説明

アルツハイマーAβペプチドの中間コンフォメーションへのアポリポタンパク質Eのアイソフォーム特異的な相互作用

本発明は、アポリポタンパク質E4(apoE4)と、アルツハイマーAβペプチドの活性型との相互作用の阻害剤を見出すのに有用な分析方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アポリポタンパク質E4(apoE4)と、アルツハイマーAβペプチドの活性型との相互作用の阻害剤を見出すのに有用な分析方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病は、細胞外のタンパク質様アミロイド−βペプチド(Aβ)が老人斑の形態で沈着することに関連する進行性の神経変性で特徴付けられる(Selkoe,1991年)。斑の沈着は、アミロイド形成というプロセスにより単量体Aβペプチドが自己凝集した結果である。アミロイド形成は、インビトロでは、マイクロモル単位の量の単量体Aβで開始される(Harper,1997年)。アミロイド形成において、単量体サブユニットの凝集は、上記ペプチドがまず、直鎖状の凝集体の形成を開始させる唯一の種であり唯一のAβの神経毒性型であるコンフォーマーをゆっくりと形成する反応速度論モデルと一致する。
【0003】
アポリポタンパク質E(apoE)は、脂質とコレステロールの輸送、およびLDL受容体関連タンパク質(LRP)を介した脳内でのクリアランスを調節するリガンドであり(Boyles 1989年,Corder 1993年,Fagan 1996年.Poirier,1994年)、これは、ADの脳における斑の沈着に関与することが明らかにされている。ApoEには、ヒト集団でみられる3種の優勢なアイソフォーム、E2(Cys112、Cys158)、E3(Cys112、Arg158)、およびE4(Arg112、Arg158)がある(Weisgraber,1994年)。ADに罹った患者において、apoE4キャリアーは、apoE3キャリアーに比べてより多い数の老人斑を示す(Gearing,1996年)。ApoE4/4遺伝子型を有する被験者は、ApoE2/3またはApoE3/3遺伝子型を有する被験者よりも、アルツハイマー病に8倍程度罹りやすいようである。さらに、アルツハイマー病発症の平均年齢と、平均生存年齢は、1つのApoE4対立遺伝子を有するヒトがより低く、2つのApoE4対立遺伝子を有するヒトは最も低い(米国特許第5,508,167号)。まれなapoE2対立遺伝子の遺伝形質は、AD発病の危険率の減少に関連する(Corder,1994年)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ApoEは、直接的なタンパク質−タンパク質相互作用によるAβペプチドの沈着またはクリアランスに関与すると仮定されている。LaDu(1994年,1997年)は、野生型の脂質化apoE分子を用いて、Aβとの相互作用におけるapoEアイソフォーム特異的な差を実証したが、アイソフォーム特異性は、精製apoEアイソフォームでは失われた。LaDuによる研究では、明らかに凝集によるAβの様々な形態に対するapoEの作用を調査しておらず、それゆえに、apoE4との優先的な結合が示されていない。Tokuda等は、apoE3およびAβとのアイソフォーム特異的な相互作用を報告している。しかしながら、我々は、様々なAβコンフォメーションが、様々な度合いの神経毒性を付与すること、および、Aβの有毒型を再現可能に製造可能であることを確立した。それゆえに、その相互作用の生理学的な重要性を確認するためだけでなく、その相互作用の調節物質を発見するための分析法を開発する手段としても、apoE4とAβとの相互作用に関するアイソフォーム特異的で/有毒な種に特異的な分析手法を開発することは極めて興味深かった。このような調節物質は、apoE4対立遺伝子を有する患者におけるアミロイド関連病の治療および予防に有用となり得る。
【0005】
引用された参考文献
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【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記で確認されたニーズを扱うものであり、すなわち本発明は、脂質化ApoE4由来ポリペプチドと活性化Aβとの複合体形成阻害剤化合物を同定する方法を提供し、本方法は、試験化合物の存在下で、脂質化apoE4由来ポリペプチドと、活性化Aβポリペプチドとを接触させる工程;および、ApoE4−活性化Aβ複合体の形成を減少させる試験化合物を同定する工程を含み、ここで、脂質化ApoE4由来ポリペプチドと活性化Aβとの複合体の形成を減少させる試験化合物が、複合体形成阻害剤化合物である。
【0007】
