説明

アルコキシ改質シルセスキオキサン類の製造方法

【課題】 シリカ充填ゴムにおけるシリカカップリング/分散剤の製造方法
【解決手段】 (a)(i)水、(ii)水のための酸−安定性溶媒、(iii)固体の強カチオン性の加水分解および縮合触媒、並びに(iv)トリアルコキシシラン化合物を反応混合物として組み合わせ、(b)反応混合物を約0.5時間〜約200時間にわたり反応させてアルコキシ改質シルセスキオキサン類を生成し、そして(c)アルコキシ改質シルセスキオキサン類を反応混合物から回収する段階を含んでなるアルコキシ改質シルセスキオキサン(AMS)類または共−アルコキシ改質シルセスキオキサン(co−AMS)類の製造方法が提示される。この反応系における固体の強カチオン性触媒の使用は、それらが反応中に固体として残存して可溶性AMSまたはco−AMS生成物からの固体触媒の簡易化した分離を可能にして残存酸触媒を含まないかまたは実質的に含まないAMSまたはco−AMS生成物の全てまたはほとんど全ての回収並びに再循環用の触媒の事実上全ての回収をもたらすため、有利である。改良されたAMSおよびco−AMS化合物、それらを含有する加硫可能なゴム化合物、並びに加硫したゴム化合物から製造された成分を有する空気入りタイヤも提示される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
タイヤ−製造技術における現在の傾向はゴム化合物中でのより高いシリカ充填量の使用に向かい続けているため、シリカで強化されたゴム類の混和、処理、硬化および貯蔵中の環境に放出される揮発性有機化合物(VOC)、特にアルコール、のレベルを抑制するための試みがある。
【0002】
引用することによりその開示が本発明の内容となる2006年3月23日に出願された「Compounding Silica−Reinforced Rubber With Low Volatile Organic Compound(VOC)Emission」の名称の我々の特許文献1において、我々はゴム混和において使用されている従来のアルコキシシラン−含有シリカ−カップリング剤および/またはシリカ分散化剤より少ないアルコールを発生するアルコキシ改質シルセスキオキサン(alkoxy−modified silsesquioxane)(AMS)化合物およびアルコキシ改質コシルセスキオキサン(co−alkoxy−modified silsesquioxane)(co−AMS)化合物の製造を記載している。プラント内での改良された環境状態の他に、AMSおよびco−AMS化合物の使用時に生じるアルコールの減じられた量は例えば増加したゴム強化、増加した重合体−充填剤相互作用およびより低い化合物粘度の如くであるがそれらに限定されない1種もしくはそれ以上の性質を有する加硫したゴム化合物をもたらして、改良された湿潤および雪粘着摩擦(traction)、より低いローリング抵抗、増加した再反撥性および減じられたヒステリシスを有するタイヤを与える。
【0003】
上記の特許出願において、我々は1種もしくはそれ以上のトリアルコキシシランまたはトリクロロシランをアルコール水溶液中で、例えば強酸(例えば、塩酸、硫酸、燐酸など)、強塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど)、強有機酸、および強有機塩基(例えば、ヒンダードアミン塩基、グアニジン類など)の如くであるがそれらに限定されない加水分解および縮合触媒の存在下で加水分解および縮合にかけることにより製造できるAMSおよびco−AMS化合物を記載している。AMSおよびco−AMS生成物を反応混合物から、例えば相分離、濾過、並びに/または水および有機溶媒を用いる抽出などにより、取り出しうる。生成物を次に乾燥して反応混合物中に残存するいずれかの有機溶媒および水を実質的に除去しうる。
【0004】
【特許文献1】米国特許出願番号第11/387,569号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
強い液体の酸、塩基、有機酸または有機塩基が加水分解および縮合触媒として使用される時には、沈澱したAMSおよびco−AMS生成物中での液体触媒の過剰分残余がその除去のための特別な処置を必要としうる。従って、AMSおよびco−AMS生成物の別の製造方法がここに提示される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
例えば石油産業におけるカチオン性イオン交換クロマトグラフィー用に使用されるものの如き固体の強カチオン性樹脂を包含するがそれらに限定されない無機固体酸を、強酸が触媒として所望される時に、AMSおよび/またはco−AMS化合物の製造における加
水分解および縮合触媒として使用できることが予期せぬことに発見された。この反応系におけるそのような固体の強カチオン性触媒の使用は、それらが反応中ずっと固体として残存して可溶性のAMSまたはco−AMS生成物からの固体触媒の簡易化された分離を可能にして酸の過剰分残余なしにAMSまたはco−AMS生成物の完全なもしくはほぼ完全な回収並びに再循環のための触媒の事実上完全な回収をもたらすため、有利である。
【0007】
