説明

アルコキシシラン変性ポリアミド樹脂、その製造方法、ホットメルト接着剤および樹脂硬化物

【課題】耐熱性および機械強度に優れる、アルコキシシラン変性ポリアミド樹脂、その製造方法、ホットメルト接着剤および樹脂硬化物を提供すること。
【解決手段】多塩基酸類と多価アルコールとの反応により得られるポリエステルポリカルボン酸とポリイソシアネート化合物とを、カルボキシル基に対してイソシアネート基が過剰となる割合で、反応させることにより得られる末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂と、一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物とを反応させることにより、得られるアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂を硬化して得られる樹脂硬化物は、耐熱性および機械強度に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコキシシラン変性ポリアミド樹脂、その製造方法、ホットメルト接着剤および樹脂硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ラクタムをジカルボン酸の共存下に加熱開環重合させ、末端カルボキシル基ポリアミドを得、これとジイソシアネート化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート基ポリアミドを、ω−アミノアルキルアルコキシシラン化合物で変性させた、末端アルコキシシリルポリアミドを、ホットメルト接着剤として用いることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、1,6−ヘキサンジオールおよびセバシン酸を反応させて得られるポリエステルジオールを、ジフェニルメタンジイソシアネートと反応させて、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得、これと、γ−(N−フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシランとを反応させて得られる、アルコキシシリル基を有するウレタンプレポリマーを、反応型ホットメルト接着剤として用いることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開昭59−172574号公報
【特許文献2】特開平07−278320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1や特許文献2に記載のホットメルト接着剤では、十分な耐熱性および機械強度を得ることができず、さらなる物性の向上が望まれている。
本発明の目的は、耐熱性および機械強度に優れる、アルコキシシラン変性ポリアミド樹脂、その製造方法、ホットメルト接着剤および樹脂硬化物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明のアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂は、多塩基酸類と多価アルコールとの反応により得られるポリエステルポリカルボン酸とポリイソシアネート化合物とを、カルボキシル基に対してイソシアネート基が過剰となる割合で、反応させることにより得られる末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂と、下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物とを反応させることにより、得られることを特徴としている。
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、R1は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R2、R3およびR4は、互いに同一または相異なって、炭素数2〜20のアルコキシ基または炭素数1〜20のアルキル基を示す。但し、R2、R3およびR4の少なくとも1つはアルコキシ基を示す。)
また、本発明のホットメルト接着剤は、多塩基酸類と多価アルコールとの反応により得られるポリエステルポリカルボン酸とポリイソシアネート化合物とを、カルボキシル基に対してイソシアネート基が過剰となる割合で、反応させることにより得られる末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂と、下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物とを反応させることにより、得られるアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂を含有することを特徴としている。
【0008】
【化2】

【0009】
(式中、R1は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R2、R3およびR4は、互いに同一または相異なって、炭素数2〜20のアルコキシ基または炭素数1〜20のアルキル基を示す。但し、R2、R3およびR4の少なくとも1つはアルコキシ基を示す。)
また、本発明のホットメルト接着剤では、一液湿気硬化型接着剤であることが好適である。
【0010】
また、本発明の樹脂硬化物は、多塩基酸類と多価アルコールとの反応により得られるポリエステルポリカルボン酸とポリイソシアネート化合物とを、カルボキシル基に対してイソシアネート基が過剰となる割合で、反応させることにより得られる末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂と、下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物とを反応させることにより、得られるアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂を硬化して得られることを特徴としている。
【0011】
【化3】

【0012】
(式中、R1は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R2、R3およびR4は、互いに同一または相異なって、炭素数2〜20のアルコキシ基または炭素数1〜20のアルキル基を示す。但し、R2、R3およびR4の少なくとも1つはアルコキシ基を示す。)
また、本発明のアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂の製造方法は、多塩基酸類と多価アルコールとの反応により得られるポリエステルポリカルボン酸とポリイソシアネート化合物とを、カルボキシル基に対してイソシアネート基が過剰となる割合で、前記ポリエステルポリカルボン酸の全カルボキシル基100モル部に対して0.001〜10モル部の、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩から選択される触媒の存在下において、反応させることにより、末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂を得て、前記末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂と、下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物とを反応させることを特徴としている。
【0013】
【化4】

【0014】
(式中、R1は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R2、R3およびR4は、互いに同一または相異なって、炭素数2〜20のアルコキシ基または炭素数1〜20のアルキル基を示す。但し、R2、R3およびR4の少なくとも1つはアルコキシ基を示す。)
