説明

アルコールの脱水反応で使用するリン変成ゼオライトを含む触媒の製造方法

【課題】少なくとも2つの炭素原子を有するアルコールを対応するオレフィンに変換する脱水プロセスでの燐変成ゼオライトを含む触媒の使用。
【解決手段】上記触媒が下記の工程を下記の順番で有する方法によって製造されたものであることを特徴と使用:(a) 構造中に少なくとも1つの10員環を含むゼオライトに燐の基本的な部分を導入し、(b) 段階(a)でリン変成されたゼオライトを一種以上のバインダ、アルカリ土類金属塩、希土類金属塩、クレーおよび成形助剤の中から選択される少なくとも一つの成分と混合し、(b*) (b)で得られた混合物から触媒本体を作り、(c) 必要に応じて乾燥段階を行うか、必要に応じて洗浄段階後に乾燥段階を行い、(d) か焼段階を行い、(d*) 必要に応じて洗浄し、乾燥段階を行い、(e) 必要に応じて、段階(b)または(b*)中または段階(b)または(b*)の終わりに燐の少量部分を導入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコールを軽質オレフィンに変換するのに使われるリン変成ゼオライトから成る触媒の製造方法に関するものである。
本発明は、リン変成ゼオライトから成る触媒を用いて少なくとも一種のアルコールを対応するオレフィンへ変換するための脱水プロセスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オレフィンは石油供給原料から触媒を用いたスチームクラッキング法で製造されてきた。このクラッキング法、特にスチームクラッキング法では種々の炭化水素供給原料からの軽質オレフィン、例えばエチレンおよび/またはプロピレンが製造される。エチレンおよびプロピレンはプラスチック、その他の化合物の製造プロセスで用いられる重要な汎用石油化学製品である。
【0003】
原油の供給が限られ、そのコストが増加しているため、炭化水素化合物を製造するための代替プロセスが求められている
【0004】
オレフィンは対応するアルコールの脱水で製造できる。エタノールおよび高級アルコール、例えばプロパノール、ブタノールは炭水化物の発酵で得ることができる。世界の主たる再生可能なエネルギー源は生体系から有機物を製造することができるバイオマスである。最近では合成ガス(syngas)からエタノールおよび高級アルコールを製造する新しいルートが考えられている。
【0005】
リン変成されたゼオライト(P−ゼオライトともいう)から成る触媒は公知であり、その触媒を作るための従来法には種々の方法がある。
【0006】
特許文献1(米国特許第US 2006 106270号明細書)は比較的高い温度で、好ましくはスチーム希釈剤を使用し、移動層型反応装置を使用して運転される炭化水素合成反応帯域中での酸素化物のプロピレン(OTP)への二重機能(dual-function)触媒系の使用に関するものである。この二重機能触媒系は不安定なリンおよび/またはアルミニウムアニオンを含むリン-変成アルミナマトリックス中に分散させた二重の機能を有するモレキュラーシーブから成る。このリン変成アルミナマトリックスを使用した時に観察される熱水安定化は、このマトリックスから結合したモレキュラーシーブへのリンおよび/またアルミニウムアニオンの移行または分散によって生じると説明されている。これらのアニオンはOTP反応帯域および再生帯域で使用される温度に対応する温度でのスチームへの暴露によって生じるモレキュラーシーブ骨格の破壊または変化といった公知の脱アルミ化機構に対してモレキュラーシーブ骨格を修復し、アニールしおよび/または安定させることができる。
【0007】
特許文献2(米国特許第US 4,356,338号明細書)は、スチームおよび/またはリン-含有化合物で触媒を前処理することで触媒のコーキングを減らし、触媒の使用寿命を延ばす方法を開示している。上記前処理は触媒または触媒/バインダ組合せ物をリン含有化合物で含浸して、処理した触媒または触媒/バインダ・マトリックスをベ―スにして約4重量%、好ましくは約2%〜15%のリンを堆積させる。
【0008】
特許文献3(米国特許第US 5,231,064号明細書)はクレーとゼオライトから成る流動触媒に関するもので、クレーおよびゼオライトの少なくとも一方はリン含有化合物、例えばリン酸二水素アンモニウムまたはリン酸で処理され、それを低pH、好ましくはpH=約3でスプレー乾燥する。この触媒には磨耗が少ないという利点がある
【0009】
特許文献4(欧州特許第EP 511013A2号公報)には高級オレフィンまたはパラフィンまたはオレフィン/パラフィン混合供給原料からC2〜C5オレフィンを製造するための改良プロセスが記載されている。この従来技術では炭化水素フィード原料が高温度、高空間速度および低炭化水素分圧で特定のZSM−5触媒と接触して低級オレフィンが製造される。炭化水素の転化で使用する前に触媒をスチームで処理する。活性触媒成分は表面のSi/Al比が20〜60の範囲にあるリン−含有ZSM−5である。リンは例えば米国特許第3,972,832号明細書に記載の手順でZSM−5にリン化合物を含浸させることによってZSM−5に加えるのが好ましい。それより好ましくはないが、触媒が形成される複数成分混合物にリン化合物を加えることもできる。リン化合物は最終ZSM−5組成物が0.1〜10重量%好ましくは1〜3重量%のリンを含むようになるのに十分な量だけ加える。上記のリン含有ZSM−5は公知のバインダまたはマトリックス、例えばシリカ、カオリン、カルシウムベントナイト、アルミナ、シリカ・アルミン酸塩と組み合わせるのが好ましい。一般にZSM−5は触媒組成物を1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは10〜25重量%含むのが好ましい。