特に、(a)(i)水、(ii)水のための酸−安定性溶媒、(iii)固体の強カチオン性の加水分解および縮合触媒、並びに(iv)トリアルコキシシラン化合物を反応混合物として組み合わせ、(b)反応混合物を約0.5時間〜約200時間にわたり反応させてアルコキシ改質シルセスキオキサン類を生成し、そして(c)アルコキシ改質シルセスキオキサン類を反応混合物から回収する段階を含んでなるアルコキシ改質シルセスキオキサン類またはアルコキシ改質コシルセスキオキサン類の製造方法が提示される。生じた生成物は反応性アルコキシシリル基を伴う開放構造を有するアルコキシ改質シルセスキオキサン類の混合物より本質的になり、そして閉鎖した籠化(caged)された多面体オルガノシルセスキオキサン類を本質的に含まない。さらに、生じた生成物は残存酸触媒を含まないかまたは実質的に含まない。この方法は触媒を再循環するために固体の強カチオン性触媒を反応混合物から回収する段階もさらに含んでなりうる。
【0008】
本発明はまた、アルコキシ改質シルセスキオキサンが残存酸触媒を含まないかまたは実質的に含まない本発明に従う方法により得られる改良されたアルコキシ改質シルセスキオキサン;並びにエラストマー、シリカまたはそれとカーボンブラックとの混合物を含んでなる強化用充填剤、アルコキシ改質シルセスキオキサンが残存酸触媒を含まないかまたは実質的に含まない本発明に従う方法により得られる改良されたアルコキシ改質シルセスキオキサンゴムを含んでなるシリカ分散化助剤、および硬化剤を含んでなる加硫可能なゴム化合物も包括する。本発明はさらに加硫可能なゴム化合物から製造される加硫したゴムを含んでなる少なくとも1種の成分を含む空気入りタイヤも包括する。
【0009】
発明の詳細な記述
(a)(i)水、(ii)水のための酸−安定性溶媒、(iii)固体の強カチオン性の加水分解および縮合触媒、並びに(iv)R−トリアルコキシシラン[ここで、Rは珪素原子に結合された基を含んでなりそしてR、RおよびRよりなる群から独立して選択され、ここでR、RおよびRは同一もしくは相異なりそして(i)Hまたは炭素数1〜約20のアルキル基、(ii)炭素数3〜約20のシクロアルキル基、(iii)炭素数7〜約20のアルキルアリール基、および(iv)RXよりなる群から選択され、ここでXはCl、Br、SH、S、NR、OR、COH、SCOR、CO、OH、オレフィン類、アミノ基およびビニル基よりなる群から選択され、ここでa=2〜約8であり、Rは炭素数1〜約20のアルキレン基、炭素数3〜約20のシクロアルキレン基よりなる群から選択され、RおよびRは炭素数1〜約20のアルキル基、炭素数3〜約20のシクロアルキル基、および炭素数7〜約20のアルキルアリール基よりなる群から選択される]を反応混合物として組み合わせ、
(b)反応混合物を約0.5時間〜約200時間にわたり反応させてアルコキシ改質シルセスキオキサン類を生成し、そして
(c)アルコキシ改質シルセスキオキサン類を反応混合物から回収する
段階を含んでなる、式
【0010】
【化1】

【0011】
[式中、w、xおよびyはモル分率を表わし、yは0に相当せず、いずれかのwまたはxは0であることができるが両方はできず、そしてw+x+y=1.00である]
を有するアルコキシ改質シルセスキオキサン類およびそれらの混合物よりなる群から選択される1種もしくはそれ以上の化合物を含んでなるアルコキシ改質シルセスキオキサンの製造方法が提示される。
【0012】
この方法に従い製造される時には、回収されたアルコキシ改質シルセスキオキサン類は反応性アルコキシシリル基を伴う開放構造を有するアルコキシ改質シルセスキオキサン類の混合物より本質的になり、そして閉鎖した籠化された多面体オルガノシルセスキオキサン類を本質的に含まない。さらに、回収されたシルセスキオキサン類は残存酸触媒を含まないかまたは実質的に含まない。
【0013】
一般的に、1種もしくはそれ以上のAMSまたはco−AMS化合物は1種もしくはそれ以上のトリアルコキシシランをアルコール水溶液中で固体の強カチオン性触媒の存在下で加水分解および縮合にかけることにより製造できる。反応は1種もしくはそれ以上のトリアルコキシシランからAMSまたはco−AMS化合物への実質的に完全な転化に充分な期間にわたり続けられる。下記の如く、反応物から最終生成物への転化速度は反応物(1種もしくはそれ以上のトリアルコキシシラン、酸および水)の濃度並びに1種もしくはそれ以上のトリアルコキシシラン対水の比により調節されうることが見出された。特に、反応物の濃度が高ければ高いほど、反応時間は短くなる。
【0014】
本発明に従う方法の1つの態様では、水のための酸−安定性溶媒はアルコール、例えばエタノール、メタノール、ブタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなど、およびこれらの混合物を包含するがそれらに限定されないいずれかの極性プロトン性溶媒でありうる。エタノール、メタノールおよびこれらの混合物から選択されるアルコールがより適している。アルコールの使用は連続反応を与えるための水およびトリアルコキシシラン類のさらなる添加を可能にする。この態様では、AMSまたはco−AMS化合物を反応混合物から回収する段階は、反応混合物に水とシルセスキオキサン類のための非極性溶媒とを加えることによりアルコキシ改質シルセスキオキサン類の混合物を固体の強カチオン性触媒から分離し、そして水/アルコールおよび非極性溶媒の相分離を行うことを含んでなりうる。例えば、相分離前に、非極性溶媒との反応混合物に水を加えて溶媒を希釈しそして溶媒中に可溶性でありうるいずれかのアルコールを水相に入れることが適する。反応混合物中に残存するシルセスキオキサン類は水および非極性溶媒を用いて再抽出されうる。
