説明

アルコキシシラン基を有するバインダーを含有している非プロトン性溶剤をベースとする湿気硬化性被覆剤及びその使用

本発明は、(A)アルコキシシラン基を有するバインダー少なくとも1種及び(B)架橋触媒少なくとも1種を含有している、非プロトン性溶剤をベースとする湿気硬化性被覆剤に関し、これは、バインダー(A)として、式(I)[式中、R=水素又はメチル基、R’=水素、アルキル又はシクロアルキル、R''=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキル(ここで、炭素鎖は、非隣接の酸素原子、硫黄原子又はNRa−基で中断されていてよく、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキル)、x=0〜2]のエチレン系不飽和モノマー(a1)1種以上の使用下に得られる、ポリアクリレート及び/又はポリメタクリレート少なくとも1種及び架橋触媒として、燐−及び窒素−含有触媒(B)少なくとも1種を含有している、非プロトン性溶剤をベースとする湿気硬化性被覆剤に関する。本発明は、この被覆剤を用いて、複層塗装を提供する方法、より好ましくは部分補修系を提供する方法及びこの方法を自動車車体の内装−又は外装部材又は船舶及び飛行機の部材を塗装するために又は日用品又は電気機器の部材又はプラスチック成形品及びシートを塗装するために使用することに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコキシシラン基を有するバインダー少なくとも1種を含有している、非プロトン性溶剤をベースとする湿気硬化性被覆剤に関する。更に本発明の課題は、複層塗装、殊に自動車補修塗装を製造する方法、並びにこの方法により製造される複層塗装に関する。
【0002】
アルコキシシラン基を有するバインダー(Bindemittel)を含有している被覆剤は、従来から公知である。空中湿気の存在は、既に室温で、バインダーのアルコキシシラン基がアルコキシ基の分離下に相互に縮合して、Si−O−Si−橋を形成させることができる。従ってこのような被覆剤は、例えば自動車補修塗装を供給するために好適である。この場合にこれらは、使用されている大抵のイソシアネートベースの被覆剤と比べてなお、毒物学的に実質的に無害であるので、イソシアネートベース系に必要な多大な注意手段が実質的に省略されうる決定的な利点を有する。
【0003】
EP−B−1521790及びWO04/022618から、アルコキシシラン官能性プレポリマーを含有している被覆剤が公知である。この場合には、このアルコキシシラン官能性プレポリマーは、いわゆるアルファ−シラン(ここでは、アルコキシシリル基がメチルスペーサーを介して官能基に結合している)の使用下に得られている。殊にイソシアネート官能性アルファ−シラン及び(メタ)アクリル官能性アルファ−シランが使用されている。アルファ−シランの使用によって、アルコキシシリル基は、触媒、例えばアミンの存在下に、湿気に対して非常に高い反応性を有する。従って既に室温で、耐引掻き性の被覆に硬化可能である被覆剤を使用することができる。しかしながら、この被覆剤は、触媒の添加及び空中湿気との接触の後に、高い硬化速度の場合に、非常に短い可使時間(Potlife)のみを有することは欠点であり、このことは自動車補修塗装の分野での被覆剤の使用の場合には甘受され得ない。
【0004】
WO07/048538から、ポリマー残基として多くの種々のフレキシブルな長鎖ポリマー、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、ポリウレタン、ビニルポリマー、ゴム、セルロース、シリコーン樹脂、アクリレート樹脂又はメタクリレート樹脂を含有していることのできる、α−エトキシシラン−変性ポリマーが公知である。このα−エトキシシラン−変性ポリマーは、有利に、イソシアネート基含有α−エトキシシランとヒドロキシル基含有ポリマー、好ましくはヒドロキシル基含有ポリエーテル、ポリエステル及びポリウレタンとの反応により得られる。
【0005】
α−エトキシシラン−変性ポリマーは、硬化可能な組成物中で、例えば接着剤、シーリング剤及び被覆剤中で使用される。これらの硬化可能な組成物は、α−エトキシシラン−変性ポリマーと並んで、なお80質量%までの充填剤並びに反応性希釈剤、殊に少なくとも1個のアルコキシシランを有するポリウレタン及び/又は可塑剤を含有することができる。これらの硬化可能な組成物は、硬化時にメタノールを非常に僅かに放出するか又は放出しない。この場合にこれらは、エトキシシラン基によるメトキシシラン基の交換と結びついている僅かな反応性にも関わらず、甘受しうる硬化時間によって優れている。しかしながら、WO07/048538の被覆剤における欠点は、自動車補修塗装のための不充分な使用技術的特性をもたらす、シラン官能化されたポリマーの高いたわみ性及び低い官能性である。
【0006】
EP−B−505469及びEP−A−263306から、アルコキシシラン官能性プレポリマー、場合によってはブタノール及び架橋触媒としてのp−トルエンスルホン酸、燐酸、亜鉛ベースの化合物、アミン、アルカリ化合物又はアルキルチタン酸の塩を含有している、透明な被覆剤が公知である。この場合に、このアルコキシシラン官能性プレポリマーは、アクリル系不飽和のいわゆるγ−シラン(ここでは、アルコキシリル基がプロピルスペーサーを介してアクリレート−又はメタクリレート−基に結合している)の使用下に得られている。しかしながら、生じるプレポリマーは、このプロピルスペーサーに基づき、適切な触媒の添加の後に、メチルスペーサーを有する相応するポリマーに比べて、空中湿気に対するアルコキシシリル基の実質的に低い反応性を有する。それでもやはり良好な硬化を得るためには、従って高い触媒量が必要であるが、このことは不充分な可使時間及び劣悪な塗装特性をもたらす。更に、低い反応性に基づき、ジ−及びトリメトキシシランのみが使用可能であるが、このことは、これに結びついている硬化の際のメタノール−分離の故に、むしろ望ましくない。
【0007】
更にDE−A−102005000823から、エチレン系不飽和α−シランと他のエチレン系不飽和モノマーとの重合によって得られる、架橋可能なシラン変性共重合体が公知である。この共重合体は、水性分散液の形で、例えば、繊維材料、糸、木材及び紙及び建築用化学品、例えば、目止め剤、しっくい、セメント等の被覆剤中で使用される。しかしながら、非プロトン性溶剤をベースとする被覆剤は記載されていない。同様に、この刊行物中には、好適な架橋触媒及び他の添加剤に関する記載が欠けている。
【0008】
更に、WO02007/033786から、発明に重要である成分としてのシラン基含有ポリマーと並んで、架橋触媒としてのホスホン酸ジエステル及びジホスホン酸ジエステルを含有している被覆剤が公知である。このシラン基含有ポリマーは、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個の縮合可能なシラン基を有している。この場合には、イソシアネートとアミノシランとの反応生成物が好ましく使用されている。この被覆剤は、殊に自動車塗装の分野で使用される。従って、殊に100〜160℃の高い温度での熱硬化は、10〜60分の時間の間に好ましく行われる。
【0009】
最後にWO04/072189から、シラン基含有ポリアクリレート樹脂及びメラミン樹脂と並んで、シラン基の架橋触媒として、ブロックされた又はブロックされていない燐酸エステルを含有しているクリヤーコートが公知である。しかしながら、シラン基含有ポリアクリレート樹脂の製造のためのα−シランの使用は記載されていないので、このポリアクリレート樹脂は、低い硬化温度の場合には不充分な反応性を有する。相応して、WO04/072189中に記載のクリヤーコートは、80〜150℃の温度で10〜45分で硬化し、OEM−クリヤーコート塗装を提供するために使用されている。
【0010】
いずれにせよ、WO2007/033786及びWO04/072189から公知の被覆剤の高い硬化温度に基づき、これらは自動車補修塗装の分野のためには好適ではない。
【0011】
発明が解決しようとする課題
従って本発明は、最大90℃、殊に最大60℃の比較的低い硬化温度でも、湿気の存在下に迅速な硬化を示す、即ち、60℃で30分の硬化の後に既に粘着性のない被覆剤を提供することを課題としている。同時に、この被覆剤は、室温で、かつ湿気との接触時に、最低でも30分、好ましくは最低でも2時間の可使時間(ポットライフ)を有すべきである。この場合に、可使時間とは、その時間内に、被覆剤と湿気との接触の後にこの被覆剤が最初のゲル粒子を示すまでの時間間隔であると理解される。
【0012】
更にこの被覆剤は、非常に良好な視覚的全印象(いわゆる非常に良好な外観)を有する被覆をもたらすべきである:従って、生じる被覆は、殊に表面欠陥がなく、かつ高い透明性(即ち、特に濁りなし)を有すべきである。更に、この被覆剤は、できるだけ低い溶剤分、即ちできるだけ高い固体含分を有すべきである。
【0013】
最後にこの被覆剤は、簡単に、かつ非常に良好に再現可能に製造可能であるべきであり、かつ、この塗料適用の間に生態学的問題を惹起すべきではない。好ましくは、更にこの被覆剤は、その硬化の際にできるだけ僅かなメタノールを放出すべきである。
【0014】
課題を解決するための手段
前記の課題の観点に対して、(A)アルコキシシラン基を有するバインダー少なくとも1種及び(B)架橋触媒少なくとも1種を含有している、非プロトン性溶剤をベースとする湿気硬化性被覆剤が発見され、これは、バインダー(A)として、式(I):
【化1】

