説明

アルコールを含む真珠光沢調合物のための低温製造方法

【課題】室温温度条件よりも高い温度に加熱することなく調製することができ、そして本質的に界面活性剤を含まない、真珠光沢の化粧料および薬学的組成物並びに真珠光沢性濃厚物組成物の提供。
【解決手段】ステアリルアルコールを含む真珠光沢アルコール性ヒドロゲル組成物のための組成および方法。真珠光沢効果は、ステアリルアルコールトリアルキルシロキサンとしてのシロキサンの形のステアリルアルコールをアルコール性ヒドロゲルに加えることによって、低温下においてアルコール性ヒドロゲルにおいて達成される。従前は無水の条件下においてでしか取り扱いできなかったシロキサンの形のステアリルアルコールをヒドロアルコール性ゲルに配合することによって、真珠光沢の外観を有する安定した真珠光沢アルコール性ヒドロゲルが得られた。調製は、室温以上に加熱することなく、真珠光沢性ワックスを使用することなく、達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、アルコールを含む真珠光沢化粧料組成物および薬学的組成物に関し、より具体的には加熱せずにこのような組成物を製造する方法に関する。
【0002】
中世において化粧料中に使用された最初の真珠光沢材料は、天然の魚鱗の真珠光沢性ペーストであった。今世紀の最初には、ビスマスオキシドクロライドも、真珠光沢を作ることができることが発見された。現在の化粧料では、真珠光沢性ワックス、特にグリコールモノ脂肪酸エステルおよびジ脂肪酸エステルのタイプの真珠光沢性ワックスに重要性が見出され、そして現在、アルコール含有量が一般的に低いヘアシャンプーおよびシャワージェルにおいて真珠光沢の外観を得るために広く使用されている。商業的に入手可能な真珠光沢性ワックスは、50℃を越える融点を有し、それゆえ、低温の水系調合物に配合するのは困難である。このような制限があるために、高温プロセスが通常使用される。この方法では、先ずワックスを溶融し、次いで調合物中でゆっくりと晶出させる。真珠光沢効果、および最終製品の真珠光沢の輝きの度合いは、冷却段階中に形成したワックス結晶の微粒度に依存する。
【0003】
米国特許第4,007, 261号には、アルキル鎖中に16〜22個の炭素原子を有するアルキルジメチルアミンオキシドの水性エマルションまたは分散液から本質的になる真珠光沢組成物が開示されている。アルキル基は好ましくは直鎖であり、分岐が存在する場合には、分岐は最小限にするのがよい。調合物は全て、徹底的な混合を供するための攪拌の下に加熱し、その後、穏やかに攪拌しながら徐々に冷却する。更に、米国特許第4,007, 261号は、真珠光沢効果を供するためにヘアコンディショニング剤に通常加えられるステアリルアルコールなどの物質が不要であることを開示している。59℃の融点を有するステアリルアルコールは、室温で白色の固形物である。ステアリルアルコールはアルコール中には可溶であるが、水中には不溶である。水系の化粧料、例えばアルコール性ヒドロゲル中へのステアリルアルコールの配合は、このようなアルコール性ヒドロゲルに対するステアリルアルコールの溶解性が限られているために、低い濃度レベルに制限される。
【0004】
米国特許第4,275,055号では、真珠層もしくは合成の真珠光沢剤は存在しないが、一緒になって真珠光沢効果を発揮する二種のコンディショニング剤の存在下に、安定した真珠光沢効果が達成されたヘアコンディショナーが開示されている。これらのコンディショニング剤は、ステアラミドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロライドおよびステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドであり、これらを特定の比率で存在させる。この組成の調合物は、成分を60〜80℃の温度に加熱することを必要とし、その後、真珠光沢が現れるまでゆっくりと冷却する。
【0005】
米国特許第4,777,038号は、化粧料および界面活性剤に真珠光沢の外観を与えるための自由流動性水性濃厚物を開示している。この自由流動性水性濃厚物は、脂肪成分、例えばエチレングリコールステアレートおよびトリエチレングリコールジステアレートなどを、それらの融点を超える温度まで加熱し、そしてこれらの成分を75〜100℃で混合し、次いで混合しながら徐々に冷却することによって調製される。こうして調製された濃厚物は、これを界面活性剤調合物中に穏やかに攪拌しながら分散させることによって、水性カチオン性もしくはアニオン性界面活性剤調合物中で真珠光沢を発生させる。
