説明

アルコキシル化されたポリアルカノールアミン

本発明は、N−(ヒドロキシアルキル)アミンを縮合させ、その縮合生成物の残りのヒドロキシ基及び/又は第二級アミノ基をアルキレンオキシドと反応させることによって得られるポリマーと、前記ポリマーの第四級化、プロトン化、硫酸化及び/又はリン酸化によって得られる誘導体、並びに前記ポリマーの製造方法と、前記誘導体の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N−(ヒドロキシアルキル)アミンを縮合させ、その縮合生成物の残りのヒドロキシ基及び/又は第二級アミノ基をアルキレンオキシドと反応させることによって得られるポリマーと、前記ポリマーの第四級化、プロトン化、硫酸化及び/又はリン酸化によって得られる誘導体、並びに前記ポリマーの製造方法と、前記誘導体の製造方法に関する。
【0002】
発明の背景
表面活性ポリマーは、広い範囲の用途のために、例えば少し挙げてみると、洗濯用洗剤のための添加剤、オイルフィールドエマルジョンのための解乳化剤、デオイラー、粘度調節剤、増粘剤もしくは潤滑剤のために有用である。
【0003】
アルカノールアミンの酸性もしくは塩基性の触媒又は金属塩の存在下での縮合によって得られるポリアルカノールアミンは、US2407895号、EP0441198号もしくはUS5393463号に記載されている。
【0004】
かかるポリアルカノールアミンのオイルフィールドエマルジョンのための解乳化剤としての使用は、US4731481号、US4505839号、US4840748号もしくはUS4404362号に記載されている。
【0005】
ポリアルカノールアミンの解乳化剤及び脱泡剤としての使用は、EP0441198号、US5393463号に記載されている。
【0006】
アルカノールアミンと、ペンタエリトリトール、ソルビトール、グリコール、グリセロールなどの他のヒドロキシ含有分子との同時縮合は、EP0057398号に記載されている。
【0007】
第四級化されたポリジアルカノールアミン及びそれらのテキスタイル助剤としての使用は、EP0057398号及びEP0160872号に記載されている。
【0008】
第四級化されたポリトリエタノールアミンもしくはポリトリイソプロパノールアミンを基礎とするポリカチオン性の転染防止剤は、EP0934382号に記載されている。
【0009】
ポリアルカノールアミンと二塩化キシリレンもしくはビグリシジルエーテルとの反応によって製造される解乳化剤、潤滑剤もしくは製紙助剤として有用な化合物は、DE3206459号及びDE3136281号に記載されている。
【0010】
ポリアルカノールアミンと尿素もしくはウレタン誘導体との反応によって製造される化合物及びそれらの解乳化剤としての使用は、EP0444515号に記載されている。
【0011】
しかしながら、どの引用された文献も、ポリアルカノールアミンのアルコキシル化によって得られる化合物を挙げていない。
【0012】
N−(ヒドロキシアルキル)アミンの縮合生成物のヒドロキシ基及び第二級アミノ基とアルキレンオキシドとの反応によって得られるポリマー並びに前記ポリマーの第四級化、プロトン化、硫酸化及び/又はリン酸化によって得られる誘導体は、両親媒性を示すことが判明した。それらは、釣り合いの取れた親水性構造要素と疎水性構造要素との比率を有し、かつ水中への良好な可溶性を示す。
【0013】
発明の要旨
第一の一態様においては、本発明は、
a)式(I.a)及び/又は(I.b)
【化1】

[式中、
Aは、無関係に、C1〜C6−アルキレンであり;
1、R1*、R2、R2*、R3、R3*、R4、R4*、R5及びR5*は、互いに無関係に、水素、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールから選択され、その際、最後に挙げた3つの基は、場合により置換されていてよく;かつ
6は、水素、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールから選択され、その際、最後に挙げた3つの基は、場合により置換されていてよい]のN−(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1種の化合物を縮合させる工程と、
b)工程a)で提供されるポリエーテルの残りのヒドロキシ基及び/又は存在するならば第二級アミノ基の少なくとも一部と、少なくとも1種のアルキレンオキシドとを反応させる工程
によって得られるポリマーに関する。
【0014】
第二の一態様においては、本発明は、前記ポリマーのc)第四級化、プロトン化、硫酸化及び/又はリン酸化によって得られる誘導体に関する。
【0015】
更に、本発明は、前記ポリマーの製造方法に関する。更に、本発明は、前記誘導体の製造方法に関する。
【0016】
特許請求の範囲の詳細な説明
本願で使用され、かつアルコキシという用語で使用される用語"アルキル"は、飽和の直鎖状もしくは分枝鎖状の炭化水素基を指す。C1〜C4−アルキルは、1〜4個の炭素原子を有する飽和の直鎖状もしくは分枝鎖状の炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル及び1,1−ジメチルエチルを指す。場合により置換されたアルキルは、アルキル基であって、非置換であるか、又は一部のもしくは全ての水素原子がヒドロキシ、ハロゲン、シアノもしくはC1〜C4−アルコキシによって置き換えられている基を指す。好ましくは、アルキルは非置換である。
【0017】
本願で使用される用語"シクロアルキル"は、飽和もしくは部分的に不飽和の単環式もしくは二環式の炭化水素基を指す。好ましくは、シクロアルキルという用語は、3〜8個の、特に3〜6個の炭素原子を有する単環式の炭化水素基(C3〜C8−シクロアルキル、C3〜C6−シクロアルキル)に関連する。かかる好ましいシクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルである。場合により置換されたシクロアルキルは、シクロアルキル基であって、非置換であるか、又は一部のもしくは全ての水素原子がヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、C1〜C4−アルキルもしくはC1〜C4−アルコキシによって置き換えられている基を指す。好ましくは、シクロアルキルは、非置換であるか、又は1、2もしくは3個のC1〜C4−アルキル基を有する。
