説明

アルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤、接着剤及びそれを用いて得られる皮革様シート

【課題】本発明が解決しようとする課題は、被着体表面の溶解や変色等を引き起こすことなく、とりわけ被着体が多孔体の場合には、多孔体のセル形状を壊すことなく多孔構造を維持することができ、かつ、優れた接着強度を有するコーティング剤を提供することである。
【解決手段】本発明は、所定の製造方法によって製造することが可能な分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂が1〜7個の炭素原子を有するアルコールに溶解してなるアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成皮革等の製造に使用する多孔質基材の接着や表面被覆、金属基材、プラスチック基材等の様々な基材の接着や表面被覆に使用可能なポリウレタンコーティング剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン組成物としては、主として溶剤系、水系、無溶剤系のものが知られており、それぞれがフィルムや接着剤やコーティング剤をはじめとする様々な用途で使用されている。例えばポリウレタン組成物は、ポリウレタンに起因した良好な柔軟性を備えた硬化物を形成できることから、従来より合成皮革や人工皮革等の皮革様シートの製造に使用されている。
前記皮革様シートは、一般に、繊維質基材と表皮層とが接着剤によって接着されたものであって、近年は、より一層柔軟な風合いを備えた皮革様シートを得る観点から、多孔層等の中間層を設けたものも知られている。ポリウレタン組成物は、前記皮革様シートを構成する表皮層や中間層、更にはそれらを接着するための接着剤に使用されている。
前記皮革様シートの製造に使用可能なポリウレタン組成物としては、例えば分子の側鎖及び/又は末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂と、有機溶剤とからなる、架橋性ポリウレタン樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、前記架橋性ポリウレタン樹脂組成物は、ジメチルホルムアミド(DMF)等の強溶剤を含むため、該接着剤中の強溶剤が前記多孔層の表面や多孔層を形成するセル形状を溶解し、該多孔層に起因した優れた柔軟性を皮革様シートに十分付与できないという問題があった。
また、前記ポリウレタン組成物としては、分子の側鎖及び/又は末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂と、加水分解性シリル基を有しないポリウレタン樹脂と、有機溶剤を必須成分として含有するポリウレタン樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、前記ポリウレタン樹脂組成物もDMFなどの強溶剤を含むため、やはり該組成物中の強溶剤が前記多孔層を溶解し、該多孔層に起因した優れた柔軟性を皮革様シートに十分付与できないという問題があった。
また、前記皮革様シート等を製造する際のコーティング剤に使用可能なポリウレタン組成物としては、例えば側鎖にアルコキシシラン基を含有するポリウレタン樹脂と、加水分解性金属アルコキシド化合物あるいはその多量体を、アルコールを含む溶剤に溶解してなるポリウレタン系樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
しかし、前記ポリウレタン系樹脂組成物は、アルコールの他にメチルエチルケトン、トルエン等の強溶剤を多量に含むため、やはり該組成物中の強溶剤が前記多孔層を溶解し、該多孔層に起因した優れた柔軟性を皮革様シートに十分付与できないという問題があった。
以上のように、多孔層をはじめとする被着体表面の劣化等を引き起こすことなく、優れた接着強度を有するコーティング剤、とりわけ接着剤が求められているが、かかるコーティング剤は見いだされていないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−60783号公報
【特許文献2】特開平11−60936号公報
【特許文献3】特開2001−270985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、被着体表面の溶解や変色等を引き起こすことなく、とりわけ被着体が多孔体の場合には、多孔体のセル形状を壊すことなく多孔構造を維持することができ、かつ、優れた接着強度を有するコーティング剤を提供することである。
また、本発明が解決しようとする課題は、多孔層を溶解することなく、優れた柔軟な風合いを有する皮革様シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記製法で製造して得られたポリウレタンであれば、アルコールに溶解可能なポリウレタンコーティング剤に使用できることを見いだした。
【0006】
即ち、本発明は、分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)が1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)に溶解してなるアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤であって、前記アルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤が、ポリイソシアネート(v)と、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオール(w)とを、無溶媒下で反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(x)を製造し、
次いで、
ジアミン(y)と、モノアミンシランカップリング剤、ジアミンシランカップリング剤及びモノイソシアネートシランカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上のカップリング剤(z)と、1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)との混合物、及び、前記ウレタンプレポリマー(x)を混合し反応させることで、前記アルコール(B)に溶解した分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)を製造する方法(方法1)、
ジアミン(y)と、モノアミンシランカップリング剤、ジアミンシランカップリング剤及びモノイソシアネートシランカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上のカップリング剤(z)との混合物、及び、前記ウレタンプレポリマー(x)を混合し反応させることで分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)を製造し、前記ポリウレタン樹脂(A)と1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)とを混合することで前記アルコール(B)に溶解した分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)を製造する方法(方法2)、
前記ウレタンプレポリマー(x)及び1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)の混合物と、ジアミン(y)と、モノアミンシランカップリング剤、ジアミンシランカップリング剤及びモノイソシアネートシランカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上のシランカップリング剤(z)とを混合し反応させることで、前記アルコール(B)に溶解した分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)を製造する方法(方法3))
または
モノアミンシランカップリング剤、ジアミンシランカップリング剤及びモノイソシアネートシランカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上のカップリング剤(z)と前記ウレタンプレポリマー(x)とを混合し反応させることで分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)を製造し、前記ポリウレタン樹脂(A)と1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)とを混合することで前記アルコール(B)に溶解した分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)を製造する方法(方法4)、
のいずれかの方法で製造して得られるものであることを特徴とするアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤に関するものである。
また、本発明は、基材層と多孔層と表皮層とが接着剤によって接着されてなる皮革様シートであって、前記接着剤が前記アルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤であることを特徴とする皮革様シートに関するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤であれば、被着体の表面の劣化や変色等を引き起こすことがないから、例えば、鋼板等の金属基材の接着や表面被覆、プラスチック基材の接着や表面被覆などにも使用することができる。
