説明

アルツハイマー病を処置するための新しい治療アプローチ

本発明は、アルツハイマー病及び関連疾患の処置のための組成物及び方法に関する。更に具体的には、本発明は、アルツハイマー病及び関連疾患の新規な併用療法に関する。詳しくは、本発明は、単独で又は組合せで、シナプス機能及び/又は血管新生及び/又は細胞ストレス応答を効果的に調節することができる化合物に関する。本発明はまた、アルツハイマー病を処置するための薬剤又は薬剤の組合せを製造する方法、及びアルツハイマー病又は関連疾患を処置する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、アルツハイマー病(AD)及び関連疾患の処置のための組成物及び方法に関する。更に具体的には、本発明は、アルツハイマー病及び関連疾患の新規な併用療法に関する。詳しくは、本発明は、単独で又は組合せで、シナプス機能及び/又は血管新生及び/又は細胞ストレス応答を効果的に調節することができる化合物に関する。本発明はまた、アルツハイマー病を処置するための薬剤又は薬剤の組合せを選択する方法、及びアルツハイマー病又は関連疾患を処置する方法に関する。
【0002】
発明の背景
ADは、皮質連合野の障害に起因する、不全失語症(会話及び会話の理解に障害のある言語障害)、統合運動障害(運動又は感覚障害がないが、ある種の意図的動作及び身ぶりを統合及び遂行する能力を欠くこと)及び失認症(物体、人間、音、形状、又は匂いを認識する能力)を伴う記憶欠損を特徴とする原型的な皮質認知症である。痙性不全対麻痺(下肢に影響する衰弱)のような特定の症状を伴うこともある(1-4)。
【0003】
アルツハイマー病の発生は、年齢と共に劇的に増加する。ADは、今のところ認知症の最も多い原因である。これは、進行が遅く、かつ末期患者を寝たきりにし、失禁させ保護型ケアに依存させる、認知機能の全体的な減退を臨床的な特徴とする。診断後平均9年で死に至る(5)。
【0004】
ADの発生率は、年齢と共に劇的に上昇する。国連の人口予測は、80歳を超える人数が2050年までに3億7千万人に迫ると推定している。目下、年齢85歳を超える人の50%がADを患っていると推定される。したがって、50年間で全世界の1億人を超える人が認知症を患うことになる。絶え間ないケアや他のサービスを必要とする莫大な数の人間が、医療資源、財源及び人材に重大な影響を及ぼすだろう(6)。
【0005】
記憶障害は、本疾患の初期の特徴であり、そしてエピソード記憶(毎日の出来事に関する記憶)に関係する。意味記憶(言葉及び視覚の意味に関する記憶)は、疾患のもっと後期に関与する。対照的に、作業記憶(一時的に情報を保存及び操作するために使用される構造及びプロセスを含む短期記憶)及び手続記憶(技能及び手続の長期記憶である無意識的記憶)は後期まで維持される。疾患が進行するにつれ、言語障害、視知覚欠損及び視空間欠損、失認症並びに失行症が出現する。
【0006】
アルツハイマー病の典型像は充分に特徴的であるため、約80%の症例で同定できる(7)。それにもかかわらず、臨床的不均一性が生じ、そしてこれは、臨床管理について重要であるだけでなく、機能的に様々な形に対する特異的な薬物療法に更なる意味あいを与える(8)。
【0007】
ADの病理学的特徴は、β−アミロイド(Aβ)を含有するアミロイド斑、タウを含有する神経原線維変化(NFT)並びにニューロン及びシナプスの機能不全及び脱落を包含する(9-11)。最近の10年間、ADの原因について2つの主要な仮説が提唱されている:「アミロイドカスケード仮説」(神経変性プロセスが、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の異常プロセシングにより引き起こされる一連の事象であるとする)(12)、及び「神経細胞骨格変性仮説」(13)(細胞骨格の変化が、引き金となる事象であると提唱する)。ADの進行を説明する最も広く受け入れられている理論は、依然としてアミロイドカスケード仮説であり(14-16)、そしてAD研究者は主に、Aβタンパク質に関連する毒性の根拠をなす機序を求めることに集中している。一方、タウタンパク質は、基礎的及び実用的懸念の両方のため、製薬業界から受ける注目はアミロイドに比べてはるかに少ない。更には、シナプス密度変化は、他の2つに比べて認知障害と最もよく相関する病変である。研究により、アミロイド病変は、神経伝達物質特異的(ここで、コリン作動性末端が最も受けやすく、続いてグルタミン作動性末端、そして最後にはGABA作動性末端が受けやすいと考えられる)に進行するようであることが明らかになった(11)。
【0008】
発明の要約
本発明の目的は、AD及び関連疾患を処置するための新しい治療アプローチを提供することである。
【0009】
本発明者らは、単独で又は組合せで、ADに関与する経路に効果的に影響を及ぼすことができ、かつAD及び関連疾患の処置のための新しく有効な治療法の典型となる、幾つかの薬剤を同定した。
【0010】
よって本発明は、AD及び関連疾患を処置するための新規な組成物及び方法を提供する。
【0011】
更に詳しくは、本発明は、アミノカプロン酸、アカンプロセート、アムロジピン、アルガトロバン、バクロフェン、シロスタゾール、シナカルセト、クロピドグレル、ダイフィリン、フェノルドパム、レフルノミド、メパクリン、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、リファブチン、スルフイソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン、シンナリジン、シクロピロックス、エプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、カルバマジン、アモバルビタール、セフォテタン、四硝酸エリスリチル、メチクロチアジド、リセドロネート、エンプロフィリン、オクストリフィリン、パラメタジオン、セフメノキシム、アプリンジン、エトミデート、ミチグリニド、ベニジピン、レボシメンダン及びゾニサミド、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤よりなる群から選択される、少なくとも2種の化合物の組合せを含む、アルツハイマー病又は関連疾患の処置に使用するための組成物に関する。
【0012】
本発明の更に別の目的は、アミノカプロン酸、アカンプロセート、アムロジピン、アルガトロバン、バクロフェン、シロスタゾール、シナカルセト、クロピドグレル、ダイフィリン、フェノルドパム、レフルノミド、メパクリン、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、リファブチン、スルフイソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン、シンナリジン、シクロピロックス、エプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、カルバマジン、アモバルビタール、セフォテタン、四硝酸エリスリチル、メチクロチアジド、リセドロネート、エンプロフィリン、オクストリフィリン、パラメタジオン、セフメノキシム、アプリンジン、エトミデート、ミチグリニド、ベニジピン、レボシメンダン及びゾニサミド、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤よりなる群から選択される、少なくとも2種の化合物の組合せを含む、同時投与、個別投与又は連続投与のための組成物に関する。
【0013】
最も好ましい薬剤の組合せは、2、3、4又は5種の、更に好ましくは2又は3種の異なる薬剤を含む。更に、上記薬剤の組合せはまた、現在ADに使用される追加の薬剤又は処置法と更に組合せて使用してもよい。
【0014】
本発明はまた、アルツハイマー病又は関連疾患を処置する方法であって、処置を必要とする対象に上記に開示される薬剤の組合せを同時に、個別に又は連続して投与することを含む方法に関する。
【0015】
本発明の更に別の目的は、アルツハイマー病又は関連疾患を処置する方法であって、処置を必要とする対象に、シナプス機能を調節する薬剤の組合せ及び/又は血管新生を調節する薬剤及び/又は細胞ストレス応答を調節する薬剤を同時に、個別に又は連続して投与することを含む方法である。
【0016】
本発明の更に別の目的は、アルツハイマー病又は関連疾患を処置するための薬剤の製造方法であって、シナプス機能及び血管新生及び細胞ストレス応答に及ぼす活性について候補薬剤を試験する工程、並びにシナプス機能を向上させ、血管新生調節異常を軽減し、そして細胞ストレス応答を調節する候補薬剤を選択する工程を含む方法に存在する。
【0017】
本発明は更に、アルツハイマー病又は関連疾患を処置するための組成物の製造方法であって、シナプス機能を調節する薬剤及び/又は血管新生調節異常を軽減する薬剤及び/又は細胞ストレス応答を調節する薬剤の、処置を必要とする対象への同時投与、個別投与又は連続投与のための組合せを調製することを含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】β−アミロイド中毒ラット初代皮質ニューロン培養物の神経突起伸長に及ぼす選択薬剤の作用。
【表1】


ビヒクルと有意な差がある。:p<0.05;****:p<0.0001:Aβ25−35と有意な差がある。両側スチューデントt検定。Aβ25−3520μMは、ビヒクル処理ニューロンに比較して有意な中毒(25%超)を起こす。この中毒は、アカンプロセート(図1A)又はゾニサミド(図1B)のいずれかにより有意に阻止される。
【図2】β−アミロイド中毒ラット初代皮質ニューロン培養物の神経突起伸長に及ぼすフェンホルミンの作用。
【表2】


ビヒクルと有意な差がある。**:p<0.001:Aβ25−35と有意な差がある。両側スチューデントt検定。Aβ25−3520μMは、ビヒクル処理ニューロンに比較して有意な中毒(25%超)を起こす。この中毒は、フェンホルミンにより有意に阻止される。
【図3】ラット脳内皮細胞からのLDH放出に及ぼすβ−アミロイドペプチド毒性に対する選択薬剤の保護作用。
【表3】


ビヒクルと有意な差がある。**:p<0.01;***:p<0.0001;****:p<0.00001:Aβ25−35と有意な差がある。両側スチューデントt検定。Aβ25−3530μMは、わずかであるが有意な中毒を起こす(図3A〜D)。この中毒は、レフルノミド(図3A)、テルビナフィン(図3B)、スルフイソキサゾール(図3C)又はバクロフェン(−)(図3D)により有意に阻止される。更に、レフルノミド及びテルビナフィンは、アミロイドの有害作用を阻止するだけでなく、培地中の細胞の自然死も減少させる。
【図4】β−アミロイド中毒後のNGF分化PC12生存率に及ぼす選択薬剤の作用。
【表4】


ビヒクルと有意な差がある。**:p<0.01;***:p<0.0001:Aβ25−35と有意な差がある。両側スチューデントt検定。Aβ25−3510μMは、ビヒクル処理ニューロンに比較して有意な中毒(25%超)を起こす(図4A及び4B)。この中毒は、プリロカイン(図4A)又はアムロジピン(図4B)により有意に阻止される。
【図5】β−アミロイド中毒ラット初代皮質ニューロン培養物のLDH放出に及ぼす選択薬剤の作用。
【表5】


ビヒクルと有意な差がある。:p<0.05;***:p<0.001:Aβ25−35と有意な差がある。両側スチューデントt検定。Aβ25−3520μMは、ビヒクル処理ニューロンに比較して有意な中毒(25%超)を起こす(図5A及びB)。この中毒は、ゾニサミド(図5A)又はスルフイソキサゾール(図5B)又はレフルノミド(図5C)のいずれかにより有意に阻止される。
【図6】HBMECのヒトAβ1−42損傷に対する選択薬剤前処理の作用。A)薬剤スクリーニングに使用された実験モデルの検証:10nMでの1時間のVEGF前処理により、このアミロイド損傷から毛細管網を有意に保護した(アミロイド中毒に比較して+78%の毛細管網)。:p<0.05:対照(中毒なし)と有意な差がある。
【表6】


アミロイド中毒と有意な差がある(ANOVA+ダネットのポストホック(Dunett Post-Hoc)検定)。中毒は、それぞれ図6B、図6C、図6D、図6E、図6F、図6G、図6Hの用量反応実験において示されるように、スルフイソキサゾール、レボシメンダン、テルビナフィン、バクロフェン、アミノカプロン酸、スロデキシド、又はフェノルドパムにより有意に阻止される。
【表7】


次の用量と有意な差がある。:p<0.05:アミロイド中毒と有意な差がある(ANOVA+ダネットのポストホック検定)。
【図7】ヒトAβ1−42中毒ラット初代皮質細胞のLDH放出に及ぼす選択薬剤前処理の作用。A)薬剤スクリーニングに使用された実験モデルの検証:1時間のBDNF(50ng/ml)前処理により、このアミロイド損傷からニューロンを有意に保護した(−62%)が、これを神経保護の陽性対照と考える。:p<0.05:対照(中毒なし)と有意な差がある。
【表8】


アミロイド中毒と有意な差がある(ANOVA+ダネットのポストホック検定)。全ての実験について、Aβ1−42は、ビヒクル処理ニューロンに比較して有意な中毒を起こす。この中毒は、バクロフェン(−86%)(B)、スルフイソキサゾール(−42%)(C)、レボシメンダン(−133%)(D)、エトミデート(−50%)(E)、カルベノキソロン(−39%)(F)、及びシンナリジン(−50%)(G)により有意に阻止される。全ての実験について、
【表9】


Aβ1−42中毒と有意な差がある(ANOVA+ダネットのポストホック検定)。
【図8】β−アミロイド中毒HBMEC培養物の毛細管網の全長に及ぼすスルフイソキサゾールとレボシメンダンの併用療法の作用。
【表10】


Aβ1−42と有意な差がある。:p<0.05、ビヒクルと有意な差がある。ANOVA+ダネットのポストホック検定。凝集ヒトアミロイドペプチド(Aβ1−422.5μM)は、ビヒクル処理ニューロンに比較して有意な中毒(40%超)を起こす。この中毒は、スルフイソキサゾールとレボシメンダンの併用により有意に阻止される(A)が、この濃度で、レボシメンダン(B)及びスルフイソキサゾール(C)単独では、中毒に及ぼす有意な作用はない。
【図9】β−アミロイド中毒HBMEC培養物の毛細管網の全長に及ぼすスルフイソキサゾールとテルビナフィンの併用療法の作用。
【表11】


Aβ1−42と有意な差がある。:p<0.05、ビヒクルと有意な差がある。ANOVA+ダネットのポストホック検定。凝集ヒトアミロイドペプチド(Aβ1−422.5μM)は、ビヒクル処理ニューロンに比較して有意な中毒(40%超)を起こす。この中毒は、スルフイソキサゾールとテルビナフィンの併用により有意に阻止される(A)が、この濃度で、スルフイソキサゾール(B)及びテルビナフィン(C)単独では、中毒に及ぼす有意な作用はない。
【図10】β−アミロイド中毒HBMEC培養物の毛細管網の全長に及ぼすバクロフェンとレボシメンダンの併用療法の作用。
【表12】


Aβ1−42と有意な差がある。:p<0.05、ビヒクルと有意な差がある。ANOVA+ダネットのポストホック検定。凝集ヒトアミロイドペプチド(Aβ1−422.5μM)は、ビヒクル処理ニューロンに比較して有意な中毒(40%超)を起こす。この中毒は、バクロフェンとレボシメンダンの併用により有意に阻止される(A)が、この濃度で、レボシメンダン(B)及びバクロフェン(C)単独では、中毒に及ぼす有意な作用はない。
【図11】β−アミロイド中毒HBMEC培養物の毛細管網の全長に及ぼすテルビナフィンとアミノカプロン酸の併用療法の作用。
【表13】


Aβ1−42と有意な差がある。:p<0.05、ビヒクルと有意な差がある。ANOVA+ダネットのポストホック検定。凝集ヒトアミロイドペプチド(Aβ1−422.5μM)は、ビヒクル処理ニューロンに比較して有意な中毒(40%超)を起こす。この中毒は、テルビナフィンとアミノカプロン酸の併用により有意に阻止される(A)が、この濃度で、アミノカプロン酸(B)及びテルビナフィン(C)単独では、中毒に及ぼす有意な作用はない。
【図12】β−アミロイド中毒HBMEC培養物の毛細管網の全長に及ぼすアミノカプロン酸とレボシメンダンの併用療法の作用。
【表14】


Aβ1−42と有意な差がある。:p<0.05、ビヒクルと有意な差がある。ANOVA+ダネットのポストホック検定。凝集ヒトアミロイドペプチド(Aβ1−422.5μM)は、ビヒクル処理ニューロンに比較して有意な中毒(40%超)を起こす。この中毒は、レボシメンダンとアミノカプロン酸の併用により有意に阻止される(A)が、この濃度で、アミノカプロン酸(B)及びレボシメンダン(C)単独では、中毒に及ぼす有意な作用はない。
【図13】β−アミロイド中毒HBMEC培養物の毛細管網の全長に及ぼすテルビナフィンとレボシメンダンの併用療法の作用。
【表15】


