説明

アルコキシル化されたジアリルアミン誘導体を含有する水溶性の又は水の中で分散可能なポリマー

本発明は、アルコキシル化されたジアリルアミン誘導体、エチレン系の不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸、これらの無水物又はこれらの混合物、並びに場合により1つ又は複数の他のエチレン系の不飽和モノマーを含有する水溶性の又は水の中で分散可能なポリマー、その製造方法、並びに無機建築材料における添加剤、洗剤又は化粧品における添加剤としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコキシル化されたジアリルアミン誘導体、エチレン系の不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸、これらの無水物又はこれらの混合物、並びに場合により1つ又は複数の他のエチレン系の不飽和モノマーを含有する水溶性の又は水の中で分散可能なポリマー、その製造方法、並びに無機建築材料における添加剤、洗剤又は化粧品組成物における添加剤としての使用方法に関する。
【0002】
US3,585,148は、エトキシル化されたジアリルアミンとアクリルアミドとの共重合、並びに非油性の連続相内で分散した油における解乳化剤としての使用を記載している。
【0003】
ポリエトキシル化されたジアリルアミンのコンタクトレンズにおける耐殺菌作用は、DE2916698で請求されている。
【0004】
ポリエトキシル化されたジアリルアミンの洗剤における使用は、EP111965及びEP112592で請求されている。同様にジアリルアミンからなるエトキシル化されたジアリルアミンの合成、並びにホモポリマーの製造が開示されている。コポリマーは開示されていない。
【0005】
ポリエーテル側鎖を有するポリカルボキシラートもしくは不飽和酸とポリエーテルマクロモノマーとからなるコポリマー、及びコンクリート可塑剤もしくはセメント分散剤としてのその使用が公知である。
【0006】
EP736553は、不飽和ジカルボン酸(無水マレイン酸)と、アクリル酸誘導体又はメタクリル酸誘導体を20モル%まで含んでよいアルコキシル化されたアルケニルエーテル(例えば、エトキシル化されたアリルアルコール)とからなるコポリマーを記載している。
【0007】
DE19653524は、カルボキシル基及びポリアルキレンオキシド側鎖を含有する水溶性の又は水分散が可能なポリマーを記載している。
【0008】
EP850994は、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル−モノマーと無水マレイン酸とから製造されるセメント添加剤を記載している。
【0009】
EP850895は、ポリアルキレンオキシド側鎖を有するポリカルボン酸からなるセメント分散剤を記載している。
【0010】
EP1118598は、同様にポリアルキレンオキシド側鎖を有するポリカルボン酸からなるセメント分散剤を記載している。ここではモノマーとしてエトキシル化されたアリルアルコール及びエトキシル化されたメタリルアルコールも使用される。
【0011】
WO01/21542は、Rが水素又はメチルであり、RがC〜C−アルキレンであり、Rが水素又はメチルであり、且つmが1〜300の整数であるタイプCH=CRCHO(RO)の少なくとも1つの化合物(A)及びRが水素又はメチルであり、RがC〜C−アルキレンであり、Rが水素又はメチルであり、且つnが1〜300の整数であるCH=CRCOO(RO)の少なくとも1つの化合物(B)及び(C)マレイン酸又は無水マレイン酸の群から選択される少なくとも1つの化合物及び(D)アクリル酸、メタクリル酸又はイタコン酸の群から選択される少なくとも1つの化合物の重合及び引き続くコポリマーの中和により得られるセメント分散剤を記載している。
【0012】
要約すれば、従来技術より公知の添加剤は本発明による使用において更に改良される必要があると言うことができる。
【0013】
とりわけ、水/結合剤−比が低い場合、通常、無機建築材料における添加剤の液化作用はまだ十分ではないか、又は短時間に亘ってのみ持続するに過ぎない。たしかに、可塑剤をやや多めに供給することでこの不足を部分的に補うことができるが、しかし、ふつうこのような処理方法は不経済であると同時に、たとえ機械的強度を得られても著しい損害を被るか、又は少なくとも結合速度が遅くなり許容できない結果となる。
【0014】
そのため本発明は、公知の添加剤に比べて無機建築材料における液化作用の点で有利な、とりわけ無機建築材料のための添加剤を提供するという課題に基づいている。
【0015】
ところで、意想外に、
(a)少なくとも1のアルコキシル化されたジアリルアミン誘導体(モノマーA)
(b)少なくとも1のエチレン系の不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸、これらの無水物又はこれらの混合物(モノマーB)、並びに
(c)場合により1つ又は複数の他のエチレン系の不飽和モノマーC
を含有する水溶性の又は水の中で分散可能なポリマーが、洗剤、化粧品及び、とりわけ無機建築材料における添加剤として有利な特性を有していることが判明した。
【0016】
本発明による化合物は、セメント建築材料に際立った液化作用を有するにも関わらず、結合挙動又は凝結硬化した建築材料の強度に関してはそれほど不利にはならない。
【0017】
更に発明の対象は、洗剤、化粧品、無機建築材料におけるポリマーの使用、並びに本発明によるポリマーを含有する無機建築材料、洗剤又は化粧品、並びにその製造方法である。
【0018】
有利な実施態様では、モノマーAとして少なくとも1の一般式I
【0019】
【化1】

[式中、
AOは、C〜C12−アルキレンオキシド、スチレンオキシド又はこれらの2種類以上の混合物であり、この際2以上の種類はブロック型又はランダム型のいずれかの状態で相互に結合していてよく、
nは、2〜200の整数であり、
