説明

アルコキシル化生成物およびDMC触媒によりこれらを調製する方法

【課題】[−CH2−CH(CH2OH)−O−]単位、[−CH2−C(=CH2)−O−]単位またはこの両型を同一分子鎖中に任意の所望の比で含む直鎖ポリアルキレン鎖を有する官能性アルコキシル化生成物とその調製方法の提供。
【解決手段】側鎖ヒドロキシ基を含むまたは側鎖C−C二重結合を有する新規なアルコキシル化生成物、および複合金属シアン化物(DMC)触媒を使用したハロゲン化アルキレンオキシドのアルコキシル化反応およびその後の塩素の脱離によりそれらを調製する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側鎖(lateral)ヒドロキシ基を含むもしくは側鎖C−C二重結合を有する新規なアルコキシル化生成物または対応するポリエーテル、ならびに複合金属シアン化物(DMC)触媒を使用したアルコキシル化反応によりこれらを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
当該側鎖ヒドロキシ基を含むまたは側鎖C−C二重結合を有する新規なアルコキシル化生成物は、特に、ポリエーテルアルコールであり、通常、略してポリエーテルまたはポリエーテロールとも呼ばれる。ポリエーテルまたはポリエーテロールは、長く知られており、大量に製造されている。これらは、特に、ポリウレタンを製造するための出発化合物としてポリイソシアネートとの反応のためにまたは界面活性剤を調製するために使用される。
【0003】
典型的には、ブタノール、アリルアルコール、プロピレングリコール、またはグリセロールなどのヒドロキシ官能性出発物質は、アルコキシル化反応において、好適な触媒の存在下で、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはブチレンオキシドなどのアルキレンオキシドと反応して、アルコキシル化生成物またはポリエーテルをもたらす。このようなアルコキシル化生成物を調製するほとんどの方法は、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ金属メトキシドなどの塩基性触媒を使用する。KOHの使用が特に普及している。しかしながら、例えば、出発物質中の塩基に対して不安定な官能基の存在下では、アルカリ触媒反応を使用することがいつも可能なわけではない。したがって、例えば、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属メトキシドを使用したエピハロヒドリンのアルコキシル化は、実用的でない。
【0004】
そのため、例えばDE102004007561(US2007158353)に記載されているように、アルコキシル化において、HBFとBF、AlClおよびSnClなどのルイス酸とを使用した酸触媒反応のための方法が開発されてきた。酸触媒ポリエーテル合成の欠点は、プロピレンオキシドおよびエピクロロヒドリンなどの非対称オキシランの開環における位置選択性の欠如であり、これによりいくつかの第2級および第1級OH末端基を有するポリオキシアルキレン鎖が制御できない方法で得られることとなる。連鎖停止反応および二次反応の結果として、達成可能なポリエーテルのモル質量も他の触媒に比べて比較的低い。
【0005】
近年、ポリエーテルを調製するための触媒として、複合金属シアン化物(DMC)触媒がますます使用されてきている。DMC触媒アルコキシル化は、非常に選択的かつ急速に進行し、高モル質量および比較的低い多分散度を有するポリエーテルの調製を可能にする。アルコキシル化触媒としての複合金属シアン化物複合体の調製および使用は、1960年代から知られており、例えば、US3427256、US3427334、US3427335、US3278457、US3278458、US3278459に開示されている。その後の数年間に開発され、例えば、US5470813およびUS5482908に記載されているさらに有効な種類のDMC触媒の中には、特に、亜鉛−コバルトヘキサシアノ錯体がある。その非常に高い活性のおかげで、ポリエーテルの調製には、ほんの低い触媒濃度しか必要とされない。
【0006】
OH官能性出発物質から調製したポリエーテルが普及している。これらから得られるポリエーテルは、末端OH基を有する。したがって、例えば、ブタノール、ヘキサンジオール、またはグリセロールを使用すると、鎖に沿って1個、2個、または3個のヒドロキシ基を有するポリエーテルが形成される。出発物質のOH基の数から自動的に生じるポリエーテルのOH官能性は、各ポリエーテルの利用可能性を決定する重要な特性である。ポリウレタンの合成においてイソシアネートにより架橋されるポリエーテルは、通常、2個、3個またはそれ以上の末端OH官能基を有する。OH官能性は、架橋密度を決定し、したがって、最終的な架橋物質の物質特性を決定的に決定する。
【0007】
非イオン性界面活性剤および乳化剤として使用するポリエーテルでは、OH基は、強力な親水性構造単位として働く。これらは、通常、例えば、エチレンオキシドを脂肪アルコールに添加することにより得られる、ポリエーテルの鎖端を形成する。界面活性剤の場合には、分子中のヒドロキシ基の数および配置が、親水性−親油性バランスを非常に重要に決定する。
【0008】
高OH官能性を有するポリエーテル、特に高分子量を有するものを得るための産業的実用可能性は限定される。アルコキシル化生成物またはポリエーテルは、モル質量分布を有する。以下で平均モル質量に言及する場合、これらは質量平均Mである。したがって、4個、6個またはそれ以上のOH末端基を有するポリエーテルの合成は、その高い融点および不活性溶媒への低い溶解度のためにアルコキシル化が困難である、ペンタエリトリトール、ソルビトール、ジペンタエリトリロール、または例えば糖もしくは糖アルコールなどの出発物質から始める。
【0009】
従来技術には、他のアルキレンオキシドに加えて、モノマーまたはコモノマーとしてグリシドール、グリセリンカーボネート、およびヒドロキシオキセタンを使用することにより、ポリヒドロキシ化ポリエーテルを調製する種々の文献が含まれる。これら全ての方法において、分枝ポリエーテル構造が形成される。このような生成物は、しばしば多分岐ポリエーテルまたは樹枝状ポリエーテルと呼ばれる。グリシドール、グリセリンカーボネート(COの除去後)、およびヒドロキシオキセタンの組み込みは、開環後に、追加のOH基の形成をもたらし、さらなるモノマーが供給されると新たなOH末端ポリエーテル側鎖がそこで成長する。したがって、モノマーに組み込まれるグリシドール、グリセリンカーボネート、およびヒドロキシオキセタンの各分子は、自動的に分岐点となる。しかしながら、OH官能性モノマーは、同時にその後添加されるモノマーの鎖出発物質として機能するので、最終生成物は、異なる分枝および広範なモル質量分布を有するポリエーテルの複雑な混合物となる。OH官能基は、主鎖および側鎖の末端基に常に存在するが、このような鎖の中央の側鎖には決して存在しない。
【0010】
ポリウレタン用途のための高分枝ポリエーテロールを形成するアルカリ触媒条件下でのグリシドールの(共)重合は、例えば、WO2000/037532に記載されている。エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびグリシドールからの樹枝状構造を有するポリヒドロキシ化ポリエーテルの調製は、Feng他 Macromolecules(2009)、42(19)、7292〜7298で記載されている。J.Appl.Polym.Sci.(2001)、82(9)、2290〜2299において、Royappa他は、多分岐両親媒性ポリエーテルを形成するためのグシシドールと種々の他のエポキシ化合物とのカチオン共重合を研究した。EP0116978は、ポリエチレングリコールのグリシドールおよびエチレンオキシドとのKOH触媒反応により生成される直鎖構造セグメントを有する分枝ポリエーテロールを記載している。EP1249464(US2002182469)は、エチレンオキシドおよびグリシドールに基づき、かつエチレンオキシ単位に加えて[−CH−CH(CHO−)−O−]型の構造要素を有する、ポリエーテルを記載している。この記載および例は、この構造的特徴が、ポリエーテル骨格中の分岐点であり、したがって、生成物が、側鎖官能基が再度さらなるアルコキシル化ステップの出発点であるか、あるいはアルキル基を有する多分岐ポリマーであることを示している。
