説明

アルツハイマー病を検出するための光学的方法

本発明の主題は、アルツハイマー病(AD)に特異的な初期の病理的事象(例えば、アミロイド斑の発生、その量および位置)をモニターするための非侵襲性光学的画像化法に関する。このような事象をモニターする能力は、とりわけ、AD診断、予後予測および潜在的な治療の評価に対する基礎を提供する。さらに、本発明の主題は、ADおよびADと関連する網膜の病気を処置するための新規な方法を導入する。生きている脳におけるAβ斑検出は、特に、高解像度において極めて制限されている;従って、本発明は、直接的に、反復して、かつ非侵襲性に画像化され得る脳由来組織に対する代替手段として、眼に焦点を当てる研究に基づく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(主題の分野)
本発明の主題は、アルツハイマー病に特異的な初期の病理的事象を非侵襲的にモニターするための方法に関し、従って、ADの診断、処置、予後予測(prognosis)およびADの処置に対する応答の評価のための方法およびシステムを包含する。
【背景技術】
【0002】
(主題の背景)
本明細書中の全ての刊行物は、各個々の刊行物もしくは特許出願が、具体的にかつ個々に参考として援用されることが示されたのと同程度まで、参考として援用される。以下の説明は、本発明を理解するにあたって有用であり得る情報を含む。本明細書に提供される情報のいずれも、本願発明の先行技術もしくは関連技術であることも、具体的にもしくは暗示的に参考にされた任意の刊行物が先行技術であることをも承認するものではない。
【0003】
アルツハイマー病(AD)は、一般的なおよび破壊的な年齢依存性の神経変性疾患である。ADの脳病理は、アミロイド前駆タンパク質(APP)のタンパク質分解生成物である、アミロイド−βペプチド(Aβ)の典型的な蓄積によって特徴付けられ、アミロイド−βペプチド(Aβ)は、Aβ斑といわれる細胞外凝集物を形成する。これら斑は、脳における細胞の活動および情報伝達の破壊の一因となると考えられ、このことは、神経毒性炎症および神経細胞死をもたらす[2,3]。生きている被験体における病理的プロセスの非侵襲的モニタリングを可能にする分子画像化は、疾患ならびに薬物の有効性の検出および理解を高める能力を有する。よって、生きているAD患者および動物モデルの頭蓋骨を介したアミロイド斑の非侵襲的検出を可能にするツールを開発することに、大きな努力が払われてきた[4−9];しかし、アミロイド斑の非侵襲的モニタリングは、臨床的になお困難でありかつ高解像度での利用可能性は制限されている[10−12]。光学的画像化は、強力で、高解像度のかつインビボ画像化のための特異的なツールという性質を持つ。なぜなら、近年では、多光子顕微鏡を使用して、頭蓋の窓を介して、マウス脳においてAβ斑をインビボで画像化することが実証されたからである[13]。本発明の主題は、Aβ斑がこれら患者の網膜に発生し、脳中のものと類似の特性を共有することを前提にして、光学的様式(optical modality)による、AD患者の網膜を画像化するための、人において代替の非侵襲的なアプローチを提供する。
【0004】
APPは、中枢神経系(CNS)から伸び出たものであって、網膜神経節細胞(RGC)において広く発現され、視神経を介して軸索形質膜および神経末端に輸送される[14]。上記網膜中の斑の形成は、特に2つの神経変性疾患(加齢性黄斑変性(AMD)および緑内障)において、近年調査中であった[50−53]。Aβ斑がAD患者の初期段階または後期段階で網膜中に見出されるか否かは、明らかでない。過去の証拠は、緑内障およびAMD患者、ならびにそれらのマウスモデルの網膜において、Aβ斑の存在を指摘した。例えば、上記RGC層におけるAβ沈着が、緑内障患者において報告された[50,51]。緑内障の実験モデルにおいて、RGCのアポトーシスは、Aβペプチドの蓄積と関連しており、それらの形成を標的とする薬剤は、神経保護活性を発揮することを示した[52]。AMD患者において、Aβ沈着物は、変性している光レセプターおよび網膜色素上皮細胞の位置と相関したドルーゼにおいて見いだされた[53]。
【0005】
変異したヒトAPP遺伝子およびプレセニリン(PS)遺伝子の標的化発現に基づくADのDrosophilaトランスジェニックモデルにおいて、Aβ免疫反応性は、複眼中に、および網膜光レセプター変性と関連して見いだされた[15]。近年の研究から、疾患の進行した段階(10ヶ月齢より後)で、ADトランスジェニックマウスにおいて網膜神経線維層(NFL)および神経節細胞層(GCL)中のAβ沈着物が示された。上記Aβ沈着物は、RGCの神経変性と、およびミクログリア活性化とさらに相関していた[16]。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
この有望な研究にも拘わらず、ADの診断、予後予測および処置のためのシステムおよび方法に対して、当該分野で未だそれらの必要性が存する。本発明の主題は、AD患者の死後の眼の網膜にAβ斑が存在することを発見したことによって、それらの必要性を満たす。上記ヒトAPP遺伝子およびPS1遺伝子の変異形態を発現するマウス(APPswe/PS1dE9(本明細書ではAD−Tgマウスといわれる))を使用して、本発明の主題はまた、脳中でのAβ斑の出現の前に、網膜中のAβ斑の初期の形成を開示する証拠を提供する。さらに、本発明の主題は、AD−Tgマウスのマウス脳および網膜中のAβ斑を減少させるのに有効な、樹状細胞上に位置したミエリン由来ペプチドの弱いアゴニストを使用して、免疫ベースの治療を同定する[17,18]。最終的には、上記主題は、Aβ斑に結合しこれを標識する天然化合物であるクルクミン(ジフェルロイルメタン(diferuloylmethane))[19,20]の、生きている動物への全身注射が、網膜中のAβ斑の、非侵襲性の高解像度かつ特異的視覚化を可能にすることを実証した。本発明の主題は、初めて、Aβ斑が数および位置で検出され、AD哺乳動物の網膜において、リアルタイムで反復して計数されかつリアルタイムでモニターされることを可能にする方法を教示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
例示的な実施形態は、参照される図面に示される。本明細書に開示される実施形態および図面は、限定するものではなく例示であるとみなされることが意図される。
【図1】図1は、クルクミンによって視覚化された、AD−Tgマウスの網膜中の網膜Aβ沈着物を示す。図1a〜1fは、抗ヒトAβ抗体およびクルクミンを用いてエキソビボで染色した9ヶ月齢のAD−Tg(図1a〜1e)、および非Tg(野生型)(図1f)に由来する脳の凍結切片の画像を示す。これら画像は、両方の検出法によるAβ斑染色の同時局在を示す。図1dおよび1eは、各チャネルに対して示される、斑染色パターンのより高倍率での画像を示す。図1fは、上記非Tg(野生型)マウスにおける抗ヒトAβ斑およびクルクミンの二重陽性についての証拠を示さない。細胞核を、DAPI(青)で標識した。スケールバー=100μm。図1g〜1jは、抗Aβ抗体およびクルクミンを用いてエキソビボで染色した10ヶ月齢のAD−Tg(n=27)、および非Tg(野生型)マウス(n=18)に由来する網膜全マウント(retinal whole−mount)の代表的画像である。Aβ斑の形成(赤および緑のチャネルの重なり合う黄色のスポット)は、いくつかの異なる網膜層において実証される:図1gは、IPL−内網状層(plexiform layer)を示し、図1hは、INL−内顆粒層/OPL−外網状層を示し、図1iは、ONL−外顆粒層を示す。図1Jは、Aβ斑が上記非Tg(野生型)マウスに本質的に存在しなかったことを示す(図1gおよび1jは、下の行)。別個のチャネルについてのより高倍率の画像は、両方の手順での斑染色パターンを示す。スケールバー=5μm。図1k〜1nは、クルクミンを用いてインビボで、続いて、抗ヒトAβ抗体およびDAPIを用いてエキソビボで染色した眼全体の矢状方向の凍結切片を示す。図1k〜1mでは、Aβ斑を、大部分の網膜層において、および10ヶ月齢のAD−Tgマウスにおける脈絡膜において検出した。図1nでは、Aβ斑を、非Tg(野生型)マウスの網膜および脈絡膜において検出できなかった。スケールバー=20μm。
【図2】図2は、アルツハイマー病患者のヒト網膜におけるAβ斑を示す。図2aおよび2bは、スダンブラックBで染色して、非特異的自己蛍光シグナルを除去した後の、かつクルクミンエキソビボ染色(クルクミン標識した斑は、白色矢印で示される)後の87歳のAD患者の、ヒト全マウント網膜(whole−mount retina)の代表的画像である。スケールバー=10μm。細胞核を、DAPI(青)で標識する。図2cおよび2dは、スダンブラックB染色(スダン染色については黒色スポット)、および次いで、クルクミン染色(クルクミン標識した斑は、白色矢印で示される)後の65歳のAD患者、のヒト全マウント網膜のより高倍率の画像を示す。スケールバー=5μm。図2e〜2gは、65〜90歳の一連のヒトAD患者の網膜におけるクルクミン陽性斑のさらなる例を提供する。図2h〜2jは、いくつかの網膜深度(RGCおよびIPLを含むために)において抗ヒトAβ抗体、続いて、スダンブラックB処理で染色した65歳および87歳のヒトAD患者のヒト全マウント網膜の代表的画像である。図2iは、上記網膜の斑のより高倍率の画像を表す。Aβ斑形態は、マウス網膜および脳において見いだされたものと類似していた。スケールバー=5μm。図2k〜2mは、クルクミンでの同じヒト網膜の引き続く染色を表す。このことによって、上記斑が、ヒトAβ抗体およびクルクミンで選択的に同時標識された(別個のチャネルについては下の行の画像)ことが明らかになっている。図2nは、Aβ斑の徴候がないことを示す、死後の非ADヒト網膜全マウントにおけるヒトAβ抗体およびクルクミンでの二重染色を示す(別個のチャネルについては下の行の画像)。スケールバー=5μm。
