説明

アルコキシド化合物及び薄膜形成用原料

【課題】融点が低く液体の状態で輸送が可能であり且つ蒸気圧が大きく気化させやすく、CVD法等の化合物(プレカーサ)を気化させて薄膜を形成する方法において用いる薄膜形成用原料として好適なニッケル化合物を提供すること。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるアルコキシド化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の配位子を持つ新規なニッケルアルコキシド化合物、該化合物を含有してなる薄膜形成用原料に関する。
【背景技術】
【0002】
ニッケルを含有する薄膜は、主に抵抗膜、バリア膜等の電子部品の部材や、磁性膜等の記録メディア用の部材や、電極等の薄膜太陽電池用部材等に用いられている。
【0003】
上記の薄膜の製造法としては、火焔堆積法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、塗布熱分解法やゾルゲル法等のMOD法、化学気相成長法等が挙げられるが、組成制御性、段差被覆性に優れること、量産化に適すること、ハイブリッド集積が可能である等多くの長所を有しているので、ALD(Atomic Layer Deposition)法を含む化学気相成長(以下、単にCVDと記載することもある)法が最適な製造プロセスである。
【0004】
MOD法やCVD法においては、薄膜にニッケル原子を供給するプレカーサとして有機配位子を用いた化合物が使用されている。特許文献1でニッケルの3級アルコキシド化合物が報告され、特許文献2でニッケルのアルコキシドを用いたCVD法によるニッケル原子を含む複合酸化物薄膜の製造方法が報告されている。また、非特許文献1でニッケルの3級アルコキシド化合物を用いたALD法によるニッケル酸化膜の作成が報告されている。
【0005】
ニッケル化合物において、本発明の2級アルコキシド化合物については報告がなく、これを用いた薄膜の製造方法についても報告はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2008−537947号公報
【特許文献2】特開2006−063352号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J. Vac. Sci. Technol. A, Vol. 23, No.4, Jul/Aug 2005 1238-1243
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
CVD法等の化合物(プレカーサ)を気化させて薄膜を形成する方法において該化合物に求められる性質は、融点が低く液体の状態で輸送が可能であること、蒸気圧が大きく気化させやすいことである。従来のニッケル化合物は、これらの点で充分に満足し得る化合物ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、検討を重ねた結果、特定の2級アミノアルコールを配位子に用いたニッケルアルコキシド化合物が上記課題を解決し得ることを知見し、本発明に到達した。
【0010】
即ち、本発明は、下記一般式(I)で表されるアルコキシド化合物を提供するものである。
【0011】
【化1】

【0012】
また、本発明は、上記一般式(I)で表されるアルコキシド化合物を含有してなる薄膜形成用原料を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、蒸気圧が高く、常温もしくはわずかな加温により液体になる低融点なニッケルアルコキシド化合物を得ることができ、さらに該化合物をCVD法による薄膜形成用原料として用いることにより、CVD法によるニッケル含有薄膜の製造過程においてプレカーサの輸送性に優れ、基体への供給量の制御が容易であり、安定的に薄膜形成用原料を基体に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施例3で得られた化合物No.4のNMRチャートである。
【図2】図2は、実施例4で得られた化合物No.7のNMRチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のアルコキシド化合物及び該化合物を含有してなる薄膜形成用材料について、その好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0016】
