説明

アルコキシシラン縮合物及びそれを用いた活性エネルギー線硬化型組成物

【課題】高い防汚性を付与することができるアルコキシシラン縮合物及び該アルコキシシラン縮合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物を提供する。また、該活性エネルギー線硬化型組成物の硬化物及び硬化した塗膜を有する物品を提供する。
【解決手段】ポリアルキルシロキサン鎖又はポリアリールシロキサン鎖を有するアルコキシシラン(A)と、活性エネルギー線重合性基を有するアルコキシシラン(B)とを縮合させたことを特徴とするアルコキシシラン縮合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物を用いる。さらには、アルコキシシラン縮合物に加えて、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖及び活性エネルギー線重合性基を有する含フッ素重合性樹脂(C)を含有する活性エネルギー線硬化型組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗膜に防汚性を付与することのできるアルコキシシラン縮合物及び該アルコキシシラン縮合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報表示装置として、フラットパネルディスプレイ(FPD)である液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等が、家庭用テレビ、携帯電話、自動車用カーナビゲーション、各種装置の操作パネル等に応用されている。しかしながら、これらのFPDは、その表示表面に指紋等の汚れが付着して、表示が見づらくなるという問題があった。特に、肌に触れる頻度が高い携帯電話の表示画面や、自動車用カーナビゲーション、各種装置の操作パネル等の表示装置そのものを操作パネルとしたタッチパネルでは、指紋等の汚れの付着防止、すなわち防汚性が必要となっている。
【0003】
ここで、シリカ粒子を含有するコーティング剤は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイの最表面のフィルム等に塗布することで防眩性(AG;アンチグレア)を付与する目的で利用されている(例えば、特許文献1参照。)。また、シリカ粒子を含有するコーティング剤は、塗布面に凹凸を生じるため、指紋等の汚れの付着防止や汚れを目立たなくする効果があることが知られている。
【0004】
しかし、シリカ粒子は無機化合物であるため、バインダー樹脂や有機溶剤との親和性に乏しい問題があった。この問題を解決する方法として、シリカ粒子表面をポリジメチルシロキサン等のシリコーン化合物で修飾することで、バインダー樹脂や有機溶剤に対する分散性を向上することが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、シリコーン化合物のみで修飾したシリカ粒子では、十分な防汚性は得られなかった。
【0005】
一方、バインダー樹脂を活性エネルギー線硬化型樹脂としたコーティング材に、シリカ粒子表面を重合性不飽和基で修飾した反応性シリカ粒子を用いて、当該コーティング材からなる塗膜表面の耐擦傷性を向上することが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、この反応性シリカ粒子を用いたコーティング材は、耐擦傷性は向上するものの防汚性については十分な効果は得られない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−181306号公報
【特許文献2】特開平3−258866号公報
【特許文献3】特開平9−100111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、高い防汚性を付与することができるアルコキシシラン縮合物及び該アルコキシシラン縮合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物を提供することである。また、該活性エネルギー線硬化型組成物の硬化物及び硬化した塗膜を有する物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究した結果、ポリアルキルシロキサン鎖等を有するアルコキシシランと、(メタ)アクリロイル基等の活性エネルギー線重合性基を有するアルコキシシランとを縮合させることにより得られるアルコキシシラン縮合物を用いることで、防汚性に優れた活性エネルギー線硬化型組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、ポリアルキルシロキサン鎖又はポリアリールシロキサン鎖を有するアルコキシシラン(A)と、活性エネルギー線重合性基を有するアルコキシシラン(B)とを縮合させたアルコキシシラン縮合物及び該アルコキシシラン縮合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物に関する。また、本発明は、前記活性エネルギー線硬化型組成物の硬化物及び硬化した塗膜を有する物品に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアルコキシシラン縮合物は、各種コーティング材の添加剤として用いることができ、当該コーティング材を塗布した物品に優れた防汚性を付与することができる。したがって、本発明のアルコキシシラン縮合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物は、防汚性が要求される保護フィルムや、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等のFPDに用いられる反射防止フィルム、防眩フィルムなどに有用である。特に、本発明の表面修飾シリカ粒子を含有する活性エネルギー線硬化型組成物をタッチパネルの最表面に塗布することで、指紋等の汚れから生じる画面の見づらさを解消することができ、非常に有用である。
【0011】
より具体的には、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムに代表される液晶ディスプレイの偏光板用保護フィルムのコーティング材、各種家電の筐体、携帯電話の筐体、携帯電話の液晶ディスプレイなどのハードコート材などに幅広く利用することが可能である。また、指紋等の汚れの付着が目立つ金属メッキを施した物品やガラス窓等にも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1で得られたアルコキシシラン縮合物(1)のGPCのチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のアルコキシシラン縮合物は、ポリアルキルシロキサン鎖又はポリアリールシロキサン鎖を有するアルコキシシラン(A)と、活性エネルギー線重合性基を有するアルコキシシラン(B)とを縮合させたものである。
【0014】
本発明のアルコキシシラン縮合物の原料となる前記アルコキシシラン(A)としては、例えば、反応性基を有するアルコキシシラン(一般にシランカップリング剤と称されているもの;以下、「化合物(a1)」略記する。)と、前記反応性基と反応して化学結合を形成し得る官能基とポリアルキルシロキサン鎖又はポリアリールシロキサン鎖とを有する化合物(a2)とを反応させる方法により得られるものが挙げられる。
【0015】
前記化合物(a1)が有する反応性基としては、例えば、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基等が挙げられる。また、化合物(a1)の具体例としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基を有する化合物;N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有する化合物;3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有する化合物;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基を有する化合物などが挙げられる。
【0016】
前記化合物(a2)が有する官能基は、化合物(a1)が有する反応性基によって選択する。化合物(a1)が有する反応性基がエポキシ基の場合は、前記化合物(a2)が有する官能基は、カルボキシル基が好ましい。また、化合物(a1)が有する反応性基がアミノ基の場合は、前記化合物(a2)が有する官能基は、エポキシ基が好ましい。さらに、化合物(a1)が有する反応性基がメルカプト基の場合は、前記化合物(a2)が有する官能基は、イソシアネート基が好ましく、化合物(a1)が有する反応性基がイソシアネート基の場合は、前記化合物(a2)が有する官能基は、水酸基又はメルカプト基が好ましい。また、前記化合物(a2)は、ポリアルキルシロキサン鎖又はポリアリールシロキサン鎖の片末端に官能基を有するものが好ましい。
【0017】
上記の組み合わせの中でも、化合物(a1)が有する反応性基がイソシアネート基であり、前記化合物(a2)が有する官能基が水酸基である場合が、反応が容易であることから好ましい。
【0018】
前記化合物(a2)が有するポリアルキルシロキサン鎖又はポリアリールシロキサン鎖を形成する化合物としては、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等が挙げられる。また、これらのポリシロキサンのケイ素原子に結合している有機基は、すべて同一でも異なっていても構わない。
【0019】
前記ポリアルキルシロキサン鎖を形成する化合物がポリジメチルシロキサンの場合、そのポリジメチルシロキサンの分子量は、1,000〜10,000が好ましく、2,500〜6,000がより好ましい。ポリジメチルシロキサンの分子量がこの範囲であれば、防汚性がより向上する。
【0020】
また、本発明のアルコキシシラン縮合物の原料となる前記アルコキシシラン(B)が有する活性エネルギー線重合性基としては、ビニル基、(メタ)アクリル基、ビニルエーテル基、エポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、メタクリルとアクリルの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリロイル」とは、メタクリロイルとアクリロイルの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方をいう。
【0021】
