説明

アルツハイマー病治療のためのGH分泌促進物質及びPDE4阻害剤の組み合わせ

成長ホルモン分泌促進物質とPDE4阻害剤の併用投与による、脳におけるβ−アミロイドの沈着を伴う疾患、例えばアルツハイマー病の治療又は予防を開示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体を治療的に処置するための方法及び材料の利用に関する。特に、本発明は、脳におけるβ−アミロイドの沈着と関連がある疾患、例えばアルツハイマー病を治療する方法、又はこの種の疾患と関連がある痴呆の発症を予防するか若しくは遅延させる方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は、痴呆の最も一般的な形態である。この鑑別は、アメリカ精神医学会(DS)によって作成された精神疾患診断統計マニュアル第4版に記載されている。アルツハイマー病は、記憶及び一般的な認知機能の進行性の喪失によって臨床的に特徴づけられ、及び病理学的には、患者の皮質及び連合の脳領域における細胞外でのタンパク質班の沈着によって特徴づけられる神経変性疾患である。これらの斑は、主に、β−アミロイドペプチド(Aβ)の原繊維集合体を含む。Aβは、酵素β−セクレターゼ及びγ−セクレターゼが関与する別々の細胞内タンパク質分解イベントを経て、アミロイド前駆体タンパク質(APP)から形成される。細胞外の媒体へ分泌されると、はじめは可溶性であるAβは、最終的にはADの病理学的特徴である不溶性沈着物及び高密度神経炎班を生成する集合体を形成する。
【0003】
脳におけるAβの沈着と関連がある他の痴呆状態としては、脳血管アミロイドアンギオパチー、多重梗塞性痴呆、ボクサー痴呆及びダウン症候群が挙げられる。
【0004】
脳のAβの負荷を低下させることを含む斑形成プロセスへの様々な介入が、ADのための治療的処置として提案されてきた(例えば、Hardy and Selkoe,Science,297(2002),353−6を参照されたい)。例えば、Carroらは、Nature Medicine,8(2002),1390−7において、インスリン様成長因子1(IGF−1)の皮下投与によって、ある種の齧歯類において脳のAβ負荷が低下することを開示している。しかしながら、著者の中には、アルツハイマー型痴呆の直接的な原因であると一般的に支持されているニューロン損失がAβの分泌に起因しているということを疑っている者もいる(例えば、Robinson and Bishop,Neurobiology of Aging,23(2002),1051−72、及びNew Scientist,Feb.1 2003,35−37を参照されたい)。
【0005】
成長ホルモンをAD治療で使用することが提案されてきている。而して、米国特許第4,902,680号では、ADの末期患者に成長ホルモンを投与することが提唱されており、及び、国際出願公開第WO00/13650号では、脳中の成長ホルモンのレベルを上げると、神経保護効果が得られること、特に、ADのような神経変性疾患と関連がある傷害により死滅すると考えられる神経単位を救い得ることが開示されている。成長ホルモンの脳への注入が企図される。
【0006】
成長ホルモン分泌促進物質(GHS)とは、動物(例えばヒト)に投与したときに、内因性成長ホルモンの放出を刺激するか又は増加させる化合物である。これらの作用機序及び臨床的有用性は、Ankersenら,Drug Discovery Today,4(1999),497−506;Casanueva and Dieguez,TEM,10(1999),30−8;Smithら,ibid.,10(1999),128−35;Betancourt and Smith,J.Anti−Aging Med.,5(2002),63−72;及びGhigoら,ibid.,5(2002),345−56において検討されているが、AD又は他の神経変性状態を治療することに関しては全く言及していない。GHSである化合物を開示している特許及び特許出願としては、米国特許第5,767,124号、米国特許第5,536,716号、国際出願公開第WO94/13696号、欧州特許第0615977B号、米国特許第5,578,593号;国際出願公開第WO01/04119号、国際出願公開第WO98/25897号、国際出願公開第WO98/10653号、国際出願公開第WO97/36873号、国際出願公開第WO97/34604号、国際出願公開第WO97/15574号、国際出願公開第WO97/11697号、国際出願公開第WO96/32943号、国際出願公開第WO96/13265号、国際出願公開第WO96/02530号、国際出願公開第WO95/34311号、国際出願公開第WO95/14666号、国際出願公開第WO95/13069号、国際出願公開第WO94/19367号、国際出願公開第WO94/05634号及び国際出願公開第WO92/16524号(このすべてはMerck & Co.,Inc.