説明

アルコキシシリル基を有するポルフィリン化合物とその重縮合物及びそれらの製造方法

【課題】アルコキシシリル基を有するポルフィリン化合物とゾル−ゲル法を用いてポルフィリン間を強固に固定化したその重縮合物を提供する。
【解決手段】アルコキシシリル基を有するポルフィリン化合物とその合成中間体のそれぞれ物質、製造方法に関する。アルコキシシリル基を有するポルフィリン化合物の製造方法は、アルコキシシリル基を有するベンズアルデヒド化合物とピロールを脱水縮合反応させることによる。重縮合物の製造方法は、ポルフィリン化合物を酸と水或いは塩基と水の存在下に脱水縮合させる。この重縮合物は、色素増感太陽電池、非線形光学材料、触媒、センサーなどの機能性材料への応用が期待できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコキシシリル基を有するポルフィリン化合物とその重縮合物及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポルフィリン骨格を有する化合物は、色素増感太陽電池、非線形光学材料、触媒、センサーなどの機能性材料への応用が期待されている(例えば、特許文献1参照。)。このような機能性材料への応用において特異な機能・物性を発現するためには、固相(薄膜、ゲルなど)中でのポルフィリン同士の会合状態を制御することが必要である。ポルフィリンが固定化された次元性の高い超分子的なアーキテクチャーを形成する目的で、ゾル−ゲル法を用いたポルフィリンの重縮合物の研究が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、これまで公知化されている技術ではポルフィリンに自由度の高い長鎖をつけ、その長鎖部分で架橋した重縮合物しか例はなく、強固に固定化されたポルフィリンの重縮合物は知られていない。
【特許文献1】特開2007−55978号公報
【非特許文献1】Langmuir 2005,21,9432.
【非特許文献2】J.Org.Chem.,1987,52,827
【非特許文献3】Tetrahedron Lett.,2007,48,6044
【非特許文献4】Tetrahedron,2006,62,12098
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ゾル−ゲル法を用いてポルフィリン間を強固に固定化した重縮合物を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、ポルフィリンのメソ位に直接アルコキシシリル基置換ベンゼンを有するポルフィリン誘導体を開発し、これがポルフィリン間を強固に固定化する成分として有用であることを見出し、本発明に至った。即ち本発明は、次の一般式(1)で示されるポルフィリン化合物である。
【0005】
【化8】

但し、Qは、SiRm(OR)3-m(Rは炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、mは0〜2の整数を表し、互いのRは同一でも異なっていても良い)で示されるアルコキシシリル基であり、a、b、c、dは、0から5の整数を表し、総和が0であることはなく、互いのQは同一でも異なっていても良く、それぞれのQはベンゼン環に任意の位置で結合しても良い。
【0006】
また、次の一般式(3)で示されるベンズアルデヒド化合物とピロールを脱水縮合反応させることを特徴とする請求項1記載の一般式(1)で示されるポルフィリン化合物の製造方法である。
【0007】
【化9】

但し、Qは、SiRm(OR)3-m(Rは炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、mは0〜2の整数を表し、互いのRは同一でも異なっていても良い)で示されるアルコキシシリル基であり、pは1〜5の整数であり、互いのQは同一でも異なっていても良く、Qはベンゼン環に任意の位置で結合しても良い。
【0008】
また、次の一般式(3)で示されるベンズアルデヒド化合物である。
【0009】
【化10】

但し、Qは、SiRm(OR)3-m(Rは炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、mは0〜2の整数を表し、互いのRは同一でも異なっていても良い)で示されるアルコキシシリル基であり、pは1〜5の整数であり、互いのQは同一でも異なっていても良く、Qはベンゼン環に任意の位置で結合しても良い。
【0010】
また、次の一般式(5)で示されるハロゲン化アリールアセタール化合物とマグネシウムを反応させて調製されるアリールマグネシウム化合物と、次の一般式(6)で示される、アルコキシシラン化合物を反応させ、シリル化アリールアセタール化合物を調製した後、ブレンステッド酸及び水を反応させて、脱アセタール化させることを特徴とする、請求項4記載の一般式(3)で示されるベンズアルデヒド化合物の製造方法である。
【0011】
【化11】

但し、R1、R2は、同一又は相異なっている炭素数1〜5のアルキル基を表し、互いに結合して環を形成していても良く、Xはハロゲン原子であり、ベンゼン環に任意の位置で結合していても良い。
【0012】
【化12】

但し、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、mは0〜2の整数を表し、互いのRは同一でも異なっていても良い。
【0013】
また、請求項1ないし3いずれか1項に記載のポルフィリン化合物を酸と水或いは塩基と水の存在下に脱水縮合させることを特徴とする重縮合物の製造方法である。
【0014】
更に、請求項10記載の製造方法により得られる重縮合物である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、強固に固定化されたポルフィリンの重縮合物を提供することができる。この重縮合物は、色素増感太陽電池、非線形光学材料、触媒、センサーなどの機能性材料への応用が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】
本発明のポルフィリン化合物は、次の一般式(1)で示される。
【0018】
【化13】