前記アルコキシシラン(B)の具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン等のビニル基を有する化合物;3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロイル基を有する化合物;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリロイル基を有する化合物;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基を有する化合物;3−[(γ−トリエトキシシリル)−プロピロキシメチル]−3−エチルオキセタン等のオキセタニル基を有する化合物などが挙げられる。
【0022】
また、前記アルコキシシラン(B)として、反応性基を有するアルコキシシラン(以下、「化合物(b1)」略記する。)と、前記反応性基と反応して化学結合を形成し得る官能基と活性エネルギー線重合性基とを有する化合物(b2)とを反応させて得られるものを用いても構わない。
【0023】
前記化合物(b1)としては、前記化合物(a1)と同様の化合物を用いることができる。また、前記化合物(b2)が有する官能基は、化合物(b1)が有する反応性基によって選択する。化合物(b1)が有する反応性基がエポキシ基の場合は、前記化合物(b2)が有する官能基は、カルボキシル基が好ましい。また、化合物(b1)が有する反応性基がアミノ基の場合は、前記化合物(b2)が有する官能基は、エポキシ基が好ましい。さらに、化合物(b1)が有する反応性基がメルカプト基の場合は、前記化合物(b2)が有する官能基は、イソシアネート基が好ましく、化合物(b1)が有する反応性基がイソシアネート基の場合は、前記化合物(b2)が有する官能基は、水酸基又はメルカプト基が好ましい。
【0024】
上記の組み合わせの中でも、化合物(b1)が有する反応性基がイソシアネート基であり、前記化合物(b2)が有する官能基が水酸基である場合が、反応が容易であることから好ましい。
【0025】
前記化合物(b2)の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロルオロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、末端水酸基含有ラクトン変性(メタ)アクリレート等の水酸基を有する化合物;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エチルイソシアネート等のイソシアネート基を有する化合物;グリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する化合物;(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有する化合物などが挙げられる。
【0026】
前記化合物(a1)又は化合物(b1)が有する反応性基がイソシアネート基であり、前記化合物(a2)又は化合物(b2)が有する官能基が水酸基である場合、前記化合物(a1)又は化合物(b1)の使用量は、前記化合物(a2)又は化合物(b2)1モルを基準として、0.5〜1.1とすることが好ましく、未反応の化合物(a1)又は化合物(b1)を残留させない点で0.9〜1.0モルとすることが特に好ましい。
【0027】
また、上記の場合、化合物(a1)と化合物(a2)との反応、又は化合物(b1)と化合物(b2)との反応は、反応は無溶媒でも、溶媒を使用しても可能であるが溶媒を使用した方が反応液の流動性が良好となる点で好ましい。溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒;ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。これらの中でも、エステル系溶剤;ケトン系溶剤;エーテル系溶媒が好ましい。
【0028】
また、化合物(a1)と化合物(a2)との反応、又は化合物(b1)と化合物(b2)との反応を促進させるため、ウレタン化触媒の存在下で反応させることが好ましい。ウレタン化触媒としては、例えば、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等のアミン類;トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等のホスフィン類;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫等の有機錫化合物;オクチル酸亜鉛等の有機金属化合物などが挙げられる。また、有機錫化合物とアミン類を併用すると、ウレタン化反応が円滑に進行するため好ましい。
【0029】
前記アルコキシシラン(A)と前記アルコキシシラン(B)とを縮合させることにより、本発明のアルコキシシラン縮合物が得られるが、この縮合反応の条件としては、水の存在下で混合し加熱する方法が挙げられる。この際、前記アルコキシシラン(B)中の活性エネルギー線硬化性基が重合しない条件で行うことが好ましく、例えば、温度条件を30〜120℃の範囲に調節して反応させることが好ましい。この反応は触媒や重合禁止剤の存在下、必要により有機溶剤の存在下に行うことが好ましい。
【0030】
水の存在量は、前記アルコキシシラン(A)と前記アルコキシシラン(B)に含有するケイ素原子に結合したアルコキシ基の合計1モルに対して、水分子として0.4〜10モルとなる範囲で使用することが好ましく、0.45〜1モルの範囲で使用することがより好ましく、0.5〜0.6モルの範囲で使用することが特に好ましい。
【0031】
触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、燐酸モノイソプロピル、酢酸等の有機酸;水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等の無機塩基;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン酸エステル;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、モノエタノールアミン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール等の塩基性窒素原子を含有する化合物;テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩(これらの4級アンモニウム塩の対アニオンとして、クロライド、ブロマイド、カルボキシレートもしくはハイドロオキサイド等が挙げられる。);ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、オクチル酸錫、ステアリン酸錫等の錫カルボン酸塩などが挙げられる。これらの触媒は、単独で使用することも2種以上併用することもできる。
【0032】
前記触媒は、前記アルコキシシラン(A)と前記アルコキシシラン(B)の合計量に対して、0.0001〜10質量%となる範囲で使用することが好ましく、0.001〜5質量%の範囲で使用することがより好ましく、0.01〜3質量%の範囲で使用することが特に好ましい。
【0033】
前記重合禁止剤としては、特に制限は無く、例えば、p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。
【0034】
また、これらの反応において適宜有機溶媒を使用することができ、使用し得る有機溶媒としては、ケトン類、エステル類、アミド類、スルホキシド類、エーテル類、炭化水素類が挙げられ、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは、沸点、相溶性を考慮して適宜選択すればよい。
【0035】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、上記のアルコキシシラン縮合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物である。アルコキシシラン縮合物の配合量は、活性エネルギー線硬化型組成物中の不揮発分100質量部(重合開始剤及び後述する含フッ素重合性樹脂(C)を除く。)に対して、0.5〜30質量部であることが好ましい。特に、被添加される樹脂組成物本来の塗膜硬度などの物性を損なわず、かつ効率的に塗膜表面を改質できることから、2〜20質量部であることが好ましく、3〜10質量部がより好ましい。
【0036】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物には、上記のアルコキシシラン縮合物の他に、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖及び活性エネルギー線重合性基を有する含フッ素重合性樹脂(C)を含有させると、さらに防汚性が向上するので好ましい。
【0037】
本発明で用いる含フッ素重合性樹脂(C)は、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖及び活性エネルギー線硬化性基を有するものである。本発明で用いる含フッ素重合性樹脂(C)は、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を有することで、その低い表面自由エネルギーにより含フッ素重合性樹脂(C)が塗膜表面に偏析させることができるとともに、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)構造の撥水撥油性により高い防汚性を有し、さらに高い滑り性が発現して硬化塗膜の耐擦傷性を向上することができる。また、前記含フッ素重合性樹脂(C)は、活性エネルギー線硬化性基を有するため、前記含フッ素重合性樹脂(C)同士、又は後述する重合性モノマー(D)、重合性樹脂(E)等と重合して硬化塗膜を形成するため、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を硬化塗膜に共有結合によって固定化でき、硬化塗膜表面の防汚性を安定化できるともに、さらに硬化塗膜表面の架橋密度が高くなることから、耐擦傷性も向上することができる。
【0038】
前記含フッ素重合性樹脂(C)としては、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖とその両末端に重合性不飽和基を有する化合物(c1)と、反応性官能基(R1)を有する重合性不飽和単量体(c2)とを必須の単量体成分として共重合させて得られる重合体(P1)に、前記官能基(R1)に対して反応性を有する官能基(R2)と活性エネルギー線硬化性基とを有する化合物(c3)を反応させて得られる含フッ素重合性樹脂(C1)が挙げられる。また、反応性官能基(R1)を有する重合性不飽和単量体(c2)の重合体(P2)に、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖とその両末端に前記反応性官能基(R1)に対して反応性を有する官能基(R2)を有する化合物(c1’)と、前記官能基(R1)に対して反応性を有する官能基(R2)と活性エネルギー線硬化性基とを有する化合物(c3)とを反応させて得られる含フッ素重合性樹脂(C2)も挙げられる。
【0039】
