067844
【特許文献4】EP−A596360
【特許文献5】EP−A676403
【特許文献6】EP−A372561
【特許文献7】WO99/48942
【特許文献8】WO00/26271
【特許文献9】US4345053
【特許文献10】EP−B0682012
【特許文献11】GB−A994890
【特許文献12】US3769318
【特許文献13】EP−A0000194
【特許文献14】EP−A0712840
【特許文献15】EP−A0825211
【特許文献16】US−A20030153713
【特許文献17】US5663272
【特許文献18】US5567793
【非特許文献1】Ta−Min Feng、B.A.Waldmann、「Adhesives Age」、1995年4月、第30頁以下
【非特許文献2】水性、高固体およびパウダーコーティングの国際シンポジウム2001年の議事録(Proceedings of the International Waterborne、High−Solids、and Powder Coatings、Symposium 2001)、第28回、第405〜419頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の目的は、先行技術と比較して著しく粘度が減少した、変性されたアルコキシシラン官能性ポリウレタンプレポリマーを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この種のプレポリマーは、アルコキシシラン基を含有し得るポリウレタンプレポリマーのウレタン基、および/またはウレア基と、モノイソシアネートとの反応によって非常に容易に調製でき、該反応には、これらの基の、比例的または完全なアロファネート化および/またはビウレット化が含まれることが判明した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
シラン変性プレポリマーをアルコキシシラン遊離ポリウレタンプレポリマーから得てもよいため、モノイソシアネートは、それ自体アルコキシシラン基を含有してよい。
【0014】
従って、本発明は、アロファネートおよび/またはビウレット構造を有する変性アルコキシシラン官能性ポリウレタンであって、該アロファネートおよび/またはビウレット構造の少なくとも10mol%が、一般式R−NCO(Rは、20個までの炭素原子を有する、必要に応じてヘテロ原子を含有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基であり、これらの基は、アロファネート構造の一部であるNCO官能基の他に、および存在する任意のアルコキシシリル基の他に、官能価を有さない)のモノイソシアネートに由来するポリウレタンを提供する。
【0015】
本発明は、
A)アルコキシシラン官能性ポリウレタンプレポリマーの一部または全てのウレタン基および/またはウレア基と、式R−NCOのモノイソシアネートとを反応させてアロファネート基および/またはビウレット基とするか、または
B)アルコキシシリル基を含有しないポリウレタンプレポリマーの一部または全てのウレタン基および/またはウレア基と、式R−NCO(式中、基Rは、少なくとも一つのアルコキシシリル基を必ず有する)のモノイソシアネートとを反応させてアロファネート基および/またはビウレット基とするか、
のいずれかを含む、アルコキシシラン官能性プレポリマーの製造方法をさらに提供する。
【0016】
請求の範囲に記載されたアロファネート官能性化合物は、所望のウレタン−および/またはウレア官能性出発化合物またはプレポリマーと、一般式R−NCO(Rは、好ましくは1〜20個の炭素原子を有するアルキル基または6〜20個の炭素原子を有するアリール基である)のモノイソシアネートとを反応させることによって得られる。
【0017】
モノイソシアネートR−NCOとして、非官能性モノイソシアネートだけでなく、NCO官能基に加えて、少なくとも一つのアルコキシシリル基を保有する、その官能性イソシアネートもまた使用することができる。
【0018】
適当な非官能性モノイソシアネートには、20個までの炭素原子を有する、所望の芳香族、脂肪族および脂環式モノイソシアネート、例えば、メチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、n−ブチルイソシアネート、n−ヘキシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、任意にハロゲン化されたフェニルイソシアネート、1−ナフチルイソシアネート、任意に塩素化またはフッ素化されたm−、o−およびp−トリルイソシアネート、p−イソプロピルフェニルイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネートおよびp−トルエンスルホニルジイソシアネートなどが含まれる。
【0019】
これに関して、好ましい非官能性モノイソシアネートは、ブチルイソシアネートまたはヘキシルイソシアネートである。
【0020】
ここで、一を除く全てのNCO基をNCO反応性化合物と反応させたポリイソシアネートの使用が同じく考えられる。しかし、この種の化合物は好ましくない。