Aβ1−42と有意な差がある。:p<0.05、ビヒクルと有意な差がある。ANOVA+ダネットのポストホック検定。凝集ヒトアミロイドペプチド(Aβ1−422.5μM)は、ビヒクル処理ニューロンに比較して有意な中毒(40%超)を起こす。この中毒は、テルビナフィンとレボシメンダンの併用により有意に阻止される(A)が、この濃度で、テルビナフィン(B)及びレボシメンダン(C)単独では、中毒に及ぼす有意な作用はない。
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、AD又は関連疾患を処置するための新しい治療アプローチを提供する。本発明は、このような疾患の有効な矯正を可能にし、かつ患者の処置に使用することができる、薬剤又は薬剤の組合せの新規な使用を開示する。
【0020】
「AD関連疾患」という用語は、AD型の老年性認知症(SDAT)、パーキンソン病、レビー小体認知症、血管性認知症、軽度認知障害(MCI)、加齢に伴う記憶障害(AAMI)及び加齢に伴う問題、脳炎後パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)並びにダウン症候群を包含する。
【0021】
本明細書において使用されるとき、疾患の「処置」は、疾患により引き起こされる症状の治療、阻止、予防、妨害又は縮小を包含する。処置という用語は、特に疾患の進行及び随伴症状の制御を包含する。
【0022】
「向上させる」という用語は、これがシナプス機能に言及するとき、対象の既存の機能に比較したシナプス機能の何らかの増大を包含する。このような向上は、回復、即ち、正常レベルへの回復、又はもっと小さな増大(それでも患者の症状を改善するのに充分である)を包含することができる。このような向上は、実験の項に記載されるような、既知の生物学的試験法を用いて評価又は検証することができる。
【0023】
「増大させる」という用語は、これが血管新生に言及するとき、対象の既存のレベルに比較した血管新生の何らかの増大を包含する。このような向上は、回復、即ち、正常レベルへの回復、又はもっと小さな増大(それでも患者の症状を改善するのに充分である)を包含することができる。このような増大は、実験の項に記載されるような、既知の生物学的試験法を用いて評価又は検証することができる。
【0024】
「阻害する」という用語は、これが細胞ストレス応答(「CSR」)に言及するとき、対象の既存の活性に比較したCSRの何らかの縮小を包含する。このような縮小は、部分的減少、例えば、5〜20%(患者の症状を改善するのに充分である)の減少、更にはもっと実質的な縮小、例えば、20〜50%の縮小又はより完全な阻害、例えば、50%超の阻害を包含することができる。このような阻害は、実験の項に記載されるような、既知の生物学的試験法を用いて評価又は検証することができる。
【0025】
また、本発明に即しての特定の化合物の指定は、具体的に名指しされた分子だけでなく、その任意の純度の薬学的に許容しうる塩、水和物、エステル、エーテル、異性体、ラセミ体、結合体、又はプロドラッグを包含するものである。
【0026】
「併用又は組合せ処置/療法」という用語は、ある生物学的作用を引き起こすために少なくとも2種以上の薬剤を対象に共に投与する処置を指す。本発明の併用療法では、少なくとも2種の薬剤を一緒に又は個別に、同時に又は連続して投与することができる。また、少なくとも2種の薬剤は、異なる経路及びプロトコールにより投与することができる。結果として、これらは、一緒に製剤化することも、組合せる薬剤を個別に製剤化することもできる。
【0027】
上述のとおり、本発明は、処置を必要とする対象のアルツハイマー病又は関連疾患を処置するための、シナプス機能を向上させるか、かつ/又は血管新生を増大させるか、かつ/又は細胞ストレス応答を阻害する特定の薬剤又は薬剤の組合せを用いる、組成物及び方法に関する。
【0028】
アルツハイマー病の様々な側面並びに細胞シグナル伝達及び機能的経路に存在する関連性を説明する、細胞生物学的研究、発現プロファイリング実験及び遺伝関連研究の結果を対象とする実験データの包括的な統合により、本発明者らは、シナプス機能、血管新生及び細胞ストレス応答が、ADを有する対象において変化した重要な機序を示すことを見い出した。更なる実験的調査により、本発明者らは、実施例に例示されるように、これらの経路を効果的に変化させ、そしてADを効果的に改善する、薬剤又は薬剤の組合せを選択した。よってこれらの薬剤及び組合せは、AD及び関連疾患を処置する新規なアプローチを代表する。
【0029】
該機能的ネットワークに位置し、かつアルツハイマー病に関与する遺伝子は、以下の基準により選択した:
(1) アルツハイマー病の家族性症例の原因遺伝子との直接相互作用(APP、ApoE、プレセニリン、タウタンパク質)、
(2) 基準(1)により選択される遺伝子の機能的パートナー、
(3) 基準(2)により選択される遺伝子の最も近い機能的パートナー。
【0030】
このプロセスを通して、本発明者らは、シナプス機能、血管新生及び細胞ストレス応答を担うネットワークが、アルツハイマー病において悪影響を受ける主要な機能的ネットワークであることを立証した。
【0031】
本発明者らは、更に具体的には、シナプス脱落が、最終的には進行性の認知低下、記憶欠損及び認知症に至る、アルツハイマー病の機能的に関連のある特徴であることを立証した。重要なことに、シナプス脱落は、神経原線維変化の進行又はアミロイド斑の沈着中に現れる他のAD特異的な細胞病変マーカーに比較して、認知障害を特徴とするアルツハイマーの病理とよく相関する。結果として、シナプス組織化及びシナプス可塑性は、アルツハイマー病に即しての治療的介入のための重要な標的を表す。
【0032】
APPタンパク質は、軸索輸送され、そしてシナプス前終末でプロセシングされるため、シナプスにAβが高度に蓄積する。Aβ42のオリゴマー、更にはアミロイド斑自体は、長期増強を阻害するために重要であり、そしてそもそもAD患者の記憶障害を担っている。
【0033】
我々のデータ統合手順によって、ADにおけるシナプスの歪みに関与し、そして形式的に3つの主要な機能的群(シナプス後肥厚部(「PSD」)の組織化及びシナプス後膜での正確な神経シグナル伝達に関与しているタンパク質;神経伝達物質放出を確実にするタンパク質;並びに軸索成長及びシナプス機構の発達による成熟に関与するタンパク質)に分離することができる、一群の遺伝子が明らかになった。
【0034】
特定の実施態様において、本発明は、このようにADの効率的処置には、シナプス後肥厚部に関与するタンパク質の活性を向上させることが重要であることを認める。
【0035】
我々の解析により同定された遺伝子の中で、MAGUKファミリータンパク質をコードして、クラスター化した膜結合受容体、細胞接着分子及びアクチン系細胞骨格の間に接合部を作り出す、DLG2遺伝子が特に興味深い(17-18)。本発明者らは、興奮性シナプスでDLG2タンパク質又はDLG2/PSD95タンパク質複合体と直接相互作用し、そのためアルツハイマー病を処置するための治療標的として認識できる、イオンチャネル型/代謝型グルタミン酸及び成長因子受容体の大集団を同定した。
【0036】
別の特定の実施態様において、本発明はまた、このようにADの効率的処置には、シナプス前膜の神経伝達物質放出の調節に関与するタンパク質の活性を向上させることが重要であることを認める。
【0037】
シナプス前細胞膜の制限され高度に特殊化した活性帯での神経伝達物質の放出は、活動電位により引き起こされ、そして電位依存性のカルシウムCaチャネル、MaxiK/BKチャネル(大コンダクタンス型カルシウム活性化カリウムチャネル)及びcGMP依存性PRKGプロテインキナーゼ(これらは全て、我々の解析により証明されるところではアルツハイマー病の進行と密接に関連している)の複合作用により制御される。神経伝達物質放出に関係するこれらの機能性モジュールに加えて、本発明者らは、アルツハイマー病の経過でシナプスの神経伝達の調節異常に関係している、別の群のタンパク質を明らかにしたが、これらは、シナプス小胞の成熟、ドッキング及び融合を担っている(例えば、STX2、STXBP6、BIN1、RAB3B、UNC13C及びRIMS1/2足場タンパク質)。よってこれらの機能的経路に、アルツハイマー病の処置のための適切な治療標的として優先順位をつけた。
【0038】
別の特定の実施態様において、本発明は更に、ADの効率的処置には、軸索成長及びガイダンスの調節に関与するタンパク質の活性を向上させることが重要であることを認める。
【0039】
軸索成長及びガイダンスの調節に関与するタンパク質により、神経前駆細胞及び軸索は、正しい位置及び結合性を確保するために適正な目的地に向かって遊走できる;これらのタンパク質はまた、新規樹立シナプスの発達による成熟、更にはAD疾患における軸索及びシナプスの分解にも関与する。このようなプロセスは、認知機能の遂行に基本的な役割を果たしており、Aβ沈着の毒性作用に対して極めて脆弱であると考えられる。
【0040】
軸索成長及びガイダンスの連続工程は、細胞外の又は膜に係留したネトリン(Netrin)、セマフォリン(Semaphorin)、エフリン(Ephrin)、DLL及びスリット(Slit)分子並びにそのそれぞれの機能的受容体(これらの多くは、我々のデータマイニングアプローチにより明らかになった)の複合作用により厳重に制御される。多くの軸索成長の受容体の活性化の機能的成果は、小さいGTPアーゼのRhoA、Rac1及びCdc42の活性を別個に調節するこれらの能力と密接に関係しているが、ここでRhoA GTPアーゼは、主として神経突起退縮及び成長円錐の崩壊を担っている(19)。これらのシグナル伝達経路は、アルツハイマー病の処置のための妥当な治療標的と認識されている。
【0041】
即ち、本発明は、ADの効率的処置には、上記の標的遺伝子及びタンパク質を調節することにより、アルツハイマー病及び他の神経変性疾患において変化したシナプス機能を向上させることが重要であることを認める。
【0042】
データマイニングプロセスを通して、本発明者らはまた、血管新生を担うネットワークが、アルツハイマー病において悪影響を受ける別の主要な機能的ネットワークに相当することを立証した。
【0043】
血管新生は、組織の恒常性の確保において、そして低酸素又は創傷治癒のような環境上の挑戦及び生理学的挑戦に対する適応反応において、基本的な役割を果たす;その機能異常は、心血管系合併症から腫瘍の増殖及び転移に至る多数かつ異種の病態の病理発生の一因となる。
【0044】
アルツハイマー病は、側副血管病変に伴う神経変性症状として従来から考えられていたが、我々の解析により、血管の脱制御の病原性の影響を再評価することができ、そして重要かつ確率の高い原因となる役割は、本疾患の病因における血管新生経路に起因すると考えられる。本発明者らは、血管新生を調節する遺伝子が、アルツハイマー病に関与するシグナル伝達ネットワークでは極めて高濃度であることを見い出した。この結論は、アルツハイマー病の予防及び治療に大きな成果を挙げ、そしてこの複雑な神経変性疾患の組合せ処置のための新しいガイドラインを提供する。
【0045】
アルツハイマー病に関連する血管の再構築に密接に関係するシグナル伝達経路の中で、VEGFR1、ErbB4、ノッチ(Notch)、DCC、CD44、エフリン受容体及びカドヘリンが介在する、幾つかの機能性モジュールが同定されている。
【0046】
我々のデータマイニングアプローチにより明らかなとおり、アルツハイマー病の経過中に現れる血管異常の進行に関与する可能性がある、他の標的タンパク質は、IL20Rα、LEPTR、NRP1及びNRP2、並びにエンドセリンEDNRA受容体、細胞外マトリックスの組織化及び再構築に関与するタンパク質(THBS2、LAMA1、COL4A2、ADAMTS12及びADAM10)又は周知の血管新生モジュレーター(プロラクチン、成長ホルモン、及び胎盤性ラクトゲンなど)の機能的プロセシングにおいて重要な役割を果たすタンパク質類(例えば、TLL2)を包含する(20)。
【0047】
更には、我々はまた、アルツハイマー病に関連する幾つかの遺伝子が、血管系の重要なレギュレーターであるAMP活性化キナーゼの上流モジュレーター及び下流エフェクターに相当することを発見した(例えば、レプチン及びCNTF受容体、トロンビンシグナル伝達経路、CAMKK2β及びLDB1キナーゼ)(21-24)。この知見により、我々は、AMPK介在性シグナル伝達ネットワークを、アルツハイマー病の処置のための合理的な治療標的として明確にすることができた。
【0048】
ホスファチジン酸(PA)、リゾホスファチジン酸(LPA)、及びスフィンゴシン−1−リン酸(S1P)は、強力なシグナル伝達特性を持つ天然のリン脂質である。特に、これらのリン脂質増殖因子は、内皮細胞の血管新生能に多岐にわたる作用を示す(25)。我々のデータマイニングアプローチを利用して、我々は、LPA代謝に関与するか、又はLPAシグナル伝達により調節され、そしてアルツハイマー病の進行に関連する可能性のある、多数の遺伝子を同定した(MTR、MAT2B、CUBN、ATP10A、THEM2、PITPNC1、ENPPG、SGPP2、AGPAT、DGKH、DGKB、MGST2、PLD2、及びDRD2)。したがって、我々は、このシグナル伝達ネットワークが、アルツハイマー病の処置のために適切な治療標的に相当すると結論づけた。
【0049】
本発明はまた、上記の標的遺伝子及びタンパク質を調節することにより、アルツハイマー病及び他の神経変性疾患において変化している血管新生の増大の重要性を強調する。
【0050】
最後に、我々は、細胞ストレス応答を担うネットワークが、アルツハイマー病において悪影響を受ける第3の主要な機能的ネットワークであることを立証した。
【0051】
我々は更に具体的には、細胞ストレス応答が、アルツハイマー病の機能的に関連のある特徴であることを立証した。後述のように、本発明者らは、細胞ストレス応答ネットワーク内の3ファミリーのタンパク質を同定したが、これらは、アルツハイマー病の発生及び制御に機能的に関連しており、そして併用療法のための有用な標的に相当する。これらの群のタンパク質は、更に具体的には、カルシウム恒常性に、タンパク質折り畳みに、及びアポトーシスの遂行に関与するタンパク質である。
【0052】
特定の実施態様において、本発明は更に具体的には、カルシウム恒常性に関与するタンパク質の活性を調節する薬剤の組合せを使用する、組成物及び方法に関する。
【0053】
最も重要な細胞内メッセンジャーの1つであるカルシウムは、ニューロン及び内皮細胞の両方において細胞プロセスの多面作用(シナプス可塑性、血管新生及びアポトーシスを包含する)に介在する。
【0054】
細胞内カルシウムレベルは、細胞膜及び小胞体にある、一連のカルシウム透過性チャネル、カルシウムポンプ及びカルシウム交換体の協同作用により正確に調節されている(26-27)。我々は、カルシウム恒常性経路に関与する遺伝子のネットワークを同定したが、その機能は、アルツハイマー病の経過中に突然変異プレセニリンタンパク質により、又は毒性β−アミロイドにより修飾を受けるかもしれない。これらの中では、IP3R(ITPR1)及びRYR3受容体、ERのレベルでカルシウム恒常性を調節するATP2A3(SERCA3 Ca2+ ATPアーゼ)、濃度勾配に逆らって真核細胞からカルシウムイオンを押し出す細胞膜ATPアーゼのATP2B1、並びに電位依存性Naチャネルが、アルツハイマー病の処置のための有望な治療標的として特に興味深い。
【0055】
別の特定の実施態様において、本発明は更に具体的には、タンパク質折り畳み又は凝集に関与するタンパク質の活性を調節する薬剤の組合せを使用する、組成物及び方法に関する。
【0056】
タンパク質凝集は、ADにおける中心となる細胞病理的現象である。アルツハイマー病の2つの主要な細胞の特徴は、それぞれ、凝集高リン酸化タウタンパク質及びAPPタンパク質のAβ断片からなる、神経原線維変化(NFT)の発生及びアミロイド斑の沈着に現れる。別の凝集しやすいタンパク質であるα−シヌクレインは、パーキンソン病のある程度特異的な特徴と認められるが、それでもなお、散発性及び家族性のアルツハイマー病の多くの症例のアミロイド斑で検出することができる。
【0057】
我々は、アルツハイマー病関連タンパク質の凝集の全主要構成成分の折り畳み、翻訳後修飾及びプロセシングの調節に関与する幾つかの遺伝子を、アルツハイマー病の処置のための妥当な治療標的として決定したが、これらは例えば、APPと相互作用して、その安定性及び機能を調節する、APBA1及びAPBA2BPタンパク質、又はα−シヌクレインのクリアランスに関与するPARK2ユビキチン−タンパク質リガーゼである(28)。同様に、GSK−3βキナーゼは、アルツハイマー病の経過中にタンパク質の誤った折り畳みの病理発生において特に重要な役割を果たすかもしれない。この結論は、GSK−3βキナーゼ活性及びタウタンパク質とのその相互作用を調節する幾つかのシグナル伝達モジュール(WWOX(29)、ヒアルロナンCD44受容体、Wnt受容体のFz2/ROR2及びインスリン受容体/PTPRGホスファターゼ複合体(30))が、アルツハイマー病の進行と関連しているという我々の知見により補強される。
【0058】
更なる特定の実施態様において、本発明は、アルツハイマー病における細胞脱落を担う主要な細胞機序として認識されている、アポトーシスを阻害する薬剤の組合せを使用する、組成物及び方法に関する。
【0059】
我々の解析により同定されたように、アルツハイマー病の症例におけるアポトーシスは、標準的なp53依存経路を介して遂行される可能性が最も高い。
【0060】
p53タンパク質は、翻訳後修飾により、並びに陽性及び陰性調節因子との相互作用により調節することができる。我々は、幾つかのこのような調節タンパク質(WWOX、MDM1、HIPK2及びPML)を同定したが、これによってアルツハイマー病での細胞死の遂行におけるp53タンパク質の極めて重要な役割に関する提案を確認した(31-33)。
【0061】
アルツハイマー病に照らしてアポトーシスの誘導に直接かつ特異的に関与するであろう受容体系の中で、軸索ガイダンス及び血管新生に関わる、UNC5C(Unc−5ホモログC)及びDCC(結腸直腸癌において欠失(Deleted in Colorectal Carcinoma))ネトリン受容体は、特に興味深い。これらの受容体は、そのリガンドの非存在下でアポトーシスを誘導するネトリン依存性受容体として挙動するため、推定条件付き腫瘍抑制因子に指定される(34)。これらの受容体にネトリン−1が結合すると、p53依存アポトーシスが阻害されるが、一方p53は、ネトリン−1及びその受容体の転写調節に直接関与する(33)。更に、DCC受容体は、プレセニリンによりプロセシングされることが知られているが、このことは、アルツハイマー病の進行におけるその重要な役割を示している(35)。即ち、我々のデータマイニングは、ネトリン受容体依存性及びp53介在性のプログラム細胞死が、アルツハイマー病に照らして、破壊されたカルシウム恒常性及び過剰なROS産生により刺激されるやや非特異的なアポトーシス促進性プログラムに加えて、病的細胞脱落に関与する特異的なアポトーシス促進性経路の1つであろうことを示唆している。
【0062】
特定の実施態様において、本発明は更に具体的には、カルシウム恒常性に、タンパク質折り畳みに、及びアポトーシスの遂行に関与する、少なくとも2種の異なるタンパク質の活性を阻害する薬剤の組合せを使用する、組成物及び方法に関する。
【0063】
好ましい実施態様において、本発明は、上記の標的遺伝子及びタンパク質を調節することにより、アルツハイマー病及び他の神経変性疾患において誘導される細胞ストレス応答を阻害するのに使用できる、新規な組成物を提案する。
【0064】
上述のとおり、本発明は、シナプス機能を向上させるか、かつ/又は血管新生を増大させるか、かつ/又は細胞ストレス応答を阻害する薬剤の組合せを用いる、処置を必要とする対象におけるアルツハイマー病又は関連疾患を処置するための組成物及び方法に関する。
【0065】
更に具体的には、本発明者らは、上記経路の1つ、又は好ましくは全てを変化させる、多数の薬剤又は薬剤の組合せを選択及び試験した。実施例に開示されるように、これらの薬剤の組合せは、アルツハイマー病に及ぼす強い作用を持ち、そしてこの病態の新しい治療アプローチを表す。これらの薬剤の組合せは、様々な経路に影響を及ぼし、よって効果が高いため、特に有利である。またその効力及び作用の様式のため、この薬剤の組合せは、低用量で使用することができ、そしてそのことが更なる非常に実質的な利点となる。
【0066】
最も好ましい薬剤は、以下の表1に列挙される。
【0067】
【表16】