また、本発明のアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂の製造方法では、前記ポリエステルポリカルボン酸と前記ポリイソシアネート化合物とを、120℃以下で反応させることが好適である。
【0015】
また、本発明のアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂の製造方法では、前記末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂と前記アルコキシシラン化合物とを、150℃以下で反応させることが好適である。
また、本発明のアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂の製造方法では、前記触媒が、ステアリン酸マグネシウムであることが好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明のアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂は、優れた耐熱性および機械強度を有する本発明の樹脂硬化物を得ることができ、そのため、本発明のホットメルト接着剤などに好適に用いることができる。
また、本発明のアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂の製造方法では、容易に、耐熱性および機械強度に優れる本発明の樹脂硬化物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂は、ポリエステルポリカルボン酸とポリイソシアネート化合物とを反応させることにより得られる末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂と、アルコキシシラン化合物とを反応させることにより、得ることができる。
本発明において、ポリエステルポリカルボン酸は、多塩基酸類と、多価アルコールとを反応させることにより、得ることができる。
【0018】
多塩基酸類としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、その他の脂肪族ジカルボン酸(炭素数11〜13)、水添ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ダイマー酸、ヘット酸などのジカルボン酸、および、それらジカルボン酸のアルキルエステルが挙げられる。
【0019】
また、多塩基酸類には、上記例示のカルボン酸類から誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(炭素数12〜18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸などが含まれる。
さらに、多塩基酸類には、上記例示のカルボン酸類などから誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバチン酸ジクロライドなどが含まれる。
【0020】
これら多塩基酸類は、単独使用または2種類以上併用することができる。好ましくは、ジカルボン酸およびそのアルキルエステルが挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、ヒドロキシル基を2つ有するジオール、ヒドロキシル基を3つ以上有するポリオールが挙げられる。
ジオールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,18−オクタデカンジオールなどのC2−22アルカンジオール、例えば、2−ブテン−1,4−ジオール、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオールなどのアルケンジオールなどの脂肪族ジオールが挙げられる。
【0021】
また、ジオールとして、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAまたはそのC2−4アルキレンオキサイド付加体などの脂環族ジオールが挙げられる。
また、ジオールとして、例えば、レゾルシン、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、これらビスフェノール類のC2−4アルキレンオキサイド付加体などの芳香族ジオールが挙げられる。
【0022】
さらに、ジオールとして、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレンブロックグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリエーテルジオールが挙げられる。
ヒドロキシル基を3つ以上有するポリオールとして、例えば、グリセリン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)ペンタン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−3−ブタノールおよびその他の脂肪族トリオール(炭素数8〜24)などのトリオール、例えば、テトラメチロールメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、D−ソルビトール、キシリトール、D−マンニトール、D−マンニットなどのヒドロキシル基を4つ以上有するポリオールなどが挙げられる。
【0023】
これら多価アルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。好ましくは、ジオールが挙げられる。
そして、ポリエステルポリカルボン酸は、多塩基酸類と多価アルコールとを、多塩基酸類の酸基(カルボキシル基、カルボン酸エステル、酸無水物基、酸ハライド)が多価アルコールのヒドロキシル基より過剰となる割合(具体的には、COOH/OHが、1.0を超過する割合、好ましくは、1.01〜2.10の割合)で配合して、それらをエステル化反応させることにより、得ることができる。
【0024】
エステル化反応は、例えば、縮合反応またはエステル交換反応であり、公知の条件でよく、例えば、常圧、不活性ガス雰囲気とし、その反応温度が100〜250℃で、その反応時間が1〜50時間であり、必要により、触媒(有機錫触媒、有機チタン触媒、アミン触媒、後述するアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩など)や溶媒などを用いることができる。
【0025】
このようにして得られるポリエステルポリカルボン酸は、その数平均分子量が、例えば、200〜20000であり、好ましくは、500〜10000である。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。GPC測定では、測定されたクロマトグラムの最大頻度の分子量(保持時間)を含むピークの数平均分子量を、標準ポリエチレングリコールを使用して作成された検量線を基準として算出する。これによって、数平均分子量は、標準ポリエチレングリコールの換算値として算出される。
【0026】
また、ポリエステルポリカルボン酸は、その酸価が、例えば、5〜600mgKOH/gであり、好ましくは、10〜250mgKOH/gであり、その水酸基価が、例えば、5mgKOH/g以下であり、好ましくは、3mgKOH/g以下である。
また、ポリエステルポリカルボン酸では、コーンプレート粘度計で測定した100℃における粘度(溶融粘度)が、好ましくは、30000mPa・s以下である。
【0027】
本発明において、ポリイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート(TMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−、2,3−または1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなどの脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。
