説明

アルツハイマー病治療薬をスクリーニングするための画像診断モダリティー

前臨床の診断および治療の指標を確立するため、および有効な前臨床療法を同定するスクリーニング方法のための神経変性障害動物モデルの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2004年11月5日出願の米国仮特許出願第60/625162号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、一般に、障害性の脳機能の前臨床指標を同定するため、および疾患修飾療法を同定するための神経変性障害動物モデルの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
アルツハイマー病(AD)は、65才を超える高齢者の約10%が罹患している、最も一般的な認知症の形である。Smallら(1997年)JAMA第278巻:1363〜1371ページ。ヒトの寿命が延び続けるにつれて、ADが健康危機を増大させている。
【0004】
分子神経科学の進歩および神経変性疾患バイオマーカーの同定は、疾患病理生物学の詳細な記述を可能にした。特に、神経画像診断バイオマーカーは、前臨床および早期臨床病期の神経変性の表現型の記述に使用されてきた。蓄積する証拠から、アルツハイマー病を含む神経変性障害は、明白な臨床症状が表される前の、長期間にわたるニューロンの進行性機能喪失を特徴とすることが示されている。したがって、臨床症状を遅らせまたは予防することのできる有効な前臨床療法の開発に強い関心が寄せられている。DeKoskyら、(2003年)Science第302巻:830〜834ページ;Silverman(2004年)J.Nucl.Med.2004第45巻:594〜607ページを参照されたい。臨床的なADの発症を5年遅らせる前臨床介入は、臨床的なADの罹患率を50%低減すると想定されている。さらに遅らせれば、理論的には疾患が事実上消失し得るはずである。Brookmeyerら(1998年)Am.J.Public Health第88巻:1337〜1342ページ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
神経変性疾患の早期治療への並外れた関心にもかかわらず、前臨床ADのための有効な療法は、現在では知られていない。臨床症状の前に脳機能の低下を遅延させまたは阻止することのできる薬物を同定し、前駆症状の病期中に現存する療法の使用を評価するために、本発明は、AD動物モデルにおける神経画像診断バイオマーカーの関連指標を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前臨床段階の神経変性障害治療のための化合物の同定方法を提供する。また、神経変性障害治療のための疾患修飾型化合物を同定する方法も提供する。この方法は、一般に、(a)神経変性障害の前臨床動物モデルに1種または複数の候補化合物を投与する工程、(b)動物モデルにおける1種または複数の疾患バイオマーカーの変化を、対照動物における1種または複数の疾患バイオマーカーの指標と比べて評価する工程、および(c)1種または複数の疾患バイオマーカーを、対照動物における1種または複数の疾患バイオマーカーの指標へと変化させる候補化合物を選択する工程を含む。一例として、開示する方法は、徴候出現前のアルツハイマー病治療のための疾患修飾型の薬物を同定するのに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、神経変性疾患のための、疾患修飾療法の同定を対象とする方法を提供する。ADの場合では、疾患修飾療法は、アミロイド斑および認知低下の出現前に治療効果を有する薬剤である。開示する方法は、前臨床介入を焦点としたAD創薬への新しい手法となる。
【0008】
I.神経変性疾患の診断および進行のバイオマーカー
本明細書に記載するとおり、動物モデルにおけるバイオマーカーの検出を使用すると、神経変性障害の前臨床診断のため、および前臨床病期に治療効果を有する薬物の同定のための指標を開発することができる。本発明の詳細な態様では、ADにおいて障害性の脳機能を検出するための画像診断モダリティーを提供する。
【0009】
用語バイオマーカーとは、一般に、生物学的な過程の指標として客観的に測定および評価することのできる特性、特色、または特徴を指す。バイオマーカーはさらに、遺伝的バイオマーカー、画像診断バイオマーカー、分子/生化学的バイオマーカー、臨床的バイオマーカーとして記述される場合もある。DeKoskyら(2003年)Science第302巻:830〜834ページを参照されたい。これらの呼称は、一般に、検出方法を指し、したがって生物学的な状態または変化は、上述の範疇のバイオマーカーの1種または複数を使用して述べることができる。
【0010】
疾患バイオマーカーは、対照条件と比べて少なくとも約2倍の差、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍の差など、非疾患または対照条件と比べて統計学的に有意な相違(p<0.05)を示すバイオマーカーである。早期の疾患検出のための画像診断モダリティーの開発に使用される対照動物は、臨床または前臨床の疾患尺度を示さない動物である。導入遺伝子、誘導突然変異、または部位特異的な変異を含む動物モデルにける疾患バイオマーカーの評価では、導入遺伝子または変異を欠いている親系統の動物が適切な対照動物となる。
【0011】
前臨床および前駆症状という用語は、区別なく使用して、当業界で使用される既知の判定基準に従って神経変性疾患が診断される前、すなわち臨床的な疾患が出現する前の対象の状態を指す。前臨床の患者には、神経変性疾患にかかるリスクのある患者(たとえば、疾患リスクの増大と関連付けられる遺伝子の突然変異を有する患者)、または疾患出現の確率の増加と相関のある指標を示す患者が含まれる。
【0012】
臨床的なADは、ニューロンの損失、アミロイドβ(Aβ、Aβ40もしくはAβ42またはその断片がこれに含まれる)の神経網での蓄積(アミロイド斑)および脳血管での蓄積(アミロイド血管症)、ならびに神経原線維変化(NFT)の存在を随伴する、進行性の認知低下を特徴とする。Leeら(2001年)Annu.Rev.Neurosci.第24巻:1121〜1159ページ、Selkoe(2001年)Physiol.Rev.第81巻(2):741〜766ページを参照されたい。ADはさらに、そうでなく多発梗塞性認知症(MID)、レビー小体型認知症(DLB)、前頭側頭型認知症(ピック病を含む)、パーキンソン病、またはアルコール性認知症(コルサコフ症候群)であると診断されない認知症であると定義される。
【0013】
βアミロイド前駆タンパク質(APP)、プレセニリン1(PS1)、プレセニリン2(PS2)、およびアポリプロテインE(APOE)遺伝子の突然変異は、家族性の形のADと結び付けられる。Tandonら(2000年)Curr.Opin.Neurol.第13巻:377〜383ページを参照されたい。非遺伝子のリスクファクターも存在する。たとえば、軽度認知障害(MCI)の患者は、診断可能なADにかかる頻度の増大を示す。Morrisら(2001年)Arch.Neurol.第58巻:397〜405ページ;Petersen(2001年)Neurology第56巻(9):1133〜1142ページを参照されたい。追加のリスクファクターには、顕著な海馬の萎縮および記銘力試験での成績の低下が含まれる。Petersen(2003年)「Mild Cognitive Impairment:Aging to Alzheimer’s Disease」、Oxford University Press、米ニューヨーク。前臨床のADは、National Institute of Neurological and Communicated Disorders and Stroke Criteriaに従ってほぼ確実な/軽度のADであると診断された患者も含むが、それには、仕事または社会的機能の妨げとなるのに十分な重大さを有する2つ以上の分野で(記憶を含む)認知の低下が実証される必要がある。McKhannら(1984年)Neurology第34巻:939〜944ページ。