但し、Qは、SiRm(OR)3-m(Rは炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、mは0〜2の整数を表し、互いのRは同一でも異なっていても良い)で示されるアルコキシシリル基であり、a、b、c、dは、0から5の整数を表し、総和が0であることはなく、互いのQは同一でも異なっていても良く、それぞれのQはベンゼン環に任意の位置で結合しても良い。
【0019】
アルコキシシリル基のRで表される炭素原子数1〜20のアルキル基としては、具体的にメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基などが挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基、i-プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基が挙げられる。
【0020】
上記一般式(1)で示されるポルフィリン化合物としては、具体的に、5,10,15,20-テトラキス(4'-トリメトキシシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-トリエトキシシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-トリイソプロポキシシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-トリ-n-プロポキシシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-トリ-n-ブトキシシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジエトキシメチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジメトキシメチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジメトキシエチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジメトキシイソプロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジメトキシ-n-プロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジメトキシ-n-ブチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジメトキシフェニルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジエトキシメチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジエトキシエチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジエトキシイソプロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジエトキシ-n-プロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジエトキシ-n-ブチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジエトキシフェニルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジイソプロポキシメチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジイソプロポキシエチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジイソプロポキシイソプロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジイソプロポキシ-n-プロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジイソプロポキシ-n-ブチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジイソプロポキシフェニルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジ-n-ブトキシメチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジ-n-ブトキシエチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジ-n-ブトキシイソプロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジ-n-ブトキシ-n-プロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジ-n-ブトキシ-n-ブチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジ-n-ブトキシフェニルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-メトキシジメチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-メトキシジエチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-メトキシジイソプロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-メトキシジ-n-プロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-メトキシジ-n-ブチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-メトキシジ-t-ブチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-メトキシジフェニルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-エトキシジメチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-エトキシジエチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-エトキシジイソプロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-エトキシジ-n-プロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-エトキシジ-n-ブチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-エトキシジ-t-ブチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-エトキシジフェニルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-イソプロポキシジメチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-イソプロポキシジエチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-イソプロポキシジイソプロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-イソプロポキシジ-n-プロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-イソプロポキシジ-n-ブチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-イソプロポキシジ-t-ブチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-イソプロポキシジフェニルシリルフェニル)ポルフィリンなどが挙げられる。
【0021】
上記一般式(1)で示されるポルフィリン化合物として好ましくは、次の一般式(2)で示されるポルフィリン化合物である。
【0022】
【化14】

但し、Qは、SiRm(OR)3-m(Rは炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、mは0〜2の整数を表し、互いのRは同一でも異なっていても良い)で示されるアルコキシシリル基である。
【0023】
具体的には、5,10,15,20-テトラキス(4'-トリメトキシシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-トリエトキシシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-トリイソプロポキシシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-トリ-n-プロポキシシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-トリ-n-ブトキシシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジメトキシメチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジメトキシエチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジメトキシイソプロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジメトキシ-n-ブチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジエトキシメチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジエトキシエチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジエトキシイソプロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジエトキシ-n-プロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジエトキシ-n-ブチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジイソプロポキシメチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジイソプロポキシエチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジイソプロポキシ-n-プロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジイソプロポキシ-n-ブチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジ-n-ブトキシメチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジ-n-ブトキシエチルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジ-n-ブトキシイソプロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジ-n-ブトキシ-n-プロピルシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジ-n-ブトキシ-n-ブチルシリルフェニル)ポルフィリンが挙げられ、更に好ましくは、5,10,15,20-テトラキス(4'-トリエトキシシリルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジエトキシメチルシリルフェニル)ポルフィリンが挙げられる。
【0024】
上記一般式(1)で示されるポルフィリン化合物は、次の一般式(3)で示されるベンズアルデヒド化合物とピロールを脱水縮合反応させることで製造することができる。
【0025】
【化15】

但し、Qは、SiRm(OR)3-m(Rは炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、mは0〜2の整数を表し、互いのRは同一でも異なっていても良い)で示されるアルコキシシリル基であり、pは1〜5の整数であり、互いのQは同一でも異なっていても良く、Qはベンゼン環に任意の位置で結合しても良い。
【0026】
上記一般式(3)で示されるベンズアルデヒドとしては、具体的に、4-トリメトキシシリルベンズアルデヒド、4-トリエトキシシリルベンズアルデヒド、4-トリイソプロポキシシリルベンズアルデヒド、4-トリ-n-プロポキシシリルベンズアルデヒド、4-トリ-n-ブトキシシリルベンズアルデヒド、4-ジエトキシメチルシリルベンズアルデヒド、4-ジメトキシメチルシリルベンズアルデヒド、4-ジメトキシエチルシリルベンズアルデヒド、4-ジメトキシイソプロピルシリルベンズアルデヒド、4-ジメトキシ-n-プロピルシリルベンズアルデヒド、4-ジメトキシ-n-ブチルシリルベンズアルデヒド、4-ジメトキシフェニルシリルベンズアルデヒド、4-ジエトキシメチルシリルベンズアルデヒド、4-ジエトキシエチルシリルベンズアルデヒド、4-ジエトキシイソプロピルシリルベンズアルデヒド、4-ジエトキシ-n-プロピルシリルベンズアルデヒド、4-ジエトキシ-n-ブチルシリルベンズアルデヒド、4-ジエトキシフェニルシリルベンズアルデヒド、4-ジイソプロポキシメチルシリルベンズアルデヒド、4-ジイソプロポキシエチルシリルベンズアルデヒド、4-ジイソプロポキシイソプロピルシリルベンズアルデヒド、4-ジイソプロポキシ-n-プロピルシリルベンズアルデヒド、4-ジイソプロポキシ-n-ブチルシリルベンズアルデヒド、4-ジイソプロポキシフェニルシリルベンズアルデヒド、4-ジ-n-ブトキシメチルシリルベンズアルデヒド、4-ジ-n-ブトキシエチルシリルベンズアルデヒド、4-ジ-n-ブトキシイソプロピルシリルベンズアルデヒド、4-ジ-n-ブトキシ-n-プロピルシリルベンズアルデヒド、4-ジ-n-ブトキシ-n-ブチルシリルベンズアルデヒド、4-ジ-n-ブトキシフェニルシリルベンズアルデヒド、4-メトキシジメチルシリルベンズアルデヒド、4-メトキシジエチルシリルベンズアルデヒド、4-メトキシジイソプロピルシリルベンズアルデヒド、4-メトキシジ-n-プロピルシリルベンズアルデヒド、4-メトキシジ-n-ブチルシリルベンズアルデヒド、4-メトキシジ-t-ブチルシリルベンズアルデヒド、4-メトキシジフェニルシリルベンズアルデヒド、4-エトキシジメチルシリルベンズアルデヒド、4-エトキシジエチルシリルベンズアルデヒド、4-エトキシジイソプロピルシリルベンズアルデヒド、4-エトキシジ-n-プロピルシリルベンズアルデヒド、4-エトキシジ-n-ブチルシリルベンズアルデヒド、4-エトキシジ-t-ブチルシリルベンズアルデヒド、4-エトキシジフェニルシリルベンズアルデヒド、4-イソプロポキシジメチルシリルベンズアルデヒド、4-イソプロポキシジエチルシリルベンズアルデヒド、4-イソプロポキシジイソプロピルシリルベンズアルデヒド、4-イソプロポキシジ-n-プロピルシリルベンズアルデヒド、4-イソプロポキシジ-n-ブチルシリルベンズアルデヒド、4-イソプロポキシジ-t-ブチルシリルベンズアルデヒド、4-イソプロポキシジフェニルシリルベンズアルデヒドなどが挙げられる。
【0027】
上記一般式(3)で示されるベンズアルデヒド化合物として、好ましくは次の一般式(4)で示されるベンズアルデヒド化合物である。
【0028】
【化16】

