説明

アルジミン及びアルジミン含有組成物

本発明は、式(I)のアルジミン、潜在性硬化剤としてのその使用、特に、イソシアネート基を含む湿気硬化性ポリウレタン組成物における使用に関する。このアルジミンは、良好な貯蔵安定性をもち、硬化後にほとんど知覚可能な臭気をもたない、普通は室温で液体の化合物である。特に、ポリウレタン組成物中で加水分解によって放出されるアルデヒド基は、非常に小さな軟化効果しかもたず、移行又は滲み出す傾向がほとんどない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルジミンの分野及びポリウレタン組成物の分野、並びにそれらの使用、特に接着剤、シーラント、コーティング、又は床被覆材としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルジミンは、一級アミンとアルデヒドとからなる縮合生成物であり、長い間知られている物質群を意味する。水分と接触すると、アルジミンは加水分解されて、対応するアミンとアルデヒドとを生成することができる。この特性に基づいて、アルジミンを、アミン又はアルデヒドの保護形態として用いることができる。したがって、例えば、アルジミンはポリウレタン化学に用いられ、その場合にアルジミンは、水分によって活性化されうる架橋剤、いわゆる「ブロックアミン」又は「潜在性硬化剤」として、イソシアネート基を有する一成分形又は二成分形の組成物のために用いられる。
【0003】
イソシアネート基を有するシステム中で潜在性硬化剤としてアルジミンを用いる利点は、特に、ブロックアミンを用いる硬化反応は(水分とのイソシアネートの直接反応とは対照的に)二酸化炭素(CO)の放出を伴って進行しないので、望ましくない気泡の発生を避けることができること、並びに、より速い硬化速度及び/又はより長いオープンタイムが達成できることにある。
【0004】
イソシアネート基を有するシステムにおいて潜在性硬化剤としてアルジミンを用いると、しかしながら問題も生じうる。一成分形組成物の場合には、その保存期間はアルジミンの存在によって大きく制限されうる。アルジミンの製造のために用い、硬化反応時に再び放出されるアルデヒドによって、組成物が非常に強い臭気をもつおそれがあり、さらに、この臭気は多くの用途において許容されないおそれがある。
【0005】
国際出願公開第2004/013088号パンフレットは、無臭のポリアルジミンを記載しており、これは一級ポリアミンと無臭のアルデヒドとから製造される。国際公開第2007/036571号パンフレットは、少なくとも1つのヒドロキシル、メルカプト、又は二級アミノ基を含み、さらに無臭のアルデヒドから出発して入手できる無臭のアルジミンを記載している。これらの無臭のアルデヒドは、ポリマー組成物、特にポリウレタン組成物において強い軟化作用をもつ可能性があり、このことは望ましくない場合がある。さらに、比較的高分子量のアルデヒドは、潜在性硬化剤としてそれから製造されたアルジミンをかなり多量に用いなければならないことをもたらし、このことはそれらの使用を費用のかかるものにしうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際出願公開第2004/013088号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2007/036571号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、したがって、硬化性組成物、特にイソシアネート基を有する湿気硬化性ポリウレタン組成物における潜在性硬化剤として用いることができる新しいアルジミンを得られるようにすることである。
【0008】
充分驚くべきことに、請求項1記載のアルジミンがこの目的を達成し、有利な特性をもつことを発見した。これらは、ほとんどの場合に室温で液体であり、加水分解の前、途中、及び後にいかなるアルデヒド臭ももたない化合物である。これらはイソシアネート基、特にまた非常に反応性の芳香族イソシアネート基と一緒でも長い貯蔵寿命をもつ。これらの加水分解時には、アルデヒドが放出され、このアルデヒドはポリウレタン組成物に特に非常に相容性であり、わずかな軟化の影響しか及ぼさず、移行し又は滲み出す傾向を非常にわずかしか示さない。これらはしたがって、イソシアネート基を有する組成物中の潜在性硬化剤として非常に良く適している。
【0009】
本発明のその他の側面は、その他の独立請求項の対象である。本発明の特に好ましい態様は、従属請求項の対象である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[本発明を実施するための手段]
本発明の一つの主題は下記式(I)のアルジミンである。
【化1】

式中、
YはO又はSを表し;
Aは、n個の一級アミノ基とm個のHX基を取り除いた後のアミンの基を表すか、
又は、Rと一緒になって3〜20の炭素原子をもつ(n+2×m)価の炭化水素基を表し、この炭化水素基は少なくとも1つのヘテロ原子、特にエーテル酸素もしくはアミン窒素の形態の少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよく;
nは0、1、2、3、又は4を表し;
mは0、1、2、3、又は4を表し、
但し、m+nは2、3、4、又は5を表すことを条件とし;
及びRは、
それぞれの場合に、互いに独立に、1〜12の炭素原子をもつ一価の炭化水素基を表すか、
あるいは、一緒になって4〜12の炭素原子をもつ二価の炭化水素基を表し、この炭化水素基は任意選択で置換されていてもよい5〜8、好ましくは6の炭素原子をもつ炭素環基の一部であり;
は、水素原子、又は1〜12の炭素原子を有する、アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、もしくはアルコキシカルボニル基を表し;
及びRは、
一緒になって2〜10の炭素原子をもつ二価の基を表し、この基は任意選択で酸素又は硫黄原子を有していてもよく、且つ任意選択で置換されていてもよい5又は6又は7員環の一部であるか、
あるいは、
は、1〜10の炭素原子をもつアルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、又はアシル基を表し、且つ
は、水素原子、又はアルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、もしくはアリール基、-OR5’、-SR5’、及び-NR5’5’’からなる群から選択される1〜20の炭素原子をもつ一価の基を表し、ここでR5’及びR5’’はそれぞれの場合に炭化水素基を表すか、又は一緒になって、5、6、もしくは7員環の一部であるアルキレン基を表し;
Xは、O、S、N-R、又はN-Rを表し、
ここで、Rは、
任意選択により少なくとも1つのカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホン、もしくはスルホン酸エステル基を有していてもよい、1〜20の炭素原子をもつ一価の炭化水素基を表すか、
又は、下記式(II):
【化2】

(式(II)中、
pは、0又は1〜10,000の整数を表し、
Bは、(p+1)価の炭化水素基を表し、この炭化水素基は任意選択でエーテル酸素、三級アミン窒素、ヒドロキシル基、二級アミノ基、もしくはメルカプト基を含んでいてもよい。)
の置換基を表し、
は、Aと一緒になって3〜20の炭素原子をもつ(n+2×m)価の炭化水素基を表し、この炭化水素基は任意選択により少なくとも1つのヘテロ原子、特にエーテル酸素又は三級アミン窒素の形態の少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい。
本明細書中、式中の点線は、各場合において、置換基と関連する分子基との間の結合を表す。
【0011】
本明細書中、用語「一級アミノ基」は、NH基の形態のアミノ基をいい、これは有機基に結合している。用語「二級アミノ基」は、その窒素原子が2つの有機基に結合しているアミノ基をいい、2つの有機基はまた環の共通の一部であってもよい。用語「三級アミノ基」は、その窒素原子(=三級アミン窒素)が3つの有機基(ここでこれらの有機基の2つは環の共通の一部であることができる)に結合しているアミノ基をいう。
【0012】
本明細書中、用語「活性水素」は、ヒドロキシル、メルカプト、又は二級もしくは一級アミノ基の水素原子をいう。
【0013】
そのアミノ及びイソシアネート基が各場合に脂肪族、脂環式、又は芳香脂肪族(arylaliphatic)基にのみ結合しているアミン及びイソシアネートは、それぞれ「脂肪族(aliphatic)」といい、そうしてこれらの基を脂肪族アミノ及び脂肪族イソシアネート基という。
【0014】
そのアミノ及びイソシアネート基が各場合に芳香族基に結合しているアミン及びイソシアネートは「芳香族(aromatic)」といい、そうしてこれらの基を芳香族アミノ基及び芳香族イソシアネート基という。
【0015】
「低臭気」の物質とは、その臭気が感知可能、すなわち、人によってわずかにしか臭いが感じられない物質として定義され、それはしたがって強い臭気、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、イソブチルアルデヒド、又は溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトンなどのような強い臭気をもたず、したがってこのわずかな臭気はほとんどの人によって不快又は忌避すべきであるとは考えられない。
【0016】
「無臭」の物質とは、ほとんどの人が臭いを感じることができず、したがって知覚可能な臭気をもたない物質として定義される。
【0017】
それぞれの場合に、R及びRは、好ましくはメチル基を表す。
は、好ましくは水素原子を表す。
Yは、好ましくは酸素原子を表す。
は、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、2-エチルへキシル、シクロヘキシル、又はベンジル基を表し、且つRは、水素原子、もしくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、2-エチルへキシル、シクロへキシル、ベンジル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、もしくはイソプロポキシ基を表すか、
あるいは、RとRは一緒になって、窒素原子、及びカルボニルもしくはチオカルボニル基を含めて、環、特に、2-ピロリドン環、ピロリジン-2,5-ジオン環、ピペリジン-2-オン環、ピペリジン-2,6-ジオン環、アゼパン-2-オン環、オキサゾリジン-2-オン環、もしくはチアゾリジン-2-オン環を形成し、ここでこの環は任意選択により置換されていてもよい。
【0018】
式(I)のアルジミンの一つの態様では、mは0、1、2、3、又は4、好ましくは1を表す。したがって、このようなアルジミンは、HX基に由来する少なくとも1つの活性水素を有する。
【0019】
少なくとも1つの活性水素をもつ式(I)の特に好ましいアルジミンは、下記式(Ia)のアルジミンである。
【化3】

式(Ia)中、
は、
任意選択により少なくとも1つのヘテロ原子、特にエーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形態の少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい、2〜20の炭素原子をもつ二価の炭化水素基を表すか、
あるいは、
と一緒になって、任意選択により少なくとも1つのヘテロ原子、特にエーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形態の少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい、3〜20の炭素原子をもつ三価の炭化水素基を表し;
は、O、S、N-R、又はN-Rを表し、
は、
任意選択により少なくとも1つのカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホン、もしくはスルホン酸エステル基を有していてもよい、1〜20の炭素原子をもつ一価の炭化水素基を表すか、
又は、下記式(IIa):
【化4】

(式(IIa)中、Bは、任意選択によりエーテル酸素もしくは三級アミン窒素をもっていてもよい、2〜12の炭素原子をもつ二価の炭化水素基を表す。)
の置換基を表し、
はAと一緒になって、3〜20の炭素原子をもつ三価の炭化水素基を表し、この炭化水素基は任意選択により少なくとも1つのヘテロ原子、特にエーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形態の少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよく、
Y、R、R、R、R、及びRは上述した意味を有しており、
但し、Aが活性水素をもたないことを条件とする。
【0020】
式(I)のアルジミンの別の態様では、mは0(ゼロ)を表し、nは2、3、又は4を表す。このようなアルジミンはポリアルジミンを表す。本明細書では、「ポリ」で始まる物質名、例えば、ポリアルジミン、ポリアミン、又はポリイソシアネートは、それらの名前にある官能基を一分子当たり2つ以上形式的に有する物質をいう。
【0021】
式(I)でm=0の特に好ましいアルジミンは、下記式(Ib)のアルジミンである。
【化5】

式(Ib)中、
tは2又は3を表し;
はt個の一級アミノ基を除いた後のアミンB2の基を表し、
Y、R、R、R、R、及びRは上述した意味を有し、
但し、式(Ib)のアルジミンが活性水素を持たないことを条件とする。
【0022】
式(I)のアルジミンは、式(III)の少なくとも1つのアミンBと式(IV)の少なくとも1つのアルデヒドALDとの反応から得られる。
【化6】

式中、
は、O、S、N-R6a、又はN-Rを表し、
ここで、R6aは、任意選択により少なくとも1つの、カルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホン、もしくはスルホン酸エステル基を有していてもよい、1〜20の炭素原子をもつ一価の炭化水素基を表すか、
又は、下記式(III’):
【化7】

