説明

アルコール測定器

【課題】 呼気を吹き込んでいる最中の測定者に呼気の強さを認識させることができるアルコール測定器を提供する。
【解決手段】 アルコール測定器10は、測定者の呼気が吹き込まれるマウスピースと、マウスピースに吹き込まれた呼気中のアルコール濃度を測定するアルコールセンサ35と、マウスピースに吹き込まれた呼気の圧力を測定する呼気圧センサ38と、呼気圧センサ38によって測定された圧力を音の変化によって出力するスピーカ25とを備えており、スピーカ25は、アルコールセンサ35によるアルコール濃度の測定を有効にする呼気圧の範囲である有効範囲内の圧力の変化を音の変化によって出力し、スピーカ25は、有効範囲内における呼気の強さに対する音量の変化を、有効範囲内の所定の呼気の強さにおける音量を頂点とした山型および谷型の一方で表される変化にすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定者の呼気中のアルコール濃度を測定することができるアルコール測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアルコール測定器としては、測定時に測定者によって手で持たれる筐体と、筐体に設けられて測定者の呼気が吹き込まれるマウスピースと、マウスピースに吹き込まれた呼気中のアルコール濃度を測定するアルコールセンサと、マウスピースに吹き込まれた呼気の強さである風力を測定する風力センサと、筐体に設けられて測定者の呼気中のアルコール濃度の測定が正常に完了したことを示すOKランプとを備えており、風力センサによって測定された風力の有意な上昇が認められた場合に、風力センサによって測定された風力の有意な上昇が認められたタイミングでアルコールセンサによってアルコール濃度を測定してOKランプを点灯させ、風力センサによって測定された風力の有意な上昇が認められないなどの異常事態を検出した場合に、OKランプを点滅させることによって測定者に対して再測定を指示するアルコール検査器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−232710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているアルコール検査器は、マウスピースに呼気を吹き込んでいる最中の測定者から視認することができない位置にOKランプが配置されているので、アルコールセンサによるアルコール濃度の測定を有効にする呼気の強さの範囲内であるか否かを、マウスピースに呼気を吹き込んでいる最中の測定者に認識させることができない。
【0005】
そのため、測定者は、アルコールセンサによるアルコール濃度の測定を有効にする範囲内に呼気の強さを維持することが困難である。その結果、測定者は、測定を一度で成功することができずに何度もやり直さなければならないこともある。例えば、警察の飲酒運転取り締まり用のアルコール測定器のように測定者が使い慣れていないアルコール測定器の場合には、測定者は、アルコールセンサによるアルコール濃度の測定を有効にする範囲内に呼気の強さを維持することがなおさら困難である。
【0006】
そこで、本発明は、呼気を吹き込んでいる最中の測定者に呼気の強さを認識させることができるアルコール測定器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のアルコール測定器は、測定者の呼気が吹き込まれる呼気吹込部と、前記呼気吹込部に吹き込まれた前記呼気中のアルコール濃度を測定するアルコールセンサと、前記呼気吹込部に吹き込まれた前記呼気の強さを測定する呼気強さセンサと、前記呼気強さセンサによって測定された前記強さを音の変化によって出力する呼気強さ出力部とを備えており、前記呼気強さ出力部は、前記アルコールセンサによる前記アルコール濃度の測定を有効にする前記強さの範囲である有効範囲内の前記強さの変化を音の変化によって出力することを特徴とする。
【0008】
この構成により、本発明のアルコール測定器は、有効範囲内の呼気の強さの変化を音の変化によって出力するので、呼気を吹き込んでいる最中の測定者に呼気の強さを認識させることができる。
【0009】
また、本発明のアルコール測定器の前記呼気強さ出力部は、前記有効範囲内における前記強さに対する音量の変化を、前記有効範囲内の所定の前記強さにおける音量を頂点とした山型および谷型の一方で表される変化にしても良い。
【0010】
この構成により、本発明のアルコール測定器は、有効範囲内の所定の呼気の強さを音量によって測定者に容易に認識させることができるので、音量が変化の頂点になるように測定者に呼気の強さを調整させることによって、測定者に呼気の強さを有効範囲内に容易に維持させることができる。