但し、Qは、SiRm(OR)3-m(Rは炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、mは0〜2の整数を表し、互いのRは同一でも異なっていても良い)で示されるアルコキシシリル基である。
【0029】
具体的には、4-トリメトキシシリルベンズアルデヒド、4-トリエトキシシリルベンズアルデヒド、4-トリイソプロポキシシリルベンズアルデヒド、4-トリ-n-プロポキシシリルベンズアルデヒド、4-トリ-n-ブトキシシリルベンズアルデヒド、4-ジメトキシメチルシリルベンズアルデヒド、4-ジメトキシエチルシリルベンズアルデヒド、4-ジメトキシイソプロピルシリルベンズアルデヒド、4-ジメトキシ-n-ブチルシリルベンズアルデヒド、4-ジエトキシメチルシリルベンズアルデヒド、4-ジエトキシエチルシリルベンズアルデヒド、4-ジエトキシイソプロピルシリルベンズアルデヒド、4-ジエトキシ-n-プロピルシリルベンズアルデヒド、4-ジエトキシ-n-ブチルシリルベンズアルデヒド、4-ジイソプロポキシメチルシリルベンズアルデヒド、4-ジイソプロポキシエチルシリルベンズアルデヒド、4-ジイソプロポキシ-n-プロピルシリルベンズアルデヒド、4-ジイソプロポキシ-n-ブチルシリルベンズアルデヒド、4-ジ-n-ブトキシメチルシリルベンズアルデヒド、4-ジ-n-ブトキシエチルシリルベンズアルデヒド、4-ジ-n-ブトキシイソプロピルシリルベンズアルデヒド、4-ジ-n-ブトキシ-n-プロピルシリルベンズアルデヒド、4-ジ-n-ブトキシ-n-ブチルシリルベンズアルデヒドが挙げられ、更に好ましくは、4-トリエトキシシリルベンズアルデヒド、4-ジエトキシメチルシリルベンズアルデヒドが挙げられる。
【0030】
上記一般式(3)で示されるベンズアルデヒド化合物とピロールを脱水縮合反応の反応条件は、特には限定されないが、例えば、非特許文献2に記載の通り、ベンズアルデヒド化合物とピロールを酸触媒存在下、ハロゲン系溶媒中にて撹拌したのち、DDQ等酸化剤と作用させることで得ることができる。
【0031】
上記一般式(3)で示されるベンズアルデヒド化合物は、次の一般式(5)で示されるハロゲン化アリールアセタール化合物とマグネシウムを反応させて調製されるアリールマグネシウム化合物と、次の一般式(6)で示される、アルコキシシラン化合物を反応させ、シリル化アリールアセタール化合物を調製した後、ブレンステッド酸及び水を反応させて、脱アセタール化させることにより得ることができる。
【0032】
【化17】

但し、R1、R2は、同一又は相異なっている炭素数1〜5のアルキル基を表し、互いに結合して環を形成していても良く、Xはハロゲン原子であり、ベンゼン環に任意の位置で結合していても良い。
【0033】
【化18】

但し、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、mは0〜2の整数を表し、互いのRは同一でも異なっていても良い。
【0034】
炭素数1〜5のアルキル基で表されるR1、R2としては、具体的に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基などが挙げられる。互いに結合して環を形成している場合のR1、R2としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、エチレン基、プロピレン基が挙げられる。
【0035】
Xとしては、具体的に、フッ素基、塩素基、臭素基、ヨウ素基が挙げられる。好ましくは、塩素基、臭素基、ヨウ素基である。
【0036】
上記一般式(5)で示されるハロゲン化アリールアセタールとしては、具体的に、4-フルオロベンズアルデヒドジメチルアセタール、4-フルオロベンズアルデヒドジエチルアセタール、4-フルオロベンズアルデヒドジイソプロピルアセタール、4-クロロベンズアルデヒドジメチルアセタール、4-クロロベンズアルデヒドジエチルアセタール、4-クロロベンズアルデヒドジイソプロピルアセタール、4-ブロモベンズアルデヒドジメチルアセタール、4-ブロモベンズアルデヒドジエチルアセタール、4-ブロモベンズアルデヒドジイソプロピルアセタール、4-ヨードベンズアルデヒドジメチルアセタール、4-ヨードベンズアルデヒドジエチルアセタール、4-ヨードベンズアルデヒドジイソプロピルアセタール、2-(4-フルオロフェニル)-1,3-ジオキソラン、2-(4-クロロフェニル)-1,3-ジオキソラン、2-(4-ブロモフェニル)-1,3-ジオキソラン、2-(4-ヨードフェニル)-1,3-ジオキソラン、2-(4-フルオロフェニル)-1,3-ジオキサン、2-(4-クロロフェニル)-1,3-ジオキサン、2-(4-ブロモフェニル)-1,3-ジオキサン、2-(4-ヨードフェニル)-1,3-ジオキサンなどが挙げられる。
【0037】
上記一般式(5)で示されるハロゲン化アリールアセタール化合物として好ましくは、次の一般式(7)で示される化合物である。
【0038】
【化19】

