説明

アルツハイマー病および関連する状態を治療するための二フッ化ピペリジン

式(I)の化合物。Aβ(1−42)の産生を選択的に阻害し、従って、脳内でのβ−アミロイドの沈着に関連する疾患の治療に用途が見出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒト身体の治療処置において用いるための化合物に関する。特に脳内のβ−アミロイドペプチドの沈着に関連する疾患、例えばアルツハイマー病の治療に有用な、またはこのような疾患に関連する認知症の発症を予防もしくは遅延させる、二フッ化カルボキシ官能性1,2−二置換ピペリジンおよび関連化合物を提供する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は認知症の最も一般的な形態である。この診断はthe Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,第4版,the American Psychiatric Association刊(DSM−IV)に記載されている。これは、記憶および一般認知機能の進行性の喪失によって臨床的に特徴付けられ、病人の皮質および結合脳領域における細胞外タンパク質プラークの沈着によって病理学的に特徴付けられる、神経変性障害である。これらのプラークは、β−アミロイドペプチド(Aβ)の原線維凝集体を主として含む。Aβは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)から、酵素β−セクレターゼおよびγ−セクレターゼを含む別の細胞内タンパク分解現象によって形成される。γ−セクレターゼが介在するタンパク分解の部位のばらつきは様々な鎖長のAβ、例えばAβ(1−38)、Aβ(1−40)およびAβ(1−42)を生じる。N−末端切断、例えばAβ(4−42)は、おそらくはβ−セクレターゼが介在するタンパク分解の部位のばらつきの結果として、脳内にも見出される。便宜上、本明細書で用いられる「Aβ(1−40)」および「Aβ(1−42)」のような表現はこのようなN−末端切断変種を含むものである。細胞外媒体中への分泌の後、Aβは、ADにおける鍵神経毒性作用物質であると広く信じられ(Gong et al,PNAS,100(2003),10417−22を参照)、ADの病理学的特徴である不溶性沈着および高密度老人斑を最終的に生じる、初期可溶性凝集体を形成する。
【0003】
脳内のAβの沈着に関連する他の認知症性(dementing)状態には、脳アミロイド血管障害、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、Dutch型(HCHWA−D)、多発梗塞性認知症、ボクサー認知症(dementia pugilistica)およびダウン症候群が含まれる。
【0004】
プラーク形成方法における様々な介入がADの治療的処置として提示されている(例えばHardy and Selkoe,Science,297(2002),353−6を参照)。提示されているこのような治療方法の1つは、Aβの産生を、例えばβ−もしくはγ−セクレターゼの阻害により、遮断もしくは減少させるものである。グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)の阻害、特にGSK−3αの阻害がAβの産生を遮断し得ることも報告されている(Phiel et al,Nature,423(2003),435−9を参照)。他の提示された処置方法には、Aβの凝集を遮断する化合物の投与およびAβに選択的に結合する抗体の投与が含まれる。
【0005】
しかしながら、近年の報告(Pearson and Peers,J.Physiol.,575.1(2006),5−10)は、Aβが、ADにおけるこの役割とは無関係に、重要な生理学的効果を発揮し得ることを示唆しており、これはこの産生の遮断が望ましくない副作用につながり得ることを暗示する。さらに、γ−セクレターゼは、APPを別にして、幾つかの異なる基質に作用することが知られており(例えばnotch)、従って、これらの阻害も不要な副作用につながり得る。従って、Aβの産生を完全には抑制せず、γ−セクレターゼの作用を阻害しない、ADの治療方法に関心が寄せられている。
【0006】
このような提示された治療の1つは、γ−セクレターゼの作用を調節してAβ(1−42)の産生を選択的に減少させることを含む。これは、自己凝集性およびプラーク形成の傾向が低いものと信じられ、従って、脳からより容易に除去され、および/または神経毒性が低い、Aβのより短鎖のアイソフォームの優先的な分泌を生じる。この効果を示す化合物には、一部の非ステロイド抗炎症薬(NSAID)およびこれらの類似体が含まれる(国際公開第01/78721号および米国特許出願公開第2002/0128319号明細書並びにWeggen et al Nature,414(2001)212−16;Morihara et al,J.Neurochem.,83(2002),1009−12;およびTakahashi et al,J.Biol.Chem.,278(2003),18644−70を参照)。PPARαおよび/またはPPARδの活性を調節する化合物もAβ(1−42)を減少させる効果を有することが報告されている(国際公開第02/100836号)。酸化窒素を放出することが可能なNSAID誘導体が、改善された抗神経炎症効果を示し、および/または動物モデルにおいて脳内Aβ沈着を減少させることが報告されている(国際公開第02/092072号;Jantzen et al,J.Neuroscience,22(2002),226−54)。米国特許出願公開第2002/0015941号明細書は、受容性カルシウム流入活性(capacitative calcium entry activity)を増強する作用物質がAβ(1−42)を減少させ得ることを教示する。
【0007】
Aβ(1−42)産生を選択的に減少させることが可能な化合物のさらなる種類は国際公開第2005/054193号、国際公開第2005/013985号、国際公開第2006/008558号、国際公開第2005/108362号および国際公開第2006/043064号に開示される。前記国際公開第2006/043064号は、とりわけ、様々なN−置換ピペリジニル酢酸誘導体を開示するが、本発明の化合物は開示も示唆もしていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第02/100836号
【特許文献2】国際公開第02/092072号
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0015941号
【特許文献4】国際公開第2005/054193号
【特許文献5】国際公開第2005/013985号
【特許文献6】国際公開第2006/008558号
【特許文献7】国際公開第2005/108362号
【特許文献8】国際公開第2006/043064号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,第4版,the American Psychiatric Association刊
【非特許文献2】Gong et al,PNAS,100(2003),10417−22
【非特許文献3】Hardy and Selkoe,Science,297(2002),353−6
【非特許文献4】Phiel et al,Nature,423(2003),435−9
【非特許文献5】Pearson and Peers,J.Physiol.,575.1(2006),5−10
【非特許文献6】Weggen et al Nature,414(2001)212−16
【非特許文献7】Morihara et al,J.Neurochem.,83(2002),1009−12
【非特許文献8】Takahashi et al,J.Biol.Chem.,278(2003),18644−70
【非特許文献9】Jantzen et al,J.Neuroscience,22(2002),226−54
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の化合物は、望ましくない副作用の傾向を低下させながら、Aβ(1−42)産生を選択的に減少させる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、式Iの化合物、
【0012】
【化1】

またはこれらの医薬的に許容される塩もしくは水和物が提供され;式中、
nは0、1、2もしくは3であり;
XおよびYの一方はCFを表し、並びに他方はCH−C(R−Zを表し;
ZはCOHもしくはテトラゾール環を表し;
各々のRは、Hもしくは6個の炭素原子までの非芳香族炭化水素基を独立に表し;または2つのR基がC3−6脂環式基を完成させ;
は、Hもしくは、ハロゲン、0から3個のフッ素置換基を担持するC1−6アルキル、0から3個のフッ素置換基を担持するC1−6アルコキシおよびC2−6アルケニルから独立に選択される3つまでの置換基を担持していてもよいフェニルを表し;
各々のRは、ハロゲン、0から3個のフッ素置換基を担持するC1−6アルキル、0から3個のフッ素置換基を担持するC1−6アルコキシもしくはC2−6アルケニルを独立に表し;並びに
およびRは、Hもしくは、ハロゲン、ペルフルオロC1−4アルキル、CN、Si(C1−4アルキル)、OH、C1−4アルコキシおよびOCFから選択される3つまでの置換基を担持していてもよい12個の炭素原子までの炭化水素を独立に表す。
【0013】
式Iにおいて変数が2回以上現れる場合、前記変数があらゆる特定の出現において有する素性はあらゆる他の出現において有する素性とは無関係である。
【0014】
本明細書で用いられる場合、「炭化水素基」という表現は炭素および水素原子のみからなる基を指す。他に指示されない限り、このような基は直鎖、分岐もしくは環状構造を単独で、もしくは指示された炭素原子の最大数と一致するあらゆる組み合わせで含むことができ、他に指示されない限り、芳香族を含む、飽和もしくは不飽和でもよい。
【0015】
本明細書で用いられる場合、「C1−xアルキル」(ここで、xは1を上回る整数である。)という表現は、構成炭素原子の数が1ないしxの範囲にある直鎖もしくは分岐アルキル基を指す。特定のアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルである。派生表現、例えば「C2−6アルケニル」、「ヒドロキシC1−6アルキル」、「ヘテロアリールC1−6アキル」、「C2−6アルキニル」および「C1−6アルコキシ」は同様の方法で解釈されるべきである。
【0016】
「ペルフルオロC1−4アルキル」という表現は、全ての水素原子がフッ素原子によって置換される、4炭素原子までの直鎖もしくは分岐アルキル基を指す。
【0017】
「C3−6脂環式」という表現は、3ないし6個の環炭素原子を含む環状非芳香族炭化水素基を指す。例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンテニル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。
【0018】
「ハロゲン」という用語には、本明細書で用いられる場合、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれ、他に指示されない限り、このうちのフッ素および塩素が好ましい。
【0019】
医薬において用いるため、式Iの化合物は医薬的に許容される塩の形態であってもよい。しかしながら、他の塩は式Iの化合物もしくはこれらの医薬的に許容される塩の調製において有用であり得る。本発明の化合物の適切な医薬的に許容される塩には酸付加塩が含まれ、これは、例えば本発明による化合物の溶液を医薬的に許容される酸、例えば塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸もしくはリン酸の溶液と混合することによって形成することができる。あるいは、カルボン酸基を適切な塩基で中和することによって医薬的に許容される塩を形成することもできる。このようにして形成される医薬的に許容される塩の例には、アルカリ金属塩、例えばナトリウムもしくはカリウム塩;アンモニウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムもしくはマグネシウム塩;および適切な有機塩基で形成される塩、例えばアミン塩(ピリジニウム塩を含む。)および4級アンモニウム塩が含まれる。
【0020】
式Iによって包含される、光学および幾何の両方の、全ての立体異性体形態が、単独で、もしくはあらゆる割合の混合物として、本発明の範囲内に入ることは理解されるべきである。従って、部分、
【0021】
【化2】