【0006】
米国特許第6,610,315号は、皮膚の状態を維持もしくは改善するための安定したヒドロアルコール性組成物からなる局所適用組成物を開示している。この組成物は、低級アルコール(C1〜C4アルコール)および水を約35:65〜100:0の比率で、および少なくとも二種の乳化剤0.5〜8.0%を含む増粘剤を含んでなる。この組成物は、場合によっては、他の成分、例えば抗菌剤およびエモリエントも含む。
【0007】
アルコール含有率が高いために、典型的なヒドロアルコール性組成物またはヒドロゲルは、これらを加熱して真珠光沢性ワックスを配合することができない。なぜならば、慣用の真珠光沢性ワックスは、アルコール性ヒドロゲルの気化温度を超える温度まで加熱しなければならないか、またはアルコール性ヒドロゲルは、真珠光沢性ワックスを組み合わせるかもしくは分散させるために、それの気化温度以上まで加熱する必要があったであろうからである。いずれの場合においても、アルコール性ヒドロゲルの加熱は、ゲルからのアルコールの放出を招き、そして安全面および製造面での問題を起こすであろう。
【0008】
アルコール性ヒドロゲルに真珠光沢の外観を与える問題を解決するための一つの試みが米国特許第6,610,315号に記載されている。米国特許第6,610,315号は、皮膚の状態を維持もしくは改善するための安定なヒドロアルコール性組成物からなる局所適用組成物を開示している。この組成物は、低級アルコール(C〜Cアルコール)および水を約35:65〜100:0の比率で、および少なくとも二種の乳化剤を0.5〜8.0%含む増粘剤を含んでなる。この組成物は、場合によっては、他の成分、例えば抗菌剤およびエモリエントを含む。密閉された容器中でエタノールを加熱して真珠光沢性ワックスを分散させて、真珠光沢の外観を得ている。
【0009】
乳化剤は、典型的には、界面活性剤と称される広い範囲の部類の材料からなる。化粧料および薬学的調合物中に界面活性剤(イオン性、非イオン性、両性、双性イオン性界面活性剤など)を使用することは、アルコール性ヒドロゲル中に真珠光沢性ワックスを懸濁させる効果的な方法であるが、化粧料または薬学的組成物中におけるこれらの界面活性剤の存在は、ヒトの皮膚に刺激を与えることもあるし、またはこれらの組成物は、適当なヒドロアルコール性ポリマー性増粘剤のゲル化能力を損ねる場合もある。
【0010】
より最近の特許では、米国特許第6,727,217号が、先ず水性界面活性剤溶液を用意し、次いでこれを、真珠光沢性ワックスおよびポリオールエステルからなる組成物と接触させることによって、10℃〜45℃の温度で調製される、真珠光沢界面活性剤組成物(例えばシャンプー)を開示している。
【0011】
室温条件よりも高い温度に加熱することなく調製することができ、そして本質的に界面活性剤を含まない、真珠光沢の化粧料および薬学的組成物並びに真珠光沢濃厚物組成物、特にアルコール含有率が高いアルコール性ヒドロゲルからなるこれらの組成物が要望されている。
【本発明の概要】
【0012】
驚くべきことに、本発明者は、アルコールを加熱する必要なくまたは界面活性剤を加える必要なく、周囲条件において、ステアリルアルコールを比較的高い濃度でアルコール性ヒドロゲル中に配合することができ、そしてこのアルコール性ヒドロゲルに真珠光沢性の外観を得ることができることを見出した。更に、この真珠光沢の外観は、真珠光沢性ワックスを加熱せずに達成される。本発明者は、シリコーンの形のステアリルアルコールが、周囲条件(10〜30℃)でアルコール性ヒドロゲルと組み合わせることができ、そしてこのように組み合わせた後に、アルコール性ヒドロゲル中には本質的に不溶性のこのステアリルアルコールが純粋な形でヒドロゲル中に放出されて、真珠光沢の外観を与えることを見出した。加えて、アルコール性ヒドロゲル中のステアリルアルコールの存在は、ヒトの肌に鎮静感および滑らか感を与える。また更に、本発明のアルコール性ヒドロゲルは、単独でまたは活性抗バクテリア剤との組み合わせで、抗バクテリア調合物、例えばハンドサニタイザーおよびハンドローションに使用することができる。本発明者は更に、観察された光輝性の真珠光沢の外観は、金属性の真珠光沢からくすんだ感じまでの様々な程度の不透明さを供するように制御することができることを見出した。
