説明

アルコール類の製造方法

【課題】医農薬や電子材料の中間体として有用なアルコール類の製造方法を提供する。
【解決手段】カルボニル化合物とボロン酸類を、パラジウム化合物と一般式(1)


(式中、Rは、水素原子、炭素数2〜6のアルキル基またはハロゲン原子を示す。Xは対陰イオンを示す。)で表されるイミダゾリニウム塩からなる触媒および塩基の存在下に反応させてアルコール類を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルデヒド類やケトン類のようなカルボニル化合物と種々のボロン酸をパラジウム化合物とイミダゾリニウム塩からなる触媒および塩基の存在下に反応させる第2級ないし第3級アルコール類を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルデヒド類やケトン類のようなカルボニル化合物と種々のボロン酸を、パラジウム化合物とイミダゾリニウム塩からなる触媒および塩基の存在下に反応させ、医農薬や電子材料の中間体として有用な第2級ないし第3級アルコール類を製造する方法が、非特許文献1および2に開示されている。非特許文献1および2では、イミダゾリニウム塩として、3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1−(2−メチルスルファニルフェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾリニウムクロリド、3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1−(2−イソプロピルスルファニルフェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾリニウムクロリドおよび3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1−(2−フェニルスルファニルフェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾリニウムクロリドが用いられており、これらのイミダゾリニウム塩中のメチルスルファニル基、イソプロピルスルファニル基およびフェニルスルファニル基がパラジウムに配位することにより、触媒活性種が生成すると記載されている。
【0003】
一方、本発明のイミダゾリニウム塩のように配位性のない置換基を有するイミダゾリニウム塩とパラジウム化合物からなる触媒および塩基の存在下に、カルボニル化合物と種々のボロン酸から第2級ないし第3級アルコール類を製造する方法は、これまでに報告されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J.Org.Chem.2008,73,1597.
【非特許文献2】「第7回次世代を担う有機化学シンポジウム」要旨集,34ページ,2009.
【非特許文献3】J.Org.Chem.2006,71,5969.
【非特許文献4】Tetrahedron 2007,63,9393.
【発明の概要】
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、カルボニル化合物とボロン酸類を、パラジウム化合物とイミダゾリニウム塩からなる触媒および塩基の存在下に反応させ、医農薬等製造のための中間体として有用な第2級ないし第3級アルコール類を簡便に効率良く製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、パラジウム化合物と下記一般式(1)で示されるようなイミダゾリウム塩からなる触媒および塩基を用いることにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、一般式(1)
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、Rは、水素原子、炭素数2〜6のアルキル基またはハロゲン原子を示す。Xは対陰イオンを示す。)で表されるイミダゾリニウム塩に関するものである。
また、本発明は、一般式(2)
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、Rは、フェニル基、ナフチル基または複素芳香族基を示し、これらは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、シアノ基で置換されていてもよい。また、Rは、炭素数1〜8のシクロアルキル基を示す。Rは、水素原子またはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示す。)で表されるカルボニル化合物と、一般式(3)
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、Rは、フェニル基、ナフチル基または複素芳香族基を示し、これらは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、シアノ基で置換されていてもよい。)で表されるボロン酸類を、パラジウム化合物とイミダゾリニウム塩からなる触媒及び塩基の存在下に反応させ、一般式(4)
【0014】
【化4】

【0015】
(式中、R、RおよびRは、前記と同じ内容を示す。)で表されるアルコール類を製造する方法において、一般式(1)
【0016】
【化5】

【0017】
(式中、RおよびXは、前記と同じ内容を示す。)で表されるイミダゾリニウム塩を用いることを特徴とする製造方法に関するものである。
【0018】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。まず本発明のイミダゾリニウム塩(1)について説明する。
【0019】
本発明のイミダゾリニウム塩(1)のRで表される炭素数2〜6のアルキル基は、直鎖状または分岐状のいずれであっても良く、具体的には、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等を例示できる。また、Rで表されるハロゲン原子としては具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が例示できる。
【0020】
イミダゾリニウム塩(1)のXで表される対陰イオンとしては、具体的には、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、過塩素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が例示できる。
【0021】
本発明のイミダゾリニウム塩(1)としてはさらに具体的には,1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド、1−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−3−フェニル−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド、1−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−3−(2−イソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド等を例示することができる。
【0022】
これらのイミダゾリニウム塩(1)は文献記載の方法によって製造することができる。例えば、非特許文献3および4に記載の方法に準じ、クロロアセチルクロリドと2,6−ジイソプロピルアニリンから容易に得られるN−クロロアセチル−2,6−ジイソプロピルアニリンと、一般式(5)
【0023】
【化6】

