説明

アルコール混合燃料を使用可能なエンジン

【課題】アルコール混合燃料使用時にも、アルコールによるシリンダブロックの腐食を生じさせない。
【解決手段】シリンダブロック10を備えたエンジンにおいて、延出部36を有するヘッドガスケット30をシリンダブロック10へ装着させ、シリンダライナ21からアッパーデッキ10Aまでのシリンダ壁面を延出部36の壁面36Sによって構成する。すなわち、燃焼室18を構成する壁面を、シリンダライナ21のライナ内面21Sと、延出部36の壁面36Sを含むヘッドガスケット30の壁面30Sとによって構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール混合燃料を使用可能なエンジンに関し、特に、シリンダブロックの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
軽量化、耐熱性等の理由から、アルミ合金製のシリンダブロックが使用されており、差圧(吸引)鋳造法などのアルミ鋳造法によってシリンダブロックが製造される。アルミニウムの耐摩耗性が低いことから、クロムメッキなどを施したシリンダライナが、鋳込み、圧入によってシリンダボアに装着される。また、プラズマ溶射などによってシリンダライナの内面、あるいはシリンダボア内面を減摩材料で被覆することも可能である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、最近では、エタノール混合ガソリンなどのアルコール混合燃料がFFV(Flexible Fuel Vehicle)自動車で使用可能であるが、アルコール混合燃料を使用すると、ギ酸溶液が燃焼室内に生成されやすい。強い酸性をもつギ酸は、シリンダの壁面を腐食させやすく、特に、ピストン停止時にはシリンダ壁面の腐食が促進される。これを防ぐため、ピストンとの摺動面の一部を、耐腐食性のある層によって被覆する(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−210177号公報
【特許文献2】特開平5−18316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ピストンとの摺動面を耐腐食性の材料によって被覆しても、シリンダブロック上面(アッパーデッキ)付近のシリンダ壁面は、シリンダブロックを構成する腐食に弱いアルミ合金が燃焼室に対して露出する。また、シリンダライナを鋳込んで装着した場合であっても、シリンダライナとアッパーデッキとの間のシリンダ壁面はアルミ合金が露出する。そのため、アルコール混合燃料を使用すると、シリンダブロックの露出部分が燃焼付着などによって腐食し、劣化する。このことは、エンジンの剛性、寿命に悪影響を与える。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のエンジンは、火花点火式エンジンなどのエンジンであって、アルコール混合燃料(純アルコール燃料も含む)が使用可能なエンジンである。エンジンを構成するシリンダブロックには、シリンダ壁面(シリンダボア内面)の一部として形成される第1の壁面を備えたシリンダライナが設けられる。ここで、シリンダライナとしては、鋳込み、圧入方式などによって別途成形された状態からシリンダボア内面に装着されるライナだけでなく、シリンダボア内面に対して減摩材料などを被覆させた筒状の層もシリンダライナとして含まれる。
【0006】
シリンダライナの第1の壁面は、耐腐食性をもつ。耐腐食性は、アルコールの含まれる燃料を使用したときにも腐食しにくい性能を表し、例えば、鉄、チタン、クロムなどを素材として第1の壁面を形成すればよい。耐腐食性をもつ任意の素材が使用可能である。また、シリンダライナは、(シリンダボアの軸に沿って)シリンダブロック上面との間隔を設けて設置される。すなわち、第1の壁面はシリンダブロックの上面まで達していない。
【0007】
