説明

アルツハイマー病治療用ベータ−セクレターゼインヒビターとして活性な置換へテロ環含有三級カルビナミン

本発明はβ−セクレターゼ酵素のインヒビターとして有用であり、またβ−セクレターゼが関与するアルツハイマー病などの疾患の治療に有用な置換へテロ環を有する三級カルビナミン化合物を目的とする。本発明はまたこれら化合物を含有してなる医薬組成物、およびβ−セクレターゼ酵素が関与するかかる疾患の治療におけるこれら化合物および組成物の使用を目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願とのクロス・リファレンス)
本出願は2005年1月19日出願の米国仮特許出願出願番号60/644,924および2005年2月11日出願の同60/652,421の、米国特許法第119条(e)項に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明はβ−セクレターゼのインヒビターとして有用な置換へテロ環を有する三級カルビナミンに関し、またβ−セクレターゼ酵素の関与する疾患、例えば、アルツハイマー病などの治療に関する。
【背景技術】
【0003】
アルツハイマー病は細胞外プラークおよび細胞内神経原線維変化を通じて、脳内にアミロイドが異常に沈着することを特徴とする。アミロイドの蓄積速度は形成、凝集、および脳からの排出速度の組み合わせである。アミロイドプラークの主成分は4kDのアミロイドタンパク質(βA4;また、Aβ、β−タンパク質およびβAPともいう)であり、非常に大きなサイズの前駆体タンパク質のタンパク質分解産物である、と一般には認められている。アミロイド前駆体タンパク質(APPまたはAβPP)は大きなエクトドメイン、膜貫通領域および短い細胞質尾部をもつ受容体様構造を有する。AβドメインはAPPの細胞外ドメインおよび膜貫通型ドメイン両方の部分を包含し、従って、その放出はそのNH−およびCOOH−末端を生成する2つの明瞭に異なるタンパク質分解事象の存在を意味している。少なくとも2つの分泌メカニズムが存在し、それらが膜からAPPを放出し、また、APPの可溶性COOH−末端切除形状(APP)を生成する。APPを放出するプロテアーゼおよび膜からのそのフラグメントを「セクレターゼ」と呼称する。殆どのAPPが推定α−セクレターゼにより放出されるが、該セクレターゼはAβタンパク質内部を切断してα−APPを放出し、無傷のAβの放出が起こらないようにする。APPのマイナーな部分はβ−セクレターゼ(「β−セクレターゼ」)により放出されるが、該セクレターゼはAPPのNH−の末端近傍を切断し、全Aβドメインを含むCOOH−末端フラグメント(CTF)を生じる。
【0004】
従って、β−セクレターゼまたはβ−部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素(「BACE」)の活性により、アルツハイマー病の特徴である、APPの異常な開裂、Aβの産生、および脳内でのβアミロイドプラークの蓄積が生ずる。(参照:R.N.Rosenberg,Arch.Neurol.,vol.59,Sep 2002,pp.1367−1368;H.Fukumoto et al,Arch.Neurol.,vol.59,Sep 2002,pp.1381−1389;J.T.Huse et al,J.Biol.Chem.,vol277,No.18,issue of May 3,2002,pp.16278−16284;K.C.Chenand W.J.Howe,Biochem.Biophys.Res.Comm,vol.292,pp702−708,2002)。それ故、β−セクレターゼまたはBACEを阻害し得る治療剤は、アルツハイマー病の治療に有用であり得る。
本発明化合物はβ−セクレターゼまたはBACEの活性を阻害して、不溶性Aβの形成を防止し、Aβの産生を阻止することにより、アルツハイマー病を治療するのに有用であり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はβ−セクレターゼ酵素のインヒビターとして有用であり、またβ−セクレターゼ酵素が関与するアルツハイマー病などの疾患の治療に有用な置換へテロ環を有する三級カルビナミン化合物に関する。本発明はまたこれらの化合物を含有してなる医薬組成物、およびβ−セクレターゼ酵素が関与するかかる疾患の治療におけるこれら化合物および組成物の使用にも関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式(I):
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、
Xは5個または6個の環原子を有するヘテロアリール基であり;
は−C0−3アルキレンであり(該アルキレンは未置換であるか、または1又は2個以上の
(1)ハロ、
(2)−C3−12シクロアルキル、
(3)−OH、
(4)−CN、
(5)−O−C1−10アルキル、および
(6)−C1−10アルキル
で置換されている);
は、
(1)−C6−10アリール、
(2)ヘテロアリール、
(3)−C1−10アルキル、および
(4)−C3−8シクロアルキル(該シクロアルキルはC6−10アリール基に縮合していてもよい)
からなる群より選択され(該Rのアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール部分は未置換であるか、または1又は2個以上の
(a)ハロ、
(b)−C1−10アルキル(該アルキルは未置換であるか、またはハロゲンで置換されていてもよい)、
(c)−OH、
(d)−CN、
(e)−O−C1−10アルキル、
(f)−C3−12シクロアルキル、および
(g)−NR(ただし、RおよびRは(i)水素、(ii)C1−10アルキル、および(iii)C0−6アルキレン−C6−10アリールからなる群より選択されるか、またはRおよびRは窒素原子と結合して4または5個の炭素原子を有する炭素環状基を形成し;ただし、1又は2個以上の環炭素原子が窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子、または−(C=O)−もしくは−SO−基で置き換わり得る)
で置換されている);
は、
(1)水素、
(2)−C1−10アルキル、および
(3)−C2−10アルケニルからなる群より選択され(該Rのアルキルまたはアルケニルは未置換であるか、または1又は2個以上の
(a)ハロ、
(b)−C3−12シクロアルキル、
(c)−OH、
(d)−CN、
(e)−O−C1−10アルキル、
(f)−C6−10アリール、または
(g)ヘテロアリール
で置換されており(当該アルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール部分は未置換であるか、または1又は2個以上の(i)ハロ、(ii)−OH、(iii)−CN、(iv)−O−C1−10アルキル、(v)−C1−10アルキル、または(vi)−C3−12シクロアルキルで置換されている);
は、
(1)−C0−3アルキレン−C6−10アリール、
(2)−C0−3アルキレン−ヘテロアリール、
(3)−C0−3アルキレン−N−炭素環状基(該N−炭素環状基は3ないし12個の環炭素原子を有し、1個の環二重結合を有していてもよく(ただし、1又は2個以上の環炭素原子が窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子、または−NH−、−(C=O)−もしくは−SO−基と置き換わっていてもよく;該N−炭素環状基はC6−10アリールに縮合していてもよい)、
(4)−C0−3アルキレン−C−炭素環状基(該C−炭素環状基は3ないし12個の環炭素原子を有し、1個の環二重結合を有していてもよい(ただし、1又は2個以上の環炭素原子が窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子、または−NH−、−(C=O)−もしくは−SO−基と置き換わっていてもよく;該C−炭素環状基はC6−10アリールに縮合していてもよい)、
(5)−C0−3アルキレン−Q−C1−10アルキル、
(6)−C0−3アルキレン−Q−C2−10アルケニル、
(7)−C0−3アルキレン−Q−C2−10アルキニル、および
(8)−C0−3アルキレン−Q−C0−3アルキレン−C6−10アリール
からなる群より選択され;
ただし、当該Rのアルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、N−炭素環、C−炭素環、アリールおよびヘテロアリール部分は、未置換であるか、または1又は2個以上の
(a)ハロ、
(b)−OH、
(c)−CN、
(d)−NO
(e)−C1−10アルキル、
(f)−O−C1−10アルキル、
(g)−C3−12シクロアルキル、
(h)−C0−3アルキレン−C6−10アリール、
(i)−O−C0−3アルキレン−C6−10アリール、
(j)−C(=O)−(O)m−C1−10アルキル、
(k)−C(=O)−(O)m−C0−3アルキレン−C6−10アリール、
(l)−S(=O)−C1−10アルキル、
(m)−S(=O)−C0−3アルキレン−C6−10アリール、
(n)−C5−10ヘテロアリール、
(o)−C(=O)−C1−10アルキル、
(p)−C0−3アルキレン−N−炭素環状基(該N−炭素環状基は3ないし12個の環炭素原子を有し、1個の環二重結合を有していてもよく;ただし、1又は2個以上の環炭素原子が窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子、または−NH−、−(C=O)−もしくは−SO−基と置き換わっていてもよく;該N−炭素環状基はC6−10アリールに縮合していてもよい)、
(q)−C0−3アルキレン−C−炭素環状基(該C−炭素環状基は3ないし12個の環炭素原子を有し、1個の環二重結合を有していてもよく;ただし、1又は2個以上の環炭素原子が窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子、または−NH−、−(C=O)−もしくは−SO−基と置き換わっていてもよく;該C−炭素環状基はC6−10アリールに縮合していてもよい)、
(r)−(C=O)−OH、
(s)−C0−3アルキレン−(Q)m−NR(RおよびRは(i)水素、(ii)C1−10アルキル、および(iii)C0−6アルキレン−C6−10アリールからなる群より選択されるか、またはRおよびRが窒素原子と結合して4ないし5個の環炭素原子を有する炭素環状基を形成し;ただし、1又は2個以上の環炭素原子は窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子、または−(C=O)−もしくは−SO−基と置き換わっていてもよい)
で置換されており;
また、該アルキル、アルキレン、シクロアルキル、C−炭素環、N−炭素環、アリールまたはヘテロアリール部分は、未置換であるか、または1又は2個以上の(i)ハロ、(ii)−OH、(iii)−CN、(iv)−C1−10アルキル、(v)−C2−10アルケニル、(vi)−C2−10アルキニル、(vii)−O−C1−10アルキル、(viii)−C3−12シクロアルキル、(ix)−C0−3アルキレン−C6−10アリール、(x)−C(=O)−(O)m−C1−10アルキル、または(xi)−C(=O)−(O)m−C0−3アルキレン−C6−10アリールで置換されており;
また、Q、QおよびQ
(a)−S(=O)n−、
(b)−S−、
(c)−O−、
(d)−NR−、
(e)−NR−S(=O)n−、
(f)−NR−C(=O)−(O)m−、
(g)−C(=O)−(O)m−、
(h)−O−C(=O)−、および
(i)
【化2】