上記に加えて、本発明は、さらなる局面として、特に上述された変形よりも多少なりとも狭い範囲の全ての本発明の実施形態を含む。出願人は添付された請求項の全ての範囲を発明しているが、添付された請求項には、他者の従来技術の仕事の範囲を含まないように意図している。それゆえに、請求項の範囲内の法定の従来技術が、特許庁または他の団体または個人により出願人に注意が与えられるということにおいて、出願人は、適用できる特許法に基づき補正する権利を行使する権利を有し、このような請求項の保護対象を、特にこのような法定の従来技術、または、このような請求項の範囲から法定の従来技術の自明な改変を排除するように、再定義できる。本発明の変形は、このようにして補正された請求項によって定義され、またそれらを本発明の局面とする。
【0008】
図面の詳述
図1−濁度検出による代表的なAβ1-40振盪凝集実験:Aβ1-40の50μM溶液を、方法の章で示された詳細に従って振盪することによって凝集するように誘導した。縦座標は、A405×103の単位であり、138単位は、50μMに等しい。実線は、方程式1〜4と表1に示す速度定数を用いて計算された理論曲線である。左の縦座標は、開始ペプチド、および、凝集した種に関し、一方、右の縦座標は、活性化単量体、成長部位、および、四量体に関する。黒丸は、個々の実験データ点を示す。
【0009】
図2−濁度およびペプチド濃度の時間依存性:濁度検出とペプチド質量との関係を並行
実験で決定した。方法で説明された通りに、遠心分離後に溶液中に残存したペプチドの質量を定量した。データを方程式1〜4で分析し、実線は、実験データ点に対する理論上の適合を示す。
【0010】
図3−CD検出による自発的凝集のカイネティクス:凝集カイネティクス実験は、方法で説明されるようにA405での振盪法または200〜205nmにおけるCD楕円率を用いて行った。実線は、最も適合した理論曲線を示す。
【0011】
図4−凝集時間の関数としてのAβ1-40のCDスペクトルにおける変化:凝集プロセス中の様々な時間でCDスペクトルを記録し、このスペクトルを方法で説明されるように分析した。
【0012】
図5−凝集に対するペプチド濃度の効果;濁度および蛍光偏光法による検出:方法で説明されたようにペプチド濃度の関数として、濁度および蛍光偏光検出によって凝集実験を行った。黒丸:25μMペプチド;白丸:50μMペプチド。実線は、実験データ点に対する理論上の適合である。
【0013】
図6−抗apoEのN末端キャプチャー抗体を用いたELISAによって、様々な形態のAβ1−40への、脂質化した、および脂質化されていないapoEの結合の検出である。記載したように、自発的凝集中に振盪して0、60、80、および、110分に、Aβ1−40を得た。パネルAおよびB=キャプチャー抗体6C5、パネルCおよびD=キャプチャー抗体9H8.G5.F2、パネルAおよびC=脂質化したapoE、パネルBおよびD=脂質化されていないapoE、●=apoE2、○=apoE3、▲=apoE4、*=apoE2に対してp<0.05、+=apoE3に対してp<0.05のapoE4。n=5(6C5、および、9H8.G5.F2脂質化apoEの実験について)、およびn=4(6C5、および9H8.G5.F2脂質化されていない実験について)。
【0014】
図7−抗apoEのC末端キャプチャー抗体3H1を用いたELISAによる、様々な形態のAβ1−40への、脂質化した、および脂質化されていないapoEの結合の検出である。記載したように、自発的凝集中に振盪して0、60、80、および110分に、Aβ1−40を得た。パネルA=脂質化apoE、パネルB=脂質化されていないapoE、●=apoE2、○=apoE3,▲=apoE4。n=4(脂質化apoE実験について)、および、n=3(脂質化されていないapoE実験について)。
【0015】
配列表の簡単な説明
配列番号1は、全長ApoE4のアミノ酸配列である。
配列番号2は、Aβ1−43のアミノ酸配列である。
配列番号3〜10は、実施例2のプライマー配列である。
【0016】
発明の詳細な説明
一般的な定義
アポリポタンパク質E(apoE)は、LDL受容体関連タンパク質(LRP)を介した脳における脂質とコレステロールの輸送およびクリアランスを調節するタンパク質種であり(Boyles 1989年,Corder 1993年,Fagan 1996年,Poirier 1994年)、AD脳における斑の沈着に役割を果すことが明らかにされている。
【0017】
ApoE2、ApoE3、およびApoE4という3種の主要なApoEのアイソフ
ォームがあり、これらは、単一の遺伝子座における3種の対立遺伝子の生成物である。3
種のホモ接合型の表現型(Apo−E2/2,E3/3、およびE4/4)、および3種のヘテロ接合型の表現型(ApoE3/2,E4/3、およびE4/2)は、3種の対立遺伝子のいずれか2種の発現によって生じる。最も一般的な表現型はApoE3/3であり、最も一般的な対立遺伝子はE3である。Mahley.R.W.,Science 240;622〜630(1988年)を参照。3種のタイプのアミノ酸配列は、わずかしか違わない。ApoE4は、ApoE4のアミノ酸残基112で通常みられるシステインがアルギニンに置換されている点でApoE3と異なる。ApoE2の最も一般的な形態は、残基158で通常みられるアルギニンがシステインに置換されている点でApoE3と異なる。上記のMahley,Scienceを参照。それゆえに、3種のアイソフォームは、以下のそれらの配列の差の情報の短縮表記によって示すことができる:E2(Cys112,Cys158),E3(Cys112,Arg158)、およびE4(Arg112,Arg158)(Weisgraber 1994年)。
