説明

アルツハイマー病および関連する状態の治療

微小管親和力調節キナーゼ(MARK)を阻害し、それ故に異常なタウのリン酸化に伴う疾患の治療に適した式Iの化合物。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルツハイマー病などの神経変性疾患の治療または予防のための方法および物質に関する。特に、微小管親和力調節キナーゼ(MARK)を選択的に阻止するピラゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体の特定の種類に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は、高齢者における認知症の最も一般的な原因であり、これは認知機能の減退によって特徴付けられ、ゆっくりと進行して記憶喪失および見当識障害などの症状をもたらす。平均して診断後9年で死亡する。AD疾患の発症率は、年齢と共に増加するので、70歳を超える人々の約5%が発症するが、この数字は80歳を超える人々では20%へと増加する。
【0003】
既存の治療は、もっぱらADの一次症状を対象としている。病気のニューロンが、不十分なまたは過剰な量の特定の神経伝達物質を放出する場合があるので、現行の薬物は神経伝達物質の水準を上げるかまたは神経伝達物質による神経細胞の刺激を低減することを目指している。これらの薬物は、ADの症状をいくらか改良するが、疾患の根本にある原因に取り組むことに失敗している。
【0004】
ADの古典的な臨床的および神経病理学的特徴は、老人斑およびもつれた線維のバンドル(神経原線維のもつれ)から成る[Verdile、G.他、Pharm.Res.50:397−409(2004)]。加えて、海馬および大脳皮質中に著しいニューロンの喪失がある。老人斑は、細胞外の傷害であり、主としてジストロフィー性(腫れ上がった、損傷したおよび悪化した)神経突起で囲まれたβ−アミロイドペプチド(Aβ)の沈着、および炎症的プロセスにより活性化された神経膠細胞から成る。対照的に、神経原線維変化(NFT)は、タンパク質タウの過剰リン酸化形態で構成される細胞内クラスターであり、これは脳(例えば、主としてADにおける大脳皮質および海馬)の中で広く見出される。タウは、可溶性細胞質タンパク質であり、これは微小管の安定化の役割を有する。このタンパク質の過剰なリン酸化は、タンパク質を不溶化し、ペアになったらせん状フィラメント中に凝集させ、そしてNFTを形成する。
【0005】
アミロイドカスケード仮説は、Aβペプチド、特にAβ42の異常な蓄積が、事象のカスケードを開始させ、古典的なADの症状をもたらし、最終的に患者の死に至らしめると提唱している。タウ機能の調節不全が、最終的に神経細胞の死へ導くアルツハイマー病の病理カスケードにおける重要なステップであることを示す強力な証拠[例えば、 Rapoport、M.他(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.USA99:6364−6369]がある。さらに、タウ異変およびNFTは、例えば前頭側頭型認知症、ピック病および染色体17に関連するパーキンソニズム(FTDP−17)など、Aβ病態の無い他の認知症においても見出される[Mizutani、T.(1999)臨床試験学39:1262−1263]。同様に、ADにおけるNFTの発症頻度は、老人斑よりも認知症の度合いにより相関するが[Arriagada、P.V.他(1992)Neurology42:631−639]、一方ではアミロイド斑の著しい数が非認知症の高齢者の脳にしばしば見出されており、これ自体のアミロイド病態が認知症を引き起こすのに十分ではないことを示唆している。これらの理由によって、タウ機能(特に過剰リン酸化の防止)の正常化が、ADおよび他の認知症状態の治療の所望される治療目標であることが分かる。
【0006】
タウは、Mapt(微小管関連タンパク質タウ)遺伝子によってコード化された352−441アミノ酸タンパク質であり、タウは主として軸索に局所化した状態で、中枢神経系(CNS)中に広範囲に発現される[Binder他、J.Cell Biol.1985、101(4)、1371−1378]。タウの主要な機能は、チューブリン二量体から成る細胞内構造成分である微小管(MT)の安定性を調節することであり、これは軸索内輸送および伸長ならびに細胞極性および形状の発生などの多くの基本的な細胞過程の調節に不可欠である。タウのチューブリンに対する結合は、MTの重合/脱重合の速度(動的不安定性と称される)を決定する主要な要因であり、したがってタウは多くの基本的な細胞過程の調節の鍵である[例えば、Butner、K.A.、Kirschner、M.W.(1991)J.Celi.Biol.115:717−730を参照されたい]。
【0007】
タウは、数多くのセリンおよびトレオニン残基を有する塩基性タンパク質であり、タウの多くはリン酸化されやすい。正常なタウは、2個から3個のリン酸化アミノ酸残基を有するが、AD中で見つかった過剰リン酸化されたタウおよび他のタウロパシーは、一般的に8つもしくは9つのリン酸化残基を有する。さまざまなキナーゼが、例えばグリコーゲン合成キナーゼ3β(GSK3β)およびサイクリン依存性キナーゼ5(cdk5)などのプロリン指向キナーゼ、および例えばタンパク質キナーゼA(PICA)およびカルモジュリン(CaM)キナーゼIIなど、Lys−(Ile/Cys)−Gly−Serのシーケンスでタウをリン酸化し、KXGSモチーフとしても知られている非プロリン指向キナーゼを含めて、これら部位のリン酸化を促進する。1つのKXGSモチーフが、MT結合リピートのそれぞれに見出される。これら部位におけるリン酸化は、タウ−MT結合の調節のために重要である。リン酸化の程度は通常低いが、AD患者からの脳組織において増加することが示された。KXGSモチーフ内の1つの特定の残基であるSer−262のリン酸化が、AD中のNFTから抽出されたタウタンパク質において高まったことが示され[Hasegawa、M.他(1992)J.Biol.Chem.267:17047−17054]、この部位でのリン酸化が、MT結合を劇的に低下させると思われる[Biemat、J.他(1993)Neuron11:153−163]。
【0008】
Nishimura他[Cell 116:671−682(2004)]は、ショウジョウバエ中のキナーゼPAR−1の過剰発現が、タウ媒介の毒性を強め、GSK3βおよびCdk5によってリン酸化された部位を含めて、Ser−262、Ser−356、および他のアミノ酸残基のタウのリン酸化を増加することを実証した。彼等の研究結果は、タウの過剰リン酸化工程中にPAR−1キナーゼが、マスターキナーゼとして作用し、他のキナーゼによる下流部位におけるその後のリン酸化にとってSer−262およびSer−356部位のリン酸化は必須であることを示唆している。
【0009】
PAR−1の哺乳類オルソログは、微小管親和性調節キナーゼ(MARK)である。4種類のMARKアイソフォームがあり、これらはAMP−依存性タンパク質キナーゼ(AMPK)ファミリーの一部を形成する。PAR−1と同様に、おそらくはAβによって引き起こされたCa2+恒常性の崩壊などの外部的損傷に対応して、MARKはタウをリン酸化し、さらなるリン酸化事象のためにタウをプライミングすると考えられる。MARKによるタウのリン酸化が直接MTからの剥離をもたらすのかまたはその後のリン酸化事象が剥離を引き起こすのかは明らかでない。結果として得られた非結合性の過剰リン酸化タウは、細胞体樹状突起区画に対して非局所化され、次いでカスパーゼによって開裂されて、凝集傾向のある断片を形成する[Drewes、G.(2004).Trends Biochem.Sci.29:548−555;Gamblin、T.C.、他、(2003)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.100:10032−10037]。これら凝縮体は、潜在的に毒性であるフィラメントに成長することができ、最終的にはAD中に見出されるNFTを形成する。
【0010】
これらの理由により、MARK阻害剤がADおよび他のタウオパチーにおける神経変性の予防または回復を可能にすることが提案される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
WO98/54093、WO00/53605、WO2004/052286、WO2004/052315およびFraley他[Biorg.Med.Chem.Lett.12(2002)3537−41]において、さまざまな3,6−二置換ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体が、血管形成および他の細胞増殖プロセスに関係する、チロシンキナーゼ(例えば、KDRキナーゼ)の阻害剤として開示されているが、MARK阻害剤としての有用性あるいはタウロパシーの治療または予防における有用性については開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、タウの過剰リン酸化に伴う神経変性疾患の治療および予防のための薬物の製造のための式Iによる化合物または医薬として許容できるこの塩もしくは水和物の使用が提供される。
【0013】
【化5】