但し、R1、R2は、同一又は相異なっている炭素数1〜5のアルキル基を表し、互いに結合して環を形成していても良く、Xはハロゲン原子である。
【0039】
具体的には、4-クロロベンズアルデヒドジメチルアセタール、4-クロロベンズアルデヒドジエチルアセタール、4-ブロモベンズアルデヒドジメチルアセタール、4-ブロモベンズアルデヒドジエチルアセタール、4-ヨードベンズアルデヒドジメチルアセタール、4-ヨードベンズアルデヒドジエチルアセタール、2-(4-クロロフェニル)-1,3-ジオキソラン、2-(4-ブロモフェニル)-1,3-ジオキソラン、2-(4-ヨードフェニル)-1,3-ジオキソラン、2-(4-クロロフェニル)-1,3-ジオキサン、2-(4-ブロモフェニル)-1,3-ジオキサン、2-(4-ヨードフェニル)-1,3-ジオキサンが挙げられ、更に好ましくは、4-クロロベンズアルデヒドジメチルアセタール、4-クロロベンズアルデヒドジエチルアセタール、4-ブロモベンズアルデヒドジメチルアセタール、4-ブロモベンズアルデヒドジエチルアセタール、2-(4-クロロフェニル)-1,3-ジオキソラン、2-(4-ブロモフェニル)-1,3-ジオキソラン、2-(4-クロロフェニル)-1,3-ジオキサン、2-(4-ブロモフェニル)-1,3-ジオキサンが挙げられる。
【0040】
上記一般式(6)で示されるアルコキシシラン化合物としては、具体的に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン、トリメトキシイソプロピルシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリエトキシエチルシラン、トリエトキシイソプロピルシラン、トリエトキシフェニルシラン、トリイソプロポキシメチルシラン、トリイソプロポキシエチルシラン、トリイソプロポキシイソプロピルシラン、トリイソプロポキシフェニルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジメトキシジ-n-プロピルシラン、ジメトキシジイソプロピルシラン、ジメトキシジ-n-ブチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジエトキシジ-n-プロピルシラン、ジエトキシジイソプロピルシラン、ジエトキシジ-n-ブチルシラン、ジイソプロポキシジメチルシラン、ジイソプロポキシジエチルシラン、ジイソプロポキシジ-n-プロピルシラン、ジイソプロポキシジイソプロピルシラン、ジイソプロポキシジ-n-ブチルシラン等が挙げられる。
【0041】
好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン、トリメトキシイソプロピルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリエトキシエチルシラン、トリエトキシイソプロピルシランが挙げられる。
【0042】
上記一般式(5)で示されるハロゲン化アリールアセタール化合物とマグネシウムを反応させて調製されるアリールマグネシウム化合物の調製法としては、特に限定されないが、例えば、非特許文献3に記載の通り、THFなどエーテル系の溶媒中にマグネシウムを仕込み、ここに上記一般式(5)で示されるハロゲン化アリールアセタール化合物のTHF等エーテル系溶媒の溶液を滴下し、還流下撹拌することで調製することができる。この溶液は、未反応のマグネシウム等を濾過して使用しても良いし、濾過せずにそのままアルコキシシラン化合物との反応に使用しても良い。
【0043】
アリールマグネシウム化合物と上記一般式(6)で示されるアルコキシシラン化合物との反応は、先に調製されたアリールマグネシウム化合物の溶液とアルコキシシラン化合物を反応させることで行うことができる。
【0044】
アルコキシシラン化合物はそのまま反応に供しても良いし、溶液にして使用しても良い。溶液を調製するために使用される溶媒の例としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、THF、1,3-ジオキソラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。
【0045】
使用する溶媒の好ましいものとしてはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、THF、1,4-ジオキサンが挙げられ、更に好ましくはジエチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、THF、1,4-ジオキサンが挙げられる。これらの溶媒は単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0046】
アルコキシシラン化合物の使用量は、アリールマグネシウム化合物に対して、通常、0.5モル倍から10モル倍、好ましくは0.7モル倍から8モル倍、更に好ましくは0.8モル倍から5モル倍である。アルコキシシラン化合物の使用量が少なすぎると、副生成物の割合が増加する。
【0047】
アルコキシシラン化合物の溶液の濃度は特に限定されないが、通常溶媒1リットル当たり0.001モルから100モル、好ましくは0.01モルから50モル、更に好ましくは0.05モルから20モルの範囲である。
【0048】
アルコキシシラン化合物とアリールマグネシウム化合物との反応は、アルコキシシラン化合物の溶液とアリールマグネシウム化合物の溶液を混合することで行うことができる。混合は、双方の溶液を一度に混ぜ合わせることでも行うことができるが、反応を制御する観点からは、一方の溶液をもう一方の溶液へ滴下することで行うことが好ましい。滴下時間は特に制限されないが、反応熱による内温上昇が制御できる範囲内で滴下することが好ましい。
【0049】
アルコキシシラン化合物とアリールマグネシウム化合物との反応における、滴下時の温度は、通常、−150℃から30℃、好ましくは−100℃から15℃、更に好ましくは−78℃から0℃の範囲である。
【0050】
滴下終了後の温度は特に制限されないが、滴下時の温度を保ったまま反応を行っても良いし、溶媒の沸点まで昇温して反応を行っても良い。反応時間は特に制限されないが、通常、0分から72時間である。
【0051】
本反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれでも実施し得る。反応終了後、反応停止の操作を行わずに、直接、ブレンステッド酸及び水を反応させて、脱アセタール化させることで、上記一般式(3)で示されるベンズアルデヒド化合物を得ることもできるが、一旦反応を停止して、シリル化アリールアセタール化合物を得てから、脱アセタール化を行うこともできる。
【0052】
本反応を停止させる場合は、反応液に例えば、水、アルコール、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液等を添加する。反応停止後、通常の後処理、例えば抽出、洗浄等の操作を行うことで、シリル化アリールアセタール化合物の粗生成物を得ることができる。次の脱アセタール化反応は、シリル化アリールアセタール化合物の粗生成物を供しても良いし、晶析、蒸留、各種クロマトグラフィーなどの操作をすることにより精製した後、脱アセタール化反応に供しても良い。
【0053】
脱アセタール化反応の反応条件は、特に限定されないが、例えば、非特許文献4に記載の通り、シリル化アリールアセタール化合物を塩酸水溶液とTHFの混合溶媒中、室温から溶媒の沸点の温度で反応させることで製造することができる。反応終了後は、そのまま溶媒を留去するか、通常の後処理、例えば水酸化ナトリウム水溶液で中和後、抽出、洗浄等の操作を行うことで、上記一般式(3)で示されるベンズアルデヒド化合物の粗生成物を得ることができる。
【0054】
ベンズアルデヒド化合物は、通常の精製方法、例えば、晶析、蒸留、各種クロマトグラフィーなどの操作をしてから次の反応に供しても良いし、精製せずに次の反応に供しても良い。
【0055】
上記一般式(1)及び上記一般式(2)で表されるポルフィリン化合物を酸性水溶液或いは塩基性水溶液を用いて加水分解と重縮合反応に供することで、重縮合物を得ることができる。酸性水溶液の場合、用いる酸は特に限定されないが、反応溶液の処理のし易さから塩酸が好ましい。塩酸の濃度は通常0.1mol/Lから12mol/Lの範囲であり、好ましくは0.5mol/Lから2mol/Lの範囲である。高い濃度ではポルフィリンのシリルフェニル基の分解が併発し、低い濃度では反応に時間がかかりすぎ実用的でない。用いる酸の当量は、ポルフィリン化合物に対して通常0.5から500モル倍、好ましくは0.7から300モル倍、更に好ましくは1から100モル倍である。
【0056】
塩基性水溶液を用いる場合、用いる塩基は特に限定されないが、反応溶液の処理のし易さから水酸化ナトリウムが好ましい。水酸化ナトリウム水溶液の濃度は通常0.1mol/Lから27mol/Lの範囲であり、好ましくは0.5mol/Lから2.0mol/Lである。高い濃度ではポリフィリンのシリルフェニル基の分解が併発し、低い濃度では反応に時間がかかりすぎ実用的でない。用いる塩基の当量は、ポルフィリン化合物に対して通常0.5から500モル倍、好ましくは0.7から300モル倍、更に好ましくは1から100モル倍である。
【0057】
重縮合反応の際、反応溶媒として水と有機溶媒を合わせて使用してもよい。使用できる有機溶媒としては例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、THF、1,3-ジオキソラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン等のエーテル類、また、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒が挙げられる。ポルフィリン化合物の溶解度の観点から、水とTHFの混合溶媒が好ましい。
【0058】
重縮合反応の反応温度は特に限定されないが、水溶液を使用するために0℃以上100℃以下が好ましい。反応時間は通常12時間から120時間である。反応温度が高いと反応は短時間で終了する傾向がある。