ここで、前記重合性不飽和単量体(c2)としては、アクリル系単量体、芳香族ビニル系単量体、ビニルエステル系単量体、マレイミド系単量体等が挙げられる。また、前記重合性不飽和単量体(c2)が有する反応性官能基(R1)としては、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。
【0040】
前記重合性不飽和単量体(c2)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、末端水酸基含有ラクトン変性(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等のイソシアネート基含有不飽和単量体;グリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基含有不飽和単量体;(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体が挙げられる。
【0041】
また、前記重合性不飽和単量体(c2)は、他の重合性不飽和単量体と共重合してもよい。この他の重合性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の(メタ)アクリル酸エステル類;ポリジメチルシロキサン鎖等のシリコーン鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等の芳香族ビニル類;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類などが挙げられる。
【0042】
なお、前記シリコーン鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル類が有するシリコーン鎖の分子量は、2,000〜10,000の範囲が好ましい。また、このシリコーン鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル類を他の重合性不飽和単量体として用いた場合、塗膜表面の滑り性が向上して耐擦傷性が向上する効果がある。ただし、汚れ拭き取り性が若干低下するため、汚れ拭き取り性より耐擦傷性を重視する場合に適宜使用することが好ましい。
【0043】
次に、前記化合物(c1)又は化合物(c1’)が有するポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖は、具体的には、炭素原子数1〜3の2価フッ化炭素基と酸素原子が交互に連結した構造を有するものが挙げられる。炭素原子数1〜3の2価フッ化炭素基は、一種類であっても良いし複数種の混合であってもよく、具体的には、下記構造式(c4)で表されるものが挙げられる。
【0044】
【化1】

(上記構造式(c4)中、Xは下記構造式(c4−1)〜(c4−5)であり、構造式(c4)中の全てのXが同一構造のものであってもよいし、また、複数の構造がランダムに又はブロック状に存在していてもよい。また、nは繰り返し単位を表す1以上の数である。)
【0045】
【化2】

【0046】
これらの中でも特に塗膜表面の汚れの拭き取り性が良好となって防汚性に優れた塗膜が得られる点から前記構造式(c4−1)で表されるパーフルオロメチレン構造と、前記構造式(c4−2)で表されるパーフルオロエチレン構造とが共存するものがとりわけ好ましい。ここで、前記構造式(c4−1)で表されるパーフルオロメチレン構造と、前記構造式(c4−2)で表されるパーフルオロエチレン構造との存在比率は、モル比率[構造(c4−1)/構造(c4−2)]が1/10〜10/1となる割合であることが防汚性の点から好ましく、また、前記構造式(c1)中のnの値は、3〜100の範囲が好ましく、6〜70の範囲がより好ましく、12〜50の範囲がより好ましい。
【0047】
また、前記ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖は、指紋拭き取り性等の防汚性と滑り性が優れる点と反射防止塗料組成物中の他の成分との相溶性を向上させやすい点からポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖1本に含まれるフッ素原子の合計が18〜200個の範囲であることが好ましく、25〜150個の範囲であることがより好ましい。
【0048】
本発明で用いる含フッ素重合性樹脂(C)が有する活性エネルギー線硬化性基は、活性エネルギー線の照射により硬化性を示すエチレン性二重結合であり、具体的には、下記構造式U−1〜U−3で示されるものが挙げられる。
【0049】
【化3】

【0050】
上記した活性エネルギー線硬化性基を本発明で用いる含フッ素重合性樹脂(C)に導入するには、前記重合体(P1)又は重合体(P2)を得た後、該重合体の側鎖に存在する反応性官能基(R1)に、該反応性官能基(R1)に対して反応性を有する官能基(R2)と活性エネルギー線硬化性基とを有する化合物(c3)を反応させる方法が挙げられる。
【0051】
したがって、含フッ素重合性樹脂(C)は、具体的には、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖とその両末端に重合性不飽和基を有する構造部位を有する化合物(c1)と、反応性官能基(R1)を有する重合性不飽和単量体(c2)とを必須の単量体成分として共重合させて得られる重合体(P1)に、前記官能基(R1)に対して反応性を有する官能基(R2)と活性エネルギー線硬化性基とを有する化合物(c3)を反応させて得られるもの(以下、これを「含フッ素重合性樹脂(C1)」略記する。)、又は、反応性官能基(R1)を有する重合性不飽和単量体(B)の重合体(P2)に、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖とその両末端に前記反応性官能基(R1)に対して反応性を有する官能基(R2)を有する化合物(c1’)と、前記官能基(R1)に対して反応性を有する官能基(R2)と活性エネルギー線硬化性基とを有する化合物(c3)とを反応させて得られるもの(以下、これを「含フッ素重合性樹脂(C2)」略記する。)であることがその工業的製造が容易であることから好ましい。
【0052】
ここで、含フッ素重合性樹脂(C1)を製造する際に用いる、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖とその両末端に重合性不飽和基を有する構造部位を有する化合物(c1)は、前記したポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端に、例えば、下記構造式U’−1〜U’−5で示される重合性不飽和基を有するものが挙げられる。
【0053】
【化4】

【0054】
これらの重合性不飽和基の中でも特に化合物(c1)自体の入手や製造の容易さ、あるいは、前記した重合性不飽和単量体との反応性に優れる点から、構造式U’−1で表されるアクリロイルオキシ基、又は、構造式U’−2で表されるメタクリロイルオキシ基が好ましい。また、耐薬品性が向上することから、構造式U’−2で表されるメタクリロイルオキシ基、構造式U’−5で表されるスチリルメトキシ基が好ましい。
【0055】
前記化合物(c1)の中で、前記したアクリロイルオキシ基等を有するものとしては、下記構造式(c1−1)〜(c1−13)で表されるものが挙げられる。なお、下記の各構造式中における「−PFPE−」は、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を示す。
【0056】
【化5】

【0057】
これらの中でも特に化合物(c1)自体の工業的製造が容易であり、また、重合体(P1)を製造する際の重合反応も容易である点から、前記構造式(c1−1)、(c1−2)、(c1−5)、(c1−6)で表されるものが好ましい。また、耐薬品性が向上することから、前記構造式(c1−2)、(c1−4)、(c1−12)、(c1−13)が好ましい。
【0058】
上記化合物(c1)を製造する方法としては、例えば、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端に水酸基を1つずつ有する化合物に対して、(メタ)アクリル酸クロライド又はクロロメチルスチレンを脱塩酸反応させて得る方法、(メタ)アクリル酸を脱水反応させて得る方法、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートをウレタン化反応させて得る方法、無水イタコン酸をエステル化反応させて得る方法、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端にカルボキシル基を1つずつ有する化合物に対して、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルをエステル化反応させて得る方法、グリシジルメタクリレートをエステル化反応させて得る方法、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端にイソシアネート基を1つずつ有する化合物に対して、2−ヒドロキシエチルアクリルアミドを反応させる方法が挙げられる。これらのなかでも、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端に水酸基を1つずつ有する化合物に対して、(メタ)アクリル酸クロライド又はクロロメチルスチレンを脱塩酸反応させて得る方法と、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートをウレタン化反応させて得る方法が、製造上、反応が容易である点で特に好ましい。
【0059】
ここで、重合体(P1)を製造する方法は、前記化合物(c1)、及び、反応性官能基(R1)を有する重合性不飽和単量体(c2)、更に必要によりその他の重合性不飽和単量体を、有機溶剤中、重合開始剤を使用して重合させる方法が挙げられる。ここで用いる有機溶媒としては、ケトン類、エステル類、アミド類、スルホキシド類、エーテル類、炭化水素類が好ましく、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは、沸点、相溶性、重合性を考慮して適宜選択される。重合開始剤としては、例えば過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が例示できる。さらに必要に応じてラウリルメルカプタン、2−メルカプトエタノ−ル、チオグリセロール、エチルチオグリコ−ル酸、オクチルチオグリコ−ル酸等の連鎖移動剤を使用することができる。
【0060】
上記の方法によって得られる重合体(P1)は、GPC測定による数平均分子量が800〜3,000の範囲にあるものが好ましく、1,000〜2,000の範囲にあるものがより好ましい。また、重合体(P1)は、重量平均分子量が1,500〜50,000の範囲にあるものが好ましく、2,000〜25,000の範囲にあるものがより好ましい。重合体(P1)の平均分子量がこれらの範囲にあれば、重合中に架橋不溶化を生じることを防止できる。また、最終的に得られる含フッ素重合性樹脂(C1)の1分子中の重合性不飽和基の個数を多くすることができる。