【0028】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、4,4′−、2,4′−または2,2′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートもしくはその混合物(H12MDI)、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物(水添キシリレンジイソシアネート、H6XDI)、2,5−または2,6−ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナンもしくはその混合物(NBDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
【0029】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(XDI)、1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TMXDI)、ω,ω′−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼンなどの芳香脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、4,4′−、2,4′−または2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物(MDI)、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TDI)、3,3′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、m−またはp−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
【0030】
また、ポリイソシアネート化合物には、上記したポリイソシアネートの多量体(例えば、二量体、三量体など)や、例えば、上記したポリイソシアネートまたは多量体と、水との反応により生成するビウレット変性体、アルコールまたは上記した多価アルコールとの反応により生成するアロファネート変性体、炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオン変性体、または、上記した多価アルコールとの反応により生成するポリオール変性体などが含まれる。さらに、ポリイソシアネート化合物には、フェニルジイソチオシアネートなどの硫黄含有ポリイソシアネートが含まれる。
【0031】
これらポリイソシアネート化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。副反応の制御の容易性の観点から、好ましくは、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートが挙げられ、さらに好ましくは、H6XDIが挙げられる。
そして、末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂は、上記により得られるポリエステルポリカルボン酸とポリイソシアネート化合物とを、ポリエステルポリカルボン酸のカルボキシル基に対してポリイソシアネート化合物のイソシアネート基が過剰となる割合(NCO/COOHが1.0を超過する割合、好ましくは、1.05〜2.50の割合)で配合して、それらをアミド化反応させることにより、得ることができる。
【0032】
NCO/COOHの当量比が上記範囲にあると、生産を安定させることができる。一方、NCO/COOHの当量比が1.00以下になると、末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂のイソシアネート基含有率が低下し、湿気硬化するときに長時間を要するか、あるいは、完全硬化できない場合がある。他方、NCO/COOHの当量比が高すぎると、遊離のポリイソシアネート化合物の残存量が多くなり、加熱溶融時にポリイソシアネート化合物が揮発して、作業環境が低下する場合がある。
【0033】
アミド化反応では、特に制限されないが、例えば、触媒の存在下、反応温度120℃以下、好ましくは、40〜120℃、さらに好ましくは、40〜100℃で、反応時間0.5〜50時間、好ましくは1〜15時間、反応させる。
触媒としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられる。
アルカリ金属塩としては、例えば、フッ化リチウム、塩化リチウム、水酸化リチウム、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、フッ化カリウム、塩化カリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
【0034】
また、アルカリ土類金属塩としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、過塩素酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、塩化マグネシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。好ましくは、アミド化反応におけるアミド選択性の観点から、ステアリン酸カルシウム、過塩素酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウムが挙げられ、さらに好ましくは、ステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
【0035】
また、触媒は、例えば、ポリエステルポリカルボン酸の全カルボキシル基100モル部に対して0.001〜10モル部、好ましくは、0.005〜2モル部の割合で添加される。触媒の添加割合が、これより少ないと、アミド化反応が十分に進行せず、生産性が低下する場合がある。一方、これより多くとも、アミド化反応のアミド選択性は変わらず、経済的に不利となる場合がある。
【0036】
また、反応温度が上記範囲にあると、生産を安定させることができる。一方、反応温度が120℃を超えると、イソシアネート基の副反応が促進され、イソシアネート基含有率が理論値より低下して、得られる樹脂の粘度が高くなる場合がある。そのため、加熱溶融時の作業性が低下して、所望の樹脂硬化物を得ることができない場合がある。他方、反応温度が低すぎると、ポリエステルポリカルボン酸のカルボキシル基とイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応が十分に進行せず、生産性が低下する場合がある。
【0037】
また、アミド化反応は、好ましくは、常圧下において実施できるが、反応時に発生する二酸化炭素を除去しつつ減圧下で実施することもでき、さらには、反応時に発生する二酸化炭素により加圧下で実施することもできる。
また、アミド化反応では、イソシアネート基は、水(空気中の水分など)と反応すると分解する。そのため、この反応は、空気中の水分との接触を回避すべく、好ましくは、不活性ガス雰囲気下で実施する。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガスなどが挙げられ、好ましくは、窒素ガスが挙げられる。
【0038】
また、アミド化反応では、必要により溶媒を用いることもできる。
そして、このアミド化反応は、具体的には、ポリエステルポリカルボン酸、イソシアネート化合物および触媒を一度に混合してもよく、また、予めポリエステルポリカルボン酸およびイソシアネート化合物を混合し、その混合物と触媒とを混合することもできる。
また、予めポリエステルポリカルボン酸および触媒を混合し、その混合物とイソシアネート化合物とを混合してもよく、予めイソシアネート化合物および触媒を混合し、その混合物とポリエステルポリカルボン酸とを混合することもできる。
【0039】