【0014】
前臨床動物モデルという用語は、本明細書で神経変性障害用の動物モデルについて述べるのに使用するとき、疾患症状を呈する前の発達段階にある神経変性障害の動物モデルを指す。前臨床病期のバイオマーカーは、ヒト患者と動物モデルで類似のプロフィールを示す。たとえば、前臨床AD動物モデルは、アミロイド斑および/または神経原線維変化(NFT)の出現前の脳血流の減少およびグルコース利用能の低下を特徴とする。典型となるAD動物モデルは、本明細書で以下に記載する。
【0015】
神経変性診断のための指標を同定するには、神経画像診断バイオマーカーは、神経変性の動物モデルおよび前駆症状段階にあるヒト対象で、実施例に記載するとおりに評価する。特に、前臨床のグルコース利用能の低下、脳血流の減少、および代謝産物レベルの変化は、単独で、または他の神経画像診断バイオマーカーと組み合わせて、または1種または複数の遺伝子バイオマーカー、分子/生化学的バイオマーカー、もしくは臨床的バイオマーカーと組み合わせて使用されるとき、診断上の価値を有する場合もある。たとえば、ニューロンの活性、ニューロンの完全性、神経化学/代謝産物レベル、神経膠症、アミロイド沈着、神経原線維変化の存在、および/または脳容量といった追加の尺度を使用すると、前臨床および臨床の疾患進行時、ならびに治療後の回復時のAD関連の変化の尺度をさらに精密にすることができる。
【0016】
治療モニタリングのための指標を同定するには、神経画像診断バイオマーカーは、前臨床モデルを含む神経変性動物モデルおよび薬物投与後の患者で評価する。治療モニタリングのための指標は、疾患の進行の有意な変化と相互に関係がある測定可能な変化として同定され、臨床期の疾患にかかる見込みがこれに含まれる。
【0017】
I.A.AD動物モデル
トランスジェニック動物、または自然発生の突然変異、誘発された突然変異、または標的指向化された突然変異を有する動物を含めて、関連するどんな神経変性用モデルも、開示した方法で使用することができる。いくつかのAD動物モデルが当業界で知られている。
【0018】
ヒトAPP695の変異型を過剰発現させるTg2576トランスジェニックマウスは、Abレベルの年齢依存的な上昇、ならびにADの神経病理学的、行動的、および代謝的な機能障害を示す。Hsiaoら(1995年)Neuron第15巻(5):1203〜1218ページ、Hsiaoら(1996年)Science第274巻(5284):99〜102ページ、Hsiao(1998年)Exp.Gerontol.第33巻(7〜8):883〜889ページ、Holcomb(1999年)Behav.Genet.第29巻(3):177〜185ページ、Niwaら(2002年)Neurobiol.Dis.第9巻(1):61〜68ページ、米国特許第5877399号を参照されたい。Tg2576マウスの認知の欠如は、約4カ月齢まで、かつアミロイド斑の出現前に検出可能である。認知欠如の発症は、脳のAb蓄積レベルと相関する。Abレベルが増大しているTg2576マウスはまた、大脳内皮細胞による血管弛緩因子産生が障害され、血圧低下時に十分血流維持ができず、活動に基づく脳血流の増強が途絶し、大脳のグルコース利用能が低下している(Niwaら(2002年)Neurobiol.Dis.第9巻(1):61〜68ページ、Niwaら(2002年)Am.J.Physiol.Heart Circ.Physiol.第283巻(1):H315〜23ページ、Iadecolaら(1999年)Acta.Neuropathol.(Berl.)第98巻:9〜14ページ)を参照されたい。PSAPPマウスは、突然変異体アミロイド前駆タンパク質および突然変異体プレセニリン1の両方の導入遺伝子を過剰発現させ、急速な疾患の進行を示す。Ab沈着は、約10週齢までに帯状皮質で検出可能である。6カ月までに、アミロイド沈着は、海馬、皮質、および他の脳部位での沈着を含み広範になる。McGowanら(1999年)Neurobiol.Dis.第6巻(4):231〜244ページを参照されたい。
【0019】
開示した方法で使用することのできる追加のAD動物モデルには、APP、およびアルツハイマー病に関連する少なくとも1箇所の突然変異、たとえばスウェーデン突然変異(リジン595−メチオニン596がアスパラギン595−ロイシン596に突然変異したもの)をコードする導入遺伝子を有する動物(米国特許第6509515号および同第6586656号);ヒトAPPV717F突然変異を含むミニ遺伝子を過剰発現させるPDAPPトランスジェニックマウス(Gamesら(1995年)Nature第373巻:523〜527ページ;米国特許第6717031号);ヒトAPPの99〜103アミノ酸のカルボキシ末端部分をコードする導入遺伝子を有する動物モデル(米国特許第6037521号);ヒトAPPのカルボキシル末端の100アミノ酸をコードしている導入遺伝子を有する動物モデル(米国特許第5849999号および同第5894078号);ヒトAPP751およびAPP695をコードしている導入遺伝子を有する動物モデル(米国特許第5850003号);変異型FADプレセニリン−1(PS−1)遺伝子およびヒトAPP695スウェーデン突然変異の突然変異体タンパク質産物をコードしている導入遺伝子を有する動物モデル(米国特許第5898094号);遺伝子で標的化された変異型FADプレセニリン−1(PS−1)遺伝子およびヒトAPP695スウェーデン突然変異を有する動物モデル(米国特許第6734336号);遺伝子で標的指向化された変異型のFADプレセニリン−1(PS−1)遺伝子、ヒトFADスウェーデン突然変異、およびヒト化Ab突然変異を有する動物モデル(米国特許第6734336号);K670N、M671L、およびV717F突然変異をさらに含むヒトAPP695突然変異をコードしている導入遺伝子を有する、TgCRND8と呼ばれる動物モデル(米国特許公開第0030093822号);717位に突然変異を有するAPP770をコードしている導入遺伝子を有する動物モデル(米国特許第6300540号);タウタンパク質をコードしている導入遺伝子を有する動物モデル(米国特許第6593512号および同第6664443号);終末糖化産物(RAGE)のヒト受容体をコードし、家族性アルツハイマー病と結び付けられるヒトAPPを含む突然変異もコードしている導入遺伝子を有する動物モデル(米国特許第6563015号);所望によりヒトAPPの発現を兼ねてTGF−b1を過剰発現させるトランスジェニック動物モデル(米国特許第6175057号);ならびに前述の突然変異の1種または複数の組合せに基づいて準備された動物が含まれる。
【0020】
動物モデルは、通常はげっ歯類動物モデルであるが、しかし、他の関連する動物(たとえば、霊長類、ネコ、ウサギ、モルモット、ヤギ、ウマ、乳牛など)で準備したモデルも本発明で有用である。
【0021】
I.B.神経画像診断バイオマーカー
神経画像診断バイオマーカーという用語は、本明細書では、インビボで検出可能な、機能的な脳の活動の変化または他の神経性の変化を指すのに用いる。神経画像診断バイオマーカーは、対象において磁場源画像法やシンチグラフィー技術などの画像診断法を使用して評価することができる。
【0022】