[式中、
Rは、ハロゲン、CN、CF、OR、NR、NHPhまたはNHCOC1−4アルキルによって場合によって置換されたC1−4アルキルを表し;または、Rは縮合テトラヒドロフラン環を完結することもでき;
Arは、フェニルを表しまたは場合によってベンゾ縮合された5員または6員ヘテロアリールを表し;Arのいずれもが3個までの独立に選択されたR置換基を場合によって有し;
およびRは、独立に、HまたはC1−4アルキルを表し、または同じ窒素原子に結合したRおよびRは、N、OおよびSから選択された1個の追加のヘテロ原子を場合によって含み、C1−4アルキル、CN、CF、ハロゲンおよびオキソから選択された2個までの置換基を場合によって有する、6員までの複素環を完結することもでき;
は、ハロゲン、CN、R、SR、X−OR、X−N(R、CH(CF)−N(R、COR、CONHOH、フェニル、5員もしくは6員ヘテロアリールまたはC−ヘテロシクリルを表し、前記フェニル、5員もしくは6員ヘテロアリールまたはC−ヘテロシクリルはC1−4アルキル、CFおよびハロゲンから選択される2個までの置換基を場合により有し;またはArがフェニルを表す場合、Ar上の隣接する環原子に結合した2個のR基は、オキソ、イミノおよびRから選択された3個までの置換基を場合によって有する、縮合5員または6員炭素環または複素環を完結することもでき;
は、H、CF、CH(CF)−Arであり、または(ハロゲン、CN、CF、ORまたはNRにより場合によって置換された、6個までの炭素原子の)アルキル、アルケニル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルを表し;または同じ窒素原子に結合している2個のR基は、N、OおよびSから選択された1個の追加のヘテロ原子を場合によって含み、C1−4アルキル、CF、ハロゲンおよびオキソから選択された2個までの置換基を場合によって有する、6員までの複素環を完結することもでき;
は、HではないRを表し;
Arは、10個までの環原子(このうち0−3個の原子はN、OおよびSから選択され、残りは炭素である)の芳香族の単環または二環系、(前記環系は、ハロゲン、CFおよびC1−4アルキルから選択された0−3個の置換基を有する。)を表し;
Xは、結合、CHまたはCOを表し;
「C−ヘテロシクリル」は、5または6個の環原子(このうち2個までは、N、OおよびSから選択される。)の非芳香族複素環を指し、前記環は環炭素原子を介して結合している。]
【0014】
特定の実施形態において、Rは、ハロゲン、CN、CF、ORまたはNRによって場合により置換されたC1−4アルキルを表し;
は、ハロゲン、CN、R、SR、X−OR、X−N(R、COR、CONHOH、フェニル、5員もしくは6員ヘテロアリールまたはC−ヘテロシクリル(前記フェニル、5員もしくは6員ヘテロアリールまたはC−ヘテロシクリルはC1−4アルキル、CFおよびハロゲンから選択された2個までの置換基を場合によって有する。)を表し;またはArがフェニルを表す場合、Ar上の隣接する環原子に結合した2個のR基が、オキソ、イミノおよびRから選択された3個までの置換基を場合によって有する、縮合5員または6員炭素環または複素環を完結することもでき;および
は、H、CF、またはアルキル、アルケニル、(ハロゲン、CN、CF、ORまたはNRにより場合によって置換された)6個の炭素原子までのシクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルを表し;または同じ窒素原子に結合している2個のR基は、N、OおよびSから選択された1個の追加のヘテロ原子を場合によって含み、C1−4アルキル、CF、ハロゲンおよびオキソから選択された2個までの置換基を場合によって有する、6員までの複素環を完結することもできる。
【0015】
本発明は、ヒト患者中のタウの過剰リン酸化に伴う神経変性疾患の治療および予防のための方法をさらに提供し、前記方法は、ヒト患者に上で定義した式Iの化合物またはこの医薬として許容できる塩または水和物の有効量を投与することを含む。
【0016】
タウの過剰リン酸化に伴う神経変性疾患には、AD、前頭側頭型認知症、ピック病および染色体17に関連するパーキンソニズム(FTDP−17)が含まれる。
【0017】
本明細書で使用する場合、「C1−xアルキル」という用語は、xが1超の整数の場合、構成炭素原子の数が1からxの範囲である、直鎖および分枝のアルキル基を指す。特定のアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルである。例えば、「C2−6アルケニル」、「ヒドロキシC1−6アルキル」、「ヘテロアリールC1−6アルキル」、「C2−6アルケニル」および「C1−6アルコキシ」などの誘導表現は、類似的方法で解釈されるものとする。かかる基における炭素原子の数が6を超えないことが最も適している。
【0018】
本明細書で使用する場合、「ハロゲン」という用語には、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれる。
【0019】
本明細書で使用する場合、「C3−6シクロアルキル」という表現は、3から6個の環原子を含んでいる非芳香族の単環式炭化水素環系を指す。例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが含まれる。
【0020】
医薬として用いるために、式Iの化合物は医薬として許容できる塩の形態とすることもできる。しかしながら、他の塩も式Iの化合物またはこれらの医薬として許容できる塩の調製に有用である。適切な本発明の化合物の医薬として許容できる塩には、酸付加塩が含まれ、酸付加塩は、例えば、本発明による化合物の溶液を、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、フマール酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸またはリン酸などの医薬として許容できる酸の溶液と混合することによって形成することがもちろんできる。別の方法として、本発明の化合物が酸性部分(moiety)を有している場合は、医薬として許容できる塩は前記酸性部分を適切な塩基で中和することによって形成することもできる。この様にして形成された医薬として許容できる塩の例には、ナトリウムまたはカリウム塩などのアルカリ金属塩;アンモニウム塩;カルシウムまたはマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;およびアミン塩(ピリジニウム塩を含む)および第四アンモニウム塩などの適切な有機塩基で形成された塩が含まれる。
【0021】
本発明において有用な化合物が、1つまたは複数の不斉中心を有する場合、したがって化合物は光学異性体として存在することもできる。本発明による化合物が2個以上の不斉中心を有している場合、化合物は付加的にジアステレオ異性体として存在することもできる。かかる異性体およびこれらの任意の比率の混合物の全ては、本発明の範囲内に包含されることが理解されるべきである。
【0022】
本発明において有用な化合物が、互変異性ケトおよびエノール形態において存在することが可能な場合、前記形態の両方とも本発明の範囲内であると考えられる。
【0023】
ヘテロアリール環の一部を形成する窒素原子は、N−オキシドの形態であることができる。非芳香族ヘテロシクリルの一部を形成する硫黄原子は、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドの形態であることができる。
【0024】
ヘテロアリール基は、分子の残部に環炭素または環窒素を介して結合させることもできるが、但しこれは芳香族性の保存と一致していることを条件とする。
【0025】
式Iにおいて、Rは縮合テトラヒドロフラン環を完結することもできるが、好ましくは、Rはハロゲン、CN、CF、OR、NR、NHPhまたはNHCOC1−4アルキルにより場合によって置換されたC1−4アルキルを表し、ここで、RおよびRは、上記定義の通りである。一実施形態において、Rは非置換C1−4アルキル、特にメチルを表す。Rが置換されたC1−4アルキルを表す場合、好ましい置換基はNRであり、特定の実施形態においてRはCHCHNRまたはCHCHCHNRである。RおよびRは独立に、HまたはメチルなどのC1−4アルキルを表すまたは一緒に6員までの複素環を完結させる。RおよびRによって完結されるのに適した環には、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンが含まれる。Rによって表される基の特定の例には、メチル、2−(ピロリジン−1−イル)エチル、2−(ピペリジン−1−イル)エチル、2−(モルホリン−4−イル)エチル、2−(4−シアノピペリジン.−1−イル)エチル、3−(ジメチルアミノ)プロピル、2−(ジメチルアミノ)エチル、2−(アセチルアミノ)エチル、2−(メチルアミノ)エチル、2−(フェニルアミノ)エチル、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル、2−(3,3−ジフルオロピペリジン−1−イル)エチル、2−(3−フルオロピロリジン−1−イル)エチル、2−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)エチル、2−メトキシエチルおよび3−メトキシプロピルが含まれる。
【0026】
Arは、フェニルまたは場合によりベンゾ縮合5員または6員ヘテロアリールを表し、これらのいずれも、3個までの独立に選択された以前に定義されたR3置換基を有することもできる。Arは、一置換または二置換であることが好ましい。Arによって表される5員ヘテロアリール環の例には、チオフェンおよびベンゾフランが含まれ、Arによって表される6員ヘテロアリール環の例にはピリジンが含まれる。特定の実施形態において、Arは場合により置換された3−チエニルを表す。
【0027】
Arがフェニルを表し、2個のR基が隣接する環炭素上に存在する場合、前記R基は結合して、オキソ、イミノおよびR(ここで、Rは前記定義の通りである)から選択された3個までの置換基を場合により有する縮合5員もしくは6員炭素環または複素環を形成することもできる。例えば、R基は、Arがイソインドリニル基、特に3−イミノイソインドリン−1−オン基またはイソインドリン−1,3−ジオン基を表し、場合よって2の位置において置換され、ここで、前記2個の置換基がメチル、エチル、トリフルオロエチル、ヒドロキシエチルまたはジメチルアミノエチルなどのC1−4アルキル基によって場合により置換されるように、ピロリジン環を完結することもできる。
【0028】
によって表される好ましい置換基には、ハロゲン(特にClまたはF)、CN、OR、CHOR、CH(CF)−N(R、CO、COR、CON(R、CHN(R、ピリジルおよび(フリル、チエニルおよびピラゾリルなどの)5員ヘテロアリールが含まれ、ここで、Rは前記定義の通りである。Rの適切なアイデンティティーは、H、(CF、ORまたはNRにより場合によって置換された)C1−4アルキル、アリル、シクロプロピル、シクロプロピルメチルおよびシクロブチルが含まれる。Rの別の好ましいアイデンティティーはCH(CF)−Arであり、ここで、Arは前記定義の通りである。Arの適切なアイデンティティーには、フリル、ピリジル、イミダゾリル、キノリルおよびベンゾチオフェニルが含まれる。特定の実施形態において、Arは置換基CONHRを有し、式中RはHまたは(CF、ORまたはNRによって場合により置換された)C1−4アルキルであり、またはRはCH(CF)−Arである。
【0029】
本発明の使用に適した化合物のサブセットは、式IIによる化合物および医薬として許容できるこの塩および水和物から成る。
【0030】
【化6】