【0010】
特許文献5(欧州特許第EP 568913A2号公報)には下記の一連の段階
を含むメタノールまたはジメチルエーテルを軽質オレフィンに触媒転化で使用するのに適したZSM−5ベースの触媒の製造方法が記載されている:
【0011】
(1)ゼオライトZSM−5ベースの触媒をシリカゾルおよび硝安溶液と混合し、
(2)混合物を混練、成形、乾燥、か焼し、
(3)変成ゼオライトを70-90℃でHCI溶液と交換し、
(4)H-変成されたゼオライトを乾燥し、か焼し、
(5)減圧下のH-変成ゼオライトにリン酸を含浸させ、
(6)P-変成されたゼオライトを乾燥し、か焼し、
(7)減圧下にP-変成されたゼオライトに希土類元素の溶液を含浸し、
(8)P-希土類変成されたゼオライトを乾燥し、か焼し、
(9)P-希土類変成ゼオライトを500〜600℃で水蒸気で熱水処理し、
(10)変成ゼオライトをか焼する。
【0012】
特許文献6(国際特許第WO 03 020667号公報)は、酸素化物の供給原料を少なくとも2つの異なるゼオライト触媒と接触させてオレフィン組成物を作る、酸素化物の供給原料からオレフィン、特にエチレンおよびプロピレンを製造するプロセスに関するものである。第1のゼオライト触媒はZSM−5モレキュラーシーブを含み、第2のゼオライト触媒はZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48およびこれらの混合物から成る群の中から選択されるゼオライトモレキュラーシーブを含む。ZSM−5は未変成でもよいが、燐変成、ZSM−5のミクロ気孔容積を少なくとも50%減少させるスチーム変成してもよく、その混合物でもよい。その一実施例ではその気孔容積の減少を制御するための化合物を含む燐でゼオライトが変成される。あるいは、ゼオライトにスチーム処理をし、スチーム処理の前または後にリン化合物を加える。燐の量は元素基準でゼオライトモレキュラーシーブの重量の0.05〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。骨格のアルミニウム(すなわちゼオライト骨格)に対するリン原子の比は4: 1以上、好ましくは2:1〜4: 1にするのが好ましい。この特許の一実施例ではゼオライトモレキュラーシーブ単独またはゼオライトとバインダとの組合せ物に適当なリン化合物溶液を接触させて触媒へリン変成剤を入れる。リン溶液から固形のゼオライトまたはゼオライト触媒を分離し、乾燥し、か焼する。必要に応じて、加えた燐を所定条件下に酸化物の形に変換する。リン含有化合物との接触は一般に25℃〜125℃の温度で15分〜20時間の時間で実施される。ゼオライト中のリン濃度の濃度は0.01重量%〜30重量%にすることができる。この従来法は非フォームレート(non-formulated)P−ZSM−5を開示したものである。
【0013】
触媒を含む成形(formulated)P−ゼオライトを製造する通常の方法は、反応媒体中で予め成形されたゼオライト(例えばゼオライト+バインダ)にP−化合物またはリンを含浸させる方法である。
【0014】
ゼオライトのホスフェート化によって活性相(非成形(non-formulated)燐酸処理済みゼオライト)を製造する方法およびそのメタノール転化での使用に関する特許は多数出願されている。これらの特許のいくつかでは活性相とバインダとをさらに混合する。しかし、反応では活性相はそのままが良く、バインダは一般に希釈剤の役目だけをする場合が多い。
【0015】
従来の多数のP−ゼオライトベースの活性相の製造方法は成形(formulated)されたゼオライトを作り、最初の段階でホスフェー化(phosphatation)段階を実行するが、本発明方法はそれとは相違する。さらに、適した触媒にするには最初の段階でのゼオライトのホスフェー化(活性相の形成)は必要ではない。それにも関わらず、良好な触媒になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第US 2006 106270号明細書
【特許文献2】米国特許第US 4,356,338号明細書
【特許文献3】米国特許第US 5,231,064号明細書
【特許文献4】欧州特許第EP 511013A2号公報
【特許文献5】欧州特許第EP 568913A2号公報