【0018】
ヒトapoEは、299個のアミノ酸残基からなる34kDaのタンパク質であり、3種の別個の機能的ドメイン:(1)N末端受容体結合領域、(2)プロテアーゼ切断に感受性を有するランダムコイル領域、および(3)C末端脂質結合領域を有する(Weisgraber 1994年)(Fig1)。N末端領域中の残基136〜158は、apoE関連受容体と相互作用し、残基165〜210は、タンパク質分解に高い感受性を有し、残基225〜299は、C末端部分を構成し、脂質結合に関与する残基268〜289を含む。我々は、残基243〜272がAβへの結合に関与することを発見した。
【0019】
本発明に記載される「apoE4由来ポリペプチド」は、Mahleyにより説明され、以下に引用して記載された成熟ヒトapoE4ポリペプチド(配列番号1)、
【化1】

および、ヒトapoE4の種の相同体を含む。多くの種のapoEの相同体は、Weisgraberにより記載されており、この定義は、ヒヒ、カニクイザル、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ウシ、イヌ、アシカ、およびその他の種の相同体、ならびに上記配列のポリペプチドのフラグメントを含み得る。
【0020】
本発明で用いられる用語「Aβポリペプチド」は、分子量が約4.0kDの38〜43個のアミノ酸ペプチドを意味し、このペプチドは、Glenner等(22)により記載されたタンパク質の形態と実質的に相同であり、正常なベータアミロイドペプチドの突然変異、および翻訳後修飾を含む。どのような形態においても、ベータアミロイドペプチドは、ベータアミロイド前駆体タンパク質(APP)という大きい膜貫通型糖タンパク質の約38〜41個のアミノ酸フラグメントである(フラグメントのカルボキシ末端が異なる)。その43個のアミノ酸配列は以下の通り(配列番号2)、
【化2】

または、それらに相同な配列である。一例として、対応するラットおよびマウス配列は、上記配列に約95%相同であり、この定義に含まれるものであり、それぞれGenbank受入番号P08592およびAAB41502から推測することができる。その他の相同体は、公開されたデータベースおよび私的なデータベースから、または、適切な種から対応するAPPをクローニングおよび配列解析することによって容易に推測される。
【0021】
Aβポリペプチドは、可溶性、不溶性、または中間体型のいずれかで存在し得る。インビトロでインキュベートする際の濃度依存性のラグ期間の後、合成βAPの可溶性調製物は、活性化ベータアミロイド種をゆっくり形成し、最終的には、繊維性の凝集体を生じ、これは、天然アミロイドに類似し、沈降により水性媒体から分離可能である。本明細書において便宜上、Aβポリペプチドは、場合により、Aβ1−38、Aβ1−39、Aβ1−40、Aβ1−41、Aβ1−42、Aβ1−43、または単に「Aβ」ともいう。
【0022】
用語「凝集したAβペプチド」は、不溶性状態のAβペプチドを意味する。
【0023】
用語「活性化Aβポリペプチド」は、apoE4ポリペプチドと複合体を形成するというアイソフォームに特異的な性質を示す、自発的凝集中に生じるポリペプチド種を意味する。本明細書において、活性化Aβポリペプチドを製造する手法は、下記で詳細に説明する。
【0024】
「脂質化apoE4由来ポリペプチド」は、apoE4由来ポリペプチドに加えて、極性または中性脂肪成分を含み、極性または中性脂肪成分は、活性化ベータアミロイドペプチドと複合体を特異的に形成することができ、その相互作用は、それらの結合の測定が可能なほど十分に強いapoE4由来ポリペプチドである。ポリペプチドが他のポリペプチドと結合する性質を測定する方法は当業界周知であり、実証的な例が考察されている。
【0025】
脂質成分としては、エステル化または非エステル化(遊離)コレステロール、トリグリセリド、およびリン脂質が挙げられる。一実施形態において、凝集体中の脂質成分は、脂質二重層を形成することができる。いくつかの実施形態は、ジラウロイルPC(DLPC)、ジミリストイルPC(DMPC)、ジパルミトイルPC(DPPC)、およびパルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−PCを含むホスファチジルコリン(PC)、または、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、セラミド、および、スフィンゴミエリン、セレブロシド、コール酸ナトリウム、コレステロール、およびコレステロールエステルで複合化したapoE4を含む。再構成したリポタンパク質粒子を製造する方法は当業界周知であり、Jonasにより詳細に記載された方法で、様々な割合の脂質混合物とタンパク質濃度で作製することができる。アポリポタンパク質を様々な脂質と結合させるための多くの方法があり、例えば、脂質およびタンパク質成分の共超音波処理(cosonication)、タンパク質と脂質小胞との自発的な相互作用、および様々な界面活性剤が介在する再構成方法が挙げられる。