上記一般式(I)において、R1で表される炭素数2〜4の直鎖又は分岐状アルキル基としては、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t―ブチル、イソブチルが挙げられ、R2、R3で表される炭素数1〜4の直鎖又は分岐状アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチルが挙げられる。本発明のアルコキシド化合物は、光学異性体を有する場合もあるがその光学異性により区別されるものではない。
【0017】
上記一般式(I)において、R1〜R3は、化合物を気化させる工程を有する薄膜の製造方法に用いる場合は、常温常圧下において液体状態であり蒸気圧が大きいものが好ましく、具体的には、R1はエチル基が好ましく、R2〜R3はどちらか一方又は双方がエチル基であることが好ましい。また、気化工程を伴わないMOD法による薄膜の製造方法に用いる場合は、R1〜R3は、使用される溶媒に対する溶解性、薄膜形成反応等によって任意に選択することができる。
【0018】
配位子中の末端ドナー基が金属原子に配位して環構造を形成した場合を下記一般式(II)に表す。本発明のアルコキシド化合物は、上記一般式(I)で代表して表しているが、下記一般式(II)と区別されるものではなく、両方を含む概念である。
【0019】
【化2】

【0020】
本発明のアルコキシド化合物の具体例としては、下記化合物No.1〜No.18が挙げられる。ただし、本発明は以下の例示化合物により何ら限定されるものではない。
【0021】
【化3】

【0022】
本発明のアルコキシド化合物は、その製造方法により特に制限されることはなく、周知の反応を応用して製造される。製造方法としては、該当するアミノアルコールを用いた周知一般のアルコキシド化合物の合成方法を応用すればよい。例えば、ニッケルのハロゲン化物、硝酸塩等の無機塩又はその水和物と、該当するアルコール化合物とをナトリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、水酸化ナトリウム、ナトリウムメチラート、アンモニア、アミン等の塩基の存在下で反応させる方法、ニッケルのハロゲン化物、硝酸塩等の無機塩又はその水和物と、該当するアルコール化合物のナトリウムアルコキシド、リチウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等のアルカリ金属アルコキシドとを反応させる方法、ニッケルのメトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、ブトキシド等の低分子アルコールのアルコキシド化合物と、該当するアルコール化合物とを交換反応させる方法、ニッケルのハロゲン化物、硝酸塩等の無機塩と反応性中間体を与える誘導体を反応させて、反応性中間体を得てから、これと該当するアルコール化合物を反応させる方法が挙げられる。
【0023】
上記の反応性中間体としては、ビス(ジアルキルアミノ)ニッケル、ビス(ビス(トリメチルシリル)アミノ)ニッケル等のニッケルのアミド化合物が挙げられる。
【0024】
尚、本発明のアルコキシド化合物は2級アルコキシド化合物であることに特徴があり、アミノアルコキシドを配位子として有するCu、Ti、Zr、Hf錯体では3級アルコキシド化合物が優れた特性を持つことに対して、本発明のアルコキシド化合物は特異な性質を示すものである。
【0025】
本発明のアルコキシド化合物は、ニッケルを含有する薄膜を製造するためのプレカーサとして用いることができるほか、有機合成用触媒、有機合成用原料等の用途に用いることもできる。
【0026】
本発明の薄膜形成用原料とは、上記で説明した本発明のアルコキシド化合物を薄膜のプレカーサとして含有するものであり、その形態は、該薄膜形成用原料が適用される製造プロセスによって異なる。本発明のアルコキシド化合物は、その物性から化学気相成長法用原料として特に有用である。つまり本発明の薄膜形成用原料は、化学気相成長法用原料であることが好ましい。
【0027】
本発明の薄膜形成用原料が化学気相成長法用原料である場合、その形態は使用される化学気相成長法の輸送供給方法等の手法により適宜選択されるものである。化学気相成長用原料として用いられる場合の本発明の薄膜形成用原料の形態の代表例としては、下記(1)及び(2)が挙げられる。
【0028】
(1)本発明のアルコキシド化合物を含むプレカーサそのものからなり、該アルコキシド化合物と該アルコキシド化合物以外のプレカーサとの比率は前者1モルに対し後者が0〜10モルであり、薄膜製造時に気体輸送法又は液体輸送法により輸送供給される薄膜形成用原料。
(2)本発明のアルコキシド化合物を含むプレカーサ及び有機溶剤を含有し、該アルコキシド化合物を含むプレカーサの含有量が0.01〜2.0モル/リットルであり、該アルコキシド化合物と該アルコキシド化合物以外のプレカーサとの比率は前者1モルに対し後者が0〜10モルであり、薄膜製造時に液体輸送法により輸送供給される薄膜形成用原料。