【0011】
DE102008032066(US2011185947)は、グリシドールまたはグリセリンカーボネートの他のアルキレンオキシドとのアルカリ触媒アルコキシル化により得られるポリOH官能性アリルポリエーテルに脚光を当てている。この方法で得ることができる不飽和ポリエーテルは、ヒドロシリル化反応で水素シロキサンと反応して、コーティングにおいて抗接着性、防汚作用を有する、高OH官能性ポリシロキサン−ポリエーテル共重合体を形成する。
【0012】
貯蔵安定性および毒性に関して、OH基および同時に分岐点を生成するためのモノマーとしてのヒドロキシ官能性オキセタンの使用は、グリシドールに対して有意な利点を有する。したがって、US7176264は、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンに基づく樹枝状ポリマーを調製する方法を記載している。DE1020060031152は、アルコキシル化反応においてヒドロキシオキセタンを使用することにより得られる分枝ポリヒドロキシ官能性アリルポリエーテルを開示している。ハイドロゲンシロキサンを含むこのような共重合体は、極性の、通常、水性の表面コーティング系で使用される。
【0013】
DMC触媒およびエピハロヒドリンを使用して得られるハロゲン置換ポリエーテルは、US7423112から知られている。この特許に記載されているハロゲン化ポリエーテルは、アミンとのさらなる置換反応でアミン官能性ポリエーテルに変換される。
【0014】
追加のOH基がポリエーテル鎖の末端だけではなく側鎖に生成されることを可能にし、したがって、分枝ポリマー構造の形成を回避する化学方法は今までごくわずかしか記載されてこなかった。例えば、US3578719は、8〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコール出発物質から、最初に、酸触媒アルコキシル化反応でエピクロロヒドリン1〜10モルを添加し、その後、第2ステップで、アルカリ金属カルボン酸塩および極性溶媒の存在下で、置換反応により有機結合した塩素を側鎖OH基に変換する2段階プロセスで得られる、化粧品用途ためのポリヒドロキシ化界面活性剤を記載した。[−CH−CH(CHOH)−O−]型の要素を10個まで含む短鎖ポリエーテルは、単官能性出発物質アルコールに基づく追加の末端OH基を有する。BF、SnCl、およびSbClは、エピクロロヒドリンの重付加の触媒として働く。欠点は、上記経路によって、低モル質量を有するエピクロロヒドリンのホモポリマーおよびそのヒドロキシ化下流生成物(downstream product)しか得ることができないことである。生成物収率に基づいて非常に大量のアルカリ金属塩化物が塩として形成され、分離するのが困難である。非常にOHに富む最終生成物の形成は、塩素の定量的脱離を達成するために、180℃の高温だけでなく、ジプロピレングリコールなどの極性プロトン性高沸点溶媒の使用も必要とする。溶媒は、高沸点による困難を伴うのみで、蒸留によりその後除去することができる。さらに、溶媒は、部分的にエステル化されるので、部分的にしか再利用することができない。
【0015】
GB1267259およびGB1516195は、塩基触媒またはルイス酸触媒アルコキシル化反応において、モノマーとしてtert−ブチルグリシジルエーテルを使用することによる、化粧用油としての[−CH−CH(CHOH)−O−]構造単位を有するポリエーテルの調製を記載している。この方法は、出発物質アルコールの1個のOH基当たり10単位までのtert−ブチルグリシジルエーテルをブロック状に添加することを可能にする。その後、tert−ブチル基は、強酸の存在下でイソブチレンの形で分離され、したがって、ヒドロキシ基が形成される。化学的には、tert−ブチルグリシジルエーテルは、エーテル化グリシドールである。OH基が保護されているので、ポリマー構造中の望ましくない鎖分枝が防がれる。同様に、保護されたグリシドールは、OH官能基の欠如のために鎖出発物質として機能することができない。この方法の欠点は、非選択的触媒によって課せられる、比較的低いモル質量を有する生成物、および10個以下の[−CH−CH(CHOH)−O−]単位を有し、さらに専らブロック状に結合した構造への制限である。
【0016】
ヒドロキシ官能化とは別に、不飽和基による官能化が重要な役割を果たす。当業者は、C−C二重結合をポリエーテルに組み込む多数の方法を知っている。アリル基を有し、かつ、アリルアルコール、グリセリンモノアリル、またはジアリルエーテルなどから、あるいはペンタエリトリトールモノアリル、ジアリル、またはトリアリルエーテルなどから、その後のアルコキシル化反応によって調製することができるポリエーテルは、特に普及している。アルコキシル化反応におけるモノマーとしてのアリルグリシジルエーテルの使用が同様に知られている。従来技術はまた、アルケニル基を有し、かつビニルオキシアルコールまたはヘキセノールなどの不飽和アルコールのアルコキシル化などによって得られるさらなる構造を開示している。アクリレートおよびメタクリレート官能化ポリエーテルも知られており、例えば、それぞれの不飽和酸を使用したOH官能性ポリエーテルのエステル化により、あるいはアルコキシル化におけるモノマーとしてのグリシジル(メタ)アクリレートの使用により、調製することができる。
【0017】
ポリエーテルなどの不飽和アルコキシル化生成物の可能な用途は、その反応性のために非常に汎用性が高く、当業者に同様に知られている。ヒドロシリル化反応によるポリエーテルシロキサンの形成とは別に、フリーラジカル、イオン性または放射線誘起硬化が重要な役割を果たす。
【0018】
現在の従来技術では、複数のヒドロキシ官能性を有するポリエーテルおよび不飽和基を有するポリエーテルの両方の調製を可能にし、分子中の形成されるヒドロキシ基および不飽和基の数をプロセス条件の簡単な変化によって制御することができる方法が欠如している。
【0019】
本来樹枝状でも多分岐でもないが、その構造が、所望のようにランダムにまたはブロック状に組み込まれる[−CH−CH(CHOH)−O−]単位を有する直鎖ポリオキシアルキレン鎖を特徴とするヒドロキシ官能性アルコキシル化生成物またはポリエーテル、およびこのようなヒドロキシ化化合物を、高モル質量を有し、大きな構造多様性で、アルコキシル化で起こる酸またはアルカリ触媒反応からの既知の二次反応および連鎖停止反応なしで、経済的かつ再現性よく調製することを可能にする方法も欠如している。所望のように分子鎖中にランダムにまたはブロック状に分布する[−CH−C(=CH)−O−]型の単位を有する不飽和ポリエーテル、およびこれらを調製する方法も欠如している。同一分子鎖中にOH官能性[−CH−CH(CHOH)−O−]単位および[−CH−C(=CH)−O−]型の不飽和ビニルエーテル単位の両方を有するポリエーテル、およびこのような二官能化アルコキシル化生成物を単純で再現可能な方法で調製することを可能にする方法も欠如している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
そのため、所望のように[−CH−CH(CHOH)−O−]単位、[−CH−C(=CH)−O−]単位、またはこれらの官能基の両型を同一分子鎖中に任意の所望の比で含む直鎖ポリアルキレン鎖を有する新規な官能性アルコキシル化生成物、ならびにこれらを調製する方法も発見することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的は、複合金属シアン化物(DMC)触媒の存在下で、エポキシド基を有するハロゲン化化合物を出発物質アルコールと反応させ、その後ハロゲンを置換または脱離させることにより達成される。