(ただし、Rは(i)水素、(ii)−C1−10アルキル、(iii)−C0−3アルキレン−C6−10アリール、(iv)ヘテロアリール、(v)−C0−3アルキレン−Q−C1−10アルキル、(vi)−C0−3アルキレン−Q−C2−10アルケニル、(vii)−C0−3アルキレン−Q−C2−10アルキニル、および(viii)−C0−3アルキレン−Q−C0−3アルキル−C6−10アリールからなる群より選択され;
また、Rは1ないし4個の環状炭素鎖であり(ただし、1又は2個以上の環状炭素原子が窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子、または−(C=O)もしくはSO基で置き換わっていてもよい))
からなる群より選択され;
mは0または1であり;
nは1または2である]で示される化合物およびその医薬的に許容される塩、およびその個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーに関する。
【0009】
本発明はまた本明細書に開示する化合物を、β−セクレターゼ酵素活性またはβ−部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素(「BACE」)活性のインヒビターとして、かかる阻害を必要とする哺乳動物などの患者または被験対象に使用することを目的とし、該化合物の有効量を投与することを特徴とする。用語「β−セクレターゼ酵素」、「β−部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素」、および「BACE」は本明細書において相互に交換して使用し得る。ヒトの他に、種々の他の哺乳動物が本発明方法に従って治療し得る。
【0010】
さらに本発明はヒトおよび動物において、β−セクレターゼ酵素活性を阻害するための医薬または組成物の製造方法を目的とし、該方法は本発明化合物と、医薬用担体または賦形剤とを組合わせることを特徴とする。
本発明の好適な態様において、Xは
【0011】
【化3】

【0012】
からなる群より選択される5員または6員のヘテロアリールである。
特に好ましいX基は
【0013】
【化4】

【0014】
である。
本発明の好ましい態様において、QはCHである。本発明のより好ましい態様において、QはCHであり、Rはフェニル(好ましくは未置換フェニル)である。
本発明の好ましい態様において、Rは−C1−10アルキル、より好ましくは−C1−3アルキル、さらに好ましくは未置換の−C1−3アルキル(好ましくは、未置換メチル)である。
【0015】
好ましい態様において、R
(1)−C0−3アルキレン−C6−10アリール、
(2)−C0−3アルキレン−ヘテロアリール、
(3)−C0−3アルキレン−N−炭素環状基、および
(4)−C0−3アルキレン−C−炭素環状基からなる群より選択され任意で上記の置換基をもつ。好ましいヘテロアリール基はピリジルなどの1個の窒素を有する6員のヘテロアリール環である。
【0016】
他の好ましい態様において、Rは−Cアルキレン−C6−10アリールおよびCアルキレン−ヘテロアリールからなる群より選択される。好ましいヘテロアリール基は5個または6個の環原子を有する。
従って、一態様において、本発明化合物は、式(II):
【0017】
【化5】