【0024】
(式中、Rは前記と同じ内容を示す。)で表されるアニリン類とを塩基の存在下に反応(工程1)させ、一般式(6)
【0025】
【化7】

【0026】
(式中、Rは前記と同じ内容を示す。)で表されるアミド誘導体を得、次いでこれを、ボラン・テトラヒドロフラン錯体や水素化リチウムアルミニウム等の還元剤を用いて還元(工程2)して、一般式(7)
【0027】
【化8】

【0028】
(式中、Rは前記と同じ内容を示す。)で表されるエチレンジアミン類を得、これをXを対イオンとするプロトン酸の水溶液を用いてアンモニウム塩とした(工程3)後に、オルトギ酸メチルと反応(工程4)させて環化させることにより、イミダゾリニウム塩(1)を得ることができる。
【0029】
工程3で用いることのできるXを対イオンとするプロトン酸としては、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、過塩素酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が例示できる。イミダゾリニウム塩(1)は、用いるプロトン酸に応じて、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、過塩素酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩等として単離することができる。収率が良い点で、塩化水素が好ましい。
【0030】
また、クロロオキソ酢酸エチルと2,6−ジイソプロピルアニリンから得られる式(8)
【0031】
【化9】

【0032】
で表されるエステルと、一般式(5)
【0033】
【化10】

【0034】
(式中、Rは前記と同じ内容を示す。)で表されるアニリン類とを塩基の存在下に反応(工程5)させ、一般式(9)
【0035】
【化11】

【0036】
(式中、Rは前記と同じ内容を示す。)で表されるビスアミド誘導体を得、これを前述の工程2、3および4に付すことによっても、イミダゾリニウム塩(1)を得ることができる。
【0037】
次に本発明の製造方法について述べる。
【0038】
本発明の製造方法は、パラジウムを用いることが必須である。本発明の製造方法で用いることのできるパラジウム化合物としては、具体的には、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、シアン化パラジウム、ヘキサクロロパラジウム酸四ナトリウム、ヘキサクロロパラジウム酸四カリウム、テトラクロロパラジウム酸二ナトリウム、テトラクロロパラジウム酸二カリウム、π―アリルパラジウムクロリドダイマー、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、ホウフッ化テトラ(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロジアンミンパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等を例示することができる。収率が良い点で、酢酸パラジウム、π−アリルパラジウムクロリドダイマー、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウムが好ましく、酢酸パラジウム、π−アリルパラジウムクロリドダイマー、トリフルオロ酢酸パラジウムがさらに好ましい。パラジウム化合物の量に特に制限はなく、いわゆる触媒量でも十分反応は進行し、目的物を収率よく得ることができる。
【0039】
本発明の製造方法で用いるイミダゾリニウム塩(1)の使用量に特に制限はないが、パラジウム化合物に対して1当量以上用いることにより、収率よく目的とするアルコール類を収率よく得ることができる。
【0040】
また本発明の製造方法は、塩基の存在下に実施することが必須である。本発明で用いることのできる塩基としては、具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン、ピリジン等の有機塩基や、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等の無機塩基を例示することができる。収率が良い点で無機塩基が好ましく、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、フッ化セシウムがさらに好ましい。塩基の使用量に特に制限はなく、原料のカルボニル化合物(2)に対して1等量以上用いることにより、収率よく目的のアルコール類を得ることができる。
【0041】
本発明の製造方法は有機溶媒中で実施することができ、反応に害を及ぼす恐れのない有機溶媒であればよい。用いることのできる溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン、メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、ペンタン、キシレン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド等のアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶媒等を例示することができ、さらにこれらの混合溶媒を例示することができる。収率が良い点で、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、炭化水素系溶媒が好ましく、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエンがさらに好ましい。
【0042】
本発明の製造方法は、0〜150℃の温度から適宜選ばれた温度で実施することができる。収率が良い点で、30〜100℃が好ましい。
【0043】
本発明の製造方法の原料であるカルボニル化合物(2)に特に制限はなく、市販品さらには既知の方法で製造することができる化合物を使用することができる。具体的には、カルボニル化合物(2)のRで表されるフェニル基およびナフチル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基等の炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、シアノ基等で置換されていてもよい。
【0044】
で表される複素芳香族基としては、具体的には、ピリジン−2−イル基、ピリジン−3−イル基、ピリジン−4−イル基、チオフェン−2−イル基、チオフェン−3−イル基等を例示することができる。これらの複素芳香族基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基等の炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、シアノ基等で置換されていてもよい。
【0045】
で表される炭素数3〜8のシクロアルキル基としては、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等を例示できる。
【0046】
で表される炭素数1〜3のアルキル基は、直鎖状または分岐状のいずれであってもよく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基を例示できる。これらのアルキル基は、フッ素原子で一個以上置換されていてもよく、具体的には、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基等が例示できる。
【0047】
このようなカルボニル化合物(2)としては、さらに具体的には、4−tert−ブチルベンズアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2−チオフェンカルボアルデヒド、3−チオフェンカルボアルデヒド、3−ピリジンカルボアルデヒド、1−ナフトアルデヒド、4−アニスアルデヒド、2−アニスアルデヒド、2−トリルアルデヒド、4−クロロベンズアルデヒド、4−シアノベンズアルデヒド、4−メトキシカルボニルベンズアルデヒド、シクロヘキシルカルボアルデヒド、α,α,α−トリフルオロアセトフェノン等が例示できる。
【0048】
本発明の製造方法の原料であるボロン酸類(3)に特に制限はなく、市販品さらには既知の方法で製造することができる化合物を使用することができる。具体的には、ボロン酸(3)のRで表されるフェニル基およびナフチル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、シアノ基等で置換されていてもよい。
【0049】
で表される複素芳香族基としては、具体的には、チオフェン−2−イル基、チオフェン−3−イル基等を例示することができる。これらの複素芳香族基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基等の炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、シアノ基等で置換されていてもよい。
【0050】
このようなボロン酸類(3)としては、さらに具体的には、フェニルボロン酸、4−フルオロフェニルボロン酸、4−クロロフェニルボロン酸、1−ナフチルボロン酸、2−ナフチルボロン酸、4−メトキシカルボニルフェニルボロン酸、2−メトキシフェニルボロン酸、4−メチルフェニルボロン酸、2−チオフェニルボロン酸等が例示できる。
【0051】
アルコール類(4)の単離方法に特に制限はなく、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶、蒸留または昇華等の汎用的な方法で目的物を得ることができる。
【発明の効果】
【0052】
本発明により、医農薬や電子材料の中間体として有用なアルコール類を簡便かつ高収率で得ることができる。
【実施例】
【0053】
次に本発明を実施例および比較例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例−1
【0054】
【化12】

