説明

アルツハイマー病セクレターゼ

【課題】アルツハイマー病、APP、アミロイド・ベータ・ペプチドおよびヒトアスパルチル・プロテアーゼの分野ならびにこれらのポリペプチドの活性を調節する薬剤の同定方法に関する。
【解決手段】APP蛋白質のβセクレターゼ切断部位を切断する酵素および酵素的手法、ならびに関連する核酸、ペプチド、ベクター、細胞および細胞単離物ならびにアッセイ方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルツハイマー病、APP、アミロイド・ベータ・ペプチドおよびヒトアスパルチル・プロテアーゼの分野ならびにこれらのポリペプチドの活性を調節する薬剤の同定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は、アミロイド斑、神経原線維のもつれ、神経膠症およびニューロン喪失の結果として生じる進行性痴呆を引き起こす。その疾病は、臨床経過および病理学的特徴が全く類似した遺伝的および散発性の形態で生じる。3つの遺伝子が現在までに発見され、それは突然変異した場合、アルツハイマー病の常染色体の支配的な形態を引き起こす。これらはアミロイド蛋白質前駆体(APP)および関連する2つの蛋白質のプレセニリン−1(PS1)およびプレセニリン−2(PS2)をコードし、それらの名前が示唆するように、両者は構造上および機能上関連する。その3つのいずれの突然変異も、ADのアミロイド斑の主成分である40ないし42個のアミノ酸の長いペプチドのアミロイド・ベータ・ペプチドまたはAβ(または本明細書中にて時々Aベータとして)を産生する細胞内経路を介するAPPの蛋白質分解プロセシングを増強する。蛋白質分解プロセシングについての細胞内経路の調節異常は、ADの病態生理学の中心となるかもしれない。斑形成の場合において、APP、PS1またはPS2における突然変異が、特定のアミロイドを生成するようであり、かくしてADにおいて非常に重要であるAβの形態であるAβ1ないし42の形成を増強するようにAPPの蛋白質分解プロセシングを一貫して変更する。695ないし770のアミノ酸のサイズ範囲のAPPの異なる形態は、細胞表面に局在し、単一C末端膜貫通ドメインを有する。そのベータペプチドは、膜貫通ドメインの一部に隣接し、それを含むAPP領域から由来する。通常、α−セクレターゼ部位でのAPPのプロセシングは、その膜に隣接するAβ配列の中間領域を切断し、細胞表面からAPPの可溶性細胞外ドメインを遊離する。このα−セクレターゼAPPプロセシングは、可溶性APP−αを創製し、それが通常であり、それがADの一因とは考えられていない。
【0003】
β−およびγ−セクレターゼでのAPPの病理学的プロセシングは、α部位でのプロセシングとは非常に異なる結果を生じる。β−およびγ−セクレターゼ部位での順次プロセシングは、ADの病因に非常に重要とされ得るペプチドのAβペプチドを遊離する。β−およびγ−セクレターゼ部位でのプロセシングは、(全細胞における)細胞表面APPの再内部化の後に(ニューロン中の)小胞体およびエンドソーム/リソソームの経路の双方で生じ得る。βおよびγの部位にてAPPをプロセシングして、Aβペプチドを生成するのを担う酵素を同定するために10年間以上の集中した努力にもかかわらず、本開示までそれらのプロテアーゼは不明のままであった。ここに、初めて、発明者らは、βセクレターゼ酵素の同定および特徴付けを報告する。発明者らは、β−セクレターゼプロテアーゼとして作用できるいくらかの公知のおよびいくらかの新規なヒトアスパラギン酸プロテアーゼを開示し、発明者らは初めてこれらのプロテアーゼがADにおいて有している役割について説明する。発明者らは、それらのユニークな機能に非常に重要なプロテアーゼの領域を記載し、初めてそれらの基質を特徴付ける。これは、有用な細胞系および阻害剤の同定および創製に加えて、発現され、精製され、単離されるこのタイプの活性蛋白質、該蛋白質を用いるアッセイの初めての記載である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アルツハイマー病、APP、アミロイド・ベータ・ペプチドおよびヒトアスパルチル・プロテアーゼの分野ならびにこれらのポリペプチドの活性を調節する薬剤の同定方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここに、発明者らは、asp2の遺伝子およびペプチドの多数の変異体を開示する。
【0006】
本発明は、2組以上の特定の核酸を含有するAPPのベータ(β)セクレターゼ切断部位を切断できるプロテアーゼをコードするいずれかの単離および精製された核酸ポリヌクレオチド、ここに、特定の核酸は100ないし300のアミノ酸位置をコードする核酸によって分離され、ここに、これらの位置のアミノ酸がいずれのアミノ酸であってもよく、ここに、第1組の特定のアミノ酸は、ペプチドDTGをコードする核酸よりなり、ここに、第1の特定の組は核酸の第1の核酸が第1の特定の核酸であり、ここに、第2組の核酸はペプチドDSGまたはDTGのいずれかをコードし、ここに、第2組の核酸の最後の核酸は最後の特定の核酸であり、但し、配列番号:1および配列番号:5に開示された核酸を含まない、を提供する。一つの具体例において、2組の核酸はいずれのアミノ酸でもよい約125ないし222のアミノ酸位置をコードする核酸によって分離される。特定の具体例において、2組の特定の核酸はいずれのアミノ酸であってよい約150ないし172のアミノ酸位置をコードする核酸により分離される。より特定の具体例において、その2組はいずれのアミノ酸であってよい約172のアミノ酸位置をコードする核酸により分離される。例示的なポリヌクレオチドは、配列番号:3に記載される核酸を含む。もう一つの具体例において、2組の核酸は約150ないし196のアミノ酸位置をコードする核酸によって分離される。もう一つの具体例において、2組のヌクレオチドは約196のアミノ酸をコードする核酸によって分離される。例示的なポリヌクレオチドは、配列番号:5の同一組の特定の核酸を分離する同一核酸配列によって分離された2組の核酸を含む。特定の具体例において、2組の核酸は約150ないし190のアミノ酸をコードする核酸によって分離される。もう一つの具体例において、2組のヌクレオチドは約190のアミノ酸をコードする核酸によって分離される。より特定の具体例において、2組のヌクレオチドは配列番号:1の同一組の特定のヌクレオチドを分離する同一の核酸配列によって分離される。一つの具体例において、第1の特定の組のアミノ酸の第1の核酸、すなわち第1の特定の核酸は、そのコドンの核酸が1ないし10,000のアミノ酸を含むいずれかのペプチドをコードするいずれかのコドンに操作可能に連結する。一つの変形において、第1の特定の核酸は、いずれかのレポーター蛋白質または精製を促進する蛋白質よりなる群から選択されるいずれかのペプチドをコードする核酸ポリマーに操作可能に連結する。もう一つの変形において、第1の特定の核酸は、免疫グロブリン−重鎖、マルトース結合蛋白質、グルタチオンSトランスフェクション、グリーン蛍光蛋白質およびユビキチン(ubiquitin)よりなる群から選択されるいずれかのペプチドをコードする核酸ポリマーに操作可能に連結する。もう一つの具体例において、第2組の特定のアミノ酸の最後の核酸、すなわち、最後の特定の核酸は、1ないし10,000のアミノ酸を含むいずれかのペプチドをコードする核酸ポリマーに操作可能に連結する。一つの変形において、最後の特定の核酸は、いずれかのレポーター蛋白質または精製を促進する蛋白質よりなる群から選択されるいずれかのペプチドをコードする核酸ポリマーに連結したいずれかのコドンに操作可能に連結する。もう一つの具体例において、第1の特定の核酸は、免疫グロブリン−重鎖、マルトース結合蛋白質、グルタチオンSトランスフェクション、グリーン蛍光蛋白質およびユビキチンよりなる群から選択されるいずれかのペプチドをコードする核酸ポリマーに操作可能に連結する。
【0007】
本発明は、2組以上の特定の核酸を含有するAPPのベータセクレターゼ切断部位を切断できるプロテアーゼをコードするいずれかの単離されたまたは精製された核酸ポリヌクレオチド、ここに、特定の核酸は、約100ないし300のアミノ酸位置をコードする核酸によって分離され、ここに、それらの位置のアミノ酸がいずれのアミノ酸であってもよく、ここに、第1組の特定のアミノ酸は、DTGをコードする核酸よりなり、ここに、第1の特定の組の核酸の第1の核酸は、第1の特定の核酸であり、ここに、第2組の核酸は、DSGまたはDTGのいずれかをコードし、ここに、第2組の特定の核酸の最後の核酸は、最後の特定の核酸であり、第1の特定の核酸は、0ないし81のいずれかの数のアミノ酸をコードする核酸に操作可能に連結し、ここに、これらの各コドンは、いずれのアミノ酸をコードしてもよい、を提供する。ある具体例において、第1の特定の核酸は、64ないし77のいずれかの数のアミノ酸をコードする核酸に操作可能に連結し、ここに、各コドンは、いずれのアミノ酸をコードしてもよい。特定の具体例において、第1の特定の核酸は、71のアミノ酸をコードする核酸に操作可能に連結する。例えば、第1の特定の核酸は、71のアミノ酸に操作可能に連結し、ここに、それらの71のアミノ酸の第1のものはアミノ酸Tである。もう一つの具体例において、該ポリヌクレオチドは、本明細書に教示されたヒトAsp1またはAsp2に少なくとも95%同一である配列を含む。さらにもう一つの具体例において、第1の特定の核酸は、各コドンがいずれのアミノ酸もコードできる40ないし54のいずれかの数のアミノ酸をコードする核酸に操作可能に連結する。特定の具体例において、第1の特定の核酸は、47のアミノ酸をコードする核酸に操作可能に連結する。例えば、第1の特定の核酸は、第1のそれらの47のアミノ酸がアミノ酸Eである47のコドンに操作可能に連結し、例えば、実施例10に記載の配列番号:29または実施例10に記載の配列番号:29の完全なポリヌクレオチドに少なくとも95%同一である配列を含むポリヌクレオチドである。
【0008】
もう一つの関連する態様において、本発明は、2組以上の特定の核酸を含有するAPPのベータ(β)セクレターゼ切断部位を切断できるプロテアーゼをコードするいずれかの単離されたまたは精製された核酸ポリヌクレオチド、ここに、特定の核酸は、約100ないし300のアミノ酸位置をコードする核酸によって分離され、ここに、これらの位置のアミノ酸は、いずれのアミノ酸であってもよく、ここに、第1組の特定の核酸は、ペプチドDTGをコードする核酸よりなり、ここに、第1の特定の組のアミノ酸の第1の核酸は、第1の特定の核酸であり、ここに、第2組の特定の核酸はペプチドDSGまたはDTGをコードし、ここに、第2組の特定の核酸の最後の核酸の最後の特定の核酸は、50ないし170のいずれかの数のコドンをコードする核酸に操作可能に連結する、を提供する。ある具体例において、最後の特定の核酸は、100ないし170のコドンを含む核酸に操作可能に連結する。特定の具体例において、最後の特定の核酸は、142ないし163のコドンを含む核酸に操作可能に連結する。もう一つの具体例において、最後の特定の核酸は、約142のコドンを含む核酸に操作可能に連結する。例えば、該ポリヌクレオチドは、実施例9に記載の配列番号:21もしくは実施例10に記載の配列番号:29に少なくとも95%同一である配列または実施例9に記載の配列番号:21もしくは実施例10に記載の配列番号:29の完全なポリヌクレオチドを含む。一つの変形において、最後の特定の核酸は、約163のコドンを含む核酸に操作可能に連結する。もう一つの変形において、最後の特定の核酸は、約170のコドンを含む核酸に操作可能に連結する。もう一つの具体例において、第2組の特定の核酸は、ペプチドDSGをコードし、所望により、第1組の核酸ポリヌクレオチドは、ペプチド精製タグに操作可能に連結してもよい。例えば、核酸ポリヌクレオチドは6個のヒスチジンであるペプチド精製タグに操作可能に連結する。さらにもう一つの具体例において、第1組の特定の核酸は一つのポリヌクレオチド上であり、第2組の特定の核酸は第2ポリヌクレオチド上であり、ここに、第1および第2の組は共に少なくとも50のコドンを有する。このタイプの一つの具体例において、第1組の特定の核酸は、1つのポリヌクレオチド上であり、第2組の特定の核酸は、第2のポリヌクレオチド上であり、ここに、第1および第2のポリヌクレオチドは共に少なくとも50のコドンを有し、ここに、双方の該ポリヌクレオチドは同一溶液中にある。関連する態様において、本発明は、上記に記載されたポリヌクレオチドを含有するベクターおよび上記に記載のポリヌクレオチドを含有する細胞または細胞系を提供する。
【0009】
さらにもう一つの態様において、本発明は、2組以上の特定のアミノ酸を含有するAPPのベータ(β)セクレターゼ切断部位を切断できるプロテアーゼであるアミノ酸ポリマーを含むいずれかの単離されたまたは精製されたペプチド、ここに、特定のアミノ酸は、約100ないし300のアミノ酸位置によって分離され、ここに、各アミノ酸位置はいずれのアミノ酸であってもよく、ここに、第1組の特定のアミノ酸はペプチドDTGよりなり、ここに、第1の特定の組のアミノ酸の第1アミノ酸は、第1の特定のアミノ酸であり、ここに、第2組のアミノ酸は、DSGまたはDTGのいずれかを含むペプチドから選択され、ここに、第2組の特定のアミノ酸の最後のアミノ酸は最後の特定のアミノ酸であり、但し、配列番号:2および配列番号:6に開示されたプロテアーゼは含まない、を提供する。ある具体例において、2組のアミノ酸は約125ないし222のアミノ酸位置によって分離され、ここに、各位置において、それはいずれのアミノ酸であってもよい。特定の具体例において、2組のアミノ酸は約150ないし172のアミノ酸によって分離される。もう一つの特定の具体例において、2組のアミノ酸は約172のアミノ酸によって分離される。例えば、該ポリペプチドは配列番号:4に記載されるプロテアーゼである。もう一つの特定の具体例において、2組のアミノ酸は約150ないし196のアミノ酸によって分離される。一つの変形において、2組のアミノ酸は約196のアミノ酸によって分離される。ある具体例において、2組のアミノ酸は配列番号:6の同一組の特定のアミノ酸を分離する同一アミノ酸配列によって分離される。特定の具体例において、2組のアミノ酸は約150ないし190のアミノ酸によって分離される。もう一つの特定の具体例において、2組のヌクレオチドは約190のアミノ酸によって分離される。例えば、2組のヌクレオチドは配列番号:2の同一組の特定のアミノ酸を分離する同一アミノ酸配列によって分離される。一つの具体例において、第1の特定の組のアミノ酸の第1のアミノ酸、すなわち、第1の特定のアミノ酸は、1ないし10000のアミノ酸を含むいずれかのペプチドに操作可能に連結する。もう一つの具体例において、第1の特定のアミノ酸はいずれかのレポーター蛋白質または精製を促進する蛋白質よりなる群から選択されるいずれかのペプチドに操作可能に連結する。特定の具体例において、免疫グロブリン−重鎖、マルトース結合蛋白質、グルタチオンSトランスフェクション、グリーン蛍光蛋白質およびユビキチンよりなる群から選択されるいずれかのペプチドに操作可能に連結する。さらにもう一つの変形において、第2組の特定のアミノ酸の最後のアミノ酸、すなわち、最後の特定のアミノ酸は、1ないし10000のアミノ酸のいずれかのアミノ酸を含むいずれかのペプチドに操作可能に連結する。非限定の例として、最後の特定のアミノ酸はいずれかのレポーター蛋白質または精製を促進する蛋白質よりなる群から選択されるいずれかのペプチドに操作可能に連結する。特定の具体例において、第1の特定のアミノ酸は、免疫グロブリン−重鎖、マルトース結合蛋白質、グルタチオンSトランスフェクション、グリーン蛍光蛋白質およびユビキチンよりなる群から選択されるいずれかのペプチドに操作可能に連結する。
【0010】
また、本発明は、2組以上の特定のアミノ酸を含有するAPPのベータセクレターゼ切断部位を切断できるプロテアーゼをコードするアミノ酸ポリペプチドを含むいずれかの単離されたまたは精製されたペプチドもしくは蛋白質、ここに、特定のアミノ酸は約100ないし300のアミノ酸位置によって分離され、ここに、各位置の各アミノ酸はいずれのアミノ酸であってもよく、ここに、第1組の特定のアミノ酸はアミノ酸DTGよりなり、ここに、第1の特定の組のアミノ酸の第1のアミノ酸は第1の特定のアミノ酸Dであり、ここに、第2組のアミノ酸はDSGまたはDTGのいずれかであり、ここに、第2組の特定のアミノ酸の最後のアミノ酸は最後の特定のアミノ酸Gであり、ここに、第1の特定のアミノ酸は0ないし81のいずれかの数のアミノ酸位置のアミノ酸をコードし、ここに、各位置において、それはいずれのアミノ酸であってもよい、を提供する。一つの具体例において、第1のアミノ酸は約64ないし77のアミノ酸位置のペプチドに操作可能に連結し、ここに、各アミノ酸位置はいずれのアミノ酸であってもよい。特定の具体例において、第1の特定のアミノ酸は71のアミノ酸のペプチドに操作可能に連結する。より特定の具体例において、第1の特定のアミノ酸は71のアミノ酸に操作可能に連結し、それらの71のアミノ酸の第1のものはアミノ酸Tである。例えば、該ポリペプチドは本明細書に記載のアスパルチルプロテアーゼ配列に少なくとも95%同一の配列を含む。もう一つの具体例において、第1の特定のアミノ酸は40ないし54のいずれかの数のアミノ酸に操作可能に連結し、ここに、各アミノ酸位置はいずれのアミノ酸であってもよい。特定の具体例において、第1の特定のアミノ酸は47のアミノ酸のペプチドをコードするアミノ酸に操作可能に連結する。特に特定の具体例において、第1の特定のアミノ酸は47のアミノ酸ペプチドに操作可能に連結し、ここに、第1のそれらのアミノ酸はアミノ酸Eである。例えば、該ポリペプチドは実施例10に記載の配列番号:30に少なくとも95%同一である配列または実施例10に記載の配列番号:30の完全なポリペプチド配列を含む。
【0011】
さらにもう一つの関連する態様において、2組以上の特定のアミノ酸を含有するAPPのベータ(β)セクレターゼ切断部位を切断できるいずれかの単離されたまたは精製されたアミノ酸ポリヌクレオチド、ここに、特定のアミノ酸は約100ないし300のアミノ酸位置によって分離され、ここに、各位置の各アミノ酸は、いずれのアミノ酸であってもよく、ここに、第1組の特定のアミノ酸はDTGをコードするアミノ酸よりなり、ここに、第1の特定の組のアミノ酸の第1のアミノ酸は第1の特定のアミノ酸Dであり、ここに、第2組の特定のアミノ酸はDSGまたはDTGのいずれかであり、ここに、第2組の特定のアミノ酸の最後のアミノ酸は最後の特定のアミノ酸Gであり、それは50ないし170のアミノ酸のいずれかの数のアミノ酸に操作可能に連結し、それはいずれのアミノ酸であってもよい。一つの具体例において、約100ないし170のアミノ酸のペプチドに操作可能に連結する。特定の具体例において、最後の特定のアミノ酸は約142ないし163のアミノ酸のペプチドに操作可能に連結する。もう一つの特定の具体例において、最後の特定のアミノ酸は約142のアミノ酸のペプチドに操作可能に連結する。例えば、該ポリペプチドは実施例9に記載の配列番号:22または実施例10に記載の配列番号:30に少なくとも95%同一である配列を含む。一つの特定の具体例において、最後の特定のアミノ酸は約163のアミノ酸のペプチドに操作可能に連結する。例えば、該ポリペプチドは実施例9に記載の配列番号:22または実施例10に記載の配列番号:30に少なくとも95%同一である配列あるいは実施例9に記載の配列番号:22または実施例10に記載の配列番号:30の完全なポリペプチドを含む。もう一つの具体例において、最後の特定のアミノ酸は約170のアミノ酸のペプチドに操作可能に連結する。特定の具体例において、第2組の特定のアミノ酸はアミノ酸配列DSGを持つペプチドを含む。所望により、該アミノ酸ポリペプチドはペプチド精製タグに操作可能に連結し、例えば、6個のヒスチジンであるペプチド精製タグに操作可能に連結する。一つの変形において、第1組の特定のアミノ酸は1つのポリペプチド上であり、第2組の特定のアミノ酸は第2のポリペプチド上であり、第1および第2のポリペプチドの双方は少なくとも50のアミノ酸を有し、それはいずれのアミノ酸であってもよい。もう一つの変形において、第1組の特定のアミノ酸は、1つのポリペプチド上であり、第2組の特定のアミノ酸は第2のポリペプチド上であり、ここに、第1および第2のポリペプチドの双方は少なくとも50のアミノ酸であり、ここに、該ポリペプチドは共に同一容器内にある。また、本発明は、本明細書に記載のポリペプチドを含有するベクターを提供する。さらに、本発明は、本明細書に記載のポリヌクレオチドを含有する細胞または細胞系を提供する。また、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、ベクターまたは細胞のいずれかの作成方法および本明細書に記載されたベクターまたは細胞のいずれかの作成方法を提供する。
【0012】
2組以上の特定のアミノ酸を含有するAPPのベータセクレターゼ切断部位を切断できるプロテアーゼをコードするアミノ酸ポリペプチドを含むいずれかの単離されたまたは精製されたペプチドもしくは蛋白質、ここに、特定のアミノ酸は約100ないし300のアミノ酸位置によって分離され、ここに、各位置の各アミノ酸はいずれのアミノ酸であってもよく、ここに、第1組の特定のアミノ酸はアミノ酸DTGよりなり、ここに、第1の特定の組のアミノ酸の第1のアミノ酸は第1の特定のアミノ酸Dであり、ここに、第2組のアミノ酸はDSGまたはDTGのいずれかであり、ここに、第2組の特定のアミノ酸の最後のアミノ酸は最後の特定のアミノ酸Gであり、ここに、第1の特定のアミノ酸は0ないし81のいずれかの数のアミノ酸位置のアミノ酸をコードし、ここに、各位置において、それはいずれのアミノ酸であってもよい。
【0013】
本発明は、本明細書に記載のアミノ酸ポリペプチド、ここに、第1のアミノ酸は約30ないし77のアミノ酸位置のペプチドに操作可能に連結し、ここに、各アミノ酸位置はいずれのアミノ酸であってもよい、を提供する。また、本発明は、本明細書に記載のアミノ酸ポリペプチド、ここに、第1の特定のアミノ酸は35、47、71または77のアミノ酸のペプチドに操作可能に連結する、を提供する。
【0014】
本発明は、本明細書に記載のアミノ酸ポリペプチド、ここに、第1の特定のアミノ酸は配列番号:3からの同一の対応するペプチドに操作可能に連結し、それは、配列番号:3のN末端の方向に、第1の特定の配列DTG上のアミノ酸でカウントを開始する長さが35、47、71または77のペプチドである、を提供する。
【0015】
本発明は、本明細書に記載のアミノ酸ポリペプチド、ここに、該ポリペプチドは配列番号:4の同一の対応するアミノ酸に少なくとも95%同一である配列、すなわち、配列番号:4の配列の一部のものに同一である配列を含み、第1の特定のアミノ酸の前の71、47、35のアミノ酸を通りかつそれを含む、N末端方向への第1または第2の特定の核酸の双方からの全配列を含む、を提供する。(実施例10および11)
【0016】
本発明は、本明細書に記載のアミノ酸ポリペプチド、ここに、完全なポリペプチドは71のアミノ酸のペプチドを含み、ここに、第1のアミノ酸はTであって、第2がQである、を提供する。また、本発明は、本明細書に記載の核酸ポリヌクレオチド、ここに、該ポリヌクレオチドは配列番号:3に同一の対応するアミノ酸に少なくとも95%同一の配列、すなわち、71のアミノ酸を通りかつそれを含むN末端方向への第1および第2の特定の核酸からの配列を含む配列番号:3の配列に同一である配列を含み、DTG部位から開始され、71のアミノ酸をコードするヌクレオチドを含む実施例10を参照されたし、を提供する。