【0011】
また、本発明のアルコール測定器の前記呼気強さ出力部は、前記有効範囲内における前記強さに対する音の周波数の変化を、前記有効範囲の両端の一方において最小であり、他方において最大であり、一方から他方に向けて徐々に上がる変化にしても良い。
【0012】
この構成により、本発明のアルコール測定器は、有効範囲内の所定の呼気の強さより現在の呼気の強さが大きいか小さいかを音量と音の周波数との組み合わせによって測定者に容易に認識させることができるので、音量が変化の頂点になるように測定者に呼気の強さを容易に調整させることができる。
【0013】
また、本発明のアルコール測定器の前記呼気強さ出力部は、前記有効範囲外において音を消しても良い。
【0014】
この構成により、本発明のアルコール測定器は、呼気の強さが有効範囲内であるか否かを測定者に容易に認識させることができる。
【0015】
また、本発明のアルコール測定器の前記呼気強さ出力部は、前記有効範囲より前記強さが弱い前記有効範囲外において音を消し、前記有効範囲より前記強さが強い前記有効範囲外において音を出力しても良い。
【0016】
この構成により、本発明のアルコール測定器は、呼気の強さが有効範囲より強い有効範囲外にあるときに音を消さずに出力するので、呼気を吹き込んでいる最中の測定者にアルコール測定器自身が故障していると誤解されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のアルコール測定器は、呼気を吹き込んでいる最中の測定者に呼気の強さを認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態に係るアルコール測定器の外観斜視図である。
【図2】図1に示すアルコール測定器のブロック図である。
【図3】図2に示す呼気圧センサによって測定された呼気圧と、基本信号が入力されたAM変調器の出力信号の振幅との関係を示す図である。
【図4】図2に示す呼気圧センサによって測定された呼気圧と、基本信号が入力されたFM変調器の出力信号の周波数との関係を示す図である。
【図5】図1に示すアルコール測定器の動作のフローチャートである。
【図6】測定者によって図1に示すマウスピースに吹き込まれた呼気の圧力の例を示す図である。
【図7】図6に示す例に応じたAM変調器40、FM変調器41および合成器42の出力信号を示す図である。
【図8】図2に示す呼気圧センサによって測定された呼気圧と、基本信号が入力されたAM変調器の出力信号の振幅との関係の図3に示す例とは異なる例を示す図である。
【図9】図6に示す例に応じたAM変調器40、FM変調器41および合成器42の出力信号の図7に示す例とは異なる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0020】
まず、本実施の形態に係るアルコール測定器の構成について説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態に係るアルコール測定器10の外観斜視図である。
【0022】
図1に示すように、アルコール測定器10は、測定時に測定者90によって手91で持たれる筐体21と、筐体21に設けられて測定者90に咥えられて呼気が吹き込まれる本発明の呼気吹込部としてのマウスピース22と、マウスピース22に吹き込まれた呼気中のアルコール濃度の測定を開始するためのスイッチ23と、マウスピース22に吹き込まれた呼気中のアルコール濃度を表示するアルコール濃度表示部24と、マウスピース22に吹き込まれた呼気の強さとして呼気の圧力である呼気圧を音の変化によって出力する本発明の呼気強さ出力部としてのスピーカ25とを備えている。
【0023】
筐体21は、マウスピース22が差し込まれる図示していない呼気注入口が形成されている面21aと、面21aに隣接してスイッチ23、アルコール濃度表示部24およびスピーカ25が設けられる面21bとを備えている略直方体である。
【0024】
マウスピース22は、筐体21の呼気注入口に対して抜き差し可能に設けられており、測定者90毎に交換されることができるようになっている。
【0025】
スイッチ23は、筐体21の面21bにおいて略中央に設けられている。
【0026】
アルコール濃度表示部24は、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである。アルコール濃度表示部24は、筐体21の面21bにおいてスイッチ23に対してマウスピース22側に設けられている。
【0027】
スピーカ25は、筐体21の面21bにおいてスイッチ23に対してマウスピース22側とは反対側に設けられている。
