説明

アルツハイマー病を治療するためのピペリジン及び関連化合物

式(I)


を有する化合物はγ−セクレターゼのモジュレーターであり、よってアルツハイマー病の治療において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト身体の治療に使用するための化合物に関する。具体的には、本発明は、脳におけるβ−アミロイドペプチドの沈着に関連する疾患(例えば、アルツハイマー病)を治療するためにまたは前記疾患に関連する認知症の発症を予防または遅らすために有用なカルボキシ官能性1,2−ジ置換ピペリジン及び関連化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は認知症の最も流行している形態である。ADの診断は、米国精神医学会が発表しているDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,第4版(DSM−IV)に記載されている。ADは、臨床的には記憶及び一般的な認知機能の段階的喪失を特徴とし、病理学的には患者の皮質及び連合脳領域における細胞外タンパク質プラークの沈着を特徴とする神経変性障害である。前記プラークは主にβ−アミロイドペプチド(Aβ)の原線維集合体からなる。Aβは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)から酵素β−セクレターゼ及びγ−セクレターゼを伴う別々の細胞内タンパク質分解事象を介して形成される。γ−セクレターゼにより媒介されるタンパク質分解の部位の変動により、鎖長の異なるAβ、例えばAβ(1−38)、Aβ(1−40)及びAβ(1−42)が生ずる。多分β−セクレターゼにより媒介されるタンパク質分解の部位が変動する結果として脳にはAβ(4−42)のようなN末端切断型も存在している。便宜上、本明細書中で使用されている「Aβ(1−40)」及び「Aβ(1−42)」のような表現には前記N末端切断変異体が含まれる。細胞外媒体に分泌させた後、AβはADにおける重要な神経毒性物質であると広く考えられている(Gongら,NAS,100(2003),10417−22参照)最初可溶性である集合体を形成し、最終的にはADの病理学的特徴である不溶性の沈着物及び高濃度の神経突起プラークが生ずる。
【0003】
脳におけるAβの沈着に関連する他の認知状態には脳アミロイド血管障害、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性大脳出血(HCHWA−D)、多発梗塞性認知症、拳闘家認知症及びダウン症候群が含まれる。
【0004】
プラーク形成過程における各種処置がADの治療として提案されてきた(例えば、Hardy and Selkoe,Science,297(2002),353−6参照)。提案されている治療方法の1つは、例えばβ−またはγ−セクレターゼを阻害することによりAβの産生をブロックまたは弱める方法である。グリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK−3)の阻害、特にGSK−3αの阻害がAβの産生をブロックし得るとも報告されている(Phielら,Nature,423(2003),435−9参照)。
【0005】
提案されている他の治療方法には、Aβの集合をブロックする化合物の投与及びAβに選択的に結合する抗体の投与が含まれる。
【0006】
提案されている他の治療では、Aβ(1−42)の産生を選択的に弱めるようにγ−セクレターゼの作用を調節する。こうすると、自己集合し、プラークが形成する傾向が少ないと考えられており、よって脳からより容易に取り除かれ及び/または神経毒性がより低いAβのより短い鎖のイソ型が優先的に分泌される。この効果を示す化合物には特定の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)及びそのアナログが含まれる(WO 01/78721;US 2002/0128319;Weggenら,Nature,414(2001),212−16;Moriharaら,J.Neurochem.,83(2002),1009−12;及びTakahashiら,J.Biol.Chem.,278(2003),18644−70参照)。PPARα及び/またはPPARδの活性を調節する化合物がAβ(1−42)を低下させる作用を有するとも報告されている(WO 02/100836)。一酸化窒素を放出し得るNSAID誘導体は改善された抗神経炎症効果を示し及び/または動物モデルにおいて脳内Aβ沈着を減少させるとも報告されている(WO 02/092072;Jantzenら,J.Neuroscience,22(2002),226−54)。US 2002/0015941は、容量性カルシウム流入活性を増強させる物質がAβ(1−42)を低下させ得ると教示している。
【発明の開示】
【0007】
今回、特定のカルボキシ官能性1,2−ジ置換ピペリジン及び関連化合物が高度の効力及び/または選択性でAβ(1−42)の産生を選択的に阻害する望ましい特性を有していることが知見された。
【0008】
本発明によれば、式I:
【0009】
【化4】

[式中、
pは0または1であり;
qは0、1、2または3であり;
Vは結合を表しまたは残りの原子価がH、RまたはX−Zへのまたはその組合せへの結合により満足している炭素原子を表し;
Wは窒素原子を表しまたは残りの原子価がH、RまたはX−Zへのまたはその組合せへの結合により満足している炭素原子を表し、ただしWが窒素原子を表すときVは炭素原子を表し、部分X−ZはWに結合しており;
Xは結合、C(RまたはCHC(Rを表し、ただしWがNを表すときにはXは結合を表さず;
Yは結合、CHまたはCHCHを表し;
ZはCOHまたはテトラゾール環を表し;
各Rは独立してHまたは最高6個の炭素原子を有する非芳香族炭化水素基を表し;或いは2個のRがC3−6脂環式基を完成し;
は最高6個の炭素原子を有する非芳香族炭化水素を表し;
及びRは各々Hを表し、或いはV及びWの各々が炭素原子を表すときにはR及びRは一緒になってCHCH架橋を表し得;
各Rは独立してハロゲン、0〜3個のフッ素置換基を有するC1−6アルキル、0〜3個のフッ素置換基を有するC1−6アルコキシ、C2−6アルケニルまたはSi(C1−4アルキル)を表し;
及びRは独立して、各々が最高10個の炭素原子を含有し、場合によりペルフルオロC1−4アルキル、C3−6脂環式、ヒドロキシC3−6脂環式、OH、C1−4アルコキシ、フェニルまたはベンジルオキシ(前記したC1−4アルコキシ、フェニル及びベンジルオキシ置換基はそれ自体0〜3個のハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ及びペルフルオロC1−4アルキルから選択される置換基を有している。)から選択される置換基を有する直鎖状または分岐状炭化水素基を表す。]
を有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩もしくは水和物が提供される。
【0010】
特定の実施態様において、各Rは独立してハロゲン、0〜3個のフッ素置換基を有するC1−6アルキル、0〜3個のフッ素置換基を有するC1−6アルコキシまたはC2−6アルケニルを表し、他のすべての可変要素は既に定義されている通りである。
【0011】
可変要素が式I中に2回以上現れる場合、特定の場合にその可変要素により表される身元は他の場合の身元とは独立している。
【0012】
本明細書中で使用されている表現「炭化水素基」は、炭素原子及び水素原子のみから構成される基を指す。別段の記載がない限り、この基は、単独でまたは指定する最大炭素原子数に矛盾しない組合せで直鎖状、分岐状または環状構造からなり得、飽和でも不飽和でもよい。
【0013】
本明細書中で使用されている表現「C1−xアルキル(ここで、xは1以上の整数である。)」は、構成炭素原子数が1〜xの範囲である直鎖状及び分岐状アルキル基を指す。具体的アルキル基はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル及びt−ブチルである。「C2−6アルケニル」、「ヒドロキシC1−6アルキル」、「ヘテロアリールC1−6アルキル」、「C2−6アルキニル」及び「C1−6アルコキシ」のような誘導表現も同様に解釈される。
【0014】
表現「ペルフルオロC1−4アルキル」は、すべての水素原子がフッ素原子で置換されている最高4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基を指す。
【0015】
表現「C3−6脂環式」は3〜6個の環炭素原子を含有する環状非芳香族炭化水素基を指す。例にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンテニル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが含まれる。
【0016】
本明細書中で使用されている用語「ハロゲン」にはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれ、この中で別段の記載がない限りフッ素及び塩素が好ましい。
【0017】
薬剤中に使用するためには、式Iを有する化合物は医薬的に許容され得る塩の形態であり得る。しかしながら、他の塩も式Iを有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩の製造において有用であり得る。本発明化合物の適当な医薬的に許容され得る塩には、例えば本発明化合物を医薬的に許容され得る酸(例えば、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸またはリン酸)の溶液と混合することにより形成され得る酸付加塩が含まれる。或いは、医薬的に許容され得る塩はカルボン酸基を適当な塩基で中和することにより形成され得る。こうして形成される医薬的に許容され得る塩の例にはアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩);アンモニウム塩;アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩);及び適当な有機塩基を用いて形成される塩、例えば(ピリジニウム塩を含めた)アミン塩及び第4級アンモニウム塩が含まれる。
【0018】
式Iに包含される光学異性体及び幾何異性体のすべての異性体が単独でまたは任意の比率の混合物として本発明の範囲に入ると理解される。よって、部分
【0019】
【化5】

は、V−Wにより完成される環に対してシス−またはトランス−立体配置をとり得る。更に、シス−またはトランス−立体配置の所与の化合物は2つのエナンチオマーの形態を有し、いずれもが単一のホモキラル化合物または任意の比率のラセミ混合物にかかわらず本発明の範囲内である。疑いがかけられないように、本明細書中で使用されている(A)及び(B)のような構造式は、他の方法で明記されていない限り星印をつけた炭素原子の相対配置の明示であって、その絶対配置でないと解釈される。
【0020】
【化6】

【0021】
式I中、Vは結合または炭素原子を表し、Wは窒素原子または炭素原子を表し、ただしWが窒素原子を表すときにはVは結合ではあり得ず、部分X−ZはWに結合していなければならない。従って、式Iは、V及びWの身元に応じてピロリジン誘導体、ピペリジン誘導体及びピペラジン誘導体を包含する。好ましい実施態様では、Vは炭素原子を表し、よってピペリジン環またはピペラジン環を完成させる。最も好ましくは、V及びWは共に炭素原子を表し、よってピペリジン環を完成させる。V及びWの一方または両方が炭素原子を表すとき、前記炭素原子の残りの原始価はH、RまたはX−Z、或いはその組合せに結合することにより満足する。
【0022】
部分X−ZはV及びWで表される環位置を含めた利用可能な環位置で結合され得るが、Wが窒素原子を表すときにはX−ZはWに結合していなければならない。好ましくは、X−Zは部分−CHRに結合している窒素原子に隣接するいずれかの位置にも結合しない。よって、好ましいピペリジン環の場合、X−Zは典型的には3、4または5位、好ましくは3または4位、最も好ましくは4位に結合している。疑いをかけられないように、ピペリジン環の窒素原子は1位を占め、Y及びRに結合している炭素原子は2位を占めている。
【0023】
ZはCOHまたはテトラゾール環を表し、特にZはCOHまたは1,2,3,4−テトラゾル−5−イルを表すが、COHを表すことが好ましい。
【0024】
基Xは結合、C(RまたはCHC(Rを表し、ここで各Rは独立してHまたは最高6個の炭素原子を有する非芳香族炭化水素基を表す、または2個のR基がC3−6脂環式基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンテニルまたはシクロペンチル)を完成させる。1つの実施態様では、一方のR基がHであり、他方はHまたはC1−6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピルまたはブチル)である。別の実施態様では、両方のR基がメチルを表すか、または一緒になって脂環式基を完成させる。Xに関する具体的身元には結合、CH、CH(CH)、C(CH、CHCH、シクロペンタン−1,1−ジイル及びシクロペンタ−3−エン−1,1−ジイルが含まれ、ただしWが窒素原子を表すときにはXは結合であり得ない。好ましくは、Xは結合またはCHを表し、最も好ましくはXはCHを表す。
【0025】
Yは結合、CHまたはCHCHを表し、好ましくは結合またはCHを表し、最も好ましくは結合を表す。
【0026】
基R(存在する場合)は、V及びWで表される炭素原子及び部分X−Zが結合している炭素原子を含めた環上の利用可能な位置で結合され得る。1つの特定実施態様では、pは0であり、Rは存在しない。別の特定実施態様では、pは1であり、V及びWはピペリジン環を完成させ、R及び部分X−Zは両方ともその4位で結合している。別の特定実施態様では、pは1であり、V及びWはピペリジン環を完成させ、Rは3位で結合しており、部分X−Zは4位で結合している。別の特定実施態様では、pは1であり、RはHであり、V及びWはピペリジン環を完成させ、Rは6位で結合しており、部分X−Zは4位で結合している。Rに関する典型的な身元にはC1−6アルキル(例えば、メチル、エチルまたはn−プロピル)及びC2−6アルケニル(例えば、アリル)が含まれる。
【0027】
及びRは各々Hを表す、またV及びWが各々炭素原子を表すときにはR及びRは一緒になって−CHCH−を表して、架橋二環式構造を完成させ得る。R及びRが一緒になって−CHCH−を表すとき、pは好ましくは0であり、Yは好ましくは結合である。特定実施態様では、R及びRは共にHを表す。
【0028】
式I中、qは好ましくは1または2であり、最も好ましくは1である。各Rは独立してハロゲン(特に、F)、0〜3個のフッ素置換基を有するC1−6アルキル、0〜3個のフッ素置換基を有するC1−6アルコキシ、C2−6アルケニルまたはSi(C1−4アルキル)を表す。1個のRが存在するときには4位に結合していることが非常に適しているが、必須ではない。(Rに関する典型的な身元には2−CF、3−CF、4−CF、2,4−ジ(CF)、2−F−4−CF、4−OCF、4−アリル、4−n−プロピル、4−イソプロピル及び4−tert−ブチルが含まれる。1つの実施態様では、(Rは4−CFまたは4−n−プロピル、特に4−CFを表す。更なる実施態様では、(Rは4−SiMeを表す。
【0029】
及びRは独立して、最高10個の炭素原子を含有し、場合により上に定義した置換基を有する直鎖状または分岐状(すなわち、非環状)炭化水素基を表す。前記炭化水素基は完全に飽和であっても、1つ以上の二重結合、三重結合またはその組合せを含んでいてもよい。よって、1つの実施態様では、R及びRは独立してC1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル及びC2−10アルケニルアルキニル基から選択され、これらは場合により上に定義した置換基を有する。典型的には、R及びRで表される炭化水素基は最高を8個の炭素原子(例えば、最高6個の炭素原子)を含有している。しかしながら、R及びRのいずれもが置換基を有していないならば、R及びRで表される炭化水素基の少なくとも1つが4個以上の炭素原子を含むことが好ましい。
【0030】
及び/またはRで表される未置換炭化水素基の例にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、3−メチルブチル、2−エチルブチル、4−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、3−メチル−1−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテン−1−イニル、4−メチル−1−ペンチニル及び3,3−ジメチル−1−ブチニルが含まれる。
【0031】
特定の実施態様において、R及びRの一方または両方がペルフルオロC1−4アルキル(例えば、CFまたはC)、C3−6脂環式(例えば、シクロプロピル、シクロヘキシルまたはシクロヘキセニル)、ヒドロキシC3−6脂環式(例えば、1−ヒドロキシシクロペンチルまたは1−ヒドロキシシクロヘキシル)、OH、C1−4アルコキシ(例えば、メトキシまたはイソプロポキシ)、フェニルまたはベンジルオキシから選択される置換基を有しており、前記したC1−4アルコキシ、フェニル及びベンジルオキシ置換基はそれ自体場合により最高3個のハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ及びペルフルオロC1−4アルキル(例えば、ジフルオロメトキシ、3−フルオロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、3−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、3−(トリフルオロメチル)フェニル及び4−(トリフルオロメチル)フェニル)から選択される置換基を有している。RまたはRが置換基を有している場合、その炭素原子の全数(すなわち、置換基の炭素原子数を含む)は典型的には14以下、好ましくは12以下である。
【0032】
及び/またはRで表される置換炭化水素基の例には2,2,2−トリフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、2−フェニルエチル、3−メトキシプロパ−1−イニル、シクロヘキシルエチニル、1−メチル−3,3,3−トリフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、ヒドロキシメチル、イソプロポキシメチル、ジフルオロメトキシメチル、4−ベンジルオキシ−3−メチル−1−ブチニル、4−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチニル、4−ベンジルオキシ−3−メチルブチル、4−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−シクロプロピルエチル、2−シクロヘキシルエチル、2−(シクロヘキセン−1−イル)エチル、2−(1−ヒドロキシシクロペンチル)エチル、2−(1−ヒドロキシシクロヘキシル)エチル、2−(3−フルオロフェニル)エチル、2−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル、2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル、2−(3−メチルフェニル)エチル、2−(4−t−ブチルフェニル)エチル、2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル及び2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチルが含まれる。
【0033】
本発明化合物の第1の部分集合は、式II
【0034】
【化7】