【0015】
非極性溶媒相からのアルコキシ改質シルセスキオキサン類の混合物の回収は、例えばAMSまたはco−AMS生成物を含有する非極性相の傾斜、その後の温かい真空オーブン中での乾燥などを包含するがそれらに限定されないいずれかの既知の方法により行って、溶媒および存在しうる水を除去することができる。生ずるAMSまたはco−AMS生成物は、水分、遊離アルコールおよび残存酸触媒を実質的に含まない、液体または固体、適切には高度に粘性の固体そして、より適切には、わずかに粘性の液体、である。固体の強カチオン性触媒は反応混合物から水/アルコール相内の沈殿として、例えば濾過などにより、容易に回収されて、その後の反応におけるその再使用に提供される。
【0016】
生成物を固体触媒から分離するためには、AMSまたはco−AMS生成物のためのいずれの非極性溶媒でも使用することができる。適する非極性溶媒はヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなど、およびこれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。
【0017】
この方法の別の態様では、水のための極性非プロトン性溶媒を極性プロトン性溶媒の代わりに使用することができる。適する極性非プロトン性溶媒はテトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、アセトン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、酢酸エチルなど、およびこれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。そのような溶媒は反応のAMSおよびco−AMS生成物のための溶媒でもある。従って、生成物を固体触媒から分離するために生成物のための非極性溶媒を加えることは必要ない。アセトン、酢酸エチル、およびTHFはある種の条件下で酸触媒と非常にゆっくり反応しうることは認識されているが、このタイプの有意な反応は本発明の方法で使用される時間、温度、および酸の濃度の条件下では起きない。
【0018】
この態様における固体触媒の使用は特に有効である。極性非プロトン性溶媒中のAMSまたはco−AMS生成物の溶解性のために、反応時間を延ばしてさらなる加水分解および縮合を可能にすることにより残存アルコキシシロキサン基は最少にされうる。この態様では、この方法は上記のように段階(a)〜(c)において進行する。AMSおよびco−AMS生成物の混合物の回収はAMSまたはco−AMS生成物を含有する極性非プロトン性相の傾斜、その後の温かい真空オーブン中での乾燥などを包含するがそれらに限定されないいずれかの既知の方法により行って、溶媒および存在しうる水を除去することができる。ここでも、生ずる生成物は、水分、遊離アルコールおよび残存酸触媒を実質的に含まない、液体または固体、適切には高度に粘性の固体そして、より適切には、わずかに粘性の液体、である。固体の強カチオン性触媒は反応混合物から沈殿として、例えば濾過などにより、容易に回収されて、その後の反応におけるその再使用に提供される。
【0019】
AMSまたはco−AMS生成物の製造における使用に適する固体の強カチオン性の加水分解および縮合触媒は市販されておりそして不溶性の重合体状マトリックスに結合されたスルホン酸基を有するカチオン性イオン交換樹脂を包含するが、それらに限定されない。これらの固体樹脂は、その非常に低いpKa(<1.0)のために強カチオン交換体であるH対イオンを含有する。非限定的な例として、そのようなカチオン性イオン交換樹脂は約1%〜約8%のジビニルベンゼンで架橋結合されたポリスチレンを(硫酸で処理することにより)スルホン化することにより製造できる。適する市販の強カチオン性交換樹脂の例はAmberlite IR−120、Amberlyst A−15、Purolite C−100の、およびDowex(R) 50WXシリーズ樹脂のいずれかの、Hイオン形態を包含するが、それらに限定されない。そのような樹脂は典型的には、約400メッシュ〜約50メッシュの粒子寸法を有するゲルビーズである。粒子寸法は本発明の方法において重要でない。例えば重合体片、重合体膜などの如くであるがそれらに限定されない強カチオン性イオンのための別のタイプの固体担体が記載されている。そのような別の形態は特許請求されている本発明の範囲内である。適切には、固体の強カチオン性触媒はAMSまたはco−AMS生成物が抽出された後に例えば濾過などの如き反応混合物からの簡単な分離のために反応室の底に沈殿する(または沈下する)であろう。
【0020】
新しい樹脂はスルホン化工程から存在する遊離硫酸をしばしば含有することが観察されていた。この遊離酸は加水分解および縮合反応で生成するAMSまたはco−AMS生成物の高粘度を引き起こしうる。従って、水および水のための溶媒で洗浄することによりこの遊離酸を除去することが望ましい。洗浄水の他に水のための溶媒を使用することにより、樹脂により保有される残存水がより少ないことが見出された。
【0021】
以下でさらに記載されるように、反応において使用される固体の強カチオン性触媒の触媒量は、製造において使用される酸およびトリアルコキシシランのモル量の約1%〜約50%、適切には約5%〜約40%、程度の少なさでありうる。
【0022】