【0055】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、フェニルボロン酸183mg(1.5mmol)及び炭酸セシウム652mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL及び4−tert−ブチルベンズアルデヒド162mg(1.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し12時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜8:2)により精製し、(4−tert−ブチルフェニル)(フェニル)メタノールの白色固体214mgを得た(収率89%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ1.30(s,9H),2.16(d,J=3.5Hz,1H),5.83(d,J=3.5Hz,1H),7.29−7.41(m,9H).
実施例−2
1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)に替えて1−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−3−フェニル−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド3.4mg(0.01mmol)を用いた以外は全て実施例1と同じ操作を行い、H−NMRにより、(4−tert−ブチルフェニル)(フェニル)メタノールの生成を確認した(NMR収率94%)。
実施例−3
1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)に替えて1−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−3−(2−イソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド3.8mg(0.01mmol)を用いた以外は全て実施例1と同じ操作を行い、H−NMRにより、(4−tert−ブチルフェニル)(フェニル)メタノールの生成を確認した(NMR収率89%)。
実施例−4
π−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)に替えて酢酸パラジウム2.2mg(0.01mmol)を用いた以外は全て実施例1と同じ操作を行い、H−NMRにより、(4−tert−ブチルフェニル)(フェニル)メタノールの生成を確認した(NMR収率94%)。
実施例−5
π−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)に替えてジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム3.8mg(0.01mmol)を用いた以外は全て実施例1と同じ操作を行い、H−NMRにより、(4−tert−ブチルフェニル)(フェニル)メタノールの生成を確認した(NMR収率71%)。
実施例−6
π−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)に替えてトリフルオロ酢酸パラジウム3.3mg(0.01mmol)を用いた以外は全て実施例1と同じ操作を行い、H−NMRにより、(4−tert−ブチルフェニル)(フェニル)メタノールの生成を確認した(NMR収率90%)。
実施例−7
1,4−ジオキサンに替えてN,N−ジメチルホルムアミドを用いた以外は全て実施例1と同じ操作を行い、H−NMRにより、(4−tert−ブチルフェニル)(フェニル)メタノールの生成を確認した(NMR収率95%)。
実施例−8
1,4−ジオキサンに替えてテトラヒドロフランを用いた以外は全て実施例1と同じ操作を行い、H−NMRにより、(4−tert−ブチルフェニル)(フェニル)メタノールの生成を確認した(NMR収率94%)。
実施例−9
1,4−ジオキサンに替えてトルエンを用いた以外は全て実施例1と同じ操作を行い、H−NMRにより、(4−tert−ブチルフェニル)(フェニル)メタノールの生成を確認した(NMR収率69%)。
実施例−10
1,4−ジオキサンに替えてジメチルスルホキシドを用いた以外は全て実施例1と同じ操作を行い、H−NMRにより、(4−tert−ブチルフェニル)(フェニル)メタノールの生成を確認した(NMR収率86%)。
実施例−11
炭酸セシウム652mg(2.0mmol)に替えてフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を用いた以外は全て実施例1と同じ操作を行い、H−NMRにより、(4−tert−ブチルフェニル)(フェニル)メタノールの生成を確認した(NMR収率96%)。
実施例−12
炭酸セシウム652mg(2.0mmol)に替えて炭酸カリウム276mg(2.0mmol)を用いた以外は全て実施例1と同じ操作を行い、H−NMRにより、(4−tert−ブチルフェニル)(フェニル)メタノールの生成を確認した(NMR収率94%)。
実施例−13
炭酸セシウム652mg(2.0mmol)に替えてリン酸カリウム424mg(2.0mmol)を用いた以外は全て実施例1と同じ操作を行い、H−NMRにより、(4−tert−ブチルフェニル)(フェニル)メタノールの生成を確認した(NMR収率95%)。
実施例−14
【0056】
【化13】