【0029】
化学気相成長法用原料として用いられる場合の本発明の薄膜形成用原料について、以下にさらに詳述する。
上記の輸送供給方法としては、化学気相成長法用原料を原料容器中で加熱及び/又は減圧することにより気化させ、必要に応じて用いられるアルゴン、窒素、ヘリウム等のキャリアガスと共に堆積反応部へと導入する気体輸送法、化学気相成長法用原料を液体又は溶液の状態で気化室まで輸送し、気化室で加熱及び/又は減圧することにより気化させて、堆積反応部へと導入する液体輸送法がある。気体輸送法の場合は、上記一般式(I)で表されるアルコキシド化合物そのものが化学気相成長用原料となり、液体輸送法の場合は、上記一般式(I)で表されるアルコキシド化合物そのもの又は該化合物を有機溶剤に溶かした溶液が化学気相成長法用原料となる。
【0030】
また、多成分系の化学気相成長法においては、化学気相成長法用原料を各成分独立で気化、供給する方法(以下、シングルソース法と記載することもある)と、多成分原料を予め所望の組成で混合した混合原料を気化、供給する方法(以下、カクテルソース法と記載することもある)がある。カクテルソース法の場合、二種以上の本発明のアルコキシド化合物のみによる混合物或いは混合溶液、一種以上の本発明のニッケルアルコキシド化合物と一種以上の他のプレカーサとの混合物或いは混合溶液が化学気相成長法用原料である。本発明のアルコキシド化合物と他のプレカーサとの混合物或いは混合溶液を化学気相成長法用原料とする場合、両者の混合比率は、所望する薄膜組成に応じて適宜選択されるが、一般的には本発明のアルコキシド化合物1モルに対し、他のプレカーサが0.01〜10モルの範囲から選択することが好ましく、0.1〜5モルの範囲から選択することがより好ましい。
【0031】
上記のCVD用原料に使用する有機溶剤としては、特に制限を受けることはなく周知一般の有機溶剤を用いることが出来る。該有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等の酢酸エステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;1−シアノプロパン、1−シアノブタン、1−シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノベンゼン等のシアノ基を有する炭化水素類;ピリジン、ルチジンが挙げられ、これらは、溶質の溶解性、使用温度と沸点、引火点の関係等により、単独で又は二種類以上の混合溶媒として用いられる。これらの有機溶剤を使用する場合、該有機溶剤中における本発明のアルコキシド化合物及び他のプレカーサの合計量が0.01〜2.0モル/リットル、特に0.05〜1.0モル/リットルとなるようにするのが好ましい。
【0032】
また、多成分系のCVD法の場合において、本発明のアルコキシド化合物と共に用いられる他のプレカーサとしては、特に制限を受けず、CVD用原料に用いられている周知一般のプレカーサを用いることができる。
【0033】
上記の他のプレカーサとしては、アルコール化合物、グリコール化合物、β−ジケトン化合物、シクロペンタジエン化合物及び有機アミン化合物等から選択される一種類又は二種類以上の有機配位化合物と珪素や金属との化合物が挙げられる。また、プレカーサの金属種としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムが挙げられる。
【0034】
上記の有機配位化合物として用いられるアルコール化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、t−アミルアルコール等のアルキルアルコール類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−メトキシ−1−メチルエタノール、2−メトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−エトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−イソプロポキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−ブトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)−1,1−ジメチルエタノール、2−プロポキシ−1,1−ジエチルエタノール、2−s−ブトキシ−1,1−ジエチルエタノール、3−メトキシ−1,1−ジメチルプロパノール等のエーテルアルコール類;本発明のアルコキシド化合物を与えるジアルキルアミノアルコールが挙げられる。