また、本発明のアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤は、ウレタンフォーム等の多孔質基材の表面に塗布した場合であっても、孔(セル)の変形や孔の大きさを小さくする等の問題を引き起こすことがないため、多孔質基材が有する柔軟な風合い等を損なうことがない。したがって、本発明のコーティング剤は、接着剤に好適に使用することがで、とりわけ合成皮革や人工皮革等の皮革様シートの製造に使用する多孔質基材と表皮層との接着等に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤は、分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂とアルコールと必要に応じてその他成分を含有するもののうち、後述する特定の製造方法によって製造したものである。
本発明のアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤は、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(x)を製造する工程(第一工程)、及び、前記ウレタンプレポリマー(x)と、ジアミン(y)及びカップリング剤(z)またはカップリング剤(z)のみとを反応させることで前記アルコール(B)に溶解した分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)を製造する工程(第二工程)とを経て得られたものである。
【0009】
はじめに、前記第一工程について説明する。
前記第一工程は、ポリイソシアネート(v)と、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオール(w)とを、無溶媒下で反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(x)を合成する工程である。
ここで、前記ポリイソシアネート(v)と前記ポリオール(w)との反応は、無溶媒下で行うことが重要である。例えばDMF等の強溶剤の存在下で上記反応を行うと、本発明のアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤中に残留した強溶剤が、被着体の表面の溶解や変色等を引き起こす場合がある。また、溶媒として後述するようなアルコールを使用した場合、前記ポリイソシアネート(v)とアルコールとが反応してしまい、所望のポリウレタン樹脂(A)を得ることができない場合がある。
【0010】
また、前記ポリイソシアネート(v)と前記ポリオール(w)との反応は、前記ポリイソシアネート(v)の有するイソシアネート基と前記ポリオール(w)の有する水酸基との当量割合[ポリイソシアネート(v)の有するイソシアネート基/ポリオール(w)の有する水酸基]が1.0〜10.0の範囲で行うことが好ましく、1.0〜5.0の範囲で行うことがより好ましく、1.0〜2.0の範囲で行うことが特に好ましい。前記範囲で反応させることによって、優れた粘着力と接着強度や基材密着性を備えたコーティング剤を得ることができる。
【0011】
ポリイソシアネート(v)と前記ポリオール(w)とを無溶媒下で反応させる際の反応条件は、急激な発熱や発泡などに十分に注意し安全性を考慮して、例えば、反応温度、仕込量、滴下速度、攪拌速度などを適宜調整し制御しながら行えばよい。
例えば、前記反応温度は、60〜120℃の範囲であることが好ましく、80〜100℃の範囲であることがより好ましい。
また、前記ポリイソシアネート(v)と前記ポリオール(w)との混合は、それぞれを一括混合する方法や、滴下等の逐次供給する方法によって行うことができる。
【0012】
前記第一工程で使用するポリイソシアネート(v)としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート、あるいはイソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)等の脂環族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート等を使用することができる。
前記ポリイソシアネート(v)のなかでも、後述するアルコール(B)に対して良好な溶解性を有し、かつ前記アルコール(B)とも副反応しにくいポリウレタン樹脂(A)を製造する観点から、脂環族系ポリイソシアネートを使用することが好ましいく、イソホロンジイソシアネートを使用することが特に好ましい。
【0013】
また、前記ポリオール(w)は、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオールであり、好ましくはポリエーテルポリオールである。
【0014】
前記ポリエーテルエステルポリオールとしては、例えば、従来知られるポリエーテルポリオールとポリカルボン酸とを反応させて得られるものを使用することができる。
具体的には、水やエチレングリコール等の反応開始剤とエチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとを反応して得られたポリエーテルポリオール、及び、アジピン酸等のポリカルボン酸とを反応させて得られたものを使用することができる。
【0015】
また、ポリエステルポリオールとしては、例えば、重縮合系、開環重合系などの各種ポリエステルポリオールを使用することができる。
【0016】
前記重縮合系ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多塩基酸との縮合反応により得られるポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0017】
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等を単独または2種以上併用して使用することができる。
【0018】
また、前記多塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などの脂肪族多塩基酸、シクロペンタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式多塩基酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族多塩基酸等を単独または2種以上併用して使用することができる。
【0019】
前記開環重合系ポリエステルポリオールとしては、例えば、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン等の環状エステル化合物(即ち、ラクトン類)の開環重合により得られるポリカプロラクトンポリオール等を使用することができる。
【0020】
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば炭酸エステルと脂肪族ポリオールとを反応させて得られるものや、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものを使用することができる。
【0021】
前記炭酸エステルとしては、メチルカーボネートや、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネ−ト等を使用することできる。
【0022】
前記炭酸エステルと反応しうるポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチルプロパノールジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の比較的低分子量のジヒドロキシ化合物や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールや、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール等を使用することができる。
【0023】
前記ポリカーボネートポリオールとしては、前記ジメチルカーボネートと前記3−メチル−1,5−ペンタンジオールとを反応させて得られるものを使用することが、優れたプラスチック基材に対する密着性と優れた基材追従性とを両立でき、かつ安価であることからより好ましい。
【0024】
また、前記ポリカーボネートポリオールとしては、500〜6000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましい。
【0025】
また、前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、分子中に活性水素含有基を2個以上有する反応開始剤とアルキレンオキサイドとの反応により得られるものを使用することができる。
【0026】
前記反応開始剤としては、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、メチルグルコジット、ソルビトール、蔗糖、脂肪族アミン系化合物、芳香族アミン系化合物、蔗糖アミン系化合物、燐酸、酸性リン酸エステル等を単独または2種以上を併用して使用することができる。
【0027】
前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、テトラヒドロフラン(THF)等の環状エーテル化合物を単独または2種以上を併用して使用することができる。
前記ポリエーテルポリオールとしては、具体的には、ポリオキシエチレングリコールやポリオキシプロピレングリコールを単独又は組み合わせ使用することが好ましい。
また、前記ポリエーテルポリオールとしては、500〜3000の分子量を有するものを使用することが好ましい。
【0028】
また、前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオールの変性体である、ポリマーポリオール、PHD(polyharnsstoff)ポリエーテルポリオール、ウレタン変性ポリエーテルポリオール等も挙げることができる。