に譲渡された);欧州特許第1002802A号、欧州特許第0995748A号、国際出願公開第WO98/58948号、国際出願公開第WO98/58947及び国際出願公開第WO97/24369号(このすべてはPfizer Inc.);国際出願公開第WO01/34593号、国際出願公開第WO00/26252号、国際出願公開第WO00/01726号、国際出願公開第WO99/64456号、国際出願公開第WO99/58501号、国際出願公開第WO99/36431号、国際出願公開第WO98/58950号、国際出願公開第WO98/08492号、国際出願公開第WO98/03473号、国際出願公開第WO97/40071号、国際出願公開第WO97/40023号、国際出願公開第WO97/23508号、国際出願公開第WO97/00894号、国際出願公開第WO96/24587号、国際出願公開第WO96/24580号、国際出願公開第WO96/22997号、国際出願公開第WO95/17423号及び国際出願公開第WO95/17422号(このすべてはNovo Nordisk A/Sに譲渡された);国際出願公開第WO96/15148号(Genentech Inc.);国際出願公開第WO97/22620号(Deghenghi);国際出願公開第WO02/32888号、国際出願公開第WO02/32878号、国際出願公開第WO00/49037号、国際出願公開第WO00/10565号及び国際出願公開第WO99/08699号(このすべてはEli Lilly and Co.に譲渡された);国際出願公開第WO02/057241号及び国際出願公開第WO02/056873号(どちらもBayer Corp.に譲渡された);及び国際出願公開第WO01/85695号、国際出願公開第WO00/54729号及び国際出願公開第WO00/24398号(このすべてはBristol−Myers Squibb Co.に譲渡された)が挙げられる。成長ホルモンの分泌不足を特徴とする生理学的又は医学的な状態、また成長ホルモンの同化作用効果によって改良される医学的状態を治療するためには、食品、動物、及び人間の成長を促進する化合物が推奨される。上記のいくつかの開示では、治療可能状態のリストの中にADが挙げられている。
【0007】
上記米国特許第5,767,124号で開示されている化合物は、ADと無関係な治療分野における多くの臨床試験においてこの試験対象であった(例えば、Murphyら,J.Bone Miner.Res.,14,(1999),1182−8;Chapmanら,J.Clinical Endocrinology and Metabolism,81,(1996),4249−57;ibid.,82,(1997),3455−63;及びSvenssonら,ibid.,83,(1998),362−9を参照されたい)。
【0008】
3’,5’−サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)は、3’,5’−サイクリックヌクレオチドの5’−ヌクレオシドモノホスフェートへの変換を促進する酵素のクラスである。PDE4アイソザイムは、cAMPに関する高度の特異性と、ロリプラムによる阻害に対する感受性とを特徴とするPDEのサブクラスである。而して、PDE4を阻害すると、cAMPのレベルが上昇する。多くのPDE4阻害剤は当分野において公知である(例えば、国際出願公開第WO03/108579号、国際出願公開第WO02/060875号、国際出願公開第WO02/074726号、国際出願公開第WO02/098878号、国際出願公開第WO01/46151号、米国特許第5,449,686号、米国特許第5,552,438号、国際出願公開第WO98/45268号及び国際出願公開第WO99/20625号を参照されたい)。主な治療目標は、炎症及び/又はアレルギーの状態、例えば関節炎、喘息及び他の肺障害であるが、cAMPレベルの上昇も認知力を高める(例えば、国際出願公開第WO02/074726号及び国際出願公開第WO02/098878号を参照されたい)。ロリプラムは、触媒部位とは異なる高親和性ロリプラム結合部位を介してPDE4と相互作用すること、又はPDE4は、ロリプラムに比較的高い親和性及び低い親和性を有する別々のアイソホームとして存在すること、及びある種のPDE4阻害剤に関して認められる嘔吐のような副作用は、ロリプラムに高い親和性を有する部位又はアイソホームとの相互作用によって引き起されることが示唆された。これらの抗炎症性効果及び認知力増強効果の観点から、アルツハイマー病を治療する場合にPDE4阻害剤を用いることが提案された。当分野では、ADの影響(例えば、神経炎症及び認知障害)を治療するためにPDE4阻害剤を使用することが開示されているが、ADの考えられる原因、例えば脳内におけるAβの不溶性沈着物の蓄積に対処する際のPDE4の有用性は開示も示唆もされていない。
【発明の開示】
【0009】
本発明によれば、脳におけるβ−アミロイドの沈着と関連がある疾患を治療又は予防するための薬剤を製造するために成長ホルモン分泌促進物質及びPDE4阻害剤を使用する。該疾患は、典型的には、アルツハイマー病、脳血管アミロイドアンギオパチー、多発脳梗塞、ボクサー痴呆又はダウン症候群であり、好ましくはアルツハイマー病である。