【0057】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、2−フルオロフェニルボロン酸210mg(1.5mmol)、2−ナフトアルデヒド156mg(1.0mmol)及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mLを加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し3時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜8:2)により精製し、(2−フルオロフェニル)(ナフタレン−2−イル)メタノールの淡黄色固体169mgを得た(収率67%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.38(dd,J= 0.9,4.0Hz,1H),6.33(d,J=4.0Hz,1H,),7.03(ddd,J=1.2,8.2,9.0Hz,1H),7.15(ddd,J = 1.1,7.6,7.6Hz,1H),7.24−7.29(m,2H),7.45−7.49(m,3H),7.53(ddd,J=1.8,7.6,7.6Hz,1H),7.79−7.84(m,3H).
実施例−15
【0058】
【化14】

【0059】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、4−フルオロフェニルボロン酸210mg(1.5mmol)、2−ナフトアルデヒド156mg(1.0mmol)及び炭酸セシウム652mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mLを加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し3時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜8:2)により精製し、(4−フルオロフェニル)(ナフタレン−2−イル)メタノールの淡黄色固体169mgを得た(収率96%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.36(d,J=3.2Hz,1H),5.97(d,J=3.2Hz,1H),6.98−7.04(m,2H),7.34−7.39(m,3H),7.44−7.50(m,2H),7.78−7.85(m,4H).
実施例−16
【0060】
【化15】

【0061】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、4−クロロフェニルボロン酸234mg(1.5mmol)、2−ナフトアルデヒド156mg(1.0mmol)及び炭酸セシウム652mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mLを加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し3時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜8:2)により精製し、(4−クロロフェニル)(ナフタレン−2−イル)メタノールの淡黄色固体250mgを得た(収率93%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.51(d,J=5.6Hz,1H),5.89(s,1H),7.22−7.35(m,5H),7.44−7.49(m,2H),7.75−7.80(m,4H).
実施例−17
【0062】
【化16】

【0063】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、1−ナフチルボロン酸258mg(1.5mmol)、2−ナフトアルデヒド156mg(1.0mmol)及び炭酸セシウム652mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mLを加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し3時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜8:2)により精製し、(ナフタレン−1−イル)(ナフタレン−2−イル)メタノールの白色固体269mgを得た(収率95%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.59(s,1H),6.59(s,1H), 7.35−7.45(m,6H),7.58(d,J=7.1Hz,1H,),7.72−7.86(m,6H),8.05(d,J=8.3,1H).
実施例−18
【0064】
【化17】

【0065】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、2−ナフチルボロン酸258mg(1.5mmol)、2−ナフトアルデヒド156mg(1.0mmol)及び炭酸セシウム652mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mLを加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し3時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜8:2)により精製し、ジ(ナフタレン−2−イル)メタノールの白色固体264mgを得た(収率93%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.45(d,J=3.2Hz,1H),6.15(d,J=3.2Hz,1H),7.44−7.50(m,6H),7.77−7.85(m,6H),7.93(s,2H)
実施例−19
【0066】
【化18】