[式中、R3aおよびR3bは独立に、HまたはRを表し、RおよびRは、前に説明したのと同じ定義および好ましいアイデンティティーを有する。]式IIによる化合物の特定の例を表1に挙げる。
【0031】
【表3】

【0032】
式IIの化合物のサブセットは、式IIAによる化合物から成る。
【0033】
【化7】

[式中、AはOまたはNHを表し、RおよびRは、前と同じ定義および好ましいアイデンティティーを有する。]式IIAによる化合物の特定の例には、Rが2−(ピペリジン−1−イル)エチルで、AおよびRが表2に示す通りである化合物を含む。
【0034】
【表4】

【0035】
本発明における使用に適した化合物の別のサブセットは、式IIIによる化合物および医薬として許容できるこの塩および水和物から成る。
【0036】
【化8】

[式中、R3aは、HまたはRを表し、RおよびRは、前に説明したのと同じ定義および好ましいアイデンティティーを有する。]式IIIによる化合物の特定の例は、RおよびR3aが表3に挙げた通りである化合物を含む。
【0037】
【表5】

【0038】
式IIIによるさらなる化合物は、RおよびR3aが表3Aに示した通りである化合物を含む。
【0039】
【表6】

【0040】
Rが、置換されたC1−4アルキルを表し、R3aがH以外の式IIIの化合物およびこの医薬として許容できる塩および水和物は、新規であると考えられ、それ故に本発明のさらなる態様を構成する。本発明は、Rが置換されたC1−4アルキルを表し、R3aがH以外の式IIIの化合物またはこの医薬として許容できる塩および水和物ならびに医薬として許容できる担体を含む薬剤組成物へとさらに広がる。
【0041】
Rが、置換基がNRである置換されたC1−4アルキルを表し、特定の実施形態においてRがCHCHNRまたはCHCHCHNRを表し、ここで、RおよびRが前と同じ定義および好ましいアイデンティティーを有する、例えば2−(ピペリジン−1−イル)エチルが好ましい。
【0042】
特定の実施形態において、R3aがCON(Rを表し、ここで、Rは前と同じ定義および好ましいアイデンティティーを有する。R3aがCONHRを表し、ここで、RはHまたは(CF、ORまたはNRにより場合によって置換された)C1−4アルキル、例えばCONHCHCFが非常に適している。
【0043】
別の実施形態において、R3aがCH(CF)NHRを表し、RはHまたは(CF、ORまたはNRにより場合によって置換された)C1−4アルキルを表す。
【0044】
さらなる実施形態において、R3aがCHNHRまたはCONHRを表し、RはCH(CF)−Arを表し、ここで、Arは前記定義の通りである。例えば、Arは、イミダゾリル、キノリル、ベンゾチオフェニル、フリルまたはピリジル、特に2−フリルまたは2−ピリジルなどの、5員または6員ヘテロアリールを表すこともできる。
【0045】
式Iの化合物のさらなる特定の例は、RおよびArが表4に示す通りである化合物を含む。
【0046】
【表7】