の置換基を表し、
m、n、A、B、Y、R、R、R、R、R、及びpは既に上述した意味を有する。
【0023】
式(III)のアミンBと式(IV)のアルデヒドALDとの間の反応は縮合反応で行われ、水が分離除去される。最良の場合、このような縮合反応は、例えば、Houben-Weyl, “Methoden der Organischen Chemie(有機化学の方法)”, Vol. XI/2, p. 73 ff.に記載されており、知られている。この場合、アルデヒドALDは、アミンBの一級アミノ基に対して化学量論量又は化学量論過剰量で用いられる。通常は、このような縮合反応は溶媒の存在下、反応中に生じた水を共沸によって除去することにより行われる。しかし、式(I)のアルジミンの製造のためには、溶媒を用いない製造方法が好ましく、その場合、縮合で生じた水は、減圧を適用することによって反応混合物から直接除去される。溶媒なしの製造によって、製造後の溶媒の留去は全く不必要であり、このことが製造工程を簡単にする。さらに、それによりアルジミンは、不快な臭気を引き起こす溶媒残渣を含まない。
【0024】
式(III)のアミンBとして、一つの態様では、1つ以上の一級アミノ基に加えて、ヒドロキシル、メルカプト、又は二級アミノ基の形態の、活性水素を有する少なくとも1つの反応性基を有する化合物が好適である。活性水素を有する反応性基を1つより多くもつそのようなアミンBの例は以下のものである。
【0025】
- 1つより多くの二級アミノ基と1つ以上の一級アミノ基を有する脂肪族アミン。例えば、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン、及び線状ポリエチレンアミンの高次類似体、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-エチレンジアミン、いくつかの一級アミノ基をもつ一級ジ-及びポリアミンの繰り返しのシアノエチル化又はシアノブチル化とそれに続く水素化による生成物、例えば、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-エチレンジアミン、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-1,4-ジアミノブタン、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、N,N’-ビス-(3-アミノ-1-エチルプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、並びに様々な重合度のポリエチレンイミン(500〜1,000,000 g/モルの分子量範囲)、それらは例えば、純粋な形態で又は水溶液としてBASF社からLupasol(登録商標)の商品名で入手でき、これらのポリエーテルイミンは一級及び二級アミノ基に加えて三級アミノ基も含む;
【0026】
- 1つより多くのヒドロキシル基と1つ以上の一級アミノ基を有するヒドロキシアミン類。特に、ポリアルコキシル化された三価又はそれより多価アルコールの誘導体、あるいはポリアルコキシル化されたポリアミンの誘導体、並びにアミノ糖、例えば、グルコサミン又はガラクトサミン;
【0027】
- ヒドロキシアミン類のシアノエチル化又はシアノブチル化とそれに続く水素化からの、少なくとも1種のヒドロキシルを有するヒドロキシポリアミン及び少なくとも1種の二級アミノ基を有するヒドロキシポリアミン、例えば、N-ヒドロキシエチル-1,2-エタンジアミン、N-ヒドロキシプロピル-1,2-エタンジアミン、N-ヒドロキシエチル-1,3-プロパンジアミン、及びN3-ヒドロキシエチル-1,3-ペンタンジアミン。
【0028】
式(IV)のアルデヒドALDとの反応のための式(III)のアミンBとしては、一方では、式(IIIa)のアミンB1が特に適している。
【化8】

式(IIIa)中、
1aは、O又はS又はN-R8a又はN-Rを表し、
ここで、R8aは、任意選択により少なくとも1つのカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホン、もしくはスルホン酸エステル基を
有していてもよい、1〜20の炭素原子をもつ一価の炭化水素基を表すか、
あるいは、下記式(IIIa’):
【化9】

の置換基を表し、
、B、及びRは上述した意味を有する。
【0029】
式(Ia)のアルジミンは、式(IIIa)の少なくとも1種のアミンB1と式(IV)の少なくとも1種のアルデヒドALDとの反応によって得られる。
【0030】
アミンB1の例は以下のものである。
【0031】
- 1つ又は2つの一級脂肪族アミノ基及び1つの二級脂肪族アミノ基をもつ化合物。例えば、N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-ブチル-1,2-エタンジアミン、N-へキシル-1,2-エタンジアミン、N-(2-エチルへキシル)-1,2-エタンジアミン、N-シクロへキシル-1,2-エタンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン、ジエチレントリアミン(DETA)、ビスヘキサメチレントリアミン(BHMT)、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン;一級モノ及びジアミンのシアノエチル化又はシアノブチル化とそれに続く水素化からのジ及びトリアミン類、例えば、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-へキシル-1,3-プロパンジアミン、N-(2-エチルへキシル)-1,3-プロパンジアミン、N-ドデシル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロへキシル-1,3-プロパンジアミン、3-メチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-エチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-ブチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-へキシルアミノ-1-ペンチルアミン、3-(2-エチルへキシル)アミノ-1-ペンチルアミン、3-ドデシルアミノ-1-ペンチルアミン、3-シクロへキシルアミノ-1-ペンチルアミン、ジプロピレントリアミン(DPTA)、N3-(3-アミノペンチル)-1,3-ペンタンジアミン、N5-(3-アミノプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、N5-(3-アミノ-1-エチルプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、及び脂肪アミン類、例えば、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソヤアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-タロウアルキル-1,3-プロパンジアミン、又はN-(C16-22アルキル)-1,3-プロパンジアミン(これらは例えばAkzo Nobel社から商品名Duomeen(登録商標)として入手できる);脂肪族一級ジ又はトリアミンと、アクリロニトリル、マレイン酸又はフマル酸のジエステル類、シトラコン酸ジエステル類、アクリル及びメタクリル酸のエステル類、アクリル及びメタクリル酸のアミド類、及びイタコン酸ジエステル類とを、1:1のモル比で反応させた、マイケル型付加生成物;
【0032】
- ヒドロキシルアミン。例えば、2-アミノエタノール、2-アミノ-1-プロパノール、1-アミノ-2-プロパノール、3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、4-アミノ-2-ブタノール、2-アミノ-2-メチルプロパノール、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、7-アミノ-1-ヘプタノール、8-アミノ-1-オクタノール、10-アミノ-1-デカノール、12-アミノ-1-ドデカノール、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール;グリコール(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、及びこれらのグリコールのより高次のオリゴマー及びポリマー)の一級アミノ基をもつ誘導体、例えば、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エタノール、α-(2-ヒドロキシメチルエチル)-ω-(2-アミノメチルエトキシ)-ポリ(オキシ(メチル-1,2-エタンジイル));ヒドロキシル基及び一級アミノ基を有する、ポリアルコキシル化された三価又はそれより多価のアルコールの誘導体;グリコールの単純なシアノエチル化及びそれに続く水素化からの生成物、例えば、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミン、及び3-(6-ヒドロキシへキシルオキシ)プロピルアミン;
【0033】
- メルカプトアミン。例えば、2-アミノエタンチオール(システアミン)、3-アミノプロパンチオール、4-アミノ-1-ブタンチオール、6-アミノ-1-ヘキサンチオール、8-アミノ-1-オクタンチオール、10-アミノ-1-デカンチオール、及び12-アミノ-1-ドデカンチオール。
【0034】
アミンB1としては、以下のものが好ましい。N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-シクロへキシル-1,2-エタンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロへキシル-1,3-プロパンジアミン、4-アミノメチル-ピペリジン、3-(4-アミノブチル)-ピペリジン、DETA、DPTA、BHMT、及び脂肪ジアミン類、例えば、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソヤアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-タロウアルキル-1,3-プロパンジアミン;脂肪族一級ジアミンと、マレイン酸又はフマル酸のジエステル類、アクリル及びメタクリル酸のエステル類、アクリル及びメタクリル酸のアミド類(好ましくはマレイン酸ジエステル、特に、マレイン酸のジメチル、ジエチル、ジプロピル、及びジブチルエステル、アクリル酸エステル、特にアクリル酸メチルエステル)とを、1:1のモル比で反応させた、マイケル型付加生成物;並びに、脂肪族ヒドロキシ-又はメルカプト-アミン類であって、その一級アミノ基が、そのヒドロキシル又はメルカプト基から、少なくとも5原子の鎖によって又は環によって離されているもの、特に、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、及びそれらの高次の類似体、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノエチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)-エタノール、トリエチレングリコールモノアミン及びその高次のオリゴマー及びポリマー、3-(2-ヒドロキシエトキシ)-プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)-エトキシ)-プロピルアミン、及び3-(6-ヒドロキシへキシルオキシ)-プロピルアミン。
【0035】
アミンB1として、特に好ましいものは以下のものからなる群から選択される。N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-シクロへキシル-1,2-エタンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロへキシル-1,3-プロパンジアミン、4-アミノメチル-ピペリジン、3-(4-アミノブチル)-ピペリジン、DETA、DPTA、BHMT、及び脂肪ジアミン類、特に、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソヤアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-タロウアルキル-1,3-プロパンジアミン; 5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノエチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)-エタノール、トリエチレングリコールモノアミン、3-(2-ヒドロキシエトキシ)-プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)-エトキシ)-プロピルアミン、及び3-(6-ヒドロキシへキシルオキシ)-プロピルアミン。
【0036】
アミンB1として、最も好ましいものは以下のものからなる群から選択される。5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノエチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)-エタノール、トリエチレングリコールモノアミン、3-(2-ヒドロキシエトキシ)-プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)-エトキシ)-プロピルアミン、及び3-(6-ヒドロキシへキシルオキシ)-プロピルアミン。
【0037】
式(IV)のアルデヒドALDとの反応のための式(III)のアミンBとしては、その一方で、下記式(IIIb):
【化10】

(式中、A及びtは既に上述した意味を有する。)
のアミンB2が特に適している。
【0038】
式(Ib)のアルジミンは、式(IIIb)の少なくとも1種のアミンB2と式(IV)の少なくとも1種のアルデヒドALDとの反応によって得られる。
【0039】
アミンB2の例は以下のものである。
【0040】
- 脂肪族、脂環式、又は芳香脂肪族ジアミン。例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,2-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-ブタンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,3-ペンタンジアミン(DAMP)、1,5-ペンタンジアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン(C11-ネオジアミン)、1,6-ヘキサンジアミン、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,2-, 1,3-, 及び1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロへキシル)メタン(H12−MDA)、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロへキシル)メタン、ビス-(4-アミノ-3-エチルシクロへキシル)-メタン、ビス-(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロへキシル)-メタン、ビス-(4-アミノ-3-エチル-5-メチルシクロへキシル)-メタン(M−MECA)、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミンあるいはIPDA)、2-及び4-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン及びそれらの混合物、1,3-及び1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDA)、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、1,8-メンタンジアミン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、並びに1,3-及び1,4-キシリレンジアミン;
【0041】
- エーテル基含有脂肪族アミン、例えば、ビス(2-アミノエチル)エーテル、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-2,9-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、5,8-ジオキサドデカン-3,10-ジアミン、及びこれらのジアミンの高次オリゴマー、ビス-(3-アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン、及び例えば350〜5200の範囲の分子量をもつその他のポリテトラヒドロフランジアミン類、並びにポリオキシアルキレンジアミン類。最後のものは典型的にはポリオキシアルキレンジオールのアミノ化からの生成物を表し、例えば、Jeffamine(登録商標)(Huntsman社)の名称で、Polyetheramine(BASF社)の名称で、あるいはPC Amine(登録商標)(Nitroil社)の名称で入手できる。特に適したポリオキシアルキレンジアミンは、Jeffamine(登録商標)D-230、Jeffamine(登録商標)D-400、Jeffamine(登録商標)D-2000、Jeffamine(登録商標)D-4000、Jeffamine(登録商標)XTJ-511、Jeffamine(登録商標)ED-600、Jeffamine(登録商標)ED-900、Jeffamine(登録商標)ED-2003、Jeffamine(登録商標)XTJ-568、Jeffamine(登録商標)XTJ-569、Jeffamine(登録商標)XTJ-523、Jeffamine(登録商標)XTJ-536、Jeffamine(登録商標)XTJ-542、Jeffamine(登録商標)XTJ-559、Jeffamine(登録商標)EDR-104、Jeffamine(登録商標)EDR-148、Jeffamine(登録商標)EDR-176; Polyetheramine D230、Polyetheramine D400、及びPolyetheramine D2000、PC Amine(登録商標)DA 250、PC Amine(登録商標)DA 400、PC Amine(登録商標)DA 650、及びPC Amine(登録商標)DA 2000;
【0042】
- 脂肪族、脂環式、又は芳香脂肪族トリアミン。例えば、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、1,3,5-トリス-(アミノメチル)-ベンゼン、1,3,5-(アミノメチル)-シクロヘキサン、トリス-(2-アミノエチル)-アミン、トリス-(2-アミノプロピル)-アミン、トリス-(3-アミノプロピル)-アミン;
【0043】
- ポリオキシアルキレントリアミン。これは典型的にはポリオキシアルキレントリオールのアミノ化からの生成物を表し、例えば、Jeffamine(登録商標)(Huntsman社)の商品名で、Polyethermine(BASF社)の商品名で、PC Amine(登録商標)(Nitroil社)の名称で、例えば、Jeffamine(登録商標)T-403、Jeffamine(登録商標)T-3000、Jeffamine(登録商標)T-5000;polyetheramine T403、polyethermine T5000;及びPC Amine(登録商標)TA 403、及びPC Amine(登録商標)TA 5000の名称で入手できる。
【0044】
- 芳香族ジ-及びトリアミン。例えば、1,2-, 1,3-, 及び1,4-フェニレンジアミン、2,4-及び2,6-トリレンジアミン(TDA)、3,4-トリレンジアミン、3,5-ジメチルチオ-2,4-及び-2,6-トリレンジアミン、3,5-ジエチル-2,4-及び-2,6-トリレンジアミン(DETDA)、2,4,6-トリエチル-1,3-フェニレンジアミン、2,4,6-トリイソプロピル-1,3-フェニレンジアミン、3-エチル-5-メチル-2,4-トリレンジアミン、3,5-ジイソプロピル-2,4-トリレンジアミン、3,5-ビス(1-メチルプロピル)-2,4-トリレンジアミン、3,5-ビス(tert-ブチル)-2,4-トリレンジアミン、3-エチル-5-イソプロピル-2,4-トリレンジアミン、5-イソプロピル-2,4-トリレンジアミン、5-(tert-ブチル)-2,4-トリレンジアミン、4,6-ビス(1-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-イソプロピル-6-(tert-ブチル)-1,3-フェニレンジアミン、4-エチル-6-イソプロピル-1,3-フェニレンジアミン、4-エチル-6-(2-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-エチル-6-(1-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-エチル-6-(2-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-イソプロピル-6-(1-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-(tert-ブチル)-6-(2-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-シクロペンチル-6-エチル-1,3-フェニレンジアミン、4-シクロペンチル-6-イソプロピル-1,3-フェニレンジアミン、4,6-ジシクロペンチル-1,3-フェニレンジアミン、3-イソプロピル-2,6-トリレンジアミン、2-メチルプロピル-(4-クロロ-3,5-ジアミノベンゾエート)、tert-ブチル-(4-クロロ-3,5-ジアミノベンゾエート)、2,6-ジアミノピリジン、メラミン、4,4’-, 2,4’-及び2,2’-ジアミノジフェニルメタン(MDA)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、3,3’,5,5’-テトラエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(M−DEA)、3,3’,5,5’-テトラエチル-2,2’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(M−CDEA)、3,3’-ジイソプロピル-5,5’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(M−MIPA)、3,3’,5,5’-テトライソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(M−DIPA)、3,3’,5,5’-テトラ(1-メチルプロピル)-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジ-tert-ブチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-tert-ブチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、4-アミノ-N-(4-アミノフェニル)-ベンゼンスルホンアミド、5,5’-メチレンジアントラニル酸、ジメチル-(5,5’-メチレンジアントラニレート)、1,3-プロピレンビス(4-アミノベンゾエート)、1,4-ブチレンビス(4-アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド-ビス-(4-アミノベンゾエート)(Air Products社からVersalink(登録商標)として入手できる)、及び1,2-ビス(2-アミノフェニルチオ)エタン。
【0045】
- 一級芳香族アミノ基及び一級脂肪族アミノ基をもつポリアミン。例えば、特に、4-アミノエチルアニリン、4-アミノメチルアニリン、4-[(4-アミノシクロへキシル)メチル]アニリン、2-アミノエチルアニリン、2-アミノメチルアニリン、2-[(4-アミノシクロへキシル)メチル]アニリン、及び4-[(2-アミノシクロへキシル)メチル]アニリン。
【0046】
アミンB2は好ましくは以下のものからなる群から選択される。1,6-ヘキサメチレンジアミン、MPMD、DAMP、IPDA、TMD、1,3-キシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノエチル)シクロヘキサン、ビス-(4-アミノシクロへキシル)-メタン、ビス-(4-アミノ-3-メチルシクロへキシル)-メタン、ビス-(4-アミノシクロへキシル)-メタン、ビス-(4-アミノ-3-メチルシクロへキシル)-メタン、3(4),8(9)-ビス-(アミノメチル)-トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,2-, 1,3-, 及び1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン、3,6-ジオキサ-オクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、2又は3つのアミノ基をもつポリオキシアルキレンポリアミン、特に、Huntsman社のタイプD-230、D-400、D-2000、T-403、及びT-5000(これらはJeffamine(登録商標)の商品名で入手できる)、及びBASF社又はNitroil社の化合物(これらは前記の化合物の類似体である);1,3-及び1,4-フェニレンジアミン、2,4-及び2,6-トリレンジアミン、4,4’-, 2,4’-, 及び2,2’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、及び前述したポリアミン類の混合物。
【0047】
さらに、式(IV)の少なくとも1種のアルデヒドALDを、式(I)のアルジミンの製造のために用いる。
【化11】

