説明

アルコール化合物およびオレフィン化合物の製造用触媒、並びにアルコール化合物およびオレフィン化合物の製造方法

【課題】アルコール化合物およびオレフィン化合物を高い効率で製造できる触媒、該触媒を用いる上記化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】アルコール化合物から、その炭素数よりも少なくとも一つ大きいアルコール化合物およびオレフィン化合物の少なくとも1種を製造する触媒、アルデヒド化合物と変換用アルコールとからその炭素数より少なくとも一つ大きいアルコール化合物およびオレフィン化合物の少なくとも1種を製造する触媒、ケトン化合物と変換用アルコールとから、その炭素数と同じアルコール化合物およびオレフィン化合物の少なくとも1種を製造する触媒で、所定量の酸化ジルコニウムと、所定量の添加元素等とを含む触媒、該触媒を用いた上記化合物の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール化合物およびオレフィン化合物を高い効率で製造することができる触媒、並びに該触媒を用いるアルコール化合物およびオレフィン化合物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パイロクロアの結晶を触媒としてエタノールと水の混合物からアセトンを合成する方法が非特許文献1に記載されている。また、非特許文献1では、銅をパイロクロアの結晶に添加して調製した触媒ではアセトン生成が促進され、メタン、エチレン、プロピレン等の炭化水素が副生することが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】J. Bussi et al.,「Catalytic transformation of ethanol into acetone using copper-pyrochlore catalysts」Applied Catalysis A:General 172(1998)117-129
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の化学品原料の製造分野では、炭酸ガス発生抑制、及び将来の石油資源の価格高騰又は枯渇に備え、化学品原料を石油系資源から非可食性バイオマス資源に転換することが求められている。その中でも、代表的なバイオマス資源であるバイオエタノールからより効率よく化学品を製造する技術が要求されている。
本発明の課題は、アルコール化合物およびオレフィン化合物を高い効率で製造することができる触媒、並びに該触媒を用いるアルコール化合物およびオレフィン化合物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、下記式(1)で表されるアルコール化合物から、該式(1)のアルコール化合物の炭素数よりも少なくとも一つ大きい炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造するための、下記式(2)で表されるアルデヒド化合物と変換用アルコールとから、該式(2)のアルデヒド化合物の炭素数より少なくとも一つ大きい炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造するための、または下記式(3)で表されるケトン化合物と変換用アルコールとから、該式(3)のケトン化合物の炭素数と同じ炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造するための触媒であって、
酸化ジルコニウムである成分(A)50重量%以上100重量%未満と、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、セリウム、チタン、バナジウム、クロム、銅、銀、金、ガリウム、ゲルマニウムおよびスズからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である成分(B)0重量%超50重量%以下とを含む触媒(ただし、成分(A)と成分(B)との合計の重量を100重量%とする。)に係るものである。
【0006】
【化1】

[式中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロカルビル基、水酸基またはハロゲン原子を表す。]
【0007】
【化2】

[式中、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロカルビル基、水酸基またはハロゲン原子を表す。]
【0008】
【化3】

[式中、R6〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロカルビル基、水酸基またはハロゲン原子を表す。]
【0009】
また、本発明は、上記式(1)で表されるアルコール化合物を含む原料から、該式(1)のアルコール化合物の炭素数よりも少なくとも一つ大きい炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造する方法、上記式(2)で表されるアルデヒド化合物と変換用アルコールとを含む原料から、該アルデヒド化合物の炭素数より少なくとも一つ大きい炭素数アルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造する方法、または上記式(3)で表されるケトン化合物と変換用アルコールとを含む原料から、該ケトン化合物の炭素数と同じ炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造する方法であって、触媒として、上記に記載の触媒を用いる方法に係るものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、アルコール化合物およびオレフィン化合物を高い効率で製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)触媒
本発明の触媒は、下記式(1)で表されるアルコール化合物から、該式(1)のアルコール化合物の炭素数よりも少なくとも一つ大きい炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造するための、下記式(2)で表されるアルデヒド化合物と変換用アルコールとから、該アルデヒド化合物の炭素数より少なくとも一つ大きい炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造するための、または下記式(3)で表されるケトン化合物と変換用アルコールとから、該ケトン化合物の炭素数と同じ炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造するための触媒であって、
酸化ジルコニウムである成分(A)50重量%以上100重量%未満と、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、セリウム、チタン、バナジウム、クロム、銅、銀、金、ガリウム、ゲルマニウムおよびスズからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である成分(B)0重量%超50重量%以下とを含む(ただし、成分(A)と成分(B)との合計の重量を100重量%とする。)。
【0012】
【化4】

[式中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロカルビル基、水酸基またはハロゲン原子を表す。]
【0013】
【化5】

[式中、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロカルビル基、水酸基またはハロゲン原子を表す。]
【0014】
【化6】