【特許文献6】国際特許第WO 03 020667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の触媒はゼオライトと、バインダ、アルカリ土類金属塩、希土類金属塩、クレーおよび成形助剤の中から選択される少なくとも一種以上の成分とから成る。上記の金属塩、バインダおよびクレーは燐干渉(phosphorous interfering)を吸着し、ゼオライトと競合し、正しいゼオライトの燐酸塩化(phosphatation)を阻止する。燐を優先して吸着する痕跡量の金属の存在するとゼオライト燐酸塩化が乱されることになる。それによって再現性が悪くなり、バインダの気孔が詰まる原因になり、選択力のない触媒になることが多い。
【0018】
本発明方法はバインダ、金属塩またはクレーの副作用を克服し、ゼオライトを選択的に燐酸塩化する解決策を提供する。すなわち、触媒の製造では他の任意成分、例えばバインダ、金属、クレーおよび成形助剤を導入する前にゼオライトの燐酸塩化を必要とするということを本発明は開示する。この本発明方法を用いることで製造の再現性、熱水安定性および良好な触媒性能が保証される。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、少なくとも2つの炭素原子を有するアルコールを対応するオレフィンに変換する脱水プロセスでの燐変成ゼオライトを含む触媒の使用であって、
上記触媒が下記の工程を下記の順番で有する方法によって製造されたものであることを特徴と使用にある:
(a) 構造中に少なくとも1つの10員環を含むゼオライトに燐の基本的な部分を導入し、
(b) 段階(a)でリン変成されたゼオライトを一種以上のバインダ、アルカリ土類金属塩、希土類金属塩、クレーおよび成形助剤の中から選択される少なくとも一つの成分と混合し、
(b*) (b)で得られた混合物から触媒本体を作り、
(c) 必要に応じて乾燥段階を行うか、必要に応じて洗浄段階後に乾燥段階を行い、
(d) か焼段階を行い、
(d*) 必要に応じて洗浄し、乾燥段階を行い、
(e) 必要に応じて、段階(b)または(b*)中または段階(b)または(b*)の終わりに燐の少量部分を導入する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ストリーム(流れ)時間を関数とするエタノール変換率(中実四角)とエチレン収率(中空ダイヤ)の変化を示すグラフ。触媒A.Surfin 96バイオ-エタノール、400℃-2絶対バール−WHSV(エタノール):7h-1
【図2】ストリーム(流れ)時間を関数とするエタノール変換率(中実四角)とエチレン収率(中空ダイヤ)の変化を示すグラフ。触媒B.Surfin 96バイオ-エタノール、5重量%の水で希釈、360℃、2絶対バール−WHSV(エタノール):7h-1
【発明を実施するための形態】
【0021】
ゼオライト(またはモレキュラーシーブ)がナトリウムを1000wppm以下しか含まず、カリウムは1000wppm以下、鉄は1000wppm以下しか含まないのが有利である。
ゼオライトはアルカリ金属およびアルカリ土類金属を200ppm以下しか含まないのが有利である。
【0022】
初期ゼオライトのS/Al比は20以下であるのが有利である。ゼオライトはレドックスおよび貴元素、例えばZn、Cr、Ti、Rh、Mn、Ni、V、Mo、Co、Cu、Cd、Pt、Pd、Ir、Ru、Reを100ppm以下含むのが有利である。
燐の供給源は金属間化合物を実質的に含まないのが有利であり、H3PO4、リン酸アンモニウムまたは有機P-化合物であるのが有利である。本発明の一つの実施例では、段階(e)の燐はバインダまたはクレーの成分として導入できる。
【0023】
段階(a)でゼオライトに導入する燐の量は0.5〜30重量%、好ましくは0.5〜9重量%にすることができる。燐酸化剤を過剰にすることで段階(a)でのP/Alモルの比は1以上にするのが有利である。(b)および(c)のフォーミュレーションは噴霧乾燥、押出し、オイルドロップ法等で実行できる。
【0024】
本発明では段階(c)および(d*)で触媒を水で1〜36時間、好ましくは0.5〜48時間、最も好ましくは約2〜24時間処理するのが有利である。この水は温度が10℃〜180℃、好ましくは約15℃〜100℃、さらに好ましくは約20℃〜60℃である。水処理後、触媒を約60〜350℃で乾燥する。必要に応じて、水はアンモニウム基または/および Li、Ag、Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、Al、Laおよびこれらの混合物から成る群の中から選択される少なくとも1つのイオンを含むことができる。
【0025】
段階(a)の最後に反応媒体からP-ゼオライトを分離するか否かは任意であり、バインダ、アルカリ土類金属塩、希土類金属塩、クレー成形助剤を反応媒体に直接に加えることができる。
【0026】
本発明の好ましい実施例ではナトリウム量の低いバインダおよびクレーが使われる。
段階(a)の塩酸塩化前にゼオライトに種々の処理、例えばイオン交換、スチーミング、酸処理、シリカ析出による表面パッシべーション等を行うこともできる。
【0027】
本発明の好ましい実施例では、バインダおよびクレーのナトリウム量はナトリウムを5000ppm以下にする。
好ましいゼオライト構造はMFI、MTT、FER、MEL、TON、MWW、EUO、MFS、ZSM-48の中から選択される。
【0028】
アルコールをオレフィンに変換する脱水プロセスは多くの特許に記載されており、下記特許を参照でき、これらの内容は本明細書の一部を成す。