で示される化合物である。
【0018】
より好ましくは、本発明化合物は式(II’):
【0019】
【化6】

で示される化合物である。
【0020】
式(II)および(II’)で示される化合物の一部の態様において、Rは−C0−3アルキレン−C6−10アリールまたは−C0−3アルキレン−ヘテロアリールであり、該へテロアリールは5ないし10個の環原子を有し、上記定義の置換基を有していてもよい。
本発明の別の態様では、以下の実施例の標題化合物およびその医薬的に許容される塩から選択される化合物を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本明細書にて使用する場合、それ自体または別の置換基の部分としての用語「アルキル」とは、指定された炭素原子数を有する飽和の直鎖または分枝鎖の炭化水素ラジカルを意味する(例えば、C1−10アルキルは1ないし10個の炭素原子を有するアルキル基を意味する)。本発明での使用に好適なアルキル基は、C1−6アルキル基であり、1ないし6個の炭素原子を有する。アルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0022】
本明細書にて使用する場合、それ自体または別の置換基の部分としての用語「アルキレン」とは、指定された炭素原子数を有する飽和の直鎖または分枝鎖の二価の炭化水素ラジカルを意味する。用語Cアルキレン(例えば、「−Cアルキレン−C6−10アリール」ラジカルにおいて)とは結合を表し、アルキレン基は存在しないことを意味する。
【0023】
本明細書にて使用する場合、それ自体または別の置換基の部分としての用語「アルケニル」とは、単一の炭素−炭素二重結合と指定された炭素原子数を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素ラジカルを意味する(例えば、C2−10アルケニルは2ないし10個の炭素原子を有するアルケニル基を意味する)。本発明での使用に好適なアルケニル基は、C2−6アルケニル基であり、2ないし6個の炭素原子を有する。例示としてのアルケニル基は、エテニルおよびプロペニルが挙げられる。
【0024】
本明細書にて使用する場合、それ自体または別の置換基の部分としての用語「シクロアルキル」とは、指定された炭素原子数を有する飽和の単環状、多環状、スピロ環状または架橋環状炭化水素ラジカルを意味する(例えば、C3−12シクロアルキルとは3ないし12個の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味する)。好適なシクロアルキル基はC3−8シクロアルキル基、取分けC3−8単環状シクロアルキル基である。単環状シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。架橋シクロアルキル基の例はアダマンチルおよびノルボルニルである。
【0025】
本明細書にて使用する場合、それ自体または別の置換基の部分としての用語「炭素環状」とは、上記定義のシクロアルキル基、または非芳香族へテロ環状基を意味する。それ自体または別の置換基の部分としての非芳香族へテロ環状基とは、上記定義の炭素環状基を意味し、単一の環二重結合を任意に有し、その1個以上の環炭素原子がヘテロ原子(N、SまたはO)、または環SOもしくは−(C=O)−基と置き換わっている。例えば、非芳香族へテロ環状環は、−C(=O)−O−または−C(=O)−N−基を含み得る。本発明にて使用しようとする炭素環状基は、単一環構造、縮合環構造、架橋環構造またはスピロ環状構造である。本発明での使用に適する非芳香族へテロ環状基は、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、ピラゾリジニルおよびイミダゾリジニルである。
【0026】
炭素環状基はC6−10アリールまたは5ないし10個の環原子を有するヘテロアリール環に縮合していてもよい。
「C−炭素環状基」は、本明細書にて使用する場合、環状炭素に結合した炭素環状ラジカルを表す。好適なC−炭素環状基は5個または6個の環原子を有する。
「N−炭素環状基」は、本明細書にて使用する場合、環状窒素に結合した炭素環状ラジカルを表す。好適なN−炭素環状基は5個または6個の環原子を有する。
【0027】
本明細書に定義した非芳香族へテロ環状基が置換基を有する場合、該置換基はヘテロ環状基の環炭素原子に、または環へテロ原子(すなわち、窒素、酸素または硫黄)に結合可能であり、置換を可能とする原子価を有する。好ましくは、該置換基は環炭素原子に結合する。同様に、非芳香族へテロ環状基が本明細書に置換基として定義されている場合、その結合点はヘテロ環状基の環炭素原子であるか、または環へテロ原子(すなわち、窒素、酸素または硫黄)上にあり、結合を可能とする原子価を有する。好ましくは、該結合は環炭素原子にある。
【0028】
本明細書にて使用する場合、それ自体または別の置換基の部分としての用語「アリール」は、指定された炭素原子数を有する芳香族または環状ラジカルを意味する(例えば、C6−10アリールは6ないし10個の炭素原子を有するアリール基を意味する)。本発明での使用に好適なアリール基はフェニルおよびナフチルである。
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードである。
【0029】
本明細書にて使用する場合、それ自体または別の置換基の部分としての用語「ヘテロアリール」とは、少なくとも1個の環ヘテロ原子(O、NまたはS)を有する芳香族環状基を意味する。本発明にて使用しようとするヘテロアリール基は、単一のまたは縮合した環構造に縮合し得る。本発明にて使用するヘテロアリール基の例は、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、インディニルおよびベンズオキサゾリルである。好適なヘテロアリール基は5ないし10個の環原子を有する。より好適なヘテロアリール基は5個または6個の環原子を有する。
【0030】
本明細書に定義するヘテロアリール基は非芳香族炭素環状環に縮合し得る。
本明細書に定義するヘテロアリール基が置換基を有する場合、該置換基はヘテロアリール基の環炭素原子に、または環へテロ原子(すなわち、窒素、酸素または硫黄)に結合可能であり、置換を可能とする原子価を有する。好ましくは、該置換基は環炭素原子に結合する。同様に、ヘテロアリール基が本明細書にて置換基として定義される場合、その結合点はヘテロアリール基の環炭素原子、または環へテロ原子(すなわち、窒素、酸素または硫黄)であり、結合を可能とする原子価を有する。好ましくは、該結合は環炭素原子上である。
【0031】
本発明の一部化合物は少なくとも1個の不斉中心を有する。さらなる不斉中心も分子上の様々な置換基の性質によっては存在し得る。不斉中心をもつ化合物はエナンチオマー(光学異性体)、ジアステレオマー(立体配置異性体)またはその両方を生じ、可能なエナンチオマーおよびジアステレオマーのすべてが、混合物として、また純品もしくは一部精製化合物として、本発明の範囲に包含される。本発明はこれら化合物のかかる異性体化合物のすべてを包含するものとする。
【0032】
エナンチオマーに富む、またはジアステレオマーに富む化合物の独立した合成、またはそれらのクロマトグラフィーによる分離は、本明細書に開示した方法を適当に修飾することにより、技術上既知のものとして実施し得る。その絶対立体化学は結晶性産物、または要すれば既知の絶対立体配置の不斉中心を含む試薬で誘導化される結晶性中間体のX線結晶解析により決定することができる。
【0033】
要すれば、化合物のラセミ混合物を分離して、個々のエナンチオマーを単離することもできる。分離は技術上周知の方法、例えば、化合物のラセミ混合物をエナンチオマーとして純品の化合物とカップリングさせてジアステレオマー混合物を形成させ、次いで個々のジアステレオマーを標準的方法、例えば、分別結晶またはクロマトグラフィーにより分離することにより実施し得る。カップリング反応は多くの場合エナンチオマーとして純粋な酸または塩基を用いる塩の形成反応である。ジアステレオマー誘導体は付加したキラル残基の切断により純粋なエナンチオマーに変換することができる。該化合物のラセミ混合物は、キラル固定相を用いるクロマトグラフ法により直接分離することもできる;この方法は技術上周知である。
【0034】
別法として、化合物のエナンチオマーは、技術上周知の方法によって、光学的に純粋な出発原料または既知の立体配置の試薬を用いる立体選択的合成により入手し得る。
本発明にクレームした化合物は以下の一般的手法に従って調製し得る。
工程図1では、1型のアミノ酸誘導体を連続2工程を経て、対応するヒドラジニルアミド3に変換する。市販品として入手できないアミノ酸誘導体を入手するために、グリシン・シッフ塩基4の2工程のアルキル化を利用し得る。シッフ塩基脱保護、Boc保護およびエステル加水分解により、化合物2への別途ルートを提供する。5の合成に向けた4のアルキル化は文献(参照:K.Maruoka et al,J.Am.Chem.Soc.2000,122,5228−5229 and M.North et al,Tetrahedron Lett.2003,44,2045−2048)記載のエナンチオ選択的方法により実施し得る。
【0035】
【化7】