ADの見込みが高いと診断された患者およびADにかかるリスクのある患者を含むAD患者では、機能的な脳活動の関連マーカーには、大脳の萎縮/脳容量(たとえばMRIによって評価されるもの)、脳血流(CBF)、または大脳血液量(CBV)(たとえばMRIによって評価されるもの)、酸素取込み(たとえば15SPECTによって評価されるもの)、グルコース取込み(たとえば[18F]フルオロデオキシグルコース(FDG)PETによって評価されるもの)、N−アセチルアスパラギン酸やおよびミオイノシトールなどの脳代謝産物のレベル(たとえばMRSによって評価されるもの)、小膠細胞の活性化(たとえばPK11195(1−(2−クロロフェニル)−N−メチル−N−(1−メチル−プロピル)−3−イソキノリンカルボキサミド)PETによって評価されるもの)、ならびにアミロイド斑の沈着(たとえば11C−BIP(11C−ピッツバーグ化合物B)PETによって評価されるもの)が含まれる。アミロイド斑および神経原線維変化が臨床的なADの指標であるが、前臨床期には他の神経画像診断バイオマーカーの異常が検出される場合もある。たとえば、Schott(2002年)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.第99巻(7):4703〜4707ページ(内側側頭葉構造の萎縮の割合の増加がADの初期に検出されること、および萎縮の割合の推定から、症候性の疾患の数年前に病的な萎縮が起こることが示唆される);RusinekらRadiology第229巻:691〜696ページ(6年にわたる長期的な患者の研究が、内側側頭葉の萎縮の割合の増加が将来の認知低下の予兆であることを示す);Bookheimerら(2000年)N.Engl.J.Med.第343巻(7):450〜456ページおよびSmithら(1999年)Neurology第53巻:1391〜1396ページ(ADと関連づけられる遺伝子突然変異を有する患者では、症候性の疾患の出現前に脳血管の変化も観察される);Reimanら(2001年)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.第98巻(6):3334〜3339ページ;Smallら(2000年)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.第97巻(11):6037〜6042ページ(早期の病期のAD患者でのグルコース利用能の変化);Cagninら(2002年)Eur.Neuropsychopharmacol.第12巻:581〜586ページ(認知障害が最小である患者は、臨床的な認知症の出現前に、その後萎縮を経る区域で神経の炎症を示す);Jessenら(2001年)Neurology第57巻:930〜932ページおよびJaarsmaら(1994年)J.Neurol.Sci.第127巻:230〜233ページ(AD患者におけるN−アセチルアスパラギン酸レベルの低下);ならびにParnettiら(1996年)J.Am.Geriat.Soc.第44巻:133〜138ページ(AD患者におけるミオイノシトールレベルの上昇)を参照されたい。
【0023】
I.B.1.磁場源画像法
血流および脳容量の神経画像診断は、ユニークな化学的環境での水プロトンの相対的な緩和速度に基づき画像を作成する、核磁気共鳴画像法(MRI)を使用して実施することができる。本明細書では、核磁気共鳴画像法またはMRIという用語は、あるいは従来の核磁気共鳴画像法、磁化移動画像法(MTI)、プロトン磁気共鳴法(MRS)、拡散強調画像法(DWI)、灌流画像法、および機能的MR画像法(fMRI)のうちの1種または複数であるとも記述される磁場源技術を指す。たとえば、Rovarisら(2001年)J.Neurol.Sci.第186巻補遺1:S3〜9ページ;Pomper&Port(2000年)Magn.Reson.Imaging Clin.N.Am.第8巻:691〜713ページ;およびその中に引用されている参考文献を参照されたい。
【0024】
ASL(動脈スピンラベリング)およびCASL(持続的な動脈スピンラベリング)は、静的な組織とは異なる磁気状態にある流入血液スピンの変化に応じて様々となる機能的磁気共鳴画像処理技術である。MR画像は、問題の組織スライスに流れ込む血液を磁力的に標識することによって増感される。この灌流測定は、完全に非観血的であり、造影剤を投与する必要がない。灌流強調画像は、スピンラベリングを実施していない画像から、組織から流入スピンに従って得られる画像を減算して作製される。灌流変化は、他のパラメータ、たとえば組織T1およびスピンラベリング効率との比較によって数量化することができる。CASLは、一連の高周波パルスの施与を含み、そのために血中の水が繰り返し飽和状態にされる。標識されたスピンと脳組織の水の交換は、定常状態に近づくので、脳における局所の磁化は脳血流に直接に関連する。たとえば、Calamanteら(1999年)J.Cereb.Blood Flow&Metab.第19巻:701〜735ページ;Detreら(1992年)Magn.Reson.Med.第23巻(1):37〜45ページ;およびFloydら(2003年)J.Magn.Reson.Imaging第18巻(6):649〜655ページを参照されたい。
【0025】
ASL/CASL以外のMRI技術では、造影剤を使用して、シグナル検出を容易にしてもよい。磁場源画像法用の造影剤には、その限りでないが、常磁性または超常磁性のイオン、酸化鉄粒子、たとえば単結晶酸化鉄ナノ粒子(MION)(Weisslederら(1992年)Radiology第182巻(2):381〜385ページ;Shen(1993年)Magn.Reson.Med.第29巻(5):599〜604ページ)、および水溶性造影剤が含まれる。常磁性および超常磁性のイオンは、鉄、銅、マンガン、クロム、エルビウム、ユウロピウム、ジスプロシウム、ホルミウム、およびガドリニウムを含む金属群から選択されるものでよい。磁場源から導かれた画像は、たとえば、超伝導量子干渉素子磁力計(SQUID、米カリフォルニア州サンディエゴのQuantum Designからの説明書と共に入手可能)を使用して得ることができる。米国特許第5738837号を参照されたい。
【0026】
AD動物モデルおよびAD患者における脳血流のASL検出のための典型となる方法は、それぞれ実施例3および7に記載する。動物モデルにおける血流の核磁気共鳴画像法のための追加の典型となる方法は、van Bruggenら(1998年)J.Cereb.Blood Flow Metab.第18巻(11):1178〜1183ページ;Mandevilleら(1998年)Magn.Reson.Med.第39巻:615〜624ページ;Muegglerら(2001年)Magn.Reson.Med.第46巻:292〜298ページで見ることができる。
【0027】
局所の脳代謝の画像診断は、リン脂質、高エネルギー化合物、無機リン酸、神経伝達物質、およびアミノ酸のレベルに基づいて細胞の活動を測定するMRSを使用して実施することができる。たとえば、脳のエネルギー代謝は、アデニル酸およびクレアチンリン酸(ATP、ADP、AMP、CP)、解糖およびトリカルボン酸(TCA)サイクルの中間体、TCA酵素、酸化的リン酸化、電子伝達鎖複合体、ならびにATPases(たとえば、K−ATPase、Ca2+−ATPase)のレベルを決定して評価することができる。
【0028】
AD動物モデルおよびAD患者においてMRSを使用して神経化学プロフィールを評価するための典型となる方法は、それぞれ実施例4および8に記載する。動物モデルおよび患者における代謝産物レベルの追加の測定方法は、Dedeogluら(2004年)Brain Res.第1012巻:60〜65ページおよびSanacoraら(2002年)Am.J.Psychiatry第159巻:663〜665ページに記載されている。
【0029】
I.B.2.シンチグラフィー画像診断