【0059】
重縮合反応の進行は溶液の紫外可視吸収スペクトルを測定し、原料ポルフィリンモノマーの吸収の減少から確認することができる。
【0060】
反応終了後、必要に応じて反応溶液を酸若しくは塩基水溶液で中和し、デカンテーション若しくは濾過により固体の重縮合物を得ることができる。得られた個体の重縮合物は、必要に応じて粉砕しても良く、更には必要に応じて水や有機溶媒で洗浄した後に減圧下、必要に応じて加熱条件下で乾燥してもよい。
【実施例】
【0061】
以下、本発明を実験例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。
<アルコキシシリル基を有するベンズアルデヒドの製造>
[実験例1]
「2-(4-トリエトキシシリルフェニル)-1,3-ジオキソラン(1a)の合成」
50mLの滴下漏斗とジムロートを備えた50mLの四口フラスコにMg135mg(5.55mmol)を収め、真空にしながら200℃で1時間加熱したのち、N2気流下にした。THF1.8mLを収め、滴下ロートに2-(4-ブロモフェニル)-1.3-ジオキソラン1.16g(5.06mmol)を収めた。5滴滴下し、I2を1粒加えて撹拌し、還流させた。THF1.2mLを滴下漏斗に加え、1滴/secの速さで滴下した。50mLの滴下漏斗と減圧アダプターを備えた別の50mL四口フラスコをフレームアウトし、N2気流下にした。THF10mL、テトラエトキシシラン3.14g (15.1mmol)を収め、−30℃に冷やした。滴下ロートに先に調製したグリニャール試薬を収め、0.5〜2.0滴/sec の速さで滴下した。2時間−30℃で撹拌し、ゆっくり室温に戻しながら13時間撹拌した。GCでグリニャール試薬の消失を確認し反応終了とした。ヘキサン20mLを加えて飽和食塩水20mLで2回洗浄し、MgSO4で乾燥した。綿ろ過後、溶媒を取り除き、減圧蒸留を行い、129.0〜129.7℃(1.0mmHg)の温度範囲で本留を得た。さらにヘキサン:エーテル=1:1でシリカゲルカラムを行った(Rf=0.50)。溶媒を取り除き、2-(4-トリエトキシシリルフェニル)-1,3-ジオキソラン(1a)を無色透明の液体として収量702mg、GC純度91%、収率43%で得た。同定は各種スペクトルで行った。
1H NMR (500 MHz, C6D6, δppm):1.15 (t, 9H, J = 7.0 Hz), 3.43 - 3.62 (m, 4H), 3.83 (q, 6H, J = 7.0 Hz), 5.75 (s, 1H), 7.62 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.89 (d, 2H, J = 8.0 Hz)
13C NMR (126 MHz, C6D6, δppm):19.1, 59.5, 65.7, 104.4, 127.0, 133.4, 135.8, 141.8
29Si NMR (99 MHz, C6D6, δppm):-58.0
MS (EI, 70 eV), m/z (%) : 312 (M+, 18), 311 (64), 267 (22), 239 (22), 223 (15), 195 (14), 163 (17), 149(100)
IR (NaCl, cm-1) : 2974, 2926, 2885, 1390, 1294, 1219, 1167, 1128, 1101, 1078, 1022, 962, 810, 783, 738, 718
[実験例2]
「4-(トリエトキシシリル)ベンズアルデヒド(2a)の合成」
300mL ナスフラスコに 2-(4-トリエトキシシリルフェニル)-1,3-ジオキソラン(1a)1.50g(4.79mmol)、5M塩酸15.0mL、CHCl3120mLを収め、撹拌した。GCにて反応追跡を行い、11時間後、原料がほぼ消失したので反応終了とした。飽和Na2HCO3水溶液10mLで中和後、飽和食塩水100mLで2回洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥した。ろ過して溶媒を取り除き、4-(トリエトキシシリル)ベンズアルデヒド(2a)を無色透明の液体として収量1.14g、GC純度 95%、収率84%で得た。同定は各種スペクトルで行った。
1H NMR (500 MHz, C6D6, δppm) : 1.14 (t, 9H, J = 7.0 Hz), 3.79 (q, 6H, J = 7.0 Hz), 7.61(d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.80 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 9.67 (s, 1H)
13C NMR (126 MHz, C6D6, δppm) : d = 19.0, 59.6, 129.4, 136.1, 138.7, 140.0, 192.3
29Si NMR (99 MHz, C6D6, δppm) : -60.0
MS (EI, 70 eV), m/z (%) : 268 (M+, 14), 253 (18), 239 (18), 224 (100), 223 (99), 209 (29), 195(43), 179 (30), 167 (37), 151 (25)
IR (NaCl, cm-1) : 2976, 2928, 2889, 2827, 2766, 2735, 1705, 1601, 1558, 1497, 1483, 1443, 1391, 1310, 1294, 1207, 1169, 1121, 1101, 1078, 1020, 962, 839, 816, 783, 723, 544
[実験例3]
「4-(ジエトキシメチルシリル)ベンズアルデヒドジエチルアセタール(1b)の合成」
ジムロートと100mL滴下漏斗を備えた200mL三口フラスコにMg2.00g(82.3mmol)を収め、フレームアウトしてArで戻し、N2気流下にした。フラスコに脱水還流したTHF10mLを収め、滴下漏斗に4-ブロモベンズアルデヒドジエチルアセタール21.8g(80.0mmol)を収めた。アセタールを10滴滴下し、ヒートガンで加熱してTHFを還流させた。溶液の色が無色透明から緑色、次いで褐色と変化したことから反応の開始を確認し、滴下漏斗にTHF70mLを勢いよく加えた。0.5〜1滴/sec の速さで滴下し、終了後滴下漏斗の内壁を5mLのTHFで流した。GCにて反応追跡を行い、反応の進行が止まったため、オイルバスにて10分間還流させ、原料の消失を確認し放冷した。200mL滴下漏斗を備えた500mL三口フラスコをフレームアウトしてArで戻し、N2気流下にした。滴下漏斗に先に調製したグリニャール試薬を収め、フラスコにTHF80mLとトリエトキシメチルシラン21.4g (120.0mmol)を収めた。アセトン・アイスバス−10℃に冷却した後、0.5〜2滴/sec の速さで滴下し、終了後滴下漏斗の内壁をTHF10mLで流した。GCにて反応を追跡し、30分後、グリニャール試薬の消失を確認して反応終了とした。ヘキサン150mLを加え、水150mLで2回、飽和食塩水150mLで1回洗浄し、水相をヘキサン150mLで抽出した。有機相をあわせてMgSO4で一晩乾燥させた。綿ろ過でMgSO4を除いて溶媒を留去した後、減圧蒸留を行った。本留を89.5〜90.0(0.1〜0.2mmHg)の範囲で分取し、4-(ジエトキシメチルシリル)ベンズアルデヒドジエチルアセタール(1b)を無色透明の液体として収量18.7g(GC純度95%、収率75%で得た。同定はMS及びIRスペクトルで行った。
MS (EI, 70 eV), m/z (%) : 312 (M+, 0.2), 297 (6), 267 (100), 253 (14), 239 (15), 223 (52), 179(11)
IR (NaCl, cm-1) : 2974, 2880, 1443, 1391, 1337, 1258, 1209, 1165, 1107, 1080, 1055, 1005, 957, 824, 793, 768, 708, 681, 513
[実験例4]
「4-(ジエトキシメチルシリル)ベンズアルデヒド(2b)の合成」
500mL 三口フラスコをArで置換してN2気流下にし、CHCl3200mLを収めた。 Arを20分間バブリングし、4-(ジエトキシメチルシリル)ベンズアルデヒドジエチルアセタール6.58g(20.0mmol)、及び1Nの塩酸20mLを収めて撹拌した。GCにて反応追跡を行い、3.5時間後に原料の消失を確認して反応終了とした。水100mLと飽和食塩水100mLで1回ずつ洗浄した後、有機相をMgSO4で一晩乾燥させた。綿ろ過でMgSO4を除いて溶媒を留去した後、減圧蒸留を行った。本留を67.0〜72.0℃(0.2mmHg)の範囲で分取し、4-(ジエトキシメチルシリル)ベンズアルデヒド(2b)を無色透明の液体として収量4.00g(GC純度100%)、収率84%で得た。同定はMS及びIRスペクトルで行った。
MS (EI, 70 eV), m/z (%) : 238 (M+, 4), 223 (100), 194 (14), 179 (20), 167 (13)
IR (NaCl, cm-1) : 2974, 2926, 2882, 2827, 2733, 1705, 1678, 1599, 1558, 1443, 1383, 1308, 1259, 1209, 1173, 1111, 1078, 957, 789, 768, 696, 525
[実験例5]
「4-(エトキシジメチルシリル)ベンズアルデヒドジエチルアセタール(1c)の合成」