[式中、
R=水素又はメチル基であり、R’=水素、アルキル又はシクロアルキルであり、
R''=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキル(ここで、炭素鎖は、非隣接の酸素−、硫黄−又はNRa−基で中断されていてよく、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルである)であり、x=0〜2である]のエチレン系不飽和モノマー(a1)1種以上の使用下に得られる、ポリアクリレート及び/又はポリメタクリレート少なくとも1種、及び
架橋触媒として、燐−及び窒素−含有触媒(B)少なくとも1種
を含有していることを特徴としている。
【0015】
更に本発明の課題は、この被覆剤の使用下に複層塗装を提供する方法、殊に部分補修塗装を提供する方法、並びにこの方法を、車体−内装部材又は−外装部材の被覆又は船舶構造−及び飛行機構造部材の被覆又は日用品−及び電気機器の部材の被覆又はプラスチック成形品又はシートの被覆のために使用することである。
【0016】
技術水準の観点からは、本発明の根底にある課題が、非プロトン性溶剤をベースとする本発明による被覆剤を用いて解決できたことは意想外であり、当業者にとって予測可能ではなかった。
【0017】
従って、殊に本発明による被覆剤が、湿気の存在下で迅速な硬化を示し−即ち60℃で30分間の硬化の後にこれは既に不粘着性であり−、同時に、少なくとも30分、好ましくは少なくとも2時間の可使時間(ポットライフ)をも有することは、殊に意想外のことであった。バインダーの製造のためにメトキシ基の代わりにエトキシ基を有するアクリレート−又はメタクリレート官能性アルコキシシランの最小割り当て分の使用によって、更に、硬化時にできるだけ僅かなメタノールを放出し、それにもかかわらず、促進された迅速な硬化を示す、被覆剤を提供することができる。
【0018】
更に本発明による被覆剤は、非常に良好な視覚的全印象(いわゆる非常に良好な外観)を有する被覆をもたらす。この場合に生じる被覆は、殊に表面欠陥がなく、高い透明性を有する。更に本発明による被覆剤は、同じ分子量を有するヒドロキシル基含有アクリレート樹脂をベースとする被覆剤に比べて、より高い固体含分によって優れている。
【0019】
最後にこの被覆剤は、簡単に、かつ非常に良好に再現可能に製造でき、塗料適用の間に生態学的問題を生じない。
【0020】
発明を実施するための最良の形態
アルコキシシラン基を有するバインダー(A)
本発明にとって重要なことは、被覆剤が、バインダー(A)として、
式(I):
【化2】

[式中、
R=水素又はメチル基であり、R’=水素、アルキル又はシクロアルキルであり、好ましくはR’=殊にC−原子数1〜4を有するアルキル基、全く特別好ましくはR’=エチル及び/又はメチルであり、R''=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキル(ここで、炭素鎖は、非隣接の酸素−、硫黄原子又はNRa−基で中断されていてもよく、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルである)、好ましくは、R''=殊にC原子数1〜6を有するアルキル基であり、x=0〜2、殊にx=0〜1、特別好ましくはx=0である]のエチレン系不飽和モノマー(a1)1種以上の使用下に得られる、ポリアクリレート及び/又はポリメタクリレート少なくとも1種を含有していることである。
【0021】
式(I)のエチレン系不飽和モノマーの例は、次のものである:α−メタクリルオキシメチルメトキシジメチルシラン、α−メタクリルオキシメチルジメトキシメチルシラン、α−メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、α−メタクリルオキシメチルエトキシジメチルシラン、α−メタクリルオキシメチルジエトキシメチルシラン、α−メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン、α−メタクリルオキシメチルトリイソプロポキシシラン、α−メタクリルオキシメチルジイソプロポキシメチルシラン、α−メタクリルオキシメチルイソプロポキシメチルシラン、α−メタクリルオキシメチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、α−メタクリルオキシメチルビス(2−メトキシエトキシ)メチルシラン、α−メタクリルオキシメチルトリプロポキシシラン、α−メタクリルオキシメチルジプロポキシメチルシラン、α−メタクリルオキシメチルプロポキシジメチルシラン及びα−メタクリルオキシメチル(2−メトキシエトキシ)ジメチルシラン、α−アクリルオキシメチルメトキシジメチルシラン、α−アクリルオキシメチルジメトキシメチルシラン、α−アクリルオキシメチルトリメトキシシラン、α−アクリルオキシメチルエトキシジメチルシラン、α−アクリルオキシメチルジエトキシメチルシラン、α−アクリルオキシメチルトリエトキシシラン、α−アクリルオキシメチルトリイソプロポキシシラン、α−アクリルオキシメチルジイソプロポキシメチルシラン、α−アクリルオキシメチルイソプロポキシジメチルシラン、α−アクリルオキシメチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、α−アクリルオキシメチルトリプロポキシシラン、α−アクリルオキシメチルジプロポキシメチルシラン、α−アクリルオキシメチルビス(2−メトキシエトキシ)メチルシラン、α−アクリルオキシメチルプロポキシジメチルシラン及びα−アクリルオキシメチル(2−メトキシエトキシ)ジメチルシラン。これらのα−シランは、単独で又は2種以上のα−シランの混合物の形で、アルコキシシラン基を有するバインダーの製造のために使用することができる。
【0022】
エトキシシリル基含有バインダーが好ましく使用される。これは、メトキシシリル基含有バインダーとは対照的に、その硬化時に、毒物学的に無害なエタノールを放出し、毒物学的に有害なメタノールを放出しない利点を有する。従って、バインダーとして、
式(II):
【化3】