【0022】
したがって、驚くべきことに、第1に、さらなるアルキレンオキシドに加えてコモノマーとしてエピクロロヒドリンを使用して、アルコキシル化反応で選択的複合金属シアン化物(DMC)触媒により、任意の所望のOH官能性出発物質化合物から、所望の標的生成物のモル質量を有する塩素化アルコキシル化生成物を調製し、合成の第2ステップで、これをアルカリ性水酸化物と共に沸騰させて、塩素の置換または脱塩化水素により、側鎖ヒドロキシ基または側鎖C−C二重結合を有する所望の側鎖官能化アルコキシル化生成物に変換する2段階反応で、側鎖ヒドロキシ基および/または側鎖ビニル基を有するこのようなアルコキシル化生成物を得ることができることが分かった。
【0023】
したがって、本発明は、式(I)
A−[O−(CH−CHR−O−)−(CH−CH(CHOH)−O−)m1−(CH−C(=CH)−O−)m2−(CH−CH(CH)−O−)−H]a1
(I)
(式中、R、a1、n、m1、m2およびoは、以下で定義されるとおりである)
を有する、構造単位[−CH−CH(CHOH)−O−]および/または構造単位[−CH−C(=CH)−O−]を有する本発明による化合物(以後、本発明のアルコキシル化生成物または本発明のポリエーテルとも呼ぶ)を提供する。
【0024】
本発明は、式(I)のアルコキシル化生成物を得ることができ、また本発明のアルコキシル化生成物を含む組成物を得ることができる方法をさらに提供する。
【0025】
本発明の方法は、式(I)の化合物を得ることを初めて可能にするという利点を有する。
【0026】
式(I)を有する本発明の化合物は、多数の可能な化学反応の化学中間体として使用することができる。
【0027】
本発明のアルコキシル化生成物およびこれらの調製は、以下の実施例を通して記載されるが、本発明はこれらの例示的実施形態に限定されない。化合物の範囲、一般式またはクラスが以下に示される場合、これらは、明確に言及される化合物の対応する範囲または群だけでなく、個々の値(範囲)または化合物を除外することにより得ることができる化合物の部分範囲またはサブグループの全ても含むことが意図されている。本明細書中に文書が引用される場合、その内容は、参照により本発明の開示内容に完全に組み込まれる。百分率が以下に報告される場合、これらは、特に指示しない限り、重量パーセントである。組成物の場合、百分率は、特に指示しない限り、全組成物を基準とする。平均値が以下に示される場合、これらは、特に指示しない限り、質量平均(重量平均)である。測定値が以下に示される場合、これらの測定値は、特に指示しない限り、101325Paの圧力および23℃の温度で測定される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のアルコキシル化生成物は、式(I)
A−[O−(CH−CHR−O−)−(CH−CH(CHOH)−O−)m1−(CH−C(=CH)−O−)m2−(CH−CH(CH)−O−)−H]a1
(I)
(式中、
Aは、水素または有機出発物質化合物の有機基であり、この場合、少なくとも1個の炭素原子を有する基であり、
基Rは、それぞれ、互いに独立に、水素、CH−Cl、2〜18個の炭素原子を有するアルキル基または芳香族基、特にフェニル基であり、
a1は、1〜8、好ましくは1〜4であり、
(a1*)は、0〜50、好ましくは0〜30、特に好ましくは1〜20であり、
(a1*)は、0〜50、好ましくは1〜30、特に好ましくは2〜20であり、
合計(a1*(m+m))は、2〜50、好ましくは2〜40、特に好ましくは3〜25であり、
ただし、
(a1*)は、mが0の場合、2以上であり、
(a1*n)は、0〜200、好ましくは0〜150、特に好ましくは0〜100であり、
(a1*o)は、1〜1000、好ましくは5〜800、より好ましくは8〜500、特に好ましくは10〜400である)
を有することを特徴とする。
【0029】
係数n、m、mおよびoを有する単位は、所望のように、鎖中にランダム混合物としてまたはブロック状に存在することができる。
【0030】
ここで示される係数および示される係数の値の範囲は、本目的のために、実際に存在する構造および/またはこれらの混合物の可能なランダムな分布の平均である。これはまた、正確な用語で示される構造式、例えば式(I)にも適用される。
【0031】
基Rは、好ましくはH、CH−Cl、エチル、またはフェニル、好ましくは専らHである。好ましい式(I)の化合物は、特に、ハロゲンを含む基Rを有さない。
【0032】
本発明のアルコキシル化生成物は、ビニルおよび/またはヒドロキシ基により、異なる程度で官能化することができる。係数mを有する単位のモル比は、合計すると100%となる係数mおよびmを有する単位の合計を基準として、好ましくは20〜100%、好ましくは30〜90%である。
【0033】
式(I)を有する本発明の化合物は、200〜50000g/モル、好ましくは800〜35000g/モル、特に好ましくは1200〜25000g/モルの重量平均モル質量を有する。
【0034】
係数oは常に1または1より大きいので、式(I)を有する本発明のアルコキシル化生成物は、オキシプロピレン単位が存在する点が、EP1249464に開示されている化合物とは異なる。アルコキシル化中に追加される最後のモノマー単位としてのオキシプロピレン基を有する式(I)のアルコキシル化生成物が特に好ましい。対照的に、EP1249464A1は、少なくとも1個のオキシエチレン単位を有し、モノマーとしてエチレンオキシドを使用することにより、または例えば出発物質化合物としてエチレングリコールを使用することにより得ることができるアルコキシル化生成物のみを含む。式(I)を有する本発明の生成物は、エチレンオキシ基を必ずしも含んでいなくてもよく、Rが水素の場合、係数nは0となり得る。さらに、式(I)により定義されるアルコキシル化生成物は、m=0の場合、少なくとも2個の[CH−CH(CHOH)−O−]型の単位の形で、少なくとも2個の側鎖OH官能基を含む。
【0035】
好ましくは存在する有機基Aは、好ましくは、以下に記載する式(II)
A−OH (II)
の化合物のOH基を有しない基である。
【0036】
好ましい基Aは、アルコール、ポリエーテロール、およびフェノールからなる群の化合物、好ましくはアリルアルコール、ブタノール、オクタノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレン、トリエチレンおよびポリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレンおよびポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、ならびにヒドロキシ基を有し、天然材料に基づく化合物に由来するものである。基Aは、好ましくは、33〜4983g/モル、特に83〜4983g/モルのモル質量を有する。基Aが、0〜7個、好ましくは1〜3個のヒドロキシ基を有することが有利であり得る。
【0037】
本発明のアルコキシル化生成物のモル質量Mは、広い範囲にわたって変化し得る。本発明のアルコキシル化生成物のモル質量Mは、好ましくは200〜50000g/モル、より好ましくは800〜35000g/モル、特に好ましくは1200〜25000g/モルである。
【0038】
式(I)を有する本発明のアルコキシル化生成物または本発明により調製される式(I)のアルコキシル化生成物は、好ましくは無色から黄色がかったオレンジ色の生成物であり、透明または不透明であり得る。
【0039】
本発明のアルコキシル化生成物は、好ましくは、以下に記載する本発明の方法により得られる。
【0040】