【特許文献7】国際特許第WO/2009/098262号公報
【特許文献8】国際特許第WO/2009/098267号公報
【特許文献9】国際特許第WO/2009/098268号公報
【特許文献10】国際特許第WO 2009/098269号公報
【0029】
アルコールは、対応するオレフィンに脱水できるのであれば任意のアルコールにすることができる。例としては炭素原子が2〜10のアルコールが挙げられる。本発明ではエタノール、プロパノール、ブタノールおよびフェニルエタノールにするのが有利である。
【0030】
少なくとも一つの10員環を含むゼオライトの構造に関しては結晶質シリケートを引用でき、その例はMFI(ZSM-5、シリカライト-1、ボラライト(boralite) C、TS-1)、MEL(ZSM-1 1、シリカライト-2、ボラライト(boralite)D、TS-2、SSZ-46)、FER(フェリエライト(Ferrierite)、FU-9、ZSM-35)、MTT(ZSM-23)、MWW(MCM-22、PSH-3、ITQ-1、MCM-49)、TON(ZSM-22、Theta-1、N U-10)、EUO(ZSM-50、EU-1)、MFS(ZSM-57)および珪素、アルミニウム、酸素および任意成分の硼素を含むミクロポーラス原料ZSM-48ファミリーである。
【0031】
3文字の表示「MFI」および「MEL」は各々、「Structure Commission of the International Zeolite Association」で確定したような特定の結晶質シリケート構造タイプを表している。MFIタイプの結晶質シリケートの例は合成ゼオライトZSM-5、シリカライト、その他の公知MFIタイプ結晶質シリケートである。MELファミリーの結晶質シリケートの例はゼオライトZSM-11およびその他の公知MELタイプの結晶質シリケートである。他の例は「International Zeolite Association(Atlas of zeolite structure types, 1987, Butterworths)」に記載のボラライト(Boralite) Dおよびシリカライ(silicalite)-2である。好ましい結晶質シリケートは10の酸素環で定義される気孔またはチャネルを有する。
【0032】
結晶質シリケートは酸素イオンを分け合って互いに結合しXO4四面体骨格をベースにしたミクロポーラス結晶質無機ポリマーで、Xは三価(例えばAl、Β等)でも四価(例えばGe、Si等)でもよい。結晶質シリケートの結晶構造は四面体単位のネットワークを結合している特定の順番で定義される。結晶シリケートの気孔の開口寸法は四面体単位の数、気孔を形成するのに要求される酸素原子および、気孔中に存在するカチオンの種類で決まり、下記の性質の独特な組合せを有する:高い表面積、一つ以上の孤立した寸法の均一な気孔、イオン交換能、優れた熱安定性および有機化合物を吸着する能力。上記結晶質シリケートの気孔は寸法が多くの重要な有機分子に類似しているため、反応物および生成物の出入を制御し、特定の触媒反応に選択性を示すことになる。MFI構造を有する結晶質シリケートは下記の気孔直径を有する双方向性の相互に交わる気孔系を有している:[010]に沿った真っ直ぐなチャネル0.53〜0.56ナノメートルおよび[100] に沿ったシノソイダルチャネル:0.51〜0.55ナノメートル。MEL構造を有する結晶質シリケートは0.53〜0.54ナノメートルの気孔直径を有する[100]に沿った真っ直ぐなチャネルを有する双方向性相互交差直線気孔系を有する。
【0033】
結晶質シリケートの一つの特定実施例では結晶シリケート骨格からアルミニウムを除去するために燐酸塩化(phosphatation)前にスチーム処理を行う。スチーム処理は高温度、好ましくは425〜870℃、さらに好ましくは54〜815℃の温度、1〜5絶対バールの圧力および13〜200kPaの水分圧で実施する。スチーム処理は5〜100%のスチームから成る空気で実施するのが好ましい。スチーム雰囲気は0〜95vol%の希ガス(好ましくは窒素)と5〜100vol%のスチームを含むのが好ましい。より好ましくは雰囲気は72vol%スチームと28vol%の窒素、すなわち1気圧で72kPaのスチームから成る。スチーム処理は1〜200時間、好ましくは20時〜100時間実行するのが好ましい。上記の通り、スチーム処理は結晶シリケート骨格の四面体のアルミニウムの量を減らし、アルミナを形成する傾向がある。
【0034】
さらに、燐酸塩化するゼオライトの製造時にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を使用した場合、モレキュラーシーブはイオン交換されることにもなる。従来はイオン交換はアンモニウム塩または無機酸を使用した水溶液中で行われる。
【0035】
ゼオライトへのPの導入
P-変成ゼオライトは例えば下記の順番を有するプロセスで製造する:
(1)Pを導入し、
(2)液体がある場合には、液体から固形物を分離し、
(3)必要に応じて乾燥段階または乾燥段階後に必要に応じて洗浄段階を行い、
(4)か焼段階。
【0036】