[式中、R、R’及びR''は、前記と同じものを表し、
x=0〜2、好ましくはx=0〜1、特別好ましくはx=0であり、
y=1〜3、好ましくはy=2〜3であり、かつ、
1≦x+y≦3、好ましくは2≦x+y≦3である]のエチレン系不飽和モノマー1種以上の使用下に得られる、ポリアクリレート及び/又はポリメタクリレート少なくとも1種を含有している被覆剤が好ましい。
【0023】
従って、式(II)のエチレン系不飽和モノマーとして、α−メタクリルオキシメチルエトキシジメチルシラン、α−メタクリルオキシメチルジエトキシメチルシラン、α−メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン、α−アクリルオキシメチルエトキシジメチルシラン、α−アクリルオキシメチルジエトキシメチルシラン及び/又はα−アクリルオキシメチルトリエトキシシランが好ましく使用される。α−メタクリルオキシメチルジエトキシメチルシラン、α−メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン、α−アクリルオキシメチルジエトキシメチルシラン及び/又はα−アクリルオキシメチルトリエトキシシランが特別好ましく使用される。
【0024】
本発明により使用されるバインダー(A)の製造のために、場合により式(I)の不飽和モノマー(a1)及び/又は式(II)の不飽和モノマーと一緒に、1種以上の他のエチレン系不飽和モノマーを使用することができる。他のエチレン系不飽和モノマーとして、慣用のエチレン系不飽和モノマー、好ましくは活性水素不含のエチレン系不飽和モノマーが使用される。
【0025】
従って、
(a1)式(I)及び/又は式(II)のエチレン系不飽和モノマー(a1)1種以上、
場合により、エチレン系不飽和カルボン酸のアルキルエステル(a2)1種以上及び/又は
場合により、ビニル芳香族化合物(a3)1種以上及び/又は
場合により、少なくとも2個の重合可能なエチレン系不飽和二重結合を有するエチレン系不飽和モノマー(a4)1種以上及び/又は
場合により、モノマー(a1)〜(a4)とは異なるエチレン系不飽和化合物(a5)1種以上
の重合により得られる、アルコキシシラン基を有するバインダー(A)を含有している被覆剤が好ましい。
【0026】
モノマー(a2)としては、殊に活性水素不含のエチレン系不飽和カルボン酸のアルキルエステルが好適であり、他の官能基不含のアルキルエステルが特別好ましく、飽和モノアルコールとエチレン系不飽和カルボン酸とのアルキルエステルが全く特別好ましい。エチレン系不飽和カルボン酸のこのようなアルキルエステル(a2)の例は、アクリル−、メタクリル−、フマル−、クロトン−及びマレイン酸、好ましくはアクリル酸及び/又はメタクリル酸のアルキルエステル及びシクロアルキルエステル、例えば次のものが有利である:アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸アミル、メタクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチルヘキシル、3,3,5−トリメチルヘキシルアクリレート、3,3,5−トリメチルヘキシルメタクリレート、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル又はメタクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロアルキル及び/又はメタクリル酸シクロアルキル、例えばアクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸シクロヘキシル及び/又はメタクリル酸シクロヘキシル。
【0027】
モノマー(a3)としては、殊に、活性水素不含のビニル芳香族化合物が好適である。好適なビニル芳香族化合物(a3)の例は、ビニル芳香族炭化水素、例えばビニルトルエン、α−メチルスチレン又は殊にスチレンである。
【0028】
モノマー(a4)としては、殊に、活性水素不含で、少なくとも2個の重合可能なエチレン系不飽和二重結合を有するエチレン系不飽和化合物が好適である。少なくとも2個の重合可能なエチレン系不飽和二重結合を有する好適なエチレン系不飽和モノマー(a4)の例は、飽和ジアルコールとエチレン系不飽和カルボン酸とのジエステル、殊に飽和ジアルコールとアクリル−、メタクリル−、フマル−、クロトン−及びマレイン酸、好ましくはアクリル−及び/又はメタクリル酸とのジエステル、例えばヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、グリコールジアクリレート、グリコールジメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリメチロールプロパントリメタクリレートである。更にモノマー(a4)は、不飽和の重合可能な二重結合1個を有するアルコールでエステル化されたポリカルボン酸であることもできる。最後に、モノマー(a4)として、ポリイソシアネート及び不飽和アルコール又はアミンの反応生成物を使用することもできる。この例として、1モルのヘキサメチレンジイソシアネートと2モルのアリルアルコールとからの反応生成物又はイソホロンジイソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートとからの反応生成物が挙げられる。
【0029】
モノマー(a1)〜(a4)とは異なる他のエチレン系不飽和化合物(a5)として、殊に、活性水素不含で珪素不含のモノマー、例えばアクリル−又はメタクリル酸のニトリル、ビニルエステル又はビニルエーテルが使用される。空中湿気の作用下での架橋の際の迅速な水吸収を可能とするために、エチレン系不飽和モノマー(a1)〜(a4)への付加的コモノマー(a5)として、(a1)〜(a5)の合計に対して10質量%までのエチレン系不飽和カルボン酸アミドを使用する場合が有利でありうる。好適なカルボン酸アミドの例として、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、イタコン酸ジアミド、α−エチルアクリルアミド、クロトン酸アミド、フマル酸アミド及びマレイン酸ジアミドが挙げられる。
【0030】
この際に、
アルコキシシラン基を有するバインダー(A)が、
(a1)式(I)及び/又は式(II)のエチレン系不飽和モノマー(a1)1種以上 10〜50質量%、好ましくは15〜40質量%、特別好ましくは20〜35質量%、
(a2)エチレン系不飽和カルボン酸のアルキルエステル1種以上 15〜85質量%、好ましくは25〜60質量%、
(a3)ビニル芳香族化合物1種以上 0〜50質量%、好ましくは10〜30質量%、
(a4)少なくとも2個の重合可能なエチレン系不飽和二重結合を有するエチレン系不飽和モノマー1種以上 0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%及び
(a5)モノマー(a1)〜(a4)とは異なる他のエチレン系不飽和化合物1種以上 0〜40質量%、好ましくは0〜20質量%
(ここで、モノマー(a1)〜(a5)それぞれの重量部の合計は100質量%である)の重合によって得られる、被覆剤が特別好ましい。
【0031】
本発明により全く特別に好ましいポリアクリレートポリオールは、通例は共重合体であり、有利には、1000〜20000ドルトン、殊に1500〜10000ドルトンの数平均分子量Mw(それぞれ、ポリメチルメタアクリレート標準に対するゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定)を有する。
【0032】
アルコキシシラン基を有するバインダーを製造するためのラジカル重合は、通常は、有機溶剤中で80〜180℃、特に90〜160℃の温度で実施される。有利な方法では、アルコキシシラン基含有ポリマーを製造するためのラジカル重合は、40〜85質量%の固体含有率を有するポリマーの溶液が生じるように実施される。
【0033】
ラジカル重合用の溶剤としては、不反応性の溶剤、例えばエステル、例えば酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソ−ブチル、エーテルエステル、例えば酢酸メトキシプロピル又は酢酸ブチルグリコール、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン、エーテル、芳香族、脂肪族、芳香脂肪族及び/又は脂環式炭化水素及びケトン並びに前記溶剤の混合物がこれに該当する。酢酸n−ブチル、酢酸イソ−ブチル、ソルベントナフタ及び/又はキシレンが好ましく使用される。
【0034】
重合反応は、通常は、開始剤の存在下に、かつ場合によっては、活性OH−又はNH−基不含の重合調節剤の存在下に実施され、この際、調節剤としてメルカプトシランが好ましく使用される。好適な調節剤の例は、国際特許出願WO88/02010中に記載されている化合物である。
【0035】
開始剤としては、アゾ開始剤、例えばアゾビスイソブチロニトリルがこれに該当する。使用されるエチレン系多不飽和モノマー(a4)の低割合含有又は不含の場合には、殊に開始剤としてペルオキシエステルが使用される。この例として、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−アミルペルオキシド、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート及びt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートが挙げられる。勿論、例えばEP−A−159715及びEP−A−159716中に記載されているような反応性シリコン基を有するアゾ開始剤を使用することもできる。
【0036】
アルコキシシラン基を有するバインダー(A)は、本発明による被覆剤中で、好ましくは、70.0〜99.0質量%、特別好ましくは85.0〜95.0質量%(それぞれ、本発明による被覆剤の不揮発性成分の質量に対して計算)の量で使用される。更に、本発明による被覆剤は、通常は、1種以上の溶剤20〜45質量%、殊に30〜40質量%(それぞれ、被覆剤の全質量に対して)を含有する(この際、溶剤の量は、反応性希釈剤を考慮せずに示されている)。
【0037】
触媒(B)
触媒(B)としては、燐−及び窒素−含有触媒が使用される。この場合に、2種以上の異なる触媒(B)からの混合物も使用できる。
【0038】
好適なアミンブロックされた燐含有触媒(B)の例は、特にアミンブロックされた非環状ホスホン酸ジエステル、アミンブロックされた環状ホスホン酸ジエステル、アミンブロックされた非環状ジホスホン酸ジエステル及びアミンブロックされた環状ジホスホン酸ジエステルからなる群からのアミンブロックされたホスホン酸ジエステル及び/又はアミンブロックされたジホスホン酸ジエステル及び/又はアミンブロックされた燐酸ジエステル及び/又はアミンブロックされた燐酸モノエステルである。それぞれのアミンブロックされた触媒(B)の製造のために好適な、このようにブロックされてはいないホスホン酸ジエステル及びジホスホン酸ジエステルは、例えばドイツ特許出願DE−A−102005045228中に記載されている。
【0039】
本発明による被覆剤中では、場合により適切な溶剤の添加下に被覆剤中で充分な溶解性を有するので、触媒の晶出が避けられるような好ましい触媒又は種々の触媒の混合物が使用される。
【0040】
しかしながら、殊に、アミンブロックされた燐含有触媒(B)の製造のためには、特に非環状燐酸モノエステル、非環状燐酸ジエステル及び環状燐酸ジエステル並びに非環状燐酸トリエステルからなる群からの、置換された燐酸モノエステル、燐酸ジエステル及び燐酸トリエステルが使用される。この場合に、非環状燐酸ジエステル(B)及び非環状燐酸トリエステルは、殊に非環状燐酸ジエステル(B)及び一般式(III):
【化4】