【0013】
一つの態様では、本発明は、ステアリルアルコールの真珠光沢アルコール性ヒドロゲルであって、前記アルコール性ヒドロゲルが、0.001〜80重量%の割合で低分子量アルコールを含有し、そして本質的に真珠光沢性ワックスを含まない、前記ヒドロゲルである。ここで真珠光沢性ワックスを本質的に含まないとは、本発明の組成物は、慣用の脂肪酸真珠光沢性ワックスを0.05重量%未満の量でしか含まないということを意味する。他の態様では、本発明は、周囲条件下においてステアリルアルコールの真珠光沢アルコール性ヒドロゲルを製造する方法である。
【本発明の詳細な説明】
【0014】
本発明の真珠光沢組成物は、アルコール性ヒドロゲルからなり、そしてこのヒドロゲルは、分子あたりの炭素原子数が2〜4の低分子量モノアルコール、増粘剤およびシロキサン化合物を含む。本発明の真珠光沢組成物は、慣用の脂肪酸真珠光沢性ワックスを本質的に含まない。このような真珠光沢性ワックスの例は、脂肪酸モノアルカノールアミド、脂肪酸ジアルカノールアミド、エチレングリコールのモノエステルもしくはジエステルまたはこれらの混合物、プロピレングリコールまたはこれのオリゴマー、アルキレングリコールと脂肪酸とのモノエステルもしくはジエステル、脂肪酸およびこれらの金属塩、グリセロールとカルボン酸とのモノエステルもしくはポリエステル、および種々のタイプのケトスルホン類である。真珠光沢性ワックスを本質的に含まないという表現は、本発明の完成した組成物が、真珠光沢性ワックスを0.05重量%未満の量でしか含まないことを意味する。
【0015】
本発明の増粘剤はゲル化剤として機能し、これは、アルコールと組み合わせた際にヒドロアルコール性ゲルを与える。増粘剤は、様々な粘度の製品を与えるために種類と量の両方の観点から選択し得る。本発明の好ましい態様では、増粘剤は、半固形かもしくは注ぐことができる形のいずれかの、状態よく形成された安定したゲルを生じさせるように選択される。本発明の目的には様々な増粘剤を使用することができる。粒状物をヒドロアルコール性ゲル中に懸濁できるものならば任意の適当な増粘剤を使用することができる。好ましい増粘剤としては、カルボマー類、架橋したスルホン酸コポリマーおよびこれらの混合物などが挙げられる。カルボマー類としては、スクロースのポリアリルエーテルなどの不飽和多官能性剤で架橋されたアクリル酸の付加ポリマーなどが挙げられる。このようなカルボマーポリマーは、米国特許第2,798,053号および同第3,133,865号に記載されており、CTFA(米国化粧品工業会)採択の“Carbomer(カルボマー)”の名称を有し、そしてNoveon社からCarbopol(R) (カルボポール)934、940および941の商標で商業的に入手することができる。カルボマーは、ゲルを形成するためには、有効量のアルカリ性材料で中和しなければならない。カルボマー用の適当な中和剤としては、有機アミン類、例えばトリエタノールアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミンおよびこれらの類似物などが挙げられる。カルボマーを中和してゲルを形成させるためには、無機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、Ca(OH)2、およびこれらの類似物なども使用することができる。
【0016】
架橋スルホン酸コポリマーとしては、米国特許第6,437,068号に記載のような、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のアンモニウム塩(AMPS)と、N−ビニルカルボキサミドとのコポリマー、または環状N−ビニルカルボキサミドと線状N−ビニルカルボキサミドとの混合物とのコポリマーが挙げられる。前記米国特許の明細書の内容は本明細書に掲載されたものとする。好ましいスルホン酸コポリマー増粘剤の一つは、AMPSとN−ビニルピロリドンとのコポリマーである。
【0017】