シンチグラフィー画像診断とは、一般に、放射標識に基づく画像診断を指し、ポジトロン放出断層撮影(PET)、シングルフォトン核医学断層撮影法(SPECT)、γカメラ画像診断、および直線型スキャニングがこれに含まれる。ほとんどのSPECT系は、分析対象の周りを回転し、したがって複数の次元の放射能を統合する1個または複数のγカメラの使用に基づく。PET系は、同じく複数の次元で放射能を検出する環の中に、ずらりと並んだ検出器を含む。γカメラおよび直線型スキャナーはそれぞれ、単一面で放射能を検出する機器である。放射線画像診断装置などの、共通ソース焦点を有するコリメート構造を備えた複数のセンサーを含むシンチグラフィー画像診断用の関連装置を使用してもよい。
【0030】
シンチグラフィー技術は、酸素およびグルコース利用能、小膠細胞の活性化、ならびにアミロイド斑や神経原線維変化(NFT)などの後期マーカーを含むADバイオマーカーの神経画像診断に使用することができる。AD動物モデルおよびAD患者では、Abの蓄積および神経原線維変化の前にグルコース利用能の変化が検出される。したがって、これらの尺度は、前臨床期の診断および治療用の指標を開発するために特に有用である。Niwaら(2002年)Neurobiol.Disease第9巻:61〜68ページおよびAlsopら(2000年)Ann.Neurol.第47巻:93〜100ページを参照されたい。他のリガンド、すなわち、機能的な脳活動に関与する分子(たとえば、受容体、抗体、酵素、およびイオンチャネル)に特異的に結合し、脳に画像診断に十分な量で送達することができ、かつ正常な脳組織から急速に一掃される任意のリガンドをシンチグラフィー画像診断に使用してもよい。
【0031】
シンチグラフィー画像診断用の検出可能な標識には、57コバルト、62銅、64銅、67ガリウム、51クロム、166ホルミウム、111インジウム、113mインジウム、122ヨウ素、123ヨウ素、125ヨウ素、131ヨウ素、132ヨウ素、81mクリプトン、177ルテチウム、197水銀、203水銀、99モリブデン、42カリウム、32リン、186レニウム、81ルビジウム、82ルビジウム、72セレン、75セレン、99mテクネチウム、201タリウム、127キセノン、133キセノン、169イッテルビウム、および62亜鉛が含まれる。サイクロトロン放射性同位体、たとえば11炭素、13窒素、15酸素、および18フッ素を使用してもよい。
【0032】
AD動物モデルおよびAD患者における[18F]フルオロデオキシグルコース(FDG)PETによるグルコース利用能の神経画像診断のための典型となる方法は、それぞれ実施例2および6に記載する。活性化した小膠細胞の神経画像診断は、Shahら(1994年)Nucl.Med.Biol.第21巻:573〜581ページ、またはRamsayら(1992年)Lancet第339巻(8800):1054〜1055ページに記載されているとおりに実施することができる。食細胞上に豊富な末梢のベンゾジアゼピン結合部位のリガンドである、PK11195[1−(2−クロロフェニル)−N−メチル−N−(1−メチル−プロピル)−3−イソキノリンカルボキサミド)をトレーサー分子として使用する。アミロイド斑は、PIBやBTA(2−(4’メチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール)などのベンゾチアゾールアミロイド結合性のトレーサー分子を使用して画像化することができる。アミロイド沈着物を検出するための追加のトレーサー分子は、Mathisら(2002年)Bioorg.Med.Chem.Lett.第12巻:295〜298ページ;Leeら(2003年)Nucl.Med.Biol.第30巻(6):573〜580ページ;Wangら(2002年)J.Mol.Neurosci.第19巻(1〜2):11〜16ページに記載されている。AD患者は、相当のアミロイド沈着物を含むことが知られている、前頭皮質、頭頂、側頭、および後頭の皮質、ならびに線条体を含む連合野の区域で、PIBアミロイドトレーサーの保持を示す。Klunkら(2004年)Ann.Neurol.第55巻:306〜319ページ。神経原線維変化は、1,1−ジシアノ−2−[6−(ジメチルアミノ)ナフタレン−2−y]プロペン(FDDNP)などのリガンドを使用して可視化することができる(Agdeppaら(2003年)Mol.Imaging Biol.第5巻(6):404〜17ページ)。Smallら(2002年)J.Mol.Neurosci.第19巻:323〜327ページおよび米国特許第6660530号も参照されたい。
【0033】
I.C.分子バイオマーカー
生化学バイオマーカーまたは分子バイオマーカーという用語は、一般に、CSFや血清などの生物学サンプル中でインビトロアッセイを使用して検出可能な分子を指す。分子バイオマーカーは、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、ウェスタンブロット、染色された組織学組織の分析などの日常的な技術を使用して容易に検出される。一般に、そのようなアッセイは、分子バイオマーカーを特異的に結合し、検出可能な標識(たとえば、放射標識酵素、フルオロフォアなど)を含む抗体または抗体断片を使用する。分子バイオマーカーには、上述の神経画像診断バイオマーカーのインビトロでの検出、たとえば、インビトロアッセイを使用する、上昇したAbの検出を含めることができる。
【0034】
AD患者で検出され得る追加の分子バイオマーカーには、イソプロスタン、リン酸化されたタウ(pTau)および全CSFタウ(tTau)(Hampelら(2004年)Dement.Geriatr.Cogn.Disord.第17巻:350〜354ページ;Hampelら(2004年)J.Neural Transm.第111巻(3):247〜272ページ)、ならびにニューロン性糸タンパク質(NTP)(de la Monteら(2002年)Front.Biosci.第7巻:d989〜996ページ)が含まれる。追加の分子バイオマーカーは、米国特許第6717031号に記載されている。
【0035】
I.D.臨床バイオマーカー
臨床バイオマーカーという用語は、一般に、臨床的に明らかになった神経変性疾患の数量化できる尺度を指す。AD動物モデルおよびAD患者の両方において疾患を評価するのに有用な臨床バイオマーカーには、前後関係の不安条件づけ(Corcoranら(2002年)Learn.Mem.第9巻(5):243〜252ページ)および条件づけられたまばたき試験が含まれる。AD患者で使用するための典型となる追加の臨床バイオマーカーには、CANTAB(Cambridge Neuropsychological Test Automated Battery)対連合学習試験(Blackwellら(2004年)Dement.Geriatr.Cogn.Disord.2004年;第17(1〜2):42〜48ページ)、認知記録(Cognitive Log)(Aldersonら(2003)Arch.Phys.Med.Rehabil.第84巻:668〜672ページ)、Mini−Cog(Borson 2003年)、精神状態小検査(MMSE)(Folsteinら(1975)J.Psychiatr.Res.第12巻:189〜198ページ)、アルツハイマー病評価尺度−認知(ADAS−Cog)(Rosenら(1984年)Am.J.Psychiatry第141巻:1356〜1364ページ)、およびコンピュータ処理された神経心理学テストバッテリー(CNTB)(Caramelliら(2004年)Arq.Neuropsiquiatr.第62巻(2B):379〜384ページ)が含まれる。
【0036】
II.スクリーニング方法