[式中、R6〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロカルビル基、水酸基またはハロゲン原子を表す。]
【0015】
上記式(1)のR1〜R3、上記式(2)のR4およびR5、並びに上記式(3)のR6〜R10としてのヒドロカルビル基として、好ましくは、炭素数1〜20のヒドロカルビル基であり、より好ましくは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、および炭素数7〜20のアラルキル基である。
【0016】
炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基が挙げられる。
【0017】
炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、2−エチルフェニル基、2,3−ジエチルフェニル基、2,3,4−トリエチルフェニル基、2−n−プロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、2−n−ブチルフェニル基、2−sec−ブチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、2−n−ペンチルフェニル基、2−ネオペンチルフェニル基、2−n−ヘキシルフェニル基、2−n−オクチルフェニル基、2−n−デシルフェニル基、2−n−ドデシルフェニル基、2−n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられる。
【0018】
炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(2−エチルフェニル)メチル基、(2−n−プロピルフェニル)メチル基、(2−イソプロピルフェニル)メチル基、(2−n−ブチルフェニル)メチル基、(2−sec−ブチルフェニル)メチル基、(2−tert−ブチルフェニル)メチル基、(2−n−ペンチルフェニル)メチル基、(2−ネオペンチルフェニル)メチル基、(2−n−ヘキシルフェニル)メチル基、(2−n−オクチルフェニル)メチル基、(2−n−デシルフェニル)メチル基、(2−n−デシルフェニル)メチル基、(2−n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、ジフェニルメチル基、2,2−ジフェニルエチル基、3,3−ジフェニルプロピル基、4,4−ジフェニルブチル基が挙げられる。
【0019】
ヒドロカルビル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基が挙げられ、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0020】
上記式(1)のR1〜R3、上記式(2)のR4およびR5、並びに上記式(3)のR6〜R10としてのハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0021】
式(1)で表されるアルコール化合物としては、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、イソペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、4−ヘプタノール、3−エチル−2−ペンタノール、n−オクタノール、3−エチルヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フェニルプロパノール、3−フェニルブタノールが挙げられる。好ましくは、エタノールであり、より好ましくは、生物資源(バイオマス)由来のエタノール(バイオエタノール)である。
【0022】
式(2)で表されるアルデヒド化合物としては、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、2−メチルプロピオンアルデヒド、3−ヒドロキシブチルアルデヒド、n−ペンチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−ヘプチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、3−エチルへキシルアルデヒド、ベンジルアルデヒド、3−フェニルプロピオンアルデヒド、3−フェニルブチルアルデヒドが挙げられ、また、式(1)で表されるアルコール化合物を脱水素して得られたアルデヒド化合物であっても良く、式(2)で表されるアルデヒド化合物が、式(1)で表されるアルコール化合物を脱水素して得られたアルデヒド化合物である場合、式(1)で表されるアルコール化合物の脱水素工程を設けても良い。
脱水素工程は成分(A)と成分(B)とからなる触媒またはそれ以外の触媒のどちらを使用して実施しても良いが、成分(A)と成分(B)とからなる触媒を用いて、本発明で製造するアルコール化合物またはオレフィン化合物を製造する反応器内で実施することが好ましい。
式(2)で表されるアルデヒド化合物として、好ましくは、アセトアルデヒドであり、より好ましくは、生物資源(バイオマス)由来のアセトアルデヒド(バイオアセトアルデヒド)である。
【0023】
式(3)で表されるケトン化合物としては、例えば、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、3−エチル−2−ペンタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、4−オクタノン、メチルイソプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンおよびジアセトンアルコールが挙げられ、また、式(2)で表されるアルデヒド化合物を前駆体として得られたケトン化合物であっても良く、この場合、式(2)で表されるアルデヒド化合物の前駆体が式(1)で表されるアルコール化合物であっても良い。
式(3)で表されるケトン化合物が、式(2)で表されるアルデヒド化合物を反応させてケトン化合物を生成させる反応(以下、ケトン化とも言う)により得られたケトン化合物である場合、式(2)で表されるアルデヒド化合物をケトン化するケトン化工程を設けても良い。ケトン化工程は本発明で使用する反応器内および反応器外のどちらで実施しても良いが、反応器内で実施することが好ましい。ケトン化工程では本発明の触媒を使用することが好ましい。ケトン化工程は、本発明で使用する反応器内で本発明の触媒を使用して実施することが好ましい。
ケトン化工程に供される式(2)で表されるアルデヒド化合物は、脱水素工程で得られたアルデヒド化合物であっても良い。つまり、本発明で使用する反応器内に式(1)で表されるアルコール化合物を含む原料を供給した場合、式(1)で表されるアルコール化合物が脱水素して式(2)で表されるアルデヒド化合物となり、さらに式(2)で表されるアルデヒド化合物がケトン化して得られた式(3)で表されるケトン化合物を含む原料が得られる場合がある。
式(3)で表されるケトン化合物として、好ましくは、アセトンであり、より好ましくは、生物資源(バイオマス)由来のアセトン(バイオアセトン)である。
【0024】
変換用アルコールは、水酸基と結合している1位の炭素に水素が結合している1級または2級のアルコールであれば良く、アルデヒド化合物を1級アルコールに、またはケトン化合物を2級アルコールに変換し、変換用アルコールが1級であれば自らはアルデヒド化合物へ、2級であれば自らはケトン化合物へ変換される。変換用アルコールによって変換されて生成した1級アルコールおよび2級アルコールそれら自身が変換用アルコールであっても良い。
変換用アルコールがアルデヒド化合物を1級アルコールに、またはケトン化合物を2級アルコールに変換し、その結果、変換用アルコールから生成したアルデヒド化合物およびケトン化合物であって、式(2)もしくは式(3)を満たすものであれば、当然ながら本発明で使用する原料に含まれるアルデヒド化合物およびケトン化合物とみなすことができる。
ここで、変換用アルコールとは、アルデヒド化合物またはケトン化合物の炭素−酸素二重結合を水酸基に変換する機能を有し、自らの水酸基は炭素−酸素二重結合に変換されるアルコールである。
【0025】
変換用アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、イソペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、4−ヘプタノール、3−エチル−2−ペンタノール、n−オクタノール、3−エチルヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フェニルプロパノール、3−フェニルブタノールが挙げられ、好ましくは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、イソペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、4−ヘプタノール、3−エチル−2−ペンタノール、n−オクタノールおよび3−エチルヘキサノールであり、さらに好ましくは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノールおよびイソペンタノールである。
【0026】
本発明の触媒は、上記式(1)で表されるアルコール化合物から、該式(1)のアルコール化合物の炭素数よりも少なくとも一つ大きい炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を与えることができる。好ましくは、上記式(1)で表されるアルコール化合物の炭素数をnとすれば、該アルコール化合物の炭素数よりも少なくとも1つ大きい炭素数は、n×m−1である(mは反応に関与する分子数を表す)。ここでnおよびmは2以上の整数である。例えば、上記式(1)で表されるアルコール化合物の炭素数が2の場合、該アルコール化合物の炭素数よりも少なくとも一つ大きい炭素数は、3、5、7、9、・・・となる。具体的には、上記式(1)で表されるアルコール化合物がエタノールである場合、該アルコール化合物の炭素数よりも少なくとも一つ大きい炭素数のアルコール化合物としては、イソプロパノール、2−ペンタノール、4−ヘプタノール、3−エチル−2−ペンタノール等であり、該アルコール化合物の炭素数よりも少なくとも一つ大きい炭素数のオレフィン化合物としては、プロピレン、1−ペンテン、trans−およびcis−2−ペンテン、n−ヘプテン、trans−およびcis−2−ヘプテン、trans−およびcis−3−ヘプテン、3−エチル−1−ペンテン、3−エチル−2−ペンテン等である。
ここで、「trans−およびcis−」とはそれぞれ、構造異性体の「trans体およびcis体」をいう。
【0027】
また、本発明の触媒は、上記式(2)で表されるアルデヒド化合物と変換用アルコールとから、該アルデヒド化合物の炭素数より少なくとも一つ大きい炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を与えることができる。好ましくは、上記式(2)で表されるアルデヒド化合物の炭素数をnとすれば、該アルデヒド化合物の炭素数よりも少なくとも1つ大きい炭素数は、n×m−1である。ここでnおよびmは2以上の整数である。例えば、上記式(2)で表されるアルデヒド化合物の炭素数が2の場合、該アルデヒド化合物の炭素数よりも少なくとも一つ大きい炭素数は、3、5、7、9、・・・となる。具体的には、上記式(2)で表されるアルデヒド化合物がアセトアルデヒドである場合、該アルデヒド化合物の炭素数よりも少なくとも一つ大きい炭素数のアルコール化合物としては、イソプロパノール、2−ペンタノール、4−ヘプタノール、3−エチル−2−ペンタノール等であり、該アルデヒド化合物の炭素数よりも少なくとも一つ大きい炭素数のオレフィン化合物としては、プロピレン、1−ペンテン、trans−およびcis−2−ペンテン、n−ヘプテン、trans−およびcis−2−ヘプテン、trans−およびcis−3−ヘプテン、3−エチル−1−ペンテン、3−エチル−2−ペンテン等である。
【0028】
また、本発明の触媒は、上記式(3)で表されるケトン化合物と変換用アルコールとから、該ケトン化合物の炭素数と同じ炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を与えることができる。具体的には、上記式(3)で表されるケトン化合物がアセトンである場合、該ケトン化合物の炭素数と同じ炭素数のアルコール化合物としては、イソプロパノールであり、該ケトン化合物の炭素数と同じ炭素数のオレフィン化合物としては、プロピレンである。
【0029】
