説明

アルコール代謝調節組成物

【課題】急激なアルコール分解問題、すなわち、非白人タイプの遺伝子構造をもつ殆どの人に起こるアルコール代謝について、アルコールの摂取と関連した生理的ストレスを軽減し、急激なアルコール分解の素質をもつ人に解決法であり、人体内のアルコール分解過程の補助および/または調節に関して有効な組成物、特に、食品組成物すなわち栄養補助食品を提供する。
【解決手段】全ての物質が生理学的に適切な用量である以下の物質:デキストロース、ビタミンC,L-グルタミン、システイン、リボフラビン、コハク酸、フマル酸及びコエンザイムQ10を含む食品組成物、又は、栄養補助食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体内のアルコール分解過程の補助および/または調節に関して即効性のある組成物、特に、食品組成物または栄養補助食品を対象とする。
【背景技術】
【0002】
本発明は、急激なアルコール分解後のアセトアルデヒドの蓄積、すなわち、非白人タイプの遺伝子構造をもつ殆どの人に起こるようなアルコール代謝の問題を特に扱う。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、アルコールの消費と関連した中毒作用又は生理学的ストレスの削減を、特に、ヒトのアセトアルデヒド脱水素酵素の遺伝的多型に起因して急激なアルコール分解とその後に続くアセトアルデヒドの蓄積とを起こしやすい素質をもつ人に解決法を提供することである。
【0004】
本発明によれば、上記目的は、すべての物質が特に開示されているように生理学的に適切な用量である以下の物質:デキストロース、ビタミンC, L-グルタミン、システイン、リボフラビン、コハク酸、フマル酸及びコエンザイムQ10を含む食品組成物すなわち栄養補助食品によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
この特有の食品組成物すなわち栄養補助食品を用いると、特有のアルコール脱水素酵素(ADH3)の働きを低下させ、すなわち、アセトアルデヒド生成を抑制し、アセトアルデヒドの生成及びエタノール代謝過程を遅らせることが可能になる。さらに、アルデヒド脱水素酵素アセトアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)の酵素活性が高められるので、アセトアルデヒドの代謝が補助される。
【0006】
これらの特有の効果は、フラッシング(顔面紅潮)の症候を軽減するため役立ち、頭痛の可能性を減少させ、さらに翌日の二日酔いを防止、または緩和するため役立つ。
【0007】
特有の食品組成物すなわち栄養補助食品は、血流に入る過剰なアセトアルデヒドのピークを低減するため適切であると考えられ、重要臓器の損傷及び生理機能障害の危険性を低下させ、さらにはそれらの結果として、いくつかの臓器形態の癌発生の危険性を同様に低下させることが意図されている。
【0008】
好ましくは、この食品組成物すなわち補助食品は、アルコール飲酒の約5分前に、そして、アルコール摂取量が高い場合にはアルコールを飲酒している間にも摂取されるべきである。飲酒者によって摂取される食品組成物の質量は、摂取された飲料に含まれるアルコールの質量の約70〜120%の範囲に入るべきである。標準用量は、約10.0gのデキストロース、1.0gのビタミンC、1.5gのL-グルタミン、500mgのシステイン、40mgのリボフラビン、100mgのコハク酸、100mgのフマル酸及び60mgのコエンザイムQ10を含む。
【0009】
この特有の食品組成物すなわち栄養補助食品は、非常に多量のアセトアルデヒドが一度にミトコンドリアマトリックスに入ることを阻止し、アセトアルデヒド脱水素酵素の酵素活性の自己阻害を抑制することを目的としている。その結果、アセトアルデヒドの分解は促進される。
【0010】
したがって、本発明による食品又は栄養補助食品が飲酒後にアセトアルデヒドのレベルの早期減少を共働作用的に促進し、同時に遊離基の発生の抑制に関して保護効果を提供するので、この食品組成物の使用によってアルコール摂取に関連した生理学的危険性は有意に低下する。
【0011】