【0061】
このようにして得られる重合体(P1)に、前記官能基(R1)に対して反応性を有する官能基(R2)と活性エネルギー線硬化性基とを含有する化合物(c3)を反応させることにより、目的とする含フッ素重合性樹脂(C1)が得られる。
【0062】
ここで、前記化合物(c3)が有する官能基(R2)は、例えば、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。例えば反応性官能基(R1)が水酸基である場合には、官能基(R2)としてイソシアネート基が挙げられ、反応性官能基(R1)がイソシアネート基である場合には、官能基(R2)として水酸基が挙げられ、反応性官能基(R1)がエポキシ基である場合には、官能基(R2)としてカルボキシル基が挙げられ、反応性官能基(R1)がカルボキシル基である場合には、官能基(R2)としてエポキシ基が挙げられる。
【0063】
このような化合物(c3)としては、前記重合性不飽和単量体(c2)として例示したものと同様のものを用いることができる。また、その他2つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するものとして、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートも用いることができる。
【0064】
これらの中でも特に紫外線等の活性エネルギー線照射での重合硬化性が好ましい点から、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、アクリル酸が好ましい。
【0065】
前記重合体(P1)に、前記官能基(R1)に対して反応性を有する官能基(R2)と活性エネルギー線硬化性基とを含有する化合物(c3)を反応させる方法は、化合物(c3)中の活性エネルギー線硬化性基が重合しない条件で行えばよく、例えば、温度条件を30〜120℃の範囲に調節して反応させることが好ましい。この反応は触媒や重合禁止剤の存在下、必要により有機溶剤の存在下に行うことが好ましい。
【0066】
例えば、前記官能基(R1)が水酸基であって前記官能基(R2)がイソシアネート基の場合、あるいは、前記官能基(R1)がイソシアネート基であって前記官能基(R2)が水酸基の場合、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール、ヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等を使用し、ウレタン化反応触媒としてジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛等を使用し、反応温度40〜120℃、特に60〜90℃で反応させる方法が好ましい。また、前記官能基(R1)がエポキシ基であって前記官能基(R2)がカルボキシル基の場合、あるいは、前記官能基(R1)がカルボキシル基であって前記官能基(R2)がエポキシ基の場合は、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール、ヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等を使用し、エステル化反応触媒としてトリエチルアミン等の第3級アミン類、塩化テトラメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム類、トリフェニルホスフィン等の第3級ホスフィン類、塩化テトラブチルホスホニウム等の第4級ホスホニウム類等を使用し、反応温度80〜130℃、特に100〜120℃で反応させることが好ましい。
【0067】
上記反応で用いられる有機溶媒はケトン類、エステル類、アミド類、スルホキシド類、エーテル類、炭化水素類が好ましく、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは、沸点、相溶性を考慮して適宜選択すればよい。
【0068】
次に、含フッ素重合性樹脂(C2)を製造するには、まず、反応性官能基(R1)を有する重合性不飽和単量体(c2)を重合して重合体(P2)を製造する。この際、前記したとおり、重合性不飽和単量体(c2)と共にその他の重合性不飽和単量体を併用して共重合させてもよい。重合方法は、重合体(P1)を製造する場合と同様に、反応性官能基(R1)を有する重合性不飽和単量体(c2)、必要によりその他の重合性不飽和単量体を、重合開始剤を使用して重合させる方法が挙げられる。この際、有機溶剤の存在下で行うことが好ましく、必要により、連鎖移動剤を用いてもよい。使用し得る有機溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤は、重合体(P1)を製造する場合と同じものを用いることができる。
【0069】
このようにして得られる重合体(P2)は、GPC測定による数平均分子量が800〜3,000の範囲にあるものが好ましく、1,000〜2,000の範囲にあるものが好ましい。また、重合体(P2)は、重量平均分子量が1,200〜6,000の範囲にあるものが好ましく、1,500〜5,000の範囲にあるものが好ましい。重合体(P2)の平均分子量がこれらの範囲にあれば、重合中に架橋不溶化を生じることを防止できる。
【0070】
次いで、得られた重合体(P2)に、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖とその両末端に前記反応性官能基(R1)に対して反応性を有する官能基(R2)を有する化合物(c1’)と、前記官能基(R1)に対して反応性を有する官能基(R2)と活性エネルギー線硬化性基とを含有する化合物(c3)とを反応させることにより、目的とする含フッ素重合性樹脂(C2)が得られる。
【0071】
この際、化合物(c1’)を先に重合体(P2)に反応させた後、化合物(c3)を反応させてもよいし、その逆の順であってもよい。さらに、化合物(c1’)と化合物(c3)とを同時に重合体(P2)と反応させてもよい。
【0072】
また、重合体(P2)中の反応性官能基(R1)の量、及び、該反応性官能基(R1)に対する化合物(c1’)及び化合物(c3)の反応割合を適性に調整することが本発明の効果を顕著なものとする点から望ましく、具体的には、重合体(P2)中の反応性官能基(R1)の量は、100〜200g/eq.の範囲であると官能基濃度が高くなり、より防汚性及び耐擦傷性が良好となる点から好ましく、また、反応性官能基(R1)1モルに対して、化合物(c1’)中の官能基(R2)が0.05〜0.20モルとなる割合であり、かつ、反応性官能基(R1)1モルに対して、化合物(c3)中の反応性を有する官能基(R2)が0.80〜0.95モルとなる割合で反応させることが好ましい。
【0073】
ここで、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖とその両末端に前記反応性官能基(R1)に対して反応性を有する官能基(R2)を有する化合物(c1’)における官能基(R2)は、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。例えば反応性官能基(R1)が水酸基である場合には、官能基(R2)としてイソシアネート基が挙げられ、反応性官能基(R1)がイソシアネート基である場合には、官能基(R2)として水酸基が挙げられ、反応性官能基(R1)がエポキシ基である場合には、官能基(R2)としてカルボキシル基が挙げられ、反応性官能基(R1)がカルボキシル基である場合には、官能基(R2)としてエポキシ基が挙げられる。
【0074】
このような化合物(c1’)としては、例えば、下記構造式c1’−1〜c1’−6で表される化合物、及び、これらの化合物にヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどの多官能型イソシアネート化合物や、ビスフェノール型エポキシ樹脂などの2官能型エポキシ樹脂等で変性した化合物が挙げられる。なお、下記の各構造式中における「−PFPE−」は、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を示す。これらのなかでも変性していない下記構造式c1’−1〜c1’−6で表される化合物が好ましく、特に官能基(R1)がイソシアネート基である場合には、下記構造式(c1’−1)で表される化合物(c1’)が官能基(R1)に対する反応性に優れる点から好ましい。
【0075】
【化6】

【0076】
また、ここで用いる化合物(d3)は、前記した含フッ素重合性樹脂(C1)の製造の際に用いた化合物(d3)と同一のものを用いることができる。
【0077】
重合体(P2)と化合物(d1’)及び化合物(d3)との反応は、前記した通り、重合体(P2)と化合物(d1’)とを反応させた後、化合物(d3)を反応させてもよいし、重合体(P2)と化合物(d3)とを反応させた後、化合物(d1’)を反応させてもよく、あるいは、化合物(d1’)と化合物(d3)とを同時に重合体(P2)と反応させてもよい。反応条件は、これらの何れの方法であっても、反応に関与する官能基の種類によって適宜選択できる。
【0078】
例えば、重合体(P2)中の官能基(R1)及び化合物(d1’)中の官能基(R2)の一方が水酸基であって、他方がイソシアネート基である場合、あるいは、重合体(P2)中の官能基(R1)及び化合物(d3)中の官能基(R2)の一方が水酸基であって、他方がイソシアネート基である場合、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール、ヒドロキノン、2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェノール等を使用し、ウレタン化反応触媒としてジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛等を使用し、反応温度40〜120℃、特に60〜90℃で反応させる方法が好ましい。
【0079】
また、重合体(P2)中の官能基(R1)及び化合物(d1’)中の官能基(R2)の一方がカルボキシル基であって、他方がエポキシ基である場合、あるいは、重合体(P2)中の官能基(R1)及び化合物(d3)中の官能基(R2)の一方がカルボキシル基であって、他方がエポキシ基である場合、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール、ヒドロキノン、2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェノール等を使用し、エステル化反応触媒としてトリエチルアミン等の第3級アミン類、塩化テトラメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム類、トリフェニルホスフィン等の第3級ホスフィン類、塩化テトラブチルホスホニウム等の第4級ホスホニウム類等を使用し、反応温度80〜130℃、特に100〜120℃で反応させることが好ましい。