【0029】
尚、前記ポリマーポリオールとは、ポリオール中で、アクリロニトリル(AN)、スチレンモノマー(SM)等のビニル基含有単量体をグラフト重合させたポリエーテルポリオールをいう。また、前記PHDポリエーテルポリオールとは、ポリエーテル中でジアミンとジイソシアネ−トを反応させ、生成するポリウレアを安定分散させたポリオールをいう。
【0030】
また、前記ポリイソシアネート(v)と反応しうるポリオールとしては、前記ポリオール(w)の他に、必要に応じてその他のポリオールを使用することができる。
【0031】
前記その他のポリオールとしては、例えば、一般に鎖伸長剤として使用されるポリオールや、主鎖が炭素−炭素結合よりなるポリオール等を挙げることができる。
【0032】
前記鎖伸長剤としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3,3’−ジメチロールへプタン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、3,3−ビス(ヒドロキシメチル)へプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ハイドロキノンジエチロールエーテル等の多価アルコール、アミン化合物、アルカノールアミン等を単独または2種以上併用して使用することができる。
【0033】
また、前記主鎖が炭素−炭素結合よりなるポリオールとしては、例えば、アクリル共重合体に水酸基を導入したアクリルポリオール、分子内に水酸基を含有するブタジエンの共重合体であるポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分鹸化物(部分鹸化EVAともいう。)等が挙げられる。かかる主鎖が炭素−炭素結合よりなるポリオールの種類、使用量などは、本発明の目的を阻害しない範囲であれば特に限定しない。
【0034】
次に、本発明のアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤を製造する前記第二工程について説明する。
本発明では、前記ウレタンプレポリマー(x)を製造する第一工程に次いで、以下の(方法1)〜(方法)のいずれかの方法で、分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)のアルコール(B)溶液を製造する工程(第二工程)を必須とする。
【0035】
はじめに、前記(方法1)について説明する。
前記(方法1)は、ジアミン(y)と、モノアミンシランカップリング剤、ジアミンシランカップリング剤及びモノイソシアネートシランカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上のカップリング剤(z)と、1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)との混合物、及び、前記ウレタンプレポリマー(x)を混合し反応させることで、前記アルコール(B)に溶解した分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)を製造する方法である。
【0036】
具体的には、予め調製したジアミン(y)及びシランカップリング剤(z)を含むアルコール(B)溶液と、前記第一工程で得られた前記ウレタンプレポリマー(x)とを混合し、前記ジアミン(y)及びシランカップリング剤(z)の有するアミノ基と、前記ウレタンプレポリマー(x)の有するイソシアネート基とを反応させることによって、前記アルコール(B)に溶解したポリウレタン樹脂(A)を製造することができる。
前記アルコール(B)溶液と前記ウレタンプレポリマー(x)との混合は、それらを一括して混合する方法や、いずれか一方を滴下等のように逐次供給し混合する方法で行ってもよい。
また、前記ジアミン(y)及びシランカップリング剤(z)の有するアミノ基と、前記ウレタンプレポリマー(x)の有するイソシアネート基との反応は、概ね10〜50℃の範囲で行うことが好ましい。
【0037】
次に、前記(方法2)について説明する。
前記(方法2)は、ジアミン(y)と、モノアミンシランカップリング剤、ジアミンシランカップリング剤及びモノイソシアネートシランカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上のカップリング剤(z)との混合物、及び、前記ウレタンプレポリマー(x)を混合し反応させることで分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)を製造し、前記ポリウレタン樹脂(A)と1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)とを混合することで前記アルコール(B)に溶解した分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)を製造する方法である。
【0038】
具体的には、予め調製したジアミン(y)及びシランカップリング剤(z)の混合物と、前記第一工程で得られた前記ウレタンプレポリマー(x)とを混合し、前記ジアミン(y)及びシランカップリング剤(z)の有するアミノ基と、前記ウレタンプレポリマー(x)の有するイソシアネート基とを反応させることによって前記ポリウレタン樹脂(A)を製造し、次いで、得られたポリウレタン樹脂(A)と1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)とを混合し、攪拌することによって、ポリウレタン樹脂(A)の前記アルコール(B)溶液を得ることができる。
前記シランカップリング剤(z)の混合物と、前記ウレタンプレポリマー(x)との混合は、それらを一括して混合する方法や、いずれか一方を滴下等のように逐次供給し混合する方法のいずれで行っても良い。
また、前記ポリウレタン樹脂(A)と前記アルコール(B)との混合も、それらを一括して混合する方法や、いずれか一方を滴下等のように逐次供給し混合する方法のいずれで行っても良い。
また、前記ジアミン(y)及びシランカップリング剤(z)の有するアミノ基と、前記ウレタンプレポリマー(x)の有するイソシアネート基との反応や、前記ポリウレタン樹脂(A)と前記アルコール(B)との混合は、概ね10〜50℃の範囲で行うことが好ましい。
【0039】
次に、前記(方法3)について説明する。
前記(方法3)は、前記第一工程で得られたウレタンプレポリマー(x)及び1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)の混合物、ジアミン(y)と、モノアミンシランカップリング剤、ジアミンシランカップリング剤及びモノイソシアネートシランカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上のシランカップリング剤(z)とを混合し反応させることによって、1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)に溶解した分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)を製造する方法である。
【0040】
具体的には、前記第一工程で得られた前記ウレタンプレポリマー(x)を1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)に溶解した混合物を予め調製し、該混合物と、ジアミン(y)及びシランカップリング剤(z)とを混合し、前記ジアミン(y)及びシランカップリング剤(z)の有するアミノ基と、前記ウレタンプレポリマー(x)の有するイソシアネート基とを反応させることによって、ポリウレタン樹脂(A)の前記アルコール(B)溶液を得ることができる。
前記ウレタンプレポリマー(x)と前記アルコール(B)との混合や、前記ジアミン(y)とシランカップリング剤(z)との混合は、それらを一括して混合する方法であっても、いずれか一方を滴下等のように逐次供給し混合する方法であっても良い。
また、前記ジアミン(y)及びシランカップリング剤(z)の有するアミノ基と、前記ウレタンプレポリマー(x)の有するイソシアネート基との反応や、前記した各種成分の混合は、概ね10〜50℃の範囲で行うことが好ましい。
【0041】
次に、前記(方法4)について説明する。
前記(方法4)は、モノアミンシランカップリング剤、ジアミンシランカップリング剤及びモノイソシアネートシランカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上のカップリング剤(z)と前記ウレタンプレポリマー(x)とを混合し反応させることで分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)を製造し、前記ポリウレタン樹脂(A)と1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)とを混合することで前記アルコール(B)に溶解した分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)を製造する方法である。
【0042】
具体的には、シランカップリング剤(z)と、前記第一工程で得られた前記ウレタンプレポリマー(x)とを混合し、シランカップリング剤(z)の有するアミノ基と、前記ウレタンプレポリマー(x)の有するイソシアネート基とを反応させることによって前記ポリウレタン樹脂(A)を製造し、次いで、得られたポリウレタン樹脂(A)と1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)とを混合し、攪拌することによって、ポリウレタン樹脂(A)の前記アルコール(B)溶液を得ることができる。