(式中、p、R、R、R及びRは上記と同じ定義及び好ましい身元を有する。)
を有する化合物並びにその医薬的に許容され得る塩及び水和物から構成される。
【0035】
この部分集合の特定の実施態様において、pは0であり、Yは結合である。
【0036】
本発明化合物の第2の部分集合は、式III
【0037】
【化8】

(式中、p、R、Y、R、R及びRは上記と同じ定義及び好ましい身元を有する。)
を有する化合物並びにその医薬的に許容され得る塩及び水和物から構成される。
【0038】
この部分集合の範囲内で、Yは好ましくは結合であり、pは好ましくは0である。
【0039】
本発明化合物の第3の部分集合は、式IV
【0040】
【化9】

(式中、RはH、ハロゲンまたはCFを表し、R及びRは上記と同じ定義及び好ましい身元を有する。)
を有する化合物並びにその医薬的に許容され得る塩及び水和物から構成される。
【0041】
ピペリジン環の2位に結合している置換フェニル基及び4位に結合しているCHCOH基がピペリジン環に対してシス立体配置にあることが有利であり、ただし必須ではない。
【0042】
特定の実施態様において、RはHを表す。
【0043】
本発明の具体的化合物は実施例に記載されている。
【0044】
式I(式中、ZはCOHである)を有する化合物は、典型的には対応のエステル(1)
【0045】
【化10】

(式中、RはメチルまたはエチルのようなC1−6アルキルを表し、p、q、V、W、X、Y、R、R、R、R、R及びRは前記と同義である。)を加水分解することにより、例えば水性THF中でLiOHと環流させることにより得られる。
【0046】
Zが1H−テトラゾル−5−イルを表す対応の化合物は、エステル(1)を対応のニトリルに変換した後、環流トルエン中、酸化トリブチルスズの存在下でアジドトリメチルシランで処理することにより得られ得る。ニトリルへの変換は、塩化アンモニウムをトルエン中に含む懸濁液にトリメチルアルミニウムを添加した後、エステル(1)を添加し、混合物を環流させ、固体酒石酸ナトリウムカリウムで処理することにより実施され得る。
【0047】
化合物(1)は、化合物(2)
【0048】
【化11】

(式中、Lは離脱基、例えばハロゲン化物(特に、臭化物またはヨウ化物)、トシレート、メシレートまたはトリフレートであり、R、p、q、V、W、X、Y、R、R、R、R、R及びRは前記と同義である。)
をRCH−Lと反応させることにより得られ得る。通常のアルキル化条件が使用され得、例えばDMF溶液中、塩基(例えば、炭酸カリウム)の存在下で加熱する。
【0049】
或いは、化合物(2)を、アルデヒドまたはケトン官能基を含有する基RCH−の前駆体を用いて還元アルキル化を行ってもよい。この場合には、水を共沸除去しながら化合物(2)をトルエン中、酸触媒の存在下でR−CO−Rと環流させ、生じた付加物をトリアセトキシホウ水素化ナトリウムを用いて還元し得る。Rがアルキン−1−イル基であるときに有用なこのルートの変形例では、化合物(2)を臭化金(III)の存在下で、例えば水中で70℃でマイクロ波加熱しながらR−CHO及びR−Hと反応させる。
【0050】
別の変形例では、水を共沸除去しながら化合物(2)、R−CHO及びベンゾトリアゾールをトルエン中で還流させ、生じた付加物をR−Zn−Hal(式中、Halはハロゲン化物(好ましくは、塩化物)を表し、R及びRは前記と同義である。)と反応させる。この反応を無水非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中、低温(例えば、10℃以下)で実施するのが適当である。
【0051】
ピペリジン(2)(式中、V及びWは共に炭素原子であり、R及びRはHである。)は、対応のピリジン(3)
【0052】
【化12】

(式中、R、p、q、X、Y、R及びRは前記と同義である。)
を、例えばメタノール性HCl中PtO触媒を用いて水素化することにより得られ得る。
【0053】
ピリジン(3)(式中、Xは結合であり、Yは結合である。)は、クロロピリジン(4a)をアリールボロン酸(5a)
【0054】
【化13】

(式中、R、p、q、R及びRは前記と同義である。)
とカップリングさせることにより得られ得る。この反応は標準スズキカップリング条件下で、例えば水性ジメトキシエタン中、炭酸ナトリウム及びPd(PPhの存在下で生ずる。
【0055】
ピリジン(3)(ここにおいて、Xは結合であり、YはCHである。)は、クロロピリジン(4a)をベンジル亜鉛誘導体(5b)とカップリングさせることにより得られ得る。この反応は、THF中、ニッケル触媒(例えば、(PhP)NiCl)の存在下で0℃〜周囲温度で実施され得る。
【0056】
ピリジン(3)(ここにおいて、Xは結合であり、YはCHCHである。)は、クロロピリジン(4a)をアルキン(5c)とカップリングさせた後、水素化することにより得られ得る。このカップリングは、CuI及びPd(0)触媒(例えば、Pd(Ph)の存在下で、例えばジオキサンとトリエチルアミンの混合物中でマイクロ波加熱しながら実施され得る。この水素化は、ピリジン(3)からピペリジン(2)への変換と同様の条件で生じ、実際その方法と組み合わせることが好ましくい。
【0057】
ピリジン(3)(式中、XはCHである。)は、クロロピリジン(4b)を上記したように(5a)、(5b)または(5c)を用いて生成した後、生成物を強塩基(例えば、リチウムジイソプロピルアミド)の存在下でCO(OR)(式中、Rは前記と同義である。)で処理することにより得られ得る。或いは、クロロピリジン(4b)をCO(OR)で処理した後、(5a)、(5b)または(5c)と反応させてもよい。
【0058】
式(2)(式中、V及びWは共に炭素原子であり、R及びRはHであり、Xは結合であり、pは1であり、RはCOR基と同じ環の位置に結合している。)を有するピペリジンは、対応の化合物(ここにおいて、pは0である。)をR−L(式中、Lは前記と同義である。)を用いてアルキル化することにより得られる。この反応は、THF溶液中、強塩基(例えば、リチウムヘキサメチルジシラジド(HMDS))の存在下で実施され得る。この手順中、ピペリジン環の1位を例えばBOC誘導体として保護することが好ましい。
【0059】
エステル(1)(ここにおいて、V及びWは共に炭素原子であり、R及びRはHであり、pは0であり、XはCHであり、CHCOR基は4位に結合している。)に対する代替ルートは、ピペリドン(6)を(RO)P(O)CHCORと縮合させた後、生じたオレフィン(7)を水素化することを含む。
【0060】
【化14】

(式中、R、Y、q、R、R及びRは前記と同義である。)
この縮合はTHF中NaHの存在下で生じ、水素化はエタノール中Pd/C触媒を用いて実施され得る。式(1)(式中、Xは結合である)を有する対応のエステルは、ケトン(6)をKHMDS及びTfNPhで処理し、次いでPd(II)触媒の存在下でCO及びROHで処理した後、生じたテトラヒドロピリジン誘導体を水素化することにより得られ得る。
【0061】
ケトン(6)は、ジヒドロピリドン(8)
【0062】
【化15】

(式中、Y、q、R、R及びRは前記と同義である。)
を還元することにより得られ得る。この還元は、THF中ホウ水素化物還元剤(例えば、L−セレクトリド)を用いて−78℃で実施され得る。
【0063】
化合物(8)は、トランス−1−メトキシ−3−(トリメチルシリルオキシ)−1,3−ブタンジエンとRCH−NH及びアルデヒド(9)
【0064】
【化16】

(式中、Y、q、R、R及びRは前記と同義である。)
の縮合から形成されるイミンとのディールス・アルダー反応により得られ得る。このシクロ付加は、アセトニトリル中、In(III)トリフレートの存在下で周囲温度で実施され、その後水性炭酸水素塩を用いてクエンチされ得る。
【0065】
或いは、ピペリドン(6)は、上記イミンをトリメチル[(1−メチレンプロパ−2−エン−1−イル)オキシ]シランと(例えば、ジクロロメタン中不活性雰囲気下周囲温度で)反応させた後、フッ化テトラブチルアンモニウムを添加することにより1ポット方法で得られ得る。
【0066】
ピペリジン(2)(ここにおいて、V及びWは共に炭素原子であり、R及びRはHであり、pは0であり、XはCHであり、CHCOR基は4位に結合している。)への代替ルートは、ジヒドロピリドン(10)をジヒドロピリジン(8)について上記した方法で生成した後、(例えば、酸で処理することにより)ベンジルオキシカルボニル保護基を除去することを含む。化合物(10)は、4−メトキシピリジンをクロロギ酸ベンジル及び有機金属誘導体(11)(ここにおいて、MはLiまたはMg−ハライドであり、Y、q及びRは前記と同義である。)との1ポット反応により得られ得る。この反応は、溶媒(例えば、THF)中低温(例えば、−25℃)で生ずる。
【0067】
【化17】

(式中、Y、q及びRは前記と同義である。)
【0068】
ジヒドロピリジン(8)または(10)を含む上記したルートでは、Yは好ましくは結合である。
【0069】
ジヒドロピリジン(8)または(10)を含む上記ルートは、化合物(8)または(10)をR−L(式中、R及びLは前記と同義である)を用いてアルキル化することによりピペリジン環の3位にRを有する生成物が得られるように改変され得る。このアルキル化は慣用の条件下(例えば、THF中リチウムジイソプロピルアミドの存在下)で生ずる。
【0070】
或いは、上記ルートは、化合物(8)または(10)をCuIの存在下でR−Mg−ハライド(式中、Rは前記と同義である)を用いて処理することによりピペリジン環の6位にR基を有する生成物が得られるように改変され得る。この反応は、THF中低温(例えば、−78℃〜−10℃)で実施される。
【0071】
更なる代替において、上記ルートは、化合物(8)または(10)をL−CHCOR(式中、L及びRは前記と同義である)を用いてアルキル化した後、ケト基をCHに還元することによりCHCOR基がピペリジン環の3位に結合している生成物が得られるように改変され得る。このアルキル化は慣用の条件下で生じ、ケト基の還元は1,2−エタンジチオールで処理してジチオケタールを形成した後、ラネーニッケルで処理することにより容易に生ずる。
【0072】
式(1)(式中、V及びWは共に炭素原子であり、R及びRは共にHであり、Xは結合であり、pは0であり、CORは5位に結合している。)を有するピペリジンへの代替ルートは、ジエン(12)
【0073】
【化18】

(式中、R、Y、q、R、R及びRは前記と同義である。)
を環化した後、生じた1,2,3,6−テトラヒドロピリジン誘導体を還元することを含む。この環化はRu触媒の存在下で生じ、還元はメタノール中Mgで処理することにより生じ得る。ジエン(12)は、第2級アミン(13)を適切なブロモメタクリレートエステルを用いてアルキル化することにより得られ得、アミン(13)
【0074】
【化19】

(式中、Y、q、R、R及びRは前記と同義である。)
は、アルデヒド(9)をRCH−NHと縮合させ、生成物をアリルトリブチルスタンナンで処理することにより得られ得る。
【0075】
式(1)(式中、V及びWは共に炭素原子であり、pは0であり、R及びRは共にHであり、Xは結合であり、CORは4位に結合している。)を有するピペリジンへの別のルートは、ビスエステル(14)
【0076】
【化20】

(式中、R、Y、q、R、R及びRは前記と同義である。)
のモノ脱カルボキシル化を含む。この反応は、DMSO中で塩化ナトリウムと約160℃で加熱することにより実施され得る。その後生成物をメタノール中でナトリウムメトキシドと環流すると、4位でエピマー化が生じ、トランス異性体を失ってシス異性体が豊富になる。ビスエステル(14)は、1ポット手順でアミンRCH−NHをジケトン(15)
【0077】
【化21】

(式中、R、Y、q、R、R及びRは前記と同義である)
と反応させた後、シアノホウ水素化ナトリウムを用いて還元することにより得られ得る。第1ステップは、周囲温度まで加温しながら、ジメトキシエタン中、第3級アミン及びTiClの存在下で−78℃で実施され得る。第2ステップは、反応混合物にシアノホウ水素化ナトリウムのメタノール性溶液を室温で添加することにより実施され得る。ジケトン(15)は、適切なアリルマロネートジアルキルエステルを式(16)
【0078】
【化22】

(式中、L、R、Y、q及びRは前記と同義である。)
を有する化合物を用いてアルキル化した後、アリル基をオゾン分解することにより得られ得る。このアルキル化は、DMF中、NaHの存在下で(例えば、周囲温度で)実施され得る。このオゾン分解は、−78℃で基質のジクロロメタン溶液に富オゾン酸素を通し、硫化ジメトルを添加した後、周囲温度で一晩撹拌することにより起こり得る。
【0079】
式(2)(式中、R及びRは−CHCH−架橋を完成し、Yは結合である。)を有するピペリジンは、二環式ケトン(17)
【0080】
【化23】

(式中、q及びRは前記と同義である。)
をケトン(6)のエステル(1)への変換について上記した方法により生成した後、保護基4−メトキシベンジルを水素化により除去することにより得られ得る。
【0081】
二環式ケトン(17)は、4−メトキシベンジルアミンをアセトンジカルボン酸と反応させた後、生成物をその場でケトアルデヒド(18)
【0082】
【化24】

(式中、R及びqは前記と同義である。)
で処理することにより得られ得る。
【0083】
式(1)(式中、Vは炭素原子であり、Wは窒素原子である。)を有するピペラジンへの好ましいルートは、化合物(19)
【0084】
【化25】

をL−X’−CO
(式中、X’は結合以外のXであり、他の変数はすべて既に定義されている通りである。)
を用いてアルキル化することを含む。化合物(19)は、化合物(20)
【0085】
【化26】

から化合物(2)の化合物(1)への変換について上記した方法を用いて生成した後、(例えば、メタノール性HClで処理することにより)トリチル基を除去することにより得られ得る。化合物(20)は、化合物(5a)、(5b)または(5c)をピリジン(3)の合成について上記した方法で適切なピラジン誘導体とカップリングさせた後、(化合物(3)を化合物(2)へ変換させる場合のように)水素化し、標準方法によりトリチル化することにより得られ得る。
【0086】
式(1)(式中、Vは結合であり、pは0であり、XはCHを表す)を有するピロリジンへの好ましいルートは、
(a)アルデヒド(9)をt−ブチルスルフィンアミドと縮合させ、生じたイミンをアリルMgBrと反応させて、付加物(21a)
【0087】
【化27】

を得るステップ;
(b)(例えば、(2)から(1)への変換について上記した方法により)N−アルキル化して、化合物(21b)を得るステップ;
(c)ルテニウム触媒(例えば、Zhan I)の存在下でCH=CH−CORと反応させた後、メタノール性HClで処理して、化合物(22a)
【0088】
【化28】

を得るステップ;
(d)(例えば、環流ベンゼン中モレキュラーシーブを用いて)1−ヒドロキシメチルベンゾトリアゾールと反応させて、化合物(22b)を得るステップ;及び
(e)−78℃でTHF中でSmI及びt−ブタノールで処理することにより環化するステップ;
を含む。
【0089】
上記したルートの幾つかが式IVを有する化合物を合成するために適していることは容易に分かるであろう。よって、式IVを有する化合物のエステル前駆体への1つの好ましいルートでは、水を共沸除去しながら式(2a)を有するピペリジン、アルデヒドR−CHO及びベンゾトリアゾールをトルエン中で還流させ、生じた付加物をR−Zn−Halと反応させる。
【0090】
【化29】