【0080】
また、これらの反応において適宜有機溶媒を使用することができ、使用し得る有機溶媒としては、ケトン類、エステル類、アミド類、スルホキシド類、エーテル類、炭化水素類が挙げられ、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは、沸点、相溶性を考慮して適宜選択すればよい。
【0081】
また、前記した含フッ素重合性樹脂(C1)又は含フッ素重合性樹脂(C2)に代表される含フッ素重合性樹脂(C)は、数平均分子量(Mn)が1,000〜10,000の範囲であり、かつ、重量平均分子量(Mw)が2,000〜150,000の範囲であるものが好ましく、数平均分子量(Mn)が1,500〜5,000の範囲であり、かつ、重量平均分子量(Mw)が4,000〜100,000の範囲であるものがより好ましい。これらの平均分子量の範囲のものであれば、含フッ素重合性樹脂(C)の製造時におけるゲル化を起こすことなく、さらに高架橋で現像性に優れた塗膜が得られる点から好ましい。
【0082】
ここで、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)はゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する。)測定に基づきポリスチレン換算した値である。なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
【0083】
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)
検出器:ELSD(オルテック製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン(THF)
流速 1.0ml/分
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(5μl)。
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
【0084】
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
【0085】
また、前記含フッ素重合性樹脂(C)中のフッ素原子の含有率は、後述する重合性モノマー(D)、重合性樹脂(E)等の他の成分との相溶性がより良好となり、また高い防汚性及び耐擦傷性が得られることから、5〜40質量%であるものが好ましく、10〜35質量%であるものがより好ましく、18〜30質量%であるものがさらに好ましい。
【0086】
さらに、前記含フッ素重合性樹脂(C)中の活性エネルギー線硬化性基の含有量は、活性エネルギー線硬化性基当量が250〜500g/eq.であることが、硬化塗膜の防汚性に優れる点から好ましく、とりわけ300〜400g/eq.の範囲であることが特に好ましい。
【0087】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物中の前記含フッ素重合性樹脂(C)の配合量は、活性エネルギー線硬化型組成物中の不揮発分100質量部(前記アルコキシシラン縮合物及び重合開始剤を除く。)に対して、0.01〜10質量部であることが好ましい。特に、被添加される樹脂組成物本来の塗膜硬度などの物性を損なわず、かつ効率的に塗膜表面を改質できることから、0.05〜3質量部であることが好ましい。
【0088】
また、前記アルコキシシラン縮合物と前記含フッ素重合性樹脂(C)との配合比率(質量比)は、前者30〜95:後者70〜5が好ましく、前者50〜90:後者50〜10がより好ましく、前者70〜85:後者30〜15がさらに好ましい。前記表面修飾シリカ粒子と前記含フッ素重合性樹脂(C)との配合比率がこの範囲であれば、良好な防汚性を得ることができる。
【0089】
上記活性エネルギー線硬化型組成物の主成分としては、重合性モノマー(D)、重合性樹脂(E)が挙げられる。これらの重合性モノマー(D)、重合性樹脂(E)は、前記表面修飾シリカが有する活性エネルギー線重合性基の種類に合わせて選択するのが好ましい。例えば、前記表面修飾シリカが有する活性エネルギー線重合性基が(メタ)アクリル基等の重合性基である場合は、(メタ)アクリル基等の重合性基を有する重合性モノマー(D)、重合性樹脂(E)とし、前記表面修飾シリカが有する活性エネルギー線重合性基がビニルエーテル基、エポキシ基、オキセタニル基等のカチオン重合性基である場合は、ビニルエーテル基、エポキシ基、オキセタニル基等のカチオン重合性基を有する重合性モノマー(D)、重合性樹脂(E)とすることが好ましい。
【0090】
前記重合性モノマー(D)のうち、重合性基を有する単官能モノマーとしては、例えば、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、ビニルピリジン、アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ラウリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチレンジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0091】
また、重合性モノマー(D)のうち、カチオン重合性基を有する単官能モノマーとしては、例えば、エチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、3−エチル−3−ヒドロキシエチルオキセタン等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0092】
前記重合性モノマー(D)のうち、重合性基を有する多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリエチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレンオキシド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリエチレンオキシド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリエピクロロヒドリン変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、1,3,5−トリアクロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラエチレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジエチレンオキシド変性ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレンオキサイド変性ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサキス(メタクリロイルオキシエチル)シクロトリホスファゼン等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0093】
また、重合性モノマー(D)のうち、カチオン重合性基を有する多官能モノマーとしては、例えば、ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0094】
前記重合性樹脂(E)のうち、重合性基を有するものとしては、エポキシ基を複数有する化合物に(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシ(メタ)アクリレート、脂肪族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレートとを反応させたウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの重合性樹脂(E)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0095】
前記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応させたものが挙げられる。
【0096】
前記ウレタン(メタ)アクリレートの原料として用いる脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられる。
【0097】
また、前記ウレタン(メタ)アクリレートの原料として用いる芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0098】
一方、ウレタン(メタ)アクリレートの原料として用いる水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのモノ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の3価のアルコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、あるいは、これらのアルコール性水酸基の一部をε−カプロラクトンで変性した水酸基を有するモノ及びジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の1分子中に1つの水酸基と3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、あるいは、この化合物の水酸基をε−カプロラクトンで変性した多官能(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物;ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレン−ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート等のブロック構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物;ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のランダム構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0099】
上記した脂肪族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応は、ウレタン化触媒の存在下、常法により行うことができる。ウレタン化触媒としては、例えば、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等のアミン類;トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等のホスフィン類;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫等の有機錫化合物;オクチル酸亜鉛等の有機金属化合物などが挙げられる。