上記食品組成物すなわち栄養補助食品は、好ましくは、食品組成物がアルコール飲料を摂取する前にレストラン又は酒場で摂取されることを可能にさせる、好ましくは、一種の食前酒の成分のような形式である。好ましくは、体重が約80kgである人の用量は、約75%のデキストロース画分を含み、上記用量は、約10〜15、好ましくは、13.3gの全重量を有する。このような用量は約18mlのアルコールの分解をかなり和らげる。
【0012】
食品組成物すなわち栄養補助食品は、好ましくは、その食品組成物すなわち栄養補助食品の用量が、約75.2質量%のデキストロース画分、すなわち、13.3gの用量のうちの7.2〜12.8gの範囲、好ましくは、10.0gの量のデキストロースを含むように構成される。
【0013】
食品組成物すなわち栄養補助食品は、好ましくは、その食品組成物すなわち栄養補助食品の用量が、約7.5質量%のビタミンC画分、すなわち、13.3gの用量のうちの0.78〜1.18gの範囲、好ましくは、1.0gの量のビタミンCを含むように構成される。
【0014】
食品組成物すなわち栄養補助食品は、好ましくは、その食品組成物すなわち栄養補助食品の用量が、約11.27質量%のL-グルタミン画分、すなわち、13.3gの用量のうちの1.23〜1.7gの範囲、好ましくは、1.5gの量のL-グルタミンを含むように構成される。
【0015】
食品組成物すなわち栄養補助食品は、好ましくは、その食品組成物すなわち栄養補助食品の用量が、約3.76質量%のシステイン画分、すなわち、13.3gの用量のうちの460〜540mgの範囲、好ましくは、500mgの量のシステインを含むように構成される。
【0016】
食品組成物すなわち栄養補助食品は、好ましくは、その食品組成物すなわち栄養補助食品の用量が、約0.30質量%のリボフラビン画分、すなわち、13.3gの用量のうちの32〜48mgの範囲、好ましくは、40mgの量のリボフラビンを含むように構成される。
【0017】
食品組成物すなわち栄養補助食品は、好ましくは、その食品組成物すなわち栄養補助食品の用量が、約0.752質量%のコハク酸(Bernsteinsaure)画分、すなわち、133gの用量のうちの90〜110mgの範囲、好ましくは、100mgの量のコハク酸を含むように構成される。
【0018】
食品組成物すなわち栄養補助食品は、好ましくは、その食品組成物すなわち栄養補助食品の用量が、約0.752質量%のフマル酸(Fumarsaure)画分、すなわち、13.3gの用量のうちの90〜110mgの範囲、好ましくは、100mgの量のフマル酸を含むように構成される。
【0019】
食品組成物すなわち栄養補助食品は、好ましくは、その食品組成物すなわち栄養補助食品の用量が、約0.451質量%のコエンザイム画分、すなわち、13.3gの用量のうちの50〜70mgの範囲、好ましくは、60mgの量のコエンザイムを含むように構成される。
【0020】
食品組成物すなわち栄養補助食品は、好ましくは、その食品組成物すなわち栄養補助食品の用量が錠剤の形態である。好ましくは、各錠剤は、上記錠剤が容易に飲み込まれるように成形され、寸法が決められる。
【0021】
好ましくは、上記錠剤は、1回の用量が複数個のこのような錠剤を含むような形態である。
【0022】
錠剤はいくらかの個数のこれらの錠剤を含む投薬容器内に含まれる。食品組成物を小さい錠剤又は丸剤の形態として、食品組成物を小さい管に入れた状態にすることが可能であり、消費者によって摂取される食品組成物の容量は消費されることが予想されるアルコールの容量に関して決定される。
【0023】
食品組成物すなわち栄養補助食品は角砂糖に類似した形態でもよく、或いは、凍結粉末の形態でもよい。
【0024】
食品組成物すなわち栄養補助食品は別個のサブユニットに分離してもよい。
1個のユニット、たとえば、ビタミンC画分、システイン、リボフラビンE、コハク酸、フマル酸及びコエンザイムQ10を含むカプセルを提供することが可能であり、一方、大半のデキストロース画分は別個のユニット、カプセル、錠剤などに入れた状態にされる。
【0025】
適当な量の果汁抽出エキス、ウコン、タンニン、トチバニンジン(Panax notoginseng)の粉末、ニチニチソウなどのさらなる物質を添加することが可能である。ウーロン茶、アロエ・ベラ、及び、螺旋淡水藻が添加される。
【0026】
