説明

アルツハイマー病の治療のためのN−アルキルフェニルカルボキサミドβ−セクレターゼ阻害剤

本発明は、β−セクレターゼ酵素の阻害剤であり、また、β−分泌酵素が関与する疾患、例えば、アルツハイマー病の治療と防止に有用な化合物を対象とする。本発明はまた、これらの化合物を含む医薬組成物、ならびに、β−分泌酵素が関与するこのような疾患の治療におけるこれらの化合物および組成物の使用を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
アルツハイマー病は、細胞外プラークおよび細胞内の神経原線維錯綜としての、脳におけるアミロイドの異常な沈着により特徴付けられる。アミロイドの蓄積の速度は、生成、凝集および脳からの放出の速度の組合せである。アミロイドプラークの主な構成成分は、はるかに大きい前駆体タンパク質のタンパク質分解生成物である4kDアミロイドタンパク質(βA4、また、Aβ、β−タンパク質およびβAPとも呼ばれる)であることが一般に受け入れられている。アミロイド前駆体タンパク質(APPまたはAβPP)は、大きな細胞外ドメイン、膜貫通領域および短い細胞質尾部をもつ受容体の様な構造をしている。Aβドメインは、APPの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインの双方の一部を含んでいるので、その放出は、そのNH−およびCOOH−末端を生成する、別個の2つのタンパク質分解事象が存在することを意味する。膜からAPPを放出し、APPの可溶性COOH−末端形(APP)を生成する、少なくとも2つの分泌機構が存在する。膜からAPPとそのフラグメントを放出させるプロテアーゼは、「セクレターゼ」と命名されている。Aβタンパク質の内側で切断してα−APPを放出し、Aβそのものの放出を不可能にする想定されるα−セクレターゼにより、ほとんどのAPPは放出される。APPの少量の部分は、β−セクレターゼにより放出され、これは、AβのNH−末端側を切断し、全Aβドメインを含むCOOH−末端フラグメント(CTF)を生成する。
【0002】
このように、β−セクレターゼ、またはβ−サイトアミロイド前駆体タンパク質切断酵素(「BACE」)の活性により、APPの異常切断、Aβの生成、そして、アルツハイマー病の特徴である、脳におけるβアミロイドプラークの蓄積に至る(R.N.Rosenberg、Arch.Neurol.、vol.59、Sep 2002、pp.1367−1368;H.Fukumoto et al、Arch.Neurol.、vol.59、Sep 2002、pp.1381−1389;J.T.Huse et al、J.Biol.Chem.、vol 277、No.18、issue of May 3、2002、pp.16278−16284;K.C.Chen and W.J.Howe、Biochem.Biophys.Res.Comm、vol.292、pp 702−708、2002を参照)。したがって、β−セクレターゼ、またはBACEを抑制できる治療剤はアルツハイマー病の治療に役立つ。
【0003】
本発明の化合物は、β−セクレターゼ、またはBACEの活性を抑制して、不溶性Aβの形成を防ぎ、またAβの産出を阻むことにより、アルツハイマー病を治療するのに役立つ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、β−セクレターゼ酵素およびBACEの阻害剤であり、β−セクレターゼ酵素が関与するアルツハイマー病などの疾患の治療に有用な化合物を対象とする。また、本発明は、これらの化合物を含む医薬組成物、ならびに、β−セクレターゼ酵素が関与するこのような疾患の予防または治療におけるこれらの化合物および組成物の使用も対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は式Iの化合物:
【0006】
【化8】

[式中、
は、以下からなる群:
(1)C1〜6アルキル(非置換であるか、または−ORもしくは−S(O)−C1〜6アルキルにより置換されている。)、
(2)水素、
(3)フェニル、および
(4)ベンジル
から選択され;
は、以下からなる群:
(1)水素、
(2)R−S(O)−、
(式中、Rは、以下からなる群:
(a)C1〜6アルキル(非置換であるか、または1〜6個のフルオロにより置換されている。)、
(b)フェニル、および
(c)ベンジル
から独立に選択される。)
(3)R−S(O)N(R)−、
(式中、Rは、以下からなる群:
(a)水素、
(b)−C1〜6アルキル(非置換であるか、または1〜6個のフルオロにより置換されている。)、
(c)−C3〜6シクロアルキル(非置換であるか、またはメチルにより置換されている。)、
(d)フェニル(非置換であるか、またはハロもしくはメトキシにより置換されている。)、および
(e)ベンジル
から独立に選択される。)
(4)−CN、
(5)−C1〜6アルキル−CN、
(6)ハロゲン、
(7)次の式:
【0007】
【化9】

(式中、R8aおよびR8bは以下からなる群:
(a)水素、
(b)−CN、
(c)ハロ、
(d)−C1〜6アルキル、
(e)−O−R
(f)−S−R
(g)−CO、および
(h)テトラゾリル
から独立に選択される。)
(8)次の式:
【0008】
【化10】

(式中、nは、1、2、3もしくは4である。)
から選択され;
は、以下からなる群:
【0009】
【化11】

から選択され;
6a、R6b、およびR6cは、以下からなる群:
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)−OR
(4)−SR、および
(5)−C1〜6アルキル
から独立に選択され;
は、結合、−CH=CH−、−O−、−S−、および、−NH−からなる群から選択され;
およびR10は、以下からなる群:
(1)水素、
(2)C1〜6アルキル(非置換であるか、または−CNもしくは1〜4個のハロにより置換されている。)、
(3)−C3〜6シクロアルキル、
(4)フェニル(非置換であるか、またはハロもしくはメトキシにより置換されている。)、および
(5)ベンジル
から独立に選択されるか、あるいは、RおよびR10は、一緒になって、ピロリジンもしくはピペリジン環(非置換であるか、またはベンジル、−ORもしくは1〜4個のハロにより置換されている。)を形成していてもよく;
mは、独立に、0、1、もしくは2であり;
pは、独立に、0、1、もしくは2である。]
および薬学的に許容されるそれらの塩に関する。
【0010】
本発明の一実施形態は、RがC1〜6アルキルである化合物を含む。
【0011】
本発明の別の実施形態は、Rがメチルである化合物を含む。
【0012】
本発明の別の実施形態は、Rがエチルである化合物を含む。
【0013】
本発明の別の実施形態は、Rが、
−S(O)−NR
[式中、Rは、以下からなる群:
(1)C1〜6アルキル、
(2)フェニル、および
(3)ベンジル
から選択され;
は、以下からなる群:
(1)C1〜6アルキル、
(2)フェニル、
(3)ベンジル、および
(4)水素
から選択される。]
である化合物を含む。
【0014】
本発明の別の実施形態は、Rが、次の式:
【0015】
【化12】

(式中、Rはメチルであり、R6aはHもしくはFであり、R6bおよびR6cは水素である。)
である化合物を含む。
【0016】
本発明の別の実施形態は、Rが次の式:
【0017】
【化13】