【0018】
本願で使用される用語"アリール"は、フェニルもしくはナフチル、好ましくはフェニルを指す。場合により置換されたアリールは、アリール基であって、非置換であるか、又は一部のもしくは全ての水素原子がヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、C1〜C4−アルキルもしくはC1〜C4−アルコキシによって置き換えられている基を指す。好ましくは、シクロアルキルは、非置換であるか、又は1、2もしくは3個のC1〜C4−アルキル基を有する。
【0019】
本願で使用される用語"C1〜C6−アルキレン"は、2、3、4、5もしくは6個の炭素基の飽和の二価の直鎖状もしくは分枝鎖状の炭化水素鎖、例えばメチレン、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、2−メチルプロパン−1,2−ジイル、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ブタン−1,3−ジイル(=1−メチル−プロパン−1,3−ジイル)、ブタン−1,2−ジイル、ブタン−2,3−ジイル、2−メチル−ブタン−1,3−ジイル、3−メチル−ブタン−1,3−ジイル(=1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジイル)、ペンタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイル、ペンタン−2,5−ジイル、2−メチルペンタン−2,5−ジイル(=1,1−ジメチルブタン−1,3−ジイル)及びヘキサン−1,6−ジイルを指す。
【0020】
本願で使用される用語"アルキレンオキシド"は、アルキル化合物もしくはアルキルアリール化合物であって、少なくとも1個、好ましくは1もしくは2個、特に1個のエポキシ基を、該化合物のアルキル部に有する化合物に関連する。1個のエポキシ基を有するアルキル化合物の例は、エポキシエタン(=エチレンオキシド)、エポキシプロパン(=プロピレンオキシド)、1,2−エポキシブタン(=α−ブチレンオキシド)、2,3−エポキシブタン(=β−ブチレンオキシド)、1,2−エポキシ−2−メチル−プロパン(=イソブチレンオキシド)、1,2−エポキシペンタン、2,3−エポキシペンタン、1,2−エポキシ−2−メチルブタン、2,3−エポキシ−2−メチルブタン、1,2−エポキシヘキサン、2,3−エポキシヘキサン及び3,4−エポキシヘキサンである。1個のエポキシ基を有するアルキルアリール化合物の例は、場合により置換された(1,2−エポキシエチレン)ベンゼン(=スチレンオキシド)化合物である。
【0021】
本願で使用される用語"縮合"は、2個の相応の官能基の間の共有結合が、水などの小分子の形式的欠失とともに形成される化学反応を指す。好ましくは、縮合という用語は、脱水反応を伴うエーテル化を指す。
【0022】
N−(ヒドロキシアルキル)アミン(I.a)の例は、例えばN−トリ−(2−ヒドロキシアルキル)−アミンである。N−トリ−(2−ヒドロキシアルキル)−アミンは、例えば、アンモニアと、3当量のアルキレンオキシドとの反応(アンモニア分解)によって得られる。かかる化合物(I.a)の好ましい例は、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン及びトリブタン−2−オールアミンである。
【0023】
N−(ヒドロキシアルキル)アミン(I.b)の例は、例えば式H2N−R6[式中、R6は、上述の意味の1つを有する]の第一級アミンと、2当量のアルキレンオキシドとの反応(アミノ分解)によって得られるN−ジ−(2−ヒドロキシアルキル)−アミンである。かかる化合物(I.b)の好ましい例は、例えばN−メチルジエタノールアミン、N,N−ビス−(2−ヒドロキシプロピル)−N−メチルアミン、N,N−ビス−(2−ヒドロキシブチル)−N−メチルアミン、N−イソプロピルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−s−ブチルジエタノールアミン、N−シクロヘキシルジエタノールアミン、N−ベンジルジエタノールアミン、N−4−トリルジエタノールアミン、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)アニリンなどである。
【0024】
式(I.a)及び/又は(I.b)で示され、その式中、Aがメチレン基であり、前記基が非置換であるか、又はC1〜C4−アルキルから選択される1つの置換基を有するN−(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される化合物から得られる本発明によるポリマーが好ましい。化合物(I.a)及び/又は(I.b)であって、式中、Aがメチレン又は1個のメチル基を有するメチレンである化合物から得られるポリマーがより好ましい。化合物(I.a)及び/又は(I.b)であって、式中、Aが非置換のメチレンである化合物から得られるポリマーが特に好ましい。
【0025】
更に、式(I.a)及び/又は(I.b)で示され、その式中、R1、R1*、R2、R2*、R3、R3*、R4、R4*、R5及びR5*が互いに無関係に、水素及びC1〜C4−アルキル、すなわち水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル及びt−ブチルから選択されるN−(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される化合物から得られる本発明による化合物が好ましい。より好ましくは、R1、R1*、R2、R2*、R3、R3*、R4、R4*、R5及びR5*は、互いに無関係に、水素及びメチルから選択される。
【0026】
好ましい一実施態様においては、本発明は、式(I.a)及び/又は(I.b)で示され、その式中、R1*、R2*、R3*、R4*及びR5*が水素であり、かつR1、R2、R3、R4及びR5が互いに無関係に水素及びC1〜C4−アルキルから選択されるN−(ヒドロキシアルキル)アミンから得られるポリマーに関する。より好ましくは、R1*、R2*、R3*、R4*及びR5*は、水素であり、かつR1、R2、R3、R4及びR5は、互いに無関係に、水素及びメチルから選択される。