【0017】
本発明は、本明細書に記載の核酸ポリヌクレオチド、ここに、完全なポリヌクレオチドは、配列番号:3の同一の対応するアミノ酸に同一である、すなわち、71のアミノ酸を通り、かつそれらを含むN末端方向への第1および/または第2の特定の核酸からの配列を含む配列番号:3の配列に同一であるであることを特徴とし、DTG部位から開始され、71のアミノ酸をコードするヌクレオチドを含む実施例10を参照されたし、を提供する。
【0018】
本発明は、本明細書に記載の核酸ポリヌクレオチド、ここに、第1の特定のアミノ酸は各コドンがいずれのアミノ酸もコードできる約30ないし54のいずれかの数のアミノ酸をコードする核酸に操作可能に連結する、を提供する。
【0019】
本発明は、本明細書に記載の核酸ポリヌクレオチド、ここに、第1の特定の核酸は47のコドンに操作可能に連結し、ここに、それらの35または47のアミノ酸の最初はアミノ酸EまたはGである、を提供する。
【0020】
本発明は、本明細書に記載の核酸ポリヌクレオチド、ここに、該ポリヌクレオチドは、配列番号:3の同一の対応するアミノ酸に少なくとも95%同一である、すなわち、35または47のアミノ酸を通り、かつそれらを含むN末端方向への第1および/または第2の特定の核酸の双方からの配列を含む配列番号:3の配列の一部のものに同一である配列を含み、DTGから開始され、DTG部位の前の従前の35または47のアミノ酸をコードするヌクレオチドを含む、47の実施例についての実施例11に参照されたし、を提供する。本発明の核酸ポリヌクレオチド、ここに、該ポリヌクレオチドは、配列番号:3の同一の対応するアミノ酸に少なくとも95%同一である、すなわち、35または47のアミノ酸を通り、かつそれらを含むN末端方向への第1または第2の特定の核酸の双方からの配列を含む配列番号:3の配列の一部のものに同一である配列を含み、DTGから開始され、DTG部位の前の従前の35または47のアミノ酸をコードするヌクレオチドを含む、47の実施例についての実施例11に参照されたし。
【0021】
ポリヌクレオチドを含む単離核酸分子であって、該ポリヌクレオチドがHu−Aspポリペプチドをコードし、
(a)Hu−Asp1、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)よりなる群から選択されるHu−Aspポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、ここに、該Hu−Asp1、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)ポリペプチドは、各々、配列番号:2、配列番号:4および配列番号:6の完全なアミノ酸配列を有し;および
(b) (a)のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列よりなる群から選択される配列に少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を有する該核酸分子。
【0022】
本発明は、該Hu−AspポリペプチドがHu−Asp1であって、該ポリヌクレオチド分子が配列番号:1のヌクレオチド配列を含む核酸分子;および該Hu−AspポリペプチドがHu−Asp2(a)であって、該ポリヌクレオチド分子が配列番号:3のヌクレオチド配列を含む核酸分子;およびHu−Asp2(b)であるHu−Aspポリペプチドをコードし、該ポリヌクレオチド分子が配列番号:5のヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。本発明は、ストリンジェントな条件下にて、前記のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む単離核酸分子を提供する。また、本発明は、本明細書に記載の核酸分子を含むベクターを提供する。所望により、ベクターは、Hu−Asp1、Hu−Asp2(a)またはHu−Asp2(b)のごときHu−Aspポリペプチドの発現用のプロモーターに操作可能に連結する核酸分子を含む。本発明は、上記に記載のベクターを含む宿主細胞を提供する。また、本発明は、Hu−Aspポリペプチドを獲得する方法であって、上記に記載の宿主細胞を培養し、該Hu−Aspポリペプチドを単離することを特徴とする該方法を提供する。本発明は、配列番号:2のアミノ酸配列を含む配列に少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含む単離されたHu−Asp1ポリペプチド、配列番号:4のアミノ酸配列を含む配列に少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含む単離されたHu−Asp2(b)ポリペプチド、および配列番号:8のアミノ酸配列を含む配列に少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含む単離されたHu−Asp2(a)ポリペプチドを提供する。また、本発明は、本明細書に記載のHu−Aspポリペプチドに特異的に結合する単離された抗体を提供する。
【0023】
ここに、発明者らは酵素をアッセイするための多数の方法を開示する。
本発明は、細胞を同定する方法であって、それを用いて、
(a) βセクレターゼ部位にてAPPを切断できるプロテアーゼを発現する細胞を同定し;
i) 同定されるべき細胞または細胞からの上清を集め、
ii) 非常に重要なペプチドの産生を測定し、ここに、非常に重要なペプチドはAPP C末端ペプチドまたは可溶性APPのいずれかよりなる群から選択され、
iii) 非常に重要なペプチドを産生する細胞を選択することを特徴とするβセクレターゼ活性の阻害剤につきスクリーニングする該方法を提供する。
【0024】
一つの具体例において、細胞を集め、非常に重要なペプチドが、βセクレターゼ切断の結果として創製されたAPPのC末端ペプチドである。もう一つの具体例において、上清は集められ、非常に重要なペプチドは可溶性APPであり、ここに、可溶性APPはβセクレターゼ切断によって創製されたC末端を有する。一つの変形において、細胞が上記に記載の核酸またはポリペプチドのいずれかを含有し、ここに、該細胞は以下のペプチド構造、P2、P1、P1'、P2'、ここに、P2はKまたはNであり、ここに、P1はMまたはLであり、ここに、P1'はDであり、ここに、P2'はAである、を有するいずれかのペプチドのβセクレターゼ部位を切断することが示される。もう一つの変形において、P2はKであって、P1はMであるか、またはP2はNであって、P1はLである。
【0025】
本発明は、上記に記載のいずれかの核酸またはペプチドを含むいずれかの細菌細胞を提供する。例えば、細菌がE. coliである細菌細胞。また、本発明は、上記に記載のいずれかの核酸またはポリペプチドを含むいずれかの真核細胞を提供する。
【0026】
本発明は、上記に記載のいずれかの核酸またはポリペプチドを含むいずれかの昆虫細胞を提供する。考えられるこれらの昆虫細胞はsf9およびHigh 5を含む。また、本発明は、本明細書に記載のいずれかの核酸またはポリペプチドを含む哺乳動物細胞を提供する。例示的な哺乳動物細胞はヒト、齧歯類、ウサギ、霊長類よりなる群から選択され得る。例示的なヒト細胞は、HEK293およびIMR−32を含む群から選択され得る。例示的な霊長類細胞はCOS−7細胞であり得る。齧歯類細胞は、CHO−K1、Neuro−2Aおよび3T3細胞から選択され得る。また、本発明は、前記のいずれかの核酸またはポリペプチドを含む酵母細胞または鳥類細胞を提供する。
【0027】
本発明は、そのアイソフォームの最後の2つのカルボキシ末端アミノ酸が共にリジン残基であるAPPのいずれかのアイソフォームを提供する。アイソフォームは、(突然変異を含めた)APP変異体、およびUS5,766,846(この文書を出典明示して本明細書の一部とみなす)、第7欄45〜67行に記載されたもののごときヒトにおいて存在するAPP断片を含めたいずれかのAPPポリペプチドである。一つの具体例は、その最後の2つがその最後の2つのカルボキシ端末アミノ酸として2つのリジン残基を有するように修飾されたAPP695として知られるアイソフォームを含めた、APPのアイソフォームである。例えば、配列番号:16を含むAPPアイソフォームまたは配列番号:18および20を含むAPPアイソフォーム変異体。また、本発明は、修飾されたAPPアイソフォームをコードする核酸または修飾されたAPPアイソフォームを含むポリペプチドを含むいずれかの真核細胞系を提供する。該細胞系は、哺乳動物細胞系(HEK293、Neuro2a)であり得る。また、本発明は、APPのベータセクレターゼ切断部位を切断する酵素の阻害剤を同定する方法であって、
a) 酵素がAPPのプロセシングおよび培地へのアミロイドベータ−ペプチドの遊離を引き起こし、細胞溶解物中のAPPのCTF99断片の蓄積を引き起こす条件下にて培養基中で細胞を培養し、
b) 試験化合物に培養細胞を曝露し;試験化合物が、培地へのアミロイドベータ−ペプチドの量および/または細胞溶解物中のAPPのCTF99断片の量を測定することによって酵素の機能を阻害するかを具体的に測定し;
c) Asp2阻害剤として、培養基中に存在する可溶性アミロイドベータペプチドの量を減少させるまたは細胞溶解物中のAPPのCTF99断片を減少させる試験化合物を同定することを特徴とする該方法を提供する。
【0028】
例示的な具体例において、培養細胞がヒト、齧歯類または昆虫細胞系である。また、ヒトまたは齧歯類細胞系がβセクレターゼ活性を示し、ここにAPPのプロセシングが培養基へのアミロイドベータ−ペプチドの遊離および細胞溶解物中のCTF99の蓄積を生じると考えられ、その考えられる試験化合物のうちβセクレターゼ活性を示す酵素に対して指向されたアンチセンス・オリゴマーは、培養基への可溶性アミロイドベータ−ペプチドの遊離および細胞溶解物中のCTF99の蓄積を低下させると考えられる。Hu−Asp1、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)よりなる群から選択されるHu−Aspポリペプチドの活性を低下させる薬剤の同定方法であって、
(a) 試験薬剤の存在下および試験薬剤の不存在下にて、該Hu−Aspポリペプチドの活性を測定し、次いで
(b) 該試験薬剤の存在下にて測定した該Hu−Aspポリペプチドの活性と該試験薬剤の不存在下にて測定した該Hu−Aspポリペプチドの活性とを比較し;
それによって、該試験薬剤の不存在下よりも該試験薬剤の存在下にて低レベルの活性は、該試験薬剤が該Hu−Aspポリペプチドの活性を低下させたことを示すことを特徴とする該方法。本明細書に記載された核酸、ペプチド、蛋白質、ベクター、細胞および細胞系、ならびにアッセイ。
【0029】
本発明は、ヒトアスパルチル・プロテアーゼよりなる群から選択されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む単離核酸分子を供する。詳細には、ヒトアスパルチル・プロテアーゼ1(Hu−Asp1)、および本明細書中でHu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)という2つの代替スプライス変異体のヒトアスパルチル・プロテアーゼ2(Hu−Asp2)。本明細書に用いるごとく、「Hu−Asp」に対する全ての参考文献は、Hu−Asp1、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)の全てをいうと理解されるべきである。さらに、本明細書に用いるごとく、「Hu−Asp2」に対する全ての参考文献は、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)の全てをいうと理解されるべきである。Hu−Asp1は膵臓および前立腺の組織に最も豊富に発現され、一方、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)は膵臓および脳の組織に最も豊富に発現される。また、本発明は、単離されたHu−Asp1、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)ポリペプチド、ならびにアスパルチル・プロテアーゼ活性を示すその断片を供する。
【0030】
好ましい具体例において、該核酸分子は、Hu−Asp1をコードする配列番号:1の残基1〜1554、Hu−Asp2(a)をコードする配列番号:3の残基1〜1503、およびHu−Asp(b)をコードする配列番号:5の残基1〜1428よりなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む。もう1つの態様において、本発明は、ストリンジェントな条件下にてHu−Asp1、Hu−Asp2(a)、Hu−Asp2(b)またはその断片をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む単離核酸分子を供する。欧州特許出願EP 0 848 062は、Hu−Asp1に実質的な相同性を担う「Asp 1」と引用されるポリペプチドを開示し、一方、国際出願WO98/22597は、Hu−Asp2(a)に実質的な相同性を担う「Asp 2」と引用されるポリペプチドを開示する。
【0031】
また、本発明は、本発明の単離核酸分子、かかるベクターが挿入された宿主細胞およびHu−Asp1、Hu−Asp2(a)またはHu−Asp2(b)ポリペプチドを得る組換え方法を含み、上記宿主細胞を培養し、関連したポリペプチドを単離することを特徴とする。
【0032】
もう1つの態様において、本発明は、単離されたHu−Asp1、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)ポリペプチド、ならびにその断片を供する。好ましい具体例において、Hu−Asp1、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)ポリペプチドは、各々、配列番号:2、配列番号:4または配列番号:6に与えられたアミノ酸配列を有する。また、本発明は、Hu−Asp2の活性形態、かかる活性形態の調製方法、可溶性形態の調製方法、Hu−Asp2活性の測定方法およびHu−Asp2切断の基質を記載する。また、本発明は、Hu−Asp1、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b) mRNA転写体を標的としたアンチセンス・オリゴマー、およびかかるmRNAおよびその結果としての対応するポリペプチドの産生を記載する。
【0033】
また、本発明のHu−Asp1、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)ポリペプチドのいずれかに特異的に結合するポリクローナルおよびモノクローナルの双方の単離された抗体が供される。また、本発明は、Hu−Asp1、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)のいずれかの活性を調節する試薬の同定方法を供する。本発明は、Hu−Asp2ポリペプチドが添加された無細胞アッセイにおけるかかる薬剤を試験する方法、ならびにHu−Asp2が存在するヒトまたは他の哺乳動物の細胞におけるかかる試薬を試験する方法を記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(配列表の簡単な記載)
配列番号.1−ヒトAsp−1、ヌクレオチド配列
配列番号.2−ヒトAsp−1、アミノ酸配列
配列番号.3−ヒトAsp−2(a)、ヌクレオチド配列
配列番号.4−ヒトAsp−2(a)、予測アミノ酸配列
配列番号.5−ヒトAsp−2(b)、ヌクレオチド配列
配列番号.6−ヒトAsp−2(b)、予測アミノ酸配列
配列番号.7−ネズミAsp−2(a)、ヌクレオチド配列
配列番号.8−ネズミAsp−2(a)、予測アミノ酸配列
配列番号.9−ヒトAPP695、ヌクレオチド配列
配列番号.10−ヒトAPP695、予測アミノ酸配列
配列番号.11−ヒトAPP695−Sw、ヌクレオチド配列
配列番号.12−ヒトAPP695−Sw、予測アミノ酸配列
配列番号.13−ヒトAPP695−VF、ヌクレオチド配列
配列番号.14−ヒトAPP695−VF、予測アミノ酸配列
配列番号.15−ヒトAPP695−KK、ヌクレオチド配列
配列番号.16−ヒトAPP695−KK、予測アミノ酸配列
配列番号.17−ヒトAPP695−Sw−KK、ヌクレオチド配列
配列番号.18−ヒトAPP695−Sw−KK、予測アミノ酸配列
配列番号.19−ヒトAPP695−VF−KK、ヌクレオチド配列
配列番号.20−ヒトAPP695−VF−KK、予測アミノ酸配列
配列番号.21−T7−ヒト−プロ−Asp−2(a)ΔTM、ヌクレオチド配列
配列番号.22−T7−ヒト−プロ−Asp−2(a)ΔTM、アミノ酸配列
配列番号.23−T7−カスパーゼ(caspase)−ヒト−プロ−Asp−2(a)ΔTM、ヌクレオチド配列
配列番号.24−T7−カスパーゼ−ヒト−プロ−Asp−2(a)ΔTM、ヌクレオチド配列
配列番号.25−ヒト−プロ−Asp−2(a)ΔTM(低GC)、ヌクレオチド酸配列
配列番号.26−ヒト−プロ−Asp−2(a)ΔTM(低GC)、アミノ酸配列
配列番号.27−T7−カスパーゼ−カスパーゼ8切断−ヒト−プロ−Asp−2(a)ΔTM、ヌクレオチド酸配列
配列番号.28−T7−カスパーゼ−カスパーゼ8切断−ヒト−プロ−Asp−2(a)ΔTM、アミノ酸配列
配列番号.29−ヒトAsp−2(a)ΔTM、ヌクレオチド配列
配列番号.30−ヒトAsp−2(a)ΔTM、アミノ酸配列
配列番号.31−ヒトAsp−2(a)ΔTM(His)、ヌクレオチド配列
配列番号.32−ヒトAsp−2(a)ΔTM(His)、アミノ酸配列
配列番号:33〜46は発明の詳細な記載に後記される。
【0035】
(発明の詳細な記載)
この発明において用いられた少数の定義は以下の通りであり、用いられた大部分の定義は当業者によって用いられるものである。
【0036】
βアミロイドペプチドの場合、APPのベータセクレターゼ切断から生じるいいずれものペプチド。これは、β−セクレターゼ切断部位から39、40、41、42および43のアミノ酸まで延びる39、40、41、42および43のアミノ酸のペプチドを含む。また、βアミロイド・ペプチドは、1998年5月12日に発行されたUS5,750,349(この文書を出典明示して本明細書の一部とみなす)の配列番号:1〜6である配列1〜6を意味する。本明細書に開示されたβ−セクレターゼ切断断片は、CTF−99と呼ばれ、それはβセクレターゼ切断部位からAPPのカルボキシ末端まで延びる。
【0037】
APPのアイソフォームを言及する場合、意味するものは、US5,766,846(この文書を出典明示して本明細書の一部とみなす)、第7欄45〜67行に記載されたもののごとき、(変異体を含めた)APP変異体、およびヒトにおいて存在するAPP断片を含めたいずれかのAPPポリペプチドである。
【0038】
本明細書に用いられる「β−アミロイド前駆蛋白質」(APP)なる用語は、第21染色体の長腕上のヒトに局在した同一名称の遺伝子によってコードされ、その第三カルボキシル内に、「βAP−ここに、β−アミロイド蛋白質」(上記参照)を含むポリペプチドと定義される。APPは、多数の哺乳動物組織における非常に様々な細胞において発現されたグリコシル化された単一膜にわたる蛋白質である。ヒトに存在することが現在知られているAPPの特定のイソタイプの例は、「正常な」APPとして命名されているKangら(1987) Nature 325:733−736によって記載された695個のアミノ酸ポリペプチド; Ponteら(1988) Nature 331:525−527およびTanziら(1988) Nature 331:528−530によって記載された751個のアミノ酸ポリペプチド;およびKitaguchiら(1988) Nature 331:530−532によって記載された770個のアミノ酸ポリペプチドである。APPの特定の変異体の例には、位置および表現型が共に異なり得る点変異が含まれる(公知の変異体の突然変異の概説についてはHardy(1992)Nature Genet.1:233−234を参照)。全ての参考文献をここに出典明示して本明細書の一部とみなす。本明細書に用いる「APP断片」なる用語は、単独にてβAPまたはβAP断片よりなるもの以外のAPP断片をいう。すなわち、APP断片は、無傷の3APまたはβAPの断片を形成するものに加えてAPPのアミノ酸配列を含有するであろう。
【0039】
「いずれかのアミノ酸」なる用語を用いる場合、アミノ酸とは、以下の用いることができる次の3文字および1文字略語から選択されるべきものをいい、以下の通り供される:
アラニン、Ala、A;アルギニン、Arg、R;アスパラギン、Asn、N;アスパラギン酸、Asp、D;システイン、Cys、C;グルタミン、Gln、Q;lu;E−グルタミン酸、Glu、E;グリシン、Gly、G;ヒスチジン、His、H;イソロイシン、Ile、I;ロイシン、Leu、L;リジン、Lys、K;メチオニン、Met、M;フェニルアラニン、Phe、F;プロリン、Pro、P;セリン、Ser、S;トレオニン、Thr、T;トリプトファン、Trp、W;チロシン、Tyr、Y;バリン、Val、V;アスパラギン酸またはアスパラギン、Asx、B;グルタミン酸またはグルタミン、Glx、Z;いずれかのアミノ酸、Xaa、X。
【0040】
本発明は、アスパルチル・プロテアーゼの単一の活性部位モチーフ特性につき遺伝子データ・ベースを走査する方法を記載する。ペプシンとレニンのごとき真核生物アスパルチル・プロテアーゼは、活性部位内の接近へ2つのアスパルチル残基をもたらすように折りたたむ2つのドメイン構造を保有する。これらは短いトリペプチドモチーフDTGまたは例外的に、DSGに埋め込まれている。大部分のアスパルチル・プロテアーゼは、活性化のためにN末端を切断しなければならないプロ酵素として生じる。DTGまたはDSGの活性部位モチーフは、プロ酵素(レニン、ペプシノーゲン)において約残基65〜70にて現れるが、N末端プロドメインの切断後の活性酵素において約残基25〜30にて現われる。制限された長さの活性部位モチーフは、新規なアスパルチル・プロテアーゼについての短く発現された配列・タグ(EST)の収集を検索することを困難にする。EST配列は典型的には250個以下のヌクレオチドを平均とし、したがって、80〜90個以下のアミノ酸残基をコードするだろう。それがあまりにも短い配列であるので、2つの活性部位モチーフにまたがることができない。好ましい方法は、仮説のまたは組立てられた蛋白質をコードする配列のデータベースを走査することである。本発明は、蛋白質配列データベースにおける候補アスパルチル・プロテアーゼを同定するためのコンピューター方法を記載する。該方法を用いて、Caenorhabditis elegansゲノム中の7つの候補アスパルチル・プロテアーゼ配列を識別した。次いで、これらの配列を用いて、Hu−Asp1と、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)として本明細書に命名されるHu−Asp2の2つの代替スプライス変異体を相同性検索によって同定する。
【0041】