である化合物を含む。
【0018】
本発明の別の実施形態は、Rが水素である化合物を含む。
【0019】
本発明の別の実施形態は、R10がC1〜6アルキルである化合物を含む。
【0020】
本発明の別の実施形態は、R10がイソ−ブチルである化合物を含む。
【0021】
本発明の別の実施形態は、後の実施例の表題の化合物と薬学的に許容されるそれらの塩から選択される化合物を含む。
【0022】
本発明の化合物は、少なくとも1つの不斉中心をもつ。さらなる不斉中心が、分子上の様々な置換基の性質に応じて存在し得る。不斉中心をもつ化合物は、エナンチオマー(光学異性体)、ジアステレオマー(配置異性体)または双方を生じ、混合物において、および純粋なもしくは部分的に精製された化合物としてのすべての可能なエナンチオマーおよびジアステレオマーは、本発明の範囲内に含まれると想定されている。本発明は、これらの化合物のこのような異性体の形態のすべてを包含するものである。
【0023】
1つのエナンチオマーまたはジアステレオマーに富む化合物の独立した合成、あるいはクロマトグラフィーによるそれらの分離は、当技術分野において知られているように、本明細書において開示されている方法の適切な変更により達成され得る。それらの絶対立体化学は、結晶性生成物、あるいは、必要であれば、絶対配置が知られている不斉中心を含む試薬を用いて誘導された結晶性中間体のX線結晶構造解析により決定され得る。
【0024】
望まれる場合には、化合物のラセミ混合体を分離して個々のエナンチオマーに単離することができる。当技術分野においてよく知られている方法、例えば、化合物のラセミ混合体にエナンチオマーとして純粋な化合物をカップリングしてジアステレオマー混合物とし、その後、個々のジアステレオマーを標準的な方法(例えば、分別結晶もしくはクロマトグラフィー)により分離することにより、この分離を実施することができる。カップリング反応は、エナンチオマーとして純粋な酸または塩基を用いる、塩の生成であることが多い。この場合には、ジアステレオマー誘導体は、付加されたキラルな残基の開裂により、純粋なエナンチオマーへ変換され得る。化合物のラセミ混合体はまた、当技術分野においてよく知られている、キラルな固定相を利用するクロマトグラフィー法によっても直接分離され得る。
【0025】
あるいは、当技術分野においてよく知られている方法により、化合物のエナンチオマーを、知られている配置の光学的に純粋な出発物質または試薬を用いる立体選択的合成により得ることができる。
【0026】
本発明の化合物は、スキーム1において概略が示されている方法により調製される。
【0027】
【化14】

【0028】
スキーム1を参照すると、N−Bocで保護されたアミノ酸(1−A)が、BOP試薬のようなカップリング剤およびアミン塩基の存在下で、第1級または第2級アミンと反応して、N−保護アミノアミド(1−B)を与える。Boc基は、酢酸エチル中のHClガスのような酸性条件の下で除去される。得られるアミノ酸アミド塩(1−C)は、メタノール中の水素化シアノホウ素ナトリウムのような還元剤を用いて、bocで保護されたフェニルアラニンアルデヒドにより還元的アミノ化を受ける。生成物(1−D)は、t−ブチルオキシカルボニル保護基を除去するために、HClガスやトリフルオロ酢酸などの強酸で処理されて、中間体ジアミン塩(1−E)を与える。化合物1−Eは、BOP試薬およびトリアルキルアミン塩基のような標準的なアミドカップリング法により安息香酸誘導体とカップリングされて、最終化合物(I)を与える。
【0029】
【化15】