(式中、Halはハライド(好ましくは、クロリド)を表し、R、R、R及びRは前記と同義である。)
この反応を無水非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中低温(例えば、10℃以下)で実施することが適当である。ピペリジン(2a)は、ピリジン(4b)を適切なボロン酸(5a)とカップリングし、更に生成物を上記したように生成することにより得られ得る。
【0091】
式IVを有する化合物への別の好ましいルートでは、式(2a)を有するピペリジン、アルデヒドR−CHO及び1−アルキンを臭化金(III)の存在下で(例えば、約70℃で)マイクロ波加熱して、式IV(式中、Rは1−アルキニルである)を有する化合物を得る。所望により、対応の化合物(ここにおいて、Rはアルキルまたはアルケニルである。)は、アルキニル誘導体を(例えば、酢酸エチル中Pd/C触媒を用いて)水素化することにより得られ得る。
【0092】
式IVを有する化合物への第3のルートでは、式(15)(Y=結合)を有する適切なジケトンを式RCH−NHを有するアミンと反応させた後、化合物(14)の製造について上記したようにシアノホウ水素化ナトリウムで処理する。その後、(上記したような)モノ脱カルボキシル化及び(下記するような)ホモログ化すると、式IVを有する化合物が得られる。
【0093】
式I(式中、Xは結合である)を有するカルボン酸は、標準のホモログ化方法により、例えば塩化オキサリル、トリメチルシリルジアゾメタン及びアセトニトリルで処理し、次いでROH及び安息香酸銀で処理し、次いで生じたエステルを加水分解することにより対応の化合物(ここにおいて、XはCHである。)に変換され得る。対応の化合物(式中、XはCHである)を同様に処理すると、化合物(式中、XはCHCHである)が得られる。式(1)(式中、XはC(RまたはCHC(Rであり、少なくとも1つのRはH以外である。)を有するエステルは、対応の化合物(ここにおいて、各RはHである。)を標準方法によりアルキル化することにより製造され得る。
【0094】
また、式Iに従う所与の化合物は、有機合成の当業者に公知の結合形成または開裂の標準技術により式Iに従う別の化合物に変換され得る。
【0095】
上記した合成スキームのための出発物質が市販されていない場合、市販されている物質を簡単に化学修飾することにより得られ得る。
【0096】
本発明のある化合物は、1個以上のキラル中心の存在または分子の全非対称のために光学異性体として存在し得る。これらの化合物はラセミ形態で製造され、または個々のエナンチオマーはエナンチオ特異的合成または分割により製造され得る。新規化合物は、例えば分取HPLCのような標準技術、または光学活性な酸(例えば、ジ−p−トルオイル−D−酒石酸及び/またはジ−p−トルオイル−L−酒石酸)と塩形成することによりジアステレオマーを形成した後分別結晶し、遊離塩基を再生することによりジアステレオマー対を形成することにより成分エナンチオマーに分割され得る。新規化合物は、ジアンステレオマーエステルまたはアミドを形成した後、クロマトグラフィー分離し、キラル助剤を除去することによっても分割され得る。或いは、式Iを有する化合物の製造におけるラセミ中間体は前記技術により分割され得、所望のエナンチオマーは後続のステップで使用され得る。例えば、ラセミピペリジン誘導体(2a)はL−マンデル酸との塩形成により分割され得る。
【0097】
上記合成シーケンス中、当該分子上の感受性または反応性基を保護することが必要であったり及び/または望ましいことがある。これは、Protective Groups in Organic Chemistry,J.F.W.McOmie編,Plenum Press,1973;及びT.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,第3版,1999に記載されているように慣用の保護基を用いてなされ得る。保護基は当業界で公知の方法を用いて都合のより後続段階で除去され得る。
【0098】
本発明化合物は、Aβの1−42イソフォームの形成を選択的に低減させるようにアミロイド前駆体タンパク質に対するγ−セクレターゼの作用を修飾するという有用な性質を有し、よってAβ(1−42)により媒介される疾患、特に脳におけるβ−アミロイドの沈着を含む疾患の治療の開発において有用である。
【0099】
従って、本発明の更なる態様によれば、脳におけるβ−アミロイドの沈着に関連する疾患の治療または予防用薬剤を製造するための上に定義した式Iを有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0100】
脳におけるAβの沈着に関連する疾患は、典型的にはアルツハイマー病(AD)、脳アミロイド血管障害、HCHWA−D、多発梗塞性認知症、拳闘家認知症またはダウン症候群、好ましくはADである。
【0101】
更なる態様で、本発明は、上に定義した式Iを有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩のアルツハイマー病、脳アミロイド血管障害、HCHWA−D、多発梗塞性認知症、拳闘家認知症またはダウン症候群に関連する認知症の発症を治療、予防または遅延するための薬剤の製造における使用を提供する。
【0102】
本発明はまた、脳におけるAβの沈着に関連する疾患の治療または予防を要する患者に対して治療有効量の上に定義した式Iを有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む前記疾患の治療または予防方法を提供する。
【0103】
更なる態様では、本発明は、アルツハイマー病、脳アミロイド血管障害、HCHWA−D、多発梗塞認知症、拳闘家認知症またはダウン症候群に関連する認知症の発症の治療、予防または遅延を要する患者に対して治療有効量の上に定義した式Iを有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む前記認知症の発症の治療、予防または遅延方法を提供する。
【0104】
式Iを有する化合物は、短鎖イソフォーム(例えば、Aβ(1−40))の産生を有意に低下させることなくAβの(1−42)イソフォームの産生を選択的に抑制するようにγ−セクレターゼの作用をモジュレートする。これにより、自己凝集し、不溶性沈着物を形成する傾向が少なく、脳から容易に取り除かれ及び/またはあまり神経毒性でないAβが分泌する。従って、本発明の更なる態様は、脳におけるAβの蓄積の遅延、停止または予防を要する被験者に対して治療有効量の上に定義した式Iを有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む脳におけるAβの蓄積を遅延、停止または予防する方法を提供する。
【0105】
式Iを有する化合物はγ−セクレターゼの活性を抑制するのではなく該活性をモジュレートするので、上記した治療効果がγ−セクレターゼによりコントロールされる他のシグナル伝達経路(例えば、Notch)の破壊から生ずるであろうような副作用のリスクを少なくして得られ得ると考えられる。
【0106】
本発明の1つの実施態様では、式Iを有する化合物をAD、脳アミロイド血管障害、HCHWA−D、多発梗塞性認知症、拳闘家認知症またはダウン症候群、好ましくはADを患っている患者に対して投与する。
【0107】
本発明の代替実施態様では、式Iを有する化合物を軽度認知障害または年齢関連認知低下を患っている患者に対して投与する。この治療の好ましいアウトカムはADの発症の予防または遅延である。年齢関連認知低下及び軽度認知障害(MCI)は、記憶障害が存在するが、認知症に関する他の診断基準が存在しない状態である(Santacruz and Swagerty,American Family Physician,63(2001),703−13)(“The ICD−10 Classification of Mental and Behavioural Disorders”,Geneva:World Health Organisation,1992,64−5も参照されたい)。本明細書中で使用されている「年齢関連認知低下」は、記憶及び学習;注意及び集中;思考;言語;並びに視空間機能及び標準神経心理学的検査(例えば、MMSE)の基準以下1以上の標準偏差のスコア;の少なくとも1つの低下を少なくとも6ヶ月間伴う。特に、記憶の段階的低下が見られ得る。MCIのより重症な状態では、記憶障害の程度は患者の年齢に応じて正常であると考えられている範囲外であるが、ADは存在していない。MCI及び軽度ADの差別的診断はPetersenら,Arch.Neurol.,56(1999),303−8に記載されている。MCIの別の診断に関する更なる情報はKnopmanら,Mayo Clinic Proceedings,78(2003),1290−1308により提供される。高齢被験者の研究で、Tuokkoら(Arch.Neurol.,60(2003),577−82)は、発症時にMCIを呈している被験者では5年以内に認知症になるリスクが3倍高いことを知見した。
【0108】
Grundmanら(J.Mol.Neurosci.,19(2002),23−28)は、MCI患者での低い基線海馬容量がその後のADの予後指標であると報告している。また、Andreasenら(Acta Neurol.Scand.,107(2003),47−51)は、全タウの高いCSFレベル、ホスホタウの高いCSFレベル及びAβ42の低いCSFレベルがすべてMCIからADへの進行の高いリスクに関連していると報告している。
【0109】
この実施態様の範囲内で、式Iを有する化合物を記憶機能障害を有しているが認知症の症状を呈していない患者に対して投与することが有利である。記憶機能障害は、典型的には全身または脳疾患(例えば、卒中または下垂体機能不全により生ずる代謝障害)に帰因していない。前記患者は具体的には55才以上、特に60才以上、好ましくは65才以上の特定の人である。前記患者は年齢に応じた正常な成長ホルモン分泌パターン及びレベルを有している。しかしながら、前記患者はアルツハイマー病を発症する追加リスク因子を1つ以上有している恐れがある。前記因子には病気の家族歴、病気に対する遺伝的素因、高い血清コレステロール及び成人型糖尿病が含まれる。
【0110】
本発明の特定実施態様では、式Iを有する化合物を更に病気の家族歴、病気に対する遺伝的素因、高い血清コレステロール、成人型糖尿病、高い基線海馬容量、全タウの高いCSFレベル、ホスホタウの高いCSFレベル及びAβ(1−42)の低いCSFレベルから選択されるADを発症するリスク因子を1つ以上有している年齢関連認知低下またはMCIを患っている患者に対して投与する。
【0111】
遺伝的素因(特に、早期発症ADに対する)は、多数の遺伝子の1つ以上、例えばAPP遺伝子、プレセニリン−1遺伝子及びプレセニリン−2遺伝子での点突然変異から生じ得る。また、アポリポタンパク質E遺伝子のε4イソフォームに対してホモ接合性である被験者ではADを発症するリスクがより高い。
【0112】
認知低下の遅れまたは停止のような変化が検出され得るように患者の認知低下または障害の程度を本発明による治療の前、その間及び/またはその後に定期的に評価することが有利である。この目的のために、各種の神経心理学的検査、例えば年齢及び教育に応じて調節した基準を有するミニメンタルステート検査(MMSE)(Folsteinら,J.Psych.Res.,2(1975),196−198;Anthonyら,Psychological Med.,12(1982),397−408;Cockrellら,Psychopharmacology,24(1988),689−692;Crumら,J.Am.Med.Assoc’n.,18(1993),2386−2391)が当業界で公知である。MMSEは成人の認知状態の簡単な定量的尺度である。MMSEは、認知低下または障害をスクリーニングするため、所与の時点での認知低下または障害の重症度を推定するため、個人の認知変化の経過を経時的に追跡するため、及び治療に対する個人の応答を文書で証明するために使用され得る。別の適当な検査は、アルツハイマー病評価尺度(ADAS)、特にその認知エレメント(ADAS−cog)(Rosenら,Am.J.Psychiatry,141(1984),1356−64参照)である。
【0113】
式Iを有する化合物は、典型的には1つ以上の式Iを有する化合物及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物の形態で使用される。従って、本発明の更なる態様において、上に定義した式Iを有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物が提供される。好ましくは、前記組成物は経口、非経口、鼻腔内、舌下または直腸内投与のためにまたは吸入または通気による投与のために、単位投与形態、例えば錠剤、ピル剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、滅菌非経口溶液または懸濁液剤、定量エアゾールまたは液体スプレー剤、滴剤、アンプル剤、経皮パッチ剤、自動注入器デバイスまたは座剤である。典型的には、主要活性成分を医薬用担体、例えば慣用の錠剤化成分(例えば、トウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸ジカルシウムまたはガム)、分散剤、懸濁剤または界面活性剤(例えば、ソルビタンモノオレエート及びポリエチレングリコール)、及び他の医薬用希釈剤(例えば、水)と混合して、本発明化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含有する均質な予備処方組成物を形成する。予備処方組成物が均質と言及されているときには、組成物が等しく有効な単位投与形態(例えば、錠剤、ピル剤及びカプセル剤)に容易に細分割され得るように活性成分が組成物中に等しく分散されていることを意味する。次いで、この予備処方組成物を0.1〜約500mgの本発明の活性成分を含有する上記したタイプの単位投与形態に細分割する。典型的な単位投与形態は1〜100mg(例えば、1、2、5、10、25、50または100mg)の活性成分を含有している。長時間作用という作用効果を与える投与形態を与えるために組成物の錠剤またはピル剤にコーティングを被せても、または他の方法でコンパウンディングしてもよい。例えば、錠剤またはピル剤は内部投与成分及びその上のエンベロープの形態である外部投与成分からなり得る。これら2つの成分を胃での分解を阻止し、内部成分が無傷のまま十二指腸まで到達するかまたは放出を遅らすよう働く腸溶層により分離してもよい。前記腸溶層またはコーティングのために各種材料が使用され得、その材料には多数の高分子酸及び高分子酸とシェラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような材料との混合物が含まれる。
【0114】
本発明において有用な組成物が経口的または注射による投与のために配合され得る液体形態には、食用油(例えば、綿実油、ゴマ油、ヤシ油または落花生油)、エリキシル及び類似の医薬用ビヒクルを含む水性溶液剤、液体またはゲル充填カプセル剤、適当に着香させたシロップ剤、水性または油性懸濁液剤、及び着香させたエマルション剤が含まれる。水性懸濁液剤用に適した分散または懸濁剤には合成及び天然ガム、例えばトラガカント、アカシア、アルギネート、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)またはゼラチンが含まれる。
【0115】
アルツハイマー病を治療または予防するために適当な用量レベルは約0.01〜250mg/kg/日、好ましくは約0.01〜100mg/kg/日、より好ましくは約0.05〜50mg/kg体重/日の活性化合物である。化合物を1〜4回/日のレジメンで投与してもよい。しかしながら、幾つかの場合には上記した範囲を外れる用量を使用してもよい。
【0116】
場合により、式Iを有する化合物をADまたはその症状の治療または予防において有用であることが知られている1つ以上の追加化合物と一緒に投与してもよい。これらの追加化合物には認知増強薬、例えばアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例:ドネペジル及びガランタミン)、NMDAアンタゴニスト(例:メマンティン)またはPDE4阻害剤(例:Ariflo(商標)、並びにWO 03/018579、WO 01/46151、WO 02/074726及びWO 02/098878に開示されている化合物類)が含まれる。前記追加化合物にはコレステロール低下薬、例えばスタチン類(例:シンバスタチン)も含まれる。また、前記追加化合物には、脳におけるAβの産生またはプロセシングを修飾することが知られている化合物(“アミロイドモディファイヤー”)、例えばAβの分泌を阻害する化合物(例えば、γ−セクレターゼ阻害剤、β−セクレターゼ阻害剤及びGSK−3α阻害剤を含む)、Aβの凝集を阻害する化合物及びAβに選択的に結合する抗体が含まれる。前記追加化合物には、WO 2004/110443に開示されている成長ホルモン分泌促進物質も含まれる。
【0117】
本発明のこの実施態様では、アミロイドモディファイヤーはAβの分泌を阻害する化合物、例えばγ−セクレターゼ阻害剤(例えば、WO 01/90084、WO 02/30912、WO 01/70677、WO 03/013506、WO 02/36555、WO 03/093252、WO 03/093264、WO 03/093251、WO 03/093253、WO 2004/039800、WO 2004/039370、WO 2005/030731、WO 2005/014553、WO 2004/089911、WO 02/081435、WO 02/081433、WO 03/018543、WO 2004/031137、WO 2004/031139、WO 2004/031138、WO 2004/101538、WO 2004/101539及びWO 02/47671に開示されているもの);β−セクレターゼ阻害剤(例えば、WO 03/037325、WO 03/030886、WO 03/006013、WO 03/006021、WO 03/006423、WO 03/006453、WO 02/002122、WO 01/70672、WO 02/02505、WO 02/02506、WO 02/02512、WO 02/02520、WO 02/098849及びWO 02/100820に開示されているもの);またはWO 98/28268、WO 02/47671、WO 99/67221、WO 01/34639、WO 01/34571、WO 00/07995、WO 00/38618、WO 01/92235、WO 01/77086、WO 01/74784、WO 01/74796、WO 01/74783、WO 01/60826、WO 01/19797、WO 01/27108、WO 01/27091、WO 00/50391、WO 02/057252、US 2002/0025955及びUS2002/0022621に開示されているもの及びPhielら,Nature,423(2003),435−9に開示されているGSK−3阻害剤、特にGSK−3α阻害剤(例:リチウム)を含めたAβの形成または放出を阻害する他の化合物であり得る。
【0118】
或いは、アミロイドモディファイヤーは、Aβの凝集を阻害するかまたは他の方法で神経毒性を弱める化合物であり得る。適当な例には、クリオキノール(Gouras and Beal,Neuron,30(2001),641−2)のようなキレート化剤及びWO 99/16741に開示されている化合物、特にDP−109(Kalendarevら,J.Pharm.Biomed.Anal.,24(2001),967−75)として公知のものが含まれる。本発明で使用するのに適している他のAβ凝集阻害剤には、Apan(商標)(Praecis)として公知の化合物を含めたWO 96/28471、WO 98/08868及びWO 00/052048に開示されている化合物;WO 00/064420、WO 03/017994、WO 99/59571及びAlzhemed(商標)(Neurochem)として公知の化合物;WO 00/149281、並びにPTI−777及びPTI−00703(ProteoTech)として公知の組成物;WO 96/39834、WO 01/83425、WO 01/55093、WO 00/76988、WO 00/76987、WO 00/76969、WO 00/76489、WO 97/26919、WO 97/16194及びWO 97/16191が含まれる。更なる例には、US 4,847,082に開示されているフィチン酸誘導体及びUS 2004/0204387に教示されているイノシトール誘導体が含まれる。
【0119】
或いは、アミロイドモディファイヤーはAβに選択的に結合する抗体であり得る。前記抗体はポリクローナルでもモノクローナルでもよいが、好ましくはモノクローナルであり、好ましくはヒトまたはヒト化である。WO 03/016466、WO 03/016467、WO 03/015691及びWO 01/62801に開示されているように抗体が生物流体から可溶性Aβを隔離し得ることが好ましい。適当な抗体には(WO 01/62801に記載されている)ヒト化抗体266及びWO 03/016466に記載されているその修飾体が含まれる。
【0120】
本明細書中で使用されている表現「と一緒に」は、治療有効量の式Iを有する化合物及び治療有効量の追加化合物を被験者に対して投与することを必要とするが、これを達成する方法に制限は加えられない。よって、2つの化合物を被験者に対して同時投与するために1つの投与形態に組み合わせてもよく、または被験者に対して同時または逐次投与するために別々の投与形態で提供してもよい。逐次投与は時間的に近くても離れていてもよく、例えば1つの化合物を朝に投与し、他の化合物を夜に投与してもよい。それぞれの化合物を同じ頻度で、または異なる頻度で投与してもよい。例えば1つの化合物を1日1回、他の化合物を1日2回以上投与してもよい。それぞれの化合物を同じルートでまたは異なるルートで投与してもよい。例えば1つの化合物を経口投与し、他の化合物を非経口投与してもよいが、可能ならば両化合物を経口投与することが好ましい。追加化合物が抗体の場合、典型的には該抗体を非経口的に、式Iを有する化合物とは別に投与する。
【0121】
実施例
式Iを有する化合物のAβ(1−42)の産生を選択的に阻害する能力を以下のアッセイを用いて調べた。
【0122】
細胞ベースのγ−セクレターゼアッセイ
直接γ−セクレターゼ基質SPA4CTを過剰発現するヒトSH−SY5Y神経芽腫細胞を酪酸ナトリウム(10mM)を用いて4時間誘導した後、平板培養した。細胞を96ウェルプレートにおいてフェノールレッド非含有MEM/10% FBS、50mM HEPES、1% グルタミン中35,000細胞/ウェル/100μlで平板培養し、37℃、5% COで2時間インキュベートした。
【0123】
試験用化合物をMeSOで希釈して、10点用量−応答曲線を作成した。典型的には、MeSO中の上記希釈化合物10μlを更に182μlの希釈緩衝液(フェノールレッド非含有MEM/10% FBS、50mM HEPES、1% グルタミン)で希釈し、10μlの各希釈物を96ウェルプレート中の細胞に添加した(0.5%の最終MeSO濃度を与える)。アッセイのウィンドウを決定するために適切なビヒクル及び阻害剤対照を使用した。
【0124】
37℃、5% COで一晩インキュベートした後、それぞれAβ(40)ペプチド及びAβ(42)ペプチドを検出するために10μl及び50μlの培地を新鮮なCostar丸底96ウェルプレートに移した。40μlのOrigen緩衝液(PBS、2% BSA、0.2% Tween−20)をAβ(40)ウェルに添加した後、ウェルに25μlの各抗体プレミックスを添加した:
Aβ(40)プレミックス:Origen緩衝液で希釈した1μg/mlのルテニル化G2−10抗体、4μg/mlのビオチニル化4G8抗体;
Aβ(42)プレミックス:Origen緩衝液で希釈した0.5μg/mlのルテニル化G2−11抗体、4μg/mlのビオチニル化4G8抗体。
(ビオチニル化4G8抗体はSignet Pathology Ltdより供給された。G2−10及びG2−11抗体はChemiconより供給された。)
【0125】
アッセイプレートを振とう装置を用いて4℃で一晩インキュベートした後、Origen M8 Analyser(Igen Inc.)を製造業者の指示に従って校正した。アッセイプレートに25μlのストレプトアビジン磁気ビーズ(Dynal)プレミックス(Origen緩衝液中400μg/ml−ストレプトアビジンビーズ/ml)を添加し、振とう装置を用いて15分間インキュベートした。各ウェルに150μlのOrigen緩衝液を添加し、プレートをOrigen M8 Analyserを用いて製造業者の指示に従って読みとった。
【0126】
細胞の生存度を、Aβアッセイ用培地を除去した後の対応の細胞でMTS(Owenの試薬)のホルマザンへのバイオ還元を用いる比色細胞増殖アッセイ(CellTiter 96(商標)AQアッセイ,Promega)により製造業者の指示に従って調べた。簡単に説明すると、残りの50μlの培地に5μlの10×MTS/PESを添加した後、インキュベーターに戻した。〜4時間後、光学密度を495nmで測定した。
【0127】
Aβ(40)及びAβ(42)の阻害についてのLD50値及びIC50値は、適切なソフトウェア(例えば、Excel fit)を用いて非線形回帰フィット分析により計算した。全信号及びバックグラウンドを対応のMeSO及び阻害剤対照により規定した。
【0128】
以下の実施例にリストした化合物はすべてAβ(1−42)阻害について、Aβ(1−40)阻害についての対応のIC50値よりも少なくとも2倍低い、典型的には少なくも5倍低い、好ましい例では少なくとも50倍低いIC50値を与えた。
【0129】
中間体1
(±)−{2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル塩酸塩
【0130】
【化30】