ジムロートと100mL滴下ロートを備えた200mL三口フラスコにMg2.00g(82.3mmol)を収め、フレームアウトしてArで戻し、N2気流下にした。フラスコに脱水還流したTHF10mLを収め、滴下ロートに4-ブロモベンズアルデヒドジエチルアセタール21.8g(80.0mmol)を収めた。アセタールを10滴滴下し、ヒートガンで加熱してTHFを還流させた。溶液の色が無色透明から緑色、次いで褐色と変化したことから反応の開始を確認し、滴下ロートにTHF70mLを勢いよく加えた。0.5〜1滴/sec の速さで滴下し、終了後滴下ロートの内壁を5mLのTHFで流した。GCにて反応追跡を行い、反応の進行が止まったため、オイルバスにて10分間還流させ、原料の消失を確認し放冷した。200mL滴下ロートを備えた500mL三口フラスコをフレームアウトしてArで戻し、N2気流下にした。滴下ロートに先に調製したグリニャール試薬を収め、フラスコにTHF80mLとジエトキシジメチルシラン17.8g(120.0mmol)を収めた。0.5〜2滴/sec の速さで滴下し、終了後滴下ロートの内壁をTHF10mLで流した。GCにて反応を追跡し、19時間後、グリニャール試薬の消失を確認して反応終了とした。ヘキサン150mLを加え、水150mLで2回、飽和食塩水150mLで1回洗浄し、水相をヘキサン150mLで抽出した。有機相をあわせてMgSO4で一晩乾燥させた。綿ろ過でMgSO4を除いて溶媒を留去した後、減圧蒸留を行った。本留を82.5〜89.5℃(0.7〜1.0mmHg)の範囲で分取し、4-(エトキシジメチルシリル)ベンズアルデヒドジエチルアセタールを無色透明の液体として収量11.9g(GC純度94%)、収率53%で得た。同定はMS及びIRスペクトルで行った。
MS (EI, 70 eV), m/z (%) : 282 (M+, 0.3), 267 (12), 237 (100), 223 (16), 209 (16), 193 (66), 165 (16), 149 (23)
IR (NaCl, cm-1) : 2974, 2928, 2878, 1442, 1389, 1369, 1337, 1306, 1252, 1211, 1182, 1165, 1105, 1055, 1005, 949, 826, 783, 733, 702, 673, 640, 513
[実験例6]
「4-(エトキシジメチルシリル)ベンズアルデヒド(2c)の合成」
500mL三口フラスコをArで置換してN2気流下にし、CHCl3200mLを収めた。Arを15分間バブリングし、4-(エトキシジメチルシリル)ベンズアルデヒドジエチルアセタール5.54g(20.0mmol)、及び1Nの塩酸20mLを収めて撹拌した。GCにて反応追跡を行い、2.5時間後に原料の消失を確認して反応終了とした。水100mLと飽和食塩水100mLで1回ずつ洗浄した後、有機相をMgSO4で一晩乾燥させた。綿ろ過でMgSO4を除いて溶媒を留去した後、減圧蒸留を行った。本留を58.0℃(1.0mmHg)で分取し、4-(エトキシジメチルシリル)ベンズアルデヒド(2c)を無色透明の液体として収量1.61g(GC純度96%)、収率42%で得た。同定は各種スペクトルで行った。
1H NMR (500 MHz, C6D6, δppm) :0.24 (s, 6H), 1.07 (t, 3H, J = 7.0 Hz), 3.47 (q, 2H, J = 7.0 Hz)7.50 (d, 2H, J = 7.0 Hz), 7.62 (d, 2H, J = 7.0 Hz), 9.72 (s, 1H)
13C NMR (126 MHz, C6D6, δppm) :-1.18, 19.20, 59.36, 129.83, 134.72, 138.24, 146.72, 192.29
29Si NMR (99 MHz, C6D6, δppm) : 5.69
MS (EI, 70 eV), m/z (%) : 208 (M+, 4), 193 (100), 165 (23), 149 (39)
IR (NaCl, cm-1) : 2974, 2926, 2882, 2827, 2733, 1705, 1597, 1556, 1381, 1310, 1254, 1211, 1173, 1105, 1078, 949, 813, 785, 692, 644, 513
<アルコキシシリル基を有するポルフィリンの製造>
[実験例7]
「5,10,15,20-テトラキス(4'-トリエトキシシリルフェニル)ポルフィリン(3a)の合成」
減圧アダプターを備えた500mL三口フラスコに 2-(4-トリエトキシシリルフェニル)-1,3-ジオキソラン(1a)3.01g(96.4mmol)、CHCl3240mLを収め、30分間Arバブリングをした後、N2気流下にした。5M塩酸30mLを加えて撹拌し、GCにて反応追跡を行った。13時間後、原料がほぼ消失したので反応終了とした。飽和食塩水200mLで2回洗浄し、水相をCHCl3200mLで抽出し、有機相をMgSO4で乾燥した。綿ろ過によって塩を取り除き、ロータリーエバポレーターにて溶媒を150mL程度にした。ここで得られたアルデヒドは空気中で比較的容易に酸化されるので、単離せずにそのまま用いた。減圧アダプターを備えた500mL三口フラスコに先の溶液を量り取り、CHCl3を加えて190mLとした。20分間Arバブリングをした後、N2気流下にした。ピロール520mg(7.75mmol)を加えて反応容器をアルミニウムホイルで遮光した。BF3・OEt290μLを加え、40分間撹拌した。DDQ1.58g(6.96mmol)を ベンゼン37.6mLに溶解させて加え、2時間撹拌した。吸引ろ過で固体を取り除き、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。粗分けとしてシリカゲルカラムで分離を行った。CHCl3:MeOH=49:1の展開溶媒で不純物を流し出し、CHCl3:MeOH=19:1の展開溶媒で目的物を含むフラクションを分取した。ロータリーエバポレーターにて溶媒を取り除き、再度CHCl3:MeOH=49:1の展開溶媒でシリカゲルカラムで分離を行い、精製した。溶媒を除き、CHCl3に溶解させ、綿ろ過によりシリカゲルを取り除いた。溶媒を除き、5,10,15,20-テトラキス(4'-トリエトキシシリルフェニル)ポルフィリン(3a)を紫色の固体として収量195mg、収率8%で得た。同定は各種スペクトルで行った。
1H NMR (500 MHz, C6D6, δppm):-2.11 (s, 2H), 1.36 (t, 36H, J = 7.0 Hz), 4.10 (q, 24H, J = 7.0 Hz), 8.23 (d, 8H, J = 8.0 Hz), 8.25 (d, 8H, J = 8.0 Hz), 8.92 (s, 8H)
29Si NMR (99 MHz, C6D6, δppm) : -58.0
MS (ESI), m/z (%) : 1263.7 (M+, 100)
IR (KBr, cm-1) : 3445, 3017, 2972, 2924, 2885, 1599, 1562, 1474, 1441, 1389, 1350, 1294, 1190, 1167, 1124, 1101, 1078, 1024, 966, 845, 800, 779, 742, 673
[実験例8]
「5,10,15,20-テトラキス(4'-ジエトキシメチルシリルフェニル)ポルフィリン(3b)の合成」
200mL三口フラスコをAr気流下にし、モレキュラーシーブス4Aで脱水したCHCl3120mL を収めた。Arを10分間バブリングし、ピロール336mg(5.01mmol)、4-(ジエトキシメチルシリル)ベンズアルデヒド1.21g(5.03mmol)、BF3・OEt263μL(0.50mmol)を収め40分間撹拌した。DDQ1.02g(4.50mmol)をモレキュラーシーブス4Aで脱水したベンゼン25mLに溶解させて、加えた。1時間後、吸引ろ過を行い、溶媒を留去した。アルミナカラム(CHCl3:MeOH=97:3)にて粗分けし、溶媒留去後、シリカゲルカラム(CHCl3:MeOH=96:4)にて精製した。溶媒を留去して減圧乾燥を行い、5,10,15,20-テトラキス(4'-ジエトキシメチルシリルフェニル)ポルフィリン(3b)を紫色の固体として収量98mg 、収率7%で得た。同定は1HNMR及びIRスペクトルで行った。
1H NMR (500 MHz, C6D6, δppm) : -2.07 (s, 2H), 0.59 (s, 12H), 1.32 (t, 24H, J = 7.0 Hz), 3.95 (q, 16H, J = 7.0 Hz), 8.11 (d, 8H, J = 8.0 Hz), 8.23 (d, 8H, J = 8.0 Hz), 8.95 (s, 8H)
29Si NMR (99 MHz, C6D6, δppm) : -18.2
IR (KBr, cm-1) : 3319, 2972, 2924, 2878, 1597, 1558, 1474, 1389, 1348, 1258, 1165, 1117, 1105, 1078, 982, 966, 955, 824, 799, 768, 737, 714, 660, 538
[実験例9]
「5,10,15,20-テトラキス(4'-トリエトキシシリルフェニル)ポルフィリン(3a)の縮合」
100mLナスフラスコに5,10,15,20-テトラキス(4'-トリエトキシシリルフェニル)ポルフィリン(3a)100mgとTHF25mL及び、1Nの塩酸2.5mLを収めて2日間撹拌した。撹拌を止めて溶液を静置して固体を沈殿させ、液色が緑色から無色透明になったところで反応終了とした。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて中和し、上澄みの溶液を取り除いた。ジエチルエーテル、ヘキサン、メタノール、アセトン、クロロホルムにてそれぞれ洗浄して残った固体を減圧にして半日乾燥した。その後、減圧下200℃で4時間乾燥させた。褐色の粉末を収量63mg(収率97%)で得た。
IR (KBr, cm-1) : 3400, 2955, 2924, 1632, 1599, 1466, 1385, 1350, 1128, 1101, 1070, 1022, 966, 928, 881, 145, 800, 733
【産業上の利用可能性】
【0062】
この重縮合物は、色素増感太陽電池、非線形光学材料、触媒、センサーなどの機能性材料への応用が期待できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(1)で示されるポルフィリン化合物。
【化1】