【0030】
スキーム2は、阻害剤(I)の別の合成方法を例示している。Boc−Pheが標準的な方法により還元されて、対応するアルコール(2−B)を与える。得られるアルコールは、塩化メタンスルホニルとトリエチルアミンのようなアミン塩基による処理により、アジド置換のために活性化される。アジドの生成は、2−Cのメシレートを、DMFのような非プロトン性極性溶剤中、高温で過剰のアジ化ナトリウムと反応させることにより起こる。生成物(2−D)は、t−ブチルオキシカルボニル保護基を除去するために、HClガスのような強酸により処理されて、2−Eのアミノアジド塩を与える。2−Eのアミンと安息香酸誘導体との標準的なアミドカップリングは2−Fを与える。アジド官能基がホスフィン試薬により還元されて2−Gを与え、次に、それが、適切な置換ブロモ酢酸エステルと炭酸カリウムのような塩基によりアルキル化される。次に、2−Hのエステルは、水酸化リチウムのような塩基によりけん化されて、対応するカルボン酸を与える。2−Iの化合物は、BOP試薬とトリアルキルアミン塩基のような標準的なアミドカップリング法により安息香酸誘導体とカップリングされて、最終化合物Iを与える。
【0031】
多様な安息香酸類がスキーム1および2に適用でき、Rがスルホンアミド、スルホン、アミド、ニトリル、アルキルニトリル、ハロゲン、フェニル、およびシアノシクロアルキルである例が含まれる。スキーム1および2における安息香酸のRは、通常、カルボキシアミノベンジル基、置換オレフィン、OもしくはNアルキルシクロプロピル、またはアルキルエーテル、アルキルチオエーテル、あるいは第2級アミンである。
【0032】
「実質的に純粋な」という用語は、当技術分野において知られている分析法により分析して、分離された材料が少なくとも90%の純度、好ましくは95%の純度、より一層好ましくは99%の純度であることを意味する。「薬学的に許容される塩」という用語は、無機もしくは有機の塩基または無機もしくは有機の酸を含めて、薬学的に許容される毒性のない塩基または酸から調製される塩を表す。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガンの塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが含まれる。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、およびナトリウムの塩である。固体状の塩は2つ以上の結晶構造において存在することがあり、また水和物の形でも存在し得る。薬学的に許容される毒性のない有機塩基から誘導される塩には、第1級、第2級、および第3級アミン、天然に産する置換アミンを含めての置換アミン、環状アミン、および塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩が含まれる。本発明の化合物が塩基性である場合、塩は、無機および有機の酸を含めて、薬学的に許容される毒性のない酸から調製され得る。このような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが含まれる。特に好ましいのは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸、および酒石酸である。
【0033】
本発明は、β−セクレターゼ酵素の活性、またはβ−サイトアミロイド前駆体タンパク質開裂酵素(「BACE」)の活性の阻害剤として、このような抑制を必要としている患者もしくは被験者(例えば哺乳動物)に、本明細書において開示される化合物を使用することを対象とし、この使用は有効量の前記化合物の投与を含む。「β−セクレターゼ酵素」、「β−サイトアミロイド前駆体タンパク質開裂酵素」、および「BACE」という用語は、本明細書においては交換可能であるとして使用されている。ヒト以外に、様々な他の哺乳動物を、本発明の方法により治療することができる。
【0034】
さらに、本発明は、本発明の化合物と薬剤担体または希釈剤を合わせることを含む、ヒトおよび動物におけるβ−セクレターゼ酵素活性を阻害するための治療薬もしくは組成物の製造方法を対象とする。
【0035】
本発明の化合物は、アルツハイマー病、アミロイド前駆体タンパク質(APPとも呼ばれる)の異常な開裂により仲介される他の疾患、ならびに、β−セクレターゼの抑制により治療もしくは防止され得る他の病状の危険を治療、防止、改善、制御、および低減するのに有用である。このような病状には、軽度認知障害、21トリソミー(ダウン症候群)、脳アミロイドアンギオパチー、変性痴呆、アミロイドーシスを伴う遺伝性大脳出血−オランダ型(HCHWA−D)、クロイツフェルトヤコブ病、プリオン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、頭部外傷、卒中、ダウン症候群、膵炎、封入体筋炎、他の末梢アミロイドーシス、糖尿病およびアテローム性動脈硬化症が含まれる。
【0036】
本発明の化合物が投与される被験者または患者としては、通常、β−セクレターゼ酵素活性の抑制が望まれるヒトの男性もしくは女性があるが、β−セクレターゼ酵素活性の抑制もしくは前記障害の治療が望まれる他の哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、モンキー、チンパンジーまたは他の類人猿もしくは霊長類もまた含まれる。
【0037】
本発明の化合物は、薬剤を一緒にする組合せがいずれかの薬剤単独よりも安全で効果的である場合、本発明の化合物が有用である疾患もしくは病状の危険の治療、防止、制御、改善、または低減において1種または複数の他の薬剤と組み合わせて使用され得る。さらに、本発明の化合物を、本発明の化合物の副作用または毒性の危険性を治療、防止、制御、改善、もしくは低減する1種または複数の薬剤と組み合わせて使用してもよい。このような他の薬剤は、本発明の化合物と同時に、または逐次的に、それらに対して通常使用されている経路によって、またそのような量において投与され得る。こうして、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物以外に、1種または複数の他の活性成分を含むものが含まれる。この組合せは、単位投薬形態の組合せ製品の一部として、あるいは、1種または複数の追加の薬剤が、治療投薬計画の一部として別の投薬形態で投与されるキットもしくは治療プロトコルとして投与され得る。
【0038】
単位投薬量またはキットの形態のいずれかにおける、本発明の化合物と他の薬剤との組合せの例には、抗アルツハイマー薬、例えば、他のβ−セクレターゼ阻害剤もしくはγ−セクレターゼ阻害剤:HMG−CoAレダクターゼ阻害剤;NSAID(イブプロフェンが含まれる);ビタミンE;抗アミロイド抗体;CB−1受容体アンタゴニストもしくはCB−1受容体インバースアゴニスト;デオキシサイクリンおよびリファンピンのような抗生物質;N−メチル−D−アスパルテート(NMDA)受容体アンタゴニスト、例えばメマンチン;コリンエステラーゼ阻害剤、例えばガランタミン、リバスチグミン、ドネペジルおよびタクリン;あるいは、本発明の化合物の効果、安全性、便益を増すか、または望ましくない副作用または毒性を低減する受容体もしくは酵素に影響を及ぼす他の薬剤;との組合せが含まれる。組合せの前記リストは、単なる例示であり、いかなる仕方においても限定しようとするものではない。
【0039】
本明細書では、「組成物」という用語は、所定の量または比率において指定された成分を含む製品、ならびに、指定された量の指定された成分の組合せから直接的もしくは間接的に得られる製品を包含すると想定されている。医薬組成物に関連するこの用語は、1種または複数の活性成分と不活性成分を含む任意選択の担体とを含む製品、ならびに、2種以上の成分の組合せ、複合化もしくは凝集により、直接的または間接的に得られる製品を包含すると想定されている。一般に、医薬組成物は、活性成分と、液体担体もしくは細かく分割された固体担体またはこれらの両方とを、均一で密接に結合した状態にし、次いで、必要であれば、その生成物を所望の製剤に成形することにより調製される。医薬組成物においては、対象活性化合物は、疾患の進行または状態に所望の効果を生じるのに十分な量で含まれる。
【0040】
経口使用のための医薬組成物は、医薬組成物の製造技術分野に知られている任意の方法により調製され、また、このような組成物は、医薬品として洗練された口に合う調合剤を提供するために、甘味剤、芳香剤、着色剤および保存剤からなる群から選択される1種または複数の作用剤を含み得る。錠剤は、錠剤の製造に適する、毒性のない薬学的に許容される賦形剤(excipient)との混合物中に活性成分を含む。これらの添加剤は、例えば、不活性希釈剤、顆粒化剤および崩壊剤、結合剤ならびに滑剤であり得る。錠剤は、被覆されていなくても、あるいは、それらは、消化管における崩壊と吸収を遅らせるために、知られている方法で被覆されることによって、より長期間に渡り作用を持続させてもよい。
【0041】
経口使用の組成物はまた、活性成分が不活性固体希釈剤と混合されたハードゼラチンカプセル、あるいは、活性成分が水もしくはオイル媒体と混合されたソフトゼラチンカプセルとしても提供され得る。
【0042】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適する添加剤との混合物中に活性物質を含む。このような添加剤には、懸濁剤と分散剤または湿潤剤が含まれる。水性懸濁液はまた、保存剤、着色剤、芳香剤、および甘味剤の1種または複数を含み得る。
【0043】
油性懸濁液は、植物油もしくはミネラルオイル中に活性成分を懸濁させることにより処方され得る。油性懸濁液は増粘剤を含んでいてもよい。甘味剤および芳香剤は、口に合う経口調合剤を提供するために添加され得る。これらの組成物は、酸化防止剤を添加することにより保存され得る。
【0044】
水の添加による水性懸濁液の調製に適する分散性粉末および顆粒は、分散剤もしくは湿潤剤、懸濁剤および1種または複数の保存剤との混合物中に活性成分が含まれる。さらなる添加剤、例えば、甘味剤、芳香剤および着色剤が存在してもよい。
【0045】
本発明の医薬組成物はまた、水中油エマルジョンの形態であってもよく、これらは、甘味剤および芳香剤のような添加剤もまた含み得る。
【0046】
本発明の医薬組成物はまた、滅菌された水性もしくは油性の注射可能な懸濁液の形態(これは、知られている技術により処方され得る)であってもよく、あるいは、薬剤の直腸内投与のための座薬の形態において投与されてもよい。
【0047】
本発明の組成物はまた、その分野の熟練者に知られている吸引装置によって吸引により、あるいは、経皮パッチによって経皮的に投与されてもよい。
【0048】
「薬学的に許容される」により、担体、希釈剤または添加剤が他の処方成分に適合しており、また、その受容者に有害であってはならないことを意味する。
【0049】
化合物「の投与」または「を投与する」という用語は、個人の身体に、治療に役立つ形態と治療に役立つ量として導入され得る形態(これらに限定されないが、経口投薬形態、例えば、錠剤、カプセル、シロップ、懸濁液など;注射可能な投薬形態、例えば、IV、IM、またはIPなど;経皮投薬形態、クリーム、ゼリー、粉末、またはパッチが含まれる;口腔投薬形態;吸引用の粉末、スプレー、懸濁液など;直腸座薬;が含まれる)において、治療を必要としているその個人に本発明の化合物を提供することを意味すると理解されるべきである。
【0050】
「有効量」もしくは「治療に有効な量」という用語は、研究者、獣医、医者または他の臨床医により得ようとされている、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を引き出す、本発明の主題の化合物の量を意味する。本明細書では、「治療」という用語は、前記の病状の治療と防止の両方を、あるいは、特に、このような疾患もしくは障害に罹りやすい患者における、前記病状の予防的治療を表す。
【0051】
本明細書では、「治療」または「治療する」という用語は、本発明の化合物の投与を意味し、(1)病気に罹った動物の病理もしくは症候を経験している、もしくは示している動物における疾患を抑制すること(すなわち、病理および/または症候のさらなる進行を止めること)、あるいは、(2)病気に罹った動物の病理もしくは症候を経験している、もしくは示している動物における疾患を改善すること(すなわち、病理および/または症候を反転させること)を含む。「制御する」という用語は、防止、治療、根絶、改善すること、あるいはそうでなければ、制御されている病状の激しさを低減することを含む。
【0052】
本発明の化合物を含む組成物は、単位投薬形態において都合よく提供され、調剤技術分野においてよく知られている方法により調製され得る。「単位投薬形態」という用語は、活性および不活性成分のすべてが適切な系に一体化され、その結果、患者もしくは患者に薬剤を投与する人は、1回の総投薬量がそれに含まれている1つの容器またはパッケージを開けばよく、2つ以上の容器またはパッケージからの成分を一緒に混合する必要がない、単一投薬を意味すると考えられている。単位投薬形態の典型的な例は、経口投与のための錠剤またはカプセル、注射のための単一投薬のバイアル、あるいは、直腸投与のための座薬である。この単位投薬形態の列挙はいかなる仕方においても限定ではなく、単に、単位投薬形態の調剤技術分野における典型的な例を与えようとするものである。
【0053】
本発明の化合物を含む組成物は、2種以上の成分(これらは活性または不活性成分、担体、希釈剤などであり得る)が、患者または患者に薬剤を投与する人による実際の投薬形態の調製のための説明書と共に提供される、キットとして都合よく提供され得る。このようなキットは、必要なすべての物質と成分をそれに含めて提供されてもよいし、あるいはそれらは患者または患者に薬剤を投与する人により別に得られなければならない物質または成分を使用するか、もしくは製造するための説明書を含んでいてもよい。
【0054】
本発明の化合物が指示されるアルツハイマー病または他の疾患の危険を治療、防止、制御、改善、または低減する際には、本発明の化合物が、毎日1回の投薬として、または1日に2から6回の分割投薬として、あるいは徐放性の形態として好ましくは与えられ、動物の体重1kg当たり、約0.1mgから約100mgの毎日の投薬で投与される場合に、通常満足な結果が得られる。1日当たりの総投薬量は、体重1kg当たり、約1.0mgから約2000mg、好ましくは、約0.1mgから約20mgである。70kgの成人の場合には、1日の総投薬量は、通常、約7mgから約1,400mgであろう。この投薬計画は、最適な治療効果が得られるように調節され得る。本発明の化合物は、1日当たり、1から4回、好ましくは、1日当たり1または2回の投薬計画で投与され得る。
【0055】
本発明の化合物、あるいは薬学的に許容されるそれらの塩の具体的な投与での投薬量は、1mg、5mg、10mg、30mg、80mg、100mg、150mg、300mgおよび500mgである。本発明の医薬組成物は、約0.5mgから1000mgの活性成分を含み、より好ましくは、約0.5mgから500mgの活性成分、あるいは、0.5mgから250mgの活性成分、あるいは1mgから100mgの活性成分を含む処方として提供され得る。
【0056】
しかし、特定の患者に対する具体的な投薬のレベルと頻度は変わり、用いられる特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用の長さ、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与の方式および時間、排泄速度、薬剤の組合せ、特定の病状の激しさ、ならびに治療の受容者を含めて、様々な要素に依存するであろうことは理解されよう。
【0057】
β−セクレターゼ酵素活性の阻害剤としての本発明による化合物の有用性は、当技術分野において知られている方法により実証され得る。酵素の阻害は次の様にして求められる。
【0058】
FRETアッセイ:均一終点蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)アッセイが、基質([TAMRA−5−CO−EEISEVNLDAEF−NHQSY]QFRET)と共に用いられ、この基質がBACE1により開裂されてTAMRAから蛍光を放出する。基質のKmは基質の溶解性の限界のために決められない。典型的な反応では、100μlの全反応容積において、約30nMの酵素、1.25μMの基質、およびバッファ(50mMのNaOAc、pH4.5、0.1mg/mlのBSA、0.2%のCHAPS、15mMのEDTAおよび1mMのデフェロキサミン)が含まれる。反応は30分間進行し、TAMRAフラグメントの遊離が、励起波長530nmと放出波長580nmを用いて、96ウェルプレート用LJL Analyst ADにおいて測定される。これらの条件の下で、基質の10%未満がBACE1により処理される。これらの研究において使用された酵素は、バキュロウィルス発現系において製造された可溶性(膜貫通ドメインと細胞質伸張部は除かれている)ヒトタンパク質であった。化合物の阻害効力を測定するために、阻害剤のDMSO溶液(4種の濃度の阻害剤が調製された:1mM、100μM、10μM、1μM)が反応混合物に含められた(最終のDMSO濃度は0.8%であった)。すべての実験は前記の標準的反応条件を用いて室温で実施された。化合物のIC50を求めるために、拮抗式、V0/Vi=1+[I]/[IC50]を用いて、化合物の阻害効力を予測した。通常、解離定数を再現する際の誤差は2倍未満である。
【0059】
HPLCアッセイ:均一終点HPLCアッセイが、基質(クマリン−CO−REVNFEVEFR)と共に用いられ、この基質は、BACE1により開裂されて、クマロンと結合したN−末端フラグメントを放出する。基質のKmは、100μMを超え、基質の溶解性の限界のために求めることができない。典型的な反応では、100μlの全反応容積において、約2nMの酵素、1.0μMの基質、およびバッファ(50mMのNaOAc、pH4.5、0.1mg/mlのBSA、0.2%のCHAPS、15mMのEDTAおよび1mMのデフェロキサミン)が含まれる。反応は30分間進行し、反応は、25μLのTris−HCl(1M、pH8.0)の添加により停止される。得られた反応混合物が、HPLCに保持され、生成物が、5分の直線勾配を用いて基質から分離された。これらの条件の下で、10%未満の基質がBACE1により処理される。これらの研究において使用された酵素は、バキュロウィルス発現系において製造された可溶性(膜貫通ドメインと細胞質伸張部は除かれている)ヒトタンパク質であった。化合物の阻害効力を測定するために、阻害剤のDMSO溶液(12種の濃度の阻害剤が調製され、濃度範囲はFRETにより予測される効力に応じて決められた)が反応混合物に含められた(最終のDMSOの濃度は10%である)。すべての実験は前記の標準的反応条件を用いて室温で実施された。化合物のIC50を求めるために、4つのパラメータの式が、カーブフィッティングに用いられる。通常、解離定数を再現する際の誤差は2倍未満である。
【0060】
特に、以下の実施例の化合物が、通常、約1nMから1μMのIC50をもち、前記アッセイにおいてβ−セクレターゼ酵素を阻害する活性をもっていた。このような結果は、β−セクレターゼ酵素活性阻害剤としての使用におけるこれらの化合物の固有の活性を示している。
【0061】
本発明の化合物を調製するいくつかの方法が、以下のスキームと実施例において示される。出発物質は、当技術分野において知られている手順により、あるいは、本明細書に示されるようにして製造される。以下の実施例は、本発明がより完全に理解されるように提供される。これらの実施例は例示のためであって、いかなる仕方においても本発明を限定していると解釈されるべきでない。
【0062】
中間体I
【0063】
【化16】