【図3】図3は、症状が現れる前の初期段階におけるマウス網膜Aβ斑形成および疾患進行の間の蓄積を示す。尾静脈へのi.v.クルクミン注射後に、Aβ斑は、AD−Tgマウス網膜および脳において視覚化された。図3a〜3nは、種々の年齢のAD−Tgマウス(n=18)および非Tgマウス(野生型;n=10)に由来する全マウント網膜の代表的なz軸投影画像である;図3a〜3dは、2.5ヶ月齢のAD−Tgマウスを示し、図3aは、網膜中の斑の存在を示し、図3bは、特異的抗ヒト抗体を同じ位置においてエキソビボで使用したAβ斑染色(黄色の、クルクミンおよびAβ抗体の同時局在)の確認を示す。スケールバー=10μm。図3cおよび3dは、脳の海馬および皮質においてプラークが検出されなかったことを示す。スケールバー=100μm。図3e〜3hは、5ヶ月齢のAD−Tgマウスを示し、図3eは、網膜における斑の存在を示し、図3fは、エキソビボでの特異的Aβ抗体染色後を示す。スケールバー=10μm。図3gおよび3hは、脳におけるプラークの検出を示す。スケールバー=50μm。図3i〜3kは、9ヶ月齢のAD−Tgマウスを示し、図3iは、網膜における複数の斑を示し、図3jおよび3kは、脳における斑を示す。スケールバー(i)=10μmおよび(j,k)=50μm。図3l〜3nは、17ヶ月齢のAD−Tgマウスを示し、図3lは、網膜における多くの斑を示し、図3mおよび3nは、脳における斑を示す。スケールバー(i)=10μmおよび(m,n)=100μm。図3o〜3qは、9ヶ月齢の非Tg(野生型)マウスを示し、図3oは、網膜において斑がないことを示し、図3pおよび3qは、脳において斑がないことを示す。スケールバー(o)=10μmおよび(p,q)=100μm。
【図4】図4は、樹状細胞ベースのワクチン接種後に、AD−Tgマウスの網膜において減少したAβ斑を示す。図4a〜4gは、10ヶ月齢のマウスに由来する全マウント網膜の代表的z軸投影画像である。図4a〜4cは、PBS処置AD−Tgマウスコントロールを示し、図4d〜4fは、ワクチン接種したAD−Tgマウスを示し、図4gは、クルクミンおよび抗ヒトAβ抗体を用いてエキソビボで染色した非Tg(野生型)マウスを示す。図4bおよび4c、ならびに図4eおよび4fは、網膜中でのクルクミンおよび抗Aβ抗体標識の別個のチャネル画像を示す。スケールバー=10μm。図4hは、視神経乳頭の周りの12個の領域(矩形1〜12によって示される)の図示である。これは、上記網膜全マウント(n=4マウス/群;2つの網膜/マウス)における斑の定量分析のために網羅された領域を表す。スケールバー=200μm。図4iは、PBS処置コントロールと比較して、免疫ベースのワクチン接種で処置したAD−Tgマウスの網膜において観察される斑の数の低下を示す(スチューデントt検定;P=0.0028)。図4jは、コントロールと比較した場合、ワクチン接種したAD−Tgマウスの網膜において観察される平均の斑面積における低下を示す(スチューデントt検定 P=0.0002)。図4kは、斑によって覆われる総面積の有意な減少がまた、免疫ベースのワクチン接種後の同じマウスの脳海馬および皮質において検出されたことを示す(スチューデントt検定 P=0.0085)。各パネルにおけるエラーバーは、SEMを表す。
【図5−1】図5は、AD−Tgマウス網膜におけるクルクミン標識した斑のインビボ画像化を示す。図5a〜5cは、インビボでのi.v.クルクミンもしくはPBS投与(血管は、赤色矢印によって示される)後の非灌流AD−Tg 対 非Tg(野生型)マウス(10ヶ月齢)の網膜全マウントから撮影した代表的z軸投影画像である。図5aは、Aβ斑が、クルクミンのi.v.注射後のAD−Tgマウス網膜(n=6)において視覚化された(白色矢印で示される)ことを示す。図5bは、PBSのi.v.注射後のAD−Tgマウス(n=5)の網膜において、斑が検出できなかったことを示す。図5cは、クルクミンのi.v.注射後の非Tg(野生型)マウス(n=5)の網膜において斑が検出できなかったことを示す。図5dは、3つのチャネルおよび矢状方向/冠状方向仮想切片を使用する、代表的な共焦点z軸投影画像である。これは、AD−Tgマウス網膜全マウントの実質組織および血管内部において抗ヒトAβ抗体で染色されたAβ斑(白色矢印で示される血管内の斑)を示す。図5eおよび5fは、AOTFベースのスペクトル画像化システムを備えた蛍光顕微鏡を使用して記録し、セグメント化および分類ソフトウェアによって分析されかつ視覚化された画像を示す。図5eでは、Aβ斑(白色)および血管(矢印で示される)は、クルクミンを用いてインビボで染色され、単一チャネル(励起.562/40nm;発光.624/40nm)で画像化された、網膜の全マウントにおいて視覚化された。図5fは、同じ網膜の全マウントおよび領域においてクルクミンで標識されたAβ斑に特異的な光学的サイン(OS)を使用して、分光的に分類された画像を示す。Aβ斑は、疑似カラー(pseudocolor)(白色矢印で示される)で示され、全ての非斑組織は、緑色の疑似カラーで示される。スケールバー=10μm。図5g〜5jは、クルクミンの1回の注射後の画像であり、ここで斑(白色矢印で示される)は、分光的に制御された光源(波長546/15nm)での励起後の発光によって、生きているAD−Tgマウス網膜(n=4)において視覚化された。図5iおよび5jは、より高倍率の画像であり、ここで斑は、上記視神経乳頭に近い領域において大部分が検出され、平均の斑サイズは、全マウント網膜において(エキソビボで)観察されたものと適合性を示した。図5kは、クルクミンをi.v.注射した非Tg(野生型)マウス(n=4)においてプラークが検出されないことを示す。スケールバー(g,k)=100μm、および(h−j)=10μm。23。
【図5−2】図5は、AD−Tgマウス網膜におけるクルクミン標識した斑のインビボ画像化を示す。図5a〜5cは、インビボでのi.v.クルクミンもしくはPBS投与(血管は、赤色矢印によって示される)後の非灌流AD−Tg 対 非Tg(野生型)マウス(10ヶ月齢)の網膜全マウントから撮影した代表的z軸投影画像である。図5aは、Aβ斑が、クルクミンのi.v.注射後のAD−Tgマウス網膜(n=6)において視覚化された(白色矢印で示される)ことを示す。図5bは、PBSのi.v.注射後のAD−Tgマウス(n=5)の網膜において、斑が検出できなかったことを示す。図5cは、クルクミンのi.v.注射後の非Tg(野生型)マウス(n=5)の網膜において斑が検出できなかったことを示す。図5dは、3つのチャネルおよび矢状方向/冠状方向仮想切片を使用する、代表的な共焦点z軸投影画像である。これは、AD−Tgマウス網膜全マウントの実質組織および血管内部において抗ヒトAβ抗体で染色されたAβ斑(白色矢印で示される血管内の斑)を示す。図5eおよび5fは、AOTFベースのスペクトル画像化システムを備えた蛍光顕微鏡を使用して記録し、セグメント化および分類ソフトウェアによって分析されかつ視覚化された画像を示す。図5eでは、Aβ斑(白色)および血管(矢印で示される)は、クルクミンを用いてインビボで染色され、単一チャネル(励起.562/40nm;発光.624/40nm)で画像化された、網膜の全マウントにおいて視覚化された。図5fは、同じ網膜の全マウントおよび領域においてクルクミンで標識されたAβ斑に特異的な光学的サイン(OS)を使用して、分光的に分類された画像を示す。Aβ斑は、疑似カラー(pseudocolor)(白色矢印で示される)で示され、全ての非斑組織は、緑色の疑似カラーで示される。スケールバー=10μm。図5g〜5jは、クルクミンの1回の注射後の画像であり、ここで斑(白色矢印で示される)は、分光的に制御された光源(波長546/15nm)での励起後の発光によって、生きているAD−Tgマウス網膜(n=4)において視覚化された。図5iおよび5jは、より高倍率の画像であり、ここで斑は、上記視神経乳頭に近い領域において大部分が検出され、平均の斑サイズは、全マウント網膜において(エキソビボで)観察されたものと適合性を示した。図5kは、クルクミンをi.v.注射した非Tg(野生型)マウス(n=4)においてプラークが検出されないことを示す。スケールバー(g,k)=100μm、および(h−j)=10μm。23。
【図5−3】図5は、AD−Tgマウス網膜におけるクルクミン標識した斑のインビボ画像化を示す。図5a〜5cは、インビボでのi.v.クルクミンもしくはPBS投与(血管は、赤色矢印によって示される)後の非灌流AD−Tg 対 非Tg(野生型)マウス(10ヶ月齢)の網膜全マウントから撮影した代表的z軸投影画像である。図5aは、Aβ斑が、クルクミンのi.v.注射後のAD−Tgマウス網膜(n=6)において視覚化された(白色矢印で示される)ことを示す。図5bは、PBSのi.v.注射後のAD−Tgマウス(n=5)の網膜において、斑が検出できなかったことを示す。図5cは、クルクミンのi.v.注射後の非Tg(野生型)マウス(n=5)の網膜において斑が検出できなかったことを示す。図5dは、3つのチャネルおよび矢状方向/冠状方向仮想切片を使用する、代表的な共焦点z軸投影画像である。これは、AD−Tgマウス網膜全マウントの実質組織および血管内部において抗ヒトAβ抗体で染色されたAβ斑(白色矢印で示される血管内の斑)を示す。図5eおよび5fは、AOTFベースのスペクトル画像化システムを備えた蛍光顕微鏡を使用して記録し、セグメント化および分類ソフトウェアによって分析されかつ視覚化された画像を示す。図5eでは、Aβ斑(白色)および血管(矢印で示される)は、クルクミンを用いてインビボで染色され、単一チャネル(励起.562/40nm;発光.624/40nm)で画像化された、網膜の全マウントにおいて視覚化された。図5fは、同じ網膜の全マウントおよび領域においてクルクミンで標識されたAβ斑に特異的な光学的サイン(OS)を使用して、分光的に分類された画像を示す。Aβ斑は、疑似カラー(pseudocolor)(白色矢印で示される)で示され、全ての非斑組織は、緑色の疑似カラーで示される。スケールバー=10μm。図5g〜5jは、クルクミンの1回の注射後の画像であり、ここで斑(白色矢印で示される)は、分光的に制御された光源(波長546/15nm)での励起後の発光によって、生きているAD−Tgマウス網膜(n=4)において視覚化された。図5iおよび5jは、より高倍率の画像であり、ここで斑は、上記視神経乳頭に近い領域において大部分が検出され、平均の斑サイズは、全マウント網膜において(エキソビボで)観察されたものと適合性を示した。図5kは、クルクミンをi.v.注射した非Tg(野生型)マウス(n=4)においてプラークが検出されないことを示す。スケールバー(g,k)=100μm、および(h−j)=10μm。23。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に従って、Aβ斑を診断、予後予測、および分析するためのスペクトル画像化システムのフロー図を示す。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に従って、Aβ斑を診断、予後予測、および/もしくは分析するためのスペクトル画像化システムのフロー図を示す。