本発明の触媒として、好ましくは、エタノールから、イソプロパノールおよびプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種を製造するための触媒、アセトアルデヒドと変換用アルコールとから、イソプロパノールおよびプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種を製造するための触媒、またはアセトンと変換用アルコールとから、イソプロパノールおよびプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種を製造するための触媒である。
【0030】
本発明の触媒は、酸化ジルコニウムである成分(A)50重量%以上100重量%未満と、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、セリウム、チタン、バナジウム、クロム、銅、銀、金、ガリウム、ゲルマニウムおよびスズからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である成分(B)0重量%超50重量%以下とを含む(ただし、成分(A)と成分(B)との合計の重量を100重量%とする。)。
成分(B)である元素の形態は、該元素の単体であってもよく、該元素の酸化物であってもよい。該元素が酸化物の形態である場合には、成分(B)の重量は、酸化物に含まれる前記元素の重量であり、酸素の重量は含まない。
【0031】
成分(B)として好ましくは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、チタン、バナジウム、クロム、銅、銀、金、ガリウム、ゲルマニウムおよびスズからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、さらに好ましくは、リチウム、ナトリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、バナジウム、クロム、銅、銀、金、ガリウムおよびゲルマニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。
【0032】
成分(A)と成分(B)との含有量としては、成分(A)が50重量%から100重量%未満であり、成分(B)が0重量%を超え、50重量%以下であり、好ましくは、成分(A)が90重量%から99.999重量%未満であり、成分(B)が0.001重量%を超え、10重量%以下である(ただし、成分(A)と成分(B)との合計の重量を100重量%とする。)。
なお、本発明の触媒は、成分(A)及び成分(B)の他に、本発明の所期の効果が奏される範囲で他の成分を含有してもよいが、本発明においては、成分(A)及び成分(B)からなることが好ましい。
【0033】
本発明の触媒は、成分(A)と成分(B)を所定量で混合して調製することができ、このような方法としては、例えば、成分(A)を含む酸化ジルコニウム源と成分(B)を含む溶液を用いた含浸法、成分(A)前駆体または成分(A)を含む溶液と成分(B)前駆体または成分(B)を含む溶液とを用いたゾルゲル法、成分(A)を含む酸化ジルコニウム源に成分(B)蒸気を接触させるCVD法、成分(A)と成分(B)の物理混合等が挙げられる。好ましくは、含浸法およびゾルゲル法である。
ここで、「含浸法」とは、固体の触媒もしくは固体の触媒前駆体と新たな成分もしくは新たな成分の前駆体を含む液体もしくは分散液とを接触させ、固体の触媒もしくは固体の触媒前駆体に新たな成分を添加する方法である。上記接触後には必要に応じ、ろ過、乾燥、焼成等の任意の操作を追加することがある。また、「ゾルゲル法」とは、pH調整、温度調整および他成分添加等の操作によって触媒原料成分を含んだ溶液から触媒原料成分を含んだ固体を発生させ、その後必要に応じ、ろ過、乾燥、焼成等の任意の操作を追加し目的とする固体を得る方法である。
【0034】
(2)アルコール化合物およびオレフィン化合物を製造する方法
アルコール化合物およびオレフィン化合物を製造する本発明の方法は、上記式(1)で表されるアルコール化合物を含む原料から、該式(1)のアルコール化合物の炭素数よりも少なくとも一つ大きい炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造する方法、上記式(2)で表されるアルデヒド化合物と変換用アルコールとを含む原料から、該アルデヒド化合物の炭素数より少なくとも一つ大きい炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造する方法、または上記式(3)で表されるケトン化合物と変換用アルコールとを含む原料から、該ケトン化合物の炭素数と同じ炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造する方法であって、触媒として、上記に記載の触媒を用いる方法である。
【0035】
アルコール化合物およびオレフィン化合物を製造する本発明の方法として、好ましくは、上記式(1)で表されるアルコール化合物を含む原料と、上記に記載の触媒とを反応器中で接触させて、該アルコール化合物の炭素数よりも少なくとも一つ大きい炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造する方法、上記式(2)で表されるアルデヒド化合物と変換用アルコールとを含む原料と、上記に記載の触媒とを反応器中で接触させて、該アルデヒド化合物の炭素数より少なくとも一つ大きい炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造する方法、または上記式(3)で表されるケトン化合物と変換用アルコールとを含む原料と、上記に記載の触媒とを反応器中で接触させて、該ケトン化合物の炭素数と同じ炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造する方法であり、より好ましくは、エタノールを含む原料と、上記に記載の触媒とを反応器中で接触させて、イソプロパノールおよびプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種を製造する方法、アセトアルデヒドと変換用アルコールとを含む原料と、上記に記載の触媒とを反応器中で接触させて、イソプロパノールおよびプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種を製造する方法、またはアセトンと変換用アルコールとを含む原料と、上記に記載の触媒とを反応器中で接触させて、イソプロパノールおよびプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種を製造する方法である。
【0036】
本発明のアルコール化合物およびオレフィン化合物を製造する方法における主な反応機構は、以下の基本反応または基本反応をいくつか組み合わせたものである。
基本反応1:式(1)で表されるアルコール化合物が脱水素されて式(2)で表されるカルボニル化合物および式(3)で表されるカルボニル化合物が生成する反応。この反応の例としては、エタノールからアセトアルデヒドが生成する反応およびイソプロパノールからアセトンが生成する反応が挙げられる。
基本反応2:式(2)で表されるアルデヒド化合物がアルドール反応および/またはティシチェンコ反応により二量化し、その後いくつかの反応を経て生成したβケトカルボン酸化合物が脱炭酸し、式(3)で表されるケトン化合物が生成する反応。この反応の例としては、アセトアルデヒドからアセトンが生成する反応が挙げられる。
基本反応3:式(3)で表されるケトン化合物が変換用アルコールと反応し、2級アルコールが生成する反応。この反応の例としては、アセトンからイソプロパノールが生成する反応が挙げられる。
基本反応4:式(3)で表されるケトン化合物がアルドール縮合して、ジケトンアルコールが生成する反応。この反応の例としては、アセトンからジアセトンアルコールが生成する反応が挙げられる。
基本反応5:基本反応3および基本反応4で生成したアルコールが脱水してオレフィンが生成する反応。この反応の例としては、イソプロパノールからプロピレンが生成する反応およびジアセトンアルコールからメシチルオキサイドが生成する反応が挙げられる。
基本反応2のアルドール反応でアセトアルデヒドから生成した3−ヒドロキシブチルアルデヒドが脱水するとクロトンアルデヒドが生成する。クロトンアルデヒドは変換用アルコールによりブタノール−2−エンに変換され、さらに脱水すると1、3−ブタジエンが生成する。
メシチルオキサイドがさらに変換用アルコールにより4−ヒドロキシ−2−メチル−2−ペンテンに変換され、さらに脱水すると4−メチルペンタジエンが生成する。
【0037】
本発明において、原料として、上記式(1)で表されるアルコール化合物を用いる場合は、原料のアルコール化合物自身が変換用アルコールの機能も有しているので、別途、変換用アルコールを用いる必要がないが、変換効率を向上させるため、別途変換用アルコールを原料に添加することができる。
【0038】
本発明に用いる反応器は、原料と触媒、場合によっては変換用アルコールとを接触させることができれば良い。反応器の例としては、固定床反応器、流動床反応器、バッチ式反応器が挙げられる。また、反応熱の観点からは反応器は断熱反応器であっても等温反応器であって熱交換反応器であっても良い。
【0039】
原料と触媒とは反応器中で接触させても、原料と触媒とを接触させてから反応器に供給しても良い。原料は液体であっても気体であっても良い。原料と触媒との接触方法の例としては、原料を加熱してガス化し、触媒があらかじめ充填されている反応器に供給する方法が挙げられる。
【0040】
本発明においては、反応過程で水が生成するため、原料に水を用いなくても、反応が進行するが、原料に水を用いて反応を行うことが好ましい。この際の水の使用量としては、原料に含まれる前記式(1)で表されるアルコール化合物、前記式(2)で表されるアルデヒド化合物、および/または前記式(3)で表されるケトン化合物のモル数(x)に対する、水のモル数(y)の比(y/x)として、好ましくは0.01〜100であり、より好ましくは0.05〜10であり、更に好ましくは0.1〜5である。
【0041】
反応温度として、好ましくは、270℃〜700℃であり、より好ましくは、300℃〜650℃、更に好ましくは、350℃〜550℃である。
ここで「反応温度」とは触媒と原料であるエタノール等とを接触させる温度をいう。
【0042】
反応圧力として、好ましくは、10kPa〜100000kPaであり、より好ましくは、100kPa〜1000kPaである。
ここで「反応圧力」とは触媒と原料であるエタノール等とを接触させるリアクター内の圧力をいう。
【0043】
本発明で用いられる原料としては、未使用の式(1)、式(2)および式(3)を含む原料だけでなく、未反応の式(1)、式(2)および式(3)の化合物、もしくは生成したアルコール、アルデヒドおよびケトンの内の式(1)、式(2)および式(3)に該当する化合物を反応器出口から回収したものを使用することができる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例および比較例により本発明を更に詳しく説明する。
[実施例1]
(触媒Aの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.3〜0.6mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム1.00gに、酢酸カルシウム一水和物0.56gおよびミリポア水2.78gからなる溶液A0.23gを少量ずつ酸化ジルコニウムに浸透させながら添加し、ポアフィリング体Aを得た。ポアフィリング体Aを120℃で3時間空気中保持し、次いで500℃で2時間空気中保持し触媒Aを得た。
(触媒反応)
0.5gの触媒Aを石英製の反応管に充填し、エタノール濃度が33vol%であるエタノール/窒素混合ガスを、11ml/分の速度で反応管へ供給し、常圧下、450℃で反応を行なった。反応管のガス排出口から排出されたガスをガスクロマトグラフィーで分析し、生成物組成および生成速度を求めた。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。なお、表中に記載の生成物組成とは、(生成物中の炭素モル数)/(反応に供した原料化合物中の炭素モル数)×100(%)を表し、また、生成速度は、触媒1ml当たり1時間に生成する生成物の重量を表す。また、表中「ACT」はアセトン、「IPA」はイソプロパノール、「C3’」はプロピレン、「PN」はペンタノン、「C5’」はペンテンを表す。
ここで「触媒1ml当たり」とは、実施例・比較例において、実際に生成した生成物の重量を使用した触媒の体積(ml)で割った値をいう。