は、ピペリジン環に対してシス−もしくはトランス−配置であり得る。さらに、所与のシス−もしくはトランス−配置にある所与の化合物は2つの鏡像異性形態を有し、この両方が、単一のホモキラル化合物としてもしくはあらゆる割合のラセミ混合物としてであろうと、本発明の範囲内にある。いかなる疑惑をも回避するため、(A)、
【0022】
【化3】

のような構造式は、本明細書で用いられる場合、アスタリスクでマークされた炭素原子の相対配置を限定するものであり、別に明白に述べられない限り、これらの絶対配置を決定付けるものではないと解釈される。
【0023】
式Iにおいて、XおよびYの一方はCFを表し、他方はCH−C(R−Zを表す。従って、本発明の一実施形態において、XはCFであり、YはCH−C(R−Zであり、従って、これらの化合物は4,4−ジフルオロピペリジン誘導体である。代わりの実施形態においては、YはCFであり、XはCH−C(R−Zであり、従って、これらの化合物は3,3−ジフルオロピペリジン誘導体である。
【0024】
ZはCOHもしくはテトラゾール環を表し、特にZはCOHもしくは1,2,3,4−テトラゾール−5−イルを表すが、好ましくはCOHを表す。
【0025】
各々のRは、Hもしくは6炭素原子までの非芳香族炭化水素基を独立に表し;または2つのR基がC3−6脂環式基(例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンテニルもしくはシクロペンチル)を完成する。一実施形態において、一方のR基はHであり、他方はHもしくはC1−6アルキル、例えばメチル、エチル、プロピルもしくはブチルである。他の実施形態においては、両方のR基がメチルを表す、もしくは一緒になって脂環式基を完成する。さらなる実施形態においては、両方のR基がHを表す。
【0026】
はHもしくは、前に詳述されるように置換されていてもよいフェニルを表す。典型的に、RはHまたは一もしくは二置換フェニルを表す。置換基の例には、2−CF、3−CF、4−CF、2,4−ジ(CF)、2−F−4−CF、4−OCF、4−アリル、4−n−プロピル、4−イソプロプロピル(4−isopropropyl)および4−tert−ブチルが含まれる。特定の実施形態において、RはHもしくは4−トリフルオロメチルフェニルを表す。
【0027】
式Iにおいて、nは、好ましくは1もしくは2、最も好ましくは1である。各々のRは、ハロゲン(特にF)、0から3個のフッ素置換基を担持するC1−6アルキル、0から3個のフッ素置換基を担持するC1−6アルコキシ、もしくはC2−6アルケニルを独立に表す。1つのRが存在する場合、これは、非常に適切には(しかしながら必ずではないが)、4位に結合する。(Rの典型的な素性には、2−CF、3−CF、4−CF、2,4−ジ(CF)、2−F−4−CF、4−OCF、4−アリル、4−n−プロピル、4−イソプロピルおよび4−tert−ブチルが含まれる。一実施形態において、(Rは4−CFもしくは4−n−プロピル、特に4−CFを表す。
【0028】
およびRは、Hもしくは、ハロゲン、ペルフルオロC1−4アルキル、CN、Si(C1−4アルキル)、OH、C1−4アルコキシおよびOCFから選択される3つまでの置換基を担持していてもよい、12炭素原子までの炭化水素基を独立に表す。好ましくはRおよびRは両方ともがHを表すことはなく、特定の実施形態においては、RもRもHは表さない。さらなる実施形態においては、Rおよび/またはRがHを表す場合、Rは置換されていてもよいフェニルを表す。
【0029】
および/またはRによって表される炭化水素基は直鎖、分岐もしくは環状であり得、または最大で12個の炭素原子を有する直鎖、分岐もしくは環状部分のあらゆる組み合わせを含むことができる。前記炭化水素基は完全に飽和であってもよく、または1以上の二重もしくは三重結合を含有していてもよく、または芳香族環を含む、これらのあらゆる組み合わせである。しかしながら、特定の実施形態においては、芳香族環を含むRおよびRは1以下である。Rおよび/またはRによって表される炭化水素基の典型的な例には、直鎖もしくは分岐C1−12アルキル、アルケニルおよびアルキニル基、C3−6脂環式基、C3−6脂環式C1−4アルキル基、フェニル基、フェニルC1−4アルキル基、フェニルC2−4アルキニル基並びにC3−6脂環式C2−4アルキニル基が含まれる。
【0030】
前記炭化水素基は非置換、もしくは3つまでの前に定義された置換基を担持していてもよい。しかしながら、2つ以上の置換基が存在するとき、前記置換基は、典型的に、フェニル環に結合する。特定の実施形態において、RもしくはRによって表される炭化水素基が担持する置換基は1つ以下である。(存在する場合)好ましい置換基には、ハロゲン(例えばClもしくはF)、C1−4ペルフルオロアルキル(例えばCFもしくはC)およびSi(C1−4アルキル)(例えばトリメチルシリル)が含まれる。
【0031】
および/またはRによって表される基の例には、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、2−エチルブチル、4−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、4,4−ジメチルペンチル、3−メチル−1−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテン−1−イニル、4−メチル−1−ペンチニル、3,3−ジメチル−1−ブチニル、2−(トリメチルシリル)エチル、2,2,2−トリフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、2−フェニルエチル、3−メトキシプロプ−1−イニル、シクロヘキシルエチニル、シクロプロピルエチニル、1−メチル−3,3,3−トリフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、ヒドロキシメチル、イソプロポキシメチル、ジフルオロメトキシメチル、4−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチニル、4−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−シクロプロピルエチル、2−シクロヘキシルエチル、2−(シクロヘキセン−1−イル)エチル、2−(1−ヒドロキシシクロペンチル)エチル、2−(1−ヒドロキシシクロヘキシル)エチル、4−(トリフルオロメチル)フェニル、4−(トリフルオロメチル)フェニルエチニル、2−(3−フルオロフェニル)エチル、2−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル、2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル、2−(3−メチルフェニル)エチル、2−(4−t−ブチルフェニル)エチル、2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エチルおよび2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチルが含まれる。
【0032】
および/またはRによって表される基の好ましい例には、H、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、3,3−ジメチルブチル、4,4−ジメチルペンチル、3−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテン−1−イニル、3,3−ジメチル−1−ブチニル、2−(トリメチルシリル)エチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4−(トリフルオロメチル)フェニル、4−(トリフルオロメチル)フェニルエチニルおよび2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチルが含まれる。
【0033】
本発明による化合物の第1サブセットは、式IIの化合物、
【0034】
【化4】

並びにこれらの医薬的に許容される塩および水和物からなり;
式中、n、Z、R、R、R、RおよびRは前と同じ定義および好ましい素性を有する。
【0035】
このサブセットの好ましい実施形態において、ピペリジン環上の置換基の相対立体化学配置は式IIAに示される通りである。
【0036】
【化5】

【0037】
式IIによる化合物の具体的な例には、ZがCOHであり、各々のRがHであり、(Rが4−CFであり、並びにR、RおよびRが下記表に示される通りであるものが含まれる。
【0038】
【表1】

【0039】
本発明による化合物の第2のサブセットは式IIIの化合物、
【0040】
【化6】

並びにこれらの医薬的に許容される塩および水和物からなり;
式中、n、Z、R、R、R、RおよびRは前と同じ定義および好ましい素性を有する。
【0041】
このサブセットの特定の実施形態において、ピリジン環上の置換基の相対立体化学配置は式IIIAに示される通りである。
【0042】
【化7】

【0043】
式IIによる化合物の具体的な例には、ZがCOHであり、各々のRがHであり、(Rが4−CFであり、並びにR、RおよびRが下記表に示される通りであるものが含まれる。
【0044】
【表2】

【0045】
ZがCOHである式Iの化合物は、典型的に、対応するエステル(1)、
【0046】
【化8】

の加水分解によって得られ、式中、X’およびY’の一方はCFを表し、他方はC(R−CORを表し、ここでRはC1−6アルキル、例えばメチルもしくはエチルを表し、並びにn、R、R、R、RおよびRは前と同じ意味を有する。加水分解は、典型的に、LiOHと共に水性THF中で、またはNaOHもしくはKOHと共にメタノール中で還流することによって行う。
【0047】
Zが1H−テトラゾール−5−イルを表す対応化合物は、エステル(1)を対応するニトリルに変換した後、還流するトルエン中、酸化トリブチルスズの存在下において、アジドトリメチルシランで処理することによって得ることができる。ニトリルへの変換は、トリメチルアルミニウムをトルエン中の塩化アンモニウムの懸濁液に添加した後、エステル(1)を添加し、この混合物を還流して固体酒石酸ナトリウムカリウムで処理することによって行うことができる。
【0048】
X’がCFを表すエステル(1)は化合物(2)をRCH−Lと反応させることによって得ることができ、
【0049】
【化9】

式中、Lは脱離基、例えばハライド(特にブロマイドもしくはヨーダイド)、トシレート、メシレートもしくはトリフレートであり、並びにR、n、R、R、R、RおよびRは前と同じ意味を有する。通常のアルキル化条件、例えばDMF溶液中、塩基、例えば炭酸カリウムの存在下での加熱を用いることができる。
【0050】
あるいは、化合物(2)を、アルデヒドもしくはケトン官能性を含有する基RCH−の前駆体と共に、還元アルキル化に処することもできる。このような場合、化合物(2)を、R−CO−Rと共に、トルエン中、酸触媒の存在下で水を共沸的に除去しながら還流し、生じる付加物を水素化ホウ素トリアセトキシナトリウムを用いて還元することができる。この経路の好ましい変種においては、RがH以外であり、Rがアルキン−1−イル基であるとき、化合物(2)を、臭化金(III)の存在下、例えば水中で70℃のマイクロ波加熱により、R−CHOおよびR−Hと反応させる。
【0051】
別の変法においては、化合物(2)、R−CHOおよびベンゾトリアゾールを、トルエン中で、水を共沸的に除去しながら還流し、生じる付加物をR−Zn−ハル(式中、ハルはハライド(好ましくはクロライド)を表す。)と反応させる。この反応は、適切には、無水非プロトン性溶媒、例えばジクロロメタン中、低温、例えば10℃未満で行う。
【0052】
化合物(2)は、ピペリドン(3)をフッ素化した後、Cbz保護基を除去することによって得ることができ、
【0053】
【化10】