【0027】
本発明によるポリマーは、式(I.b)で示され、その式中、R6が存在する場合に、好ましくは水素及びC1〜C4−アルキルから選択されるN−(ヒドロキシアルキル)アミンから得られる。
【0028】
本発明によるポリマーは、好ましくは、工程b)において、少なくとも1種のアルキレンオキシドが、エポキシエタン、エポキシプロパン、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシ−2−メチルプロパン、1,2−エポキシペンタン、2,3−エポキシペンタン、1,2−エポキシ−2−メチルブタン、2,3−エポキシ−2−メチルブタン、1,2−エポキシヘキサン、2,3−エポキシヘキサン、3,4−エポキシヘキサン及び1,2−エポキシエチレンベンゼンから選択される方法によって得られる。
【0029】
より好ましくは、少なくとも1種のアルキレンオキシドは、エポキシエタン及び/又はエポキシプロパンから選択される。
【0030】
本発明によるポリマーは、1〜100モルの、好ましくは2〜80モルの少なくとも1種のアルキレンオキシドと、式(I.a)及び/又は(I.b)の少なくとも1種の化合物の縮合によって得られるポリエーテルの1モルの残りのヒドロキシ基と、存在するのであれば、第二級アミノ基との反応によって得られる。
【0031】
本発明によるポリマーは、好ましくは、500〜100000g/モルの範囲の、より好ましくは1000〜80000g/モルの範囲の、特に2000〜50000g/モルの範囲の数平均分子量を有する。
【0032】
本発明によるポリマーは、好ましくは、1〜10の範囲の、特に1〜5の範囲の多分散性(Mw/Mn)を有する。
【0033】
特定の一実施態様においては、本発明によるポリマーは、工程a)で、5質量%未満の、好ましくは1質量%未満の、より好ましくは実質的にゼロの、すなわち0.1質量%未満の、式(I.a)及び/又は(I.b)の化合物とは異なる同時縮合可能な化合物が、式(I.a)及び/又は(I.b)の化合物の量に対して使用される(すなわち、同時縮合される)方法によって得られる。
【0034】
本願で使用される用語"同時縮合可能な化合物"は、少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの酸性水素原子、例えばジオールもしくはジアミンを有する化合物を含む。かかる同時縮合可能な化合物の例を、以下に示す。
【0035】
もう一つの特定の実施態様においては、本発明によるポリマーは、工程a)で、式(I.a)及び/又は(I.b)のN−(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1種の化合物を、式Y(OH)n[式中、nは、2〜4の整数であり、かつYは、二価の、三価のもしくは四価の、2〜10個の炭素原子を有する脂肪族の、脂環式のもしくは芳香族の基を示す]のポリオールから選択される少なくとも1種の化合物と同時縮合させる方法によって得られる。
【0036】
式Y(OH)nの好適なポリオールは、脂肪族ポリオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、トリ(ヒドロキシメチル)エタン、トリ(ヒドロキシメチル)プロパン又はペンタエリトリット、脂環式ポリオール、例えば1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、アリール脂肪族ポリオール、例えば1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼンなどである。
【0037】
存在するならば、式Y(OH)nのポリオールは、一般に、式(I.a)及び/又は(I.b)の化合物の量に対して、50質量%未満の量で、すなわち0.1〜50質量%の量で、より好ましくは1〜25質量%の量で同時縮合される。
【0038】
本発明の更なるもう一つの特定の実施態様においては、ポリマーは、工程a)で、式(I.a)及び/又は(I.b)のN−(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1種の化合物を、式Y′(NHRym[式中、mは、2〜4の整数であり、かつY′は、二価の、三価のもしくは四価の、2〜10個の炭素原子を有する脂肪族の、脂環式のもしくは芳香族の基を示し、かつRyは、R6について示した意味の1つを有するか、もしくは2つの基Ryは、一緒になってC1〜C6−アルキレン基を形成してよい]のポリアミンから選択される少なくとも1種の化合物と同時縮合させる方法によって得られる。
【0039】
式Y′(NHRymの好適なポリアミンは、エチレンジアミン、N,N′−ジメチルエチレンジアミン、N,N′−ジエチルエチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジンなどである。
【0040】
存在するならば、式Y′(NHRymのポリアミンは、一般に、式(I.a)及び/又は(I.b)の化合物の量に対して、50質量%未満の量で、すなわち0.1〜50質量%の量で、より好ましくは1〜25質量%の量で同時縮合される。
【0041】
もう一つの態様においては、本発明は、本発明によるポリマーの製造方法において、
(a)前記定義の式(I.a)及び/又は(I.b)で示され、その式中、A、R1、R1*、R2、R2*、R3、R3*、R4、R4*、R5、R5*、R6及びR6*は、前記の意味の1つを有するN−(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1種の化合物の縮合によってポリエーテルを提供する工程と、
(b)該方法の工程(a)で提供されたポリエーテルの残りのヒドロキシの少なくとも一部及び/又は存在するならば残りの第二級アミノ基の少なくとも一部と、少なくとも1種のアルキレンオキシドとを反応させる工程と
を含む方法に関する。
【0042】
本発明による方法についての基A、R1、R1*、R2、R2*、R3、R3*、R4、R4*、R5、R5*、R6及びR6*の好ましい出発化合物及び定義に関して、前記の明確化について参照される。
【0043】
工程a)