【0047】
式Iによる化合物は、上記のWO98/54093、WO00/153605、WO2004/1052286、WO2004/052315およびFraley他(Biorg.Med.Chem.Lett.12(2002)3537−41)において開示された方法またはこれらの直接的な適用によって調製することもできる。一般に、式Iの化合物は、Ar−B(OR’)の式(1)の化合物とのSuzukiカップリングによって得られる。
【0048】
【化9】

[ここで、R’はHまたはC1−4アルキルを表し、または2個のOR’基が環状ボロン酸エステルを完結し、RおよびArは前と同じ意味を有する。]反応は、例えば、Pd(PPhおよび炭酸ナトリウムなどの塩基の存在下、ジオキサン水溶液を100℃で反応させるなど、標準的なSuzuki条件の下で行われる。関連するボロン酸およびエステルは、市販されているか、例えばPdCl(dppf)およびジオキサン中の酢酸カリウムの存在下、約85℃におけるAr−Brのジビナコールジボランでの処理などの標準的方法のいずれかで入手される。
【0049】
化合物(1)は、対応するフェノール(2)のR−Lを用いたアルキル化によって入手することが可能である。
【0050】
【化10】

[ここで、Lは離脱基(例えば、Cl、Br、メシレートまたはトシレート)であり、Rは前と同じ意味を有する。]一般的な手順において、式(2)の化合物は、炭酸セシウムおよびヨウ化ナトリウムの存在下、約60℃においてDMF中でR−Clで処理される。化合物(2)の合成については、本明細書に付属する実施例の項において記載されている。
【0051】
式Iによる個別の化合物が、当業者が習熟している合成化学の標準的技法によって式Iによる他の化合物に転換することもできることは自明である。例えば、ArがCO1−4アルキル置換基を有する化合物が、対応する酸に加水分解され、次いで(RNHとカップリングしてArが置換基CON(Rを有する化合物I(ここで、Rは前と同じ意味を有する。)を提供することもできる。カップリングは、例えば、ベンゾトリアゾル−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)などの試薬を使用する標準的なカップリング技法を用いて実施することもできる。
【0052】
上記の出発物質および試薬は、それ自体が市販されていない場合、市販されている前駆物質から周知の合成手順および/または実施例の項において開示されている方法によって得ることもできる。
【0053】
本発明で使用する化合物の調製のための上記方法が、立体異性体の混合物を生じる場合、これら異性体は、分別クロマトグラフィーなど在来の技法により分離することもできる。これらの化合物は、ラセミ形態で調製することもでき、または個別の光学異性体は、エナンチオ選択的合成または分割のいずれかによって調製することもできる。化合物は、例えば、分別HPLC、またはジ−p−トルオイル−D−酒石酸および/またはジ−p−トルオイル−L−酒石酸などの光学活性酸を用いた塩の形成、その後の分別結晶および遊離塩基の再生によるジアステレオマーペアーの形成などの標準的技法によって、それらの成分エナンチオマーに分割することもできる。化合物は、ジアステレオマーエステルまたはアミドを形成し、その後のクロマトグラフィー的分離およびキラル補助基の除去により分割することもできる。
【0054】
どの上記合成シーケンスの間においても、関連するどの分子の感受性または反応性の基を保護することが必要とされおよび/または所望される場合もある。これは、「Protective Groups in Organic Chemistry、J.F.W. McOmie編集、Plenum Press、1973」および「T.W.Greene&P.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley&Sons、1991」に記載されている方法など、在来の保護基を用いて達成される。保護基は、当該技術において知られている方法を使用して、その後の都合のよい段階において除去することもできる。
【0055】
式Iの化合物は、化合物Iの活性成分(すなわち、式Iの化合物またはこの医薬として許容できる塩または水和物)および医薬として許容できる担体を含む薬剤組成物の形態で患者に適切に投与される。
【0056】
これら組成物は、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、顆粒、無菌の非経口溶液または懸濁液、計量エアロゾルまたは液体スプレー、ドロップ、アンプル、経皮貼布、自動注入器または座薬;経口、非経口、鼻腔内、舌下または直腸投与、吸入または吹き入れによる投与などの単位剤形となっていることが好ましい。主要な活性成分は、一般的に、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムおよびリン酸二カルシウム、ゴム、分散剤、懸濁剤またはソルビタンモノオレエートおよびポリエチレングリコールなどの界面活性剤、および例えば水などの他の医薬的希釈剤など、在来の錠剤化成分などの医薬的担体と混合されて、本発明の化合物または医薬として許容できるこの塩を含む均質な予備処方組成物を形成する。これら均質な予備処方組成物について言及すると、これは組成物を錠剤、丸薬およびカプセルなどの同等の有効単位用量形態へと容易に細分化できるように、活性成分が組成物を通して均一に分散していることを意味する。この予備処方組成物は、次いで本発明の活性成分の0.1から約500mgを含む上で説明した種類の単位用量へと細分化される。典型的な単位用量形態は、活性成分の1から100mg、例えば、1、2、5、10、25、50または100mgを含む。組成物の錠剤または丸薬は、長く続く作用の利点を利用できる用量形態を提供するために、被覆するかさもなければ混合することができる。例えば、錠剤または丸薬は、内部投薬成分および外部投薬成分を含むことができ、後者は前者を覆う被包の形態を取る。2つの成分は、腸溶層で隔てることができ、この腸溶層は、胃内での耐崩壊性に役立ち、内部成分がそのまま十二指腸へと通過する、または遅延放出されることを可能にする。かかる腸内層または被覆のためにさまざまな物質を使用することができ、かかる物質には多くのポリマー酸およびポリマー酸とセラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースなどの物質との混合物が含まれる。
【0057】
経口でまたは注射によって投与するために、本発明において有用な組成物を組み込むこともできる液体形態には、水溶液、液体またはジェル充填カプセル、適切に風味付けされたシロップ、水性または油性懸濁液、および綿実油、ゴマ油、ココナッツ油またはピーナッツ油などの食用油で風味付けされた乳剤、ならびにエリキシル剤および類似の賦形剤が含まれる。水性懸濁液のための適切な分散または懸濁剤には、トラガカント、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)またはゼラチンなどの合成または天然ゴムが含まれる。
【0058】
本発明の一実施形態において、式Iの化合物は、AD、FTDP−17、ピック病または前頭側頭型認知症、好ましくはADを患う患者に投与される。
【0059】
本発明の代替実施形態において、式Iの化合物は、軽度認識障害または年齢に関係した認識衰退を患う患者に投与される。かかる治療の好都合な成果は、ADの開始を防止するまたは遅らせることである。加齢性認知低下および軽度認識障害(MCI)は、記憶欠損は存在するが、他の認知症診断基準は存在しない状態のことである(SantacruzおよびSwagerty、American Family Physician、63(2001)、703−13)、(「The TCD−10 Classification of Mental and Behavioural Disorders」、Geneva:World Health Organisation、1992、64−5も参照されたい)。本明細書で使用する場合、「加齢性認知低下」は、記憶力および学習力、思考力、言語力および視空間機能の少なくとも1種における少なくとも6ヶ月間の低下ならびにMMSEなどの標準化された神経心理学的検査における正常値より1標準偏差値を超えて低いことを意味する。特に、記憶の進行的衰退が存在することもある。より重度の状態であるMCIでは、記憶障害の程度は患者の年齢にしては正常であると考えられる範囲外であるが、ADは存在しない。MCIおよび軽度のADの鑑別診断は、Petersen他(Arch.Neurol、56(1999)、303−8)によって記述されている。MCIの鑑別診断に関するさらなる情報は、Knopman他(Mayo Clinic Proceedings、78(2003)、1290−1308)によって提供されている。老齢者の研究において、Tuokko他(Arch、Neurol.、60(2003)577−82)は、最初にMCIの兆候が示された人々は、5年以内に認知症が発症するリスクが3倍に増加することを見出した。