式(I)を有する本発明のアルコキシル化生成物を調製する本発明の方法では、これらは、エピクロロヒドリンを使用したDMC触媒反応、およびその後の置換反応による有機結合している塩素のOH基への変換またはHClの離脱によるビニルエーテル基への変換により得ることができる。
【0041】
同様に本発明による式(I)のアルコキシル化生成物を含む組成物、およびこれらの混合物は、本発明の方法により調製することができる。
【0042】
複合金属シアン化物触媒を使用した、アルコキシル化生成物、特にヒドロキシ官能性および/またはビニルエーテル官能性アルコキシル化生成物を含む本発明のアルコキシル化生成物を調製する本発明の方法は、以下のプロセスステップを含むことを特徴とする:
プロセスステップ1:
a)1種または複数種の式
A−OH (II)
(式中、A=水素または少なくとも1個の炭素原子を有する有機基)
の化合物を、
b)エピクロロヒドリンおよびプロピレンオキシドおよび任意選択により好ましくは、例えば、エチレンオキシド、1,2−ブチレンオキシドおよび/またはスチレンオキシドならびにこれらの任意の混合物からなる群から選択される、2〜18個の炭素原子を有する1種または複数種のさらなるアルキレンオキシドと
c)複合金属シアン化物触媒、好ましくは亜鉛ヘキサシアノコバルテート(III)の存在下で、
60〜250℃、好ましくは90〜160℃、特に好ましくは約100〜130℃の温度および0.02バール〜100バール、好ましくは0.05〜20バールの圧力(絶対)で反応させて、1個または複数の化学結合した塩素原子、好ましくは2〜50個、特に好ましくは2〜40個、極めて特に好ましくは3〜25個の塩素原子を含み、200〜50000g/モル、好ましくは800〜35000g/モル、特に好ましくは1200〜25000g/モルの重量平均モル質量を有するアルコキシル化生成物を得るプロセスステップ、および
プロセスステップ2:
a)プロセスステップ1)で得られた塩素化アルコキシル化生成物を、
b)1種または複数種の金属水酸化物および金属アルコキシド化合物と、好ましくはアルカリ金属およびアルカリ土類金属水酸化物ならびにアルコキシドと、特に好ましくはNaOH、KOH、Ca(OH)、NaOCH、KOCH、NaOCHCH、KOCHCHまたはこれらの任意の混合物と、
c)任意選択により水の存在下で、
d)任意選択によりジメチルスルホキシド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、テトラヒドロフランなどのエーテル、またはメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどのアルコールなどの有機溶媒の存在下で、
e)任意選択により第四級アンモニウムまたはホスホニウム化合物などの1種または複数種の相間移動触媒の存在下で、
30〜200℃、好ましくは60〜150℃の温度で反応させて、有機結合している塩素を完全にまたは部分的に脱離させるプロセスステップ、および任意選択により
プロセスステップ3:
a)無機または有機酸、好ましくは鉱酸、特に好ましくはリン酸による中和、
b)水および/または溶媒の蒸留、
c)相分離による塩化物塩の除去、および/または
d)濾過
による反応生成物の任意選択による後処理(work-up)のプロセスステップ。
【0043】
プロセスステップ1:
アルコキシル化反応のための出発物質(プロセスステップ1a)として、少なくとも1個のヒドロキシ基を有し、A=水素または少なくとも1個の炭素原子、好ましくは有機基の式(II)
A−OH (II)
の全ての化合物を使用することが可能である。本発明の目的のために、出発物質化合物は、調製され、かつアルキレンオキシドの分子付加により得られるポリエーテルまたはアルコキシル化生成物の開始(出発)を形成する物質である。出発物質化合物は、好ましくは、アルコール、ポリエーテロール、およびフェノールからなる群から選択される。群Aを含む出発物質化合物として、一価もしくは多価ポリエーテルアルコールおよび/または一価もしくは多価アルコールあるいはこれらの任意の混合物を使用することが好ましい。
【0044】
OH官能性出発物質化合物A−OH(II)として、50〜5000g/モル、特に100〜5000g/モルのモル質量を有する化合物を使用することが好ましい。OH官能性化合物として、1〜8個、好ましくは2〜4個のヒドロキシ基を有するものが使用される。アリルアルコール、ブタノール、オクタノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレン、トリエチレンおよびポリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレンおよびポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、キシリトール、トレイトール、エリスリトール、マンニトールもしくはラクチド、イソマルチトール、または任意選択により天然材料に基づくさらなるヒドロキシ保有化合物を例として挙げることができる。
【0045】
本発明の文脈中で天然材料、例えばソルビトールに言及する場合、この言及は基本的に全ての異性体を含み、天然で存在する異性体、言及したケースでは、D−ソルビトールが好ましい。
【0046】
天然材料の定義については、例えば、2011のオンライン版:http://dnp.chemnetbase.com/の「Dictionary of Natural Products」、Chapman and Hall/CRC Press、Taylor and Francis Groupを参照する。
【0047】
分子または分子フラグメントが、1個もしくは複数の立体中心を有するか、対称性に基づいて異性体に分類することができるか、または他の効果、例えば制限回転(restrictive rotation)に基づいて異性体に分類することができる場合はいつでも、全ての可能な異性体が本発明に含まれる。
【0048】
出発物質化合物として、1〜8個のヒドロキシ基および100〜5000g/モルの重量平均モル質量を有し、好ましくはDMC触媒アルコキシル化により調製された低分子量ポリエーテロールを使用することが好ましい。特に好適な化合物は、少なくとも1個のOH基を有する、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレン)−co−(プロピレン)グリコール、ポリブチレングリコール、ポリ(プロピレン)−co−(ブチレン)グリコール、ポリ(ブチレン)−co−(エチレン)グリコールである。これらのポリアルキレングリコールの中では、ブタノール、アリルアルコール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセロールに由来する化合物が特に有利である。したがって、本発明による反応の生成物は、より高いモル質量が達成される場合に本発明の方法において出発物質化合物として使用することができる。しかしながら、mが0より大きい場合、全ヒドロキシ基がアルコキシル化され得るので、分枝が起こる。使用することができる出発物質には、エピクロロヒドリン、例えばポリエピクロロヒドリン由来のポリエーテロールを含むハロゲン化化合物も含まれる。金属水酸化物を使用する第2反応ステップでは、出発物質に結合したハロゲンをOH基または不飽和基に変換することもできる。
【0049】
脂肪族および脂環式OH基を有する化合物とは別に、1〜20個のフェノールOH官能基を有する任意の化合物も式(II)の化合物として好適である。これらには、例えば、フェノール、アルキルフェノールおよびアリールフェノール、ビスフェノールA、およびノボラックが含まれる。
【0050】
DMC触媒として、全ての既知のDMC触媒、好ましくは亜鉛およびコバルトを含むもの、特に好ましくは亜鉛ヘキサシアノコバルテート(III)を含むものを使用することが可能である。US5158922、US20030119663、WO01/80994または上記文書に記載されているDMC触媒を使用することが好ましい。触媒は、非晶質であっても結晶質であってもよい。