本発明では、シリンダブロックとは異なる部材(以下では、腐食保護部材という)がエンジンに設けられ、例えば腐食保護部材は、シリンダブロックの上面とシリンダライナとの間に設けられる。腐食保護部材は、シリンダ壁面の一部としてシリンダボアの周方向に沿って形成される第2の壁面を有する。第2の壁面は、耐腐食性をもち、シリンダライナの端部まで延びる第1の壁面とシリンダブロックの上面との間に渡って形成される。これにより、シリンダ壁面のシリンダブロック上面は、第1の壁面と第2の壁面によって構成される。シリンダブロックは、シリンダ壁面、すなわち燃焼室に対して露出せず、例えばアルミ合金製等のアルコールによる腐食に弱いシリンダブロックであってもギ酸による腐食が生じない。
【0008】
第2の壁面は、壁面だけ耐腐食性をもたせるようにしてもよく、また、腐食保護部材全体に耐腐食性能を持たせてもよい。例えばシリンダライナがピストンの往復移動範囲に合わせて設けられた場合、第2の壁面はピストンとの摺動面の端からシリンダブロック上面までの間に形成される。また、腐食保護部材の形状は第2の壁面を有する限り任意である。
【0009】
腐食保護部材がシリンダブロック上面付近に設置されることを考慮し、シリンダブロックの上面に設置されるヘッドガスケットと腐食保護部材を一体的に形成するように構成するのが望ましい。例えば、腐食保護部材として、シリンダボアに合わせて形成されるヘッドガスケットの穴(以下では、燃焼ガスシール穴という)に沿ってヘッドガスケット下面(シリンダブロック上面との接触面)から延出し、第2の壁面を有する延出部を設ける。ヘッドガスケットをシリンダブロックに装着することによって、シリンダブロック上面までのシリンダ壁面が形成される。
【0010】
あるいは、従来のヘッドガスケットを使用しながら容易に腐食保護部材を設置できるようにするため、腐食保護部材をスペーサとして構成してもよい。スペーサは、ヘッドガスケットと、腐食保護部材の形状に合わせてシリンダブロックの上面に形成される凹部との間に配置され、第2の壁面を有する少なくとも環状部分を備える。気筒数に合わせた数の環状部分を設ければよい。その場合、複数の環状部分を繋げて一体的に形成することもできる。スペーサの位置決め精度をよくするため、環状部分にフランジ部を設け、シリンダライナの端面にフランジ部と係合するための係合部を形成するのがよい。
【0011】
多気筒エンジンの場合、冷却性能を上げるためにはシリンダボア間に冷却水を流す冷却水通路を形成するのが望ましい。したがって、隣接するシリンダボアのうち一方のシリンダ壁面を構成する環状部分と、他方のシリンダ壁面を構成する環状部分とが、凹部のシリンダボア間部分において離れているのが望ましい。
【0012】
本発明のガスケットは、シリンダブロックのシリンダボアに合わせて燃焼ガスシール穴が形成されるプレート状本体と、燃焼ガスシール穴に沿ってプレート状本体から延びるとともに、シリンダ壁面の一部として、シリンダブロックの上面から間隔を設けて設置されるシリンダライナの壁面とシリンダブロックの上面との間に形成される耐腐食性壁面を有する延出部とを備えたことを特徴とする。また、ヘッドガスケットが設置されるシリンダブロックは、シリンダブロックの上面から間隔を設けて設置される耐腐食性の壁面を有するシリンダライナと、ヘッドガスケットの延出部を設置するため、延出部の形状に合わせてシリンダブロックの上面に凹部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明のスペーサは、シリンダブロック上面に設置されるヘッドガスケットとシリンダブロックとの間に設置されるスペーサであって、シリンダボアの周方向に沿って形成される環状部分を有し、環状部分が、シリンダ壁面の一部として、シリンダブロックの上面から間隔を設けて設置されるシリンダライナの壁面とシリンダブロックの上面との間に形成される耐腐食性壁面を有することを特徴とする。スペーサが設置されるシリンダブロックは、シリンダブロックの上面から間隔を設けて設置される耐腐食性の壁面を有するシリンダライナを備え、スペーサを設置するため、スペーサの形状に合わせてシリンダブロックの上面に凹部が形成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アルコール混合燃料使用時にも、アルコールによるシリンダブロックの腐食がなく、エンジンの信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下では、図面を参照して、本発明の実施形態であるエンジンについて説明する。