式中、Cbzはベンジルオキシカルボニルを表し、並びにn、R、R、RおよびRは前に定義された通りである。フッ素化は、ジクロロメタン中、0℃ないし周囲温度で、[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]イオウトリフルオライド(Deoxofluor(商標))を用いて行うことができ、Cbz基はメタノール中、Pd(OH)での水素化によって除去することができる。
【0054】
化合物(3)は、不飽和誘導体(4)から、水素化ホウ素還元(R2がHであるとき)もしくは適切なアリール銅塩での処理(Rが置換されていてもよいフェニルであるとき)によって得ることができ、
【0055】
【化11】

式中、Cbz、n、R、R、RおよびRは前に定義された通りである。この水素化ホウ素還元はTHF中、−78℃でL−Selectride(商標)を用いて行うことができ、アリール銅塩との反応はTHF中、0℃で行うことができ、アリール銅塩はRMgBrおよびCulからその場で生成させる。
【0056】
化合物(4)は、L−C(R−CORにおいて化合物(5)のアルキル化によって得ることができ;
【0057】
【化12】

式中、Cbz、L、n、R、RおよびRは前と同じ意味を有する。好ましくはLはBrもしくはIを表す。このアルキル化はTHF中、−78ないし0℃で、強塩基、例えばリチウムビス(ジメチルシリル)アミドの存在下において行うことができる。この工程は、典型的に、メチルブロモアセテートをアルキル化剤として用いて行う(即ち、両方のR基がHを表す。)。R基の一方もしくは両方がHではない化合物(4)は、両方のR基がHである対応化合物の別のモノ−もしくはジアルキル化によって得ることができる。
【0058】
化合物(5)は、Commins,J.Heterocyclic Chem.,(1999),36,1491−1500(国際公開第2006/043064号も参照)に記載される手順により、4−メトキシピリジンをベンジルクロロホルメートおよび(R(5−n)MgBrと反応させることによって得ることができる。
【0059】
Y’がCFを表し、両方のR基がHである式(1)のエステルは化合物(6)の水素化によって得ることができ、
【0060】
【化13】

式中、R、n、R、R、RおよびRは前と同じ意味を有する。この水素化は、ボラン−THF錯体を用いて、THF中、−78℃ないし周囲温度で行うことができる。
【0061】
基の一方もしくは両方がH以外である式(1)のエステルは、両方のR基がHであるエステル(1)のアルキル化によって得ることができる。
【0062】
化合物(6)は、化合物(7)を1−クロロメチル−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボレート)(Selectfluor(商標))と反応させることによって得ることができ、
【0063】
【化14】

式中、R、n、R、R、RおよびRは前と同じ意味を有する。この反応は、典型的にDMF中で行った後、水中で反応を停止させる。
【0064】
化合物(7)は、化合物(2)の化合物(1)への変換について上述される手順のいずれかを用いて、ピペリジン(8)をN−アルキル化することによって得ることができ、
【0065】
【化15】