【図8】図8は、小さな網膜の斑(大部分は直径が<1μm)の高解像度画像を示し、これらの画像は、内因性マウスAPP遺伝子から生じることが見いだされた。画像は、10ヶ月齢の非Tg(野生型)マウス網膜のものである。
【図9】図9は、AD−Tg網膜におけるクルクミン染色した斑および非Tg(野生型)網膜におけるクルクミン染色した斑の欠如を示す、生きているAD−Tgマウスおよび非Tg(野生型)マウス網膜の画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(発明の詳細な説明)
本明細書で引用される全ての参考文献は、完全に記載されるかのように、それらの全体が本明細書に参考として援用される。別段定義されなければ、本明細書で使用される技術的用語および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。Singletonら,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 3rd ed.,J.Wiley & Sons (New York,NY 2001);March,Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure 5th ed.,J.Wiley & Sons(New York,NY 2001);およびSambrook and Russel,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(Cold Spring Harbor,NY 2001)は、当業者に、本願において使用される用語のうちの多くに対する一般的ガイドを提供する。
【0009】
当業者は、本明細書に記載されるものと類似もしくは等価な多くの方法および材料を認識する。それらは、本発明の実施において使用され得る。実際に、本発明は、記載される方法および材料に決して限定されない。
【0010】
「投与」および/もしくは「投与する」とは、本明細書で使用される場合、患者に薬学的組成物を送達するための任意の経路を指す。送達経路としては、非侵襲的な経口(口を介した)経路、局所(皮膚)経路、経粘膜(鼻、口内/舌下、膣、眼および直腸)経路、および吸入経路、ならびに非経口経路、ならびに当該分野で公知の他の方法が挙げられ得る。非経口とは、注射(眼窩内、注入、動脈内、頸動脈内、嚢内、心臓内、皮内、筋肉内、腹腔内、肺内、脊髄内、胸骨内、鞘内(intrathecal)、子宮内、静脈内、くも膜下、被膜下、皮下、経粘膜、もしくは経気管が挙げられる)と一般に関連する投与経路を指す。上記非経口経路を介して、上記組成物は、注入もしくは注射のための溶液もしくは懸濁物の形態において、または凍結乾燥粉末として存在し得る。
【0011】
「アルツハイマー病」とは、本明細書で使用される場合、変性障害および末期の認知障害として同定される認知症の全ての形態を指す。上記疾患は、静的であり得るか、特有の全体的な脳損傷の結果であり得るか、進行性であり得、通常の加齢から予測され得るものを超える、身体における損傷もしくは疾患に起因する認知機能における長期間の減退を生じる。
【0012】
「加齢性黄斑変性」とは、本明細書で使用される場合、網膜に対する損傷に起因して、視野の中心(斑(macula))における視力の喪失を生じる、より老齢の成人における医学的状態を指す。
【0013】
「白内障」とは、本明細書で使用される場合、眼の水晶体においてもしくはそのエンベロープにおいて発生する曇りを指し、この曇りは、わずかから完全に不透明までの程度で変動し、かつ光の通過を妨害する。加齢性白内障の発生の初期では、上記水晶体の能力は増大し得、近眼(near−sightedness)(近視)を引き起こし、徐々に黄ばむ。そして上記水晶体の不透明化は、青色の知覚を低下させ得る。白内障は、典型的には、ゆっくりと進行して視力喪失を引き起こし、処置されなければ、潜在的に失明する。
【0014】
「蛍光マーカー」とは、本明細書で使用される場合、任意のかつ全ての化合物であって、上記化合物を別の分子(例えば、タンパク質もしくは核酸)へ結合するための蛍光団(flurophore)を含むものを指す。これは、一般に、上記標的分子中に含まれる官能基に選択的に結合する蛍光団の反応性誘導体を使用して達成される。
【0015】
「緑内障」とは、本明細書で使用される場合、視神経に影響を及ぼし、特徴的なパターンでの網膜神経節細胞の喪失を伴う疾患の群を指す。緑内障は、あるタイプの視神経障害として分類される。
【0016】
「哺乳動物」とは、本明細書で使用される場合、綱 哺乳綱の任意のメンバーを指し、ヒトおよび非ヒト霊長類(例えば、チンパンジー、ならびに他の類人猿(ape)およびサル(monkey)種);家畜(例えば、畜牛、ヒツジ、ブタ、ヤギおよびウマ);飼い慣らされた哺乳動物(例えば、イヌおよびネコ);実験動物(齧歯類(例えば、マウス、ラットおよびモルモットなど)が挙げられる)が挙げられるが、これらに限定されない。上記用語は、特定の年齢もしくは性別を意味しない。従って、成体および新生児被験体、ならびに胎児(雄性であろうと雌性であろうと)は、この用語の範囲内に含まれることが意図される。
【0017】
「治療上有効量」とは、本明細書で使用される場合、処置されている哺乳動物において有益な結果を達成し得る量をいう。治療上有効量は、個体ベースで決定され得、少なくとも部分的に、上記哺乳動物の生理学的特徴の考慮事項、使用される送達系もしくは治療技術のタイプ、および上記処置されている疾患、障害もしくは状態の進行に対する投与時間に基づき得る。
【0018】
「処置する(treat)」、「処置(treating)」、および「処置(treatment)」とは、本明細書で使用される場合、治療的処置および予防的(prophylactic)もしくは予防(preventative)手段の両方にを指し、ここでその目的は、上記処置が最終的に不成功であるとしても、標的とした病理状態、疾患もしくは障害を予防もしくは遅らせる(減らす)ことである。処置が必要なものとしては、上記障害を既に有しているもの、ならびに上記書害を有する傾向のあるもの、もしくは上記障害が予防されるべきものが挙げられ得る。
【0019】
β−アミロイド沈着は、AD神経病理の中心でありかつアルツハイマー病の重要な特徴である。しかし、生きているアルツハイマー患者および動物の脳におけるAβ斑のモニタリングは、MRIおよびPETの現在の解像度および特異性によって制限されており、Aβ斑の形成によって特徴付けられるアルツハイマーまたは他の病気(ailment)もしくは状態の明確な診断は、斑およびもつれ(tangle)の数および分布をモニターすることによって、脳組織剖検の後にのみ可能である。よって、インビボで斑を同定するための手段を開発することは、診断に必須であり、そして治療への応答における疾患進行の評価に必須である。
【0020】
本発明の主題は、哺乳動物における網膜のAβ斑の形成を確認し、網膜のAβ斑を同定、定量化(quantizing)、および画像化するための方法を教示する。本発明の主題は、アルツハイマー病、認知症、ならびにAβ斑の形成によって特徴付けられる他の臨床的状態および病気を有する患者に対して具体化され得る。さらに、本発明の主題は、AD患者の網膜におけるAβ斑の形成が、脳におけるそれらの出現に先立っていたことを発見したことであった。よって、本発明の主題は、哺乳動物におけるADの初期診断のための方法を開示し、上記方法は、網膜においてAβ斑を染色し、上記患者の網膜を光学的画像化システムで画像化して、染色されたAβペプチドを同定するために、上記患者に蛍光マーカーを投与する工程を包含する。
【0021】
本発明の主題の別の実施形態は、処置前および処置後に、上記患者の網膜におけるAβ斑の増加もしくは減少を測定することによって、哺乳動物におけるADを予後予測するための方法を教示する。予後予測の方法は、上記網膜におけるAβ斑を染色するために、蛍光マーカーを上記患者に投与する工程、および上記患者の網膜を、光学的画像化システムで画像化して、染色されたAβペプチドを同定する工程、続いて、AD処置を上記患者に施して、上記AD処置の適正な過程が効果を生じることを可能にする工程、およびAD処置後に上記網膜におけるAβ斑を染色し、上記患者の網膜を光学的画像化システムで画像化して、染色されたAβペプチドにおける増加もしくは減少を同定するために、上記患者に蛍光マーカーを再投与する工程、を包含する。
【0022】
さらなる実施形態において、本発明の主題は、哺乳動物患者におけるADを処置するための方法を開示し、上記方法は、Aβ斑の形成の低減および存在するAβ斑を溶解することにおいて、治療上有効量のミエリン由来ペプチドおよび/もしくはミエリン由来ペプチドのアゴニストを上記患者に投与する工程を包含する。
【0023】