【0067】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、4−メトキシカルボニルフェニルボロン酸270mg(1.5mmol)、2−ナフトアルデヒド156mg(1.0mmol)及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mLを加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し3時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜7:3)により精製し、4−[ヒドロキシ(ナフタレン−2−イル)メチル]安息香酸メチルの白色固体154mgを得た(収率53%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.45(d,J=2.8Hz,1H),3.8 (s,3H),6.03(d,J=3.2Hz,1H),7.40(d,J=8.3Hz,1H),7.47−7.51(m,4H),7.78−7.85(m,4H),8.00(d,J=8.2Hz,2H).
実施例−20
【0068】
【化19】

【0069】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、2−メトキシフェニルボロン酸227mg(1.5mmol)、2−ナフトアルデヒド156mg(1.0mmol)及び炭酸セシウム652mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mLを加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し3時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜7:3)により精製し、(2−メトキシフェニル)(ナフタレン−2−イル)メタノールの淡黄色固体248mgを得た(収率94%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ3.11(d,J=5.4Hz,1H),3.82(s,3H),6.23(d,J=5.4Hz,1H),6.90−6.96(m,2H),7.23−7.30(m,3H),7.44−7.59(m,3H),7.78−7.83(m,3H),7.87(d,J=0.8Hz,1H).
実施例−21
【0070】
【化20】

【0071】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、4−メチルフェニルボロン酸204mg(1.5mmol)、2−ナフトアルデヒド156mg(1.0mmol)及び炭酸セシウム652mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mLを加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し3時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜8:2)により精製し、(2−メチルフェニル)(ナフタレン−2−イル)メタノールの淡黄色固体226mgを得た(収率91%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.26(d,J=3.5Hz,1H),2.33(s,3H),5.98(d,J=3.5Hz,1H),7.15(d,J=8.0Hz,2H),7.30(d,J=8.0Hz,2H),7.77−7.85(m,3H),7.90(s,1H).
実施例−22
【0072】
【化21】

【0073】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、2−チオフェニルボロン酸192mg(1.5mmol)、2−ナフトアルデヒド156mg(1.0mmol)及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mLを加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し3時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜8:2)により精製し、(ナフタレン−2−イル)(チオフェン−2―イル)メタノールの淡黄色固体140mgを得た(収率58%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.46(d,J=4.0Hz,1H),6.24(d,J=4.0Hz,1H),6.92−6.96(m,2H),7.28(dd,J=1.4,4.9Hz,1H),7.46−7.54(m,3H),7.82−7.88(m,3H),7.95(d,J=0.7Hz,1H).
実施例−23
【0074】
【化22】

【0075】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、フェニルボロン酸183mg(1.5mmol)及び炭酸セシウム652mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL及び2−チオフェンカルボアルデヒド112mg(1.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し3時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜8:2)により精製し、フェニル(チオフェン−2−イル)メタノールの無色液体168mgを得た(収率89%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.44(d,J=3.9Hz,1H),6.05(d,J=3.9Hz,1H),6.88(ddd,J=1.0,1.0,3.5Hz,1H),6.93(dd,J=3.5,5.0Hz,1H),7.25(m,1H),7.30(m,1H),7.35−7.39(m,2H),7.45−7.46(m,2H).
実施例−24
【0076】
【化23】

【0077】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、フェニルボロン酸183mg(1.5mmol)及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL及び3−チオフェンカルボアルデヒド112mg(1.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し3時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜8:2)により精製し、フェニル(チオフェン−3−イル)メタノールの淡黄色固体168mgを得た(収率91%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.19(d,J=4.0Hz,1H),5.90(d,J=4.0Hz,1H),7.00(dd,J=1.2,4.9Hz,1H),7.19(m,1H),7.27−7.31(m,2H),7.34−7.41(m,4H).
実施例−25
【0078】
【化24】

【0079】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、フェニルボロン酸183mg(1.5mmol)及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL及び3−ピリジンカルボアルデヒド107mg(1.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し3時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜1:2)により精製し、フェニル(ピリジン−3−イル)メタノールの無色液体73mgを得た(収率39%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.57(s,1H),5.89(d,J=2.9Hz,1H),7.24−7.39(m,5H),7.70(m,1H),8.50(d,J=4.8Hz,1H),8.62(d,J=1.6Hz,1H).
実施例−26
【0080】
【化25】

【0081】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、フェニルボロン酸183mg(1.5mmol)及び炭酸セシウム652mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL及び1−ナフトアルデヒド156mg(1.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し3時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜8:2)により精製し、(ナフタレン−1―イル)(フェニル)メタノールの無色液体233mgを得た(収率99%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.75(s,1H),6.36(d,J=2.9Hz,1H),7.15−7.26(m,3H),7.29−7.37(m,5H),7.52(d,J=7.0Hz,1H),7.74(d,J=8.2Hz,1H),7.79(m,1H),7.93(d,J=8.2Hz,1H).
実施例−27
【0082】
【化26】