は、水素、C〜C20−アルキル、C〜C10−シクロアルキル又は、場合により置換されたベンジル基であり、且つ
は、水素、C〜C30−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C20−アリール、C〜C30−アルカノイル、C〜C21−アロイル、硫酸(モノ)エステル、リン酸エステル、NR′R″、NR′R″R′″3+であり、且つ
R′、R″、R′″は、そのつど互いに無関係に、同じか又は異なっていてよく、且つ水素、直鎖状あるいは分枝鎖状のC〜C20−アルキル基又は直鎖状あるいは分枝鎖状のC〜C20−ヒドロキシアルキル基である]
の化合物が使用される。
【0020】
同様に有利な実施態様では、モノマーBとして少なくとも1の一般式II
【0021】
【化2】

[式中、
、Rは、互いに無関係に、同じか又は異なっていてよく、且つ水素又はC〜C−アルキルであり、
は、水素、C〜C−アルキル又は基COOMであり、且つ
Mは、水素、1価もしくは2価の金属イオン、アンモニウム又は有機アンモニウムイオンである]の化合物又はこれらの無水物が使用される。
【0022】
無機建築材料は主成分として無機結合剤、例えば石灰、セッコウ及び/又は、とりわけセメント並びに添加物として役立つ砂粒、砂礫、砕石又はそれ以外の充填材、例えば天然繊維又は合成繊維を含有している組成物と解釈される。通常、無機建築材料は水と一緒に無機結合剤及び添加物を混合することで使用可能な組成物に変わり、これは放置していると、次第に空気に触れながらか、又は水の中でも石質状に硬化する。
【0023】
脚注:水の中ではセメントの場合硬化するが、石灰の場合硬化せず、またセッコウの場合は硬化するが不完全である。
【0024】
〜C12−アルキレンオキシドは、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1−ブチレンオキシド、ブチレンオキシドの異性体、高級アルキレンオキシド、例えばドデセンオキシド、スチレンオキシド、並びに任意の順序での酸化物の混合物であり、この際エチレンオキシドの含有率は少なくとも40%であるべきである。有利に、アルキレンオキシドはエチレンオキシド、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合物である。
【0025】
nは、2〜200の整数、有利に5〜150、とりわけ有利に10〜100の整数である。
【0026】
〜C20−アルキル基は、20までの、有利に1〜10の炭素原子を有する線状又は分枝鎖状の飽和炭化水素鎖、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、1−デシル、1−ドデシル等、有利にメチル、エチル、n−プロピル又はi−プロピルであると理解する。
【0027】
〜C−シクロアルキル基は、場合により1、2、3又は4のC〜C−アルキル基により置換されていてもよいシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルから選択される5〜8の炭素原子を有する脂環式基であると理解する。
【0028】
〜C20−アリールは、アルキレン単位を介して結合しており、且つ6〜20の炭素原子を有してよいアリール基、例えばベンジル、フェニル、又はエチルフェニルである。
【0029】
〜C30−アルカノイルは、脂肪族カルボン酸から誘導され、それゆえホルミル以外にカルボニル基を介して結合しているアルキル基を包含する基である。
【0030】
〜C21−アロイルは、C〜C21−アリールカルボニルに相当し、且つアリール基であり、これはカルボニル基を介して結合しており、それゆえ安息香酸及びナフトエ酸の誘導体から誘導される。
【0031】
1価又は2価の金属イオンは、周期表の1主族及び2主族の元素の陽イオン、つまりLi、Na、K、Rb、Cs、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、及びBa2+、並びにAg、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Cd2+、Sn2+、Pb2+、Ce2+である。有利なのは、アルカリ及びアルカリ土類金属の陽イオン、Li、Na、K、Rb、Cs、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、及びBa2+、並びにZn2+である。とりわけ有利なのは、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、及びZn2+である。
【0032】
有機アンモニウムイオンは、1価のイオンであり、これは1〜10の炭素原子を有するモノアルキルアミン、ジアルキルアミンあるいはトリアルキルアミン、又はモノアルカノールアミン、ジアルカノールアミンあるいはトリアルカノールアミンのプロトン化により生じる。モノアルキルアミン、ジアルキルアミン又はトリアルキルアミンのための例は、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンである。モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン及びトリアルカノールアミンのための例は、2−アミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンである。
【0033】
は、有利に水素、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、又はベンジル、とりわけ有利に水素又はメチルである。
【0034】
は、有利に水素、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、又はフェニル、とりわけ有利に水素又はメチルである。
【0035】
及びRは、有利に水素又はメチルである。
【0036】
は、有利に水素、メチル又は基COOMである。
【0037】
Mは、有利に水素又は1価の金属イオンである。