但し、Qは、SiRm(OR)3-m(Rは炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、mは0〜2の整数を表し、互いのRは同一でも異なっていても良い)で示されるアルコキシシリル基であり、a、b、c、dは、0から5の整数を表し、総和が0であることはなく、互いのQは同一でも異なっていても良く、それぞれのQはベンゼン環に任意の位置で結合しても良い。
【請求項2】
次の一般式(2)で示されるポルフィリン化合物。
【化2】

但し、Qは、SiRm(OR)3-m(Rは炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、mは0〜2の整数を表し、互いのRは同一でも異なっていても良い)で示されるアルコキシシリル基である。
【請求項3】
5,10,15,20-テトラキス(4'-トリエトキシシリルフェニル)ポルフィリン或いは5,10,15,20-テトラキス(4'-ジエトキシメチルシリルフェニル)ポルフィリンで表されるポルフィリン化合物。
【請求項4】
次の一般式(3)で示されるベンズアルデヒド化合物とピロールを脱水縮合反応させることを特徴とする請求項1記載の一般式(1)で示されるポルフィリン化合物の製造方法。
【化3】

但し、Qは、SiRm(OR)3-m(Rは炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、mは0〜2の整数を表し、互いのRは同一でも異なっていても良い)で示されるアルコキシシリル基であり、pは1〜5の整数であり、互いのQは同一でも異なっていても良く、Qはベンゼン環に任意の位置で結合しても良い。
【請求項5】
ベンズアルデヒド化合物が、次の一般式(4)で示されることを特徴とする請求項4記載の製造方法。
【化4】