前記シランカップリング剤(z)と、前記ウレタンプレポリマー(x)との混合は、それらを一括して混合する方法や、いずれか一方を滴下等のように逐次供給し混合する方法のいずれで行っても良い。
また、前記ポリウレタン樹脂(A)と前記アルコール(B)との混合も、それらを一括して混合する方法や、いずれか一方を滴下等のように逐次供給し混合する方法のいずれで行っても良い。
また、前記シランカップリング剤(z)の有するアミノ基と、前記ウレタンプレポリマー(x)の有するイソシアネート基との反応や、前記ポリウレタン樹脂(A)と前記アルコール(B)との混合は、概ね10〜50℃の範囲で行うことが好ましい。
前記(方法4)記載の方法は、前記ポリウレタン樹脂(A)の製造に使用するポリイソシアネートとして芳香族ポリイソシアネートを使用する場合に採用することが好ましい。
【0043】
前記(方法1)〜(方法3)で使用するジアミン(y)としては、例えば、イソホロンジアミン(IPDA)、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、ジアミノエタン、1,2−又は1,3−ジアミノプロパン、1,2−又は1,3−又は1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、N,N’−ビス−(2−アミノエチル)ピペラジン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス−(4−アミノ−3−ブチルシクロヘキシル)メタン、1,2−、1,3−及び1,4−ジアミノシクロヘキサン、ノルボルネンジアミン、ヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジン等を単独または2種以上併用して使用できる。なかでも前記アルコール(B)への溶解性に優れることから、非対称構造を有するイソホロンジアミン(IPDA)を使用することが好ましい。
【0044】
前記ジアミン(y)は、ウレタンプレポリマー(x)が有するイソシアネート基の1.00当量に対して、アミノ基が0.50〜1.00(当量比)の割合で使用することが好ましく、0.60〜0.90の割合で使用することがより好ましい。かかる当量比となる範囲でジアミン(y)を使用することによって、優れた接着強度、即ち被着体に対する密着性を備えたコーティング剤を得ることができる。
【0045】
また、前記第二工程で使用するシランカップリング剤(z)としては、モノアミンシランカップリング剤、ジアミンシランカップリング剤及びモノイソシアネートシランカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上のものを使用することができる。
【0046】
前記モノアミンシランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のモノアミンシランカップリング剤を単独または2種以上併用して使用することができる。
【0047】
前記ジアミンシランカップリング剤としては、例えば、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のジアミンシランカップリング剤を単独または2種以上併用して使用することができる。
【0048】
前記モノイソシアネートシランカップリング剤としては、例えば、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のモノイソシアネートシランカップリング剤を単独または2種以上併用して使用することができる。
【0049】
前記シランカップリング剤(z)としては、優れた接着強度や被着体に対する密着性を備えたコーティング剤を得る観点から、前記モノアミンシランカップリング剤やジアミンシランカップリング剤、モノイソシアネートシランカップリング剤を使用することが好ましく、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシランを使用することがより好ましい。
【0050】
前記シランカップリング剤(z)は、前記ウレタンプレポリマー(x)が有するイソシアネート基の1.00当量に対して、アミノ基が0.01〜1.0(当量比)の割合で使用することが好ましく、0.01〜0.1(当量比)の割合で使用することがより好ましい。かかる当量比となる範囲で前記シランカップリング剤(z)を使用することによって、優れた接着強度や被着体に対する密着性を備えたコーティング剤を得ることができる。
【0051】
前記第一工程及び第二工程を経て得られたポリウレタン樹脂(A)は、1万〜10万の数平均分子量を有するものであることが好ましく、3万〜8万の数平均分子量を有するものであることが、優れた粘着力や接着強度を付与するうえで好ましい。また、前記方法で得られたポリウレタン樹脂(A)は、DMF等の強溶剤を使用せずとも、1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)に対して良好な可溶性を有している。
【0052】
次に、本発明で使用する1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)について説明する。
前記アルコール(B)は、ポリウレタン樹脂(A)に対して優れた溶媒あるいは分散媒として有効に作用する。
前記アルコール(B)は、直鎖構造、分岐構造、環状構造などの何れの構造のものでもよいが、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどの1〜4個の炭素原子数を有するアルコールを使用することが好ましく、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールを単独または2種以上併用して使用することがより好ましい。
【0053】
前記アルコール(B)は、DMFなどの強溶剤とは異なり、弱溶剤に分類されるものであるため、例えば、被着体の表面を劣化したりすることがない。とりわけ、被着体が多孔体である場合には、多孔体を構成する孔を壊すことがないから、多孔体由来の柔軟性を損なうことがない。
したがって、本発明のアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤は、多孔層を備えた皮革様シートの製造する際の接着剤に好適に使用することができる。
【0054】
前記ポリウレタン樹脂(A)と前記アルコール(B)の使用割合は、ポリウレタン樹脂(A)とアルコール(B)との合計質量〔A+B〕に対して、ポリウレタン樹脂(A)20〜80質量%及びアルコール(B)80〜20質量%が好ましく、ポリウレタン樹脂(A)20〜60質量%及びアルコール(B)80〜40質量%がより好ましい。
【0055】
本発明のアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤には、必要に応じて、例えば架橋剤や触媒、成膜助剤、充填材、チキソトロピー付与剤、粘着性付与剤、界面活性剤、顔料、ブレンド用の樹脂、その他の添加剤等を本発明の目的を阻害しない範囲で添加することができる。
【0056】
前記架橋剤としては、例えばイソシアネート系架橋剤を使用することができ、具体的には、トリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート等を使用することができる。
また、前記触媒としては、従来知られる酸触媒や金属触媒、例えばスズ系触媒等を適宜使用することができる。
【0057】
前記成膜助剤としては、特に限定しないが、例えば、アニオン系界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸エステルソーダ塩など)、疎水性ノニオン系界面活性剤(ソルビタンモノオレエートなど)、シリコーンオイル、水などが挙げられる。
【0058】
前記充填材としては、特に限定しないが、例えば、炭酸塩(例えばカルシウム塩、カルシウム・マグネシウム塩、マグネシウム塩等)、珪酸、珪酸塩(例えばアルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等)、水酸化物(例えばアルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等)、硫酸塩(例えばバリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等)、硼酸塩(例えばアルミニウム塩、亜鉛塩、カルシウム塩等)、チタン酸塩(例えばカリウム塩等)、金属酸化物(例えば亜鉛、チタン、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等)、炭素物、有機物等が挙げられる。
【0059】
前記チキソトロピー付与剤としては、特に限定しないが、例えば、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、パラフィン、樹脂酸、界面活性剤、ポリアクリル酸等で表面処理された前記充填材、ポリ塩化ビニルパウダー、水添ヒマシ油、微粉末シリカ、有機ベントナイト、セピオライト等が挙げられる。
【0060】
前記粘着性付与剤としては、特に限定しないが、例えば、ロジン樹脂系、テルペン樹脂系、フェノール樹脂系等の粘着性付与剤が挙げられる。
【0061】
更に、その他の添加剤としては、例えば、反応促進剤(金属系、金属塩系、アミン系等)、安定剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤等)、水分除去剤(4−パラトルエンスルフォニルイソシアネート等)、吸着剤(生石灰、消石灰、ゼオライト、モレキュラーシーブ等)、接着性付与剤(カップリング剤、有機金属系カップリング剤等)、消泡剤、レベリング剤等の種々の添加剤が挙げられる。
【0062】