【0036】
工程図2は2.2型の化合物の合成を描出する。アミド結合の形成にはポリマー担持(PS)EDCが媒介する;これはマクロ多孔性(MP)炭酸によるクエンチング、濾過および濃縮によりカップリング付加物とする。PS−PhP、ImおよびCBrにより脱水反応を行う;この場合、単に濾過、濃縮するだけで所望のオキサジアゾールが得られる;このものは次いで酸性条件下にBoc脱保護を受ける。
【0037】
【化8】

【0038】
用語「実質的に純粋な」とは、単離した物質が技術上既知の分析技術によりアッセイした場合、少なくとも90%純粋であること、好ましくは95%純粋であること、さらにより好ましくは99%純粋であることを意味する。
【0039】
用語「医薬的に許容される塩」とは、医薬的に許容される非毒性の塩基または酸、例えば、無機もしくは有機の塩基および無機もしくは有機の酸から調製される塩をいう。本発明化合物は該化合物の遊離塩基形状に存在する酸官能基の数により、モノ、ジまたはトリス塩となり得る。無機塩基由来の遊離塩基および塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第一鉄、第二鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、亜マンガン塩、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを包含する。取分け好適なのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、およびナトリウム塩である。固体形状の塩は1又は2種以上の結晶構造として存在し得、水和物の形状も取り得る。医薬的に許容される有機非毒性塩基由来の塩は、一級、二級、および三級アミン、天然産置換アミンなどの置換アミン、環状アミン、および塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩である。本発明化合物が塩基性である場合、その塩は無機酸および有機酸を含む医薬的に許容される非毒性酸から調製し得る。かかる酸は、酢酸、トリフルオロ酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などである。取分け好適なのは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸、および酒石酸である。
【0040】
本発明の化合物はアルツハイマー病の治療、改善、コントロール、またはリスクの低減において有用である。例えば、該化合物はアルツハイマー型の認知症(痴呆)の予防、ならびにアルツハイマー型認知症の初期段階、中期段階、または後期段階の治療に有用であり得る。該化合物はまたアミロイド前駆体タンパク質(APPともいう)の異常開裂により介在される疾患、およびβ−セクレターゼの阻害により治療または予防し得る他の症状の治療、改善、コントロールまたはリスクの低減に有用であり得る。かかる症状は緩和な認知障害、21染色体(ダウン症候群)、脳アミロイド血管障害、変性痴呆、オランダ型アミロイド症をもつ遺伝性脳出血(HCHWA−D)、クロイツフェルト−ヤコブ病、プリオン障害、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、頭部傷害、卒中、ダウン症候群、膵臓炎、封入体筋炎、他の末梢性アミロイド症、糖尿病およびアテローム性動脈硬化症などである。
【0041】
本発明化合物を投与する被験対象または患者は、一般的にはβ−セクレターゼ酵素活性を阻害することが望ましいヒト(男性または女性)であるが、β−セクレターゼ酵素活性の阻害または上記の障害の治療が望ましい他の動物、例えば、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、サル、チンパンジーまたはその他のサル類または霊長類も包含する。
【0042】
本発明化合物は該化合物が有用な疾患または症状の治療において、1又は2種以上の他の薬物と組合わせて使用し得る;この場合、一緒に組合わせる薬物は、それぞれの薬物単独よりもより安全であるか、またはより有効である。さらに、本発明化合物は本発明化合物の副作用または毒性を治療、予防、コントロール、改善、またはリスクを低減する1又は2種以上の他の薬物と組合わせて使用し得る。かかる他の薬物は、それを使用する一般的なルートおよび量で、本発明化合物と同時に、または連続的に投与し得る。従って、本発明の医薬組成物は、本発明化合物に加えて、他の1又は2種以上の有効成分を含む組成物を包含する。この配合剤は単位投与形態の組合わせの一部として、または治療プロトコールの一部として別個の投与形態で1又は2種以上の追加の薬物を投与するキットもしくは治療プロトコールとして投与し得る。
【0043】
単位用量またはキットの形状での本発明化合物と他の薬物との組み合わせの例は、抗アルツハイマー薬、例えば、他のベータ−セクレターゼインヒビターまたはガンマ−セクレターゼインヒビター;タウ−リン酸化インヒビター;M1受容体ポジティブ・アロステリック・モジュレーター;Aβオリゴマー形成の遮断薬;5−HTモジュレーター、例えば、PRX−03140、GSK742467、SGS−518、FK−962、SL−65.0155、SRA−333およびキサリプロデン(xaliproden);p25/CDK5インヒビター;NK1/NK3受容体アンタゴニスト;COX−2インヒビター;HMG−CoA還元酵素インヒビター;イブプロフェンを含むNSAID;ビタミンE;抗アミロイド抗体(抗アミロイド・ヒト化モノクローナル抗体を含む);抗炎症性化合物、例えば、(R)−フルルビプロフェン、ニトロフルルビプロフェン、ロシグリタゾン、ND−1251、VP−025、HT−0712およびEHT−202;CB−1受容体アンタゴニストまたはCB−1受容体インバースアゴニスト;抗生物質、例えば、ドキシサイクリンおよびリファンピン;N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニスト、例えば、メマンチンおよびネラメキサン;コリンエステラーゼインヒビター、例えば、ガランタミン、リバスチグミン、ドネペジル、タクリン、フェンセリン、ラドスチジルおよびABT−089;成長ホルモン分泌促進剤、例えば、イブタモレン、メシル酸イブタモレン、およびカプロモレリン;ヒスタミンHアンタゴニスト、例えば、ABT−834、ABT829およびGSK189254;AMPAアゴニストまたはAMPAモジュレーター、例えば、CX−717、LY451395およびS−18986;PDEIVインヒビター;GABAインバースアゴニスト;神経ニコチン性アゴニスト;選択的M1アゴニスト;微小管親和性調節キナーゼ(MARK)リガンド;P−450インヒビター、例えば、リトナビル;またはその他本発明化合物の有効性、安全性、利便性を増大させるか、または望ましくない副作用もしくは毒性を低下させる受容体もしくは酵素に影響を及ぼす薬物;などの組合わせである。前記組合わせ剤のリストは説明のみのものであり、如何なる意味でも制限しようとするものではない。
【0044】
本明細書にて使用する場合、「組成物」という用語は、所定量または所定比率の特定成分を含有してなる産物、ならびに特定量の特定成分の組み合わせから直接または間接的に生じる産物を包含するものとする。医薬組成物に関連するこの用語は、1又は2種以上の有効成分と、不活性成分を含有してなる任意の担体を含有してなる産物、ならびに2種以上の成分の組合わせ、複合体形成もしくは凝集から、または1又は2種以上の成分の解離から、または1又は2種以上の成分の他のタイプの反応もしくは相互作用から直接または間接的に生じる産物を包含するものとする。一般に、医薬組成物は有効成分と液状担体もしくは微細化固形担体もしくはその両方とを均一緊密に混合させ、要すれば、その産物を次いで所望の剤形に成形することにより調製する。医薬組成物中には、活性な対象化合物が疾患の経過または症状に対し望ましい作用を生じるに十分な量含まれる。従って、本発明の医薬組成物は、本発明化合物と医薬的に許容される担体とを混合することにより製造された組成物を包含する。
【0045】
経口使用を意図する医薬組成物は、医薬組成物の製造のための技術分野で周知のいずれかの方法に従って製造することができ、かかる組成物は医薬として洗練された味覚に適う製剤を提供するために、甘味剤、芳香剤、着色剤および保存剤から選択される1又は2種以上の試薬を含有し得る。錠剤は錠剤の製造に適する非毒性の医薬的に許容される添加剤と混合して有効成分を含有し得る。これらの添加剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムもしくはリン酸ナトリウムなどの不活性の希釈剤;顆粒化および崩壊剤、例えば、コーンスターチ、もしくはアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチンもしくはアラビアゴム;および滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸もしくはタルクなどである。該錠剤は裸錠でもよく、または胃腸管での崩壊および吸収を遅延させ、それによって長時間の持続作用を提供するために、既知の方法により被覆剤としてもよい。
【0046】
経口使用の組成物はハードゼラチンカプセルとして提供してもよく、その場合、有効成分は不活性の固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合するか、あるいはソフトゼラチンカプセルとしてもよく、その場合には、有効成分は水または油状媒体、例えば、ラッカセイ油、流動パラフィン、またはオリーブ油と混合する。
【0047】