本発明の主題はまた、網膜のAβ斑を含む哺乳動物患者の視力を改善するための方法を開示することにおいて有用性が見いだされ、上記方法は、治療上有効量のミエリン由来ペプチドおよび/もしくはミエリン由来ペプチドのアゴニストを、上記患者に投与する工程を包含する。視力を改善するための方法は、AD、認知症、またはAβ斑の形成によって特徴付けられる他の臨床的状態および病気(例えば、加齢性黄斑変性(AMD)、および緑内障)を有する患者に対して適用可能であり得る。
【0024】
さらなる実施形態において、上記主題は、Aβ斑が哺乳動物の網膜に存在し、網膜のAβ斑によって特徴付けられる複数の他の臨床的状態および病気を分析、予後予測および診断するために利用され得ることを記載する。代表的な臨床状態および病気としては、AMDおよび緑内障が挙げられ得る。
【0025】
本発明の主題において同定されるさらなる発見は、非ヒト哺乳動物患者およびヒト患者の網膜においてインビボでAβ斑を視覚化するための光学的画像化システムを含む。上記光学的画像化システムは、蛍光顕微鏡、水銀アークランプおよびキセノンアークランプ、CCDカメラ、AOTF(音響光学式波長可変フィルタ(acousto−optic tunable filter))ベースのスペクトル画像収集装置、および分析後画像化ソフトウェアの使用を具体化する。上記光学的画像化システムは、前述のツールを組み込んで、染色されたAβ斑の網膜画像を提供し、生の画像から抽出されたスペクトルサインの視覚的疑似カラー表示を提供し、Aβ斑物体のサイズおよび位置を表す。
【0026】
代替の実施形態において、上記光学的画像化システムは、より高解像度での蛍光および散乱シグナルを視覚化するように調整されている立体顕微鏡の使用を具体化する。上記立体顕微鏡は、Polychrome V 可変式波長光源と適合させられ得る。さらなる実施形態において、上記光学的画像化システムは、MicroFireカラーデジタルカメラおよび1つ以上の拡大レンズを組み込んで、拡大および画像の詳細を改善し得る。画像収集が達成され、画像化ソフトウェアを使用する分析後画像セグメント化および分類によって、完成される。
【0027】
さらなる実施形態において、上記光学的画像化システムは、哺乳動物においてAβ斑を診断、予後予測、および処置するための方法に組み込まれ得る。さらに、上記光学的画像化システムは、補償光学装置(adaptive optics)で増強され得、急速に変化する光学的歪みの影響を低下させることによって、上記光学的画像化システムの性能を改善するために使用され得る。
【0028】
なお別の実施形態において、上記主題の方法は、薬物開発および試験のために利用され得る。非侵襲的な、迅速に反復性の画像化法は、種々の薬物の引き続く(back−to−back)比較および薬物の種々の投与量を可能にするので、本発明の主題は、薬物開発および試験において都合のよい有用性を見いだす。
【0029】
以前の報告から、AD患者の水晶体におけるAβ蓄積の所見に基づいて、脳におけるAβ病理が同定された[31]。現在の研究は、クルクミンによって特異的に視覚化され得るAD患者の網膜におけるAβ斑の存在についての証拠を提供する。Aβ斑は、全ての試験したAD患者の網膜において見いだされたのに対して、非ADコントロールにおいて検出できなかった。若年のADマウスおよび老齢のADマウスの両方において、網膜Aβ斑病理と脳Aβ斑病理との間の良好な相関が観察された;疾患進行の間に年齢依存性の様式において、斑が蓄積し、網膜および脳の両方が、同じ治療様式に対する応答として、Aβ斑減少を示した。全体として、上記網膜組織(これは、脳と多くの類似性を共有している)は、潜在的に、ADの診断およびモニタリングに使用され得る。
【0030】
本研究において、上記AD患者の網膜におけるAβ斑は、上記RGC層内で大部分検出された。ADマウスの眼において、斑は、網膜層の大部分および脈絡膜において認められた。斑は、NFLからONLまで顕著であった。そしてAβ斑のクラスタは、上記網膜の内層においてより頻繁に認められ、それは生きている被験体の眼を介する斑画像化の可能性を示す。ADマウスの網膜は、数および大きさ両方の観点で、脳において認められる斑の年齢依存性蓄積と類似して、Aβ斑負荷の年齢依存性増加を受ける。網膜斑病理を示す本発明者らの結果は、成体および老齢のAD−Tgマウスにおける網膜炎症および変性と相関して、網膜Aβ沈着を明らかにする近年の報告と一致する[16]。本発明の主題において、本発明者らは、網膜の斑病理および脳の斑病理との間の関連を裏付ける証拠を提供するのみならず、若年のAD−Tgマウスにおいて、脳におけるAβ斑の検出前に、網膜においてAβ斑が検出可能であることをも示す。本発明者らは、ミエリン由来ペプチドでのワクチン接種後に、AD−Tgマウスの網膜においてAβ斑の顕著な減少をさらに示し得た;この処置および関連する処置は、脳におけるAβ斑負荷量を弱めることにおいて有効であることが分かった[17,24,25]。これら所見により、斑減少治療に対する応答を評価するために、網膜斑の評価が使用され得ること、および上記網膜斑が、脳におけるAβ斑減少において有効である同じ処置に応答し得るということが提供される。
【0031】
重要なことには、ヒトの眼のGCLにおいて斑(5μmより大きい大きさに達する)が認められたという事実は、網膜を介するアルツハイマー患者の画像化を、いくらか改変して、さらにヒトの眼の画像化のために現在利用可能なツール(例えば、補償光学検眼鏡)とともに、実行可能なアプローチにする[32]。生きているマウスにおいて、市販の散瞳網膜カメラが、網膜神経節細胞の長軸方向の変化の評価を可能にする眼底写真を記録することにおいて有効であることが分かった[33]。青(cyan)色の蛍光タンパク質を視覚化するように改変された青色光共焦点走査型レーザー検眼鏡(bCSLO)システムはまた、生きているマウス網膜においてRGCを視覚化する非侵襲性アプローチを提供する[34]。ここで、概念実証(proof−of−concept)のために、本発明らは、Polychrome Vスペクトル光源および両凸レンズ(double convex lens)を備えた立体顕微鏡(Leica S6E)を使用して、生きているマウスにおいて、クルクミン標識した斑を検出できた。さらに、AOTFシステムを使用して、本発明者らは、(赤血球に由来する)強いバックグラウンド自己蛍光シグナルを排除できたその一方で、クルクミンによって網膜のAβ斑を検出できた。
【0032】
本研究において、クルクミンは、7.5mg/kgの単一用量で全身投与された場合または経口的に与えられた場合、網膜のAβ斑を検出することにおいて有効であった。クルクミンは、血液脳関門および血液網膜関門を横断する能力(有用な斑画像化剤のための要件である)を実証した。安全性の観点から、癌を有する患者においてクルクミンを使用する第I相および第II相の臨床試験は、高用量(12g/日)においてすら、および長期間にわたって与えられた場合に、ヒトにおいて毒性が低いことが判明した[35]。網膜の斑の視覚化のための、静脈内もしくは経口的に与えられたクルクミン用量の、マウスからヒト(1g未満)への変換は、報告された安全性レベル内にあると予測される。さらに、近年の研究は、ヒトにおいてクルクミンの安定性およびバイオアベイラビリティーを顕著に増大させる種々のアプローチを報告した[36]。
【0033】
AD患者の網膜におけるAβ斑の同定は、インビボでそれらの検出を可能にする高解像度および高感度画像化法を開発する新規な機会を提供する。これら結果は、AD患者において見いだされる初期の視覚機能障害と[37,38]、およびAD患者において報告された網膜異常(例えば、上記GCLにおける細胞の喪失および上記NFLの萎縮)の証拠[39−44]と一致し得る。Aβ斑が、ADの初期および後期において、網膜で見いだされるか否かは不明であるが、種々の年齢のこれら患者の網膜においてAβ斑が現在発見されていること、およびこれら斑がAD−Tgマウスにおける疾患の非常に初期の症状が現れる前の相において検出可能であるという事実は、眼を介して認められるクルクミン標識した斑がADの初期診断のために使用され得るという可能性を強める。重要なことには、上記網膜内のそれら特有の大きさおよび分布に基づいて、AD患者において認められた斑は、最終的には、鑑別診断のために使用され得る:加齢性黄斑変性において検出された斑は、ドルーゼ内の網膜色素上皮に位置的に制限され、大きさがより小さいようである[45〜47]。AD患者において認められた網膜異常に関して、斑減少治療(例えば、現在のDCワクチン接種)がまた、視覚機能障害のいくらかの改善を補助し得、視力の改善すらもたらすことが可能である。
【0034】
世界の人口の中での老齢化およびADの発生の増加につれ、ADのリスクを評価し、新たな治療を評価し、いったんADが発症したら初期の介入によりADを処置するために、ADの初期検出が、これまでよりも一層重要になっている。ADの病理(アミロイド斑および神経原線維変化が挙げられる)は、症状出現前および任意の実質的な神経変性が起こる前の多年の間に現れると考えられる。ADに特異的な初期の測定可能なマーカー(例えば、網膜におけるAβ斑)の発見(これは、なお認知的に正常な被験体における脳の病理および認知の衰えの発生を推定し得る)は、特に必要とされる。ADのマウスモデルにおける本発明者らの所見により、AD病理の初期の徴候および治療的介入に対する応答についての非侵襲的ツールとして、クルクミンを用いてインビボで標識された網膜の斑の画像化の使用が裏付けられる。
【0035】
さらに、本発明の主題は、AD患者の眼の変性および視力の低下としばしば関連する、網膜のAβ斑を、減少させるおよび/もしくは除去するためのワクチン接種治療を導入する。ミエリン由来ペプチドもしくはミエリン由来ペプチドの弱いアゴニストは、神経保護を効率的に誘導するために、および網膜における斑形成を減少させるために使用された。
【0036】
まとめると、本発明者らは、ヒト網膜においてAβ斑を同定した。そして本発明者らは、ヒトにおいて安全であると判明した、全身投与された化合物を使用して、網膜においてAβ斑を画像化することによって、脳におけるよりも早期にかつより容易に、アルツハイマー斑病理を検出およびモニターする新たなアプローチを記載する。このことは、さらに認知的に正常でありかつ顕著な機能的欠陥が認められるよりも十分に前である被験体において、脳病理の発生および認知の衰えを推定し得る。これらの所見は、網膜の光学的画像化が、AD進行および治療的介入に対する応答をモニターするための非侵襲的アプローチとして使用され得ることを示す[48]。