【0045】
[実施例2]
(触媒反応)
反応圧力が200kPaGであること以外は実施例1の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0046】
[実施例3]
(触媒反応)
反応管へ供給したエタノール/窒素混合ガスが16vol%の水を含むこと以外は実施例2の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0047】
[実施例4]
(触媒Bの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.3〜0.6mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム5.00gに、硝酸ガリウム0.0022gおよびミリポア水1.2848gからなる溶液B1.29gを少量ずつ酸化ジルコニウムに浸透させながら添加し、ポアフィリング体Bを得た。ポアフィリング体Bを120℃で3時間空気中保持し、次いで500℃で2時間空気中保持し触媒Bを得た。
(触媒反応)
触媒Bを使用し、エタノール/窒素混合ガスを12ml/分の速度で反応管へ供給し、反応温度が430℃であること以外は実施例1の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0048】
[実施例5]
(触媒反応)
エタノール/窒素混合ガスが25vol%のエタノールおよび25vol%の水を含むこと以外は実施例4の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0049】
[実施例6]
(触媒反応)
反応圧力が100kPaGであること以外は実施例5と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0050】
[実施例7]
(触媒反応)
反応圧力が200kPaGであること以外は実施例5と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0051】
[実施例8]
(触媒Cの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.18〜0.3mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム3.00gに、酢酸リチウム0.067gおよびミリポア水0.683gからなる溶液C0.75gを少量ずつ酸化ジルコニウムに浸透させながら添加し、ポアフィリング体Cを得た。ポアフィリング体Cを120℃で3時間空気中保持し、次いで500℃で2時間空気中保持し触媒Cを得た。
(触媒反応)
触媒Cを用い、エタノール/窒素混合ガスを12ml/分の速度で反応管へ供給したこと以外は実施例2の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0052】
[実施例9]
(触媒反応)
エタノール/窒素混合ガスが33vol%の水を含むこと以外は実施例8の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0053】
[実施例10]
(触媒Dの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.18〜0.3mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム2.03gに、1N水酸化ナトリウム水溶液0.4493gを少量ずつ酸化ジルコニウムに浸透させながら添加し、ポアフィリング体Dを得た。ポアフィリング体Dを120℃で3時間空気中保持し、次いで450℃で2時間空気中保持し触媒Dを得た。
(触媒反応)
触媒Dを1g用い、エタノール/窒素混合ガスのエタノール濃度が36vol%であり、反応温度が400℃であること以外は実施例4の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0054】
[実施例11]
(触媒反応)
反応温度が450℃であること以外は実施例10の触媒反応と同様の操作を行なった。
反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0055】
[実施例12]
(触媒反応)
エタノール/窒素混合ガスのエタノール濃度が79vol%であること以外は実施例11と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0056】
[実施例13]
(触媒反応)
反応温度が490℃であり、反応圧力が400kPaGであること以外は実施例12と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0057】
[実施例14]
(触媒Eの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.3〜0.6mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム1.001gに、酢酸カリウム0.0267gおよびミリポア水0.2313gからなる溶液E0.258gを少量ずつ酸化ジルコニウムに浸透させながら添加し、ポアフィリング体Eを得た。ポアフィリング体Eを120℃で3時間空気中保持し、次いで450℃で2時間空気中保持し触媒Eを得た。
(触媒反応)
触媒Eを用いたこと以外は実施例1の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0058】
[実施例15]
(触媒Fの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.3〜0.6mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム1.02gに、水酸化ルビジウム0.0274gおよびミリポア水0.1681gからなる溶液F0.1955gを少量ずつ酸化ジルコニウムに浸透させながら添加し、ポアフィリング体Fを得た。ポアフィリング体Fを120℃で3時間空気中保持し、次いで450℃で2時間空気中保持し触媒Eを得た。
【0059】
(触媒反応)
触媒Fを用いたこと以外は実施例1の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0060】
[実施例16]
(触媒Gの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.18〜0.3mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム1.00gに、酢酸スカンジウム0.060gおよびミリポア水6.101gからなる溶液G6.158gを添加し、エバポレーターで乾燥させ乾燥体Gを得た。乾燥体Gを120℃で3時間空気中保持し、次いで500℃で2時間空気中保持し触媒Gを得た。
(触媒反応)
触媒Gを用い、エタノール/窒素混合ガスが50vol%の水を含み、エタノール濃度25vol%であり12ml/分の速度で供給されたこと以外は実施例2の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0061】
[実施例17]
(触媒Hの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.3〜0.6mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム1.50gに、チタニルアセチルアセトナート0.015gおよびエタノール30.006gからなる溶液H7.816gを添加し、エバポレーターで乾燥させ乾燥体Hを得た。乾燥体Hを500℃で2時間空気中保持し触媒Hを得た。
(触媒反応)
触媒Hを用い、エタノール/窒素混合ガスを12ml/分の速度で供給したこと以外は実施例1の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0062】
[実施例18]
(触媒Iの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.3〜0.6mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム1.00gに、バナジルアセチルアセトナート0.0029gおよびエタノール0.2136gからなる溶液I0.2165gを少量ずつ酸化ジルコニウムに浸透させながら添加し、ポアフィリング体Iを得た。ポアフィリング体Iを120℃で3時間空気中保持し、次いで450℃で2時間空気中保持し触媒Iを得た。
(触媒反応)
触媒Iを用いたこと以外は実施例17の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0063】
[実施例19]
(触媒Jの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.3〜0.6mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム1.00gに、硝酸クロム9水和物0.0041gおよびミリポア水0.2541gからなる溶液J0.2528gを少量ずつ酸化ジルコニウムに浸透させながら添加し、ポアフィリング体Jを得た。ポアフィリング体Jを120℃で3時間空気中保持し、次いで500℃で2時間空気中保持し触媒Iを得た。
(触媒反応)
触媒Jを用いたこと以外は実施例17の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0064】
[実施例20]
(触媒Kの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.3〜0.6mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム2.00gに、硝酸銅3水和物0.0053gおよびミリポア水0.4282gからなる溶液K0.4335gを少量ずつ酸化ジルコニウムに浸透させながら添加し、ポアフィリング体Kを得た。ポアフィリング体Kを120℃で3時間空気中保持し、次いで500℃で2時間空気中保持し触媒Kを得た。
(触媒反応)
触媒Kを用いたこと以外は実施例17の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0065】
[実施例21]
(触媒Lの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.3〜0.6mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム1.00gに、塩化ゲルマニウム0.0021gおよびヘキサン0.2415gからなる溶液L0.2436gを少量ずつ酸化ジルコニウムに浸透させながら添加し、ポアフィリング体Lを得た。ポアフィリング体Lを120℃で3時間空気中保持し、次いで500℃で2時間空気中保持し触媒Lを得た。
(触媒反応)
触媒Lを用いたこと以外は実施例17の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0066】
[実施例22]
(触媒Mの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.3〜0.6mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム1.00gに、酢酸ストロンチウム0.5水和物0.0219gおよびミリポア水0.2300gからなる溶液M 0.2519gを少量ずつ酸化ジルコニウムに浸透させながら添加し、ポアフィリング体Mを得た。ポアフィリング体Mを120℃で3時間空気中保持し、次いで500℃で2時間空気中保持し触媒Mを得た。
(触媒反応)
触媒Mを用いたこと以外は実施例17の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0067】
[実施例23]
(触媒Nの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.3〜0.6mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム1.00gに、酢酸バリウム0.0272gおよびミリポア水0.2361gからなる溶液N 0.2633gを少量ずつ酸化ジルコニウムに浸透させながら添加し、ポアフィリング体Nを得た。ポアフィリング体Nを120℃で3時間空気中保持し、次いで500℃で2時間空気中保持し触媒Nを得た。
(触媒反応)
触媒Nを用いたこと以外は実施例17の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0068】