【0038】
R′、R″、R′″は、有利に水素、メチル、エチル、又は2−ヒドロキシエチルである。
【0039】
モノマーAとして、2〜100モルのアルキレンオキシドでアルコキシル化されたジアリルアミンが有利に使用され、これは他の基Rとして、有利に水素又はメチルを有する。その際、有利なアルキレンオキシドは、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドであり、これは単独で、ランダム又はブロック配列でモノマーA中に存在しうる。
【0040】
モノマーBとして、有利にモノエチレン系の不飽和C〜C−モノカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸又は2−エチルプロペン酸、エチレン系の不飽和C〜C−ジカルボン酸、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸又はこれらの無水物、例えば無水マレイン酸又はこれらのナトリウム塩、カリウム塩あるいはアンモニウム塩が使用される。
【0041】
モノマーA及びB以外に、場合によりポリマーは更にモノマーCを含有してもよい。モノマーCとして、例えばアクリル酸、メタクリル酸あるいはマレイン酸のC〜C−アルキルエステル又はC〜Cヒドロキシアルキルエステル、又は2〜50モルのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はこれらの混合物でアルコキシル化されたC〜C18−アルコールと、アクリル酸、メタクリル酸あるいはマレイン酸とのエステル、例えばヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシエチルメタクリラート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、ブチル(メタ)アクリラートを使用することができる。
【0042】
モノマーA対モノマーBのモル比は、1:1〜1:6、有利に1:2〜2:5である。
【0043】
有利なポリマーは、モノマーAを1〜70モル%、モノマーBを10〜99モル%、及びモノマーCを0〜50モル%含有している。
【0044】
アルキレンオキシドの製造は、例えば複数の工程でジアリルアミンをアルコキシル化することにより行うことができる。第一の工程では、ジアリルアミンを溶剤の存在下か、又は更に純粋な形で少なくとも1当量のアルキレンオキシドにより反応させる。こうして得られる前駆体を触媒の存在下で更にアルキレンオキシドと反応させ、この際アルキレンオキシドを重合するための従来技術から公知の全ての触媒を使用することができ、この際アルキレンオキシドを重合するための従来技術から公知の全ての、且つアミンと相溶性の触媒が適している。いくつかの触媒についての概要は、例えばF.E.Bailey、Jr、J.V.Koleske、Alkylene Oxides and their Polymers、NY and Basel 1991、第35ページ以降に記載されている。とりわけ有利に、塩基性の触媒、例えばNaOH、KOH、CsOH、KotBu、NaOMe又は塩基とクラウンエーテルとの混合物が使用される。
【0045】
アルキレンオキシドとジアリルアミンとからなる付加生成物は更に官能化することができる。例えばアルキル化剤により四級化してよく、OH−基はスルファート、スルホナート、ホスファート又はホスホナートに変換してよい。次いで、陽イオン、陰イオン、又はベタイン構造が結果として生じる。
【0046】
ポリマーは、通例の重合方法に従って塊状重合、溶液重合として、且つモノマーが難溶性を示す場合は乳化重合、分散重合又は懸濁重合としても実施することができる。同様に反応混合物中でポリマーが難溶性を十分に示す場合は、沈殿重合として重合を実施してよい。
【0047】
前記の重合方法の場合は、有利に酸素の排除下、とりわけ窒素流中で処理する。全ての重合方法のために、通例の装置、例えば攪拌反応器、攪拌反応器カスケード、オートクレーブ、管型反応器及び混練器を使用する。有利なのは溶液重合及び乳化重合による方法である。本発明によるポリマーの製造をラジカル、水性、乳化重合により行う場合、反応媒体に界面活性剤又は保護コロイドを添加することが推奨される。適切な乳化剤及び保護コロイドの一覧は、例えばHouben Weyl、有機化学の方法、第XIV15/1巻高分子物質、Georg Thieme Verlag、Stuttgart 1961、第411ページ以降に記載されている。
【0048】
重合は、溶剤又は希釈剤中で、例えばトルエン、o−キシレン、p−キシレン、クメン、クロロベンゼン、エチルベンゼン、アルキル芳香族化合物の工業的な混合物、シクロヘキサン、工業的な脂肪族化合物の混合物、アセトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、グリコール及びグリコール誘導体、ポリアルキレングリコール及びこれらの誘導体、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、酢酸メチルエステル、イソプロパノール、エタノール、水又は混合物、例えばイソプロパノール/水−混合物中で実施することができる。有利に溶剤又は希薄剤として水が使用されるが、場合により60質量%までのアルコール又はグリコールと一緒に使用される。とりわけ有利に水が使用される。
【0049】
重合は、20〜300、有利に40〜150℃の温度で実施することができる。重合条件の選択次第で、例えば1000〜100000、有利に5000〜50000の質量平均分子量(M)を調節することができる。Mはゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される。
【0050】
重合は、有利に遊離基を形成する化合物の存在下で実施される。重合の際に使用されるモノマーに対して、30までの、有利に0.05〜15、とりわけ有利に0.2〜8質量%のこれらの化合物が必要である。複数成分の開始剤系(例えば、レドックス−開始剤系)の場合、前記の質量記載は成分の合計に対するものである。