【実施例】
【0037】
以下の実施例は、本願発明をよりよく示すために提供されるのであって、本発明の範囲を限定するとして解釈されるべきではない。特定の材料が言及される程度に応じて、それは、例示目的であるに過ぎず、本発明を限定することを意図しない。当業者は、創作能力の発揮なくしてかつ本発明の範囲から逸脱することなくして、等価な手段もしくは反応物を発展させ得る。
【0038】
(実施例1:結果)
(ADマウス網膜におけるAβ沈着物は、クルクミンを使用して視覚化され得る)
ヒトAPPsweおよびPS1dE9導入遺伝子を有するAD−Tgマウスを使用して、眼においてAβ斑を検出するための非侵襲的ツールを開発する可能性を評価した。本発明者らは、クルクミンが、AD−Tgマウスの海馬において、ヒトAβに特異的な抗体によって検出された同じ斑に対して親和性を有することを初めて確認した(図1a;別個のチャネル 図1bおよび1c)。より高倍率では、画像は、各手順後に得られる特定の染色パターンを示す(図1dおよび1e)。ヒトAβ斑は、非Tg同腹仔野生型(野生型(wt))マウスの脳において検出できなかった(図1f)。次いで、本発明者らは、AD−Tgマウスの眼におけるAβ斑がまた、クルクミンを結合し得るか否かを試験した。高解像度での試験は、AD−Tgマウスの網膜においてクルクミンおよび抗ヒトAβ抗体の両方によって標識されたAβ斑の存在を明らかにした(図1g〜1i、網膜全マウント;図1k〜1m,断片(cross section))が、非Tg(野生型)マウスの網膜においては存在しなかった(図1jおよび1n)。代表的画像は、内網状層(IPL;図1g)、内顆粒層(INL)/外網状層(OPL;図1h)、および外顆粒層(ONL;図1i)を含むように、種々の深さにおいて網膜全マウントにおけるAβ斑の位置を示す(80μm深度の焦点面において連続収集)。断片の分析から、OPL層を介した神経節細胞層(GCL)およびIPLにおける見かけの優勢を伴う、深網膜層および脈絡膜におけるAβ斑沈着をさらに確認した(図1k〜1m)。ヒトAβ斑は、上記非Tg(野生型)同腹仔においては存在しなかった(図1jおよび1n)のに対して、時折の小さなクルクミン陽性斑が検出された。野生型マウスにおいてクルクミン染色によって検出されたこれら小さなかつまばらな斑の性質を決定するために、本発明者らは、10ヶ月齢の野生型マウスの全マウント網膜において、クルクミンおよびマウスAβに対して特異的な抗体を使用して、二重染色実験を行った。事実、上記野生型網膜においてクルクミンによって検出された小さな斑は、上記抗マウスAβ抗体で同時標識されたことが分かったので、内因的に形成されたマウスAβ沈着物としてそれらの正体(identity)を確認した(図8a〜8d)。
【0039】
(実施例2:結果)
(Aβ斑は、AD患者の網膜において形成され、クルクミンによって視覚化され得た)
本発明者らは、次に、ADの確定診断を有する患者(n=9;48〜94歳の年齢範囲;種々の疾患重篤度、彼らの神経病理報告に基づいて分類)の死後の眼において、および年齢を合わせた通常のコントロール(n=4;66〜92歳;ヒトドナーの眼の記録を参照のこと(表1を参照のこと))の死後の眼においてAβ斑の存在を試験した。360〜710nmの範囲の励起下で観察され、リポフスチン/脂質沈着物および/もしくはホルマリンでの長期の固定と関連した固定されたヒトの眼の自己蛍光および非特異的シグナル[21,22]を、スダンブラックB染色によって除去した(図2)。クルクミン染色については、本発明者らは、ヒト全マウント網膜をスダンブラックBとともに最初に浸漬し(図2aおよび2c;斑は認められなかった)、続いて、クルクミンに曝した(図2bおよび2d;それぞれの画像は、同じ組織位置内の斑を示す)。クルクミンによって検出された斑(1〜10μmの範囲(代表的には、約5μm))は、上記GCL網膜層、IPL網膜層およびINL網膜層に対応する種々の焦点深度において、および上記脳において報告された斑病理に対する明らかな相関とともに、試験した全てのAD患者の眼において見いだされた(図2aおよび2g)。本発明者らはまた、ヒトAβに対して向けられる抗体を用いて上記ヒト網膜を分析した。本発明者らは、AD患者においてAβ斑を同定し、それらの構造が、上記マウスの網膜および脳において見いだされたものに類似であることを見出した[図2hおよび2iは、最内網膜層(すなわち、GCL)を表し、ここで上記斑は、容易に検出され;図2iは、上記網膜Aβ斑構造のより高倍率の画像であり;図2jは、より深い連続焦点面(すなわち、IPL)を表す]。上記斑は、2次抗体のみを使用した場合には検出できなかった(データは示さず)。Aβに対する免疫標識の後にヒト網膜をクルクミンへ曝露したところ、それらの同時局在が確認された(図2k〜2m)。非ADヒトの眼において、Aβ斑は検出されなかった(図2n)。
【0040】
【表1】

(実施例3:結果)
(ADマウスにおける、クルクミンによってインビボで染色されたAβ斑は、脳におけるよりも前に網膜において検出され、疾患進行の間に蓄積する)
上記網膜における斑を画像化するためのクルクミンの使用を確立するために、本発明者らは、全身投与した場合の、その眼へのバイオアベイラビリティーを試験した。この目的のために、マウスに、クルクミンを静脈内注射した。クルクミン投与後の標識された斑は、AD−Tgマウスの網膜および脳において検出できたが、上記非Tg(野生型)コントロールにおいては検出できなかった(図3)。これら所見により、クルクミンが血液脳関門を通過することを確認した。このことは、クルクミンが血液網膜関門を通過し、かつインビボでAβ斑に対して高い親和性を有することを示唆する。重要なことには、クルクミン標識した斑は、単一のクルクミン注射後もしくは複数回の注射の後に、検出できた。2.5ヶ月齢、5ヶ月齢、9ヶ月齢および17ヶ月齢のAD−Tgマウスの網膜および脳の海馬の代表的なz軸投影ならびに皮質画像は、網膜と脳における斑沈着の間の年齢依存性の相関、および疾患進行の経過にわたる蓄積の増加を実証する(図3a〜n)。重要なことには、インビボでのクルクミン投与後のAD−Tgマウスにおいて2.5ヶ月齢程度の早期に、斑を網膜において検出した(図3aおよび3b)が、脳においては検出しなかった(図3cおよび3d)。このことは、上記網膜におけるAβ斑が、脳病理より先に起こることを示唆する。本発明者らは、これらクルクミン標識した斑が、抗ヒトAβ抗体染色によりエキソビボで同時局在することをさらに確認した(図3bおよび3f)。Aβ斑は、AD−Tgマウスのこの系統において疾患の始まりおよび進行の以前の説明と一致して[23]、5ヶ月齢の脳において最初に検出可能であった(図3gおよび3h)。野生型マウスにおいて、Aβ斑は、9ヶ月齢程度では網膜(図3o)および脳(図3pおよび3q)の両方において検出できなかった。
【0041】
(実施例4:結果)
(Aβ斑負荷は、ワクチン接種治療後の網膜において減少する)
本発明者らは、AD−Tgマウスにおいて認められた網膜の斑の運命が、同じ処置に対して応答した脳のAβ斑のものに類似であるか否かをさらに調査した。ミエリン由来ペプチドもしくはミエリン由来ペプチドの弱いアゴニストは、神経保護を効率的に誘導し、斑形成を低下させることを示した[24〜26]。自己免疫性脳脊髄炎を誘発するリスクなしにワクチン接種の有益な効果を確認するために、本発明者らは、キャリアおよびアジュバントとして樹状細胞(DC)を用いて、AD−Tgマウスに、改変したミエリン由来ペプチド(MOG45D(MOG 35−5527,28に由来する))をワクチン接種することを選択した。MOG45D負荷DCもしくはPBSのいずれかを注射した10ヶ月齢のAD−Tgマウスおよび野生型同腹仔(1群あたり4マウス/8網膜)の全マウントした網膜を、クルクミンおよび抗Aβ抗体の両方を使用して、Aβ斑についてエキソビボで標識した(図4)。代表的な軸(z積み重ね)投影画像は、PBS処置コントロールと比較して、ワクチン接種したAD−TgマウスにおけるAβ斑の数の実質的な低下を実証した(それぞれ、図4a〜4c 対 図4dおよび4f;図4bおよび4c、ならびに図4eおよび4fにおいて別個のチャネル)。野生型マウスにおいては、Aβ斑(クルクミンおよび抗ヒトAβ抗体で二重染色)は検出されなかった(図4g)。高解像度画像において、本発明者らは、小さな網膜の斑(大部分は直径が<1μm)をときおり検出した。上記斑は、内因性マウスAPP遺伝子から生じることが分かった(図8)。これら小さな斑は、クルクミンによって染色されたが、全ての3つの実験群において抗ヒトAβ抗体によって染色されなかった(図4a、4dおよび4g)。本発明者らは、視神経乳頭の周りの12個の領域(合計約0.45mm)を記録することによって、斑の数および大きさをさらに定量化し、各領域において60μm走査深度にわたって斑を定量化した(図4h;各領域は、矩形1〜12で示される)。クルクミン染色によって検出される斑の数の有意な低下は、PBS処置コントロールと比較して、ワクチン接種したAD−Tgマウスの網膜において見出された(図4i;P=0.0028)。実質的な減少はまた、PBS処置AD−Tgマウスに対するワクチン接種したAD−Tgマウスにおける網膜の斑によって示される(covered)平均面積において認められた(図3j;P=0.0002)。顕著なことには、合計の斑面積において、PBS処置マウスに対して有意な減少が、また、同じワクチン接種したマウスの脳由来の海馬および皮質において認められた(図4k;P=0.0085)。
【0042】
(実施例5:結果)
(全身注射したクルクミンを使用する、眼におけるAβ斑のインビボ画像化)