【0021】
適当なアルコキシシラン官能性モノイソシアネートとして、例えば、イソシアナトメチルトリメトキシシラン、イソシアナトメチルトリエトキシシラン、(イソシアナトメチル)メチルジエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランおよび3−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシランを用いることができる。
【0022】
ここで、さらにジイソシアネートと、アミノシラン、またはチオシランとを反応させることによって調製されるイソシアネート官能性シランを用いることが考えられる。しかし、この種の化合物は、好ましくない。
【0023】
アロファネート化のために使用するモノイソシアネートは、出発化合物中に存在するウレタン基に対して、半化学量論的に等モルあるいは過剰の量で用いてよい。後者の場合には、反応が、当業者にとって既知の方法、例えば、蒸留または抽出などで完了した際、過剰なモノイソシアネートのために分離することが必要である。従って、出発化合物中のウレタン基とウレア基各1molに対して0.1〜1.0molのモノイソシアネートを使用することが好ましく、ここで、特に0.5〜1.0molのモノイソシアネートを使用することが好ましい。
【0024】
好ましくは、モノイソシアネートによるウレタンおよび/またはウレア基のアロファネート化および/またはビウレット化は、触媒を用いて行われる。
【0025】
アロファネート化またはビウレット化触媒として、それ自体既知の化合物、例えば、亜鉛塩オクタン酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネートおよび亜鉛2−エチルカプロエートなどまたはテトラアルキルアンモニウム化合物、例えば、N,N,N−トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム水酸化物、N,N,N−トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートまたはコリン2−エチルヘキサノエートなどである。オクタン酸亜鉛(亜鉛2−エチルヘキサノエート)およびテトラアルキルアンモニウム化合物を用いることは好ましく、特にオクタン酸亜鉛を用いることは好ましい。
【0026】
触媒は、本方法の生成物の固形分に基づいて0.001〜5.0重量%、好ましくは0.01〜1.0重量%および特に好ましくは0.05〜0.5重量%の量で用いられる。
【0027】
アロファネート化触媒は、一度に、あるいは複数に分けて、あるいは連続して添加してよい。一度に全量を添加することは好ましい。
【0028】
当業者にとって既知の方法によって支持材料上にアロファネート化触媒を設置すること、および不均質触媒の形態で用いることもできる。
【0029】
それによって、好ましい場合には、アロファネート化/ビウレット化のために用いるモノイソシアネートは、出発化合物中に存在するウレタン/ウレア基に対して半化学量論的または等モルの量で用いられ、生成物のNCO含量が、1.0重量%未満、特に好ましくは0.5重量%未満になるまでアロファネート化反応を行うことが好ましい。それによって、好ましくない場合には、アロファネート化のために用いるモノイソシアネートは、出発化合物中に存在する過剰のウレタン/ウレア基中で使用されるが、もっぱらNCOを含有する出発化合物を用いて、目的とする化合物の所望のNCO含量に達するまでアロファネート化反応を行うことのみが考えられる。その場合には、当業者にとって既知の方法、例えば、蒸留または抽出などによって、反応が完了した後に、過剰なモノイソシアネートを分離することが必要である。
【0030】
原則として、変性反応の終了後に、残留NCO基含量と、NCO反応性化合物、例えばアルコールなどを反応させることも可能である。これは、特に低いNCO含量を有する生成物を生じる。
【0031】
本発明にとって本質的要素であるアロファネート化および/またはビウレット化は、20〜200℃、好ましくは20〜120℃、特に好ましくは40〜100℃の温度で行われる。
【0032】
本発明の方法が、例えば、連続してスタティックミキサー、押出機または混合機中で、または例えば、バッチ式で、撹拌反応器中で行われるかどうかは、重要ではない。
【0033】
本発明の方法は、好ましくは撹拌反応器中で行われる。
【0034】
反応の経過は、反応槽に設置された適当な測定器具を用いて、および/または採取されたサンプルの分析によって監視し得る。適当な方法は、当業者にとって既知である。例えば、それらは、粘度測定、NCO含量の測定、屈折率の測定、OH含量の測定、ガスクロマトグラフィー(GC)、核磁気共鳴(NMR)分光法、赤外(IR)分光法および近赤外(NIR)分光法を含む。混合物のNCO含量は、好ましくは滴定法で決定される。IRによる、存在する遊離NCO基(脂肪族NCO基、約ν=2272cm−1でのバンド)の監視および未反応NCO基のGC分析は好ましい。
【0035】