式(I.a)及び/又は(I.b)の少なくとも1種のN−(ヒドロキシアルキル)アミンの縮合は、例えばEP0441198号もしくはUS5,393,463号に示される条件下で実施してよい。
【0044】
N−(ヒドロキシアルキル)アミンポリエーテルは、式(I.a)及び/又は(I.b)のN−(ヒドロキシアルキル)アミンを、酸、好ましくは亜リン酸(H3PO3)及び/又は次亜リン酸(H3PO2)の存在下で製造される。該酸、特に亜リン酸及び/又は次亜リン酸は、好ましくは、0.05〜2質量%(100%の酸として計算して)の、好ましくは0.1〜1.0質量%の縮合されるべきN−(ヒドロキシアルキル)アミンの量で使用される。
【0045】
一般に、縮合反応は、当業者によく知られた水を除去する条件、例えば反応水の留去を用いて実施される。
【0046】
一般に、該縮合で使用される温度は、120〜280℃、好ましくは150〜260℃、より好ましくは180〜240℃の範囲である。該反応は、一般に、1〜16時間の期間にわたり、好ましくは2〜8時間にわたり行われる。好ましくは、縮合の程度は、温度と反応の時間を変更することによって制御される。
【0047】
得られた縮合生成物の粘度は、1000〜50000mPa・s、好ましくは2000〜20000mPa・s、より好ましくは3000〜10000mPa・s(全ての場合において、20℃で未希釈の生成物で測定)の範囲にある。
【0048】
得られた縮合生成物の数平均分子量は、250〜50000g/モル、好ましくは500〜25000g/モル、より好ましくは1000〜15000g/モルの範囲にある。
【0049】
得られた縮合生成物のヒドロキシル価は、一般に200〜1500mg(KOH)/g、好ましくは300〜1000g/モルの範囲にある。
【0050】
N−(ヒドロキシアルキル)アミンの縮合は、また、前記の式(I.a)及び/又は(I.b)の化合物及び酸を、効果的な量の付加的な触媒、例えばUS4,505,839号に記載されるように、ハロゲン化亜鉛もしくは硫酸アルミニウムもしくはハロゲン化亜鉛/カルボン酸もしくはAl2(SO43/カルボン酸の存在下で実施してもよい。好ましい付加的な触媒は、ZnCl2/酢酸及びAl2(SO43/酢酸である。一般に、付加的な触媒は、存在するならば、縮合されるべきN−(ヒドロキシアルキル)アミンの量、好ましくは約0.01〜1.25質量%に対して、0.01〜5.0質量%の量で使用される。
【0051】
本発明の特定の一実施態様は、工程a)のポリエーテルが、式(I.a)及び/又は(I.b)のN−(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1種の化合物の縮合によって提供され、その際、5質量%未満の、好ましくは1質量%未満の、より好ましくは実質的にゼロの同時縮合可能な化合物、すなわち0.1質量%未満の、式(I.a)及び/又は(I.b)の化合物とは異なる化合物が使用される方法に関する。
【0052】
本発明のもう一つの特定の実施態様は、工程a)のポリエーテルが、前記の式(I.a)及び/又は(I.b)のN−(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1種の化合物を、式Y(OH)n[式中、n及びYは前記の意味の1つを有する]のポリオールから選択される少なくとも1種の化合物と一緒に同時縮合させることによって提供される方法に関する。
【0053】
この実施態様においては、式Y(OH)nのポリオールは、一般に、式(I.a)及び/又は(I.b)の化合物の量に対して、50質量%未満の量で、すなわち式(I.a)及び/又は(I.b)の化合物の量に対して、0.1〜50質量%の量で、より好ましくは1〜25質量%の量で同時縮合される。縮合反応のために好ましい条件は、前記に概説される条件である。酸、特に亜リン酸及び/又は次亜リン酸及び/又は、この場合には付加的な触媒は、式(I.a)及び/又は(I.b)の化合物の量と式Y(OH)nのポリオールの累積量で計算される。
【0054】
本発明の更なるもう一つの特定の実施態様は、工程a)のポリエーテルが、前記の式(I.a)及び/又は(I.b)のN−(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1種の化合物を、式Y′(NHRym[式中、m、Y′及びRyは前記の意味の1つを有する]のポリアミンから選択される少なくとも1種の化合物と一緒に同時縮合させることによって提供される方法に関する。
【0055】
この実施態様においては、式Y′(NHRymのポリアミンは、一般に、式(I.a)及び/又は(I.b)の化合物の量に対して、50質量%未満の量で、すなわち式(I.a)及び/又は(I.b)の化合物の量に対して、0.1〜50質量%の量で、より好ましくは1〜25質量%の量で同時縮合される。縮合反応のために好ましい条件は、前記に概説される条件である。酸、特に亜リン酸及び/又は次亜リン酸及び/又は、この場合には付加的な触媒は、式(I.a)及び/又は(I.b)の化合物の量と式Y′(NHRymのポリアミンの累積量で計算される。
【0056】
工程b)
本発明による方法の工程a)で得られる縮合生成物と少なくとも1種のアルキレンオキシドとの反応は、当該技術分野で公知の一般的なアルコキシル化手順に従って実施できる。
【0057】
一般に、本発明による方法の工程b)は、好適な塩基の存在下で実施される。好適な塩基は、例えばアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩並びにそれらの混合物である。好ましい塩基は、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物、例えばNaOH、KOHもしくはCa(OH)2である。
【0058】
該塩基は、一般に、工程a)で得られる縮合生成物の残りのヒドロキシル基の量に対して、5〜30質量%の量で使用される。
【0059】
本発明による方法の工程b)から得られるポリマーのアルコキシル化の程度は、使用される少なくとも1種のアルキレンオキシドの量並びに反応温度などの反応条件に依存する。
【0060】