【0028】
図2は、アルコール測定器10のブロック図である。
【0029】
図2に示すように、アルコール測定器10は、アルコール測定器10全体を制御するためのCPU(Central Processing Unit)31と、CPU31を動作させるためのプログラムや各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)32と、CPU31の作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)33と、測定結果を記憶するための例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発メモリ34と、マウスピース22に吹き込まれた呼気中のアルコール濃度を測定するアルコールセンサ35と、アルコールセンサ35から出力された信号を増幅するアンプ36と、アルコールセンサ35にアルコール濃度を測定させるためにマウスピース22に吹き込まれた呼気を吸引する吸引ポンプ37と、マウスピース22に吹き込まれた呼気の強さとして呼気圧を測定する本発明の呼気強さセンサとしての呼気圧センサ38と、時間を計測する時計39と、振幅および周波数が一定である基本信号をAM(Amplitude Modulation)変調するAM変調器40と、基本信号をFM(Frequency Modulation)変調するFM変調器41と、AM変調器40の出力信号およびFM変調器41の出力信号を合成する合成器42と、合成器42の出力信号を増幅するアンプ43と、上述したスイッチ23、アルコール濃度表示部24およびスピーカ25とを備えている。
【0030】
合成器42は、AM変調器40の出力信号およびFM変調器41の出力信号が入力されるとき、振幅がAM変調器40の出力信号の振幅と同一であり、周波数がFM変調器41の出力信号の周波数と同一である信号を出力するものである。
【0031】
CPU31、ROM32、RAM33、不揮発メモリ34、アルコールセンサ35、アンプ36、吸引ポンプ37、呼気圧センサ38、時計39、AM変調器40、FM変調器41、合成器42およびアンプ43は、筐体21の内部に設けられている。
【0032】
図3は、呼気圧センサ38によって測定された呼気圧と、基本信号が入力されたAM変調器40の出力信号の振幅との関係を示す図である。
【0033】
図3に示すように、AM変調器40は、有効範囲内における呼気圧に対する出力信号の振幅の変化を、有効範囲内の最小呼気圧と最大呼気圧との中央値を頂点(最大値)とした山型で表される変化にする。ここで、有効範囲は、アルコールセンサ35によるアルコール濃度の測定を有効にする呼気圧の範囲である。有効範囲の両端は、アルコールセンサ35によるアルコール濃度の測定を有効にする呼気圧の最小値である最小呼気圧と、アルコールセンサ35によるアルコール濃度の測定を有効にする呼気圧の最大値である最大呼気圧とである。最小呼気圧および最大呼気圧が設定される理由は、ある程度の圧力の呼気でなければアルコールセンサ35によるアルコール濃度の正確な測定ができないからである。最小呼気圧および最大呼気圧は、例えば米国運輸省がアルコール測定器に対して規定している最小呼気圧および最大呼気圧であっても良い。
【0034】
AM変調器40の出力信号の振幅は、呼気圧センサ38によって測定された呼気圧が最小呼気圧より小さいときや、最大呼気圧より大きいとき、ゼロである。また、AM変調器40の出力信号の振幅は、呼気圧センサ38によって測定された呼気圧が最小呼気圧または最大呼気圧であるとき、ゼロより大きいA1であり、中央値であるとき、A1より大きいA2である。また、AM変調器40の出力信号の振幅は、呼気圧センサ38によって測定された呼気圧が最小呼気圧から中央値までの範囲内であるとき、呼気圧の増加に伴って増加する。一方、AM変調器40の出力信号の振幅は、呼気圧センサ38によって測定された呼気圧が中央値から最大呼気圧までの範囲内であるとき、呼気圧の増加に伴って減少する。なお、A1、A2は、最終的にスピーカ25から出力される音の大きさが人間の可聴領域内になる値であれば良い。
【0035】
図4は、呼気圧センサ38によって測定された呼気圧と、基本信号が入力されたFM変調器41の出力信号の周波数との関係を示す図である。
【0036】
図4に示すように、FM変調器41は、有効範囲内における呼気圧に対する出力信号の周波数の変化を、有効範囲の両端のうち一方である最小呼気圧において最小であり、他方である最大呼気圧において最大であり、最小呼気圧から最大呼気圧に向けて徐々に上がる変化にする。
【0037】