【0131】
ステップ1:4−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジン
【0132】
【化31】

【0133】
2−クロロ−4−メチルピリジン(1.9ml,21.6ミリモル)及び4−(トリフルオロメチル)ベンゼンボロン酸(5.0g,26ミリモル)をDME(40ml)及び水性NaCO(2M,40ml)中に含む混合物を脱ガスした(Firestone(登録商標)valve×3)。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.15g,1.0ミリモル,5モル%)を添加し、更に脱ガスした(Firestone(登録商標)valve×3)後、混合物を16時間還流加熱した。反応物を室温まで冷却し、HO(100ml)及びEtOAc(150ml)で希釈した。混合物をセライト(登録商標)パッドを介して濾過し、EtOAcで洗浄した。相を分離し、水性層をEtOAc(200ml)で抽出した。合わせた抽出物をHO(100ml)及びブライン(×l)で洗浄した後、乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣を10% EtOAc/イソヘキサンを溶離液とするシリカクロマトグラフィーにより精製して、エステル(3.5g,68%)を白色固体として得た。H NMR(360MHz,CDCl):δ 2.44(3H,s),7.13(2H,d,J 5.0),7.58(1H,s),7.72(2H,d,J 8.2),8.09(2H,d,J 8.2),8.57(1H,d,J 5.0)。
【0134】
ステップ2:{2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジン−4−イル}酢酸メチル
【0135】
【化32】

【0136】
4−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジン(10.5g,44ミリモル)を乾燥THF(300ml)中に含む溶液をN下で攪拌し、ここにLDAの溶液(THF/ヘプタン/エチルベンゼン中2M,44ml,88ミリモル)を内部温度が<−70℃に保たれるように1滴ずつ添加した。この温度で1時間後、炭酸ジメチル(8.9ml,106ミリモル)を添加した。30分後、冷却浴を外した。内部温度が−20℃に達したら、反応物を−10℃の冷却浴に移した後、ゆっくり0℃に加温した。0℃で1時間後、反応物を水性NHCl(半飽和,100ml)でクエンチした。反応混合物を真空中で濃縮した。残渣をHO(200ml)で希釈し、EtOAc(2×200ml)で抽出した。合わせた抽出物をブライン(×1)で洗浄した後、乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣を10〜30% EtOAc/イソヘキサンを溶離液とするシリカクロマトグラフィーにより精製して、エステル(9.2g,71%)を淡黄色液体として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 3.72(2H,s),3.75(3H,s),7.24(1H,dd,J 1.4,5.0),7.72(3H,t,J 8.4),8.11(2H,d,J 8.2),8.68(1H,d,J 5.0)。
【0137】
ステップ3:(±)−{2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル塩酸塩
{2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジン−4−イル}酢酸メチル(6.2g,21ミリモル)、PtO(200mg,0.9ミリモル)及びHCl溶液(ジオキサン中4N,5.8ml,23ミリモル)をMeOH(100ml)中に含む混合物をパール(登録商標)装置において20psiで5時間水素化した。触媒を濾過により除去し、濾液を真空中で蒸発させて、所望のピペリジンを白色固体(7.1g,定量)として得た。H NMR(400MHz,CDOD):δ 1.58−1.72(1H,m),1.75−1.85(1H,m),2.08(1H,d,J 14.2),2.19(1H,t,J 14.2),2.28−2.38(1H,m),2.45(2H,d,J 6.9),3.24−3.32(1H,m),3.51−3.57(1H,m),3.67(3H,s),4.46(1H,d,J 10.2),7.72(2H,d,J 8.3),7.79(2H,d,J 8.4)。
【0138】
遊離塩基をNaHCO(水性)で処理し、DCMに抽出することにより得た。有機抽出物を乾燥し、濾過し、蒸発させた。
【0139】
中間体1(a)〜1(e)
以下の化合物を、中間体1と同一の手順によりステップ1において適切なアリールボロン酸を用いて製造した。
【0140】
【表1】

【0141】
中間体2
(+)−{(2S,4R)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル
【0142】
【化33】

【0143】
(±)−シス−4−(トリフルオロメチル)フェニルピペリジン−4−イル)酢酸メチル(中間体1[遊離塩基],32.6g,0.108モル)を熱イソプロパノール(100ml)中に溶解し、この溶液をL−(+)−マンデル酸(9g,0.054モル)を熱イソプロパノール(170ml)中に含む溶液に添加し、生じた溶液を室温で一晩放置した。白色結晶性固体(17.55g,36%)を沈降させ、濾過した。母液を蒸発させ、残渣を炭酸ナトリウム(2M,100ml)で中和し、ジクロロメタン(3×100ml)で抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させた。この抽出物を熱イソプロパノール(100ml)中に溶解し、D−(−)−マンデル酸(9g,0.054モル)を熱イソプロパノール(170ml)中に含む溶液に添加した。直ちに結晶化が生じた。混合物を2時間放置した。白色結晶性固体を濾過により単離し(21g,44%)、酢酸イソプロピル(250ml)から再結晶して、生成物(19.8g,40%)を白色結晶性物質としてee>99.5%で得た。この物質を炭酸ナトリウム(2M,100ml)で中和し、ジクロロメタン(3×100ml)で抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させて、遊離塩基を得た。α(c=1,MeOH)=+23°;H NMR(360MHz,CDCl):δ 1.23(6H,d,J 6.9),2.88(1H,qn,J 6.9),4.27(2H,s),7.15−7.21(4H,m),7.71(2H,d,J 8.2),8.10(2H,d,J 8.2)。
【0144】
中間体3
(±)−{(2R,3S)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸メチル
【0145】
【化34】

【0146】
ステップ1:(±)−4−オキソ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボン酸ベンジル
【0147】
【化35】

【0148】
乾燥THF(30ml)中のマグネシウム屑(0.729g,30ミリモル)に4−トリフルオロメチルブロモベンゼン(4.2ml,30ミリモル)を少しずつ添加し、1,2−ジブロモエタン(2滴)を添加して、反応を開始させた。生じた褐色溶液を−25℃まで冷却した。4−メトキシピリジン(3.0ml,30ミリモル)、次いでクロロギ酸ベンジル(4.3ml,30ミリモル)を添加した。反応物を−20℃で30分間攪拌した後、2N HClでクエンチした。10分間攪拌した後、混合物をEtOAc(×3)で抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,10−40% EtOAc/ヘキサン)により精製して、ジヒドロピリジン(9.30g,83%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 2.77(1H,d,J 16.6),3.18(1H,dd,J 7.7,16.6),5.20(1H,d,J 12.0),5.27(1H,d,J 12.0),5.42(1H,d,J 8.3),5.77(1H,d,J 6.3),7.24−7.37(7H,m),7.54(2H,d,J 8.2),8.00(1H,m)。
【0149】
ステップ2:(±)−(2R,3S)−3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−オキソ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボン酸ベンジル
【0150】
【化36】

【0151】
ステップ1からのジヒドロピリジン(3.00g,8.0ミリモル)を乾燥THF(80ml)中に含む溶液を−78℃まで冷却し、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1.0M,9.6ml,9.6ミリモル)を1滴ずつ添加した。−78℃で1時間攪拌した後、ブロモ酢酸メチル(2.2ml,24ミリモル)を添加した。反応物を−78℃で1時間、次いで0℃で1.5時間攪拌した。反応物を飽和NHCl溶液でクエンチした。混合物をEtOAc(×3)で抽出し、合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,40% EtO/ヘキサン)により精製して、エステル(2.74g,77%)を得た。H NMR(360MHz,CDCl):δ 2.61−2.69(2H,m),3.15(1H,dd,J 5.0,9.8),3.74(3H,s),5.18−5.28(2H,m),5.39(1H,d,J 8.5),5.70(1H,s),7.18−7.33(7H,m),7.54(2H,d,J 8.3),8.08(1H,d,J 8.6)。
【0152】
ステップ3:(±)−(2R,3S)−3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−オキソ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−1−カルボン酸ベンジル
【0153】
【化37】

【0154】
ステップ2からのエノン(1.650g,3.7ミリモル)を乾燥THF(40ml)中に含む溶液を−78℃まで冷却し、L−セレクトリド(登録商標)(THF中1.0M,4.6ml,4.6ミリモル)を添加した。反応物を2分間攪拌した後、飽和NHCl溶液でクエンチした。混合物をEtOAc(×3)で抽出し、合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,40−50% EtO/ヘキサン)により精製して、ケトン(1.473g,89%)を得た。H NMR(360MHz,CDCl):δ 2.24(1H,dd,J 4.9,16.8),2.57−2.70(3H,m),3.46−3.52(1H,m),3.58(3H,s),3.80−3.89(1H,m),4.57(1H,dd,J 5.2,14.2),4.93−4.98(2H,m),5.10(1H,d,J 12.1),7.07(2H,s),7.26−7.41(5H,m),7.57(2H,d,J 8.1)。
【0155】
ステップ4:(±)−{(6S,7R)−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,4−ジチア−8−アザスピロ[4.5]デカ−6−イル}酢酸メチル
【0156】
【化38】

【0157】
ステップ3からのケトン(0.772g,1.7ミリモル)をDCM(20ml)中に含む溶液を0℃まで冷却し、1,2−エタンジチオール(0.43ml,5.1ミリモル)及びBF・OEt(1.27ml,10ミリモル)を添加した。反応物を室温で48時間攪拌した後、EtOAcで希釈した。混合物を1N NaOH溶液、次いでブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,30% EtOAc/ヘキサン)により精製して、ジチアン(0.420g,63%)を得た。H NMR(360MHz,CDCl):δ 2.03−2.11(1H,m),2.20−2.26(1H,m),2.35−2.43(1H,m),2.73−2.83(2H,m),3.06−3.16(2H,m),3.24(3H,s),3.25−3.32(4H,m),3.50(1H,d,J 9.9),7.47−7.58(4H,m)。
【0158】
ステップ5:(±)−{(2R,3S)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸メチル
ステップ4からのジチアン(0.418g,1.1ミリモル)をMeOH(20ml)中に含む溶液にラネーニッケル(水中スラリー)を少しずつ添加した。反応物を3時間還流加熱した後、放冷した。反応物をHyflo(登録商標)を介して濾過し、溶媒を蒸発させた。生じた混合物をDCMで抽出し、乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,2% MeOH/DCM)により精製して、ピペリジン(0.168g,52%)を得た。H NMR(360MHz,CDCl):δ 1.21−1.26(1H,m),1.69−1.75(2H,m),1.90−2.10(4H,m),2.72−2.80(1H,m),3.16(1H,m),3.36(1H,d,J 9.7),3.50(3H,s),7.48(2H,d,J 8.1),7.57(2H,d,J 8.2)。
【実施例】
【0159】
実施例1
{(2S,4R)−1−[(1S)−4−メチル−1−(3−メチルブチル)ペンタ−4−エン−2−イン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
【0160】
【化39】

【0161】
ステップ1:{(2S,4R)−1−[(1S)−4−メチル−1−(3−メチルブチル)ペンタ−4−エン−2−イン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル
【0162】
【化40】