【0051】
プロセスステップ1の反応混合物中の触媒濃度は、反応混合物の総質量を基準として、好ましくは>0〜2000wppm(質量当たりのppm)、好ましくは30〜1500wppmである。触媒は、好ましくは反応器中に1回だけ導入される。触媒の量は、好ましくはプロセスにとって十分な触媒活性が確保されるよう設定される。触媒は、固体としてまたは触媒懸濁液の形態で導入することができる。
【0052】
ヒドロキシ基またはC−C二重結合により官能化された本発明のアルコキシル化生成物の中間体としての塩素含有アルコキシル化生成物を調製するために、エピクロロヒドリンに加えてプロピレンオキシドが常に使用される。さらに、上に示すように、さらなるエポキシド化合物、特に2〜18個の炭素原子を有するアルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、およびスチレンオキシドを任意選択により使用することができる。種々の個々のモノマーは、連続してブロック状に、または同時に、または混合してアルコキシル化することができる。これにより、係数n、m、mおよびoを有する単位が、所望のように、ランダム混合物としてまたはブロック状に鎖中に存在する、式(I)を有するアルコキシル化生成物が得られる。
【0053】
エピクロロヒドリンと出発物質化合物のOH基とのモル比は、好ましくは50:1〜1:1、より好ましくは40:1〜2:1、特に好ましくは25:1〜3:1である。
【0054】
エピクロロヒドリンと他のアルキレンオキシドとのモル比は、広い範囲内で変えることができ、好ましくは1:1000〜1:0.1、好ましくは1:200〜1:0.5、特に好ましくは1:100〜1:1.5である。
【0055】
そのため、係数nおよびoを有する式(I)の構造単位は、好ましくは、エピクロロヒドリンに由来するモノマー単位に対してモル過剰で存在し、係数mおよびmを有する。
【0056】
本発明の方法の第1のプロセスステップにおいて、エピクロロヒドリンは、好ましくは、DMC触媒の存在下で、モル過剰の1種または複数種のアルキレンオキシドと共重合し、ランダム共重合が有利である。エピクロロヒドリンのプロピレンオキシドとの共重合により塩素化プロピレングリコールが得られ、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドとの共重合により塩素化混合ポリ(エチレン)−co−(プロピレン)グリコールが得られ、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドとの共重合により塩素化ポリ(ブチレン)−co−(プロピレン)グリコールが得られる。
【0057】
DMC触媒反応を開始するために、第1にアルキレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシドの一部により触媒を活性化することが有利であろう。アルコキシル化反応が始まった後、エピクロロヒドリン/アルキレンオキシドの共重合を開始することができる。エピクロロヒドリン/アルキレンオキシドの付加反応は、意図する構造に応じて、アルキレンオキシドのみの付加反応により1回または複数回中断することができる。エピクロロヒドリン/アルキレンオキシドの導入が終了した後、さらなるアルキレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシドを付加することが特に好ましい。
【0058】
プロセスステップ1の反応は、例えば、粘度を低下させるために、不活性溶媒中で行うことができる。
【0059】
好ましくはエポキシド付加の終了に続いて、変換を終了させるために後反応を行う。後反応は、例えば、出発物質材料を添加することなく、反応条件下でのさらなる反応により行うことができる。後反応は、好ましくは、反応混合物の混合、特に撹拌により行われる。DMC触媒は、通常、反応混合物中またはプロセスステップ1の塩素含有アルコキシル化生成物中に残る。未反応エポキシドおよびあり得るさらなる揮発成分は、プロセスステップ1の直後かあるいはプロセスステップ2の後に、例えば真空蒸留、水蒸気ストリッピングもしくはガスストリッピング、または他の脱臭方法により除去することができる。
【0060】
塩素含有アルコキシル化生成物は、[−CH−CH(CHCl)−O−]型のモノマー単位を含み、モル質量に応じて、低い粘度から高い粘度を有する。高モル質量を有し、かつエチレンオキシドおよび/またはエピクロロヒドリンの開環により化学的に組み込まれた単位に富む生成物は、冷却すると結晶化する傾向があり、不透明であり得る。アルコキシル化生成物中の塩素含量を測定するための定量分析を、例えば、13C NMR分光法により行うことができる。GPC測定は、多分散度および平均モル質量の測定を可能にする。
【0061】
第1のプロセスステップのアルコキシル化のための反応器として、反応および反応により放出される熱を制御することを可能にする全ての好適な種類の反応器を使用することが原則として可能である。第1のプロセスステップは、プロセス技術者に既知の方法で、連続的に、半連続的に、またはバッチ式で行うことができる。撹拌槽型反応器とは別に、例えば、EP−A−0419419(US5159092)に記載されている気相を有するジェットループ型反応器および外部熱交換器、またはWO200101/062826(US2003004378)に記載されている内部熱交換チューブを使用することも可能である。さらに、気相を含まないループ型反応器を使用することができる。
【0062】
プロセスステップ2:
第2のプロセスステップでは、金属水酸化物との反応により、所望の官能性共重合体が形成される。反応条件、例えば、温度、溶媒の使用および使用する金属水酸化物の量は、係数mおよびmを有するモノマー単位の互いの比に影響する。したがって、高ヒドロキシ官能性もしくは高C−C二重結合官能性を有するアルコキシル化生成物および/または混合OH/ビニル官能性生成物を、所望のように得ることができる。
【0063】
プロセスステップ1)で得られる化学結合した塩素を含むアルコキシル化生成物は、本発明の方法の第2のプロセスステップで、1または複数種の水酸化化合物と反応させて、炭素に結合した塩素を脱離させ、対応する塩化物塩を形成させることにより、式(I)を有する本発明の官能性アルコキシル化生成物またはポリエーテルに変換される。
【0064】
好適な水酸化物は、原則として全ての金属水酸化物、好ましくは、NaOH、KOHもしくはCa(OH)およびこれらの混合物などのアルカリ金属およびアルカリ土類金属水酸化物である。水酸化物は、所望のように、固体形状で、水溶液もしくは懸濁液として、または例えば、エタノールもしくはメタノールなどのアルコール中溶液として使用することができる。水酸化ナトリウム水溶液および水酸化カリウム水溶液、ならびにNaOHもしくはKOHもしくはこれらの混合物のエタノール溶液またはメタノール溶液が特に好適である。さらに、固体形状のまたはアルコール溶液としての、金属アルコキシド、好ましくはNaOCH、KOCH、NaOCHCH、KOCHCHなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属アルコキシドも好適である。溶液の濃度は、原則として自由に選択することができるが、10〜50重量%の濃度を有する溶液が好ましい。窒素またはアルゴンなどの不活性保護ガス下で第2のプロセスステップを行うことが有利である。
【0065】
使用する水酸化物またはアルコキシドの量は、エピクロロヒドリンアルコキシル化生成物またはエピクロロヒドリンポリエーテルの塩素含量に依存する。急速で定量的な変換を達成するために、アルコキシル化生成物中の結合した塩素を基準として等モル量またはモル過剰の水酸化物またはアルコキシドを使用することが有利である。したがって、塩素1モル当たり、水酸化物またはアルコキシド1.0〜10モル、好ましくは水酸化物またはアルコキシド1.01モル〜5モル、特に好ましくは水酸化物またはアルコキシド1.1モル〜3モルを使用することが好ましい。