【0016】
図1は、第1の実施形態であるエンジンのシリンダブロックおよびシリンダヘッドの一部を概略的に示した平面図である。図2は、上面から見たヘッドガスケット、側面から見たヘッドガスケット、および下面から見たヘッドガスケットを示した図ある。
【0017】
第1の実施形態であるエンジンは、エタノール混合ガソリンなどアルコール混合燃料を使用可能な火花点火式の直列多気筒エンジンであり、例えばFFVといった自動車に搭載される。図1には、エンジンを構成するアルミ合金製のシリンダブロック10が図示されており、一方向に沿って複数のシリンダボア20が形成されている。シリンダボア20内には、シリンダライナ(ここでは、図示せず)が鋳込み方式によって挿入されており、また、シリンダブロック10の内部には、シリンダボア20の周囲に沿ってウォータジャケット(図示せず)が形成されている。
【0018】
図2に示すヘッドガスケット30には、シリンダボア20の径Lおよび位置に合わせて複数の燃焼ガスシール穴32が形成されており、また、ボルトを挿通するための複数の固定穴34が周囲に形成されている。固定穴34の位置は、シリンダブロック10に形成される複数の固定穴14(図1参照)の位置に合わせて形成されている。
【0019】
ヘッドガスケット30のプレート状本体30Bには、燃焼ガスシール穴34に沿って環状の延出部36が形成されており(図2(b)参照)、本体30Bの下面30Dから所定の長さhだけ延びている。また、延出部36は、所定の厚さtを有する。一方、図1に示すように、シリンダブロック10のアッパーデッキ10A(シリンダブロック上面)には、延出部36と嵌合するための溝10Gがシリンダボア20の周囲に形成されている。ヘッドガスケット30は、スチールなどの耐腐食性をもつ素材によって構成されており、延出部36は、ガスケット本体30Bと一体的に形成されている。
【0020】
エンジンの組立時において、ヘッドガスケット30がシリンダブロック10のアッパーデッキ10Aに設置され、その上から図1に示すシリンダヘッド12がシリンダボア20の軸Uに対して同軸的に装着される。ヘッドガスケット30の固定穴34およびシリンダブロック10の固定穴14にシリンダヘッド12の側からボルトが挿通され、ボルトが締め付けられることによってシリンダヘッド12がシリンダブロック10に固定される。
【0021】
ヘッドガスケット30には、冷却水、エンジンオイル用の穴(図示せず)が形成されており、シリンダブロック10のアッパーデッキ10A、シリンダヘッド14の下面にも、冷却水、エンジンオイル用の穴(図示せず)が形成されている。エンジンの動作中、冷却水、エンジンオイルがそれぞれヘッドガスケット30の冷却水、エンジンオイル用の穴を通って流れる。一方、ヘッドガスケット30は、燃焼ガスとともに冷却水、エンジンオイルを漏れないように密封する。
【0022】
図3は、シリンダブロック10、ヘッドガスケット30、シリンダヘッド12を装着して組み立てたエンジンの一部断面図であって、図1、2に示すラインIII−IIIに沿った断面図である。
【0023】
シリンダブロック10のシリンダボア20各々には、ピストン16が収納されており、ピストン16はコンロッド(図示せず)を介してクランクシャフト(図示せず)に接続されている。ピストン16の周囲には所定間隔で3本の溝16A、16B、16Cが形成され、コンプレッションリング17A、17B、およびオイルリング17Cが、それぞれ溝16A、16B、16Cに嵌められる。
【0024】