【0010】
本発明の第二の側面によれば、アルツハイマー病、脳血管アミロイドアンギオパチー、多重梗塞性痴呆、ボクサー痴呆又はダウン症候群と関連がある痴呆の発症を治療し又は予防し又は遅延させるための薬剤を製造するために成長ホルモン分泌促進物質及びPDE4阻害剤を使用が提供される。
【0011】
また、本発明は、PDE4阻害剤の治療上有効量と組み合わせて成長ホルモン分泌促進物質の治療上有効量を、これらを必要とする被験者に投与することを含む、脳におけるβ−アミロイドの沈着と関連がある疾患を治療又は予防する方法も提供する。該疾患は、典型的には、アルツハイマー病、脳血管アミロイドアンギオパチー、多発脳梗塞、ボクサー痴呆又はダウン症候群であり、好ましくはアルツハイマー病である。
【0012】
更に、本発明は、PDE4阻害剤の治療上有効量と組み合わせた成長ホルモン分泌促進物質の治療上有効量を、これらを必要とする被験者に投与することを含む、アルツハイマー病、脳血管アミロイドアンギオパチー、多重梗塞性痴呆、ボクサー痴呆又はダウン症候群と関連がある痴呆の発症を治療し又は予防し又は遅延させる方法も提供する。
【0013】
本明細書で使用される「と組み合わせる」という表現は、治療上有効量のGHS及びPDE4阻害剤の両方が被験者に投与されるが、これらを投与する方法に関しては制限が全くないことを意味している。而して、2つの種は、被験者に同時に投与するために、単一剤形にして組み合わせることができるか、又は被験者に同時に若しくは逐次的に投与するために、別々の剤形で提供することができる。逐次投与は、時間的に接近させて又は間隔を置いて投与でき、例えば、一つの種を朝に投与し、もう一方の種を夕方に投与できる。異なる種を、同じ頻度で又は違う頻度で、例えば、一つの種は一日に一度、及びもう一方の種は一日に二度またはそれ以上投与できる。異なる種を、同じ経路で又は違う経路で、例えば、一つの種は経口で、及びもう一方の種は非経口で投与できるが、両方の種とも経口投与が好ましい。
【0014】
更なる側面では、本発明は、脳におけるβ−アミロイドの沈着と関連がある疾患、特にアルツハイマー病を治療又は予防する場合に用いるGHSとPDE4阻害剤との組み合わせを提供する。該使用法としては、前記の治療又は予防を必要とする患者に、単一の剤形で又は別々の剤形で、各治療剤を同時に又は逐次的に投与する方法が挙げられる。
【0015】
GHS及びPDE4阻害剤は、脳からのAβのクリアランスを促進する場合に、相乗的に作用すると考えられる。GHSは、成長ホルモンの循環レベルを増加させ、次いで、インスリン様成長因子1(IGF−1)の血清濃度を増加させ、及び、血液脳関門を通過する輸送によって脳からのβ−アミロイドの除去を促進するという仮説が立てられる。PDE4阻害剤は、この輸送プロセスを更に促進すると考えられる。
【0016】
而して、本発明の更なる側面では、PDE4阻害剤の治療上有効量と組み合わせた成長ホルモン分泌促進物質の治療上有効量を、これらを必要とする患者に投与することを含む、脳におけるAβの蓄積を遅延させ又は阻止し又は予防する方法を提供する。該化合物の投与後の脳からのAβのクリアランスは、脳脊髄液及び/又は血漿中の可溶性Aβレベルの変化によって明示される。また(更に)、磁気共鳴映像法、ポジトロンエミッショントモグラフィ、シングルフォトンエミッションCT及び多光子顕微鏡検査のような映像技術を用いて、脳におけるAβ沈着の程度をモニターできる(例えば、Bacskaiら,J.Cereb.Blood Flow Metab.,22(2002),1035−41を参照されたい)。
【0017】
本発明の一つの実施態様では、GHS及びPDE4阻害剤は、AD、脳血管アミロイドアンギオパチー、多重梗塞性痴呆、ボクサー痴呆又はダウン症候群、好ましくはADに罹患している患者に投与される。
【0018】
本発明の別の実施態様では、GHS及びPDE4阻害剤は、軽度認知障害又は年齢関連性認知能低下に悩まされている患者に投与される。この種の治療の好ましい結果は、ADの開始の予防又は遅延である。年齢関連性認知能低下及び軽度認知障害(MCI)は、記憶障害が認められる状態であるが、痴呆に関して他の診断基準はない(Santacruz and Swagerty,American Family Physician, 63(2001),703−13)。(「The ICD−10 Classification of Mental and Behavioural Disorders」,Geneva:World Health Organisation,1992,64−5も参照されたい)。本明細書で使用される「年齢関連性認知能低下」とは、記憶及び学習、注意及び集中、思考、言語、及び視覚空間に関する機能及びMMSEのような標準化神経心理学的試験における基準を下回る1を超える標準偏差スコアのうちの少なくとも一つが少なくとも6ヶ月間低下している状態のことである。特に、記憶の進行性の低下を認めることができる。より重症な状態のMCIでは、記憶障害の程度は、患者の年齢では正常と考えられる範囲を逸脱しているが、ADの存在は認められない。MCI及び軽度のADの鑑別診断は、Petersenら,Arch.Neurol.,56(1999),303−8に記載されている。