式中、Y、R、R、R、R、及びRは既に上述した意味を有する。
【0048】
一つの態様では、式(IV)のアルデヒドALDは、技術文献で知られているように、マンニッヒ反応に類似しているα-アミノアルキル化の生成物として入手可能である。この場合は、式(V)のアルデヒドY1、式(VI)のアルデヒドY2、及び式(VII)の化合物Cを、水を除去しながら反応させて、式(IV)のアルデヒドALDを生成させる。
【化12】

【0049】
式(V)、(VI)、及び(VII)中、Y、R、R、R、及びRは既に上述した意味を有する。
【0050】
この反応は、式(V)、(VI)、及び(VII)によるフリーの反応剤Y1、Y2、及びCを用いて行うか、あるいはこれらの反応剤を、部分的もしくは全てを誘導体化された形で用いて行うことができる。好ましい態様では、全ての反応剤をフリーの形態で用いる反応をワンポット反応として行い、反応が完結した後で、アルデヒドALDを蒸留によって精製する。この場合、有機溶媒を用いないことが好ましい。
【0051】
式(V)のアルデヒドY1として、特に、以下のアルデヒドが適している:イソブチルアルデヒド、2-メチルブチルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、2-メチルバレルアルデヒド、2-エチルカプロンアルデヒド、シクロペンタンカルボキサルデヒド、シクロヘキサンカルボキサルデヒド、1,2,3,6-テトラヒドロベンズアルデヒド、2-メチル-3-フェニルプロピオンアルデヒド、2-フェニルプロピオンアルデヒド、及びジフェニルアセトアルデヒド。イソブチルアルデヒドが好ましい。
【0052】
式(VI)のアルデヒドY2としては、特に以下のアルデヒドが適している:ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、及びグリオキシル酸エステル、特にグリオキシル酸エチルエステル。ホルムアルデヒドが好ましい。
【0053】
式(VII)の化合物Cとしては、一方ではアミドが適しており、特に、N-メチルホルムアミド、N-エチルホルムアミド、N-ブチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N-エチルアセトアミド、N-イソプロピルアセトアミド、N-ブチルアセトアミド、N-N-(2-エチルへキシル)アセトアミド、シクロへキシルアセトアミド、N-ベンジルアセトアミド、N-メチル-プロピオンアミド、N-メチル-ブチルアミド、N-メチル-2-エチルカプロンアミド、N-メチル-ベンズアミド;加えて、ラクタム及びその誘導体、例えば、2-ピロリドン、5-メチル-2-ピロリドン、ピペリジン-2-オン、ε-カプロラクタム、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-3-オン;さらに、窒素原子上で一置換されたカルバメート及びその誘導体、特に、O-エチル-N-メチルカルバメート、O-エチル-N-エチルカルバメート、O-エチル-N-プロピルカルバメート、O-メチル-N-エチルカルバメート、O-メチル-N-プロピルカルバメート、O-メチル-N-ブチルカルバメート、アセチルウレタン、N-ブチルウレタン、オキサゾリジン-2-オン、オキサゾリジン-2,5-ジオン;加えて、イミド類及びその誘導体、特に、ピロリジン-2,5-ジオン(=コハク酸イミド)、3,4-ジメチル-ピロリジン-2,5-ジオン、3,3,4,4-テトラメチル-ピロリジン-2,5-ジオン、3-エチル-3-メチル-ピロリジン-2,5-ジオン、ピペリジン-2,6-ジオン、4,4-ジメチル-ピペリジン-2,6-ジオン、1,5,5-トリメチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン、フタルイミド、メチルフタルイミド、ヘキサヒドロフタルイミド、メチルヘキサヒドロフタルイミド、5,5-ジメチル-1,3-オキサゾリジン-2,4-ジオン、アセトイミド;さらに、酸素原子に代えて硫黄原子をもつ前述した化合物の類似体である物質、特に、N-メチルチオアセトアミド、N-ブチルチオアセトアミド、N-(2-エチルへキシル)チオアセトアミド、N-ベンジルチオアセトアミド、N-メチルブチルチオアミド、N-メチル-(2-エチルカプロンチオアミド)、N-メチルベンズチオアミド、2-チオピロリドン、O-エチル-N-メチル-チオカルバメート、S-エチル-N-メチルチオカルバメート、O-メチル-N-エチルチオカルバメート、チアゾリジン-2-オン、及びチアゾリジン-2,5-ジオン、である。
【0054】
化合物Cは好ましくは以下のものからなる群から選択される。N-メチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N-ブチルアセトアミド、N-(2-エチルへキシル)アセトアミド、N-ベンジルアセトアミド、N-メチルブチルアミド、N-メチル-(2-エチルカプロンアミド)、N-メチル-ベンズアミド、O-エチル-N-メチルカルバメート、2-ピロリドン、ピペリジン-2-オン、ε-カプロラクタム、オキサゾリジン-2-オン、チアゾリジン-2-オン、ピロリジン-2,5-ジオン、及びフタルイミド。
【0055】
別の態様では、式(IV)のアルデヒドALDは、下記式(VIII)の中間生成物ZW1から出発して得ることができる。
【化13】

【0056】
式(VIII)中、R、R、R、及びRは既に上述した意味を有する。
【0057】
式(VIII)の中間生成物ZW1も、アルデヒドALDについて先に説明したものと同じ方法で、既に述べたアルデヒドY及びYから出発して、マンニッヒ反応に類似したα-アミノアルキル化の生成物として得ることができ、ここではしかしながら式(VII)の化合物Cの代わりに、式R-NH(Rは既に上述した意味を有する)の一級アミンを用い、且つ、アルデヒドY1、アルデヒドY2、および一級アミンをおよそ1:1:1のモル比で用いる。中間生成物ZW1を製造するための一級アミンとしては、以下のものが適している:特に、一級脂肪族アミン、特に、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、sec-ブチルアミン、へキシルアミン、シクロへキシルアミン、オクチルアミン、2-エチル-1-へキシルアミン、ベンジルアミン、1-又は2-フェニルエチルアミン、及びデシルアミン。
【0058】
式(IV)のアルデヒドALDの製造のためには、中間生成物ZW1を次にカルボン酸、好ましくはカルボン酸の塩化物、エステル、又は無水物の形態のカルボン酸と反応させて対応するアミドを形成させる。ここでは飽和した脂肪族又は脂環式のカルボン酸がカルボン酸として好適であり、例えば、特に、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、シクロヘキサンカルボン酸、エナント酸、カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、及びアラキン酸;一又は複数不飽和の脂肪族カルボン酸、例えば特に、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノール酸、リシネン酸(Ricinensaeure);芳香族カルボン酸、例えば特に、安息香酸、及びトルエン酸の位置異性体類、メトキシ安息香酸、及びニトロ安息香酸;並びに、前述したカルボン酸の塩化物、エステル、及び無水物;並びに、加えて、ジカルボン酸の無水物、例えば、無水フタル酸、無水4-メチルフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水4-メチルヘキサヒドロフタル酸、及び無水1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、などである。
【0059】
さらに、式(IV)のアルデヒドALDを製造するために、中間生成物ZW1をカーボネートあるいは好ましくはクロロギ酸エステル、例えば、メチル-、エチル-、プロピル-、イソプロピル-、ブチル-、イソブチル-、ネオペンチル-、ヘキシル-、オクチル-、2-エチルヘキシル-、ベンジル-、フェニル-、トリル-、及びメトキシフェニル-クロロフォーメートと反応させて、対応するウレタンを生成させることができる。
【0060】
加えて、式(IV)のアルデヒドALDを製造するために、中間生成物ZW1をN,N-ジ置換カルバメート又はN,N-ジ置換カルバミン酸クロライド、例えば特に、N,N-ジメチル-、N,N-ジエチル-、N,N-ジイソプロピル-、N,N-ジブチル-、N-メチル-N-フェニル-、及びN,N-ジフェニル-カルバモイルクロライド、並びに特に、1-ピロリジン-、1-ピペリジン-、1-モルホリン-、及び4-メチル-1-ピペラジン-カルボニルクロライドと反応させて、対応する尿素を生成させることができる。
【0061】
さらに、式(IV)のアルデヒドALDを製造するために、中間生成物ZW1をチオカルボン酸、例えば特に、チオ酢酸、チオプロピオン酸、チオ安息香酸、チオトルエン酸、又はフェニルチオ酢酸と、好ましくは酸の塩化物、エステル、又は無水物と反応させて、対応するチオアミドを生成させることができる。
【0062】
さらに、式(IV)のアルデヒドALDを製造するために、中間生成物ZW1を(ジ)チオカーボネート、クロロ(ジ)チオギ酸エステル、N,N-ジ置換チオカルバメート、又はN,N-ジ置換カルバミン酸クロライド、例えば特に、O-メチル-、O-エチル-、O-フェニル-、又はO-p-トリル-クロリドチオカルバメート、S-メチル-、S-エチル-、S-プロピル-、又はS-フェニル-クロリドチオカーボネート、フェニルクロリドジチオカーボネート、N,N-ジメチル-、N,N-ジエチル-、N-メチル-N-フェニル-、又はN,N-ジフェニル-チオカルバモイルクロライドと反応させて対応する(ジ)チオウレタン又は(ジ)チオウレアを生成させることができる。
【0063】
既に上述したように、式(V)のアルデヒドY1と式(IX)の化合物との反応は、下記式(IV)のアルデヒドALDを製造するための別の可能性をもたらす。
【化14】