【0068】
この関連で、本発明の好ましい目的は、アミノカプロン酸、アカンプロセート、アムロジピン、アルガトロバン、バクロフェン、シロスタゾール、シナカルセト、クロピドグレル、ダイフィリン、フェノルドパム、レフルノミド、メパクリン、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、リファブチン、スルフイソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン、シンナリジン、シクロピロックス、エプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、カルバマジン、アモバルビタール、セフォテタン、四硝酸エリスリチル、メチクロチアジド、リセドロネート、エンプロフィリン、オクストリフィリン、パラメタジオン、セフメノキシム、アプリンジン、エトミデート、ミチグリニド、ベニジピン、レボシメンダン及びゾニサミド、又は任意の純度の塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体又はその徐放製剤よりなる群から選択される、少なくとも2種の化合物の組合せを含む、同時投与、個別投与又は連続投与のための組成物に関する。
【0069】
特定の実施態様において、本発明は、アミノカプロン酸、シンナリジン、シクロピロックス、エプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、カルバマジン、アモバルビタール、セフォテタン、四硝酸エリスリチル、メチクロチアジド、リセドロネート、エンプロフィリン、オクストリフィリン、パラメタジオン、セフメノキシム、アプリンジン、エトミデート、ミチグリニド、ベニジピン及びレボシメンダン、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤よりなる群から選択される、少なくとも1種の化合物を、アカンプロセート、アムロジピン、アルガトロバン、バクロフェン、シロスタゾール、シナカルセト、クロピドグレル、ダイフィリン、フェノルドパム、レフルノミド、メパクリン、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、リファブチン、スルフイソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン及びゾニサミド、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤よりなる群から選択される、少なくとも1種の化合物と組合せて含む、同時投与、個別投与又は連続投与のための組成物に関する。
【0070】
実施例に開示されるように、上記リストの薬剤の少なくとも2種を用いる併用療法によって、アルツハイマー病が効率的に治される。
【0071】
本発明の治療法は、単独で、又は薬剤の組合せとして実施することができる。
【0072】
好ましい実施態様において、本発明の薬剤は、最も有効な作用を提供するために、併用投与、個別投与又は連続投与のために組合せて使用される。これに関連して、本発明のアルツハイマー病を処置する組成物は、シナプス機能を向上させる薬剤、及び血管新生を軽減する薬剤、及び/又は細胞ストレス応答を阻害する薬剤を利用する。
【0073】
更に具体的には、アルツハイマー病又は関連疾患の処置に使用するための、本発明の組成物は、以下の薬剤の組合せの少なくとも1つを含む組成物から選択することができる:
− AMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)及びナトリウムチャネルSCN1Aのインヒビター及びBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)又はBKチャネルのモジュレーター(好ましくは、メチクロチアジド)、
− AMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)並びにGABA作動性及びグルタミン酸作動性受容体活性のモジュレーター(好ましくは、アカンプロセート、エトミデート及びアプリンジンから選択される)、
− AMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)及びEDNRAエンドセリン受容体のアンタゴニスト(好ましくは、スルフイソキサゾール)、
− ナトリウムチャネルSCN1Aのインヒビター及びBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)又はBKチャネルのモジュレーター(好ましくは、メチクロチアジド)及びRYR3リアノジン受容体のモジュレーター(好ましくは、プリロカイン)、
− GABBR2受容体のモジュレーター(好ましくは、バクロフェン)及びRHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン及びリセドロネートから選択される)、
− GABBR2受容体のモジュレーター(好ましくは、バクロフェン)及びEDNRAエンドセリン受容体のアンタゴニスト(好ましくは、スルフイソキサゾール)、
− GABBR2受容体のモジュレーター(好ましくは、バクロフェン)及びナトリウムチャネルSCN1Aのインヒビター及びBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)又はBKチャネルのモジュレーター(好ましくは、メチクロチアジド)、
− GABBR2受容体のモジュレーター(好ましくは、バクロフェン)及びHAS1−3ヒアルロナン合成酵素のモジュレーター(好ましくは、レフルノミド)、
− ナトリウムチャネルSCN1Aのインヒビター及びBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)又はBKチャネルのモジュレーター(好ましくは、メチクロチアジド)及びアデノシン受容体ADORA1/2/3のモジュレーター(好ましくは、ダイフィリン)、
− ナトリウムチャネルSCN1Aのインヒビター及びBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)又はBKチャネルのモジュレーター(好ましくは、メチクロチアジド)及びEDNRAエンドセリン受容体のアンタゴニスト(好ましくは、スルフイソキサゾール)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン及びリセドロネートから選択される)及びEDNRAエンドセリン受容体のアンタゴニスト(好ましくは、スルフイソキサゾール)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン及びリセドロネートから選択される)及びホスホリパーゼPLA1A及びPLA2のインヒビター(好ましくは、メパクリン)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン及びリセドロネートから選択される)並びにGABA作動性及びグルタミン酸作動性受容体活性のモジュレーター(好ましくは、アカンプロセート、エトミデート及びアプリンジンから選択される)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン及びリセドロネートから選択される)及び化学シャペロン(好ましくは、リファブチン)、
− AMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)並びにPDE11A及びPDE4A、PDE5Aホスホジエステラーゼのインヒビター(好ましくは、タダラフィル、エンプロフィリン及びオクストリフィリンから選択される)、
− ナトリウムチャネルSCN1Aのインヒビター及びBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)又はBKチャネルのモジュレーター(好ましくは、メチクロチアジド)及びトロンビン受容体F2Rシグナル伝達のモジュレーター(好ましくは、アルガトロバン及びセフメノキシム)、
− AMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)並びにプリン作動性受容体P2RY1及びP2RY12のモジュレーター(好ましくは、クロピドグレル)、
− GABA作動性及びグルタミン酸作動性受容体活性のモジュレーター(好ましくは、アカンプロセート、エトミデート及びアプリンジンから選択される)並びにCASRのモジュレーター(好ましくは、シナカルセト)、
− EDNRAエンドセリン受容体のアンタゴニスト(好ましくは、スルフイソキサゾール)及びCASRのモジュレーター(好ましくは、シナカルセト)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン及びリセドロネートから選択される)及びトロンビン受容体F2Rシグナル伝達のモジュレーター(好ましくは、アルガトロバン及びセフメノキシムから選択される)、
− GABBR2受容体のモジュレーター(好ましくは、バクロフェン)並びにプリン作動性受容体P2RY1及びP2RY12のモジュレーター(好ましくは、クロピドグレル)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン及びリセドロネートから選択される)並びにプリン作動性受容体P2RY1及びP2RY12のモジュレーター(好ましくは、クロピドグレル)、
− ナトリウムチャネルSCN1Aのインヒビター及びBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)又はBKチャネルのモジュレーター(好ましくは、メチクロチアジド)及び電位依存性カルシウムCACNAチャネルのアンタゴニスト(好ましくは、シンナリジン、ベニジピン、パラメタジオン及びアムロジピンから選択される)、
− GABA作動性及びグルタミン酸作動性受容体活性のモジュレーター(好ましくは、アカンプロセート、エトミデート及びアプリンジンから選択される)並びに電位依存性カルシウムCACNAチャネルのアンタゴニスト(好ましくは、シンナリジン、ベニジピン、パラメタジオン及びアムロジピンから選択される)、
− ナトリウムチャネルSCN1Aのインヒビター及びBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)又はBKチャネルのモジュレーター(好ましくは、メチクロチアジド)及びHIF1Aシグナル伝達のモジュレーター(好ましくは、シクロピロックス)、
− GABA作動性及びグルタミン酸作動性受容体のモジュレーター(好ましくは、アカンプロセート、エトミデート及びアプリンジンから選択される)並びにHIF1Aシグナル伝達のモジュレーター(好ましくは、シクロピロックス)、
− EDNRAエンドセリン受容体のアンタゴニスト(好ましくは、スルフイソキサゾール)及び酸化的リン酸化のモジュレーター(好ましくは、アモバルビタール及びメチマゾールから選択される)、
− ナトリウムチャネルSCN1Aのインヒビター及びBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)又はBKチャネルのモジュレーター(好ましくは、メチクロチアジド)及び酸化的リン酸化のモジュレーター(好ましくは、アモバルビタール及びメチマゾールから選択される)、
− EDNRAエンドセリン受容体のアンタゴニスト(好ましくは、スルフイソキサゾール)及びビタミンK代謝のモジュレーター(好ましくは、セフォテタン)、
− ナトリウムチャネルSCN1Aのインヒビター及びBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)又はBKチャネルのモジュレーター(好ましくは、メチクロチアジド)及びビタミンK代謝のモジュレーター(好ましくは、セフォテタン)、
− GABA作動性及びグルタミン酸作動性受容体活性のモジュレーター(好ましくは、アカンプロセート、エトミデート及びアプリンジンから選択される)並びにPRKG1のモジュレーター(好ましくは、四硝酸エリスリチル)、
− ナトリウムチャネルSCN1Aのインヒビター及びBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)又はBKチャネルのモジュレーター(好ましくは、メチクロチアジド)及びPRKG1のモジュレーター(好ましくは、四硝酸エリスリチル)、
− EDNRAエンドセリン受容体のアンタゴニスト(好ましくは、スルフイソキサゾール)及びPRKG1のモジュレーター(好ましくは、四硝酸エリスリチル)、
− KCNJ11のモジュレーター(好ましくは、ミチグリニド及びレボシメンダンから選択される)及びPRKG1のモジュレーター(好ましくは、四硝酸エリスリチル)、
− KCNJ11のモジュレーター(好ましくは、ミチグリニド及びレボシメンダンから選択される)及びナトリウムチャネルSCN1Aのインヒビター及びBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)又はBKチャネルのモジュレーター(好ましくは、メチクロチアジド)、
− KCNJ11のモジュレーター(好ましくは、ミチグリニド及びレボシメンダンから選択される)及びRHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン及びリセドロネートから選択される)。
【0074】
最も好ましい実施態様において、本発明は、アミノカプロン酸、アカンプロセート、アムロジピン、アルガトロバン、バクロフェン、シロスタゾール、シナカルセト、クロピドグレル、ダイフィリン、フェノルドパム、レフルノミド、メパクリン、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、リファブチン、スルフイソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン、シンナリジン、シクロピロックス、エプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、カルバマジン、アモバルビタール、セフォテタン、四硝酸エリスリチル、メチクロチアジド、リセドロネート、エンプロフィリン、オクストリフィリン、パラメタジオン、セフメノキシム、アプリンジン、エトミデート、ミチグリニド、ベニジピン、レボシメンダン及びゾニサミド、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤から選択される化合物の、アルツハイマー病又は関連疾患の処置に使用するための任意の組合せに関する。
【0075】
特定の実施態様において、アルツハイマー病又は関連疾患の処置に使用するための、本発明の組成物は、アミノカプロン酸、シンナリジン、シクロピロックス、エプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、カルバマジン、アモバルビタール、セフォテタン、四硝酸エリスリチル、メチクロチアジド、リセドロネート、エンプロフィリン、オクストリフィリン、パラメタジオン、セフメノキシム、アプリンジン、エトミデート、ミチグリニド、ベニジピン及びレボシメンダン、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤よりなる群から選択される、少なくとも1種の化合物を、アカンプロセート、アムロジピン、アルガトロバン、バクロフェン、シロスタゾール、シナカルセト、クロピドグレル、ダイフィリン、フェノルドパム、レフルノミド、メパクリン、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、リファブチン、スルフイソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン及びゾニサミド、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤よりなる群から選択される、少なくとも1種の化合物と組合せて含む。
【0076】
本発明の別の特に好ましい実施態様は、処置を必要とする対象のアルツハイマー病(AD)又は関連疾患を処置するための組成物であって、少なくともアミノカプロン酸、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤を含む組成物に関する。特定の実施態様において、アミノカプロン酸は、好ましくはアカンプロセート、アムロジピン、アルガトロバン、バクロフェン、シロスタゾール、シナカルセト、クロピドグレル、ダイフィリン、フェノルドパム、レフルノミド、メパクリン、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、リファブチン、スルフイソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン、シンナリジン、シクロピロックス、エプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、カルバマジン、アモバルビタール、セフォテタン、四硝酸エリスリチル、メチクロチアジド、リセドロネート、エンプロフィリン、オクストリフィリン、パラメタジオン、セフメノキシム、アプリンジン、エトミデート、ミチグリニド、ベニジピン、レボシメンダン、及びゾニサミド、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤から選択される、少なくとも1種の追加の化合物と組合せて、併用投与、個別投与又は連続投与のために使用される。
【0077】
本発明の好ましい組成物は、アミノカプロン酸、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤と、バクロフェン、スルフイソキサゾール、テルビナフィン、及びレボシメンダン、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤から選択される、少なくとも1種の追加の化合物とを、併用投与、個別投与又は連続投与のために含む。このような組成物はまた、それ自体が本発明の特別な目的を表す。
【0078】
本発明はまた、処置を必要とする対象のアルツハイマー病(AD)又は関連疾患を処置する方法であって、対象に有効量のアミノカプロン酸、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤を、好ましくは上に開示されるように組合せて投与することを含む方法に関する。
【0079】
本発明の別の特に好ましい実施態様は、処置を必要とする対象のアルツハイマー病(AD)又は関連疾患を処置するための組成物であって、少なくともレボシメンダン、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤を含む組成物に関する。特定の実施態様において、レボシメンダンは、好ましくはアミノカプロン酸、アカンプロセート、アムロジピン、アルガトロバン、バクロフェン、シロスタゾール、シナカルセト、クロピドグレル、ダイフィリン、フェノルドパム、レフルノミド、メパクリン、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、リファブチン、スルフイソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン、シンナリジン、シクロピロックス、エプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、カルバマジン、アモバルビタール、セフォテタン、四硝酸エリスリチル、メチクロチアジド、リセドロネート、エンプロフィリン、オクストリフィリン、パラメタジオン、セフメノキシム、アプリンジン、エトミデート、ミチグリニド、ベニジピン、及びゾニサミド、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤から選択される、少なくとも1種の追加の化合物と組合せて、併用投与、個別投与又は連続投与のために使用される。
【0080】
本発明の好ましい組成物は、レボシメンダン、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤と、アミノカプロン酸、バクロフェン、スルフイソキサゾール、及びテルビナフィン、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤から選択される少なくとも1種の追加の化合物とを、併用投与、個別投与又は連続投与のために含む。このような組成物はまた、それ自体が本発明の特別な目的を表す。
【0081】
本発明はまた、処置を必要とする対象のアルツハイマー病(AD)又は関連疾患を処置する方法であって、対象に有効量のレボシメンダン、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤を、好ましくは上に開示されるように組合せて投与することを含む方法に関する。
【0082】
本発明の別の特に好ましい実施態様は、処置を必要とする対象のアルツハイマー病(AD)又は関連疾患を処置するための組成物であって、少なくともエプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、シンナリジン、若しくはカルバマジン、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤を含む組成物に関する。
【0083】
特定の実施態様において、エプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、シンナリジン、又はカルバマジンは、好ましくはレボシメンダン、アミノカプロン酸、アカンプロセート、アムロジピン、アルガトロバン、バクロフェン、シロスタゾール、シナカルセト、クロピドグレル、ダイフィリン、フェノルドパム、レフルノミド、メパクリン、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、リファブチン、スルフイソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン、シンナリジン、シクロピロックス、エプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、カルバマジン、アモバルビタール、セフォテタン、四硝酸エリスリチル、メチクロチアジド、リセドロネート、エンプロフィリン、オクストリフィリン、パラメタジオン、セフメノキシム、アプリンジン、エトミデート、ミチグリニド、ベニジピン、及びゾニサミド、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤から選択される、少なくとも1種の追加の化合物と組合せて、併用投与、個別投与又は連続投与のために使用される。
【0084】
本発明の好ましい組成物は、エプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、シンナリジン、若しくはカルバマジン、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤と、レボシメンダン、アミノカプロン酸、バクロフェン、スルフイソキサゾール、及びテルビナフィン、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤から選択される少なくとも1種の追加の化合物とを、併用投与、個別投与又は連続投与のために含む。このような組成物はまた、それ自体が本発明の特別な目的を表す。
【0085】
本発明はまた、処置を必要とする対象のアルツハイマー病(AD)又は関連疾患を処置する方法であって、対象に有効量のエプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、シンナリジン、若しくはカルバマジン、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤を、好ましくは上に開示されるように組合せて投与することを含む方法に関する。
【0086】
更に好ましくは、処置を必要とする対象のアルツハイマー病(AD)又は関連疾患を組合せ処置するための本発明の組成物は、以下の薬剤の組合せの少なくとも1つを、併用投与、個別投与又は連続投与のために含む:
− フェンホルミン及びゾニサミド、
− フェンホルミン及びメチクロチアジド、
− フェンホルミン及びアカンプロセート、
− フェンホルミン及びスルフイソキサゾール、
− バクロフェン及びアミノカプロン酸、
− バクロフェン及びレボシメンダン、
− バクロフェン及びテルビナフィン、
− バクロフェン及びリセドロネート、
− バクロフェン及びスルフイソキサゾール、
− バクロフェン及びゾニサミド、
− バクロフェン及びメチクロチアジド、
− バクロフェン及びスルフイソキサゾール、
− バクロフェン及びレフルノミド、
− アミノカプロン酸及びスルフイソキサゾール、
− アミノカプロン酸及びテルビナフィン、
− アミノカプロン酸及びレボシメンダン、
− レボシメンダン及びスルフイソキサゾール、
− レボシメンダン及びテルビナフィン、
− ゾニサミド及びダイフィリン、
− メチクロチアジド及びダイフィリン、
− ゾニサミド及びプリロカイン、
− メチクロチアジド及びプリロカイン、
− ゾニサミド及びスルフイソキサゾール、
− フェンホルミン及びクロピドグレル、
− アカンプロセート及びシナカルセト、
− スルフイソキサゾール及びシナカルセト、
− テルビナフィン及びアルガトロバン、
− テルビナフィン及びセフメノキシム、
− バクロフェン及びクロピドグレル、
− テルビナフィン及びクロピドグレル、
− リセドロネート及びクロピドグレル、
− ゾニサミド及びシンナリジン、
− アカンプロセート及び四硝酸エリスリチル、
− スルフイソキサゾール及び四硝酸エリスリチル、
− ミチグリニド又はレボシメンダン及び四硝酸エリスリチル、
− ミチグリニド又はレボシメンダン及びゾニサミド、
− ミチグリニド又はレボシメンダン及びテルビナフィン、
− ミチグリニド又はレボシメンダン及びリセドロネート、
− ミチグリニド又はレボシメンダン及びメチクロチアジド、
− メチクロチアジド又はゾニサミド及びスルフイソキサゾール、
− テルビナフィン又はリセドロネート及びスルフイソキサゾール、
− テルビナフィン又はリセドロネート及びメパクリン、
− テルビナフィン又はリセドロネート及びアカンプロセート、
− テルビナフィン又はリセドロネート及びリファブチン、
− タダラフィル又はエンプロフィリン又はオクストリフィリン及びフェンホルミン、
− ゾニサミド又はメチクロチアジド及びアルガトロバン又はセフメノキシム、
− リセドロネート及びアルガトロバン又はセフメノキシム、
− ゾニサミド又はメチクロチアジド及びシンナリジン又はベニジピン又はパラメタジオン又はアムロジピン、
− アカンプロセート及びシンナリジン又はベニジピン又はパラメタジオン又はアムロジピン、
− ゾニサミド又はメチクロチアジド及びシクロピロックス、
− スルフイソキサゾール及びアモバルビタール、
− ゾニサミド又はメチクロチアジド及びアモバルビタール、
− スルフイソキサゾール及びセフォテタン、
− ゾニサミド又はメチクロチアジド及びセフォテタン、
− ゾニサミド又はメチクロチアジド及び四硝酸エリスリチル。
【0087】
本発明の好ましい組成物の具体例は、以下の薬剤の組合せの1つを、併用投与、個別投与又は連続投与のために含む:
− バクロフェン及びアミノカプロン酸、
− バクロフェン及びレボシメンダン、
− アミノカプロン酸及びスルフイソキサゾール、
− アミノカプロン酸及びテルビナフィン、
− アミノカプロン酸及びレボシメンダン、
− レボシメンダン及びスルフイソキサゾール、
− レボシメンダン及びテルビナフィン、
− エプレレノン及びレボシメンダン、
− エプレレノン及びスルフイソキサゾール、
− エプレレノン及びフェノルドパム、
− スロデキシド及びレボシメンダン、
− スロデキシド及びスルフイソキサゾール、
− スロデキシド及びフェノルドパム、又は
− エプレレノン及びスロデキシド。
【0088】
実験の項に例証されるように、少なくともアミノカプロン酸又はレボシメンダンを含む組成物は、ヒト対象のアルツハイマー病を改善するための実質的な治療効果及び生物学的効果を提供する。これらの組成物は、ヒト細胞のアミロイドβタンパク質又はペプチドの毒性作用を効率的に阻止し、そしてこのような疾患を処置するための新規で強力な方法を表す。
【0089】
別の好ましい実施態様において、本発明の組成物は、処置を必要とする対象のアルツハイマー病(AD)又は関連疾患の組合せ処置のための同時投与、個別投与又は連続投与のために、少なくとも3種の化合物、又は任意の純度の塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体又はその徐放製剤の組合せを含む。
【0090】
本発明の治療アプローチは、同じ経路を標的とするか、又は異なる作用の様式を有する他の任意の治療法と併せて、薬剤単独又は薬剤の組合せを使用することができる。
【0091】
特定の実施態様において、本発明の組成物は、以下から選択される遺伝子によりコードされるタンパク質に結合するか又はその活性を調節する、既に存在するか又は開発される可能性がある、薬剤又は薬剤群を更に含んでもよい:ABAT、ABCA1、ABI1、ABL1、ACAT、ACC2、ACCN1、ADAMTS12、ADCY2、ADIPOQ、ADIPOR1/R2、ADORA1/2A/2B、ADRA1A/2、ADRB1/2、AGPAT5、AIP4、AKAP2、AKR1C2、AKT、ALDH2、ALOX12、ALOX5、ANG2、ANK1、ANKRA、ANXA1、APBA1、APBA2BP、APOA1、APOER2、ARHGAP17、ARHGAP26、ATG5/7/12、ATM、ATP10A、ATP1A1、ATP2A3、ATP2B1、ATP6V1C1、ATR、AUH、BACE1、BAD、BAI3、BASSOON、BAX、BCAR1、BCL2、BDNF、BECLIN1、BIN1、BKチャネル(KCNMA1、KCNMB1)、BMP3A、BRCA1、CA10、CACNA1C/2D3/2D4、CADPS2、CALM1−5(カルモジュリン)、CAMK1D、CAMKK2、CASK、CASR、CAST、CBL、CD36、CD44、CDC2、CDC42、CDC42BPB、CDC42EP3、CDH1/2/13、CDK5、CDKN1A、CHAT、CHK1、CHRM1−5、CHRNA1−7/9/10、CIT(シトロン)、CK1、CNGB3、CNTFR、COL4A2、CPT、CRAM、CREB、CRMP、CSH1、CTNNA2、CTNNB1、CTTN(コルタクチン)、CUBN、CULLIN1、CYP7B1、CYSLTR1/R2、DAB1、DCC、DEPDC2、DGKB/H/Z、DHCR7、DHFR、DLG2/4、DNAJB9、DOCK3、DRD2/5、DYN1/3、EDG1−8、EDN1/2、EDNRA/B、EFNA1/2/4/5/7(エフリンA)、EFNB1/2/3(エフリンB)、EHHADH、ELAVL2、ENPP2(オートタキシン)、ENPP6、EPHA3、EPHBR1/2/3/4/6、ERBB2/4、ERK1/2、ESRRG、ETFA、EZR、F2、F2R、FAS、FDPS、FES、FGF1/2、FKBP12/12.6、FLNA、FLT1(VEGFR1)、FLT4、FOXO1/3A、FRAP(MTOR)、FTO、FYN、FZ2、GABBR1/2、GABRA2/G2、GADD45、GAT1、GATA3、GH1、GIPC1/2、GLRA1、GLUD1、GNA12/13、GNPTAB、GPC5、GPHN(ゲフィリン)、GRIA2/3、GRID1/2、GRIK1/2、GRIN2B/3A、GRIP1/2、GRK2/5、GRM3/5/6/7/8、GRP170、GSK3B、HAPLN1、HAS1−3、HCRTR2、HIF1A、HIPK2、HK2、HMOX1、HOMER1/2/3、HSD11B1、HSP90B1、HSPA5、HTR1A/1B/1D、HYAL1/2/3、IDE、IL20RA/B、IL6ST、IL8、IMPDH1/2、INS、INSR、IRF1、ITB1、ITGA1/6、ITGB1、ITPR1、JNK1、KALRN(カリリン)、KCNA2/D2、KCNH2、KCNIP1/2、KCNJ11、KCNJ12、KCNJ3、KCNMA1、KCNMB1−4、KDR(VEGFR2)、KTN1、KYNU、LAMA1、LDLR、LEP(レプチン)、LEPR、LIFR、LIN7A/B/C(VELI1/2/3)、LIPL2、LKB1、LRP1、LRP2(メガリン)、LTBP2、LYN、MAD1L1、MAML3、MAOA/B、MAT2B、MCC1、MDM1、ME1、MET、MGST2、MINT1、MLLT4(アファディン)、MMP2、MMP9、MOESIN、MTR、MUC1、MUNC13/18A、MYO6、MYOL、NADPHオキシダーゼ、NAV1、NBEA、NCAM1、NCK1/2、NEDD9、NF2(マーリン)、NFKB1、NFKBIB、NGEF(エフェキシン)、NGF、NGFR、NHERF、NIL16、NLGN1、NOC2、NOS1/2A/3、NOTCH1/2/3、NPC1/2、NPIST、NR1I2、NR3C1、NR3C2、NRG1/3、NRP1/2、NRX3、NTF3/5、NTN1(ネトリン1)、NTRK2(TRKB)、NWASP、OPCML、OPRK1、OPRM、OPRS1、OSBPL3/10、P2RY1、P2RY 12、PAELR、PAI1/2、PAK1/6/7、PALLD、PAP1、PARK2、PC、PCAF、PCTP、PDE11A、PDE1A、PDE3A/3B、PDE4A/4B/4D、PDE5A、PDE6D、PDGFA/B、PDGFRA/B、PI3K、PIAS1、PICALM、PICK1、PIK3C3、PIP5K、PITPNC1、PKCA、PKCD、PLA1A/2、PLAT、PLAU、PLCB1、PLD1/2、PLEXA1、PLG、PLN、PLXDC2、PML、POP2、PPARA、PPARD、PPARG、PPARGC1B、PPFIBP1、PPP1CA、PPP3CA(カルシニューリン)、PRDX5/6、PRKAA(AMPK)、PRKACA、PRKG1、PRL、PTGER1、PTGFR、PTGS2、PTN、PTP1B、PTPN11、PTPRF、PTPRG、PTPRM、PVRL1、PXN(パキシリン)、PYK2、RAB3B、RAC1、RACK1、RAP1、RASGRF2、RBPJ、RDX(ラディキシン)、RELN、RGNEF、RHEB、RHOA、RHOG、RIM2、RIMS1/2、ROBO2、ROCK1/2、ROR2、RPH3A(ラブフィリン)、RPH3AL、RPS6KA1、RPS6KB2、RTN1、RXR/RAR、RYR3、SACM1L、SAPAP、SAPK3、SCARB1、SCHIP1、SCN1A/1B、SCNN1D/1G、SEC24D、SEMA3A/3C/3E/4C、SGPP2、SH3BP5、SIAH1A、SIL1、SLC12A1/2/5、SLC1A2、SLC25A21、SLC6A1/A18、SLC8A1/A2/A3、SLC9A1、SLIT1、SLN、SMAD3/4、SNAP25、SNCA、SNCAIP、SORBS2、SORCS2、SPLA2、SPOCK1、SPP1(オステオポンチン)、SRC、SRD5A1、SREBF1/F2、SRGAP3、STAT3、STX1A/2(シンタキシン)、STXBP6、SUM1、SV2C、SYN1、SYNJ1/2(シナプトジャニン)、SYT12、SYTL4(グラニュフィリン)、TACE、TACR1、TBR1、TBXA2R、TGFBR1/R2/R3、THBS1/2、THEM2、THRA/B、TIAM1、TIMP2、TLL2、TOP2A、TP53、TP63、TRIO、TRPC3/4/5、TSC1/2、TSPO、UBE2A、ULK4、UNC13C、UNC5C、VAMP2/5、VCL(ビンキュリン)、VDAC1、VEGFA/C、VEGFR1、VMAT、VPS15、WASPIP、WAVE、WNT1A/5A、WWOX、キサンチンオキシダーゼ、YAP及びYES1。
【0092】
上記リストの遺伝子及びタンパク質の全ての配列は、遺伝子ライブラリーから利用可能であり、当該分野において既知の手法により単離することができる。これらの遺伝子及びタンパク質の活性もまた、当該分野において既知の手法により評価することができる。
【0093】
本発明はまた、標的遺伝子及びタンパク質を調節するために使用できる、これらの補助的薬剤をも説明している。我々は、単独又は組合せのいずれかで、上記の経路を調節し、そしてアルツハイマー病又は関連疾患を処置するために使用できる、特定の薬剤を同定した。
【0094】
好ましい実施態様において、本発明の組成物は、ABATのインヒビター(好ましくは、ビガバトリン)、及び/又はABL1のインヒビター(好ましくは、イマチニブ)、及び/又はACATのインヒビター(好ましくは、ヘスペレチン)、及び/又はADCY2のモジュレーター(好ましくは、ビダラビン)、及び/又はアデノシンADORA1/2A/3受容体のモジュレーター(好ましくは、クロファラビン及びデフィブロチドから選択される)、及び/又はアドレナリン作動性ADRA受容体のモジュレーター(好ましくは、プロペリシアジン、メトトリメプラジン、メフェンテルミン及びジピベフリンから選択される)、及び/又はアドレナリン作動性ADRB受容体のモジュレーター(好ましくは、グアネチジン、ベタニジン、ビトルテロール及びプロカテロールから選択される)、及び/又はALOX5/12のインヒビター(好ましくは、ジエチルカルバマジン及びマソプロコールから選択される)、及び/又はATP1A1のインヒビター(好ましくは、デスラノシド及びオメプラゾール)、及び/又は自食作用のアクチベーター(好ましくは、トレハロース)、及び/又はCA10のインヒビター(好ましくは、メタゾラミド)、及び/又は石灰化のモジュレーター(好ましくは、ホスカルネット、硝酸ガリウム、カルシフェジオール、カルシトニン、カルシトリオール、クロドロン酸、ジヒドロタキステロール、エルカトニン、エチドロン酸、イプリフラボン及び酢酸テリパラチドから選択される)、及び/又はCALM1(カルモジュリン)のモジュレーター(好ましくは、アプリンジン)、及び/又はCD44のモジュレーター(好ましくは、エフロルニチン及びベンズブロマロンから選択される)、及び/又は化学シャペロン(好ましくは、アラビトール及びマンニトールから選択される)、及び/又はムスカリン性CHRM受容体のモジュレーター(好ましくは、シクロペントラート、オキシフェンシクリミン、トロスピウム及びイソフルロフェートから選択される)、及び/又は血液脳関門を通過できないニコチン性アセチルコリンCHRNA受容体のアンタゴニスト(好ましくは、パンクロニウム、ピペクロニウム、ラパクロニウム、ロクロニウム、スクシニルコリン、ベクロニウム、アトラクリウム、シスアトラクリウム、ドキサクリウム、メカミラミン、メトクリン、ミバクリウム及びネオマイシンから選択される)、及び/又はCNGB3のインヒビター(好ましくは、アミロリド)、及び/又はCYSLTR1/2、PTGER1、PTGFR及びTBXA2Rエイコサノイド受容体のモジュレーター(好ましくは、トラボプロスト、モンテルカスト、シナルカスト、アンレキサノクス、カルボプロスト・トロメタミン、ビマトプロスト及びリドグレルから選択される)、及び/又はDHFRのインヒビター(好ましくは、ピリメタミン及びトリアムテレン)、及び/又はドーパミンDRD2受容体のモジュレーター(好ましくは、ジヒドロエルゴタミン及びカベルゴリンから選択される)、及び/又はドーパミン受容体DRD5のアゴニスト(好ましくは、フェノルドパム)、及び/又はEDNRAのインヒビター(好ましくは、スルファメトキサゾール及びゲンタマイシンから選択される)、及び/又はENPP2(オートタキシン)のモジュレーター(好ましくは、L−ヒスチジン)、及び/又はERBB2のインヒビター(好ましくは、ラパチニブ)、及び/又はF2トロンビンのモジュレーター(好ましくは、スロデキシド、キシメラガトラン、ワルファリン、フェンプロクモン、エノキサパリン、アルデパリン、フォンダパリヌクス、ラタモキセフ、バシトラシン、チクロピジン及びエルドステインから選択される)、及び/又はFDPSのインヒビター(好ましくは、アレンドロネート)、及び/又はGABRA2のモジュレーター(好ましくは、フェノバルビタール、メトヘキシタール、セフォチアム、クロメチアゾール、チオペンタール、ルビプロストン及びアズトレオナムから選択される)、及び/又はGRIK1のアンタゴニスト(好ましくは、トピラマート)、及び/又はGSK3B活性のモジュレーター(好ましくは、アルブテロール及びメタラミノールから選択される)、及び/又はHIF1Aシグナル伝達のモジュレーター(好ましくは、メロキシカム、トポテカン、デフェロキサミン、ウスニン酸、ヒドララジン、デフェリプロン、ジベンゾイルメタン、アボベンゾン、ジノプロストン、エポプロステノール、2−オキソグルタレート及びミモシンから選択される)、及び/又はHK2(ヘキソキナーゼII)のインヒビター(好ましくは、キニン、ガベキサート、ビフォナゾール及びクロトリマゾールから選択される)、及び/又はHMOX1のモジュレーター(好ましくは、オーラノフィン、ヘマチン/ヘミン及びアルギン酸ヘムから選択される)、及び/又はHTR1B/1D受容体のモジュレーター(好ましくは、エルゴタミン及びエレトリプタンから選択される)、及び/又はIMPDH1及びIMPDH2のインヒビター(好ましくは、チオグアニン)、及び/又はインテグリンITGA/Bのモジュレーター(好ましくは、ラベプラゾール)、及び/又はKCND2カリウムチャネルのインヒビター(好ましくは、リドカイン)、及び/又はKCNH2カリウムチャネルのインヒビター(好ましくは、イブチリド)、及び/又はKCNMA1のモジュレーター(好ましくは、クロモグリケート、エチナメート、ケトコナゾール、クロルゾキサゾン、ウノプロストン、ヘスペリチン、ベンドロフルメチアジド、ベンズチアジド、クロロチアジド、シクロチアジド、ジアゾキシド、ヒドロフルメチアジド、キネタゾン及びトリクロルメチアジドから選択される)、及び/又はMGST2のモジュレーター(好ましくは、バルサラジド)、及び/又はMMP2及びMMP9のモジュレーター(好ましくは、カンドキサトリル)、及び/又はミトコンドリア膜透過性遷移孔形成のモジュレーター(好ましくは、カルベノキソロン及びシプロフロキサシンから選択される)、及び/又はMTORのインヒビター(好ましくは、ラパマイシン)、及び/又はNOS1/2A/3のモジュレーター(好ましくは、プロピルチオウラシル、チエチルペラジン及びケトチフェンから選択される)、及び/又はNR3C1受容体シグナル伝達のモジュレーター(好ましくは、メチラポン及びモメタゾンから選択される)、及び/又はNR3C2受容体のモジュレーター(好ましくは、エプレレノン及びフルドロコルチゾンから選択される)、及び/又はNRP2のインヒビター(好ましくは、ペガプタニブ)、及び/又はOPCMLのモジュレーター(好ましくは、アルフェンタニル)、及び/又はOPRK1及びOPRS1のモジュレーター(好ましくは、ブプレノルフィン及びペンタゾシンから選択される)、及び/又はOPRM(好ましくは、レバロルファン)、及び/又は酸化的リン酸化のモジュレーター(好ましくは、アルミトリン、エリスロマイシン、カナマイシン及びセルレニンから選択される)、及び/又はP2RY1及び/又はP2RY12受容体のインヒビター(好ましくは、チロフィバン)、及び/又はPDE11A、PDE4A及びPDE5Aホスホジエステラーゼのインヒビター(好ましくは、メセンブリン、ミルリノン及びアナグレリドから選択される)、及び/又はPDE3A/3B及びPDE4A/4Bホスホジエステラーゼのインヒビター及びBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、シロスタゾール)、及び/又はPDGFRA/B受容体のモジュレーター(好ましくは、ベカプレルミン、ストレプトマイシン、デルフィニジン、シアニジン及びフマギリンから選択される)、及び/又はPLA2のモジュレーター(好ましくは、ニフルム酸、ヒドロコルタメート及びネチルマイシンから選択される)、及び/又はPLATのモジュレーター(好ましくは、フェニル酪酸ナトリウム)、及び/又はPLD2のモジュレーター(好ましくは、アンブリセンタン)、及び/又はPLGのインヒビター(好ましくは、アミノカプロン酸)、及び/又はPPARDのモジュレーター(好ましくは、イコサペント)、及び/又はPPARGのモジュレーター(好ましくは、フェニルブチレート)、及び/又はPRKG1のモジュレーター(好ましくは、ニトロプルシド、ニトログリセリン及びパリカルシトールから選択される)、及び/又はPTP1Bのインヒビター(好ましくは、チルドロネート)、及び/又はRHOA/RACのモジュレーター(好ましくは、クロルタリドン、ヒドロクロロチアジド、クロモサイクリン、ライムサイクリン、ナタマイシン、アンホテリシンB、セファレキシン、セファロリジン、セフロキシム、ジクロキサシリンから選択される)、及び/又はRXR/RARのモジュレーター(好ましくは、タザロテン)、及び/又はSCN1A/Bナトリウムチャネルのアンタゴニスト(好ましくは、ホスフェニトイン)、及び/又はSLC12A1のインヒビター(好ましくは、ブメタニド)、及び/又はSLC6A1のインヒビター(好ましくは、チアガビン)、及び/又はSLC9A1のモジュレーター(好ましくは、ブクリジン)、及び/又はSRD5A1のインヒビター(好ましくは、デュタステリド)、及び/又はTACR1のアンタゴニスト(好ましくは、アプレピタント及びバプレオチドから選択される)、及び/又はTGFBシグナル伝達のモジュレーター(好ましくは、アリスキレン)、及び/又はTHRA/Bのモジュレーター(好ましくは、リオチロニンから選択される)、及び/又はTOP2Aのインヒビター(好ましくは、ルカントン)、及び/又はTSPOのモジュレーター(好ましくは、フルニトラゼパム及びテマゼパムから選択される)、及び/又はVDAC1のモジュレーター(好ましくは、ジヒドロキシアルミニウム)、及び/又はVEGFR1のインヒビター(好ましくは、スニチニブ)、及び/又はビタミンK代謝のモジュレーター(好ましくは、セフメタゾール、セファマンドール及びセフォペラゾンから選択される)、及び/又はVMATのインヒビター(好ましくは、テトラベナジン、デセルピジン及びニチシノンから選択される)、及び/又は電位依存性カルシウムチャネル(CACNA)のインヒビター(好ましくは、レルカニジピン、プレガバリン、ミベフラジル、アラニジピン、バルニジピン、ベンシクラン、ベプリジル、クレンチアゼム、エホニジピン、エルゴジピン、エタフェノン、フェンジリン、フルナリジン、ガロパミル、イスラジピン、ラシジピン、リドフラジン、ロメリジン、マニジピン、ニカルジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ペルヘキシリン、プレニラミン、セモチアジル及びテロジリンから選択される)、及び/又はYES1、SRC及びEPHA3のインヒビター(好ましくは、ダサチニブ)から選択される、少なくとも1種の薬剤を更に含んでもよい。