【0019】
この実施態様の中で、GHS及びPDE4阻害剤は、記憶機能は損なわれているが、痴呆の症状を示していない患者に有利に投与される。このような記憶機能の障害は、典型的には、全身性疾患又は脳疾患、例えば、脳卒中又は下垂体の機能不全によって生じる代謝異常が原因ではない。このような患者は、特に55歳以上の人々、特に60歳以上の人々、及び好ましくは65歳以上の人々である。このような患者は、彼らの年齢では正常な成長ホルモン分泌のパターン及びレベルを有している。しかしながら、このような患者は、アルツハイマー病を発症させる一つまたはそれ以上の更なる危険因子を有している。このような危険因子としては、アルツハイマー病の家族歴;アルツハイマー病に対する遺伝性素因;高血清コレステロール;及び成人発症型糖尿病が挙げられる。また、Grundmanら(J.Mol.Neurosci.,19(2002),23−28)は、MCI患者における低ベースライン海馬体積(lower baseline hippocampal volume)は、続いて発症するADに関する前兆指標であると報告している。同様に、Andreasenら(Acta Neurol.Scand,107(2003)47−51)は、総タウ(total tau)の高いCSF中レベル、ホスホ−タウ(phospho−tau)の高いCSF中レベル及びAβ42の低いCSF中レベルはすべて、MCIからADへの高まる進行リスクと関連があると報告している。
【0020】
本発明の特定の実施態様では、GHS及びPDE4阻害剤は、アルツハイマー病の家族歴;アルツハイマー病の遺伝性素因;高血清コレステロール;成人発症型糖尿病;低ベースライン海馬体積;総タウの高いCSF中レベル;ホスホ−タウの高いCSF中レベル;及びAβ42の低いCSF中レベルから選択されるADを発症させる一つまたはそれ以上の危険因子を更に有する年齢関連性認知能低下及びMCIに悩まされている患者に投与される。
【0021】
遺伝性素因(特に、早発型ADに関する)は、APP、プレセニリン−1、及びプレセニリン−2遺伝子を含む多くの遺伝子のうちの一つまたはそれ以上における点突然変異から生じ得る。また、アポリポ蛋白E遺伝子のε4アイソホームが同型接合である被験者は、ADを発症する危険性が更に高い。
【0022】
患者の認知能低下又は認知障害の程度は、本発明による治療コースの前、間及び/又は後に、一定の間隔で有利に評価され、結果として、例えば、認知能低下の遅延又は停止を検出できる。この目的のための種々の神経心理学的検査、例えば、基準が年齢及び教育の程度に合わせて調整されるMini−Mental State Examination(MMSE)は、当分野において公知である(Folsteinら,J.Psych.Res.,12(1975),196−198,Anthonyら,Psychological Med.,12(1982),397−408;Cockrellら,Psychopharmacology,24(1988),689−692;Crumら,J.Am.Med.Assoc’n.18(1993),2386−2391)。MMSEは、成人の認知能の状態に関する簡便で定量的な評価法である。認知能低下又は認知障害の重症度を所定の時点で評価し、個人の認知能の変化の過程を時間とともに追跡し、及び治療に対する個人の反応を詳細に記録することによって、認知能低下又は認知障害をスクリーニングすることができる。別の適切な試験は、Alzheimer Disease Assessment Scale(ADAS)であり、特にこの認知能要素(ADAS−cog)である(Rosenら,Am.J.Psychiatry,141(1984),1356−64を参照されたい)。
【0023】
更に、本発明は、AD、年齢関連性認知能低下、MCI、脳血管アミロイドアンギオパチー、多重梗塞性痴呆、ボクサー痴呆又はダウン症候群に罹患している患者に該薬剤を逐次的に又は同時に投与するために、使用説明書と一緒に、GHSを含む第一薬剤とPDE4阻害剤を含む第二薬剤とを含むキットを提供する。
【0024】
本発明で用いられるGHSは、被験者に投与されるとき、内因性成長ホルモンの分泌を促進するか又は増強する特性を有する任意の化合物、例えば、既に上で列記した特許及び特許出願において開示されている化合物の任意のものであり得る。しかしながら、好ましくは、経口投与に適する化合物である。
【0025】
本発明での使用に適するGHSの第一のクラスは国際出願公開第WO94/13696号で開示されているものであり、特に、欧州特許第0615977B号で開示されているこれらのサブセットである。前記引例の開示は本明細書中に参考として援用されている。
【0026】
このクラスの中のGHSの好ましい例としては、下式I:
【0027】
【化2】