[式中、u=0〜3、v=0〜3、w=0〜3及びu+v+w<=3であり、
基R10、R11、R12は、次のもの:
− 炭素原子数1〜20、有利に2〜16、殊に2〜10を有する置換又は非置換のアルキル基、炭素原子数3〜20、有利に3〜16、殊に3〜10を有するシクロアルキル基及び炭素原子数5〜20、有利に6〜14、殊に6〜10を有するアリール基、
− 置換又は非置換のアルキルアリール−、アリールアルキル−、アルキルシクロアルキル−、シクロアルキルアルキル−、アリールシクロアルキル−、シクロアルキルアリール−、アルキルシクロアルキルアリール−、アルキルアリールシクロアルキル−、アリールシクロアルキルアルキル−、アリールアルキルシクロアルキル−、シクロアルキルアルキルアリール−及びシクロアルキルアリールアルキル基(ここで、この中に含有されているアルキル−、シクロアルキル−及びアリール基は、それぞれ前記の炭素原子数を有している)及び
− 酸素原子、硫黄原子、窒素原子、燐原子及び珪素原子からなる群から選択されるヘテロ原子少なくとも1個、殊に1個の殊に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子を有している、前記種類の置換又は非置換の基
からなる群から選択され、付加的に水素を表すことができる(部分エステル化)]の非環状燐酸トリエステルからなる群からから選択される。
【0041】
触媒(B)として好適なアミンブロックされた燐酸エステルの例は、アミンブロックされたトリブチルホスフェート、アミンブロックされたトリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、アミンブロックされたビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、アミンブロックされた2−エチルヘキシルホスフェート、アミンブロックされたトリス(ブトキシエチル)ホスフェート、アミンブロックされたトリス(ラウリルトリエチレングリコール)ホスフェート、アミンブロックされたビス(ラウリルトリエチレングリコール)ホスフェート、アミンブロックされたモノ(ラウリルトリエチレングリコール)ホスフェート、アミンブロックされたジヘキサデシルホスフェート、アミンブロックされたジイソノニルホスフェート、アミンブロックされたモノイソデシルホスフェート及びアミンブロックされた市販のアルキルホスフェート、例えばBASF SE社のアミンブロックされたコランチンSMKである。
【0042】
触媒(B)として、好ましくは、アミンブロックされた燐酸モノエステル及びアミンブロックされた燐酸ジエステル、殊にアミンブロックされたC〜C18−アルキルホスフェート、例えばアミンブロックされたジブチルホスフェート、アミンブロックされたビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、アミンブロックされた2−エチルヘキシルホスフェート、アミンブロックされたジヘキサデシルホスフェート、アミンブロックされたジイソノニルホスフェート、アミンブロックされたモノイソデシルホスフェート、好ましくはアミンブロックされたC〜C10−アルキルホスフェート並びにこれら記載の触媒2種以上からの混合物が使用される。殊にここでは、アミンブロックされた燐酸モノエチルヘキシルエステル、アミンブロックされた燐酸ジエチルヘキシルエステル、アミンブロックされた燐酸フェニルエステル並びに前記触媒の混合物、全く特別好ましくはアミンブロックされた燐酸−ビス(2−エチルへキシル)エステルが使用される。
【0043】
それで燐酸エステル又はホスホン酸エステルがブロックされるアミンの例としては、殊に、第3級アミン、例えば二環式アミン、例えばジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジメチルドデシルアミン又はトリエチルアミンを挙げることができる。燐含有触媒のブロックのために、最大90℃の硬化条件で触媒の良好な作用効果を確保し、好ましくは1013.25ミリバールの圧力で<100℃の沸点を有する、第3級アミンが特別有利に使用される。従って、燐含有触媒のブロックのためにトリエチルアミンが全く特別好ましく使用される。
【0044】
アミンでブロックされた特定の燐酸触媒は市場でも入手される(例えばFa.King IndustriesのNacure-Typen)。例としては、Fa.King IndustriesのNacure 4167なる名称で、特別好適なアミン−ブロックされた燐酸部分エステルをベースとする触媒が挙げられる。
【0045】
この触媒は、有利に、それぞれ本発明による被覆剤の不揮発性成分の質量に対して0.1〜10.0質量%の割合で、特別好ましくは0.5〜5.0質量%の割合で、全く特別好ましくは0.5〜3.0質量%の割合で使用される。この場合に、この触媒の低い作用効果は、相応するより高い使用量によって部分的に補償されうる。
【0046】
脂肪族モノアルコール(C)
本発明による被覆剤は、なお、溶剤とは異なる脂肪族モノアルコール(C)1種以上を含有することが好ましい。それというのも、この添加によって、被覆剤の可使時間が延長されるからである。好適なモノアルコール(C)の例は、殊に炭素原子数2〜4を有する脂肪族1級モノアルコール、例えばエタノール、プロパノール及びn−ブタノールである。n−プロパノール及び/又はn−ブタノールが好ましく使用される。
【0047】
成分(C)を、それぞれ本発明による被覆剤の不揮発性成分の質量に対して0〜20.0質量%の量、殊に0.5〜10.0質量%の量で使用することが好ましい。
【0048】
被覆剤の他の成分
この被覆剤は、場合によりなお1種以上の反応性希釈剤を含有することができる。好適な反応性希釈剤の例は、モノマー及び/又はオリゴマーのシラン基含有化合物、殊にカルバメート官能性シラン及び/又はビニル官能性シランである。好適な反応性希釈剤の例としては、N−トリメトキシシリルメチル−O−メチルカルバメート及びN−ジメトキシ(メチル)シリルメチル−O−メチルカルバメート、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランが挙げられる。
【0049】
反応性希釈剤は、本発明による被覆剤の不揮発性成分の質量に対して0〜20質量%の量で、殊に0.5〜10.0質量%の量で好ましく使用される。
【0050】
この被覆剤は、通常、本発明による被覆剤の不揮発性成分の質量に対して5質量%を下回る、殊に2質量%を下回る量のイソシアネートを含有し、特別好ましくは全く含有しない。更に本発明による被覆剤は、通常は、本発明による被覆剤の不揮発性成分の質量に対して5質量%を下回る、殊に2質量%を下回る量のアミノプラスト樹脂を含有し、特別好ましくは全く含有しない。
【0051】