FM変調器41の出力信号の周波数は、呼気圧センサ38によって測定された呼気圧が最小呼気圧より小さいとき、ゼロである。また、FM変調器41の出力信号の周波数は、呼気圧センサ38によって測定された呼気圧が最小呼気圧であるとき、100Hzであり、中央値であるとき、3kHzであり、最大呼気圧であるとき、10kHzである。また、FM変調器41の出力信号の周波数は、呼気圧センサ38によって測定された呼気圧が最小呼気圧から最大呼気圧までの範囲内であるとき、呼気圧の増加に伴って増加する。FM変調器41の出力信号の周波数は、呼気圧センサ38によって測定された呼気圧が最大呼気圧より大きいとき、10kHzである。なお、これらの周波数は、具体例に過ぎず、これらに限られるものではない。
【0038】
図5は、アルコール測定器10の動作のフローチャートである。
【0039】
測定者90は、呼気中のアルコール濃度の測定を行うことを希望するとき、アルコール測定器10のスイッチ23を押して、マウスピース22に呼気を吹き込む。アルコール測定器10のCPU31は、測定者90によってスイッチ23が押されると、図5に示す処理を実行する。
【0040】
図5に示すように、CPU31は、AM変調器40およびFM変調器41に対する基本信号の出力を開始する(S51)。
【0041】
次いで、CPU31は、RAM33に記憶されている呼気量累計値をゼロにリセットする(S52)。ここで、呼気量累計値とは、測定者90によって吹き込まれた呼気量が、アルコールセンサ35によるアルコール濃度の測定を有効にする呼気量(以下「有効呼気量」という。)に達したか否かをCPU31が判断するための値である。呼気量累計値は、測定者90によって吹き込まれた呼気の流速を時間で積分することによって求めることができる。呼気の流速は、アルコール測定器10において呼気圧に比例するので、呼気圧から求めることができる。
【0042】
次いで、CPU31は、測定者90によって吹き込まれた呼気の圧力を呼気圧センサ38によって測定する(S53)。ここで、CPU31は、時計39によって計測される時間に基づいて、一定の時間毎にS53を実行するように図5に示す処理を制御している。この一定の時間を以下において呼気圧測定単位時間という。
【0043】
次いで、CPU31は、S53において測定した呼気圧が有効範囲内であるか否かを判断する(S54)。呼気圧は、最小呼気圧以上であって、最大呼気圧以下であるとき、有効範囲内である。一方、呼気圧は、最小呼気圧より小さいときや、最大呼気圧より大きいとき、有効範囲外である。
【0044】
CPU31は、呼気圧が有効範囲外であるとS54において判断すると、再びS52の処理に戻る。
【0045】
一方、CPU31は、呼気圧が有効範囲内であるとS54において判断すると、S53において測定した呼気圧に対応する呼気の流速と、呼気圧測定単位時間との積を、RAM33に記憶されている呼気量累計値に加えることによって、RAM33に記憶されている呼気量累計値を更新する(S55)。
【0046】
次いで、CPU31は、RAM33に記憶されている呼気量累計値が有効呼気量に達したか否かを判断する(S56)。ここで、S56において有効呼気量が設定されている理由は、測定者90によってマウスピース22に吹き込まれた空気の体積が少ないときにアルコール濃度を測定してしまうと測定者90の口に入ったばかりの新鮮な空気のアルコール濃度を測定してしまうおそれがあり、呼気、すなわち肺に入っていた空気のアルコール濃度を測定するためにある程度の体積の空気が吹き込まれる必要があるからである。有効呼気量は、例えば1Lなどの量が設定されている。
【0047】
CPU31は、呼気量累計値が有効呼気量に達していないとS56において判断すると、再びS53の処理を実行する。
【0048】
一方、CPU31は、呼気量累計値が有効呼気量に達したとS56において判断すると、AM変調器40およびFM変調器41に対する基本信号の出力を終了させ(S57)、吸引ポンプ37を駆動してアルコールセンサ35にアルコール濃度の測定を実行させる(S58)。
【0049】
次いで、CPU31は、S58において測定されたアルコール濃度をアルコール濃度表示部24に表示させて(S59)、図5に示す処理を終了する。なお、CPU31は、S59において表示させたアルコール濃度を所定の時間の経過によって消すようになっている。
【0050】
図6は、測定者90によってマウスピース22に吹き込まれた呼気の圧力の例を示す図である。図7は、図6に示す例に応じたAM変調器40、FM変調器41および合成器42の出力信号を示す図である。
【0051】