【0035】
上記の有機配位化合物として用いられるグリコール化合物としては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,4−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオールが挙げられる。
【0036】
上記の有機配位化合物として用いられるβ−ジケトン化合物としては、アセチルアセトン、ヘキサン−2,4−ジオン、5−メチルヘキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、2−メチルヘプタン−3,5−ジオン、5−メチルヘプタン−2,4−ジオン、6−メチルヘプタン−2,4−ジオン、2,2−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6−トリメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、2,2,6−トリメチルオクタン−3,5−ジオン、2,6−ジメチルオクタン−3,5−ジオン、2,9−ジメチルノナン−4,6−ジオン、2−メチル−6−エチルデカン−3,5−ジオン、2,2−ジメチル−6−エチルデカン−3,5−ジオン等のアルキル置換β−ジケトン類;1,1,1−トリフルオロペンタン−2,4−ジオン、1,1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチルヘキサン−2,4−ジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタン−2,4−ジオン、1,3−ジパーフルオロヘキシルプロパン−1,3−ジオン等のフッ素置換アルキルβ−ジケトン類;1,1,5,5−テトラメチル−1−メトキシヘキサン−2,4−ジオン、2,2,6,6−テトラメチル−1−メトキシヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6,6−テトラメチル−1−(2−メトキシエトキシ)ヘプタン−3,5−ジオン等のエーテル置換β−ジケトン類が挙げられる。
【0037】
上記の有機配位化合物として用いられるシクロペンタジエン化合物としては、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、プロピルシクロペンタジエン、イソプロピルシクロペンタジエン、ブチルシクロペンタジエン、s−ブチルシクロペンタジエン、イソブチルシクロペンタジエン、t−ブチルシクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、テトラメチルシクロペンタジエン等が挙げられ、有機配位化合物として用いられる有機アミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、s−ブチルアミン、t−ブチルアミン、イソブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、プロピルメチルアミン、イソプロピルメチルアミン等が挙げられる。
【0038】
上記の他のプレカーサは、シングルソース法の場合は、本発明のアルコキシド化合物と、熱及び/又は酸化分解の挙動が類似している化合物が好ましく、カクテルソース法の場合は、熱及び/又は酸化分解の挙動が類似していることに加え、混合時に化学反応による変質を起こさないものが好ましい。
【0039】
また、本発明の薄膜形成用原料には、必要に応じて、本発明のアルコキシド化合物及び他のプレカーサの安定性を付与するため、求核性試薬を含有させてもよい。該求核性試薬としては、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のエチレングリコールエーテル類、18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、ジベンゾ−24−クラウン−8等のクラウンエーテル類、エチレンジアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、トリエトキシトリエチレンアミン等のポリアミン類、サイクラム、サイクレン等の環状ポリアミン類、ピリジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、オキサゾール、チアゾール、オキサチオラン等の複素環化合物類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−2−メトキシエチル等のβ−ケトエステル類又はアセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、ジピバロイルメタン等のβ−ジケトン類が挙げられ、これら安定剤としての求核性試薬の使用量は、プレカーサ1モルに対して0.1モル〜10モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは1〜4モルである。