必要に応じて、上記のリン含有化合物との接触を40℃〜110℃の温度で実施する。Pは任意の手段、例えば下記特許文献11に記載の方法で導入できる。
【特許文献11】米国特許第3,91 1,041号明細書
【0037】
固形物からの液体の分離は0〜90℃の温度での濾過、0〜90℃の温度での遠心分離、蒸発またはこれらの均等手段で行うのが有利である。必要に応じて、ゼオライト分離後、洗浄前に乾燥させることもできる。乾燥は40〜600℃の温度で、1〜1O時間行うのが有利である。この乾燥静止状態またはガス流動状態で行うことができる。空気、窒素、その他任意の希ガスが使用できる。
【0038】
洗浄段階は濾過中(分離段階)に冷たい水(<40℃)または熱水(>40かつ<90℃)で実行するか、固形物を水溶液に入れ(1kgの固形物/4リットルの水溶液)、還流条件下で0.5〜10時間処理することで行うことができる。
【0039】
本発明の一つの実施例では燐変成ゼオライトは下記を下記の順番で含むプロセスで製造される:
(1)ゼオライトを選択し、
(2)40℃〜870℃の温度で0.01〜200時間スチーミングし、
(3)必要に応じて、ゼオライトからAlの実質的な部分を除去するのに有効な条件下で、酸性水溶液でリーチング(leaching)し、
(4)Pを含む供給源を含む水溶液を用い、有利には少なくとも0.05重量%のPを導入するのに有効な条件下で、Pを導入し、
(5)液体からの固形物を分離し、
(6)必要に応じて、洗浄段階または乾燥段階または乾燥段階とそれに続く洗浄段階を行い、
(7)必要に応じて、か焼段階を行う。
【0040】
スチーム処理段階での温度は420〜870℃、好ましくは480〜760℃にするのが好ましい。圧力は大気圧であるのが好ましく、水の分圧は13〜100kPaにすることができる。スチーム雰囲気は5〜100容積%のスチームと、0〜95容積%の希ガス(好ましくは窒素)とを含むのが好ましい。スチーム処理は0.01〜200時間、有利には0.05〜200時間、より好ましくは0.05〜50時間実行するのが好ましい。このスチーム処理では結晶シリケート骨格の四面体のアルミニウムの量が減り、アルミナが形成される。
【0041】
リーチングは有機酸、例えばクエン酸、蟻酸、蓚酸、酒石酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、マイレン酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、ニトリロトリ酢酸、ヒドロキシエチレンジアミントリ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸またはこれらの酸の塩(例えばナトリウム塩)またはこれらの酸または塩の少なくとも2つの混合物にすることができる。他の無機酸、例えば硝酸、塩化水素酸、メタン硫酸、リン酸、ホスホン酸、硫酸またはこれらの酸の塩(例えばナトリウム塩またはアンモニウム塩)またはこれらの酸または塩の少なくとも2つの混合物にすることもできる。
【0042】
いずれの場合でも、残ったP-含有量はP−含有供給源を含む酸性水溶液中のP-濃度、乾燥条件および洗浄手順度で調整される。乾燥段階は濾過段階と洗浄段階との間で行うことができる。
【0043】
段階(b)でのバインダは触媒を使用する温度およびその他の条件に耐久性があるものを選択する。このバインダはシリカ、金属シリケート、金属の中から選択される無機材料、例えば、ZrO2のような酸化物および/または金属またはシリカと金属酸化物の混合物を含むゲルである。優れた破砕強度を有する触媒にするのが望ましい。これは商用利用では触媒が粉末のような原料に分解されるのを防ぐために望ましいことである。一般にこの種の酸化物バインダは触媒の破砕強度を改良するためにだけ使われてきた。本発明触媒に特に好ましいバインダはシリカから成る。細かな結晶シリケート原料とバインダの無機酸化物マトリックスとの相対割合は広範囲で変えることができる。
【0044】
段階(b*)では触媒の強度特性を高くすることに加えて、モレキュラーシーブの結晶性粉末をマトリックス物質によって互いに結合させて、商用触媒プロセスに適したより大きて粒径することができる。混合物(b)のフォームレーション(formulation)で押出物、球、ピル等を含む種々の形状に成形できる。バインダ原料は多くの場合、多孔質であり、メタノールの軽質オレフィンへの所望の転化を促進するのに有効なものにすることができる。また、マトリックス物質はフィード流の転化を促進でき、所望の生成物に対する触媒の選択性を下げることがある。
【0045】
アルコール脱水プロセスで使用する結合触媒を形成するのに使用するシリカゾルのタイプは分散したコロイド状シリカ粒子を含む一般にアクアゾルまたはオルガノゾルとして市販されている。例えば、シリカゾルとしては珪酸ナトリウムが使用できる。一方、シリカゲル、フュームドシリカまたは火成シリカを用いてモレキュラーシーブ触媒のシリカ・バインダにすることもできる。シリカの他の供給源は珪酸である。マグネシアのバインダが必要な場合には加水分解したマグネシウム・アルコキシドを含む出発スラリーを用いる。触媒の製造にジルコニア・バインダを使用する場合に好ましい出発材料のゾルは水溶性酢酸ジルコニウムの水溶液を、好ましくは尿素のゲル化剤と組み合わせたものである。バインダはナトリウムを1000ppm以下の低含有量で含むのが有利である。