測定者90がスイッチ23を押すとCPU31が上述したように図5に示す処理を実行するので、測定者90がマウスピース22に図6に示すように呼気を吹き込むと、AM変調器40、FM変調器41および合成器42の出力信号は、図7に示すようになる。ここで、スピーカ25によって出力される音は、合成器42の出力信号と同様である。したがって、スピーカ25は、時間0から時間t1まで音を出さず、時間t1から時間t2まで音量および音の周波数を徐々に上げ、時間t2から時間t3まで音量を徐々に下げつつ音の周波数を徐々に上げ、時間t3から時間t4まで音を出さず、時間t4から時間t5まで音量を徐々に上げつつ音の周波数を徐々に下げ、時間t5から時間t6まで音量および音の周波数を徐々に下げ、時間t6から時間t7まで音を出さず、時間t7から音量および音の周波数を徐々に上げる。
【0052】
以上に説明したように、アルコール測定器10は、有効範囲内の呼気圧の変化を音の変化によって出力するので、呼気を吹き込んでいる最中の測定者90に呼気圧を認識させることができる。
【0053】
また、アルコール測定器10は、有効範囲内における呼気圧に対する音量の変化を、有効範囲内の中央値における音量を最大値とした山型で表される変化にしているので、有効範囲内の中央値を音量によって測定者90に容易に認識させることができる。したがって、アルコール測定器10は、音量が最大値になるように測定者90に呼気圧を調整させることによって、測定者90に呼気圧を有効範囲内に容易に維持させることができる。
【0054】
また、アルコール測定器10は、有効範囲内における呼気圧に対する音の周波数の変化を、最小呼気圧において最小であり、最大呼気圧において最大であり、最小呼気圧から最大呼気圧に向けて徐々に上がる変化にしているので、有効範囲内の中央値より現在の呼気圧が大きいか小さいかを音量と音の周波数との組み合わせによって測定者90に容易に認識させることができる。したがって、アルコール測定器10は、音量が最大値になるように測定者90に呼気圧を容易に調整させることができる。
【0055】
また、アルコール測定器10は、有効範囲外において音を消しているので、呼気圧が有効範囲内であるか否かを測定者90に容易に認識させることができる。
【0056】
なお、アルコール測定器10は、有効範囲より呼気圧が弱い有効範囲外において音を消し、有効範囲より呼気圧が強い有効範囲外において音を出力するようになっていても良い。例えば、呼気圧センサ38によって測定された呼気圧と、基本信号が入力されたAM変調器40の出力信号の振幅との関係が図8に示す関係であるとき、アルコール測定器10は、図9に示すように、有効範囲より呼気圧が弱い有効範囲外、すなわち、時間0から時間t1までと、時間t6から時間t7までとにおいて音を消し、有効範囲より呼気圧が強い有効範囲外、すなわち、時間t3から時間t4において音を出力する。アルコール測定器10は、呼気圧が有効範囲より強い有効範囲外にあるときに音を消さずに出力するとき、呼気を吹き込んでいる最中の測定者90にアルコール測定器10自身が故障していると誤解されることを防止することができる。
【0057】
アルコール測定器10は、有効範囲より呼気圧が強い有効範囲外において音を出力するようになっているとき、有効範囲より呼気圧が強い有効範囲外において出力する音の周波数が、例えば15kHzのように、有効範囲内の音の周波数と異なるようにFM変調器41が設定されていても良い。これによって、測定者90は、有効範囲より呼気圧が強い有効範囲外に呼気圧があることを容易に認識することができる。
【0058】
アルコール測定器10は、有効範囲より呼気圧が弱い有効範囲外においても、音を出力するようになっていても良い。
【0059】
なお、アルコール測定器10は、有効範囲内における呼気圧に対する音量の変化を、有効範囲内の中央値における音量を頂点(最大値)とした山型で表される変化にしているが、有効範囲内の中央値における音量を頂点(最小値)とした谷型で表される変化にしていても良い。
【0060】
また、アルコール測定器10は、有効範囲内における呼気圧に対する音量の変化の頂点に対応する呼気圧として中央値が設定されているが、中央値に限らず、任意の呼気圧が設定されることが可能である。
【0061】
また、アルコール測定器10は、有効範囲内における呼気圧に対する音の周波数の変化を、最小呼気圧において最小であり、最大呼気圧において最大であり、最小呼気圧から最大呼気圧に向けて徐々に上がる変化にしているが、最大呼気圧において最小であり、最小呼気圧において最大であり、最大呼気圧から最小呼気圧に向けて徐々に上がる変化にしていても良い。
【0062】
また、アルコール測定器10は、音量と、音の周波数とを組み合わせることによって、音量が最大値になるように測定者90に呼気圧を容易に調整させることができるが、音量の変化のみで音量が最大値になるように測定者90に呼気圧を調整させるようになっていても良い。