本発明は、疾患の前臨床の指標を検定することによる、疾患修飾療法、すなわち、疾患の病因学的な機序に対して効果を発揮する療法を同定するための方法を提供する。前臨床動物モデルにおけるバイオマーカーの検出は、現存する対症療法、すなわち、根底にある病態生理の治療というよりも一次または二次の疾患症状の寛解を対象とする薬物を特徴付けるのにも有用であり、それによって、以前には正当に認められていない疾患修飾型の効果を明らかにすることができる。神経変性の一部の前臨床指標が知られてはいるが、臨床期への進行を防ぐために前臨床期の患者に投与する薬物、および前臨床期で活性のある薬物を同定する方法は記載されていない。したがって、本発明はさらに、開示するスクリーニングアッセイを履行して同定される新規な疾患修飾型薬物を提供する。
【0037】
開示する方法によれば、スクリーニングアッセイは、前臨床動物モデルにおいて疾患バイオマーカーの変化を検定して実施する。同定された療法の効力を、ヒト患者で同じバイオマーカーを評価して確認した。実施例1〜10を参照されたい。本明細書に上で記載したように、神経画像診断モダリティーは、これら早期の変化の特徴付けに特に有用である。
【0038】
たとえば、本発明のスクリーニングアッセイは、(a)神経変性障害の前臨床期の動物モデルに1種または複数の候補化合物を投与すること、(b)動物モデルにおける1種または複数の神経画像診断バイオマーカーの変化を、対照動物における1種または複数の神経画像診断バイオマーカーの指標に対して評価すること、ならびに(c)1種または複数の神経画像診断バイオマーカーを、対照動物における1種または複数の神経画像診断バイオマーカーの指標へと変化させる候補化合物を選択することを含むものでよい。実施例1〜4を参照されたい。
【0039】
薬物の効力を同定するための判定基準には、少なくとも1種の疾患バイオマーカー、たとえば、神経画像診断バイオマーカー、好ましくは2種以上の神経画像診断バイオマーカーの組合せの測定が含まれる。薬物の効力は、遺伝的バイオマーカー、生化学/分子バイオマーカー、および臨床バイオマーカーの追加の評価によってさらに規定することができる。
【0040】
スクリーニングアッセイで使用する対照動物は、治療の代わりに偽薬を与えられる動物である。神経変性疾患バイオマーカーの対照値への回復を促進する化合物は、本明細書では神経保護薬と呼ぶ。神経保護薬は、処置前の状態と比べて、または偽薬治療を受けた対照動物と比べて統計学的に有意な相違(p<0.05)を示すことが好ましい。たとえば、バイオマーカーが、対照動物と比べて少なくとも約2倍、または少なくとも5倍、または少なくとも約10倍、または少なくとも約20倍、または少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍の差で変化する神経保護薬を同定する。本発明はさらに、開示するスクリーニング方法によって同定された神経保護薬を提供する。
【0041】
薬物という用語は、本明細書では、生物活性を有する任意の物質を指し、小分子(たとえば、有機化合物)、ペプチド、タンパク質、糖、脂質、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、または核酸を含む、任意の天然または合成の化学分子がこれに含まれる。関連する候補薬物には、認知力を修飾することのできる薬物、たとえば、神経伝達物質レベルをモジュレートする薬物(たとえば、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、コリン受容体作動薬、またはセロトニン受容体拮抗薬)、可溶性のAbまたはアミロイド斑の負担のレベルをモジュレートする薬物(たとえば、γセクレターゼ阻害剤、βセクレターゼ阻害剤、抗体療法、および分解性の酵素)、およびニューロンの完全性を保護する薬物(たとえば、抗酸化剤、キナーゼ阻害剤、カスパーゼ阻害剤、およびホルモン)が含まれる。開示するスクリーニング方法での使用に向けた典型となる他の候補薬物には、コリンエステラーゼ阻害剤(たとえば、タクリン(COGNEX(登録商標))、塩酸ドネペジル(ARICEPT(登録商標))、リバスチグミン(EXELON(登録商標))、およびガランタミン(REMINYL(登録商標)))、システイニルプロテアーゼ阻害剤、ガランタミン、終末糖化産物(RAGE)の受容体の阻害剤、5−HTR1a拮抗薬、5−HT6拮抗薬、BACE阻害剤、αセクレターゼ、イムノフィリン、カスパーゼ3阻害剤、Srcキナーゼ阻害剤、PDE4阻害剤、TPA活性化因子、AMPAモジュレーター、M4作動薬、JNK3阻害剤、LXR作動薬、H3拮抗薬、アンジオテンシンIV拮抗薬などが含まれる。
【0042】
III.臨床的な適用
本明細書で開示する神経画像診断モダリティーを使用してAD動物モデルおよびAD患者で同定されたAD進行の指標は、臨床的な疾患出現の前に障害性の脳機能の検出に使用することができる。これらの指標は、前臨床療法に応答しての脳機能の改善をモニターするのにも有用である。
【0043】
前臨床の神経変性疾患の動物モデルを用いるスクリーニングアッセイで同定される前臨床療法のための薬物は、ヒト患者での使用を目的とする。動物モデルにおいて有効である薬物の効力および治療応答は、ヒト患者においても神経画像診断バイオマーカーを使用して同様に評価することができる。実施例2を参照されたい。開示するスクリーニングアッセイで同定された疾患修飾型薬物は、前臨床期だけでなく臨床期の患者の療法にも使用することができる。
【0044】
ADの前臨床療法のための薬物は、スクラピー、伝染性海綿状脳症(TSE)、遺伝性アミロイド性脳出血 アイスランド型(HCHWA−I)、遺伝性アミロイド性脳出血オランダ型(HCHWA−D)、家族性地中海熱、じんま疹および聴覚障害を伴う家族性アミロイド腎症(マックル−ウェルズ症候群)、アミロイドに関連した、骨髄腫またはマクログロブリン血症を随伴する特発性疾患、家族性アミロイドポリニューロパチー(ポルトガル型)、家族性アミロイド心筋症(デンマーク型)、全身性老人性アミロイドーシス、家族性アミロイドポリニューロパチー(アイオワ型)、家族性アミロイドーシス(フィンランド型)、ゲルストマンシュトロイスラーシャインカー症候群、甲状腺の髄様癌、孤立性心房性アミロイド、II型糖尿病、膵島細胞腺腫などの、関連したアミロイド形成疾患の治療に使用することもできる。
【0045】
本明細書に記載のとおりに同定された神経保護薬は、安全かつ有効な臨床的な使用に向けて処方することができる。対象への投与に適する処方としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、抗菌剤および抗かび剤(たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール)、処方を目的のレシピエントの体液と等張性にする溶質(たとえば、糖、塩類、ポリアルコール)、懸濁化剤、ならびに増粘剤を含有しもよい、水性および非水の無菌注射溶液が挙げられる。適切な溶媒には、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセリン、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、およびこれらの混合物が含まれる。処方は、単位用量または多用量容器、たとえば、密閉されたアンプルおよびバイアルに入れて提供することができ、また対象に投与するのに無菌の液体担体を使用直前に加えるだけで済む、凍結またはフリーズドライした(凍結乾燥した)状態で貯蔵することができる。
【0046】