[実施例24]
(触媒Oの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.18〜0.3mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム2.50gに、酢酸イットリウム4水和物0.2250gおよびミリポア水0.3750gからなる溶液O0.6000gを添加し、エバポレーターで乾燥させ乾燥体Oを得た。乾燥体Oを120度で3時間、次いで500度で2時間空気中保持し触媒Oを得た。
(触媒反応)
触媒Oを用いたこと以外は実施例16の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0069】
[実施例25]
(触媒Pの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.3〜0.6mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム1.01gに、硝酸セリウム6水和物0.0044gおよびミリポア水0.2522gからなる溶液P 0.2566gを少量ずつ酸化ジルコニウムに浸透させながら添加し、ポアフィリング体Pを得た。ポアフィリング体Pを120℃で3時間空気中保持し、次いで500℃で2時間空気中保持し触媒Pを得た。
(触媒反応)
触媒Pを用いたこと以外は実施例17の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0070】
[実施例26]
(触媒Qの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.3〜0.6mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム1.00gに、硝酸銀0.0017gおよびミリポア水0.2565gからなる溶液Q 0.2582gを少量ずつ酸化ジルコニウムに浸透させながら添加し、ポアフィリング体Qを得た。ポアフィリング体Qを120℃で3時間空気中保持し、次いで500℃で2時間空気中保持し触媒Qを得た。
(触媒反応)
触媒Qを用いたこと以外は実施例17の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0071】
[実施例27]
(触媒Rの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.3〜0.6mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム1.01gに、塩化金0.0030gおよびミリポア水0.2565gからなる溶液R 0.2595gを少量ずつ酸化ジルコニウムに浸透させながら添加し、ポアフィリング体Rを得た。ポアフィリング体Rを120℃で3時間空気中保持し、次いで500℃で2時間空気中保持し触媒Rを得た。
(触媒反応)
触媒Rを用いたこと以外は実施例17の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0072】
[実施例28]
(触媒Sの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.3〜0.6mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム1.01gに、塩化スズ2水和物0.0024gおよびミリポア水0.2105gからなる溶液 0.2129gを少量ずつ酸化ジルコニウムに浸透させながら添加し、ポアフィリング体Sを得た。ポアフィリング体Sを120℃で3時間空気中保持し、次いで500℃で2時間空気中保持し触媒Sを得た。
(触媒反応)
触媒Sを用いたこと以外は実施例17の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0073】
[実施例29]
(触媒CBの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.3〜0.6mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム3.01gに、硝酸ガリウム6水和物0.0013gおよびミリポア水0.7346gからなる溶液2C 0.7359gを少量ずつ酸化ジルコニウムに浸透させながら添加し、ポアフィリング体2Cを得た。ポアフィリング体2Cを120℃で3時間空気中保持し、次いで500℃で2時間空気中保持し前駆体2Cを得た。
前駆体2C1gに、酢酸リチウム2水和物0.0217gおよびミリポア水0.1959gからなる溶液CB 0.2177gを少量ずつ前駆体2Cに浸透させながら添加し、ポアフィリング体CBを得た。ポアフィリングCBを120℃で3時間空気中保持し、次いで500℃で2時間空気中保持し触媒CBを得た。
(触媒反応)
触媒CBを用い、反応温度が430℃であること以外は実施例1の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0074】
[実施例30]
(触媒反応)
触媒Cを0.1g用いたこと以外は実施例9と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0075】
[実施例31]
(触媒反応)
反応温度が410℃であること以外は実施例9と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0076】
[実施例32]
(触媒反応)
触媒Cを0.02g用い、反応温度が490℃であること以外は実施例9と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0077】
[実施例40]
(触媒A2の調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RSC−HP)を0.18〜0.3mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム12.00gに、酢酸カルシウム一水和物0.86gおよびミリポア水10.25gからなる溶液A2、2.78gを少量ずつ整粒後の酸化ジルコニウムに浸透させながら添加し、ポアフィリング体A2を得た。ポアフィリング体A2を100℃で5時間空気中保持し、次いで500℃で2時間空気中保持し触媒A2を得た。
(触媒反応)
触媒A2を0.5g用い実施例30の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0078】
[実施例41]
(触媒O2の調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RSC−HP)を0.18〜0.3mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム2.00gに、イットリウムアセチルアセトナートn水和物(アルドリッチ製)0.16gおよびエタノール(関東化学製、純度99.5%)10.9gからなる溶液O2を加え、ロータリーエバポレーターにて50℃、120hPaでエタノールを除去し、乾燥体O2を得た。乾燥体O2を500℃で2時間空気中保持し触媒O2を得た。
(触媒反応)
触媒O2を0.58g用い、反応圧力が500kPaGであること以外は実施例40の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0079】
[比較例1]
(比較触媒Aの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.3〜0.6mmに整粒し、比較触媒Aを得た。
(触媒反応)
反応温度が400℃であること以外は実施例1の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0080】
[比較例2]
(触媒反応)
反応温度が450℃であること以外は比較例1の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0081】
[比較例3]
(比較触媒Bの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RC−100)を0.18〜0.3mmに整粒し、比較触媒Bを得た。
(触媒反応)
反応温度が450℃であること以外は実施例5の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0082】
[比較例4]
(触媒反応)
反応圧力が200kPaGであること以外は比較例3の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0083】
[比較例7]
(比較触媒Cの調製)
酸化ジルコニウム(第一希元素製、RSC−HP)を0.18〜0.3mmに整粒し、比較触媒Cを得た。
(触媒反応)
0.2gの比較触媒Cを石英製の反応管に充填し、33vol%の水を含む33vol%エタノール/窒素混合ガスを12ml/分の速度で反応管へ供給し、反応圧力200kPaG、430℃で反応を行なった。反応管のガス排出口から排出されたガスをガスクロマトグラフィーで分析し、生成物組成および生成速度を求めた。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。
【0084】
[比較例8]
(比較触媒Dの調製)
無水シュウ酸(関東化学)を100mlのエタノール(関東化学製、純度99.5%)に溶解させて得たシュウ酸溶液を攪拌しながら、別の100mlのエタノール(関東化学製、純度99.5%)に硝酸銅三水和物(和光純薬製、純度99.9%)を9.7g溶解させた銅溶液を全量およびジルコニウムプロポキシド70%1−プロパノール溶液(東京化成製)、7.3gを同時に滴下した。1時間攪拌を継続した後に、生成した沈殿物RDをろ過により回収した。沈殿物RDを80℃で12時間空気中保持し乾燥させた後、550℃で3時間次いで710℃で30分空気中保持し焼成体RDを得た。焼成体RDを0.18〜0.3mmに整粒し比較触媒Dを得た。比較触媒D中の銅含有量は54重量%であった。
(触媒反応)
比較触媒Dを0.2g用い比較例7の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表1−1及び1−2に示す。銅を54重量%添加した比較触媒Dは銅を添加していない比較触媒Cよりイソプロパノール、プロピレン、ペンテンの生成が少なかった。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】
[実施例33]
(メタノールによるアルコール化合物及びオレフィン化合物の製造)
0.5gの触媒Cを石英製の反応管に充填し、アセトン濃度が5.6vol%、水濃度が32.4vol%、メタノール濃度が25.4vol%である窒素混合ガスを、12ml/分の速度で反応管へ供給し、常圧下、450℃で反応を行なった。反応管のガス排出口から排出されたガスをガスクロマトグラフィーで分析し、供給したアセトンモル数に対するイソプロパノールおよびプロピレンの生成量を調べた。結果を表2に示す。なお、表中「ACT」はアセトン、「IPA」はイソプロパノール、「C3’」はプロピレンを表す。
【0088】
[実施例34]
(エタノールによるアルコール化合物及びオレフィン化合物の製造)
アセトン濃度が5.1vol%、水濃度が33.1vol%、エタノール濃度が26.0vol%である窒素混合ガスを用いたこと以外は実施例33と同様の操作を行なった。結果を表2に示す。
【0089】
[実施例35]
(1−ブタノールによるアルコール化合物及びオレフィン化合物の製造)
アセトン濃度が5.8vol%、水濃度が33.1vol%、1−ブタノール濃度が23.5vol%である窒素混合ガスを用いたこと以外は実施例33と同様の操作を行なった。結果を表2に示す。
【0090】
[実施例36]
(2−ブタノールによるアルコール化合物及びオレフィン化合物の製造)
アセトン濃度が5.8vol%、水濃度が33.1vol%、2−ブタノール濃度が23.5vol%である窒素混合ガスを用いたこと以外は実施例33と同様の操作を行なった。結果を表2に示す。
【0091】
[比較例5]
(アルコールなし)
アセトン濃度が6.5vol%、水濃度が33.3vol%である窒素混合ガスを用いたこと以外は実施例33と同様の操作を行なった。結果を表2に示す。
【0092】
[比較例6]
(水素によるアルコール化合物及びオレフィン化合物の製造)
アセトン濃度が6.4vol%、水濃度が33.2vol%、水素濃度が25.4vol%である窒素混合ガスを用いたこと以外は実施例33と同様の操作を行なった。結果を表2に示す。
【0093】
【表3】