また、本発明のアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤は、DMFやトルエン等の一般に強溶剤と分類されるものを実質的に含まないことが好ましい。具体的には、本発明のコーティング剤の全量に対して強溶剤は0〜5質量%の範囲であることが好ましく0〜1質量%の範囲であることがより好ましく。0質量%であることが特に好ましい。
【0063】
本発明のアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤は、前記したように被着体表面の溶解や劣化や変色等を引き起こさないことから、接着剤に使用することができる。例えばプラスチック、金属、ガラス、木材等からなる被着体の接着や表面被覆に使用することができる。本発明のアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤は、とりわけ、強溶剤の影響によって溶解等を引き起こしやすい多孔体からなる被着体に対しても好適に使用することができる。
【0064】
プラスチックからなる被着体としては、一般に、携帯電話、家電製品、自動車内外装材、OA機器等のプラスチック成型品に採用されている素材として、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)、ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA樹脂)、アクリル樹脂等からなる基材が挙げられる。
【0065】
金属からなる被着体としては、例えば、自動車、家電、建材等の用途に使用される亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金鋼板等のめっき鋼板や、アルミ板、アルミ合金板、電磁鋼板、銅板、ステンレス鋼板等を使用することができる。
また、前記被着体としては、平面状のものであっても曲面形状を有するものであってもよく、更には、ウレタンフォーム等の多孔体構造のものであっても良い。
【0066】
また、本発明のアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤は、多孔体が有する孔を溶解し壊すことがないから、該多孔体が有する柔軟性を損なうことなく、また、優れた接着強度を発現できることから、例えば人工皮革や合成皮革等の皮革様シートを構成する多孔層と表皮層、多孔層と繊維質基材との接着に好適に使用することができる。また、前記した各種被着体の表面被覆に使用することもできる。
前記皮革様シートは、前記したとおり、表皮層と繊維質基材とからなり、必要に応じて多孔層等の中間層を有する。
前記表皮層としては、例えば、従来知られる水性ポリウレタン樹脂や溶剤系ポリウレタン樹脂等を用いて形成したフィルム状のものを使用することができる。
また、前記繊維質基材としては、例えば不織布や織布を使用することができる。前記不織布には、その補強を目的として、編織布等の織布が積層されていても良い。
【0067】
前記繊維質基材を構成する繊維としては、例えば天然繊維、化学繊維のいずれも使用することができる。天然繊維としては、綿、羊毛、絹、石綿等などを使用することができ、、化学繊維としてはレーヨン、テンセル、アセテート、トリアセテート、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル等からなる繊維を使用することができる。また、前記繊維質基材は、必要に応じて、従来知られるウレタン樹脂組成物が含浸等されていても良い。
また、前記中間層に使用する多孔体としては、例えばDMF含有溶剤系ポリウレタン樹脂組成物を湿式法によって発泡させて得られたものや湿気硬化型ポリウレタンホットメルト組成物等を、水や窒素ガス等を用いて発泡させて形成したものを使用することができる。
【0068】
本発明のアルコール可溶型ポリウレタン接着剤を用いて被着体を接着する方法は、たとえば、被着体表面に前記アルコール可溶型ポリウレタン接着剤を塗布し、次いで、ウェットラミネート法やドライラミネート法によって行うことができる。
したがって、前記皮革様シートを製造する場合も、繊維質基材や表皮層や多孔層等の表面に前記アルコール可溶型ポリウレタン接着剤を塗布し、次いで、ウェットラミネート法やドライラミネート法によって製造することができる。
前記方法で得られた皮革様シートは、意匠性付与の観点から、従来知られている表面仕上げ処理や、揉み加工等が表皮層表面に施されていても良い。
【0069】
前記方法で得られた皮革様シートは、例えば靴、鞄、衣料、椅子やソファ等の家具、車両シートやハンドル等の自動車用内装材、透湿防水素材等に使用することが可能である。
【実施例】
【0070】
以下、本発明を実施例により一層具体的に説明する。本発明で用いた測定方法及び評価方法は、以下の通りである。
【0071】
〔ポリウレタン樹脂の数平均分子量の測定方法〕
ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、ポリスチレン換算によるゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)を用い、下記条件にて測定した。
樹脂試料溶液;0.4%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液
カラム ;KD−806M(昭和電工株式会社製)
溶離液 ;DMF
【0072】
〔実施例1〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、イソホロンジイソシアネート280gと、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gを仕込み、無溶媒下にて窒素気流下90℃で攪拌下6時間反応させて、ウレタンプレポリマー(x−1)を合成した。
次いで、第二工程として、予め調製したイソホロンジアミン28g、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン4.6g、及びイソプロピルアルコール134gからなる混合物中に、攪拌しながら前記ウレタンプレポリマー(x−1)217gを添加して、40℃で3時間反応した後、反応停止剤としてジエタノールアミン4.4gを添加することで、イソプロピルアルコールに溶解したポリウレタン樹脂(A−1)(数平均分子量50000)からなるアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤(I−1)を得た。
また、前記アルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤からなるアルコール可溶型ポリウレタン接着剤(I)を得た。
【0073】
〔実施例2〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置中のポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gに、2,4−トリレンジイソシアネート78gを加え、無溶剤中にて窒素気流下90℃で反応させることによって、ウレタンプレポリマー(x−2)を合成した。
次いで、第二工程として、予め調製したγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン0.85g、ジ(n−ブチル)アミン0.99g、及びイソプロピルアルコール559gからなる混合物中に、攪拌しながら前記ウレタンプレポリマー(x−2)217gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、イソプロピルアルコールに溶解したポリウレタン樹脂(A−2)(数平均分子量50000)からなる本発明のアルコール可溶型ポリウレタン接着剤(II)を得た。
【0074】
〔実施例3〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)328gと、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとを仕込み、無溶媒下にて窒素気流下100℃で6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x−3)を合成した。
次いで、第二工程として、予め調製したジシクロヘキシルメタンジアミン(水添MDA)15g、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン3.16g、及びイソプロピルアルコール367gからなる混合物中に、攪拌しながら前記ウレタンプレポリマー(x−3)139gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、イソプロピルアルコールに溶解したポリウレタン樹脂(A−3)(数平均分子量50000)からなる本発明のアルコール可溶型ポリウレタン接着剤(III)を得た。
【0075】
〔実施例4〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)421gと、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとを仕込み、無溶媒下にて窒素気流下100℃で6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x−4)を合成した。
次いで、第二工程として、予め調製したイソホロンジアミン40g、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン3.22g、及びイソプロピルアルコール449gからなる混合物中に、攪拌しながら前記ウレタンプレポリマー(x−4)149gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、イソプロピルアルコールに溶解したポリウレタン樹脂(A−4)(数平均分子量50000)からなる本発明のアルコール可溶型ポリウレタン接着剤(IV)を得た。