本発明の化合物中に存在する、好ましくは少なくとも20mol%の、特に好ましくは少なくとも40mol%のアロファネートおよび/またはビウレット基は、モノイソシアネートR−NCOに基づく。
【0036】
ウレタン基および/またはウレア基を含有する適当な出発材料には、原則として、分子あたり少なくとも一のウレタン基またはウレア基を有する化合物が含まれる。
【0037】
ウレタン基を含有する化合物は、必要に応じて触媒による付加反応中で、イソシアネート官能性化合物とポリオールとを反応させることによって通常に使用し得る。ウレア基を含有するポリマーは、一般に、NCO官能基とアミノ基とを反応させることによって調製される。
【0038】
用いるイソシアネート官能性化合物は、一般的に、800g/molの数平均分子量を有する芳香族、脂肪族および脂環式ポリイソシアネートである。適当な例として、系列トルエン2,4−/2,6−ジイソシアネート(TDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トリイソシアナトノナン(TIN)、ナフチルジイソシアネート(NDI)、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、3−イソシアナトメチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソアネート=IPDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(THDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、2,2−ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)プロパン、3−イソシアナトメチル−1−メチル−1−イソシアナトシクロヘキサン(MCI)、1,3−ジイソオクチルシアナト−4−メチルシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナト−2−メチルシクロヘキサンおよびα,α,α’,α’−テトラメチル−m−または−p−キシリレンジイソシアネート(TMXDI)ならびにこれらの化合物からなる混合物に由来するジイソシアネートが挙げられる。
【0039】
ウレタン基を含有する化合物を調製するために好ましい出発材料は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)および/または4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンである。
【0040】
イソシアネートを含有する化合物として、ウレットジオンまたはイソシアヌレートを形成するために、上述のイソシアネートと、それ自体または互いの反応生成物は同じく適当である。例えば、Desmodur(登録商標)N3300、Desmodur(登録商標)N3400またはDesmodur(登録商標)N3600(全てBayerMaterialScience、レーフェルクーゼン、ドイツ国)が挙げられる。
【0041】
さらに、イソシアネートの誘導体、例えば、アロファネートまたはビウレットなどはさらに適当である。例として、Desmodur(登録商標)N100、Desmodur(登録商標)N75MPA/BA、またはDesmodur(登録商標)VPLS2102(全てBayerMaterialScience、レーフェルクーゼン、ドイツ国)が挙げられる。
【0042】
本明細書の優先日に未公開であるドイツ国特許出願DE102004048873の教示によると、官能化されたアロファネートは、まずワンポット反応でイソシアネートと、半化学量論的な量のヒドロキシ官能性化合物とをウレタン化させ、その後、さらなる工程で、アロファネートを形成するために、アロファネート化触媒と反応させる方法によって調製することもできる。一方で、この場合には、次いで本発明の変性を行うことが考えられる。しかし、この場合には、本明細書の優先日に未公開であるドイツ国特許出願DE102004048873に従って、ウレタン化の終わった後、第二工程の前に、モノイソシアネートを反応混合物に添加し、並行して本発明の変性を行う手順が好ましい。
【0043】
さらに、イソシアネートは、水との反応(加水分解)で、塩素または塩化物(加水分解性塩素を含有する化合物)を遊離させる化合物を含んでなってよい。本発明の方法において、そのような化合物は、樹脂の曇りと触媒の不必要に高い消費を生じ得る。従って、1000ppm未満の加水分解性塩素を含有するイソシアネートを使用することは好ましい。500ppm未満の加水分解性塩素、特に200ppm未満を含有する塩素を有するイソシアネートを用いることは、特に好ましい。
【0044】
ウレタン化のために、低分子量および/または高分子量のポリオールを使用し得る。
【0045】