で表されるN−[1(R)−[(1,2−ジヒドロ−1−メタンスルホニルスピロ[3H−インドール−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)カルボニル]−2−(フェニルメチルオキシ)エチル]−2−アミノ−2−メチルプロパンアミドと呼ばれる化合物、及びこの医薬適合性の塩、特にこのメタンスルホネート塩が挙げられ、これらは、米国特許第5,767,124号に記載のようにして調製できる。
【0028】
本発明での使用に適するGHSの第二のクラスは、米国特許第5,578,593号で開示されており、この開示は本明細書中に参考として援用されている。このクラスの中のGHSの好ましい例としては、下式II:
【0029】
【化3】

の化合物、及びこの医薬適合性の塩が挙げられ、これらは、米国特許第5,578,593号に記載のようにして調製できる。
【0030】
本発明での使用に適するGHSの第三のクラスは、国際出願公開第WO92/16524号で開示されており、この開示は本明細書中に参考として援用されている。このクラスの中のGHSの好ましい例としては、下式III及びIV:
【0031】
【化4】

の化合物、及びこの医薬適合性の塩、特に、このトリフルオロアセテート塩が挙げられ、これらは国際出願公開第WO92/16524号に記載のようにして調製できる。
【0032】
本発明での使用に適するGHSの第四のクラスは、国際出願公開第WO97/23508号で開示されており、この開示は本明細書中に参考として援用されている。このクラスの中のGHSの好ましい例としては、NN703としても公知である下式V:
【0033】
【化5】

の化合物、及びこの医薬適合性の塩が挙げられ、これらは、国際出願公開第WO99/64456号に記載のようにして調製できる。
【0034】
本発明での使用に適するGHSの第五のクラスは、国際出願公開第WO97/24369号で開示されており、この開示は本明細書中に参考として援用されている。このクラスの中のGHSの好ましい例としては、下式VI:
【0035】
【化6】

で表される2−アミノ−N−[2−(3a−(R)−ベンジル−2−メチル−3−オキソ−2,3,3a,4,6,7−ヘキサヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イル)−1−(R)−ベンジルオキシメチル−2−オキソ−エチル]−イソブチルアミドと呼ばれる化合物、及びこの医薬適合性の塩、特に、カプロモレリン(capromorelin)としても公知であるL−タルトレート塩が挙げられ、これらは、国際出願公開第WO97/24369号及びCarpinoら,Bioorg.Med.Chem.,11(2003),581−90に記載のようにして調製できる。
【0036】
本発明での使用に適するGHSの第六のクラスは、国際出願公開第WO98/58947号で開示されており、この開示は本明細書中に参考として援用されている。このクラスの中のGHSの好ましい例としては、下式VII:
【0037】
【化7】

の化合物、及びこの医薬適合性の塩が挙げられ、これらは、国際出願公開第WO98/58947号に記載のようにして調製できる。
【0038】
本発明での使用に適するGHSの第七のクラスは、国際出願公開第WO99/08699号で開示されており、この開示は本明細書中に参考として援用されている。このクラスの中のGHSの好ましい例としては、下式VIII:
【0039】
【化8】

の化合物、及びこの医薬適合性の塩が挙げられ、これらは、国際出願公開第WO99/08699号及び第WO 02/32878号に記載のようにして調製できる。
【0040】
本発明での使用に適する更なるGHSとしては、下式IX:
【0041】
【化9】

の化合物、及びこの医薬適合性の塩が挙げられ、これらは、De Vitaら,J.Med.Chem.,41(1998),1716−28に記載のようにして調製でき、また更に、下式X:
【0042】
【化10】

の化合物、及びこの医薬適合性の塩が挙げられ、これらは、Yangら,J.Med.Chem.,41(1998),2439−41に記載のようにして調製できる。
【0043】
好ましくは、GHSは、上記の式I、II、V、VI,VIII及びIXで表される化合物と、これらの医薬適合性の塩から選択される。最も好ましくは、本発明で用いられるGHSは、米国特許第5,767,124号に記載されている多形形態のうちの一つである式Iで表される化合物のメタンスルホネート塩である。
【0044】
本発明で用いられるPDE4阻害剤は、PDE4酵素を阻害することが公知である任意の化合物であり得るか、又はPDE4酵素を阻害することが発見される任意の化合物であり得る。PDE4阻害活性を測定するのためのアッセイは、国際出願公開第WO01/46151号に記載されている。好ましくは、PDE4阻害剤は、治療上有意な程度までPDE4を阻害する濃度において、PDEファミリーの他のメンバーを有意な程度まで阻害しない。好ましくは、PDE4阻害剤は、経口投与に適する。好ましくは、PDE4阻害剤は、高い親和性でロリプラムと結合する部位(又はアイソホーム)に関して比較的低親和性であり、従って(又は他の手段によって)、治療上有効量で極軽い嘔吐を引き起こす。該部位又はアイソホームに関するPDE4阻害剤の相対的親和性は、米国特許第5,998,428号に記載のようにして評価することができる。PDE4阻害剤は、血液脳関門を通過せずに本発明の実施において有益な作用を及ぼすことができるので、例えば0.1以下又は0.05以下の低い脳対血漿比を有するか又は脳において検出可能な量で存在しない化合物が本発明で使用するのに適している可能性があると考えられる。
【0045】
適切なPDE4阻害剤としては、上記(国際出願公開第WO03/018579号、国際出願公開第WO02/060875号、国際出願公開第WO02/074726号、国際出願公開第WO02/098878号、国際出願公開第WO01/46151号、米国特許第5,449,686号、米国特許第5,552,438号、国際出願公開第WO98/45268号及び国際出願公開第WO99/20625号)で開示されている化合物が挙げられる。
【0046】
本発明で使用するのに好ましいPDE4阻害剤としては、国際出願公開第WO03/018579号で開示されている、N−シクロプロピル−1−[3−(1−オキシド−3−ピリジニルエチニル)フェニル]−1,4−ジヒドロ[1,8]ナフチリジン−4−オン−3−カルボキサミド又はこの医薬適合性の塩が挙げられる。
【0047】
また、本発明で使用するのに好ましいPDE4阻害剤としては、国際出願公開第WO01/46151号で開示されている化合物のクラスが挙げられ、特に、下式XI:
【0048】
【化11】