シリンダライナ21は、シリンダ壁面を構成するライナ内面21Sを有し、ライナ内面21Sは、鉄などの耐摩耗性、耐腐食性の素材によって構成されている。シリンダライナ21は、シリンダブロックの剛性確保などの理由により、アッパーデッキ10Aよりもシリンダボア20の奥側、すなわちアッパーデッキ10Aから離れた位置に装着されている。ここでは、シリンダボア20の軸Uに沿って距離hだけブロック内部に位置する。シリンダブロック10に形成された溝10Gはシリンダライナ21の端面までの深さをもつ。また、シリンダライナ21の位置は、ピストン16のストローク範囲に従う。ピストンの往復運動中、コンプレッションリング17A、17B、およびオイルリング17Cの表面は、ライナ内面21Sとだけ摺動する。図3の左側に示すピストン16の位置は、上死点付近を表す。
【0025】
ヘッドガスケット30の延出部36の側面36Sは、シリンダライナ21の端部からアッパーデッキ10Aまでの間に渡ってシリンダ壁面を構成する。そして、側面36Sを含むヘッドガスケット30の側面30Sは、シリンダヘッド12の燃焼室内面12Sまで繋がる。すなわち、シリンダライナ21のライナ内面21S、ヘッドガスケット30の側面30Sがシリンダヘッド12と繋がり、燃焼室18のシリンダ壁面を構成する。ただしここでは、ピストン16が上死点位置にあるときのピストンヘッドから上に形成される内部空間だけでなく、燃焼が生じる内部空間も燃焼室と表す。
【0026】
このように第1の実施形態によれば、延出部36を備えたヘッドガスケット30をシリンダブロック10へ装着することにより、シリンダライナ21からアッパーデッキ10Aまでのシリンダ壁面が延出部36の壁面36Sによって構成される。アルコール混合燃料が使用された場合、燃焼ガスには水蒸気、ギ酸、未燃焼のアルコール蒸気が含まれており、エンジン停止などによって燃焼室18が冷えると、腐食性の高いギ酸溶液が凝縮、生成される。しかしながら、シリンダブロック10の表面は燃焼室18に対して露出しておらず、延出部36を含むヘッドガスケット30の側面30Sは、耐腐食性をもつ。そのため、ギ酸によって腐食劣化が生じず、エンジンの剛性が維持される。
【0027】
また、延出部36を設けたヘッドガスケット30を構成することにより、ヘッドガスケット30とは異なる部材を別途設ける必要なく、エンジンを組み立てることができる。さらに、延出部36が溝10Gに嵌る構成であるため、ヘッドガスケットの組み付けが容易となり、ヘッドガスケット30の剛性が向上する。
【0028】
次に、図4〜図6を用いて第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態と異なり、ヘッドガスケットとシリンダブロックとの間にスペーサが設けられる。それ以外の構成については、実質的に第1の実施形態と同じである。
【0029】
図4は、スペーサを上から見た平面図である。図5は、第2の実施形態におけるヘッドガスケットとスペーサの側面図である。
【0030】
スペーサ50は、一方向に沿って並んだ複数のシリンダボア20を囲むように、複数の環状部分50Rが連なって形成されており、シリンダボア間には、隣接する環状部分50Rを繋ぐ接続部52が設けられている。環状部分50Rのサイズは、各シリンダボア20のサイズに合わせて定められており、所定の厚さtnを有する。また、環状部分50R各々には、シリンダブロック10への装着、組み付けを容易にするため、フランジ部56が環状部分50Rに沿って形成されている。スペーサ50は、例えばスチールなど耐腐食性をもつ素材によって成形されている。
【0031】
接続部52には、冷却水の流れる冷却水通路60が形成されており、冷却水通路60はシリンダボア20の周囲に形成されたウォータジャケットと連通する。また、接続部52の表面中央付近に形成された穴60Rを通じて、シリンダヘッド12の冷却水通路と連通する。接続部52の両端部52A,52Bには、凹部52Kが形成されており(図5参照)、隣接する環状部分は両端部52A,52Bによって一体的に繋がり、また、凹部52Kを通って冷却水通路60を通った冷却水がウォータジャケットへ流れる。
【0032】
第2の実施形態におけるヘッドガスケット30’は、全体的に平らな下面30’Dを有し、燃焼ガスシール穴32’が形成されている。また、スペーサ50の穴60Rの位置に合わせて冷却水用のシール穴(図示せず)が形成されている。エンジン組立時において、シリンダブロック10にスペーサ50が装着され、その後、ヘッドガスケット30’がスペーサ50の上に装着される。そして、シリンダヘッド12がヘッドガスケット30’の上に装着される。