【0095】
本発明の薬剤又は薬剤の組合せと併せて使用される他の治療法は、アルツハイマー病の症状を改善する1種以上の薬剤、又はアルツハイマー病の緩和医療のために使用することができる薬剤を含む。好ましくは、該1種以上の薬剤は、3APS、AAB-001、ABT-089、ABT-126、AC-3933、ACC-001、アセトアミノフェン、AFFITOPE AD01、AFFITOPE AD02、α−リポ酸、α−トコフェロール、AN1792、抗Aβ、AQW051、アリピプラゾール(Aripiprazole)、アトモキセチン(Atomoxetine)、アトルバスタチン(Atorvastatin)、AVE1625、AVP-923、AZD0328、AZD3480、バピネウズマブ(Bapineuzumab)、BAY94-9172(ZK 6013443)、ビフェプルノックス(Bifeprunox)、バイオペリン(Bioperine)、BMS-708163、BRL-049653、ブリオスタチン(Bryostatin)、CAD106、セレコキシブ(Celecoxib)、CERE-110、セレブロライシン(Cerebrolysin)、CHF 5074、コリン、サーカディン(Circadin)、シタロプラム(Citalopram)、コエンザイムQ、銅、CTS21166、クルクミン(Curcumin)、CX516(アンパレックス(Ampalex))、CX717、シクロホスファミド(Cyclophosphamate)、DCB-AD1、デキストロアンフェタミン(Dextroamphetamine)、DHA(ドコサヘキサエン酸)、ジゴキシン、ジメボン(Dimebon)(ラトレピルジン(Latrepirdine))、ジバルプロエクス(Divalproex)、DMXB-A、ドネペジル(Donepezil)、ドキシサイクリン(Doxycycline)、Egb 761、EHT 0202(エタゾレート(Etazolate))、ELND005(scyllo−イノシトール)、EPAX 1050TG、メシル酸エルゴロイド(Ergoloid mesylate)、没食子酸エピガロカテキン(Epigallocatechin-Gallate)、エスシタロプラム(Escitalopram)、エストラジオール、エストロゲン、エタネルセプト(Etanercept)、EVP-6124、EVT101、エクセロン(Exelon)、魚油、FK962、フロルピラミンF18(florpiramine F 18)、葉酸+ビタミンB6+ビタミンB21、ガバペンチン(Gabapentin)、ガランタミン(Galantamine)、ゲムフィブロジル(Gemfibrozil)、イチョウ(Ginkgo biloba)エキス(例えば、EGb 761又はCP401)、イチョウ(Ginkgo biloba)の改良エキス(例えば、活性成分が濃縮されているか、又は混入物質が少ない)又はイチョウ(Ginkgo biloba)エキスを含有する薬剤(例えば、タナカン(Tanakan)又はGinkor fort)、グルコース、L−グルタミン酸、GSI 136、GSI-953、GSK239512、GSK933776A、ハロペリドール、HF0220、ヒューペルジンA(Huperzine A)、ヒドロコドン/APAP、イブプロフェン、IFN−α2A、インドメタシン、インスリン、静注免疫グロブリン、ケタシン(Ketasyn)、レコゾタン(Lecozotan)、リュープロリド(Leuprolide)、レボドパ、リポ酸、リチウム、ロラゼパム(Lorazepam)、ロバスタチン(Lovastatin)、ルテイン、LY2062430(ソラネズマブ)、LY2811376、LY450139、LY451395、MABT5102A、マレート(malate)、マシチニブ(Masitinib)(AB1010)、メドロキシプロゲステロン(Medroxyprogesterone)、メラトニン、MEM 1003、MEM 3454、メマンチン(Memantine)、メチレンブルー、メチルフェニデート(Methylphenidate)、ミフェプリストン(Mifepristone)、MK0249、MK0677、MK0952、MK0952、MK3328、モダフィニル(Modafinil)、MPC-7869、NADH、ナプロキセン(Naproxen)、ネフィラセタム(Nefiracetam)、オキアミオイル(Neptune Krill Oil)、ネラメキサン(Neramexane)、NIC5-15、ニコダームパッチ(Nicoderm Patch)、ニコチンアミド(ビタミンB3)、ノバソイ(Novasoy)、NP031112、NS 2330、NSA-789、NSAID、オランザピン(Olanzapine)、ω−3多価不飽和脂肪酸(EPA+DHA)、ONO-2506PO、オキシベート(Oxybate)、オタネニンジン(Panax Ginseng)、PAZ-417、PBT2、ペルフェナジン(Perphenazine)、PF-04360365、PF-04447943、PF-04494700、フェンセリン(Phenserine)、ホスファチジルセリン、ピタバスタチン(Pitavastatin)、ポジフェン(Posiphen)、PPI-1019(APAN)、プラバスタチン(Pravastatin)、プラゾシン(Prazosin)、プレドニゾン、プロゲステロン、PRX-03140、PYM50028、クエチアピン(Quetiapine)、R1450、ラロキシフェン(Raloxifene)、ラミプリル(Ramipril)、ラサジリン(Rasagiline)、ラザダイン(Razadyne)、レスベラトロール、リファンピシン、リスペリドン、リバスチグミン(Rivastigmine)、RN1219、RO5313534、ロフェコキシブ(Rofecoxib)、ロシグリタゾン(Rosiglitazone)、Salvia officinalis(セージ)、SAM-315、SAM-531、SAM-760、SB-742457、セレン、セルトラリン(Sertraline)、SGS-742、シンバスタチン(Simvastatin)、SK-PC-B70M、ソラネズマブ、SR57667B、SRA-333、SRA-444、SSR180711C、ST101、T-817MA、タクリン(Tacrine)、タレンフルルビル(Tarenflurbil)、テストステロン、トラミプロセート(Tramiprosate)(3APS)、トラゾドン(Trazodone)、TRx0014(塩化メチルチオニニウム)、トリプトファン、V950、バルプエート(Valproate)、バレニクリン(Varenicline)、ビタミンC、ビタミンE、VP4896、キサリプロデン(Xaliproden)、ゼアキサンチン(Zeaxanthin)、ゾルピデム(Zolpidem)及びZT-1(DEBIO-9902 SR)から選択される。
【0096】
本発明はまた、アルツハイマー病又は関連疾患を処置する方法であって、処置を必要とする対象に上に開示される薬剤の組合せを同時に、個別に又は連続して投与することを含む方法に関する。
【0097】
本発明の更なる目的は、アルツハイマー病又は関連疾患を処置する方法であって、処置を必要とする対象にシナプス機能を調節する薬剤の組合せ、及び/又は血管新生を調節する薬剤、及び/又は細胞ストレス応答を調節する薬剤を、同時に、個別に又は連続して投与することを含む方法に関する。
【0098】
本発明の更なる目的は、アルツハイマー病又は関連疾患を組合せ処置するための薬剤を選択する方法であって、シナプス機能及び/又は血管新生及び/又は細胞ストレス応答に及ぼす活性について候補薬剤を試験する工程、並びにシナプス機能を向上させ、血管新生調節異常を軽減し、そして細胞ストレス応答を調節する、候補薬剤を選択する工程を含む方法にある。
【0099】
別の実施態様において、本発明は、アルツハイマー病又は関連疾患を処置するための組成物を選択する方法であって、シナプス機能を調節する薬剤及び/又は血管新生調節異常を軽減する薬剤及び/又は細胞ストレス応答を調節する薬剤の、処置を必要とする対象への同時投与、個別投与又は連続投与のための組合せを調製することを含む方法に関する。
【0100】
別の好ましい実施態様において、本発明は、アルツハイマー病又は関連疾患を処置する方法であって、処置を必要とする対象に、シナプス機能を調節する薬剤及び/又は血管新生を調節する薬剤及び/又は細胞ストレス応答を調節する薬剤を同時に、個別に又は連続して投与することを含む方法に関する。
【0101】
本発明の組成物は、対象に反復投与してもよい。
【0102】
本発明の組成物は、典型的には、1種又は数種の薬学的に許容しうる担体又は賦形剤を含む。治療の期間は、処置される疾患の病期、使用される組合せ、患者の年齢及び症状、並びに患者がこの処置にどう反応するかに依存する。組合せの各成分の投与の用量、頻度及び様式は、独立に制御することができる。例えば、1つの薬剤は経口投与し、一方第2の薬剤は筋肉内投与してもよい。患者の身体が、今のところ予見できない任意の副作用から回復するための機会を持てるように、併用療法は、休み時間を包含する断続的なサイクルで行うことができる。薬剤はまた、1回の投与で全ての薬剤を送りこむように一緒に製剤化することもできる。
【0103】
組合せの各薬剤の投与は、他の成分と併用して、ADに関与する経路の機能を矯正できる薬剤の濃度が得られる、任意の適切な手段によることができる。
【0104】
組合せの活性成分を純粋な化合物として投与することは可能であるが、これらは医薬組成物(この文脈において医薬品製剤とも呼ばれる)として提示することが好ましい。考えられる組成物は、経口投与、直腸内投与、局所投与(経皮、バッカル及び舌下投与を包含する)、又は非経口投与(皮下、筋肉内、静脈内及び皮内投与を包含する)に適切なものを包含する。
【0105】
更に一般には、これらの医薬品製剤は、幾つかの投与単位を含有する「患者用パック」にして、又は個別の処置期間の使用のために単一包装(通常はブリスターパック)した計量単位用量の投与のための他の手段で患者に処方される。患者用パックは、患者が常に患者用パックに含まれる添付文書を利用できる(従来処方では普通は紛失している)という点で、薬剤師が医薬の患者供給分をバルク供給分から分割する従来処方よりも利点がある。添付文書の封入は、医師の指示の患者コンプライアンスを改善することが示された。即ち、本発明は更に、本明細書に前述の医薬品製剤を、該製剤に適切な包装材料と組合せて包含する。このような患者用パックでは、組合せ処置のための製剤の使用目的は、その処置に最も適切に製剤の使用を助けるための指示、施設、設備、適応及び/又は他の手段により推察することができる。このような評価基準により、患者用パックは、本発明の組合せでの処置のための使用に、特に適切であり、そして適応している。
【0106】
薬剤は、任意の適量で任意の適切な担体物質中に含有され、そして組成物の総重量の1〜99重量%の量で存在することができる。この組成物は、経口、非経口(例えば、静脈内、筋肉内)、直腸内、経皮、鼻内、膣内、吸入、皮膚(パッチ)、又は眼内の投与経路に適した投与剤形として提供することができる。即ち、本組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、懸濁剤、乳剤、液剤、ヒドロゲルを包含するゲル剤、泥膏、軟膏剤、クリーム剤、硬膏剤、ドレンチ剤(drench)、浸透圧送達装置、坐剤、浣腸剤、注射剤、インプラント、噴霧剤、又はエアゾール剤の剤形であってよい。
【0107】
本医薬組成物は、従来の製薬の実務により製剤化することができる(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed.), ed. A. R. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, 2000及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. J. Swarbrick and J. C. Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New Yorkを参照のこと)。
【0108】
本発明の医薬組成物は、実質的に投与直後に、又は投与後の任意の所定の時点若しくは期間に活性薬剤を放出するように製剤化することができる。
【0109】
放出制御製剤は、以下を包含する:(i)長時間にわたり体内で薬剤の実質的に一定濃度をもたらす製剤;(ii)所定の遅延時間後に長時間にわたり体内で薬剤の実質的に一定濃度をもたらす製剤;(iii)活性薬剤物質の血漿レベルの変動に関連する望ましくない副作用を最小限に抑えると共に、体内で比較的一定の有効薬剤レベルを維持することにより、所定の期間薬剤作用を持続する製剤;(iv)例えば、患部組織又は臓器に近接させるか又はその中に放出制御組成物を空間配置することにより、薬剤作用を局在化させる製剤;及び(v)薬剤を特定の標的細胞型に送達するための担体又は化学的誘導体を使用することにより、薬剤作用を標的化する製剤。
【0110】
放出制御製剤の剤形の薬剤の投与は、その薬剤が、単独又は組合せのいずれかで、(i)低い治療指数(即ち、有害な副作用又は毒性反応をもたらす血漿濃度と治療効果をもたらす血漿濃度の間の差が小さい;一般には、治療指数、TIは、50%致死量(LD50)の50%有効量(ED50)に対する比として定義される);(ii)狭い消化管吸収域;又は(iii)非常に短い生物学的半減期(そのため血漿レベルを治療レベルに持続させるために1日に頻回の投与が必要となる)を有する場合に特に好ましい。
【0111】
問題の薬剤の放出速度が代謝速度を上回る放出制御を得るために、多数の方策のいずれも追求することができる。放出制御は、例えば、放出制御組成物及びコーティングの種々のタイプを包含する、種々の製剤パラメーター及び成分の適切な選択により得られる。即ち、薬剤は、適切な賦形剤と共に、投与により薬剤を制御放出する医薬組成物へと製剤化される(単一又は複数単位の錠剤又はカプセル剤組成物、油性液剤、懸濁剤、乳剤、マイクロカプセル、ミクロスフェア、ナノ粒子、パッチ、及びリポソーム)。
【0112】
経口使用のための固体投与剤形
経口使用のための製剤は、活性成分を非毒性の薬学的に許容しうる賦形剤との混合物中に含有する錠剤を包含する。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤又は充填剤(例えば、ショ糖、微結晶性セルロース、バレイショデンプンを包含するデンプン、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム);造粒剤及び崩壊剤(例えば、微結晶性セルロースを包含するセルロース誘導体、バレイショデンプンを包含するデンプン、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、又はアルギン酸);結合剤(例えば、アカシアゴム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、α化デンプン、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はポリエチレングリコール);並びに滑沢剤、流動促進剤、及び粘着防止剤(例えば、ステアリン酸、シリカ、又はタルク)であろう。他の薬学的に許容しうる賦形剤は、着色料、着香剤、可塑剤、保湿剤、緩衝剤などであってよい。
【0113】
錠剤は、素錠であっても、又は場合により消化管での崩壊及び吸収を遅延させることにより長時間にわたり持続作用を提供するために、既知の手法によりコーティングされていてもよい。コーティングは、活性薬剤物質を既定のパターン(例えば、放出制御製剤を達成するための)に放出するために適合させられるか、又は胃の通過後まで活性薬剤物質を放出しないように適合させられる(腸溶コーティング)。コーティングは、糖衣がけ、フィルムコーティング(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリレートコポリマー、ポリエチレングリコール及び/又はポリビニルピロリドンに基づく)、又は腸溶コーティング(例えば、メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、及び/又はエチルセルロースに基づく)であってよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルのような時間遅延物質を利用することができる。
【0114】
固体の錠剤組成物は、組成物を不要な化学変化(例えば、活性薬剤物質の放出に先立つ化学分解)から保護するために適合させたコーティングを包含してもよい。このコーティングは、Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載された方法と同様に固体投与剤形に適用することができる。
【0115】
数種の薬剤が、錠剤中で混合されていても、又は仕切られていてもよい。例えば、第1の薬剤の放出の前に第2の薬剤の大部分が放出されるように、第1の薬剤は錠剤の内側に、そして第2の薬剤は外側に含まれる。
【0116】
経口使用のための製剤はまた、チュアブル錠として、若しくは硬ゼラチンカプセル剤として[ここで、活性成分は不活性固体希釈剤(例えば、バレイショデンプン、微結晶性セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン)と混合されている]、又は軟ゼラチンカプセル剤として(ここで、活性成分は、水又は油性媒体、例えば、流動パラフィン、若しくはオリーブ油と混合されている)提示することができる。散剤及び顆粒剤は、錠剤及びカプセル剤の下の上記の成分を用いて従来法で調製することができる。
【0117】
経口使用のための放出制御組成物は、例えば、活性薬剤物質の溶解及び/又は拡散を制御することにより活性薬剤を放出するように構築することができる。
【0118】
溶解又は拡散制御放出は、薬剤の錠剤、カプセル剤、ペレット、若しくは顆粒製剤の適切なコーティングにより、又は薬剤を適切なマトリックスに組み込むことにより達成することができる。放出制御コーティングは、1種以上の上記のコーティング物質及び/又は、例えば、シェラック、ミツロウ、グリコワックス(glycowax)、硬化ヒマシ油、カルナウバロウ、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセロール、エチルセルロース、アクリル樹脂、dl−ポリ乳酸、酢酸酪酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリレート、メタクリル酸メチル、2−ヒドロキシメタクリラート、メタクリレートヒドロゲル、1,3−ブチレングリコール、メタクリル酸エチレングリコール、及び/又はポリエチレングリコールを包含してもよい。放出制御マトリックス製剤において、マトリックス物質はまた、例えば、水和メチルセルロース、カルナウバロウ及びステアリルアルコール、カルボポール934、シリコーン、トリステアリン酸グリセリル、アクリル酸メチル−メタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、及び/又はハロゲン化フルオロカーボンを包含してもよい。
【0119】
特許請求の組合せの1種以上の薬剤を含有する放出制御組成物はまた、浮遊性錠剤又はカプセル剤(即ち、経口投与されると、一定時間、胃内容物の上に浮いている錠剤又はカプセル剤)の剤形であってもよい。薬剤の浮遊性錠剤の製剤は、賦形剤及び20〜75%(w/w)の親水コロイド(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、又はヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)との薬剤の混合物を顆粒化することにより調製することができる。得られる顆粒は次に錠剤へと圧縮することができる。胃液と接触すると、この錠剤は、その表面の周りに実質的に水不透過性のゲルバリアを形成する。このゲルバリアは、1未満の密度を維持することに関与し、それによって錠剤が胃液中で浮遊性を保持できる。
【0120】
経口投与用液剤
水の添加により水性懸濁液の調製に適している散剤、分散性散剤、又は顆粒剤は、経口投与に便利な投与剤形である。懸濁剤としての製剤は、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤、及び1種以上の保存料との混合物中の活性成分を提供する。適切な懸濁化剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどである。
【0121】
非経口投与用組成物
本医薬組成物はまた、注射、点滴又は体内移植(静脈内、筋肉内、皮下など)により、従来の非毒性の薬学的に許容しうる担体及び補助剤を含有する、投与剤形、製剤にして、又は適切な送達装置若しくはインプラントを介して非経口投与してもよい。このような組成物の製剤設計及び調製法は、医薬品製剤の当業者には周知である。
【0122】
非経口使用の組成物は、単位投与剤形として(例えば、単回投与用アンプルとして)、又は数回の用量を含有するバイアルとして提供することができ、そして中に適切な保存料を加えることができる(以下を参照のこと)。この組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、点滴装置、又は体内移植用の送達装置の剤形であってよいか、あるいは使用前に水又は別の適切なビヒクルで再構成されるドライパウダーとして提示してもよい。活性薬剤の他に、本組成物は、適切な非経口投与に許容しうる担体及び/又は賦形剤を包含することができる。活性薬剤は、放出制御のためにミクロスフェア、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソームなどに組み込むことができる。本組成物は、懸濁化剤、可溶化剤、安定化剤、pH調整剤、及び/又は分散剤を包含してもよい。
【0123】
本発明の医薬組成物は、無菌注射に適している剤形であってもよい。このような組成物を調製するために、適切な活性薬剤を非経口投与に許容しうる液体ビヒクルに溶解又は懸濁する。利用できる許容しうるビヒクル及び溶媒には、水、適量の塩酸、水酸化ナトリウム若しくは適切な緩衝剤の添加により適切なpHに調整した水、1,3−ブタンジオール、リンゲル液、及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。本水性製剤はまた、1種以上の保存料(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、エチル又はn−プロピル)を含有してもよい。薬剤の1つが水にやや溶けにくいか溶けにくい場合は、溶解増強剤又は可溶化剤を加えることができるか、あるいはこの溶媒が、10〜60%(w/w)のプロピレングリコールなどを包含してもよい。
【0124】
放出制御非経口組成物は、水性懸濁剤、ミクロスフェア、マイクロカプセル、磁性ミクロスフェア、油性液剤、油性懸濁剤、又は乳剤の剤形であってもよい。あるいは、活性薬剤は、生体適合性担体、リポソーム、ナノ粒子、インプラント、又は点滴装置に組み込むことができる。ミクロスフェア及び/又はマイクロカプセルの調製に使用する物質は、例えば、ポリグラクチン、ポリ(シアノアクリル酸イソブチル)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−L−グルタミン)のような、生分解性/生体内分解性(bioerodible)ポリマーである。放出制御非経口製剤を処方するとき使用できる生体適合性担体は、炭水化物(例えば、デキストラン)、タンパク質(例えば、アルブミン)、リポタンパク質、又は抗体である。インプラントに使用する物質は、非生分解性(例えば、ポリジメチルシロキサン)であっても生分解性(例えば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(グリコール酸)又はポリ(オルトエステル))であってもよい。
【0125】
直腸内投与用組成物
直腸内適用には、組成物に適している投与剤形は、坐剤(乳剤又は懸濁剤型)、及び直腸用ゼラチンカプセル剤(液剤又は懸濁剤)を包含する。典型的な坐剤製剤では、活性薬剤は、適切な薬学的に許容しうる坐剤基剤(カカオ脂、エステル化脂肪酸、グリセリンゼラチンなど)及びポリエチレングリコールのような種々の水溶性又は分散性基剤と合わせられる。種々の添加剤、増強剤、又は界面活性剤を組み込んでもよい。
【0126】
経皮及び局所投与用組成物
本医薬組成物はまた、ミクロスフェア及びリポソームを包含する、従来の非毒性の薬学的に許容しうる担体及び賦形剤を含有する投与剤形又は製剤として、経皮吸収のため皮膚上に局所投与することができる。この製剤は、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、リニメント剤、ゲル剤、ヒドロゲル剤、液剤、懸濁剤、スティック剤、噴霧剤、泥膏、硬膏剤、及び他の種類の経皮薬物送達システムを包含する。薬学的に許容しうる担体又は賦形剤は、乳化剤、酸化防止剤、緩衝剤、保存料、保湿剤、浸透促進剤、キレート剤、ゲル形成剤、軟膏基剤、香料、及び皮膚保護剤を包含してもよい。
【0127】
乳化剤は、天然ゴム(例えば、アカシアゴム又はトラガントゴム)であってよい。
【0128】
保存料、保湿剤、浸透促進剤は、p−ヒドロキシ安息香酸メチル又はプロピルのようなパラベン類、及び塩化ベンザルコニウム、グリセリン、プロピレングリコール、尿素などであってよい。
【0129】
皮膚への局所投与のための上記の医薬組成物はまた、処置すべき身体の部分への、又はその近くへの局所投与に関連して使用することができる。本組成物は、直接適用のために、あるいは包帯、又は代わりに硬膏、パッド、スポンジ、ストリップ、若しくは他の形態の適切な柔軟な材料のような特別な薬物送達装置を利用する適用のために適合させることができる。
【0130】
用量及び処置の期間
当然のことながら、組合せの薬剤は、同一であるか若しくは異なる医薬品製剤のいずれかで同時に、又は連続して投与することができる。連続投与であるならば、第2の(又は追加の)活性成分を投与する際の遅延時間は、活性成分の組合せの有効な作用の恩恵を失わないようにすべきである。本説明の組合せにとって最小限の要件は、この組合せが、活性成分の組合せの有効な作用の恩恵を持つ組合せ使用を目的とすることである。組合せの使用目的は、本発明の組合せの使用を助けるための施設、設備、適応及び/又は他の手段により推察することができる。
【0131】
本発明の活性薬剤は、分割用量で、例えば、1日2回又は3回投与することができるが、組合せた各薬剤の1日1回投与が好ましく、単一医薬組成物(単位投与剤形)にした全ての薬剤の1日1回投与が最も好ましい。
【0132】
「単位投与剤形」という用語は、ヒト対象のための単一の用量として適している物理的に個別の単位(カプセル、錠剤、又は充填済みシリンジなど)のことをいい、各単位は、所望の治療効果を生み出すように算出された所定量の活性物質(単数又は複数)を、必要な製剤担体と一緒に含有している。
【0133】
投与は、1日1〜数回、数日〜数年にわたり行うことができるが、患者の生涯にわたることさえある。長期投与又は少なくとも定期的に反復する長期投与が、大抵の場合に指示されよう。
【0134】
更には、特定の患者に関する薬理ゲノミクス(治療薬の薬物動態、薬力学又は効力プロフィールに及ぼす遺伝子型の効果)情報が、使用される用量に影響しうる。
【0135】
高用量を必要としうる、特に悪化しているAD疾患の症例に対応するときを除いて、組合せた各薬剤の好ましい用量は、通常は、長期維持療法に通常処方されるか、又は第3相臨床試験において安全が証明された用量を超えない用量の範囲内である。
【0136】
本発明の1つの注目に値する利点は、併用療法では、共同して実質的な臨床効果を患者にもたらしながら、各化合物を低用量で使用できることである。併用療法は実際に、化合物が個々には実質的な効果を持たない用量で有効なことがある。したがって、本発明の特別な利点は、各化合物の準最適用量、即ち、通常処方される治療用量より低い用量、好ましくは治療用量の1/2、更に好ましくは治療用量の1/3、1/4、1/5、又は更に好ましくは1/10〜1/100の用量を使用できることにある。このような準最適用量では、化合物単独は実質的に不活性であろうが、一方本発明の組合せは充分に有効である。
【0137】
好ましい用量は、長期維持療法に通常処方される量の1%〜50%の量に相当する。
【0138】
最も好ましい用量は、長期維持療法に通常処方される量の1%〜10%の量に相当しうる。
【0139】
本発明に使用するための薬剤の用量の具体例は、以下に提供される:
− アミノカプロン酸 1日に約0.05〜15g、
− レボシメンダン 1日に0.05〜4mg、
− アムロジピン 経口 1日に約0.05〜1mg、
− クロピドグレル 経口 1日に約0.75〜7.5mg、
− タダラフィル 経口 1日に約0.05〜0.5mg、
− シロスタゾール 経口 1日に約1〜10mg、
− テルビナフィン 経口 1日1回又は2回 約2.5〜25mg、
− レフルノミド 経口 1日に約0.25〜2.5mg、
− シナカルセト 経口 1日に約0.3〜3mg、
− アカンプロセート 経口 1日3回 約7〜70mg、
− メチマゾール 経口 1日に約0.05〜1.5mg、
− メパクリン 経口 1日に約3〜30mg、
− フェンホルミン 経口 1日に約0.5〜5mg、
− バクロフェン 経口 1日に約0.4〜8mg(2回又は3回の分割用量にして投与)、
− リファブチン 経口 1日に約6〜60mg、
− アモバルビタール 経口 1日に約0.06〜15mg、
− セフォテタン 経口 1日に約0.01〜0.4mg、
− ダイフィリン 経口 1日に約6〜60mg(2回又は3回の分割用量にして)、
− メチクロチアジド 経口 1日に約0.025〜1mg、
− リセドロネート 経口 1日に約0.05〜3mg、
− エトミデート 経口 1日に約0.6〜6mg、
− ゾニサミド 経口 1日に約1〜40mg。
【0140】
当然のことながら、実際に投与される薬剤の量は、処置すべき症状、投与される厳密な組成物、個々の患者の年齢、体重及び反応、患者の症状の重症度、並びに選択される投与経路を包含する関連のある状況に照らして、医師により決定されよう。したがって、上記用量範囲は、本明細書における教示のための一般的なガイダンス及びサポートを提供するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0141】
以下の実施例は、例示を目的として与えられるもので、限定する目的ではない。
【0142】
実施例
I. 化合物及びその組合せはAβ25−35ペプチドの毒性を阻止する。
この第1シリーズの実験では、候補化合物は、Aβ25−35ペプチドの毒性作用を阻止又は縮小するその能力に関して試験した。薬剤は、最初に個々に試験し、続いてそれらの組合せの作用の分析を行う。効果は、化合物の活性を更に例証するために種々の細胞型で測定する。
【0143】
ADでは、APPタンパク質は、線維状Aβタンパク質の不溶性β−プリーツシートの凝集体を形成する(アミロイド)。可溶性から線維状形態への立体構造変化は、Aβの濃度が高まるにつれて増加する自然発生事象であると考えられるため、正常よりも大量のAβのいかなる産生(又は大量の溶解度が低い形のAβの産生)も斑形成を増加させる傾向にあろう。一旦Aβ斑が形成し始めると、他の分子が初期斑と相互作用することができ、結局は神経細胞死のその関連領域を持つ成熟斑を産生する。これを踏まえて、我々は、アミロイドβタンパク質に曝露された細胞の生存に及ぼす薬剤の効果を試験することを優先した。
【0144】
I.1 皮質ニューロンにおけるAβ25−35ペプチドの毒性に対する保護
細胞培養
ラット初代皮質ニューロンは、Singer et al., 1999に報告されたように培養する。簡単に述べると、妊娠期間15日のメス妊娠ラットを頚椎脱臼により殺処分して(Rats Wistar; Janvier)、胎仔を子宮から取り出す。皮質を取り出し、1%のペニシリン−ストレプトマイシン(PS;Invitrogen)及び1%のウシ血清アルブミン(BSA;Sigma)を含有するLeibovitz(L15;Invitrogen)の氷冷培地に入れる。皮質は、37℃で20分間のトリプシン処理(トリプシンEDTA 1×;Invitrogen)により分離し、カルシウム及びマグネシウムを含まないPBSに希釈する。反応は、DNAアーゼIグレードII(0.1mg/ml;Roche Diagnostic)及び10%のウシ胎仔血清(FCS;Invitrogen)を含有するダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM;Invitrogen)の添加により停止させる。次に細胞は、3代継代により10mlピペットを介して機械的に分離する。次いで細胞は、180×gで10℃で10分間遠心分離する。上清は廃棄して、ペレットの細胞は、B27(2%;Invitrogen)、L−グルタミン(0.2mM;Invitrogen)、1%のPS溶液及び10ng/mlの脳由来神経栄養因子(BDNF、Pan Biotech)を補足したNeurobasal(Invitrogen)よりなる合成培地に再懸濁する。生存細胞は、トリパンブルー色素排除試験法を用いてNeubauer細胞計数器でカウントする。細胞は、30,000細胞/ウェルの密度で96ウェルプレート(ウェルはポリ−L−リシン(10μg/ml;Sigma)でプレコートする)に播種して、加湿空気(95%)/CO(5%)雰囲気で37℃で培養する。
【0145】
6日の培養後、細胞は薬剤(5濃度)と共にインキュベートする。1時間後、細胞は、BDNFを含まないが薬剤を含む合成培地中で20μMのβ−アミロイド(25−35;Sigma)により中毒にする。皮質ニューロンは2日間中毒にする。1条件につき2回の独立培養、1条件につき6ウェルを実施する。
【0146】
神経突起長の定量
細胞は、エタノール(95%)及び酢酸(5%)の冷溶液で10分間固定する。0.1%のサポニンでの透過処理後、細胞は、10%ヤギ血清を含有するPBSで2時間ブロックする。次に細胞は、微小管結合タンパク質2(MAP−2;Sigma)に対するモノクローナル抗体と共にインキュベートする。この抗体は、細胞体及び神経突起を特異的に明らかにする。使用する第2の抗体は、Alexa Fluor 488ヤギ抗マウスIgG(Molecular probe)である。ニューロンの核は、蛍光色素(Hoechst溶液、SIGMA)により明らかにする。InCell AnalyzerTM 1000(GE Healthcare)を倍率20×で用いて、1ウェルにつき20枚の写真を撮る。全ての画像は、同じ条件で撮る。神経突起長は、Developerソフトウェア(GE Healthcare)を用いて定量する。
【0147】
結果
図1に提示される結果は、1条件につき2回の独立培養、6ウェルから抽出される。全ての値は、平均±標準誤差として表す。両側スチューデントt検定解析を生データで実施する。結果は、対照(ビヒクル)に比較した神経突起長の百分率として表す。
【0148】
薬剤は、ラット初代皮質ニューロンと共に1時間インキュベートし、次にAβ25−35 20μMで中毒にして2日間続ける(36)。
【0149】
このインキュベーションの2日後、軸索の細胞増殖を反映する神経突起のネットワーク長を定量する。結果は、試験薬剤がAβ25−35中毒に対して神経保護作用を明らかに発揮することを示す(図1及び図2)。
【0150】
I.2. 脳内皮細胞に及ぼすAβ25−35ペプチドの毒性に対する保護
細胞培養
ラット脳内皮細胞の初代培養(Vect-Horus SAS, Marseille)は、継代数0で培養する。コンフルエンスで、内皮細胞はトリプシンEDTA(Pan Biotech Ref: P10-023100)で分離する。細胞は、25,000細胞/ウェルの密度で96ウェルプレート(ウェルは、30μlのラットI型コラーゲン(1.5mg/ml、Vect-Horus SAS、Marseille)でコートする)に播種して、1%の微小血管増殖補給剤(MVGS、S-005-25、Invitrogen)を補足したMCBD 131培地(M-131-500、Invitrogen)中で培養する。細胞は、加湿空気(95%)/CO(5%)雰囲気で37℃で培養する。培地の半分は1日おきに新鮮培地と交換する。
【0151】
4日後、薬剤は、DMSO 0.1%又は水に溶解して様々な濃度で細胞培地に加える。2%ウシ胎仔血清(FBS;Invitrogen ref: 16000-036)、1%のL−グルタミン(Pan Biotech ref: P04-80100)、1%のペニシリン−ストレプトマイシン(PS;Pan Biotech ref: P06-07100)、0.1mg/mlのヘパリン(Sigma)、10ng/mlの上皮成長因子(EGF、Invitrogen)及び10ng/mlの血管内皮増殖因子(VEGF、PHG0146、Invitrogen)を補足したダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM、Pan Biotech Ref: P04-03600)を含有する培地中で、1時間プレインキュベーションを実施する。
【0152】
次に細胞は、同じ培地に薬剤を伴う30μMのβ−アミロイド(25−35;Sigma)により中毒にする。そして細胞は3日間中毒にする。
【0153】
乳酸脱水素酵素(LDH)活性測定法
各培養液について、3日間の中毒後、上清を採取して細胞毒性検出キット(LDH、Roche Applied Sciences)で分析する。細胞死の定量のためのこの比色定量法は、損傷細胞のサイトゾルから上清に放出される乳酸脱水素酵素(LDH)活性の測定に基づく。光学密度(DO)は、波長492nmでマルチスキャン装置(Thermo、Ref Ascent)により分光計によって評価する。
【0154】
結果
図3に提示される結果は、1条件につき2回の独立培養、6ウェルから抽出される。全ての値は、平均±標準誤差として表す。両側スチューデントt検定解析を生データで実施する。結果は、対照(ビヒクル)に比較した細胞生存の百分率として表す。
【0155】
薬剤は、ラット初代脳内皮細胞と共に1時間インキュベートし、次にAβ25−35 30μMで中毒にして3日間続ける。
【0156】
このインキュベーションの3日後、細胞死のレベルを反映する培地中のLDH放出を定量する。
【0157】
提示される結果は、試験化合物がこのAβ25−35中毒に対して強力な保護作用を発揮することを明らかに示している(図3)。
【0158】
I.3. 褐色細胞腫細胞に及ぼすAβ25−35ペプチドの毒性に対する保護
PC12細胞培養
ATCC(ATCC CRL-1721)からのP12(褐色細胞腫ラット、ATCC ref: CRL-1721)細胞は、37℃の水中で急速に解凍した。上清は直ちに9mlのPC12増殖培地[15%熱失活ウマ血清(Invitrogen ref: 16050-130)、2.5%のウシ胎仔血清(FBS;Invitrogen ref: 16000-036)、1%のペニシリン10,000U/ml及びストレプトマイシン10mg/ml(PS;Pan Biotech ref: P06-07100)並びに1%のL−グルタミン200mM(Pan Biotech ref: P04-80100)を含むダルベッコ修飾イーグル培地DMEM-F12(Pan Biotech ref: P04-41450)を含有する]に入れた。
【0159】
細胞は、遠心分離(800回転/分、4℃で5分間)して5ml PC12増殖培地に加え、生存細胞は、ニュートラルレッド色素排除試験法を用いてMalassez細胞計数器によりカウントした(Sigma)。
【0160】
次に細胞は、ポリ−L−リシン(10μg/ml、Sigma Ref: P2636)でプレコートした75cmプラスチックフラスコ中のPC12増殖培地に1cmあたり3×10細胞で播種した。
【0161】
培地は1日おきに交換した。3日間の培養後、細胞がコンフルエンスの80%に達したら、カルシウム及びマグネシウムを含まないHBSS(Pan Biotech Ref: P06-33500)中で洗浄して、トリプシンEDTA(0.05%、Pan Biotech Ref: P10-023100)中でインキュベートした。酵素反応は、0.5mg/mlのDNAアーゼ1グレード2(Pan Biotech Ref: T60-37780100)を加えたPC12増殖培地により停止させた。次に、PC12を遠心分離(800回転/分、4℃で10分間)して、細胞は、ポリ−L−リシンでプレコートした175cmフラスコ(Greiner Ref: 661195)に1cmあたり2.9×10の密度で播種した。
【0162】
中毒及びMTT生存試験法
PC12細胞(継代数2)は、ポリ−L−リシン(Sigma)でプレコートした96ウェルプレート(Greiner Ref: 655180)に1cmあたり3300細胞の計算で、B27(2%、Invitrogen、Ref: 21103049)、ペニシリン(50U/ml)−ストレプトマイシン(50μg/ml)及びグルタミン(1%)並びに50ng/mlのNGF(Sigma Ref: N1408)を含有するNeurobasal培地(Invitrogen、Ref: 21103049)に播種する。NGFによりPC12は交感神経ニューロン様細胞に分化することができる。
【0163】
5日間の培養後、培地は、NGF(50ng/ml)、B27を加えた、酸化防止剤、グルタミン及び抗生物質を含まないNeurobasal培地と交換する。24時間後、細胞は、1条件につき6ウェルで、5濃度の薬剤と共に1時間インキュベートする。1時間のプレインキュベーション後、細胞は、細胞培地中に薬剤を伴う10μMのβ−アミロイド(25−35;Sigma)により中毒にする。24時間後、細胞はPBS(Pan Biotech、Ref: P04-36100)で1回洗浄して、MTT(臭化3−[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウム)生存試験法によりPC12細胞生存率を評価した。
【0164】
皮質ニューロン細胞培養
ラット初代皮質ニューロンは、Singer et al., 1999に報告されたように培養する。簡単に述べると、妊娠期間15日のメス妊娠ラットを頚椎脱臼により殺処分して(Rats Wistar; Janvier)、胎仔を子宮から取り出す。皮質を取り出し、1%のペニシリン−ストレプトマイシン(PS;Invitrogen)及び1%のウシ血清アルブミン(BSA;Sigma)を含有するLeibovitz(L15;Invitrogen)の氷冷培地に入れる。皮質は、37℃で20分間のトリプシン処理(トリプシンEDTA 1×;Invitrogen)により分離し、カルシウム及びマグネシウムを含まないPBSに希釈する。反応は、DNAアーゼIグレードII(0.1mg/ml;Roche Diagnostic)及び10%のウシ胎仔血清(FCS;Invitrogen)を含有するダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM;Invitrogen)の添加により停止させる。次に細胞は、3代継代により10mlピペットを介して機械的に分離する。次いで細胞は、180×gで10℃で10分間遠心分離する。上清は廃棄して、ペレットの細胞は、B27(2%;Invitrogen)、L−グルタミン(0.2mM;Invitrogen)、1%のPS溶液及び10ng/mlの脳由来神経栄養因子(BDNF、Pan Biotech)を補足したNeurobasal(Invitrogen)よりなる合成培地に再懸濁する。生存細胞は、トリパンブルー色素排除試験法を用いてNeubauer細胞計数器でカウントする。細胞は、30,000細胞/ウェルの密度で96ウェルプレート(ウェルはポリ−L−リシン(10μg/ml;Sigma)でプレコートする)に播種して、加湿空気(95%)/CO(5%)雰囲気で37℃で培養する。
【0165】
6日間の培養後、細胞を薬剤(5濃度)と共にインキュベートする。1時間後、細胞は、BDNFを含まないが薬剤を含む合成培地中で20μMのβ−アミロイド(25−35;Sigma)により中毒にする。皮質ニューロンは2日間中毒にする。
【0166】
乳酸脱水素酵素(LDH)活性測定法
2日間の培養後、上清を採取して細胞毒性検出キット(LDH、Roche Applied Sciences)で分析する。細胞死の定量のためのこの比色定量法は、損傷細胞のサイトゾルから上清に放出される乳酸脱水素酵素(LDH)活性の測定に基づく。光学密度(DO)は、波長492nmでマルチスキャン装置(Thermo、Ref Ascent)により分光計によって評価する。結果は、陰性対照(ビヒクル)に比較した細胞生存の百分率として表す。
【0167】
結果
図4及び5に提示される結果は、1条件につき2回の独立培養、6ウェルから抽出される。全ての値は、平均±標準誤差として表す。両側スチューデントt検定解析を生データで実施する。結果は、対照(ビヒクル)に比較した神経突起長の百分率として表す。
【0168】
NGF分化PC12細胞は、薬剤と共に1時間インキュベートし、次にAβ25−35 10μMで中毒にして24時間続ける。
【0169】
このインキュベーションの1日後、MTT試験法を用いて、NGF分化PC12の生存を定量する。結果は、プリロカイン及びアムロジピンが、このAβ25−35中毒に対する強い神経保護作用を発揮することを明らかに示している(図4)。
【0170】
ラット初代皮質ニューロンはまた、本発明の化合物と共に1時間インキュベートして、次にAβ25−35 20μMで中毒にして2日間続ける。このインキュベーションの2日後、細胞死のレベルを反映する、培地中のLDH放出を定量する。提示される結果は、本発明に使用する化合物がこのAβ25−35中毒に対して実質的な保護作用を発揮することを証明している(図5)。
【0171】
I.4. 薬剤の組合せの活性
シナプス機能及び/又は血管新生及び/又は細胞ストレス応答を調節する幾つかの薬剤の組合せによりインビトロ試験法も実施する。
【0172】
薬剤は、上記と同じ実験条件でインキュベートする(I.1〜I.3の項を参照のこと)。標的に作用する最も効率的な薬剤の組合せを表2に要約する。
【0173】
【表17】