なお、触媒として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物を用いる場合には、ポリエステルポリカルボン酸と水酸化物とを混合すると、それらが反応して水を生成する。そのため、この場合には、混合後、脱水処理により水分を除去した後、その混合物とイソシアネート化合物とを混合する必要がある。これにより、生成した水によるイソシアネート基の分解を抑制することができる。
【0040】
なお、上記の反応は段階的に実施することもできる。例えば、まず、1段目として、ポリエステルポリカルボン酸とポリイソシアネート化合物とを、NCO/COOHの当量比1.0未満で反応させて、末端カルボキシル基含有ポリアミド樹脂を合成する。次いで、2段目として、末端カルボキシル基含有ポリアミド樹脂と、1段目のポリイソシアネート化合物と種類の異なるポリイソシアネート化合物を、最終的にNCO/COOHの当量比1.0を超過するように反応させて、末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂を得る。このように末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂を合成すれば、ポリイソシアネート化合物に由来する構造単位が、分子末端と分子中とで異なる樹脂を得ることができる。上記2段の反応において、触媒は、1段目に添加してもよく、2段目に添加してもよく、さらには、1段目と2段目の両方に添加することもできる。
【0041】
なお、アミド化反応では、必要により、消泡剤などの添加剤を用いることもできる。
このようにして得られる末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂は、その数平均分子量が、例えば、250〜40000であり、好ましくは、500〜10000である。また、そのイソシアネート基含率が、配合割合からの計算値(理論値)の90〜110%、好ましくは、95〜105%である。イソシアネート基含有率が上記範囲にあると、比較的短期間で完全に湿気硬化できる。また、アミド化率は、通常、76〜100%、好ましくは、86〜100%である。アミド化率が上記範囲にあると、優れた耐熱性、接着性、機械強度を有する樹脂硬化物を得ることができる。
【0042】
そして、本発明のアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂は、上記により得られる末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂と、アルコキシシラン化合物とを反応させることにより、得ることができる。
アルコキシシラン化合物は、下記一般式(1)で表される第一級アミノ基含有アルコキシシラン化合物である。
【0043】
【化5】

【0044】
(式中、R1は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R2、R3およびR4は、互いに同一または相異なって、炭素数2〜20のアルコキシ基または炭素数1〜20のアルキル基を示す。但し、R2、R3およびR4の少なくとも1つはアルコキシ基を示す。)
一般式(1)において、R1で示される炭素数1〜20のアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ドデシレン、テトラデシレン、ヘキサデシレン、オクタデシレン、エイコサニレンなどが挙げられる。好ましくは、炭素数1〜10のアルキレン基、さらに好ましくは、炭素数1〜4のアルキレン基が挙げられる。
【0045】
R2、R3およびR4で示される炭素数2〜20のアルコキシ基としては、例えば、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、オクタデシルオキシ、エイコサニルオキシなどが挙げられる。好ましくは、炭素数2〜10のアルコキシ基、さらに好ましくは、炭素数2〜4のアルコキシ基が挙げられる。
【0046】
R2、R3およびR4で示されるアルコキシ基の炭素数が2未満である場合には、アルコキシシラン変性ポリアミド樹脂の製造における、末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂とアルコキシシラン化合物との反応において、ゲル化する場合がある。
R2、R3およびR4で示される炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、イソデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコサニルなどが挙げられる。好ましくは、炭素数2〜10のアルキル基、さらに好ましくは、炭素数2〜4のアルキル基が挙げられる。
【0047】
また、一般式(1)において、R2、R3およびR4のうち、1つがアルコキシ基であり、2つがアルキル基である場合には、一般式(1)のアルコキシシラン化合物は、アミノアルキル−ジアルキルモノアルコキシシランを示し、2つがアルコキシ基であり、1つがアルキル基である場合には、一般式(1)のアルコキシシラン化合物は、アミノアルキル−モノアルキルジアルコキシシランを示し、3つがアルコキシ基である場合には、一般式(1)のアルコキシシラン化合物は、アミノアルキル−トリアルコキシシランを示す。
【0048】
具体的には、アルコキシシラン化合物として、アミノアルキル−ジアルキルモノアルコキシシランでは、例えば、アミノメチルジメチルエトキシシラン、アミノメチルジエチルエトキシシラン、β−アミノエチルジメチルエトキシシラン、β−アミノエチルジエチルエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルエトキシラン、γ−アミノプロピルジエチルエトキシランなどが挙げられ、アミノアルキル−モノアルキルジアルコキシシランでは、例えば、アミノメチルメチルジエトキシシラン、アミノメチルエチルジエトキシシラン、β−アミノエチルメチルジエトキシシラン、β−アミノエチルエチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、δ−アミノブチルメチルジエトキシシラン、δ−アミノブチルエチルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0049】
また、アルコキシシラン化合物として、アミノアルキル−トリアルコキシシランでは、例えば、アミノメチルトリエトキシシラン、アミノメチルトリプロポキシシラン、アミノメチルトリブトキシシラン、β−アミノエチルトリエトキシシラン、β−アミノエチルトリプロポキシシラン、β−アミノエチルトリブトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリブトキシシラン、δ−アミノブチルトリエトキシシラン、δ−アミノブチルトリプロポキシシラン、δ−アミノブチルトリブトキシシランなどが挙げられる。
【0050】
これらアルコキシシラン化合物のうち、好ましくは、アミノアルキル−トリアルコキシシランが挙げられ、さらに好ましくは、γ−アミノプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
これらアルコキシシラン化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
そして、アルコキシシラン変性ポリアミド樹脂は、末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂と、アルコキシシラン化合物とを、末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂のイソシアネート基がアルコキシシラン化合物のアミノ基に対して、ほぼ当量となる割合(NCO/NH2の当量比が、例えば、0.6〜1.4となる割合、好ましくは、0.9〜1.1の割合)で配合して、それらをウレア化反応させることにより、得ることができる。
【0051】
ウレア化反応では、特に制限されないが、例えば、反応温度150℃以下、好ましくは、40〜140℃、さらに好ましくは、40〜120℃で、反応時間0.5〜50時間、好ましくは、1〜15時間、反応させる。