神経保護薬は、薬学的に許容できる担体、たとえば、タンパク質、ポリペプチド、リポソーム、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合体のアミノ酸、アミノ酸共重合体、不活性なウィルス粒子などのふっくりと代謝される大きな巨大分子を含むように処方してもよい。薬学的に許容できる塩、たとえば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などの鉱酸塩、または酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などの有機酸の塩を使用してもよい。処方は、水、生理食塩水、グリセリン、エタノールなどの液体をさらに含んでいてもよく、かつ/または湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝物質などの補助物質がそのような組成物中に存在していてもよい。
【0047】
本発明は、有効量の神経保護薬の投与による、前臨床および/または臨床期の神経変性障害の治療方法を提供する。有効量という用語は、本明細書では、所望の生物学的応答を誘発するのに十分な神経保護薬の量を述べるのに使用する。たとえば、AD動物モデルまたはAD患者に投与するとき、有効量は、神経変性または脳萎縮を遅延させまたは阻止するのに十分な量、あるいは脳機能の促進に十分な量、たとえば、脳血流および/またはグルコース利用能を増大させるのに十分な量を含む。
【0048】
本発明の神経保護薬は、CSFおよび脳で有効量を実現するように処方され投与される。たとえば、脳−血液関門の通過を可能にする親油性の性質を有する神経保護薬は、静脈内投与することができる。投与は、くも膜下腔内、病巣内、腹腔内、または筋肉内注射;注入;照射;局所、経鼻、経口のデリバリー、眼または耳へのデリバリーを含んでもよい。これらの投与経路は、スクリーニングアッセイでも候補化合物のデリバリーに使用することができる。
【0049】
治療有効量および投薬治療計画は、本明細書に記載のものなどの動物モデルで推定することができる。次いで、そのような情報を使用して、ヒトでの投与に有用な用量および経路を決定することができる。通常、最小の用量を投与し、用量を制限する細胞傷害性がない状況では用量を段階的に増大させる。有効量の決定および調整、ならびにそのような調整をいつどのように行うかについての評価は、医学分野の技術者に知られている。選択される投与量レベルおよび治療計画は、治療用組成物の活性および安定性(すなわち半減期)、処方、投与経路、他の薬物または治療との組合せ、検出および/または治療する疾患または障害の重症度、ならびに治療を受ける対象の身体的な状態および前病歴を含む、様々な要素に応じて決まる。
【0050】
本発明の神経保護薬は、他の療法、たとえば、神経変性障害のための既知の対症療法;抗炎症剤;免疫原、たとえば、免疫療法用のアミロイドβまたは非アミロイド形成性ペプチド(Schenkら(1999年)Nature第400巻(6740ページ):173〜177ページ;米国特許第6713450号);および/または抗アミロイドβ抗体(Bacskaiら(2001年)Nature Med.第7巻(3):369〜372ページ;Bardら(2000年)Nature Med.第6巻(8):916〜919ページ)やキミキフガ抽出物(米国特許第6649196号)などのアミロイド斑を消去する薬剤と組み合わせて使用することができる。
【0051】
臨床的な投与またはスクリーニングアッセイでの使用を含む複数の治療薬の投与については、神経保護薬および追加の治療薬は、目的の療法または診断の履行に適する任意の時間枠内で投与する。したがって、複数の単一の薬剤を実質的に同時に(すなわち、単一処方として、または数分または数時間内に)、または任意の順序で連続して投与することができる。たとえば、単剤治療は、互いに約1年以内、約10、8、6、4、または2カ月以内、または4、3、2、または1週間以内、または約5、4、3、2、または1日以内に実施することができる。
【0052】
処方、用量、投薬治療計画、および測定可能な治療成績に関する追加のガイダンスについては、Berkowら(2000年)、「The Merck Manual of Medical Information」、Merck&Co.,Inc.、米ニュージャージー州Whitehouse Station;Ebadi(1998年)、「CRC Desk Reference of Clinical Pharmacology」、CRC Press、米フロリダ州ボカラトン;Gennaro(2000年)、「Remington:The Science and Practice of Pharmacy」、Lippincott,Williams&Wilkins、米ペンシルヴェニア州フィラデルフィア;Katzung(2001年)、「Basic&Clinical Pharmacology」、Lange Medical Books/McGraw−Hill Medical Pub.Div.、米ニューヨーク;Hardmanら(2001年)「Goodman&Gilman’s the Pharmacological Basis of Therapeutics」、The McGraw−Hill Companies、米オハイオ州コロンバス;Speight&Holford(1997年)「Avery’s Drug Treatment:A Guide to the Properties,Choices,Therapeutic Use and Economic Value of Drugs in Disease Management」、Lippincott,Williams,&Wilkins、米ペンシルヴェニア州フィラデルフィアを参照されたい。
【実施例】
【0053】
以下の実施例は、本発明の方法を例示するために含まる。以下の実施例のある側面は、本発明の共同発明者によって見出されまたは企図された技術および手順に関して、本発明を実施する際にうまく機能するように記載される。この開示および当業界の一般のレベルを考慮して、当業者は、以下の実施例が例示的なものにすぎないこと、ならびに本発明の範囲から逸脱することなく数多くの変更、修飾、および改変を使用してよいことがわかるであろう。
【0054】
(実施例1)
アルツハイマー病動物モデルにおける前臨床バイオマーカーの評価
AD動物モデルおよび適切な対照動物において神経画像診断バイオマーカーを評価する。典型となるAD動物モデルには、Tg2576トランスジェニックマウス、およびより早期の段階でより重症の斑病態を出現させるPSAAPマウスが含まれる。
【0055】
Tg2576またはPSAPPトランスジェニックマウスを野生型同腹仔と比べて、アミロイド沈着の前に疾患バイオマーカーの変化が検出可能であるかどうかを判定する。各群が4〜10匹の同腹仔を有する4群のTg2576トランスジェニックマウスおよび野生型マウスは、5カ月齢および16カ月齢で分析する。そのより急速な疾患の進行を考慮して、PSAPP動物は2カ月齢および6カ月齢で試験する。追加の観察調査を行い、そこで、Tg2576およびPSAPPマウスをそれぞれ4カ月齢および2カ月齢から始めて毎月評価する。各試験群について、疾患バイオマーカーを3日連続で同時に評価する。各バイオマーカーの変動性および動的な範囲は、動物間、および単一の動物の複数の評価間で決定する。冒された脳部位を特定し、それを使用して、前駆症状の診断を含むAD診断のための指標を確立する。たとえば、アミロイド沈着が観察される前に、AD動物モデルにおいてグルコース利用能および脳血流のレベルが対照動物と比べて低下していることが観察される。
【0056】
前臨床期を含む治療モニタリングのための指標を同定するために、実施例10に記載のとおりに同定される薬物、および現在対症療法に使用されている既知の薬物を含む薬物投与の後、AD動物モデルにおいて疾患バイオマーカーを評価する。たとえば、Tg2576またはPSAPPマウスを、上述の観察調査で海馬機能の有意な変化という最初の観察所見が検出されたときから始めて1週間かけて治療する、短期の治療調査を行う。Tg2576マウスに、用量を徐々に増加させて薬物を投与した後、疾患バイオマーカーを、それが対照レベル(すなわち、対照動物のバイオマーカーの関連尺度)に戻るまで毎週モニターする。既知の対症薬物の前臨床期の評価では、薬物は、治療有効量、たとえば、認知能力を増大させるのに有効な量で投与する。Tg2576またはPSAAPマウスを3カ月間かけて治療し、6カ月、または疾患バイオマーカーが対照レベルに戻る時期のいずれか早い方まで1カ月毎に無処置の対照マウスと比べる、長期の治療調査も行う。