【0040】
本発明の薄膜形成用原料には、これを構成する成分以外の不純物金属元素分、不純物塩素等の不純物ハロゲン分、及び不純物有機分が極力含まれないようにする。不純物金属元素分は、元素毎では100ppb以下が好ましく、10ppb以下がより好ましく、総量では、1ppm以下が好ましく、100ppb以下がより好ましい。特に、LSIのゲート絶縁膜、ゲート膜、バリア層として用いる場合は、得られる薄膜の電気的特性に影響のあるアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、及び、同属元素の含有量を少なくすることが必要である。不純物ハロゲン分は、100ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、1ppm以下がさらに好ましい。不純物有機分は、総量で500ppm以下が好ましく、50ppm以下がより好ましく、10ppm以下がさらに好ましい。また、水分は、化学気相成長用原料中でのパーティクル発生や、薄膜形成時におけるパーティクル発生の原因となるので、金属化合物、有機溶剤、及び、求核性試薬については、それぞれの水分の低減のために、使用の際にあらかじめできる限り水分を取り除いた方がよい。金属化合物、有機溶剤及び求核性試薬それぞれの水分量は、10ppm以下が好ましく、1ppm以下がさらに好ましい。
【0041】
また、本発明の薄膜形成用原料は、形成される薄膜のパーティクル汚染を低減又は防止するために、パーティクルが極力含まれないようにするのが好ましい。具体的には、液相での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定において、0.3μmより大きい粒子の数が液相1ml中に100個以下であることが好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1ml中に1000個以下であることがより好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1ml中に100個以下であることが更に好ましい。
【0042】
本発明の薄膜形成用原料を化学気相成長法用原料として用いる場合の使用方法(薄膜製造方法)について、具体的に説明する。該薄膜製造方法は、本発明のアルコキシド化合物及び必要に応じて用いられる他のプレカーサを気化させた蒸気、並びに必要に応じて用いられる反応性ガスを基板上に導入し、次いで、プレカーサを基板上で分解及び/又は反応させて薄膜を基板上に成長、堆積させる化学気相成長法によるものである。化学気相成長法の過程において、触媒を用いることができ、原料の輸送供給方法、堆積方法、製造条件、製造装置等については、特に制限を受けるものではなく、周知一般の条件、方法を用いることができる。
【0043】
上記の必要に応じて用いられる反応性ガスとしては、例えば、酸化性のものとしては酸素、オゾン、二酸化窒素、一酸化窒素、水蒸気、過酸化水素、ギ酸、酢酸、無水酢酸等が挙げられ、還元性のものとしては水素やアンモニアや有機金属化合物等が挙げられ、また、窒化物を製造するものとしては、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルキレンジアミン等の有機アミン化合物、ヒドラジン、アンモニア等が挙げられる。
【0044】
また、上記触媒としては、タングステン等の高融点金属が挙げられる。
【0045】
また、上記の輸送供給方法としては、前記に記載の気体輸送法、液体輸送法、シングルソース法、カクテルソース法等が挙げられる。
【0046】
また、上記の堆積方法としては、原料ガス又は原料ガスと反応性ガスを熱のみにより反応させ薄膜を堆積させる熱CVD,熱とプラズマを使用するプラズマCVD、熱と光を使用する光CVD、熱、光及びプラズマを使用する光プラズマCVD、CVDの堆積反応を素過程に分け、分子レベルで段階的に堆積を行うALDが挙げられる。
【0047】
また、上記の製造条件としては、反応温度(基板温度)、反応圧力、堆積速度等が挙げられる。反応温度については、本発明のアルコキシド化合物が充分に反応する温度である100℃以上が好ましく、150℃〜300℃がより好ましい。また、反応圧力は、熱CVD、光CVDの場合、大気圧〜10Paが好ましく、プラズマを使用する場合は、2000Pa〜10Paが好ましい。