【0026】
本発明で用いられる用語「〜を接触させること」は、直接的または間接的のいずれかによって、化合物と本発明のポリペプチドとを共に物理的に近接させることを意味する。加えて、「〜を接触させること」は、本発明のポリペプチドと、他のポリペプチドとを物理的に近接させることを意味する場合もある。
【0027】
本発明で用いられる用語「複合体」は、共に結合した分子の組み合わせを意味するものとし、特定のいかなる結合様式を意味するものではない。
【0028】
本発明で用いられる用語「相同」は、所定のポリペプチドと、他のアミノ酸配列とのアミノ酸配列間の同一性の程度を説明するために用いられる。所定のポリペプチドのアミノ酸配列と比較されるアミノ酸配列は、例えば上で定義されたハイブリダイゼーションによって得られたDNA配列から推測してもよいし、または、従来のアミノ酸配列解析法で得てもよい。相同性の程度は、好ましくは、成熟ポリペプチドのアミノ酸配列で決定される。好ましくは、相同性の程度は、比較されたアミノ酸配列間のアミノ酸配列において、少なくとも80%、例えば少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、または、さらに98%である。
【0029】
相同なアミノ酸配列は、保存的アミノ酸置換を含むアミノ酸配列を包含する。相同性(%)は、例えば、ギャッププログラム(Gap program)(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix,Genetics Computer Group,University Research Park,マディソン,ウィスコンシン州)によって決定することができ、これは、SmithおよびWaterman(Adv.Appl.Math.,1981年,2,482〜489)のアルゴリズムを標準設定で用いている。
【0030】
本発明で用いられ、かつ当業界で理解されている「単離(されている)」とは、ポリペプチドが正常に発見される元来の細胞の環境から分離されたことを意味するものとする。従って、単なる例として、本発明で用いられるように、それらが天然に存在しない細胞型で組換え手段によって発現されたタンパク質は、「単離されている」。一例として、天然に存在する細胞、またはそうではない細胞のどちらで発現されたとしても、ある程度まで精製された場合、そのタンパク質種は「単離されている」。
【0031】
本発明で用いられる「ポリペプチド」は、ペプチド結合または修飾されたペプチド結合、すなわちペプチド等価体(isosteres)で、互いに連結した2またはそれ以上のアミノ酸を含むあらゆるペプチドまたはタンパク質を意味する。「ポリペプチド」は、短鎖(一般的にペプチド、オリゴペプチドまたはオリゴマーという)と、より長い鎖(一般的にタンパク質という)との両方を意味する。ポリペプチドは、遺伝子をコードする20種のアミノ酸以外のアミノ酸を含んでもよい。「ポリペプチド」は、自然のプロセス、例えば翻訳後プロセシング、または、当業界周知の化学修飾技術のいずれかによって修飾されたアミノ酸配列を含む。ポリペプチドのグリコシル化および非グリコシル化型もこの定義に包含される。
【0032】
本発明で用いられ、かつ当業界で理解されている「合成された」は、酵素による方法に対して、純粋に化学によって製造されたポリヌクレオチドを意味する。それゆえに、「完全に」合成されたDNAまたはポリペプチド配列は、完全に化学的手段によって製造され、「部分的に」合成されたDNAまたはポリペプチドは、得られたDNAまたはポリペプチドの一部だけが化学的手段によって製造されたものを包含する。
【0033】
用語「試験化合物」は、あらゆる手段、同定可能な天然または合成の化学物質または分子を意味し、例えば、これらに限定されないが、活性化Aβポリペプチドが脂質化apoE4由来ポリペプチドと結合する性質を調節するその能力が評価される、低分子物質、ペプチド、タンパク質、糖、ヌクレオチド、または、核酸が挙げられる。特に、抗体(例えば、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、単鎖抗体、キメラ抗体、二官能性/二特異的な抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、および相補決定領域(CDR)移植抗体がこの定義に含まれ、apoE4誘導ポリペプチドまたは活性化Aβに特異的に結合するCDR配列を含む化合物も含まれる。この定義は、1993年6月20日に公開されたWO93/11236に記載の方法に従って製造および同定されたヒト抗体を含む。この定義は、Fab、Fab’、F(ab’)2、および、Fvなどの抗体フラグメントを含み、これらも
本発明によって提供される。上記定義は、動物から単離した抗血清も含み、典型的な組成物としは、水、または、その他の希釈液、添加剤もしくはキャリアーに再懸濁された抗血清の抗体分画を含む組成物のようなものがある。