反応が起きる温度は、それが溶媒の沸点以下であることを除いて、厳密でない。例えば、AMSまたはco−AMS生成物のほぼ同一の組成物が周囲温度(約25℃)から約60℃ないし約100℃までで得られうる。温度が上昇するにつれて、反応の期待される速度増加が達成されうる。AMSまたはco−AMS生成物は曇った残渣として観察することができ、それは所望するなら反応物からAMSまたはco−AMS生成物への実質的に完全な転化があるまでの期間にわたり反応混合物から連続的に取り出すことができる。さらに、反応中に、追加量のトリアルコキシシラン反応物を水と共に加えて生成物を連続的に生成することもできる。
【0023】
水のための極性プロトン性溶媒、例えばアルコール、が使用される場合には、AMSまたはco−AMSの生成は最初は曇った溶液として観察することができ、この相は時間経過につれて分離する。極性非プロトン性溶媒、例えばテトラヒドロフラン(THF)、が使用される場合には、溶媒中のAMSまたはco−AMSは本質的に透明である。生成物を含有する相は、所望するなら、AMSまたはco−AMS生成物への実質的に完全な転化があるまでの期間にわたり反応混合物から定常的に取り出すことができる。さらに、反応中に、追加量のトリアルコキシシラン反応物を水と共に加えて生成物を連続的に生成することもできる。
【0024】
反応物からAMSまたはco−AMS生成物への完全な転化にかかる期間は、反応物の最初の濃度、溶媒中のAMSまたはco−AMSの溶解度および反応物の場合による添加並びに/または工程中に適用される熱に依存する。しかしながら、追加の反応物が使用されない場合には、時間は約0.5時間〜約200時間、しばしば約0.75時間〜約120時間、または約1時間〜約72時間、の範囲でありうる。完全な転化にかかる時間は、相分離によりさらなる生成物を取り出すことができなくなり且つ上記のようにさらなる生成物が反応混合物から水および有機溶媒により抽出できなくなるまでに経過した時間として定義される。
【0025】
AMS生成物の製造における例示アルキルトリアルコキシシラン反応物はオクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリアルコキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、2−エチルヘキシルトリエトキシシランなど、およびそれらの混合物を包含しうるが、それらに限定されない。
【0026】
co−AMS化合物は例えばアルキルトリエトキシシランおよび/またはアルキルトリメトキシシラン類の如くであるがそれらに限定されないいずれかの数のトリアルコキシシラン類を加水分解およびAMS化合物に対して1個もしくはそれ以上の官能基(以上で定義された通りのRX)を与えうる1種もしくはそれ以上の他のトリアルコキシシラン類との縮合により共−反応させることにより得られうる。ゴム化合物中での使用のための、非限定例として、エラストマーに結合しうる硫黄原子を含有するco−AMS化合物を製
造することが望ましい。従って、適するco−AMS化合物は、例えばメルカプトアルキル官能基を導入するためのメルカプトアルキルトリアルコキシシランとの、またはブロックされたメルカプトアルキル官能基を導入するためのブロックされたメルカプトアルキルトリアルコキシシランとのアルキルアルコキシトリシランの共−加水分解および共−縮合により製造することができる。適する硫黄−含有トリアルコキシシラン類の例はメルカプト−アルキルトリアルコキシシラン類、ブロックされたメルカプトアルキルトリアルコキシシラン類、3−チオアシルプロピルトリアルコキシ−シラン、3−チオオクタノイルプロピルトリアルコキシシラン、約2〜約8個の硫黄原子鎖を含有するトリアルコキシシラン、およびこれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。
【0027】
この記述において、用語「ブロックされたメルカプトアルキルトリアルコキシシラン」の使用はシリカ−反応性メルカプトシラン部分に影響を与えないが分子のメルカプト部分をブロックする(すなわち、メルカプト水素原子が以下で「ブロッキング基」と称する別の基により置換される)ブロッキング部分を含んでなるメルカプトシランシリカ結合剤として定義される。適するブロックされたメルカプトシラン類は、記載された実施例に関して引用することにより本発明の内容となる米国特許第6,127,468号明細書、第6,204,339号明細書、第6,528,673号明細書、第6,635,700号明細書、第6,649,684号明細書、第6,683,135号明細書に記載されたものを包含しうるが、それらに限定されない。この開示の目的のためには、シリカ−反応性「メルカプトシラン部分」は3−メルカプトプロピルトリエトキシシランの分子量に相当する分子量として定義される。脱ブロッキング剤をゴム混和中または後(例えば、製造工程における後半、例えば硬化中)に、シリカ−シラン反応が起きた後に加えて、メルカプトシランの硫黄原子をゴムに急速に結合させることができる。脱ブロッキング剤は混和工程中のいずれかの時間において脱ブロッキングが所望されるいずれかの混合段階中に単一成分として加えることができる。脱ブロッキング剤の例は当業者に既知である。
【0028】