式中、R、n、RおよびRは前と同じ意味を有する。
【0066】
がHであるピペリジン(8)の合成は国際公開第2006/043064号に記載され、この内容は本明細書に参照により組み入れられている。RがH以外である対応化合物は同様に得ることができる。
【0067】
式Iによる所与の化合物もしくはこれらの前駆体は、有機合成の技術分野における熟練者に公知の結合形成もしくは開裂の標準技術により、式Iによる異なる化合物もしくはこれらの前駆体に変換することができる。例えば少なくとも1つのRがH以外である式(1)のエステルは、各々のRがHである対応化合物の標準法によるアルキル化によって調製することができる。同様に、Rおよび/またはRが不飽和を含むエステル(1)を(例えばラネーNiで)水素化し、部分的に、もしくは完全に飽和の類似体を得ることができる。
【0068】
これらがこれら自体商業的に入手可能でない場合、上述の合成スキームの出発物質は商業的に入手可能な物質の簡単な化学修飾によって入手することができる。
【0069】
本発明による一部の化合物は、1以上のキラル中心の存在のため、もしくは分子の全体的な非対称性のため、光学異性体として存在し得る。このような化合物はラセミ形態で調製されることができ、または個々の鏡像異性体をエナンチオ特異的合成もしくは分解のいずれかによって調製することができる。これらの新規化合物は、例えば標準技術、例えば調製用HPLCにより、または光学的に活性の酸、例えばジ−p−トルオイル−D−酒石酸および/またはジ−p−トルオイル−L−酒石酸での塩形成とこれに続く分画結晶化および遊離塩基の再生により、これらの成分鏡像異性体に分解することができる。これらの新規化合物は、ジアステレオマーエステルもしくはアミドの形成とこれに続くクロマトグラフィー分離およびキラル補助剤の除去によって分解することもできる。その代わりに、式Iの化合物の調製におけるラセミ中間体を前述の技術によって分解し、所望の鏡像異性体を次の工程において用いることもできる。例えばラセミピペリジン誘導体(2)はキラルクロマトグラフィーによって分解することができ、ラセミピペリジン誘導体(8)はL−マンデル酸との塩形成によって分解することができる。
【0070】
上記合成シーケンスのいずれかの最中で、関心分子のいずれかの感受性もしくは反応性基を保護することが必要であり、および/または望ましいことがある。これは従来の保護基、例えばProtective Groups in Organic Chemistry,ed.J.F.W.McOmie,Plenum Press,1973;およびT.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,第3版.,1999に記載されるものによって達成することができる。保護基は、引き続く都合のよい段階で、この技術分野から公知の方法を用いて除去することができる。
【0071】
本発明の化合物は、アミロイド前駆体タンパク質に対するγ−セクレターゼの作用を変更し、Aβの1−42アイソフォームの形成を選択的に減少させる有用な特性を有しており、従って、Aβ(1−42)が介在する疾患、特に脳内でのβ−アミロイドの沈着を含む疾患の治療の開発に用途が見出される。
【0072】
本発明のさらなる態様によると、上で定義された式Iによる化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくは水和物の、脳内でのβ−アミロイドの沈着に関連する疾患を治療もしくは予防するための医薬の製造への使用が提供される。
【0073】
脳内でのAβの沈着に関連する疾患は、典型的に、アルツハイマー病(AD)、脳アミロイド血管障害、HCHWA−D、多発梗塞性認知症、ボクサー認知症もしくはダウン症候群、好ましくはADである。
【0074】
さらなる態様において、本発明は、アルツハイマー病、脳アミロイド血管障害、HCHWA−D、多発梗塞性認知症、ボクサー認知症もしくはダウン症候群に関連する認知症を治療、予防もしくはこの発症を遅延させるための薬剤の製造における、上で定義された式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくは水和物の使用を提供する。
【0075】
本発明は、脳内でのAβの沈着に関連する疾患を治療もしくは予防する方法であって、これらを必要とする患者に治療上有効な量の上で定義された式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくは水和物を投与することを含む方法をも提供する。
【0076】
さらなる態様において、本発明は、アルツハイマー病、脳アミロイド血管障害、HCHWA−D、多発梗塞性認知症、ボクサー認知症もしくはダウン症候群に関連する認知症を治療、予防もしくはこの発症を遅延させる方法であって、これらを必要とする患者に治療上有効な量の上で定義された式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくは水和物を投与することを含む方法を提供する。
【0077】
式Iの化合物はγ−セクレターゼの作用を調節し、Aβの(1−42)アイソフォームの産生を、より短鎖のアイソフォーム、例えばAβ(1−40)の産生を著しく低下させることなしに選択的に減少させる。これは、自己凝集する傾向および不溶性沈着を形成する傾向がより少なく、脳からより容易に除去され、並びに/またはより神経毒性が少ないAβの分泌を生じる。従って、本発明のさらなる態様は、脳内のAβの蓄積を遅延、停止もしくは防止するための方法であって、これらを必要とする被検体に治療上有効な量の上で定義された式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。
【0078】
式Iの化合物はγ−セクレターゼの活性を、この活性を抑制するのとは対照的に、調節するため、上述の治療上の利益は、副作用、例えばγ−セクレターゼによって制御される他の信号伝達経路(例えばNotch)の破壊から生じ得るものの危険性を減少させながら得られるものと信じられる。
【0079】
本発明の一実施形態においては、AD、脳アミロイド血管障害、HCHWA−D、多発梗塞性認知症、ボクサー認知症もしくはダウン症候群、好ましくはADの患者に式Iの化合物を投与する。
【0080】
本発明の代替の実施形態においては、式Iの化合物を軽度の認知障害もしくは年齢関連の認知低下の患者に投与する。このような治療の有益な結果は、ADの発症の予防もしくは遅延である。年齢関連の認知低下および軽度の認知障害(MCI)は、記憶の欠損が存在するものの認知症の他の診断基準が存在しない状態である(Santacruz and Swagerty,American Family Physician,63(2001),703−13)。(「The ICD−10 Classification of Mental and Behavioural Disorders」,Geneva: World Health Organisation,1992,64−5も参照)。本明細書で用いられる場合、「年齢関連の認知低下」は、以下の少なくとも1つにおける少なくとも6ヶ月の持続の低下を含意する。記憶および学習;注意および集中;思考;言語;並びに視空間機能および標準化神経生理学的試験、例えばMMSEでの基準を下回る2つ以上の標準偏差のスコア。特に記憶における進行性の低下が存在し得る。より重篤な条件のMCIにおいては、記憶障害の程度は患者の年齢にとって正常であると考えられる範囲の外にあるが、ADは存在しない。MCIおよび軽度のADの鑑別診断はPetersen et al.,Arch.Neuroil.,56(1999),303−8によって記載されている。MCIの鑑別診断に関するさらなる情報は、Knopman et al,Mayo Clinic Proceedings,78(2003),1290−1308によってもたらされる。高齢被験者の研究において、Tuokko等(Arch,Neurol.,60(2003)577−82)は、発症時にMCIを示す者は5年以内に痴呆症を発症する危険性が3倍増加していることを発見した。
【0081】
Grundman等(J.Mol.Neurosci.,19(2002),23−28)は、MCI患者におけるより低い基線海馬容積(baseline hippocampal volume)がこれに続くADの診断指標であることを報告する。同様に、Andreasen等(Acta Neurol.Scand,107(2003)47−51)は、総タウの高CSFレベル、ホスホ−タウの高CSFレベルおよびAβ42の低CSFレベルが全てMCIからADに進行する危険性の増大に関連することを報告する。
【0082】
この実施形態の範囲内では、式Iの化合物が、記憶機能の障害を患うが認知症の症状は示さない患者に有利に投与される。このような記憶機能の障害は、典型的に、全身性もしくは脳性疾患、例えば脳卒中もしくは下垂体機能不全によって生じる代謝障害に起因するものではない。このような患者は、特に55歳以上の人々、特に60歳以上の人々、好ましくは65歳以上の人々であり得る。このような患者は、彼らの年齢にとって正常な成長ホルモン分泌のパターンおよびレベルを有し得る。しかしながら、このような患者は、アルツハイマー病を発症する1以上のさらなる危険因子を有していることがある。このような因子には、この疾患の家族歴;この疾患の遺伝的素因;高血清コレステロール;および成人発症糖尿病が含まれる。
【0083】
本発明の特定の実施形態においては、式Iの化合物を、以下から選択される1以上のAD発症の危険因子をさらに有する、年齢関連の認知低下もしくはMCIの患者に投与する。この疾患の家族歴;この疾患の遺伝的素因;高血清コレステロール;成人発症糖尿病;高基線海馬容積;総タウの高CSFレベル;ホスホ−タウの高CSFレベル;およびAβ(1−42)の低CSFレベル。
【0084】
(特に早期発症ADに対する)遺伝的素因は、APP、プレセニリン−1およびプレセニリン−2遺伝子を含む、幾つかの遺伝子の1以上における点突然変異から生じ得る。また、アポリポタンパク質E遺伝子のε4アイソフォームに対してホモ接合性である被験者はAD発症の危険性がより高い。
【0085】
患者の認知低下もしくは障害の程度は、有利には、これらにおける変化、例えば認知低下の緩徐化もしくは停止を検出することができるように、本発明による治療の過程の前、最中および/または後に規則的な間隔で評価される。様々な神経心理学的試験、例えば年齢および教育について調整された基準を備えるミニ・メンタルステート試験(Mini−Mental State Examination)(MMSE)(Folstein et al.,J.Psych.Res.,12(1975),196−198;Anthony et al.,Psychological Med.,12(1982),397−408;Cockrell et al.,Psychopharmacology,24(1988),689−692;Crum et al.,J.Am.Med.Assoc’n.18(1993),2386−2391)がこの目的のために当分野において公知である。MMSEは成人における認知状態の簡単な定量的尺度である。これは認知低下もしくは障害のスクリーニング、所定の時点での認知低下もしくは障害の重篤性の見積もり、個人における時間に伴う認知変化の経過の追跡および治療に対する個人の応答の文書化に用いることができる。他の適切な試験は、アルツハイマー病評価スケール(Alzheimer Disease Assessment Scale)(ADAS)、特にこれらの認知要素(ADAS−cog)である(Rosen et al.,Am.J.Psychiatry,141(1984),1356−64を参照)。
【0086】
式Iの化合物は、典型的に、1以上の式Iの化合物および医薬的に許容される坦体を含む医薬組成物の形態で用いられる。従って、さらなる態様において、本発明は、上で定義された式Iの化合物もしくはこれらの医薬的に許容される塩および医薬的に許容される坦体を含む医薬組成物を提供する。好ましくはこれらの組成物は、経口、非経口、鼻内、舌下もしくは直腸投与用の、または吸入もしくは吹き込みによる投与用の単位投薬形態、例えば錠剤、ピル、カプセル、粉末、顆粒、無菌非経口溶液もしくは懸濁液、秤量されたエアロゾルもしくは液体スプレー、液滴、アンプル、経皮パッチ、オート・インジェクター装置もしくは座剤である。主活性成分は、典型的に、医薬坦体、例えば従来の錠剤化成分、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムおよびリン酸二カルシウム、またはゴム、分散剤、懸濁剤もしくは表面活性剤、例えばモノオレイン酸ソルビタンおよびポリエチレングリコール、並びに他の医薬希釈剤、例えば水と混合し、本発明の化合物もしくはこれらの医薬的に許容される塩を含有する均一予備配合組成物を形成する。これらの予備配合組成物を均一と呼ぶとき、その意味するところは、活性成分が組成物全体を通して均一に分散し、この組成物を等しく有効な単位投薬形態、例えば錠剤、ピルおよびカプセルに容易に細分できることである。次に、この予備配合組成物を、本発明の活性成分0.1ないし約500mgを含有する、上述のタイプの単位投薬形態に細分する。典型的な単位投薬形態は、活性成分1ないし100mg、例えば1、2、5、10、25、50もしくは100mgを含有する。この組成物の錠剤もしくはピルを被覆し、もしくは他の方法で混ぜ合わせ、長期化された作用の利点をもたらす投薬形態を得ることができる。例えば錠剤もしくはピルは内部投薬および外部投薬成分を含むことができ、後者は前者を覆う外皮の形態にある。これら2つの成分は、胃内での崩壊に耐えるように機能し、内部成分を無傷のまま十二指腸に通過させ、もしくは放出を遅延させる、腸溶層によって分離することができる。様々な物質をこのような腸溶層もしくは被覆に用いることができ、このような物質には幾つかのポリマー酸およびポリマー酸とセラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースのような物質との混合物が含まれる。
【0087】
経口での、もしくは注射による投与のために本発明において有用な組成物を組み込むことができる液体形態には、水溶液、液体もしくはゲル充填カプセル、適切に風味付けられたシロップ、水性もしくは油性懸濁液および食用油、例えば綿実油、ゴマ油、ヤシ油もしくはラッカセイ油を含む風味付けられたエマルジョンに加えて、エリキシルおよび類似の医薬ビヒクルが含まれる。水性懸濁液に適切な分散剤もしくは懸濁剤には、合成および天然ゴム、例えばトラガカントゴム、アラビアゴム、アルギネート、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)もしくはゼラチンが含まれる。
【0088】
アルツハイマー病の治療もしくは予防には、適切な投薬量レベルは活性化合物を毎日約0.01ないし250mg/kg、好ましくは毎日約0.01ないし100mg/kg、より好ましくは毎日約0.05ないし50mg/体重kgである。これらの化合物は毎日1ないし4回の投薬計画で投与することができる。しかしながら、幾つかの場合においては、これらの限度の外側の投薬量を用いることができる。
【0089】
式Iの化合物は、ADもしくはこれらの症状の治療もしくは予防において有用であることが公知の、1以上のさらなる化合物と組み合わせて投与してもよい。従って、このようなさらなる化合物には、認知増強薬、例えばアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えばドネペジルおよびガランタミン)、NMDAアンタゴニスト(例えばメマンチン)もしくはPDE4阻害剤(例えばAriflo(商標)並びに国際公開第03/018579号、国際公開第01/46151号、国際公開第02/074726号および国際公開第02/098878号に開示される化合物の種類)が含まれる。このようなさらなる化合物には、コレステロール低下薬、例えばスタチン、例えばシンバスタチンも含まれる。同様に、このようなさらなる化合物には、脳内でのAβの産生もしくは処理を変更させることが公知である化合物(「アミロイド調節剤」)、例えばAβの分泌を阻害する化合物(γ−セクレターゼ阻害剤、β−セクレターゼ阻害剤およびGSK−3α阻害剤を含む。)、Aβの凝集を阻害する化合物およびAβに選択的に結合する抗体が含まれる。このようなさらなる化合物には、国際公開第2004/110443号に開示されるような成長ホルモン分泌促進物質も含まれる。
【0090】
本発明のこの実施形態において、アミロイド調節剤は、Aβの分泌を阻害する化合物、例えばγ−セクレターゼの阻害剤(例えば国際公開第01/90084号、国際公開第02/30912号、国際公開第01/70677号、国際公開第03/013506号、国際公開第02/36555号、国際公開第03/093252号、国際公開第03/093264号、国際公開第03/093251号、国際公開第03/093253号、国際公開第2004/039800号、国際公開第2004/039370号、国際公開第2005/030731号、国際公開第2005/014553号、国際公開第2004/089911号、国際公開第02/081435号、国際公開第02/081433号、国際公開第03/018543号、国際公開第2004/031137号、国際公開第2004/031139号、国際公開第2004/031138号、国際公開第2004/101538号、国際公開第2004/101539号および国際公開第02/47671号に開示されるもの)またはβ−セクレターゼ阻害剤(例えば国際公開第03/037325号、国際公開第03/030886号、国際公開第03/006013号、国際公開第03/006021号、国際公開第03/006423号、国際公開第03/006453号、国際公開第02/002122号、国際公開第01/70672号、国際公開第02/02505号、国際公開第02/02506号、国際公開第02/02512号、国際公開第02/02520号、国際公開第02/098849号および国際公開第02/100820号に開示されるもの)またはAβの形成もしくは放出を阻害する他のあらゆる化合物(国際公開第98/28268号、国際公開第02/47671号、国際公開第99/67221号、国際公開第01/34639号、国際公開第01/34571号、国際公開第00/07995号、国際公開第00/38618号、国際公開第01/92235号、国際公開第01/77086号、国際公開第01/74784号、国際公開第01/74796号、国際公開第01/74783号、国際公開第01/60826号、国際公開第01/19797号、国際公開第01/27108号、国際公開第01/27091号、国際公開第00/50391号、国際公開第02/057252号、米国特許出願公開第2002/0025955号明細書および米国特許出願公開第2002/0022621号明細書に開示されるものを含み、Phiel et al,Nature,423(2003),435−9に開示されるようなGSK−3阻害剤、特にGSK−3α阻害剤、例えばリチウムをも含む。)であり得る。
【0091】
この実施形態の範囲内で、アミロイド調節剤は、有利には、γ−セクレターゼ阻害剤であり、この好ましい例には式XIの化合物、
【0092】
【化16】

(式中、m、Z、R1b、R1c、ArおよびArは国際公開第03/018543号において定義された通りである。)
もしくはこれらの医薬的に許容される塩が含まれる。
【0093】
このような化合物は国際公開第03/018543号に記載される通りに調製することができる。好ましい例には、式XIaによって定義されたもの、
【0094】
【化17】

およびこれらの医薬的に許容される塩が含まれ、式中、mは0もしくは1であり、XはClもしくはCFであり、YはOH、OC1−6アルキル、NHもしくはNHC1−6アルキルである。特定の例には、mが1であり、YがOHであるもの(もしくはこれらのナトリウム塩)およびmが0であり、YがNHもしくはNHC1−6アルキルであるものが含まれる。
【0095】
本発明のこの実施形態において用いるのに好ましい他のγ−セクレターゼ阻害剤の種類は式XIIによって定義されたもの、
【0096】
【化18】