食品組成物すなわち栄養補助食品は、さらに、液体、特に、シロップタイプの液体の形態でもよい。小瓶のソフトドリンクの外観で食品組成物を提供することが可能である。
【0027】
特有の食品組成物すなわち栄養補助食品は、
1.最初にアセトアルデヒドの蓄積を妨げるため、エタノールのアセトアルデヒドへの酸化の過程を遅らせることによりエタノール代謝を低下させる効果
2.アセトアルデヒド脱水素酵素の活性の刺激及び酵素活性の自己阻害の回避の効果
3.アセトアルデヒドから酢酸への反応及びクエン酸回路におけるさらなる分解の促進の効果、及び、
4. アルコール飲酒者をアセトアルデヒドによる中毒作用から保護する抗酸化物質のレベルを改善する効果
を与えることが認められる。
【0028】
第1の効果は、大量のデキストロース糖(グルコース)の摂取によって達成されると思われる。グルコースは、アセトアルデヒドへ変換されるべきエタノールによって使用される肝細胞の細胞質ゾルのNADプールを使用して肝細胞の細胞質ゾルにおいて急激に酸化される。その結果、細胞質ゾルのNADの量は著しく制限され、NADH+Hから再生されるNAD量より少ないアセトアルデヒドしか蓄積しなくなる。
【0029】
第2の効果は、同様に大量のグルコースの摂取によって達成されると思われる。グルコースはアルコール脱水素酵素(ADH)と同じようにアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の酵素活性を増大させる。大量のグルコース負荷が肝細胞の細胞質ゾルにおいて生ずるならば、アセトアルデヒドがアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の不活性化、又はミトコンドリア破壊の原因となるレベルに達する可能性はない。
【0030】
第3の効果は、
a)ミトコンドリア内膜を通過する電子の移動を高速化することによるNADH+HからNADへの再酸化の加速
b)クレブス回路の加速
によって達成されると思われる。
【0031】
コエンザイムQ10及びリボフラビンの含有によって達成されると思われる。リボフラビンは、コエンザイムQ10と一体となってミトコンドリアマトリックス内でのNADH+HのNADへの再酸化の速度の大部分を決定するフラビンモノヌクレオチドへ直ちに転換される。アセトアルデヒドは酢酸に代謝されるときにNADを必要とする。この反応の範囲内で、NADはNADH+Hへ転換される。その結果、ミトコンドリアマトリックス内のNAD含量は低下するので、NADH+Hはアセトアルデヒド分解に再び役立つようにNADへ再転換されなければならない。この反応が可能であるのは、フラビンモノヌクレオチド(FMN)及びコエンザイムQ10がNADH+Hの電子を吸収し、電子伝達系によりミトコンドリア膜を介して輸送するからである。利用可能なフラビンモノヌクレオチド(FMN)及びコエンザイムQ10が多くなるにつれて、この過程はより高速化され、より多くのNADが利用可能になるので、アセトアルデヒドの代謝が加速される。
【0032】
コエンザイムQ10の含有は、コエンザイムQ10のレベルは加齢と共に人体において減少することから合理的である。
【0033】
クレブス(クエン酸)回路の活性化はコハク酸及びフマル酸の含有によって達成されると思われる。両物質は、クエン酸回路の後半を活性化し、それによって、ミトコンドリアにおける好気的酸化過程を活性化する。L-グルタミンは、アセトアルデヒド中毒の過程で重要な役割を果たすミトコンドリア細胞質ゾルのリンゴ酸−アスパラギン酸シャトルを加速するために役立つ。L-グルタミンは、さらに、コハク酸脱水素酵素のオギザロ酢酸や酢酸による抑制を防ぐことによりコハク酸酸化過程を加速する。
【0034】
第4の効果である抗酸化レベルの上昇は、システイン、アスコルビン酸、及び、さらにL-グルタミンの含有によって達成されると思われる。システインは、アスコルビン酸と同様に強い抗酸化作用を提供する。人体はシステインを、特にアセトアルデヒドの中毒作用から保護するグルタチオンに転換する。 グルタチオン生成を最適レベルに保つためには、システインがシスチンに変換されることを阻害する必要があり、システインとグルタミンの配合、さらにはシステインの2倍量のアスコルビン酸を配合することが重要である。
【0035】