【0033】
図6は、シリンダブロック10、ヘッドガスケット30’、スペーサ50、シリンダヘッド12を装着して組み立てたエンジンの一部断面図であって、ラインVI−VI(図4参照)に沿った断面図である。
【0034】
シリンダブロック10のシリンダボア間には、スペーサ50を装着するための平坦な溝10’Gがアッパーデッキ10Aから距離hだけ離れて形成されており、シリンダライナ21’の端面には、スペーサ50のフランジ部56と係合する凹部21’Aがシリンダボア20の周方向に沿って形成されている。冷却水通路60の空間は、シリンダブロック10の溝10’G、ヘッドガスケット30’、および隣接する環状部分50Rによって形成され、所定の間隔Iをもつ。言い換えれば、所定の間隔Iが設けられるように環状部分50Rが形成されている。
【0035】
スペーサ50の側面50Sおよびヘッドガスケット30’の側面30’Sは、燃焼室18の壁面を構成し、側面30’Sおよび側面50Sは耐腐食性をもつ。このように第2の実施形態によれば、シリンダブロック10は燃焼室18に対して露出しないため、シリンダブロックのアルコール混合燃料使用による腐食が生じない。
【0036】
また、スペーサ50の構成によって冷却水通路60を形成することができるため、シリンダボア間が短い距離であるためにドリル加工などによって冷却水通路を作ることが困難であっても、スペーサの設置によって冷却水通路60が形成され、シリンダボア間の冷却が可能となる。したがって、シリンダの並ぶ方向に沿ったエンジンの長さを短くすることが可能となる。
【0037】
ヘッドガスケット、スペーサの素材については、耐腐食性をもつ範囲で任意に選択可能である。また、シリンダ壁面、燃焼室を形成する側面の部分だけコーティングなどによって耐腐食性を備えるように構成してもよい。また、ヘッドガスケット、スペーサの形状は、第1、第2の実施形態以外の形状で構成してもよく、シリンダ壁面、燃焼室を形成する側面の部分を備える限り任意の形状に設定可能である。例えば、ヘッドガスケットを3層のスチール板で形成し、延出部を一層のスチール板、あるいは金属と非金属の複合材料によって形成してもよい。シリンダブロックのアッパーデッキには、その形状に合わせて凹部を形成すればよい。
【0038】
シリンダライナは圧入式など他の方法によって装着してもよく、あるいは、シリンダボア面にコーティング材料を溶射して形成される層を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第1の実施形態であるエンジンのシリンダブロックおよびシリンダヘッドの一部を概略的に示した平面図である。
【図2】上面から見たヘッドガスケット、側面から見たヘッドガスケット、および下面から見たヘッドガスケットを示した図ある。
【図3】シリンダブロック、ヘッドガスケット、シリンダヘッドを装着して組み立てたエンジンの一部断面図であって、図1、2に示すラインIII−IIIに沿った断面図である。
【図4】第2の実施形態におけるスペーサを上から見た平面図である。
【図5】第2の実施形態におけるヘッドガスケットとスペーサの側面図である。
【図6】シリンダブロック、ヘッドガスケット、スペーサ、シリンダヘッドを装着して組み立てたエンジンの一部断面図であって、図4に示すラインVI−VIに沿った断面図である。
【符号の説明】
【0040】
10 シリンダブロック
10A アッパーデッキ(シリンダブロック上面)
10G、10’G 溝(凹部)
12 シリンダヘッド
16 ピストン
18 燃焼室
20 シリンダボア
21、21’ シリンダライナ
21’A 係合部
21S、21’S ライナ内面(第1の壁面、耐腐食性の壁面)
30、30’ ヘッドガスケット
30B ガスケット本体
30D、30’D ガスケット下面
32 燃焼ガスシール穴
36 延出部
36S 壁面(第2の壁面、耐腐食性壁面)
50 スペーサ
50R 環状部分
50S 壁面(第2の壁面、耐腐食性壁面)
52 接続部
56 フランジ部