従って、工程b)で、好ましくは1〜100モルの、好ましくは2〜80モルの少なくとも1種のアルキレンオキシドを、工程a)で得られるポリエーテルの1モルの残りのヒドロキシル基と、存在するならば第二級アミノ基と反応される。工程b)で使用される少なくとも1種のアルキレンオキシドは、不活性ガスの混合物を、5〜60質量%の量で含有してよい。
【0061】
慣用には、工程b)の反応は、高められた温度で、好ましくは40℃〜250℃の温度で、より好ましくは80℃〜200℃の温度で、特に100℃〜150℃の温度で行われる。
【0062】
本発明による方法の工程b)で1種より多くのアルキレンオキシドが使用される場合に、得られるポリマーのアルキレンオキシ単位は、互いに任意の順序で結合されうる。このように、統計的コポリマー、段階的コポリマー、交互コポリマー又はブロックコポリマーを得ることができる。
【0063】
工程c)
本発明の更なる一態様は、c)本発明によるポリマーの第四級化、プロトン化、硫酸化及び/又はリン酸化によって得られる誘導体に関する。本発明による方法の工程b)で得られるポリマーは、誘導体化に供されるか、またはこうして得られる誘導体は、更なる誘導体化に供されるかのいずれかであってよい。誘導体化されるべき好ましいポリマーに関しては、上述の好ましい実施態様に参照がなされる。
【0064】
こうして、本発明の更なる一態様は、前記誘導体の製造方法において、前記に概説される方法の工程a)及びb)によって製造されるポリマーが、第四級化、プロトン化、硫酸化及び/又はリン酸化に供されることを含む方法に関する。
【0065】
本発明によるポリマーの誘導体であって、第四級アンモニウム基、すなわち荷電カチオン基を有する誘導体は、アミン窒素原子から、アルキル化剤での第四級化によって製造することができる。これらには、C1〜C4−アルキルのハロゲン化物もしくは硫酸塩、例えば塩化エチル、臭化エチル、塩化メチル、臭化メチル、硫酸ジメチル及び硫酸ジエチルが含まれる。好ましい第四級化剤は、硫酸ジメチルである。
【0066】
本発明によるポリマーの誘導体であって、荷電カチオン基(第四級アンモニウム基とは異なる)を有する誘導体は、アミン窒素原子から、酸によるプロトン化によって製造することもできる。好適な酸は、例えばカルボン酸、例えば乳酸もしくは鉱酸、例えばリン酸、硫酸及び塩化水素酸である。
【0067】
本発明によるポリマーの硫酸化は、硫酸もしくは硫酸誘導体との反応によって実施できる。このように、酸性のアルキルエーテルスルフェートが得られる。
【0068】
好適な硫酸化剤は、例えば硫酸(好ましくは75〜100%濃度、より好ましくは85〜98%濃度)、発煙硫酸、SO3、クロロ硫酸、塩化スルフリル、アミド硫酸などである。塩化スルフリルが硫酸化剤として使用される場合に、残りの塩素は、硫酸化後の加水分解によって置き換えられる。
【0069】
硫酸化剤は、しばしば、本発明によるポリマー中に存在するOH基1モルあたりに、等モルもしくは当量で又は過剰に、例えば1〜1.5モルの量で使用される。しかし、該硫酸化剤は、また、等モルより少ない量で使用することもできる。
【0070】
硫酸化は、また、溶剤もしくは共沸剤の存在下で実施できる。好適な溶剤もしくは共沸剤は、例えばトルエンである。
【0071】
硫酸化の後に、反応混合物は、一般に中和され、かつ慣用の様式で後処理される。
【0072】
本発明によるポリマーのリン酸化は、リン酸もしくはリン酸誘導体との反応によって実施できる。このように、酸性のアルキルエーテルホスフェートが得られる。
【0073】
本発明によるポリマーのリン酸化は、一般に、前記の硫酸化と同様にして実施される。好適なリン酸化剤は、例えばリン酸、ポリリン酸、五酸化リン、POCl3などである。POCl3がリン酸化剤として使用される場合に、残りの塩素は、リン酸化後の加水分解によって置き換えられる。
【0074】
以下の実施例は、本発明を更に説明するものであるが、本発明の範囲を制限するものではない。
【0075】
実施例
I. 分析法
アミン価は、DIN53176に従って、酢酸中のポリマーの溶液を過塩素酸で滴定することによって測定した。
【0076】
ヒドロキシ価は、DIN53240に従って、サンプルをピリジン中で無水酢酸及び酢酸と一緒に加熱して、引き続き水酸化カリウムで滴定することによって測定した。
【0077】
分子量(Mn)は、溶出剤としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いてサイズ排除クロマトグラフィーによって測定した。
【0078】
純粋なポリマーの粘度は、回転粘度計(Haake)を用いて20℃で測定した。
【0079】
II. 製造例
実施例
ポリアルカノールアミンを、文献(例えばEP0441198号、US5,393,463号)に記載される方法と同様にして、次亜リン酸の存在下での縮合もしくは同時縮合によって合成した。アルコキシ化は、KOH、NaOHなどの触媒剤の存在下で慣用の条件下で実施した。
【0080】
実施例1: エトキシル化されたトリエタノールアミン縮合物の製造
1.a) トリエタノールアミンの縮合(3.5時間)
トリエタノールアミン(1499.7g)及び次亜リン酸の水溶液(50%濃度、9.75g)の混合物を、227℃で撹拌しつつ弱い窒素流下で加熱した。反応水を留去した。3.5時間後に、該混合物を室温に冷却した。粘度3145mPa・s及びヒドロキシル価723.7mg(KOH)/gを有する僅かに黄色の液体が得られた。分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定した。質量平均分子量:Mw=5700g/モル;多分散性:Mw/Mn=1.8。
【0081】
1.b) ポリ−トリエタノールアミンのエトキシル化
前記の1.a)で得られたポリエタノールアミン(77.52g)及び水酸化カリウムの水溶液(40%濃度、2.9g)を、オートクレーブ中に導入し、そして真空下に100℃で2.0時間にわたり撹拌した。該混合物を、エチレンオキシド(1056g、24当量のEO/OH)と、120℃で分けて添加して反応させた。反応を完了させるために、該混合物を圧力下で2時間にわたり後反応させた。該反応混合物を、窒素でストリッピングし、そして揮発性化合物を真空中で80℃で除去した。褐色の油状の固体が得られ(1110g)、それはアミン価0.4007ミリモル/gを有していた。エトキシル化の平均的な程度は、ヒドロキシル基あたりに添加されたエチレンオキシド単位23.4であった。
【0082】