【0076】
〔実施例5〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、イソホロンジイソシアネートを310gと、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとを仕込み、無溶媒下にて窒素気流下100℃で6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x−5)を合成した。
次いで、第二工程として、予め調製したイソホロンジアミン26g、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン5.88g、及びエタノール541gからなる混合物中に、攪拌しながら前記ウレタンプレポリマー(x−5)200gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、エタノールに溶解したポリウレタン樹脂(A−5)(数平均分子量50000)からなる本発明のアルコール可溶型ポリウレタン接着剤(V)を得た。
【0077】
〔実施例6〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、イソホロンジイソシアネート280gと、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとを仕込みを仕込み、無溶媒下にて窒素気流下100℃で攪拌下6時間反応させて、ウレタンプレポリマー(x−6)を合成した。
次いで、第二工程として、予め調製したイソホロンジアミン20g、及びγ−アミノプロピルトリエトキシシラン1.57gからなる混合物中に、攪拌しながら前記ウレタンプレポリマー(x−6)217gを添加して、50℃で3時間反応させた後、イソプロピルアルコール557gを加えて溶解することによって、イソプロピルアルコールに溶解したポリウレタン樹脂(A−6)(数平均分子量50000)からなる本発明のアルコール可溶型ポリウレタン接着剤(VI)を得た。
【0078】
〔実施例7〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとイソホロンジイソシアネート279gとを仕込み、無溶剤にて窒素気流下100℃で攪拌下6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x−7)を合成した。
次いで第二工程として、前記ウレタンプレポリマー(x−7)207gとイソプロピルアルコール533gとの混合物を調製し、該混合物中に、攪拌しながらイソホロンジアミン20.00g、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1.61gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、イソプロピルアルコールに溶解したポリウレタン樹脂(A−7)(数平均分子量50000)からなる本発明のアルコール可溶型ポリウレタン接着剤(VII)を得た。
【0079】
〔実施例8〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとイソホロンジイソシアネート279gとを仕込み、無溶剤にて窒素気流下100℃で攪拌下6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x−8)を合成した。
次いで第二工程として、前記ウレタンプレポリマー(x−8)222gとイソプロピルアルコール571gとを混合して混合物を得、次いで該混合物中に、攪拌しながらイソホロンジアミン 20.80g、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 0.87g、ジ(n−ブチル)アミン1.01gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、イソプロピルアルコールに溶解したポリウレタン樹脂(A−8)(数平均分子量50000)からなる本発明のアルコール可溶型ポリウレタン接着剤(VIII)を得た。
【0080】
〔実施例9〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとイソホロンジイソシアネート279gを仕込み、無溶剤にて窒素気流下100℃で攪拌下6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x−9)を合成した。
次いで第二工程として、前記ウレタンプレポリマー(x−9)217gとイソプロピルアルコール564gとを混合して混合物を得、次いで該混合物中に、攪拌しながらイソホロンジアミン 21.66g、ジ(n−ブチル)アミン 1.02g、及びγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン 1.95gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、イソプロピルアルコールに溶解したポリウレタン樹脂(A−9)(数平均分子量50000)からなる本発明のアルコール可溶型ポリウレタン接着剤(IX)を得た。を得た。
【0081】
〔実施例10〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)328gを仕込み、無溶剤にて窒素気流下100℃で6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x−10)を合成した。
次いで第二工程として、前記ウレタンプレポリマー(x−10)139gとエタノール367gとを混合して混合物を得、次いで該混合物中に、攪拌しながらジシクロヘキシルメタンジアミン(水添MDA)15.00g、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン3.16gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、エタノールに溶解したポリウレタン樹脂(A−10)(数平均分子量50000)からなる本発明のアルコール可溶型ポリウレタン接着剤(X)を得た。
【0082】
〔実施例11〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)421gとを仕込み、無溶剤にて窒素気流下100℃で6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x−11)を合成した。
次いで第二工程として、前記ウレタンプレポリマー(x−11)149gとイソプロピルアルコール 449gとを混合して混合物を得、次いで該混合物中に、攪拌しながらイソホロンジアミン 40.00g、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 3.22gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、イソプロピルアルコールに溶解したポリウレタン樹脂(A−11)(数平均分子量50000)からなる本発明のアルコール可溶型ポリウレタン接着剤(XI)を得た。
【0083】
〔実施例12〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとイソホロンジイソシアネート 419gを仕込み、無溶剤にて窒素気流下100℃で6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x−12)を合成した。
次いで第二工程として、前記ウレタンプレポリマー(x−12)153gとエタノール407gとを混合して混合物を得、次いで該混合物中に、攪拌しながらイソホロンジアミン 20.00g、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン 1.62gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、エタノールに溶解したポリウレタン樹脂(A−12)(数平均分子量50000)からなる本発明のアルコール可溶型ポリウレタン接着剤(XII)を得た。
【0084】
〔比較例1〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、イソホロンジイソシアネートを280gと、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとを仕込み、無溶媒下にて窒素気流下100℃で攪拌下6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x’−1)を合成した。
次いで、第二工程として、予め調製したイソホロンジアミン20g、ジ(n−ブチル)アミン1.29g、イソプロピルアルコール557gからなる混合物中に、攪拌しながら前記ウレタンプレポリマー(x’−1)217gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、イソプロピルアルコールに溶解したポリウレタン樹脂(A’−1)(数平均分子量50000)からなるアルコール可溶型ポリウレタン接着剤(I’)を得た。
【0085】
〔比較例2〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、イソホロンジイソシアネートを280gと、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとを仕込み、窒素気流下100℃で攪拌下6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x’−2)を合成した。