【0083】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、フェニルボロン酸183mg(1.5mmol)及び炭酸セシウム652mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL及び4−アニスアルデヒド136mg(1.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し3時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜8:2)により精製し、(4−メトキシフェニル)(フェニル)メタノールの無色液体211mgを得た(収率99%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.80(d,J=2.7Hz,1H),3.70(s,3H),5.65(d,J=2.7Hz,1H),6.77−6.81(m,2H),7.17−7.22(m,3H),7.25−7.31(m,4H).
実施例−28
【0084】
【化27】

【0085】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、フェニルボロン酸183mg(1.5mmol)及び炭酸セシウム652mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL及び2−アニスアルデヒド136mg(1.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し3時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜8:2)により精製し、(2−メトキシフェニル)(フェニル)メタノールの無色液体202mgを得た(収率99%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ3.05(d,J=5.3Hz,1H),3.78(s,3H),6.04(d,J=5.3Hz,1H),6.86−7.95(m,2H),7.22−7.39(m,7H).
実施例−29
【0086】
【化28】

【0087】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、フェニルボロン酸183mg(1.5mmol)及び炭酸セシウム652mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL及び2−トリルアルデヒド120mg(1.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し3時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜8:2)により精製し、(2−メチルフェニル)(フェニル)メタノールの無色液体189mgを得た(収率95%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.19(d,J=3.8Hz,1H),2.23(s,3H),5.98(d,J=3.8Hz,1H),7.12−7.32(m,8H),7.49(m,1H).
実施例−30
【0088】
【化29】

【0089】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、フェニルボロン酸183mg(1.5mmol)、4−クロロベンズアルデヒド141mg(1.0mmol)及び炭酸セシウム652mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mLを加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し3時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜8:2)により精製し、(4−クロロフェニル)(フェニル)メタノールの無色液体212mgを得た(収率97%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.35(d,J=1.9Hz,1H),5.78(d,J=1.9Hz,1H),7.24−7.33(m,9H).
実施例−31
【0090】
【化30】

【0091】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、フェニルボロン酸183mg(1.5mmol)、4−シアノベンズアルデヒド131mg(1.0mmol)及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mLを加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し3時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜7:3)により精製し、4−[ヒドロキシ(フェニル)メチル]ベンゾニトリルの白色固体212mgを得た(収率94%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.31(d,J=3.3Hz,1H),5.87(d,J=3.3Hz,1H),7.29−7.39(m,5H),7.25(d,J=8.1Hz,2H),7.62(dd,J=1.8,6.6Hz,2H).
実施例−32
【0092】
【化31】

【0093】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、フェニルボロン酸183mg(1.5mmol)、4−メトキシカルボニルベンズアルデヒド164mg(1.0mmol)及び炭酸セシウム652mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mLを加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し3時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜7:3)により精製し、4−[ヒドロキシ(フェニル)メチル]安息香酸メチルの白色固体236mgを得た(収率97%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.56(d,J=3.2Hz,1H),3.88(s,3H),5.85(d,J=3.2Hz,1H),7.25−7.34(m,5H),7.45(d,J=8.3Hz,2H),7.98(d,J=8.3Hz,2H).
実施例−33
【0094】
【化32】

【0095】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、フェニルボロン酸183mg(1.5mmol)及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL及びシクロヘキシルカルボアルデヒド120mg(1.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し12時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)により精製し、(シクロヘキシル)(フェニル)メタノールの無色液体177mgを得た(収率92%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ0.87−1.39(m,6H),1.56−2.03(m,6H),4.35(m,1H),7.24−7.35(m,5H).
実施例−34
【0096】
【化33】

【0097】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリド4.2mg(0.01mmol)、フェニルボロン酸183mg(1.5mmol)及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL及びα,α,α−トリフルオロアセトフェノン174mg(1.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し12時間攪拌した。反応後、反応溶液に酢酸エチル6mLを加え、セライトろ過し、セライトを酢酸エチル20mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)により精製し、2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジフェニルエタノールの無色液体241mgを得た(収率95%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.85(s,1H),7.34−7.39(m,6H),7.48−7.51(m,4H).
実施例−35
【0098】
【化34】