ポリウレタン化学で使用し得る低分子量ポリヒドロキシル化合物は、62〜399g/molの分子量を有する、通例のポリオール、例えば、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロパン−1,2−および−1,3−ジオール、ブタン−1,4−および−1,3−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタン−1,8−ジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンまたは1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、グリセロール、トリメチロールプロパン、ヘキサン−1,2,6−トリオール−ブタン−1,2,4−トリオール、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシドおよび4,3,6−ジアンヒドロへキシトールなどである。
【0046】
高分子量ヒドロキシル化合物には、いずれの場合にも400〜20000g/molの平均分子量、好ましくは2000〜18000g/molの平均分子量を有する、ヒドロキシポリエステル、ヒドロキシポリエーテル、ヒドロキシポリチオエーテル、ヒドロキシポリアセタール、ヒドロキシポリカーボネート、二量体脂肪アルコール、および/またはポリウレタン化学において慣用されるエステルアミドが含まれる。
【0047】
適当なポリエーテルポリオールは、ポリウレタン化学において慣用されるポリエーテル、例えば、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはエピクロロヒドリンの付加物または共付加物、特にエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加物または酸化物などであり、それらは、二価ないし六価の出発分子、例えば、水または上述のポリオールまたは1〜4−NH結合を有するアミンなどを用いて調製される。平均で2〜4個のヒドロキシル基を有し、50重量%までの組み入れられたポリエチレンオキシド単位を含有し得るプロピレンオキシドポリエーテルは好ましい。これに関して、例えば水酸化カリウムによる触媒に基づいて調製される慣例のポリエーテルだけでなく、二重金属シアニド触媒に基づく、より最近の方法によって調製されたポリエーテルも使用することを検討し得る。一般に、後者のポリエーテルは、0.07meq/g未満の、特に少ない末端不飽和含量を有し、モノオールの著しく低い割合を含有し、一般に1.5未満の低多分散性を有する。ポリエーテルを用いる際、二重金属シアニド触媒によって調製される、この種のポリエーテルを用いることは好ましい。
【0048】
適当なポリエステルポリオールとしては、例えば、多価、好ましくは、二価および任意にさらに三価アルコールと、多塩基性、好ましくは、二塩基性カルボン酸との反応生成物が挙げられる。遊離ポリカルボン酸の代わりに、相当するポリカルボン酸の無水物、または低級アルコールの相当するポリカルボン酸のエステル、またはそれらの混合物を使用して、ポリエステルを調製してもよい。実際には、ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族および/またはヘテロ環式であってよく、任意に、例えば、ハロゲン原子により置換されてよく、および/または不飽和であってよい。例えば、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、コハク酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリメリット酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチル−エンテトラヒドロフタル酸無水物、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、二価および三価脂肪酸、例えば、オレイン酸など任意に、モノマー脂肪酸との混合物中で、ジメチルテレフタレートまたはビスグリコールテレフタレートを挙げることができる。60℃以下で溶融し、2または3の末端OH基を有するヒドロキシポリエステルは好ましい。
【0049】
適当なポリカーボネートポリオールは、カルボン酸誘導体、例えばジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはホスゲンなどと、ジオールとを反応させることによって得られる。適当な前記ジオールは、例えばエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロパン−1,2−および−1,3−ジオール、ブタン−1,4−および−1,3−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタン−1,8−ジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンまたは1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールA、およびテトラブロモビスフェノールAまたはジオールの混合物が挙げられる。好ましくは、ジオール成分は、40重量%〜100重量%のヘキサンジオール、好ましくは、ヘキサン−1,6−ジオール、および/またはヘキサンジオール誘導体、好ましくは、末端OH基と同じく、エーテル基またはエステル基を有する誘導体を受け入れ、具体的には、1molのヘキサンジオールと少なくとも1mol、好ましくは1〜2molの、DE−A1770245によるカプロラクトンとの反応によって、またはジ−またはトリヘキシレングリコールを与えるためにヘキサンジオールとそれ自体とをエーテル化することによって得られる生成物である。例えば、前記誘導体の製造は、DE−A1570540から既知である。また、DE−A3717060に記載されたポリエーテル−ポリカーボネートジオールは、非常に優れた効果で使用し得る。