【0051】
適切な重合開始剤は、例えば過酸化物、ヒドロペルオキシド、ペルオキソ二硫酸塩、ペルカーボナート、ペルオキシドエステル、過酸化水素及びアゾ化合物である。水溶性又は水不溶性でもありうる開始剤のための例は、過酸化水素、ジベンゾイルペルオキシド、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボナート、ジラウロイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジ−tert−ブチルヒドロペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルネオデカノアート、tert−アミルペルピバラート、tert−ブチルペルピバラート、tert−ブチルペルベンゾアート、ペルオキソ二硫酸リチウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム及びペルオキソ二硫酸アンモニウム及びアゾジイソブチロニトリルである。
【0052】
開始剤は単独で又は互いに混合して、例えば過酸化水素とペルオキソ二硫酸ナトリウムとからなる混合物として使用することができる。水性媒体中で重合するために、有利に水溶性の開始剤が使用される。
【0053】
公知のレドックス−開始剤系も、重合開始剤として使用することができる。このようなレドックス−開始剤系は、レドックス−共開始剤、例えば還元作用のある硫黄化合物、例えばアルカリ金属及びアンモニウム化合物の亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜二チオン酸塩及び四チオン酸塩との組み合わせにおいて少なくとも1の過酸化物を含有する化合物を含有する。こうしてペルオキソ二硫酸塩とアルカリ金属亜硫酸水素塩又は亜硫酸水素アンモニウムとの組み合わせ、例えばペルオキソ二硫酸アンモニウムと二亜硫酸アンモニウムとの組み合わせを使用することができる。過酸化物を含有する化合物の量は、レドックス−共開始剤に対して30:1〜0.05:1である。
【0054】
開始剤もしくはレドックス開始剤系との組み合わせにおいて、更に遷移金属触媒、例えば鉄、コバルト、ニッケル、銅、バナジウム及びマンガンの塩を使用してよい。適切な塩は、例えば硫酸鉄(II)、塩化コバルト(II)、硫酸ニッケル(II)、又は塩化銅(I)である。モノマーに対して、還元作用のある遷移金属塩を0.1ppm〜1000ppmの濃度で使用する。こうして過酸化水素と鉄(II)塩、例えば0.5〜30%の過酸化水素と0.1〜500ppmのモーア塩との組み合わせを使用してよい。
【0055】
更に有機溶剤中における重合の際も、レドックス−共開始剤及び/又は遷移金属触媒、例えばベンゾイン、ジメチルアニリン、アスコルビン酸、並びに有機溶剤に可溶な重金属の錯体、例えば銅、コバルト、鉄、マンガン、ニッケル及びクロムの錯体を上記の開始剤との組み合わせにおいて併用してよい。レドックス−共開始剤もしくは遷移金属触媒の通例使用される量は、モノマーの使用される量に対して約0.1〜1000ppmである。
【0056】
ポリマーの平均分子量を制御するために、共重合を調節剤の存在下で実施することはたびたび有利である。このために通例の調節剤、例えばSH−基を含有する有機化合物、例えば2−メルカプトエタノール、2−メルカプトプロパノール、3−メルカプトプロピオン酸、システイン、N−アセチルシステイン、あるいはまた次亜リン酸ナトリウム又は亜硫酸水素ナトリウムを使用してよい。重合調節剤は、一般的にモノマーに対して0.1〜10質量%の量で使用する。適切な溶剤を選択することによっても平均分子量に影響を与えることができる。このようにして重合は、ベンジルのH−原子を有する希釈剤の存在下で連鎖移動により平均分子量の減少につながる。
【0057】
ポリマーの分子量を高めるために、共重合を少量の架橋剤の存在下で実施することは有利でありうる。このために通例の架橋剤、例えばジオールのビス(アクリル酸エステル)、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコールビスアクリラート、トリエチレングリコール又はポリエチレングリコールをモノマーに対して0.01〜5%の量で使用してよい。
【0058】
ポリマーが溶液重合の方法により水の中で得られる場合、ふつう溶剤の分離は必要でない。それでもポリマーの単離が所望される場合、例えば噴霧乾燥を実施してよい。
【0059】
ポリマーが溶液重合、沈殿重合又は懸濁重合の方法により水蒸気揮発性溶剤又は溶剤混合物中で製造される場合、溶剤は水蒸気を導入することにより分離することができ、この場合、水溶液又は分散が得られる。ポリマーは、乾燥工程を経ることでも有機希釈剤から分離することができる。
【0060】
有利にポリマーは、有利に10〜80質量%、とりわけ30〜65質量%の固体含有率を有する水性分散液又は溶液の形で存在する。ポリマーのK値は、有利に20〜45の範囲にある。
【0061】
本発明によるポリマーは、セメント混合物、例えばコンクリート又はモルタルにおける添加剤として非常に適している。セメントとは、例えばポルトランドセメント、アルミナセメント又は混合セメント、例えばケイ酸質混合セメント、スラグセメント、又は他のタイプのものと理解される。ポルトランドセメントは有利である。コポリマーは、セメントの全質量に対して0.01〜10質量%、有利に0.05〜3質量%の量で使用する。
【0062】
ポリマーは乾燥により、例えば重合の際に生じるようなポリマー溶液又は懸濁液の噴霧乾燥により得ることができる固体の形で、使用可能な無機建築材料の組成物に添加することができる。コポリマーを無機結合剤と共に調製し、これから使用可能な無機建築材料の組成物を製造することも可能である。有利にコポリマーは、液体の、つまり溶解、乳化又は懸濁化した形、例えばポリマー溶液の形で無機建築材料の組成物を製造する際に使用される。