式中、
Lは、ハロゲン原子、アルコキシ基、カルボン酸エステル基、窒素で結合されたウレタン基、ジアルキルアミノ基、及びジ-もしくはトリ-アルキルアンモニウム基からなる群から選択される基を表し、
Y、R、R、及びRは既に上述した意味を有する。
【0064】
式(IX)の化合物として、特に以下のものが適している:N-クロロ-又はN-ブロモメチル-N-アルキル-カルバメート類、例えば、N-クロロメチル-N-メチルカルバミン酸エチルエステル、並びにN-ブロモメチル-イミド類、例えば、N-ブロモメチル-フタルイミド及びN-ブロモメチル-ピロリジン-2,5-ジオン。
【0065】
式(IV)のアルデヒドALDは一連の特別な性質をもっている。これらの化学構造によって、比較的低分子量であっても、アミンのような臭いをわずかしか又は全くもたない。これらは、したがって、低臭気又は無臭である。さらに、そのカルボニル炭素原子のα位に、これらは水素原子をもっていない。その結果、これらのアルデヒド基は、互変異性してエノール基を生成することができず、したがってイソシアネート基に対して非反応性である。さらに、β-アミノアルデヒドとは対照的に、これらは塩基性ではない。このことはこれらに、イソシアネート基と一緒でも特に長い貯蔵寿命を与え、芳香族イソシアネート基と一緒であっても特に長い貯蔵寿命を与える。加えて、アルデヒド基に加えて、これらは水素架橋結合を形成することができる追加の官能基を有する。このことは、これらが水素架橋を形成するプラスチック組成物において、特にポリウレタン組成物において、非常に相容性である理由の一つであろう。これらは移行(マイグレート)し又は滲み出る傾向がなく、わずかな軟化効果しかもたず、このことはしばしば非常に有利である。
【0066】
式(IV)のアルデヒドALDは以下のものからなる群から選択されることが好ましい。N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルホルムアミド、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルアセトアミド、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-ブチルアセトアミド、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-(2-エチルヘキシル)アセトアミド、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-ベンジルアセトアミド、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルブチルアミド、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチル-(2-エチルカプロンアミド)、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルベンズアミド、O-エチル-N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルカルバメート、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-ピロリジン-2-オン、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-ピペリジン-2-オン、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-アゼパン-2-オン、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-オキサゾリジン-2-オン、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-チアゾリジン-2-オン、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-ピロリジン-2,5-ジオン、及びN-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-フタルイミド。
【0067】
式(I)のアルジミンが好ましく、これは、式(IIIa)の少なくとも1種のアミンB1又は式(IIIb)の少なくとも1種のアミンB2のいずれかと、式(IV)の上述した好ましいアルデヒドALDの少なくとも1種との反応によって得られる。
【0068】
式(I)のアルジミンを得るための別の方法は、下記式(X)の中間生成物ZW2から出発する。
【化15】

式中、
は、O又はSを表し、
m、n、A、R、R、R、及びRは既に上述した意味を有する。
【0069】
式(I)のアルジミンを製造するために、式(VIII)の中間生成物ZW1に代えて、中間生成物ZW2を、少なくとも1種のカルボン酸又はチオカルボン酸、好ましくはカルボン酸塩化物又はチオカルボン酸の塩化物、エステル、もしくは無水物の形態のものと反応させて、対応するアミド又はチオアミドを形成させることができ、あるいは少なくとも1種のカーボネート又はチオカーボネート、好ましくはクロロギ酸エステルもしくはクロロチオギ酸エステルの形態のカーボネート又はチオカーボネートと反応させて対応するウレタン又はチオウレタンを形成させることができる。この場合に、中間生成物ZW1との反応で既に記載したものと同じカルボン酸類又はチオカルボン酸類及びカーボネート類又はチオカーボネート類が適している。
【0070】
中間生成物ZW2は、特に、対応する中間生成物ZW1と式(III)の少なくとも1種のアミンBとの適切は割合での反応によって得られる。しかし、この場合には、二級アミノ基をもつアミンBは適していない。この反応のために好ましいのは、上述したアミンB2及び上述したアミンB1であって、X1aがO又はS、特にOを表すものである。
【0071】
少なくとも1つのHX基を有する式(I)のアルジミンの実施態様は、場合によっては環状形態との平衡状態にあっていてよく、この環状形態は、式(I)でm=1のアルジミンについて例えば式(XI)に示されているとおりである。アミノアルジミンの場合、これらの環状形態は環状アミナール、例えば、イミダゾリジン又はテトラヒドロピリミジンである。ヒドロキシアルジミンの場合には、それらは環状アミノアセタール、例えば、オキサゾリジン又はテトラヒドロオキサジンである。メルカプトアルジミンの場合には、それらは環状チオアミナール、例えば、チアゾリジン又はテトラヒドロチアジンである。
【化16】

式(XI)において、n、A、R、R、R、R、R、X、及びYは既に上述した意味を有する。
【0072】
十分に驚くべきことに、HX基を有する式(I)の多くのアルジミン類は、環化の傾向を示さない。特にアミノアルジミンについては、IR及びNMRスペクトル法を用いて、これらの化合物が主に開鎖(オープンチェーン)、すなわちアルジミン形で主に存在しており、一方で、環状形、すなわちアミナール形は、微量でしか生じないことを示すことができる。さらに、ヒドロキシ-及びメルカプトアミンから誘導された式(I)のアルジミン(ここでは一級アミノ基はヒドロキシル基又はメルカプト基から、少なくとも5原子の鎖又は環によって隔てられている)は非常に僅かな環化しか示さない。
【0073】
式(I)のアルジミンは新規であり、有利な特性をもつ化合物としてこれまでに記載されていない。これらは、三級アルジミノ基を含み、そのカルボニル基のα位の炭素上に水素原子をもたず、したがってエナミノ基に互変異性できない。その結果、これらのアルジミノ基は特に良く保護された(ブロックされた)一級アミノ基であり、これは水を排除すれば、アミノ基と反応性である化合物との反応性を全く又は極くわずかしか示さない。さらに、式(I)のアルジミンは、アミド、チオアミド、ウレタン、チオウレタン、ウレア、又はチオウレア基を有する。イソシアネート基と一緒に存在する式(I)のアルジミンは、驚くほど長い貯蔵寿命を、特に芳香族イソシアネート基と一緒であっても有する。この長い貯蔵寿命は、アミド、チオアミド、ウレタン、チオウレタン、ウレア、及びチオウレア基の窒素原子がほとんど塩基性がないという事実によるかもしれない。さらに、式(I)のアルジミンはまた、元になるアルデヒドALDが比較的低分子量でもわずかなアミンのような臭いしかもたないか無臭である。さらに、ほとんどの場合に式(I)のアルジミンが液状化合物であるという事実は有利である。
【0074】
式(I)のアルジミンは適切な条件下で長い貯蔵寿命を有する。水分(湿気)が入ってきた場合は、これらのアルジミノ基は加水分解されて形式的には中間段階を経てアミノ基を形成することができ、それによってアルジミノ基を製造するために用いた式(IV)の対応するアルジミンALDが放出される。この加水分解反応は可逆的であり、その化学平衡が明らかにアルジミン側によっているので、このことから、アミンに対して反応性の化合物の非存在下では、アルジミノ基の一部しか部分的もしくは完全に加水分解されることがないと考えられる。
【0075】
式(I)のアルジミンは非常に広範囲に用いることができる。例えば、これらは、式(IV)のアルデヒドALD又は式(III)のアミンBの源として作用することができるところではどこでも用いることができる。特に、これらは、アルデヒド及び/又はアミンと反応性のシステム中で、保護されたアミン又は保護されたアルデヒドとしての役割において使用することができ、特に必要となるところで保護を外すことができる。特に、それらは一級アミノ基と反応する化合物が存在するシステム中で用いられる。保護の除去は、例えば大気中の湿気又は水との接触によって、加水分解によって行われ、酸によって触媒されうる。
【0076】
さらに、m>0である式(I)のアルジミンは、これらのアルジミンのさらに官能化された反応生成物を作り出すために用いられる。すなわち、m>0である式(I)のアルジミンを、そのHX基と付加反応して付加生成物を形成することができる化合物と反応させる。このような付加反応に関与する好適な化合物は、反応性基、例えば、イソシアネート基、エポキシド基、無水物基、又は多かれ少なかれ強く活性化された二重結合もしくは三重結合(例えば(メタ)アクリレート基、アクリルアミド基、1-エチニルカルボニル基、1-プロピニルカルボニル基、マレイミド基、シトラコンイミド基、ビニル基、イソプロペニル基、もしくはアリル基など)を有している。このような付加生成物を有するアルジミノ基は、必要な場合には加水分解されて、式(IV)のアルデヒドALDと一級アミノ基を有する化合物とを生成することができ、次に付加反応、例えば架橋反応のために用いられる。
【0077】
これらの付加生成物の中でも特に有利なものは、式(XII)の付加生成物AVであり、これは少なくとも1種のポリイソシアネート、特にポリイソシアネートP(本明細書で前により詳細に説明したとおりである)と、式(Ia)の少なくとも1種のアルジミンとの反応によって得られる。
【化17】