【0163】
20mlマイクロ波バイアルにおいて(+)−{(2S,4R)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル(中間体2,3.02g,10.0ミリモル)、4−メチルペンタナール(2.1g,20.9ミリモル)及び臭化金(III)(440mg,1ミリモル)の混合物を水(10ml)中で合わせた。混合物を排気/Nの充填により脱酸化した後、2−メチルブタ−1−エン−3−イン(1.9ml,20.4ミリモル)を添加した。反応物を攪拌し、マイクロ波で70℃で30分間加熱した。混合物をMeOHで希釈し、5 SCXカートリッジ(10g)に充填した。各カートリッジをMeOH(50ml)、次いでMeOH中2M NH(2×50ml)で洗浄した。アンモニア−メタノール画分を合わせ、蒸発させた。残渣をEtOAc中に排出し、ブライン(×1)で洗浄した後、乾燥(NaSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣を同一規模での反復実験からの生成物と合わせ、クロマトグラフィー(シリカ,10% EtO/イソヘキサン)により精製して、アルキン(9.1g)を淡黄色油状物を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 0.83(6H,d,J 6.6),1.07−1.22(2H,m),1.27−1.45(3H,m),1.51−1.58(2H,m),1.77−1.85(2H,m),1.91(3H,s),1.93−2.02(1H,m),2.19−2.29(2H,m),2.40−2.46(1H,m),2.94−2.98(1H,m),3.18(1H,t,J 7.6),3.50(1H,dd,J 2.7,11.2),3.65(3H,s),5.19(1H,m),5.25(1H,s),7.45(2H,d,J 7.4),7.56(2H,d,J 8.2);M/Z(ES) 420(MH)。
【0164】
ステップ2:{(2S,4R)−1−[(1S)−4−メチル−1−(3−メチルブチル)ペンタ−4−エン−2−イン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
{(2S,4R)−1−[(1S)−4−メチル−1−(3−メチルブチル)ペンタ−4−エン−2−イン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル(ステップ1,250mg,0.56ミリモル)をTHF(2ml)中に含む溶液を室温で攪拌し、ここにLiOH(67mg,2.8ミリモル)をHO(1ml)中に含む溶液を添加した。混合物を室温で18時間、次いで60℃で3時間攪拌した。室温まで冷却した後、2N HClを添加し、THFを真空中で除去した。残渣をCHCl/HOに分配した。水性層のpHを飽和水性NaHCOで〜7に調節した。水性層をCHCl(×3)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥(NaSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,4% MeOH/CHCl)により精製して、酸(228mg)を無色泡状物として得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ 0.83(6H,d,J 6.6),1.12−1.20(2H,m),1.33−1.43(3H,m),1.58(2H,q,J 7.8),1.80(1H,dd,J 2.8,12.8),1.85−1.91(5H,s),2.18−2.26(2H,m),2.48(1H,t,J 11.1),2.98−3.04(1H,m),3.16(1H,t,J 7.6),3.55(1H,dd,J 2.5,11.3),5.21(1H,s),5.24(1H,s),7.53(2H,d,J 7.6),7.62(2H,d,J 8.2);M/Z(ES) 436(MH)。
【0165】
実施例2
{(2S,4R)−1−[4−メチル−1−(3−メチルブチル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
【0166】
【化41】

【0167】
ステップ1:{(2S,4R)−1−[4−メチル−1−(3−メチルブチル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル
【0168】
【化42】

【0169】
{(2S,4R)−1−[(1S)−4−メチル−1−(3−メチルブチル)ペンタ−4−エン−2−イン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル(実施例1のステップ1,8.4g,18.9ミリモル)をMeOH(250ml)中に含む溶液をラネーニッケル(〜6g)を用いて50psiで18時間水素化した。触媒を濾過により除去し、CHClで洗浄した。濾液を蒸発させ、残渣をCHCl/HOに分配した。水性層をCHCl(×1)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥(NaSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,3% EtOAc/イソヘキサン)により精製して、アルカン(6.24g)を油状物として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 0.64−0.74(1H,m),0.81(6H,t,J 6.5),0.85(6H,t,J 6.8),0.93−0.97(3H,m),1.19−1.42(7H,m),1.52−1.58(1H,m),1.72−1.78(2H,m),1.86−1.94(1H,m),2.11−2.27(4H,m),2.92(1H,brd,J 11.6),3.58(1H,dd,J 2.6,11.1),3.64(3H,s),7.40(2H,brs),7.54(2H,d,J 8.2)。
【0170】
更に、混合画分をクロマトグラフィー(シリカ,2.5% EtOAc/イソヘキサン)にかけて、シス−アルケン:{(2S,4R)−1−[(1S,2Z)−4−メチル−1−(3−メチルブチル)ペンタ−2−エン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル(415mg)を油状物として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 0.68(3H,d,J 6.6),0.77(3H,d,J 6.5),0.83−0.86(6H,m),1.02−1.30(4H,m),1.37−1.43(1H,m),1.51−1.63(3H,m),1.71−1.78(2H,m),1.83−1.91(1H,m),2.13−2.27(2H,m),2.37−2.43(1H,m),3.02−3.06(1H,m),3.20(1H,q,J 7.8),3.42(1H,dd,J 2.9,11.1),3.63(3H,s),5.20−5.28(2H,m),7.44(2H,brd,J 7.5),7.54(2H,d,J 8.2)。
【0171】
ステップ2:{(2S,4R)−1−[4−メチル−1−(3−メチルブチル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
{(2S,4R)−1−[4−メチル−1−(3−メチルブチル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル(ステップ1,6.0g,13.2ミリモル)をTHF(15ml)中に含む溶液を室温で攪拌し、ここにLiOH(1.6g,67ミリモル)をHO(15ml)中に含む溶液を添加した。混合物を攪拌し、60℃で18時間加熱した。室温まで冷却した後、2N HCl(35ml)を添加し、THFを真空中で除去した。残渣をCHCl/HOに分配した。水性層のpHを飽和水性NaHCOで〜7に調節した。水性層をCHCl(×3)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥(NaSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,4−8% MeOH/CHCl)により精製して、酸(5.7g)を無色固体として得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ 0.68−0.75(1H,m),0.83−0.87(12H,m),0.97−1.09(2H,m),1.10−1.17(1H,m),1.32−1.50(7H,m),1.69−1.75(1H,m),1.86−2.00(3H,m),2.16−2.24(2H,m),2.25−2.31(1H,m),2.54(1H,t,J 11.6),3.17(1H,d,J 11.8),3.93(1H,d,J 10.3),7.54(2H,brd,J 7),7.65(2H,d,J 8.2);M/Z(ES) 442(MH)。
【0172】
実施例3
{(2S,4R)−1−[(1S,2Z)−4−メチル−1−(3−メチルブチル)ペンタ−2−エン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
【0173】
【化43】

【0174】
{(2S,4R)−1−[(1S,2Z)−4−メチル−1−(3−メチルブチル)ペンタ−2−エン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル(実施例2のステップ1,210mg,0.46ミリモル)をTHF(2ml)中に含む溶液を室温で攪拌し、ここにLiOH(60mg,2.5ミリモル)をHO(1ml)中に含む溶液を添加した。混合物を室温で18時間攪拌し、次いで60℃で3時間攪拌した。室温まで冷却した後、2N HClを添加し、THFを真空中で除去した。残渣をCHClとHOに分配した。水性層のpHを飽和水性NaHCOで〜7に調節した。水性層をCHCl(×3)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥(NaSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,4−10% MeOH/CHCl)により精製して、酸(173mg)を無色泡状物として得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ 0.69(3H,d,J 6.6),0.81−0.87(9H,m),1.04−1.18(2H,m),1.25(1H,q,J 12.1),1.34−1.46(3H,m),1.56−1.68(2H,m),1.82−1.89(3H,m),2.13−2.21(2H,m),2.60(1H,t,J 11.5),3.23(1H,brd,J 10),3.38(1H,q,J 8.7),3.63(1H,d,J 9.6),5.28(1H,t,J 10.6),5.37(1H,t,J 10.6),7.53(2H,d,J 7.7),7.65(2H,t,J 8.2);M/Z(ES) 440(MH)。
【0175】
実施例4
{(2R,4S)−1−[(1R)−4−メチル−1−(4,4,4−トリフルオロブチル)ペンタ−4−エン−2−イン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
【0176】
【化44】

【0177】
ステップ1:4,4,4−トリフルオロブチルメタンスルホネート
4,4,4−トリフルオロブタノール(10.247g,80ミリモル)及びピリジン(12.9ml,160ミリモル)を乾燥DCM(67ml)中に含む溶液を0℃まで冷却し、塩化メシル(12.4ml,160ミリモル)を1滴ずつ添加した。反応物を室温まで加温し、2時間攪拌した。反応物を水及び2N HClで希釈し、DCMで抽出した。合わせた有機物を2N HCl、飽和水性NaHCO及びブラインで順次洗浄し、乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,20−80% EtO/ヘキサン)により精製して、メシレート(15.5g,94%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 2.01−2.07(2H,m),2.21−2.33(2H,m),3.03(3H,s),4.29(2H,t,J 6.1)。
【0178】
ステップ2:5,5,5−トリフルオロペンタンニトリル
ステップ1からのメシレート(8.25g,40ミリモル)及びシアン化ナトリウム(2.16g,44ミリモル)をDMSO(80ml)中に含む混合物を60℃で2時間加熱した。反応物を室温まで冷却し、水で希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた抽出物を水(×2)、次いでブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,10−20% EtOAc/ヘキサン)により精製して、ニトリル(2.049g,37%)を得た。H NMR(360MHz,CDCl):δ 1.96(2H,quintet,J 7.4),2.22−2.36(2H,m),2.48(2H,t,J 7.1)。
【0179】
ステップ3:5,5,5−トリフルオロペンタナール
ステップ2からのニトリル(2.040g,15ミリモル)を乾燥DCM(60ml)中に含む溶液を−78℃まで冷却し、水素化ジイソブチルアルミニウムの溶液(PhMe中1.5M,10ml,15ミリモル)を温度が−70℃以下に維持されるような速度で添加した。反応物を−78℃で1.5時間攪拌した後、MeOH(2ml)でクエンチした。反応物を室温まで加温し、飽和酒石酸ナトリウムカリウム溶液を添加した。混合物を30分間攪拌した後、EtOで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,10% EtO/ヘキサン)により精製して、アルデヒド:ニトリルの1.3:1混合物(0.439g)を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 1.89(2H,quintet,J 7.5),2.12−2.18(2H,m),2.59(2H,t,J 7.1),9.79(1H,s)。
【0180】
ステップ4:{(2R,4S)−1−[(1R)−4−メチル−1−(4,4,4−トリフルオロブチル)ペンタ−4−エン−2−イン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル
【0181】
【化45】

【0182】
中間体2(0.301g,1.0ミリモル)、2−メチル−1−ブテン−3−イン(0.19ml,2.0ミリモル)、ステップ3からのアルデヒド/ニトリル混合物(0.360g,約1.5ミリモル)及びAuBr(44mg,0.lミリモル)を水(1.0ml)中に含む混合物をマイクロ波で70℃で20分間加熱した。反応混合物をSCX カートリッジに充填し、MeOHで洗浄した。MeOH洗浄液を捨て、粗な生成物をMeOH中2N NHで溶離させた。溶離液を濃縮し、EtOAcで希釈し、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,5−10% EtOAc/ヘキサン)により精製して、エンイン(0.372g,76%)を得た。M/Z 490(MH)。
【0183】
ステップ5:{(2R,4S)−1−[(1R)−4−メチル−1−(4,4,4−トリフルオロブチル)ペンタ−4−エン−2−イン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
ステップ4からのエステル(40mg,0.08ミリモル)を水性NaOH(4N,1ml)及びMeOH(2ml)中に含む溶液を室温で16時間攪拌した。反応混合物を2N HClでpH6に酸性化し、真空中で濃縮した後、DCMで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,2−5% MeOH/DCM)により精製して、酸(37mg,95%)を得た。H NMR(360MHz,CDOD):δ 1.34−1.47(1H,m),1.51−1.65(1H,m),1.7−1.91(4H,m),1.91(3H,s),1.91−2.06(2H,m),2.18−2.29(2H,m),2.49(1H,t,J 12.0),3.00(1H,d,J 11.3),3.23(1H,t,J 7.1),3.56(1H,d,J 10.7),5.24(2H,d,J 11.1),7.53(2H,d,J 7.9),7.62(2H,d,J 8.0)。
【0184】
実施例5
{(2R,4S)−1−[(1R)−5,5,5−トリフルオロ−1−(3−メチルブチル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
【0185】
【化46】

【0186】
ステップ1:{(2R,4S)−1−[(1R)−5,5,5−トリフルオロ−1−(3−メチルブチル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル
【0187】
【化47】

【0188】
実施例4のステップ4からのエンイン(0.332g,0.7ミリモル)をMeOH(20ml)中に排出し、パール(商標)装置においてラネーニッケルの存在下、50psiのH圧下で6時間水素化した。触媒を濾過により除去し、濾液を蒸発させて、エステル(0.315g,94%)を得た。M/Z 497(MH)。
【0189】
ステップ2:{(2R,4S)−1−[(1R)−5,5,5−トリフルオロ−1−(3−メチルブチル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
ステップ1からのエステル(0.315g,0.6ミリモル)を実施例4のステップ5の手順を用いて加水分解して、酸(0.247g,81%)を得た。H NMR(400MHz,CDOD):δ 0.65−0.71(1H,m),0.83(3H,d,J 6.5),0.84(3H,d,J 6.6),0.95−1.11(2H,m),1.29−1.53(6H,m),1.67−2.07(7H,m),2.17−2.27(3H,m),2.39(1H,t,J 11.2),3.04(1H,d,J 11.7),3.75(1H,d,J 8.9),7.51(2H,d,J 7.7),7.62(2H,d,J 8.2)。
【0190】
実施例6〜22
以下の化合物は、実施例4のステップ4及び5の手順により中間体1、適切なアルデヒド(2当量)及びアルキン(2当量)を用いて製造した。
【0191】
【表2】




【0192】
実施例23〜27
以下の化合物は、実施例4のステップ4及び実施例5のステップ1及び2の手順により中間体2または中間体3及び適切なアルデヒドを用いて製造した。
【0193】
【表3】

【0194】
実施例28
{(2S,4R)−1−{(1R)−1−[(ベンジルオキシ)メチル]−4−メチルペンタ−4−エン−2−イン−1−イル}−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
【0195】
【化48】

【0196】
20mlマイクロ波バイアルにおいて中間体2(1.1g,3.65ミリモル)、ベンジルオキシアセトアルデヒド(1.097g,7.30ミリモル)、臭化金(III)(0.159g,0.365ミリモル)及び2−メチル−1−ブテン−3−イン(0.681ml,7.30ミリモル)の混合物を水(3ml)中で合わせた。バイアルを密封し、反応物をマイクロ波で70℃で30分間加熱した。混合物をMeOHで希釈し、SCXカートリッジ(10g)に充填した。これをMeOH(〜50ml)で洗浄した後、生成物をMeOH中2M NHで溶離した。アンモニア/メタノール画分を蒸発させた。残渣をEtOAc/ブラインに分配した。水性層をEtOAc(×3)で抽出した。合わせた抽出物をブライン(×1)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,5−8−10% EtOAc/イソヘキサン)により精製して、エステル(1.4g)を無色油状物として得た。この物質を通常通りTHF/水中LiOHで加水分解して、標記化合物を得た。M/Z 486(MH)。
【0197】
実施例29
{(2S,4R)−1−[(1R)−1−(イソプロポキシメチル)−4−メチルペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
【0198】
【化49】

【0199】
ステップ1:{(2S,4R)−1−[(1R)−1−(ヒドロキシメチル)−4−メチルペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
【0200】
【化50】