【0063】
また、アルコール測定器10は、有効範囲内における呼気圧に対する音量の変化を、有効範囲内の中央値における音量を頂点(最大値)とした山型で表される変化にしているが、有効範囲内における呼気圧に対する音の周波数の変化を、有効範囲内の中央値における周波数を頂点とした山型および谷型の一方で表される変化にしていても良い。この場合、アルコール測定器10は、有効範囲内における呼気圧に対する音量の変化を、最小呼気圧において最小であり、最大呼気圧において最大であり、最小呼気圧から最大呼気圧に向けて徐々に上がる変化にしたり、最大呼気圧において最小であり、最小呼気圧において最大であり、最大呼気圧から最小呼気圧に向けて徐々に上がる変化にしたりしても良い。
【0064】
また、アルコール測定器10は、以上に説明した音の変化方法以外の方法によっても、有効範囲内の呼気圧の変化を表現することができれば、任意の方法を採用することができる。例えば、アルコール測定器10は、有効範囲内の呼気圧の変化を音色の変化によって出力するようになっていても良い。
【0065】
なお、本実施の形態においては、呼気の強さとして呼気圧を使用しているが、呼気の強さとして呼気の流速を使用しても良い。また、本発明の呼気強さセンサとしては、流速センサが使用されても良い。
【0066】
また、本実施の形態においては、筐体21に対して抜き差し可能に設けられたマウスピース22を本発明の呼気吹込部として備えているが、筐体21に対して抜き差し不可能に設けられて測定者90に咥えられて呼気が吹き込まれる呼気吹込部を備えていても良いし、測定者90に咥えられることなく呼気が吹きかけられることによって吹き込まれる呼気吹込部を備えていても良い。
【0067】
また、アルコール測定器10は、本実施の形態において、測定時に測定者90によって手91で持たれるようになっているが、据置型など、他の形態であっても良い。
【符号の説明】
【0068】
10 アルコール測定器
22 マウスピース(呼気吹込部)
25 スピーカ(呼気強さ出力部)
35 アルコールセンサ
38 呼気圧センサ(呼気強さセンサ)
90 測定者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定者の呼気が吹き込まれる呼気吹込部と、前記呼気吹込部に吹き込まれた前記呼気中のアルコール濃度を測定するアルコールセンサと、前記呼気吹込部に吹き込まれた前記呼気の強さを測定する呼気強さセンサと、前記呼気強さセンサによって測定された前記強さを音の変化によって出力する呼気強さ出力部とを備えており、
前記呼気強さ出力部は、前記アルコールセンサによる前記アルコール濃度の測定を有効にする前記強さの範囲である有効範囲内の前記強さの変化を音の変化によって出力することを特徴とするアルコール測定器。
【請求項2】
前記呼気強さ出力部は、前記有効範囲内における前記強さに対する音量の変化を、前記有効範囲内の所定の前記強さにおける音量を頂点とした山型および谷型の一方で表される変化にすることを特徴とする請求項1に記載のアルコール測定器。
【請求項3】
前記呼気強さ出力部は、前記有効範囲内における前記強さに対する音の周波数の変化を、前記有効範囲の両端の一方において最小であり、他方において最大であり、一方から他方に向けて徐々に上がる変化にすることを特徴とする請求項2に記載のアルコール測定器。
【請求項4】
前記呼気強さ出力部は、前記有効範囲外において音を消すことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載のアルコール測定器。
【請求項5】
前記呼気強さ出力部は、前記有効範囲より前記強さが弱い前記有効範囲外において音を消し、前記有効範囲より前記強さが強い前記有効範囲外において音を出力することを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載のアルコール測定器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−2662(P2012−2662A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137762(P2010−137762)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【特許番号】特許第4627570号(P4627570)
【特許公報発行日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(302031454)東海電子株式会社 (34)
【Fターム(参考)】