【0034】
本発明で用いられる用語「脂質化apoE4由来ポリペプチド−Aβ複合体」または複合体は、apoE4タンパク質由来ポリペプチドとベータアミロイドペプチドとの複合体
を意味するものとする。
【0035】
序論
アルツハイマー病(AD)の病理学的な特徴は、脳内における細胞外の斑の形態のアミロイドペプチド(Aβ)の存在である。斑形成の前に、単量体Aβフラグメントは、単一ユニットから凝集産物へトランスフォーメーションし、それによりフィブリル形成が起こり、最終的には斑沈着が起こる。アポリポタンパク質E(apoE)は、Aβ斑形成に関与すると考えられてる。apoE4アイソフォームを有するADに罹った患者は、apoE3キャリアーに比べてかなり多数のAβ斑を示した。最も明白には、apoE2およびapoE3キャリアーに比べて、apoE4対立遺伝子の遺伝は、ADの危険性を高める。これまで、ADの病因へのApoEの関与の性質は、よく理解されていなかった。我々は、自発的凝集中に生成される、ApoE4アイソフォームと優先的に結合するAβ活性種を再現可能的に作成する方法を発見した。我々はまず、下記で、活性ベータアミロイド種をどのように作成し、回収できるかを説明する。続いて我々は、どのように脂質化apoE4由来ポリペプチドを作成できるかを説明する。最後に、我々は、どのようにこれら2種の相互作用を評価する分析法を実施することができるかを説明する。
【0036】
ApoEのアイソフォーム特異的な結合を示す活性化Aβポリペプチドの作成
下記で説明した分析は、単離したAβポリペプチドを、その分子形態のいずれか一つ(代表的には、38、39、40、41、42または43個のアミノ酸変異体)で利用する。このようなポリペプチドは購入することができる(例えばシグマ・バイオケミカルズ(Sigma Biochemicals)製の、フラグメント1−38(カタログ番号A0189)、フラグメント1−40(カタログ番号A1075)、フラグメント1−42(カタログ番号A9810)、フラグメント1−43(カタログ番号A−7712))。このようなポリペプチドはまた、当業界周知の手段で合成で製造されてもよい。固相ペプチド合成は当業者周知であり、一般的に、Merrifield,1963年,J.Amer.Chem.Soc.85:2149〜2156,FieldsおよびNoble,1990年,Int.J.Pept.Protein Res.35:161〜214、およびSolid Phase Peptide Synthesis:A practical approach”by AthertonおよびSheppard(IRLプレス(IRL Press)出版,オックスフォード・ユニバーシティ・プレス(Oxford University Press),1989年)で記載されている。従って、ここで開示されたペプチドおよびタンパク質は、これら比較的慣例的な技術を本発明の開示を考慮して用いて製造してもよい。固相ペプチド合成は提供された参考文献で説明されているように当業者周知であり、手動で行うこともでき、または自動化ペプチドシンセサイザー(例えばABSが販売しているもの)で行うこともできる。
【0037】
一つの合成方法は、自動化ペプチドシンセサイザーによるFmoc方法を用いた固相ペプチド合成によって達成される。この方法は、−COOH末端からアミノ酸鎖を構築し、これを不溶性ポリマー支持体に付着させることを含む。塩基不安定性のFmoc基が、各残基の−アミノ基を保護するのに用いられる。反応性を有する可能性のある側鎖を有する残基が、t−ブチルのような酸不安定性基で保護される。各サイクル中にピペリジンでFmoc基を除去した後、カップリング試薬または予め活性化したアミノ酸誘導体のいずれかを用いて、次の保護されたアミノ酸が付加される。合成の最後に、ペプチドを固体支持体から切断し、用いられるリンキング剤に応じてペプチド酸またはアミドが得られ、ペプチド−樹脂をトリフルオロ酢酸と様々なイオンスカベンジャーとの混合物で処理することによって側鎖保護基を除去する。メチルt−ブチルエーテルを加えて、切断混合物からペプチドを沈殿させる。粗ペプチドを溶解させ、凍結乾燥し、その後、高性能液体クロマトグラフィーで精製する。精製したペプチドを凍結乾燥し、−80℃で保存する。
【0038】
このようなポリペプチドは、ベータアミロイド前駆タンパク質(APP)の正常なプロセシングとそれに続く精製によって作成することもできる。
【0039】
本発明は、ApoE4-活性化Aβ相互作用の阻害剤を同定するための数種の分析システムを含む。このような分析法の重要性を理解するために、Aβの活性型が、神経毒性にも、またapoE4結合にも関与する生理学的に関連する種であることを理解することがまず必要である。
【0040】
このような活性種の生成は、我々が説明する4次反応速度論モデルに従うことを認識する必要もある。このモデルの使用により、活性種が最大に到達する時間の予想が可能になり、それゆえに、細胞毒性またはapoE4相互作用を評価する分析法で使用するための活性種をいつ回収するかを決定するために予想ツールを供給することができる。