触媒作用を受ける加水分解および縮合反応から生ずるAMSまたはco−AMS生成物は、例えば、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、29Si核磁気共鳴(NMR)などにより測定された時に複数のピークとして観察できる。オリゴマー類は、アルコキシ改質部分の線状、分枝鎖状および/または異性体状配置の混合物を含んでなる。生成物の集団はアルコキシ改質シルセスキオキサン類および/またはアルコキシ改質コシルセスキオキサン類と称する。例えば、これらのアルコキシ改質シルセスキオキサン類はオクチルアルコキシ改質シルセスキオキサン類、フェニルアルコキシ改質シルセスキオキサン類、3−メルカプトプロピルアルコキシ改質シルセスキオキサン類、3−チオアシルプロピルアルコキシ改質シルセスキオキサン類など、およびこれらのいずれかの混合物を包含しうるが、それらに限定されない。それ故、1種もしくはそれ以上のアルコキシ改質シルセスキオキサンはアルキルアルコキシ改質シルセスキオキサン類、アルキル−コ−メルカプトアルコキシ改質シルセスキオキサン類などを含んでなりうるが、限定されない。
【0029】
本発明の方法で使用できるトリアルコキシシラン類の非限定例として、最初のシランおよび完全な加水分解反応から生成することが予期されるであろう完全なシルセスキオキサンの式重量を表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
これらの値は、加水分解および縮合反応において固体の強カチオン性触媒を使用する時に、所望するAMSまたはco−AMSに関する概略理論収率を測定するために充填されたシランのモル分率と共に使用することができる。
【0032】
表2はAMSまたはco−AMS生成物を製造するために使用できる種々の成分のモル比を包含する動力学的実験の非限定例を示す。
【0033】
【表2】

【0034】
例えば、実験A−DはOTESおよび酸の本質的に同等なモル比を使用するが、実験Eは2倍モル量の酸を使用しそして実験Fは0.5倍モル量の酸を使用する。実験AおよびBと比べて、実験CおよびDは約半分のモル量の水を使用し、実験Eは約1/4のモル量の水を2倍モル量の酸と共に使用し、そして実験Fは約半分のモル量の水を用いるがOTESのモル量は2倍である。OTES、HClおよび水の濃度が増加するにつれて、モル/LによるAMSの生成量における定常的な増加があったことが観察された(実験A、データは示されない)。さらに、0.40モル/LのOTESのモル比では中間体および高レベルの水に関する反応速度(実験B、CおよびD)はほぼ同じであった。メタノールによるエタノールの交換は生成物生成の初期速度において2倍の増加を示した。3.7モル/Lまでの水の減少(実験E)はHClの倍増と共に実験D(データは示されない)と比べて速度を約半分に減じた。
【0035】
強酸としてHClを使用するこれらの予備実験から推定して、本発明の方法に従う反応において適切に使用される固体の強カチオン性触媒中に存在するプロトンのモル触媒量は製造において使用されるトリアルコキシシランのモル量の約1%〜約50%、より適切には約5%〜約40%、程度の少なさでありうる。実用化限度内では、反応物のモル濃度に関する上限または下限は事実上ない。
【0036】
製造されたAMSまたはco−AMS生成物の各々の特徴は1個もしくはそれ以上のアルコキシ改質シルセスキオキサン「w」および/または「x」基に結合された反応性アルコキシシリル基「y」の存在である。AMS化合物では、いずれかのwまたはxは0でありうるが両方は0であり得ない。co−AMSでは、wおよびxは0でない。1個もしくはそれ以上のwまたはx基のモル分率はモル分率w+xの合計により割り算されたwまたはxのモル分率の比として計算される。適切には、モル分率w+xの合計に対するwモル分率の比(またはxモル分率の比)は約0.01〜約0.5の範囲でありうる。w、xおよびyのモル分率はR、R、およびRのモル分率により、これらの基の相対数が測定できる場合には、測定することもできる。モル分率w、xおよびyの合計は常に1に等しくそしてyは0でない。
【0037】
w、xおよびyの個々の重量分率は個々のw、xおよびy重量分率の合計により割り算された各時間のそれらのそれぞれの式重量(FW)のモル分率から計算することができる。例えば、xの重量百分率(W%(x))は
【0038】
【数1】

【0039】
として計算することができる。アルコール(HOR)の重量百分率は式
【0040】
【数2】

【0041】
により計算することができる。
【0042】
これらの方法を用いて製造されるアルコキシ改質シルセスキオキサン類は反応性アルコキシシリル基を有する「開放」構造より本質的になりそして種々の化合物中のナノ粒子充填剤としての使用に関して既知である純粋な閉鎖した籠化された多面体オルガノシルセスキオキサン(POSS)類の構造を本質的に含まない。例えば、引用することにより本発明の内容となる上記の特許出願で示されているような例示オリゴマー混合物の29Si含有量の核磁気共鳴(NMR)分析は約−47ppm〜約71ppmの広い範囲(百万分の部数、ppm)を示す。比較すると、純粋な閉鎖した籠化されたPOSS構造の29Si含有量のNMR分析は−68ppmにおいて決定的なピークを示す。理論により拘束するものではないが、上記の通りのそして上記特許出願に記載された通りのAMSおよびco−AMS生成物の製造方法は、トリアルコキシシランの急速な縮合が発生させる種々の幾何学的結合の多数性のために、純粋なPOSS構造の生成を除外または最少にすることが信じられる。生成物中のHおよび/または13Cの量に関するNMRスペクトル範囲も測定できるが、これらのスペクトルは構造に結合された種々のR基により異なりそしてここでは示されない。