【0046】
クレーの場合には、必要に応じてクレーを触媒に加えるのが好ましい。クレーは一般にモレキュラーシーブとバインダとを混合する前に触媒スラリーに加え、生じたスラリーと混合し、噴霧乾燥する。硬質生成物を形成するこのプロセスで使用するクレーはカオリン、カオリナイト、モンモリロナイト、サポナイト、ベントナイト、アタパルジャイトおよびハロイサイトを含むが、これらに限定されるものではない。クレーは触媒粒子の磨耗抵抗性を高くするバインダとして強度に寄与し、バインダとクレーとが協力して粒子の強度に寄与する。クレーも最初は小さい粒子で、密度が高く、モレキュラーシーブと組み合わせた時に密な粒子となり、バインダは所望粒子に高密度の望ましい特性を与える。
【0047】
アルカリ土類金属塩、希土類金属塩の金属はCa、Mg、Sr、Ce、Laまたはこれらの組合せであるのが有利である。
【0048】
P−ゼオライト、一種以上のバインダ、アルカリ土類金属塩、希土類金属塩、クレーおよび成形助剤の配合割合に関しては、P−ゼオライトの比率が触媒の5〜95重量%にするのが有利である。触媒はP−ゼオライトと、一種以上のバインダの中から選択される少なくとも一つの成分と、アルカリ土類金属塩と、希土類金属塩と、クレーと、成形助剤とを含む。触媒に含まれるP-変成ゼオライトの量は全触媒の15〜90重量パーセント、好ましくは触媒の20〜70重量パーセントにするのが有利である。クレーを加える場合、クレーは乾燥触媒生成物の約10〜約80重量%を形成する。アルカリ土類金属塩および希土類金属塩の濃度は触媒の金属基準(Me)で0.1〜15重量%にできる。触媒の(Al+Me)/ Pのモル比は0.5〜3にするのが有利である。Meはアルカリ金属または希土類金属である。
【0049】
P−ゼオライトを一種以上のバインダの中から選択される少なくとも一つの成分、アルカリ土類金属塩、希土類金属塩、クレーと混合する場合には、触媒をペレットに成形でき、他の形状に押出しでき、または、球または噴霧乾燥粉末に形成することができる。一般に、全ての成分を混合プロセスで一緒に混合できる。この混合プロセスではバインダ、例えばシリカはゲルの形でP−ゼオライトと混合し、得られた混合物を所望の形、例えば円筒形、多葉バー(multi-lobe)に押出す。球形は回転造粒装置またはオイルドロップ(oil-drop)法で作ることができる。小球は触媒サスペンションを噴霧乾燥して作ることができる。
【0050】
その後、触媒を空気中または希ガス中で一般に350〜900℃の温度で1〜48時間かけてか焼する。必要に応じて、空気または希ガスは10〜90容積%の濃度のスチームを含むことができる。
【0051】
段階(c)および(d*)では、乾燥またはか焼され、成形された触媒粒子を、必要に応じて、水またはイオン性化合物の交換水溶液と接触させて仕上げることができる。交換水溶液はモレキュラーシーブのイオン交換サイトを占めるている望まれていない金属カチオンを除去するため、および/または、望ましい金属カチオンを導入するために有効である点に特徴がある。望ましくない金属カチオンはNa、K、Fe、Zn、Cr、Mn、Ni、V、Mo、Co、Cu、Cdである。これらの化学種はモレキュラーシーブ中に存在する無機テンプレート原料に起因し、また、より一般的には、無機酸化物バインダ原料物質、例えばアルミニウムゾルに起因する。触媒設計のプロセッシング作業でこれらの金属カチオンは副作用を促進し、所望の反応速度を遅くし、また、所望の反応触媒作用を複雑にする。無機酸化物のバインダのいくらかの供給源は基本的に望ましくない金属カチオンを含ず、従って、この種の供給原料を使用して製造された乾燥粒子は必ずしも交換水溶液と接触させる必要はない。仕上げ段階の前後の水洗は望ましくない固形物および/または残留交換水溶液を触媒からフラッシュするのに望ましい。
【0052】
本発明では段階(c)および(d*)で触媒を有利には0.5〜48時間、好ましくは約1〜36時間、より好ましくは約2〜24時間、水で処理する。この水の温度は約10℃〜180℃、好ましくは約15℃〜100℃、より好ましくは約20℃〜60℃である。この水処理後、触媒を約60〜350℃で乾燥する。必要に応じて、水は副反応を促進せず、スチーム脱アルミ化に対してゼオライトを安定させることができる、アンモニウム基またはLi、Ag、Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、Al、Laおよびこれらの混合物から成る群の中から選択される金属カチオンイオンの少なくとも一つを含むことができる。
【0053】
本発明の脱水プロセスで製造したオレフィンを例えば重合できるということは当業者には理解できよう。オレフィンがエチレンの場合、例えば下記がある:
(1) 重合してポリエチレンを作る、

(2) ダイマー化してブテンとし、それからイソブテンに異性化し、このイソブテンをエタノールと反応させてETBEを製造する、
(3) ダイマー化して1−ブテンとし、トリマー化して1−ヘキセンとするか、テトラマー化して1−オクテンにし、さらに上記アルファオレフィン・コモノマーをエチレンと反応させてポリエチレンを製造する、