この式との関連で、
uは0、1、2、又は3を表し、
vは0、1、2、3、又は4を表し、
但し、(u+v)が2又は3又は4を表すことを条件とし;
Qは、イソシアネート基を有する(u+v)価のポリイソシアネートPから全てのイソシアネート基を取り除いた後の基を表し;
、X、Y、R、R、R、R、及びRは既に上述した意味を有する。
【0078】
式(I)のアルジミンと式(XII)の付加生成物AVは、特にイソシアネートに基づく組成物に用いるために適している。これらはイソシアネート基を有する一又は二成分形組成物において潜在性硬化剤として又はコモノマーとして特に用いることができ、この組成物は接着剤、シーラント、充填用コンパウンド、コーティング剤、床被覆剤、塗料、ワニス、プライマー、又はフォーム(発泡体)として適用される。
【0079】
既に述べたとおり、式(I)のアルジミン及びこれらの付加生成物は、互変異性化してエナミノ基を形成せず、特に良く保護された一級アミノ基に相当する三級アルジミノ基を有する。イソシアネート基を有する化合物とともに、式(I)のアルジミンは、湿気の排除下で、長期の貯蔵寿命を有する混合物、すなわち非常に粘度が一定の混合物を形成することができ、それにより、アルジミン(I)に任意選択によって含まれていてもよい活性水素がイソシアネート基と反応することを考慮に入れることができ、この場合には付加生成物、例えば、式(XII)の付加生成物AVが生成する。特に、遊離の芳香族イソシアネート基を含む混合物も、長い貯蔵寿命を有する。
【0080】
イソシアネート基を有する化合物と式(I)のアルジミンとからなる組成物は、水分、特に大気中の湿気の形態の水分と接触すると、アルジミノ基が加水分解して反応をする。この場合、イソシアネート基は、アルジミノ基の加水分解によって形式的に遊離された一級アミノ基と反応して尿素基を形成し、これによってアルデヒドALDが放出される。アルジミノ基に対して過剰なイソシアネート基は水分と直接反応して尿素基も形成する。イソシアネート基とアルジミノ基との間の適切な化学量論を用いて、組成物はこれらの反応の結果として硬化する。この過程は架橋ともいわれる。この場合、イソシアネート基と加水分解しつつあるアルジミノ基との反応は、必ずしも遊離のアミノ基によって行なわれなければならないことはない。当然、加水分解反応の中間段階での反応も可能である。例えば、セミアミナールの形態の加水分解中のアルジミノ基が、イソシアネート基と直接反応することが考えられる。
【0081】
硬化が完了した後、放出されたアルデヒドALDはその硬化した組成物中に残る。これは組成物と極めて相容性であり、ほとんど移行(マイグレーション)又は滲み出す傾向を示さず、わずかな軟化効果しかもたず、このことはしばしば非常に有利である。
【0082】
少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種の式(I)のアルジミンとを含む硬化性組成物(以下ではポリウレタン組成物ともいう)は、本発明の別の主題である。式(I)のアルジミンが少なくとも1つのHX基を有する場合には、式(I)のアルジミンは付加生成物の形態で、特に式(XII)の付加生成物AVとして存在することもできる。
【0083】
本明細書中、「ポリ」で始まる物質名、例えば、ポリオール、ポリイソシアネート、又はポリアルデヒドは、それらの名称にある官能基を形式的に一分子当たり2つ以上含む物質をいう。
【0084】
本明細書中、用語「ポリイソシアネート」は、それらが、ジイソシアネートモノマーあるか、ポリイソシアネートオリゴマーあるか、あるいは比較的高い分子量をもちイソシアネート基を有するポリマーであるかにかかわらず、2つ以上のイソシアネート基をもつ化合物を含む。
【0085】
本明細書中、「ポリマー」の用語は、一方では、化学的には均一である一方で、それでもなお、重合度、分子量、及び鎖長に関しては異なり、且つその集合体は重合反応(重合、重付加、重縮合)によって調製されている高分子の集合体を含む。他方では、この用語は、重合反応によるそのような高分子の集合体の誘導体群、言い換えれば、例えば、特定の高分子上の官能基の付加又は置換などの反応によって得られ且つ化学的に均一であっても化学的に不均一であってもよい化合物群をも包含する。さらに、この用語は、いわゆるプレポリマー、すなわち、その官能基が高分子の構築に関与する反応性オリゴマー性プレポリマーをも包含する。
【0086】
「ポリウレタンポリマー」の用語は、いわゆるジイソシアネート重付加法によって調製される全てのポリマーを包含する。これは、ウレタン基を全く又は実質的に含まないそれらポリマーも包含する。ポリウレタンポリマーの例は、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレア、ポリウレア、ポリエステルポリウレア、ポリイソシアヌレート、及びポリカルボジイミドである。
【0087】
式(I)のアルジミンとして好適なアルジミン及びこれらの好ましい態様は、これまでに詳細に記載した。式(I)のアルジミンとしては、式(Ia)のアルジミン及び式(Ib)のアルジミンが好ましい。特に好ましいものは、式(Ia)のアルジミンであってHXがヒドロキシル又はメルカプト基、特にヒドロキシル基を表すもの、および式(Ib)のアルジミンである。最も好ましいのは式(Ib)のアルジミンである。
【0088】
本ポリウレタン組成物は、一成分形又は二成分形であることができる。二成分形ポリウレタン組成物は、成分K1(これは少なくとも1種のポリイソシアネートPを含み、これについては前に詳細に説明した)及び成分K2(これは少なくとも1種のイソシアネートと反応性の物質を含む)を有する。二成分形ポリウレタン組成物の場合には、原則として式(I)のアルジミンは成分K2中に存在することができる。m=0の指数をもつ式(I)のアルジミン、特に式(Ib)のアルジミンの場合、このアルジミンは成分K1及び/又はK2の一部であることができる一方で、mが0でない式(I)のアルジミン、例えば、mが0でない式(Ia)のアルジミンは、ポリイソシアネートPと反応することなく成分K2中に存在することはできない。
【0089】
ポリウレタン組成物としては、
a)少なくとも1種のポリイソシアネートP、並びに
b)少なくとも1種の式(Ib)のアルジミン及び/又は少なくとも1種の式(XII)の付加生成物AV、
を含む一成分形湿気硬化性組成物が好ましい。
【0090】
本明細書中、硬化性組成物であって、組成物の全ての構成部分が同じ容器中に混合されて貯蔵され、室温で長期間にわたる貯蔵寿命を有し、したがって、貯蔵によってその適用又は使用特性に全く変化がないか問題にならない変化しかなく、適用後には水分の影響によって硬化する硬化性組成物を、「一成分形」という。これに対して、2つの成分、すなわちK1及びK2を、それぞれの場合において、別個の容器に長い貯蔵寿命をもって貯蔵するできる硬化性組成物を、「二成分形」という。
【0091】
一つの態様では、ポリイソシアネートPは、イソシアネート基をもつポリウレタンポリマーPUPである。
【0092】
「ポリウレタンポリマー」の用語は、いわゆるジイソシアネート重付加法によって調製される全てのポリマーを包含する。これは、ウレタン基を全く又は実質的に含まないポリマーも包含する。ポリウレタンポリマーの例は、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレア、ポリウレア、ポリエステルポリウレア、ポリイソシアヌレート、及びポリカルボジイミドである。
【0093】
適したポリウレタンポリマーPUPは、特に、少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートとの反応によって得られる。この反応は、ポリオールとポリイソシアネートを一般的な方法、例えば、50℃〜100℃の温度で、任意選択により場合によっては適切な触媒を同時に用いて反応させる方法によって行うことができ、この場合において、ポリイソシアネートを、そのイソシアネート基がポリオールのヒドロキシル基に対して化学量論的に過剰量で存在するようにして計量して導入する。有利には、ポリイソシアネートを、1.3〜5、特に1.5〜3のNCO/OH比が保たれるように計量して導入する。「NCO/OH比」は、用いたヒドロキシル基の数に対する、用いたイソシアネート基の数の比として定義される。0.5〜15質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%の遊離のイソシアネート基含量が、ポリオールの全てのヒドロキシル基が反応した後にポリウレタンポリマーPUP中に残ることが好ましい。
【0094】
ポリウレタンポリマーPUPは、任意選択で、柔軟化剤を同時に用いて製造することもできる。この場合、用いる柔軟化剤は、イソシアネート基に対して反応性のいかなる基も含まない。
【0095】
ポリウレタンポリマーPUPを製造するためのポリオールとしては、例えば、以下の市販のポリオール、又はそれらの混合物を用いることができる:
【0096】
- ポリオキシアルキレンポリオール。ポリエーテルポリオール又はオリゴエーテロールともよばれ、これらは、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-又は2,3-ブチレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフラン、又はこれらの混合物の重合生成物であって、場合によって、2つ以上の活性水素原子を有していてもよい出発分子(例えば、水、アンモニア、又はいくつかのOHもしくはNH基をもつ化合物、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールの異性体類、ブタンジオールの異性体類、ペンタンジオールの異性体類、ヘキサンジオールの異性体類、ヘプタンジオールの異性体類、オクタンジオールの異性体類、ノナンジオールの異性体類、デカンジオールの異性体類、ウンデカンジオールの異性体類、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン、並びに前記の化合物の混合物など)を用いて重合された重合生成物であってもよい。低い不飽和度(不飽和度は、ASTM D−2849−69に準拠して測定して、ポリオール1g当たりの不飽和のミリ当量(mEq/g)で示される)を有し、例えば、いわゆるダブル金属シアン化物錯体触媒(DMC触媒)を用いて製造されるポリオキシアルキレンポリオールと、高い不飽和度を有し、例えば、アニオン触媒、例えば、NaOH、KOH、CsOH、又はアルカリアルコラートを用いて製造されるポリオキシアルキレンポリオールとの両方を用いることができる。ポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオール、特に、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンジ-及びトリオールが特に適している。0.02mEq/g未満の不飽和度をもち、且つ1,000〜30,000g/モルの範囲の分子量をもつポリオキシアルキレンジオール及びトリオール、並びに、400〜8,000g/モルの分子量をもつポリオキシプロピレンジオール及びトリオールが特に適している。
さらに、特に適しているのは、いわゆるエチレンオキシド末端(「EOキャップされた」、エチレンオキシド末端キャップされた)ポリオキシプロピレンポリオールである。このものは、特別なポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールであり、これは、例えば、純粋なポリオキシプロピレンポリオール、特にポリオキシプロピレンジオール及びトリオールを、ポリプロポキシル化反応にかけた後、エチレンオキシドによってさらにアルコキシル化することによって得られ、その結果として一級ヒドロキシル基を有する。
【0097】
- スチレン-アクリロニトリル-又はアクリロニトリル-メチルメタクリレートを組み入れたポリエーテルポリオール。
【0098】
- ポリエステルポリオール。オリゴエステロールともいわれ、公知の方法、特にヒドロキシカルボン酸の重縮合、又は、脂肪族及び/又は芳香族ポリカルボン酸と二価又多価アルコールとの重縮合によって製造される。
ポリエステルポリオールとして、特に、二価ないし三価(特に二価)のアルコール〔例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,12-ヒドロキシステアリルアルコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ダイマー脂肪酸ジオール(ダイマージオール)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、又は前述したアルコール類の混合物〕と、有機ジ又はトリカルボン酸、特にジカルボン酸、又はこれらの無水物もしくはエステル類〔例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー脂肪酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジメチルテレフタレート、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリト酸、及び無水トリメリト酸、あるいは前述した酸類の混合物〕とから製造されるもの、並びにラクトン類(例えば、ε-カプロラクトン)と開始剤(例えば、前述した二価又は三価アルコールなど)とからなるポリエステルポリオールが適している。
特に適しているポリエステルポリオールはポリエステルジオールである。
【0099】
- ポリカーボネートポリオール。これらは、例えば、上述したアルコール類(ポリエステルポリオールを製造するために用いるもの)と、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、又はホスゲンとの反応によって得られる。
【0100】
- 少なくとも2個のヒドロキシル基を有するブロックコポリマー。これは、上述したタイプのポリエーテル、ポリエステル、及び/又はポリカーボネート構造を有する少なくとも2種の異なるブロックを有し、特にポリエーテルポリエステルポリオールである。
【0101】
- ポリアクリレートポリオール及びポリメタクリレートポリオール。
【0102】
- ポリヒドロキシ官能性の油脂。例えば、天然油脂、特に、ひまし油;又は天然油脂の化学的変性によって得られるポリオール(いわゆるオレオケミカルポリオール)、例えば、不飽和オイルのエポキシ化とそれに続いてのカルボン酸又はアルコールでの開環によって得られるエポキシポリエステル又はエポキシポリエーテル、又は不飽和オイルのヒドロホルミル化及び水素化によって得られるポリオール;又は天然油脂から、分解法(例えば、アルコリシス又はオゾン分解など)とそれに続いての化学的架橋(例えば、そのようにして得られた分解生成物の再エステル化又は二量化による架橋)によって得られるポリオール、又はそれらの誘導体。天然油脂の適した分解生成物は、特に、脂肪酸及び脂肪アルコール、並びに脂肪酸エステル、特にメチルエステル(FAME)であり、これらは例えばヒドロホルミル化及び水素化によって誘導体化されてヒドロキシ脂肪酸エステルを形成することができる。
【0103】
- ポリ炭化水素ポリオール類。オリゴハイドロカーボノールともいわれ、例えば、ポリヒドロキシ官能性ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン;ポリヒドロキシ官能性のエチレン-プロピレン、エチレン-ブチレン、又はエチレン-プロピレン-ジエン・コポリマー類であり、これらは例えばKraton Polymers Companyによって製造されている;ジエン類(特に1,3-ブタジエン)のポリヒドロキシ官能性ポリマー〔これは、特に、アニオン重合でも製造することができる〕;ジエン類(例えば、1,3-ブタジエン又はジエン混合物)とビニルモノマー(例えば、スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、イソブチレン、及びイソプレン)とからなるポリヒドロキシ官能性コポリマー、例えば、ポリヒドロキシ官能性のアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー〔これらは、例えば、エポキシド又はアミノアルコールと、カルボキシル末端のアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー(例えば、Nanoresins AG、ドイツ国、又はErmerald Performance Materials LLCのHypro(登録商標)(前のHycar(登録商標))CTBN及びCTBNX及びETBNの名称で市販されている)とから製造することができる〕;並びに、ジエン類の水素化されたポリヒドロキシ官能性ポリマー又はコポリマー。
【0104】
これらの上述したポリオールは、250〜30,000g/モル、特に400〜20,000g/モルの平均分子量を有することが好ましく、さらに1.6〜3の範囲の平均OH官能性を有することが好ましい。
【0105】
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びポリアクリレートポリオール、好ましくはジ及びトリオールが好ましい。特に好ましいのは、ポリエーテルポリオール、特にポリオキシプロピレンポリオール及びポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオール、並びに液状のポリエステルポリオール及びポリエーテルポリエステルポリオールである。
【0106】
これら上述したポリオールに加えて、少量の低分子の二価又は多価アルコールをポリウレタンポリマーPUPの製造に同時に用いることもできる。これらの低分子の二価又は多価アルコールは、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール異性体類及びトリプロピレングリコール異性体類、ブタンジオール異性体類、ペンタンジオール異性体類、ヘキサンジオール異性体類、ヘプタンジオール異性体類、オクタンジオール異性体類、ノナンジオール異性体類、デカンジオール異性体類、ウンデカンジオール異性体類、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、ダイマー脂肪アルコール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、糖アルコール(例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなど)、糖類(例えば、サッカロースなど)、その他の多価アルコール、前述した二価及び多価アルコールの低分子アルコキシル化生成物、並びにこれらのアルコールの混合物である。3より多い平均OH官能基数をもつ少量のポリオール、例えば、少量の糖ポリオールを、同時に用いることがもきる。
【0107】
イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPを製造するためのポリイソシアネートとしては、脂肪族又は芳香族のポリイソシアネート、特にジイソシアネートを用いる。
【0108】
芳香族ポリイソシアネートとしては、以下のものが適している。特に、ジイソシアネート又はトリイソシアネートモノマー、例えば、2,4-及び2,6-トリレンジイソシアネート及びこれら異性体の任意の所望の混合物(TDI)、4,4’-,2,4’-及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート及びこれらの異性体の任意の所望の混合物(MDI)、MDI及びMDI同族体(MDI又はPMDIポリマー)からなる混合物、1,3-及び1,4-フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、1,3,5-トリス(イソシアナトメチル)ベンゼン、トリス(4-イソシアナトフェニル)メタン、及びトリス(4-イソシアナトフェニル)チオホスフェート、前述したイソシアネートのオリゴマー及びポリマー、並びに前述したイソシアネートの任意の所望の混合物。MDI及びTDIが好ましい。
【0109】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、以下のものが適している。特に、ジイソシアネートモノマー又はトリイソシアネートモノマー、例えば、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4-及び2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,10-デカメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート及びリジンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-及び1,4-ジイソシアネート、1-メチル-2,4-及び2,6-ジイソシアナトシクロヘキサン及びこれらの異性体の任意の所望の混合物(HTDI又はHTDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネートすなわちIPDI)、パーヒドロ-2,4’-及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI又はH12MDI)、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3-及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m-及びp-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-XDI)、m-及びp-テトラメチル-1,3-及び-1,4-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-TMXDI)、ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ナフタレン、ダイマー及びトリマー脂肪酸イソシアネート、例えば、3,6-ビス(9-イソシアナトノニル)-4,5-ジ(1-ヘプテニル)シクロヘキセン(ジメリルジイソシアネート)、α,α,α’,α’,α’’,α’’-ヘキサメチル-1,3,5-メシチレントリイソシアネート、前記のイソシアネートのオリゴマー及びポリマー、並びに、前記のイソシアネートの任意の所望の混合物。HDI及びIPDIが好ましい。
【0110】
芳香族イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPが好ましい。
【0111】
別の態様では、ポリイソシアネートPは、ジイソシアネートモノマー又はトリイソシアネートモノマー、ジイソシアネートモノマーのオリゴマー、又はジイソシアネートモノマーの誘導体の形態のポリイソシアネートPIである。ここで、ジイソシアネートモノマー又はトリイソシアネートモノマーとして、特に、上述した芳香族及び脂肪族のジイソシアネート及びトリイソシアネートが適している。
【0112】
ポリイソシアネートPIとして、以下のものが特に適している:ジイソシアネートモノマー、特に、HDI、IPDI、TDI、及びMDI、のオリゴマー又は誘導体。市販されているタイプは、特に以下のものである:HDIビウレット、例えば、Desmodur(登録商標)N 100及びN 3200(Bayer社)、Tolonate(登録商標)HDB及びHDB-LV(Rhodia社)、及びDuranate(登録商標)24A-100(Asahi Kasei社);HDIイソシアヌレート、例えば、Desmodur(登録商標)N 3300、N 3600、及びN 3790BA(全てBayer社)、Tolonate(登録商標)HDT、HDT-LV、及びHDT-LV2(Rhodia社)、Duranate(登録商標)TPA-100及びTHA-100(Asahi Kasei社)、及びCoronate(登録商標)HX(Nippon Polyurethane社);HDIウレトジオン、例えば、Desmodur(登録商標)N 3400(Bayer社);HDIイミノオキサジアジンジオン、例えば、Desmodur(登録商標)XP 2410(Bayer社);HDIアロファネート、例えば、Desmodur(登録商標)VP LS 2102(Bayer社);IPDIイソシアヌレート、例えば溶液でDesmodur(登録商標)Z 4470(Bayer社)として、又は固体状態でVestanat(登録商標)T1890/100(Degussa社);TDIオリゴマー、例えば、Desmodur(登録商標)IL(Bayer社);並びに、TDI/HDIに基づく混合イソシアヌレート、例えばDesmodur(登録商標)HL(Bayer社)。さらに、以下のものが特に適している:室温で液体であり、MDIとMDI誘導体(例えば、MDIカルボジイミド又はMDIウレトンイミン又はMDIウレタン)との混合物である形態のMDI(いわゆる「変性MDI」)、例えば、Desmodur(登録商標)CD、Desmodur(登録商標)PF、Desmodur(登録商標)PC(全てBayer社)などの商品名で知られているもの、並びにMDI及びMDI同族体(MDIポリマーあるいはPMDIポリマー)からなる混合物、例えば、Desmodur(登録商標)VL、Desmodur(登録商標)VL50、Desmodur(登録商標)VL R10、Desmodur(登録商標)VL R20、及びDesmodur(登録商標)VKS 20F(全てBayer社)、Isonate(登録商標)M 309、Voranate(登録商標)M 229、及びVoranate(登録商標)M 580(全てDow社)、又はLupranat(登録商標)M10R(BASF社)。
【0113】
実際には、上述したポリイソシアネートオリゴマーPIは、通常、様々なオリゴマー化度及び/又は様々な化学構造を有する物質の混合物である。これらは、2.1〜4.0の平均NCO官能基数を有し、特に、イソシアヌレート基、イミノオキサジアジンジオン基、ウレトジオン基、ウレタン基、ビウレット基、アロファネート基、カルボジイミド基、ウレトンイミン基、又はオキサジアジントリオン基を含むことが好ましい。これらのオリゴマーは、ジイソシアネートモノマーの含有量が低いことが好ましい。
【0114】
ポリイソシアネートPIとして、以下のものが好ましい:室温で液体である形態のMDI、並びにHDI、IPDI、及びTDIのオリゴマー類、特にイソシアヌレート及びビウレット。
【0115】
別の態様では、ポリイソシアネートPは、少なくとも1種のポリウレタンポリマーPUPと、少なくとも1種のポリイソシアネートPIとからなる混合物であり、これらは先に記載したとおりである。
【0116】
ポリイソシアネートPは、イソシアネート基を有する芳香族ポリウレタンポリマーPUPの形態で存在することが好ましい。
【0117】
ポリイソシアネートPは、全組成物に対して通常は5〜95質量%の量で存在し、好ましくは10〜90質量%の量で存在する。充填された組成物(すなわち、フィラーを含む組成物)においては、ポリイソシアネートPは、全組成物に対して好ましくは5〜60質量%、特に10〜50質量%の量で存在する。
【0118】
さらに、少なくとも1種のポリイソシアネートPに加えて、一成分形湿気硬化性組成物は、式(Ib)の少なくとも1種のアルジミン及び/又は式(XII)の少なくとも1種の付加生成物AVを含み、この場合、後者は、場合によって、式(Ia)の少なくとも1種のアルジミンとポリイソシアネートPからその場で(in situ)形成されてもよい。
【0119】
一成分形の湿気硬化性組成物においては、アルジミノ基およびHX基の合計数と、イソシアネート基の数との間の比が、有利には0.1〜1.1、好ましくは0.2〜0.9、特に0.5〜0.9である。
【0120】
一成分形の湿気硬化性組成物は、任意選択で、追加の成分、特にポリウレタン組成物に通常用いられている助剤及び添加剤を含むことができ、例えば以下のものである。
【0121】
- 柔軟化剤、特にカルボン酸エステル、例えばフタレート類、特に、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、及びジイソデシルフタレート、アジペート類、特に、ジオクチルアジペート、アゼレート類、及びセバケート類、有機リン酸及びスルホン酸エステル、及びポリブテン類;
- 非反応性の熱可塑性ポリマー、例えば、不飽和モノマー、特に、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニル、及びアルキル(メタ)アクリレート類を含む群からの不飽和モノマーのホモ又はコポリマー、特に、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリイソブチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、及びアタクティックポリ-α-オレフィン(APAO);
- 溶媒;
- 無機及び有機フィラー、例えば、粉砕又は沈降性炭酸カルシウム(これは任意選択により脂肪酸、特にステアレートで被覆されていてもよい)、バライト(BaSO、重晶石ともよばれる)、石英粉末、焼成カオリン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸、特に、熱分解法からの高分散されたケイ酸、カーボンブラック、特に工業的に製造されたカーボンブラック(以下で「カーボンブラック」という)、PVC粉末、及び中空球体;
- 繊維、例えば、ポリエチレンから作られた繊維;
【0122】
- 顔料、例えば、二酸化チタン又は酸化鉄;
- アルジミノ基の加水分解を促進させる触媒、特に酸類、特に、有機カルボン酸、例えば、安息香酸、サリチル酸、及び2-ニトロ安息香酸、有機カルボン酸無水物、例えば、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、及び無水ヘキサヒドロメチルフタル酸、有機カルボン酸のシリルエステル、有機スルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、及び4-ドデシルベンゼンスルホン酸、スルホン酸エステル、その他の有機又は無機酸、あるいは前記の酸及び酸エステルの混合物;
- イソシアネート基の反応を促進させる触媒、例えば、有機スズ化合物(例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、及びジオクチル錫ジラウレート)、ビスマス化合物(例えば、ビスマストリオクトエート、及びビスマストリス(ネオデカノエート))、及び三級アミノ基を有する化合物(例えば、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン;
【0123】
- レオロジー調整剤、例えば、特に、増粘剤又はチキソ性付与剤、例えば、尿素化合物、ポリアミドワックス、ベントナイト、又は熱分解法ケイ酸;
- ブロックアミン、例えば、ケチミン類、オキサゾリジン類、エナミン類、又はその他のアルジミンの形態のブロックアミン;
- 乾燥剤、例えば、モレキュラーシーブス、酸化カルシウム、高反応性イソシアネート、例えば、p-トシルイソシアネート、オルソギ酸エステル、アルコキシシラン類、例えばテトラエトキシシラン;有機アルコキシシラン類、例えば、ビニルトリメトキシシラン、及びケイ素基のα位に官能基を有する有機アルコキシシラン類;
- 接着促進剤、特に、オルガノアルコキシシラン(「シラン」)、例えば、エポキシシラン類、ビニルシラン類、(メタ)アクリルシラン類、イソシアナートシラン類、カルバメートシラン類、アルキルシラン類、S-(アルキルカルボニル)メルカプトシラン類、及びアルジミノシラン類、並びにこれらのシラン類のオリゴマー形態;
【0124】
- 熱、光、及びUV照射から保護するための安定剤;
- 難燃剤;
- 界面活性剤、例えば、特に、湿潤剤、流動性向上剤、通気剤、又は気泡抑制剤;
- 殺生物剤、例えば、殺藻剤、防かび剤、又は菌類の増殖を抑制する物質。
【0125】
このような追加の構成成分を用いる場合、その成分が組成物の貯蔵寿命を大きく低下させないことを確実にすることが有利である。このことは、貯蔵中にこれらの構成成分が、顕著な程度にまで架橋をもたらす反応を引き起こすべきではないことを意味しており、架橋をもたらす反応は例えば、アルジミノ基の加水分解またはイソシアネート基の架橋である。このことはこれらの構成成分の全てが、いかなる水も含むべきではないか、多くとも非常に微量の水しか含まないべきであることを意味している。所定の構成成分を、組成物中に混合する前に、化学的に又は物理的に乾燥させることは有用でありうる。
【0126】
一成分形の湿気硬化性組成物は、少なくとも1種の触媒を含むことが好ましい。触媒は特に上述した酸類、例えば、安息香酸又はサリチル酸などのうちの1つ、あるいは上述した金属化合物のうちの1つ、又は上述した三級アミン類のうちの1つである。異なる複数の触媒又は異なるタイプの複数の触媒を用いることは非常に有利でありうる。
【0127】
ここに記載した一成分形の湿気硬化性組成物は、湿気を排除して製造し、貯蔵される。それは長い貯蔵寿命をもち、すなわち、それは例えば、湿気を排除して適切な包装又は手だて、例えば、ドラム缶、ペール缶、バッグ、カートリッジ、瓶の中で、それらの使用に関わる程度にまでその適用特性又はその硬化後の特性の変化なしに、例えば数ヶ月の期間にわたって貯蔵することができる。通常、貯蔵寿命は粘度又は押し出し力を測定することによって決定される。
【0128】
既に述べたように、本組成物中に存在するアルジミノ基は、水分(湿気)との接触により、形式的に破水分解して式(IV)のアルデヒドALDと式(III)のアミンBを形成する特性をもち、それによって後者はイソシアネート基と反応する。アルジミノ基に対して過剰なイソシアネート基は、水分と直接反応して尿素基も形成する。これらの反応の結果、組成物は硬化して固体物質を形成する。この過程は架橋ともいわれる。
【0129】
硬化に必要とされる水分は、空気(大気中の湿気)に由来することができるか、あるいは組成物を、例えば平滑剤とともに、例えば塗布することによって、又はスプレーすることによって含水成分と接触させることができ、あるいは含水組成物を、例えばスタティックミキサーによって混合することができる例えば含水ペーストの形態で、適用時に組成物に添加することができる。
【0130】
本組成物は、大気湿度によって硬化されることが好ましい。
【0131】
本一成分形湿気硬化性組成物は通常は、気泡の形成なしに硬化する。硬化速度は、任意選択で存在してもよい1種以上の触媒の種類と量によって、硬化時の主要な温度によって、および、大気中の湿気もしくは添加した水の量によって影響を受けうる。
【0132】
記述した一成分形の湿気硬化性組成物は、一連の利点を有する。一方ではそれは水分を排除して適切な容器中で長い貯蔵寿命をもち、それは数ヶ月から一年もの間貯蔵することができ、この期間に意図した方法において使用可能であり続ける。他方では、水分と接触すると、この組成物は速やかに且つ完全に硬化して非常に弾性な、高い強度、伸び、及び高い弾性率を有するほとんど非粘着性の物質を形成する。硬化時に放出される式(IV)のアルデヒドALDは組成物中で非常に相容性である。それは硬化した組成物に対してわずかな柔軟化効果しかもたず、滲みだしと移行のいずれもする傾向がない。さらに、硬化時に放出される比較的低い分子量のアルデヒドALDも、硬化の前、硬化時、又は硬化後にほとんど又は全く臭いを出さない。臭いを出さないことは、そのような組成物の多くの用途、特に内部空間における用途について求められている。
【0133】
記述した組成物は、接着剤、シーラント、コーティング剤、床被覆剤、充填用コンパウンド、塗料、ワニス、プライマー、又はフォーム(発泡体)、特に、接着剤、シーラント、コーティング剤、又は床被覆剤として用いることができる。
【0134】
それらは特に、ほとんど又は全く臭気がないことが求められ、比較的高い弾性率が必要とされる用途に特に適している。
【0135】
本発明の別の側面は、基材S1を基材S2に接着結合させる方法に関し、この方法は以下のステップ:
i)基材S1に、上述した一成分形湿気硬化性組成物を適用(application)する工程;
ii)上記組成物のオープンタイム内に基材S2と、上記の適用した組成物との接触を確実にする工程;
又は、
i’)基材S1及び基材S2に、上述した一成分形湿気硬化性組成物を適用する工程;
ii’)上記組成物のオープンタイム内に、上述した適用した組成物を一緒に接触させることを確実にする工程;
を含み、ここで基材S2は基材S1と同じ物質からなるか又は異なる物質からなる。
【0136】
本明細書において「オープンタイム」としての時間は、ポリイソシアネートのイソシアネート基が水分と接触した後の、組成物を加工処理することができる時間をいう。
【0137】
本発明の別の側面は、シーリングの方法に関する。この方法は以下のステップ:
i’’) 上述した一成分形湿気硬化性組成物が基材S1および基材S2に接触するように、基材S1と基材S2との間へこの組成物を適用する工程、
を含み、基材S2は基材S1と同じ物質からなるか又は異なる物質からなる。
【0138】
通常、シーラントはいわゆるジョイントに圧入される。
【0139】
本発明の別の側面は、基材S1をコーティングする方法に関する。この方法は以下のステップ:
i’’’)上述した一成分形湿気硬化性組成物をこの組成物のオープンタイム内に、基材S1に適用する工程、
を含む。
【0140】
これらの方法において、好適な基材S1及び/又はS2は特に以下のものである。
- ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、煉瓦、日干し煉瓦、石膏、及び天然石、例えば、花崗岩又は大理石;
- 金属又は合金、例えば、アルミニウム、スチール(steel)、鉄(iron)、非鉄金属、亜鉛めっきした金属;
- 皮革、布帛、紙、木、樹脂で接着した木製品、樹脂−布帛複合材、及びその他のいわゆるポリマー複合材;
- プラスチック、例えば、ポリ塩化ビニル(硬質及び軟質PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、SMC(シートモールディングコンパウンド)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエステル、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン(PUR)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリオレフィン(PO)、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレンコポリマー(EPM)及びエチレン/プロピレン/ジエンターポリマー(EPDM)、ここで、プラスチックは好ましくは、プラズマ、コロナ、又は火炎(フレーム)で表面処理されていてよい。
- コーティングされた基材、例えば、粉末塗装された金属又は合金;並びに、塗料、ワニスで塗装された基材。
【0141】
基材は必要に応じて上記組成物を適用する前に前処理されていることができる。そのような前処理には、特に、物理的及び/又は化学的な清浄化方法、例えば、研磨、サンドブラスト、ブラシがけなど、あるいは洗浄剤又は溶媒での処理、あるいは接着促進剤、接着促進剤の溶液、もしくはプライマーの適用、が含まれる。
【0142】
組成物の適用は、広い温度範囲で行うことができる。例えば、この組成物は室温で適用(apply)することができる。この組成物は、しかし、より低温並びにより高温で適用することもできる。
【0143】
接着結合、シーリング、又はコーティングのためのこれらの説明した方法によって、あるいは接着剤、シーラント、充填用コンパウンド、コーティング剤、床被覆剤、塗料、ワニス、プライマー、又はフォーム(発泡体)としての上述した組成物の使用によって、物品が製造される。
【0144】
この物品は、特に構造物、特に地表面より上又は下の構造物、あるいは工業物品もしくは消費者物品、特に、窓、家庭用品、又は輸送手段、特に水用又は陸用車両、好ましくは自動車、バス、トラック、列車、もしくは船舶、あるいは輸送手段の取り付け部品、又は家具、布帛、もしくは包装工業の物品である。
【実施例】
【0145】
〔測定方法の説明〕
赤外スペクトルはPerkin-Elmer社のFT-IR装置1600で測定した(ZnSe結晶を用いた水平ATR測定ユニット)。液体試料は希釈しない形態でフィルムとして塗布し、固体試料はCHClに溶かした。吸収バンドは波数(cm−1)で示す(測定範囲:4000〜650cm−1)。
【0146】
H−NMRスペクトルは、300.13MHzでBruker DPX-300型の分光計で測定した。ケミカルシフトδはテトラメチルシラン(TMS)に対するppmで測定し、カップリング定数JはHzで示す。真(true)と偽(pseudo)のカップリングパターンの間は区別しなかった。
【0147】
粘度は、Physica UM自動調温式コーンプレート粘度計で測定した(コーン直径20mm、コーン角度1°、コーンチップとプレートとの間隔0.05mm、剪断速度10〜1000s−1)。
【0148】
アミン含量、すなわち、調製した化合物中のアルジミノ基とフリーアミノ基との合計の含量は、滴定法によって測定(氷酢酸中0.1N HClOを使用し、クリスタルバイオレットに対て測定)し、mmol N/gで常に示す。
【0149】
〔アルデヒドの製造〕
N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルアセトアミド
【0150】
還流凝縮器が備え付けられた丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、20.0 g(0.17モル)の2,2-ジメチル-3-メチルアミノプロパノールを撹拌しながら導入した。30.0 g(0.52モル)の無水酢酸をここへ液滴としてゆっくり添加し、その混合物を0.1 gのパラトルエンスルホン酸と混ぜ、それを120℃で1時間加熱した。室温に冷却後、この反応混合物を100 mLの水と混合し、Na2CO3で中和し、酢酸エチルで数回抽出し、一緒にした有機層をMgSO4上で乾燥させ、蒸発により濃縮した。そうして得られた茶色のオイルを真空下で分別した。生成物は、93〜95℃のオーバーヘッド温度及び3ミリバールの圧力で蒸留された。収量:8.2 g(理論値の30%)の無色でほとんど無臭の液体であり、これは静置しておいたところ結晶化した。
IR: 3418br, 2971, 2939, 2875, 2815, 1786, 2726, 2711 (CHO), 1718 (C=O アルデヒド), 1624 (C=O アミド), 1487, 1464, 1405, 1364, 1320, 1263, 1202, 1125, 1108, 1086, 1040, 1007, 973, 951, 923, 904, 873, 772, 733。
【0151】
N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-ピロリジン-2-オン
【0152】
還流凝縮器が備え付けられた丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、40.0 g(0.48モル)の2-ピロリドン、39.2 g(0.48モル)の36%ホルムアルデヒド水溶液、及び37.3 g(0.52モル)のイソブチルアルデヒドを激しく撹拌しながら導入し、10.0 gの濃塩酸を混合し、それによってその混合物は激しく沸騰した。沸騰が弱まったら、混合物をオイルバス(100℃)中で加熱し、夜通し沸騰させておいた。透明な黄色い反応混合物を2N NaOHで中和し、酢酸エチルで2回抽出し、一緒にした有機層を食塩水で洗い、MgSO4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーターによる蒸発によって完全に濃縮した。得られた暗黄色のオイルを真空下で分別した。生成物は、71℃のオーバーヘッド温度及び2x10-2ミリバールの圧力で蒸留された。収量:14.8 g(理論値の19%)の無色でほとんど無臭の液体。
IR: 3429br, 2969, 2961sh, 2930, 2897, 2872, 2837sh, 2786, 2758, 2711 (CHO), 1720 (C=O アルデヒド), 1678 (C=O アミド), 1494, 1462, 1438sh, 1421, 1400, 1380, 1365, 1333, 1314, 1286, 1259, 1225, 1152, 1103, 1062, 1024, 1002, 992, 975, 935, 908, 890sh, 867, 772, 672。
【数1】