(式中、XおよびRは国際公開第03/093252号において定義された通りである。)
もしくはこれらの医薬的に許容される塩である。
【0097】
Xは、非常に適切には、5−置換−チアゾール−2−イル、5−置換−4−メチルチアゾール−2−イル、5−置換−1−メチルピラゾール−3−イル、1−置換−イミダゾール−4−イルもしくは1−置換−1,2,4−トリアゾール−3−イルである。好ましくはRは置換されていてもよいフェニルもしくはヘテロアリール、例えばフェニル、モノハロフェニル、ジハロフェニル、トリハロフェニル、シアノフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、トリフルオロメチルフェニル、トリフルオロメトキシフェニル、ピリジル、モノハロピリジルおよびトリフルオロメチルピリジルであり、ここで「ハロ」はフルオロもしくはクロロを指す。R−X−の特に好ましい素性には、5−(4−フルオロフェニル)−1−メチルピラゾール−3−イル、5−(4−クロロフェニル)−1−メチルピラゾール−3−イルおよび1−(4−フルオロフェニル)イミダゾール−4−イルが含まれる。このような化合物は国際公開第03/093252号に開示される方法によって調製することができる。
【0098】
あるいは、アミロイド調節剤は、Aβの凝集を阻害する、もしくは他の方法で神経毒性を弱める化合物であってもよい。適切な例には、キレート剤、例えばクリオキノール(Gouras and Beal,Neuron,30(2001),641−2)および国際公開第99/16741号に開示される化合物、特にDP−109として公知のもの(Kalendarev et al,J.Pharm.Biomed.Anal,24(2001),967−75)が含まれる。本発明における使用に適するAβ凝集の他の阻害剤には、Apan(商標)(Praecis)として公知の化合物を含む、国際公開第96/28471号、国際公開第98/08868号および国際公開第00/052048号に開示される化合物;国際公開第00/064420号、国際公開第03/017994号、国際公開第99/59571号に開示される化合物(特にトラミプロセートもしくはAlzhemed(商標)としても公知の、3−アミノプロパン−1−スルホン酸);国際公開第00/149281号に開示される化合物並びにPTI−777およびPTI−00703(ProteoTech)として公知の組成物;国際公開第96/39834号、国際公開第01/83425号、国際公開第01/55093号、国際公開第00/76988号、国際公開第00/76987号、国際公開第00/76969号、国際公開第00/76489号、国際公開第97/26919号、国際公開第97/16194号および国際公開第97/16191号に開示される化合物が含まれる。さらなる例には、米国特許第4,847,082号明細書に開示されるようなフィチン酸誘導体および米国特許出願公開第2004/0204387号明細書に教示されるようなイノシトール誘導体が含まれる。
【0099】
その代わりに、アミロイド調節剤はAβに選択的に結合する抗体であってもよい。前記抗体はポリクローナルもしくはモノクローナルでよいが、好ましくはモノクローナルであり、好ましくはヒトもしくはヒト化である。好ましくは抗体は、国際公開第03/016466号、国際公開第03/016467号、国際公開第03/015691号および国際公開第01/62801号に記載されるように、可溶性Aβを生物学的流体から隔離することが可能である。適切な抗体には、ヒト化抗体266(国際公開第01/62801号に記載される。)および、国際公開第03/016466号に記載される、これらの修飾版が含まれる。
【0100】
本明細書で用いられる場合、「との組み合わせで」という表現は、治療上有効な量の式Iの化合物およびさらなる化合物の両方が被検体に投与されるが、これが達成される方法は限定されないことを必要とする。従って、2つの種を被検体への同時投与のために単一の投薬形態において組み合わせることができ、または被検体への同時もしくは連続投与のために別の投薬形態で提供することができる。連続投与は時間的に接近もしくは離れていてもよく、例えば一方の種を朝に投与し、他方を夜に投与することができる。別々の種は同じ頻度で投与することも異なる頻度で投与することもでき、例えば一方の種は1日1回、他方は1日2回以上とすることができる。別々の種は同じ経路によって投与することも異なる経路によって投与することもでき、例えば可能であれば、両方の種の経口投与が好ましくはあるものの、一方の種は経口、他方は非経口とすることができる。さらなる化合物が抗体であるとき、これは、典型的に、非経口で、式Iの化合物とは別に投与される。
【0101】
さらなる態様において、本発明は、脳内でのβ−アミロイドの沈着に関連する疾患の治療もしくは予防において用いるための、式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくは水和物および式XI(a)の化合物またはこれらの医薬的に許容される塩の組み合わせを提供する。前記使用は、このような治療もしくは予防を必要とする患者へのそれぞれの化合物の同時もしくは別々の投与を含み得る。
【0102】
さらなる態様において、本発明は、医薬的に許容される坦体中に式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくは水和物および式XI(a)の化合物またはこれらの医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。好ましくはこの医薬組成物は、経口投与に適する単位投与形態、例えば錠剤もしくはカプセルの形態にある。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0103】
Aβ(1−42)の産生を選択的に阻害する式Iの化合物の能力を、以下のアッセイを用いて決定した。
【0104】
細胞ベースのγ−セクレターゼアッセイ
直接γ−セクレターゼ基質SPA4CTを過剰発現するヒトSH−SY5Y神経芽腫細胞をナトリウムブチレート(10mM)を用いて4時間誘導した後、平板培養した。細胞は96−ウェルプレート内でフェノールレッド非含有MEM/10%FBS、50mM HEPES、1%グルタミン中に35,000細胞/ウェル/100μlで平板培養し、37℃、5%COで2時間温置した。
【0105】
試験用の化合物をMeSOで希釈し、10点用量−応答曲線を得た。典型的に、10μlのこれらのMeSO中の希釈化合物を182μlの希釈バッファ(フェノールレッド非含有MEM/10%FBS、50mM HEPES、1%グルタミン)でさらに希釈し、10μlの各希釈を96−ウェルプレート内の細胞に添加した(0.5%の最終MeSO濃度を生じる)。適切なビヒクルおよび阻害剤対照を用いてアッセイの窓を決定した。
【0106】
37℃、5%COで一晩温置した後、Aβ(40)およびAβ(42)ペプチドを検出するため、それぞれ、10μlおよび50μlの培地を新鮮なCostar丸底96−ウェルプレートに移した。40μlのOrigenバッファ(PBS、2%BSA、0.2%Tween−20)をAβ(40)ウェルに添加した後、25μlのそれぞれの抗体予備混合物をウェルに添加した。
【0107】
Aβ(40)予備混合物:Origenバッファ中に希釈した、1μg/mlルテニル化G2−10抗体、4μg/mlビオチニル化4G8抗体
Aβ(42)予備混合物:Origenバッファ中に希釈した、0.5μg/mlルテニル化G2−11抗体、4μg/mlビオチニル化4G8抗体
(Signet Pathology Ltdによって供給されるビオチニル化4G8抗体;Chemiconによって供給されるG2−10およびG2−11抗体)
【0108】
アッセイプレートをシェーカー上、4℃で一晩温置した後、Origen M8 Analyser(Igen Inc.)を製造者の指示に従って較正した。ストレプトアビジン磁気ビーズ(Dynal)予備混合物(400μg/mlストレプトアビジンビーズ/Origenバッファ中のml)25μlをアッセイプレートに添加し、シェーカー上で15分間温置した。150μlのOrigenバッファを各ウェルに添加し、プレートを製造者の指示に従ってOrigen M8 Analyserで読み取った。
【0109】
細胞生存度を、対応する細胞において、Aβアッセイ用の培地を除去した後、MTS(オーウェン試薬)のフォルマザンへの生体還元を利用する比色細胞増殖アッセイ(CellTiter 96(商標)AQアッセイ、Promega)により、製造者の指示に従って測定した。簡潔に述べると、10×MTS/PES 5μlを残りの培地50μlに添加した後、恒温器に戻した。約4時間後に、光学密度を495nmで読み取った。
【0110】
Aβ(40)およびAβ(42)の阻害のLD50およびIC50値を、適切なソフトウェアを用いる非線形回帰フィット分析(例えばExcelフィット)によって算出した。全信号および背景は対応するMeSOおよび阻害剤対照によって定義した。
【0111】
以下の例において列挙される化合物は、全て、Aβ(1−40)阻害の対応するIC50値よりも少なくとも2倍小さく、典型的に少なくとも5倍小さく、好ましい場合には少なくとも50倍小さい、Aβ(1−42)阻害のIC50値をもたらした。
【0112】
以下で例示される化合物について得られたAβ(1−42)阻害の代表的なIC50値は以下の範囲内にあった。
【0113】
2.0−3.0μM−実施例8、12、14、23。
1.5−2.0μM−実施例2、7、11、15。
1.0−1.5μM−実施例1、6、17、22、24。
0.5−1.0μM−実施例3、4、5、9、10、13、16、21。
<0.5μM−実施例18、19、20。
【0114】
インビボ効力のアッセイ
APP−YACトランスジェニックマウス(20〜30g;2〜6月齢)およびSprague Dawleyラット(200〜250g;8〜10週齢)を、食物および水への接近を束縛せずに、12時間の光/闇サイクルで保持した。マウスおよびラットを一晩絶食させた後、それぞれimwitor:Tween−80(50:50)もしくは10%Tween−80のいずれかに配合された試験化合物を10ml/kgで経口投与した。化合物スクリーニング研究については、試験化合物を1回用量(20もしくは100mg/kg)で投与し、マウスからは尾の出血により1および4時間に連続的に、並びに最終的にはマウスで7時間に、ラットは心臓穿刺により、血液を採取した。用量応答研究においては、化合物を0.1、3、10、30および100mg/kgで与え、マウスからは最終的に7時間で、ラットは心臓穿刺により、血液を採取した。COによる安楽死の後、前脳組織を動物から回収し、−80度で保存した。脳AβレベルのPD分析のため、可溶性Aβを半前脳(hemi−forebrains)から、50mM NaCl中の0.2%DEA 10容積におけるホモジナイズとこれに続く超遠心によって抽出した。Aβ 42/40のレベルを、ビオチニル化4G8捕獲抗体並びに、それぞれAβ42およびAβ40用の、ルテニウム標識12F4もしくはG210検出抗体を備えるMeso Scale technology(電気化学発光法)を用いて分析した。PK分析については、タンパク質沈殿手順を用いて血液および脳サンプルを処理し、残留する濾液をLC/MS/MSによって分析して、適切であれば、薬物露出レベル、脳浸透およびED50/EC50を決定した。
【0115】
本発明の代表的な化合物の(ビヒクル処理対照に対する)Aβ42レベルの減少は50〜90%の範囲内であり、これに対して同じ化合物のAβ40レベルにおける対応する減少は20%未満であった。
【0116】
(実施例1)
{1−{4,4−ジメチル−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ペンチル}−4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸
【0117】
【化19】