【0094】
[実施例37]
(アセトンリサイクル検討)
アセトン濃度が5.5vol%、エタノール濃度が34.1vol%、水濃度が32.5vol%、である窒素混合ガスを用いたこと以外は実施例8の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表3−1及び3−2に示す。
【0095】
[実施例38]
アセトン濃度が2.6vol%、エタノール濃度が34.3vol%、水濃度が32.9vol%、である窒素混合ガスを用いたこと以外は実施例8の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表3−1及び3−2に示す。
【0096】
[実施例39]
アセトン濃度が1.3vol%、エタノール濃度が33.9vol%、水濃度が32.9vol%、である窒素混合ガスを用いたこと以外は実施例8の触媒反応と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表3−1及び3−2に示す。
【0097】
[実施例42]
(触媒A3の調製)
酸化ジルコニウムペレット(第一希元素製、RSC−HP)を破砕し0.18〜0.3mmに整粒し、整粒後の酸化ジルコニウム12.00gに、酢酸カルシウム一水和物0.64gおよびミリポア水7.69gからなる溶液A3、2.79gを少量ずつ整粒後の酸化ジルコニウムに浸透させながら添加し、ポアフィリング体A3を得た。ポアフィリング体A3を100℃で5時間空気中保持し、次いで500℃で2時間空気中保持し触媒A3を得た。
【0098】
(アセトンリサイクル検討)
触媒A3を0.5g用い、アセトン濃度が3.5vol%、エタノール濃度が29.4vol%、水濃度が33.4vol%、である窒素混合ガスを用い、反応圧力が500kPaGであること以外は実施例39と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表3−1及び3−2に示す。
【0099】
[実施例43]
(アセトンリサイクル検討)
触媒O2を0.58g用い、アセトン濃度が2.5vol%、エタノール濃度が31.4vol%、水濃度が32.9vol%であること以外は実施例42のアセトンリサイクル検討と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表3−1及び3−2に示す。
【0100】
[実施例44]
触媒A3を0.1g使用したこと以外は、実施例42のアセトンリサイクル検討と同様の操作を行なった。反応条件及び結果を表3−1及び3−2に示す。
【0101】
【表4】