実施例2: トリエタノールアミンの縮合(4.5時間)
トリエタノールアミン(1491.9g)及び次亜リン酸の水溶液(50%濃度、9.7g)の混合物を、227℃で撹拌しつつ弱い窒素流下で加熱した。反応水を留去した。4.5時間後に、該混合物を室温に冷却した。粘度4490mPa・s及びヒドロキシル価587.1mg(KOH)/gを有する黄色の液体が得られた。分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定した。質量平均分子量:Mw=7800g/モル;多分散性:Mw/Mn=2.1。
【0083】
実施例3: エトキシル化されたトリエタノールアミン縮合物の製造
3.a) トリエタノールアミンの縮合(7.0時間)
トリエタノールアミン(1491.9g)及び次亜リン酸の水溶液(50%濃度、9.7g)の混合物を、227℃で撹拌しつつ弱い窒素流下で加熱した。反応水を留去した。7.0時間後に、該混合物を室温に冷却した。粘度8260mPa・s及びヒドロキシル価489.8mg(KOH)/gを有する黄色の油状物が得られた。分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定した。質量平均分子量:Mw=13500g/モル;多分散性:Mw/Mn=3.1。
【0084】
3.b) ポリ−トリエタノールアミンのエトキシル化
前記の3.a)で得られたポリエタノールアミン(114.5g)及び水酸化カリウムの水溶液(40%濃度、4.3g)を、オートクレーブ中に導入し、そして真空下に100℃で2.0時間にわたり撹拌した。該混合物を、エチレンオキシド(1056g、24当量のEO/OH)と、120℃で分けて添加して反応させた。反応を完了させるために、該混合物を圧力下で2時間にわたり後反応させた。該反応混合物を、窒素でストリッピングし、そして揮発性化合物を真空中で80℃で除去した。褐色の油状の固体が得られ(1143.1g)、それはアミン価0.91587ミリモル/gを有していた。エトキシル化の平均的な程度は、ヒドロキシル基あたりに添加されたエチレンオキシド単位23.1であった。
【0085】
実施例4: プロポキシ化されたエトキシル化されたトリエタノールアミン縮合物の製造
4.a) トリエタノールアミンの縮合(7.5時間)
トリエタノールアミン(1506g)及び次亜リン酸の水溶液(50%濃度、9.8g)の混合物を、227℃で撹拌しつつ弱い窒素流下で加熱した。反応水を留去した。7.5時間後に、該混合物を室温に冷却した。粘度9432mPa・s及びヒドロキシル価463mg(KOH)/gを有する黄色の油状物が得られた。分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定した。質量平均分子量:Mw=13600g/モル;多分散性:Mw/Mn=3.2。
【0086】
4.b) ポリ−トリエタノールアミンのエトキシル化
前記の4.a)で得られたポリエタノールアミン(109.2g)及び水酸化カリウムの水溶液(40%濃度、7.2g)の混合物を、オートクレーブ中に導入し、そして真空下に100℃で2.0時間にわたり撹拌した。該混合物を、エチレンオキシド(960.2g、24当量のEO/OH)と、120℃で分けて添加して反応させた。反応を完了させるために、該混合物を圧力下で2時間にわたり後反応させた。該反応混合物を、窒素でストリッピングし、そして揮発性化合物を真空中で80℃で除去した。アミン価0.9885ミリモル/gを有する褐色の油状の固体(1054.3g)が得られた。エトキシル化の平均的な程度は、ヒドロキシル基あたりに添加されたエチレンオキシド単位23.6であった。分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定した。質量平均分子量:Mw=43000g/モル;多分散性:Mw/Mn=1.5。
【0087】
4.c) エトキシル化されたポリ−トリエタノールアミンのプロポキシ化
前記の4.b)で得られたエトキシル化されたポリエタノールアミン(603.4g)を、オートクレーブ中に導入し、そしてプロピレンオキシド(483.3g;16当量のPO/OH)と、120℃で分けて添加して反応させた。反応を完了させるために、該混合物を圧力下で2時間にわたり後反応させた。該反応混合物を、窒素でストリッピングし、そして揮発性化合物を真空中で80℃で除去した。アミン価0.453ミリモル/gを有する褐色の油状の固体(1087.0g)が得られた。平均プロポキシル化度は、ヒドロキシル基当たりに添加されたプロピレンオキシド16.0モルであった。分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定した。質量平均分子量:Mw=54000g/モル;多分散性:Mw/Mn=1.9。
【0088】
実施例5: エトキシル化されたジエタノールアミン縮合物の製造
5.a) ジエタノールアミンの縮合
ジエタノールアミン(1078.9g)及び次亜リン酸の水溶液(50%濃度、10.16g)の混合物を、227℃で撹拌しつつ弱い窒素流下で加熱した。反応水を留去した。7.0時間後に、該混合物を室温に冷却した。アミン価803.5mg(KOH)/gを有する黄色の油状の液体が得られた。
【0089】
5.b) ポリ−ジエタノールアミンのエトキシル化
前記の5.a)で得られたポリエタノールアミン(69.8g)及び水酸化カリウムの水溶液(40%濃度、2.6g)を、オートクレーブ中に導入し、そして真空下に100℃で2.0時間にわたり撹拌した。該混合物を、エチレンオキシド(1056g、24当量のEO/OH)と、120℃で分けて添加して反応させた。反応を完了させるために、該混合物を圧力下で2時間にわたり後反応させた。該反応混合物を、窒素でストリッピングし、そして揮発性化合物を真空中で80℃で除去した。アミン価1.913ミリモル/gを有する褐色の油状の固体(1126.1g)が得られた。
【0090】
実施例6: トリエタノールアミン及びグリセリンの同時縮合
トリエタノールアミン(746.0g)、グリセリン(460.5g)及び次亜リン酸の水溶液(50%濃度、9.7g)の混合物を、227℃で撹拌しつつ弱い窒素流下で加熱した。反応水を留去した。7.0時間後に、該混合物を室温に冷却した。ヒドロキシル価830mg(KOH)/gを有する黄色の液体が得られた。分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定した。質量平均分子量:Mw=7000g/モル;多分散性:Mw/Mn=1.9。