【0064】
ステップA:50mLのDCMに2.0g(10.0mmol)の(S)−N−Boc−アミノ酪酸を含む溶液に、730mg(10.0mmol)のイソブチルアミン、4.42g(10.0mmol)のBOP試薬および4.2mL(24.0mmol)のヒューニッヒ塩基を加えた。反応混合物を室温で30分間攪拌し、その後、それを10%のクエン酸(10mL)、水(10mL)、飽和NaHCO(10mL)および塩水(brine、10mL)で抽出した。有機相をMgSOで乾燥し、濃縮して、クロマトグラフィー(1:1のEtOAc/ヘキサン)にかけて、2.4gの所望のアミドを得た。H NMR δ6.11(bs,1H)、4.96(bs,1H)、3.97(m,1H)、3.08(m,2H)、1.88(m,1H)、1.80(m,1H)、1.66(m,1H)、1.45(s,9H)、0.95(m,9H)。LCMS(M+H)=259.27
【0065】
ステップB:1.58g(6.10mmol)のAのBocアミドを含む0℃の溶液を、40mLのEtOAcと4mlのMeOHに溶かし、10分間HClガスにより飽和させた。反応混合物を1時間攪拌し、次に、半固体まで濃縮した。残留物を50mLのエーテルに微細分散(triturate)させ、極めて吸湿性の強い固体として1.10gのアミンHCl塩を得た。H NMR(CDOD)δ3.78(t,J=7.8Hz,1H)、3.18(m,2H)、1.85(m,3H)、1.01(t,J=7.8Hz,3H)、0.87(d,6H)。LCMS(M+H)=159.31
【0066】
ステップC:5mLのMeOHに200mg(0.76mmol)の(S)−N−Boc−Phe−CHOを含む溶液に、746mg(3.81mmol、5当量)のBのアミンおよび47.0mg(0.76mmol)のNaBHCNを加えた。得られた溶液を室温で16時間攪拌した。溶剤を除去し、残留物を25mLのDCMに溶かし、NaHCO(10mL)と塩水(10mL)で洗った。溶剤の蒸発とクロマトグラフィー(EtOAc)の後、245mgの所望の生成物が残り、それを次の反応にそのまま用いた。H NMR(CDCl)δ7.4〜7.1(m,5H)、4.84(d,J=2.4Hz,1H)、4.11(bs,1H)、3.60(bs,1H)、3.11(m,4H)、2.82(m,4H)、1.81(m,4H)、1.43(s,9H)、0.99(t,J=7.8Hz,3H)、0.82(d,J=7.7Hz,6H)。
【0067】
ステップD:ステップCによる201mg(0.5mmol)のBocアミンを含む0℃の溶液を25mLのEtOAcに溶かし、5分間HClガスにより飽和させた。反応混合物を1時間攪拌し、濃縮し、エーテルに微細分散させて、白色固体として185mgの化合物Iを得た。H NMR(CD3OD)δ7.44〜7.15(m,5H)、3.83(m,1H)、3.33(m,1H)、3.18(m,1H)、3.06(m,4H)、2.00(m,2H)、1.77(m,1H)、1.01(t,J=7.8Hz,3H)、0.88(d,J=7.8Hz,6H)。
【0068】
中間体II
【0069】
【化17】