更に本発明による被覆剤は、少なくとも1種の慣用かつ公知の塗料添加剤を、有効量で、即ち被覆剤の不揮発性成分の質量に対して30質量%まで、特別好ましくは25質量%まで、殊に20質量%までの量で含有することができる。
【0052】
好適な塗料添加剤の例は、次のものである:
− 殊にUV吸収剤;
− 殊に光安定剤、例えばHALS−化合物、ベンズトリアゾール又はオキサルアニリド;
− 遊離基捕捉剤;
− スリップ剤;
− 消泡剤;
− 湿潤剤、例えばシロキサン、弗素含有化合物、カルボン酸半エステル、燐酸エステル、ポリアクリル酸及びこれらのコポリマー又はポリウレタン;
− 付着助剤、例えばトリシクロデカンジメタノール;
− レベリング剤;
− 膜形成助剤、例えばセルロース誘導体;
− 充填剤、例えば二酸化珪素、酸化アルミニウム又は酸化ジルコニウムをベースとするナノ粒子;詳細については、なお、Roempp Lexikon>>Lack und Druckfarben<<Georg Thime Verlag,Stuttgart,1998,250〜252頁を参照;
− レオロジーコントロール添加剤、例えば特許明細書WO94/22968、EP−A−0276501、EP−A−0249201又はWO97/12945から公知の添加剤;例えばEP−A−0008127中に開示されているような、架橋されたポリマーマイクロ粒子;無機層状珪酸塩、例えば珪酸アルミニウムマグネシウム、モンモリロナイト−型のナトリウム−マグネシウム−及びナトリウム−マグネシウム−弗素−リチウム−層状珪酸塩;珪酸、例えばエーロジル;又はイオン性基及び/又は会合作用基を有する合成ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルピロリドン、スチレン−無水マレイン酸−又はエチレン−無水マレイン酸−コポリマー及びこれらの誘導体又は疎水性に変性され、エトキシル化されたウレタン又はポリアクリレート;
− 及び/又は難燃剤。
【0053】
本発明のもう一つの実施形において、本発明による被覆剤は、更なる顔料及び/又は充填剤を含有し、顔料着色されたトップコートを製造するために使用することができる。このために使用される顔料及び/又は充填剤は、当業者にとっては公知である。
【0054】
本発明による被覆剤の製造は慣用法により行われ、ここでは、アルコキシシラン基含有バインダー(A)、有機溶剤、場合によっては脂肪族モノアルコール(C)並びに助剤及び添加剤が混合及び場合によっては分散によって、被覆組成物に加工され、その使用の直前に触媒(B)が添加混合される。
【0055】
被覆剤の適用及び硬化並びに生じる被覆の使用
本発明による被覆剤の適用は、全ての慣用の適用法によって、例えば吹き付け、ドクターブレード、刷毛塗り、浸漬、フローコーティング、浸透、滴下(Traeufeln)又はロールコーティングにより行うことができる。この場合に、被覆すべき基材それ自体は静止していることができ、この際には、適用装置又は−ユニットが動かされる。それにもかかわらず、被覆すべき基材、殊にコイルを動かすこともでき、この際には、適用ユニットが、基材に対して相対的に静止又は適切に運動されうる。
【0056】
吹き付け適用法、例えば圧縮空気スプレー塗装、エアレススプレー、高速回転、静電塗装(ESTA)、スプレーガンを用いる圧搾空気スプレー適用が有利に使用され、この際、スプレーガンを用いる圧搾空気スプレー適用が特別好ましい。
【0057】
本発明による被覆剤の硬化は特別性を有さず、環境温度で又は200℃までの高い温度で行うことができる。被覆剤を自動車補修塗装のために又はプラスチック−付属部品の被覆のために使用する場合に、この硬化は環境温度で又は最大90℃の、殊に最大60℃の僅かに高い温度で行なわれる。最大90℃の温度での熱硬化は、慣用の公知装置、例えばファンヒーター(Heizgeblaese)並びに近赤外線及び遠赤外線を放射する加熱ランプを用いて行うことができる。使用温度及び加熱の時間は、個々の場合の必要性、殊に熱硬化可能な成分の反応性に応じて決まり、当業者により、その専門知識及び職人技能に基づき簡単に選択され、調節することができる。
【0058】
この硬化は、20〜90℃、好ましくは40から最大60℃の温度で、1分から10時間まで、特別好ましくは20分から5時間までの時間の間に行うことが有利である。
【0059】
低い温度での硬化に基づき、記載の被覆剤は、殊に、ラインでのオリジナル塗装の部分補修塗装を包含する乗用車車体の部分補修塗装のため及び/又はプラスチック成形品又は乗用車の、殊に高級乗用車の車体のプラスチック付属部品の被覆のために、例えば屋根、尾部フラップ、エンジンボンネット、フェンダ、バンパー、スポイラー、しきい、保護片、側面上張り等の製造のために好適である。これは、遠距離移動手段(殊に原動機付き車両、例えばオートバイ、バス、トラック又は乗用車)の車体又はこれらの部品又は船舶−及び航空機構造の構成部材のオリジナル塗装(Erstlackierung)のため、自動車流れ作業塗装;内装−及び外装分野での建造物の被覆のため;家具、窓及び扉の;プラスチック成形部品、殊にCD及び窓の;工業用小部品、コイル、コンテナ及びパッケージング;白色商品の;日用品及び電気器具の構成部材の、シートの;光学的、電気工学的及び機械構成部材並びにガラス中空体及び日用品の被覆のために使用することもできる。
【0060】
本発明による被覆剤は、新規の硬化された被覆、殊に非常に良好な視覚的全印象(いわゆる非常に良好な外観)を有する部分補修塗装を提供する。この場合に得られる被覆は、殊に表面欠陥がなく、かつ高い透明性を有する。その上、本発明による被覆剤は、湿気の存在下での迅速硬化によって優れており、同時に最低30分、殊に最低2時間の可使時間(ポットライフ)を有する。バインダーを製造するために、メトキシ基の代わりにエトキシ基を有するアクリレート−又はメタクリレート官能性アルコキシシランの最小分の使用によって、更に、硬化時にできるだけ少ないメタノールを放出し、それにもかかわらず促進された迅速硬化を示す被覆剤を提供することができる。
【0061】
実施例
1.アルコキシシラン基を有するバインダーA1〜A3(本発明による)及びバインダーA4(比較)の製造
温度計、アンカー攪拌機、滴下ロート2本及び還流冷却器を備えている、オイル循環サーモスタットを用いて加熱可能な二重壁4−リットル不錆鋼釜中に、第1表中に記載されている重合用溶剤を装入する(=前装入物)。1本の滴下ロート中に、第1表中に記載のモノマー混合物を、第2の滴下ロート中に、第1表中に記載の開始剤溶液を装入する。前装入物を、145℃の重合温度まで加熱する。重合温度に到達の後に、先ず、開始剤流入を開始する。開始剤流入の開始15分後に、モノマー流入(240分間)を開始する。この開始剤流入を、モノマー流入の終了後になお更に30分間後流入するように調節する。開始剤流入の終了後に、混合物を更に145℃で2時間撹拌する。
【0062】
【表1】