その他の医薬組成物は水性懸濁剤である;このものは水性懸濁剤の製造に適する添加剤と混合した活性物質を含有する。さらに、油性懸濁剤は有効成分を植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナツ油中、または流動パラフィンなどの鉱油中に懸濁することにより製剤化し得る。油性懸濁剤もまた種々の添加剤を含み得る。本発明の医薬組成物は水中油型の乳剤であってもよい;これもまた甘味剤および芳香剤などの添加剤を含有し得る。
【0048】
該医薬組成物は周知技術により製剤化し得る無菌注射用の水性または油性懸濁液の形状であってもよい;または薬物を直腸投与するための坐剤の形状で投与してもよい。
本発明化合物は当業者既知の吸入装置により、吸入によって、または経皮パッチによっても投与し得る。
「医薬的に許容される」とは、その担体、希釈剤または添加剤が製剤の他の成分と調和し、その受容者に有害であってはならないことを意味する。
【0049】
化合物「の投与」または化合物を「投与すること」という用語は、治療を必要とする個体に、その個体の身体に導入し得る形状で、治療的に有用な形状および治療的に有用な量の本発明化合物を提供することを意味すると理解すべきである;当該形状とは、限定されるものではないが、経口投与形状、例えば、錠剤、カプセル、シロップ、懸濁剤など;注射可能な投与形状、例えば、IV、IM、またはIPなど;経皮投与形状、例えば、クリーム、ゼリー、粉末剤、またはパッチ;口腔用剤;吸入用粉末、スプレー、懸濁液など;および直腸用坐剤である。
【0050】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、研究者、獣医師、医師またはその他の臨床家が探索している組織、システム、動物またはヒトの生物学的または医学的反応を惹き出す対象化合物の量を意味する。
【0051】
本明細書にて使用する場合、「治療」または「治療する」という用語は、本発明化合物を何らかの方法で投与することを意味し、(1)罹患の病態学的または症候学的症状を経験しているか、または示している動物の疾患を阻害すること(すなわち、病態学的および/または症候学的症状のさらなる進行を阻止すること)、または(2)罹患の病態学的または症候学的症状を経験しているか、または示している動物の疾患を改善すること(すなわち、病態学的および/または症候学的症状を逆転させること)である。用語「制御する」とは、コントロールすべき重篤な症状を予防治療すること、根絶すること、改善すること、そうでなければ低減させることである。
【0052】
本発明化合物を含有する組成物は、簡便には単位投与形態で提供し得るし、また薬学的に周知の方法により調製し得る。「単位投与形態」という用語は、すべての有効成分および不活性成分が適切な系に組合わされていて、患者が、または患者に薬物を投与する者が一つの容器またはパッケージを開いても、その中にすべての用量が含まれていて、2つ以上の容器またはパッケージから成分が混じり合うことのないようにした単一の投与量を意味する。単位投与形態の代表例は、経口投与用の錠剤またはカプセル剤、注射用の単回投与バイアル、または直腸投与用の坐剤である。単位投与形態の本リストは何らかの方法で限定しようとするものではなく、単に単位投与形態の代表例を示すだけのものである。
【0053】
本発明化合物を含有する組成物は、簡便にはキットとして提供し得る;それによって、有効成分または不活性成分、単体、希釈剤などであり得る2種以上の成分を提供して、患者が、または患者に薬物を投与する者が、説明書に従い実際の投与形態を調製する。かかるキットはすべての必要な材料およびそこに含まれる成分と共に提供し得るか、または患者が、または患者に薬物を投与する者が独立に入手しなければならない材料または構成成分を使用または作製するための説明書を含み得る。
【0054】
本発明化合物が適応となるアルツハイマー病またはその他の疾患を治療、改善、コントロールまたはリスクを低減する場合、一般に、本発明化合物を1日用量として、動物の体重1kgあたり約0.1mgないし約100mg、好ましくは一日単回または分割用量で一日2〜6回、または持続性放出形態で投与すると、満足すべき結果が得られる。一日の総投与量は体重1kgあたり、約1.0mgないし約2000mg、好ましくは約0.1mgないし約20mgである。70kgの成人の場合、一日の総用量は一般に約7mgないし約1,400mgである。この投与計画は最適な治療応答を提供するために調節し得る。該化合物は一日あたり1〜4回、好ましくは一日1回または2回の投与計画で投与し得る。
【0055】
本発明化合物またはその医薬的に許容される塩の投与のための具体的用量は、1mg、5mg、10mg、30mg、80mg、100mg、150mg、300mgおよび500mgである。本発明の医薬組成物は約0.5mgないし1000mgの有効成分を含有してなる製剤、より好ましくは、約0.5mgないし500mgの有効成分、または0.5mgないし250mgの有効成分、または1mgないし100mgの有効成分を含有してなる製剤として提供し得る。治療に有用な具体的な医薬組成物は、約1mg、5mg、10mg、30mg、80mg、100mg、150mg、300mgおよび500mgの有効成分を含有し得る。
【0056】
しかし、理解されることは、いずれの特定の患者についても、具体的な用量レベルと投与の頻度は変化し得るものであり、採用する具体的化合物の活性、その化合物の代謝安定性と作用時間、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与様式と時間、排泄率、薬物の組合わせ、特定症状の重症度、および治療を受ける宿主などに左右されることである。
【0057】
本発明による化合物のβ−セクレターゼ酵素活性のインヒビターとしての用途は、当該技術分野で公知の方法によって示すことができる。酵素の阻害は以下のようにして決定される。
【0058】
ECLアッセイ:ビオチニル化BACE基質を用い、均一系エンドポイント電気化学蛍光(ECL)アッセイ法を採用する。基質のKmは100μMより大きく、基質溶解性の限界のため測定することができない。代表的な反応では、100μlの総反応容量につき、約0.1nMの酵素、0.25μMの基質、およびバッファー(50mM NaOAc、pH4.5、0.1mg/ml BSA、0.2% CHAPS、15mM EDTAおよび1mMデフェロキサミン)を含有する。反応は30分間進行させ、25μLの1Mトリス−HCl、pH8.0を加えて停止させる。得られる酵素生成物は該生成物のC−末端残基を特異的に認識するルテニル化抗体を加えることによりアッセイする。ストレプトアビジン被覆磁気ビーズを溶液中に加え、サンプルをM−384(イゲン・インク、ゲイサースバーグ(Gaithersburg)、MD)分析に付す。これらの条件下に、10%未満の基質をBACE1により処理する。これらの研究に使用する酵素は、バキュロウイルス発現系において産生される可溶性(膜貫通ドメインおよび細胞質エクステンションは排除される)ヒトタンパク質である。化合物に対する阻害効力を測定するために、インヒビター/DMSO溶液(インヒビターは100μMから出発して3倍系列希釈により12濃度調製する)を反応混合物(最終DMSO濃度は10%である)に加える。実験はすべて上記の標準的反応条件を用いて室温で実施する。化合物のIC50を決定するために、4つのパラメータ式を曲線の当てはめのために用いる。解離定数の再現における誤差は一般に2倍未満である。
【0059】
HPLCアッセイ:BACE1により切断されてクマリンと結合したN−末端フラグメントを放出する基質(クマリン−CO−REVNFEVEFR)による、均一系エンドポイントHPLCアッセイ法を採用する。基質のKmは100μMより大きく、基質溶解性の限界のため測定することができない。代表的な反応では、100μlの総反応容量につき、約2nMの酵素、1.0μMの基質、およびバッファー(50mM NaOAc、pH4.5、0.1mg/ml BSA、0.2%CHAPS、15mM EDTAおよび1mMデフェロキサミン)を含有する。反応は30分間進行させ、25μLの1Mトリス−HCl、pH8.0を加えて停止させる。得られる反応混合物をHPLCに負荷し、5分間の直線勾配により生成物を基質から分離する。これらの条件下に、10%未満の基質をBACE1により処理する。これらの研究に使用する酵素は、バキュロウイルス発現系において産生される可溶性(膜貫通ドメインおよび細胞質エクステンションは排除される)ヒトタンパク質である。化合物に対する阻害効力を測定するために、インヒビター/DMSO溶液(12濃度のインヒビターを調製する;濃度範囲はECLにより予測される効力に依存する)を反応混合物(最終DMSO濃度は10%である)に加える。実験はすべて上記の標準的反応条件を用いて室温で実施する。化合物のIC50を決定するために、4つのパラメータ式を曲線の当てはめのために用いる。解離定数の再現における誤差は一般に2倍未満である。
【0060】
取分け、以下の実施例の化合物は上記アッセイ法の一方または両方で、ベータ−セクレターゼ酵素を阻害する活性を有し、一般に、IC50は約1nMないし500μMであった。このような結果は、ベータ−セクレターゼ酵素活性のインヒビターとしての使用における該化合物の本来備わっている活性を示唆している。
【0061】
本発明化合物を製造するための数種の方法を、本明細書の工程図と実施例で説明する。出発原料は当該技術分野で公知の手法に従うか、または本明細書に例示したようにして製造する。以下の実施例は本発明をより完全に理解し得るように提供するものである。これらの実施例は例示のみであり、決して本発明を限定するとして解釈すべきではない。
【0062】
中間体1.2:(R)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−α−メチルフェニルアラニン
【0063】
【化9】