【0041】
Aβの自発的凝集の反応速度論研究は複雑であるが、これは、凝集形成速度の、高いペプチド濃度に対する依存性や、市販サンプルにしばしば存在するわずかなフィブリル、あらゆる微粒子状の物質、種、および、沈降しなかったオリゴマーの量に対してシステムが極度に高感度であるためである。また、凍結乾燥したペプチド中にわずかな量の湿気が存在することによっても、しばしば制御不能な未成熟な凝集形成が起こる。出発原料の純度と均一性を達成する最良の方法の一つは、ヘキサフルオロイソプロパノールまたは酢酸のような酸または溶媒で予備処理することである(Findeis,1999年)。厳密なサンプル精製に加えて、一定速度で凝集混合物を振盪することが、毎日一定した速度を得るのに必要であるとみられていた。
【0042】
我々は、凝集データが、始めに非活性化単量体(UM)がゆっくり活性種(AS)に変換される3段階反応速度論モデルに最も一致することを見出した。第二の遅い工程において、数種の単量体は、フィブリルの成長部位(GS)として役立つオリゴマーの核を協同して形成する。フィブリルの成長は、不活性単量体分子の連続付加により成長部位を破壊することなく凝集体を伸長させる第三の工程で起こる。
【数1】

【0043】
上記モデルは、以下の方程式システムで示される:
【数2】

【0044】
式中、Pは、凝集した単量体の濃度である。これら速度方程式は、独立した形態では積分不可能であるため、非線形最小二乗法プログラムを上記方程式の5次のルンゲ・クッタ数値積分と組み合わせて用いて、P対時間のデータを分析した。この分析により、x=4±1であることがわかり、速度定数を計算した。この分析を、初期推定値に関して選択された値に関わらず、ほぼ同様の最も適合するパラメーターに収束させた。速度定数が計算されれば、あらゆる種(活性Aβペプチド種を含む)の時点を容易に計算することができる。我々は、以下で、関連する速度定数を計算するのに必要なAβの凝集を評価する数種の方法を説明する。
【実施例】
【0045】
実施例1
自発的なAβ凝集の測定
Aβ1−40を、ポリペプチド・ラボラトリーズ(Polypeptide Laboratories,トーランス,カリフォルニア州)、および、ベイケム・バイオケミカ(Bachem Biochemica,ハイデルベルグ,ドイツAG)から購入した。配列中にシステイン残基を含み、そこにフルオレセイン成分が共有結合したFluo−β−アミロイド1−40を、アドバンスト・バイオコンセプト社(Advanced Bioconcept,Ltd.,バッキンガムシア,イギリス)から購入した。分子ふるい(4Å)、および、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP
A)は、シグマ・ケミカル(セントルイス,ミズーリ州)製である。
【0046】
単量体形態のAβ1-40の調製
HPLC標準として用いられるAβ1−40を、HFIPAで処理し、これを分子ふるいタイプ4A上で4℃で乾燥させ、続いて、15,000×gで15分間遠心分離し、分子ふるいのダストを除去した。凝集分析のために、ペプチドをHFIPA中で8mg/mLに溶解させ、溶媒中で18〜24時間保持し、予備形成された粒子全てを脱凝集させた。この工程の後、この溶液の20μlのアリコートを液体窒素中で瞬間冷凍し、−195℃で保存した。使用前に、ドライアイス下で、融解させずに、HFIPAを直接的な凍結乾燥で除去した。融解によるHFIPAの除去は、凝集していない出発原料を得るのに必須であり、なぜなら、凍結乾燥前に、凍結したペレットを融解させると、しばしば数種のオリゴマーペプチドが製造されるためである。凍結乾燥したAβ1−40を無水DMSO(通常は20μL)中で溶解させ、15分間槽中で超音波破砕し、100×ストック溶液を得た。この方法で製造されたペプチドのHPLCクロマトグラムは、唯一のピークを示し(上記単量体の可能性が高い)、CD構造は主要なランダムコイルペプチドに一致した。我々は、20×ストックを0.1%酢酸で製造する手法(Findeis,M.A.等(1989年))でも許容できるペプチド溶液が得られるを見出した。
【0047】
Aβ1−40の自発的凝集
振盪凝集分析を実質的に以前に説明された通りに行った(Findeis,M.A.等(1989年))。50μMのAβ1−40を含む最終分析容量250μLのダルベッコPBS(w/o Ca++またはMg++)を用いて、96ウェルプレートで分析を行った。タイタープレート振盪器(ラボ−ライン(Lab−Line)モデル4623)を速度800rpmで用いてプレートを振盪した。反応混合物に抗体が含まれる場合は、それらは濃縮溶液から加えられた。抗体濃度を、分子量を150,000と仮定して計算した。
【0048】
濁度による凝集の測定
所定の時間で、反応混合物の濁度を、モレキュラー・デバイス(Molecular Devices)Vmaxマイクロプレートリーダー(サニーベール,カリフォルニア州)で405nmで読み取った。50μMのAβ1−40の凝集も、立て向きにセットされた両方の偏波器を備えたISS K2スペクトル蛍光分光計(490nmでの励起、および、530nmでの発光)で垂直偏波光散乱強度を用いて連続的にモニターした。緩衝液と溶液(2mL)中にペプチドを含むキュベットを、撹拌棒で速度80rpmで撹拌した。