【0174】
II. 化合物はヒトAβ1−42の毒性を阻止する
この更なるシリーズの実験では、候補化合物は、ヒトAβ1−42の毒性作用を阻止又は縮小するその能力に関して試験した。Aβ1−42は、ADに罹患したヒト患者からの生検で見い出される凝集体を構成する完全長ペプチドである。薬剤は、最初に個々に試験し、続いてそれらの組合せの作用の分析を行う。効果は、化合物の活性を更に実証するために種々の細胞型で測定する。
【0175】
II.1. ヒト脳微小血管内皮細胞モデルでのAβ1−42の毒性に対する保護
候補化合物により得られるAβ1−42毒性からの保護作用を試験するために、ヒト脳微小血管内皮細胞培養物を使用した。
【0176】
ヒト脳微小血管内皮細胞(HBMEC、ScienCell Ref: 1000、継代数10で凍結)は、+37℃の水浴中で急速に解凍した。上清は直ちに、10%のウシ胎仔血清(FCS;GIBCO ref: 10270-106)を含有する9mlのダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM;Pan Biotech ref: P04-03600)に入れた。細胞懸濁液は、180×gで+4℃で10分間遠心分離して、ペレットは、1.6%の無血清RocketFuel(Cell System、Ref: SF-4Z0-500-R、Batch 54102)、2%のペニシリン10,000U/ml及びストレプトマイシン10mg/ml(PS;Pan Biotech ref: P06-07100 batch 133080808)を含むCSC無血清培地(CSC無血清、Cell System、Ref: SF-4Z0-500-R、Batch 51407-4)に懸濁して、1ウェルあたり20,000細胞の密度で96ウェルプレート(マトリゲル層バイオコート血管新生システム、BD、Ref 354150、Batch A8662)に最終容量100μlにして播種した。マトリゲルサポート上で、脳内皮細胞は毛細管網形態形成のプロセスを自発的に開始した(47)。
【0177】
1条件につき3回の別々の培養、1条件につき6ウェルを実施した。
【0178】
候補化合物及びヒトアミロイド−β1−42の処理
簡単に述べると、Aβ1−42ペプチド(Bachem、ref: H1368 batch 1010533)は、合成培地に20μM(母液)で再構成して、凝集させるために+37℃で暗所で3日間ゆっくり振盪した。対照培地は、同じ条件で調製した。
【0179】
3日後、この凝集ヒトアミロイドペプチドを、対照培地に2.5μMに希釈してHBMECに使用した(最適インキュベーション時間)。Aβ1−42ペプチドは、マトリゲルへのHBMEC播種の2時間後に加えて18時間インキュベーションを行った。
【0180】
マトリゲルへのHBMEC播種の1時間後、試験化合物及びVEGF−165を培地(+0.1% DMSO)に溶解し、次にAβ1−42の適用に先立ちHBMECと共に1時間プレインキュベートした(100μlの培養ウェルあたり最終容量中)。試験化合物又はVEGFインキュベーションの1時間後(マトリゲルへの細胞播種の2時間後)、更なる薬剤希釈を回避するために、試験化合物又はVEGFの存在下で対照培地に希釈して2.5μMの最終濃度になるように100μlのAβ1−42ペプチドを加えた(総容量200μl/ウェル中)。
【0181】
培養プレートの組織化
VEGF−Aの血管新生促進性アイソフォームであることが知られているVEGF−165を、本試験の全ての実験について基準化合物として使用した。VEGF−165は、血管新生に関与する最も豊富なVEGFアイソフォームの1つである。VEGFは、10nMで基準試験化合物として使用した。
【0182】
以下の条件を評価した:
・ 陰性対照:培地単独+0.1% DMSO
・ 中毒:アミロイド−β1−42(2.5μM)18時間
・ 陽性対照:VEGF−165(10nM)(1基準化合物/培養)、1時間後Aβ1−42(2.5μM)添加、インキュベーション時間18時間。
・ 試験化合物:試験化合物、1時間後Aβ1−42(2.5μM)添加、インキュベーション時間18時間。
【0183】
毛細管網の定量
1ウェルあたり、透過光でInCell AnalyzerTM 1000(GE Healthcare)を用いて4×レンズで写真2枚を撮った。全ての画像は、同じ条件で撮った。血管新生ネットワークの分析は、Developerソフトウェア(GE Healthcare)を用いて行った。毛細管網の全長を評価した。
【0184】
データ処理
全ての値は、培養3回の平均±標準誤差として表す(1条件につきn=6)。統計解析は、様々な条件について、ANOVAと可能であればダネット検定を実施した(Statviewソフトウェア、バージョン5.0)。グラフに挿入される値(%として)は、アミロイド毒性の展開を示す。実際、アミロイド毒性を100%としてとり、試験化合物の作用は、このアミロイド毒性の%として算出した。
【0185】
結果
結果は、図6及び表3に示す。これらは、薬剤が単独で、Aβペプチド1−42に起因する毒性に対する実質的な保護作用を誘導することを証明している:
− アミノカプロン酸は単独で、例えば、160nMの低用量で強い保護作用を誘導する;
− レボシメンダンは、8nMという低い用量で強い保護作用を誘導する。
【0186】
II.2 初代皮質神経細胞でのAβ1−42の毒性に対する保護
試験化合物及びヒトアミロイド−β1−42の処理
ラット初代皮質ニューロンは前記のように培養する。
【0187】
簡単に述べると、Aβ1−42ペプチドは、合成培地に40μM(母液)で再構成して、凝集させるために+37℃で暗所で3日間ゆっくり振盪した。対照培地は、同じ条件で調製した。
【0188】
3日後、この溶液を、以下のとおり初代皮質ニューロンに使用した:
【0189】
10日間のニューロン培養後、薬剤は培地(+0.1% DMSO)に溶解し、次にAβ1−42の適用に先立ちニューロンと共に1時間プレインキュベートした(100μlの培養ウェルあたり最終容量中)。薬剤インキュベーションの1時間後、更なる薬剤希釈を回避するために、薬剤の存在下で希釈して10μMの最終濃度になるように100μlのAβ1−42ペプチドを加えた。皮質ニューロンは24時間中毒にした。1条件につき3回の別々の培養、1条件につき6ウェルを実施した。
【0190】
それぞれ陽性対照及び基準化合物として、BDNF(50ng/ml)及びエストラジオール−β(100及び150nM)を使用した。1条件につき3回の別々の培養、1条件につき12ウェルが実施される。
【0191】
培養プレートの組織化
エストラジオール−βを100及び150nMで基準試験化合物として使用し、そしてBDNFを50ng/mlで陽性対照として使用した。
【0192】
エストラジオール−β及びBDNFは培地に溶解して、凝集アミロイド−β1−42の適用に先立ち1時間プレインキュベートした。
【0193】
以下の条件を評価した:
− 1対照プレート:12ウェル/条件
・ 陰性対照:培地単独+0.1% DMSO
・ 中毒:アミロイド−β1−42(10μM)24時間
・ 陽性対照:BDNF(50ng/ml)1時間、続いてアミロイド−β1−42(10μM)24時間
・ 基準化合物:エストラジオール(150nM)1時間、続いてアミロイド−β1−42(10μM)24時間
− 薬剤プレート:6ウェル/条件
・ 陰性対照:培地単独+0.1% DMSO
・ 中毒:アミロイド−β1−42(10μM)24時間
・ 薬剤1:薬剤1−1時間、続いてアミロイド−β1−42(10μM)24時間
・ 薬剤2:薬剤2−1時間、続いてアミロイド−β1−42(10μM)24時間
【0194】
乳酸脱水素酵素(LDH)活性測定法
中毒の24時間後、上清を取り出して細胞毒性検出キット(LDH、Roche Applied Sciences、ref: 11644793001、batch: 11800300)で分析した。細胞毒性の定量のためのこの比色定量法は、死滅細胞のサイトゾルから上清に放出される乳酸脱水素酵素(LDH)活性の測定に基づく。
【0195】
データ処理
全ての値は、培養3回の平均±標準誤差として表す(1条件につきn=6)。統計解析は、様々な条件について実施した(ANOVA、続いて可能であればダネット検定、Statviewソフトウェア、バージョン5.0)。
【0196】
結果
初代皮質神経細胞の毒性試験法で個々の選択薬剤について得られる結果は、表3及び図7に提示される。
【0197】
【表18】