また、堆積速度は、原料の供給条件(気化温度、気化圧力)、反応温度、反応圧力によりコントロールすることが出来る。堆積速度は、大きいと得られる薄膜の特性が悪化する場合があり、小さいと生産性に問題を生じる場合があるので、0.01〜5000nm/分が好ましく、0.1〜1000nm/分がより好ましい。また、ALDの場合は、所望の膜厚が得られるようにサイクルの回数でコントロールされる。
【0048】
例えば、ニッケル薄膜をCVD法により形成する場合は、まず、上述したように、本発明のアルコキシド化合物及び必要に応じて用いられる他のプレカーサを気化させた蒸気、並びに必要に応じて用いられる反応性ガスを基板上に導入する(原料導入工程)。本発明のアルコキシド化合物は、室温〜200℃で蒸発させることが好ましい。また本発明のアルコキシド化合物を蒸発させる際の圧力は、0.01〜300Paであることが好ましい。前記で説明した原料導入工程の次に、堆積反応部に導入したニッケルアルコキシド化合物により、基体上に前駆体薄膜を成膜させる(前駆体薄膜成膜工程)。このときに、基体を加熱するか、堆積反応部を加熱して、熱を加えてもよい。この工程で成膜される前駆体薄膜は、ニッケル薄膜、又は、ニッケルアルコキシド化合物の一部が分解及び/又は反応して生成した薄膜であり、目的のニッケル薄膜とは異なる組成を有する。本工程が行われる温度は、室温〜400℃が好ましく、150〜300℃がより好ましい。
【0049】
次に、堆積反応部から、未反応のニッケルアルコキシド化合物ガスや副生したガスを排気する(排気工程)。未反応のニッケルアルコキシド化合物ガスや副生したガスは、堆積反応部から完全に排気されるのが理想的であるが、必ずしも完全に排気される必要はない。排気方法としては、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスにより系内をパージする方法、系内を減圧することで排気する方法、これらを組み合わせた方法等が挙げられる。減圧する場合の減圧度は、0.01〜300Paが好ましく、0.01〜100Paがより好ましい。
【0050】
次に、堆積反応部に還元性ガスを導入し、該還元性ガス、又は還元性ガス及び熱の作用により、先の前駆体薄膜成膜工程で得た前駆体薄膜からニッケル薄膜を形成する(ニッケル薄膜形成工程)。本工程において熱を作用させる場合の温度は、室温〜400℃が好ましく、150〜300℃がより好ましい。本発明のアルコキシド化合物は、還元性ガスとの反応性が良好であり、ニッケル薄膜を得ることができる。
【0051】
上記の原料導入工程、前駆体薄膜成膜工程、排気工程、及び、ニッケル薄膜形成工程からなる一連の操作による薄膜堆積を1サイクルとし、このサイクルを必要な膜厚の薄膜が得られるまで複数回繰り返してもよい(ALD法)。この場合、1サイクル行った後、上記排気工程と同様にして、堆積反応部から未反応のニッケルアルコキシド化合物ガス及び還元性ガス、さらに副成したガスを排気した後、次の1サイクルを行うことが好ましい。
【0052】
また、ニッケル薄膜のALD法による形成においては、プラズマ、光、電圧等のエネルギーを印加してもよい。これらのエネルギーを印加する時期は、特には限定されず、例えば、原料導入工程におけるニッケルアルコキシド化合物ガス導入時、ニッケル薄膜成膜工程又はニッケル薄膜形成工程における加温時、排気工程における系内の排気時、ニッケル薄膜形成工程における還元性ガス導入時でもよく、上記の各工程の間でもよい。
【0053】
また、本発明の薄膜形成用原料を用いて薄膜を製造する際には、薄膜堆積の後に、より良好な電気特性を得るために不活性雰囲気下、酸化性雰囲気下又は還元性雰囲気下でアニール処理を行ってもよく、段差埋め込みが必要な場合には、リフロー工程を設けてもよい。この場合の温度は、250〜1000℃であり、300〜500℃が好ましい。
【0054】
本発明の薄膜形成用原料を用いて製造された薄膜は、他の成分のプレカーサ、反応性ガス及び製造条件を適宜選択することにより、メタル、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、ガラス等の所望の種類の薄膜とすることができる。製造される薄膜の組成としては、例えば、金属ニッケル、ニッケル系酸化物、ニッケル系窒化物や、Ni−Ti、Ni−Cr、Ni−V、Ni−Cu、Ni−Cr−Si、Ni−Cr−Al、Ni−W、AuGeNi及びNiP2のようなニッケル系合金等が挙げられ、これらの用途としては電極膜、バリア膜、抵抗膜、磁性膜、液晶用バリアメタル膜、薄膜太陽電池用部材、半導体装置用部材、ナノ構造体、水素貯蔵合金、及び微小電気機械アクチュエータ等が挙げられる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
【0056】