【0049】
低分子量のAβ1-40の溶液濃度の間接凝集測定HPLC分析
HPLC分析のために、60μlのアリコートを、15,000×gで15分間、4℃で遠心分離した。50μLの上清をにシラン化したマイクロオートサンプラーバイアルに移し、溶液中に残存し、続いて自発凝集したAβ1−40単量体を測定した。2回のHPLC方法を行った。第一回目は、注入容量が20μLのウォーターズ(Waters)のデルタ−パック(Delta−pak)C18カラム(150×4.6mm,5μmの固定相,300Åの孔サイズ)を用いた。この方法では、214nmでのUV検出(ウォーターズの996フォトダイオードアレイ検出器)を備えたウォーターズのアライアンス(Alliance)HPLCシステムが用いられた。10分にわたって直線状に、70%水、30%アセトニトリル(いずれも0.1%v/vトリフルオロ酢酸を含む)から、60%水、40%アセトニトリル、および0.1%トリフルオロ酢酸v/v/vへの勾配を、室温で、流速1ml/分で適用した。次のサンプルを注入する前に、カラムを元の組成に6分間再平衡化した。第二の方法では、均一濃度の移動相(73%水、27%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸v/v/v)と、フェノメネックス(Phenomenex)C18ルナ(Luna)カラム(250×2.1mm,5μm)を用いた。この方法では、パーキン・エルマー・シリーズ(Perkin Elmer Series)200ポンプと、ウォーターズの996フォトダイオードアレイ検出器(214nm)を備えたオートサンプラーを用いた。カラムは45℃、流速は0.4mL/分とした。サンプル(15μL)を注入した;Aβ1−40単量体の保持時間は、第一の方法では約5分間とし、第二の方法では6分間とした。標準Aβ1−40溶液(DMSO中約100μM)を用いてAβ1-40単量体の定量を較正し、その濃度は、アミノ酸分析で測定された。この標準を液体窒素下で保存した。5点の標準曲線(1/xを量った)を用いて濃度を計算した。定量の下限は、約1.7μMであった。
【0050】
円二色性(CD)分光分析による凝集の測定
Aβ1−40溶液中で生じるコンフォメーション変化のカイネティクスを、CD分光分析で、2種の異なるペプチド濃度(50および80μM,ダルベッコPBS中)でモニターした。環状の振盪器で、96ウェルプレートの連続したウェルから、120μLのアリコートを設定した時間の間隔で取り出し、光路長0.5cmの円柱状の石英CDセルに移した。ジャスコ(Jasco)(イーストン,メリーランド州)のJ−715分光光度計を23℃で用いてスペクトルを得た。緩衝液のCDスペクトルも23℃で集めた。CD応答をアンモニウム−d−カンフル−10−スルホネートで較正した。遠紫外線CDスペクトルを、193〜260nmで、応答は0.25秒、スキャン速度は100nm/分、解像度および帯域は1.0nm、8回累積のスキャンで集めた。下限の波長はCl-吸収により、195nm未満されたが、他の反応速度論実験との整合性を得るためにNaClが必要であった。
【0051】
主成分の回帰分析(Blow,D.M.,(1994年))を用いたコンフォメーション分析のために、バックグラウンドを差し引いたCDスペクトルを、グラム/32にインポートした。公共データベースから得られた二次構造が既知の16種の異なるタンパク質に関するCDスペクトルの基底系を用いて、Aβ1−40の二次構造の推定を決定した。この方法を、ギャラクティック・インダストリーズ(Galactic Industries,セーラム,ニューハンプシャー州)から入手された市販のソフトウェアパッケージ(PLSplus/IQバージョン3.02)で稼動できるように適合させた。基底系は、195〜260nmの範囲の、解像度2nmの、単位Δε(リットル/モルcm)の平均軸対称CDデータと、αへリックス,パラレルおよびアンチパラレルβシート、βターンおよびその他のランダム構造に関するX線結晶学的二次構造パーセンテージからなる。各ライブラリー項目から平均スペクトルを差し引くことによって、基底系データを平均軸対称化した。5つのファクターにより、実験で得られた二次構造パーセンテージと既知の二次構造パーセンテージとの最適な一致を得た。Aβ1−40のコンフォメーションのパーセンテージを推定するために、実験で得られたCDスペクトルを2nm解像度に平均して、単位Δε(リットル/モルcm)に変換し、5つの最も重要な主成分を用いて分析した。
【0052】
蛍光偏光法によるAβ凝集の測定
ペプチドが成長するフィブリルへ付着することによって、ペプチド上のあらゆる蛍光団の回転性の移動性が変化するはずであり、従って、標識されたアミロイドペプチドの蛍光の偏光は、凝集を検出および定量するための高感度プローブのはずである。従って、我々は、凝集検出のために、共有結合したフルオレセイン分子(アドバンスト・バイオコンセプト)を有するAβ1−40を、標識されていないAβ1-40と混合して用いた。