【0153】
N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-アゼパン-2-オン
【0154】
還流凝縮器が備え付けられた丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、80.5 g(0.71モル)のε-カプロラクタム、59.3 g(0.71モル)の36%ホルムアルデヒド水溶液、及び56.4 g(0.78モル)のイソブチルアルデヒドを激しく撹拌しながら導入し、13.4 gの濃塩酸を混合した(わずかに発熱)。その後、その混合物をオイルバス(100℃)中で加熱して沸騰させ、夜通し沸騰させておいた。透明な黄色い反応混合物を2N NaOHで中和し、酢酸エチルで2回抽出し、一緒にした有機層を食塩水で洗い、MgSO4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーターによる蒸発によって完全に濃縮した。得られた黄色のオイルを真空下で分別した。生成物は、98℃のオーバーヘッド温度及び4x10-2ミリバールの圧力で蒸留された。収量:20.7 g(理論値の15%)の無色かつ無臭の液体であり、これは静置しておいたところ結晶化した。
IR: 3415br, 2961, 2926, 2855, 2717 (CHO), 1720 (C=O アルデヒド), 1635 (C=O アミド), 1479, 1456, 1443, 1419, 1398, 1365, 1353, 1329, 1310, 1292sh, 1258, 1222, 1197, 1183, 1157, 1137, 1121, 1083, 1060, 1021, 998, 975, 969sh, 954, 944, 923, 909, 890, 872, 839, 815, 771, 735, 723, 703。
【数2】