生きている被験体の眼においてクルクミンによってAβ斑を視覚化する潜在力をさらに調査するために、本発明者らは、眼の摘出前には灌流していないマウスの全マウント網膜(より生理学的な状況)において、Aβ斑を同定する本発明者らのものの能力を最初に試験した。代表的な軸投影画像は、毛細管内の赤血球に由来するバックグラウンドシグナルを含んでいたこれら条件下ですら、クルクミンを前もってi.v.注射したAD−Tgマウスの網膜において、斑が同定できたことを実証した(図5a)。重要なことには、クルクミンの非存在下では、斑は、PBSをi.v.注射したAD−Tgマウスにおいて検出できなかった(図5b)。このことは、これら画像化様式を使用する場合、斑は、それらの自己蛍光シグナルによってのみ、網膜においてわずかに検出可能であることを示唆する。予測されるように、クルクミンを注射した非Tg(野生型)マウスにおいて、斑はやはり検出されなかった(図5c)。抗ヒトAβ抗体を用いたエキソビボでの斑のさらなる標識から、クルクミン染色のAβ特異性が確認された(データは示さず)。抗Aβ抗体で標識したADTgマウスの全マウント網膜におけるAβ斑は、血管内部およびそれらの実質付近で見いだされた(図5d;共焦点仮想断片)。本発明者らは、血管から生じるバックグラウンドシグナルを減少させる一方で、Aβ斑を検出し得るか否かをさらに評価した。この目的のために、本発明者らは、音響光学式波長可変フィルタ(AOTF)でのスペクトル画像化[29]およびゲート制御カメラを使用する蛍光寿命画像化からなる、マルチスペクトル画像化技術を含む蛍光顕微鏡(Nikon TE2000)を使用して特定の光学的サインをモニターした;画像収集に続いて、本発明者らが以前に開発したソフトウェア[30]を使用して、分析後画像セグメント化および分類を行った。単一波長チャネルにおけるAOTFを装備した顕微鏡を使用して画像化されたクルクミン標識した斑は、AD−Tgマウス網膜において認められた(図5e)。上記AOTFベースの画像化を適用して、クルクミン標識した斑のスペクトルサインを記録し、カラー分類したデジタル画像へ変換した後、本発明者らは、血管によって発生した自己蛍光ノイズを除去する一方で、「真の」シグナルとしてAβ斑の特異的光学サインを同定することができた(図5f)。非侵襲的斑検出のための本発明者らのアプローチの実施可能性を調査するために、本発明者らは、波長制御光源およびデジタルカメラ付きの改変立体顕微鏡(Leica S6E)を使用して、生きているマウスにおける網膜のインビボ画像化を行った。画像化の2時間前にクルクミン(7.5mg/kg)を1回の注射した後に、クルクミン標識された斑は、励起波長546/15nmにおいてAD−Tgマウスの網膜において特異的に視覚化された(図5g〜5j)。斑は、視神経乳頭近辺の領域において大部分が検出された。平均の斑の大きさは、全マウント網膜(エキソビボ)において観察されたものと適合していた。クルクミンをi.v.注射した非Tg(野生型)マウス(図5k)において、またはクルクミン注射を受けなかったAD−Tgマウスにおいて(データは示さず)、斑は検出されなかった。改変した立体顕微鏡によって記録されたシグナルが上記斑から発生したことを確かめるために、マウスを安楽死させ、上記クルクミン標識された斑の存在を、全マウント網膜で確認した(データは示さず)。
【0043】
(実施例6:マウス)
キメラマウス/ヒトAPP(APPswe)遺伝子および変異ヒトプレセニリン1(エキソン9が欠失−PSEN1rE9)遺伝子を有する二重トランスジェニックマウス(雌性および雄性とも同数)、ならびにそれらの年齢を合わせた非Tg同腹仔を、Jackson Laboratories(Bar Harbour,ME,系統#4462)から購入し、繁殖させ、Cedars−Sinai Medical Center(Los Angeles,CA)の比較医学の動物センターにおいて維持した。全ての実験を、Cedars−Sinai Institutional Animal Care and Use Committeeによって作られた規則に従って承認され、行われた。
【0044】
(実施例7:遺伝子型決定)
ゲノムDNAを、製造業者のプロトコルに従って、DNA抽出キット(Qiagen,Valencia,CA)を使用して、尾の先端0.5cmから抽出した。この研究において使用したマウスを、以前に記載された(Jankowsky,2004,Ref.#120)ように、PCRによって、導入遺伝子の存在について遺伝子型決定を行なった。
【0045】
(実施例8:ワクチン接種調製物)
改変ミエリン由来ペプチド(MOG45D)を、脳炎誘発性ペプチドMOG(35−55)から得た(Koehler,2002,Ref.#285;Shao,2002,Ref.#283;Zhong,2002,Ref.#284;Hauben,2001,Ref.#28;およびHauben,2001,Ref.#35)。ワクチン接種のために、MOG45D(Invitrogen,Carlsbad,CA)を、非Tg同腹仔ドナーマウスからの骨髄由来樹状細胞に添加した。ワクチン接種のための樹状細胞の調製は、以前に記載されたとおりであった(Hauben,2003,Ref.#34)。
【0046】
(実施例9:ワクチン接種の実験的レジメン)
7ヶ月齢のAD−Tgマウスに、DC−MOG45(1×PBS/動物において0.5×10細胞/200ml)を、3ヶ月にわたって1ヶ月に1回注射した。7ヶ月齢のAD−Tgマウスのコントロール群に、対応するレジメンに従って、1×PBSを注射した。上記研究の最後に、全てのマウスを、麻酔下で、2.5% パラホルムアルデヒド(「PFA」)(Sigma)後に1×PBSを用いて灌流し、当該マウスの脳および眼を、さらなる分析のために集めた。
【0047】
(実施例10:動物組織)
マウスに麻酔をかけ、4% 氷冷緩衝化PFAで灌流し、あるマウス群は、灌流しなかった。それらのマウスの眼を摘出し、直ぐに4% 新鮮PFA中で一晩固定した。全マウント網膜のために、上記眼を解剖し、前部を除去した。眼杯を、10分間にわたってヒアルロニダーゼ(タイプI−S)(0.07mg/ml)(Sigma)中に浸漬して液化し、硝子体残渣を除去し、次いで、PBS中で、10分間、3回洗浄し、上記全マウント網膜を集めた。全眼の薄片作製のために、上記眼を、4% PFA中30% スクロースに2時間置き、次いで、PBS中、15分間、3回洗浄した。上記眼を、O.C.T中に包埋し、ドライアイス上でゆっくりと凍結させ、次いで、クリオスタットで矢状方向に切片化した(7μm)。脳を集め、直ぐに4% 新鮮PFA中で一晩固定した。上記脳を、30% スクロース(4% PFA中)勾配中に置いた。脳を、PBS中、15分間、3回洗浄し、次に、O.C.T中に包埋し、ドライアイス上でゆっくりと凍結させ、次いで、クリオスタットで冠状面に切片化した(30μm)。
【0048】
(実施例11:ヒトの剖検眼)
アルツハイマー患者からの剖検眼を、Alzheimer’s Disease Research Center,Department of Pathology,University of Southern California(Los Angeles,CA)から、IRBプロトコル99491および3201の下で入手した。健康なドナーの眼を、National Disease Research Interchange(NDRI,Philadelphia,PA)から購入した。NDRIは、管理委員会(managerial committee)によって承認され、National Institutes of Health監督下にあるヒト組織収集プロトコルを有する。病気の眼および正常な眼を固定し、10% 中性緩衝化ホルマリン中に貯蔵した。さらに、本発明者らは、固定せずに凍結した2つの健康な眼を使用し、−80℃において貯蔵した。全マウント網膜を、上記眼から調製し、免疫組織化学によってさらに研究した。
【0049】
(実施例12:クルクミンの尾静脈注射)
インビボでのAβ斑画像化のために、AD−Tgマウスおよび非Tg野生型マウスの尾静脈に、PBS中のクルクミン(7連続日にわたって7.5mg/kg/日)もしくはPBSを静脈内注射した。その後、脳および眼を、凍結切片化するかまたは全マウント網膜用に調製した。代替の実施形態において、クルクミンを、患者に経口投与した。
【0050】
(実施例13:免疫組織化学)
脳凍結切片(30μm厚)、網膜切片(凍結切片)(7μm厚)および全マウント網膜を、20% ウマ血清(Invitrogen)および0.01〜0.1% Triton X−100(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を含む透過化/ブロッキング溶液で処理した。切片を、4℃において一晩、10% ブロッキング溶液を含むPBS中の以下の1次Ab(マウス抗Aβ[ヒトアミノ酸残基1−17;クローン6E10(1:100;Milipore,Temecula,CA)])の特定の組み合わせを用いて染色した。上記切片を、1時間にわたって室温において2次Abとともにインキュベートし、次いで、1×PBSで3回洗浄し、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール、ジヒドロクロリド(DAPI,Vector Laboratories,Peterborough,UK)を含むかもしくは含まないVectorshieldを用いてマウントした。1×PBS中の2次Ab溶液には、Cy−5結合体化ロバ抗マウス抗体(1:200;Jackson ImmunoResearch Laboratories,West Grove,PA)を含めた。陰性コントロールを、1次抗体を省いて同じプロトコルで処理して、非特異的標識を評価した。顕微鏡分析のために、本発明者らは、Zeiss ApoTome蛍光を使用した。
【0051】
(実施例14:クルクミン染色)
クルクミン(Sigma−Aldrich)を0.5M NaOH,pH=7.9中に溶解し、1×PBS中に直ぐに希釈して、0.1mg/mlのクルクミン溶液を調製した。脳および網膜の組織凍結切片(それぞれ、30μm厚および7μm厚)ならびに全マウント網膜を、室温においてクルクミン溶液で10分間にわたって染色し、次いで、1×PBSを用いてそれぞれ15分にわたって3回すすいだ。上記サンプルを、GVAマウント媒体(Zymed)で覆った。