本発明の真珠光沢効果は、アルコール性ヒドロゲル中での、シロキサン化合物であるトリメチルシリルアルキルシルセスキオキサンの相互作用によって得られるものと思われる。最初は無水の形で液体であるトリメチルシリルアルキルシルセスキオキサン類、例えばステアロキシトリメチルシランは、アルコール性ヒドロゲル中に分散された後に、アルコール性ヒドロゲル中に純粋なステアリルアルコールの微分散結晶を形成させる程度の加水分解を起こすものと考えられる。このプロセスは、真珠光沢の外観または所望の程度の不透明さが達成されるまで続く。真珠光沢の程度または不透明さの密度は、シロキサンおよび他の成分の量を調節することによって制御することができる。混合物のpHは、加水分解反応の速度に影響を与える。好ましくは、アルコール性ヒドロゲルとトリメチルシリルアルキルシルセスキオキサンとの混合物のpHは3〜6である。6以下のpHにおいてステアロキシトリメチルシランが短時間で加水分解することが確認された。
【0018】
好ましくは、本発明の真珠光沢アルコール性ヒドロゲル組成物は、該アルコール性ヒドロゲル組成物全体の重量を基準にして約2.5〜約80重量%の量でアルコールを含む。より好ましくは、本発明の真珠光沢アルコール性ヒドロゲル組成物は、該アルコール性ヒドロゲル組成物の全重量を基準にして約20〜約75重量%の量でアルコールを含み、そして最も好ましくは、本発明の真珠光沢アルコール性ヒドロゲル組成物は、該アルコール性ヒドロゲル組成物の全重量を基準にして約40〜約70重量%の量でアルコールを含む。
【0019】
好ましくは、ステアロキシトリメチルシランは、該アルコール性ヒドロゲル組成物の全重量を基準にしてアルコール性ヒドロゲルの約0.01〜約10重量%を占める。より好ましくは、ステアロキシトリメチルシランは、全組成物を基準にしてアルコール性ヒドロゲルの約0.25〜約8重量を占め、そして最も好ましくは、ステアロキシトリメチルシランは、該アルコール性ヒドロゲル組成物の全重量を基準にして約0.5〜約2重量%を占める。一般的に、該真珠光沢アルコール性ヒドロゲル組成物が約6重量%を越える量でステアロキシトリメチルシランを含む場合には、その真珠光沢効果はきめが粗くなり、これは美観的には比較的好ましくない。加えて、アルコール性ヒドロゲル組成物中でのステアロキシトリメチルシランの濃度がより高いと、ヒドロゲルの外観の不透明さがより大きくなる。
【0020】
好ましくは、増粘剤は、該アルコール性ヒドロゲル組成物の全重量を基準にして約0.25〜約5重量%を占める。より好ましくは、増粘剤は、該アルコール性ヒドロゲル組成物全体の重量を基準にして約0.5〜約5重量%を占め、そして最も好ましくは、増粘剤は、該アルコール性ヒドロゲル組成物全体の重量を基準にして約0.5〜約2重量%を占める。アルコール性ヒドロゲルに使用される増粘剤の量は、使用する増粘剤の種類およびヒドロゲル中の他の成分に依存する。一般的に、アルコールの割合が多ければ多いほど、より多量の増粘剤がゲルを形成するために必要になる。
任意成分
アルコール、水および増粘剤系に加えて、本発明の組成物は、場合によっては、エモリエント、抗菌剤、防腐剤、染料、香料および治療剤などの成分を含むことができる。これらの任意成分についてそれぞれ以下に説明する。
【0021】
エモリエントは、通常、ハンドローションや手用の調合物に加えられる。なぜならば、これは、角質層の含水量を高める働きをするからである。エモリエントは、一般的に、それらの働きに基づいて大きくわけると二つの部類に分けられる。第一の部類のエモリエントは、密閉性のバリアを形成することによって、角質層から水分が蒸発することを防ぐ働きをする。二つ目の部類のエモリエントは角質層中に浸透して、水を物理的に結合して蒸発を防ぐものである。最初の部類のエモリエントは、室温でワックスである化合物と、液状油である化合物とに更に分けられる。第二の部類のエモリエントには、水溶性であるものがあり、しばしば湿潤剤(humectants)と称される。
【0022】
適当な防腐剤は、例えば、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン類、ペンタンジオールまたはソルビン酸である。
【0023】
使用し得る染料は、化粧料目的に適しかつ認可されており、そして他の成分と相溶性の物質である。
【0024】