【0060】
Grundman他(J.Mol Neurosci.、19(2002)、23−28)は、MCI患者における海馬体積の低い基準が、その後のADの予後指標であると報告している。同様に、Andreasen他(Arta Neurol.Scand、107(2003)47−51)は、総タウの高いCSF水準、ホスホ−タウの高いCSF水準およびAβ42のCSF水準の低下は、全てMCIからADへ進行するリスクの増加に関連していると報告している。
【0061】
この実施形態内で、式Iの化合物は、記憶機能障害を患うが認知症の兆候を示さない患者に有利に投与される。かかる記憶機能障害は、一般的に下垂体機能不全によって引き起こされる脳卒中または代謝異常のように、体系的なまたは脳の疾患に起因するとは言えない。かかる患者は、特に55歳超の人々、特に60歳以上、好ましくは65歳超の人々であることもある。かかる患者は、彼等の年齢にしては成長ホルモン分泌の正常なパターンおよび水準を有していることもある。しかしながら、かかる患者は、アルツハイマー病の発症に関する1つまたは複数の付加的リスク要因を有していることもある。かかるリスク要因には、疾患の家族歴、疾患に対する遺伝性素因、高血清コレステロールおよび成人発症型糖尿病が含まれる。
【0062】
本発明の特定の実施形態において、式Iの化合物は、疾患の家族歴、疾患に対する遺伝性素因、高血清コレステロール、成人発症型糖尿病、高海馬体ベースライン、総タウの高CSF水準、ホスホ−タウの高CSF水準およびAβ(1−42)の低CSF水準から選択される、AD発症に関する1つまたは複数のリスク要因をさらに有する、年齢に関係した認識衰退またはMCIを患う患者に投与される。
【0063】
(特に早期発症ADに向けた)遺伝性素因は、APP、プレセニリン−1およびプレセニリン−2遺伝子を含む、1つまたは複数の数の遺伝子における点変異から生ずることができる。同様に、アポリポタンパク質E遺伝子のε4イソ型と同型の患者は、AD発症のリスクが高い。
【0064】
患者の認識衰退または機能障害の程度は、治療における変化、例えば認識衰退の減速または停止などを検出することもできるように、本発明による治療の過程において、治療の前、治療中および/または治療の後に一定の間隔で有利に評価される。年齢および教育に関して調節した基準を有するミニ−心理状態試験(MMSE)(Folstein他、J Psych.Res.12(1975)、196−198;Anthony他、Psychological Med.,12(1982)、397−408;Cockrell他、Psychopharmacology、24(1988)、689−692;Crum他、J.Am.Med.Assoc’n.18(1993)、2386−2391)など、この目的のためのさまざまな神経心理学的試験が当該分野において知られている。MMSEは、成人における認識状態の簡単で定量的な測定法である。これは、所定の時点における認識衰退または機能障害の重症度を推測し、個体の経時的な認識変化の経過を追跡し、治療に対する個体の反応を実証するために、認識衰退または機能障害を選別するのに使用することができる。別の適切な試験は、アルツハイマー疾患評価スケール(ADAS)、特にこの認識要素(ADAS−cog)である(Rosen他、Am.J.Psychiatry、141(1984)、1356−64を参照されたい。)。
【0065】
アルツハイマー病の治療および予防のための適切な用量水準は、体重(kg)に対する1日当たりの活性薬物が、約0.01から250mg/kg、好ましくは約0.01から100mg/kg、より好ましくは約0.05から50mg/kgである。化合物は、1日当たり1回から4回の投与計画で投与することもできる。しかしながら、ある場合にはこれら限度外の用量も使用することができる。
【0066】
式Iの化合物は、ADまたはこの症状の治療または予防に有用であることが知られている1つまたは複数の付加的化合物と場合により組み合わせて投与することもできる。かかる付加的化合物には、したがってアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ドネペジルおよびガランサアミン)などの認識向上剤、NMDA拮抗剤(例えば、メマンチン)またはPDE4阻害剤(例えば、アリフロム(商標)およびWO03/018579、WO01/46151、WO02/074726およびWO02/098878において開示されている化合物の種類)が含まれる。かかる付加的化合物には、スタチンなどのコレステロール低下剤、例えばシンバスタチンも含まれる。同様に、かかる付加的化合物には脳におけるAβの生成または処理を改良することが知られている化合物(「アミロイド改良剤」)、例えばAβの分泌を調節する化合物(γ−セクレターゼ阻害剤、γ−セクレターゼ調節剤およびβセクレターゼ阻害剤を含む)、Aβの凝集を阻害する化合物、および選択的にAβに結合する抗体が含まれる。かかる付加的化合物には、さらにWO2004/080459に記載されているような成長ホルモン分泌促進物質も含まれる。
【0067】
本発明のこの実施形態において、アミロイド改良剤は、Aβの分泌を阻害する化合物で、例えば、γ−セクレターゼ阻害剤(例えば、WO01/90084、WO02/30912、WO01/70677、WO03/013506、WO02/36555、WO03/093252、WO03/093264、WO03/093251、WO03/093253、WO2004/039800、WO2004/039370、WO2005/030731、WO2005/014553、WO2004/089911、WO02/081435、WO02/081433、WO03/018543、WO2004/031137、WO2004/031139、WO2004/031138、WO2004/101538、WO2004/101539およびWO02/47671において開示されているγ−セクレターゼ阻害剤)、またはβ−セクレターゼ阻害剤(例えばWO03/037325、WO03/030886、WO03/006013、WO03/006021、WO03/006423、WO03/006453、WO02/002122、WO01/70672、WO02/02505、WO02/02506、WO02/02512、WO02/02520、WO02/098849およびWO02/100820において開示されている)、またはWO98/28268、WO02/47671、WO99/67221、WO01/34639、WO01/34571、WO00/07995、WO00/38618、WO01/92235、WO01/77086、WO01/74784、WO01/74796、WO01/74783、WO01/60826、WO01/19797、WO01/27108、WO01/27091、WO00/50391、WO02/057252、US2002/0025955およびUS2002/0022621において開示されている化合物を含め、Aβの生成および放出を阻害するいずれの化合物も含まれ、GSK−3阻害剤、Phiel他、Nature、423(2003)、435−9において記述されているような、特にリチウムなどのGSK−3α阻害剤もまた含まれる。
【0068】
あるいは、アミロイド改良剤は、Aβ(1−42)の生成を選択的に減衰させるために、γ−セクレターゼの作用を調節する化合物であることもできる。この効果を示すと報告された化合物には、ある非−ステロイド性坑炎症薬(NSAID)およびこれらの類似物質(WO01/78721およびUS2002/0128319およびWeggen他、Nature、414(2001)212−16;Morihara他、J.Neurochem.83(2002)、1009−12;およびTakahashi他、J.Biol.Chem.278(2003)、18644−70を参照されたい)、およびPPARαおよび/またはPPARδの活性度を調節する化合物(WO02/100836)が含まれる。γ−セクレターゼ修飾物質のさらなる例がWO2005/054193、WO2005/013985、WO2005/108362、WO2006/008558およびWO2006/043064において開示されている。
【0069】