で表される6−[1−メチル−1(メチルスルホニル)エチル]−8−[3[(E)−2−[3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−[4−(メチルスルホニル)フェニル]エテニル]フェニル]キノリンと呼ばれる化合物、及びこの医薬適合性の塩、特に、このベンゼンスルホネート塩が挙げられ、またこれらは、国際出願公開第WO01/46151号に記載のようにして調製できる。
【0049】
また、本発明で使用するのに好ましいPDE4阻害剤としては、米国特許第5,552,438号で開示されている化合物のクラスが挙げられ、特に、下式XII:
【0050】
【化12】

で表されるシス[4−シアノ−4(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸]と呼ばれる化合物、及びSB−207499又はシロミラスト又はAriflo(登録商標)としても公知であるこの医薬適合性の塩が挙げられ、またこれらは、米国特許第5,552,438号に記載のようにして調製できる。同じクラスの更なる有用な化合物としては、2−カルボメトキシ−4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン−1−オン及びシス−[4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン−1−オール]が挙げられる。
【0051】
本発明での使用に適する更なるPDE4阻害剤としては、国際出願公開第02/074726号及び国際出願公開第02/098878号で開示されている化合物、MEM−1414(Memory Pharmaceuticals Corp.)として公知である化合物、CDP840としても公知である化合物R−[+]−4−[2−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−2−フェニルエチル]ピリジン(Alexanderら,Bioorg.Med.Chem.Lett.,12(2002),1451−6)、及びこの医薬適合性の塩、ピクラミラスト又はRP73401としても公知である化合物N−(3,5−ジクロロピリド−4−イル)−3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシベンズアミド(Raeburnら,Br.J.Pharmacol.,113(1994),1423−31)、CP−80,633又はアチゾラムとして公知である化合物(Wrightら,Can.J.Physiol.Pharmacol.,75(1997),1001−8)、LAS31025又はアロフィリン(arofylline)としても公知である化合物1−プロピル−3−(4−クロロフェニル)−キサンチン(Wrightら,Br.J.Pharmacol.,126(1999),1863−71を参照されたい)、V11294Aとしても公知である化合物3−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシベンジル)−6−エチルアミノ−8−イソプロピル−3H−プリン塩酸塩(Galeら,Br.J.Clin.Pharmacol.,54(2002),478−84)、D4418及びD4396として公知である化合物(Chiroscience and Schering−Plough)、AWD−12−281としても公知である化合物N−(3,5−ジクロロピリド−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−5−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミド(Baumerら,Eur.J.Pharmacol.,446(2002),195−200)、ロフルミラストとしても公知である化合物N−(3,5−ジクロロピリド−4−イル)−3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシベンズアミド(Reid,Curr.Opin.Investig.Drugs,3(2002),1165−70)、NCS613、NCS675、NCS728、NCS700及びNCS706と識別される9−ベンジルアデニン誘導体(Raboissonら,Eu.J.Med.Chem.,38(2003),199−214)、CC−3052として公知である化合物、及びGuckianら,Clin.Exp.Immunol.121(2000),472−9で、またMullerら,Bioorg.Med.Chem.Lett.,8(1998),2669−74で開示されている他のサリドマイド類似体、及びT440及びT2585として公知である化合物、及びUkitaら,J Med Chem.,42(1999),1088−99)で開示されている類似化合物が挙げられる。
【0052】
最も好ましくは、本発明で用いられるPDE4阻害剤は、公式XIで表される化合物又はN−シクロプロピル−1−[3−(1−オキシド−3−ピリジニルエチニル)フェニル]−1,4−ジヒドロ[1,8]ナフチリジン−4−オン−3−カルボキサミドのベンゼンスルホネート塩、又はこの医薬適合性の塩である。
【0053】