【0052】
インビボでアミロイド斑を染色/標識し得るさらなる化合物は、当該分野で公知であり、上記化合物としては、チオフラビンSおよびチオフラビンT、ならびにいくつかの誘導体、コンゴーレッドおよび誘導体、メトキシ−X04、Pittsburgh Compound−B(PiB)、DDNP、クリサミン−Gおよび他いくつかが挙げられる。しかし、クルクミンおよびその誘導体は、以下の利点があるため、動物モデルおよびヒトにおけるアミロイド斑のインビボでの光学的画像化のために非常に力がある。クルクミンは、一般に使用される光学的スペクトルで特異的かつ非常に明るいシグナルを発生し、市販され、例外的に低コストである。クルクミンに関連する安全性の問題は最小限であり(高用量ですら)、抗酸化剤として患者の健康に有益であるとすら考えられ得る。クルクミンは、Aβに対して非常に良好なインビトロ結合特性およびインビボ結合特性を有する有効なリガンドであり、良好な初期の脳取り込み率および脳からの洗い出し率を提供する(インビボ画像化剤に関する重要な特性)。
【0053】
(実施例15:定量化)
染色した組織の顕微鏡写真を、AxioCam MRmモノクロームカメラver.3.0(1388×1040ピクセルの解像度、6.45μm×6.45μmピクセルサイズ、ダイナミックレンジ>1:2200(ペルチエ冷却センサに起因して低ノイズ画像を伝える)で)付きのAxio Imager Z1 ApoTome装備顕微鏡(電動化Z−ドライブ付き)で得た。Aβ斑の数および面積(βm2)の定量分析を、マウス1匹あたり2つの全マウントした網膜から行った(n=4マウス/群)。各画像は、0.28 βmの解像度を有する40×対物レンズで捕捉し、0.04mmの面積、および60μmの走査深度内で視神経乳頭周りの合計12個の矩形の領域(電動化走査ステージを使用した、連続焦点面において複数の仮想切片画像)を含んだ。平均の斑半径(クルクミン染色後)の測定を各動物群について完了し、続いて、各動物群において平均の斑面積の計算を完了した。収集のために、本発明者らは、類似の曝露時間(約75分)および全ての画像について同じゲイン値(0)を使用した。画像の後処理は行わなかった。クルクミンで染色したAβ斑の発光シグナルを、網膜組織におけるバックグラウンドシグナルと比較して、シグナル 対 バックグラウンド比を決定した。上記画像から計算したシグナル−対−バックグラウンドノイズ比は高くかつ3:1〜10:1の範囲内であった。脳におけるAβ斑の数および面積(βm2)の定量分析は、海馬および皮質領域を覆う面積にわたって、450μm間隔で、マウス1匹あたり3つの冠状面切片(各々2つの半球)から決定した。上記標本の各領域からの光学的切片を、NIH Image Jプログラム(National Institutes of Health)へインポートした。グレースケールへの変換を行って、免疫反応性の領域とバックグラウンドの領域とを区別した。免疫反応性の総面積および定量レベルを、標準化したカスタムヒストグラムベースの閾値技術を使用して決定し、次いで、粒子分析に供した。
【0054】
(実施例16:スペクトル画像化およびマルチスペクトル画像化)
スペクトル画像化は、あらゆるピクセルにおいて正確な光学的サインを発生する、多数の一連の波長において、物体のデジタル画像を提供する。クルクミンを用いてインビボで標識したAβ斑の蛍光スペクトルサインを、以下の装置を用いて本発明者らのスペクトル画像化システムによって記録した:Nikon蛍光顕微鏡(E800およびTE2000)、水銀アークランプおよびキセノンアークランプ、CCDカメラ、AOTF(音響光学式波長可変フィルタ)ベースのスペクトル画像収集システム(ChromoDynamics,Inc)[29]および本発明者らのMinimally Invasive Surgical Technologies Instituteが開発した分析後画像化ソフトウェア[30]。最終的な画像は、分析した物体の大きさおよび位置を表す、生の画像から抽出したスペクトルサインの視覚的な疑似カラー描写を提供した。マルチスペクトル画像化において、パルス化レーザーおよびLaVision PicoStar HRゲート制御カメラで行った蛍光寿命画像化は、上記スペクトル収集を補っていた。
【0055】
図6は、本発明の一実施形態に従った、Aβ斑をインビボで診断、予後予測、および分析するためのスペクトル画像化システム100のフロー図を示す。上記主題の網膜110を、蛍光マーカーを用いて染色して、Aβ斑を標識する。その直後に、上記染色した網膜110を、高解像度で蛍光および散乱シグナルを視覚化するように調整された画像化デバイス120によって画像化する。上記画像化デバイス120に、Polychrome V可変式スペクトル光源130を取り付け得る。さらなる実施形態において、上記スペクトル画像化システム100は、カラーデジタルカメラ140(例えば、MicroFire)および1種以上の拡大レンズを組み込んで、拡大および画像詳細を改善し得る。画像収集170は、画像化ソフトウェア160を使用して、分析後画像セグメント化および分類によって達成される。
【0056】
図7は、本発明の一実施形態に従った、Aβ斑を診断、予後予測、および分析するためのスペクトル画像化システム200のフロー図を示す。上記主題の網膜210を、蛍光マーカーを用いて染色し、Aβ斑を標識する。その直後に、上記染色した網膜210を、画像化デバイス220を用いて画像化する。上記画像化デバイス220に、音響光学式波長可変フィルタ(AOTF)230でのスペクトル画像化およびデジタルカメラ240を使用する蛍光寿命画像化から構成されるマルチスペクトル画像化技術を取り付け得る。画像収集260は、画像化ソフトウェア250を使用する分析後画像セグメント化および分類によって達成される。
【0057】
(実施例17:マウス網膜のインビボ画像化)
AD−Tgマウスおよび野生型マウスの網膜を、クルクミン静脈内注射の2時間後に画像化した。ケタミン100mg/ml/kgおよびキシラジン20mg/ml/kgでマウスを麻酔した。マウスの瞳孔を、0.5% トロピカミド眼用溶液(Mydral;Bausch & Lomb)と組み合わせた0.5% フェニレフリンヒドロクロリド眼用溶液(Bausch & Lomb)を用いて、約2mm直径に拡張させた。画像化プロセスの間に、上記マウスを立体顕微鏡のステージに配置し、その眼を、カルシウムおよびマグネシウム(これらは、眼の表面と上記画像化レンズとの間の光学連結媒体として働く)を補充したPBSの液滴で覆った。高解像度で蛍光および散乱シグナルを視覚化するように調整された改変した立体顕微鏡(Leica S6E)を使用して、画像を記録した(ゲイン4で露出時間750ms)。上記改変した立体顕微鏡を組み立てて、Polychrome V(Till Photonics)可変式波長光源、MicroFire カラーデジタルカメラ(Optronics)、およびさらなる6×(両凸)拡大レンズ(焦点長10cm)を含めた。画像を、より大きな領域を視覚化し、非特異的反射シグナルを除去するために、いくつかの異なる角度で反復して収集した。
【0058】
(実施例18:統計的分析)
結果を、2群比較のp値について、片側不対スチューデントt検定によって分析した。結果を、平均±SDとして表わす。
【0059】
本発明の主題の種々の実施形態が、詳細な説明において上記に記載される。これら説明は、上記実施形態を直接記載しているが、当業者が、本明細書に示されかつ記載される特定の実施形態に対して改変および/もしくはバリエーションを想起し得ることが理解される。この説明の範囲内に入る任意のこのような改変もしくはバリエーションは、同様にそこに含められることが意図される。別段示されなければ、本明細書および特許請求の範囲における単語および語句が、適用可能な分野の当業者に通常のおよび慣例的な意味を与えることは、本発明者らの意図である。
【0060】
本願出願時に本出願人に知られていた本発明の主題の種々の実施形態の前述の説明が提示されており、例示および説明目的で記載されている。この説明は、網羅的であることを意図するものではなく、上記主題を開示される正確な形態に限定するものでもなく、多くの改変およびバリエーションは、上記の教示に鑑みて可能である。記載される実施形態は、本発明の主題およびその正確な適用の原理を説明し、当業者が上記主題を種々の実施形態においてかつ意図される特定の使用に適合するように種々の改変を加えて利用することを可能にするように働く。従って、本発明の主題は、上記主題を実施するために開示される特定の実施形態に限定されないことが意図される。
【0061】
本発明の主題の特定の実施形態が示されかつ記載されてきたが、本明細書中の教示に基づいて、変更および改変がこの主題およびそのより広い局面から逸脱することなく行われ得、従って、添付の特許請求の範囲が、それらの範囲内に、この主題の真の趣旨および範囲内に入るように、全てのこのような変更および改変を包含するべきであることは、当業者に明らかである。一般に、本明細書で使用される用語は、一般に、「開放系」の用語(例えば、用語「含む」は、「〜が挙げられるが、これらに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する」は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「含む」は、「〜を含むが、それらに限定されない」と解釈されるべきであること、など)として意図されることは、当業者によって理解される。
【0062】
【数1】

【0063】
【数2】

【0064】
【数3】

【0065】
【数4】

【0066】
【数5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物におけるアルツハイマー病を診断するための方法であって、該方法は、
該哺乳動物に、Aβペプチドを染色するための蛍光マーカーを投与する工程;