【0118】
工程1:ベンジル4−オキソ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボキシレート
【0119】
【化20】

【0120】
THF(100mL)中の4−メトキシピリジン(5g、45.8mmol)の溶液にベンジルクロロホルメートを0℃で滴下により添加した。この溶液をこの温度で1時間攪拌した後、−78℃に冷却した。この白色不均一混合物に臭化4−(トリフルオロ−メチル)フェニルマグネシウム(1M溶液68.7mL、68.7mmol)を添加し、反応物を0℃に2時間暖めた。塩化アンモニウム溶液で反応を停止させ、周囲温度に暖めて水/酢酸エチルに分配した。有機物を食塩水で洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空中で蒸発させた。この反応物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(20〜40% EA/ヘキサン)によって精製し、ベンジル4−オキソ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボキシレート11.2gを淡黄色固体として得た。H NMR(600MHz,CDCl):δ7.99(bs,1H)、7.54(d,J=8.2Hz,2H)、7.30(m,7H)、5.76(bs,1H)、5.41(d,J=7.9Hz,1H)、5.22(dd,J=40.2,11.7Hz,2H)、3.19(dd,J=16.7,7.9Hz,1H)、2.77(d,J=16.7Hz,1H);LC/MS(EIMS,M+H)=376.1。
【0121】
工程2:ベンジル3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−オキソ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボキシレート
【0122】
【化21】

【0123】
−78℃の、THF(50mL)中のベンジル4−オキソ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボキシレート(3.56g、9.48mmol)の溶液に、リチウム(ビス−トリメチルシリル)アミド(1M溶液10.43mL、10.43mmol)を滴下により添加した。得られる溶液をこの温度で1時間攪拌した。次に、この反応物をブロモ酢酸メチル(1.80mL、18.97mmol)で処理し、0℃まで徐々に暖めた。この温度で1時間攪拌した後、直ちに1M HCl溶液で反応を停止させ、水/酢酸エチルに分配した。有機物を食塩水で洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空中で蒸発させた。この反応物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(5〜40% EA/ヘキサン)によって精製し、2.55gのベンジル3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−オキソ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボキシレートを透明油として得た。H NMR(600MHz,CDCl3):δ8.07(d,J=7.6Hz,1H)、7.53(d,J=8.5Hz,2H)、7.30(m,7H)、5.69(s,1H)、5.38(d,J=8.5Hz,1H)、5.22(m,2H)、3.74(s,3H)、3.14(dd,J=10.3,3.8Hz,1H)、2.65(m,2H);LC/MS(EIMS,M+H)=448.2。
【0124】
工程3:ベンジル3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−オキソ−2−[4−(トリフルオロメチル)−フェニル]ピペリジン−1−カルボキシレート
【0125】
【化22】

【0126】
−78℃の、THF(10mL)中のベンジル3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−オキソ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボキシレート(0.8g、1.79mmol)の溶液にL−セレクトライド(1M溶液2.53mL、2.53mmol)を滴下により添加した。2分後に1mL濃塩化アンモニウム溶液で反応を停止させた。反応物を周囲温度まで暖め、水/酢酸エチルに分配した。有機物を食塩水で洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空中で蒸発させた。この反応物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(20% EA/ヘキサン)によって精製し、ベンジル3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−オキソ−2−[4−(トリフルオロメチル)−フェニル]ピペリジン−1−カルボキシレート700mgを透明油として得た。H NMR(600MHz,CDCl):δ7.56(d,J=8.2Hz,2H)、7.30(m,7H)、5.08(d,J=12.3Hz,1H)、4.94(m,1H)、4.58(m,1H)、3.84(m,1H)、3.66(bs,1H)、3.57(s,3H)、3.45(m,1H)、3.62(m,2H)、2.21(dd,J=16.7,4.7Hz,1H)、0.92(m,1H);LC/MS(EIMS,M+H)=450.2。
【0127】
工程4:ベンジル4,4−ジフルオロ−3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−2−[4−(トリフルオロメチル)−フェニル]ピペリジン−1−カルボキシレート
【0128】
【化23】

【0129】
0℃の、塩化メチレン(25mL)中のベンジル3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−オキソ−2−[4−(トリフルオロメチル)−フェニル]ピペリジン−1−カルボキシレート(1.lg、2.47mmol)の溶液に[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]イオウトリフルオライド(0.55mL、2.97mmol)を添加した。反応物を周囲温度まで暖め、16時間攪拌した。塩化アンモニウム溶液で反応を停止させ、酢酸エチル/水に分配した。有機物を食塩水で洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空中で蒸発させた。この反応物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(20% EA/ヘキサン)によって精製し、ベンジル4,4−ジフルオロ−3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−2−[4−(トリフルオロメチル)−フェニル]ピペリジン−1−カルボキシレート0.6gを得て、これを次の反応に直接移した。
【0130】
工程5;メチル{4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート
【0131】
【化24】

【0132】
メタノール(8mL)中のベンジル4,4−ジフルオロ−3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−2−[4−(トリフルオロメチル)−フェニル]ピペリジン−1−カルボキシレート(0.6g、1.26mmol)の脱気溶液に水酸化パラジウム(炭素上20%、89mg)を添加し、この溶液を水素の雰囲気下に45分間置いた。反応混合物を窒素で脱気し、セライトを通して濾過し(メタノールで洗浄)、真空中で蒸発させた。この反応物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(15〜50% EA/ヘキサン w/1%アンモニア)によって精製し、メチル{4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート0.37gを白色固体として得た。H NMR(600MHz,CDCl):δ7.58(d,J=8.2Hz,2H)、7.50(d,J=7.9Hz,2H)、3.63(d,J=10.6Hz,1H)、3.31(s,3H)、3.18(m,1H)、2.98(td,J=12.3、2.6Hz,1H)、2.65(m,2H)、2.10(m,3H);LC/MS(EIMS,M+H)=338.2。
【0133】
工程6:メチル{1−{4,4−ジメチル−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル)ペント−2−イン−1−イル}−4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート
【0134】
【化25】

【0135】
水中のメチル{4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート(120mg、0.36mmol)、4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(0.1mL、0.75mmol)および臭化金(III)(15mg、0.04mmol)の溶液を窒素で15分間脱気した。この溶液に3,3−ジメチルブト−1−イン(0.09mL、0.73mmol)を添加し、反応物を密封してマイクロ波で12時間、75℃に加熱した。この反応物を酢酸エチルで希釈し、濾過した。その後、反応物を酢酸エチルおよび水に分配した。有機物を食塩水で洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空中で蒸発させた。この粗製生成物をメタノールと共に摩砕し、乾燥させて、メチル{1−{4,4−ジメチル−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ペント−2−イン−1−イル}−4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート65mgを白色固体として得た。H NMR(600MHz,CDCl):δ7.64(bs,4H)、7.59(d,J=8.2Hz,2H)、7.55(d,J=8.2Hz,2H)、4.30(s,1H)、3.57(d,J=10.9Hz,1H)、3.31(s,3H)、2.87(m,1H)、2.64(m,2H)、2.43(dd,J=12.0,2.3Hz,1H)、2.05(m,3H)、1.34(d,J=1.76Hz,9H);LC/MS(EIMS,M+H)=576.2。
【0136】
工程7:メチル{1−{4,4−ジメチル−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ペンチル}−4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート
【0137】
【化26】

【0138】
メタノール(15mL)中のメチル{1−{4,4−ジメチル−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ペント−2−イン−1−イル}−4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート(45mg、0.08mmol)の溶液を窒素で脱気し、ラネーニッケルスラリーを添加した(触媒約45mg)。この溶液を、50psi水素の下で16時間、Parrシェーカー上に置いた。この反応物を窒素で脱気し、セライトを通して濾過し、塩化メチレンで触媒を洗浄した。濾液を真空中で蒸発させ、粗製のまま次の反応に移した。
【0139】
工程8:{1−{4,4−ジメチル−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ペンチル}−4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸
【0140】
【化27】

【0141】
メタノール(10mL)中のメチル{1−{4,4−ジメチル−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ペンチル}−4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート(約45mg、工程7からの粗製物)および1M水酸化カリウムの溶液を60℃に2時間加熱した。この反応物を2M HClおよび酢酸エチルに分配した。有機物を食塩水で洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空中で蒸発させた。この反応物を逆相クロマトグラフィー(20〜100% アセトニトリル/水)によって精製し、{1−{4,4−ジメチル−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ペンチル}−4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸20mgを白色固体として得た。H NMR(600MHz,CDCl):δ7.76(bs,4H)、7.60(d,J=7.3Hz,2H)、7.31(d,J=7.3Hz,2H)、4.50(bs,1H)、4.17(bs,2H)、3.61(bd,J=9.4Hz,1H)、3.23(bs,2H)、2.90(bm,1H)、2.54(d,J=16.7Hz,1H)、2.18(m,2H)、1.89(m,1H)、1.78(bm,1H)、0.85(s,9H);LC/MS(EIMS,M+H)=566.2。
【0142】
(実施例2から17)
実施例2から19は、実施例1における手順により、工程5からのピペリジン並びに適切なアルデヒドおよびアセチレンを工程6において用いて、実施例2、3、4、7、10、13および17においては工程7を省略して作製した。
【0143】
【表3】



【0144】
(実施例18)
{1−[4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸(単一異性体)
【0145】
【化28】

【0146】
工程1:メチル{4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテートの鏡像異性体の分離
【0147】
【化29】

【0148】
メチル{4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート(実施例1、工程5において調製)を、Chiracel ADカラム(7.5%エタノール/ヘプタン)を用いるキラルクロマトグラフィーによって精製し、2つの純粋鏡像異性体を得た。より高速に溶出する鏡像異性体を最終生成物まで継続した。
【0149】
工程2:メチル{1−[4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペント−2−イン−1−イル]−4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート
【0150】
【化30】