本発明の組成物中に存在する低級アルコールの他に、本発明の組成物の抗菌作用を増強するために、他の抗菌剤も加えることができる。これは、術前用のハンドスクラブ剤や術前の患者の皮膚用スクラブ剤代替品などの重大な用途において特に望ましくあり得る。典型的な抗菌剤としては、ヨウ素およびそれの錯化した形、例えばポビドン/ヨウ素、クロルヘキシジン塩、例えばクロルヘキシジンジグルコネート(CHG)、パラクロロメタキシレノール(PCMX)、ヘキサクロロフェン、フェノール類、長鎖疎水成分(C12〜C22)および第四級基を含む界面活性剤、トリクロサン、ラウリシジン、過酸化水素、銀、銀塩、例えば塩化銀、酸化銀および銀スルファジアジン、およびこれらの類似物などが挙げられる。
【0025】
助剤および添加剤の総量は、該組成物を基準にして1〜10重量%、好ましくは2〜5重量%であることができる。
【実施例】
【0026】
本発明を、以下の非限定的な例によって例示する。
例I −pH値に基づく加水分解度のバリエーション
ステアロキシトリメチルシランの加水分解度を、4.4〜9.1の範囲の様々なpH値でエタノール/水混合物中で測定した。無水ステアロキシトリメチルシラン(Clariant Corp.からSILCARE 1M71として入手可能)5重量%、エタノール90重量%および脱イオン水(D.I.)5重量%を含む混合物を様々なpH値に付し、そしてステアリルアルコールを生成する加水分解の程度をGC分析によって測定した。25℃でのステアロキシトリメチルシランからステアリルアルコールへの加水分解度の結果を、表1に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
本発明の例示となる典型的な真珠光沢インスタントハンドサニタイザー組成物を以下の例に示す。
【0029】
【表2】

【0030】
例IIのインスタントハンドサニタイザーは次のように調製した(簡略化のために上に記載の商標を使用する)。アリストフレックス AVCおよびシルケアシリコーン1M71以外の全ての成分を一緒にし、そしてこれを均一になるまで混合した。次いで、アリストフレックス AVCを加え、そして混合物が均一になるまで混合を続けた。その後、シルケアシリコーン1M71を加え、そして混合物が均一になるまで混合を続けた。この混合物のpHは、必要ならばクエン酸を用いて6未満の値に調節した。得られた混合物を加水分解して、不透明な(非透明性)真珠光沢の粘性ゲルを得た。これは、皮膚に心地よい感じを与えた。
【0031】
【表3】

【0032】
例IIIのインスタントハンドサニタイザーは、例IIのハンドサニタイザーと同じ方法で調製した。得られたアルコール性ヒドロゲルは透明であり、弱い真珠光沢の外観を有していた。
【0033】
【表4】

【0034】
例IVのアルコール性ヒドロゲルは、カルボマー増粘剤を用いて次のように調製した(簡略化のために上記の商標を使用する)。水およびエタノール(SDA40−2)を一緒にしそして混合した。カルボマー(カルボポール)を、この混合物中にゆっくりと振りかけ、そして均一な混合物が得られるまで混合を続けた。次いで、この混合物を、アミノメチルプロパノールを添加して6未満のpHに中和した。 その後、シルケアシリコーン1M71を加え、そして再び混合物が均一になるまで混合を続けた。得られたアルコール性ヒドロゲルは不透明な真珠光沢のあるゲルであり、4.85のpHを有し、そして軽いさらさらとした外観を有していた。ヒトの肌に適用したところ、速乾性の感じを与えた。
【0035】
【表5】

【0036】
例Vのアルコール性ヒドロゲルは、例VIと同じ方法で調製した。得られたアルコール性ヒドロゲルは5.1のpH値を有する半透明の真珠光沢のゲルであり、そしてヒトの肌に軽いさらさらとした速乾性の感じを与えた。
【0037】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコール性ヒドロゲル、ステアロキシトリメチルシラン、増粘剤および水を含むが、真珠光沢性ワックスは本質的に含まない、真珠光沢のアルコール性ヒドロゲル組成物。
【請求項2】
エモリエント、抗菌剤、防腐剤、染料、香料、治療剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一種の追加成分を更に含む、請求項1の真珠光沢のアルコール性ヒドロゲル組成物。
【請求項3】
アルコール性ヒドロゲルが、分子あたりの炭素原子数が1〜4の一価アルコールを2.5〜80重量%の量で含む、請求項1の真珠光沢のアルコール性ヒドロゲル組成物。
【請求項4】