【0155】
N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルホルムアミド
【0156】
還流凝縮器が備え付けられた丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、59.7 g(1.00モル)のN-メチルホルムアミド、84.3 g(1.00モル)の36%ホルムアルデヒド水溶液、及び78.6 g(1.10モル)のイソブチルアルデヒドを激しく撹拌しながら導入し、18.2 gの濃塩酸を混合した(わずかに発熱)。その後、その混合物をオイルバス(100℃)中で加熱して沸騰させ、夜通し沸騰させておいた。透明な黄色い反応混合物を室温に冷やし、2N NaOHで中和し、酢酸エチルで2回抽出し、一緒にした有機層を食塩水で洗い、MgSO4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーターによる蒸発によって完全に濃縮した。得られた暗黄色のオイルを真空下で分別した。生成物は、63℃のオーバーヘッド温度及び4x10-2ミリバールの圧力で蒸留された。収量:20.2 g(理論値の14%)の無色でわずかに刺激臭のする液体。
IR: 3412br, 2963, 2931, 2872, 2815sh, 2710 (CHO), 1724 (C=O アルデヒド), 1667 (C=O アミド), 1471, 1444, 1426sh, 1395, 1365, 1302, 1275, 1254, 1181, 1142, 1100, 1071sh, 1047, 990, 973, 953, 914, 883, 858, 772, 747, 710。
【0157】
〔アルジミンの製造〕
【0158】
例1:アルジミンA−1
【0159】
丸底フラスコに、窒素下で、2.91 g(18.5ミリモル)のN-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルアセトアミドを導入し、1.28 g(15.4ミリモルN)の1,6-ヘキサメチレンジアミン溶液(70質量%水溶液、アミン含量12.16ミリモルN/g)をそこに室温で撹拌しながら添加した。次にこの混合物をオイルバス中で加熱し、揮発性の主要部分を真空下(10ミリバール、80℃)で除去した。収量:3.45 gの淡黄色のほとんど無臭のオイルであり、4.74ミリモルN/gのアミン含量と20℃で630 mPa.sの粘度をもっていた。
IR: 2959, 2930, 2854, 2827sh, 1644 (C=O, C=N), 1484, 1460, 1430, 1400, 1362, 1312, 1262, 1200, 1181sh, 1120, 1109, 1086, 1030, 1016, 978, 938, 904, 894, 860, 788, 764, 730。
【0160】
例2:アルジミンA−2
【0161】
アルジミンA−1について説明したのと同じ条件下で、10.00 g(59ミリモル)のN-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-ピロリジン-2-オンを、4.00 g(49ミリモルN)の1,6-ヘキサメチレンジアミン(70質量%水溶液、アミン含量12.16ミリモルN/g)と反応させた。収量:11.57 gの明るい黄色のほとんど無臭のオイルであり、4.13ミリモルN/gのアミン含量と20℃で2.0 Pa.sの粘度をもっていた。
IR: 3410br, 2957, 2927, 2854, 2830sh, 1682 (C=O), 1666sh (C=N), 1493, 1461, 1434sh, 1418, 1392, 1363, 1331, 1313, 1284, 1261, 1222, 1150, 1108, 1057, 1023, 993, 944sh, 934, 911, 883, 854, 787, 758, 728, 675, 665。
【数3】

【0162】
例3:アルジミンA−3
【0163】
アルジミンA−1について説明したのと同じ条件下で、12.67 g(64ミリモル)のN-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-アゼパン-2-オンを、6.46 g(53ミリモルN)のポリエーテルジアミン(Jeffamine(登録商標)D-230、Huntsman社;アミン含量8.29ミリモルN/g)と反応させ、一定の質量に達するまで120℃において高真空下(4x10-2ミリバール)での蒸発によって濃縮した。収量:16.50 gの黄色の無臭の蜂蜜状のものであり、3.18ミリモルN/gのアミン含量と20℃で23.5 Pa.sの粘度をもっていた。
IR: 3420br, 2964, 2927, 2856, 1645 (C=O及びC=N), 1480, 1465sh, 1455, 1444, 1417, 1392, 1367, 1328, 1310, 1291, 1260, 1228, 1196, 1133sh, 1104, 1096sh, 1084sh, 1015, 992, 975, 953, 939, 913, 879, 839, 817, 784, 735, 706。
【数4】

【0164】
例4:アルジミンA−4
【0165】
アルジミンA−1について説明したのと同じ条件下で、10.45 g(73ミリモル)のN-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルホルムアミドを、5.05 g(61ミリモルN)の1,6-ヘキサメチレンジアミン溶液(70質量%水溶液、アミン含量12.16ミリモルN/g)と反応させた。収量:11.54 gの黄色のわずかに刺激臭のするオイルであり、5.03ミリモルN/gのアミン含量と20℃で1010 mPa.sの粘度をもっていた。
IR: 3430br, 2955, 2926, 2855, 2829, 1727, 1666 (C=O, C=N), 1465, 1443sh, 1424, 1390, 1362, 1339sh, 1303, 1273, 1254, 1221sh, 1182, 1162sh, 1143, 1093, 1067sh, 1046, 992, 975sh, 953, 932sh, 914, 865, 789, 744, 710, 658。
【0166】
例5:アルジミンA−5
【0167】
アルジミンA−1について説明したのと同じ条件下で、10.00 g(59ミリモル)のN-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-ピロリジン-2-オンを、5.07 g(48ミリモルN)の2-(2-アミノエトキシ)-エタノール(DGA; ジグリコールアミン(登録商標)剤、Huntsman社;アミン含量9.46ミリモルN/g)と反応させた。収量:14.11 gの薄黄色のほとんど無臭のオイルであり、3.39ミリモルN/gのアミン含量と20℃で630 mPa.sの粘度をもっていた。
IR: 3400br (OH), 2958, 2925, 2908, 2867, 1680sh (C=O), 1664 (C=N), 1493, 1463, 1438, 1421, 1393, 1363, 1332, 1314, 1287, 1262, 1226, 1123, 1060, 1024sh, 991, 946, 934, 899, 885, 858, 814, 788, 759, 674sh, 669。
【数5】