但し、Qは、SiRm(OR)3-m(Rは炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、mは0〜2の整数を表し、互いのRは同一でも異なっていても良い)で示されるアルコキシシリル基である。
【請求項6】
請求項4記載の一般式(3)で示されるベンズアルデヒド化合物。
【請求項7】
請求項5記載の一般式(4)で示されるベンズアルデヒド化合物。
【請求項8】
次の一般式(5)で示されるハロゲン化アリールアセタール化合物とマグネシウムを反応させて調製されるアリールマグネシウム化合物と、次の一般式(6)で示されるアルコキシシラン化合物を反応させ、シリル化アリールアセタール化合物を調製した後、ブレンステッド酸及び水を反応させて、脱アセタール化させることを特徴とする、請求項4記載の一般式(3)で示されるベンズアルデヒド化合物の製造方法。
【化5】

但し、R1、R2は、同一又は相異なっている炭素数1〜5のアルキル基を表し、互いに結合して環を形成していても良く、Xはハロゲン原子であり、ベンゼン環に任意の位置で結合していても良い。
【化6】

但し、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、mは0〜2の整数を表し、互いのRは同一でも異なっていても良い。
【請求項9】
ハロゲン化アリールアセタール化合物が次の一般式(7)で示されることを特徴とする請求項8記載の製造方法。
【化7】

但し、R1、R2は、同一又は相異なっている炭素数1〜5のアルキル基を表し、互いに結合して環を形成していても良く、Xはハロゲン原子である。
【請求項10】
請求項1ないし3いずれか1項に記載のポルフィリン化合物を酸と水或いは塩基と水の存在下に脱水縮合させることを特徴とする重縮合物の製造方法。
【請求項11】
請求項10記載の製造方法により得られる重縮合物。

【公開番号】特開2009−263235(P2009−263235A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110811(P2008−110811)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年11月1日 ケイ素化学協会発行の「The First Asian Silicon Symposium The 12th Symposium of the Society of Silicon Chemistry,Japan」に発表
【出願人】(504145364)国立大学法人群馬大学 (352)
【Fターム(参考)】