【0091】
実施例7: トリエタノールアミン及びグリセリンの縮合生成物のエトキシル化
前記の6)で得られた縮合生成物(67.6g)及び水酸化カリウムの水溶液(40%濃度、2.5g)を、オートクレーブ中に導入し、そして真空下に100℃で2.0時間にわたり撹拌した。該混合物を、エチレンオキシド(約1056g、約24当量のEO/OH)と、120℃で分けて添加して反応させた。反応を完了させるために、該混合物を圧力下で2時間にわたり後反応させた。該反応混合物を、窒素でストリッピングし、そして揮発性化合物を真空中で80℃で除去した。褐色の油状の固体が得られた(1154.5g)。エトキシル化の平均的な程度は、ヒドロキシル基あたりに添加されたエチレンオキシド単位24.7であった。
【0092】
実施例8: ポリ−トリエタノールアミンのプロポキシル化
前記の4.a)で得られたポリエタノールアミン(132.0g)及び水酸化カリウムの水溶液(40%濃度、8.4g)を、オートクレーブ中に導入し、そして真空下に100℃で2.0時間にわたり撹拌した。該混合物を、プロピレンオキシド(966.8g、16当量のPO/OH)と、120℃で分けて添加して反応させた。反応を完了させるために、該混合物を圧力下で2時間にわたり後反応させた。該反応混合物を、窒素でストリッピングし、そして揮発性化合物を真空中で80℃で除去した。褐色の油状の固体が得られた。プロポキシル化の平均的な程度は、ヒドロキシル基あたりに添加されたプロピレンオキシド単位16であった。
【0093】
実施例9: エトキシル化されたポリ−トリエタノールアミンの第四級化
硫酸ジメチル(41.5g)を、前記の4.b)で得られたエトキシル化されたポリトリエタノールアミン(350g)に、70〜75℃で窒素雰囲気下で滴加する。該反応混合物を、70℃で5時間にわたり撹拌し、そして室温に冷却する。1モルのOH基あたり24モルのエチレンオキシドでアルコキシル化されたメチル化されたポリトリエタノールアミンが、褐色の固体(384g)として得られ、それは、0.0ミリモル/gのアミン価を有していた。第四級化の程度は、100%であった。
【0094】
実施例10: 硫酸化
硫酸(96%、4.4g)を、実施例9で得られたエトキシル化された完全に第四級化されたポリトリエタノールアミンに、60℃で窒素雰囲気下で滴加した。該反応混合物を、90℃の温度及び10ミリバールの圧力で3時間にわたり保持した。該反応混合物を60℃に冷却した後に、pH値を、8〜8.6に、水酸化ナトリウムの水溶液(50%、21.0g)の添加によって調整した。4.9%の水を含有する褐色の固体が得られた(215g)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の
a)式(I.a)及び/又は(I.b)
【化1】

[式中、
Aは、無関係に、C1〜C6−アルキレンであり;
1、R1*、R2、R2*、R3、R3*、R4、R4*、R5及びR5*は、互いに無関係に、水素、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールから選択され、その際、最後に挙げた3つの基は、場合により置換されていてよく;かつ
6は、水素、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールから選択され、その際、最後に挙げた3つの基は、場合により置換されていてよい]のN−(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1種の化合物を縮合させる工程と、
b)工程a)で提供されるポリエーテルの残りのヒドロキシ基の少なくとも一部及び/又は存在するならば第二級アミノ基の少なくとも一部と、少なくとも1種のアルキレンオキシドとを反応させる工程
によって得られるポリマー並びに前記ポリマーの第四級化、プロトン化、硫酸化及び/又はリン酸化によって得られる誘導体。
【請求項2】
工程b)で、ヒドロキシル基及び/又は存在するならば第二級アミノ基と、少なくとも1種のアルキレンオキシドとの反応が、塩基の存在下で実施される方法によって得られる、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
工程a)で、式(I.a)及び/又は(I.b)のN−(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1種の化合物を、式Y(OH)n[式中、nは、2〜4の整数であり、かつYは、二価の、三価のもしくは四価の、2〜10個の炭素原子を有する脂肪族の、脂環式のもしくは芳香族の基を示す]のポリオールから選択される少なくとも1種の化合物と同時縮合させる方法によって得られる、請求項1又は2に記載のポリマー。
【請求項4】
工程a)で、式(I.a)及び/又は(I.b)のN−(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1種の化合物を、式Y′(NHRym[式中、mは、2〜4の整数であり、かつY′は、二価の、三価のもしくは四価の、2〜10個の炭素原子を有する脂肪族の、脂環式のもしくは芳香族の基を示し、かつRyは、R6について示した意味の1つを有するか、もしくは2つの基Ryは、一緒になってC1〜C6−アルキレン基を形成してよい]のポリアミンから選択される少なくとも1種の化合物と同時縮合させる方法によって得られる、請求項1から3までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項5】
式(I.a)及び/又は(I.b)で示され、その式中、Aがメチレン基であり、前記基が非置換であるか、又はC1〜C4−アルキルから選択される1つの置換基を有するN−(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される化合物から得られる、請求項1から4までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項6】