【0066】
塩素が部分的にのみ脱離した式(I)のアルコキシル化生成物またはポリエーテルを、第2のプロセスステップにおける、少量の水酸化物もしくはアルコキシドの添加または反応の早期終結により生成することができる。その場合、基Rのいくつかは、CHClである。
【0067】
第2のプロセスステップは、溶媒を添加してもしなくても行うことができる。好適な溶媒は、特に、ポリエーテルの溶解度および水酸化物との混和性に合致した極性もしくはプロトン性化合物またはこれらの混合物である。使用することができる溶媒には、ジメチルスルホキシド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、テトラヒドロフランなどのエーテル、またはエタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどのアルコールが含まれる。
【0068】
第2のプロセスステップにおいて、溶媒として水を使用することも可能である。アルコキシル化生成物は、溶解した形状または分散した形状のいずれかで溶媒中に存在することができる。第2のプロセスステップのアルコキシル化生成物を含む混合物中の溶媒または水の割合は、好ましくは5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%である。
【0069】
プロセスステップ2を行う際の反応、特に、好ましくは水性媒体中で行うときの置換または脱ハロゲン化水素反応を加速させるために、相間移動触媒を添加することが可能である。好適な相間移動触媒は、当業者に既知である。好ましい相間移動触媒は、例えば、第四級アンモニウムおよびホスホニウム化合物である。
【0070】
第2のプロセスステップは、30〜200℃、好ましくは60〜150℃の温度で行うことができる。溶媒を使用する場合、反応は、沸騰溶媒の還流温度で行うことができる。さらなる選択肢は、アルコキシル化(プロセスステップ1)を先に行ったオートクレーブ中で水酸化物またはアルコキシドの添加を行うことである。この変形によって、塩素の脱離を過圧下でより高温でより急速に行うことが可能になる。
【0071】
第2のプロセスステップで反応物質を添加する順序は、重要でない。塩素化アルコキシル化生成物を反応器に入れ、撹拌しながらそれぞれの水酸化物またはアルコキシドを添加すること、および逆に、水酸化物またはアルコキシドを最初に撹拌可能な、すなわち溶解または分散した形で充填し、次いでエピクロロヒドリンポリエーテルまたはエピクロロヒドリンアルコキシル化生成物を添加することの両方が可能である。第2の反応物質の添加は、供給流プロセスで連続的にまたは分けて行うことができる。
【0072】
有機溶媒または水を使用する場合、これを、最初に第1の反応成分と共に反応器に入れることができる。代わりとして、溶媒または水を、第2の反応成分と共に連続的にまたは不連続的に導入することもできる。この場合、溶解した形状で第2の反応物質を添加することが有利である。第2の反応物質の添加は、数分以内か、あるいは例えば数時間の期間にわたってゆっくり行うことができる。塩素の脱離が終了することを確実にするために、その後十分に長い撹拌時間(後反応時間)を達成するべきである。後反応の持続時間は、単純な予備試験により決定することができる。添加および後反応は、好ましくは約2〜8時間の合計時間がかかる。
【0073】
プロセスステップ2の反応中に、それぞれの金属水酸化物および金属アルコキシドの塩化物が形成される。NaClまたはKClなどの金属塩化物は、反応混合物に一部のみ可溶性であり、固体として一部沈殿する。
【0074】
本発明の方法の好ましい実施形態では、最初に塩素化ポリエーテルまたは塩素化アルコキシル化生成物を充填し、撹拌しながら金属水酸化物または金属アルコキシドを30分〜2時間の期間にわたって添加する。約4時間の後反応時間の後、完全に変換された。ポリエーテルもしくはアルコキシル化生成物に結合したビニルエーテルおよび残留塩素の分析を、13C−NMR分析により行うことができる。式(I)のアルコキシル化生成物を含む反応混合物(組成物)は、プロセスステップ2の生成物として得られる。
【0075】
任意選択のプロセスステップ3:
反応混合物中に存在する溶媒または水は、好ましくは減圧下で後反応中または後反応が終了した後のいずれかに、蒸留により除去することができる。減圧下、プロセスステップ2の反応温度で蒸留を行うことが有利である。
【0076】
反応が終了した後に過剰な水酸化物を中和するために、原則として全ての酸を使用することが可能である。鉱酸水溶液、特にリン酸水溶液が好ましい。酸は、好ましくは、反応混合物中で6〜8のほぼ中性のpHが確立される量で添加される。中和は、任意の溶媒または水蒸留が行われる前または後に、所望のように行うことができる。
【0077】
反応混合物から塩化物塩を除去するいくつかの可能な方法が存在する。例えば、好ましくは、式(I)のアルコキシル化生成物を含む水を含まない反応混合物を、任意選択により溶媒に溶解させて、濾過により塩を除去することができる。
【0078】
必要に応じて、塩の一部を、相分離により前もって除去することができる。この目的のため、未溶解塩化物を溶解させるために、式(I)のアルコキシル化生成物を含む反応混合物を水と混合して、撹拌する。形成する塩水を、一定の沈降時間後に有機相から分離する。残留塩をまだ含む有機相を、その後、例えば、水を含まない条件下で蒸留し、その後濾過することができる。
【0079】
最も有利な後処理の種類は、各々の場合、装置に関して利用可能な技術的可能性、および式(I)のアルコキシル化生成物の具体的な特性、例えばその親水性、密度、粘度または溶解度に依存する。
【0080】
第1のプロセスステップでのDMC触媒の使用の結果として、本発明の方法は、例えば、US3578719、GB1267259、およびGB1516195に開示されている生成物よりも高い分子量を有し、その[−CH−CH(CHOH)−O−]基はまた単にブロック状に並置されていないヒドロキシ官能性アルコキシル化生成物またはポリエーテルへの経路を提供する。したがって、本発明による生成物は、そのポリマー鎖[−CH−CH(CHOH)−O−]単位がオキシプロピレン単位中およびあり得るさらなるオキシアルキレン単位中に散在しているポリアルキレングリコールである。
【0081】
式(I)のアルコキシル化生成物は、さらなる化学反応の中間体としてまたはこれらのアルコキシル化生成物を含む組成物を製造するために直接使用することができる。
【0082】
以下の実施例は、その範囲が明細書および特許請求の範囲全体により定義される本発明を実施例で言及する実施形態に限定することなく、例を通して本発明を説明する。
【実施例】
【0083】
実験部:
GPC測定:
多分散度および平均モル質量Mを測定するためのGPC測定を、以下の測定条件下で行った:カラム組み合わせSDV1000/10000Å(長さ65cm)、温度30℃、移動相としてTHF、流速1ml/分、試料濃度10g/l、RI検出器、ポリプロピレングリコール標準に対する評価。
【0084】
塩素およびビニル基含量の測定:
塩素およびビニル基含量の測定を、13C−NMR分光法により行った。Bruker Avance 400NMR分光計を使用した。この目的のために試料をCDClに溶解した。
【0085】
OH数の測定:
ヒドロキシ数を、German Society for Fat ScienceのDGF C−V 17a(53)法により測定した。ここでは、試料を、ピリジンの存在下で無水酢酸によりアセチル化し、無水酢酸の消費を、フェノールフタレインに対するエタノール中0.5N水酸化カリウム溶液による滴定により測定した。
【0086】