【0050】
ヒドロキシポリカーボネートは、実質的に線状であるべきである。しかしながら、必要に応じて多官能性成分、特に低分子量ポリオールの組み入れによって軽度に分枝してもよい。本目的に適した例として、トリメチロールプロパン、ヘキサン−1,2,6−トリオール、グリセロール、ブタン−1,2,4−トリオール、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシドおよび4,3,6−ジアンヒドロへキシトールが挙げられる。
【0051】
実施態様A)に必要なアルコキシシラン官能性プレポリマーの調製は、概ね既知であり、例えばUS3632557、EP−A372561、EP−A931800またはWO00/26271に詳しく記載される。
【0052】
一方で、まず1.2:1〜2.0:1のNCO/OH比率で上述の成分に由来するNCO官能性プレポリマーを構成し、その後、前記プレポリマーとイソシアネート反応性官能性アルコキシシランとを反応させることは可能である。別の可能性としては、後にイソシアネート官能性シラン成分と反応させる、1:1.2〜1:2のNCO/OH比率でOH官能性プレポリマーを製造することである。
【0053】
適当なイソシアネート反応性シラン成分は、当業者にとって既知である;例えばアミノプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルメチルジエトキシシラン、(アミノメチル)−メチルジメトキシシラン、(アミノメチル)メチルジエトキシシラン、N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステル、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステルおよびN−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステルが挙げられる。N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステルおよびアミノプロピルトリメトキシシランを用いることは好ましい。
【0054】
第二の、好ましくない本発明の方法B)の変形で必要とされる非官能性プレポリマーの調製は、当業者にとって同じく容易に実施し得る。
【0055】
この場合、前述の化合物から調製されるNCO官能性プレポリマーに対してモノアルコールでキャップすることも、OH官能性ポリオールまたはプレポリマーに対してモノイソシアネートでキャップすることも可能である。本発明の方法のこの実施態様にとって、官能価を導入するために、シラン官能性モノイソシアネートR−NCOとのアロファネート化を行うことは不可欠である。
【0056】
本発明の方法の両変形に従って、相当するプレポリマー中のウレタン基およびウレア基の各モルに対して添加する非官能性またはシラン官能性モノイソシアネートの量は、0.1mol〜1.0mol、好ましくは、0.3molから0.9molである。その後、アロファネート化および/またはビウレット化は、必要に応じてアロファネート化触媒の存在下で、60℃〜160℃、好ましくは80℃〜120℃で行われる。この場合の成分の添加の順序は重要ではない。アロファネート化および/またはビウレット化を完了させるために、さらに所望のNCO含量が生成物の最後に達するまで、反応バッチは撹拌される。
【0057】
生成物のNCO含量が、1.0重量%未満、特に好ましくは0.5重量%未満になるまでアロファネート化反応を行うことは好ましい。
【0058】
本発明の化合物は、イソシアネートを含有しない、好ましくは建築分野のための、低弾性ポリウレタンシーラントを製造するためのバインダーとして、極めて適当である。
【0059】
これらのシーラントは、シラノール重縮合によって、大気中水分に対する曝露で架橋する。
【0060】
従って、本発明は、本発明のポリウレタンプレポリマーに基づくシーラント、接着剤、プライマーおよびコーティングをさらに提供する。
【0061】
そのようなシーラントまたは接着剤を提供するために、アルコキシシラン末端基と、一緒に慣用される可塑剤、充填剤、顔料、添加剤、光安定剤、酸化防止剤、チキソトロープ剤、触媒、接着促進剤、および必要に応じてさらに補助剤、およびシーラント生成物の既知の方法によるアジュバントとともに、本発明のポリウレタンプレポリマーを形成することは可能である。
【0062】
適当な充填剤として、例えばカーボンブラック、沈降シリカ、焼成シリカ、鉱物チョークおよび沈降チョークを挙げることができる。適当な可塑剤として、例えばフタル酸エステル、アジピン酸エステル、フェノールのアルキルスルホン酸エステル、またはリン酸エステルを挙げることができる。