【0100】
これらのウレタン(メタ)アクリレート樹脂の中でも、特に脂肪族ポリイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応によって得られるものが、硬化塗膜の透明性に優れ、硬化性に優れる点から好ましい。
【0101】
一方、重合性モノマー(D)のうち、カチオン重合性基を有するものとしては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの重合性樹脂(E)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0102】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、活性エネルギー線を照射すると硬化する組成物をいう。この活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線をいう。この活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、活性エネルギー線硬化型組成物中に光重合開始剤(F)を添加する。また、必要であればさらに光増感剤を添加する。一方、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線を用いる場合には、光重合開始剤や光増感剤を用いなくても速やかに硬化するので、特にこれらを添加する必要はない。
【0103】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物中の含まれる各成分の活性エネルギー線重合性基が重合性基の場合の前記光重合開始剤(F)としては、分子内開裂型光重合開始剤及び水素引き抜き型光重合開始剤が挙げられる。分子内開裂型光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル等が挙げられる。
【0104】
一方、水素引き抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;ミヒラ−ケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が挙げられる。これらの光重合開始剤(F)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0105】
一方、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物中の含まれる各成分の活性エネルギー線重合性基がカチオン重合性基の場合の前記光重合開始剤(F)としては、例えば、トリアリルスルホニウム−ヘキサフルオロホスフェート塩、リン系芳香族スルホニウム−ヘキサフルオロホスフェート塩、リン系芳香族スルホニウム−ヘキサフルオロアンチモン塩、ジアリルヨードニウム塩等が挙げられる。これら光重合開始剤(F)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0106】
また、前記光増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン類、o−トリルチオ尿素等の尿素類、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルホネート等の硫黄化合物等が挙げられる。
【0107】
これらの光重合開始剤及び光増感剤の使用量は、活性エネルギー線硬化型組成物中の不揮発成分100質量部に対し、各々0.01〜20質量部が好ましく、より好ましくは0.3〜10質量部である。
【0108】
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、用途、特性等の目的に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、粘度や屈折率の調整、あるいは、塗膜の色調の調整やその他の塗料性状や塗膜物性の調整を目的に各種の配合材料として、例えば、各種有機溶剤、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油樹脂、フッ素樹脂等の各種樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリエチレン、カーボン、酸化チタン、アルミナ、銅、シリカ微粒子等の各種の有機又は無機粒子、重合開始剤、重合禁止剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、防錆剤、スリップ剤、ワックス、艶調整剤、離型剤、相溶化剤、導電調整剤、顔料、染料、分散剤、分散安定剤、シリコーン系、炭化水素系界面活性剤等を併用することができる。
【0109】
上記の配合成分中の有機溶剤は、基材への塗工適性を付与するため、粘度調整用の希釈溶剤として用いることが有用である。希釈溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0110】
ここで有機溶媒の使用量は、用途や目的とする膜厚や粘度によって異なるが、硬化成分の全質量に対して、質量基準で、0.5〜4倍量の範囲であることが好ましい。
【0111】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させる活性エネルギー線としては、上記の通り、紫外線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線であるが、具体的なエネルギー源又は硬化装置としては、例えば、殺菌灯、紫外線用蛍光灯、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧又は高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、自然光等を光源とする紫外線、又は走査型、カーテン型電子線加速器による電子線等が挙げられる。
【0112】
これらの中でも特に紫外線であることが好ましく、酸素等による硬化阻害を避けるため、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で、紫外線を照射することが好ましい。また、必要に応じて熱をエネルギー源として併用し、紫外線にて硬化した後、熱処理を行ってもよい。
【0113】
上記の本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を塗布する基材としては、例えば、プラスチック基材;ガラス等のセラミック基材;鉄、アルミニウム等の金属基材(金属メッキも含む。)等が挙げられ、特にプラスチック基材に有用である。プラスチック基材の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン−1等のポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ノルボルネン系樹脂、変性ノルボルネン系樹脂、環状オレフィン共重合体等が挙げられる。また、これらの樹脂からなる基材を2種以上組み合わせたものであってもよい。これらのプラスチック基材の形状は、特に限定はなく、通常の成形品であれば、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を用いることができるが、フィルム又はシートが好ましい。
【0114】
本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物の塗工方法は用途により異なるが、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、コンマコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、キスコーター、シャワーコーター、ホイーラーコーター、スピンコーター、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー、アプリケーター、バーコーター等を用いた塗布方法、あるいは各種金型を用いた成形方法等が挙げられる。
【0115】
本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物の硬化塗膜は、優れた防汚性(撥インク性、耐指紋性等)、耐擦傷性等を有するため、物品の表面に塗布・硬化することで、物品の表面に防汚性及び滑り性を付与することができる。
【0116】
本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物を用いて、防汚性(撥インク性、耐指紋性等)を付与できる物品としては、TACフィルム等の液晶ディスプレイ(LCD)の偏光板用フィルム;プラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ等の各種ディスプレイ画面;タッチパネル;携帯電話等の電子端末の筐体又画面;液晶ディスプレイ用カラーフィルター(以下、「CF」という。)用透明保護膜;液晶TFTアレイ用有機絶縁膜;電子回路形成用インクジェットインク;CD、DVD、ブルーレイディスク等の光学記録媒体;インサートモールド(IMD、IMF)用転写フィルム;コピー機、プリンター等のOA機器用ゴムローラー;コピー機、スキャナー等のOA機器の読み取り部のガラス面;カメラ、ビデオカメラ、メガネ等の光学レンズ;腕時計等の時計の風防、ガラス面;自動車、鉄道車輌等の各種車輌のウインドウ;太陽電池用カバーガラス又はフィルム;化粧板等の各種建材;住宅の窓ガラス;家具等の木工材料、人工・合成皮革、家電の筐体等の各種プラスチック成形品、FRP浴槽などが挙げられる。これらの物品表面に本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物を塗布し、紫外線等の活性エネルギー線を照射して硬化塗膜を形成することで、物品表面に防汚性を付与することができる。また、本発明のアルコキシシラン縮合物を各物品に適した各種塗料に添加し、塗布・乾燥することで、物品表面に防汚性を付与することも可能である。
【0117】