【0043】
製造されるAMSまたはco−AMS生成物の各々の別の重要な特徴は、反応性アルコキシシリル基が少量だけのアルコールが生成物の加水分解により遊離されうるような低レベルで存在することである。すなわち、生成物が実質的に完全な酸加水分解により処理される時にはyアルコキシシリル基は約0.05〜約10重量%だけのアルコールを発生す
る。適切には、アルコールの発生量は約0.5〜約8重量%でありそして、より適切には、アルコールの発生量は約1〜約6重量%である。
【0044】
最終的なAMSまたはco−AMS生成物の各々における残存反応性アルコキシシリル基の量はRubber Chemistry & Technology 75,215(2001)に発表された方法に従い生成物から回収されうるアルコールの量により測定することができる。簡単に述べると、生成物の試料をシロキサン加水分解試薬(0.2Nのトルエンスルホン酸/0.24Nの水/15%のn−ブタノール/85%のトルエン)を用いる完全な酸加水分解により処理する。この試薬は残存エトキシシラン(EtOSi)またはメトキシシラン(MeOSi)と定量的に反応して、実質的に全部の量のエタノールまたはメタノールを遊離させ、それを次にヘッドスペース/ガスクロマトグラフィー技術により測定しそして試料中の重量百分率として表示する。
【0045】
従って、製造された1種もしくはそれ以上のAMSまたはco−AMS生成物はシリカが強化用充填剤として使用されるゴム化合物中での使用に非常に適する。特に、AMSまたはco−AMS生成物に結合された1個もしくはそれ以上の反応性アルコキシシラン基はアルコキシシラン−シリカ反応において沈殿することができそしてゴム中のシリカ分散を改良しうる。従って、本発明に従う方法により製造されるものを包含する1種もしくはそれ以上のAMSまたはco−AMS生成物を使用して、(a)エラストマー、(b)シリカまたはそれとカーボンブラックとの混合物を含んでなる強化用充填剤、(c)アルコキシ改質シルセスキオキサンが残存酸触媒を実質的に含まない、本発明に従う方法により得られるアルコキシ改質シルセスキオキサンゴムを含んでなるシリカ分散化助剤、および(d)硬化剤を含んでなる、加硫可能なゴム化合物を生成することができる。加硫可能なゴム化合物中に包含しうる他の添加剤に関する上記特許出願の開示は引用することにより本発明の内容となる。
【0046】
上記のように、アルキルトリアルコキシシラン類および/またはアルコキシシラン−末端重合体基がゴム化合物中でのシリカ分散用に使用される時にはアルコキシシラン−シリカ反応はアルコールが副生物として生じる。一般的に、使用されるトリアルコキシシランはトリエトキシシランまたはトリメトキシシランであり、そして発生するアルコールはそれぞれエタノールまたはメタノールである。これらのアルコール放出は他のゴムタイヤ成分の処理から発生するVOC放出に追加されるため、強化用シリカの量および同時に使用されるトリアルコキシシランの量は政府の環境規制により管理されそして限定される。
【0047】
1種もしくはそれ以上のAMSまたはco−AMS生成物中で使用可能なアルコールの制限量は、それらが混和およびさらなる処理中にアルコールとして放出される潜在的VOC類のレベルを有意に減ずる可能性を有するため、これらの化合物はゴム化合物中で非常に有用となる。さらに、混合中および後に使用可能な未反応のアルコキシシラン基の制限量は加硫したゴム化合物およびそれらから製造されるタイヤにおける発泡度を厳しく制限する。本発明の方法に従い製造される生成物の使用は強化用に使用されるシリカの量における有意な増加も可能にする。
【0048】
ゴム化合物中での本発明に従う方法により製造される改良された生成物を包含するAMSおよび/またはco−AMS生成物の使用はゴムの混和およびさらなる処理中のアルコール放出を最少にするだけでなく、これらの生成物はシリカ分散化剤としても良く作用して化合物を含有する貯蔵品に対して改良された物理的性質も与える。
【0049】
本発明に従う方法により製造される改良されたAMSおよび/またはco−AMS生成物を含有する加硫したゴム化合物を利用して例えばパワーベルト、および空気入りタイヤの如き製品を形成することができる。この組成物を使用して他の弾性タイヤ部品、例えば
限定するものではないがサブスレッド類、側壁、本体積層皮膜、ビーズ充填剤、先端、シェーファー、側壁挿入剤、ワイヤーコート、内部ライナーなど、を形成することもできる。
【実施例】
【0050】
以下の実施例は、固体の強カチオン性樹脂を加水分解および縮合触媒として使用する代表的なアルコキシ改質シルセスキオキサン類の製造方法を説明する。しかしながら、他のアルコキシ改質シルセスキオキサン類を、単独でまたは組み合わせて、記載された方法に従い製造できるため、実施例は限定用であることは意図されない。さらに、これらの方法は例示用のみでありそしてここに開示されそして特許請求された発明の範囲から逸脱せずに他の固体の強カチオン性触媒を使用するアルコキシ改質シルセスキオキサン類の他の製造方法は当業者により容易に決定されうる。
【0051】
実施例1
Dowex 50WX2−200樹脂を用いるn−オクチルアルコキシ改質シルセスキオキサン(オクチル−AMS)の製造