【0063】
チキソトロープ剤として、例えば焼成シリカ、ポリアミド、水素化ヒマシ油誘導体あるいは塩化ポリビニルを挙げることができる。
【0064】
硬化するための適当な触媒として、有機スズ化合物およびアミン触媒を挙げることができる。有機スズ化合物として、下記のものを例示できる:例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズビスアセテートアセトネートおよびスズカルボキシレート、例えば、オクタン酸スズなど。前記のスズ触媒は、必要に応じてアミン触媒、例えば、アミノシランまたはジアザビシクロオクタンなどと組み合わせて用いることができる。
【0065】
乾燥剤として、特にアルコキシシリル化合物、例えば、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシランおよびヘキサデシルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
【0066】
使用する接着促進剤には、既知の官能性シラン、例えば前述の種類のアミノシランならびにN−アミノプロピルトリメトキシおよび/またはN−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、エポキシシランおよび/またはメルカプトシランなどが含まれる。
【0067】
架橋ポリマーは、低弾性率と併せて、顕著な伸展性のために注目すべきである。それに加えて、所定のポリマー分子量に対して、NCO/OH比率の減少は、弾性率およびショア硬度の減少、ならびに破断伸びの増加を伴って観察される。
【実施例】
【0068】
他に表示がない限り、全てのパーセンテージは重量によるものである。
【0069】
NCO含量の%での決定は、DIN EN ISO 11909に基づいて、ブチルアミンとの反応に続いて0.1mol/l塩酸との逆滴定によって行われる。
【0070】
粘度測定は、ISO/DIS3219:1990に従って、プレート/プレート回転の粘度計、Haake、ドイツ国、からのRoto Visko 1、を用いて行われる。
【0071】
実験を実施する際に一般的である23℃の大気温度は、RTと指定される。
【0072】
出発プレポリマーAと、実施例1と実施例2に対する比較例:
14.1のOH価を有するポリプロピレングリコール(Acclaim(登録商標)8200N、BayerMaterialScience AG、レーフェルクーゼン)874gを120℃で減圧(低い窒素置換比率)しながら6時間乾燥させた。その後、0.85%の理論上のNCO含量に達するまで、60℃で、ジブチルスズジラウレート(Desmorapid Z(登録商標)、BayerMaterialScience、レーフェルクーゼン、ドイツ国)50ppmを添加して、イソホロンジイソシアネート(BayerMaterialScience、レーフェルクーゼン、ドイツ国)(指数1.85)45.2gを用いてプレポリマー化を行った。その後、60℃で(EP−A596360、実施例5に従って調製される)N−(3−トリメトキシ−シリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステル65.8gを素早く滴下して添加し、イソシアネートのバンドがIRスペクトルで見えなくなるまで混合物を撹拌した。アルコキシシリル末端基を含有する得られたポリウレタンプレポリマーは、51000mPas(23℃)の粘度を有した。
【0073】
実施例1(本発明のアロファネートおよびビウレットを含有するバインダー):
まず60℃で、上述のシラン末端プレポリマーA985gと、ブチルイソシアネート(Lanxess、レーフェルクーセン、加水分解性塩素を約100ppm含有する)21.8gと、その後、オクタン酸亜鉛(亜鉛2−エチルヘキサノエート、Octa−Soligen Zink 22、Borchers、マンハイム、ドイツ国)2.0gを混合し、該混合物を100℃でさらに加熱した。5時間後、残留NCO含量0.04%のみを検出でき、反応は終結した。これにより、シラン基を含有し、アロファネート化によって変性された29500mPa(23℃)を有するプレポリマーが生じた。
【0074】
実施例2(本発明のアロファネートおよびビウレットを含有するバインダー):
最初に60℃で、シラン末端プレポリマーA1360gと、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン(A−link 35(登録商標)、GE Advanced Materials、ウィルトン、コネチカット州、米国)50.3gと、その後、オクタン酸亜鉛(亜鉛2−エチルヘキサノエート、Octa−Soligen Zink 22、ボルヒェルト、マンハイム、ドイツ国)2.1gを混合し、該混合物を100℃でさらに加熱した。5時間後、残留NCO含量0.08%のみを検出でき、反応は終結した。これにより、シラン基を含有し、アロファネート化によって変性された20500mPas(23℃)の粘度を有するプレポリマーが生じた。