本明細書に記載された発明の主要な態様において、発明者らはAPPプロセシングについて新しい情報を供する。Aβ経路を介するアミロイド前駆蛋白質(APP)の病原性プロセシングは、β−セクレターゼおよびγ−セクレターゼという2つのプロテアーゼの順次作用を必要とする。β−セクレターゼおよびγ−セクレターゼによるAPPの切断は、各々、AβペプチドのN末端およびC末端を生成する。Aβペプチド、特にAβ1−42のオーバープロダクションがアルツハイマー病の開始に関連付けられてきているので、β−セクレターゼおよび/またはγ−セクレターゼのいずれかの阻害剤は、アルツハイマー病の治療に潜在性を有する。APPの病原性プロセシングにおけるβ−セクレターゼおよびγ−セクレターゼの重要性にも拘らず、これらの酵素の分子的な定義は今日まで達成されていない。すなわち、酵素がβ−セクレターゼまたはγ−セクレターゼの切断部位のいずれかにて切断に必要とされるものは不明である。その部位は、それ自体が、APPが公知であり、Aβ1−42ペプチドが公知であるために知られ、US5,766,846およびUS5,837,672(「可溶性」ペプチドの引用を除いて、出典明示して本明細書の一部とみなす)を参照されたし。しかし、Aβ1−42ペプチドの産生において含まれる酵素は不明であった。
【0042】
本発明は、いくつかの新規なヒトアスパルチル・プロテアーゼを含み、Hu−Asp−2(a)およびHu−Asp2(b)というこれらの1つを詳細に特徴付けてきた。asp1およびasp2の従前の形態は開示され、Smith Kline Beecham Corp.に譲渡された発明者David PowelらのEP0848062A2およびEP0855444A2(出典明示して本明細書の一部とみなす)を参照されたし。ここに、Hu−Asp2の古いおよび新しい形態を開示する。初めて、それらは活性形態において表され、それらの基質は開示され、それらの特異性は開示される。この開示の細胞および細胞抽出物がβセクレターゼ部位を切断するのを必要とするのに先立ち、現在の精製された蛋白質がアッセイに用いることができ、また本明細書に記載できる。(1)アンチセンスノックアウト実験、(2)実験における一過性のトランスフェクション・ノック、および(3)精製された組換えHu−Asp−2を用いる生化学的実験の結果に基づいて、発明者らはHu−Asp−2がAPPのプロセシングに関与するβ−セクレターゼであることを示す。Hu−Asp−2(a)のヌクレオチドおよび予測アミノ酸配列は報告されている(前記参照、EP 0848062A2およびEP0855444A2を参照)が、該酵素の機能的な特徴付けは開示されなかった。ここに、発明者らはHu−Asp−2酵素を特徴付けし、それがAβ1−42ペプチドの形成において非常に重要で本質的な酵素であり、ADの発生において非常に重要なステップを可能とするかを説明できる。
【0043】
また、もう一つの具体例において、本発明は今まで開示されていないHu−Asp−2(b)というHu−Asp2の新規なスプライス変異体を記載する。
【0044】
もう一つの具体例において、本発明は、ヒトアスパルチル・プロテアーゼ1(Hu−Asp1)ならびにHu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)として本明細書に命名されたヒトアスパルチル・プロテアーゼ2(Hu−Asp2)の2つの代替スプライス変異体よりなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリペプチドを含む単離核酸分子を供する。本明細書に用いられるごとく、「Hu−Asp2」なる全ての引用は、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)の双方をいうと理解されるべきである。Hu−Asp1は膵臓および前立腺の組織に最も豊富に発現され、一方、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)は膵臓および脳の組織に最も豊富に発現される。また、本発明は、単離されたHu−Asp1、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)ポリペプチド、ならびにアスパルチル・プロテアーゼ活性を示すその断片を供する。
【0045】
Hu−Asp1、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)の予測アミノ酸配列は、ペプシノーゲンA、ペプシノーゲンB、カテプシンD、カテプシンEおよびレニンのごとき従前に同定された哺乳動物アスパルチル・プロテアーゼとかなり相同性を共有する。P.B.Szecs、Scand. J. Clin. Lab. Invest. 52:(Suppl.210 5−22(1992)。これらの酵素は、二連のDTG/DSG配列モチーフの存在によって特徴付けられる。また、本明細書に開示されたHu−Asp1およびHu−Asp2のポリペプチドは、SwissProtデータ・ベースから抽出されたアスパルチル・プロテアーゼについてのProSiteコンセンサス・モチーフと非常に高い相同性を示す。
【0046】
配列番号:1の残基1〜1554として与えられたヌクレオチド配列は、Hu−Asp1をコードするヌクレオチド配列に対応し、配列番号:3の残基1〜1503として与えられたヌクレオチド配列はHu−Asp2(a)をコードするヌクレオチド配列に対応し、配列番号:5の残基1〜1428として与えられたヌクレオチド配列はHu−Asp2(b)をコードするヌクレオチド配列に対応する。Hu−Asp1、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp−2(b)をコードするDNAの単離および配列決定は、実施例1および2に後記される。
【0047】
実施例1および2に記載のごとく、自動配列決定法を用いて、Hu−Asp1、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp−2(b)のヌクレオチド配列を得た。本発明のHu−Aspヌクレオチド配列は、両DNA鎖について得られ、100%正確であると考えられている。しかしながら、当該技術分野において知られるごとく、かかる自動化された方法によって得られたヌクレオチド配列は、いくらかの誤りを含有しかねない。自動化によって決定されたヌクレオチド配列は、所与の核酸分子の実際のヌクレオチド配列に典型的には少なくとも90%、より典型的には少なくとも95%ないし少なくとも99.9%同一である。実際の配列は、当該技術分野においてよく知られたマニュアルの配列決定法を用いてより正確に決定できる。1以上のヌクレオチドの挿入および欠失を生じる配列の誤りの結果、予測アミノ酸が突然変異の点から開始する核酸分子の実際のヌクレオチド配列から予測されるものとは異なるであろうように翻訳においてフレームシフトを生じかねない。本発明のHu−AspDNAには、cDNA、化学合成されたDNA、PCRによって単離されたDNA、ゲノムDNAおよびそれの組合せが含まれる。ゲノムHu−AspDNAは、当該技術分野においてよく知られる方法を用いることによって、本明細書に記載されたHu−Asp2 cDNAで、またはポリメラーゼ鎖反応(PCR)を活性化するであろうHu−Asp2配列から選ばれたオリゴヌクレオチドでゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって得ることができる。また、Hu−AspDNAから転写されたRNAは、本発明によって包含される。
【0048】
遺伝暗号の縮重により、2つのDNAの配列は異なり、依然として同一のアミノ酸配列をコードするかもしれない。かくして、本発明は、本発明のHu−Aspポリペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチド配列を有する単離核酸分子を供し、ここに、該ポリヌクレオチド配列は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6またはその断片の完全なアミノ酸配列を有するHu−Aspポリヌクレオチドをコードする。
【0049】
また、組換え体および非組換え体の双方の精製されたHu−Aspポリペプチドがここに供される。最も重要なことには、活性形態のHu−Asp2ポリペプチドを産生する方法が供されることである。これらには、細菌細胞、昆虫細胞および哺乳動物細胞における、また、細菌、昆虫および哺乳動物の細胞から培養基へのHu−Asp2ポリペプチドの分泌を可能とする形態におけるHu−Asp1ポリペプチドおよびその変異体の産生、また、順次精製を促進するアミノ酸タグを取り込むHu−Asp2ポリペプチドの変異体を精製する方法が含まれる。本発明の好ましい実施例において、N末端配列TQHGIR(配列番号:56)またはETDEEP(配列番号:57)で開始されるHu−Asp2ポリペプチドの活性形態のごとく、形質転換細胞において、または無細胞系における精製および第2のプロテアーゼによる切断後のいずれかにて蛋白質分解的に活性な形態に変換される。また、Hu−Aspのいずれかの生物学的活性を保持する配列番号:2、4および6に与えられる天然のアミノ酸配列を有するHu−Asp蛋白質の断片を含めた変異体および誘導体も本発明の範囲内である。もちろん、当業者ならば、Hu−Asp蛋白質の変異体、誘導体または断片が、その変異体、誘導体または断片を標準的なアスパルチル・プロテアーゼアッセイに付すことによってHu−Asp活性を示すかどうかを容易に決定できるであろう。本発明の範囲内のHu−Aspの断片には、アミノ酸配列DTGを含有する活性部位ドメインを含有するもの、活性部位ドメインアミノ酸配列DSGを含有する断片、DTGおよびDSG活性部位配列の双方を含む断片、DTGおよびDSG活性部位配列のスプライシングが延ばされた断片、スプライシングが短くされた断片が含まれる。また、膜貫通ドメインを除去して可溶性形態におけるHu−Asp2の産生を可能とするHu−Aspの断片も本発明の範囲内である。本発明のもう一つの具体例において、各々が単一活性部位のDTGまたはDSG配列を含有するHu−Asp2の2つの半分は、組換え体ポリペプチドとして独立して産生でき、次いでそれらが活性プロテアーゼを再構築する溶液に合わせることができる。
【0050】
Hu−Asp変異体は、例えば、天然のHu−Aspをコードするヌクレオチド配列の突然変異によって得ることできる。本明細書に引用されるごとく、Hu−Asp変異体は、天然のHu−Aspポリペプチドに実質的に相同性のポリペプチドであるが、それはアミノ酸配列において1以上の欠失、挿入または置換のために天然のHu−Aspのものとは異なるアミノ酸配列を有する。変異体アミノ酸またはヌクレオチド配列は、天然のHu−Asp配列に好ましくは少なくとも約80%同一、より好ましくは少なくとも90%同一、および最も好ましくは少なくとも95%同一である。かくして、例えば、天然のHu−Asp遺伝子に比較して100個のヌクレオチド毎に5つの点変異を含有する変異体ヌクレオチド配列は、天然の蛋白質に95%同一であろう。また、天然および変異のHu−Asp配列間の相同性とも呼ばれる配列同一性のパーセンテージは、例えば、SmithおよびWatermanのアルゴリズム(Adv. Appl. Math. 2: 482-489(1981))を用いるGapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package, Version 8 for Unix, Genetics Computer Group, University Research Park, Madison Wisconsin)のごときこの目的に共通して使用されるコンピュータープログラムのいずれを用いても2つの配列を比較することによって決定できる。
【0051】
天然のアミノ酸配列の変更は、多数の公知の技術のうちのいずれによっても達成できる。例えば、突然変異は、Walderら(Gene 42:133(1986));Bauerら(Gene 37:73(1985));Craik(BioTechniques, January 1985, pp. 12-19);Smith ら(Genetic Engineering: Principles and Methods, Plenum Press(1981)):米国特許第4,518,584号および第4,737,462号によって記載されるオリゴヌクレオチド指令した突然変異のごとき当業者によく知られた手法によって特定の位置にて導入できる。
【0052】
発明の範囲内のHu−Asp変異体は、保存的に置換された配列を含むことができ、これはHu−Aspポリペプチドの1以上のアミノ酸残基がHu−Aspポリペプチドの二次および/または三次の構造を変更しない異なる残基によって置換されることを意味する。かかる置換は、脂肪族残基(Ile、Val、LeuまたはAla)を他のものと置換する、または塩基性残基SerおよびArg、酸性残基GluおよびAsp、アミド残基GlnおよびAsn、ヒドロキル残基SerおよびTyr、または芳香族残基PheおよびTyr間の置換のごとき同様な物理化学的特性を有する残基によるアミノ酸の置換を含み得る。サイレントアミノ酸交換を表現型的に行うことに関するさらなる情報は、Bowieら, Science 247:1306-1310(1990)に見出すことができる。Hu−Aspの生物学的活性を実質的に保持できる他のHu−Asp変異体は、アミノ酸置換が蛋白質の機能領域の外側の領域においてなされるものである。
【0053】
もう一つの態様において、本発明は、ストリンジェントな条件下にて、前記の核酸分子の一部、例えば、先に記載された核酸分子のちの一つの少なくとも約15個のヌクレオチド、好ましくは約20個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約30個のヌクレオチド、さらにより好ましくは30ないし少なくとも約100個のヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む単離核酸分子を供する。記載された長さを有する核酸分子のかかる一部は、例えば、参照核酸分子の少なくとも約15個の隣接するヌクレオチドをいう。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件とは、6×SSC/0.1% SDS中での約42℃にて約2.5時間の一晩のインキュベーション、続いて65℃の1.0×SSC中のフィルターの洗浄を示す。
【0054】
本明細書に記載されたHu−Aspをコードする核酸分子の断片ならびにかかる核酸分子にハイブリダイズできるポリヌクレオチドをポリメラーゼ鎖反応(PCR)におけるプローブまたはプライマーとして用いることができる。かかるプローブを用いて、例えば、in vitroアッセイ、ならびにサーザンおよびノーザンブロットにおいてHu−Asp核酸の存在を検出できる。また、Hu−Aspを発現する細胞タイプは、かかるプローブを用いて同定できる。かかる手法はよく知られており、当業者ならば特定の適用に適した長さのプローブを選定できるであろう。PCRでは、所望のHu−Asp核酸分子の末端に対応する5'および3'プライマーを使用して、従来技術を用いてその配列を単離し増幅する。
【0055】
Hu−Asp核酸分子の他の有用な断片は、(センス鎖を用いる)標的のHu−Asp mRNAまたは(アンチセンス鎖を用いる)Hu−Asp DNA配列に結合できる一本鎖核酸配列を含むアンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドである。本発明の好ましい具体例において、これらのHu−Aspアンチセンスオリゴヌクレオチドは、Hu−Asp mRNAおよびHu−Aspポリヌクレオチドの結果的な産生を低下させる。
【0056】
もう一つの態様において、本発明は、関連した天然のパターンのグリコシル化を含むまたは含まないHu−Aspポリペプチドを含む。Hu−Asp1およびHu−Asp2の双方は、Asn−リンクした糖についての標準的受容体部位を有し、Hu−Asp1はかかる部位の2つを有し、Hu−Asp2は4つを有する。酵母または哺乳動物発現系(後記)において発現されたHu−Aspは、分子量およびグリコシル化パターンにおける天然のHu−Aspポリペプチドに類似するかまたはかなり異なっていてもよい。細菌発現系におけるHu−Aspの発現は、非グリコシル化Hu−Aspを供するであろう。
【0057】
本発明のポリペプチドは、単離された形態において好ましくは供され、好ましくは実質的に精製される。Hu−Aspポリペプチドは、硫酸アンモニウムまたはエタノールの沈殿、アニオンまたはカチオンイオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィーおよび高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含めたよく知られた方法によって、組織、培養細胞または組換え細胞培養物から回収でき精製できる。好ましい具体例において、アミノ酸タグは、当該技術分野の実践者によく知られた遺伝子工学技術を用いてHu−Aspポリペプチドに付加され、それは6個のヒスチジン残基の付加を含み、適当な支持体、限定されるものではないが、T7エピトープ、mycエピトープおよびV5aエピトープを含めたポリクローナルおよびモノクローナル抗体についてのエピトープ上に固定されたニッケルに結合させることによって、および限定されるものではないが、グルタチオンSトランスフェラーゼまたはマルトース結合蛋白質を含めた適当な蛋白質パートナーに対するHu−Asp2の融合によって精製できる。好ましい具体例において、これらのさらなる配列は、Hu−AspのC末端に付加されるが、N末端またはHu−Aspポリペプチド内の介在位置にて付加されてもよい。
【0058】
また、本発明は、本発明のポリペプチド分子を含むベクター、ならびにかかるベクターで形質転換された宿主細胞に関する。本発明のいずれのポリヌクレオチドも一般的に宿主の増殖につき選択的マーカーおよび複製の起源を含むベクターに連結できる。また、本発明は前記のポリヌクレオチド分子から発現されたHu−Aspポリペプチドを供するために、Hu−Aspの発現のベクターが好ましい。ベクターには、哺乳動物、微生物、ウイルスまたは昆虫の遺伝子から由来するもののごとき適当な転写または翻訳の調節配列に操作可能に連結する前記または後記のHu−AspポリペプチドのいずれかのHu−AspをコードするDNAが含まれる。調節配列の例には、転写プロモーター、オペレーターまたはエンハンサー、mRNAリボゾーム結合部位、ならびに転写および翻訳を制御する適当な配列が含まれる。ヌクレオチド配列は、調節配列がHu−AspをコードするDNAに機能的に関連する場合に操作可能に連結する。かくして、プロモーターヌクレオチド配列は、プロモーターヌクレオチド配列がHu−Asp配列の転写を指令するならばHu−Asp DNA配列に操作可能に連結する。
【0059】
Hu−Aspをコードするポリヌクレオチド分子のクローニングについて、またはHu−Aspポリペプチドの発現について用いられるべき適当なベクターの選定は、もちろん、ベクターが形質転換するであろう宿主、適当な場合には、Hu−Aspポリペプチドが発現されるべきである宿主細胞に依存するであろう。Hu−Aspポリペプチドの発現についての適当な宿主細胞には、各々が後記される原核、酵母および高等真核の細胞が含まれる。
【0060】
また、かかる宿主細胞において発現されるべきHu−Aspポリペプチドは、ヘテロローガスな(heterologous)蛋白質からの領域を含む融合蛋白質であり得る。かかる領域は、ポリペプチドの分泌、改善された安定性または精製の促進を可能とすることを含み得る。例えば、適当なシグナルペプチドをコードする配列は発現ベクターに組み込むことができる。シグナルペプチドについてのDNA(分泌リーダー)は、Hu−Aspがシグナルペプチドを含む融合蛋白質として翻訳されるようにHu−Asp配列にイン・フレーム融合できる。示された宿主細胞において機能的であるシグナルペプチドは、Hu−Aspポリペプチドの細胞外分泌を促す。好ましくは、シグナル配列は、細胞からのHu−Aspの分泌に際してHu−Aspポリペプチドから切断されるであろう。本発明を実施するのに用いることができるシグナル配列の非限定例には、sf9昆虫細胞における酵母I因子およびミツバチメラチンリーダーが含まれる。
【0061】
好ましい具体例において、Hu−Aspポリペプチドは、ポリペプチドの精製を促進するのに用いたヘテロローガスな領域を含む融合蛋白質であろう。かかる機能につき用いた多数の入手可能なペプチドは、融合蛋白質と結合パートナーとの選択的な結合を可能とする。例えば、Hu−Aspポリペプチドはペプチドを含むように修飾して、結合パートナーまたはペプチドタグに特異的に結合する融合蛋白質を形成できる。かかるペプチドタグの非限定例には、6−Hisタグ、チオレドキシンタグ、ヘマグルチニンタグ、GSTタグおよびOmpAシグナル配列タグが含まれる。当業者によって理解されるごとく、ペプチドを認識し、結合する結合バートナーは、金属イオン(例えば、金属アフィニティーカラム)、抗体またはその断片を含めたいずれの分子または化合物、ならびにFLAGタグのごときペプチドに結合するいずれの蛋白質またはペプチドであり得る。
【0062】
Hu−Aspポリペプチドについての適当な宿主細胞には、原核、酵母および高等真核の細胞が含まれる。Hu−Aspの発現につき用いられるべき適当な原核生物宿主には、Escherichia、BacillusおよびSalmonella属ならびにPseudomonas、StreptomycesおよびStaphylococcus属のメンバーが含まれる。例えば、E. coliにおける発現では、Hu−Aspポリペプチドには、真核生物宿主における組換え体ポリペプチドの発現を促進するためにN末端メチオニン残基が含まれてもよい。次いで、N末端Metは、発現したHu−Aspポリペプチドから所望により切断できる。他のN末端アミノ酸残基をHu−Aspポリペプチドに付加して、限定されるものではないが、T7リーダー配列、T7−カスパーゼ8リーダー配列、ならびに6−Hisタグのごとき精製用のタグを含む他のリーダーを含めてEscherichia coliにおける発現を促進できる(実施例9)。E. coliにおいて発現されたHu−Aspポリペプチドは、細胞質テール、膜貫通ドメインまたは膜近位領域の除去によって短くできる。E. coliにおいて発現されたHu−Aspポリペプチドは、可溶性形態または不溶性形態のいずれでも得ることができ、それは封入体として存在しても存在しなくてもよい。不溶性ポリペプチドは、グアニジンHCl、尿素または他の蛋白質変性剤によって可溶性にでき、適当な水性緩衝液への希釈または透析によって精製前後の可溶性形態に再度折りたたまれた。Hu−Aspの不活性プロ形態は、組換え法を用いて産生されたならば、それは、ヒト免疫不全ウイルスプロテアーゼのごとき適当なプロテアーゼでプロセグメントを切断して除くことによって活性とできる。
【0063】
真核生物宿主において用いる発現ベクターは、一般的には、1以上の表現型の選択可能なマーカー遺伝子を含む。かかる遺伝子は、一般的には、例えば、抗生物質耐性を与える、または栄養要求性の要求を供給する蛋白質をコードする。非常に広範囲のかかるベクターは、商業的な源から容易に入手可能である。実施例には、pSPORTベクター、pGEMベクター(Promega)、pPROEXベクター(LTI, Bethesda, MD)、Bluescriptベクター(Stratagene)、pETベクター(Novagen)およびpQEベクター(Qiagen)が含まれる。