該哺乳動物の網膜を、光学的画像化システムで画像化する工程;
染色されたAβペプチドについての該画像を検査する工程;および
染色されたAβペプチドが存在する場合、アルツハイマー病を有すると該哺乳動物を診断する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記光学的画像化は、インビボで行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記蛍光マーカーは、クルクミン、クルクミン誘導体、チオフラビンSおよび誘導体、チオフラビンTおよび誘導体、コンゴーレッドおよび誘導体、メトキシ−X04、Pittsburgh Compound−B(PiB)、DDNP、クリサミン−G、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光学的画像化システムは、分光計、蛍光顕微鏡、立体顕微鏡、水銀アークランプ、可変式波長光源、キセノンアークランプ、CCD同期方式カメラ(CCD gated camera)、カラーデジタルカメラ、音響光学式波長可変フィルタベースのスペクトル画像収集システム、補償光学装置、画像化ソフトウェア、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記蛍光マーカーは、クルクミンであり、投与されるクルクミンの量は、12.0g未満かつ7.5mgより多い、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
哺乳動物におけるアルツハイマー病を予後予測するための方法であって、該方法は、
Aβペプチドを染色するために、該被験体に蛍光マーカーを投与する工程;
該被験体の網膜を、光学的画像化システムで画像化する工程;
染色されたAβペプチドについての該画像を検査する工程;
以前の診断と比較して、該被験体の網膜における染色されたAβペプチドの増加/減少を定量する工程;および
該被験体の網膜における染色されたAβペプチドのレベルに基づいて、予後予測を与える工程、
を包含する、方法。
【請求項7】
前記光学的画像化は、インビボで行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記蛍光マーカーは、クルクミン、クルクミン誘導体、チオフラビンSおよび誘導体、チオフラビンTおよび誘導体、コンゴーレッドおよび誘導体、メトキシ−X04、Pittsburgh Compound−B(PiB)、DDNP、クリサミン−G、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記光学的画像化システムは、分光計、蛍光顕微鏡、立体顕微鏡、水銀アークランプ、可変式波長光源、キセノンアークランプ、CCD同期方式カメラ、カラーデジタルカメラ、音響光学式波長可変フィルタベースのスペクトル画像収集システム、補償光学装置、画像化ソフトウェア、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記蛍光マーカーは、クルクミンであり、投与されるクルクミンの量は、12.0g未満かつ7.5mgより多い、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
哺乳動物の網膜におけるAβペプチドを同定するための方法であって、該方法は、
該Aβペプチドを染色するために、該哺乳動物に蛍光マーカーを投与する工程;
該哺乳動物の網膜を、光学的画像化システムで画像化する工程;および
染色されたAβペプチドについての該画像を検査する工程、
を包含する、方法。
【請求項12】
前記光学的画像化は、インビボで行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記蛍光マーカーは、クルクミン、クルクミン誘導体、チオフラビンSおよび誘導体、チオフラビンTおよび誘導体、コンゴーレッドおよび誘導体、メトキシ−X04、Pittsburgh Compound−B(PiB)、DDNP、クリサミン−G、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記光学的画像化システムは、分光計、蛍光顕微鏡、立体顕微鏡、水銀アークランプ、可変式波長光源、キセノンアークランプ、CCD同期方式カメラ、カラーデジタルカメラ、音響光学式波長可変フィルタベースのスペクトル画像収集システム、補償光学装置、画像化ソフトウェア、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記蛍光マーカーは、クルクミンであり、投与されるクルクミンの量は、12.0g未満かつ7.5mgより多い、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
哺乳動物におけるアルツハイマー病を処置するための方法であって、該方法は、
治療上有効量のミエリン由来ペプチドおよび/もしくはミエリン由来ペプチドのアゴニストを提供する工程;ならびに
該治療上有効量のミエリン由来ペプチドおよび/もしくはミエリン由来ペプチドのアゴニストを、該哺乳動物に投与する工程、
を包含する、方法。
【請求項17】
哺乳動物におけるアルツハイマー病処置の有効性を評価するための方法であって、該方法は、
Aβペプチドを染色するために、蛍光マーカーを該哺乳動物に投与する工程;
該哺乳動物の網膜を、光学的画像化システムで画像化する工程;
染色されたAβペプチドについての該画像を検査する工程;および
該哺乳動物の網膜における該染色されたAβペプチドのレベルに基づいて、アルツハイマー病処置の有効性を評価する工程、
を包含する、方法。
【請求項18】
前記光学的画像化は、インビボで行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記蛍光マーカーは、クルクミン、クルクミン誘導体、チオフラビンSおよび誘導体、チオフラビンTおよび誘導体、コンゴーレッドおよび誘導体、メトキシ−X04、Pittsburgh Compound−B(PiB)、DDNP、クリサミン−G、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記光学的画像化システムは、分光計、蛍光顕微鏡、立体顕微鏡、水銀アークランプ、可変式波長光源、キセノンアークランプ、CCD同期方式カメラ、カラーデジタルカメラ、音響光学式波長可変フィルタベースのスペクトル画像収集システム、補償光学装置、画像化ソフトウェア、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記蛍光マーカーは、クルクミンであり、投与されるクルクミンの量は、12.0g未満かつ7.5mgより多い、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
哺乳動物におけるAβペプチドと関連する網膜の病気を処置するための方法であって、該方法は、
治療上有効量のミエリン由来ペプチドおよび/もしくはミエリン由来ペプチドのアゴニストを提供する工程;ならびに
治療上有効量の該ミエリン由来ペプチドおよび/もしくはミエリン由来ペプチドのアゴニストを、該哺乳動物に投与する工程、
を包含する、方法。
【請求項23】
哺乳動物におけるAβペプチド関連網膜の病気についての処置の有効性を評価するための方法であって、該方法は、
Aβペプチドを染色するために、蛍光マーカーを該哺乳動物に投与する工程;
該哺乳動物の網膜を、光学的画像化システムで画像化する工程;
染色されたAβペプチドについての該画像を検査する工程;および
該哺乳動物の網膜における該染色されたAβペプチドのレベルに基づいて、該Aβペプチド関連網膜の病気についての処置の有効性を評価する工程、
を包含する、方法。
【請求項24】
前記網膜の病気は、視力喪失、白内障、緑内障、加齢性黄斑変性、アミロイド斑が該網膜中に蓄積する神経変性状態、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記光学的画像化は、インビボで行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記蛍光マーカーは、クルクミン、クルクミン誘導体、チオフラビンSおよび誘導体、チオフラビンTおよび誘導体、コンゴーレッドおよび誘導体、メトキシ−X04、Pittsburgh Compound−B(PiB)、DDNP、クリサミン−G、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記光学的画像化システムは、分光計、蛍光顕微鏡、立体顕微鏡、水銀アークランプ、可変式波長光源、キセノンアークランプ、CCD同期方式カメラ、カラーデジタルカメラ、音響光学式波長可変フィルタベースのスペクトル画像収集システム、補償光学装置、画像化ソフトウェア、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記蛍光マーカーは、クルクミンであり、投与されるクルクミンの量は、12.0g未満かつ7.5mgより多い、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−503012(P2012−503012A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528014(P2011−528014)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/057569
【国際公開番号】WO2010/033861
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(398062149)セダーズ−シナイ メディカル センター (34)
【出願人】(501094579)イーダ リサーチ アンド ディベロップメント カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】