【0201】
{(2S,4R)−1−{(1R)−1−[(ベンジルオキシ)メチル]−4−メチルペンタ−4−エン−2−イン−1−イル}−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル(実施例28,1.4g,2.80ミリモル)をMeOH(15ml)中に含む溶液をパール装置においてラネーニッケル(〜1g)を用いて50psi、室温で一晩水素化した。MSは殆ど所望の生成物を示したが、幾分のアルケンもあった。追加のラネーニッケル(〜1g)を添加し、水素化を更に5時間続けた。MSは反応がほぼ完了したことを示した。触媒を濾過により除去し、MeOHで洗浄した。濾液を蒸発させた。残渣をDCMと水に分配した。水性層をDCM(×3)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥(NaSO)し、濾過し、蒸発させて、アルカン(1.16g)を油状物として得た。この物質を更に精製することなく使用した。
【0202】
上記ベンジルエーテル(1.16g,2.294ミリモル)を酢酸(25ml)中に含む溶液をパール装置において炭素担持10% パラジウム(150mg,0.141ミリモル)を用いて50psi、室温で一晩水素化した。触媒を濾過により除去し、MeOHを洗浄した。PhMe(×2)と共沸させて濾液を蒸発させた。残渣をDCMと飽和水性NaHCOに分配した。水性層をDCM(×3)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥(NaSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,10−20−40% EtOAc/イソヘキサン)により精製して、アルコール(795mg)を油状物として得た。この物質をMeOH中NaOHを用いて加水分解して、{(2S,4R)−1−[(1R)−1−(ヒドロキシメチル)−4−メチルペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸を得た。M/Z 402(MH)。
【0203】
ステップ2:{(2S,4R)−1−[(1R)−1−(イソプロポキシメチル)−4−メチルペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
粉末状KOH(375mg,6.68ミリモル)をN下、室温で乾燥DMSO(1ml)中に排出した。混合物を10分間攪拌した後、乾燥DMSO(0.5+0.5+0.5ml)中の{(2S,4R)−1−[(1R)−1−(ヒドロキシメチル)−4−メチルペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸(ステップ1,67mg,0.167ミリモル)、次いで2−ヨードプロパン(0.334ml,3.34ミリモル)を添加した。24時間後、更に2−ヨードプロパン(0.334ml,3.34ミリモル)を添加し、反応物を室温で3日間維持した。反応物を飽和水性NHClでクエンチした後、DCMとHOに分配した。水性層をDCM(×3)で抽出した。合わせた抽出物を蒸発させ、残渣をMeOHで希釈し、SCXカートリッジ(2g)に充填した。カートリッジをMeOHで溶離してDMSOを除去し、次いでMeOH中2N NHで溶離して生成物を溶離した。NH/MeOH画分を合わせ、蒸発させた。残渣をMeOH(2ml)中に排出し、4N NaOH(水性,0.2ml,0.8ミリモル)を添加した。混合物を攪拌し、60℃に2時間加熱した。室温まで冷却した後、MeOHを真空中で除去し、残渣をDCMとHOに分配した。2N HCl(0.5ml)を添加した。水性層のpHをNaHCO(水性)で〜7に調節した。水性層をDCM(×3)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥(NaSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣を逆相HPLC(ABZ+カラム)により精製して、標記化合物(10mg)を無色固体として得た。
【0204】
実施例30
{(2S,4R)−1−{(1R)−1−[(ジフルオロメトキシ)メチル]−4−メチルペンチル}−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
【0205】
【化51】

【0206】
ステップ1:{(2S,4R)−1−{(1R)−1−[(ジフルオロメトキシ)メチル]−4−メチルペンチル}−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル
【0207】
【化52】

【0208】
{(2S,4R)−1−[(1R)−1−(ヒドロキシメチル)−4−メチルペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル(実施例29のステップ1,160mg,0.385ミリモル)及びNaSO(11mg,0.077ミリモル)を乾燥CHCN(1ml)中に含む溶液/懸濁液をN下、室温で攪拌し、ここに2−(フルオロスルホニル)ジフルオロ酢酸(0.040ml,0.385ミリモル)を添加した。次いで、反応物を攪拌し、50℃で攪拌した。2時間後、反応物を室温まで冷却し、次いでDCM/HOに分配した。水性層をDCM(×2)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥(NaSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,4−6−10% EtOAc/イソヘキサン)により精製して、標記化合物(13mg)を油状物として得た。M/Z 466(MH)。
【0209】
ステップ2:{(2S,4R)−1−{(1R)−1−[(ジフルオロメトキシ)メチル]−4−メチルペンチル}−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
エステル(ステップ1,13mg,0.028ミリモル)をTHF(1ml)中に含む溶液を室温で攪拌し、ここにLiOH(5mg,0.209ミリモル)をHO(0.5ml)中に含む溶液を添加した。混合物を室温で3日間攪拌した。2N HCl(0.5ml)を添加した。水性層のpHをNaHCO(水性)で〜7に調節した。水性層をDCM(×3)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥(NaSO)し、濾過し、蒸発させ、ペンタンから蒸発させた後、標記化合物(12mg)を無色固体として得た。M/Z 452(MH)。
【0210】
実施例31
{(2S,4R)−1−[(1S,4R)−5−(ベンジルオキシ)−4−メチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンタ−2−イン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
【0211】
【化53】

【0212】
ステップ1:3−(ベンジルオキシ)−2−メチルプロパナール
【0213】
【化54】

【0214】
2−メチル−1,3−プロパンジオール(4.93ml,55.5ミリモル)を乾燥THF(180ml)中に含む溶液をN下、0℃で攪拌し、ここにNaH(60%分散物,2.44g,61.0ミリモル)を少しずつ添加した。添加が完了したら冷却浴を外した。混合物を室温で1時間攪拌した後、氷浴において再冷却した。臭化ベンジル(7.0ml,58.9ミリモル)を添加し、反応物を室温まで一晩加温した。反応物を飽和水性塩化アンモニウム(150ml)でクエンチし、EtOAc(200ml)で希釈した。層を分離し、水性層をEtOAc(×2)で抽出した。合わせた抽出物をブライン(×1)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,10−50% EtOAc/イソヘキサン)により精製して、アルコール(2.43g)を淡黄色油状物として得た。
【0215】
上記からのアルコール(2.4g,13.32ミリモル)、4−メチルモルホリンN−オキシド(1.87g,16ミリモル)及び活性化モレキュラーシーブ(5g)を乾燥DCM(25ml)中に含む溶液/懸濁液をN下、0℃で攪拌し、ここにテトラ−n−プロピルアンモニウム過ルテニウム酸塩(VII)(0.234g,0.666ミリモル)を添加した。5分後、冷却浴を外し、反応物を室温で3時間攪拌した。混合物をEtOAc/イソヘキサン(1:1,100ml)で希釈した後、シリカパッドを用いて濾過し、EtOAc/イソヘキサン(1:1,200ml)で溶離させた。濾液を蒸発させ、残渣をクロマトグラフィー(シリカ,10−20−50% EtOAc/イソヘキサン)により精製して、アルデヒド(1.11g)を無色液体として得た。
【0216】
ステップ2:{[(2−メチルブタ−3−イン−1−イル)オキシ]メチル}ベンゼン
【0217】
【化55】

【0218】
四臭化炭素(4.09g,12.34ミリモル)を乾燥DCM(10ml)中に含む溶液をN下、−20℃で攪拌し、ここにPPh(3.24g,12.34ミリモル)を乾燥DCM(10ml)中に含む溶液を添加した。橙色溶液を−20℃で20分間攪拌した後、−60℃まで冷却した。内部温度が〜−60℃であるように3−(ベンジルオキシ)−2−メチルプロパナール(1.1g,6.17ミリモル)及びトリエチルアミン(0.860ml,6.17ミリモル)を乾燥DCM(5+5ml)中に含む溶液を添加した。反応物をこの温度で30分間維持した。冷却浴を外し、反応物を室温まで加温し、この温度で一晩攪拌した。混合物を真空中で〜1/3容量に濃縮した後、イソヘキサン(〜100ml)で希釈した。室温で30分間攪拌した後、固体を濾過により除去した。濾液を蒸発させた。一部のトリフェニルホスフィンオキシドが同伴された。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,1−3% EtO/イソヘキサン)により精製して、ジブロモアルケン(1.13g)を無色液体として得た。
【0219】
上記ジブロモアルケン(1.1g,3.29ミリモル)を乾燥THF(15ml)中に含む溶液をN下で攪拌し、ここに内部温度が<−70℃であるようにBuLi(4.32ml,6.92ミリモル)の溶液(ヘキサン中1.6M)を1滴ずつ添加した。反応物をこの温度で30分間攪拌した後、飽和水性塩化アンモニウム(1ml)でクエンチし、次いで室温まで加温した。混合物をジエチルエーテルと水に分配した。水性層をジエチルエーテル(×2)で抽出した。合わせた抽出物をブライン(×1)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,1−4% EtO/イソヘキサン)により精製して、アルキン(0.55g)を無色液体として得た。
【0220】
ステップ3:{(2S,4R)−1−[(1S)−5−(ベンジルオキシ)−4−メチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンタ−2−イン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル
【0221】
【化56】

【0222】
(+)−{(2S,4R)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル(中間体2,440mg,1.460ミリモル)、{[(2−メチルブタ−3−イン−1−イル)オキシ]メチル}ベンゼン(509mg,2.92ミリモル)、4,4,4−トリフルオロブチルアルデヒド(368mg,2.92ミリモル)及び臭化金(III)(63.8mg,0.146ミリモル)の混合物を5mlマイクロ波バイアルにおいて水(1.5ml)中で合わせた。バイアルを密封し、混合物を攪拌し、マイクロ波で70℃で加熱した。室温まで冷却した後、混合物をMeOHで希釈し、次いでSCXカートリッジ(2g)に充填した。このカートリッジをMeOH(5×10ml)で洗浄した後、生成物をMeOH中2N NH(5×10ml)で溶離した。NH/MeOH画分を合わせ、蒸発させた。残渣をEtOAc/HOに分配した。水性層をEtOAc(×3)で抽出した。合わせた抽出物をブライン(×1)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,5−10% EtOAc/イソヘキサン)により精製して、標記化合物(562mg,ジアステレオマーの混合物)を無色油状物として得た。M/Z 584(MH)。
【0223】
ステップ4:{(2S,4R)−1−[(1S,4R)−5−(ベンジルオキシ)−4−メチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンタ−2−イン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
エステル(ステップ3,96mg,0.164ミリモル)をTHF(2ml)中に含む溶液を室温で攪拌し、ここに水酸化リチウム(19.7mg,0.822ミリモル)を水(1ml)中に含む溶液を添加した。混合物を室温で一晩攪拌した。2N HCl(1ml)を添加した。水性層のpHをNaHCO(水性)で〜7に調節した。水性層をDCM(×3)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥(NaSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,2−5% MeOH/DCM)により精製して、酸(91mg)を無色油状物として得た。M/Z 570(MH)。
【0224】
実施例32
{(2S,4R)−1−[(1R,4R/S)−5−(ベンジルオキシ)−4−メチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
【0225】
【化57】

【0226】
ステップ1:{(2S,4R)−1−[(1R,4R/S)−5−(ベンジルオキシ)−4−メチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル、及び
{(2S,4R)−1−[(1R,4R/S)−5−ヒドロキシ−4−メチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル
【0227】
【化58】

【0228】
{(2S,4R)−1−[(1R)−5−(ベンジルオキシ)−4−メチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンタ−2−イン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル(実施例31のステップ3,470mg,0.805ミリモル)をMeOH(10ml)中に含む溶液をパール装置においてラネーニッケル(〜500mg)を用いて50psiで一晩水素化した。MSはアルキンの完全還元を示唆しているが、ベンジル基がほんの部分的に除去されていることを示している。触媒を濾過により除去し、DCMで洗浄した。濾液を蒸発させ、残渣をDCMとHOに分配した。水性層をDCM(×3)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥(NaSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,5−40% EtOAc/イソヘキサン)により精製して、ベンジルエーテル(212mg)を無色油状物(M/Z 588(MH))として、アルコール(126mg)を無色油状物(M/Z 498(MH))として得た。
【0229】
ステップ2:{(2S,4R)−1−[(1R,4R/S)−5−(ベンジルオキシ)−4−メチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
{(2S,4R)−1−[(1R,4R/S)−5−(ベンジルオキシ)−4−メチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル(ステップ1,200mg,0.340ミリモル)をTHF(2ml)中に含む溶液を室温で攪拌し、ここに水酸化リチウム(41mg,1.702ミリモル)を水(1ml)中に含む溶液を添加した。混合物を室温で一晩攪拌した。2N HCl(1ml)を添加した。水性層のpHをNaHCO(水性)で〜7に調節した。水性層をDCM(×3)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥(NaSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,2−4% MeOH/DCM)により精製して、標記化合物(180mg)を無色泡状物として得た。M/Z 574(MH)。
【0230】
実施例33
{(2S,4R)−1−[(1R,4R/S)−5−ヒドロキシ−4−メチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
【0231】
【化59】

【0232】
{(2S,4R)−1−[(1R,4R/S)−5−ヒドロキシ−4−メチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル(実施例32のステップ1,109mg,0.219ミリモル)をTHF(2ml)中に含む溶液を室温で攪拌し、ここに水酸化リチウム(26.2mg,1.095ミリモル)を水(1.000ml)中に含む溶液を添加した。混合物を室温で一晩攪拌した。2N HCl(1ml)を添加した。水性層のpHをNaHCO(水性)で〜7に調節した。水性層をDCM(×3)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥(NaSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,2−4−8% MeOH/DCM)により精製して、標記化合物(ジアステレオマーの混合物,46mg)を無色泡状物として得た。M/Z 484(MH)。
【0233】
実施例34
(±)−{(2S,4R)−1−[(1S)−4−メチル−1−(2−メチルプロピル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
【0234】
【化60】

【0235】
ステップ1:{(2S,4R)−1−[(1R)−1−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾル−1−イル)−4−メチルペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル
【0236】
【化61】

【0237】
(±)−{(2S,4R)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル(中間体1,453mg,1.5ミリモル)、4−メチルペンタナール(150mg,1.5ミリモル)及びベンゾトリアゾール(178.5mg,1.5ミリモル)の混合物をトルエン(15ml)中で合わせ、反応物を攪拌し、ディーン・スターク条件下で150℃で16時間加熱した。混合物を真空中で蒸発させて、淡色ガムを得た。
【0238】
ステップ2:(±)−{(2S,4R)−1−[(1R)−4−メチル−1−(2−メチルプロピル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル
【0239】
【化62】

【0240】
臭化イソブチルマグネシウム(EtO中2M,2.5ml,5ミリモル)の0℃冷溶液に窒素雰囲気下で塩化亜鉛(EtO中1M,5ml,5ミリモル)をゆっくり添加した。この添加中、温度を0℃以下に維持した。添加が完了したら、混合物を室温で1時間攪拌した。白色懸濁液を0℃まで冷却し、ステップ1からのベンゾトリアゾール付加物(1.5ミリモル)をDCM(5ml)中溶液としてゆっくり添加した。冷却浴を外し、混合物を室温で16時間攪拌した。混合物をNHCl(半飽和)及びDCMで希釈し、混合物をセライト(登録商標)床を介して濾過した。相を分離し、水性相をDCMで抽出した。抽出物を乾燥(MgSO)し、真空中で蒸発させると、黄色ガム状物が生じた。これをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,イソヘキサン中5%EtO)より精製して、標記化合物を単一のジアステレオマー(48mg,22%)として得た。
【0241】
ステップ3
(±)−{(2S,4R)−1−[(1R)−4−メチル−1−(2−メチルプロピル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル(ステップ2,46mg,0.1ミリモル)をTHF(3ml)中に含む溶液を室温で攪拌し、ここにLiOH(12mg,0.5ミリモル)をHO(1ml)中に含む溶液を添加した。混合物を室温で18時間攪拌した。HCl(2N)を添加し、THFを真空中で除去した。残渣をCHCl/HOに分配した。水性層のpHを飽和水性NaHCOで〜7に調節した。水性層をCHCl(×3)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥(NaSO)し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカ,5% MeOH/CHCl)により精製して、酸(20mg)を無色泡状物として得た。M/Z(ES) 428(MH)。
【0242】
実施例35
{(2S,4R)−1−[(1R/S)−4,4,4−トリフルオロ−1−イソブチルブチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
【0243】
【化63】

【0244】
このアナログは実施例34の手順に従ってステップ1において4−メチルペンタナールの代わりに4,4,4−トリフルオロブタナールを用いて製造した。M/Z 454(MH)。
【0245】
実施例36
(±)−{4−[4−メチル−1−(3−メチルブチル)ペンチル]−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン−1−イル}酢酸
【0246】
【化64】