【0198】
II.3 ヒトHBMEC細胞のヒトAβ1−42ペプチドの毒性に及ぼす併用療法の作用。
本発明の薬剤の組合せの効力をヒト細胞で評価する。これらの試験法に使用されるプロトコールは、上記II.1項に記載されたものと同じである。
【0199】
結果
以下の薬剤の組合せをヒト脳微小血管内皮細胞で試験する:
− バクロフェン及びアミノカプロン酸、
− バクロフェン及びレボシメンダン、
− アミノカプロン酸及びスルフイソキサゾール、
− アミノカプロン酸及びテルビナフィン、
− アミノカプロン酸及びレボシメンダン、
− レボシメンダン及びスルフイソキサゾール、
− レボシメンダン及びテルビナフィン、
− エプレレノン及びレボシメンダン、
− エプレレノン及びスルフイソキサゾール、
− エプレレノン及びフェノルドパム、
− スロデキシド及びレボシメンダン、
− スロデキシド及びスルフイソキサゾール、
− スロデキシド及びフェノルドパム、又は
− エプレレノン及びスロデキシド。
【0200】
以下の表4に示されるように、かつ図8〜13に例証されるように、全ての試験した薬剤の組合せが、HBMECモデルでのヒトAβ1−42ペプチドの毒性に対する保護作用を与える。
【0201】
【表19】