【0063】
コンクリート又はモルタルにおける使用のために、アルカリ性のコンクリート又はモルタルの存在下で初めて水溶性及びそれと同時に有効な形、例えばカルボン酸構造又は無水カルボン酸構造をとるポリマーを使用することは有利でありうる。有効なポリマーが徐々に放出されると、結果として比較的長く効果が持続する。
【0064】
本発明によるポリマーは、ナフタレンホルムアルデヒド縮合物のスルホナート、メラミンホルムアルデヒド縮合物のスルホナート、フェノールスルホン酸/ホルムアルデヒドの縮合物、リグニンスルホナート及びグルコナートを基礎とする公知のコンクリート可塑剤及び/又はコンクリート流動化剤の組み合わせにおいても使用してよい。
更にこれはセルロース、例えばアルキルセルロースもしくはヒドロキシアルキルセルロース、デンプン又はデンプン誘導体と一緒に使用してよい。これらは高分子ポリエチレンオキシド(M100000−8000000)と組み合わせて使用してよい。
【0065】
更に添加剤、例えば気孔形成剤、膨張剤、疎水剤、凝固遅延剤、凝固促進剤、凍結防止剤、封止剤、顔料、腐食防止剤、可塑剤、プレス成形助剤、安定剤又は中空微少球(Mikrohohlkugeln)を混合してよい。このような添加剤は例えばEN934に記載されている。
【0066】
原則的に、本発明によるポリマーは塗膜形成ポリマーと一緒に使用してもよい。これは、そのガラス転移温度が≦65℃、有利に≦50℃、とりわけ有利に≦25℃及び非常に有利に≦0℃のポリマーと解釈される。Fox(T.G.Fox、Bull.Am.Phys.Soc.(Ser.II)1、1956、123に記載されているホモポリマーのガラス転移温度とコポリマーのガラス転移温度の関係を手掛かりに、当業者は適切なポリマーを選択することができる。
【0067】
更に本発明によるポリマーを消泡剤と一緒に使用することはしばしば有利である。これにより、結合した無機建築材料の強度を下げると考えられる非常に多くの空気が気孔の形をとって、使用可能な無機建築材料の調製の際にコンクリートに導入されることを防ぐ。適切な消泡剤は、とりわけポリアルキレンオキシドを基礎とする消泡剤、トリブチルホスファートのようなトリアルキルホスファート、及びシリコーンを基礎とする消泡剤を包含する。同様に10〜20の炭素原子を有するアルコールのエトキシル化生成物及びプロポキシル化生成物が適している。同様にアルキレングリコールもしくはポリアルキレングリコールのジエステル並びに他の通例の消泡剤が適している。このような種類の消泡剤は、ポリマーに対して通例0.05質量%〜10質量%及び有利に0.5〜5質量%の量で使用する。
【0068】
消泡剤は、様々な方法でポリマーと組み合わせることができる。例えば、ポリマーが水溶液として存在する場合、消泡剤は固体で又は溶解してポリマー溶液に添加することができる。消泡剤がポリマー水溶液中で不溶性の場合、安定化のために乳化剤又は保護コロイドを添加してよい。
【0069】
本発明によるポリマーが、例えば噴霧乾燥又は流動層中で噴霧造粒することにより生じる固体の形で存在する場合、消泡剤は固体として添加するか、又は噴霧乾燥工程あるいは噴霧造粒工程の際にポリマーと一緒に調製してもよい。
【0070】
以下の実施例は、本発明を詳細に説明しているが、本発明をこれらに制限するべきものではない。
【0071】
実施例
I.分析
平均分子量の測定
質量平均分子量の測定は水性の溶離剤を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(=GPC)により行った。
GPCはAgilent社の組み合わせ装置(Serie1100)により実施した。これに属するものは:
ガッサー G1322A型
イソクラティックポンプ G1310A型
オートサンプラ G1313A型
カラムオーブン G1316A型
コントロールモジュール G1323B型
示差屈折計 G1362A型
である。
【0072】
水中に溶解したポリマーの場合、溶離剤として蒸留水中の0.08mol/Lのトリス緩衝液(pH=7.0)+NaClとHClとからなる0.15mol/Lの塩化物イオンを使用する。
【0073】
分離は分離カラムを組み合わせて行った。PSS社のカラム番号787及び788(それぞれ8×30mm)を分離材料GRAL BIOによりコンスタントに使用する。流速は23℃のカラム温度の場合、0.8mL/minであった。
【0074】
較正はM=194〜1700000[mol/g]の分子量を有するPPS社のポリエチレンオキシド−標準により行う。
【0075】
K値の規定
コポリマーの水性ナトリウム塩溶液のK値は、H.Fikentscher、セルロース−化学、第13巻、第58〜64ページ及び第71〜74ページ(1932)により水溶液中でpH値7、温度25℃及びコポリマーのナトリウム塩のポリマー濃度1質量%において測定する。
【0076】
固体含量率の測定
アルミニウムの小皿で規定量(約0.5〜1g)のサンプルを秤量する(秤量)。サンプルをIR−ランプ(160ボルト)下で30分間、乾燥させる。その後、新たにサンプルの質量を測定する(最終秤量)。固体含量率(FG)は以下のように算出された:
FG=最終秤量×100/秤量[質量%]
1.反応性アルコキシラートの製造:
例A:ジアリルアミン+21EO
ジャケット冷却、酸化物供給器及び内部温度計を有する20lの鋼製の反応器中にジアリルアミン2.471kg及び脱塩水0.126kgを装入した。反応器を短時間、排気し、引き続き25℃で窒素により15.4barの圧力を調製した。50分後に3barに放圧し、80℃に加熱した。次いで80分以内にエチレンオキシド1.120kgを、圧力が2.8〜4.3barの間に留まるように且つ温度が95℃を上回らないように計量供給した。エチレンオキシドを供給したあと120分、後攪拌し、次いで50℃に冷却した。1.217kgを反応器から排出した。残留物質に45%の水酸化カリウム水溶液0.1463kgを添加した。温度を103℃に上昇させ、<10mbarの圧力で脱水した。引き続き窒素により2barの圧力を調製し、122℃に加熱し、1310分以内にエチレンオキシド14.817kgを計量供給し、この際圧力は2〜5.5barの間に維持され且つ温度は135℃を上回らなかった。240分後に供給を中断し、118℃で更に攪拌し、残留酸化物は110分以内に供給し、129分この温度で更に攪拌した。これを80℃に冷却し、10.36kgを反応器から排出した。生成物は62.9mgKOH/gのOH価を有していた。