【0151】
水(1.5mL)中のメチル{4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート(150mg、0.45mmol)、4,4,4−トリフルオロブタナール(0.17mg、1.34mmol)および臭化金(III)(19mg、0.045mmol)の溶液を窒素で15分間脱気した。この溶液に3,3−ジメチルブト−1−イン(0.16mL、1.34mmol)を添加し、この反応物を密封して、マイクロ波で3時間、75℃に加熱した。反応物をジクロロメタンで希釈した。ジクロロメタン層をシリカカラムに直接乗せ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5% 酢酸エチル/ヘキサン)によって生成物を精製して、メチル{(2S,3R)−1−[(1S)−4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペント−2−イン−1−イル]−4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート215mgを透明油として得た。LC/MS(EIMS,M+H)=528.1。
【0152】
工程3:メチル{1−[4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート
【0153】
【化31】

【0154】
メタノール(15mL)中のメチル{(2S,3R)−1−[(1S)−4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペント−2−イン−1−イル]−4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート(80mg、0.15mmol)の溶液を窒素で脱気し、ラネーニッケルスラリーを添加した(約45mgの触媒)。この溶液を50psi水素の下で16時間、Parrシェーカー上に置いた。反応物を窒素で脱気し、セライトを通して濾過し、触媒を塩化メチレンで洗浄した。濾液を真空中で蒸発させ、粗製のまま次の反応に移した。
【0155】
工程4:{1−[4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸
【0156】
【化32】

【0157】
メタノール(2mL)中のメチル{(2S,3R)−1−[(1R)−4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート(約45mg、工程3からの粗製物)および1M水酸化カリウムの溶液を60℃に16時間加熱した。この反応物を2M HClおよび酢酸エチルに分配した。有機物を食塩水で洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空中で蒸発させた。この反応物を逆相クロマトグラフィー(35〜100% アセトニトリル/水)によって精製し、{1−[4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−4,4−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸を白色固体として得た。H NMR(600MHz,CDOD:δ7.68(d,J=7.33Hz,2H)、7.55(bs,2H)、3.70(bs,1H)、3.08(bs,1H)、2.85(bs,1H)、2.60(bs,1H)、2.54(dd,J=16.4,5.0Hz,1H)、2.44(m,1H)、2.20(bm,3H)、1.89(dd,J=16.7,4.7Hz,2H)、1.60(bm,3H)、1.10(bs,1H)、1.00(td,J=12.9,4.7Hz,1H)、0.85(s,9H)、0.57(t,J=10.6Hz,1H);LC/MS(EIMS,M+H)=518.2。
【0158】
(実施例19から22、22A)
実施例19から22および22Aは、実施例18における手順により、工程1からのエナンチオ純粋ピペリジン並びに適切なアルデヒドおよびアセチレンを用い、実施例19、21および22Aにおいては水素化工程を省略して作製した。
【0159】
【表4】

【0160】
NB−実施例18から22および22Aはエナンチオ純粋化合物であり、キラル原子の相対配置は構造式において示されている通りであるが、絶対配置は決定されていない。
【0161】
(実施例23)
{1−(4,4−ジメチルペント−2−イン−1−イル)−4,4−ジフルオロ−2,6−ビス[4−(トリフルオロ−メチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸
【0162】
【化33】

【0163】
工程1:ベンジル3−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−4−オキソ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボキシレート
【0164】
【化34】

【0165】
実施例1、工程2において概述されるものと同じ手順により、tert−ブチルブロモアセテートを用いて調製。
【0166】
工程2:ベンジル3−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−4−オキソ−2,6−ビス[4−(トリフルオロ−メチル)フェニル]ピペリジン−1−カルボキシレート
【0167】
【化35】

【0168】
THF(15mL)中の臭化4−(トリフルオロメチル)−フェニルマグネシウム(1M溶液1.9mL、1.9mmol)およびヨウ化銅(52mg、0.27mmol)の溶液を0℃で1時間攪拌した。この溶液にベンジル3−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−4−オキソ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボキシレート(0.53g、1.08mmol)をTHF(10mL)中の溶液として0℃で添加した。1時間後、10%水酸化アンモニウム/濃塩化アンモニウム溶液で反応を停止させた。反応物を水/エーテルに分配し、有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させて濾過し、真空中で蒸発させた。この反応物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(5〜25% EA/ヘキサン)によって精製し、ベンジル3−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−4−オキソ−2,6−ビス[4−(トリフルオロ−メチル)フェニル]ピペリジン−1−カルボキシレートを得た。H NMR(600MHz,CDCl):δ7.63(d,J=8.2Hz,2H)、7.55(m,4H)、7.23(m,3H)、6.87(d,J=6.7Hz,2H)、5.71(s,1H)、5.66(d,J=7.0Hz,1H)、4.98(dd,J=68.9Hz,12.3Hz,2H)、3.45(m,1H)、3.12(dd,J=14.7,7.9Hz,1H)、2.92(dd,J=17.0,3.2Hz,1H)、2.61(m,1H)、1.48(s,9H);LC/MS(EIMS,M+Na)=658.0。
【0169】
工程3:ベンジル3−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−4,4−ジフルオロ−2,6−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−1−カルボキシレート
【0170】
【化36】

【0171】
0℃の、塩化メチレン(2mL)中のベンジル3−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−4−オキソ−2,6−ビス[4−(トリフルオロ−メチル)フェニル]ピペリジン−1−カルボキシレート(0.25g、0.39mmol)の溶液に三フッ化[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]イオウ(0.22mL、1.18mmol)を添加し、この溶液を周囲温度に温めて16時間攪拌した。塩化アンモニウム溶液で反応を停止させ、水/酢酸エチルに分配した。有機物を食塩水で洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空中で蒸発させた。この反応物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(5〜15% 酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、ベンジル3−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−4,4−ジフルオロ−2,6−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−1−カルボキシレートを得て、これを次の反応に直接移した。
【0172】
工程4:tert−ブチル{4,4−ジフルオロ−2,6−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート
【0173】
【化37】

【0174】
メタノール(100mL)中のベンジル3−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−4,4−ジフルオロ−2,6−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−1−カルボキシレート(26mg、0.04mmol)の溶液を窒素で脱気して水酸化パラジウム(約20mg、炭素上20%)で処理し、水素雰囲気下に45分間置いた。反応物を窒素で脱気し、セライトを通して濾過(メタノールで洗浄)して真空中で蒸発させた。この反応物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(5〜20% 酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、tert−ブチル{4,4−ジフルオロ−2,6−ビス[4−(トリフルオロメチル)−フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテートを得た。LC/MS(EIMS,M+H)=524.1。
【0175】
工程5:tert−ブチル{1−(4,4−ジメチルペント−2−イン−1−イル)−4,4−ジフルオロ−2,6−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート
【0176】
【化38】

【0177】
水中のtert−ブチル{4,4−ジフルオロ−2,6−ビス[4−(トリフルオロメチル)−フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート(27mg、0.052mmol)、ホルムアルデヒド(1mL、37%水溶液)および臭化金(III)(3mg、0.005mmol)の溶液を窒素で15分間脱気した。この溶液に3,3−ジメチルブト−1−イン(0.018mL、0.16mmol)を添加し、反応物を密封してマイクロ波で3時間、75℃に加熱した。この反応物を塩化メチレンで希釈し、濾過した。有機物を食塩水で洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空中で蒸発させた。この反応物をフラッシュクロマトグラフィー(0〜5% 酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、半純粋のtert−ブチル{1−(4,4−ジメチルペント−2−イン−1−イル)−4,4−ジフルオロ−2,6−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテートを得た。LC/MS(EIMS,M+H)=618.2。
【0178】
工程6:(1−(4,4−ジメチルペント−2−イン−1−イル)−4,4−ジフルオロ−2,6−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸
【0179】
【化39】

【0180】
塩化メチレン(2mL)中のtert−ブチル{1−(4,4−ジメチルペント−2−イン−1−イル)−4,4−ジフルオロ−2,6−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート(10mg、0.016mmol)の溶液をトリフルオロ酢酸(0.5mL)で処理し、周囲温度で1時間攪拌した。この反応物を真空中で蒸発させ、逆相クロマトグラフィーによって精製して、{1−(4,4−ジメチルペント−2−イン−1−イル)−4,4−ジフルオロ−2,6−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸を白色固体として得た。H NMR(600MHz,CDCl):δ7.64(m,8H)、4.78(m,1H)、4.42(d,J=7.3Hz,1H)、3.28(m,1H)、3.20(d,J=17.0Hz,1H)、3.12(d,J=17.0Hz,1H)、2.65(m,1H)、2.64(dd,J=17.6,5.3Hz,1H)、2.58(m,1H)、2.40(dd,J=17.3,6.2Hz,1H)、1.15(s,9H);LC/MS(EIMS,M+H)=562.2。
【0181】
(実施例24)
{1−(4,4−ジメチルペンチル)−4,4−ジフルオロ−2,6−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸
【0182】
【化40】

【0183】
工程1;tert−ブチル{1−(4,4−ジメチルペンチル)−4,4−ジフルオロ−2,6−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン−3−イル}アセテート
【0184】
【化41】

【0185】
メタノール(15mL)中のtert−ブチル{1−(4,4−ジメチルペント−2−イン−1−イル)−4,4−ジフルオロ−2,6−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート(22mg、0.036mmol)の溶液を窒素で脱気し、ラネーニッケル(約25mg)で処理した。この溶液を50psi水素の下でParrシェーカー上に48時間置いた。反応物をセライトを通して濾過し(塩化メチレンで洗浄)、真空中で蒸発させて、tert−ブチル{1−(4,4−ジメチルペンチル)−4,4−ジフルオロ−2,6−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−ピペリジン−3−イル}アセテートを得た。LC/MS(EIMS,M+H)=622.2。
【0186】
工程2:{1−(4,4−ジメチルペンチル)−4,4−ジフルオロ−2,6−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−ピペリジン−3−イル}酢酸
【0187】
【化42】