また、本発明のアルコキシシラン縮合物を添加し、塗膜に防汚性(撥インク性、耐指紋性等)を付与できる塗材としては、TACフィルム等のLCDの偏光板用フィルムのハードコート材、アンチグレア(AG:防眩)コート材又は反射防止(LR)コート材;プラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ等の各種ディスプレイ画面用ハードコート材;タッチパネル用ハードコート材;液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CCD、CMOS等の撮像素子などに用いられるCFに使用されるRGBの各画素を形成するためのカラーレジスト、印刷インク、インクジェットインク又は塗料;CFのブラックマトリックス用のブラックレジスト、印刷インク、インクジェットインク又は塗料;プラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ等の画素隔壁用樹脂組成物;携帯電話等の電子端末の筐体用塗料又はハードコート材;携帯電話等の電子端末の画面用ハードコート材;CF表面を保護する透明保護膜用塗料;液晶TFTアレイの有機絶縁膜用塗料;電子回路形成用インクジェットインク;CD、DVD、ブルーレイディスク等の光学記録媒体用ハードコート材;インサートモールド(IMD、IMF)用転写フィルム用ハードコート材;コピー機、プリンター等のOA機器用ゴムローラー用コート材;コピー機、スキャナー等のOA機器の読み取り部のガラス用コート材;カメラ、ビデオカメラ、メガネ等の光学レンズ用コート材;腕時計等の時計の風防、ガラス用コート材;自動車、鉄道車輌等の各種車輌のウインドウ用コート材;太陽電池用カバーガラス又はフィルムの反射防止膜用塗料;化粧板等の各種建材用印刷インキ又は塗料;住宅の窓ガラス用コート材;家具等の木工用塗料;人工・合成皮革用コート材;家電の筐体等の各種プラスチック成形品用塗料又はコート材;FRP浴槽用塗料又はコート材などが挙げられる。
【0118】
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物を用いて耐擦傷性(耐スクラッチ性)及び防汚性を付与できる物品としては、LCDのバックライト部材であるプリズムシート又は拡散シート等が挙げられる。また、プリズムシート又は拡散シート用コート材に本発明のアルコキシシラン縮合物を添加することで、該コート材の塗膜に耐擦傷性(耐スクラッチ性)及び防汚性を付与することができる。
【0119】
特に、LCD用偏光板の保護フィルム用コート材用途のうち、アンチグレアコート材として本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物を用いる場合、上記した各組成のうち、シリカ微粒子、アクリル樹脂微粒子、ポリスチレン樹脂微粒子等の無機又は有機微粒子を、本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物中の硬化成分の全質量の0.1〜0.5倍量となる割合で配合することで防眩性に優れたものとなるため好ましい。
【0120】
また、本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物を、LCD用偏光板の保護フィルム用アンチグレアコート材に用いる場合、コート材を硬化させる前に凹凸の表面形状の金型に接触させた後、金型と反対側から活性エネルギー線を照射して硬化し、コート層の表面をエンボス加工して防眩性を付与する転写法にも適用できる。
【実施例】
【0121】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。なお、合成した含フッ素重合性樹脂等の分子量は下記の条件で測定した。
【0122】
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)
検出器:ELSD(オルテック製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン(THF)
流速 1.0ml/分
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(5μl)。
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
【0123】
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
【0124】
(合成例1)ポリジメチルシロキサン鎖を有するアルコキシシランの合成
撹拌装置、冷却管、温度計を備えたガラスフラスコに、水酸基を有するポリジメチルシロキサン(チッソ株式会社製「サイラプレーンFM−0421」、分子量5,000)95.3質量部及び3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製「KBE−9007」)4.7質量部を仕込み、80℃に昇温した。その後、オクチル酸錫0.02質量部を加えた後、80℃にて8時間反応を行い、ポリジメチルシロキサン鎖を有するアルコキシシラン(A−1)を得た。なお、反応の終点は、反応生成物の赤外線吸収スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収スペクトルが0.1%以下となった時点とした。
【0125】
(合成例2)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、下記構造式(c1’−1−1)で表されるフッ素原子数25〜80個の両末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を20質量部、溶媒としてジイソプロピルエーテル20質量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.02質量部、中和剤としてトリエチルアミン3.1質量部を仕込み、空気気流下にて攪拌を開始し、フラスコ内を10℃に保ちながらアクリル酸クロリド2.7部を1時間かけて滴下した。滴下終了後、10℃で1時間攪拌し、昇温して30℃で1時間攪拌した後、50℃に昇温して10時間攪拌することにより反応を行い、ガスクロマトグラフィー測定にてアクリル酸クロリドの消失が確認された。次いで、溶媒としてジイソプロピルエーテル40質量部を追加した後、イオン交換水80質量部を混合して攪拌してから静置し水層を分離させて取り除く方法による洗浄を3回繰り返した。次いで、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.02質量部を添加し、脱水剤として硫酸マグネシウム8質量部を添加して1日間静置することで完全に脱水した後、脱水剤を濾別した。
【0126】
【化7】

(式中、Xはパーフルオロメチレン基及びパーフルオロエチレン基であり、1分子あたり、パーフルオロメチレン基が平均7個、パーフルオロエチレン基が平均8個存在するものであり、フッ素原子の数が平均46である。また、GPCによる数平均分子量は1,500である。)
【0127】
次いで、減圧下で溶媒を留去することによって、下記構造式(c1−1−1)で表される単量体(c1−1−1)21.5質量部を得た。
【0128】
【化8】

(式中、Xはパーフルオロメチレン基及びパーフルオロエチレン基であり、1分子あたり、パーフルオロメチレン基が平均7個、パーフルオロエチレン基が平均8個存在するものであり、フッ素原子の数が平均46である。)
【0129】
次いで、撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えた別のガラスフラスコに、溶媒としてメチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」と略記する。)63質量部を仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら105℃に昇温した。次いで、上記で得られた単量体(c1−1−1)21.5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート41.3質量部、重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート9.4質量部と溶媒としてMIBK126質量部を混合した開始剤溶液135.4質量部の3種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を105℃に保ちながら同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、105℃で10時間攪拌した後、減圧下で溶媒を留去することによって、重合体(P1−1)63.7質量部を得た。
【0130】
次いで、溶媒としてメチルエチルケトン(以下、「MEK」と略記する。)107.6質量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.04質量部、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.3質量部、ウレタン化触媒としてオクチル酸錫0.03質量部を仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、60℃を保ちながら2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート43.9質量部を1時間で滴下した。滴下終了後、60℃で1時間攪拌した後、80℃に昇温して10時間攪拌することにより反応を行った結果、IRスペクトル測定によりイソシアネート基の消失が確認され、含フッ素重合性樹脂(C−1)を50質量%含有するMEK溶液を得た。得られた含フッ素重合性樹脂の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量2,400、重量平均分子量7,100であった。
【0131】
(実施例1)
撹拌装置、冷却管、温度計を備えたガラスフラスコに、合成例1で得られたポリジメチルシロキサン鎖を有するアルコキシシラン(A−1)0.89質量部、MEK100質量部、重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.1質量部及び重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.01質量部、水0.95質量部、触媒としてリン酸変性物(堺化学工業株式会社製「A−3」)0.1質量部を仕込み、70℃に昇温し1.5時間攪拌した。次いで、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン8.75質量部を加えて、70℃で4.5時間反応した。反応終了後、空気ブロー下で溶媒の一部を留去することによって、アルコキシシラン縮合物(1)を10質量%含有するMEK溶液を得た。このアルコキシシラン縮合物(1)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量2,700、重量平均分子量4,600であった。なお、このアルコキシシラン縮合物(1)のGPCのチャート図を図1に示す。
【0132】
(活性エネルギー線硬化型組成物の調製)
上記の実施例1で得られたアルコキシシラン縮合物(1)、合成例2で得られた含フッ素重合性樹脂(C−1)を用いて、下記の通り活性エネルギー線硬化型組成物を調製した。
【0133】
(実施例2)