[実施例1]化合物No.1の製造
アルゴンガス雰囲気下で、反応フラスコにヘキサアンミンニッケル(II)塩化物12.77g、脱水処理をしたトルエン40.37gを仕込み、室温下で撹拌した。そこに、脱水処理したトルエン68.70gに1−(N,N−ジメチルアミノ)−2−ブトキシドナトリウム15.17gを溶解させた溶液を室温下で徐々に加えた。その後、約8時間還流させてからろ過を行った。得られたろ液からトルエンを除去し、固体残渣を得た。その固体残渣を150Paの減圧下、120℃で昇華させ、緑色固体を得た。この精製による回収率は60%であった。得られた緑色固体は、融点84℃であり、元素分析及び1H−NMR分析の結果、目的化合物である化合物No.1であることが確認された。これらの分析結果を以下に示す。以下には、TG−DTAの結果も併せて示す。
【0057】
(分析値)
(1)元素分析(金属分析:ICP−AES、塩素分析:TOX)
ニッケル;17.1質量%(理論値20.2%)、Na;1ppm未満、Cl;1ppm未満
C:45.2質量%、H:9.1質量%、N:9.0質量%(理論値;C:49.5%、H:9.7%、N:9.6%)
(2)1H−NMR(溶媒:重ベンゼン)(ケミカルシフト:多重度:H数)
(0.99:t:3)(1.28:m:2)(1.42:m:1)(2.0:m:4)(2.53:d:3)(3.32:m:1)
(3)TG−DTA(Ar100ml/min、10℃/min昇温、サンプル量9.172mg)
50質量%減少温度183℃
【0058】
[実施例2]化合物No.3の製造
アルゴンガス雰囲気下で、反応フラスコにヘキサアンミンニッケル(II)塩化物12.54g、脱水処理をしたトルエン36.27gを仕込み、室温下で撹拌した。そこに、脱水処理したトルエン52.46gに1−(N,N−ジメチルアミノ)−2−ヘキソキシドナトリウム18.06gを溶解させた溶液を室温下で徐々に加えた。その後、約8時間還流させてからろ過を行った。得られたろ液からトルエンを除去し、固体残渣を得た。その固体残渣を150Paの減圧下、140℃で昇華させ、緑色固体を得た。この精製による回収率は68%であった。得られた緑色固体は、融点96℃であり、元素分析及び1H−NMR分析の結果、目的化合物である化合物No.3であることが確認された。これらの分析結果を以下に示す。以下には、TG−DTAの結果も併せて示す。
【0059】
(分析値)
(1)元素分析(金属分析:ICP−AES、塩素分析:TOX)
ニッケル;15.5質量%(理論値16.9%)、Na;1ppm未満、Cl;1ppm未満
C:50.2質量%、H:9.9質量%、N:9.5質量%(理論値;C:55.4%、H:10.5%、N:8.1%)
(2)1H−NMR(溶媒:重ベンゼン)(ケミカルシフト:多重度:H数)
(0.95:t:3)(1.39:m:6)(1.55:m:3)(1.99:m:1)(2.24:m:4)(2.54:d:3)(3.40:m:1)
(3)TG−DTA(Ar100ml/min、10℃/min昇温、サンプル量9.439mg)
50質量%減少温度223℃
【0060】
[実施例3]化合物No.4の製造
アルゴンガス雰囲気下で、反応フラスコにヘキサアンミンニッケル(II)塩化物125.13g、脱水処理をしたトルエン638gを仕込み、室温下で撹拌した。そこに、脱水処理したトルエン241.5gに1−(N,N−エチルメチルアミノ)−2−ブトキシドナトリウム165.30gを溶解させた溶液を室温下で徐々に加えた。その後、約8時間還流させてからろ過を行った。得られたろ液からトルエンを除去し、液体残渣を得た。その液体残渣を減圧蒸留し、100Pa、塔頂温度105〜106℃のフラクションを分取し、濃緑色液体を得た。この精製による回収率は80%であった。得られた濃緑色液体は、元素分析及び1H−NMR分析の結果、目的化合物である化合物No.4であることが確認された。これらの分析結果を以下に示す。以下には、TG−DTAの結果も併せて示す。
【0061】
(分析値)
(1)元素分析(金属分析:ICP−AES、塩素分析:TOX)
C:46.5質量%、H:9.6質量%、N:8.5質量%(理論値;C:52.7%、H:10.1%、N:8.8%)
Ni:17.8質量% (理論値18.4%)
(2)1H−NMR(溶媒:重ベンゼン)(ケミカルシフト:多重度:H数)
得られたNMRチャートを図1に示す。
(3)TG−DTA(Ar100ml/min、10℃/min昇温、サンプル量10.796mg)
50質量%減少温度195℃
【0062】
[実施例4]化合物No.7の製造