【0202】
III. レボシメンダンとスルフイソキサゾールの併用療法はヒトAβ1−42の毒性からニューロンを有効に保護する
本実施例では、レボシメンダン及びスルフイソキサゾールを用いた併用療法を、ヒトAβ1−42の毒性作用を阻止又は縮小するその能力に関して評価した。
【0203】
この併用療法は、実施例II.1に開示された実験条件下で試験した。II.1.に開示されたようにヒト脳微小血管内皮細胞培養物を使用して、この薬剤の組合せと同時に又は連続してインキュベートした。
【0204】
結果は図8に提示される。これらは、凝集ヒトアミロイドペプチド(Aβ1−422.5μM)が、ビヒクル処理ニューロンに比較して有意な中毒(40%超)を起こすことを明確に示している。この中毒は、スルフイソキサゾール及びレボシメンダンの組合せ(図8A)により有意に阻止されるが、一方このような濃度で、レボシメンダン(図8B)及びスルフイソキサゾール(図8C)単独では中毒に及ぼす有意な作用はない。
【0205】
IV. テルビナフィンとスルフイソキサゾールの併用療法はヒトAβ1−42の毒性からニューロンを有効に保護する
本実施例では、テルビナフィン及びスルフイソキサゾールを用いた併用療法を、ヒトAβ1−42の毒性作用を阻止又は縮小するその能力に関して評価した。
【0206】
この併用療法は、実施例II.1に開示された実験条件下で試験した。II.1.に開示されたようにヒト脳微小血管内皮細胞培養物を使用して、この薬剤の組合せと同時に又は連続してインキュベートした。
【0207】
結果は図9に提示される。これらは、凝集ヒトアミロイドペプチド(Aβ1−42 2.5μM)が、ビヒクル処理ニューロンに比較して有意な中毒(40%超)を起こすことを明確に示している。この中毒は、テルビナフィン及びスルフイソキサゾールの組合せ(図9A)により有意に阻止されるが、一方このような濃度で、スルフイソキサゾール(図9B)及びテルビナフィン(図9C)単独では中毒に及ぼす有意な作用はない。
【0208】
V. レボシメンダンとバクロフェンの併用療法はヒトAβ1−42の毒性からニューロンを有効に保護する
本実施例では、レボシメンダン及びバクロフェンを用いた併用療法を、ヒトAβ1−42の毒性作用を阻止又は縮小するその能力に関して評価した。
【0209】
この併用療法は、実施例II.1に開示された実験条件下で試験した。II.1.に開示されたようにヒト脳微小血管内皮細胞培養物を使用して、この薬剤の組合せと同時に又は連続してインキュベートした。
【0210】
結果は図10に提示される。これらは、凝集ヒトアミロイドペプチド(Aβ1−422.5μM)が、ビヒクル処理ニューロンに比較して有意な中毒(40%超)を起こすことを明確に示している。この中毒は、レボシメンダン及びバクロフェンの組合せ(図10A)により有意に阻止されるが、一方このような濃度で、レボシメンダン(図10B)及びバクロフェン(図10C)単独では中毒に及ぼす有意な作用はない。
【0211】
VI. アミノカプロン酸とテルビナフィンの併用療法はヒトAβ1−42の毒性からニューロンを有効に保護する
本実施例では、アミノカプロン酸及びテルビナフィンを用いた併用療法を、ヒトAβ1−42の毒性作用を阻止又は縮小するその能力に関して評価した。
【0212】
この併用療法は、実施例II.1に開示された実験条件下で試験した。II.1.に開示されたようにヒト脳微小血管内皮細胞培養物を使用して、この薬剤の組合せと同時に又は連続してインキュベートした。
【0213】
結果は図11に提示される。これらは、凝集ヒトアミロイドペプチド(Aβ1−422.5μM)が、ビヒクル処理ニューロンに比較して有意な中毒(40%超)を起こすことを明確に示している。この中毒は、アミノカプロン酸及びテルビナフィンの組合せ(図11A)により有意に阻止されるが、一方このような濃度で、アミノカプロン酸(図11B)及びテルビナフィン(図11C)単独では中毒に及ぼす有意な作用はない。
【0214】
VII. アミノカプロン酸とレボシメンダンの併用療法はヒトAβ1−42の毒性からニューロンを有効に保護する
本実施例では、アミノカプロン酸及びレボシメンダンを用いた併用療法を、ヒトAβ1−42の毒性作用を阻止又は縮小するその能力に関して評価した。
【0215】
この併用療法は、実施例II.1に開示された実験条件下で試験した。II.1.に開示されたようにヒト脳微小血管内皮細胞培養物を使用して、この薬剤の組合せと同時に又は連続してインキュベートした。
【0216】
結果は図12に提示される。これらは、凝集ヒトアミロイドペプチド(Aβ1−42 2.5μM)が、ビヒクル処理ニューロンに比較して有意な中毒(40%超)を起こすことを明確に示している。この中毒は、アミノカプロン酸及びレボシメンダンの組合せ(図12A)により有意に阻止されるが、一方このような濃度で、アミノカプロン酸(図12B)及びレボシメンダン(図12C)単独では中毒に及ぼす有意な作用はない。
【0217】
VIII. テルビナフィンとレボシメンダンの併用療法はヒトAβ1−42の毒性からニューロンを有効に保護する
本実施例では、レボシメンダン及びテルビナフィンを用いた併用療法を、ヒトAβ1−42の毒性作用を阻止又は縮小するその能力に関して評価した。
【0218】
この併用療法は、実施例II.1に開示された実験条件下で試験した。II.1.に開示されたようにヒト脳微小血管内皮細胞培養物を使用して、この薬剤の組合せと同時に又は連続してインキュベートした。
【0219】
結果は図13に提示される。これらは、凝集ヒトアミロイドペプチド(Aβ1−422.5μM)が、ビヒクル処理ニューロンに比較して有意な中毒(40%超)を起こすことを明確に示している。この中毒は、テルビナフィン及びレボシメンダンの組合せ(図13A)により有意に阻止されるが、一方このような濃度で、テルビナフィン(図13B)及びレボシメンダン(図13C)単独では中毒に及ぼす有意な作用はない。
【0220】
IX. インビボ活性
インビトロ試験で活性な化合物及びその組合せは、アルツハイマー病のインビボモデルで試験する。アルツハイマー病関連突然変異ヒトアミロイドβタンパク質前駆体(APP)導入遺伝子の過剰発現は、トランスジェニックマウスの脳へのAβの沈着を促進する最も信頼できる手段であり、多数の研究においてAD疾患モデルの役割を果たす。老化するにつれ、これらの突然変異APPマウスは、揺るぎないアミロイド病変及び他のAD様の特色(シナプス密度の低下、反応性神経膠症、及び多少の認知障害を包含する)を現す。多くの突然変異APPマウスモデルは、顕性ニューロン脱落及び神経原線維変化(NFT)病変の証拠をほとんど示さない。このBRI−Aβ42導入遺伝子が半接合であるマウスは、正常な寿命で生存及び繁殖できる。トランスジェニックBRI−Aβ42 mRNAは、マウスプリオンタンパク質プロモーターに特徴的なパターンで発現し;導入遺伝子発現の最高レベルは、小脳顆粒細胞及び海馬で検出され、続いて皮質、橋、視床、及び中脳で検出される。トランスジェニック融合タンパク質では、Aβ1−42をBRIタンパク質のC末端にフューリン様切断部位で融合させるため、切断により内腔又は細胞外空間への効率的なAβ1−42分泌が起こる。したがって、これらのマウスは、Aβ1−42アイソフォームを特異的に発現する。半接合BRI−Aβ42マウスは、加齢により界面活性剤不溶性アミロイド−βを蓄積して、早ければ3月齢で小脳に有芯プラークが生じる。前脳病変の発症は遅れて起こり、細胞外Aβプラークは、海馬及び内嗅/梨状皮質では12月齢までは存在しない場合もある。アミロイドβ沈着(有芯プラーク)は、トランスジェニックマウスの小脳の分子層では早ければ3月齢で観察することができ、加齢と共により顕著になる;偶発的な細胞外プラークは、6月齢で内嗅/梨状皮質及び海馬において見られるが、12月齢を超えるまでは見い出せない場合もある。最高齢マウスは、小脳、皮質、海馬、及び嗅球において有芯及び拡散プラークを伴う広範囲の病変を示す。細胞外アミロイド斑は、放射状の線維を伴う濃厚アミロイド芯を示す;多くの変性神経突起の束がこれらのプラークの周辺に観察される。反応性神経膠症はプラークと関連する。
【0221】
薬剤処置
トランスジェニックTg(Prnp-ITM2B /APP695*42)A12E mcマウス(37)は、Jackson Laboratory(http://jaxmice.jax.org/strain/007002.html)から入手した。最も高いAβ42血漿レベルを持つマウス樹立系統である、BRI−Aβ42A(12e)系統は、混合B6C3バックグラウンドで維持した。オス成体トランスジェニックマウスに飼料と水を自由に与える。承認されたInstitutional Animal Care and Use Committeeのプロトコールにより、マウスを秤量して、様々な用量で調製した、対照溶液(プラセボ)又は本発明の薬剤若しくは表2の薬剤組合せのいずれかを連続10〜20週間、1日1回腹腔内注射又は強制給餌する。
【0222】
生存解析
生存率は、Kaplan-Meier法を用いて解析した。全てのペアワイズ多重比較検定にはHolm-Sidak法(ポストホック)を使用した。無関係な死は検閲する。全ての比較は、背景の系統差からの任意の交絡可能性のある作用を制限するために同腹仔間で行った。
【0223】
行動試験
行動試験は、幾人かの著者により発表された方法により設計及び実施した(38-41)。
【0224】
モリス水迷路(Morris Water Maze)(MWM)における空間学習及び記憶
本実験は、白色プラスチック製で、乳白色水を充填した直径90cmの円形プール中で実施する。透明プラスチック製の直径8cmの避難プラットフォームを水面下0.5cmに沈めた。視覚的手掛かりは、A4サイズの文字で印刷した様々な幾何学形状により提供され、周囲壁4面に設置する(プールからの距離は50〜70cmとした)。各マウスに1日4回の試行を4日間行わせた(試行の間は5〜7分の間隔、全部で16回試行)。各試行は、4カ所の異なる出発点の1つから実施した。マウスの運動は、Videotrack Software(View Point)を用いてモニターする。避難プラットフォームを探し出すのにかかる時間(逃避潜時:最大60秒間)を測定した。プラットフォームを探し出したら、マウスはそこに15秒間座ることができる。60秒以内にプラットフォームを見つけられないマウスは、プラットフォームに導かれ、そこに15秒間留まることができる。60秒の潜時はこのような出来事についての記録となる。1日目の1回目の試行を除いて、1日につき全4回の試行から統計解析のために平均値を求めた。9日目(最後の訓練の5日後)に、マウスに60秒の探査試行を行わせたが、この試行では、プラットフォームを取り外し、そしてマウスにそれを探索させる。各マウスが各四分円で過ごした時間を記録した(四分円探索時間)。3、7、10、及び12月齢の数群のオスマウスを使用した。
【0225】
ある数のマウスは、本試験を強力に妨げる凍結挙動(例えば、水中で身動きしない挙動及び泳ぐことを拒んでいる挙動)を示し、これらのマウスはデータ解析から除外した。全ての行動試験は、静かで減光した環境下で行われる。
【0226】
放射状アーム水迷路における作業記憶試験
この作業記憶の認知に基づく高感度測定は、6つの放射状に区分された水泳アームを作り出すためのアルミニウム挿入物を取り付けた直径100cmの水を充填したプール(モリス水迷路及びプラットフォーム認知課題にも使用された)よりなる装置を活用して得られた。試験は、連続9〜12日間、1日のセッションにつき5回の1分間の試行よりなる。各セッションの開始時、透明な沈めたプラットフォームを6つの水泳アームの内の1つの末端に配置する(ランダムに選択し、毎日変更する)。最初の4回の獲得試行のそれぞれについて、マウスは、プラットフォームを含まないアームの1つに入れて(ランダム化した順序)、プラットフォームを探索させる。60秒の試行中、マウスが別のプラットフォームを含まないアームに入るたびに、穏やかにその開始位置にマウスを戻して、エラーを記録する。4回目の試行後、マウスを30分間休息させ、次に5回目の(記憶保持)試行をさせるが、これは最後のプラットフォームを含まない水泳アームに始まる。エラーの数(誤ったアームの選択)及び逃避潜時(プラットフォームに到達するまでの時間、最大60秒)を各試行について記録する。
【0227】
円形プラットフォーム試験における空間参照学習及び記憶
この認知に基づく課題試験は、円周を囲んで等距離に間隔を空けた16個の「避難」穴を有する直径69cmの円形プラットフォームよりなる装置を活用して実施される。避難所は、穴の1つの下に据え付けられ、そして種々の視覚的合図を取り付けた暗幕がプラットフォームを取り囲む。単回の5分間試行の開始時にマウスをプラットフォームの中心に置き、嫌悪刺激(まぶしい光、送風)を示す。エラーの総数(非避難穴への頭部の突き出し)及び逃避潜時(避難穴に到達するまでの時間)を記録する。
【0228】
プラットフォーム認知試験における認知能力
この認知に基づく探索課題では、物体識別及び認知能力を評価する。標的物体は、10cm×40cmの黒色の旗を取り付けた直径9cmの円形プラットフォームよりなり、これを直径100cmの円形プールに水表面の0.8cm上に配置する。試験は、連続4日間のそれぞれに1日につき4回の60秒の試行よりなる。各日に、標的物体は、各試行のためプールの異なる四分円に入れて、マウスは、全4回の試行でプールの円周に沿って同じ位置で解放する。総潜時(最大60秒)を各試行について記録する。
【0229】
修飾Irwin検査
マウスのいずれかが、その遺伝子型に関連する生理、行動、又は感覚運動障害を示すかどうかを究明するために、Irwin法から修飾した包括的スクリーニング法を利用する。運動技能、協調、及び筋力を探索するために、2本の高さ30cmの円柱の間にぴんと張った針金にマウスを載せ、針金上でバランスをとるその能力を評価する。更に、少なくとも5秒間、四足全部で針金をつかんでしがみつく能力、及び針金によじ登る能力を測定する。
【0230】
血管アミロイド沈着の定量
脳アミロイド血管症(CAA)の定量のために、頭頂又は小脳皮質軟髄膜にわたる30μm間隔の5μmパラフィン包埋切片を、ビオチン化−Ab9抗体(抗−Aβ1−16、1:500)で4℃で一晩免疫染色する(各月齢群で遺伝子型あたりマウスn=5〜7匹、マウス1匹あたりn=6切片)。染色陽性の血管は、修飾Vonsattel採点システムを用いて視覚的に評価する(42)。CAA重症度スコアは、CAA血管の数にCAA重症度をかけて算出する。
【0231】
組織学:免疫組織化学及び免疫蛍光法
3〜12月齢のTg及びWTマウスに麻酔をかけて、0.1mol/Lリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4)中の0.9% NaCl及び4%パラホルムアルデヒドにより、又は0.1mol/L PBS(pH7.4)中の10%ホルマリン及び4%パラホルムアルデヒドにより連続して経心腔的灌流を行う。脳及び脊髄を取り出し、4%パラホルムアルデヒド中に保存する。幾つかの試料は、パラフィンに包埋し、滑走式ミクロトームで10μmの厚さに切る。凍結切片(14μm)をクリオスタットで切り、クロム・ミョウバン被覆スライドに載せる。内因性ペルオキシダーゼは、切片を0.3% Hを含有するメタノールで30分間処理することによりクエンチする。切片は10%ウマ血清中でブロッキング処理する。一次抗体を使用したが、これを1%ウマ血清の存在下で4℃で一晩インキュベートする。全ての二次ビオチン化又はフルオレセイン−、テキサスレッド−、及びAMCA−結合抗体、蛍光色素、ABC−キット、並びにペルオキシダーゼ活性の色素原としての3,3’−ジアミノベンジジンは、Vector Laboratories製である。二次抗体とのインキュベーションは、室温で1時間保持する。全ての洗浄工程(3〜10分間)及び抗体希釈は、リン酸緩衝生理食塩水(0.1mol/L PBS、pH7.4)又はトリス緩衝生理食塩水(0.01mol/L、トリス、0.15mol/L NaCl、pH7.4)を用いて実施する。ABC複合体とのインキュベーション及び3,3’−ジアミノベンジジンでの検出は、製造業者のマニュアルにより行う。ヘマトキシリン対比染色は、標準法により実施する。遺伝子型、月齢、及び性別につき最低3匹のマウスを各測定に使用する(43)。
【0232】
脳抽出物の調製
脳は、最後の注射の90〜120分後の間に氷上で迅速に摘出して、−80℃に凍結する。各マウスからの右大脳半球は、凍結後に秤量する。中央値絶対偏差による半球質量の分析によって、我々は、4中央値絶対偏差の域を超える試料をその残りの試料から除外することができる。大脳半球をホモジナイズして、酵素測定法キット(R&D Systems, Inc.)のために製造業者の取扱説明書により、全タンパク質を含有する細胞溶解物を調製する。簡単に述べると、大脳皮質を800μlの低塩含有の1×抽出緩衝液(R&Dキット)中でホモジナイズして、氷上で10分間インキュベートする。次にホモジネートを13,000gで4℃で15分間遠心分離する。各試料中のタンパク質濃度は、ビウレット系測定法(Pierce)により概算する。APP、Aβ40、及びAβ42のレベルは、ウエスタン免疫ブロット法及びサンドイッチELISA法により測定する。更に、α、β−、及びγ−セクレターゼの活性は、同じ抽出物から測定できよう。
【0233】
マウス大脳皮質抽出物中の総APPのレベルの測定
タンパク質同量の大脳抽出物を各ゲルに試料あたりレーンあたり30μg添加する。各ゲルには8種の処理を含めた:対照;薬剤1 7.5mg/kgの用量;及び薬剤2 数種の用量。ゲル内変動を最小にするために、各ゲルには3セットの全処理群を含めた。各ブロットは、22C11抗体で調べる。各ブロットはまた、転写効率に対する正規化のためにβ−アクチン抗体でも調べる。APPバンドシグナルの強度は、β−アクチンの強度で正規化する。2種の試料の「対照」は、ブロット間変動について試験するために各ゲル/ブロットに添加する。ブロットの分析は、2通りに実施する:報告(38-39)されるように、ブロットワイズ(n=3)、ゲル間変動について試験するため;及び組合せたブロット(n=9又は10)。n=3でのブロットワイズ解析は、n=9又は10での最終解析が示すのと同じ傾向を示す。組合せ解析の結果が提示される。
【0234】
AβサンドイッチELISA
脳Aβ ELISAのために、前脳及び後脳Aβレベルを独立に測定し、そして嗅球を分析から除外する。血漿Aβ分析には、心穿刺後に血液をEDTA被覆チューブに採取する。血液試料は3000rpmで4℃で10分間遠心分離して、血漿は等分して使用時まで−80℃で保存する。Aβレベルは、Ab9(抗−Aβ1−16 Ab)をAβ40に対する捕捉Abとして、13.1.1−HRP(抗−Aβ35−40 Ab)をAβ40に対する検出Abとして、2.1.3(抗−Aβ35−42 Ab)をAβ42に対する捕捉Abとして、及びAb9−HRPをAβ42に対する検出Abとして使用する末端特異的サンドイッチELISAにより測定する(各月齢群で遺伝子型につきn=5〜7匹マウス)。Aβレベルは、報告(46)されるようにELISA変動可能性を最小にするために、同じセットのマウスを内部対照として用いて前述の結果に対して正規化する。
【0235】
ウェスタンブロット法
瞬間凍結前脳試料は、1%プロテアーゼインヒビター混合物(Roche)を含む放射免疫沈降法(RIPA)緩衝液(Boston BioProducts, Worcester, MA)中でホモジナイズする。このホモジネートを100,000×gで4℃で1時間遠心分離する。上清中のタンパク質濃度をBCAタンパク質測定法(Pierce)を用いて測定する。タンパク質試料(20μg)をビス−トリス12% XTゲル又はビス−トリス4〜12% XTゲル(Bio-Rad, Hercules, CA」)に流して、0.2μmニトロセルロース膜に転写する。ブロットは、報告(46)されるように、0.1M PBS中で2分間2回電子レンジにかけて、Ab 82E1(抗−Aβ1−16、1:1000;IBL, Gunma, Japan)及び抗−APP C−末端20アミノ酸(1:1000)で調べる。ブロットを剥がして、添加対照としての抗β−アクチン(1:1000;Sigma)で再び調べる。ImageJソフトウェアを用いて相対バンド強度を測定する。
【0236】
実質アミロイド沈着の定量
半脳を10%ホルマリンに浸漬固定して、パラフィン包埋の処理をする。脳組織切片(5μm)は、抗−全Aβ抗体(Ab)で免疫染色した。切片をヘマトキシリンで対比染色する。海馬、梨状皮質(ブレグマ、−1.70〜−2.80mm)、又は小脳(傍片葉、係蹄状小葉脚、及び単小葉;ブレグマ、−5.40〜6.36mm)を経て脳あたり6切片を定量のために使用する(各月齢群で遺伝子型につきn=5〜7匹マウス)。Aβプラーク負荷はMetaMorphソフトウェア(Molecular Devices, Palo Alto, CA)を用いて測定する。有芯プラークの定量には、Aβ負荷が分析されたこれらの連続切片をチオフラビンS(ThioS)で染色して、海馬、内嗅/梨状皮質、又は小脳におけるThioS陽性プラークの数をカウントする。上記分析の全ては、盲検法で実施する。
【0237】
インビボデータの統計解析
全ての実験からの結果は、STATISTICA 8.0(Statsoft)で解析する。Aβレベル、アミロイド斑負荷、及びCAA重症度は、ポストホックHolm-Sidak多重比較検定又は両側スチューデントt検定と共にANOVAを利用することにより解析する。データセットがパラメトリック検定の前提を満たさないならば、クラスカル・ワリス検定とこれに続くポストホックDunnの多重比較か、又はマン・ホイットニー順位和検定のいずれかを実施する。二重トランスジェニックマウスのAβレベルが、単一トランスジェニック同腹仔のAβレベルの加算の合計と一致したかどうかを試験するために、切片のない多重線形回帰試験を利用する。全ての比較は、同腹仔間で行う。薬物反応モデル化は、対照(0mg/kg)試料を除外して行う。ED50は、実験において最大薬物誘導反応の50%を誘導するのに必要な用量(mg/kg)に相当する。これは、ED50の対数に関するヒル方程式モデルを利用して算出する。
【0238】
インビボ実験は、候補薬剤組合せについて実施する。学習及び空間記憶での陽性の結果は、以下表5にリストする。
【0239】
【表20】