【0064】
また、Hu−Aspは、Saccharomyces、PichiaおよびKluveromycesを含めた属からの酵母宿主細胞において発現できる。好ましい酵母宿主は、S. cerevisiae およびP. pastorisである。酵母ベクターは、しばしば、2T酵母プラスミド、自律複製配列(ARS)、プロモーター領域、ポリアデニール化のための配列、転写終結配列、選択可能なマーカー遺伝子からの複製配列の起源を含む。また、(シャトルベクターという)酵母およびE. coliの双方において複製可能なベクターを用いることができる。また、酵母ベクターの前記の特徴に加えて、シャトルベクターは、大腸菌における応答および選択のための配列を含むであろう。酵母宿主において発現されたHu−Aspポリペプチドの直接的分泌は、Hu−Aspをコードするヌクレオチド配列の5'末端にて酵母I−因子リーダー配列をコードするヌクレオチド配列の切断によって達成できる。
【0065】
また、昆虫宿主細胞系は、Hu−Aspポリペプチドの発現のために用いることができる。好ましい具体化において、本発明のHu−Aspポリペプチドは昆虫細胞発現系を用いて発現される(実施例10参照)。さらに、バキュロウイルス発現系は、LuckowおよびSummers, Bio/Technology 6:47(1988)によって概説されるごとき昆虫細胞における発現のために用いることができる。
【0066】
もう一つの好ましい具体例において、Hu−Aspポリペプチドは哺乳動物宿主細胞において発現される。適当な哺乳動物細胞系の非限定例には、サル腎臓細胞のCOS−7系(Gluzmanら、Cell 23:175(1981))、ヒト胚腎臓細胞系293、およびチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が含まれる。好ましくは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、Hu−Asp蛋白質の発現のために用いられる(実施例11)。
【0067】
本発明のHu−Aspポリペプチドの発現のための適当な発現ベクターの選択は、もちろん、用いられるべき特定の哺乳動物宿主細胞に依存し、当業者の技量内にある。適当な発現ベクターの実施例には、pcDNA3(Invitrogen)およびpSVL(Pharmacia Biotech)が含まれる。Hu−Aspポリペプチドの発現用の好ましいベクターはpcDNA3.1−Hygro(Invitrogen)である。哺乳動物宿主細胞に用いる発現ベクターは、ウイルスのゲノムに由来した転写および翻訳の制御配列を含むことができる。本発明において用い得る共通して用いられたプロモーター配列およびエンハンサー配列には、限定されるものではないが、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス2、ポリオーマウイルスおよびシミアンウイルス40(SV40)に由来したものが含まれる。哺乳動物発現ベクターの構築方法は、例えば、OkayamaおよびBerg(Mol. Cell. Biol. 3:280(1983));Cosmanら.(Mol. Immunol. 23:935(1986));Cosman ら(Nature 312:768(1984));EP-A-0367566;および WO 91/18982に記載されている。
【0068】
また、本発明のポリペプチドを用いて、Hu−Aspポリペプチド発現は検出するための診断的分析において有用であるポリクローナルおよびモノクローナルの抗体を生起できる。かかる抗体は従来技術によって調製できる。例えば、Antibodies: A Laboratory Manual, Harlow and Land(編), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.,(1988);Monoclonal Antibodies, Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses, Kennetら(編), Plenum Press, New York(1980)参照。また、5ないし20個のアミノ酸を含有するHu−Aspの一部を含む合成ペプチドは、カルボジイミド、グルタルアルデヒド、またはペプチドがシステインを含有するならば、N−メチルマレイミドを含めた種々の架橋試薬を用いて、限定されるものではないが、キーホール・リンペット・ヘモシアニン(KLH)、ニワトリ・オバルブミンまたはウシ血清アルブミンを含めた適当なキャリアー蛋白質に結合後にポリクローナルおよびモノクローナルの抗体の産生のために用いることができる。KLHをコンジュゲートする場合の免疫化に好ましいペプチドは、各々、QRRPRDPEVVNDESSLVRHRWK(配列番号:50)またはLRQQHDDFADDISLLK(配列番号:51)を含むHu−Asp1またはHu−Asp2のC末端を含む。
【0069】
また、本発明のHu−Asp核酸分子は、それらがヒト染色体上の特定の位置とハイブリダイズできるので染色体同定のために価値がある。Hu−Asp1は第21染色体に局在し、一方、Hu−Asp2は染色体11q23.3−24.1に局在している。実際の配列データ(反復多型)に基づいたほとんどの染色体マーキング試薬が、染色体の位置をマークするために現在入手できないので、染色体上の特定の部位を同定する現在の要求がある。一旦配列が正確な染色体位置にマップされたならば、染色体上の配列の物理的な位置は遺伝地図データと関連付けることができる。次いで、同一染色体領域にマップされた遺伝子と疾病との関係は、連鎖解析を通して同定でき、ここに、物理的に隣接した遺伝子の共遺伝は決定される。次いで、特定の疾患と関係するらしい遺伝子が、事実疾患の原因であるかどうかは、影響を受けた個人と影響されない個人との間の核酸配列を比較することによって決定できる。
【0070】
もう一つの具体例において、本発明は、限定されるものではないが、APPのβ−セクレターゼ切断部位を含有する合成ペプチド、好ましくは、KMをNLに変化させる遺伝的ADを持つスウェーデン血族内で見出された突然変異を含むものを含む適当な基質とHu−Aspポリペプチドを溶液中にてインキュベートすることを含むHu−Asp機能、とりわけHu−Asp2機能をアッセイする方法に関し、かかるペプチドは、Hu−Asp蛋白質分解活性の尺度として高速液体クロマトグラフィーによってモニターされるペプチドの切断を用いて、酸性緩衝溶液、好ましくはpH5.5(実施例12参照)の酸性緩衝溶液中の配列SEVNLDAEFR(配列番号:54)を含む。蛋白質分解活性についての好ましいアッセイは、内部クエンチしたペプチドアッセイ基質を利用する。かかる適当な基質には、限定されるものではないが、Hu−Aspによるペプチドの切断がフルロフォア(flurophore)および消去剤の物理的な分離により蛍光の増大を生じるような、各々、クマリンおよびジニトロフェノールを含めた対のフルロフェアおよび消去剤を結合したペプチドが含まれる。Hu−Asp蛋白質分解活性の好ましい熱量計アッセイは、P2とP1のアミノ酸を含む他の適当な基質を利用し、それはHu−Aspによる切断がアルカリ性pHにアッセイ緩衝液を変更した後の光学密度における増加を生じさせるようなアミド結合によってo−ニトロフェノールと結合した切断についての認識部位を含む。
【0071】
もう一つの具体例において、本発明は、Hu−Asp1、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)よりなる群から選択されるHu−Aspポリペプチド活性を増大させる薬剤の同定方法に関し、該方法は、
(a) 試験薬剤の存在下および試験薬剤の不存在下にて、該Hu−Aspポリペプチドの活性を測定し、次いで
(b) 該試験薬剤の存在下にて測定した該Hu−Aspポリペプチドの活性と該試験薬剤の不存在下にて測定した該Hu−Aspポリペプチドの活性とを比較し;
それによって、該試験薬剤の不存在下よりも該試験薬剤の存在下にての高レベルの活性は、該試験薬剤が該Hu−Aspポリペプチドの活性を増大させたことを示すことを特徴とする。かかる試験は、無細胞系のHu−AspポリペプチドおよびHu−Aspならびに変異体またはそのアイソフォームを発現する培養細胞で行うことができる。
【0072】
もう一つの具体例において、本発明は、Hu−Asp1、Hu−Asp2(a)およびHu−Asp2(b)よりなる群から選択されるHu−Aspポリペプチドの活性を低下させる薬剤の同定のための方法に関し、該方法は、
(a) 試験薬剤の存在下および試験薬剤の不存在下にて、該Hu−Aspポリペプチドの活性を測定し、次いで
(b) 該試験薬剤の存在下にて測定した該Hu−Aspポリペプチドの活性と該試験薬剤の不存在下にて測定した該Hu−Aspポリペプチドの活性とを比較し;
それによって、該試験薬剤の不存在下よりも該試験薬剤の存在下にての低レベルの活性は、該試験薬剤が該Hu−Aspポリペプチドの活性を低下させたことを示すことを特徴とする。かかる試験は、無細胞系のHu−AspポリペプチドおよびHu−Aspならびにそのアイソフォームの変異体を発現する培養細胞で行うことができる。
【0073】
もう一つの具体例において、本発明は、アミロイド蛋白質前駆体(APP)からのアミロイドβペプチド(Aβ)のプロセシングを測定するための新規な細胞系(HEK125.3細胞)に関する。該細胞は、第2のシストロン中に修飾されたヒトAPP cDNA、内部リボゾーム・エントリー部位、および増強されたグリーン蛍光蛋白質(EGFP)cDNAを含むpIRES−EGFP(Clontech)に由来するビシストロンのベクターでのヒト胚腎臓293細胞(HEK293)の安定した形質転換体である。該APP cDNAは、APPコード配列のカルボキシル末端に2つのリジンコドンを付加することによって修飾された。これはヒトAPPからのAβペプチドのプロセシングを2〜4倍増加させる。Aβペプチドのプロセシングのこの増大は、形質転換されていないHEK293細胞で見られるより60倍高かった。HEK125.3細胞はAβペプチドプロセシングを阻害する化合物のアッセイに有用であろう。また、本発明は、751および770のアミノ酸アイソフォームを含む他のAPPアイソフォームのC末端に、スウェーデン突然変異配列KM→NLおよびV717→Fを含むヒトADに判明した突然変異を有するAPPのアイソフォームに、β−セクレターゼ切断部位で開始されるものとごときAPPのC末端断片に、膜挿入および分泌のためのN末端シグナルペプチドに操作可能に連結したβ−セクレターゼ切断部位を含むAPPのC末端断片に、およびβ−セクレターゼ切断が該ポリペプチドを発現する細胞の表面からレポーター蛋白質を遊離するように、膜挿入および分泌のためのN末端シグナルペプチドおよび限定されるものではないが、グリーン蛍光蛋白質またはアルカリ性ホスファターゼを含むレポーター配列に操作可能に連結したAPPのC末端断片に2つのリジン残基の付加を含む。
本発明について一般的に記載すると、本発明は、以下の実施例を参照してより容易に理解され、それは例示的に提供され、限定を意図するものではない。
【実施例】
【0074】
実施例1: Wormpep 12におけるアスパルチル・プロテアーゼの同定およびC. elegansアスパルチル・プロテアーゼ遺伝子の同定に有用な検索アルゴリズムの開発:
【0075】
材料および方法:
ペプシンおよびレニンのごとき古典的なアスパルチル・プロテアーゼは、活性部位内に接近して2つのアスパルチル残基をもたらすために折りたたまれた2−ドメイン構造を保有する。これらは、短いトリペプチドモチーフDTGまたはよりまれに、DSGに埋め込まれている。DTGまたはDSGの活性部位モチーフは酵素の約残基25〜30にて現われるが、プロ酵素(レニン、ペプシノーゲン)では約65〜70にて現れる。このモチーフは、再度、下流の約150〜200残基に現れる。プロ酵素は、N末端のプロドメインの切断によって活性化される。このパターンは、遺伝子複製および分岐によって明らかに生起された現代のアスパルチル酵素の二重ドメイン構造を例示する。
かくして;
NH------------X------D25TG ------------Y------------DY+25TG----------------C
ここに、Xは酵素の開始、続いてN末端プロドメインを示し、Yは遺伝子反復が再度開始される分子の中心を示す。
【0076】
HIVプロテアーゼのごときレトロウイルスの酵素の場合において、それらは、ペプシン、カテプシンD、レニン等のごときよく知られた酵素の2−ドメイン構造の半分だけを表わす。それらはプロセグメントを有しないが、ウイルスのgagおよびpol蛋白質を含有するポリプロテイン前駆体から作成される。それらは:
NH---------D25TG--------------------- C100
によって表すことができる。
この「モノマー」は約100個のaaを単に有し、N末端プロドメインをカウントできない約330個程度のaa(N末端の領域支持を数えずに)を有している他のアスパルチル・プロテアーゼ「二量体」と比較して非常に節減されている。
【0077】
真核生物のアスパルチル・プロテアーゼ活性部位モチーフの制限された長さは、新規な配列についてのEST収集を検索することを困難にする。典型的には、
EST配列は250個のヌクレオチドが平均であり、この場合には両アスパルチル・プロテアーゼ活性部位モチーフにわたりそうにない。代わりに、本発明者らはC. elegansゲノムに変えた。C. elegansゲノムは約13,000の遺伝子を含有すると推測されている。これらのうち、約12,000は配列決定され、対応する仮説のオープン・リーディング・フレーム(ORF)はデータベースWormpep12に入れた。本発明者らは本発明者らが特にこの目的のために開発したアルゴリズムを用いて、新規なアスパルチル・プロテアーゼのための高等真核生物の全ゲノム走査の基礎としてこのデータ・ベースを用いた。2つのDTGまたはDSGのモチーフを含む蛋白質の位置を確認するための以下のAWKスクリプトを検索に用い、それをそのアスパルチルモチーフの全てのペアの組合せを回収するために4回反復した。
{RS=">"}を開始せよ(BEGIN{RS=">"})/*FASTA形式用の記録セパレーターとして">"を定義せよ(defines ">" as record separator for PASTA format)*/{pos=index($0,"DTG")/*記録中に"DTG"を見出せ(finds "DTG" in record)*/
(pos>0)ならば(if (pos>0)){
rest = substr($0,pos+3) /*第1のDTG後の記録のrestを得よ(get rest of record after first DTG)*/
pos2 = index(rest,"DTG") /*第2のDTGを見出せ(find second DTG)*/
(pos2>0)ならば("%s%s\n",">",$0)を印刷せよ}(if (pos2>0) printf ("%s%s\n",">",$0) })/*ヒットを報告せよ(report hits)*/
}
}
【0078】
前記のAWKスクリプトを用いて、少なくとも2つのDTGまたはDSGのモチーフを含んでいる、配列エントリーについてのftp.sanger.ac.uk/pub
/database/wormpepからダウンロードされたWormpep12を調べた。AWKを用いて、各レコードを3000以下の文字に制限した。かくして、いずれの場合にもアスパルチル・プロテアーゼをコードしそうにないので、35個程度のより大きなレコードを手動でWormpep12から取り除いた。
【0079】
結果および考察:
これらのうちのいくつか(<10%)は同一遺伝子からの別法のスプライスされた転写体を表すので、Wormpep12データ・ベースは12,178のエントリーを含む。C. elegansゲノム中でコードされた遺伝子数の推定は、約13,000の遺伝子のオーダーであり、したがって、Wormpep12はC. elegans ゲノムの90%以上をカバーすると推測できる。
真核生物のアスパルチル・プロテアーゼは、祖先遺伝子複製からおそらく発生する2−ドメイン構造を含む。各ドメインは、20〜25のアミノ酸残基から各ドメインへ位置した活性部位モチーフD(S/T)Gを含む。レトロウイルス(例えば、HIVプロテアーゼ)またはレトロトランスポソンプロテアーゼは単一の真核生物アスパルチル・プロテアーゼドメインに相同性であるサブユニットのホモダイマーである。AWKスクリプトを用いて、D(S/T)Gモチーフが少なくとも2度生じる蛋白質についてのWormpep12データ・ベースを検索した。これは2つのDTGまたはDSGのモチーフを持つ>60の蛋白質を同定した。視覚的な検査を用いて、アスパルチルドメインの位置が前記の基準に合う2−ドメイン構造を示唆する蛋白質を選択した。
【0080】
さらに、PROSITEの真核生物およびウイルスのアスパルチル・プロテアーゼ活性部位パターンPS00141を用いて、候補アスパルチル・プロテアーゼにつきWormpep12を検索した。(Bairoch A., Bucher P., Hofmann K., The PROSITE database: its status in 1997, Nucleic Acids Res. 24:217-221(1997))。これはWormpep12配列のオーバーラップする組を生成した。これらのうち、7つの配列は2つのDTGまたはDSGのモチーフ、およびPROSITEアスパルチル・プロテアーゼ活性部位パターンを含有した。これらの7つのうち、3個は、それらが祖先遺伝子複製によって生起した蛋白質の族を表わすことを示唆する同一コスミッドクローン(F21F8.3、F21F8.4およびF21F8.7)において判明した。しかしながら、F21F8.3、F21F8.4およびF21F8.7に広範囲な相同性を持つ他の2つのORFは、同一遺伝子クラスタ(F21F8.2およびF21F8.6)において存在し、これらは単一のDTGモチーフだけを含有する。Wormpep12に対するこれらの7つの配列を持つ徹底的なBLAST検索は、DTGおよびDSGのモチーフの2つの繰り返しを含有するC. elegansゲノムにおいてさらなる候補アスパルチル・プロテアーゼを明らかにしなかった。
【0081】
SWISS−PROT、GenPepおよびTREMBLに対する各C. elegans配列を持つBLASTX検索は、R12H7.2が公知の哺乳動物アスパルチル・プロテアーゼに最も接近している昆虫相同体であり、T18H9.2が多少より離れて関連付けられ、一方、CEASP1、F21F8.3、F21F8.4およびF21F8.7が哺乳動物配列に最小の配列相同性を有するサブクラスタを形成することを明らかとした。
【0082】
考察:
APP、プレセニリンおよびp35、cdk5のアクチベーターは全てHIVプロテアーゼの基質特異性に一致する部位にて細胞内の蛋白質分解プロセシングを受ける。同一基質特異性を持つ細胞アスパルチル・プロテアーゼの調節障害は、ADにおけるプラークおよびもつれの病理の原因につき統一する機構を供するかもしれない。したがって、本発明者らは、新規なヒトアスパルチル・プロテアーゼを同定するために調べた。C. elegansにおける全ゲノムの走査は、本発明者らが同定したアスパルチル・プロテアーゼ・プロフィールを支持する7つのオープン・リーディング・フレーム構造を同定した。これらの7つのアスパルチル・プロテアーゼは、たぶん単純な多細胞の真核生物におけるかかるプロテアーゼの完全な相補体を含む。これらは、祖先遺伝子の複製によってたぶん生起したC. elegansに特有の4つの密接に関連するアスパルチル・プロテアーゼを含む。他の3つの候補アスパルチル・プロテアーゼ(T18H9.2、R12H7.2およびC11D2.2)は、哺乳動物遺伝子の配列に対して相同性を有することが判明した。
【0083】
実施例2:ゲノムブリッジングによってミニングするデータ・ベースを用いる新規なヒトアスパルチル・プロテアーゼの同定
材料および方法:
ESTデータ・ベース、cDNAおよび予測ポリペプチド配列のコンピューター支援分析:
CEASP1、F21F8.3、F21F8.4およびF21F8.7配列を持つESTデータベースの徹底的な相同性検索は、いずれの新規な哺乳動物相同体を明らかにしなかった。R12H7.2でのTBLASTN検索は特に活性部位内のDTGモチーフの周囲のカテプシンD、カテプシンE、ペプシノーゲンA、ペプシノーゲンCおよびレニンに対して相同性を示したが、いずれのさらなる新規な哺乳動物アスパルチル・プロテアーゼも同定しなかった。これは、C. elegansゲノムが哺乳動物において祖先遺伝子の複製および結果的な修飾を通して生起した遺伝子族によって表わされる単一のリソソームのアスパルチル・プロテアーゼだけをたぶん含有することを示す。
【0084】
残っているC. elegans配列のT18H9.2でのTBLASTN検索は、新規なヒトアスパルチル・プロテアーゼ(Hu−Asp1)をコードするコンティグ(contig)に組立てたいくつかのESTを同定した。実施例1に前記のごとく、SWISS−PROTに対するHu−Asp1コンティグでのBLASTX検索は、配列の活性部位モチーフが他のアスパルチル・プロテアーゼの活性部位と整列することを明らかとした。LifeSeq、LifeSeqFLおよび公のESTコレクションに対するBLASTN検索の徹底的な反復のラウンドは、単一のコンティグに組立てた複数のcDNAライブラリーから102個のESTを同定した。また、公のESTコレクションにおいて判明したこのコンティグにおける51個の配列は、The Institute for Genome Research(TMR)によって単一のコンティグ(THC213329)へ組み立てられた。TIGRの注解は、それらがコンティグにつきデータベース内でいずれのヒットも見出されなかったことを示す。TIGRコンティグが本発明者らが組み立てたLifeSeqコンティグの逆の相補体であることに注意されたし。ZooSeqにおけるラットおよびマウスのEST配列に対するHu−Asp1のBLASTN検索は、各データベースにおける1つの相同性ESTを明らかにした(各々、Incyte clone 700311523 および IMAGE クローン 313341, GenBank 受入番号 W10530)。
【0085】
LifeSeqFLおよび公のデータベースの双方に対してHu−Aspについての組立てられたDNA配列でのTBLASTN検索は、単一のEST(2696295)によって表わされる第2の関連したヒト配列(Hu−Asp2)を同定した。この部分的なcDNA配列の翻訳は、ウシアスパルチル・プロテアーゼNM1の活性部位モチーフに相同性を有する単一のDTGモチーフを明らかとする。
【0086】
BLAST検索、コンティグ・アセンブリおよび複数の配列整列は、IncyteからのLifeSeq、LifeSeqFLおよびLifeSeq Assembledデータベースで提供された生物学的情報(bioinformatics)ツールを用いて行った。予測蛋白質モチーフは、ProSite辞書(GCG 9におけるMotif)またはPfamデータベースのいずれかを用いて同定した。
【0087】
Hu−Asp1の全長cDNAクローニング