【0247】
ステップ1:2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピラジン
クロロピラジン(10,0.087モル)、4−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸(21g)、パラジウム(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロリド(3.5g,5モル%)及び炭酸ナトリウム(100mL,2M)をジオキサン(200mL)中に含む混合物をファイヤーストーンバルブを介して脱ガスした(×3)。混合物を1時間還流加熱した。ジオキサンを真空中で除去した。残渣を酢酸エチルと水に分配し、有機相をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発させた。黒色残渣をシリカに乾式充填し、イソヘキサン中5−25% 酢酸エチルで溶離させることにより精製した。こうして、生成物を白色結晶として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.78(2H,d,J 8.2),8.15(2H,d,J 8.2),8.59(1H,d,J 2.5),8.68(1H,t,J 2.0),9.08(1H,d,J 1.4)。
【0248】
ステップ2:(±)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン
ステップ1に記載されているピラジン(13g,0.058モル)を酢酸(100mL)中に溶解し、酢酸パラジウムを添加した。この混合物を45psiで4時間水素化した。触媒を除去するために混合物を濾過し、濾液を真空中で濃縮して、生成物を褐色固体として得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ 1.98(6H,s),2.93(1H,t,J 11.9),3.03−3.15(2H,m),3.26−3.32(3H,m),4.09(1H,dd,J 2.7,11.2),7.65(2H,d,J 8.3),7.72(2H,d,J 8.2)。
【0249】
ステップ3:(±)−{3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン−1−イル}酢酸メチル
【0250】
【化65】

【0251】
上記ステップ2に記載されているピペラジン(2.1g,9ミリモル)、ブロモ酢酸メチル(1mL,9ミリモル)及び炭酸カリウム(2.4g,18ミリモル)をアセトニトリル(30mL)中に含む混合物を室温で一晩攪拌した。混合物を濾過し、蒸発させ、シリカを用い、溶離液としてイソヘキサン中25−50% 酢酸エチルを用いて精製した。H NMR(500MHz,CDCl):δ 2.22(1H,t,J 10.6),2.37−2.43(1H,m),2.93(2H,t,J 9.4),3.10−3.17(2H,m),3.26(2H,s),3.72(3H,s),7.52(2H,d,J 8.1),7.58(2H,d,J 8.2)。
【0252】
ステップ3:(±)−{4−[4−メチル−1−(3−メチルブチル)ペンチル]−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン−1−イル}酢酸
この化合物は出発物質として上記ステップ3に記載されている化合物を用いて実施例1及び2に記載されている手順に従って製造した。H NMR(500MHz,CDOD):δ 0.71−0.82(1H,m),0.82−0.91(12H,m),0.98−1.13(3H,m),1.30−1.48(5H,m),1.61−1.72(1H,m),2.13−2.23(1H,m),2.73(1H,dt,J 15.1,2.8),2.84(1H,q,J 14.0),2.88(1H,dt,J 14.6,3.0),3.02(1H,m),3.25(1H,m),3.41(2H,d,J 3.3),3.47−3.50(1H,m),4.07(1H,dd,J 13.5,3.5)。
【0253】
実施例37
{(2S,4R)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[4,4,4−トリフルオロ−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ブチル]ピペリジン−4−イル}酢酸
【0254】
【化66】

【0255】
ステップ1:1,1,1,7,7,7−ヘキサフルオロヘプタン−4−オール
3−ブロモ−1,1,1−トリフルオロプロパン(31g,0.175モル)をTHF(175mL)中に溶解した。Mg(4.2g,0.175モル)を凝縮器、窒素入口及び温度計を備えた1L容量の3首丸底フラスコ中に入れた。マグネシウムを覆うために臭化物溶液(10mL)を添加し、攪拌すると軽い発熱が始まった。フラスコを水のボウルに浸すことにより温度を<40℃に維持した。この軽い発熱反応を維持するために臭化物をゆっくり添加した。発熱が収まったら、混合物を氷水で冷却し、THF(175mL)中ギ酸メチル(7mL,0.11モル)を添加した。混合物を30分間攪拌した後、NHCl(水溶液,100mL)でクエンチした。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発させた。H NMR(400MHz,CDCl):δ 1.61−1.81(4H,m),2.10−2.39(4H,m),3.69−3.76(1H,m)。
【0256】
ステップ2:1,1,1,7,7,7−ヘキサフルオロヘプタン−4−オン
1,1,1,7,7,7−ヘキサフルオロヘプタン−4−オール(1.4g,6.25ミリモル)をCHCl(12mL)中に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)(1.48g,6.87ミリモル)を添加した。混合物を4時間攪拌した。追加のPCC(800mg)を添加し、混合物を1時間攪拌した。混合物をセライト及びシリカを介して濾過し、DCMで洗浄した。生じた淡黄色溶液を室温で蒸発させて、標記化合物を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 2.39−2.49(4H,m),2.73(4H,t,J 7.35)。
【0257】
ステップ3:(±)−{(2S)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[4,4,4−トリフルオロ−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ブチル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル
中間体2(301mg,1ミリモル)、1,1,1,7,7,7−ヘキサフルオロヘプタン−4−オン(500mg,2ミリモル)及びトリエチルアミン(0.8mL,6ミリモル)をCHCl(4mL)中に溶解し、混合物を−78℃まで冷却した。TiCl(2mL,CHCl中1M)を1滴ずつ添加すると、暗橙色混合物が生じた。この混合物を0℃まで5分間加温した後、−78℃まで再冷却した。メタノール(2mL)中NaCNBH(376mg,6ミリモル)を添加し、混合物を室温まで加温した。混合物を水及び酢酸エチルで希釈し、セライトを介して濾過して、チタニウム塩を除去した。有機抽出物をプールし、ブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。残渣をシリカを用い、溶離液としてイソヘキサン中20−50% CHClを用いて精製し、蒸発させて、生成物を結晶性固体(85mg,20%)として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 1.24−1.38(4H,m),1.43(4H,m),1.73−1.99(6H,m),2.19−2.31(4H,m),2.40−2.54(1H,m),2.89(1H,m),3.59(1H,dd,J 11.0,2.6),3.65(3H,s),7.36(2H,d,J 7.2),7.59(2H,d,J 8.1);MS(ES) m/z 508(MH,100%)。
【0258】
ステップ4:{(2S,4R)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[4,4,4−トリフルオロ−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ブチル]ピペリジン−4−イル}酢酸
上記ステップ3に記載されているエステル(80mg)をメタノール(1mL)中に溶解し、水酸化ナトリウム(4N,0.2mL)を添加した。混合物を60℃で4時間加熱した。冷却した混合物をHCl(0.5mL,2N)及び炭酸水素ナトリウム(2mL)で順次中和した後、混合物をCHClで抽出した。溶媒を蒸発させ、生じた泡状物をシリカを用い、溶離液としてメタノール中CHCl(0−2%)を用いて精製した。H NMR(500MHz,CDCl):δ 1.29−1.42(3H,m),1.48−1.55(1H,m),1.60−1.71(2H,m),1.78−2.05(6H,m),2.18−2.35(4H,m),2.45−2.58(1H,m),2.96(1H,dt,J 11.6,3.3),3.66(1H,dd,J 11,2.5),7.49(2H,d,7.75);MS(ES) m/z 494(MH,100%)。
【0259】
実施例38
{(2S,4R)−1−[4,4−ジメチル−1−(3,3−ジメチルブチル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
【0260】
【化67】

【0261】
ステップ1:4,4−ジメチルペンタ−2−エノン酸エチル
水素化ナトリウム(油中60%,4.4g,0.11モル)をトルエン(150ml)中に含む懸濁液にホスホノ酢酸トリエチル(17.9ml,0.09モル)を15分間かけて注意深く添加した。更に45分間攪拌した後、黄色溶液にピバルデヒド(11.0ml,0.1モル)を添加し、混合物を5時間攪拌した。生じた樹脂状塊に水(100ml)及びクエン酸(10%,50ml)を順次添加し、2つの離れた液体相が現れるまで混合物を攪拌した。有機層を分離し、ブライン(50ml)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発させると、粗な生成物が黄色油状物(13.54g,95%)として残った。H NMR(400MHz,CDCl):δ 1.08(9H,s),1.29(3H,t,J 7.1),4.19(2H,q,J 7.1),5.73(1H,d,J 15.9),6.97(1H,d,J 15.9)。
【0262】
ステップ2:4,4−ジメチルペンタノン酸エチル
前ステップからの生成物(13.5g,86ミリモル)及び酸化白金(195mg)をEtOAc(150ml)中で水素雰囲気下20〜40psiで4時間振とうした後、更に酸化白金(90mg)を添加し、40psiで水素化を7時間再開した。懸濁液を濾過し、濾液を蒸発させて、粗な生成物を無色油状物(12.3g)として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 0.90(9H,s),1.26(3H,t,J 7.2),1.53−1.57(2H,m),2.25−2.29(2H,m),4.12(2H,q,J 7.2)。
【0263】
ステップ3:4,4−ジメチルペンタノール
EtO(75ml)中のステップ2からの生成物(6.7g,42ミリモル)に水素化アルミニウムリチウムをEtO中に含む溶液(1M,30ml)を還流を維持する速度で添加した。溶液を室温で一晩攪拌した後、HCl(5M,25ml)でクエンチした。すべての固体が溶解するまで混合物を攪拌し、有機層を分離し、乾燥(MgSO)し、蒸発させた。残留油状物をシリカゲルクロマトグラフィー(2:1 ヘキサン/EtOAc)にかけて、生成物を無色油状物(3.51g)として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 0.89(9H,s),1.20−1.24(2H,m),1.43(1H,br.s),1.52−1.57(2H,m),3.63(2H,t,J 6.7)。
【0264】
ステップ4:4,4−ジメチルペンタナール
上記アルコール(1.0g,8.6ミリモル)をCHCl(30ml)中に含む溶液にPCC(2.36,11ミリモル)を添加し、混合物を4時間攪拌した後、EtO(100ml)で希釈した。懸濁液をシリカゲルプラグに通し、溶離液を注意深く蒸発させて、所望のアルデヒドとEtOの2:1混合物(755mg,57%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 0.84(9H,s),1.44−1.48(2H,m),2.31−2.35(2H,m),9.71(1H,s)。
【0265】
ステップ5:{(2S,4R)−1−[(1S)−1−(3,3−ジメチルブチル)−4,4−ジメチルペンタ−2−イン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル
【0266】
【化68】

【0267】
上記アルデヒド/EtO混合物(560mg,〜3.7ミリモル)、3,3−ジメチルブタ−1−イン(0.6ml,5ミリモル)、中間体2及び臭化金(57mg,0.2ミリモル)を水(2ml)中で合わせ、混合物に70℃でマイクロ波を0.5時間照射した。反応物をEtOAc(10ml)と水(5ml)に分配し、有機層を乾燥(MgSO)し、蒸発させ、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中7.5% EtOAc)にかけて、所望の生成物を黄色油状物(897mg,92%)として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 0.83(9H,s),1.07−1.01(1H,m),1.15−1.41(4H,m),1.24(9H,s),1.49−1.41(2H,m),1.76(1H,dd,J 12.8,2.7),1.83(1H,d,J 12.8),1.95−1.88(1H,m),2.28−2.18(2H,m),2.39(1H,t,J 10.9),2.88−2.92(1H,m),2.98(1H,t,J 7.5),3.47(1H,dd,J 11.3,2.4),3.65(3H,s),7.43(2H,d,J 7.4),7.55(2H,d,J 7.4)。
【0268】
ステップ6:{(2S,4R)−1−[4,4−ジメル−1−(3,3−ジメチルブチル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル
【0269】
【化69】

【0270】
ステップ5からの生成物のサンプル(740mg)を実施例5のステップ1に記載されている条件下で水素化した。生成物を単離すると、Z−オレフィンが無色ガム(422mg)として得られた。これを上記したように水素化し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中5% EtOAc)にかけた後、所望の生成物をガム(245mg,33%)として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 0.63−0.55(1H,m),0.80−1.01(3H,m),0.82(9H,s),0.85(9H,s),1.34−1.18(4H,m),1.46−1.60(2H,m),1.75(2H,t,J 10.8),1.89−1.93(1H,m),2.05(1H,t,J 7.3),2.16−2.28(3H,m),2.92(1H,d,J 11.6),3.59(1H,d,J 8.6),3.64(3H,s),7.39(2H,d,J 7.2),7.54(2H,d,J 7.2)。
【0271】
ステップ7:{(2S,4R)−1−[4,4−ジメチル−1−(3,3−ジメチルブチル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸
前ステップからの生成物(240mg)を実施例3に記載されている条件にかけて、標記化合物を無色泡状物(195mg)として得た。H NMR(400MHz,CDOD):δ 0.59−0.65(1H,m),0.86(9H,s),0.87(9H,s),0.86−1.13(3H,m),1.31−1.55(5H,m),1.67−1.73(1H,m),1.88(2H,t,J 14.2),1.92−2.01(1H,m),2.15−2.25(3H,m),2.50(1H,t,J 11.7),3.14(1H,d,J 11.7),3.88(1H,d,J 10.0),7.52(2H,d,J 7.8),7.65(2H,d,J 8.2);M/Z(ES) 470(MH)。
【0272】
実施例39
{(2S,4R)−1−[(1R)−1−(2−シクロプロピルエチル)−4,4,4−トリフルオロブチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル}酢酸
【0273】
【化70】

【0274】
ステップ1
中間体2(1.00g,3.32ミリモル)、4,4,4−トリフルオロブチルアルデヒド(837mg,6.64ミリモル)、エチニルシクロプロパン(627mg,6.64ミリモル)及びAuBr(290mg,0.66ミリモル)をHO(4.0mL)中に含む溶液を75℃で4時間加熱した。反応混合物を濃縮し、CHCl(2mL)中に排出し、フラッシュクロマトグラフィー(2−50% EtOAc/ヘキサン)により精製して、1.2g(76%)の所望のピペリジニルアセチレンメチルエステルを無色油状物として得た。これをMS(ESI+):計算値[M+H]=476.2,実験値=476.3により確認した。
【0275】
ステップ2
ピペリジニルアセチレンメチルエステル(1.00g,2.10ミリモル)をMeOH(5mL)中に含む溶液にスラリー2800ラネーニッケル(〜500mg)を添加した。55psi H下で4時間後、反応混合物をセライトを介して濾過し、濃縮した。粗な油状物をフラッシュクロマトグラフィー(5−50% EtOAc/ヘキサン)により精製して、726mg(72%)の飽和ピペリジンメチルエステルを無色油状物として得た。これをMS(ESI+):計算値[M+H]=480.2,実験値=480.1により確認した。
【0276】
ステップ3
LiOH(125mg,5.21ミリモル)をHO(1.5mL)中に含む溶液にTHF(1.5mL)中の飽和ピペリジンメチルエステル(500mg,1.04ミリモル)を1滴ずつ添加した。55℃で4時間後、反応混合物をCHCl(10mL)で希釈し、1N HCl(15mL)で処理した。層を分離し、水性層を更にCHCl(2×10mL)で抽出した。合わせた有機物をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗な固体をEtOから再結晶して、422mg(87%)の{(2S,4R)−1−[(1R)−1−(2−シクロプロピルエチル)−4,4,4−トリフルオロブチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル}酢酸を白色粉末として得た。これをMS(ESI+):計算値[M+H]=466.2,実験値=466.2により確認した。
【0277】
実施例40
{(2S,4R)−1−[(1R)−4−メチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−4−ペンテン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル}酢酸
【0278】
【化71】

【0279】
実施例39と同様にしてステップ1において2−メチル−1−ブテン−3−インを用いて製造した。MS(ESI+):計算値[M+H]=466.2,実験値=466.1。
【0280】
実施例41
{(2S,4R)−1−{(1R)−1−[2−(1−シクロヘキセン−1−イル)エチル]−4,4,4−トリフルオロブチル}−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル}酢酸
【0281】
【化72】

【0282】
実施例39と同様にしてステップ1において1−エチニルシクロヘキセンを用いて製造した。ステップ2における水素化は50psiで1時間実施した。MS(ESI+):計算値[M+H]=506.2,実験値=506.2。
【0283】
実施例42
{(2S,4R)−1−[(1R)−1−(2−シクロヘキシルエチル)−4,4,4−トリフルオロブチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル}酢酸
【0284】
【化73】