【0099】
20mL遠心沈殿管にN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)クロロアセタミド1.01g(4.0mmol)、ヨウ化カリウム0.99g(6.0mmol)、炭酸カリウム0.83g(6.0mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド1.0mL及び2−ブロモアニリン1.02g(6.0mmol)を加え、封管した後、80℃で16時間攪拌した。反応終了後、反応混合物に水10mLを加え,酢酸エチル30mLで抽出した。有機層を飽和食塩水20mLで洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を除去し、ろ液から溶媒を減圧留去した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製することにより、N−2,6−ジイソプロピルフェニル−2−(2−ブロモフェニルアミノ)アセタミドの白色固体1.02gを得た(収率66%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ1.12(d,J=6.9Hz,12H),2.92(sept,J=6.9Hz,2H),4.08(d,J=5.6Hz,2H),5.08(t,J=5.6Hz,1H),6.72−6.80(m,2H),7.14(d,J=7.7Hz,2H),7.25−7.29(m,2H),7.50(dd,J=1.4,7.9Hz,1H),7.87(s,1H).
【0100】
【化35】

【0101】
50mLナス型フラスコにN−2,6−ジイソプロピルフェニル−2−(フェニルアミノ)アセタミド0.78g(2.0mmol)、0.93Mのボラン・テトラヒドロフラン溶液10.8mL(10mmol)を加え16時間加熱還流した。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール2mL及び35%塩酸1.5mLを加えた。この反応溶液から溶媒を減圧留去した後、残渣にオルトギ酸エチル9mLを加え、120℃で2.5時間攪拌した。反応終了後、反応混合物から有機溶媒を留去し、得られた粗生成物をジクロロメタンと酢酸エチルから再結晶することにより、1−(2−ブロモフェニル)−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリドの白色固体0.42gを得た(収率50%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ1.31(d,J=6.8Hz,6H),1.37(d,J=6.8Hz,6H),3.45(sept,J=6.8Hz,2H),4.59−4.65(m,2H),5.07−5.12(m,2H),7.30−7.32(m,2H),7.37(ddd,J=1.4,7.8,7.8Hz,1H),7.49(dd,J=7.8,7.8Hz,1H),7.57(ddd,J=1.4,7.8,7.8Hz,1H),7.68(dd,J=1.4,8.0Hz,1H),8.17(s,1H),8.69(dd,J=1.4,8.0Hz,1H).
実施例−36
【0102】
【化36】

【0103】
20mL遠心沈殿管にN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)クロロアセタミド1.01g(4.0mmol)、臭化カリウム0.52g(4.4mmol)、炭酸カリウム0.72g(5.2mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド1.0mL及びアニリン0.47g(5.0mmol)を加え、封管した後、80℃で12時間攪拌した。反応終了後、反応混合物に水10mLを加え,酢酸エチル30mLで抽出した。有機層を飽和食塩水20mLで洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を除去し,ろ液から溶媒を減圧留去した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製することにより、N−2,6−ジイソプロピルフェニル−2−(フェニルアミノ)アセタミドの白色固体0.94gを得た(単離収率72%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ1.13(d,J=6.9Hz,12H),2.96(hept,J=6.9Hz,2H),4.01(d,J=5.6Hz,2H),4.43(t,J=5.6Hz,1H),6.76−6.78(m,2H),6.87(m,1H),7.14(d,J= 7.7Hz,2H),7.25−7.31(m,3H),8.03(s,1H).
【0104】
【化37】

【0105】
50mLナス型フラスコにN−2,6−ジイソプロピルフェニル−2−(フェニルアミノ)アセタミド0.93g(3.0mmol)及び1.0Mのボラン・テトラヒドロフラン溶液15mL(15mmol)を加え、16時間加熱還流した。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール3mL及び35%塩酸2.5mLを加えた。この反応溶液から溶媒を減圧留去した後、残渣にオルソギ酸エチル10mLを加え、120℃で2.5時間攪拌した。反応終了後、反応混合物から溶媒を留去し、残渣をジクロロメタンと酢酸エチルから再結晶することにより、1−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−3−フェニル−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリドの白色固体0.75gを得た(収率72%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ1.32(d,J=6.8Hz,6H),1.38(d,J=6.8Hz,6H),3.00(sept,J=6.8Hz,2H),4.43−4.48(m,2H),4.84−4.89(m,2H),7.29(d,J=7.8Hz,2H),7.36(dd,J=7.5,7.5Hz,1H),7.46−7.54(m,3H),7.75−7.76(m,2H),10.6(s,1H).
実施例−37
【0106】
【化38】