C. elegans配列のT18H9.2CEのオープン・リーディング・フレームを用いて、Incyte LifeSeqおよびLifeSeq−FLデータベースを調べ、1863920CE1という単一電子アセンブリを検出した。このコンティグ、1863920における5'の大部分のcDNAクローンをIncyteから得て、両鎖に対して完全に配列決定した。クローン1863920内に含有されたオープン・リーディング・フレームの翻訳は、二連のアスパルチル・プロテアーゼ活性部位モチーフ(DTG/DSG)の存在を明らかにしたが、5'端は不完全であった。Hu−Asp1をコードする配列の残りは、ヒト胎盤Marathon ready cDNAテンプレート(Clonetech)を用いる5' Marathon RACE分析によって決定した。クローン1863920の5'端に特異的な3'−アンチセンスのオリゴヌクレオチドプライマーをPCRにおけるMarathon readycDNA合成アダプターに特異的な5'−センスプライマーとペアにした。特定のPCR産物は、サイクル配列決定法によって直接的に配列決定し、得られた配列をクローン1863920で組立て、Hu−Asp1(配列番号:1)の完全なコード配列を得た。
【0088】
いくつかの興味深い特徴は、Hu−Asp1(図1、配列番号:2)の主要なアミノ酸配列に存在する。該配列には、シグナルペプチド(配列番号:2の残基1〜20)、プロセグメントおよび2コピーのアスパルチル・プロテアーゼ活性モチーフ(DTG/DSG)を含有する触媒ドメインを含む。第1および第2の活性部位モチーフ間の間隔は、単一の真核生物のアスパルチル・プロテアーゼ・ドメインの予期されたサイズに対応すべき約200の残基である。より興味深いことには、該配列には、そのC末端付近に予測膜貫通ドメイン(配列番号:2における残基469〜492)を含み、これはプロテアーゼが膜に固定されていることを示唆する。この特徴はいずれの他のアスパルチル・プロテアーゼインヒビターにおいても見出されていない。
【0089】
全長Hu−Asp2 cDNAのクローニング
実施例1に前記のごとく、推定アスパルチル・プロテアーゼについてのCaenorhabditis elegansデータベースWormPep12のゲノムの広範囲の走査およびヒトESTデータベースの続いてのミニングは、Hu−Asp1というC. elegans 遺伝子T18H9.2に対するヒト・オルソログ(ortholog)を明らかとする。Hu−Aspにつき組立てられたコンティグを用いて、ヒトESTデータベースにおけるBLAST検索ツールを用いてヒトパラログにつき調べ、約60%共有する同一性を持つ単一のかなりのマッチ(2696295CE1)をLifeSeq FLデータベースにおいて見出した。TIGRから入手可能なgb105PubESTまたはヒトデータベースの族のいずれかの同様な質問は同様なESTクローンを同定しなかった。ヒト子宮cDNAライブラリーからの単一パス配列分析によって同定されたcDNAクローン2696295をIncyteから入手し、両鎖に対して完全に配列決定した。このクローンは、422個のアミノ酸ポリペプチドをコードするが、5'末端にイニシエーターATGを欠く不完全な1266bpのオープン・リーディング・フレームを含む。推定配列の検査は、194個のアミノ酸によって分けられた二連のアスパルチル・プロテアーゼ活性部位モチーフDTG/DSGの存在を明らかとした。LifeSeq ESTデータベースの後の遊離の続いての質問は、ヒト星状細胞cDNAライブラリー(4386993)から配列決定された細胞なるESTを同定し、それはクローン2696295に対しさらなる5'配列を含有するようであった。クローン4386993をIncyteから得て、両鎖に対して完全に配列決定した。クローン4386993およびクローン2696295の比較分析は、クローン4386993が2つのインフレーム翻訳開始コドンを含む31のアミノ酸残基によってオープン・リーディング・フレームを延ばすことを確認した。2つのインフレームATGの存在にもかかわらず、インフレーム停止コドンは、ATGに上流に観察されず、これは4386993が全長ではないであろうことを示す。さらに、クローン2696295および4386993の配列の整列は、2696295における25個のさらなるアミノ酸残基の挿入を生じるクローン4386993に対するクローン2696295における75個の塩基対挿入を明らかにした。Hu−Asp2コード配列の残りは、ヒト海馬のMarathon ready cDNA テンプレート(Clonetech)を用いる5' Marathon RACE分析によって決定した。クローン2696295および4386993の共有した5'領域に特異的な3'−アンチセンスのオリゴヌクレオチド・プライマーをPCRにおけるMarathon ready cDNA 合成アダプターについて特異的な5'−センスプライマーとペアとした。特異的PCR産物は、サイクル配列決定法によって直接的に配列決定し、得られた配列をクローン2696295および4386993の配列で組み立て、各々、Hu−Asp2(a)(配列番号:3)およびHu−Asp2(b)(配列番号:5)の完全なコード配列を得た。
【0090】
いくつかの興味深い特徴は、Hu−Asp2(a)(図3および配列番号:4)およびHu−Asp2(b)(図2、配列番号:6)の主要なアミノ酸配列に存在する。両配列は、シグナルペプチド(配列番号:4番および配列番号:6の残基1〜21)、プロセグメント、および2コピーのアスパルチル・プロテアーゼ活性部位モチーフ(DTG/DSG)を含む触媒ドメインを含む。第1と第2の活性部位モチーフ間の間隔は、各々、Hu−Asp2(b)およびHu−Asp−2(a)につき、Hu−Asp−2(b)における25のアミノ酸残基の欠失のために可変であり、168−対−194のアミノ酸残基から成る。より興味深いことには、両配列には、それらのC末端付近での推定膜貫通ドメイン(配列番号:4における残基455〜477および配列番号:6における残基430〜452)を含み、これはプロテアーゼが膜に固定されていることを示唆する。この特徴はHu−Asp1以外のいずれの他のアスパルチル・プロテアーゼにおいても見出されていない。
【0091】
実施例3.マウスAsp2 cDNAおよびゲノムDNAの分子クローニング。
ネズミAsp2 cDNAのクローニングおよび特徴付け−Hu−Asp2のネズミオルソログをcDNAライブラリー・スクリーニング、PCRおよびゲノムクローニングの組合せを用いてクローニングした。マウス脳cDNAライブラリーからの約500,000個の独立したクローンは、Hu−Asp2から調製した32P標識コード配列プローブを用いてスクリーニングした。複製陽性物をDNA配列決定分析に付し、最長のcDNAは、コード領域において、全3'非翻訳領域および47個のアミノ酸を含有した。前記に決定された5'−大部分のcDNA配列について特異的なアンチセンス・プライマーおよびヒトAsp2配列の5'領域に特異的なセンス・プライマーでの同一マウス脳cDNAライブラリーのPCR増幅に続いてのDNA配列決定分析は、さらなる980bpのコード配列を与えた。ネズミAsp−2の5'配列の残りは、ゲノム配列由来であった(後記参照)。
【0092】
ネズミAsp2遺伝子の単離および配列決定分析−ネズミAsp2 cDNAの一部をコードするネズミEST配列をBLAST検索ツールおよび質問としてHu−Asp2コード配列を用いてGenBank ESTデータベースにおいて同定した。クローンg3160898は、352bpを超えるヒト配列に88%共有して同一性を示した。次いで、ネズミAsp2のこの領域に特異的なオリゴヌクレオチド・プライマー・ペアを合成し、それを用いてネズミ遺伝子の領域を増幅した。129/Svjに由来したネズミゲノムDNAは、ネズミAsp2に特異的な種々のプライマーセットを用いてPCR(25サイクル)および産物をアガロース・ゲル電気泳動によって分析した。プライマー・セットZoo−1およびZoo−4は、公知のcDNA配列に対する比較に基づいたイントロン配列の約600bpを含有する750bpの断片を増幅した。次いで、このプライマーセットを用いて、PCRによってネズミBACライブラリーをスクリーニングし、単一のゲノムクローンを単離し、クローニングし、DNA配列分析によってネズミAsp2遺伝子が含むことを確認した。このAsp2のゲノムのクローンのショットガンDNA配列決定およびHu−Asp2および部分的ネズミcDNA配列の双方のcDNA配列の比較は、ネズミAsp2(配列番号:7)の全長配列を規定した。ネズミAsp2(配列番号:8)の予測アミノ酸配列は、ヒト配列(図4)と比較した18/501アミノ酸残基置換と96.4%共有する同一性(GCG BestFitアルゴリズム)を示した。
【0093】
実施例4:Hu−Asp2転写体発現の組織分布
材料および方法:
Hu−Asp−2発現の組織分布は、Clonetech(Palo Alto, CA)から入手した複数の組織ノーザンブロットを用いて決定した。ベクターpINCYにおけるIncyteクローン2696295は、EcoRI/NotIで完了まで消化し、1.8kbのcDNAインサートを分取用アガロース・ゲル電気泳動によって精製した。この破片は、[32P−dATP](>3000 Ci/ミリモル, Amersham, Arlington Heights, IL)およびDNAポリメラーゼIのKlenow断片の存在下にて無作為なプライミングによって比活性>1×10dpm/μgまで放射性標識した。異なるヒト組織から単離された変性しサイズ分取されたポリARNAを含有するナイロンフィルターをExpressHyb緩衝液(Clonetech,Palo Alto, CA)中の2×10dpm/mlプローブと68℃にて1時間ハイブリダイズし、製造者によって推奨されるごとく洗浄した。ハイブリダイゼーション・シグナルを−80℃にて増感紙を含むBioMax XRフィルム(Kodak, Rochester, NY)を用いてオートラジオグラフィーによって視覚化した。
【0094】
結果および考察:
Hu−Asp2転写体の発現の組織分布に対する限定された情報は、前記の方法を用いて検出した相対的に少数のESTのために、データベース分析から得られた(<5)。Hu−Asp2遺伝子の発現についてさらに詳しい情報を得るために、ノーザンブロットを用いて、Hu−Asp2転写体のサイズおよび豊富さを決定した。一連の末梢組織および脳領域から単離されたPolyARNAは、変性条件下の分離に続いて固体支持体上に示され、Hu−Asp2転写体は、クローン2696295からの放射性標識インサートに高ストリンジェントなハイブリダイゼーションによって視覚化した。2696295cDNAプローブは、3.0kb、4.4kbおよび8.0kbの見かけ上のサイズで移動する転写体の一群を視覚化し、後者の2つの転写体が最も豊富であった。
【0095】
調査された組織を横切るHu−Asp2転写体は、膵臓と脳において最も豊富であったが、胸腺とPBL以外で調べられた全ての他の組織においてより低いが、検出可能なレベルが観察された。また、脳におけるHu−Asp2転写体の相対的な豊富さを仮定すれば、脳領域の領域発現が確立された。同様の一群の転写体サイズを調べた全ての脳領域[小脳、大脳皮質、後頭部柱、前頭葉、側頭葉および果核]おいて検出し、毛髄および脊髄において最高に豊富であった。
【0096】
実施例5:ヒト細胞系におけるHu−Asp−1およびHu−Asp−2の転写体のノーザンブロット検出:
様々なヒト細胞系をHu−Asp1およびAsp2 mRNAを産生する能力につきテストした。ヒト胚腎臓(HEK−293)細胞、アフリカミドリザル(Cos−7)細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HELA細胞および神経芽細胞腫細胞系IMR−32はすべてATCCから入手した。細胞は、密集付近まで5% CO、37℃にて、CHO細胞以外は10%FCSを含有するDME中で培養し、α−MEM/10%FCSに維持した。細胞(3×10)の洗浄された単層を皿上で溶解し、Qiagen Oligotex Direct mRNAキットを用いてポリARNAを抽出した。各細胞系からの2μgのポリARNAを含む試料は、変性条件(グリオキサル処理)下にて分別し、毛管作用によって固体ナイロン細胞膜支持体に移し、転写体をHu−Asp1またはHu−Asp2のいずれかから由来する無作為プライムド標識(32P)コード配列プローブとのハイブリダイゼーションによって視覚化した。放射性シグナルは、X線フィルムへの曝露およびPhosphorImagerでの画像分析によって検出した。
【0097】
Hu−Asp1 cDNAプローブは、ヒト組織において従前に検出された転写体(2.6kbおよび3.5kb)の類似発現を視覚化した。放射性シグナルの定量によって測定された相対的な豊富さはCos−7>HEK292=HELA>IMR32であった。
また、Hu−Asp2 cDNAプローブは、組織(3.0kb、4.4kbおよび8.0kb)に比較した同様の一群の転写体を視覚化し、以下の相対的豊富さであった;HEK293>Cos−7>IMR32>HELA。
【0098】
実施例6:in vitroスクリーニングのためのAβプロセシングを増大させるAPPの修飾
APPからAβペプチドにプロセシングするヒト細胞系は、βおよびγ−セクレターゼの阻害剤用の細胞アッセイ方法においてスクリーニングする手段を供する。培養上清へのAβペプチドの産生および遊離は、酵素免疫測定法(EIA)によってモニターする。APPの発現は広範囲であり、神経性および非神経性の細胞系ペプチドを共にプロセシングし、Aβペプチドを遊離するが、内因性APPプロセシングのレベルは低く、EIAによって検出するのを困難とする。Aβプロセシングは、形質転換した細胞系において、Aβプロセシングを増強するAPPの突然変異を発現させることによって増大できる。本発明者らは、さらに依然として、APP695のカルボキシル末端への2つのリジン残基の付加がAβプロセシングを増大させるという思いがけない観察をした。これは、発明者らが、顕著なレベルの20,000pg/mlにて培養基にAβペプチドを遊離する形質転換細胞系を創製するのを可能とした。
【0099】
材料および方法
材料:
ヒト胚腎臓細胞系293(HEK293細胞)は内部で入手した。ベクターpIRES−EGFPはClontechから購入した。ポリメラーゼ鎖反応(PCR)を用いる突然変異用のオリゴヌクレオチドはGenosysから購入した。ヒトAPP695(配列番号:9[ヌクレオチド]および配列番号:10[アミノ酸])を含有するプラスミドは、Northwestern University Medical Schoolから入手した。これは、Not1部位にてpSK(Stratagene)にサブクローンし、プラスミドpAPP695を創製した。
【0100】
突然変異プロトコール:
スウェーデン突然変異(K670N、M671L)をStratagene Quick Change Mutagenesis キットを用いてpAPP695に導入して、プラスミドpAPP695NL(配列番号:11[ヌクレオチド]および配列番号:12[アミノ酸])を創製した。APP695のC末端のジ−リジンモチーフを導入するために、順方向プライマー#276 5'GACTGACCACTCGACCAGGTTC(配列番号:47)を#276「パッチ」プライマー#274 5'
CGAATTAAATTCCAGCACACTGGCTACTTCTTGTTCTG
CATCTCAAAGAAC(配列番号:48)およびフランキング・プライマー#275 CGAATTAAATTCCAGCACACTGGCTA(配列番号:49)と共に用いて、APP695 cDNA(配列番号:15[ヌクレオチド]および配列番号:16[アミノ酸])の3'端を修飾した。また、これは、pIRES−EGFPの複数のクローニング部位にてBstX1部位と互換性であろうBstX1制限部位を付加した。PCR増幅は、製造者によって供給されたポリメラーゼ・ミックスおよび緩衝液を用いて、Clontech HF Advantage cDNA PCRキットで行った。「パッチ」PCRでは、パッチ・プライマーは、フランキング・プライマーの1/20のモル濃度にて用いた。PCR増幅産物は、QIAquick PCR精製キット(Qiagen)を用いて精製した。制限酵素で消化後、産物を0.8%のアガロース・ゲル上で分離し、次いで、削り取ったDNA破片をQIAquickゲル抽出キット(Qiagen)を用いて精製した。
【0101】
修飾したAPP695−Sw cDNAを再組み立てするために、PCRによって得られたAPP695−Sw cDNAの5'のNot1−Bgl2断片および3'のBgl2−BstX1 APP695 cDNA断片を、Not1とBstX1の部位で開かれたpIRES−EGFPプラスミドDNAに連結した。連結はRapid DNA Ligationキット(Boehringer Mannheim) を用いて室温にて5分間行い、Library Efficiency DH5a Competent Cells(GibcoBRL Life Technologies)に形質転換した。細菌コロニーは、プライマー#276および#275を用いるPCR増幅によるインサートにつきスクリーニングした。プラスミドDNAは、QLAprep Spin Miniprep キット(Qiagen)を用いて哺乳動物細胞トランスフェクションのために精製した。得られた構築体は、pMG125.3(APPSw−KK、配列番号:17[ヌクレオチド]および配列番号:18[アミノ酸])と命名された。
【0102】
哺乳動物細胞トランスフェクション:
トランスフェクション用のHEK293細胞は、10%胎仔ウシ血清を含むダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)において80%密集まで増殖した。共トランスフェクションは、10×10細胞当り3μgのpMG125.3 DNAおよび9μgのpcDNA3.1 DNAを含むLipofectAmine(Gibco-BRL)を用いて行った。トランスフェクションの3日後、細胞は400μg/mlの濃度のG418を含有する培地に継代した。選択培地における3日間の増殖後、細胞をそれらの蛍光によって分類した。
【0103】
FACSによる125.3細胞のクローン選択:
細胞試料は、空気冷却アルゴンレーザーによって供給された488nmの励起線を装備したEPICS E1ite ESP フローサイトメーター(Cou1ter, Hialeah, FL)で分析した。EGFP発光は525nmのバンド通過フィルターを通して測定し、前方および右角度の光散乱によって測定されるごとき生存細胞にゲーティング後に蛍光強度は40対数スケールで表示された。単一の緑色細胞はG418のない増殖培地を含む1つの96ウェルプレートの各ウェルに分けた。4日間の回復期間後に、G418を最終濃度400μg/mlまで培地に添加した。選択後、32%のウェルがクローンの拡大があった。クローンを持つウェルを96ウェルプレートから24ウェルプレート、次いで6ウェルプレートに拡大させ、各継代の最終拡大につき選択されたコロニーは最も急増殖のコロニーであった。選択された最終の細胞系は、最終の6継代されたものが最も急増殖していた。
125.3と呼ばれるこのクローンは、400μg/mlのG418に維持され、4日毎に新たな培地で継代された。EGFP蛍光のAβ産生の喪失は、23継代を超えて見られなかった。
【0104】
AβEIA分析(hAβ1−40/42についての二重抗体サンドイッチELISA):
トランスフェクションの48時間後に採取した細胞培養上清を標準的AβEIAにおいて以下の通り分析した。ヒトAβ1−40または1−42は、モノクローナル抗体(mAb)6E10(Senetek, St. Louis, MO)およびビオチン化したウサギ抗血清162または164(New York State Institute for Basic Research, Staten Island, NY)を用いて、二重抗体サンドイッチELISAにおいて測定した。捕獲抗体6E10は、hAβのN末端アミノ酸残基1〜16上に存在するエピトープに特異的である。コンジュゲートした検出用抗体162および164は、各々、hAβ 1−40および1−42に特異的である。略言すれば、Nunc Maxisorp 96ウェルイムノプレートをpH9.6の0.1M炭酸塩−炭酸水素塩緩衝液に希釈した100μl/ウェルmAb 6E10(5pg/ml)でコートし、4℃にて一晩インキュベートした。0.05%のTween−20(DPBST)を含む0.01M DPBS(Pierce, Rockford, Ilからの修飾ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(0.008Mリン酸ナトリウム、0.002M燐酸カリウム、0.14M塩化ナトリウム、0.01Mの塩化カリウム、pH7))で3回プレートを洗浄した後、プレートは非特異的結合を防止するために200μlの10%正常ヒツジ血清(Sigma)で60分間ブロックした。培養基中のDMSO中の1mg/mlのストック溶液から希釈したヒトAβ1−40または1−42標準品100μl/ウェル(Bachem, Torrance, CA)ならびに100μl/ウェルの試料、例えば、形質転換細胞のならし培地を洗浄後に添加した。プレートを室温にて2時間、次いで4℃にて一晩インキュベートした。翌日、プレートを洗浄した後、DPBST+0.5%BSAに希釈した100μl/ウェルのビオチン化ウサギ抗血清162 1:400または164 1:50を添加し、室温にて1時間15分間インキュベートした。洗浄に続いて、DPBSTにおいて1:10,000で希釈した100μl/ウェルのニュートラアビジン−西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ(Pierce, Rockford, Il)を適用し、室温にて1時間インキュベートした。最終の洗浄後、pH5の50mMクエン酸/100mMリン酸ナトリウム緩衝液(Sigma Chemicals, St. Louis, MO)中の二塩酸o-フェニレンジアミン(Sigma Chemicals, St. Louis, MO)を基質として添加し、発色をSoft max Pro ソフトウエアを用いて、20分間および速度論的マイクロプレートリーダーにおいて450nmにてモニターした。全標準品を三連にて試行した。標準曲線内にある吸光度値を持つ試料は、Soft max Pro ソフトウエアを用いて標準曲線から外挿し、pg/ml培養基で表示した。
【0105】
結果:
APP695のカルボキシル末端への2つのリジン残基の付加は、一過性発現によって示されるごとく、HEK293細胞のAβプロセシングを大きく増大させる(表1)。APP695に対するジ−リジンモチーフの付加は、スウェーデン突然変異を含むAPP695で見られたものへのAβプロセシングを増大させる。スウェーデン突然変異とジ−リジンモチーフとの組合せは、さらに2.8倍までプロセシングをさらに増大させる。
【0106】
pMG125.3およびpcDNA3.1でのHEK293細胞の共トランスフェクションは、G418耐性およびEGDPの高レベル発現についての形質転換細胞の二重選択を可能とする。FACSによるクローン選択の後、得られた細胞系は、24ウェルプレートにおいて36時間増殖させた後の培養基のml当り顕著には20,000pg Aβペプチドを産生した。様々な増殖条件下のAβペプチドの産生を表2にまとめた。
【0107】
【表1】

【0108】