【0057】
(実施例2)
アルツハイマー病動物モデルにおけるグルコース利用能の測定
グルコース利用能は、実施例1に記載したAD動物モデルにおいて、[18F]フルオロデオキシグルコース(FDG)PETを使用し、本質的にToyamaら(2004年)J.Nucl.Med.第45巻(8):1398〜1405ページに記載のとおりに評価する。FDGは、正常血糖の状態で(たとえば、イソフルラン麻酔下または覚醒状態で)AD動物モデルおよび対照動物に投与する。局所のグルコース利用能は、小動物PETスキャナーを使用して測定する。
【0058】
(実施例3)
アルツハイマー病動物モデルにおける脳血流の測定
脳血流は、AD動物モデル(実施例1を参照されたい)において、ASLを使用し、本質的にDetreら(1992年)Magn.Reson.Med.第23巻(1):37〜45ページに記載されているとおりに測定する。スライス選択的な飽和画像処理シーケンスを使用して、頸部領域における脳への血液の流れを飽和状態にする。プロトンMRIは、直径15cmの勾配挿入物が備え付けられた40cmの磁石内腔を有する4.7T NMR分光器で実施する。直径7cm容量のコイルを使用する典型となる条件は次のとおりである。すなわち、回復時間=2秒、エコー時間=30ミリ秒、視野=5cm、スライス厚さ=2mm、基材サイズ=64×64。組織の水分がかき乱されるのを最小限に抑えながら血管中を流れるスピンの寄与を排除するために、画像診断シーケンスに勾配をかける。TR期間の間、磁場勾配の存在下で連続的に低出力の高周波場を適用することによって、流入スピンの反転を実現する。飽和したスピンが脳中の大量の水分と交換された後、局所血流および局所T1によって、飽和したスピンの局所濃度が決定される。脳の外側に等距離に適用される遠位の飽和は、飽和パルスの影響についての対照として役立つ。Williamsら(1992年)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.第89巻:212〜216ページおよびSunら(2004年)Magn.Reson.Med.第51巻:893〜899ページも参照されたい。
【0059】
多スライスMRIシーケンスは、動脈スピンラベリングの際に巨大分子スピンの飽和を減らすことのできる複数コイル系を使用して得ることができる。たとえば、動脈の水のスピンを標識する1個の小さい表面コイルと、MRI用の切り離された上部コイルとからなる2コイル系を使用することができる。Silvaら(1995年)Magn.Reson.Med.第33巻(2):209〜214ページを参照されたい。
【0060】
(実施例4)
アルツハイマー病動物モデルにおける神経化学プロフィールの測定
神経化学プロフィールは、AD動物モデル(実施例1を参照されたい)において、4.7Tでの分光法と共に、20mm正弦バードケージコイルを使用するMR画像診断を使用して評価する。約0.1×0.2mm平面および1mmスライスの空間分解能を有するT2加重スピンエコーMR画像を収集する。ボクセルを、選択した脳部位の中央に置き、脳サイズに従ってボクセルサイズを調節する。たとえば、2.2秒のTRおよび144および272ミリ秒のTE値でPRESS技術を使用して、スペクトルを記録する。スペクトルのカーブフィッティングを使用してデータを処理し、強度を積分する。共鳴積分をクレアチンピークに正規化する。AD動物モデルと対照動物間のT2データの補正用に、複数のTE値を収集する。たとえば、N−アセチルアスパラギン酸、ミオイノシトール、タウリン、シロイノシトール、コリン、Cr−CH3、GSH、アスパラギン酸、グルタミン、コハク酸、グルタミン酸、GABA、アラニン、および乳酸の1種または複数を含む代謝産物の変化を測定する。
【0061】
(実施例5)
AD患者における前臨床バイオマーカーの評価
DSM−IV−TRおよび国立神経疾患脳卒中研究所の判定基準に従って選択した、ほぼ確実な/軽度のADを有する患者を含む二重盲検クロスオーバー研究を行う(McKhannら(1984年)Neurology第34巻:939〜944ページ)。短期の調査では、2カ月間にわたり2週間間隔で患者を治療し評価する。長期の評価では、患者を隔月でモニタリングしながら6カ月間治療する。ADにかかるリスクが増大している患者を含む研究も行う。
【0062】
(実施例6)
AD患者におけるグルコース利用能の測定
グルコース取込みは、ほぼ確実な/軽度のADを有する患者またはADにかかるリスクが増大している患者(実施例5を参照されたい)において、[18F]フルオロデオキシグルコース(FDG)PETを使用し、本質的にSmallら(2000年)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.第97巻(11):6037〜6042ページに記載のとおりに評価する。370メガベクレルFDGのトレーサー注射を静脈内注射によって施す。走査は、FDG注射を行ってから約40分後に、たとえば、CTI/Seimens831−08またはCTI962スキャナーを使用して実施する。走査画像は、外眼角外耳道線と平行に取得し、減衰補正用に透過測定を使用する。
【0063】
(実施例7)
AD患者における脳血流の測定
脳血流は、ほぼ確実な/軽度のADを有する患者またはADにかかるリスクが増大している患者(実施例5を参照されたい)において、本質的にAlsopら(2000年)Ann.Neurol.第47巻:93〜100ページに記載のとおりに評価する。動脈スピン標識された血流画像は、近接する複数の5mm横断面で取得する。頚延随接合部で断熱性の電磁標識を適用して、頸動脈および椎骨動脈に流れるスピンを反転させる。典型となる高周波照射振幅は36mgであり、磁場勾配は0.25ガウス/cmである。標識された画像は、同じ位置に適用した、振幅によって変調される約250Hzまたは約125Hzの対照照射を使用して取得した対照画像から減算する。画像診断は、1.5T MRIスキャナーで実施する。血流画像は、ボクセル毎の分析に向けて標準の解剖学的空間へと変換される。
【0064】
(実施例8)
AD患者における神経化学プロフィールの測定
神経化学プロフィールは、ほぼ確実な/軽度のADを有する患者またはADにかかるリスクが増大している患者(実施例5を参照されたい)において、MR画像診断を分光学と共に使用し、本質的にKrishnanら(2003年)Am.J.Psychiatry第160巻:2003〜2011ページに記載のとおりに評価する。MRIおよびH−MRS研究は、1.5T磁場源を使用して実施する。軸性のT1加重三次元勾配エコーMRは、1.5mmの近接するスライスで取得することができる(基材=256X128、視野=22cm)。第三脳室のレベルの画像診断は、単一スライス中に皮質の灰色、室周囲の白、および皮質下の灰白質を示す。H−MRS(二次元の化学シフト画像診断)を使用して、N−アセチルアスパラギン酸、コリン部分、クレアチン、ミオイノシトールなどの振幅および面積を評価する。Lazeyrasら(1998年)Psychiatry Res.第82巻:95〜106ページおよびCharlesら(1996年)Magn.Reson.Med.第35巻:606〜610ページも参照されたい。
【0065】
(実施例9)
AD患者におけるニューロンの完全性の測定