(4) ダイマー化して1−ブテンとし、この1−ブテンを異性化して2-ブテンとし、この2-ブテンをさらにメタセシス反応でエチレンと一緒に変換してプロピレンにし、このプロピレンをポリプロピレンに重合する、
(5) エチレンオキシドおよびグリコールへの変換、または
(6) 塩化ビニルへ変換する。
【0054】
本発明はさらに、上記のポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン、ブテン、ヘキサン、オクテン、イソブテン、ETBE、塩化ビニル、エチレンオキシドおよびグリコールにも関するものである。
【実施例】
【0055】
ステンレス鋼の反応管の内径は11mmである。この管型反応装置に10mlの35〜45メッシュのペレット状触媒を充填した。触媒ベッドの前後の中空空間には1mmの粒状SiCを充填した。温度プロファイルは反応装置中にセットした熱電対を用いてモニターした。反応装置の温度を窒素雰囲気下に60℃/時の速度で550℃へ上げ、窒素下で550℃に1時間維持し、その後、窒素でパージし、開始運転条件下で窒素をフィード材料に代えた。
生成物はオンライン・ガスクロマトグラフィを使用して分析した。
【0056】
Surfin 96バイオ-エタノール
下記実施例で使用したバイオ-エタノールはSurfin 96バイオ-エタノールである。これは、発酵で製造したエタノールに種々の蒸留段階および生成段階を行って高純度のバイオエタノールを得たことを意味する。このSurfin 96バイオ-エタノールの特性を[表1]に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
実施例1
触媒A
この触媒は下記処方に従って調製した燐変成ゼオライト(P-ZSM5)である。H-形のゼオライトZSM-5(Si/Al=13)のサンプルを550℃で100% H20で6時間スチーミングした。その後、1270gのスチーミング済み固形物を241.3gのH3P04(85重合%)を含む水溶液と還流条件下で2時間接触させた(4ml/1gゼオライト)。その後、69.9gのCaC03を導入し、さらに、溶液を80℃で3日間蒸発させて乾燥した。750gの乾燥した試料を401.5gのコロイダルシリカ(Bindzil、 Si02が34重量%、Naは200ppm)および0.01重量%の押出し添加剤と一緒に押出した。押出された固形物を110℃で16時間乾燥し、600℃で10時間か焼した。その後、触媒を600℃で2時間スチーミングして平衡化した。得られたサンプルを以下、触媒Aという。
【0059】
触媒Aを使用したエタノールの脱水
この実施例では、95重量%のSurfin96エタノールと5重量%の水との混合物を下記脱水条件下に触媒Aで処理した:出口圧力=2絶対バール、粗エタノールの重量時間空間速度=7h-1、ダウンフロー、入口温度=400℃。
[図1]は流れ(stream)時間を関数としたエタノールの転化率(中実点)およびエチレン収率(中空点)の変化を示す図。
【0060】
【表2】

【0061】
実施例2
触媒Bの合成
H-形ゼオライトZSM-5(Si/Al=12)のサンプル(Na含有量=445ppm、K=25ppm以下、Fe=178ppm、Ca=17ppm、テンプレートなしに合成)を550℃で100% H20中で6時間、大気圧下にスチーミングした。次いで、600gのスチーミング済み固形物を還流条件下に2時間、H3P04水溶液と接触させた(H3P04=114g、4ml/1gゼオライト)。その後、35gのCaC03を導入し、撹拌下に蒸発させた。720gの乾燥済み試料を121gのBindzilコロイダルシリカ(Si02=34重量%、Na=200ppm)の形のSi02と、2重量%の押出助剤と一緒にに押出した。押出した固形物を10℃で16時間乾燥し、600℃で100%スチームを用いて2時間スチーミングした。こうして得たサンプルを以下、触媒Bという。
【0062】
触媒Bを使用したエタノールからエチレの合成
この実施例では、95重量%のSurfin96エタノールと5重量%の水との混合物を上記触媒Bを用いて下記脱水条件下に処理した:出口圧力=2絶対バール、粗エタノールの重量時間空間速度=7h-1、ダウンフロー、入口温度=400℃。[図2]は流れ時間を関数としたエタノール転化率(長方形)およびエチレン収率(菱形)の変化を示す。
【0063】
【表3】

【0064】
触媒Bを使用したブタノールの脱水:
この実施例では上記の95/5重量%組成を有するイソブタノール/水混合液を、上記触媒で280および300℃の温度で1.5絶対バールの圧力下に7h-1のイソブタノール空間速度で処理した。
この運転条件下ではイソブタノールの転化がほぼ完全で、ブテン選択性は90重量%以上、イソブテン選択性は約66〜67%である。すなわち、ほぼ90%以上のブテンが製造され、その中の有意な量がn-ブテンへの骨格異性化された。重質物は10%以下である。
【0065】
【表4】

【0066】
実施例3(比較例)
この実施例では触媒中にバインが存在するとゼオライトへの燐の導入を干渉することを示す。ゼオライト基準で粉末(触媒A、B)の場合と同じ配合比率の試薬を湿式含浸によって押出しゼオライトを燐酸塩化してる得られる固形物は脱水に選択性が無い触媒になる。