実施例7:HEK125.3細胞におけるAベータプロセシングのアンチセンス・オリゴマー阻害
Hu−Asp1およびHu−Asp2の配列は、標的配列の選択および専売技術(Sequitur Ver. D Pat pending #3002)を用いる第2世代のキメラ・アンチセンス・オリゴマーの設計のために、Sequitur, Inc(Natick, MA)に供給された。アンチセンス・オリゴマー・ロット#S644、S645、S646およびS647はAsp1に対する標的とした。アンチセンス・オリゴマー・ロット#S648、S649、S650およびS651は、Asp2に対する標的とした。対照のアンチセンス・オリゴマー・ロット#S652、S653、S655およびS674は、無関係の遺伝子に対する標的とし、アンチセンス・オリゴマー・ロット#S656、S657、S658およびS659は第2の無関係の遺伝子に対する標的とした。
【0109】
アンチセンス・オリゴマーでのトランスフェクションについては、HEK125.3細胞は、10%胎仔ウシ血清を補足したMinimal Essential Medium(MEM)中の6ウェルプレートにおいて約50%密集まで増殖した。2mg/mlのオリゴフェクチンG(oligofectin G)(Sequitur Inc., Natick, MA)のストック溶液を無血清MEM中に50μg/mlまで希釈した。別に、100μMのアンチセンス・オリゴマー・ストック溶液をOpti−MEM(GIBCO-BRL, Grand Island, NY)中に800nMまで希釈した。次いで、オリゴフェクチンGおよびアンチセンス・オリゴマーの希釈ストックは1:1の比で混合し、室温にてインキュベートした。15分間の培養後、試薬を10%胎仔ウシ血清を含有するMEMに10倍希釈し、まず古い培地を除去した後、6ウェルプレートの各ウェルに2mlを添加した。トランスフェクション後に、細胞をオリゴフェクチンG/アンチセンス・オリゴマーを継続的に存在させて増殖させた。Aβペプチド遊離をモニターするために、24時間から開始して、400μlのならし培地を培養ウェルから周期的に取出し、トランスフェクション後新たな培地で置き換えた。報告したデータは、トランスフェクション48時間後に採取した培養上清からのものである。
【0110】
結果:
Sequitur社から得られた16個の異なるアンチセンス・オリゴマーを別々にHEK125.3細胞にトランスフェクトして、Aβペプチドプロセシングに対するそれらの影響を決定した。Asp1およびAsp2に対して標的とされたアンチセンス・オリゴマーだけが、HEK125.3細胞によってAベータ・プロセシングを低下させ、Asp2に対して標的とされたものはより大きな阻害効果を有した。Aβ(1−40)およびAβ(1−42)は共に、同程度まで阻害された。表3において、パーセント阻害をトランスフェクトしていない細胞に関して計算する。50%を超える阻害を与えるアンチセンス・オリゴマー試薬は、星印でマークした。試験した試薬のうち、ASP1に対して標的とされた4つのアンチセンス・オリゴマーのうちの3つは、Aβ 1−40プロセシングの平均52%の阻害、およびAβ 1−42プロセシングの平均47%の阻害を与えた。ASP2では、4つのアンチセンス・オリゴマーのうちの4つが50%を超える阻害を与え、Aβ 1−40プロセシングでは62%の平均阻害であり、Aβ 1−42プロセシングでは60%であった。
【0111】
【表2】

【0112】
実施例8. 培養細胞におけるHu−Asp2β−セクレターゼ活性の証明
アルツハイマー病の初期の開始に関連したAPPにおけるいくつかの突然変異は、Aβペプチド・プロセシングを変化されることが示されている。これらは、APPからAβを遊離するNおよびC末端切断部位を近接する。これらの切断部位は、各々、β−セクレターゼおよびγ−セクレターゼの切断部位と呼ばれる。β−セクレターゼ部位でのAPPの切断は、11,145ダルトンの分子量の99個のアミノ酸を含むAPPのC末端断片を創製する。β−セクレターゼ切断部位のすぐ上流のスウェーデンKM→NL突然変異は、Aβの1−40および1−42の両アミノ酸形態の産生において全般的な増大を引き起こす。ロンドンVF突然変異(APP770アイソフォームにおけるV717→F)は、合計Aβペプチド産生に対してほとんど影響を有しないが、APPプロセシングの間に用いたγ−セクレターゼ切断部位の選択に影響することによってAβペプチドのより長い1−42アミノ酸形態のパーセンテージを優先的に増大させるようである。かくして、本発明者らは、これらの突然変異が、Hu−Asp2の発現を指令する構築体で共トランスフェクトされた培養細胞によって産生されたAβペプチドの量およびタイプを変更するかを決定するために調べた。
【0113】
2つの実験を行い、培養細胞中のHu−Asp2 β−セクレターゼ活性を証明する。第1の実験において、実施例7に記載されるHu−Asp2転写体に対して指令されたアンチセンス・オリゴマーでのHEK125.3細胞の処理は、β−セクレターゼ切断(CTP99)によって創製されたAPPのC末端の断片量を低下させることが判明した(図9)。これは、Hu−Asp2が、直接的または間接的に作用して、β−セクレターゼ切断を促すことを示す。第2の実験において、トランスフェクトしたマウスNeuro2A細胞におけるHu−Asp2発現の増大は、CTP99 β−セクレターゼ切断断片の蓄積を増大させることを示す(図10)。C末端のジ−リジンモチーフを含有する突然変異体APP−KKクローンがトランスフェクションに用いられる場合、この増大は最も容易に見られる。Hu−Asp2がスウェーデン突然変異KM→NLを含有するAPP−Sw−KKで共トランスフェクトする場合、一層の増大が見られる。スウェーデン突然変異はβ−セクレターゼによるAPPの切断を増大させることが知られている。
【0114】
第2組の実験は、Hu−Asp2がヒト胚腎臓HEK293細胞での共トランスフェクション実験においてγ−セクレターゼ活性を促進することを示す。APP−KKクローンでのHu−Asp2の共トランスフェクションは、HEK293細胞からの可溶性Aβ1−40およびAβ1−42ペプチドの産生および遊離を大きく増大させる。Aβ1−42の遊離に比例してより大きな増大がある。Hu−Asp2が、ロンドンV717→F突然変異を含有するAPP−VF(配列番号:13[ヌクレオチド]および配列番号:14[アミノ酸])またはAPP−VF−KK 配列番号:19[ヌクレオチド]および配列番号:20[アミノ酸])クローンで共トランスフェクトされる場合、Aβ1−42の産生におけるさらなる増大が見られる。そのV717→F突然変異は、Aβ42部位での切断の優先性が増大するようにAPPγ−セクレターゼの切断特異性を変更することが知られている。かくして、Asp2は、直接または間接的に作用して、β42切断部位でのAPPのγ−セクレターゼ・プロセシングを促す。
【0115】
材料
抗体6E10および4G8はSenetek(St. Louis, MO)から購入した。抗体369はロックフェラー大学のPaul Greengard研究室から入手した。抗体C8はHarvard Medical School and Brigham and Women's HospitalのDennis Selkoe研究室から入手した。
【0116】
用いたAPP構築体
トランスフェクション実験に用いたAPP構築体には以下のものが含まれる。
APP 野生型APP695(配列番号:9および10)
APP−Sw スウェーデンKM→NL突然変異を含むAPP695
(配列番号:11および12)
APP−VF ロンドンV→F突然変異を含むAPP695
(配列番号:13および14)
APP−KK C末端KKモチーフを含むAPP695
(配列番号:15および16)
APP−Sw−KK C末端KKモチーフを含むAPP695−Sw
(配列番号:17および18)
APP−VF−KK C末端KKモチーフを含むAPP695−VF
(配列番号:19および20)
【0117】
これらは、PCRで導入された適当なリンカー配列を用いるNot1とBstX1との間のベクターpIRES−EGFP(Clontech, Palo A1to CA)に挿入された。
【0118】
HEK293細胞、HEK125.3細胞およびNeuro−2A細胞におけるアンチセンス・オリゴマーまたはプラスミドDNA構築体のトランスフェクション
ヒト胚腎臓HEK293細胞およびマウスNeuro−2a細胞を、Gibco/BRLからのLipofectamine Plus試薬を用いる発現構築体でトランスフェクトした。細胞は、70〜80%密集密度まで24ウェル組織培養プレート内にまいた。プレート当り4ウェルをOptiMEM中の2μgのDNA(3:1、APP:共トランスフェクタント)、8μlのPlus試薬および4μlのリポフェクタミンでトランスフェクトした。OptiMEMを1mlの合計容量まで添加し、ウェル当り200μlを分配し、3時間培養した。共トランスフェクションに用いた2つのプラスミドの比、ならびにトランスフェクションに用いたDNAの合計量を一定に保持することに注意した。トランスフェクション培地を抗生物質/抗真菌剤を含むDMEM、10%FCS、ピルビン酸ナトリウムで置き換え、細胞を標準条件(37°、5% CO)下にて48時間培養した。ならし培地をポリプロピレン試験管に移し、先の実施例に記載のごときEIAによってAβ1−40およびAβ1−42の含量につきアッセイするまで−80℃にて貯蔵した。HEK125.3細胞へのアンチセンス・オリゴマーのトランスフェクションは実施例7に記載に同じであった。
【0119】
細胞抽出物の調製、ウェスタンブロット・プロトコール
細胞は、約60時間プラスミドDNAでトランスフェクトした後に採取した。最初に、細胞はプレートから15mlのコニカルチューブに移し、1,500rpmにて5分間遠心して、培地を取り除いた。細胞ペレットをPBSで1回洗浄した。次いで、本発明者らは、溶解緩衝液(pH7.9の10mM HEPES、15mM NaCl、10%グリセロール、1mM EGTA、1mM EDTA、0.1mMバナジウム酸ナトリウムおよび1% NP−40)で細胞を溶解した。溶解した細胞混合物は、5000rpmにて遠心し、上清を細胞抽出物として−20℃にて貯蔵した。HEK125.3細胞からの等量の抽出物をAsp2のアンチセンス・オリゴマーでトランスフェクトし、対照をAPPのC末端を認識する抗体369で沈降させ、次いで、CTF99を抗体6E10で免疫沈降において検出した。実験は、さらにAPPのC末端を認識する第2の沈降抗体C8を用いて繰り返した。Hu−Asp2およびAPP−KK、APP−Sw−KK、APP−VF−KKまたはAPP−VFで共トランスフェクトしたマウスNeuro−2a細胞からの抽出物のウェスタンブロットでは、等量の細胞抽出物が4〜10%または10〜20%のトリシン(Tricine)勾配ゲル(NOVEX, San Diego, CA)を介して電気泳動された。全長APPおよびCTF99 β−セクレターゼ産物は抗体6E10で検出した。
【0120】
結果
Asp2−1またはAsp2−2のアンチセンス・オリゴマーでのHEK125.3細胞のトランスフェクションは、逆配列(Asp2−1の逆およびAsp2−2の逆)を有する対照オリゴマーで同様にトランスフェクトした細胞に比較して、CTF β−セクレターゼ産物の産生を低下させた。共トランスフェクション実験において、APP−KK構築体でのマウスNeuro−2a細胞へのHu−Asp2の共トランスフェクションは、CTF99の形成を増大させた。これは、Hu−Asp2がβ−セクレターゼ・プロセシングを増大させるスウェーデンKM→NL突然変異を含む突然変異形態であるAPP−Sw−KKで共発現された場合、これはさらに増大した。
【0121】
APPでのHu−Asp2の共トランスフェクションは、Aβ40産生に対してほとんど効果かなかったが、背景より上にAβ42産生を増大させた(表4)。APPのC末端へのジ−リジン・モチーフの付加は、約2倍Aβペプチド・プロセシングを増大するが、Aβ40およびAβ42産生は、全く低いままである(各々、352pg/mlおよび21pg/ml)。APP−KKでのAsp2の共トランスフェクションは、Aβ40およびAβ42産生を共にさらに増大させる。Hu−Asp2によるAβ40産生の刺激は3倍を超え、一方、Aβ42の産生は10倍を超えて増大した。かくして、Hu−Asp2およびAPP−KK構築体の共トランスフェクションはAβ42産生を優先的に増大させる。
【0122】
APP V717→F突然変異は、Aβ42切断部位でのγ−セクレターゼ・プロセシングを増大させることが示されている。APP−VFまたはAPP−VF−KK構築体でのHu−Asp2の共トランスフェクションは、pcDNA共トランスフェクション対照に比較して、Aβ42産生を増大するが(APP−VFで2倍の増大およびAPP−VF−KKで4倍の増大、表4)、Aβ40産生に対して混合効果を有した(APP−VFでわずかな低下およびAPP−VF−KKで2倍の増大)。かくして、Aβ42産生に対するAsp2の効果は、Aβ42/合計Aβの比の増大に比例してより大きく導かれる。実際には、Aβ42/合計Aβの比は、Hu−Asp2およびAPP−VF−KKで共トランスフェクトしたHEK293細胞において42%という非常に高い値に達する。
【0123】
ウェスタンブロットは、Hu−Asp2 mRNAを標的とするアンチセンス・オリゴマーでトランスフェクトしたHEK125.3細胞によるCTF99産生の低下を示す。(右側の)ウェスタンブロットは、Hu−Asp2およびAPP−KKで共トランスフェクトしたマウスNeuro−2a 細胞におけるCTF99産生の増大を示す。CTP99産生のさらなる増大は、Hu−Asp2およびAPP−Sw−KKで共トランスフェクトした細胞において見られる。
【0124】
【表3】

【0125】
実施例9.ヒトAsp2Lの細菌性発現
E. coliにおける組換え体Hu−Asp2Lの発現。
Hu−Asp2Lは、T7タグ(配列番号:21および22)またはT7タグに続くカスパーゼ 8リーダー配列(配列番号:23番および24)のごときN末端配列の付加後、E. coliにおいて発現できる。あるいは、突然変異を指令する部位によって5'配列のGC含量をの低下を用いて、Hu−Asp2(配列番号:25および26)の収量を増大できる。加えて、Asp2は、蛋白質分解の切断部位(配列番号:27番および28)で作成できる。発現および再折りたたみ後の可溶性蛋白質を産生させるために、膜貫通ドメインおよび細胞質テールの欠失、または膜近位領域、膜貫通ドメインおよび細胞質テールの欠失が好ましい。
【0126】
方法
適当なリンカー配列を含むプライマーでのPCRを用いて、T7タグ(配列番号:21および22)またはT7−カスパーゼ 8つのリーダー(配列番号:23および24)を含むN末端の配列修飾とのAsp2コード配列の融合体を組み立てた。これらの構築体は、T7プロモーターが複数のクローニング部位の配列に先行してT7タグの発現を指令する発現ベクターpet23a(+)[Novagen]でクローニングした。pet23a+のT7リーダーの後のHu−Asp2配列をクローニングするために、以下のオリゴヌクレオチドは、選択されたHu−Asp2配列の増幅のために用いられた:
#553=GTGGATCCACCCAGCACGGCATCCGGCTG(配列番号:35)、
#554=GAAAGCTTTCATGACTCATCTGTCTGTGGAATGTTG(配列番号:36)
それは、各々、インサートの5'および3'端を隣接して挟むBamHIおよびHindIIIの部位を位置させた。Asp2配列は、25サイクルの2工程PCRサイクルにおける68℃でのアニーリングおよび伸長を用いる製造者が供給したプロトコールに従って、Advantage-GC cDNA PCR[Clontech]を用いてpcDNA3.1にクローニングした全長Asp2(b)cDNAから増幅した。インサートおよびベクターはBamHIおよびHindIIIで切断し、アガロース・ゲルを介する電気泳動によって精製し、次いで、Rapid DNA Ligationキット[Boerhinger Manaheim]を用いて連結した。連結反応体を用いて、E. coli株JM109(Promega)を形質転換し、コロニーをプラスミド精製(Qiagen,Qiaprep minispin)およびDNA配列決定分析のために採取した。イソプロピルb−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)での誘導を用いる誘導可能な発現では、発現ベクターをE. coli株BL21(Statagene)に移した。細菌培養は、100μg/mlのアンピシリンの存在下にてLB培地において増殖させ、1mM IPTGで0.6〜1.0のOD600にてログ・フェーズ増殖に37℃にて4時間誘導した。細胞ペレットは、遠心によって採取した。
【0127】
T7タグおよびカスパーゼリーダー(配列番号:23および24)の後のHu−Asp2配列をクローニングするために、T7−Hu−Asp2配列(配列番号:21および22)を含む前記の創製した構築体をBamH1部位にて開き、次いで、燐酸化されたカスパーゼ 8リーダー・オリゴヌクレオチド#559=GATCGATGACTATCTCTGACTCTCCGCGTGAACAGGACG(配列番号:37)、#560=GATCCGTCCTGTTCACGCGGAGAGTCAGAGATAGTCATC(配列番号:38)をアニーリングし、ベクターDNAに連結した。オリゴヌクレオチドの各セットについての5'突出部をBamHI部位にそれが連結するが、BamHIで続いて消化されないことを可能とするように設計した。連結反応体は、E. coli株BL21へ移した後の蛋白質発現の分析につき前記のごとくJM109に形質転換した。asp2の5'末端のGC含量を低下させるために、1対の逆平行のオリゴを、G/CからA/Tまでの15のアミノ酸位置の縮重したコドン塩基を変更するように設計した(配列番号:25および26)。asp2の5'端の新しいヌクレオチド配列はコードされたアミノ酸を変化させず、E. coli発現を最適化するために選定した。センス・リンカーの配列は、5'
CGGCATCCGGCTGCCCCTGCGTAGCGGTCTGGGTGGTGCTCCACTGGGTCTGCGTCTGCCCCGGGAGACCGACGAA G3'(配列番号:39)である。アンチセンス・リンカーの配列は、5'
CTTCGTCGGTCTCCCGGGGCAGACGCAGACCCAGTGGAGCACCACCCAGACCGCTACGCAGGGGCAGCCGGATGCCG 3'(配列番号:40)である。0.1M NaCl−pH7.4の10mMトリスにおいて燐酸化されたリンカーを一緒にアニーリングした後、それらはベクターpTACにおけるHu−Asp2中のユニークなClaIおよびSmaI部位に連結した。イソプロピル b−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)での誘導を用いる誘導可能な発現では、細菌培養は、100μg/mlのアンピシリンの存在下にてLB培地において増殖させ、1mM IPTGで0.6〜1.0のOD600にてログ・フェーズ増殖において37℃にて4時間誘導した。細胞ペレットは、遠心によって採取した。
【0128】
リーダー配列が、これがN末端配列GSFVで開始されるHu−Asp2ポリペプチド(配列番号:27および28)を遊離させるようにカスパーゼ8での制限された蛋白質分解によって取り出せるベクターを創製するために、以下の手法に従った。カスパーゼ 8切断部位IETDを含む2つの燐酸化されたオリゴヌクレオチド、#571=5'
GATCGATGACTATCTCTGACTCTCCGCTGGACTCTGGTATCGAAACCGACG(配列番号:41)、および#572
=GATCCGTCGGTTTCGATACCAGAGTCCAGCGGAGAGTCAGAGATAGTCATC(配列番号:42)をアニーリングし、BamHIで開かれたpET23a+に連結した。JM109への形質転換後、精製したベクターDNAを回収し、インサートの起源をDNA配列分析によって確認した。+、以下のオリゴヌクレオチドを選択したHu−Asp2配列の増幅のために用いた:
#573=5'AAGGATCCTTTGTGGAGATGGTGGACAACCTG(配列番号:43)、
#554=GAAAGCTTTCATGACTCATCTGTCTGTGGAATGTTG(配列番号:44)
それらを各々、インサートの5'および3'端を隣接して挟むBamHIとHindIIIの部位を位置させた。Asp2配列は、25サイクルの2工程PCRサイクルにおける68℃でのアニーリングおよび伸長を用いる製造者が供給したプロトコールに従って、Advantage-GC cDNA PCR[Clontech]を用いてpcDNA3.1にクローニングした全長Asp2(b)cDNAから増幅した。インサートおよびベクターはBamHIおよびHindIIIで切断し、アガロース・ゲルを介する電気泳動によって精製し、次いで、Rapid DNA Ligationキット[Boerhinger Manaheim]を用いて連結した。連結反応体を用いて、E. coli株JM109[Promega]を形質転換し、コロニーをプラスミド精製(Qiagen,Qiaprep minispin)およびDNA配列決定分析のために採取した。イソプロピルb−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)での誘導を用いる誘導可能な発現では、発現ベクターが、E. coli株BL21(Statagene)に移された。細菌培養は、100μg/mlのアンピシリンの存在下にてLB培地において増殖させ、1mM IPTGで0.6〜1.0のOD600にてログ・フェーズ増殖において37℃にて4時間誘導した。細胞ペレットは、遠心によって採取した。
【0129】
精製を支援するために、6−Hisタグは、BamHI部位にて構築体を開き、次いで、アニーリングし6個のヒスチジン配列を含有する燐酸化されたオリゴヌクレオチド
#565=GATCGCATCATCACCATCACCATG(配列番号:45)、
#566=GATCCATGGTGATGGTGATGATGC(配列番号:46)
において連結することによって、T7リーダーに続いて前記の構築体のいずれにも導入できる。各セットのオリゴヌクレオチドについての5'突出部は、BamHI部位に結合するが、BamHIで続いて消化されないことを可能とするように設計した。
【0130】
細菌ペレットの調製:
10.8Lの増殖を表す36.34gの細菌ペレットは、2M KCl、0.1Mトリス、0.05M EDTA、1mM DTT中で3000ないし5000rpmにて20mmの組織ホモジナイザー・プローブを用いて、200mlの合計容量に分散させた。伝導率は水で約193mMhosに調整した。ペレットを分散させた後、さらなる量のKCl溶液を添加し、合計容量を500mlとした。この懸濁物を同一プローブを用いて5000rpmにてさらに約3分間ホモジナイズした。次いで、混合物は10000psiにてRannie高圧ホモジナイザーを通過させた。
【0131】