5官能無黄変型ウレタンアクリレート(以下、「多官能ウレタンアクリレート」と略記する。)47.5質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(以下、「DPHA」と略記する。)47.5質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製「イルガキュア184」、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)5質量部、酢酸ブチル25質量部、及び、MEK80質量部を混合し溶解した後、実施例1で得られたアルコキシシラン縮合物(1)の10質量%MEK溶液50質量部(アルコキシシラン縮合物として5質量部)を添加し均一に混合して、活性エネルギー線硬化型組成物(1)を得た。
【0134】
(実施例3)
多官能ウレタンアクリレート48.9質量部、DPHA48.9質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製「イルガキュア184」、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)5質量部、酢酸ブチル25質量部、及び、MEK113.2質量部を混合し溶解した後、実施例1で得られたアルコキシシラン縮合物(1)の10質量%MEK溶液12質量部(アルコキシシラン縮合物として1.2質量部)を添加し均一に混合した後、さらに合成例2で得られた含フッ素重合性樹脂(C−1)の50質量%MEK溶液2質量部(含フッ素重合性樹脂として1質量部)を添加し均一に混合して、活性エネルギー線硬化型組成物(2)を得た。
【0135】
(実施例4)
多官能ウレタンアクリレート47質量部、DPHA47質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製「イルガキュア184」、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)5質量部、酢酸ブチル25質量部、及び、MEK79質量部を混合し溶解した後、実施例1で得られたアルコキシシラン縮合物(1)の10質量%MEK溶液50質量部(アルコキシシラン縮合物として5質量部)を添加し均一に混合した後、さらに合成例2で得られた含フッ素重合性樹脂(C−1)の50質量%MEK溶液2質量部(含フッ素重合性樹脂として1質量部)を添加し均一に混合して、活性エネルギー線硬化型組成物(3)を得た。
【0136】
(比較例1)
多官能ウレタンアクリレート50質量部、DPHA50質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製「イルガキュア184」、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)5質量部、酢酸ブチル25質量部、及び、MEK125質量部を混合し均一に溶解して、活性エネルギー線硬化型組成物(4)を得た。
【0137】
(比較例2)
多官能ウレタンアクリレート49.5質量部、DPHA49.5質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製「イルガキュア184」、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)5質量部、酢酸ブチル25質量部、及び、MEK124質量部を混合し溶解した後、合成例2で得られた含フッ素重合性樹脂(C−1)の50質量%MEK溶液2質量部(含フッ素重合性樹脂として1質量部)を添加し均一に混合して、活性エネルギー線硬化型組成物(5)を得た。
【0138】
実施例2〜4及び比較例1〜2で得られた活性エネルギー線硬化型組成物の組成を表1に示す。
【0139】
【表1】

【0140】
[活性エネルギー線硬化型組成物の評価]
下記の通り、評価用試料として塗工フィルムを作製し、汚れ付着防止性を評価した。
【0141】
(実施例5)
実施例2で得られた活性エネルギー線硬化型組成物(1)を、バーコーター(No.13)を用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ188μm)に塗布した後、60℃の乾燥機に5分間入れて溶剤を揮発させ、紫外線硬化装置(窒素雰囲気下、高圧水銀灯使用、紫外線照射量3kJ/m)を用いて硬化させ、塗工フィルムを作製した。
【0142】
上記で得られた塗工フィルムの塗工表面に油性フェルトペン(寺西化学工業株式会社製「マジックインキ大型黒色」)で線を描いた後、ティッシュペーパーを用いてインクをふき取る作業を複数回行い、描いたインクの面積の50%以上がはじかなくなるまで繰り返した。描いたインクの面積の50%以上はじいた回数を繰り返し回数として、下記の基準で汚れ付着防止性を評価した。
A:繰り返し回数が10回以上である。
B:繰り返し回数が5回以上10回未満である。
C:繰り返し回数が1回以上5回未満である。
D:繰り返し回数が0回である。
【0143】
(実施例6)
実施例5で用いた活性エネルギー線硬化型組成物(1)に代えて、実施例3で得られた活性エネルギー線硬化型組成物(2)を用いた以外は、実施例5と同様に行い、塗工フィルムを作製し、汚れ付着防止性を評価した。
【0144】
(実施例7)
実施例5で用いた活性エネルギー線硬化型組成物(1)に代えて、実施例4で得られた活性エネルギー線硬化型組成物(3)を用いた以外は、実施例5と同様に行い、塗工フィルムを作製し、汚れ付着防止性を評価した。
【0145】
(実施例8)
実施例5で用いた活性エネルギー線硬化型組成物(1)に代えて、実施例4で得られた活性エネルギー線硬化型組成物(3)を用いて、硬化条件を窒素雰囲気から空気雰囲気に変更した以外は、実施例5と同様に行い、塗工フィルムを作製し、汚れ付着防止性を評価した。
【0146】
(比較例3)
実施例5で用いた活性エネルギー線硬化型組成物(1)に代えて、比較例1で得られた活性エネルギー線硬化型組成物(4)を用いた以外は、実施例5と同様に行い、塗工フィルムを作製し、汚れ付着防止性を評価した。
【0147】
(比較例4)
実施例5で用いた活性エネルギー線硬化型組成物(1)に代えて、比較例2で得られた活性エネルギー線硬化型組成物(5)を用いた以外は、実施例5と同様に行い、塗工フィルムを作製し、汚れ付着防止性を評価した。
【0148】
(比較例5)
実施例5で用いた活性エネルギー線硬化型組成物(1)に代えて、比較例1で得られた活性エネルギー線硬化型組成物(4)を用いて、硬化条件を窒素雰囲気から空気雰囲気に変更した以外は、実施例5と同様に行い、塗工フィルムを作製し、汚れ付着防止性を評価した。
【0149】
(比較例6)
実施例5で用いた活性エネルギー線硬化型組成物(1)に代えて、比較例2で得られた活性エネルギー線硬化型組成物(5)を用いて、硬化条件を窒素雰囲気から空気雰囲気に変更した以外は、実施例5と同様に行い、塗工フィルムを作製し、汚れ付着防止性を評価した。
【0150】
実施例5〜8及び比較例3〜6での評価結果を表2に示す。
【0151】
【表2】

【0152】
表2に示した評価結果から、本発明のアルコキシシラン縮合物を配合した活性エネルギー線硬化型組成物(1)を用いた実施例5は、汚れ付着防止性が良好であることが分かった。
【0153】
本発明のアルコキシシラン縮合物に加え、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖及び活性エネルギー線重合性基を有する含フッ素重合性樹脂を配合した活性エネルギー線硬化型組成物(2)又は(3)を用いた実施例6又は7は、非常に優れた汚れ付着防止性を有することが分かった。
【0154】
実施例8は、実施例7と同じ活性エネルギー線硬化型組成物(3)を用いて、空気雰囲気下(酸素存在下)で活性エネルギー線を照射して硬化させた例である。通常、空気雰囲気下では、酸素阻害により硬化が不十分になって汚れ付着防止性が低下する傾向にあるが、この実施例8では、窒素雰囲気下での硬化とほぼ同等の非常に優れた汚れ付着防止性を有することが分かった。
【0155】
一方、表2に示した比較例3〜6の活性エネルギー線硬化型組成物の評価結果より、下記のことが分かった。
【0156】
比較例3は、本発明のアルコキシシラン縮合物を配合しなかった活性エネルギー線硬化型組成物(4)を用いた例であるが、汚れ付着防止性が不十分であることが分かった。
【0157】
また、比較例4は、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖及び活性エネルギー線重合性基を有する含フッ素重合性樹脂のみを配合した活性エネルギー線硬化型組成物(5)を用いた例であるが、比較例3より汚れ付着防止性は向上したが、十分な汚れ付着防止性は得られなかった。
【0158】
比較例5は、比較例3で用いた活性エネルギー線硬化型組成物(4)を用いて、空気雰囲気下で活性エネルギー線を照射して硬化させた例であるが、窒素雰囲気下で硬化させた比較例3と同様、汚れ付着防止性が不十分であることが分かった。
【0159】
比較例6は、比較例4で用いた活性エネルギー線硬化型組成物(5)を用いて、空気雰囲気下で活性エネルギー線を照射して硬化させた例であるが、窒素雰囲気下で硬化させた比較例4から汚れ付着防止性が低下することが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアルキルシロキサン鎖又はポリアリールシロキサン鎖を有するアルコキシシラン(A)と、活性エネルギー線重合性基を有するアルコキシシラン(B)とを縮合させたことを特徴とするアルコキシシラン縮合物。
【請求項2】
前記ポリアルキルシロキサン鎖がポリジメチルシロキサン鎖であり、かつ前記活性エネルギー線重合性基が(メタ)アクリロイル基である請求項1記載のアルコキシシラン縮合物。
【請求項3】
前記ポリジメチルシロキサン鎖の分子量が1,000〜10,000である請求項2記載のアルコキシシラン縮合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載のアルコキシシラン縮合物を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項5】
さらにポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖及び活性エネルギー線重合性基を有する含フッ素重合性樹脂(C)を含有する請求項4記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項6】
請求項4又は5記載の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化したことを特徴とする硬化物。
【請求項7】
請求項4又は5記載の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化した塗膜を有することを特徴とする物品。

【図1】
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【公開番号】特開2013−95817(P2013−95817A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238726(P2011−238726)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】