式(I.a)及び/又は(I.b)で示され、その式中、R1、R1*、R2、R2*、R3、R3*、R4、R4*、R5及びR5*が互いに無関係に水素及びC1〜C4−アルキルから選択されるN−(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される化合物から得られる、請求項1から5までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項7】
式(I.b)で示され、その式中、R6が存在する場合に、好ましくは水素及びC1〜C4−アルキルから選択されるN−(ヒドロキシアルキル)アミンから得られる、請求項1から6までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項8】
工程b)で、少なくとも1種のアルキレンオキシドが、エポキシエタン、エポキシプロパン、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシ−2−メチルプロパン、1,2−エポキシペンタン、2,3−エポキシペンタン、1,2−エポキシ−2−メチルブタン、2,3−エポキシ−2−メチルブタン、1,2−エポキシヘキサン、2,3−エポキシヘキサン、3,4−エポキシヘキサン及び1,2−エポキシエチレンベンゼンから選択される方法によって得られる、請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項9】
少なくとも1種のアルキレンオキシドが、エポキシエタン及び/又はエポキシプロパンから選択される、請求項8に記載のポリマー。
【請求項10】
工程b)で、1〜100モルの少なくとも1種のアルキレンオキシドと、工程a)で提供されるポリエーテルの1モルの残りのヒドロキシ基及び存在するならば第二級アミノ基とが反応される、請求項1から9までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項11】
500〜100000g/モルの範囲の数平均分子量を有する、請求項1から10までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項に記載のポリマーの製造方法において、
(a)前記定義の式(I.a)及び/又は(I.b)で示され、その式中、A、R1、R1*、R2、R2*、R3、R3*、R4、R4*、R5、R5*、R6及びR6*は、前記の意味の1つを有するN−(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1種の化合物の縮合によってポリエーテルを提供する工程と、
(b)該方法の工程(a)で提供されたポリエーテルの残りのヒドロキシの少なくとも一部及び/又は、存在するならば残りの第二級アミノ基の少なくとも一部と、少なくとも1種のアルキレンオキシドとを反応させる工程と
を含む方法。
【請求項13】
工程(b)での少なくとも1種のアルキレンオキシドとの反応が、好適な塩基の存在下で実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程a)のポリエーテルが、前記の式(I.a)及び/又は(I.b)のN−(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1種の化合物を、式Y(OH)n[式中、n及びYは前記請求項のいずれかに示される意味の1つを有する]のポリオールから選択される少なくとも1種の化合物と一緒に同時縮合させることによって提供される、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
工程a)のポリエーテルが、前記の式(I.a)及び/又は(I.b)のN−(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1種の化合物を、式Y′(NHRym[式中、m、Y′及びRyは前記請求項のいずれかに示される意味の1つを有する]のポリアミンから選択される少なくとも1種の化合物と一緒に同時縮合させることによって提供される、請求項12から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
工程b)での少なくとも1種のアルキレンオキシドが、エポキシエタン、エポキシプロパン、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシ−2−メチルプロパン、1,2−エポキシペンタン、2,3−エポキシペンタン、1,2−エポキシ−2−メチルブタン、2,3−エポキシ−2−メチルブタン、1,2−エポキシヘキサン、2,3−エポキシヘキサン、3,4−エポキシヘキサン及び1,2−エポキシエチレンベンゼンから選択される、請求項12から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
工程(b)での少なくとも1種のアルキレンオキシドが、エポキシエタン及び/又はエポキシプロパンから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
1〜100モルの少なくとも1種のアルキレンオキシドが、工程a)で提供されるポリエーテルの1モルの残りのヒドロキシ基と、存在するならば第二級アミノ基とが反応される、請求項12から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1から11までのいずれか1項に記載のポリマーのc)第四級化、プロトン化、硫酸化及び/又はリン酸化によって得られる誘導体。
【請求項20】
請求項12から18までのいずれか1項に記載の方法により製造されたポリマーを、第四級化、プロトン化、硫酸化及び/又はリン酸化に供する工程を含む、請求項19に記載の誘導体の製造方法。

【公表番号】特表2011−503281(P2011−503281A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532601(P2010−532601)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065113
【国際公開番号】WO2009/060060
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】