本発明の特に好ましい実施態様では、GHSは、N−[1(R)−[(1,2−ジヒドロ−1−メタンスルホニルスピロ[3H−インドール−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)カルボニル]−2−(フェニルメチルオキシ)エチル]−2−アミノ−2−メチルプロパンアミドのメタンスルホネート塩であり、PDE4阻害剤は、6−[1−メチル−1−(メチルスルホニル)エチル]−8−[3−[(E)−2−[3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−[4−(メチルスルホニル)フェニル]エテニル]フェニル]キノリン又はN−シクロプロピル−1−[3−(1−オキシド−3−ピリジニルエチニル)フェニル]−1,4−ジヒドロ[1,8]ナフチリジン−4−オン−3−カルボキサミドのベンゼンスルホネート塩、又はこの医薬適合性の塩である。
【0054】
上記化合物を一緒に又は別々に投与しなければならないか否かにしたがって、GHS及びPDE4阻害剤は、典型的には、活性種と医薬適合性の担体とを含む単一の又は複数の医薬組成物として供給される。好ましくは、これらの組成物は、経口投与、非経口投与、鼻腔内投与、舌下投与若しくは直腸投与のために、又は吸入又は吹送によって投与するために、例えば錠剤、ピル、カプセル、粉末、グラニュール、無菌注射液又は懸濁液、定量エアゾール又は液体スプレー、点滴剤、アンプル、経皮パッチ、オートインジェクターデバイス又は坐薬のような単位剤形である。主な活性成分を、医薬担体、例えば、従来の錠剤化成分(tableting ingredient)、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム及びリン酸二カルシウム、又はゴム、分散剤、懸濁化剤又は界面活性剤、例えばソルビタンモノオレエート及びポリ(エチレングリコール))、及び他の医薬希釈剤、例えば水と混合して、一種又は二種の活性種又はこれらの医薬適合性の塩を含む均質な予備配合組成物を形成する。これらの予備配合組成物が均質であると言う場合、同程度に有効な単位剤形へと、例えば錠剤、ピル及びカプセルへと容易に前記組成物を小分けできるように、活性種が組成物全体に均等に分散されていることを意味している。この場合、この予備配合組成物は、一般的に活性種を0.01から約500mg含む上記のタイプの単位剤形に小分けされる。典型的には、単位剤形は、活性種を、例えば0.05mg、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、5mg、10mg、25mg、50mg又は100mg含む。医薬組成物の錠剤又はピルは、被覆又は配合されて、持続作用の利点をもたらす剤形を提供することができる。例えば、錠剤又はピルは、内側投与成分及び外側投与成分を含むことができ、後者は前者を封入する形態である。この2つの成分は、胃での崩壊を阻止するのに役立ち、及び十二指腸中に完全な状態で入ることができるか又は放出を遅延させることができる腸溶層によって分離できる。上記腸溶の層又は被膜のために各種の材料が使用され、この材料としては、多種多様なポリマー酸、及び例えばシェラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような材料とポリマー酸との混合物が挙げられる。
【0055】
経口又は注射で投与するために、本発明で有用な医薬組成物を組み込むことができる液体形態としては、水溶液、液体充填又はゲル充填カプセル、適切には香味シロップ、水性又は油性懸濁液、及び、例えば綿実油、ゴマ油、ココナッツ油又はピーナッツ油のような食用油を使用した香味エマルジョン、ならびにエリキシル及び同様な医薬賦形剤が挙げられる。水性懸濁液のための好適な分散剤又は懸濁化剤としては、合成及び天然のゴム、例えばトラガカンタ、アカシア、アルギナート、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、及びゼラチンが挙げられる。
【0056】
好ましくは、経口投与に適する医薬組成物である。
【0057】
ADの治療又は予防のために、GHS及びPDE4阻害剤は、各化合物の本来の目的のために有効なレベルで投与できる。而して、GHSは、典型的には、ヒト被験者の内因性成長ホルモンの分泌を増加させることが公知であるレベルで投与され、及びPDE4阻害剤は、ヒトのPDE4酵素を有意に阻害することが公知であるレベルで投与される。多くの場合、これらの供与量レベルは、公開された文献から知ることができるが、標準的な臨床法で容易に決定できる。
【0058】
投与される化合物の投与頻度(例えば1日あたり1回、2回、3回又は4回)は、投与される化合物の薬物動態プロファイルにしたがって選択できる。
【0059】
式Iの好ましいGHSの場合は、1日あたり約0.01から5.0mg/kg、好ましくは1日あたり約0.05から2.5mg/kg、更に好ましくは、1日あたり約0.1から1.0mg/kgの投与量が考えられる。特に、遊離塩基の5mg、10mg又は25mgに相当する投与量を、1日1回患者に経口投与することができる。
【0060】
式XIで表されるPDE4阻害剤の場合は、1日あたり約0.001から0.5mg/kg、好ましくは1日あたり約0.005から0.1mg/kgの投与量が考えられる。特に、遊離塩基の約0.1mg、0.5mg又は5.0mgに相当する投与量を、1日1回患者に経口投与することができる。
【0061】