【0070】
中間体Iと同様にして調製されたが、ステップAにおけるアミンとして、(S)−N−Boc−アミノ吉草酸に置き換えた。H NMR(CDOD)δ8.55(bt,1H)、7.41〜7.26(m,5H)、3.92(t,J=6.8Hz,2H)、3.77(dd,2H)、3.30(d,J=1.7Hz,1H)、3.08(dd,J=13.5,1.7Hz,1H)、3.03〜2.95(m,4H)、1.88(m,2H)、1.77(m,1H)、1.41(m,2H)、0.94(t,J=7.4Hz,3H)、0.90(d,J=6.8Hz,6H)
【0071】
中間体III
【0072】
【化18】

【0073】
中間体Iと同様にして調製されたが、ステップAにおけるアミンとして、(S)−N−Boc−メチオニンスルホンに置き換えた。H NMR(CDOD)δ8.42(bs,1H)、7.44〜7.25(m,5H)、4.02(m,1H)、3.83(m,1H)、3.38〜3.05(m,7H)、3.00(s,3H)、2.39(bd,2H)、1.77(m,1H)、0.92(d,J=6.7Hz,6H)。
【0074】
中間体IV
【0075】
【化19】

【0076】
中間体Iと同様にして調製されたが、ステップAにおけるアミンとして、(S)−N−Boc−アラニンに置き換えた。H NMR(CDOD)δ8.41(bt,1H)、7.41〜7.26(m,5H)、4.02(m,1H)、3.81(m,2H)、3.40〜3.00(m,5H)1.80(m,2H)、1.61(d,J=6.7Hz,3H)、0.97(d,J=6.8Hz,6H)
【0077】
中間体V
【0078】
【化20】

【0079】
中間体Iと同様にして調製されたが、ステップAにおけるアミンとして、(S)−N−Boc−ホモセリンに置き換えた。H NMR(CDOD):δ7.37〜7.27(m,5H)、4.13(m,1H)、3.99(m,1H)、3.86〜3.75(m,2H)、3.38〜3.25(m,2H)、3.03(m,2H)、2.89(m 1H)、2.76(d,1=7.14Hz,2H)、2.14(m,1H)、1.99(m,1H)、1.01(d,J=6.68Hz,6H)。LCMS(M+H)=308.1
【実施例1】
【0080】
【化21】