反応温度が上記範囲にあると、生産を安定させることができる。一方、反応温度が150℃を超えると、アルコキシシラン化合物のアルコキシシリル基の一部が加水分解反応して、シラノール基を生成し、さらに他分子のシラノール基あるいはアルコキシシリル基と縮合反応することによりシロキサン結合が形成され、反応マスが増粘し、生産性が低下する場合がある。他方、反応温度が低すぎると、末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂のイソシアネート基と、アルコキシシラン化合物のアミノ基との反応が十分に進行せず、生産性が低下する場合がある。
【0052】
また、ウレア化反応では、イソシアネート基およびアミノアルコキシシリル基は、水(空気中の水分など)と反応すると分解する。そのため、この反応は、空気中の水分との接触を回避すべく、好ましくは、不活性ガス雰囲気下で実施する。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガスなどが挙げられ、好ましくは、窒素ガスが挙げられる。
また、この反応は、具体的には、末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂およびアルコキシシラン化合物を一度に混合してもよく、また、予め末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂を仕込み、それにアルコキシシラン化合物を混合してもよく、さらには、予めアルコキシシラン化合物を仕込み、それに末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂を混合することもできる。
【0053】
このようにして得られるアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂は、その数平均分子量が、例えば、500〜40000であり、好ましくは、500〜10000である。
そして、アルコキシシラン変性ポリアミド樹脂は、アルコキシシリル基の加水分解により、湿気硬化する。そのため、アルコキシシラン変性ポリアミド樹脂は、一液湿気硬化型樹脂組成物として、種々の分野で用いることができる。とりわけ、一液湿気硬化型ホットメルト接着剤の接着成分として有用である。
【0054】
アルコキシシラン変性ポリアミド樹脂を一液湿気硬化型ホットメルト接着剤の接着成分とする場合には、アルコキシシラン変性ポリアミド樹脂の配合割合は、ホットメルト接着剤100重量部に対して、例えば、1重量部以上、好ましくは、10重量部以上である。
そして、アルコキシシラン変性ポリアミド樹脂(ホットメルト接着剤の接着成分)を湿気硬化させて得られる樹脂硬化物は、耐熱性、接着性、機械的強度に優れている。湿気硬化は、通常、高温下、好ましくは、硬化触媒を添加して、実施できる。
【0055】
硬化触媒として、例えば、有機錫、金属錯体、塩基、有機燐酸などが挙げられる。
有機錫としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジマレート、ジブチル錫フタレート、オクチル酸第一錫、ジブチル錫メトキシド、ジブチル錫ジアセチルアセテート、ジブチル錫ジアセテートなどが挙げられる。
金属錯体としては、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、トリエタノールアミンチタネートなどのチタネート化合物類、例えば、オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルトなどのカルボン酸金属塩、例えば、アルミニウムアセチルアセトナート錯体、バナジウムアセチルアセトナート錯体などの金属アセチルアセトナート錯体などが挙げられる。
【0056】
塩基としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、イソプロピルアルコールアミン、ブチルアミン、1−エチルブチルアミン、イソブチルアミン、ペンチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、モノエタノールアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、グアニジン、2−エチルヘキシルアミン、トリエチレンテトラミン、アニリン、フェニレンジアミン、トルイジン、トルイルアミン、ベンジルアミン、キシレンジアミン、ナフチルアミンなどの第一級アミン、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジエチレントリアミン、ジブチルアミン、N−メチル−ブチルアミン、ピペリジン、ジイソペンチルアミン、N−エチルナフチルアミン、ベンジルアニリン、ジフェニルグアニジンなどの第二級アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチル−ブチルアミン、N,N−ジメチル−オクチルアミン、N,N−ジメチル−ラウリルアミン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセ−7−エン(DBU)などの第三級アミン、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンザルコニウムクロライドなどの第四級アンモニウム塩類などが挙げられる。
【0057】
有機燐酸としては、モノメチル燐酸、ジ−n−ブチル燐酸、燐酸トリフェニルなどが挙げられる。さらには、硬化触媒としては、例えば、他の酸性触媒、塩基性触媒なども挙げられる。
これら硬化触媒のうち、好ましくは、有機錫、金属錯体が挙げられる。これら硬化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。また、硬化触媒の配合割合は、一液湿気硬化型樹脂組成物100重量部に対して、例えば、0.0001〜10重量部、好ましくは、0.001〜5重量部である。
【0058】
なお、アルコキシシラン変性ポリアミド樹脂を含有する一液湿気硬化型樹脂組成物は、必要に応じて、添加剤を、本発明の優れた効果を阻害しない範囲で添加することができる。
添加剤としては、例えば、シランカップリング剤や、さらには、例えば、内部離型剤、粘着付与剤、軟化剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、充填剤、染料、顔料、蛍光増白剤、消泡剤(上記したアミド化反応により用いる消泡剤と同様のもの)などが挙げられる。
【0059】
シランカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのアルコキシシラン類、例えば、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−プロピルメチルジメトキシシラン、N,N’−(ジメトキシメチルシリルプロピル)エチレンジアミン、N,N’−(トリエトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン類、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ジ(γ−グリシドキシプロピル)ジメトキシシランなどのエポキシシラン類、例えば、ビニルトリエトキシシランなどのビニルシラン類、例えば、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネートシラン類、例えば、ビニルトリクロルシランなどのクロロシラン類などが挙げられる。
【0060】
好ましくは、アルコキシシラン類、アミノシラン類が挙げられ、さらに好ましくは、テトラエトキシシランが挙げられる。これらシランカップリング剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。また、シランカップリング剤の配合割合は、一液湿気硬化型樹脂組成物100重量部に対して、例えば、0.01〜50重量部、好ましくは、0.1〜30重量部である。
【0061】