あるいは、アミロイド改良剤は、Aβの凝集を阻害するかあるいは神経毒性を減衰させる化合物であることもできる。適切な例には、例えばクリオキノールなどのキレート剤(Gouras and Beal、Neuron、30(2001)、641−2)およびWO99/16741において開示されている化合物、特にDP−109として知られている化合物(Kalendarev他、J.Pharm.Biomed.Anal.24(2001)、967−75)が含まれる。本発明での使用に関して適切な他のAβ凝縮阻止剤には、WO96/28471、WO98/08868およびWO00/052048(Apan(商標)(Praecis社)として知られる化合物を含む);WO00/064420、WO03/017994、WO99/59571(特に3−アミノプロパン−1−スルホン酸、これはトラミプロセートまたはAlzhemed(商標)としても知られている);WO00/149281およびPTI−777およびPTI−00703(ProteoTech社)として知られている組成物;WO96/39834、WO01/83425、WO01/55093、WO00/76988、WO00/76987、WO00/76969、WO00/76489、WO97/26919、WO97/16194、およびWO97/16191において開示された化合物が含まれる。さらなる例には、米国特許第4,847,082号において開示されているフィチン酸誘導体およびUS2004/0204387において教示されているイノシトール誘導体が含まれる。
【0070】
あるいは、アミロイド改良剤は、Aβに対して選択的に結合する抗体であることもできる。前記抗体は、多クローン性または単クローン性であることもできるが、単クローン性であることが好ましく、ヒトのまたはヒト化であることが好ましい。抗体は、WO03/016466、WO03/016467、WO03/015691およびWO01/62801において記載されているように、可溶性Aβを生体液から隔離可能であることが好ましい。適切な抗体には、ヒト化抗体266(WO01/62801において記載されている)およびこの改良版(WO03/016466において記載されている)が含まれる。適切な抗体には、Aβ由来の拡散性リガンド(ADDLS)(WO2004/031400において記載されている)に対して特異性のリガンドもまた含まれる。
【0071】
本発明において使用する場合、「組み合わせる」という表現は、式Iの化合物および付加的化合物の両方の医薬的に有効な量が患者に投与されることを必要とするが、これが達成される方法については制限しない。したがって、2種は、患者への同時投与ために単一用量形態において結合することもできるし、または患者への同時または経続的投与のために分離した用量形態で提供することもできる。経続的投与は、時間を近づけて投与することもできるし、例えば1種を朝に投与して、もう1種を夕方に投与するなど、時間を離して行うこともできる。別個の種を同じ頻度で投与することもできるし、例えば1種を1日1回とし、他の1種を1日当たり2回以上とするなど、異なる頻度で投与することもできる。別個の種を同じ経路または異なる経路で投与することもでき、例えば1種は経口でもう1種を非経口で投与することもできるが、可能な場合には、両種の経口投与が好ましい。付加的化合物が抗体の場合、一般的に抗体は非経口で、そして式Iの化合物とは別個に投与される。
【実施例】
【0072】
MARK3分析
MARK3活性を、Cdc25Cビオチン化ペプチド基質(Cell Signalling TechnoIogies社)を使用してインビトロで分析した。ホスホペプチド生成物を、Homogenous Time−Resolved Fluorescence(HTRF)分析システム(Park他、1999、Anal.Biochem.269:94−104)を用いて定量化した。反応混合物は、最終容積12μl中に、pH7.4の50mMのHEPES/トリス塩酸、;10mMのNaCl、5mMのMgCl、0.2mMのNaVO、5mMのβ−グリセロールホスフェート、0.1%のTween−20、2mMのジチオスレイトール、0.1%のBSA、10μMのATP、1μMのペプチド基質、および10nMの組換え型MARK3エンザイム(Dundee大学)を含有していた。緩衝液は、付加的にプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche EDTA無し、50ml当たり1タブ)を含んでいた。キナーゼ反応を、25℃において2時間インキュベートし、次いで3μlの停止/検出緩衝液(50mMのHEPES、pH7.0、16.6mMのEDTA、0.5MのKF、0.1%のTween−20、0.1%のBSA、2μg/mlのSLXent665(CISBIO)、および2μg/mlのEu3+クリプテートラベル抗体(CISBIO))を用いて終結した。反応を、0℃において一夜平衡に保たせ、相対蛍光単位をHTRF使用可能プレートリーダー(例えば、TECAN GENios Pro社)上で読み取った。
【0073】
阻害剤化合物を、化合物のIC50を決定するために上記反応中に分析した。DMSO中に溶解した化合物のアリコットを1nMから10μMの範囲をカバーする第3ログ希釈シリーズの反応ウェルに加えた。HTRF蛍光単位として読み取った、相対的ホスホ基質形成を一連の化合物濃度について測定し、滴定曲線を作成した。
【0074】
以下に挙げた化合物は、上記分析において1μM以下、典型的には500nM以下、好ましい場合には50nM未満のIC50値を示す。
【0075】
中間体A
ステップ1:3−(ジメチルアミノ)−2−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアルデヒド
(無水フタル酸上で新たしく蒸留した66mLの)DMFに、0℃において、POCl(25.39g、0.166mol)を、撹拌および冷却しながら滴下した。反応混合物を室温において10分間撹拌し、次いで4−ヒドロキシフェニル酢酸(8.40g、0.055mol)を加え、反応混合物を80−85℃において6時間撹拌した。冷却後、反応混合物を氷180gに加え、NaOH20gを次いで10MNaOH溶液115mLを、温度を40℃未満に維持しながらゆっくりと加えた。次いで混合物を室温において2時間撹拌し、濃HC1を用いてpH3へゆっくりと中和した。沈殿物をろ過し、水で洗浄し、50℃において真空中で20時間乾燥し、所望のアルデヒドを得た。収量:5.51g(52.2%)。
【0076】
ステップ2:4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェノール
3−(ジメチルアミノ)−2−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアルデヒド(5.00g、0.026mol)、3−アミノ−4−ブロモピラゾール(4.23g、0.026mol)、エタノール84mLおよび酢酸4.2mLの混合物を12時間還流した。混合物を冷却し、沈殿物をろ過し、水で2回そして少量のエタンールで洗浄し、次いで40−50℃において真空中で8時間乾燥して、所望のフェノールを得た。収量:4.66g(61.5%)。
【0077】
ステップ3:3−ブロモ−6−[4−(2−ピペリジン−1−イルエトキシ)フェニル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(中間体A)
無水DMF65mL中のステップ2のフェノール溶液(4.6g、0.016mol)に、N−(2−クロロエチル)ピペリジン(3.83g、0.021mol)、CsCO(13.55g、0.042mol)およびNaI(0.285g、0.0019mol)を、この順序で加えた。反応混合物を60−65℃において18時間撹拌し、冷却してNaOH50%溶液300mLへ注いだ。生成物を酢酸エチルで抽出した(3x150mL)。一緒にした有機抽出物を塩水で2回洗浄し(2x200mL)、無水MgSO上で乾燥し、ロータリーエバポレーター上で濃縮し、キシレンで2回蒸発させた。残渣をシリカゲル上でクロマトグラフィー処理し、クロロホルム−メタノール15:1で溶離して、所望の中間体Aを得た。収量:4.33g(67.4%)
【0078】
(実施例1)
メチル4−{6−[4−(2−ピペラジン−1−イルエトキシ)フェニル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル}チオフェン−2−カルボキシレート
ステップ1:メチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1.3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チオフェン−2−カルボキシレート