500mLエルレンマイヤーフラスコに9.23グラム(44.3ミリモルのH)の乾燥Dowex 50WX2−200(2%のジビニルベンゼンで架橋結合されそして官能基としてスルホン酸を有する強カチオン性のポリスチレン樹脂、200メッシュ粒子)、238mLの無水エタノールおよび27.95グラム(1.613モル)の蒸留水を加えた。樹脂が均一に分散された時に、41.36グラム(150ミリモル)のオクチルトリエトキシシラン(OTES)を加えた。シラン対樹脂のHのモル比は約30:1であった。17時間にわたり撹拌した後に、製造されたAMSが下部相としての樹脂をコーティングした。260mLのシクロヘキサンおよび260mLの水の添加が上部相内にAMSをそして沈殿としての樹脂を下部水相内に与えた。濾過による樹脂の回収および乾燥が6.91グラム(最初の量の75%)を与えた。溶媒の蒸発によりAMSが高粘度物質として回収されて24.56グラム(理論収率、TYの98%)を与えた。
【0052】
実施例2
回収されたDowex 50WX2−200樹脂を用いるオクチル−AMSの製造
6.91グラム(33.2ミリモルのH)の回収されたDowex−50WX2−200(実施例1から)を160mLの無水エタノール、21.14グラム(1.22モル)の水および28.24グラム(102ミリモル)のOTESの中で使用したこと以外は、実施例1に従う工程を繰り返した。AMS生成が粒子をコーティングしながら、最初の反応混合物中の樹脂を3時間以内に最初の分散化された容量の50%より少なくなるまで圧縮した。24時間にわたり撹拌した後に、シクロヘキサンおよび水を加えて17.46グラム(103.4%TY)の粘着性のより低いAMSを単離した。
【0053】
実施例3
過剰の遊離スルホン酸を除去するために予め洗浄されたDowex 50WX2−200樹脂を用いるオクチル−AMSの製造
Dowex樹脂をTHFおよび水で2回洗浄して新しい樹脂の中に存在する遊離硫酸を除去した。この遊離酸は実施例1および2に従う製造において製造された高粘度AMSの原因であると考えられた。それ故、15.39グラムのDowex樹脂(熱分析により測定して、73.9ミリモルのスルホン酸を含有する)を15mLの水を含有する150mLのTHFの中に分散させた。混合物を撹拌し、傾斜させそしてTHFおよび水で第二回の洗浄をした。混合物を次にTHFで再度すすいだ。触媒スラリー中に残存するスルホン酸および水の量を測定しそしてAMSを製造するための反応混合物中への水およびTHFのその後の充填をそれに応じて調節した。
【0054】
洗浄されたDowex樹脂、182mLのTHF、24.65グラム(1.77モル)の水および41.2グラム(149ミリモル)のOTESを用いて、反応混合物を実施例1に従い処理した。混合物を24時間にわたり撹拌しそして濾過して樹脂(12.07グラム)を回収した。THFの蒸発が24.67グラムの所望するわずかに粘着性のAMSを生成した。
【0055】
実施例4
実施例3で製造されたAMS中の潜在性エタノールの測定
実施例3におけるTHF溶液からのAMSの分離前に、溶液の試料をエタノールに関して熱空間ガスクロマトグラフィーにより分析した。1時間の反応時間以内に測定された8.30%エタノールの平均値は、完全反応が製造するであろうエタノールの9.03%理論量に良く匹敵した(エタノールのTYの92%が得られた)。24時間の反応時間後に得られたAMS生成物の分析は0.238%の潜在性エタノールを示した。
【0056】
本発明をここに好ましい態様を参照しながら記述してきたが、それが本発明を開示された具体的な形態に限定することを意図しないことを理解すべきである。それどころか、本発明は添付された特許請求の範囲内に入る全ての改変および別の形態を包括することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)水、
(ii)水のための酸−安定性溶媒、
(iii)固体の強カチオン性の加水分解および縮合触媒、並びに
(iv)R−トリアルコキシシラン[ここで、Rは珪素原子に結合された基を含んでなりそしてR、RおよびRよりなる群から独立して選択され、ここでR、RおよびRは同一もしくは相異なりそして(i)Hまたは炭素数1〜約20のアルキル基、(ii)炭素数3〜約20のシクロアルキル基、(iii)炭素数7〜約20のアルキルアリール基、および(iv)RXよりなる群から選択され、ここでXはCl、Br、SH、S、NR、OR、COH、SCOR、CO、OH、オレフィン類、アミノ基およびビニル基よりなる群から選択され、ここでa=2〜約8であり、Rは炭素数1〜約20のアルキレン基、炭素数3〜約20のシクロアルキレン基よりなる群から選択され、RおよびRは炭素数1〜約20のアルキル基、炭素数3〜約20のシクロアルキル基、および炭素数7〜約20のアルキルアリール基よりなる群から選択される]を反応混合物として組み合わせ、
(b)反応混合物を約0.5時間〜約200時間にわたり反応させてアルコキシ改質シルセスキオキサン類を生成し、そして
(c)アルコキシ改質シルセスキオキサン類を反応混合物から回収する
段階を含んでなる、式
【化1】

[式中、w、xおよびyはモル分率を表わし、yは0に相当せず、いずれかのwまたはxは0であることができるが両方はできず、そしてw+x+y=1.00である]
を有するアルコキシ改質シルセスキオキサン類およびそれらの混合物よりなる群から選択される1種もしくはそれ以上の化合物を含んでなるアルコキシ改質シルセスキオキサンの製造方法。