(実施例A)
本発明の方法によるエピクロロヒドリンアルコキシル化生成物(中間体)の調製
(実施例A1:中間体1)
出発物質としてのポリ(オキシプロピレン)モノブチルエーテル360.5g(質量平均モル質量M=385g/モル)および亜鉛ヘキサシアノコバルテートDMC触媒2.25gを3リットルのオートクレーブに入れ、撹拌しながら130℃に加熱した。蒸留により、存在する揮発成分を除去するために、反応器を30ミリバールの内圧まで排気した。DMC触媒を活性化するために、一部のプロピレンオキシド75gを添加した。反応が開始し、内圧が低下した後、最初にさらなるプロピレンオキシド200gを冷却しながら導入した。その後、混合したプロピレンオキシド1747gおよびエピクロロヒドリン348gを、130℃、最大2.7バールの反応器内圧で60分間にわたって同一条件下で導入した。この後、130℃で30分後反応させ、その間、反応器中の内圧は0.5バールに低下した。最後に、さらなるプロピレンオキシド275gを、130℃で末端ブロックとして添加した。同一条件下での新たな後反応後、脱気ステップを行った。ここでは、残留プロピレンオキシドおよびエピクロロヒドリンなどの揮発成分を、減圧下130℃で蒸留して取り除いた。実質的に無色の低粘度の塩素含有アルコキシル化生成物を90℃未満に冷却し、反応器から排出した。生成物は、GPCによると3033g/モルの重量平均モル質量、13C−NMR分析によると1.18の多分散度M/Mを有しており、1分子当たりCl4モルを含んでいた。
【0087】
(実施例A2:中間体2)
出発物質としてのポリ(オキシプロピレン)モノブチルエーテル337.3g(質量平均モル質量M=380g/モル)および亜鉛ヘキサシアノコバルテートDMC触媒2.25gを3リットルのオートクレーブに入れ、撹拌しながら130℃に加熱した。蒸留により、存在する揮発成分を除去するために、反応器を30ミリバールの内圧まで排気した。DMC触媒を活性化するために、一部のプロピレンオキシド70gを添加した。反応が開始し、内圧が低下した後、最初にさらなるプロピレンオキシド189gを冷却しながら導入した。その後、混合したプロピレンオキシド1655gおよびエピクロロヒドリン494gを、130℃、最大2.9バールの反応器内圧で90分間にわたって同一条件下で導入した。この後、130℃で30分後反応させた。最後に、さらなるプロピレンオキシド259gを、130℃でエンドブロックとして添加した。新たな後反応後、減圧下130℃で脱気ステップを行った。実質的に無色の低粘度の塩素含有アルコキシル化生成物を90℃未満に冷却し、反応器から排出した。生成物は、GPCによると3576g/モルの重量平均モル質量、13C−NMR分析によると1.29の多分散度M/Mを有しており、1分子当たりCl5.8モルを含んでいた。
【0088】
(実施例A3:中間体3)
出発物質としてのポリプロピレングリコール190g(質量平均モル質量M=700g/モル)および亜鉛ヘキサシアノコバルテートDMC触媒1.25gを3リットルのオートクレーブに入れ、撹拌しながら130℃に加熱した。蒸留により、存在する揮発成分を除去するために、反応器を30ミリバールの内圧まで排気した。DMC触媒を活性化するために、一部のプロピレンオキシド35gを添加した。反応が開始し、内圧が低下した後、最初にさらなるプロピレンオキシド140gを冷却しながら導入した。その後、混合したプロピレンオキシド1312gおよびエピクロロヒドリン152gを、130℃、最大3バールの反応器内圧で75分間にわたって同一条件下で導入した。この後、130℃で30分後反応させ、その間、反応器中の内圧は0.5バールに低下した。最後に、さらなるプロピレンオキシド75gを、130℃でエンドブロックとして添加した。同一条件下での新たな後反応後、脱気ステップを行った。ここでは、残留プロピレンオキシドおよびエピクロロヒドリンなどの揮発成分を、減圧下130℃で蒸留して取り除いた。実質的に無色の塩素含有アルコキシル化生成物を90℃未満に冷却し、反応器から排出した。生成物は、GPCによると6940g/モルの重量平均モル質量、13C−NMR分析によると1.21の多分散度M/Mを有しており、1分子当たりCl6モルを含んでいた。
【0089】
(実施例B)
本発明の方法による本発明のアルコキシル化生成物の調製
(実施例B1)
撹拌機および蒸留設備を備えたガラスフラスコを、窒素により不活性にし、中間体2 300.0gを中に入れ、115℃に加熱した。50分間にわたって、同時に50ミリバール未満の減圧下で蒸留により反応混合物から水を除去しながら、水酸化カリウム水溶液113.0g(45重量%)を連続的に滴加した。混合物を115℃で撹拌し、約20ミリバールで4時間さらに蒸留した。これにより、アルコキシル化生成物および塩の容易に撹拌できる混合物が得られた。アルカリ性反応混合物を95℃に冷却し、30重量%強度のリン酸水溶液により中和した。全ての塩が溶解するまでさらなる水を添加し、混合物を分液漏斗に移した。十分な沈降時間後、低塩水相を分離し、残留ポリエーテル相を、蒸留付属装置を有するガラスフラスコに戻し、最大130℃で真空蒸留により残留水を除去した。最後に、約80℃で熱濾過して、沈殿した塩残渣を混濁したアルコキシル化生成物から取り除いた。最終生成物は、黄色がかっていて、わずかに混濁しており、低粘度を有していた。最終生成物は、13C−NMRスペクトルによると、1分子当たり平均4.5個のビニル基を含んでおり、有機結合した塩素残基を実質的に含まなかった。
【0090】
(実施例B2)
中間体2 250.0gを減量した水酸化カリウム水溶液55.4g(45%)と反応させるという違いはあるが、実施例B1に記載した実験手順を繰り返した。最終生成物は、同様に黄色がかっており、低粘度を有し、13Cスペクトルによると、1分子当たり平均約2.8個のビニル基および結合した塩素約3モルを有していた。
【0091】
(実施例B3)
撹拌機を備えたガラスフラスコを、窒素により不活性にし、中間体2 751.8gを中に入れ、90℃に加熱した。90分間にわたって、水酸化カリウム水溶液282.9g(45重量%)を連続的に滴加した。4時間にわたって、温度を119℃に上昇させ、圧力を真空ポンプにより段階的に20ミリバールに低下させた。蒸留により水を除去して、アルコキシル化生成物および塩の容易に撹拌できる混合物を形成した。アルカリ性反応混合物を95℃で30重量%強度のリン酸水溶液により中和した。全ての塩が溶解するまでさらなる水を添加し、混合物を分液漏斗に移した。沈降後、低塩水相を分離し、残留ポリエーテル相を、蒸留付属装置を有するガラスフラスコに戻し、乾燥するまで最大130℃で真空蒸留により蒸留した。最後に、塩残渣を約80℃で濾過して取り除いた。最終生成物は、黄色がかっていて、低粘度を有しており、13C−NMRスペクトルによると、1分子当たり平均0.5個のビニル基を有しており、有機結合した塩素残基を実質的に有さなかった。OH数は、66mg KOH/gであった。
【0092】
(実施例B4)
中間体2 300.0gおよび水酸化ナトリウム水溶液72.4g(50重量%)を使用するという違いはあるが、実施例B3に記載した実験手順を繰り返した。最終生成物は、同様に黄色であり、混濁しており、低粘度を有し、13C−NMRスペクトルによると、1分子当たり平均約2.5個のビニル基を有し、結合した塩素残基を実質的に有さなかった。OH数は、92mg KOH/gであった。
【0093】
(実施例B5)