4−ブロモチオフェン−2−カルボン酸(0.418g、2mmol)を、メタノール(1mL)中に溶解し、濃硫酸(0.039g、0.4mmol)を加えた。混合物を10時間還流して水に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。有機層をKCO溶液で洗浄し、濃縮し、MgSO上で乾燥し、ろ過し、蒸留して、重量0.4g(収量90%)のメチル4−ブロモチオフェン−2−カルボキシレートを得た。
【0079】
PdCl(dppf)(0.32g、0.43mmol)、dppf(0.24g、0.43mmol)、KOAc(4.23g、0.043mol)、およびピナコールジボロン(5.5g、0.021mol)を含むフラスコをアルゴンでフラッシュし、次いでジオキサン(60mL)中の前のステップからのエステルの溶液(32g、0.014mol)を加えた。混合物をアルゴン雰囲気下85℃において40時間撹拌した。水(5倍過剰)を加え、混合物を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を塩水で洗浄し、濃縮し、MgSO上で乾燥し、ろ過し、蒸留して粗製メチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラン−2−イル)チオフェン−2−カルボキシレート(5.1g、HNMRデータによる純度85%)を得た。この粗製ボロネートは、さらなる精製無しで使用された。
【0080】
ステップ2
ジオキサン(45mL)および1MのNaCO溶液(10.4mL)を、中間体A(2.15g、5.36mmol)とメチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チオフェン−2−カルボキシレート(粗製ボロネート2.20g、6.97mmol)の混合物に加えた。混合物をアルゴンでフラッシュし、次いでPd(PhP)(0.31g、0.27mmol)を加え、温度を85℃に上げ、この温度において撹拌を16時間継続した。室温まで冷却した後、反応混合物を水(5倍過剰)に注ぎ、クロロホルムで3回抽出した。有機層を塩水で洗浄し、濃縮し、MgSO上で乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル上カラムクロマトグラフィーで精製し(クロロホルム/メタノール、15:1)、重量2.22g(収量90%)の所望のエステルを得た。
m/z[MH]463.
【0081】
(実施例2)
4−{6−[4−(2−ピペリジン−1−イルエトキシ)フェニル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル}−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)チオフェン−2−カルボキシアミド
9MHCl水溶液15mL中の実施例1からのメチルエステルの懸濁液(2.22g、4.82mmol)を24時間還流した。水を蒸発させ、残渣をアセトニトリルで再蒸発させた。固体残渣(塩酸塩)をショットフィルターに移し、エーテルで洗浄し、真空乾燥オーブン中で乾燥し、所望のカルボン酸2.0g(収量96%)を得た。
【0082】
BOP(0.16g、0.36mmol)を、無水DMF(10mL)中の前のステップからの酸の懸濁液(0.15g、0.33mmol)に加えた。混合物を20分間撹拌し、次いでジイソプロピルエチルアミン(0.3mL、1.65mmol)およびトリフルオロアミン(0.065g、0.66mmol)を加え、混合物を室温で一夜撹拌した。水(10倍過剰)を加え、得られた沈殿物をろ過し、5%NaHCO、水、エーテルで洗浄し、真空乾燥オーブン中で乾燥し、所望の4−{6−[4−(2−ピペリジン−1−イルエトキシ)フェニル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル}−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)チオフェン−2−カルボキシアミドの0.075g(収量44%)を得た。m/z[MH]530
【0083】
(実施例3)
メチル−4−(6−{4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル}ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン3−イル)チオフェン−2−カルボキシレート
ステップ1:2−[4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェノキシ]−N,N−ジメチルエタンアミン
中間体Aのステップ2からのフェノール(0.406g、1.40mmol)、2−(ジメチルアミン)エチルクロリドヒドロクロリド(0.282g、1.96mmol)、CsCO(1.27g、3.92mmol)、NaI(0.025g、0.168mol)および無水DMF(12mL)の混合物を、60℃において16時間撹拌した。室温に冷却した後、水(50mL)を加え、得られた沈殿物をろ過により分離し、水で洗浄し、クロロホルムを用いて再蒸発させた。残渣をシリカゲル上カラムクロマトグラフィーで精製して(クロロホルム/NH−飽和メタノール、20:1)、所望の2−[4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェノキシ]−N,N−ジメチルエタンアミン(0.3g、収量60%)を得た。
【0084】
ステップ2
Suzuki反応を、実施例1のステップ2で記述されているように、2−[4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェノキシ]−N,N−ジメチルエタンアミン(0.3g、0.3mmol)、メチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チオフェン−2−カルボキシレート(粗製ボロネート0.35g、1.08mmol)、1MのNaCO溶液(1.6mL)、Pd(PhP)(0.048g、0.04mmol)、およびジオキサン(8mL)を用いて実施した。反応混合物を85℃において16時間撹拌し、室温に冷却し、次いで水(5倍過剰)を加えた。クロロホルムで3回抽出した後有機層を塩水で洗浄し、濃縮し、MgSO上で乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル上カラムクロマトグラフィーで精製して(クロロホルム/NH−飽和メタノール、20:1)、所望のエステル0.23g(収量65%)を得た。
【0085】
(実施例4)
4−(6−{4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル}ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)チオフェン−2−カルボキシアミド
実施例2の方法により、実施例3の生成物から調製した。
H NMR(400MHz,DMSO−d):2.23−2.24(6H,m)、2.63−2.67(2H,t,J=5.87Hz,J=5.87Hz)、4.08−4.15(4H,m)、7.09−7.13(2H,d,J=8.81Hz)、7.79−7.82(2H,d,J=8.80Hz)、8.22−8.24(1H,d,J=1.24Hz)、8.50−8.51(1H,d,J=1.23Hz)、8.61(1H,s)、9.02−9.03(1H,d,J=2.20Hz)、9.20−9.24(1H,t,J=6.36Hz,J=6.11Hz)、9.41−9.43(1H,d,J=2.20Hz)。
LC−MS APCI:m/z 490.1[M+H]
【0086】
(実施例5)
代表的手順
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ジオキサン(500μL)中の適切なボロン酸/エステル(260μmol、1.3当量)の溶液に、水(500μL)中のNaCO(300μmol、1.5当量)溶液およびジオキサン(500μL)中の3−ブロモ−6−(4−メトキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(WO98/54093)(200μmol、1当量)の溶液を加えた。次いでアルゴン雰囲気下ジオキサン(400μL)中のPd(PPh(12mg)溶液を加えた。混合物を85℃において一夜保持し、冷却して蒸発させた。残渣をジクロロメタン(2mL)およびHO(500μL)に取り上げた。有機層を分離し、蒸発させて、生成物を分別HPLCで精製した。
【0087】
(実施例6−81)
以下は、上で説明した方法と類似の方法で調製した。
【0088】
【表8】
