【0077】
例B:ジアリルアミン+40EO
例1により反応器中に残留した生成物を同じ反応器中で86℃に加熱し、窒素により不活性化し、2barの圧力を調整した。引き続き115℃に加熱し、240分以内にエチレンオキシド6.964kgを、温度が130℃を超えないように且つ圧力が2〜5.8barの間に留まるように気体の形で供給した。計量供給を終えたあとなお120分、117℃で後攪拌し、生成物13.24kgを反応器から排出した。生成物は32.03mgKOH/gのOH価を有していた。
【0078】
例C:ジアリルアミン+80EO
例1により製造された生成物3.574kgを、例1で使用した反応器中で45%の水酸化カリウム水溶液0.04464kgと混合し、例2と同様にエチレンオキシド10.105kgと反応させた。24.13mgKOH/gのOH価を有する反応器搬出物13.51kgが得られた。
【0079】
四級化
例1
ジアリルアミン+20EOの四級化
水浴加熱、馬蹄形攪拌機、内部温度計、還流冷却器及び滴下漏斗を有する1Lのガラス反応器中にジアリルアミン548.18g+20EOを60℃で溶融した。1時間以内に硫酸ジメチル67.10gを一様にこの溶融物に滴下した。添加し終えたあとなお2.5時間、60℃で攪拌し、反応を完了させた。
【0080】
例2
ジアリルアミン+40EOの四級化
水浴加熱、馬蹄形攪拌機、内部温度計、還流冷却器及び滴下漏斗を有する500mlの四つ口フラスコ内でジアリルアミン260.00g+40EOを65℃で溶融した。1時間以内に硫酸ジメチル16.74gを一様にこの溶融物に滴下した。添加し終えたあとなお2時間、65℃で攪拌し、反応を完了させた。
【0081】
II. コポリマーの製造方法
例1:
馬蹄形攪拌機、温度計、窒素導入部、還流冷却器及び滴下漏斗を有する1lのガラス反応器中に水306.21gを装入し、100℃まで加熱する。不活性化するために窒素を反応器に導入する。還流で、水48g中に溶解したジアリルアミン192g+20EO及びアクリル酸56.57gを5時間で滴加し並びに20%のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液18.65g及び20%の次亜リン酸ナトリウム溶液18.65gを5.25時間で滴加する。共重合を完了させるために1時間、後重合し、引き続き冷却し、50%のカ性ソーダ液により中和する。
【0082】
例2:
馬蹄形攪拌機、温度計、窒素導入部、還流冷却器及び滴下漏斗を有する1lのガラス反応器中に、水294.91g中に溶解したジアリルアミン200g+20EOを装入し、100℃まで加熱する。不活性化するために窒素を反応器中に導入する。還流で、アクリル酸58.93gを5時間で滴加し並びに20%のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液19.4g及び20%の次亜リン酸ナトリウム溶液19.4gを5.25時間で滴加する。共重合を完了させるために1時間、後重合し、引き続き冷却し、50%のカ性ソーダ液により中和する。
【0083】
例3:
馬蹄形攪拌機、温度計、窒素導入部、還流冷却器及び滴下漏斗を有する1lのガラス反応器中に水347.45gを装入し、100℃まで加熱する。不活性化するために窒素を反応器中に導入する。還流で、硫酸ジメチル24.24gにより四級化され、水55.6g中に溶解したジアリルアミン198.14g+20EO及びアクリル酸58gを5時間で滴加し並びに20%のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液21.05g及び20%の次亜リン酸ナトリウム溶液14gを5.25時間で滴加する。共重合を完了させるために1時間、後重合し、引き続き冷却し、50%のカ性ソーダ液により中和する。
【0084】
例4:
馬蹄形攪拌機、温度計、窒素導入部、還流冷却器及び滴下漏斗を有する1lのガラス反応器中に水325.63gを装入し、100℃まで加熱する。不活性化するために窒素を反応器中に導入する。還流で、水156.28g中に溶解したジアリルアミン290.22g+40EO及びアクリル酸45gを5時間で滴加し並びに20%のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液25.13g及び20%の次亜リン酸ナトリウム溶液16.72gを5.25時間で滴加する。共重合を完了させるために1時間、後重合し、引き続き冷却し、50%のカ性ソーダ液により中和する。
【0085】
例5:
馬蹄形攪拌機、温度計、窒素導入部、還流冷却器及び滴下漏斗を有する1lのガラス反応器中に水346.45gを装入し、100℃まで加熱する。不活性化するために窒素を反応器中に導入する。還流で、硫酸ジメチル15.01gにより四級化され、水62.04g中に溶解したジアリルアミン233.15g+40EO及びアクリル酸36gを5時間で滴加し並びに20%のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液21.3g及び20%の次亜リン酸ナトリウム溶液14.2gを5.25時間で滴加する。共重合を完了させるために1時間、後重合し、引き続き冷却し、50%のカ性ソーダ液により中和する。
【0086】
例6:
馬蹄形攪拌機、温度計、窒素導入部、還流冷却器及び滴下漏斗を有する1lのガラス反応器中に水281.42gを装入し、100℃まで加熱する。不活性化するために窒素を反応器中に導入する。還流で、水134.49g中に溶解したジアリルアミン250.32g+40EO及びアクリル酸38.78gをヒドロキノン−モノメチルエーテル0.217gにより5時間で滴加し並びに20%のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液21.71g及び20%の次亜リン酸ナトリウム溶液14.43gを5.25時間で滴加する。共重合を完了させるために1時間、後重合し、引き続き冷却し、50%のカ性ソーダ液によりpH6.5〜7.0まで中和する。
【0087】
例7:
馬蹄形攪拌機、温度計、窒素導入部、還流冷却器及び滴下漏斗を有する1lのガラス反応器中に水317.43g及びジアリルアミン96.00g+20EOを装入し、100℃まで加熱する。不活性化するために窒素を反応器中に導入する。還流で、水51.69g中に溶解したジアリルアミン96.00g+20EOを次亜リン酸ナトリウム3.73g及びアクリル酸56.57gと一緒に10時間で滴加し並びに20%のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液18.65gを10.25時間で滴加する。共重合を完成させるために1時間、後重合し、引き続き冷却し、50%のカ性ソーダ液によりpH6.5〜7.0まで中和する。
【0088】
例8:
馬蹄形攪拌機、温度計、窒素導入部、還流冷却器及び滴下漏斗を有する1lのガラス反応器中に水209.23g及びジアリルアミン61.98g+40EOを装入し、100℃まで加熱する。不活性化するために窒素を反応器中に導入する。還流で、水33.37g中に溶解したジアリルアミン61.98g+40EOを次亜リン酸ナトリウム2.15g及びアクリル酸19.21gと一緒に10時間で滴加し並びに20%のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液10.75gを10.25時間で滴加する。共重合を完成させるために1時間、後重合し、引き続き冷却し、50%のカ性ソーダ液によりpH6.5〜7.0まで中和する。
【0089】
例9:
馬蹄形攪拌機、温度計、窒素導入部、還流冷却器及び滴下漏斗を有する1lのガラス反応器中に水26.70gを装入し、100℃まで加熱する。不活性化するために窒素を反応器中に導入する。還流の場合、水83.14g中に溶解したジアリルアミン154.40g+20EO及びアクリル酸45.59gを5時間で滴加し並びに溶解した水127.0g中に溶解したVA086−アゾ開始剤3.0g及び20%の次亜リン酸ナトリウム溶液15.0gを5.25時間で滴加する。共重合を完了させるために1時間、後重合し、引き続き冷却し、50%のカ性ソーダ液によりpH6.5〜7.0まで中和する。
【0090】
例10:
馬蹄形攪拌機、温度計、窒素導入部、還流冷却器及び滴下漏斗を有する1lのガラス反応器中に水187.18g及びジアリルアミン58.10g+40EOを装入し、70℃まで加熱する。不活性化するために窒素を反応器中に導入する。到達温度で、水31.28g中に溶解したジアリルアミン58.10g+40EOを次亜リン酸ナトリウム溶液0.64g及びアクリル酸11.26gと一緒に10時間で滴加し並びに15%のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液12.73gを10.25時間で滴加する。共重合を完了させるために1時間、後重合し、引き続き冷却し、50%のカ性ソーダ液によりpH6.5〜7.0まで中和する。
【0091】
例11:
馬蹄形攪拌機、温度計、窒素導入部、還流冷却器及び滴下漏斗を有する1lのガラス反応器中に水210.00g及びジアリルアミン89.86g+40EOを装入し、70℃まで加熱する。不活性化するために窒素を反応器中に導入する。到達温度で、アクリル酸17.41g、ポリエチレングリコールメチルエーテル−メタクリラート(Aldrich社、分子量約2080)の50%の水溶液201.5g及び次亜リン酸ナトリウム溶液1.04gを9時間で滴加し並びに23.1%のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液13.50gを9.25時間で滴加する。共重合を完了させるために1時間、後重合し、引き続き冷却し、50%のカ性ソーダ液によりpH6.5〜7.0まで中和する。
【0092】
EN196もしくはDIN18555のパート2に基づいたコンクリート可塑剤のための試験方法:
装置:
−混合機型203(Testing Bluhm und Feuerhard社)
−ストップウォッチ
−実験室用天秤(精度±1g)
−フローテーブルd=300mm型(Testing Bluhm und Feuerhard社)
−コニカルモールド
−管接手を有する滴下漏斗(Tropftrichter mit Schlauchanschluss)
−さじ
−気孔率測定装置(Luftporengehaltmessgeraet)(Testing Bluhm und Feuerhard社)
−揺動台型2.0233(Testing Bluhm und Feuerhard社)
−プリズムモールド(L×B×H=16cm×4cm×4cm)
使用物質:セメント:添加剤1:3;篩い線O/2
標準砂CENI−III 1500g
ハイデルベルクセメントCEMI32.5R 500g
水(場合により可塑剤を含有する) 225g
→水/セメント0.45
可塑剤:可塑剤は、試験約1日前に適切な消泡剤0.1〜0.3%と混合する。
【0093】
注釈:可塑剤の添加はセメント割合に対して固体物質として計算する。全水量を計算する際、水/セメント値を設定するために可塑剤により添加された水量を考慮する。
【0094】
試験の実施
a)モルタルの製造
乾燥混合物(セメント+砂)の全質量は1分間、混合機型203により均質に混合する。
【0095】
引き続き滴下漏斗を用いて湿潤成分を30秒毎にわたって連続的に供給する。
【0096】
3分間、後攪拌したあとモルタルの製造は終了する。引き続き流動性の最初の測定を実施する。
【0097】
水又は水/可塑剤−混合物
b)DIN18555のパート2による流れ試験