【0067】
触媒Cの合成(比較例):
30g のNH4-形のZSM-5(Si/Al=12)サンプル(Naの含有量=445ppm、K=25ppm以下、Fe=78ppm、Ca=17ppm、テンプレートなしで合成)を、沈殿シリカの形のSi02の20重量%(680ppmのナトリウムを含む)と2重量%の押出助剤と一緒にに押し出した。押出し成形されたサンプルを6OO℃で10時間か焼し、550℃で100%のH20手6時間スチーミングした。25gのスチーミング済み固形物を還流条件下に3.8gのH3P04(4,2ml、H20/1gゼオライト)を含む水溶液を2時間、接触させた。その後、1gのCaC03を導入した。得られた固形物を溶液から分離し、110℃で16時間乾燥し、600℃で2時間スチーミングして平衡化させた。このサンプルを以下、サンプルCという。
【0068】
触媒BおよびCを使用したエタノールのエチレンの合成(比較用)
この実施例では、9mlの0.5mmSiCで希釈した35〜45メッシュペレットの1mlの触媒を管型反応装置に充填した。25重量%のSurfin96エタノールと75重量%の水との混合物を同じ脱水条件で触媒Bおよび触媒Cで処理した:出口圧力=2絶対バール、粗エタノールの重量時間空間速度=7h-1、ダウンフロー、入口温度=380℃。
【0069】
【表5】

【0070】
[表5]は触媒Cの方が触媒Bより重質生成物(C3=、C4+)を多く製造し、エチレン選択性が低いことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの炭素原子を有するアルコールを対応するオレフィンに変換する脱水プロセスでの燐変成ゼオライトを含む触媒の使用であって、
上記触媒が下記の工程を下記の順番で有する方法によって製造されたものであることを特徴と使用:
(a) 構造中に少なくとも1つの10員環を含むゼオライトに燐の基本的な部分を導入し、
(b) 段階(a)でリン変成されたゼオライトを一種以上のバインダ、アルカリ土類金属塩、希土類金属塩、クレーおよび成形助剤の中から選択される少なくとも一つの成分と混合し、
(b*) (b)で得られた混合物から触媒本体を作り、
(c) 必要に応じて乾燥段階を行うか、必要に応じて洗浄段階後に乾燥段階を行い、
(d) か焼段階を行い、
(d*) 必要に応じて洗浄し、乾燥段階を行い、
(e) 必要に応じて、段階(b)または(b*)中または段階(b)または(b*)の終わりに燐の少量部分を導入する。
【請求項2】
段階(a)でゼオライトに導入する燐の量が0.5〜30重量%である請求項1に記載の使用。
【請求項3】
段階(a)でゼオライトに導入する燐の量が0.5〜9重量%である請求項2に記載の使用。
【請求項4】
ゼオライト(またはモレキュラーシーブ)がナトリウムを1000wppm以下しか含まず、カリウムは1000wppm以下、鉄は1000wppm以下しか含まない請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
ゼオライトがレドックスおよび貴元素、例えばZn、Cr、Ti、Rh、Mn、Ni、V、Mo、Co、Cu、Cd、Pt、Pd、Ir、Ru、Reを100 ppm以下しか含まない請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
アルカリ土類金属および希土類金属塩がCa、Mg、Sr、Ce、Laまたはこれらの組合せである請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
ゼオライトの構造がMFI、MTT、FER、MEL、TON、MWW、EUO、MFS、ZSM-48の中から選択される請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
P−ゼオライトの比率が触媒の15〜90重量%である請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
アルカリ土類金属塩および希土類金属塩の濃度が金属(Me)基準で触媒の0.1〜15重量%である請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
触媒中の(Al+Me)/Pのモル比(ここでMeはアルカリ金属または希土類金属である)が囲0.5〜3である請求項9に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−517319(P2013−517319A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549378(P2012−549378)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050964
【国際公開番号】WO2011/089263
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(504469606)トタル リサーチ アンド テクノロジー フエリユイ (180)
【Fターム(参考)】