撹拌機および還流冷却器を備えたガラスフラスコを、窒素により不活性にし、中間体1 200gおよびエタノール100gを中に入れ、溶解し、還流温度に加熱し、30分間にわたって、水酸化カリウム水溶液62.3g(45重量%)を連続的に滴加した。2時間15分の後反応時間後、120℃まで上昇する温度で、エタノールおよび水を蒸留して取り除いた。容易に撹拌できるアルカリ性混合物を、80℃で30重量%強度のリン酸水溶液により中和した。全ての塩が溶解するまでさらなる水を添加した。分液漏斗で、十分な沈降時間後、低塩水相を分離し、ポリエーテル相を、メチルイソブチルケトン170gに溶解させた。塩残渣を、固体として存在する塩を溶解させるのに十分な量の水の添加により除去し、新たな相分離を行った。蒸留付属装置を備えたガラスフラスコ中、最大130℃で、蒸留装置により、溶液からメチルイソブチルケトンおよび残留水を除去した。アルコキシル化生成物を約80℃で熱濾過して取り除いた。最終生成物は、黄色がかっていて、低粘度を有しており、13C−NMRスペクトルによると、1分子当たり平均4個のビニル基を有しており、有機結合した塩素残基を実質的に有さなかった。
【0094】
(実施例B6)
撹拌機および蒸留設備を備えたガラスフラスコを、窒素により不活性にし、中間体3 347gを中に入れ、115℃に加熱した。35分間にわたって、同時に50ミリバール未満の減圧下で蒸留により反応混合物からメタノールを除去しながら、固体カリウムメトキシド23.1gを4回に分けて添加した。混合物を115℃で撹拌し、約20ミリバールで2.5時間さらに蒸留した。これにより、生成物および塩の容易に撹拌できる混合物が得られた。アルカリ性反応混合物を85℃に冷却し、30重量%強度のリン酸水溶液により中和した。全ての塩が溶解するまでさらなる水を添加し、混合物を分液漏斗に移した。十分な沈降時間後、低塩水相を分離し、残留ポリエーテル相を、蒸留付属装置を有するガラスフラスコに戻し、最大130℃で真空蒸留により残留水を除去した。最後に、約80℃で熱濾過して、沈殿した塩残渣を混濁したアルコキシル化生成物から取り除いた。最終生成物は、黄色がかっていて、わずかに混濁していた。13C−NMRスペクトルによると、最終生成物は、1分子当たり平均5.8個のビニル基を含んでおり、有機結合した塩素残基を実質的に含まなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
A−[O−(CH−CHR−O−)−(CH−CH(CHOH)−O−)m1−(CH−C(=CH)−O−)m2−(CH−CH(CH)−O−)−H]a1
(I)
(式中、
a1は、1〜8、好ましくは1〜4であり、
Aは、水素または有機出発物質化合物の基であり、この場合、少なくとも1個の炭素原子を有する基であり、
基Rは、それぞれ、互いに独立に、水素、CH−Cl、2〜18個の炭素原子を有するアルキル基、または芳香族基であり、
(a1*)は、0〜50であり、
(a1*)は、0〜50であり、
(a1*n)は、0〜200であり、
(a1*o)は、1〜1000であり、
合計(a1*(m+m))は、2〜50であり、
ただし、
(a1*)は、(a1*)が0の場合には、2以上である)
を有することを特徴とする、
構造要素[−CH−CH(CHOH)−O−]および/または構造要素[−CH−C(=CH)−O−]を有する化合物。
【請求項2】
係数mを有する単位のモル比が、合計100%となる係数mおよびmを有する単位の合計を基準として、20〜100%であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
係数mを有する単位のモル比が、合計100%となる係数mおよびmを有する単位の合計を基準として、30〜90%であることを特徴とする、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式(I)の化合物が、最後のモノマー単位としてオキシプロピレン基(係数o)を有することを特徴とする、請求項1から3の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記基Aが、一価もしくは多価ポリエーテルアルコールの基および/または一価もしくは多価アルコールの基であることを特徴とする、請求項1から4の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項6】
200〜50000g/モルの重量平均モル質量を有することを特徴とする、請求項1から5の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項7】
プロセスステップ1)
a)1種または複数種の式
A−OH (II)
(式中、A=水素または少なくとも1個の炭素原子を有する有機基)
の化合物を、
b)エピクロロヒドリンおよびプロピレンオキシドおよび任意選択により2〜18個の炭素原子を有する1種または複数種のさらなるアルキレンオキシドと
c)複合金属シアン化物触媒の存在下で、
60〜250℃の温度および0.02バール〜100バールの圧力(絶対)で反応させて、1個または複数の化学結合した塩素原子を有するアルコキシル化生成物を得るプロセスステップ、および
プロセスステップ2)
a)プロセスステップ1)で得られた塩素化アルコキシル化生成物を、
b)1種または複数種の金属水酸化物または金属アルコキシド化合物と
c)任意選択により水の存在下で、
d)任意選択により有機溶媒の存在下で、
e)任意選択により相間移動触媒の存在下で、
30〜200℃の温度で反応させて、有機結合している塩素を完全にまたは部分的に脱離させるプロセスステップ、および
任意選択によるプロセスステップ3)
a)無機または有機酸、好ましくは鉱酸、特に好ましくはリン酸による中和、
b)水および/または溶媒の蒸留、
c)相分離による塩化物塩の除去、および/または
d)濾過
による反応生成物の任意選択による後処理
のプロセスステップを含む、
複合金属シアン化物触媒を使用した、構造要素[−CH−CH(CHOH)−O−]および/または構造要素[−CH−C(=CH)−O−]を含む化合物を調製する方法。
【請求項8】
水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウム、またはNaOHもしくはKOHもしくはこれらの混合物のエタノールまたはメタノール溶液が金属水酸化物として使用され、ならびに/あるいはナトリウムメトキシドおよび/またはカリウムメトキシドまたはこれらのメタノール溶液もしくは混合物が金属アルコキシドとして使用されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
10〜50重量%の濃度を有する水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシドおよび/またはカリウムメトキシド、またはこれらの混合物の溶液が使用されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記水酸化物および/またはアルコキシドが、前記アルコキシル化生成物中の結合した塩素を基準として等モル量でまたはモル過剰で使用されることを特徴とする、請求項7から9の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項11】
塩素1モル当たり、水酸化物またはアルコキシド1.0モル〜3モルが使用されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から6のいずれかに記載の化合物が調製されることを特徴とする、請求項7から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
請求項14に記載の組成物が得られることを特徴とする、請求項7から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
請求項1から6のいずれかに記載の化合物を含む組成物。

【公開番号】特開2012−241195(P2012−241195A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−113916(P2012−113916)
【出願日】平成24年5月18日(2012.5.18)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】