【0075】
出発プレポリマーBと、実施例3に対する比較例:
14.1のOH価を有するポリプロピレングリコール(Acclaim(登録商標)8200N、BayerMaterialScience AG、レーフェルクーゼン)874gを120℃で減圧(低い窒素置換比率)しながら6時間乾燥させた。その後、理論上のNCO含量0.85%に達するまで、60℃で、ジブチルスズジラウレート(Desmorapid Z(登録商標)、BayerMaterialScience、レーフェルクーゼン、ドイツ国)50ppmを添加して、イソホロンジイソシアネート(BayerMaterialScience、レーフェルクーゼン)(指数1.85)45.2gを用いて、プレポリマー化を行った。その後、60℃で、アミノプロピルトリメトキシシラン(A−1110(登録商標)、GE Advanced Materials、ウィルトン、コネチカット州、米国)33.5gを素早く滴下して添加し、イソシアネートのバンドがIRスペクトルで見えなくなるまで、混合物を撹拌した。アルコキシシリル末端基を含有する、得られたポリウレタンプレポリマーは、150000mPas(23℃)の粘度を有した。
【0076】
実施例3(本発明のアロファネートおよびビウレットを含有するバインダー):
60℃でまず上述のシラン末端プレポリマーBと、ブチルイソシアネート21.8gと、その後、オクタン酸亜鉛2.0gを混合し、該混合物を100℃でさらに加熱した。5時間後、残留NCO含量0.05%のみを検出でき、反応は終結した。これにより、シラン基を含有し、アロファネート化およびビウレット化によって変性された、72000mPa(23℃)を有するプレポリマーを生じた。
【0077】
実施例4(本発明のアロファネートを含有するバインダー):
14.1のOH価を有するポリプロピレングリコール(Acclaim(登録商標)8200N、BayerMaterialScience AG、レーフェルクーゼン)914gを120℃で減圧(低い窒素置換比率)しながら6時間乾燥させた。その後、理論上のNCO含量0.85%に達するまで、60℃で、ジブチルスズジラウレート(Desmorapid Z(登録商標)、BayerMaterialScience AG、レーフェルクーゼン、ドイツ国)50ppmを添加して、イソホロンジイソシアネート(BayerMaterialScience AG、レーフェルクーゼン、ドイツ国)(指数1.85)47.2gを用いて、プレポリマー化を行った。その後、60℃で、1−ブタノール14.47gを素早く滴下して添加し、イソシアネートのバンドがIRスペクトルで見えなくなるまで、混合物を撹拌した。まず60℃で、上述のように得られた非官能性のポリウレタンプレポリマーと、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン(A−link 35(登録商標)、GE Advanced Materials、ウィルトン、コネチカット州、米国)50.31gと、その後に、オクタン酸亜鉛(亜鉛2−エチルヘキサノエート、Octa−Soligen Zink 22、ボルヒェルト、マンハイム、ドイツ国)1.0gを混合し、該混合物を100で加熱した。5時間後、残留NCO含量0.12%のみを検出でき、反応は終結した。これにより、シラン基を含有し、アロファネート化によって変性された、57700mPas(23℃)の粘度を有するプレポリマーを生じた。
【0078】
実施例5(本発明のアロファネートを含有するバインダー):
9.6のOH価を有するポリプロピレングリコール(Acclaim(登録商標)12200N、BayerMaterialScience AG、レーフェルクーゼン)933gを120℃で減圧(低い窒素置換比率)しながら6時間乾燥させた。その後、NCO含量の除去が完了するまで、60℃で、ジブチルスズジラウレート(Desmorapid Z(登録商標)、BayerMaterialScience AG、レーフェルクーゼン、ドイツ国)50ppmを添加して、ブチルイソシアネート15.84gとの反応を行った。まず60℃で上述のように得られた非官能性のポリウレタンプレポリマーと、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン(A−link 35(登録商標)、GE Advanced Materials、ウィルトン、コネチカット州、米国)38.5gと、その後に、オクタン酸亜鉛(亜鉛2−エチルヘキサノエート、Octa−Soligen Zink 22、ボルヒェルト、マンハイム、ドイツ国)1.0gとを混合し、該混合物を100で加熱した。10時間後、残留NCO含量0.06%のみを検出でき、それは、メタノールを添加し2時間撹拌することで完全に除去された。これにより、シラン基を含有し、アロファネート化によって変性された、11200mPas(23℃)の粘度を有するプレポリマーを生じた。
【0079】
実施例6(本発明のアロファネートを含有するバインダー):