アルコール性ヒドロゲルが、分子あたりの炭素原子数が1〜4の一価アルコールを20〜75重量%の量で含む、請求項1の真珠光沢のアルコール性ヒドロゲル組成物。
【請求項5】
アルコール性ヒドロゲルが、分子あたりの炭素原子数が1〜4の一価アルコールを40〜70重量%の量で含む、請求項1の真珠光沢のアルコール性ヒドロゲル組成物。
【請求項6】
アルコール性ヒドロゲルが、ステアロキシトリメチルシランを0.01〜10重量%の量で含む、請求項1の真珠光沢のアルコール性ヒドロゲル組成物。
【請求項7】
アルコール性ヒドロゲルが、ステアロキシトリメチルシランを0.25〜8重量%の量で含む、請求項1の真珠光沢のアルコール性ヒドロゲル。
【請求項8】
アルコール性ヒドロゲルが、ステアロキシトリメチルシランを0.5〜6重量%の量で含む、請求項1の真珠光沢のアルコール性ヒドロゲル組成物。
【請求項9】
アルコール性ヒドロゲルが、増粘剤を0.25〜5重量%の量で含む、請求項1の真珠光沢のアルコール性ヒドロゲル組成物。
【請求項10】
増粘剤が、カルボマー、架橋したスルホン酸コポリマー、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1の真珠光沢のアルコール性ヒドロゲル組成物。
【請求項11】
増粘剤が、カルボマーと有効量の中和剤を含む、請求項1の真珠光沢のアルコール性ヒドロゲル組成物。
【請求項12】
増粘剤が、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレートおよびN−ビニルカルボキサミドからなる架橋されたコポリマーを含む、請求項1の真珠光沢のアルコール性ヒドロゲル組成物。
【請求項13】
増粘剤が、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレートおよびN−ビニルピロリドンからなる架橋されたコポリマーを含む、請求項1の真珠光沢のアルコール性ヒドロゲル組成物。
【請求項14】
アルコール性ヒドロゲルが、増粘剤を0.5〜2重量%の量で含む、請求項1の真珠光沢のアルコール性ヒドロゲル組成物。
【請求項15】
真珠光沢のアルコール性ヒドロゲル組成物の低温製造法であって、
a) モノアルコールと有効量の増粘剤とを組み合わせてアルコール性ヒドロゲルを調製し、
b) 10〜30℃の混合温度において、無水ステアロキシトリメチルシランと前記アルコール性ヒドロゲルとを組み合わせ、
c) pHを3〜6に調節し、そして
d) 上記の混合温度においてステアロキシトリメチルシランを加水分解して、真珠光沢のアルコール性ヒドロゲル組成物を形成させる、
ことを含む、上記方法。
【請求項16】
エモリエント、抗菌剤、防腐剤、染料、香料、治療剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一種の追加成分を、真珠光沢のアルコール性ヒドロゲル組成物に加えることを更に含む、請求項15の方法。
【請求項17】
増粘剤が、カルボマー、架橋されたスルホン酸コポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項15の方法。
【請求項18】
増粘剤が、カルボマーと有効量の中和剤を含む、請求項15の方法。
【請求項19】
増粘剤が、架橋されたスルホン酸コポリマーを含む、請求項15の方法。
【請求項20】
増粘剤が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)とN−ビニルカルボキサミドとのコポリマー、または2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)と、環状N−ビニルカルボキサミドと線状N−ビニルカルボキサミドとの混合物とのコポリマーを含む、請求項15の方法。
【請求項21】
請求項15の方法に従い製造されたハンドサニタイザー。



【公開番号】特開2007−84541(P2007−84541A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−250574(P2006−250574)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(398025878)クラリアント・インターナシヨナル・リミテッド (74)
【Fターム(参考)】