【0081】
ステップA:100mlのCHCl/ピリジン(3:1)中の5−アミノイソフタル酸ジメチル(5.0g、23.90mmol)のスラリを0℃で攪拌し、塩化メタンスルホニル(1.85mL、23.90mmol)を加えた。得られた混合物を室温で4時間攪拌した。溶剤を真空で除去し、酢酸エチル(100mL)を加えると沈殿が生成した。その生成物を濾過により捕集して、5.14gのスルホンアミドを白色固体として得た。H NMR(DMSOd6)δ8.15(s,1H)、8.02(s,2H)、3.89(s,6H)、3.02(s,3H)。LCMS[M−OCH=256.16
【0082】
ステップB:10mLのDMF中の水素化ナトリウム(0153g、3.83mmol、60%のオイル分散体)の溶液に、ステップAによるスルホンアミド(1.0g、3.48mmol)を、その後、ヨウ化メチル(0.43mL、6.97mmol)を加えた。1時間後、HO(100mL)により反応を止め、EtOAc(3×50mL)で抽出した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、蒸発させて、1.03gのN−メチルスルホンアミドを得た。H NMR(DMSOd6)δ8.40(s,1H)、8.19(s,2H)、3.91(s,6H)、3.34(s,3H)、3.01(s,3H)。LCMS[M+H]=302.15
【0083】
ステップC:ステップBによるジエステル(1.03g、3.38mmol)を50mLのTHF:MeOH(1:1)に溶かし、0℃に冷却した。1NのNaOH(3.38mL、3.38mmol)を加え、反応物を8時間かけて室温まで上げた。溶液を1NのHCl(30mL)により酸性にし、EtOAc(3×50mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて、塩水で洗い、MgSOで乾燥し、濾過し、真空で濃縮した。シリカゲルで精製(1%のHOAcを含む5%MeOH/CHCl)して795mg(82%)の1価の酸を得た。H NMR(DMSOd6)δ8.30(s,1H)、8.10(s,2H)、3.84(s,3H)、3.27(s,3H)、2.94(s,3H)。LCMS(M+H)288.16
【0084】
ステップD:5mLのCHClに、133mg(0.46mmol)のステップCによる1価の酸、BOP試薬(0.235g、0.55mmol)、(R)−(+)−4−フルオロ−メチルベンジルアミン(76mg、0.55mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(0.24mL、1.39mmol)を含む溶液を雰囲気温度で1時間攪拌した。溶剤の蒸発と、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(90%EtOAc/ヘキサン)により、71mgのベンジルアミドを得た。LCMS(M+H)=409.27
【0085】
ステップE:10mLのTHF:MeOH(1:1)中、179mg(0.438mmol)のステップDによるベンジルアミドに、2NのNaOH(0.66mL、1.32mmol)を加えた。この溶液を50℃に1時間加熱した。冷却後、1NのHCl(20mL)を加えることにより溶液を酸性にし、EtOAc(3×30mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、MgSOで乾燥し、濾過し、真空で濃縮して、173gの所望のカルボン酸を得た。H NMR(CDCl)δ8.22(t,1H)、8.11(m,1H)、8.06(m,1H)、7.34(m,5H)、6.47(d,J=7.1Hz,1H)、5.33(m,1H)、3.37(s,3H)、2.87(s,3H)、1.64(d,J=7.0Hz,3H)。LCMS(M+H)=395.2
【0086】
ステップF:5mLのDCMに39.5mg(0.10mmol)のステップEによるカルボン酸を含む溶液に、中間体アミン二塩酸IV(35.7mg、0.10mmol)、44.2mg(0.10mmol)のBOP試薬および0.076mL(0.44mmol)のジイソプロピルエチルアミンを加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌し、次に、2×1mLのHCl(1N)、2×1mLの水、および1mLの塩水で抽出した。有機相をMgSOで乾燥し、逆相クロマトグラフィーにかけて、57.7mgの所望の生成物を白色固体として得た。H NMR(CDOD)δ9.03(d,J=7.69Hz,1H)、8.90(bs,1H)、8.61(d,J=8.42Hz,1H)、8.45(m,1H)、8.23(s,1H)、8.03(s,1H)、7.92(s,1H)、7.44(m,2H)、7.29〜7.14(m,7H)、5.19(m,1H)、4.51(bs,1H)、3.86(m,1H)、3.30(s,3H)、3.10(bs,1H)、3.00(s,3H)、2.99〜2.87(m,4H)、1.68(m,1H)、1.50(d,J=7.15Hz,3H)、1.40(d,J=6.77Hz,3H)。LCMS(M+H)=654.28。
【実施例2】
【0087】
【化22】