【0063】
第1表の説明:
1) Firma Wacker-Chemie AGの市販のメタクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン
2) Firma Wacker-Chemie AGの市販の(メタクリロイルオキシメチル)メチルジエトキシシラン
3) Firma Wacker-Chemie AGの市販のメタクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン
4) Shin-Etsu Chemical Ltd.Japanの市販製品。
【0064】
【表2】

【0065】
第2表の説明:
5) 第1表中に記載の固体含分でバインダーの製造後に、ICI-Platte-Kegel-粘度計を用いて、22℃で測定された粘度(未調整粘度)
6) ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィ(GPC)を用い、ポリメチルメタクリレート標準に対して測定。
【0066】
2.例1〜3の本発明による被覆剤及び比較例V1の被覆剤の製造及びこれらから製造された被覆
第3表中に記載の成分から、混合によって、本発明の例1〜3の及び比較例V1の被覆剤を製造する。こうして得られた被覆剤を、その後、それぞれ2枚のガラス板上に直接、ボックス形ドクター(Kastenrakel)を用いて、約100μmの未乾燥膜厚さで塗布する。1枚のガラス板を室温で貯蔵し、他方を15分間排気の後に、空気循環炉内、60℃で、30分間乾燥させる。下記の判定基準に従って、塗料の評価を行う:
可使時間:
塗料が最初のゲル粒子を示すまでの時間を評価する。
【0067】
Zappon−タック−試験(Zappon-Tack-Test:ZTT)を用いる不粘着性:
厚さ約0.5mm、幅2.5cm及び長さ約11cmのアルミニウム片を、110°の角度で、2.5×2.5cmの面を生じさせるように曲げる。この板の長手側で、更に2.5cmを約15°だけ曲げて、この板を正方形平面上の中心に置かれた5gの重量によって平衡に保持させる。ZTTによって不粘着性を測定するために、この曲げられた板を塗膜上に置き、30秒間100gの重量をかける。この重量を除いた後に、板角度が5秒以内に反転する場合に、この塗料は不粘着性であるとみなされる。この試験を15分間隔で繰り返す。この試験の適用の前に、塗膜の粘着性を指触により定性的に評価する。
【0068】
振かん硬度:
塗膜の硬度を、DIN 53157に従ってKoenigによる振子制動(Pendel-daempfung)を用いて測定する。記載値は振子振動数(Pendelschlaege)である。
【0069】
【表3】