【0064】
(R)−α−メチルフェニルアラニン(1.00g、5.58mmol)とジオキサン(20mL)とのスラリーに、3NNaOH(7.4mL、22.32mmol)およびBocO(1.28g、5.86mmol)を加えた。反応を14時間進行させた。1NHClを滴下することでpHを〜1まで下げ、水で希釈し、水層をEtOAc(3x)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮して所望の産物を白色泡状物として得た。このものはさらに精製せずに使用した。HNMR(d−MeOH,400Mhz)δ7.25−7.17(m,3H),7.12(d,J=6.6Hz,2H),3.27(d,J=13.4Hz,1H),3.15(d,J=13.4Hz,1H),1.45(s,9H),1.39(s,3H)。LCMS[(M−Boc)+H]=180。
【0065】
中間体1.3:(R)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−α−メチルフェニルアラニンヒドラジド
【0066】
【化10】

【0067】
(R)−N−Boc−α−メチルフェニルアラニン(1.50g、5.37mmol)およびCHCN(25mL)の溶液に、EDC(1.75g、9.13mmol)、次いでヒドラジン(0.421mL、13.43mmol)を加えた。直ちに白色の沈殿が形成された;この溶液は1時間経って次第に澄明となった。反応を室温で一夜進行させ、飽和のNaHCO水溶液を加えて失活させ、EtOAcで希釈した。層分離し、水層を新たなEtOAc(3x)で洗った。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮して白色泡状物を得た;このものはさらに精製せずに使用した。HNMR(d−MeOH,400MHz)δ7.27−7.20(m,3H),7.11(d,J=7.7Hz,2H),3.30(d,J=13.5Hz,1H),3.02(d,J=13.5Hz,1H),1.46(s,9H),1.31(s,3H)。LCMS[[(M−Boc)+H]=194。
【実施例1】
【0068】
(R)−2−[5−(5−メチル−1,3−ジフェニル−1H−ピラゾール−4−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]−1−フェニルプロパン−2−アミン
【0069】
【化11】