【0102】
表3−1及び3−2より、未使用もしくは反応器出口から回収した未反応のエタノールと、反応器出口から回収した生成したアセトンを含む原料を使用した場合、反応器出口のプロピレン濃度を高くできることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるアルコール化合物から、該式(1)のアルコール化合物の炭素数よりも少なくとも一つ大きい炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造するための、下記式(2)で表されるアルデヒド化合物と変換用アルコールとから、該式(2)のアルデヒド化合物の炭素数より少なくとも一つ大きい炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造するための、または下記式(3)で表されるケトン化合物と変換用アルコールとから、該式(3)のケトン化合物の炭素数と同じ炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造するための触媒であって、
酸化ジルコニウムである成分(A)50重量%以上100重量%未満と、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、セリウム、チタン、バナジウム、クロム、銅、銀、金、ガリウム、ゲルマニウムおよびスズからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である成分(B)0重量%超50重量%以下とを含む触媒(ただし、成分(A)と成分(B)との合計の重量を100重量%とする。)。
【化1】

[式中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロカルビル基、水酸基またはハロゲン原子を表す。]
【化2】

[式中、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロカルビル基、水酸基またはハロゲン原子を表す。]
【化3】

[式中、R6〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロカルビル基、水酸基またはハロゲン原子を表す。]
【請求項2】
含浸法またはゾルゲル法によって、成分(B)を成分(A)に添加することによって得られる請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
下記式(1)で表されるアルコール化合物を含む原料から、該式(1)のアルコール化合物の炭素数よりも少なくとも一つ大きい炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造する方法であって、前記原料を請求項1または2に記載の触媒と反応器中で接触させることを含む方法。
【化4】