【0285】
{(2S,4R)−1−[(1R)−1−(2−シクロヘキサ−1−エン−1−イルエチル)−4,4,4−トリフルオロブチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル(実施例41)(1.00g,1.94ミリモル)をEtOH(5mL)中に含む溶液にスラリー2800ラネーニッケル(〜500mg)を添加した。反応混合物を60psiのH下で6時間振とうした。次いで、反応混合物をセライトを介して濾過(25mLのCHCl、次いで25mLのMeOH)し、濃縮した。粗な油状物をフラッシュクロマトグラフィー(10−50% EtOAc/ヘキサン)により精製して、561mg(55%)のMS(ESI+):計算値[M+H]=522.3,実験値=522.2により確認して十分に飽和のピペリジンメチルエステルを得た。
【0286】
LiOH(92mg,3.83ミリモル)をHO(1mL)中に含む溶液にTHF(1mL)中の{(2S,4R)−1−[(1R)−1−(2−シクロヘキシルエチル)−4,4,4−トリフルオロブチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチル(400mg,0.78ミリモル)を1滴ずつ添加した。55℃で5時間後、反応混合物を室温まで冷却し、CHCl(5mL)で希釈し、1N HCl(10mL)で処理した。室温で15分間攪拌した後、層を分離し、水性層を更にCHCl(2×10mL)で抽出した。合わせた有機物をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、278mg(71%)の{(2S,4R)−1−[(1R)−1−(2−シクロヘキシルエチル)−4,4,4−トリフルオロブチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}酢酸メチルを得た。これをMS(ESI+):計算値[M+H]=508.3,実験値=508.3により確認した。
【0287】
実施例43
{(2S,4R)−1−{(1R)−4,4,4−トリフルオロ−1−[2−(1−ヒドロキシ−シクロペンチル)エチル]ブチル}−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル}酢酸
【0288】
【化74】

【0289】
実施例39と同様にしてステップ1において1−エチニルシクロペンタノールを用いて製造した。ステップ1における加熱は28.5時間後にAuBrを追加装入しながら48時間継続した。ステップ2における水素化は50psiで2時間実施した。MS(ESI+):計算値[M+H]510.2,実験値=510.1。
【0290】
実施例44
{(2S,4R)−1−{(1R)−4,4,4−トリフルオロ−1−[2−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)エチル]ブチル}−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル}酢酸
【0291】
【化75】

【0292】
実施例39と同様にしてステップ1において1−エチニル−1−シクロヘキサノールを用いて製造した。ステップ1における加熱は4.5時間後にAuBrを追加装入しながら24時間継続した。ステップ2における水素化は50psiで2.5時間実施した。MS(ESI+):計算値[M+H]=524.3,実験値=524.2。
【0293】
実施例45
{(2S,4R)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−{(1R)−4,4,4−トリフルオロ−1−(2−フェニルエチル)ブチル]−4−ピペリジニル}酢酸
【0294】
【化76】

【0295】
実施例39と同様にしてステップ1においてフェニルアセチレンを用いて製造した。MS(ESI+):計算値[M+H]=502.2,実験値=502.1。
【0296】
実施例46
{(2S,4R)−1−{(1R)−4,4,4−トリフルオロ−1−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]ブチル}−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル}酢酸
【0297】
【化77】

【0298】
実施例39と同様にしてステップ1において1−エチニル−3−フルオロベンゼンを用いて製造した。MS(ESI+):計算値[M+H]=520.2,実験値=520.1。
【0299】
実施例47
{(2S,4R)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−{(1R)−4,4,4−トリフルオロ−1−[2−(3−メチルフェニル)エチル]ブチル}−4−ピペリジニル}酢酸
【0300】
【化78】

【0301】
実施例39と同様にしてステップ1において3−エチニルトルエンを用いて製造した。MS(ESI+):計算値[M+H]=516.2,実験値=516.1。
【0302】
実施例48
[(2S,4R)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−{(1R)−4,4,4−トリフルオロ−1−{2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}ブチル)−4−ピペリジニル]酢酸
【0303】
【化79】

【0304】
実施例39と同様にしてステップ1において3−エチニル−α,α,α−トリフルオロトルエンを用いて製造した。MS(ESI+):計算値[M+H]=570.2,実験値=570.1。
【0305】
実施例49
{(2S,4R)−1−{(1R)−1−[2−(4−t−ブチルフェニル)エチル]−4,4,4−トリフルオロブチル}−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル}酢酸
【0306】
【化80】

【0307】
実施例39と同様にしてステップ1において4−t−ブチル−フェニルアセチレンを用いて製造した。ステップ1における加熱は23時間継続し、最終生成物をペンタンから結晶化した。MS(ESI+):計算値[M+H]=558.3,実験値=558.2。
【0308】
実施例50
[(2S,4R)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−{(1R)−4,4,4−トリフルオロ−1−{2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}ブチル)−4−ピペリジニル]酢酸
【0309】
【化81】

【0310】
実施例39と同様にしてステップ1において4−エチニル−α,α,α−トリフルオロトルエンを用いて製造した。MS(ESI+):計算値[M+H]=570.2,実験値=570.1。
【0311】
実施例51
{(2S,4R)−1−[(1R)−1−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]−4,4,4−トリフルオロブチル}−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル}酢酸
【0312】
【化82】

【0313】
実施例39と同様にしてステップ1において1−エチニル−3,5−ジフルオロベンゼンを用いて製造した。MS(ESI+):計算値[M+H]=538.2,実験値=538.1。
【0314】
実施例52
{(2S,4R)−1−[(1R)−1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4,4,4−トリフルオロブチル}−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル}酢酸
【0315】
【化83】

【0316】
実施例39と同様にしてステップ1において1−エチニル−2,4−ジフルオロベンゼンを用いて製造した。ステップ2の水素化は55psiで12時間実施した。MS(ESI+):計算値[M+H]=538.2,実験値=538.1。
【0317】
実施例53及び54
実施例53及び54を、実施例39に類似の手順によりステップ1において中間体1(a)及び適切なアルキンを用いて製造した。
【0318】
【表4】

【0319】
実施例55〜58
実施例55〜58を、実施例39に類似の手順によりステップ1において中間体1(b)、適切なアルデヒド及びアルキンを用いて製造した。
【0320】
【表5】

【0321】
実施例59〜65
実施例59〜65を、実施例39に類似の手順によりステップ1において中間体1(c)、適切なアルデヒド及びアルキンを用いて製造した。実施例64の場合には、ステップ2を省略した。
【0322】
【表6】


【0323】
実施例65及び66
実施例65及び66を、実施例39に類似の手順によりステップ1において中間体1(d)及び適切なアルキンを用いて製造した。
【0324】
【表7】

【0325】
実施例67及び68
実施例67及び68を、実施例39に類似の手順によりステップ1において中間体1(e)、適切なアルデヒド及びアルキンを用いて製造した。
【0326】
【表8】

【0327】
実施例69
{(2S,3R)−1−[(1R)−4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸
【0328】
【化84】

【0329】
ステップ1:中間体3の分割
中間体3(1.38g,4.58ミリモル)をDCM(50mL)中に含む溶液をトリエチルアミン(0.96mL,6.9ミリモル)及びBoc無水物(1.2g,5.5ミリモル)で処理し、生じた溶液を周囲温度で16時間攪拌した。反応混合物を真空中で蒸発させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(0−10% 酢酸エチル/ヘキサン)により精製した。LC/MS(EIMS,M+Na)=424.1。ラセミ物質をChiracel ADカラム(5% イソプロパノール/ヘプタン)を用いるキラルクロマトグラフィーにより精製して、2つの純粋なエナンチオマーを得た。先に溶離したエナンチオマーを最終生成物にした。
【0330】
生じた(2S,3R)−3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(2.8g,7.0ミリモル)をDCM(50mL)中に含む溶液をTFA(2.7mL,35ミリモル)で処理し、周囲温度で16時間攪拌した。反応混合物を真空中で蒸発させ、飽和炭酸水素ナトリウム溶液と酢酸エチルに分配した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させて、{(2S,3R)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸メチルを得た。LC/MS(EIMS,M+H)=302.1。
【0331】
ステップ2:{(2S,3R)−1−[(1S)−4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンタ−2−イン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸メチル
【0332】
【化85】

【0333】
{(2S,3R)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸メチル(2.1g,7.0ミリモル)、4,4,4−トリフルオロブタナール(1.76g,13.9ミリモル)及び臭化金(III)(0.3g,0.7ミリモル)を水(50mL)中に含む溶液を窒素を用いて1.5時間脱ガスした。この溶液に3,3−ジメチルブタ−1−イン(4.3mL,34.8ミリモル)を添加し、反応物を密封し、70℃に16時間加熱した。反応物を水と酢酸エチルに分配した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(3% 酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、{(2S,3R)−1−[(1R)−4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンタ−2−イン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸メチルを透明油状物として得た。LC/MS(EIMS,M+H)=492.1。
【0334】
ステップ3:{(2S,3R)−1−[(1R)−4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸
{(2S,3R)−1−[(1S)−4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンタ−2−イン−1−イル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸メチル(3.0g,6.1ミリモル)をメタノール(100mL)中に含む溶液を窒素を用いて脱ガスし、ラネーニッケルスラリー(約1.0gの触媒)を添加した。溶液をパール振とう装置中に55psi水素下で48時間置いた。反応物を窒素を用いて脱ガスし、セライトを介して濾過し、触媒をジクロロメタンで洗浄した。濾液を真空中で蒸発させ、次の反応に粗のまま実施した。
【0335】
{(2S,3R)−1−[(1R)−4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸メチル(3.9g)をメタノール(50mL)中に含む溶液をメタノール中1M 水酸化カリウム(25mL,25.0ミリモル)で処理し、60℃に16時間加熱した。反応物を1M HCl(25mL)で処理し、水と酢酸エチルに分配した。有機物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させた。反応物を逆相クロマトグラフィー(35−100% アセトニトリル/水)により精製して、{(2S,3R)−1−[(1R)−4,4−ジメチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}酢酸をそのTFA塩として得た。この塩を酢酸エチル中に排出し、濃HCl(10mL)で処理し、激しく24時間攪拌した。溶液を真空中で蒸発させて、専らHCl塩を得た。H NMR(600MHz,CDOD):δ 7.80(bm,4H),4.65(bm,1H),3.69(bm,1H),3.22(bm,1H),2.69(bs,2H),2.24(m,1H),2.12(m,4H),2.04(d,J=8.2Hz,1H),2.01(d,J=8.2Hz,1H),1.91(m,3H),1.66(m,1H),1.51(m,1H),1.13(m,1H),0.92(s,9H),0.74(td,J=12.6,3.8Hz,1H);LC/MS(EIMS,M+H)=482.1。
【0336】
インビボ有効性についてのアッセイ
APP−YACトランスジェニックマウス(20〜30g;2〜6ヶ月齢)及びSprague Dawleyラット(200〜250g;8〜10週齢)を餌及び水の摂取を制限することなく12時間明暗周期に置いた。マウス及びラットを一晩絶食させた後、imwitor:Tween−80(50:50)または10% Tween−80中に配合した試験化合物を10ml/kgで経口投与した。化合物スクリーニング研究のために、試験化合物を1回用量(20または100mg/kg)で投与し、1及び4時間目に逐次マウスの尾から、最後に7時間目にマウス及びラットから心臓穿刺により採血した。用量応答研究の場合には、化合物を0.1、3、10、30及び100mg/kgで投与し、最後に7時間目にマウス及びラットから心臓穿刺により採血した。COにより安楽死させた後、前脳組織を動物から採取し、−80℃で保存した。脳AβレベルをPD分析するために、可溶性Aβを片側前脳から10容量の50mM NaCl中0.2% DEA中でホモジナイズした後超遠心分離することにより抽出した。Aβ 42/40のレベルを、Aβ 42及びAβ 40のためにそれぞれルテニウム標識12F4またはG210検出抗体及びビオチニル化4G8捕捉抗体を用いるMeso Scale技術(電気化学ルミネッセンス)を用いて分析した。PK分析のために、血液及び脳サンプルをタンパク質沈降手順を用いてプロセシングし、適当ならば残りの濾液はLC/MS/MSを用いて分析して、薬物暴露レベル、脳浸透及びED50/EC50を測定した。
【0337】
本発明の代表的化合物の(ビヒクル処理対照に比した)Aβ42レベルの低下は50〜90%の範囲であり、同一化合物のAβ40レベルの対応する低下は20%未満であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
pは0または1であり;
qは0、1、2または3であり;
Vは結合を表しまたは残りの原子価がH、RまたはX−Zへのまたはその組合せへの結合により満足している炭素原子を表し;
Wは窒素原子を表しまたは残りの原子価がH、RまたはX−Zへのまたはその組合せへの結合により満足している炭素原子を表し、ただしWが窒素原子を表すときVは炭素原子を表し、部分X−ZはWに結合しており;
Xは結合、C(RまたはCHC(Rを表し、ただしWがNを表すときにはXは結合を表さず;
Yは結合、CHまたはCHCHを表し;
ZはCOHまたはテトラゾール環を表し;
各Rは独立してHまたは最高6個の炭素原子を有する非芳香族炭化水素基を表し;或いは2個のRがC3−6脂環式基を完成し;
は最高6個の炭素原子を有する非芳香族炭化水素を表し;
及びRは各々Hを表し、或いはV及びWの各々が炭素原子を表すときにはR及びRは一緒になってCHCH架橋を表し得;
各Rは独立してハロゲン、0〜3個のフッ素置換基を有するC1−6アルキル、0〜3個のフッ素置換基を有するC1−6アルコキシ、C2−6アルケニルまたはSi(C1−4アルキル)を表し;
及びRは独立して、各々が最高10個の炭素原子を含有し、場合によりペルフルオロC1−4アルキル、C3−6脂環式、ヒドロキシC3−6脂環式、OH、C1−4アルコキシ、フェニルまたはベンジルオキシ(前記したC1−4アルコキシ、フェニル及びベンジルオキシ置換基はそれ自体0〜3個のハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ及びペルフルオロC1−4アルキルから選択される置換基を有している。)から選択される置換基を有する直鎖状または分岐状炭化水素基を表す。]
を有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩もしくは水和物。
【請求項2】
V及びWが共に炭素原子を表す請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
及びRが共にHを表す請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
(Rが2−CF、3−CF、4−CF、2,4−ジ(CF)、2−F−4−CF、4−OCF、4−アリル、4−n−プロピル、4−イソプロピルまたは4−tert−ブチルを表す請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
式III
【化2】

(式中、Yは結合であり、pは0であり、R、R及びRは請求項1に定義されている通りである。)
を有する請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩もしくは水和物。
【請求項6】
式IV
【化3】

(式中、RはH、ハロゲンまたはCFを表し、R及びRは請求項1に定義されている通りである。)
を有する請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩もしくは水和物。
【請求項7】
ピペリジン環の2位に結合している置換フェニル基及び4位に結合しているCHCOH基がピペリジン環に対してシス立体配置にある請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
及びRの一方または両方が同一でも異なっていてもよい置換されていない炭化水素基を表す請求項1から7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
及びRの一方または両方が独立してメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、3−メチルブチル、2−エチルブチル、4−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、3−メチル−1−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテン−1−イニル、4−メチル−1−ペンチニル及び3,3−ジメチル−1−ブチニルから選択される請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
及びRの一方または両方がペルフルオロC1−4アルキル、C3−6脂環式、ヒドロキシC3−6脂環式、OH、C1−4アルコキシ、フェニルまたはベンジルオキシ(前記したC1−4アルコキシ、フェニル及びベンジルオキシ置換基はそれ自体0〜3個のハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ及びペルフルオロC1−4アルキルから選択される置換基を有している。)から選択される置換基を有している請求項1から7のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
及びRの一方または両方が2,2,2−トリフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、2−フェニルエチル、3−メトキシプロパ−1−イニル、シクロヘキシルエチニル、1−メチル−3,3,3−トリフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、ヒドロキシメチル、イソプロポキシメチル、ジフルオロメトキシメチル、4−ベンジルオキシ−3−メチル−1−ブチニル、4−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチニル、4−ベンジルオキシ−3−メチルブチル、4−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−シクロプロピルエチル、2−シクロヘキシルエチル、2−(シクロヘキセン−1−イル)エチル、2−(1−ヒドロキシシクロペンチル)エチル、2−(1−ヒドロキシシクロヘキシル)エチル、2−(3−フルオロフェニル)エチル、2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル、2−(3−メチルフェニル)エチル、2−(4−t−ブチルフェニル)エチル、2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル及び2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチルから選択される請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の化合物及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物。
【請求項13】
ヒト身体の治療に使用するための請求項1から11のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
脳におけるβ−アミロイドの沈着に関連する疾患の治療または予防用薬剤を製造するための請求項1から11のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項15】
脳におけるAβの沈着に関連する疾患の治療または予防を要する患者に対して治療有効量の請求項1に定義されている式Iを有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩もしくは水和物を投与することを含む前記疾患の治療または予防方法。

【公表番号】特表2009−536621(P2009−536621A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507181(P2009−507181)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【国際出願番号】PCT/GB2007/050213
【国際公開番号】WO2007/125364
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】