【0070】
工程A:アミド・カップリング
5−メチル−1,3−ジフェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(0.051g、0.184mmol、1.8当量)、中間体1.3(0.030g、0.102mmol、1.0当量)および3mLのCHClからなる溶液に、HOAt(0.007g、0.50mmol、0.50当量)、ジイソプロピルエチルアミン(0.034mL、0.200mmol、2当量)およびポリマーに担持されたDCC(0.143g、0.200mmol、2当量;1.4mmol/gを樹脂上に充填)を加えた。16時間攪拌した後、マクロ多孔性炭酸(0.190g、0.540mmol、5.4当量;5.4mmol/g樹脂充填)を加えて反応を失活させた。反応液を濾過し、濃縮した。LC/MS[M+H]=554。
【0071】
工程B:脱水反応
工程Aからの付加体とCHCl(3mL)との溶液に、イミダゾール(0.035g、0.515mmol、5当量)、CBr(0.171g、0.515mmol、5当量)およびポリマーに担持されたPhP(0.230g、0.515mmol、5当量;2.21mmol/g樹脂負荷)を加えた。反応液を1.5時間攪拌し、濾過、濃縮した。残渣をDMFに溶かし、分取用HPLC(5−>95%CHCN/HO、0.1%TFA添加、C18PROYMC20x150mm)により精製して、所望のオキサジアゾールを粘稠油として得た。LC/MS[M+H]=536。
【0072】
工程C:Boc脱保護
工程Bからの付加体とCHCl(2mL)との溶液に、TFA(0.200mL、2.05mmol、20.0当量)を加えた。16時間後、反応液を濃縮し、DMFに再溶解し、分取HPLC(5−>95%CHCN/HO、0.1%TFA添加、C18PROYMC20x150mm)により精製し、生成物含有フラクションを凍結乾燥して(R)−2−[5−(5−メチル−1,3−ジフェニル−1H−ピラゾール−4−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]−1−フェニルプロパン−2−アミンを白色固体として得た。HNMR(400MHz,d−MeOH)d7.61−7.55(m,5H),7.49−7.46(m,2H),7.39−7.30(m,3H),7.29−7.27(m,3H),6.92(dd,J=7.1,1.5Hz,2H),3.27(d,J=13.5Hz,1H),3.19(d,J=13.5Hz,1H),2.59(s,3H),1.60(s,3H)。正確な質量;C2726O[(M+H)]の計算値=436.2132;測定値=436.2100。
【0073】
以下のさらなる化合物は上記の概略工程図に従い、上記の出発原料および試薬を用いるか、または市販品として入手可能であるか、もしくは市販入手可能な試薬に有機合成の標準的な手法を適用することにより入手し得る材料および試薬を用いることにより製造した。質量スペクトルデータを以下に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
【表4】