[式中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロカルビル基、水酸基またはハロゲン原子を表す。]
【請求項4】
下記式(2)で表されるアルデヒド化合物と変換用アルコールとを含む原料から、該式(2)のアルデヒド化合物の炭素数より少なくとも一つ大きい炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造する方法であって、前記原料を請求項1または2に記載の触媒と反応器中で接触させることを含む方法。
【化5】

[式中、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロカルビル基、水酸基またはハロゲン原子を表す。]
【請求項5】
下記式(3)で表されるケトン化合物と変換用アルコールとを含む原料から、該式(3)のケトン化合物の炭素数と同じ炭素数のアルコール化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を製造する方法であって、前記原料を請求項1または2に記載の触媒と反応器中で接触させることを含む方法。
【化6】

[式中、R6〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロカルビル基、水酸基またはハロゲン原子を表す。]
【請求項6】
前記原料がさらに水を含み、前記原料に含まれる前記式(1)で表されるアルコール化合物、前記式(2)で表されるアルデヒド化合物、および/または前記式(3)で表されるケトン化合物のモル数(x)に対する、水のモル数(y)の比(y/x)が、0.01〜100である請求項3〜5いずれかに記載の方法。
【請求項7】
反応温度が270℃〜700℃である請求項3〜6いずれかに記載の方法。
【請求項8】
反応圧力が10kPa〜100000kPaである請求項3〜7いずれかに記載の方法。

【公開番号】特開2012−254447(P2012−254447A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−109767(P2012−109767)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年9月26日付け委託契約(平成22年3月19日付け変更契約)、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「新エネルギー技術研究開発/バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発(先導技術開発)/セルロース系バイオマスエタノールからプロピレンを製造するプロセス開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける出願
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】