アルゴンガス雰囲気下で、反応フラスコにヘキサアンミンニッケル(II)塩化物12.55g、脱水処理をしたトルエン42.64gを仕込み、室温下で撹拌した。そこに、脱水処理したトルエン61.2gに1−(N,N−ジエチルアミノ)−2−ブトキシドナトリウム18.06gを溶解させた溶液を室温下で徐々に加えた。その後、約8時間還流させてからろ過を行った。得られたろ液からトルエンを除去し、液体残渣を得た。その液体残渣を減圧蒸留し、120Pa、塔頂温度102〜103℃のフラクションを分取し、濃緑色液体を得た。この精製による回収率は66%であった。得られた濃緑色液体は、元素分析及び1H−NMR分析の結果、目的化合物であるNo.7であることが確認された。これらの分析結果を以下に示す。以下には、TG−DTAの結果も併せて示す。
【0063】
(分析値)
(1)元素分析(金属分析:ICP−AES、塩素分析:TOX)
C:45.5質量%、H:9.1質量%、N:6.5質量%(理論値;C:55.4%、H:10.5%、N:8.1%)
Ni:16.4質量% (理論値;16.9%)
(2)1H−NMR(溶媒:重ベンゼン)(ケミカルシフト:多重度:H数)
得られたNMRチャートを図2に示す。
(3)TG−DTA(Ar100ml/min、10℃/min昇温、サンプル量10.568mg)
50質量%減少温度206℃
【0064】
ニッケル化合物の物性評価
上記実施例1〜4によりそれぞれ得られた化合物No.1(実施例1)、3(実施例2)、4(実施例3)、7(実施例4)及び下記に示す比較化合物1(比較例1)、2(比較例2)について、目視によって常温常圧における化合物の状態を観察し、固体化合物については微小融点測定装置を用いて融点を測定し、且つ各化合物の沸点を測定した。結果を表1に示す。
【0065】
【化4】

【0066】
【表1】

【0067】
上記表1より、比較例1、2は融点が100℃を超える固体であるのに対して、実施例1、2、3、4は液体又はわずかな加温により液体になる低融点の化合物であることが確認できた。
また、比較例1、2の固体化合物は昇華性が高く、化学気相成長用原料として用いる際に、安定的に液体状態で原料を供給することが困難であることがわかった。このような昇華性が高い化合物は、化学気相成長法における基体への化学気相成長用原料の導入工程において、基材への該原料の供給量の制御が著しく困難である。本発明のアルコキシド化合物は、常温で液体もしくはわずかな加温により液体となることから化学気相成長法における基体への化学気相成長用原料の導入工程において、該原料を基体へ安定的に供給できる点及び供給量の制御性が容易である点で有利である。
これらのことから、本発明のアルコキシド化合物は薄膜形成用原料として好適であることが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表されるアルコキシド化合物。
【化1】

【請求項2】
上記一般式(I)においてR1がエチル基である請求項1記載のアルコキシド化合物。
【請求項3】
上記一般式(I)においてR2及びR3のいずれか一方又は双方がエチル基である請求項1又は2記載のアルコキシド化合物。
【請求項4】
薄膜形成用原料である請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルコキシド化合物。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルコキシド化合物を含有してなる薄膜形成用原料。
【請求項6】
化学気相成長法用原料として用いられる請求項5記載の薄膜形成用原料。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルコキシド化合物を含むプレカーサそのものからなり、該アルコキシド化合物と該アルコキシド化合物以外のプレカーサとの比率は前者1モルに対し後者が0〜10モルであり、薄膜製造時に気体輸送法又は液体輸送法により輸送供給される請求項6記載の薄膜形成用原料。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルコキシド化合物を含むプレカーサ及び有機溶剤を含有し、該アルコキシド化合物を含むプレカーサの含有量が0.01〜2.0モル/リットルであり、該アルコキシド化合物と該アルコキシド化合物以外のプレカーサとの比率は前者1モルに対し後者が0〜10モルであり、薄膜製造時に液体輸送法により輸送供給される請求項6記載の薄膜形成用原料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−32309(P2013−32309A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169103(P2011−169103)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】