【0078】
【表5】

【0079】
【表6】

【0080】
【表7】

【0081】
【表8】

【0082】
【表9】

【0083】
【表10】

【0084】
【表11】

【0085】
【表12】

【0086】
【表13】

【0087】
【表14】

【0088】
【表15】

【0089】
【表16】

【0090】
【表17】

【0091】
【表18】

【0092】
【表19】

【0093】
【表20】

【0094】
【表21】

【0095】
以下の略号を明細書全般で使用する:
Me:メチル
Bu:ブチル
i−Bu:イソブチル
t−Bu:tertブチル
Et:エチル
Pr:プロピル
i−Pr:イソプロピル
Ar:アリール
Ph:フェニル
Ac:アセチル
HOAt:1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
DMF:N,N’−ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
EDC:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド
Boc:tert−ブチルオキシカルボニル
CHAPS:3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート
TFA:トリフルオロ酢酸
aq:水性
rt:室温
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
【0096】
本発明について、その一部の特定態様を参照しながら記載、説明したが、当業者はその手法およびプロトコールの種々の適応、変更、修飾、置換、削除、または追加が、本発明の精神及び範囲を逸脱することなくなし得ることを認識しよう。それ故、本発明は上記の請求項の範囲によって規定されるべきであり、またかかる請求項は理に適った範囲で解釈されるべきであると理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Xは5個または6個の環原子を有するヘテロアリール基であり;
は−C0−3アルキレンであり(該アルキレンは未置換であるか、または1又は2個以上の
(1)ハロ、
(2)−C3−12シクロアルキル、
(3)−OH、
(4)−CN、
(5)−O−C1−10アルキル、および
(6)−C1−10アルキル
で置換されている);
は、
(1)−C6−10アリール、
(2)ヘテロアリール、
(3)−C1−10アルキル、および
(4)−C3−8シクロアルキル(該シクロアルキルはC6−10アリール基に縮合
していてもよい)
からなる群より選択され(該Rのアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール部分は未置換であるか、または1又は2個以上の
(a)ハロ、
(b)−C1−10アルキル(該アルキルは未置換であるか、またはハロゲンで置換されていてもよい)、
(c)−OH、
(d)−CN、
(e)−O−C1−10アルキル、
(f)−C3−12シクロアルキル、および
(g)−NR(ただし、RおよびRは(i)水素、(ii)C1−10アルキル、および(iii)C0−6アルキレン−C6−10アリールからなる群より選択されるか、またはRおよびRは窒素原子と結合して4または5個の炭素原子を有する炭素環状基を形成し;ただし、1又は2個以上の環炭素原子が窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子、または−(C=O)−もしくは−SO−基で置き換わり得る)
で置換されている);
は、
(1)水素、
(2)−C1−10アルキル、および
(3)−C2−10アルケニルからなる群より選択され(該Rのアルキルまたはアルケニルは未置換であるか、または1又は2個以上の
(a)ハロ、
(b)−C3−12シクロアルキル、
(c)−OH、
(d)−CN、
(e)−O−C1−10アルキル、
(f)−C6−10アリール、または
(g)ヘテロアリール
で置換されており(当該アルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール部分は未置換であるか、または1又は2個以上の(i)ハロ、(ii)−OH、(iii)−CN、(iv)−O−C1−10アルキル、(v)−C1−10アルキル、または(vi)−C3−12シクロアルキルで置換されている);
は、
(1)−C0−3アルキレン−C6−10アリール、
(2)−C0−3アルキレン−ヘテロアリール、
(3)−C0−3アルキレン−N−炭素環状基(該N−炭素環状基は3ないし12個の環炭素原子を有し、1個の環二重結合を有していてもよく(ただし、1又は2個以上の環炭素原子が窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子、または−NH−、−(C=O)−もしくは−SO−基と置き換わっていてもよく;該N−炭素環状基はC6−10アリールに縮合していてもよい)、
(4)−C0−3アルキレン−C−炭素環状基(該C−炭素環状基は3ないし12個の環炭素原子を有し、1個の環二重結合を有していてもよい(ただし、1又は2個以上の環炭素原子が窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子、または−NH−、−(C=O)−もしくは−SO−基と置き換わっていてもよく;該C−炭素環状基はC6−10アリールに縮合していてもよい)、
(5)−C0−3アルキレン−Q−C1−10アルキル、
(6)−C0−3アルキレン−Q−C2−10アルケニル、
(7)−C0−3アルキレン−Q−C2−10アルキニル、および
(8)−C0−3アルキレン−Q−C0−3アルキレン−C6−10アリール
からなる群より選択され;
ただし、当該Rのアルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、N−炭素環、C−炭素環、アリールおよびヘテロアリール部分は、未置換であるか、または1又は2個以上の
(a)ハロ、
(b)−OH、
(c)−CN、
(d)−NO
(e)−C1−10アルキル、
(f)−O−C1−10アルキル、
(g)−C3−12シクロアルキル、
(h)−C0−3アルキレン−C6−10アリール、
(i)−O−C0−3アルキレン−C6−10アリール、
(j)−C(=O)−(O)m−C1−10アルキル、
(k)−C(=O)−(O)m−C0−3アルキレン−C6−10アリール、
(l)−S(=O)−C1−10アルキル、
(m)−S(=O)−C0−3アルキレン−C6−10アリール、
(n)−C5−10ヘテロアリール、
(o)−C(=O)−C1−10アルキル、
(p)−C0−3アルキレン−N−炭素環状基(該N−炭素環状基は3ないし12個の環炭素原子を有し、1個の環二重結合を有していてもよく;ただし、1又は2個以上の環炭素原子が窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子、または−NH−、−(C=O)−もしくは−SO−基と置き換わっていてもよく;該N−炭素環状基はC6−10アリールに縮合していてもよい)、
(q)−C0−3アルキレン−C−炭素環状基(該C−炭素環状基は3ないし12個の環炭素原子を有し、1個の環二重結合を有していてもよく;ただし、1又は2個以上の環炭素原子が窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子、または−NH−、−(C=O)−もしくは−SO−基と置き換わっていてもよく;該C−炭素環状基はC6−10アリールに縮合していてもよい)、
(r)−(C=O)−OH、
(s)−C0−3アルキレン−(Q)m−NR(RおよびRは(i)水素、(ii)C1−10アルキル、および(iii)C0−6アルキレン−C6−10アリールからなる群より選択されるか、またはRおよびRが窒素原子と結合して4ないし5個の環炭素原子を有する炭素環状基を形成し;ただし、1又は2個以上の環炭素原子は窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子、または−(C=O)−もしくは−SO−基と置き換わっていてもよい)
で置換されており;
また、該アルキル、アルキレン、シクロアルキル、C−炭素環、N−炭素環、アリールまたはヘテロアリール部分は、未置換であるか、または1又は2個以上の(i)ハロ、(ii)−OH、(iii)−CN、(iv)−C1−10アルキル、(v)−C2−10アルケニル、(vi)−C2−10アルキニル、(vii)−O−C1−10アルキル、(viii)−C3−12シクロアルキル、(ix)−C0−3アルキレン−C6−10アリール、(x)−C(=O)−(O)m−C1−10アルキル、または(xi)−C(=O)−(O)m−C0−3アルキレン−C6−10アリールで置換されており;
また、Q、QおよびQ
(a)−S(=O)n−、
(b)−S−、
(c)−O−、
(d)−NR−、
(e)−NR−S(=O)n−、
(f)−NR−C(=O)−(O)m−、
(g)−C(=O)−(O)m−、
(h)−O−C(=O)−、および
(i)
【化2】

(ただし、Rは(i)水素、(ii)−C1−10アルキル、(iii)−C0−3アルキレン−C6−10アリール、(iv)ヘテロアリール、(v)−C0−3アルキレン−Q−C1−10アルキル、(vi)−C0−3アルキレン−Q−C2−10アルケニル、(vii)−C0−3アルキレン−Q−C2−10アルキニル、および(viii)−C0−3アルキレン−Q−C0−3アルキル−C6−10アリールからなる群より選択され;
また、Rは1ないし4個の環状炭素鎖であり(ただし、1又は2個以上の環状炭素原子が窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子、または−(C=O)もしくはSO基で置き換わっていてもよい))
からなる群より選択され;
mは0または1であり;
nは1または2である]
で示される化合物およびその医薬的に許容される塩、およびその個々のエナンチオマーおよびジアステレオマー。
【請求項2】
Xが
【化3】

からなる群より選択されるものである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Xが
【化4】

の基から選択されるものである請求項2記載の化合物。
【請求項4】
がCHである請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
がCHであり、Rがフェニルである請求項4記載の化合物。
【請求項6】
が−C1−10アルキルである請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
が−C1−3アルキルである請求項6記載の化合物。
【請求項8】
が(1)−C0−3アルキレン−C6−10アリール、(2)−C0−3アルキレン−ヘテロアリール、(3)−C0−3アルキレン−N−炭素環状基、および(4)−C0−3アルキレン−C−炭素環状基からなる群より選択されるものである請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
式(II):
【化5】

で示される化合物である請求項1記載の化合物。
【請求項10】
式(II’):
【化6】

で示される化合物である請求項9記載の化合物。
【請求項11】
が−C0−3アルキレン−C6−10アリールまたは−C0−3アルキレン−ヘテロアリールであり、該へテロアリールが5ないし10個の環原子を有するものである請求項9または10記載の化合物。
【請求項12】
下記表
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

および医薬的に許容されるその塩からなる群より選択される請求項1記載の化合物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容される塩の治療有効量および医薬的に許容される担体を含有してなる医薬組成物。
【請求項14】
β−セクレターゼ活性を阻害することの必要な哺乳動物におけるβ−セクレターゼ活性の阻害方法であって、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容される塩の治療有効量を当該哺乳動物に投与することを特徴とする方法。
【請求項15】
アルツハイマー病の治療を必要とする患者におけるアルツハイマー病の治療方法であって、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容される塩の治療有効量を当該患者に投与することを特徴とする方法。
【請求項16】
アルツハイマー病の改善またはコントロールを必要とする患者におけるアルツハイマー病を改善またはコントロールする方法であって、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容される塩の治療有効量を当該患者に投与することを特徴とする方法。

【公表番号】特表2008−526999(P2008−526999A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551435(P2007−551435)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/001367
【国際公開番号】WO2006/078577
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】