式XIIで表される化合物(Ariflo(登録商標))の場合は、1日に2回経口投与され、1人当たり約5mg、10mg又は15mgの投与量が考えられる。化合物CDP840の場合は、1日に1回経口投与され、1人当たり約15mg又は30mgの投与量が考えられる。化合物V−11294Aの場合は、1日に1回経口投与され、1人当たり約300mgの投与量が考えられる。
【0062】
更なる側面において、本発明は、医薬適合性の担体中に、式Iの化合物又はこの医薬適合性の塩及び式XIの化合物又はこの医薬適合性の塩を含む医薬組成物を提供する。好ましくは、式Iの化合物は、メタンスルホネート塩の形態である。好ましくは、式XIの化合物は、ベンゼンスルホネート塩の形態である。好ましくは、医薬組成物は、錠剤又はカプセルのような経口投与に適する単位剤形の形態である。特定の実施態様では、該単位剤形は、式Iの遊離塩基の5、10又は25mg当量を含み、また式XIの遊離塩基の0.1、0.5又は5.0mg当量を含む。
【0063】
更なる側面において、本発明は、医薬適合性の担体中に、式Iの化合物又はこの医薬適合性の塩及び化合物N−シクロプロピル−1−[3−(1−オキシド−3−ピリジニルエチニル)フェニル]−1,4−ジヒドロ[1,8]ナフチリジン−4−オン−3−カルボキサミド、又はこの医薬適合性の塩を含む医薬組成物を提供する。好ましくは、式Iの化合物は、メタンスルホネート塩の形態である。好ましくは、医薬組成物は、錠剤又はカプセルのような経口投与に適する単位剤形の形態である。特定の実施態様では、該単位剤形は、式Iの遊離塩基の5、10又は25mg当量を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳におけるβ−アミロイドの沈着と関連がある疾患を治療又は予防する薬剤を製造するための成長ホルモン分泌促進物質及びPDE4阻害剤の使用。
【請求項2】
前記疾患が、アルツハイマー病である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
アルツハイマー病、脳血管アミロイドアンギオパチー、多重梗塞性痴呆、ボクサー痴呆又はダウン症候群と関連がある痴呆の発症を治療し又は予防し又は遅延させる薬剤を製造するための成長ホルモン分泌促進物質及びPDE4阻害剤の使用。
【請求項4】
前記薬剤が、MCIに悩まされている患者に投与するための薬剤である、請求項1から3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
前記患者が、アルツハイマー病の家族歴、アルツハイマー病の遺伝性素因、高血清コレステロール、成人発症型糖尿病、低ベースライン海馬体積、総タウの高いCSF中レベル、ホスホ−タウの高いCSF中レベル、及びAβ42の低いCSF中レベルから選択されるアルツハイマー病を発症させる一つまたはそれ以上の危険因子を有する、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記成長ホルモン分泌促進物質が、N−[1(R)−[(1,2−ジヒドロ−1−メタンスルホニルスピロ[3H−インドール−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)カルボニル]−2−(フェニルメチルオキシ)エチル]−2−アミノ−2−メチルプロパンアミドのメタンスルホネート塩である、請求項1から5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
前記PDE4阻害剤が、6−[1−メチル−1−(メチルスルホニル)エチル]−8−[3−[(E)−2−[3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−[4−(メチルスルホニル)フェニル]エテニル]フェニル]キノリン又はN−シクロプロピル−1−[3−(1−オキシド−3−ピリジニルエチニル)フェニル]−1,4−ジヒドロ[1,8]ナフチリジン−4−オン−3−カルボキサミドのベンゼンスルホネート塩、又はこの医薬適合性の塩である、請求項1から6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
脳におけるβ−アミロイドの沈着と関連がある疾患、特にアルツハイマー病を治療又は予防する場合に使用する成長ホルモン分泌促進物質(GHS)とPDE4阻害剤との組み合わせ。
【請求項9】
医薬適合性の担体中に、式Iの化合物又はこの医薬適合性の塩
【化1】

及び化合物N−シクロプロピル−1−[3−(1−オキシド−3−ピリジニルエチニル)フェニル]−1,4−ジヒドロ[1,8]ナフチリジン−4−オン−3−カルボキサミド、又はこの医薬適合性の塩を含む医薬組成物。
【請求項10】
AD、年齢関連性認知能低下、MCI、脳血管アミロイドアンギオパチー、多重梗塞性痴呆、ボクサー痴呆又はダウン症候群に罹患している患者に前記薬剤を逐次的に又は同時に投与するために、使用説明書と一緒に、GHSを含む第一薬剤と、PDE4阻害剤を含む第二薬剤とを含むキット。

【公表番号】特表2006−522084(P2006−522084A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506077(P2006−506077)
【出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001435
【国際公開番号】WO2004/087157
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【Fターム(参考)】