ニューロンの完全性は、ほぼ確実な/軽度のADを有する患者またはADにかかるリスクが増大している患者(実施例5を参照されたい)において、M1ムスカリン受容体のヨウ素−123ベンジル酸キヌクリジニル(123I−QNB)SPECT画像診断を使用して評価する。手短に言えば、本質的にWeinbergerら(1992年)Clin.Neuropharmacol.第15巻補遺1PtA:194A〜195Aページに記載されているように、(R,R)QNB異性体を合成し、高速液体クロマトグラフィー技術を使用して123I標識する。標識されたQNBを、静脈内注射によって約160Mqの投与量でAD患者に投与する。SMV DST−XLデュアルヘッドガンマカメラを使用して断層撮影画像を取得する。投影図をプレフィルタ処理し、崩壊および減衰を補正し、傾斜フィルターで復元する。復元された画像は、標準化された定位的な空間にセットされた単一のSPECTテンプレート画像に登録し、補整し、画像内の平均の数値に正規化する。SPM99などの統計学的なパラメトリックソフトウェアプログラムを使用して、治療群と対照群の群間比較を評価する。Kempら(2003年)J.Neurol.Neurosurg.Psychiatry第74巻:1567〜1570ページを参照されたい。
【0066】
(実施例10)
疾患修飾型AD療法を同定するためのスクリーニングアッセイ
AD動物モデルにおいて候補疾患修飾型薬物を試験する。候補薬物は、様々な量および/または組合せで、任意の適切な経路、たとえば静脈内注射または脳への直接の注射によって投与する。薬物投与の後、実施例2〜4に記載したように疾患バイオマーカーを評価する。治療応答は、1種または複数の疾患バイオマーカーの変化したプロフィールが、対照動物で観察されるものにより近いような、前臨床期の1種または複数の疾患バイオマーカーの変化を検出することによって評価する。
【0067】
たとえば、Tg2576またはPSAPPマウスを、上述の観察調査で海馬機能の有意な変化という最初の観察が検出される時点から始めて1週間治療する、短期のスクリーニングアッセイを行う。1種または複数の候補薬物をTg2576またはPSAPPマウスに投与した後、疾患バイオマーカーを、それが対照レベル(すなわち、対照動物のバイオマーカーの関連する尺度)に戻るまで毎週モニターする。
【0068】
本明細書で引用するすべての参考文献は、開示する発明の実施を支援しかつ可能にする程度にその内容が本明細書中に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前臨床段階にある神経変性障害を治療するための化合物の同定方法であって、
(a)神経変性障害の前臨床動物モデルに1種または複数の候補化合物を投与し;
(b)動物モデルでの1種または複数の疾患バイオマーカーにおける、対照動物での1種または複数の疾患バイオマーカーの指標に対する相対的な変化を評価し;および
(c)1種または複数の疾患バイオマーカーにおける変化を、対照動物での1種または複数の疾患バイオマーカーの指標へと誘発させる候補化合物を選択する
ことを含む、方法。
【請求項2】
神経変性障害がアルツハイマー病である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
動物モデルがTg2576マウスである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
動物モデルがPSAPPマウスである、請求項2記載の方法。
【請求項5】
疾患バイオマーカーが神経画像診断バイオマーカーである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
神経画像診断バイオマーカーが脳血流である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
脳血流が動脈スピンラベリング(ASL)により評価される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
神経画像診断バイオマーカーがグルコース利用能である、請求項5記載の方法。
【請求項9】
グルコース利用能が[18F]フルオロデオキシグルコース(FDG)PETによって評価される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
神経画像診断バイオマーカーが脳代謝産物のレベルである、請求項5記載の方法。
【請求項11】
脳代謝産物のレベルが磁気共鳴分光学(MRS)により評価される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
さらに、(d)動物モデルでの2種またはそれ以上の神経画像、遺伝的または分子疾患バイオマーカーにおける、対照動物での2種またはそれ以上の神経画像、遺伝的または分子疾患バイオマーカーの指標に対する相対的な変化を評価することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前臨床段階にある神経変性障害を治療するための疾患修飾型化合物の同定方法であって、
(a)神経変性障害の前臨床動物モデルに1種または複数の候補化合物を投与し;
(b)動物モデルでの1種または複数の疾患バイオマーカーにおける、対照動物での1種または複数の疾患バイオマーカーの指標に対する相対的な変化を評価し;および
(c)1種または複数の疾患バイオマーカーにおける変化を、対照動物での1種または複数の疾患バイオマーカーの指標へと誘発させる候補化合物を選択する
ことを含む、方法。
【請求項14】
神経変性障害がアルツハイマー病である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
動物モデルがTg2576マウスである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
動物モデルがPSAPPマウスである、請求項14記載の方法。
【請求項17】
疾患バイオマーカーが神経画像診断バイオマーカーである、請求項13記載の方法。
【請求項18】
神経画像診断バイオマーカーが脳血流である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
脳血流が動脈スピンラベリング(ASL)により評価される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
神経画像診断バイオマーカーがグルコース利用能である、請求項17記載の方法。
【請求項21】
グルコース利用能が[18F]フルオロデオキシグルコース(FDG)PETによって評価される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
神経画像診断バイオマーカーが脳代謝産物のレベルである、請求項17記載の方法。
【請求項23】
脳代謝産物のレベルが磁気共鳴分光学(MRS)により評価される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
さらに、(d)動物モデルでの2種またはそれ以上の神経画像、遺伝的または分子疾患バイオマーカーにおける、対照動物での2種またはそれ以上の神経画像、遺伝的または分子疾患バイオマーカーの指標に対する相対的な変化を評価することを含む、請求項13記載の方法。

【公表番号】特表2008−519282(P2008−519282A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540047(P2007−540047)
【出願日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/039865
【国際公開番号】WO2006/052691
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】