次いで、第二工程として、予め調製したイソホロンジアミン20g、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1.57g、及びジメチルホルムアミド(DMF)557gからなる混合物中に、攪拌しながら前記ウレタンプレポリマー(x’−2)の217gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、ジメチルホルムアミドに溶解したポリウレタン樹脂(A’−2)(数平均分子量50000)からなるポリウレタン接着剤(II')を得た。
【0086】
〔比較例3〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、イソホロンジイソシアネートを280gと、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとを仕込み、窒素気流下100℃で攪拌下6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x’−3)を合成した。
次いで、第二工程として、予め調製したイソホロンジアミン20.80g、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.85g、ジ(n−ブチル)アミン0.99g、及びジメチルホルムアミド(DMF)559gからなる混合物中に、攪拌しながら前記ウレタンプレポリマー(x’−3)217gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、ジメチルホルムアミドに溶解したポリウレタン樹脂(A’−3)(数平均分子量50000)からなるポリウレタン接着剤(III')を得た。
【0087】
〔比較例4〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)328gと、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとを仕込み、窒素気流下100℃で6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x’−4)を合成した。
次いで、第二工程として、予め調製したジシクロヘキシルメタンジアミン(水添MDA)15g、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン3.16g、ジメチルホルムアミド(DMF)367gからなる混合物中に、攪拌しながら前記ウレタンプレポリマー(x’−4)139gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、ジメチルホルムアミドに溶解したポリウレタン樹脂(A’−4)(数平均分子量50000)からなるポリウレタン接着剤(IV')を得た。
【0088】
〔比較例5〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)421gとポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとを仕込み、窒素気流下100℃で6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x’−5)を合成した。
次いで、第二工程として、予め調製したイソホロンジアミン40g及びジ(n−ブチル)アミン1.88gからなる混合物中に、攪拌しながら前記ウレタンプレポリマー(X’−5)149gを添加して、50℃で3時間反応させた後、イソプロピルアルコール557gを加え溶解することによって、イソプロピルアルコールに溶解したポリウレタン樹脂(A’−5)(数平均分子量50000)からなるアルコール可溶型ポリウレタン接着剤(v')を得た。
を得た。
【0089】
〔比較例6〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)421gとポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとを仕込み、窒素気流下100℃で6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x’−6)を合成した。
次いで、第二工程として、予め調製したイソホロンジアミン40g及びジ(n−ブチル)アミン1.88gからなる混合物中に、攪拌しながら前記ウレタンプレポリマー(X’−5)149gを添加して、50℃で3時間反応させた後、ジメチルホルムアミド557gを加え溶解することによって、ジメチルホルムアミドに溶解したポリウレタン樹脂(A’−6)(数平均分子量50000)からなるポリウレタン接着剤(VI')を得た。
【0090】
〔比較例7〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとイソホロンジイソシアネート279gを仕込み、無溶剤にて窒素気流下100℃で攪拌下6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x’−7)を合成した。
次いで第二工程として、前記ウレタンプレポリマー(x’−7)207gとイソプロピルアルコール532gとの混合物を調製し、該混合物中に、攪拌しながらイソホロンジアミン20.00g、ジ(n−ブチル)アミン0.94gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、イソプロピルアルコールに溶解したポリウレタン樹脂(A’−7)(数平均分子量50000)からなるアルコール可溶型ポリウレタン接着剤(VII’)を得た。
【0091】
〔比較例8〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとイソホロンジイソシアネート279gとを仕込み、無溶剤にて窒素気流下100℃で攪拌下6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x’−8)を合成した。
次いで第二工程として、前記ウレタンプレポリマー(x’−8)207gとジメチルホルムアミド(DMF)533gとの混合物を調製し、該混合物中に、攪拌しながらイソホロンジアミン 20.00g、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 1.61gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、ジメチルホルムアミドに溶解したポリウレタン樹脂(A’−8)(数平均分子量50000)からなるポリウレタン接着剤(VIII’)を得た。
【0092】
〔比較例9〕
第一工程として攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとイソホロンジイソシアネート 279gを仕込み、無溶剤にて窒素気流下100℃で攪拌下6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x’−9)を合成した。
次いで第二工程として、前記ウレタンプレポリマー(x’−9)222gとジメチルホルムアミド(DMF)571gとの混合物を調製し、該混合物中に、攪拌しながらイソホロンジアミン 20.80g、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 0.87g、ジ(n−ブチル)アミン1.01gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、ジメチルホルムアミドに溶解したポリウレタン樹脂(A’−9)(数平均分子量50000)からなるポリウレタン接着剤(IX')を得た。
【0093】
〔比較例10〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとイソホロンジイソシアネート 279gとを仕込み、無溶剤にて窒素気流下100℃で6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x’−10)を合成した。
次いで第二工程として、前記ウレタンプレポリマー(x’−10)217gとジメチルホルムアミド 564gとの混合物を調製し、該混合物中に、攪拌しながらイソホロンジアミン21.73g、ジ(n−ブチル)アミン 1.02g、及びγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン 1.95gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、ジメチルホルムアミドに溶解したポリウレタン樹脂(A’−10)(数平均分子量50000)からなるポリウレタン接着剤(X')を得た。
【0094】
〔比較例11〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置に、ポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gとヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)421gとを仕込み、無溶剤にて窒素気流下100℃で6時間反応させ、ウレタンプレポリマー(x’−11)を合成した。
次いで第二工程として、前記ウレタンプレポリマー(x’−11)149gとイソプロピルアルコール 445gとの混合物を調製し、該混合物中に、攪拌しながらイソホロンジアミン 40.00gとジ(n−ブチル)アミン 1.88gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、イソプロピルアルコールに溶解したポリウレタン樹脂(A’−11)(数平均分子量50000)からなるアルコール可溶型ポリウレタン接着剤(XI’)を得た。