【0070】
第3表の説明:
1) アミンブロックされた燐酸部分エステルをベースとするFirma King Industriesの市販触媒、イソプロパノール中25%
2) 被覆を室温で貯蔵の場合の、Zappon-Tack-Testを用いる不粘着性の測定
3) 被覆を60℃で30分硬化させ引き続きこの被覆を室温で貯蔵した場合の、Zappon-Tack-Testを用いる不粘着性の測定
4) 被覆を室温で1日貯蔵した後に、振かん硬度を測定
5) 被覆を室温で3日貯蔵した後に、振かん硬度を測定
6) 被覆を室温で7日貯蔵した後に、振かん硬度を測定
7) 被覆を60℃で30分間硬化させ引続き室温で1日貯蔵した後に、振かん硬度を測定
8) 被覆を60℃で30分硬化させ引続き室温で3日貯蔵した後に、振かん硬度を測定
9) 被覆を60℃で30分硬化させ引続き室温で7日貯蔵した後に、振かん硬度を測定
【0071】
試験結果の検討:
例の比較結果は、バインダーの製造のために使用されたアルコキシシリル基を有するモノマーの影響を明らかに示している。即ち、例1と比較例V1との比較結果は、α−シランが匹敵するγ−シランよりも明らかに高い反応性を有することが明らかにしている。殊に不粘着性(ZTT−試験)及び7日貯蔵後の高い最終硬度の達成が明らかである。
【0072】
本発明による例1〜3が示しているように、α−シランのその高い反応性にもかかわらず、充分な可使時間を有する本発明による被覆剤を得ることが成功している。
【0073】
更にα−シランの高い反応性に基づき、本発明の被覆剤は、硬化時に毒物学的に危険なメタノールを放出せず、α−エトキシシランの使用によって、むしろ硬化時にエタノールを放出する本発明による被覆剤を使用することが成功している。この場合に、α−エトキシシランをベースとしているこの被覆剤は、本発明の実施例1及び2が示しているように、メトキシシリル基に比べてエトキシシリル基の理論的に低い反応性にもかかわらず、意外に高い反応性及び相応して室温での良好な硬化をも示している。
【0074】
3.例4〜6の本発明による被覆剤及び比較例V2〜V7の被覆剤の製造及びこれから製造された被覆
第4表中に記載されている成分から、混合によって、本発明の例4〜6及び比較例V2〜V7の被覆剤を製造する。この場合に、使用触媒溶液は次のようにして得られる:
触媒K1(トリエチルアミンでブロックされたビス−2−エチルヘキシルホスフェート)の製造:
磁気攪拌機、内部温度計、滴下ロートを備えている100ml−三頸フラスコ中に、トリエチルアミン14.68g、メチルイソブチルケトン13.75g及び酢酸エチル27.32gを装入する。撹拌及び冷却下に、温度が50℃を越えないようにゆっくり、ビス−2−エチルヘキシルホスフェート44.25gを滴加する。更に50℃で2時間保持し、引き続き、処理溶剤を回転蒸発器中で留去し、残分をイソプロパノールで25%の固体含分になるまで希釈する。
【0075】
触媒塩K2(DABCOでブロックされたビス−2−エチルへキシルホスフェート)の製造:
磁気攪拌機、内部温度計、滴下ロートを備えている100ml−三頸フラスコ中に、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)13.25g、メチルイソブチルケトン16.9g及び酢酸エチル33.59gを装入する。撹拌及び冷却下に、温度が50℃を越えないようにゆっくり、ビス−2−エチルヘキシルホスフェート36.26gを滴加する。50℃で更に2時間保持し、引き続き、処理溶剤を回転蒸発器中で留去し、残分をイソプロパノールで25%の固体含分になるまで希釈する。
【0076】
【表4】

【0077】
第4表の説明:
1) 第1表中に記載のバインダーA1
2) 前記のトリエチルアミンでブロックされたビス−2−エチルへキシルホルフェートの25%触媒溶液K1
3) 前記のDABCOでブロックされたビス−2−エチルへキシルホスフェートの25%触媒溶液K2
4) DBTL=ジブチル錫ジラウレート
5) DABCO=1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン
6) DBN=1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネ−5−エン
7) DBU=1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン
8) ビス(2−エチルへキシル)ホスフェート
9) 被覆を室温で1日貯蔵の後に、振かん硬度を測定
10) 被覆を室温で7日貯蔵の後に、振かん硬度を測定
11) 被覆を60℃で30分間硬化させ、引き続きこの被覆を室温で1日貯蔵した後に、振かん硬度を測定
12) 被覆を60℃で30分間硬化させ、引き続きこの被覆を室温で7日貯蔵した後に、振かん硬度を測定
13) 視覚的評価
14) 僅かな濁りが見え、結晶化が開始する
15) 被覆は、硬化の後に不所望な表面構造を示す。
【0078】
試験結果の検討:
例4及び6並びに比較例V2〜V7の比較結果は、被覆剤及びこれから製造された被覆の特性への使用触媒の影響を明らかに示している。
【0079】
つまり、本発明の例4及び6によるアミンブロックされた燐酸部分エステルの本発明による使用は、2時間を上回る長い可使時間と同時に良好な硬化を示す被覆剤をもたらしている。更に、高い硬度及び非常に良好な視覚的全印象を有する本発明による被覆剤が得られている。この場合に、本発明の例4によるトリエチルアミンでブロックされた燐酸部分エステルの使用は、例6によるDABCOでブロックされた燐酸部分エステルの使用に比べて好ましい。それというのも、明らかに良好な硬化にも関わらず、非常に良好な可使時間が得られるからである。
【0080】
ちなみに、毒物学的理由からも所望性の低いDBTLの使用は、比較例V2が示しているように、全く不充分な可使時間を有する被覆剤をもたらす。
【0081】
種々のアミンの単独使用は、同様に甘受され得ない特性を有する被覆剤又は被覆をもたらす。
【0082】
つまり、比較例V3によるトリエチルアミンの使用は、全く不充分な硬化を示す被覆剤をもたらす。比較例V3自体の振かん硬度は、60℃で30分の強制乾燥及び引き続く室温での7日間の貯蔵の場合ですら、非常に低過ぎ、従って−概して硬化について言及できる場合に−決して甘受できない最小の硬化のみが起っていることを推論させている。
【0083】
比較例V4〜V6により、触媒として環状アミンを使用することは、良好な硬化を示す被覆剤をもたらすが、これに反してこの被覆剤又は得られる被覆の視覚的特性は甘受できない。即ち、比較例V4によるDABCOの使用は、濁った被覆剤をもたらし、他方で、比較例V5によるDBNの使用も、比較例V6によるDBUの使用も、明白な表面構造を有する被覆をもたらしている。更に、触媒としてのDBN及びDBUの使用は、全く不充分な可使時間を示す被覆剤をもたらしている。
【0084】
結局、アミンでブロックされていない燐酸部分エステルの使用は、良好な硬化及び良好な可使時間を有する被覆剤をもたらすにもかかわらず、ここでも、比較例V7が示すように、明白な表面構造を有する甘受できない被覆剤が得られている。
【0085】
4.アルコキシシラン基を有するバインダーA5及びA6(本発明による)の製造
バインダーA1〜A4の製造と同様に、第5表中に記載の成分から、バインダーA5及びA6の製造を行うが、この際にバインダーA6の製造時の重合温度及び後重合時の温度は、バインダーA1〜A5の製造時におけるような145℃の代わりに、140℃のみである。
【0086】
【表5】

【0087】
第5表の説明:
1) Firma Wacker-Chemie AGの市販のメタクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン。
【0088】
【表6】