28のOH価を有するポリプロピレングリコール(Acclaim(登録商標)4200、BayerMaterialScience AG、レーフェルクーゼン)507.2gを120℃で減圧(低い窒素置換比率)しながら6時間乾燥させた。その後、NCO含量を完全に除去するまで、ジブチルスズジラウレート200ppmを添加して、80℃で、イソホロンジイソシアネート14.07gと反応させた。80℃で上述のように得られたOH官能性ポリウレタンプレポリマーと、イソシアナトプロリルトリメトキシシラン(A−link 35(登録商標)、GE Advanced Materials、ウィルトン、コネチカット州、米国)77.41gを混合し、混合物をNCO含量1.1%になるまで撹拌した。その後、オクタン酸亜鉛(亜鉛2−エチルヘキサノエート、Octa−Soligen Zink 22、Borchers、マンハイム、ドイツ国)1.2gを添加し、混合物を100℃でさらに加熱した。6時間後、検出し得る残留NCO含量は存在しなかった。これにより、シラン基を含有し、アロファネート化によって変性され、15000mPas(23℃)の粘度を有するプレポリマーを生じる。
【0080】
【表1】

【0081】
実施例1〜3は、明確に、さらなるアロファネート化によって達成し得る粘度有意性を示す。実施例2の場合には、さらなるシラン官能価が組み込まれる。実施例4と5は、アロファネート化が無ければ実施し得ない、シラン末端プレポリマーへの新規な合成経路を示す。実施例6は、キャッピングおよびその直後のイソシアネートシランとのアロファネート化を示す。実施例4〜6の場合には、シラン官能価は変性の結果としてのみ組み込まれるので、変性前にSTPの粘度を報告できない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アロファネートおよび/またはビウレット構造を有するアルコキシシラン官能性ポリウレタンであって、該アロファネートおよび/またはビウレット構造の少なくとも10mol%が、一般式R−NCO(式中、Rは、20個までの炭素原子を有する、必要に応じてヘテロ原子を含有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基であり、これらの基は、アロファネート構造の一部であるNCO官能基の他に、および存在する任意のアルコキシシリル基の他に、官能価を有さない)のモノイソシアネートに由来する、ポリウレタン。
【請求項2】
本発明の化合物中に存在する、少なくとも40mol%のアロファネートおよび/またはビウレット基が、モノイソシアネートR−NCOに基づくことを特徴とする、請求項1に記載のアルコキシシラン官能性ポリウレタン。
【請求項3】
A)アルコキシシラン官能性ポリウレタンプレポリマーの一部または全てのウレタン基および/またはウレア基と、式R−NCOのモノイソシアネートとを反応させてアロファネート基および/またはビウレット基とするか、または
B)アルコキシシリル基を含有しないポリウレタンプレポリマーの一部または全てのウレタン基および/またはウレア基と、式R−NCO(式中、基Rは、少なくとも一つのアルコキシシリル基を必ず有する)のモノイソシアネートとを反応させてアロファネート基および/またはビウレット基とするか、
のいずれかを含む、請求項1または2に記載のアルコキシシラン官能性プレポリマーの製造方法。
【請求項4】
変形A)において、非官能性モノイソシアネートとしてのブチルイソシアネートまたはヘキシルイソシアネートまたはアルコキシシラン官能性モノイソシアネートとしての3−イソシアナトプロピルトリメトキシシランを式R−NCOのモノイソシアネートとして用いること、または変形B)において、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシランをシラン官能性モノイソシアネートとして用いることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
触媒をさらに用いることを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
オクタン酸亜鉛(亜鉛2−エチルヘキサノエート)またはテトラアルキルアンモニウム化合物を触媒として用いることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
使用するモノイソシアネートが、出発化合物中に存在するウレタン基および/またはウレア基1モルあたり0.1〜1.0mol存在することを特徴とする、請求項3〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
コーティング、プライマー、接着剤またはシーラントの製造における、請求項1または2に記載のアルコキシシラン官能性ポリウレタンの使用。

【公表番号】特表2009−507087(P2009−507087A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528386(P2008−528386)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008274
【国際公開番号】WO2007/025667
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】