【0095】
〔比較例12〕
第一工程として、攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を有する反応装置中のポリオキシプロピレングリコール(分子量1000)250gとポリオキシエチレングリコール(分子量1000)250gに、2,4−トリレンジイソシアネート78gを加え、無溶剤中にて窒素気流下90℃で反応させることによって、ウレタンプレポリマー(x’−12)を合成した。
次いで、第二工程として、予め調製したγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン0.85g、ジ(n−ブチル)アミン0.99g、及びジメチルホルムアミド559gからなる混合物中に、攪拌しながら前記ウレタンプレポリマー(x’−12)217gを添加して、50℃で3時間反応させることによって、ジメチルホルムアミドに溶解したポリウレタン樹脂(A’−12)(数平均分子量50000)からなるアルコール可溶型ポリウレタン接着剤(XII’)を得た。
【0096】
実施例1で得たアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤(I−1)を、乾式多孔層形成用ウレタン樹脂であるゾルテックスPX−300(DIC株式会社製)を用いて形成されたポリウレタン多孔体上に、フローティングナイフを用いて塗布(塗布量は2〜5g/m)し、100℃で3分間乾燥することで、ポリウレタン多孔体表面に被膜を有する試験片を作製した。その後、電子顕微鏡(SEM)を用いて前記試験片の断面構造を観察し、多孔構造の保持性を、下記の[被着体(多孔体)の耐溶解性(セル形状保持性)の評価方法]と同様の評価基準で評価したところ、多孔層が完全にその形状を保持していたことから「5」と評価した。
また、実施例1で得たアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤(I−1)を、溶剤系ウレタン樹脂を用いて得られたフィルム表面に100μmの厚みで塗布し、次いで、80℃で1分間乾燥することで被膜を形成した。かかる被膜は経時的な剥離を引き起こすことなく、前記フィルム基材に対して優れた接着強度を有していた。
【0097】
[接着強度の測定方法]
前記実施例または比較例で得られたポリウレタン接着剤を、溶剤系ウレタン樹脂を用いて得られた表皮層形成用フィルム表面に、100μmの厚みで塗布し、次いで、80℃で1分間乾燥した後、該塗布面上に繊維基材としてナイロンタフタを載置し、120℃に調節した1対のロールの間を通しそれらを圧着することによって、表皮層と接着剤層と繊維基材とからなる皮革様シートを得た。
次いで、前記皮革様シートの表皮層表面に、ホットメルトテープを150℃で10秒間、簡易プレス機(モルゼセット)を用いて圧着させ、幅2cmの大きさに切り取ったものを試験片とした。
前記試験片を構成する接着剤層の接着強度を、(株)島津製作所製のオートグラフ(AG−1)を用い、試験速度200mm/分、標線間20mm、ツカミ間40mmの条件で測定した。
【0098】
[被着体(多孔体)の耐溶解性(セル形状保持性)の評価方法]
乾式多孔層形成用ウレタン樹脂であるゾルテックスPX−300(DIC株式会社製)を用いて形成されたポリウレタン多孔体上に、実施例または比較例で得られたポリウレタン接着剤をフローティングナイフを用いて塗布(塗布量は2〜5g/m)し、100℃で3分間乾燥することで試験片を作製した。
その後、電子顕微鏡(SEM)を用いて前記試験片の断面構造を観察し、多孔構造の保持性を下記の基準に従い1〜5の5段階で評価した。
5;多孔層が完全にその形状を保持していた。
4;多孔層の溶解が表面から厚み10%未満まででとまっていた。
3;多孔層の溶解が表面から厚み10%以上25%未満の範囲であった。
2;多孔層の溶解が表面から厚み25%以上70%未満の範囲であった。
1;多孔層の溶解が表面から厚み70%以上で見られた。または多孔層が完全に溶解した。
【0099】
【表1】

【0100】
【表2】

【0101】
【表3】

【0102】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)が1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)に溶解してなるアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤であって、前記アルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤が、ポリイソシアネート(v)と、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオール(w)とを、無溶媒下で反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(x)を製造し、
次いで、
ジアミン(y)と、モノアミンシランカップリング剤、ジアミンシランカップリング剤及びモノイソシアネートシランカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上のカップリング剤(z)と、1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)との混合物、及び、前記ウレタンプレポリマー(x)を混合し反応させることで、前記アルコール(B)に溶解した分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)を製造する方法(方法1)、
ジアミン(y)と、モノアミンシランカップリング剤、ジアミンシランカップリング剤及びモノイソシアネートシランカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上のカップリング剤(z)との混合物、及び、前記ウレタンプレポリマー(x)を混合し反応させることで分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)を製造し、前記ポリウレタン樹脂(A)と1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)とを混合することで前記アルコール(B)に溶解した分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)を製造する方法(方法2)、
前記ウレタンプレポリマー(x)及び1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)の混合物と、ジアミン(y)と、モノアミンシランカップリング剤、ジアミンシランカップリング剤及びモノイソシアネートシランカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上のシランカップリング剤(z)とを混合し反応させることで、前記アルコール(B)に溶解した分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)を製造する方法(方法3))
または
モノアミンシランカップリング剤、ジアミンシランカップリング剤及びモノイソシアネートシランカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上のカップリング剤(z)と、前記ウレタンプレポリマー(x)とを混合し反応させることで分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)を製造し、前記ポリウレタン樹脂(A)と1〜7個の炭素原子を有するアルコール(B)とを混合することで前記アルコール(B)に溶解した分子末端又は側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)を製造する方法(方法4)、
のいずれかの方法で製造して得られるものであることを特徴とするアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤。
【請求項2】
前記モノアミンシランカップリング剤が、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン及びγ―アミノプロピルトリメトキシシランからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1記載のアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤。
【請求項3】
前記ポリウレタン樹脂(A)が、前記ポリウレタン樹脂(A)と前記アルコール(B)との合計質量に対して20〜80質量%の範囲で含まれ、かつ、前記アルコール(B)が20〜80質量%の範囲で含まれる、請求項1に記載のアルコール可溶型ポリウレタンコーティング剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかのコーティング剤からなるアルコール可溶型ポリウレタン接着剤。
【請求項5】
皮革様シートを構成する繊維質基材と表皮層との接着、繊維質基材と多孔層との接着、または、多孔層と表皮層との接着に使用する、請求項4に記載のアルコール可溶型ポリウレタン接着剤。
【請求項6】
繊維質基材層と多孔層と表皮層とが接着剤によって接着されてなる皮革様シートであって、前記接着剤が請求項5記載のアルコール可溶型ポリウレタン接着剤であることを特徴とする皮革様シート。

【公開番号】特開2011−42756(P2011−42756A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193026(P2009−193026)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】