【0088】
ステップA:100mLのMeOH中の3−アミノ−5−ニトロ安息香酸(3.60g、19.78mmol)に、塩化チオニル(2.59g、21.76mmol)を加えた。この溶液を65℃に12時間加熱した。真空で濃縮し、4.57gのメチルエステル塩酸塩を得た。H NMR(CDOD)δ8.62(s,1H)、8.28(s,1H)、8.19(s,1H)、3.99(s,3H)。
【0089】
ステップB:100mLのCHCl/ピリジン(3:1)中、3.53g(18mmol)のステップAによるアミノエステルの溶液に、塩化メタンスルホニル(2.07g、18.0mmol)を加えた。反応物を雰囲気温度で1時間攪拌し、その後、溶剤を蒸発させた。ガム状の残留物をEtOAc(100mL)で溶解し、1NのHCl(100mL)で酸性にし、EtOAc(3×100mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて、MgSOで乾燥し、濾過し、真空で濃縮して3.97のスルホンアミドをオフホワイトの固体として得た。H NMR(CDOD)δ8.46(s,1H)、8.30(s,1H)、8.18(s,1H)、3.97(s,3H)、3.09(s,3H)。
【0090】
ステップC:水素化ナトリウム(0.26g、6.55mmol、60%のオイル分散体)を10mLのDMFに懸濁させ、それに、1.5g(5.45mmol)のステップBによるスルホンアミド(10mLのDMF中)を、その後、0.93g(6.55mL)のヨウ化メチルを加えた。この溶液を雰囲気温度で3時間攪拌した。反応をHO(250mL)で止め、EtOAc(3×200mL)で抽出し、MgSOで乾燥し、濾過し、真空で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して1.43gのN−メチルスルホンアミドを得た。LCMS(M−HO)=272.2
【0091】
ステップD:HOAc(2mL)を含む50mLのEtOH中、ステップCによるニトロスルホンアミド(2.7g、mmol)および0.15gの10%Pd/Cの溶液を、水素ガスバルーンを付けて室温で12時間攪拌した。混合物をCeliteのパッドを通して濾過し、濃縮し、シリカゲルで精製(100%EtOAc)して2.05gの所望のアニリンを得た。H NMR(CDOD)δ7.29(s,1H)、7.26(s,1H)、6.95(s,1H)、3.87(s,3H)、3.27(sm 3H)、2.89(s,3H)。LCMS(M+H)=258.2
【0092】
ステップE:12.5mLのアセトニトリルに0.32g(1.3mmol)のステップDによるアニリン、0.33g(2.5mmol)の1−ブロモ−2−ブチン、および0.35g(2.5mmol)のKCOを含む溶液を4時間加熱還流した。反応混合物を冷却し、60mLのHOで希釈した。混合物をEtOAc(3×60mL)で抽出した。有機物を合わせて塩水(60mL)で洗い、次に、乾燥した(MgSO)。溶剤を真空で除去し、シリカゲルクロマトグラフィー(20%〜50%EtOAc:Hex)により精製し、160.0mgのアルキニルアニリンを得た。LCMS(M+H)=311.2
【0093】
ステップF:3mLのMeOHに83mg(0.27mmol)のステップEによるアルキニルアニリンを含む溶液を、触媒量のリンドラー触媒で処理し、水素雰囲気下に室温で10分間攪拌した。シリカゲルを詰めたものを通して反応物を濾過し、真空で溶剤を除去した。逆相HPLCにより精製し、38mgのZ−アルケニルアニリンを得た。LCMS(M+H)=313.2
【0094】
ステップG:2.5mLのEtOAcに38mg(0.12mmol)のステップFによるZ−アルケニルアニリンを含む0℃の溶液を、58mg(1.3mmol)の新たに調製されたジアゾメタンおよび触媒量の酢酸パラジウムで処理し、0℃で15分間攪拌した。シリカゲルを詰めたものを通して反応物を濾過した。溶剤を蒸発させて、34.0mgのメチルシクロプロピルメチルアニリンを得た。LCMS(M+H)=327.2
【0095】
ステップH:5mLのTHF:MeOH(1:1)中、34mg(0.10mmol)のステップGによるメチルシクロプロピルメチルアニリンに、2NのNaOH(0.15mL、0.30mmol)を加えた。この溶液を50℃に1時間加熱した。冷却した後、1NのHCl(20mL)を添加することにより溶液を酸性にし、EtOAc(3×30mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて、MgSOで乾燥し、濾過し、真空で濃縮して、0.020gの所望のカルボン酸を得た。LCMS(M+H)=313.2
【0096】
ステップI:5mLのDCMに、31.3mg(0.10mmol)のステップHによるカルボン酸、37.6mg(0.1mmol)の中間体ジアミンII、44.4mg(0.1mmol)のBOP試薬および0.076mL(0.44mmol)のヒューニッヒ塩基を含む溶液を、室温で1時間攪拌した。溶剤を蒸発させ、残留物を逆相クロマトグラフィーにより精製して、35mgの表題の化合物を白色固体として得た。H NMR(CDOD)δ7.32〜6.98(m,8H)、4.59(m,1H)、4.14〜4.07(m,1H)、3.84(m 1H)、3.36(s,3H)、3.33(m,2H)、3.31(s,3H)、3.24〜3.07(m,2H)、3.01(m,2H)、2.92(m,3H)、2.03(m,2H)、1.87〜1.63(m,4H)、1.25(m,1H)、1.07(m,2H)、0.97(m,3H)、0.92(d,J=6.6Hz,6H)、0.83〜0.76(m,1H)。LCMS(M+H)=600.32
【実施例3】
【0097】
【化23】

【0098】
ステップA:0℃のトリフリック酸(100mL)中の3−ニトロ安息香酸エステル(35.3g、195mmol)に、NIS(43.8g、195mmol)を10回に分けて加えた。氷浴を取り除き、48時間攪拌する。反応は通常、50%完了するまで進める。この時点で、さらにNISを加えてもよく、あるいは、0℃に冷却し、注意しながら水を滴下して加えて止める。混合物をEtOAc(250mL)で3回抽出し、合わせた抽出物を10%のNaHCO溶液で、次に、水で洗った。有機物をNaSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルで精製(へキサン中10%のEtOAc)して24.1gを得た。
【0099】
ステップB:EtOH(50mL)中の塩化スズ(88.6g、392mmol)を還流し、1:1のTHF:EtOH(100mL)中のステップAによるニトロ安息香酸エステル(24.1g、78.4mmol)を滴下した。反応混合物を30分間還流し、次に、0℃に冷却した。得られた溶液をNaCO水溶液によりpH8〜9の塩基性にした。水性層をEtOAc(700mL)で3回抽出し、合わせた抽出物を飽和NaHCOで、次に、塩水で洗った。有機物をNaSOで乾燥し、濃縮して、21.7gの粗アニリンを得て、それをさらに精製することなく用いた。
【0100】
ステップC:3:1のCHCl:ピリジン(75mL)中の、ステップBによるアニリン(21.7g、78.3mmol)の0℃の溶液に、塩化メタンスルホニル(6.36mL、82.2mmol)を加えた。15分後に氷浴を取り除き、溶液を室温で一夜攪拌した。反応混合物を数回、1NのHClで抽出した。有機相を乾燥し、濃縮し、クロマトグラフィー(1:1のEtOAc:Hex)にかけて、25.2gの所望のスルホンアミドを白色固体として得た。
【0101】
ステップD:0℃のDMF(75mL)中のステップCによるスルホンアミド(23.6g、66.5mmol)を、60%のNaH(2.92g、73.1mmol)で処理した。この溶液を30分間攪拌し、その後、MeI(4.55mL、73.1mmol)を加えた。氷浴を取り除き、溶液を室温で12時間攪拌した。反応を飽和NHCl溶液で止め、EtOAc(150mL)で3回抽出した。有機物を合わせて、水(5×50mL)で洗い、乾燥し、濃縮して、25.3gの所望のメチル化アニリドを得て、それをさらに精製することなく使用した。
【0102】
ステップE:トランス−2−メチルシクロプロパンメタノール(7.0g、81mmol)を、CHCl(225mL)中のPCC(28g、130mmol)の溶液に加えた。この溶液は黒くなり、それを室温で3時間攪拌した。反応混合物をエーテル(250mL)で希釈し、デカンテーションした。Florisilを4インチ詰めたものを通してこの液体溶液を濾過し、Vigreuxカラムを通して蒸留することにより溶剤を除去して、10gの所望のアルデヒドを得た。
【0103】
ステップF:CHCl(100mL)中のPPh(12.4g、47.5mmol)の0℃の溶液に、CBr(7.88g、23.7mmol)を加えた。反応混合物を10分間攪拌し、次に、ステップEによるカルボキシアルデヒド(1.0g、12mmol)で処理した。この溶液を0℃で30分間、次に、室温で1時間攪拌した。ヘキサンを加え、固体を濾過し、濾液を濃縮して、4.4gの二臭化物を得た。
【0104】
ステップG:−78℃のシクロヘキサン(60mL)中のステップFによる二臭化物(15.4g、64.1mmol)を、シクロヘキサン中2.0Mのn−BuLi(64.1mL,128mmol)で処理した。得られた反応混合物を、−78℃で1時間攪拌し、次に、室温まで温め、2時間攪拌した。反応を水で止め、シクロヘキサン(3×25mL)で抽出した。生成物を蒸留することにより精製した(bp=69〜72C)。
【0105】
ステップH:100mLの三口丸底フラスコに、InCl(0.829g、10.4mmol)を入れ、ヒートガンを用いて真空下に2分間乾燥した。THF(16mL)を窒素の下で加え、−78℃の氷浴にフラスコを浸漬した。次に、DIBAL−H(12.4mL、ヘキサン中1M)を滴下して加え、得られた溶液を−78℃で30分間攪拌した。この時間の後に、ステップGによるアセチレン(10.4mmol)を、次に、1.0MのEtB(1.6mL、ヘキサン中1M)を加えた。この反応混合物を、−78℃で2.5時間攪拌し、次に、室温まで温めた。DMI(12mL)およびステップDによるヨウ化アリール(1.47g、4.0mmol)を、次に、パラジウムトリフリルホスフィン錯体[THF(6mL)中で、Pd(DBA)CHCl(20mg)とトリフリルホスフィン(28mg)から調製した]を加えた。得られた反応混合物を60℃で2時間加熱し、水で止め、エーテル(3×50mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて乾燥し、濃縮し、生成物をキラルOJカラム(60:40 ヘキサンw/0.1%TFA:EtOH)で精製した。第1ピークを集めて、276mgの所望のジアステレオマーを得た。
【0106】
ステップI:10mLのTHF:MeOH:水(3:1:1)中、276mg(0.853mmol)のステップHによるエステルに、2NのNaOH(0.64mL、1.28mmol)を加えた。この溶液を室温で2時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、2NのHCl(10mL)で酸性にし、CHCl(3×20mL)で抽出した。有機抽出物を合わせてMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、253mgの所望のカルボン酸を得た。LCMS(M+H)=310.12
【0107】
ステップJ:3mLのDCMに、8.0mg(0.026mmol)のステップIによるカルボン酸、10.6mg(0.031mmol)の中間体ジアミンIV、11.4mg(0.026mmol)のBOP試薬および0.026mL(0.11mmol)のヒューニッヒ塩基を含む溶液を、室温で1時間攪拌した。溶剤を蒸発させ、残留物を逆相クロマトグラフィーで精製して、17.6mgの表題の化合物を白色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl)δ57.95(bd,H)、7.62〜7.57(m,3H)、733〜7.22(m,4H)、6.74(s,1H)、6.21(d,1H)、5.15(dt,1H)、4.66(m,1H)、3.96(bd,1H)、3.48〜3.39(m,4H)、3.09〜2.95(m,5H)、2.86(s,1H)、1.56〜1.44(m,5H)、1.(m,2H)、1.12〜1.11(d,3H)、0.92〜0.84(n,7H)、0.66〜0.62(m,2H)。LCMS(M+H)=569.2
【0108】
以下の化合物を、適切な出発物質と試薬を用いて、前記実施例の表題の化合物と同様にして調製した。
【0109】
【表1】