60 冷却水通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ壁面の一部として形成される耐腐食性をもった第1の壁面を有し、前記シリンダブロックの上面から間隔を設けて設置されるシリンダライナと、
シリンダ壁面の一部としてシリンダボアに沿って形成されるとともに、前記第1の壁面と前記シリンダブロックの上面との間に渡って形成される耐腐食性をもった第2の壁面を有する腐食保護部材と
を備えることを特徴とするエンジン。
【請求項2】
前記腐食保護部材が、前記シリンダブロックの上面に設置されるヘッドガスケットと一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記腐食保護部材が、前記シリンダボアに合わせて前記ヘッドガスケットに形成される燃焼ガスシール穴に沿ってヘッドガスケット下面から延出し、前記第2の壁面を有する延出部を有することを特徴とする請求項2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記腐食保護部材が、前記シリンダブロックの上面に配置されるヘッドガスケットと前記腐食保護部材の形状に合わせて前記シリンダブロックの上面に形成される凹部との間に配置されるスペーサであって、前記第2の壁面を有する少なくとも一つの環状部分を備えたスペーサとして構成されることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項5】
前記環状部分がフランジ部を有し、
前記シリンダライナの端面に前記フランジ部と係合するための係合部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のエンジン。
【請求項6】
前記シリンダブロックのシリンダボア間に冷却水通路を形成するように、隣接するシリンダボアのうち一方のシリンダ壁面を構成する前記スペーサの環状部分と、他方のシリンダ壁面を構成する前記スペーサの環状部分とが、前記凹部のシリンダボア間部分において離れていることを特徴とする請求項4に記載のエンジン。
【請求項7】
シリンダブロックのシリンダボアに合わせて燃焼ガスシール穴が形成されるプレート状本体と、
前記燃焼ガスシール穴に沿って前記プレート状本体から延びるとともに、シリンダ壁面の一部として、前記シリンダブロックの上面から間隔を設けて設置されるシリンダライナの壁面と前記シリンダブロックの上面との間に形成される耐腐食性壁面を有する延出部と
を備えたことを特徴とするヘッドガスケット。
【請求項8】
請求項7に記載されたヘッドガスケットが設置されるシリンダブロックであって、
前記シリンダブロックの上面から間隔を設けて設置される耐腐食性の壁面を有するシリンダライナを備え、
前記ヘッドガスケットの延出部を設置するため、前記延出部の形状に合わせて前記シリンダブロックの上面に凹部が形成されていることを特徴とするシリンダブロック。
【請求項9】
シリンダブロック上面に設置されるヘッドガスケットとシリンダブロックとの間に設置されるスペーサであって、
シリンダボアの周方向に沿って形成される環状部分を有し、
前記環状部分が、シリンダ壁面の一部として、前記シリンダブロックの上面から間隔を設けて設置されるシリンダライナの壁面と前記シリンダブロックの上面との間に形成される耐腐食性壁面を有することを特徴とするスペーサ。
【請求項10】
請求項9に記載されたスペーサが設置されるシリンダブロックであって、
前記シリンダブロックの上面から間隔を設けて設置される耐腐食性の壁面を有するシリンダライナを備え、
前記スペーサを設置するため、前記スペーサの形状に合わせて前記シリンダブロックの上面に凹部が形成されていることを特徴とするシリンダブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−232068(P2008−232068A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75089(P2007−75089)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】