【請求項2】
アルコキシ改質シルセスキオキサン類が反応性アルコキシシリル基を伴う開放構造を有するアルコキシ改質シルセスキオキサン類の混合物より本質的になり且つ閉鎖した籠化された多面体オルガノシルセスキオキサン類を本質的に含まない、請求項1の方法。
【請求項3】
アルコキシ改質シルセスキオキサン類が残存酸触媒を実質的に含まない、請求項1の方法。
【請求項4】
水のための酸−安定性溶媒が極性プロトン性溶媒を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項5】
極性プロトン性溶媒がアルコールを含んでなる、請求項4の方法。
【請求項6】
アルコールが無水エタノール、無水メタノール、およびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項5の方法。
【請求項7】
回収段階(c)が(1)反応混合物に水とシルセスキオキサン類のための非極性溶媒とを加えることによりアルコキシ改質シルセスキオキサン類を固体の強カチオン性触媒から分離し、(2)水/アルコールおよび非極性溶媒の相分離を行い、そして(3)アルコキシ改質シルセスキオキサン類の混合物を非極性溶媒相から回収する副段階をさらに含んで
なる、請求項1の方法。
【請求項8】
非極性溶媒がヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、およびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項7の方法。
【請求項9】
回収段階(c)が(4)固体の強カチオン性触媒を水/アルコール相から回収する副段階をさらに含んでなる、請求項1の方法。
【請求項10】
水のための酸−安定性溶媒が極性非プロトン性溶媒を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項11】
極性非プロトン性溶媒がアルコキシ改質シルセスキオキサン類の混合物のための炭化水素溶媒を含んでなる、請求項10の方法。
【請求項12】
極性非プロトン性溶媒がテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、アセトン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、酢酸エチル、およびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項10の方法。
【請求項13】
回収段階(c)が(5)極性非プロトン性溶媒相および固体の強カチオン性触媒の相分離を行い、そして(6)アルコキシ改質シルセスキオキサン類の混合物を極性非プロトン性溶媒相から回収する副段階をさらに含んでなる、請求項10の方法。
【請求項14】
回収段階(c)が(7)固体の強カチオン性触媒を相分離段階(5)から回収する副段階をさらに含んでなる、請求項13の方法。
【請求項15】
加水分解および縮合触媒が固体の強カチオン性の架橋結合された樹脂を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項16】
段階(a)が強カチオン性の架橋結合された樹脂を洗浄して反応混合物に対する触媒の添加前に過剰のカチオンを除去する副段階を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項17】
反応混合物中のトリアルコキシシラン類の少なくとも1種がエラストマーに結合しうる基を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項18】
反応混合物中のトリアルコキシシラン類の少なくとも1種がメルカプトアルキルトリアルコキシシラン、ブロックされたメルカプトアルキルトリアルコキシシラン、3−チオアシルプロピルトリアルコキシシラン、3−チオオクタノイルプロピルトリアルコキシシラン、約2〜約8個の硫黄原子鎖を含有するトリアルコキシシラン、およびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項17の方法。
【請求項19】
反応混合物中のトリアルコキシシラン類の少なくとも1種がアルキルトリアルコキシシランを含んでなる、請求項1の方法。
【請求項20】
アルコキシ改質シルセスキオキサンが残存酸触媒を実質的に含まない、請求項1に記載の方法により得られる改良されたアルコキシ改質シルセスキオキサン。
【請求項21】
(a)エラストマー、
(b)シリカまたはそれとカーボンブラックとの混合物を含んでなる強化用充填剤、
(c)アルコキシ改質シルセスキオキサンが残存酸触媒を実質的に含まない、請求項1に記載の方法により得られる改良されたアルコキシ改質シルセスキオキサンゴムを含んでなるシリカ分散化助剤、および
(d)硬化剤
を含んでなる、加硫可能なゴム化合物。
【請求項22】
請求項21に記載の加硫可能なゴム化合物から製造された加硫したゴムを含んでなる少なくとも1種の成分を包含する空気入りタイヤ。

【公開番号】特開2008−291029(P2008−291029A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−134163(P2008−134163)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】