【0107】
20mL遠心沈殿管にN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)クロロアセタミド2.02g(8.0mmol)、臭化カリウム1.04g(8.8mmol)、炭酸カリウム1.44g(10.4mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド2.0mL及び2−イソプロピルアニリン1.36g(10.0mmol)を加え、封管した後、80℃で15時間攪拌した。反応終了後、反応混合物に水25mLを加え、酢酸エチル60mLで抽出した。有機層を飽和食塩水30mLで洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を除去し、溶媒を減圧留去した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製することにより、N−2,6−ジイソプロピルフェニル−2−(2−イソプロピルフェニルアミノ)アセタミドの白色固体2.26gを得た(収率80%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ1.12(d,J=6.9Hz,12H),1.31(d,J=6.8,6H),2.90−3.04(m,3H),4.07(s,2H),4.52(s,1H),6.76(dd,J=1.0,8.0Hz,1H), 6.89(ddd,J=1.0,5.6,5.6Hz,1H),7.13−7.28(m, 5H),7.95(s,1H).
【0108】
【化39】

【0109】
50mLナス型フラスコにN−2,6−ジイソプロピルフェニル−2−(フェニルアミノ)アセタミド1.4g(4.0mmol)及び1.0Mのボラン・テトラヒドロフラン溶液15mL(15mmol)を加え、16時間加熱還流した。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール3mL及び35%塩酸3mLを加えた。反応溶液から溶媒を減圧留去した後、残渣にオルソギ酸エチル10mLを加え、120℃で2.5時間攪拌した。反応終了後、反応混合物から溶媒を留去し、残渣をジクロロメタンと酢酸エチルから再結晶することにより、1−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−3−(2−イソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムクロリドの白色固体0.96gを得た(収率62%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ1.30(d,J=6.8Hz,6H),1.34(d,J=6.8Hz,6H),1.39(d,J=6.8Hz,6H),3.07(hept,J=6.8Hz,1H),3.29(hept,J=6.8Hz,2H),4.68−4.73(m,2H),5.01−5.06(m,2H),7.30(d,J=7.8Hz,2H),7.37−7.50(m,4H),8.04(dd,J=1.2,7.8Hz,1H),8.09(s,1H).
参考例−1
【0110】
10mL遠心沈殿管にπ−アリルパラジウムクロリドダイマー1.8mg(0.005mmol)、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウムクリド4.3mg(0.01mmol)、フェニルボロン酸183mg(1.5mmol)及び炭酸セシウム652mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mLおよび4−tert−ブチルベンズアルデヒド162mg(1.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて封管し、80℃に加熱し12時間攪拌した。反応後の溶液中に4−tert−ブチルフェニル(フェニル)メタノールは全く生成していないことをH−NMRで確認した。






【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、Rは、水素原子、炭素数2〜6のアルキル基またはハロゲン原子を示す。Xは対陰イオンを示す。)で表されるイミダゾリニウム塩。
【請求項2】
が、水素原子、イソプロピル基または臭素原子である請求項1に記載のイミダゾリニウム塩。
【請求項3】
が、塩化物イオンである請求項1または2に記載のイミダゾリニウム塩。
【請求項4】
一般式(2)
【化2】

(式中、Rは、フェニル基、ナフチル基または複素芳香族基を示し、これらは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、シアノ基で置換されていてもよい。また、Rは、炭素数1〜8のシクロアルキル基を示す。Rは、水素原子またはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示す。)で表されるカルボニル化合物と、一般式(3)
【化3】

(式中、Rは、フェニル基、ナフチル基または複素芳香族基を示し、これらは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、シアノ基で置換されていてもよい。)で表されるボロン酸類を、パラジウム化合物とイミダゾリニウム塩からなる触媒及び塩基の存在下に反応させ、一般式(4)
【化4】

(式中、R、RおよびRは、前記と同じ内容を示す。)で表されるアルコール類を製造する方法において、一般式(1)
【化5】

(式中、Rは、水素原子、炭素数2〜6のアルキル基またはハロゲン原子を示す。X-は対陰イオンを示す。)で表されるイミダゾリニウム塩を用いることを特徴とする製造方法。
【請求項5】
が、水素原子、イソプロピル基または臭素原子である請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
パラジウム化合物が、酢酸パラジウム、π−アリルパラジウムクロリドダイマーまたはトリフルオロ酢酸パラジウムである請求項4または5に記載の製造方法。
【請求項7】
塩基が、無機塩基である請求項4から6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
塩基が、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウムまたはフッ化セシウムである請求項4から7のいずれかに記載の製造方法。

【公開番号】特開2011−98909(P2011−98909A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254606(P2009−254606)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000173762)公益財団法人相模中央化学研究所 (151)
【Fターム(参考)】