そして、一液湿気硬化型樹脂組成物は、例えば、大気中、常温〜200℃で1〜800時間加熱することにより、容易に湿気硬化する。得られる樹脂硬化物は、耐熱性、接着性、機械的強度に優れている。
また、一液湿気硬化型樹脂組成物を、一液湿気硬化型のホットメルト接着剤として用いる場合には、例えば、加熱装置を備える、ロールコータ、スプレー塗布機、ハンドガンなどの公知の塗布機で加熱溶融した後、種々のパターンで被着体に塗布することにより、被着体を貼り合わせることができる。このとき、ホットメルト接着剤の硬化前に被着体を貼り合わせてもよいが、一旦硬化させたホットメルト接着剤を再度加熱して活性化させた後、被着体を貼り合わせることもできる。
【0062】
被着体は、特に制限されないが、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ブリキ、ステンレス(SUS)、塗装鋼板、亜鉛鋼板、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロン、アラミド)、ポリスチレン、ポリウレタン、ゴム、木材、合板、パーティクルボード、ボール紙、紙、布などが挙げられる。
【実施例】
【0063】
以下に実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は、何らこれらに限定されない。また、合成例、比較合成例、実施例および比較例の分析および測定は、以下の方法に準拠した。
(酸価)
JIS K6901「液状不飽和ポリエステル樹脂試験方法」の5.3項「酸価」の「部分酸価」に従って測定した。
(水酸基価)
JIS K1557「ポリウレタン用ポリエーテル試験方法」の6.4項「水酸基価」に従って測定した。
(イソシアネート基含有率)
JIS K7301「熱硬化性ウレタンエラストマー用トリレンジイソシアネート型プレポリマー試験方法」の6.3項「イソシアネート基含有率」に従って測定した。
(数平均分子量)
試料0.03gをテトラヒドロフラン10mlに室温で溶解し、次いで、孔径0.45μmのフィルタでろ過した後、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて、下記条件で測定した。数平均分子量は、測定されたクロマトグラムの最大頻度の分子量(保持時間)を含むピークの数平均分子量を、標準ポリエチレングリコールを使用して作成された検量線を基準として算出した。
装置:HLC−8020(東ソー社製)
カラム:東ソー社製 TSKgel guardcolum HXL−L + G1000H XL + G2000H XL + G3000H XL
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:0.8ml/分
カラム温度:40℃
注入量:20μl
検出器:RI
(溶融粘度)
粘度(溶融粘度)は、コーンプレート型回転粘度計(ICI社製)を用い、コーン種類:100P、回転数:75rpm、温度:100℃の条件で測定した。
(アミド化率)
下記条件のNMRより算出した。
装置:JNM−AL400(JEOL社製)
周波数:400MHz
測定温度:室温
積算回数:128回
試料20mgをジメチルスルホキシド−d6(0.05%TMS含有)0.65mlに室温で溶解した後、上記条件で1H−NMRを測定した。アミド化率は、イソシアネート誘導体のプロトン(H)の積分値とアミド中のプロトン(NH)の積分値とから算出した。
(耐熱性:軟化開始温度)
動的粘弾性試験を下記条件にて実施し、貯蔵弾性率(E’)の値が急激に減少を開始した時の温度(軟化開始温度)を測定した。
装置:動的粘弾性測定装置DVA−200(アイティー計測制御社製)
試料:標線間長2.5cm、幅0.485cm
変形モード:引張
静/動応力比:1.8〜2.0
設定歪:0.05〜0.10%(E>108Pa)
設定昇温速度:5℃/分
測定周波数:10Hz
(引張強さ)
JIS K7312「熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物の物理試験方法」の5項「引張試験」に従い、下記条件にて測定した。
機器:引張試験機RTA−500L−XL(オリエンテック社製)
ダンベル:ダンベル4号形
厚み:0.5〜0.8mm
温度:23℃
湿度:50%RH
試験速度:300mm/分
合成例1
(ポリエステルポリカルボン酸(A)の製造)
還流冷却器、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計および攪拌装置が取り付けられた5リットルのフラスコに、2045.1重量部のアジピン酸と、1306.5重量部のネオペンチルグリコール(COOH/OHの当量比:1.12)とを仕込み、窒素を導入しながら、マントルヒーターで昇温した。
【0064】
150℃に達したところで水の留出が始まり、水を留出させながら230℃まで昇温した後、230℃で脱水縮合を継続した。反応生成物の酸価、水酸基価が所定の値に達したところを終点として、反応生成物をフラスコより抜き出して冷却し、ポリエステルポリカルボン酸(A)を得た。得られたポリエステルポリカルボン酸(A)は、酸価53.7mgKOH/g、水酸基価0.4mgKOH/gであった。
【0065】
比較合成例1
(ポリエステルポリオール(A)の製造)
還流冷却器、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計および撹拌装置が取り付けられた5リットルのフラスコに、1623.99重量部のアジピン酸、1342.55重量部のネオペンチルグリコール(OH/COOHの当量比:1.16)、および、1.93重量部のジブチル錫オキサイドを仕込み、窒素を導入しながら、マントルヒーターで昇温した。
【0066】
150℃に達したところで水の留出が始まり、水を留出させながら230℃まで昇温した後、230℃で脱水縮合を継続した。反応生成物の水酸基価、酸価が所定の値に達したところで反応生成物をフラスコより抜き出して冷却し、ポリエステルポリオール(A)を得た。得られたポリエステルポリオール(A)は、水酸基価53.5mgKOH/g、酸価0.6mgKOH/gであった。
【0067】
実施例1
(末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂(A)の製造)
還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計および攪拌装置が取り付けられた2リットルの反応フラスコに、842.3重量部のポリエステルポリカルボン酸(A)、157.7重量部の1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI、商品名:タケネート600、三井化学ポリウレタン社製)(NCO/COOHの当量比:2.02)、0.240重量部のステアリン酸マグネシウム(ポリエステルポリカルボン酸のカルボキシル基100モル部に対して0.050モル部)、および、0.500重量部のフローレンAC−1190(共栄社化学製、消泡剤)を仕込んだ。
【0068】
その後、窒素を導入しながら、マントルヒーターで70℃まで昇温した後、その反応を反応温度70℃で8時間継続して、末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂(A)を得た。
得られた末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂(A)において、イソシアネート含有率は3.7重量%(理論値3.7重量%)であった。
【0069】
また、得られた末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂(A)の1H−NMRを測定した。NMRチャートから、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン誘導体の脂環部分の10Hのうちのケミカルシフト0.6ppmに現れる0.7381H部分の積分値を0.7381としたときの、ケミカルシフト7.8ppmに現れるアミドのNHの積分値からアミド化率を算出したところ87%であった。
【0070】
(アルコキシシラン変性ポリアミド樹脂(A)の製造)