【0089】
第6表の説明:
1) 第5表中に記載されている固体含分で、バインダーの製造の後に、ICI-Platte-Kegel-粘度計を用いて、23℃で測定された粘度(未調整粘度)
2) ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィ(GPC)を用い、ポリメチルメタクリレート標準に対して測定。
【0090】
5.例7〜10の本発明による被覆剤の製造及びこれらから製造された被覆
第7表中に挙げられている成分から、混合によって、本発明の例7〜10の被覆剤を製造する。こうして得られた被覆剤を、その後、直接2枚のガラス板上に、ボックス形ドクター(Kastenrakel)を用いて、約100μmの未乾燥膜厚さで塗布する。1枚のガラス板を室温で貯蔵し、他方を15分間の排気の後に、循環炉内で、60℃で30分間乾燥させる。塗料の評価を、例1〜6に記載されている判定基準に従って行なう:
【0091】
【表7】

【0092】
第7表の説明:
1) 前記のDABCOでブロックされたビス−2−エチルへキシルホスフェートの25%触媒溶液K2
2) 立体障碍されたアミン(HALS)をベースとする光安定剤からの混合物60部及びUV−吸収剤40部をベースとする市販の光安定剤、1−メトキシ−2−プロピルアセテート中の97%
3) ポリエーテル変性されたポリジメチルシロキサンをベースとする市販のレベリング剤
4) ポリアクリレートコポリマーをベースとする市販のレベリング剤、ソルベントナフサ中の52%
5) 被覆を室温で保存した場合の、Zappen-Tack-Testを用いる不粘着性の測定
6) 被覆を室温で1日間貯蔵した後に、振かん硬度を測定
7) 被覆を室温で7日間貯蔵した後に、振かん硬度を測定
8) 被覆を60℃で30分間硬化させ引続き室温で1日間貯蔵の後に、振かん硬度を測定
9) 被覆を60℃で30分間硬化させ引続き室温で7日間貯蔵の後に、振かん硬度を測定。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルコキシシラン基を有するバインダー少なくとも1種及び(B)架橋触媒少なくとも1種を含有している、非プロトン性溶剤をベースとする湿気硬化性被覆剤において、これは、
バインダー(A)として、式(I):
【化1】

[式中、
Rは水素又はメチル基を表し、R’は水素、アルキル又はシクロアルキルを表し、
R''はアルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキル(ここで、炭素鎖は、非隣接の酸素原子、硫黄原子又はNRa−基で中断されていてよく、Raはアルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルである)を表し、xは0〜2である]のエチレン系不飽和モノマー(a1)1種以上の使用下に得られる、ポリアクリレート及び/又はポリメタクリレート少なくとも1種、及び
架橋触媒として、燐−及び窒素−含有触媒(B)少なくとも1種
を含有していることを特徴とする、非プロトン性溶剤をベースとする湿気硬化性被覆剤。
【請求項2】
バインダー(A)として、式(II):
【化2】

[式中、R、R’及びR''は式(I)中に記載と同じものを表し、
xは0〜2、好ましくはxは0〜1、特別好ましくはxは0であり、
yは1〜3、好ましくはyは2〜3であり、
かつ、1<x+y<3、好ましくは2<x+y<3である]のエチレン系不飽和モノマー1種以上の使用下に得られる、ポリアクリレート及び/又はポリメタクリレート少なくとも1種を含有していることを特徴とする、請求項1に記載の被覆剤。
【請求項3】
式(II)のエチレン系不飽和モノマーは、α−メタクリルオキシメチルジエトキシメチルシラン、α−メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン、α−アクリルオキシメチルジエトキシメチルシラン及び/又はα−アクリルオキシメチルトリエトキシシランの群から選択されていることを特徴とする、請求項2に記載の被覆剤。
【請求項4】
アルコキシシラン基を有するバインダー(A)は、
(a1) 式(I)及び/又は式(II)のエチレン系不飽和モノマー(a1)1種以上 10〜50質量%、好ましくは15〜40質量%、特別好ましくは20〜35質量%、
(a2) エチレン系不飽和カルボン酸のアルキルエステル1種以上 15〜85質量%、好ましくは25〜60質量%、
(a3) ビニル芳香族化合物1種以上 0〜50質量%、好ましくは10〜30質量%、
(a4) 少なくとも2個の重合可能なエチレン系不飽和二重結合を有するエチレン系不飽和モノマー1種以上 0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%及び
(a5) モノマー(a1)〜(a4)とは異なる他のエチレン系不飽和化合物1種以上 0〜40質量%、好ましくは0〜20質量%
(ここで、モノマー(a1)〜(a5)の質量部の合計はその都度100質量%になる)
の重合によって得られることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の被覆剤。
【請求項5】
少なくとも1種のバインダー(A)70.0〜99.0質量%、好ましくは85.0〜95.0質量%(それぞれ、本発明による被覆剤の不揮発性成分の質量に対して)及び/又は
少なくとも1種の触媒(B)0.1〜10.0質量%、好ましくは0.5〜5.0質量%(それぞれ、本発明による被覆剤の不揮発性成分の質量に対して)を含有していることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の被覆剤。
【請求項6】
触媒(B)は、アミンブロックされ、置換されたホスホン酸ジエステル及び/又はジホスホン酸ジエステル、アミンブロックされ、置換された燐酸モノエステル及び/又はアミンブロックされ、置換された燐酸ジエステル及び/又はアミンブロックされ、置換された燐酸トリエステルの群から選択されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の被覆剤。
【請求項7】
触媒(B)として、第3級飽和アミンでブロックされ、置換されたホスホン酸ジエステル及び/又はジホスホン酸ジエステル及び/又は燐酸モノエステル及び/又は燐酸ジエステル少なくとも1種、殊にアミンブロックされたビス−2−エチルへキシルホスフェート、全く特別にトリエチルアミン及び/又は1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)オクタンでブロックされたビス−2−エチルへキシルホスフェートを含有していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の被覆剤。
【請求項8】
付加的に、溶剤とは異なる脂肪族モノアルコール(C)、殊に炭素原子数2〜4を有する脂肪族の第1級モノアルコール、殊にn−プロパノール及び/又はn−ブタノールの1種以上を含有していることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の被覆剤。
【請求項9】
本発明による被覆剤の不揮発性成分の質量に対してそれぞれ0〜20質量%、好ましくは0.5〜10.0質量%の脂肪族モノアルコール(C)少なくとも1種を含有していることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の被覆剤。
【請求項10】
透明であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の被覆剤。
【請求項11】
場合によりプレコートされた基材上に、顔料着色されたベースコート層を、その後クリヤーコート層を塗布する方法で複層塗装を製造する方法において、クリヤーコート層は、請求項1から10までのいずれか1項に記載の被覆剤からの層であることを特徴とする、前記製造方法。
【請求項12】
複層塗装は、部分補修塗装、殊に自動車補修塗装又は実用車塗装又はプラスチック成形品又はプラスチック−付属部材の塗装であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
自動車車体の内装部材又は外装部材又は船舶及び飛行機構造の部材又は日用品及び電気器具の部材又はプラスチック成形品又はシートの被覆のために使用する、請求項11又は12に記載の方法の使用。

【公表番号】特表2012−522850(P2012−522850A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502474(P2012−502474)
【出願日】平成22年2月20日(2010.2.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001070
【国際公開番号】WO2010/112106
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】