【0168】
〔硬化性組成物の製造〕
【0169】
例6〜10及び比較例11
【0170】
ネジ蓋を備えたポリプロピレンビーカー中で、ポリウレタンポリマーP1又はポリウレタンポリマーP2のいずれか(これらの製造は後で説明する)を、遠心ミキサー(SpeedMixer(登録商標)DAC 150, Flack Tek Inc., 2500rpmにて1分)を使用してアルジミン並びに触媒と混合し、均一なものを形成させた。そうして得られたものを直ぐに、内側にワニス塗布したアルミニウムチューブ中にデカンテーションし、それを気密に封じた。各例に用いたポリウレタンポリマー、アルジミン、及び触媒は、表1に質量部で示してある。
【0171】
ポリウレタンポリマーP1は以下のように製造した。
4000 gのポリオキシプロピレンジオール(Acclaim(登録商標)4200 N、Bayer社; OH価28.5 mgKOH/g)及び520 gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI; Desmodur(登録商標)44 MC L、Bayer社)を、80℃で公知の方法にしたがって反応させて、1.9質量%のフリーイソシアネート基含量を有するNCO末端ポリウレタンポリマーを製造した。
【0172】
ポリウレタンポリマーP2は以下のように製造した。
590 gのポリオールAcclaim(登録商標)4200 N(ポリプロピレンオキシドジオール、OH価28.5 mgKOH/g;Bayer社)、1180 gのポリオールCaradol(登録商標)MD34-02(ポリプロピレンオキシドポリエチレンオキシドトリオール、OH価35.0 mgKOH/g;Shell社)、及び230 gのイソホロンジイソシアネート(IPDI;Vestanat(登録商標)IPDI、Degussa社)を、80℃で公知の方法にしたがって反応させて、2.1質量%のフリーイソシアネート基含量をもつNCO末端ポリウレタンポリマーを作った。
【0173】
【表1】

【0174】
このようにして得られた組成物を以下のように試験した。
貯蔵寿命の測定のために、過熱貯蔵時の粘度の変化を測定した。このために、組成物を密閉チューブ中、60℃にて加熱炉中に貯蔵し、20℃での粘度を、最初に4時間の貯蔵時間後(=「4時間後の粘度」)に、二回目に7日の貯蔵時間後(=「7日後の粘度」)に測定した。貯蔵寿命は、最初の粘度に対する二回目の粘度のパーセント増から得られる。このためには、粘度の増加を以下の式にしたがって%単位で計算する。
[(7日後の粘度/4時間後の粘度)-1]×100%
【0175】
皮膜形成時間(粘着性がなくなるまでの時間、「タックフリータイム」)を測定するために、60℃で4時間貯蔵しておいた組成物のほんの一部を、ボール紙の上に約2 mmの層厚さに塗布し、標準の気候条件中(23±1℃、50±5%相対大気湿度)で、組成物の表面をLDPE製のピペットを使用してわずかに突いたときに、如何なる残留物もピペット上に残らなくなるまでにかかった時間を測定した。
【0176】
機械特性を測定するために、組成物を平らなPTFE型中に注ぎ、標準の気候条件中で7日間硬化させることによって、約3 mmの厚さをもつフィルムを組成物の主要部を用いて製造した。透明で、べたつかず、弾性のあるポリウレタンフィルムが得られ、これは気泡が全くなかった。長さ75 mm、水平方向の幅30 mm、水平方向の厚さ4 mmのダンベル状のものをこのフィルムから打ち抜き、それを、引張強度、破断伸び、及びE弾性率(0.5〜5%引張)(引張速度: 200 mm/分)についてDIN EN 53504に準拠して試験した。
【0177】
さらに、気泡形成(フィルムの硬化時に生じた気泡の量に基づく)並びに臭気を定性的に評価した。
これらの試験の結果を表2に示す。
【0178】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)のアルジミン:
【化1】

[式中、
YはO又はSを表し;
Aは、n個の一級アミノ基とm個のHX基を取り除いた後のアミンの(n+m)価の基を表すか、
あるいは、
と一緒になって3〜20の炭素原子をもつ(n+2×m)価の炭化水素基(この炭化水素基は任意選択により少なくとも1つのヘテロ原子、特にエーテル酸素もしくはアミン窒素の形態の少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい)を表すかのいずれかであり;
及びRは、それぞれの場合に、互いに独立に、1〜12の炭素原子をもつ一価の炭化水素基を表すか、
あるいは、
一緒になって4〜12の炭素原子をもつ二価の炭化水素基(この炭化水素基は任意選択により置換されていてもよい5〜8、好ましくは6の炭素原子をもつ炭素環基の一部である)を表すかのいずれかであり;
は、水素原子、又は1〜12の炭素原子を有する、アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、もしくはアルコキシカルボニル基を表し;
及びRは、
一緒になって2〜10の炭素原子をもつ二価の基を表し、この基は任意選択により酸素又は硫黄原子を有していてもよく、且つ任意選択により置換されていてもよい5又は6又は7員環の一部であるか、
あるいは、
は、1〜10の炭素原子をもつアルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、又はアシル基を表し、且つ
は、水素原子、又はアルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、もしくはアリール基、-OR5’、-SR5’、及び-NR5’5’’からなる群から選択される1〜20の炭素原子をもつ一価の基を表し、ここでR5’及びR5’’はそれぞれの場合に炭化水素基を表すか、又は一緒になって、5、6、もしくは7員環の一部であるアルキレン基を表し;
Xは、O、S、N-R、又はN-Rを表し、
は、
任意選択により少なくとも1つのカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホン、もしくはスルホン酸エステル基を有していてもよい、1〜20の炭素原子をもつ一価の炭化水素基を表すか、
又は、下記式(II):
【化2】

〔式(II)中、
pは、0又は1〜10,000の整数を表し、
Bは、(p+1)価の炭化水素基を表し、この炭化水素基は任意選択によりエーテル酸素、三級アミン窒素、ヒドロキシル基、二級アミノ基、もしくはメルカプト基を含んでいてもよい〕
の置換基を表し;
は、Aと一緒になって3〜20の炭素原子をもつ(n+2×m)価の炭化水素基を表し、この炭化水素基は任意選択により少なくとも1つのヘテロ原子、特にエーテル酸素又は三級アミン窒素の形態の少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよく;
nは1、2、3、又は4を表し;
mは0、1、2、3、又は4を表し、
但し、m+nは2、3、4、又は5を表すことを条件とする]。
【請求項2】
が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、2-エチルへキシル、シクロへキシル、又はベンジル基を表し、且つ
が、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、2-エチルへキシル、シクロへキシル、ベンジル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、又はイソプロポキシ基でを表すことを特徴とする、請求項1に記載のアルジミン。
【請求項3】
及びRが一緒になって、窒素原子とカルボニル基又はチオカルボニル基とを含んで、2-ピロリドン環、ピロリジン-2,5-ジオン環、ピペリジン-2-オン環、ピペリジン-2,6-ジオン環、アゼパン-2-オン環、オキサゾリジン-2-オン環、又はチアゾリジン-2-オン環を形成し、ここでこの環は任意選択により置換されていてもよい、請求項1に記載のアルジミン。
【請求項4】
下記式(Ia)で表される請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルジミン:
【化3】

[式(Ia)中、
は、
任意選択により少なくとも1つのヘテロ原子、特にエーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形態の少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい、2〜20の炭素原子をもつ二価の炭化水素基を表すか、
あるいは、
と一緒になって、任意選択により少なくとも1つのヘテロ原子、特にエーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形態の少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい、3〜20の炭素原子をもつ三価の炭化水素基を表し;
は、O、S、N-R、又はN-Rを表し、
は、
任意選択により少なくとも1つのカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホン、もしくはスルホン酸エステル基を有していてもよい、1〜20の炭素原子をもつ一価の炭化水素基を表すか、
あるいは、下記式(IIa):
【化4】

〔式(IIa)中、Bは、任意選択によりエーテル酸素もしくは三級アミン窒素をもっていてもよい、2〜12の炭素原子をもつ二価の炭化水素基を表す〕
の置換基を表し;
はAと一緒になって、3〜20の炭素原子をもつ三価の炭化水素基を表し、この炭化水素基は任意選択により少なくとも1つのヘテロ原子、特にエーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形態の少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよく;
但し、Aが活性水素をもたないことを条件とする]。
【請求項5】
N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-シクロへキシル-1,2-エタンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロへキシル-1,3-プロパンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、ジエチレントリアミン(DETA)、ジプロピレントリアミン(DPTA)、ビスヘキサメチレントリアミン(BHMT)、脂肪アミン類(特に、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソヤアルキル-1,3-プロパンジアミン、及びN-タロウアルキル-1,3-プロパンジアミン);5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミン、3-(2-ヒドロキシエトキシ)-プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)-エトキシ)-プロピルアミン、及び3-(6-ヒドロキシへキシルオキシ)-プロピルアミンからなる群から選択される少なくとも1種のアミンB1と、
下記式(IV):
【化5】

の少なくとも1種のアルデヒドとの反応によって得られる、請求項4に記載のアルジミン。
【請求項6】
下記式(Ib):
【化6】

〔式(Ib)中、
tは2又は3を表し;
はt個の一級アミノ基を除いた後のアミンB2の基を表し、
但し、式(Ib)のアルジミンが活性水素を持たないことを条件とする〕
で表される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルジミン。
【請求項7】
前記アミンB2が、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、1,3-ペンタンジアミン(DAMP)、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミンあるいはIPDA)、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,3-キシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロへキシル)メタン、ビス-(4-アミノ-3-メチルシクロへキシル)-メタン、3(4),8(9)-ビス-(アミノメチル)-トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,2-, 1,3-, 及び1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、2又は3つのアミノ基をもつポリオキシアルキレンポリアミン、1,3-及び1,4-フェニレンジアミン、2,4-及び2,6-トリレンジアミン、4,4’-, 2,4’-, 及び2,2’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、及び前述したポリアミン類の混合物からなる群から選択される、請求項6に記載のアルジミン。
【請求項8】
少なくとも1種のアミンB1又はB2と、
N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルホルムアミド、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルアセトアミド、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-ブチルアセトアミド、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-(2-エチルヘキシル)アセトアミド、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-ベンジルアセトアミド、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルブチルアミド、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチル-(2-エチルカプロンアミド)、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルベンズアミド、O-エチル-N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルカルバメート、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-ピロリジン-2-オン、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-ピペリジン-2-オン、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-アゼパン-2-オン、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-オキサゾリジン-2-オン、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-チアゾリジン-2-オン、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-ピロリジン-2,5-ジオン、及びN-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-フタルイミドからなる群から選択される下記式(IV):
【化7】

の少なくとも1種のアルデヒドALDとの反応によって得られる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアルジミン。
【請求項9】
下記式(X):
【化8】

(式中、XはO又はSを表す。)
の中間生成物ZW2から出発して得られる、請求項1〜8のいずれか一項に記載のアルジミン。
【請求項10】
少なくとも1種のポリイソシアネートPと、請求項4、5、又は8のいずれか一項に記載の少なくとも1種の式(Ia)のアルジミンとの反応によって得られる、下記式(XII):
【化9】

〔式中、
Qは、イソシアネート基を有する(u+v)価のポリイソシアネートPから全てのイソシアネート基を取り除いた後の基を表し;
uは0、1、2、又は3を表し、
vは0、1、2、3、又は4を表し、
但し、(u+v)が2、3、又は4を表すことを条件とする〕
の付加生成物AV。
【請求項11】
a)少なくとも1種のポリイソシアネートP、並びに
b)請求項6〜8のいずれか一項に記載の少なくとも1種の式(Ib)のアルジミン及び/又は請求項10に記載の少なくとも1種の式(XII)の付加生成物AV、
を含む、一成分形湿気硬化性組成物。
【請求項12】
前記ポリイソシアネートPが、芳香族イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPであって、少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種の芳香族ジイソシアネートモノマーとの反応によって得ることができるものである、請求項11に記載の一液形湿気硬化性組成物。
【請求項13】
基材S1を基材S2に接着結合させる方法であって、
以下の工程:
i)基材S1に、請求項11又は12に記載の一成分形湿気硬化性組成物を適用する工程;
ii)前記組成物のオープンタイム内に、前記適用した組成物と、基材S2との接触を確実にする工程;
又は、
i’)基材S1及び基材S2に、請求項11又は12に記載した一成分形湿気硬化性組成物を適用する工程;
ii’)前記組成物のオープンタイム内に、前記適用した組成物を一緒に接触させることを確実にする工程;
を含み、基材S2が、基材S1と同じ物質からなるか又は異なる物質からなる、方法。
【請求項14】
請求項11又は12に記載の一成分形湿気硬化性組成物と、水分、特に大気中の湿気の形態の水分との反応によって得られる、硬化した組成物。
【請求項15】
接着剤、シーラント、コーティング剤、又は床被覆剤における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の式(I)のアルジミン又は請求項10に記載の式(XII)の付加生成物AVの使用。

【公表番号】特表2012−510503(P2012−510503A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539006(P2011−539006)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066185
【国際公開番号】WO2010/063741
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】