還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計および攪拌装置が取り付けられた1リットルの反応フラスコに、500.0重量部の末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂(A)を仕込み、窒素を導入しながら、マントルヒーターで90℃まで昇温した。
その後、滴下ロートを用いて、97.5重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE903、信越化学工業社製)(NCO/NH2の当量比:1.00)を、4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃で1時間反応を継続して、アルコキシシラン変性ポリアミド樹脂(A)を得た。
【0071】
得られたアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂(A)において、イソシアネート基含有率は0.1重量%以下、粘度は28200mPa・s/100℃、数平均分子量は4000であった。
(ホットメルト接着剤(A)および樹脂硬化物(A)の製造)
プラスチック容器に、アルコキシシラン変性ポリアミド樹脂(A)50重量部、オクチル酸第一錫0.5重量部、および、テトラエトキシシラン0.5重量部を仕込み、真空乾燥機にて100℃で30分間真空脱泡処理し、一液湿気硬化型ホットメルト接着剤(A)を調製した。
【0072】
離型剤としてミラックスRS−102(活剤ケミカル社製)を表面に適量塗布して100℃に加熱したSUS板上に、ホットメルト接着剤(A)を、湿気硬化後の硬化物が0.8〜1.5mmの厚みになるようにキャストした後、空気下、23℃、50%RHの条件で48時間放置後、80℃、30%RHの条件で48時間かけて湿気硬化させ、樹脂硬化物(A)を得た。
【0073】
得られた樹脂硬化物(A)の耐熱性および引張強さを上記方法で測定したところ、軟化開始温度が220℃、引張強さが4.16MPaであった(表1参照)。
比較例1
(末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂(B)の製造)
還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計および攪拌装置が取り付けられた2リットルの反応フラスコに、842.4重量部のポリエステルポリカルボン酸(A)、0.240重量部のステアリン酸マグネシウム(ポリエステルポリカルボン酸のカルボキシル基100モル部に対して0.050モル部)、および、0.500重量部のフローレンAC−1190(共栄社化学製、消泡剤)を仕込んだ。
【0074】
その後、窒素を導入しながら、マントルヒーターで50℃まで昇温した後、157.6重量部の1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI、商品名:タケネート600、三井化学ポリウレタン社製)(NCO/COOHの当量比:2.01)を添加した。その後、70℃まで昇温し、その反応を反応温度70℃で7時間継続して、末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂(B)を得た。
【0075】
得られた末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂(B)において、イソシアネート基含有率は3.7重量%(理論値3.7重量%)であった。
また、得られた末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂(B)の1H−NMRを測定した。NMRチャートから、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン誘導体の脂環部分の10Hのうちのケミカルシフト0.6ppmに現れる0.7381H部分の積分値を0.7381としたときの、ケミカルシフト7.8ppmに現れるアミドのNHの積分値からアミド化率を算出したところ87%であった。
【0076】
(アルコキシシラン変性ポリアミド樹脂(B)の製造)
還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計および攪拌装置が取り付けられた500ミリリットルの反応フラスコに、259.1重量部の末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂(B)を仕込み、窒素を導入しながら、マントルヒーターで70℃まで昇温した。
その後、滴下ロートを用いて、40.9重量部のγ−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM903、信越化学工業社製)(NCO/NH2の当量比:1.00)を、1時間かけて滴下することにより、アルコキシシラン変性ポリアミド樹脂(B)の製造を試みた。
【0077】
しかし、滴下終了後、その反応を反応温度70℃で30分間継続した時点で、ゲル化が起こり、攪拌できなくなった。
比較例2
(末端イソシアネート基含有ポリウレタン樹脂(A)の製造)
還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計および攪拌装置が取り付けられた500ミリリットルの反応フラスコに、208.9重量部のポリエステルポリオール(A)と、41.1重量部の1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI、商品名:タケネート600、三井化学ポリウレタン製、イソシアネート含有率43.3重量%)(NCO/OHの当量比:2.13)とを仕込み、窒素を導入しながら、マントルヒーターで75℃まで昇温し、その反応を反応温度75℃で5時間継続して、末端イソシアネート基含有ポリウレタン樹脂(A)を得た。
【0078】
得られた末端イソシアネート基含有ポリウレタン樹脂(A)において、イソシアネート基含有率は3.6重量%であった。
(アルコキシシラン変性ポリウレタン樹脂(A)の製造)
還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計および攪拌装置が取り付けられた500ミリリットルの反応フラスコに、210.1重量部の末端イソシアネート基含有ポリウレタン樹脂(A)を仕込み、窒素を導入しながら、マントルヒーターで90℃まで昇温した。
【0079】
その後、滴下ロートを用いて、39.9重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE903、信越化学工業社製)(NCO/NH2の当量比:1.00)を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、その反応を1時間継続し、アルコキシシラン変性ポリウレタン樹脂(A)を得た。
得られたアルコキシシラン変性ポリウレタン樹脂(A)において、イソシアネート基含有率は0.1重量%以下であった。
【0080】
(ホットメルト接着剤(B)および樹脂硬化物(B)の製造)
プラスチック容器に、アルコキシシラン変性ポリウレタン樹脂(A)50重量部、オクチル酸第一錫0.5重量部、および、テトラエトキシシラン0.5重量部を仕込み、真空乾燥機にて100℃で30分間真空脱泡処理し、一液湿気硬化型ホットメルト接着剤(B)を調製した。
【0081】
離型剤としてミラックスRS−102(活剤ケミカル社製)を表面に適量塗布して100℃に加熱したSUS板上に、ホットメルト接着剤(B)を、湿気硬化後の硬化物が0.8〜1.5mmの厚みになるようにキャストした後、空気下、23℃、50%RHの条件で48時間放置後、80℃、30%RHの条件で48時間かけて湿気硬化させ、樹脂硬化物(B)を得た。
【0082】
得られた樹脂硬化物(B)の耐熱性および引張強さを上記方法で測定したところ、軟化開始温度が180℃、引張強さが2.81MPaであった(表1参照)。
比較例3
(アルコキシシラン変性ポリウレタン樹脂(B)の製造)