上記物質を摂ることにより、アルコール飲酒後のアセトアルデヒドのレベルは著しく低減され、フラッシング(紅潮)の症候が少なくとも弱められる。頭痛及び二日酔いのようなアセトアルデヒドのその他の既知の副作用は同様になくなることが予測される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体内のエタノール代謝に関してアルコール分解過程を調節する食品組成物または栄養補助食品であって、
生理学的に適切な量で以下の物質;
デキストロース、
ビタミンC、
L-グルタミン、
システイン、
リボフラビン、
コハク酸および/またはフマル酸、
コエンザイムQ10と
を含む、食品組成物または栄養補助食品。
【請求項2】
アルコールを摂取する前にレストランまたは酒場で摂取されることを可能にするように形成され、用量が約13.3gの重量を有する、請求項1記載の食品組成物または栄養補助食品。
【請求項3】
用量が約75.2質量%のデキストロース画分を含む、請求項1または2記載の食品組成物または栄養補助食品。
【請求項4】
用量が約7.5質量%のビタミンC画分を含む、請求項1〜3の少なくとも1項記載の食品組成物または栄養補助食品。
【請求項5】
用量が約11.28質量%のL-グルタミン画分を含む、請求項1〜4の少なくとも1項記載の食品組成物または栄養補助食品。
【請求項6】
用量が約3.76質量%のシステイン画分を含む、請求項1〜5の少なくとも1項記載の食品組成物または栄養補助食品。
【請求項7】
用量が約0.3質量%のリボフラビン画分を含む、請求項1〜6の少なくとも1項記載の食品組成物または栄養補助食品。
【請求項8】
用量が約0.752質量%のコハク酸画分を含む、請求項1〜7の少なくとも1項記載の食品組成物または栄養補助食品。
【請求項9】
用量が約0.752質量%のフマル酸画分を含む、請求項1〜8の少なくとも1項記載の食品組成物または栄養補助食品。
【請求項10】
用量が約0.451質量%のコエンザイム画分を含む、請求項1〜9の少なくとも1項記載の食品組成物または栄養補助食品。
【請求項11】
錠剤の形態である、請求項1〜10の少なくとも1項記載の食品組成物または栄養補助食品。
【請求項12】
用量が複数個の小さい錠剤又はカプセルを含む、請求項1〜10の少なくとも1項記載の食品組成物または栄養補助食品。
【請求項13】
前記錠剤又はカプセルが投薬容器に含まれる、請求項1〜10の少なくとも1項記載の食品組成物または栄養補助食品。
【請求項14】
角砂糖タイプの形態である、請求項1〜10の少なくとも1項記載の食品組成物または栄養補助食品。
【請求項15】
凍結粉末の形態である、請求項1〜10の少なくとも1項記載の食品組成物または栄養補助食品。
【請求項16】
小さい飲料ユニットの形態である、請求項1〜10の少なくとも1項記載の食品組成物または栄養補助食品。
【請求項17】
シロップの形態である、請求項1〜10の少なくとも1項記載の食品組成物または栄養補助食品。
【請求項18】
物質、特に、上記物質を含み、人体内のエタノール代謝に関してアルコール分解過程に影響を与える食品組成物または栄養補助食品であって、
人体内で、
最初にアセトアルデヒドの蓄積を妨げるため、エタノールのアセトアルデヒドへの酸化の過程を遅らせることによりエタノール代謝を緩徐にする効果、
アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の活性を刺激し、その酵素活性のいかなる阻害をも回避する効果、
アセトアルデヒドから酢酸への反応および、クエン酸回路におけるさらなる分解を加速する効果、
アルコール飲酒者をアセトアルデヒドによる中毒作用から保護する抗酸化物質のレベルを改善する効果
を与える、食品組成物または栄養補助食品。

【公開番号】特開2012−92120(P2012−92120A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−266675(P2011−266675)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【分割の表示】特願2006−553537(P2006−553537)の分割
【原出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(506280476)
【Fターム(参考)】