【0110】
本発明が、その特定の実施形態を参照して説明され例示されたが、当業者ならば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、手順およびプロトコルに関する様々な適応、変更、修正、置換、削除、または付加がなされ得ることを理解するであろう。したがって、本発明は特許請求の範囲により定められ、このような特許請求の範囲は可能な限り広く解釈されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物および薬学的に許容されるその塩。
【化1】

[式中、
は、以下からなる群:
(1)C1〜6アルキル(非置換であるか、または−ORもしくは−S(O)−C1〜6アルキルにより置換されている。)、
(2)水素、
(3)フェニル、および
(4)ベンジル
から選択され;
は、以下からなる群:
(1)水素、
(2)R−S(O)−、
(式中、Rは、以下からなる群:
(a)−C1〜6アルキル(非置換であるか、または1〜6個のフルオロにより置換されている。)、
(b)フェニル、および
(c)ベンジル
から独立に選択される。)
(3)R−S(O)N(R)−、
(式中、Rは、以下からなる群:
(a)水素、
(b)−C1〜6アルキル(非置換であるか、または1〜6個のフルオロにより置換されている。)、
(c)−C3〜6シクロアルキル(非置換であるか、またはメチルにより置換されている。)、
(d)フェニル(非置換であるか、またはハロもしくはメトキシにより置換されている。)、および
(e)ベンジル
から独立に選択される。)
(4)−CN、
(5)−C1〜6アルキル−CN、
(6)ハロゲン、
(7)次の式:
【化2】

(式中、R8aおよびR8bは以下からなる群:
(a)水素、
(b)−CN、
(c)ハロ、
(d)−C1〜6アルキル、
(e)−O−R
(f)−S−R
(g)−CO、および
(h)テトラゾリル
から独立に選択される。)
(8)次の式:
【化3】

(式中、nは、1、2、3もしくは4である。)
から選択され;
は、以下からなる群:
【化4】

から選択され;
6a、R6b、およびR6cは、以下からなる群:
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)−OR
(4)−SR、および
(5)−C1〜6アルキル
から独立に選択され;
は、結合、−CH=CH−、−O−、−S−、および、−NH−からなる群から選択され;
およびR10は、以下からなる群:
(1)水素、
(2)C1〜6アルキル(非置換であるか、または−CNもしくは1〜4個のハロにより置換されている。)、
(3)−C3〜6シクロアルキル、
(4)フェニル(非置換であるか、またはハロもしくはメトキシにより置換されている。)、および
(5)ベンジル
から独立に選択されるか、あるいは、RおよびR10は、一緒になって、ピロリジンもしくはピペリジン環(非置換であるか、またはベンジル、−ORもしくは1〜4個のハロにより置換されている。)を形成していてもよく;
mは、独立に、0、1、もしくは2であり;
pは、独立に、0、1、もしくは2である。]
【請求項2】
がC1〜6アルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がメチルである請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
がエチルである請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、R−S(O)−NR
(式中、R、以下からなる群:
(4)C1〜6アルキル、
(5)フェニル、および
(6)ベンジル
から選択され;
は、以下からなる群:
(5)C1〜6アルキル、
(6)フェニル、
(7)ベンジル、および
(8)水素
から選択される。)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が、次の式:
【化5】

(式中、Rはメチルであり、R6aはHもしくはFであり、R6bおよびR6cは水素である。)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が、次の式:
【化6】

である請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が水素である請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
10がC1〜6アルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
10がイソ−ブチルである請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
以下からなる群:
【化7】





から選択される化合物および薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項12】
治療に有効な量の請求項1に記載の化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項13】
治療に有効な量の請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩を、それを必要としている哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物におけるβ−セクレターゼ活性の抑制方法。
【請求項14】
治療に有効な量の請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の患者への投与を含む、患者におけるアルツハイマー病の治療方法。
【請求項15】
治療に有効な量の請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の患者への投与を含む、患者におけるアルツハイマー病の危険を防止、制御、改善、または低減する方法。

【公表番号】特表2007−516207(P2007−516207A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518678(P2006−518678)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/020234
【国際公開番号】WO2005/004802
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】