還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計および攪拌装置が取り付けられた500ミリリットルの反応フラスコに、205.1重量部の末端イソシアネート基含有ポリウレタン樹脂(A)を仕込み、窒素を導入しながら、マントルヒーターで70℃まで昇温した。
【0083】
その後、滴下ロートを用いて、44.9重量部のN−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM573、信越化学工業社製)(NCO/NHの当量比:1.00)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、その反応を2時間継続し、アルコキシシラン変性ポリウレタン樹脂(B)を得た。
得られたアルコキシシラン変性ポリウレタン樹脂(B)において、イソシアネート基含有率は0.1重量%以下であった。
【0084】
(ホットメルト接着剤(C)および樹脂硬化物(C)の製造)
プラスチック容器に、アルコキシシラン変性ポリウレタン樹脂(B)50重量部、オクチル酸第一錫0.5重量部、および、テトラエトキシシラン0.5重量部を仕込み、真空乾燥機にて100℃で30分間真空脱泡処理し、一液湿気硬化型ホットメルト接着剤(C)を調製した。
【0085】
離型剤としてミラックスRS−102(活剤ケミカル社製)を表面に適量塗布して100℃に加熱したSUS板上に、ホットメルト接着剤(C)を、湿気硬化後の硬化物が0.8〜1.5mmの厚みになるようにキャストした後、空気下、23℃、50%RHの条件で48時間放置後、80℃、30%RHの条件で48時間かけて湿気硬化させ、樹脂硬化物(C)を得た。
【0086】
得られた樹脂硬化物(C)の耐熱性および引張強さを上記方法で測定したところ、軟化開始温度が190℃、引張強さが3.41MPaであった(表1参照)。
【0087】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明のアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂は、一液湿気硬化型ホットメルト接着剤の接着成分として有用に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多塩基酸類と多価アルコールとの反応により得られるポリエステルポリカルボン酸とポリイソシアネート化合物とを、カルボキシル基に対してイソシアネート基が過剰となる割合で、反応させることにより得られる末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂と、
下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物と
を反応させることにより、得られることを特徴とする、アルコキシシラン変性ポリアミド樹脂。
【化1】

(式中、R1は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R2、R3およびR4は、互いに同一または相異なって、炭素数2〜20のアルコキシ基または炭素数1〜20のアルキル基を示す。但し、R2、R3およびR4の少なくとも1つはアルコキシ基を示す。)
【請求項2】
多塩基酸類と多価アルコールとの反応により得られるポリエステルポリカルボン酸とポリイソシアネート化合物とを、カルボキシル基に対してイソシアネート基が過剰となる割合で、反応させることにより得られる末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂と、
下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物と
を反応させることにより、得られるアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂
を含有することを特徴とする、ホットメルト接着剤。
【化2】

(式中、R1は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R2、R3およびR4は、互いに同一または相異なって、炭素数2〜20のアルコキシ基または炭素数1〜20のアルキル基を示す。但し、R2、R3およびR4の少なくとも1つはアルコキシ基を示す。)
【請求項3】
一液湿気硬化型接着剤であることを特徴とする、請求項2に記載のホットメルト接着剤。
【請求項4】
多塩基酸類と多価アルコールとの反応により得られるポリエステルポリカルボン酸とポリイソシアネート化合物とを、カルボキシル基に対してイソシアネート基が過剰となる割合で、反応させることにより得られる末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂と、
下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物と
を反応させることにより、得られるアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂を
硬化して得られることを特徴とする、樹脂硬化物。
【化3】

(式中、R1は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R2、R3およびR4は、互いに同一または相異なって、炭素数2〜20のアルコキシ基または炭素数1〜20のアルキル基を示す。但し、R2、R3およびR4の少なくとも1つはアルコキシ基を示す。)
【請求項5】
多塩基酸類と多価アルコールとの反応により得られるポリエステルポリカルボン酸とポリイソシアネート化合物とを、カルボキシル基に対してイソシアネート基が過剰となる割合で、前記ポリエステルポリカルボン酸の全カルボキシル基100モル部に対して0.001〜10モル部の、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩から選択される触媒の存在下において、反応させることにより、末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂を得て、
前記末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂と、
下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物と
を反応させることを特徴とする、アルコキシシラン変性ポリアミド樹脂の製造方法。
【化4】

(式中、R1は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R2、R3およびR4は、互いに同一または相異なって、炭素数2〜20のアルコキシ基または炭素数1〜20のアルキル基を示す。但し、R2、R3およびR4の少なくとも1つはアルコキシ基を示す。)
【請求項6】
前記ポリエステルポリカルボン酸と前記ポリイソシアネート化合物とを、120℃以下で反応させることを特徴とする、請求項5に記載のアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記末端イソシアネート基含有ポリアミド樹脂と前記アルコキシシラン化合物とを、150℃以下で反応させることを特徴とする、請求項5または6に記載のアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂の製造方法。
【請求項8】
前記触媒が、ステアリン酸マグネシウムであることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載のアルコキシシラン変性ポリアミド樹脂の製造方法。

【公開番号】特開2009−235194(P2009−235194A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81542(P2008−81542)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(501140544)三井化学ポリウレタン株式会社 (115)
【Fターム(参考)】