全ての場合には、ペレット物質を進展させ、一方、可溶性画分は廃棄した。得られた溶液をGSAローター中で12500rpmにて1時間遠心した。ペレットは、2000rpmにて同一組織ホモジナイザー・プローブを用いて、(DTTなくして)同一溶液中に再懸濁した。3000rpmにて5分間ホモジナイズの後、容量を同一溶液で500mlに調整し、12500rpmにて1時間回転させた。次いで、前記のごとくペレットを再懸濁したが、この時、最終的な容量は同一溶液で1.5Lに調整し、5分間ホモジナイズした。30分間同一速度にて遠心した後、この手順を繰り返した。次いで、ペレットは、約150mlの冷水に再懸濁し、GSAローターで用いた6本の遠心試験管からペレットをプールした。ペレットは3,000rpmにて5分間ホモジナイズし、容量を冷水で250mlに調整し、次いで、30分間回転させた。得られたペレットの重量は17.75gであった。
【0132】
まとめ:KCl溶液中の細菌ペレットの溶解、続いてのGSAローターにおける遠心を用いて、ペレットを最初に調製した。次いで、同一溶液を用いて、さらに3回再懸濁/ホモジナイズした。次いで、最終的な水洗浄/ホモジナイズを行い、過剰なKClおよびEDTAを除去した。
【0133】
rHu−Asp2Lの可溶化:
ペレットの9〜10ml/グラムの比率は、先に記載されたペレットからのrHu−Asp2Lを可溶化するために利用された。17.75gのペレットを解凍し、150mlの8MグアニジンHCl、5mM βME、0.1%DEAを添加した。3Mトリスを用いて、pHを8.6に調整した。ペレットは、最初に1000rpmにて20mmの組織ホモジナイザー・プローブを用いて、グアニジン溶液に再懸濁した。次いで、混合物は4℃にて1時間撹拌し、GSAローター中で12,500rpmにて1時間遠心した。次いで、得られた上清をSS−34ローター中で40,000×gにて30分間遠心した。次いで、最終上清は50mlを除いて、20℃にて貯蔵した。
【0134】
可溶化されたrHuAsp2Lの固定化ニッケル・アフィニティークロマトグラフィー:
以下の溶液を利用した:
A)6MグアニジンHCl、0.1M NaP、pH8.0、0.01Mトリス、5mM、βME、0.5mMイミダゾール、
A')6M尿素、20mM NaP、pH6.80、50mM NaCl
B')6M尿素、20mM NaP、pH6.20、50mM NaCl、12mM イミダゾール
C')6M尿素、20mM NaP、pH6.80、50mM NaCl、300mMイミダゾール
注:緩衝液A'およびC'を適当な比で混合して、中間濃度のイミダゾールを得た。
50mlの可溶化された材料を50mlの緩衝液Aと合わせ、5×10cmのBio-Rad econoカラム中の100〜125mlの(緩衝液Aで予め平衡させた)Qiagen Ni-NTA SuperFlowに添加した。これを冷室内で4℃にて一晩ゆっくり振盪した。
【0135】
クロマトグラフィー工程:
1) 得られたフロー・スルー画分を排出する。
2) (フロー・スルー画分を集めて)50mlの緩衝液Aで洗浄する
3) 250mlの緩衝液Aで洗浄する(洗浄1)
4) 250mlの緩衝液Aで洗浄する(洗浄2)
5) 250mlの緩衝液A'で洗浄する
6) 250mlの緩衝液B'で洗浄する
7) 250mlの緩衝液A'で洗浄する
8) 250mlの75mMイミダゾールで溶出する
9) 250mlの150mMイミダゾールで溶出する(150−1)
10) 250mlの150mMイミダゾールで溶出する(150−2)
11) 250mlの300mMイミダゾールで溶出する(300−1)
12) 250mlの300mMイミダゾールで溶出する(300−2)
13) 250mlの300mMイミダゾールで溶出する(300−3)
【0136】
クロマトグラフィー結果:
rHu−Aspは、75mMイミダゾールから300mMイミダゾールまでにて溶出した。75mM画分ならびに第1の150mMイミダゾール(150−1)画分は、クーマシーブルー染色ゲル上で視覚化される汚染蛋白質を含有した。従って、画分150−2および300−1は、それらが最大量の蛋白質を含有するために再折りたたみ実験に利用されるだろう(クーマシーブルー染色ゲルを参照)。
【0137】
rHuAsp2Lの再折りたたみ実験:
実験1:
40mlの150−2は、1M DTT、pH7.4の3MトリスおよびDEAで、各々、6mM、50mMおよび0.1%の最終濃度までスパイクした。これを(撹拌しつつ)200mlの(4℃の)冷却したp6.8の20mM NaP、150mM NaClで突然に希釈した。この希釈は、1Mの最終尿素濃度を与えた。室温または4℃にて空気に曝露してもこの溶液は透明のままであった。
【0138】
次いで、4℃にて4〜5時間空気に曝露した後、この溶液をpH7.4の20mM NaP、150mM NaCl、20%のグリセロールに対して一晩透析した。この方法は、蛋白質を沈殿させることなく溶液中の尿素を効果的に除去した。
【0139】
実験2:
いくらかの150−2溶出液をAmicon Centriprep, 10,000MWCO上で2回濃縮し、次いで、実施例1のごとく処理した。また、この材料を可視の沈殿なく、溶液中にとどめた。
【0140】
実験3:
89mlの150−2溶出液は、1M DTT、pH7.4の3MトリスおよびDEAで、各々、6mM、50mMおよび0.1%の最終濃度までスパイクした。これを(撹拌しつつ)445mlの(4℃の)冷却したp6.8の20mM NaP、150mM NaClで突然に希釈した。この溶液は透明であり、明白な沈殿はなかった。この溶液を室温まで戻し、10分間撹拌し、0.1mMの最終濃度までMEAを添加した。これを室温にて1時間ゆっくり撹拌した。次いで、シスタミンおよびCuSOを、各々、最終濃度の1mMおよび10μMまで添加した。溶液を室温にて10分間ゆっくり撹拌し、4℃の冷室に移し、一晩ゆっくり撹拌し、空気に開けた。
【0141】
翌日、(依然とした透明で、明らかな沈殿はない)溶液を100,000×gにて1時間遠心した。複数の試行からの上清をプールし、大量の安定化した蛋白質をpH7.4の20mM NaP、150mM NaCl、20%のグリセロールに対して透析した。透析後、材料を−20℃にて貯蔵した。
いくらか(約10ml)の蛋白質溶液(依然として1M尿素中)を生化学的分析のために戻し保存し、貯蔵のために−20℃にて凍結した。
【0142】
実施例10.昆虫細胞におけるHu−Asp2および誘導体の発現
バキュロウイルス感染による発現−Hu−Asp2およびいくつかの誘導体のコード配列をPCRを用いて昆虫細胞における発現のために作成した。全長配列では、翻訳開始部位を修飾してKozakコンセンサス配列に適合する5'−センス・オリゴヌクレオチド・プライマーは、Hu−Asp2配列中の天然の翻訳停止コドンを含む、3'−アンチセンス・プライマーとペアとした。pcDNA3.1(hygro)/Hu−Asp2テンプレートのPCR増幅(実施例12を参照)。また、C末端の膜貫通ドメインを欠失する(配列番号:29および30)、または膜貫通ドメインを欠失し、C末端にてヘキサ−ヒスチジンタグを導入する(配列番号:31および32)Hu−Asp2の2つの誘導体をPCRを用いて作成した。前記の同一5'−センス・オリゴヌクレオチド・プライマーは、テンプレートとしてpcDNA3.1(hygro)/Hu−Asp−2Lを用いるPCRにおいて、(1)コドン453(配列番号:3)後の翻訳停止を導入する、または(2)ヘキサ−ヒスチジンタグに続いて翻訳停止コドンを組込むいずれかの3'−アンチセンス・プライマーとペアとした。すべての場合に、PCR反応は、供給者によって概説されたごときPwoI DNAポリメラーゼ(Boehringer-Mannheim)を用いて、15サイクルにて増幅して行った。反応産物はBamHIおよびNotIで完了まで消化し、BamHIおよびNotI消化したトランスファー・ベクターpVL1393(Invitrogen)に連結した。部分連結を用いて、コンピテントであるE. coliDH5α細胞を形質転換し、続いてLB−Ampで抗生物質選択をした。プラスミドDNAを標準的アルカリ性溶解によって調製し、CsClにバンドさせて、バキュロウイルス・トランスファー・ベクターpVL1393/Asp2、pVL1393/Asp2ΔTMおよびpVL1393/Asp2ΔTM(His)を得た。組換え体バキュロウイルスの創製およびsf9昆虫細胞の感染は、標準的方法を用いて行った。
【0143】
トランスフェクションによる発現−High 5昆虫細胞におけるHu−Asp2ΔTMおよびHu−Asp2ΔTM(His)の一過性および安定した発現を昆虫発現ベクターpIZ/V5Hisを用いて行った。発現プラスミド・ベクターpVL1393/Asp2、pVL1393/Asp2ΔTMおよびpVL1393/Asp2ΔTM(His)からのDNAインサートは、標準的方法を用いて、BamHIおよびNotIで二重消化によって切り取り、BamHIおよびNotIで消化されたpIZ/V5−Hisにサブクローニングした。pIZ/Hu−Asp2ΔTM、およびpIZ/Hu−Asp2ΔTM(His)という、得られた発現プラスミドは、前記のごとく調製した。
【0144】
トランスフェクションでは、High5昆虫細胞は、密閉フラスコ中で27℃にて10μg/mlのゲンタマイシンを補足したHigh Five無血清培地中で培養した。トランスフェクションは、標準的方法を用いて、High Five細胞、10μg/mlのゲンタマイシンを補足したHigh Five無血清培地およびInsectinPlusリポソーム(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて行った。
【0145】
大規模な一過性のトランスフェクションでは、1.2×10個のhigh five細胞を150mmの組織培養皿で培養し、室温にて15〜30分間付着させた。付着時間の間、DNA/リポソーム混合物を6mlの無血清培地、60μgのAsp2ΔTM/pIZ(+/−His)DNAおよび120μlのInsectin Plusを混合することによって調製し、室温にて15分間培養した。平板培養培地を細胞の皿から取出し、室温にて4時間DNA/リポソーム混合物で置き換え、2rpmにて一定に振盪させた。さらなる6mlの培地を皿に添加し、湿潤培養器中で27℃にて4日間培養した。トランスフェクション4日後に、培地を採取し、500×gでの遠心によって透明とし、ウェスタンブロットによってAsp2発現につきアッセイした。安定した発現では、細胞を50μg/mlZeocinで処理し、生存プールを用いて、限界希釈法に続いて、前記のごとき発現レベルの分析によってクローン細胞を調製した。
【0146】
Hu−Asp2ΔTMおよびHu−Asp2ΔTM(His)の精製−Hu−Asp2からの膜貫通セグメントの除去の結果、ポリペプチドが培養基へ分泌された。バキュロウイルスの感染またはトランスフェクションのいずれかによる蛋白質産生に続いて、ならし培地を採取し、遠心によって透明とし、トリス−HCl(pH8.0)に対して透析した。次いで、この材料は、NaCl勾配を用いるアニオン交換クロマトグラフィー(トリス−HCl、pH8.0)に続いてカチオン交換クロマトグラフィー(pH4.5の酢酸緩衝液)によって順次クロマトグラフィーによって精製した。この溶出プロフィールは、(1)ウェスタンブロットおよび(2)実施例12に記載のペプチド基質を用いる活性アッセイ方法によってモニターした。Hu−Asp2ΔTM(His)では、ならし培地をトリス緩衝液(pH8.0)に対して透析し、IMAC樹脂に続いてアニオン交換クロマトグラフィーの順次クロマトグラフィーによって精製した。
精製したHu−Asp2ΔTM(His)蛋白質の配列分析は、シグナルペプチドが切断されたことを明らかにした[TQHGIRLPLR(配列番号:52)]。
【0147】
実施例11.CHO細胞におけるHu−Asp2の発現
CHO−K1細胞におけるHu−Asp2の不均―発現−Hu−Asp2の全コード配列は、過発現を駆動するためのCMV即時型プロモーターおよびbGHポリアデニル化シグナルを含有する哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1(+)Hygro(Invitrogen, Carlsbad, CA)にクローニングした。発現プラスミドpcDNA3.1(+)Hygro/Hu−Asp2は、アルカリ性溶解によって調製し、CsCl中でバンドし、両鎖に対して完全に配列決定して、コード配列の完全性を確認した。
【0148】
野生型チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO−K1)はATCCから入手した。該細胞は5%COの37℃にて10%FCSを含有するα−MEM中の単層培養において維持した。CHO−K1細胞(60%密集)の2つの100mm皿は、供給者から推奨されたカチオン性リポソームDOTAPを用いて、pcDNA3.1(+)/Hygro単独(モック)またはpcDNA3.1(+)Hygro/Hu−Asp2でトランスフェクトした。細胞は、プラスミドDNA/リポソーム混合物で15時間処理し、次いで、培地を500単位/mlのハイグロマイシンBを含有する増殖培地で置き換えた。pcDNA3.1(+)Hygro/Hu−Asp2で形質転換したCHO−K1細胞の場合には、個々のハイグロマイシンB耐性細胞は、限界希釈法によってクローニングした。個々の細胞系のクローン発現後、Hu−Asp2蛋白質の発現は、E. coliにおける発現によって調製された組換え体Hu−Asp2に対して生起されたポリクローナルウサギ抗血清を用いるウェスタンブロット分析によってアクセスした。密集付近の皿の各細胞系をPBSに廃棄することによって採取し、細胞を遠心によって回収した。細胞ペレットは、プロテアーゼインヒビターを含有する冷溶解緩衝液(25mMトリス−HCl(8.0)/5mM EDTA)中に再懸濁し、細胞を音波処理によって溶解した。可溶性および膜の画分は、遠心(105,000×g、60分間)によって分離し、次いで、各画分からの標準化された量の蛋白質をSDS−PAGEによって分離した。の分離したポリペプチドのPVDF膜へ電気移動の後、Hu−Asp2L蛋白質をウサギ抗−Hu−Asp2抗血清(1/1000希釈液)を用いて検出し、抗体−抗原複合体をヤギ抗ウサギ抗体(1/2500)でコンジュゲートしたアルカリ性フォスファターゼを用いて視覚化した。65kDaの見掛けのMr値を持つ特異的な免疫反応蛋白質をpcDNA3.1(+)Hygro/Hu−Asp2をトランスフェクトした細胞中で検出したが、モックでトランスフェクトした細胞においては検出されなかった。また、Hu−Asp2ポリペプチドは、推定配列における単一ペプチドおよび単一膜貫通ドメインの存在と一致する膜画分中にだけ検出された。これらの分析に基づき、クローン#5は、高発現レベルのHu−Asp2蛋白質を有し、この産生細胞系をスケールアップして、精製用の材料を供した。
【0149】
CHO−K1/Hu−Asp2クローン#5からの組換え体Hu−Asp−2Lの精製−典型的な精製において、20個の150mm皿の密集細胞から由来するクローン#5細胞ペレットを出発材料として用いた。細胞ペレットは、前記のごとき50mlの冷溶解緩衝液に再懸濁させた。細胞をポリトロン均質化(2×20秒)によって溶解し、溶解物を338,000×gにて20分間遠心した。次いで、膜ペレットは、50mM β−オクチルグルコシドを含有する20mlの冷溶解緩衝液に再懸濁し、4℃にて1時間振盪させた。洗浄抽出物を338,000×gにて20分間遠心して透明とし、上清をさらなる分析のために取った。
【0150】
β−オクチルグルコシド抽出物は、25mMトリス−HCl(pH8.0)/50mM β−オクチルグルコシドで予め平衡化したMono Qアニオン交換カラムに適用した。試料の適用後、カラムは線形勾配のNaCl濃度(30分にわたる0〜1.0M)で溶出し、個々の画分をウェスタンブロット分析によっておよびβ−セクレターゼ活性につきアッセイした(以下参照)。Hu−Asp2L免疫反応性およびβ−セクレターゼ活性の双方を含有する画分をプールし、25mM NaOAc(pH4.5)/50mM β−オクチルグルコシドに対して透析した。透析後、沈殿した材料を遠心によって取出し、可溶性材料を25mM NaOAc(pH4.5)/50mM β−オクチルグルコシド中に予め平衡化したMonoSカチオン交換カラムのクロマトグラフィーに付した。そのカラムを線形勾配のNaCl濃度(30分にわたる0〜1.0M)で溶出し、個々の画分をウェスタンブロット分析によっておよびβ−セクレターゼ活性につきアッセイした。Hu−Asp2免疫反応性およびβ−セクレターゼ活性を共に含む画分を合わせ、SDS−PAGE/クーマシーブルー染色によって>90%純粋であると決定した。
【0151】
実施例12.ペプチド基質を用いるHu−Asp2β―セクレターゼ活性のアッセイ
β−セクレターゼ・アッセイ−β−セクレターゼ活性はUVで検出するRP−HPLCによりAPPスウェーデン突然変異を含有する合成ペプチドの加水分解を定量することによって測定された。各反応物は50mM Na−MES(pH5.5)、1% β−オクチルグルコシド、ペプチド基質(SEVNLDAEFR、70μM;配列番号:54)、および酵素(1〜5μg蛋白質)を含有した。反応は、37℃にて種々の回数でインキュベートし、反応産物を30分間にわたる0〜70Bの線形勾配を用いるRP−HPLCによって分析した(A=水中0.1%TFA、B=).1%TFA/10%水/90%AcCN)。溶出プロフィールは、214nmでの吸光度によってモニターした。予備的実験において、無傷のペプチド基質の前に溶出した2つの生成物ピークが、エドマン配列決定法およびMADLI−TOF質量分析の双方を用いて配列DAEFRおよびSEVNLを有することを確認した。ペプチド基質のパーセント加水分解は、214nmでの吸光度から誘導された2つの生成物ペプチドおよび出発物質についての統合ピーク面積を比較することにより計算した。プロテアーゼ切断反応の特異性は、プロテアーゼインヒビターのカクテル(8μMペプスタチA、10μMロイペプチン、10μM E64および5mM EDTA)の存在下にてβ−セクレターゼ・アッセイを行うことによって決定した。
【0152】
代替的なβ−セクレターゼ・アッセイは内部クエンチした蛍光基質を利用して、単一試料または複数ウェル形式における蛍光分光学を用いて酵素活性をモニターする。各反応物は50mM Na−MES(pH5.5)、ペプチド基質MCA−EVKMDAEF[K−DNP](配列番号:58)(BioSource International)(50μM)および精製したHu−Asp2酵素を含有した。これらの成分は、種々の回数にて37℃に平衡化され、反応を基質添加によって開始した。励起は330nmにて行い、反応速度は、390nmでの蛍光発光を測定することによってモニターした。Hu−Asp−2活性を調節する化合物を検出するために、試験化合物を、反応のプレインキュベーション相の間に添加し、反応速度を前記のごとくモニターした。アクチベーターは、蛍光出現速度を増大させる化合物として評価し、一方、阻害剤は、蛍光出現速度を低下させる化合物として評価した。
【0153】
本発明は、これまでの記載および実施例に特に記載されたものとは別の方法で実施できることも明らかであろう。
本発明の多数の修飾および変形は、前記教示に徴して可能であり、したがって、本発明の範囲内である。
本明細書に引用された全刊行物の全ての開示を出典明示して本明細書の一部とみなす。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1−1】図1は、ヒトAsp1のヌクレオチド(配列番号:1)および予測アミノ酸配列(配列番号:2)を示す。
【図1−2】図1は、ヒトAsp1のヌクレオチド(配列番号:1)および予測アミノ酸配列(配列番号:2)を示す。
【図2−1】図2は、ヒトAsp2(b)のヌクレオチド(配列番号:5)および予測アミノ酸配列(配列番号:6)を示す。
【図2−2】図2は、ヒトAsp2(b)のヌクレオチド(配列番号:5)および予測アミノ酸配列(配列番号:6)を示す。
【図3−1】図3は、ヒトAsp2(a)のヌクレオチド(配列番号:3)、および予測アミノ酸配列(配列番号:4)を示す。
【図3−2】図3は、ヒトAsp2(a)のヌクレオチド(配列番号:3)、および予測アミノ酸配列(配列番号:4)を示す。
【図4】図4は、ネズミAsp2(a)のヌクレオチド(配列番号:7)および予測アミノ酸配列(配列番号:8)を示す。
【図5】図5は、Hu−Asp2(a)(配列番号:4)およびネズミAsp2(a)(配列番号:8)の予測アミノ酸配列のBestFit整列を示す。
【図6−1】図6は、T7−ヒト−プロ−Asp2(a)ΔTMのヌクレオチド(配列番号:21)および予測アミノ酸配列(配列番号:22)を示す。
【図6−2】図6は、T7−ヒト−プロ−Asp2(a)ΔTMのヌクレオチド(配列番号:21)および予測アミノ酸配列(配列番号:22)を示す。
【図7−1】図7は、T7−カスパーゼ−ヒト−プロ−Asp−2(a)ΔTMのヌクレオチド(配列番号:23)および予測アミノ酸配列(配列番号:24)を示す。
【図7−2】図7は、T7−カスパーゼ−ヒト−プロ−Asp−2(a)ΔTMのヌクレオチド(配列番号:23)および予測アミノ酸配列(配列番号:24)を示す。
【図8−1】図8は、ヒト−プロ−Asp−2(a)ΔTM(低GC)のヌクレオチド(配列番号:25)および予測アミノ酸配列(配列番号:26)を示す。
【図8−2】図8は、ヒト−プロ−Asp−2(a)ΔTM(低GC)のヌクレオチド(配列番号:25)および予測アミノ酸配列(配列番号:26)を示す。
【図9】Hu−Asp2 mRNAを標的とするアンチセンス・オリゴマーでトランスフェクトしたHEK125.3細胞によるCTF99産生の低下を示すウエスタンブロット。
【図10】Hu−Asp2で共トランスフェクトしたこれらの細胞においてのみ、Hu−Asp2を含むまたは含まないAPP−KKで共トランスフェクトしたマウスNeuro−2a細胞におけるCTF99産生の増大を示すウェスタンブロット。CTF99産生のさらなる増大はHu−Asp2で共トランスフェクトしたそれらの細胞においてのみ、Hu−Asp2を含むまたは含まないAPP−Sw−KKで共トランスフェクトした細胞に見られた。
【図11】図11は、ヒトAsp2(a)ΔTMの予測アミノ酸配列(配列番号:30)を示す。
【図12】図12は、ヒト−Asp(a)ΔTM(His)の予測アミノ酸配列(配列番号:30)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)図2(配列番号:6)に記載のアミノ酸配列;
(b)図3(配列番号:4)に記載のアミノ酸配列;
(c)アスパルチル・プロテアーゼ活性を示す(a)または(b)の断片;および
(d)保存置換を除く(a)または(b)あるいは(c)に同一のアミノ酸配列を有する(a)〜(c)の保存置換変異体(ここに、該保存置換変異体がアスパルチル・プロテアーゼ活性を示す)
よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離もしくは精製ポリペプチド。
【請求項2】
図3(配列番号:4)に記載のアミノ酸配列を含むか、またはアスパルチル・プロテアーゼ活性を保持するその断片を含む請求項1記載の単離もしくは精製ポリペプチド。
【請求項3】
図2(配列番号:6)に記載のアミノ酸配列を含むか、またはアスパルチル・プロテアーゼ活性を保持するその断片を含む請求項1記載の単離もしくは精製ポリペプチド。
【請求項4】
該断片が、Asp2アスパルチル・プロテアーゼ活性部位トリペプチドDTGおよびDSGを含み、該ポリペプチドがAPPのアミロイドベータへのプロセシングに関与するアスパルチル・プロテアーゼ活性を示す請求項2または3のいずれか1記載の単離もしくは精製ポリペプチド。
【請求項5】