流動性を測定するためにコニカルモールドをフローテーブルのガラス板上の中央に設置し、モルタルを2層に充填し、いずれの層もさじを用いて押さえながら圧縮する。充填の間、コニカルモールドを片手でガラス板上へと押さえる。
【0098】
残留モルタルを拭い取り、且つフローテーブルの解法面を洗浄する。引き続きコニカルモールドをゆっくりと上方へ垂直に引き上げ、ガラス板上のモルタルを15回突くことにより延展する。
【0099】
次いで、延展されたモルタルの直径を互いに直角な2方向間で測定する。結果はcm記載で0.5cmまで算術平均として記載する。
【0100】
測定は5、30、60及び90分後に行う。それぞれの測定前に、モルタルを短時間、攪拌する。
【0101】
c)DIN18555のパート2によるモルタルの気泡率
フレッシュモルタルの気泡率は、容量1dmの調整済みの試験装置により圧力平衡方法に則って測定する。
【0102】
加えて気泡率測定装置の1l容器をモルタルで充填し、その間モルタルは60秒間揺動台上で圧縮する。
【0103】
引き続き試験装置の上部を容器の洗浄された研磨面の端部に設置し、装置を密閉する。
【0104】
依然として存在する、装置の空の充填されていない体積を水で充填する。チャンバ内で定義された圧力を作り出す。圧力平衡を行ったあと気泡率を上部に設置された目盛りから直接読み取る。
【0105】
気泡率は体積割合として%で記載され、0.1%の計測精度で記載される。
【0106】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1のアルコキシル化されたジアリルアミン誘導体(モノマーA)
(b)少なくとも1のエチレン系の不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸、これらの無水物又はこれらの混合物(モノマーB)、並びに
(c)場合により1つ又は複数の他のエチレン系の不飽和モノマーC
を含有する水溶性の又は水の中で分散可能なポリマー。
【請求項2】
モノマーAとして少なくとも1の一般式I
【化1】

[式中、
AOは、C〜C12−アルキレンオキシド、スチレンオキシド又はこれらの2種類以上の混合物であり、この際2以上の種類はブロック型又はランダム型のいずれかで相互に結合していてよく、
nは、2〜200の整数であり、
は、水素、C〜C20−アルキル、C〜C10−シクロアルキル又は置換されていてもよいベンジル基であり、且つ
は、水素、C〜C30−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C20−アリール、C〜C30−アルカノイル、C〜C21−アロイル、硫酸(モノ)エステル、リン酸エステル、NR′R″、NR′R″R′″3+であり、且つ
R′、R″、R′″は、そのつど互いに無関係に、同じか又は異なっていてよく、且つ水素、直鎖状あるいは分枝鎖状のC〜C20−アルキル基又は直鎖状あるいは分枝鎖状のC〜C20−ヒドロキシアルキル基である]
の化合物を使用することを特徴とする、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
モノマーBとして少なくとも1の一般式II
【化2】

[式中、
、Rは、互いに無関係に、同じか又は異なっていてよく、且つ水素又はC〜C−アルキルであり、
は、水素、C〜C−アルキル又は基COOMであり、且つ
Mは、水素、1価もしくは2価の金属イオン、アンモニウム又は有機アンモニウムイオンである]
の化合物又はこれらの無水物を使用することを特徴とする、請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
モノマーA対モノマーBのモル比が、1:1〜1:6であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項5】
モノマーA対モノマーBのモル比が、1:2〜1:5であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項6】
ポリマーの質量平均分子量Mが1000〜100000の範囲にあることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項7】
20〜50のK値を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項8】
モノマーAとモノマーB並びに場合により他のモノマーCとのラジカル重合により得られうる、請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項9】
無機建築材料、洗剤又は化粧品における添加剤としての、請求項1から8までのいずれか1項に記載のポリマーの使用。
【請求項10】
無機建築材料における添加剤として請求項9に記載のポリマーの使用。
【請求項11】
重合されるべきモノマー混合物が、
モノマーAを1〜70モル%、
モノマーBを10〜99モル%及び
モノマーCを0〜50モル%含有する、
請求項9又は10に記載の使用。
【請求項12】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の少なくとも1つのポリマーを含有するセメント分散剤。
【請求項13】
セメント、水、請求項1から8までのいずれか1項に記載の少なくとも1つのポリマー、並びに他の通例の骨材を含有する無機建築材料。

【公表番号】特表2007−506812(P2007−506812A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518014(P2006−518014)
【出願日】平成16年6月19日(2004.6.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006648
【国際公開番号】WO2005/005500
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】