【0089】
上記の表において、ヘテロ原子が1つまたは複数の満たされていない原子価の状態で示される場合は、水素原子であると推断される。
【0090】
以下は、同様の方法で調製された。
【0091】
【表9】









【特許請求の範囲】
【請求項1】
タウの過剰リン酸化に伴う神経変性疾患の治療または予防のための薬物の製造のための式Iによる化合物または医薬として許容できるこの塩もしくは水和物の使用
【化1】

[式中、
Rは、ハロゲン、CN、CF、OR、NR、NHPhまたはNHCOC1−4アルキルによって場合によって置換されたC1−4アルキルを表し;または、Rは縮合テトラヒドロフラン環を完結することもでき;
Arは、フェニルを表しまたは場合によってベンゾ縮合された5員または6員ヘテロアリールを表し;Arのいずれもが3個までの独立に選択されたR置換基を場合によって有し;
およびRは、独立に、HまたはC1−4アルキルを表し、または同じ窒素原子に結合したRおよびRは、N、OおよびSから選択された1個の追加のヘテロ原子を場合によって含み、C1−4アルキル、CN、CF、ハロゲンおよびオキソから選択された2個までの置換基を場合によって有する、6員までの複素環を完結することもでき;
は、ハロゲン、CN、R、SR、X−OR、X−N(R、CH(CF)−N(R、COR、CONHOH、フェニル、5員もしくは6員ヘテロアリールまたはC−ヘテロシクリルを表し、前記フェニル、5員もしくは6員ヘテロアリールまたはC−ヘテロシクリルはC1−4アルキル、CFおよびハロゲンから選択される2個までの置換基を場合により有し;またはArがフェニルを表す場合、Ar上の隣接する環原子に結合した2個のR基は、オキソ、イミノおよびRから選択された3個までの置換基を場合によって有する、縮合5員または6員炭素環または複素環を完結することもでき;
は、H、CF、CH(CF)−Arであり、または(ハロゲン、CN、CF、ORまたはNRにより場合によって置換された、6個までの炭素原子の)アルキル、アルケニル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルを表し;または同じ窒素原子に結合している2個のR基は、N、OおよびSから選択された1個の追加のヘテロ原子を場合によって含み、C1−4アルキル、CF、ハロゲンおよびオキソから選択された2個までの置換基を場合によって有する、6員までの複素環を完結することもでき;
は、HではないRを表し;
Arは、10個までの環原子(このうち0−3個の原子はN、OおよびSから選択され、残りは炭素である)の芳香族の単環または二環系(前記環系は、ハロゲン、CFおよびC1−4アルキルから選択された0−3個の置換基を有する。)を表し;
Xは、結合、CHまたはCOを表し;
「C−ヘテロシクリル」は、5または6個の環原子(このうち2個までは、N、OおよびSから選択される。)の非芳香族複素環を指し、前記環は環炭素原子を介して結合している。]。
【請求項2】
請求項1において定義した式Iの化合物または医薬として許容できるこの塩もしくは水和物の有効量をヒト患者に投与することを含む、前記患者におけるタウの過剰リン酸化に伴う神経変性疾患の治療または予防のための方法。
【請求項3】
タウの過剰リン酸化に伴う前記神経変性疾患が、アルツハイマー病(AD)、前頭側頭型認知症、ピック病および染色体17に関連するパーキンソニズム(FTDP−17)から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記化合物が、式IIの化合物または医薬として許容できるこの塩もしくは水和物である、請求項1に記載の使用
【化2】

[式中、R3aおよびR3bは独立に、HまたはRを表し、RおよびRは請求項1で定義した通りである。]。
【請求項5】
前記化合物が、式IIIの化合物または医薬として許容できるこの塩もしくは水和物である、請求項1に記載の使用
【化3】

[式中、R3aはHまたはRを表し、RおよびRは請求項1で定義した通りである。]。
【請求項6】
Rが、CHCHNRまたはCHCHCHNRを表し、ここで、RおよびRは請求項1で定義した通りである、請求項1、3、4および5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
式IIIの化合物または医薬として許容できるこの塩もしくは水和物
【化4】

[式中、Rは、ハロゲン、CN、CF、OR、NR、NHPhまたはNHCOC1−4アルキルで置換されたC1−4アルキルを表し;
3aはRを表し;
、RおよびRは請求項1で定義した通りである。]。
【請求項8】
RがCHCHNRまたはCHCHCHNRを表す、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
3aがCONHRを表し、ここで、RはHであり、またはCF、ORもしくはNRにより場合によって置換されたC1−4アルキルである、請求項7または請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
3aがCHNHRまたはCONHRを表し、RがCH(CF)−Arを表し、ここで、Arは請求項1で定義した通りである、請求項7に記載の化合物。
【請求項11】
RおよびR3aが、以下の表に挙げた通りである、請求項7に記載の化合物。
【表1】

【請求項12】
RおよびR3aが、以下の表に挙げた通りである、請求項7に記載の化合物。
【表2】

【請求項13】
請求項7から12のいずれかに記載の化合物および医薬として許容できる担体を含む薬剤組成物。
【請求項14】
医薬品において使用するための、請求項7から12のいずれかに記載の化合物。

【公表番号】特表2009−524635(P2009−524635A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551887(P2008−551887)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【国際出願番号】PCT/GB2007/050036
【国際公開番号】WO2007/085873
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】