【0188】
塩化メチレン(1mL)中のtert−ブチル{1−(4,4−ジメチルペンチル)−4,4−ジフルオロ−2,6−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}アセテート(22mg、0.036mmol)の溶液をトリフルオロ酢酸(1mL)で処理し、周囲温度で1時間攪拌した。この反応物を真空中で蒸発させ、逆相クロマトグラフィーによって精製して、{1−(4,4−ジメチルペンチル)−4,4−ジフルオロ−2,6−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−ピペリジン−3−イル}酢酸を白色固体として得た。H NMR(600MHz,CDCl):δ7.66(m,8H)、4.87(bs,1H)、4.60(bs,1H)、3.18(bs,1H)、2.50(bm,6H)、1.18(bs,2H)、0.68(s,9H);LC/MS(EIMS,M+H)=566.2。
【0189】
(実施例25)
{(2R,4S)−1−[(1R)−4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−3,3−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
【0190】
【化43】

【0191】
工程1:メチル{(2S,4R)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}アセテート
【0192】
【化44】

【0193】
国際公開第2006/043064号(実施例114、工程1)に記載される通りに調製。
【0194】
工程2:メチル{(2S,4R)−1−[(1S)−4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペント−2−イン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}アセテート
【0195】
【化45】

【0196】
工程1の生成物(5.00g、16.59mmol)、3,3−ジメチル−1−ブチン(4.09ml、33.2mmol)、AuBr(0.362g、0.830mmol)、4,4,4−トリフルオロブチルアルデヒド(3.14g、24.89mmol)および水(30ml)を油浴において75℃で1時間加熱した。この混合物を冷却し、CHCl 10mLを添加した。有機画分を、エチルエーテル/ヘキサンで溶出するシリカゲルBiotage 40Mでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、標題の化合物(5.39g、10.97mmol、收率66.1%)を黄色油として得た。MS算出値492(MH)、実験値492(MH)。
【0197】
工程3:メチル{(2S,4R)−1−[(1R)−4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン−4−イル}アセテート
【0198】
【化46】

【0199】
工程2の生成物(5.39g、10.97mmol)をEtOH(50ml)に溶解し、この溶液をNで一掃した。パラジウム付着炭素(10%)(5.84g、5.48mmol)を添加してフラスコから排気し、水素で3回一掃した後、水素バルーンで加圧した。4時間後、この混合物をParrシェーカーに移し、50psiに加圧した。72時間後、フラスコを窒素で一掃して溶液を濾過し、濃縮して油を得た。この残滓を、CHCl/ヘキサンで溶出するシリカゲルBiotage 40Mでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、標題の化合物(2.65g、5.35mmol、收率48.8%)を無色の油として得た。MS算出値496(MH)、実験値496(MH)。
【0200】
工程4:メチル{(2S,4S)−1−[(1R)−4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}アセテート
【0201】
【化47】

【0202】
工程3の生成物(296mg、0.597mmol)およびSelectfluor(商標)(677mg、1.911mmol)をDMF(2987μl)に溶解し、1時間攪拌した。この混合物を冷却して水(30mL)を添加し、混合物をジエチルエーテル(100mL)で抽出した。有機画分を食塩水(30mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。この残滓を、エチルエーテル/ヘキサンで溶出するシリカゲルBiotage 25Sでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、標題の化合物を無色の油として得た。MS算出値548(MH)、実験値548(MH)。
【0203】
工程5:メチル{(2R,4S)−1−[(1R)−4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−3,3−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}アセテート
【0204】
【化48】

【0205】
ボランTHF錯体(0.747ml、0.747mmol)を、工程4の生成物およびTHFの攪拌冷却された−78℃混合物に添加した。この混合物を−78℃で30分間攪拌した後、1時間にわたって室温まで暖め、次いでこの温度で1時間攪拌した。塩化アンモニウム水溶液(飽和、30mL)を添加し、混合物をジクロロメタン(70mL)で抽出した。有機画分を食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)させて濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。この残滓を、エーテル/ヘキサンで溶出するシリカゲルBiotage 25Sでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、標題の化合物181mg(60%)を無色の油として得た。MS算出値532(MH)、実験値532(MH)。
【0206】
工程6:{(2R,4S)−1−[(1R)−4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−3,3−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
【0207】
【化49】

【0208】
工程5の生成物(108mg、0.203mmol)およびLiOH2(9.73mg、0.406mmol)をTHF、水およびMeOHに溶解し、18時間攪拌した。トリフルオロ酢酸(47.0μL、0.610mmol)を添加し、溶媒を減圧下で除去した。この残滓を、アセトニトリル/水 + 0.05%TFAで溶出する調製用HPLC逆相(C−18)によって精製し、標題の化合物55mg(43%)を白色固体として得た。H NMR(600MHz,CDOD)δ0.49(六重項,J=7.1)、0.83(m,10)、0.98(m,1)、1.06(m,1)、1.59(qd,4,7=11.8,4.2)、1.98(m,2)、2.23(m,2)、2.45(m,3)、2.71(dd,1,J=16.3,3.9)、3.02(d,1,J=11.4)、4.01(d,1,J=21.3)、7.58(brs,2)、7.67(d,1,J=6.8)。MS算出値532(MH)、実験値532(MH)。
【0209】
(実施例26)
((2R,4S)−3,3−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−{(1S)−4,4,4−トリフルオロ−1−[2−(トリメチルシリル)エチル]ブチル}ピペリジン−4−イル)酢酸
【0210】
【化50】

【0211】
工程1においてトリメチルシリルアセチレンを3,3−ジメチルブト−1−インの代わりに用いる、実施例25に類似の方法で調製。生成物を、アセトニトリル/水 + 0.05%TFAで溶出する調製用HPLC逆相(C−18)によって精製し、標題の化合物を白色固体として得た。NMR(600MHz,CDOD)δ−0.19(m,1)、−0.05(s,9)、0.32(六重項,1,J=7.5)、1.14(m,1)、1.62(m,2)、1.71(m,1)、2.00(m,2)、2.26(dt,2,J=16.4,8.2)、2.46(m,2)、2.55(m,1)、2.71(dd,1,J=16.4,4.0)、3.09(d,1,J=11.7)、4.15(d,1,J=21.3)、7.59(brs,2)、7.60(d,1,J=7.6)。MS算出値534(MH)、実験値534(MH)。
【0212】
(実施例27)
{(2R,4S)−3,3−ジフルオロ−1−{(1R)−4−メチル−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ペンチル}−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
【0213】
【化51】

【0214】
メチル{(2S,4R)−1−{(1R)−4−メチル−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ペンチル}−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}アセテート(国際公開第2006/043064号 実施例114 工程2)から、実施例25 工程4、5および6に記載される手順を用いるフッ素化、還元および加水分解によって調製。この粗製物質は純度96%であることがLCMSによって見出された。H NMR(600MHz,CDOD)δ0.51−0.57(m,1)、0.78(d,3,J=6.7)、0.79(d,3,J=6.7)、0.81−0.88(m,1)、1.34−1.42(m,1)、1.48−1.55(m,1)、1.88−1.93(m,1)、1.99−2.07(m,2)、2.23(dd,1,7=16.6,9.4)、2.54−2.60(m,1)、2.71(dd,1,J=16.5,3.9)、2.88(t,1,J=11.8)、3.02(d,1,J=11.4)、3.70(d,1,J=11.3)、4.55(d,1,J=22.1)、7.53(d,2,J=8.2)、7.68(d,2,J=8.2)、7.82(s,4)、MS算出値552(MH)、実験値552(MH)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、
【化52】

(式中、
nは0、1、2もしくは3であり;
XおよびYの一方はCFを表し、並びに他方はCH−C(R−Zを表し;
ZはCOHもしくはテトラゾール環を表し;
各々のRは、Hもしくは6個の炭素原子までの非芳香族炭化水素基を独立に表し;または2つのR基がC3−6脂環式基を完成させ;
は、Hもしくは、ハロゲン、0から3個のフッ素置換基を担持するC1−6アルキル、0から3個のフッ素置換基を担持するC1−6アルコキシおよびC2−6アルケニルから独立に選択される3つまでの置換基を担持していてもよいフェニルを表し;
各々のRは、ハロゲン、0から3個のフッ素置換基を担持するC1−6アルキル、0から3個のフッ素置換基を担持するC1−6アルコキシもしくはC2−6アルケニルを独立に表し;並びに
およびRは、Hもしくは、ハロゲン、ペルフルオロC1−4アルキル、CN、Si(C1−4アルキル)、OH、C1−4アルコキシおよびOCFから選択される3つまでの置換基を担持していてもよい12個の炭素原子までの炭化水素を独立に表す。)
または該化合物の医薬的に許容される塩もしくは水和物。
【請求項2】
ZがCOHを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がHまたは、2−CF、3−CF、4−CF、2,4−ジ(CF)、2−F−4−CF、4−OCF、4−アリル、4−n−プロピル、4−イソプロプロピルもしくは4−tert−ブチルで置換されるフェニルを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
がHもしくは4−トリフルオロメチルフェニルを表す請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
(Rが2−CF、3−CF、4−CF、2,4−ジ(CF)、2−F−4−CF、4−OCF、4−アリル、4−n−プロピル、4−イソプロピルもしくは4−tert−ブチルを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
およびRが直鎖もしくは分岐C1−12アルキル、アルケニルおよびアルキニル基、C3−6脂環式基、C3−6脂環式C1−6アルキル基、フェニル基、フェニルC1−6アルキル基、フェニルC2−4アルキニル基およびC3−6脂環式C2−4アルキニル基から独立に選択され、並びに、ハロゲン、C1−4ペルフルオロアルキルもしくはSi(C1−4アルキル)で置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
式IIの化合物、
【化53】

(式中、n、Z、R、R、R、RおよびRは請求項1において定義された通りである。)
または該化合物の医薬的に許容される塩もしくは水和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
ピペリジン環上の置換基の相対立体化学配置が式IIA
【化54】

に示される通りである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
式IIIの化合物、
【化55】

(式中、n、Z、R、R、R、RおよびRは請求項1において定義された通りである。)
または該化合物の医薬的に許容される塩もしくは水和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
ピペリジン環上の置換基の相対立体化学配置が式IIIA
【化56】

に示される通りである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物および医薬的に許容される坦体を含む医薬組成物。
【請求項12】
ヒト身体の治療処置において用いるための、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
脳内でのβ−アミロイドの沈着に関連する疾患を治療もしくは予防用薬剤の製造のための請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項14】
脳内でのAβの沈着に関連する疾患を治療もしくは予防する方法であって、治療もしくは予防を必要とする患者に治療上有効な量の請求項1において定義された式Iの化合物または該化合物の医薬的に許容される塩もしくは水和物を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2010−502704(P2010−502704A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527368(P2009−527368)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/019127
【国際公開番号】WO2008/030391
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】