図2(配列番号:6)または図3(配列番号:4)に記載のアミノ酸配列を含む請求項1記載の単離もしくは精製ポリペプチド。
【請求項6】
保存置換変異体が(a)または(b)あるいは(c)に少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、(a)、(b)または(c)の保存置換変異体である請求項1記載の単離もしくは精製ポリペプチド。
【請求項7】
宿主細胞が核酸によりコードされたポリペプチドを発現する条件下、ポリペプチドをコードする核酸で形質転換またはトランスフェクションされた該宿主細胞を培養し、ここに、該核酸が、図2(配列番号:6)または図3(配列番号:4)に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチドを含み、次いで
発現されたポリペプチドを単離する工程を含むプロセスにより生成された請求項1記載の単離もしくは精製ポリペプチド。
【請求項8】
配列番号:4または配列番号:6のAsp2蛋白質アミノ酸配列の断片を含み、ここに、該断片が、該アスパルチル・プロテアーゼ活性部位トリペプチドDTGおよびDSGを含み、かつAPPのアミロイドベータへのプロセシングに関与するアスパルチル・プロテアーゼ活性を示し、ここに、該ポリペプチドは膜貫通ドメインを欠き、該ポリペプチドは、APPのアミロイドベータへのプロセシングに関与するアスパルチル・プロテアーゼ活性を示す請求項1記載の単離もしくは精製ポリペプチド。
【請求項9】
配列番号:4のアミノ酸93〜291を含む請求項8記載の単離もしくは精製ポリペプチド。
【請求項10】
配列番号:6のアミノ酸93〜266を含む請求項8記載の単離もしくは精製ポリペプチド。
【請求項11】
図3(配列番号:4)または図2(配列番号:6)に記載のアスパルチル・プロテアーゼアミノ酸配列の断片に少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み;
ここに、該断片が、該アスパルチル・プロテアーゼ活性部位トリペプチドDTGおよびDSGを含み、かつAPPのアミロイドベータへのプロセシングに関与するAsp2アスパルチル・プロテアーゼ活性を示し、
ここに、該ポリペプチドのアミノ酸配列と該断片のアミノ酸配列との間の置換の差は保存置換よりなり;および
該ポリペプチドは、APPのアミロイドベータへのプロセシングに関与するアスパルチル・プロテアーゼ活性を示す請求項1記載の単離もしくは精製ポリペプチド。
【請求項12】
図3(配列番号:4)または図2(配列番号:6)に記載のアスパルチル・プロテアーゼアミノ酸配列の断片に少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み;
ここに、該断片が、アスパルチル・プロテアーゼ活性部位トリペプチドDTGおよびDSGを含み、かつAPPのアミロイドベータへのプロセシングに関与するAsp2アスパルチル・プロテアーゼ活性を示し、
ここに、該ポリペプチドのアミノ酸配列と該断片のアミノ酸配列との間の置換の差は保存置換よりなり;および
該ポリペプチドは、APPのアミロイドベータへのプロセシングに関与するアスパルチル・プロテアーゼ活性を示す請求項1記載の単離もしくは精製ポリペプチド。
【請求項13】
該ポリペプチドが膜貫通ドメインを欠いている請求項1〜7、11および12のいずれか1記載の単離もしくは精製ポリペプチド。
【請求項14】
該ポリペプチドがさらにシグナルペプチドを含む請求項1〜13のいずれか1記載の単離もしくは精製ポリペプチド。
【請求項15】
該ポリペプチドが、さらにヘテロローガスなペプチドタグを含む請求項1〜14記載の単離もしくは精製ポリペプチド。
【請求項16】
配列番号:4または配列番号:6のAsp2蛋白質アミノ酸配列の断片に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、
ここに、該断片が、アスパルチル・プロテアーゼ活性部位トリペプチドDTGおよびDSGを含み、かつAPPのアミロイドベータへのプロセシングに関与するアスパルチル・プロテアーゼ活性を示し、
ここに、該ポリペプチドは膜貫通ドメインを欠き、該ポリペプチドはAPPのアミロイドベータへのプロセシングに関与するアスパルチル・プロテアーゼ活性を示す単離もしくは精製ポリペプチド。
【請求項17】
該ポリペプチドがさらにシグナルペプチドを含む請求項16記載の単離もしくは精製ポリペプチド。
【請求項18】
該ポリペプチドが、さらにヘテロローガスなペプチドタグを含む請求項16または17記載の単離もしくは精製ポリペプチド。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離もしくは精製ポリヌクレオチド。
【請求項20】
該ヌクレオチド配列が配列番号:3のヌクレオチド277〜873を含む請求項19記載の単離もしくは精製ポリヌクレオチド。
【請求項21】
該ヌクレオチド配列が配列番号:5のヌクレオチド277〜798を含む請求項19記載の単離もしくは精製ポリヌクレオチド。
【請求項22】
配列番号:3または配列番号:5の相補体に以下のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件:
(1)6×SSCおよび0.1%SDSを含むハイブリダイゼーション緩衝液中で42℃でのハイブリダイゼーション、次いで
(2)1×SSCおよび0.1%SDSを含む洗浄溶液中で65℃で洗浄する
の下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含み、
ここに、該ポリヌクレオチドは、膜貫通ドメインを欠き、かつAPPのアミロイドベータへのプロセシングに関与するアスパルチル・プロテアーゼ活性を示す単離もしくは精製ポリヌクレオチド。
【請求項23】
該ポリペプチドが、アスパルチル・プロテアーゼ活性部位トリペプチドDTGおよびDSGを含む請求項22記載の単離もしくは精製ポリヌクレオチド。
【請求項24】
該コードされたポリペプチドがさらにヘテロローガスなペプチドタグを含む、請求項19〜23のいずれか1記載の単離もしくは精製ポリヌクレオチド。
【請求項25】
該ポリヌクレオチドが、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列にイン・フレーム融合したシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、
ここに、シグナルペプチドは、該ポリヌクレオチドでトランスフェクトされた宿主細胞中で細胞外分泌を促し;および
該ポリペプチドは、該宿主細胞により分泌され、かつAPPのアミロイドベータへのプロセシングに関与するアスパルチル・プロテアーゼ活性を示す請求項19〜24のいずれか1記載の単離もしくは精製ポリヌクレオチド。
【請求項26】
請求項19〜25のいずれか1記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項27】
該ポリヌクレオチドがヘテロローガスな発現制御配列に作動可能に連結した請求項19〜25のいずれか1記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項28】
該ポリヌクレオチドが、哺乳動物宿主細胞中での発現のためのヘテロローガスな制御配列に作動可能に連結した請求項26記載のベクター。
【請求項29】
該ポリヌクレオチドが、昆虫宿主細胞中での発現のためのヘテロローガスな制御配列に作動可能に連結した請求項26記載のベクター。
【請求項30】
請求項19〜25のいずれか1記載のポリヌクレオチドまたは請求項26〜29のいずれか1記載のベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞。
【請求項31】
哺乳動物細胞である請求項30記載の宿主細胞。
【請求項32】
ヒト細胞系から由来した請求項30記載の宿主細胞。
【請求項33】
細胞が該核酸によりコードされたポリヌクレオチドを発現する条件下で請求項31〜32のいずれか1記載の宿主細胞を培養することを特徴とするアスパルチル・プロテアーゼ活性を有するポリペプチドを作成する方法。
【請求項34】
さらに、細胞または増殖培地からポリペプチドを単離することを特徴とする請求項33記載の方法。
【請求項35】
アスパルチル・プロテアーゼの蛋白質分解活性を低下させる薬剤を同定する方法であって、
(a)請求項19〜25のいずれか1記載のポリヌクレオチドまたは該ポリヌクレオチドを含むベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を、試験薬剤の存在および不存在下で細胞が該ポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチドを発現する条件下にて増殖させ、次いで
(b)試験薬剤の存在および不存在下で細胞により発現されたポリペプチドの蛋白質活性を比較し、ここに、試験薬剤の存在下での蛋白質分解活性の低下が、アスパルチル・プロテアーゼポリペプチドの蛋白質分解活性を低下させる薬剤と試験薬剤を同定する工程を含む該方法。
【請求項36】
ポリペプチドのプロテアーゼ活性を低下させる薬剤を同定する方法であって、
(a) 試験薬剤の存在および不存在下にて、請求項1〜18のいずれか1記載のポリペプチドの蛋白質分解活性を測定し;次いで
(b)試験薬剤の存在および不存在下にて、該ポリペプチドの蛋白質分解活性を比較し、ここに、試験薬剤の存在下の蛋白質分解活性の低下は、アスパルチル・プロテアーゼポリペプチドのプロテアーゼ活性を低下させる薬剤と試験薬剤を同定する工程を含むことを特徴とする該方法。
【請求項37】
該蛋白質分解活性が、アミロイド前駆蛋白質(APP)基質へのポリペプチドの蛋白質分解活性を含む請求項35または36記載の方法。
【請求項38】
Asp2アスパルチル・プロテアーゼの活性を調節する薬剤を同定する方法であって、
(a)試験薬剤の存在および不存在下でAsp2アスパルチル・プロテアーゼおよびアミロイド前駆蛋白質(APP)を接触させ、ここに、該Asp2アスパルチル・プロテアーゼが、APPのアミロイドベータへのプロセシングに関与するAsp2アスパルチル・プロテアーゼ活性を示し、かつポリペプチドをコードし、配列番号:3または配列番号:5の相補体に以下のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件:
(1)6×SSCおよび0.1%SDSを含むハイブリダイゼーション緩衝液中で42℃でのハイブリダイゼーション、次いで
(2)1×SSCおよび0.1%SDSを含む洗浄溶液中で65℃で洗浄する
の下でハイブリダイズする核酸で形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞により発現された組換えポリペプチドであり;
(b)試験薬剤の存在および不存在下にてAsp2アスパルチル・プロテアーゼのAPPプロセシング活性を測定し;次いで
(c)試験薬剤の存在下のAsp2アスパルチル・プロテアーゼのAPPプロセシング活性を試験薬剤の不存在下の活性と比較して、Asp2アスパルチル・プロテアーゼの活性を調節する薬剤を同定し、ここに、Asp2阻害剤であるモジュレーターは、APPプロセシングを低下させ、Asp2アゴニストであるモジュレーターは、かかるプロセシングを増大させる工程を含むことを特徴とする該方法。
【請求項39】
アミロイド前駆蛋白質がAPPのヒトのアイソフォームであることを特徴とする請求項38記載の方法。
【請求項40】
アミロイド前駆蛋白質が、スウェーデン突然変異(K→N、M→L)を含むAPP β−セクレターゼ切断部位を含むことを特徴とする請求項38または39記載の方法。
【請求項41】
アミロイド前駆蛋白質が、カルボキシ末端ジ−リジン(KK)を含むことを特徴とする請求項38〜40のいずれか1記載の方法。
【請求項42】
アミロイド前駆蛋白質が、細胞により発現されることを特徴とする請求項38〜41のいずれか1記載の方法。
【請求項43】
工程(a)のプロテアーゼが精製および単離されることを特徴とする請求項38〜42のいずれか1記載の方法。
【請求項44】
該接触工程が、試験薬剤の存在および不存在下にてプロテアーゼを発現する形質転換またはトランスフェクトされた細胞を増殖させることを含み、アミロイド前駆蛋白質が細胞により発現される工程を特徴とする請求項38〜43のいずれか1記載の方法。
【請求項45】
プロテアーゼのAPPプロセシング活性を阻害する薬剤を同定する方法であって、
(a) 試験薬剤の存在および不存在下でプロテアーゼをアミロイド前駆蛋白質(APP)と接触させ、ここに、該プロテアーゼは、該プロテアーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換またはトランスフェクトされた細胞により発現された組換えポリペプチドを含み、ここに、該プロテアーゼは、配列番号:4または配列番号:6に記載のAsp2アミノ酸配列に少なくとも95%同一のアミノ酸配列またはAPPのアミロイドベータへのプロセシングに関与するAsp2アスパルチル・プロテアーゼ活性を示すその断片を含み;
(b) 試験薬剤の存在および不存在下にてAPP基質への該プロテアーゼの蛋白質分解プロセシング活性を測定し;次いで
(c) 試験薬剤の存在下の該アスパルチル・プロテアーゼの蛋白質分解プロセシング活性を試験薬剤の不存在下の活性と比較して、該プロテアーゼのAPPプロセシング活性を阻害する薬剤を同定し、ここに、試験薬剤の存在下での活性の低下は、該プロテアーゼのAPPプロセシング活性を阻害する薬剤を同定する工程を含むことを特徴とする該方法。
【請求項46】
該プロテアーゼが、配列番号:4または配列番号:6に記載のAsp2アミノ酸配列またはAPPのアミロイドベータへのプロセシングに関与するAsp2プロテアーゼ活性を示すその断片を含むことを特徴とする請求項45記載の方法。
【請求項47】
該プロテアーゼが、配列番号:4または配列番号:6のアスパルチル・プロテアーゼ活性部位トリペプチドDTGおよびDSGを含み、APPのアミロイドベータへのプロセシングに関与するAspアスパルチル・プロテアーゼ活性を示す配列番号:4または配列番号:6の断片を含むことを特徴とする請求項46記載の方法。
【請求項48】
プロテアーゼのAPPプロセシング活性を阻害する薬剤を同定する方法であって、
(a)試験薬剤の存在および不存在下でプロテアーゼとアミロイド前駆蛋白質(APP)基質とを接触させ、
ここに、該プロテアーゼは、APPのアミロイドベータへのプロセシングに関与するAsp2プロテアーゼ活性を示し、かつ該プロテアーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換またはトランスフェクトされた細胞により発現され、該ヌクレオチド配列は、配列番号:3または配列番号:5に記載されたヌクレオチド配列の相補体に以下のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件:
(1)6×SSCおよび0.1%SDSを含むハイブリダイゼーション緩衝液中で42℃でのハイブリダイゼーション、次いで
(2)1×SSCおよび0.1%SDSを含む洗浄溶液中で65℃で洗浄する
の下でハイブリダイズし;
(b)試験薬剤の存在および不存在下にて該APP基質への該プロテアーゼの蛋白質分解プロセシング活性を測定し;次いで
(c)試験薬剤の存在下の該アスパルチル・プロテアーゼの蛋白質分解プロセシング活性を試験薬剤の不存在下の活性と比較して、該プロテアーゼのAPPプロセシング活性を阻害する薬剤を同定し、ここに、試験薬剤の存在下の活性の低下は、該プロテアーゼのAPPプロセシング活性を阻害する薬剤を同定する工程を含むことを特徴とする該方法。
【請求項49】
工程(a)のプロテアーゼが精製および単離されることを特徴とする請求項45〜48のいずれか1記載の方法。
【請求項50】
該プロテアーゼが実質的に他のプロテアーゼを含まないことを特徴とする請求項49記載の方法。
【請求項51】
該細胞が該核酸を含むベクターを含むことを特徴とする請求項45〜50のいずれか1記載の方法。
【請求項52】
該接触工程が試験薬剤の存在および不存在下でプロテアーゼを発現する形質転換またはトランスフェクトされた細胞を増殖させることを特徴とする請求項45〜51のいずれか1記載の方法。
【請求項53】
該APP基質が、細胞により発現されたAPPポリペプチドを含むことを特徴とする請求項45〜52のいずれか1記載の方法。
【請求項54】
該測定工程が、試験薬剤の存在および不存在下にて細胞によりアミロイド・ベータ・ペプチドの産生を測定することを特徴とする請求項45〜53のいずれか1記載の方法。
【請求項55】
該宿主細胞が、ヒト胚腎臓細胞系293(HEK293)細胞であることを特徴とする請求項45〜54のいずれか1記載の方法。
【請求項56】
該APP基質がアミロイドベータ(A−ベータ)プロセシング部位を含むことを特徴とする請求項45〜55のいずれか1記載の方法。
【請求項57】
該APP基質がAPPのβ−セクレターゼ切断部位を含むペプチドであることを特徴とする請求項45〜56のいずれか1記載の方法。
【請求項58】
APP基質が、スウェーデン突然変異(K→N、M→L)を含むことを特徴とする請求項57記載の方法。
【請求項59】
該β−セクレターゼ切断部位が、
式P2−P1−P1'−P2'
[式中、P2は、KまたはNから選択されたアミノ酸;
P1は、MまたはLから選択されたアミノ酸;
P1'は、アミノ酸Dであって;
P2'は、アミノ酸Aである]
を含むことを特徴とする請求項57記載の方法。
【請求項60】
該ペプチドが、KMDA(配列番号:58、第4〜7位)、EVKMDAEF(配列番号:58)、NLDA(配列番号:54、第4〜7位)およびSEVNLDAEFR(配列番号:54)よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項59記載の方法。
【請求項61】
該APP基質が、発光発生的(fluorogenic)または色素生産性(chromogenic)の基質であることを特徴とする請求項45〜60のいずれか1記載の方法。
【請求項62】
該APP基質が、該細胞により発現され、かつカルボキシ末端ジ−リジン(KK)を含み、該接触工程が、試験薬剤の存在および不存在下にてプロテアーゼおよびAPP基質を発現する細胞を増殖させることを特徴とする請求項45〜60のいずれか1記載の方法。
【請求項63】
さらに、工程(c)においてプロテアーゼ阻害剤と同定された薬剤および医薬上許容される担体を含む組成物を作成することを特徴とする請求項45〜62のいずれか1記載の方法。
【請求項64】
請求項45〜63記載の方法によりアスパルチル・プロテアーゼ活性の阻害剤と同定された薬剤を含むアルツハイマー病を治療するための医薬組成物。
【請求項65】
長さが15〜100ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、
ここに、該核酸は、配列番号:3または配列番号:5の少なくとも15個の連続するヌクレオチドまたはその相補体に以下のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件:
6×SSCおよび0.1%SDSを含むハイブリダイゼーション緩衝液中で2.5時間インキュベートし、次いで
1×SSCおよび0.1%SDSを含む洗浄溶液中で65℃で洗浄する
の下でハイブリダイズし;該核酸は、トランスフェクトされていないHEK293−SwKK細胞中のAベータプロセシングに比較して、該核酸でトランスフェクトしたHEK293−SwKK細胞中でアミロイドベータ(Aベータ)プロセシングを低下させる単離核酸。
【請求項66】
該核酸が、長さが15〜30ヌクレオチドである請求項65記載の単離核酸。
【請求項67】
該核酸が、長さが20〜30ヌクレオチドである請求項65記載の単離核酸。
【請求項68】
該核酸が、配列番号:3に相補的な配列を含む請求項65〜67のいずれか1記載の単離核酸。
【請求項69】
DNAを含む請求項65〜68のいずれか1記載の単離核酸。
【請求項70】
RNAを含む請求項65〜69のいずれか1記載の単離核酸。
【請求項71】
該トランスフェクトされていない細胞に比較して少なくとも50%だけ該トランスフェクトされた細胞中でのAβ(1−40)プロセシングを低下させる請求項65〜70のいずれか1記載の単離核酸。
【請求項72】
該トランスフェクトされていない細胞に比較して少なくとも50%だけ該トランスフェクトされた細胞中でのAβ(1−42)プロセシングを低下させる請求項65〜70のいずれか1記載の単離核酸。
【請求項73】
請求項65〜72のいずれか1記載の核酸を含むベクター。
【請求項74】
アミロイド前駆蛋白質(APP)からのアミロイドベータ(Aβ)の細胞産生を低下させる方法であって、
細胞中でAsp2転写または翻訳を低下させることによりAsp2ポリペプチド産生を低下させるのに有効な量で、請求項65〜72のいずれか1記載の核酸または請求項73記載のベクターを含む組成物でin vitroにて細胞を形質転換またはトランスフェクトする工程を含み、ここに、該細胞中のAsp2ポリペプチド産生の低下は、APPのAβへの細胞プロセシングの低下と関連することを特徴とする該方法。
【請求項75】
アミロイド前駆蛋白質(APP)からのアミロイドベータ(Aβ)の細胞産生を低下させる方法であって、
細胞中でAsp2転写または翻訳を低下させることによりAsp2ポリペプチド産生を低下できるアンチセンス試薬を含む組成物でin vitroにて細胞を形質転換またはトランスフェクトする工程を含み、ここに、該細胞中のAsp2ポリペプチド産生の低下は、APPのAβへの細胞プロセシングの低下と関連することを特徴とする該方法。
【請求項76】
さらに、該形質転換またはトランスフェクト工程に先立ち、A.ベータを産生する哺乳動物細胞を同定する工程を含むことを特徴とする請求項74または75記載の方法。
【請求項77】
該細胞が、自然の細胞である請求項74〜76のいずれか1記載の方法。
【請求項78】
該アンチセンス試薬が、Hu−Asp mRNAに結合できる一本鎖核酸配列を含むオリゴヌクレオチドを含む請求項75記載の方法。
【請求項79】
該アンチセンス試薬が、Hu−Asp DNAに結合できる一本鎖核酸配列を含むオリゴヌクレオチドを含む請求項75記載の方法。
【請求項80】
請求項65〜72のいずれか1記載の単離核酸または請求項73記載のベクターを含むアルツハイマー病を治療するための医薬組成物。
【請求項81】
アミロイド前駆蛋白質(APP)からのアミロイドベータ(Aβ)の細胞産生を低下できるアンチセンス試薬を含むアルツハイマー病を治療するための医薬組成物。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−113665(P2008−113665A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320832(P2007−320832)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【分割の表示】特願2000−574268(P2000−574268)の分割
【原出願日】平成11年9月23日(1999.9.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
【出願人】(504396379)ファルマシア・アンド・アップジョン・カンパニー・エルエルシー (130)
【Fターム(参考)】