【0240】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともアミノカプロン酸若しくはレボシメンダン、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤を含む、アルツハイマー病(AD)又は関連疾患の処置に使用するための組成物。
【請求項2】
アミノカプロン酸と、アカンプロセート、アムロジピン、アルガトロバン、バクロフェン、シロスタゾール、シナカルセト、クロピドグレル、ダイフィリン、フェノルドパム、レフルノミド、メパクリン、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、リファブチン、スルフイソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン、シンナリジン、シクロピロックス、エプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、カルバマジン、アモバルビタール、セフォテタン、四硝酸エリスリチル、メチクロチアジド、リセドロネート、エンプロフィリン、オクストリフィリン、パラメタジオン、セフメノキシム、アプリンジン、エトミデート、ミチグリニド、ベニジピン、レボシメンダン、及びゾニサミド、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤から選択される、少なくとも1種の追加の化合物とを含む、併用投与、個別投与又は連続投与のための、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該組成物が、アミノカプロン酸、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤と、バクロフェン、スルフイソキサゾール、テルビナフィン、及びレボシメンダン、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤から選択される、少なくとも1種の追加の化合物とを含む、併用投与、個別投与又は連続投与のための、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
レボシメンダン、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤と、特定の実施態様において、アミノカプロン酸、アカンプロセート、アムロジピン、アルガトロバン、バクロフェン、シロスタゾール、シナカルセト、クロピドグレル、ダイフィリン、フェノルドパム、レフルノミド、メパクリン、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、リファブチン、スルフイソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン、シンナリジン、エプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、カルバマジン、シクロピロックス、アモバルビタール、セフォテタン、四硝酸エリスリチル、メチクロチアジド、リセドロネート、エンプロフィリン、オクストリフィリン、パラメタジオン、セフメノキシム、アプリンジン、エトミデート、ミチグリニド、ベニジピン、及びゾニサミド、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤から選択される、少なくとも1種の追加の化合物とを含む、併用投与、個別投与又は連続投与のための、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
該組成物が、レボシメンダン、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤と、アミノカプロン酸、バクロフェン、スルフイソキサゾール、及びテルビナフィン、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤から選択される、少なくとも1種の追加の化合物とを含む、併用投与、個別投与又は連続投与のための、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
少なくともエプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、シンナリジン、若しくはカルバマジン、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤を含む、アルツハイマー病(AD)又は関連疾患の処置に使用するための組成物。
【請求項7】
アカンプロセート、アミノカプロン酸、アムロジピン、アルガトロバン、バクロフェン、シロスタゾール、シナカルセト、クロピドグレル、ダイフィリン、フェノルドパム、レフルノミド、メパクリン、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、リファブチン、スルフイソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン、シンナリジン、シクロピロックス、エプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、カルバマジン、アモバルビタール、セフォテタン、四硝酸エリスリチル、メチクロチアジド、リセドロネート、エンプロフィリン、オクストリフィリン、パラメタジオン、セフメノキシム、アプリンジン、エトミデート、ミチグリニド、ベニジピン、レボシメンダン、及びゾニサミド、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤よりなる群から選択される、少なくとも2種の化合物の組合せを含む、アルツハイマー病又は関連疾患の処置に使用するための組成物。
【請求項8】
アミノカプロン酸、シンナリジン、シクロピロックス、エプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、カルバマジン、アモバルビタール、セフォテタン、四硝酸エリスリチル、メチクロチアジド、リセドロネート、エンプロフィリン、オクストリフィリン、パラメタジオン、セフメノキシム、アプリンジン、エトミデート、ミチグリニド、ベニジピン、及びレボシメンダン、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤よりなる群から選択される、少なくとも1種の化合物を、アカンプロセート、アムロジピン、アルガトロバン、バクロフェン、シロスタゾール、シナカルセト、クロピドグレル、ダイフィリン、フェノルドパム、レフルノミド、メパクリン、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、リファブチン、スルフイソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン及びゾニサミド、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤よりなる群から選択される、少なくとも1種の化合物と組合せて含む、アルツハイマー病又は関連疾患の処置に使用するための、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
アミノカプロン酸、アカンプロセート、アムロジピン、アルガトロバン、バクロフェン、シロスタゾール、シナカルセト、クロピドグレル、ダイフィリン、フェノルドパム、レフルノミド、メパクリン、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、リファブチン、スルフイソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン、シンナリジン、シクロピロックス、エプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、カルバマジン、アモバルビタール、セフォテタン、四硝酸エリスリチル、メチクロチアジド、リセドロネート、エンプロフィリン、オクストリフィリン、パラメタジオン、セフメノキシム、アプリンジン、エトミデート、ミチグリニド、ベニジピン、レボシメンダン、及びゾニサミド、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤よりなる群から選択される、少なくとも2種の化合物の組合せを含む、同時投与、個別投与又は連続投与のための組成物。
【請求項10】
アミノカプロン酸、シンナリジン、シクロピロックス、エプレレノン、カルベノキソロン、スロデキシド、カルバマジン、アモバルビタール、セフォテタン、四硝酸エリスリチル、メチクロチアジド、リセドロネート、エンプロフィリン、オクストリフィリン、パラメタジオン、セフメノキシム、アプリンジン、エトミデート、ミチグリニド、ベニジピン、トレサミド(toresamide)、及びレボシメンダン、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤よりなる群から選択される、少なくとも1種の化合物を、アカンプロセート、アムロジピン、アルガトロバン、バクロフェン、シロスタゾール、シナカルセト、クロピドグレル、ダイフィリン、フェノルドパム、レフルノミド、メパクリン、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、リファブチン、スルフイソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン及びゾニサミド、又はその塩若しくはプロドラッグ若しくは誘導体若しくは徐放製剤よりなる群から選択される、少なくとも1種の化合物と組合せて含む、同時投与、個別投与又は連続投与のための、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
該組成物が、以下の薬剤の組合せの少なくとも1つを含み、各組合せ中の薬剤は、併用投与、個別投与又は連続投与される、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物:
− フェンホルミン及びゾニサミド、
− フェンホルミン及びアカンプロセート、
− フェンホルミン及びスルフイソキサゾール、
− バクロフェン及びアミノカプロン酸、
− バクロフェン及びレボシメンダン、
− バクロフェン及びテルビナフィン、
− バクロフェン及びスルフイソキサゾール、
− バクロフェン及びゾニサミド、
− バクロフェン及びスルフイソキサゾール、
− バクロフェン及びレフルノミド、
− アミノカプロン酸及びスルフイソキサゾール、
− アミノカプロン酸及びテルビナフィン、
− アミノカプロン酸及びレボシメンダン、
− レボシメンダン及びスルフイソキサゾール、
− レボシメンダン及びテルビナフィン、
− ゾニサミド及びダイフィリン、
− ゾニサミド及びプリロカイン、
− ゾニサミド及びスルフイソキサゾール、
− テルビナフィン及びスルフイソキサゾール、
− テルビナフィン及びメパクリン、
− アカンプロセート及びテルビナフィン、
− テルビナフィン及びリファブチン、
− フェンホルミン及びタダラフィル、
− ゾニサミド及びアルガトロバン、
− フェンホルミン及びクロピドグレル、
− アカンプロセート及びシナカルセト、
− スルフイソキサゾール及びシナカルセト、
− テルビナフィン及びアルガトロバン、
− バクロフェン及びクロピドグレル、
− テルビナフィン及びクロピドグレル、
− ゾニサミド及びシンナリジン、
− アカンプロセート及びシンナリジン、
− ゾニサミド及びシクロピロックス、
− アカンプロセート及びシクロピロックス、
− スルフイソキサゾール及びアモバルビタール、
− ゾニサミド及びアモバルビタール、
− スルフイソキサゾール及びセフォテタン、
− ゾニサミド及びセフォテタン、
− アカンプロセート及び四硝酸エリスリチル、
− ゾニサミド及び四硝酸エリスリチル、
− スルフイソキサゾール及び四硝酸エリスリチル、
− ミチグリニド又はレボシメンダン及び四硝酸エリスリチル、
− ミチグリニド又はレボシメンダン及びゾニサミド、
− ミチグリニド又はレボシメンダン及びテルビナフィン。
【請求項12】
以下の薬剤の組合せの少なくとも1つを含み、各組合せ中の薬剤は、併用投与、個別投与又は連続投与される、請求項11に記載の組成物:
− バクロフェン及びアミノカプロン酸、
− バクロフェン及びレボシメンダン、
− アミノカプロン酸及びスルフイソキサゾール、
− アミノカプロン酸及びテルビナフィン、
− アミノカプロン酸及びレボシメンダン、
− レボシメンダン及びスルフイソキサゾール、又は
− レボシメンダン及びテルビナフィン。
【請求項13】
ABATのインヒビター(好ましくは、ビガバトリン)、及び/又はABL1のインヒビター(好ましくは、イマチニブ)、及び/又はACATのインヒビター(好ましくは、ヘスペレチン)、及び/又はADCY2のモジュレーター(好ましくは、ビダラビン)、及び/又はアデノシンADORA1/2A/3受容体のモジュレーター(好ましくは、クロファラビン及びデフィブロチドから選択される)、及び/又はアドレナリン作動性ADRA受容体のモジュレーター(好ましくは、プロペリシアジン、メトトリメプラジン、メフェンテルミン及びジピベフリンから選択される)、及び/又はアドレナリン作動性ADRB受容体のモジュレーター(好ましくは、グアネチジン、ベタニジン、ビトルテロール及びプロカテロールから選択される)、及び/又はALOX5/12のインヒビター(好ましくは、ジエチルカルバマジン及びマソプロコールから選択される)、及び/又はATP1A1のインヒビター(好ましくは、デスラノシド及びオメプラゾール)、及び/又は自食作用のアクチベーター(好ましくは、トレハロース)、及び/又はCA10のインヒビター(好ましくは、メタゾラミド)、及び/又は石灰化のモジュレーター(好ましくは、ホスカルネット、硝酸ガリウム、カルシフェジオール、カルシトニン、カルシトリオール、クロドロン酸、ジヒドロタキステロール、エルカトニン、エチドロン酸、イプリフラボン及び酢酸テリパラチドから選択される)、及び/又はCALM1(カルモジュリン)のモジュレーター(好ましくは、アプリンジン)、及び/又はCD44のモジュレーター(好ましくは、エフロルニチン及びベンズブロマロンから選択される)、及び/又は化学シャペロン(好ましくは、アラビトール及びマンニトールから選択される)、及び/又はムスカリン性CHRM受容体のモジュレーター(好ましくは、シクロペントラート、オキシフェンシクリミン、トロスピウム及びイソフルロフェートから選択される)、及び/又は血液脳関門を通過できないニコチン性アセチルコリンCHRNA受容体のアンタゴニスト(好ましくは、パンクロニウム、ピペクロニウム、ラパクロニウム、ロクロニウム、スクシニルコリン、ベクロニウム、アトラクリウム、シスアトラクリウム、ドキサクリウム、メカミラミン、メトクリン、ミバクリウム及びネオマイシンから選択される)、及び/又はCNGB3のインヒビター(好ましくは、アミロリド)、及び/又はCYSLTR1/2、PTGER1、PTGFR及びTBXA2Rエイコサノイド受容体のモジュレーター(好ましくは、トラボプロスト、モンテルカスト、シナルカスト、アンレキサノクス、カルボプロスト・トロメタミン、ビマトプロスト及びリドグレルから選択される)、及び/又はDHFRのインヒビター(好ましくは、ピリメタミン及びトリアムテレン)、及び/又はドーパミンDRD2受容体のモジュレーター(好ましくは、ジヒドロエルゴタミン及びカベルゴリンから選択される)、及び/又はドーパミン受容体DRD5のアゴニスト(好ましくは、フェノルドパム)、及び/又はEDNRAのインヒビター(好ましくは、スルファメトキサゾール及びゲンタマイシンから選択される)、及び/又はENPP2(オートタキシン)のモジュレーター(好ましくは、L−ヒスチジン)、及び/又はERBB2のインヒビター(好ましくは、ラパチニブ)、及び/又はF2トロンビンのモジュレーター(好ましくは、スロデキシド、キシメラガトラン、ワルファリン、フェンプロクモン、エノキサパリン、アルデパリン、フォンダパリヌクス、ラタモキセフ、バシトラシン、チクロピジン及びエルドステインから選択される)、及び/又はFDPSのインヒビター(好ましくは、アレンドロネート)、及び/又はGABRA2のモジュレーター(好ましくは、フェノバルビタール、メトヘキシタール、セフォチアム、クロメチアゾール、チオペンタール、ルビプロストン及びアズトレオナムから選択される)、及び/又はGRIK1のアンタゴニスト(好ましくは、トピラマート)、及び/又はGSK3B活性のモジュレーター(好ましくは、アルブテロール及びメタラミノールから選択される)、及び/又はHIF1Aシグナル伝達のモジュレーター(好ましくは、メロキシカム、トポテカン、デフェロキサミン、ウスニン酸、ヒドララジン、デフェリプロン、ジベンゾイルメタン、アボベンゾン、ジノプロストン、エポプロステノール、2−オキソグルタレート及びミモシンから選択される)、及び/又はHK2(ヘキソキナーゼII)のインヒビター(好ましくは、キニン、ガベキサート、ビフォナゾール及びクロトリマゾールから選択される)、及び/又はHMOX1のモジュレーター(好ましくは、オーラノフィン、ヘマチン/ヘミン及びアルギン酸ヘムから選択される)、及び/又はHTR1B/1D受容体のモジュレーター(好ましくは、エルゴタミン及びエレトリプタンから選択される)、及び/又はIMPDH1及びIMPDH2のインヒビター(好ましくは、チオグアニン)、及び/又はインテグリンITGA/Bのモジュレーター(好ましくは、ラベプラゾール)、及び/又はKCND2カリウムチャネルのインヒビター(好ましくは、リドカイン)、及び/又はKCNH2カリウムチャネルのインヒビター(好ましくは、イブチリド)、及び/又はKCNMA1のモジュレーター(好ましくは、クロモグリケート、エチナメート、ケトコナゾール、クロルゾキサゾン、ウノプロストン、ヘスペリチン、ベンドロフルメチアジド、ベンズチアジド、クロロチアジド、シクロチアジド、ジアゾキシド、ヒドロフルメチアジド、キネタゾン及びトリクロルメチアジドから選択される)、及び/又はMGST2のモジュレーター(好ましくは、バルサラジド)、及び/又はMMP2及びMMP9のモジュレーター(好ましくは、カンドキサトリル)、及び/又はミトコンドリア膜透過性遷移孔形成のモジュレーター(好ましくは、カルベノキソロン及びシプロフロキサシンから選択される)、及び/又はMTORのインヒビター(好ましくは、ラパマイシン)、及び/又はNOS1/2A/3のモジュレーター(好ましくは、プロピルチオウラシル、チエチルペラジン及びケトチフェンから選択される)、及び/又はNR3C1受容体シグナル伝達のモジュレーター(好ましくは、メチラポン及びモメタゾンから選択される)、及び/又はNR3C2受容体のモジュレーター(好ましくは、エプレレノン及びフルドロコルチゾンから選択される)、及び/又はNRP2のインヒビター(好ましくは、ペガプタニブ)、及び/又はOPCMLのモジュレーター(好ましくは、アルフェンタニル)、及び/又はOPRK1及びOPRS1のモジュレーター(好ましくは、ブプレノルフィン及びペンタゾシンから選択される)、及び/又はOPRM(好ましくは、レバロルファン)、及び/又は酸化的リン酸化のモジュレーター(好ましくは、アルミトリン、エリスロマイシン、カナマイシン及びセルレニンから選択される)、及び/又はP2RY1及び/又はP2RY12受容体のインヒビター(好ましくは、チロフィバン)、及び/又はPDE11A、PDE4A及びPDE5Aホスホジエステラーゼのインヒビター(好ましくは、メセンブリン、ミルリノン及びアナグレリドから選択される)、及び/又はPDE3A/3B及びPDE4A/4Bホスホジエステラーゼのインヒビター及びBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、シロスタゾール)、及び/又はPDGFRA/B受容体のモジュレーター(好ましくは、ベカプレルミン、ストレプトマイシン、デルフィニジン、シアニジン及びフマギリンから選択される)、及び/又はPLA2のモジュレーター(好ましくは、ニフルム酸、ヒドロコルタメート及びネチルマイシンから選択される)、及び/又はPLATのモジュレーター(好ましくは、フェニル酪酸ナトリウム)、及び/又はPLD2のモジュレーター(好ましくは、アンブリセンタン)、及び/又はPLGのインヒビター(好ましくは、アミノカプロン酸)、及び/又はPPARDのモジュレーター(好ましくは、イコサペント)、及び/又はPPARGのモジュレーター(好ましくは、フェニルブチレート)、及び/又はPRKG1のモジュレーター(好ましくは、ニトロプルシド、ニトログリセリン及びパリカルシトールから選択される)、及び/又はPTP1Bのインヒビター(好ましくは、チルドロネート)、及び/又はRHOA/RACのモジュレーター(好ましくは、クロルタリドン、ヒドロクロロチアジド、クロモサイクリン、ライムサイクリン、ナタマイシン、アンホテリシンB、セファレキシン、セファロリジン、セフロキシム、ジクロキサシリンから選択される)、及び/又はRXR/RARのモジュレーター(好ましくは、タザロテン)、及び/又はSCN1A/Bナトリウムチャネルのアンタゴニスト(好ましくは、ホスフェニトイン)、及び/又はSLC12A1のインヒビター(好ましくは、ブメタニド)、及び/又はSLC6A1のインヒビター(好ましくは、チアガビン)、及び/又はSLC9A1のモジュレーター(好ましくは、ブクリジン)、及び/又はSRD5A1のインヒビター(好ましくは、デュタステリド)、及び/又はTACR1のアンタゴニスト(好ましくは、アプレピタント及びバプレオチドから選択される)、及び/又はTGFBシグナル伝達のモジュレーター(好ましくは、アリスキレン)、及び/又はTHRA/Bのモジュレーター(好ましくは、リオチロニンから選択される)、及び/又はTOP2Aのインヒビター(好ましくは、ルカントン)、及び/又はTSPOのモジュレーター(好ましくは、フルニトラゼパム及びテマゼパムから選択される)、及び/又はVDAC1のモジュレーター(好ましくは、ジヒドロキシアルミニウム)、及び/又はVEGFR1のインヒビター(好ましくは、スニチニブ)、及び/又はビタミンK代謝のモジュレーター(好ましくは、セフメタゾール、セファマンドール及びセフォペラゾンから選択される)、及び/又はVMATのインヒビター(好ましくは、テトラベナジン、デセルピジン及びニチシノンから選択される)、及び/又は電位依存性カルシウムチャネル(CACNA)のインヒビター(好ましくは、レルカニジピン、プレガバリン、ミベフラジル、アラニジピン、バルニジピン、ベンシクラン、ベプリジル、クレンチアゼム、エホニジピン、エルゴジピン、エタフェノン、フェンジリン、フルナリジン、ガロパミル、イスラジピン、ラシジピン、リドフラジン、ロメリジン、マニジピン、ニカルジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ペルヘキシリン、プレニラミン、セモチアジル及びテロジリンから選択される)、及び/又はYES1、SRC及びEPHA3のインヒビター(好ましくは、ダサチニブ)から選択される、少なくとも1種の薬剤を更に含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
薬学的に許容しうる担体又は賦形剤を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
該組成物が、対象に反復投与される、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
アルツハイマー病又は関連疾患を処置するための薬剤の製造方法であって、シナプス機能及び血管新生及び細胞ストレス応答に及ぼす活性について候補薬剤を試験する工程、並びにシナプス機能を向上させ、血管新生調節異常を軽減し、そして細胞ストレス応答を調節する候補薬剤を選択する工程を含む方法。
【請求項17】
アルツハイマー病又は関連疾患を処置するための組成物の製造方法であって、処置を必要とする対象への同時投与、個別投与又は連続投与のための、シナプス機能を調節する薬剤及び血管新生調節異常を軽減する薬剤及び細胞ストレス応答を調節する薬剤の組合せを調製することを含む方法。
【請求項18】
アルツハイマー病又は関連疾患を処置する方法であって、処置を必要とする対象に、シナプス機能を調節する薬剤及び血管新生を調節する薬剤及び細胞ストレス応答を調節する薬剤を同時に、個別に又は連続して投与することを含む方法。
【請求項19】
処置を必要とする哺乳動物対象のアルツハイマー病を処置する方法であって、該対象に有効量のアミノカプロン酸若しくはレボシメンダン、又はその塩、プロドラッグ、誘導体若しくは徐放製剤を投与することを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2013−510114(P2013−510114A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537355(P2012−537355)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066510
【国際公開番号】WO2011/054759
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(510149471)
【氏名又は名称原語表記】PHARNEXT
【Fターム(参考)】