【0053】
適所に偏光光学ヘッドを備えたBMGフルオスター・ギャラクシー(Fluostar
Galaxy)プレートリーダーを用いて、フルオレセインで標識されたAβ1−40の凝集を試験した。励起光学で480nmフィルター(12nm帯域)を用い、2つの発光光路で一対の整合520nmフィルター(35nm帯域)を用いた。3種の異なる濃度で5つ複製したAβ1−40のPBS溶液(10、25、および50μM)を、コーニング(Corning)の黒色の不透明な96ウェルプレート(パート#3915)のウェルに付した。読み取り1回あたり平均して50回のキセノンフラッシュランプのフラッシュを用いて、位置決めのディレイを1秒で、各ウェルを読み取るように装置の操作手順を確立した。器具のゲインをフルオスター・ソフトウェアのマニュアルに従って設定した。偏光強度の読み取りをゼロ時間で測定し、プレートを取り出し、環状の振盪器で撹拌した。外部装置による凝集分析のための正確な条件が予め確立されていたために、装置の振盪器の代わりに外部の環状の振盪器を用いた。プレートを7分間撹拌し、取り出し、プレートリーダーに戻して置き、各ウェルのさらなる偏光の読み取りを記録した。この方法で、200分間にわたり凝集のカイネティクスを記録した。
【0054】
結果
我々はまず、405nmで濁度によりモニターした代表的なAβ凝集の時間依存性分析した。Aβの自発的凝集に関する曲線の形(図1に示す)は、タンパク質の直鎖状の凝集に関して提案されたものを暗示しているが(Ainsztein,A.M.(1994年),Tobacman,L.S,(1983年),Voter W.A.,(1984年),Cooper,J.A.,(1983年))、誘導期間は、アクチンまたはチューブリンのいずれかで観察されたものよりずっと長い。これは、開始ペプチド種それ自体はフィブリル形成を開始させることができないことと、活性単量体誘導体がゆっくりと形成されることにより凝集が生じなければならないことを示す。しかしながら、活性化工程が凝集よりずっと速く、独立した反応速度論プロセスとして扱うことができるアクチンおよびチューブリンの場合とは異なり、Aβ凝集は、極めてゆっくりとした活性化、それに続く比較的迅速な凝集を経て進行するようである。様々な反応速度論モデルを用いて実験した後、我々は、上述されたモデルに到達した。
【0055】
実験のポイントと、最も適合した定数を用いて計算された理論曲線との一致(図1)は、モデルの適合を示す。同図において、我々はまた、様々な反応速度論的に競合する種の計算された濃度も示す。どの時間においても、AMは、総ペプチド濃度のほんの少量の分画を示すこと(この実験において、2.6μM対50μM)、および、AMは濃度が反応中に最大値を経過する唯一の種であることを特記する。
【0056】
アクチンに関して直鎖状の重合における濁度と濃度との比例関係がすでに確立されているが(Tobacman,L.S.(1983年))、我々は、並行実験で、溶液からの低分子量の出発原料の消失に関して、A405測定と、HPLCで得られた測定とを比較することによって、我々のシステムのその妥当性を確認した。結果を図2に示す。両方のデータ群は、方程式1〜4で説明されたモデルと一致しており、分析により、相当する速度定数を得た(表1に示す)。
【0057】
【表1】

【0058】
濁度によって測定された振盪凝集のカイネティクスも、CD検出によって測定されたものと比較した。並行実験の結果を図3に示す。再度、両方のデータ群は我々の反応速度論
モデルと一致しており、上記分析より、表1に示された速度定数が得られた。
【0059】
Aβ1-40のCDスペクトルを、凝集時間の関数として記録し、その結果を図4に示す。Aβ1-40凝集中に回収したCDスペクトルの主成分分析により、無秩序なコイル構造のわずかなロスと、付随するアンチパラレルβシート構造の増加が明らかになった。コンフォメーション分析によっても、βターン構造のわずかな増加が示された。βターン構造の出現時間は、凝集プロセスの開始に対応しており、これは、我々が検出にIRを用いても観察した(データは示さず)。
【0060】
蛍光偏光検出
振盪で誘導されたフルオレセイン標識Aβ1−40の凝集の、ペプチド濃度依存性を決定した(図5の右のパネルで示す通り)。凝集により、強度の変化を起こすことなく最大の変化で安定状態の異方性が2倍に増加した。これらのデータも、実験データ点と、方程式1〜4と表1で示された最も適合したパラメーターを用いて計算された理論曲線との間の一致で証明された反応速度論モデルと一致していた。4種の異なる実験検出方法で観察された反応速度論の挙動の一致は、反応の全体の時間経過中に観察可能な主要な種は、低分子量の出発原料と凝集体のみであることを示している。その他のあらゆる中間体種は、実験上のエラーを生じることなく検出不可能な低い濃度でなければならない。
【0061】
ペプチド濃度の凝集への効果
凝集のカイネティクスに対する開始ペプチド濃度の効果を、濁度および蛍光異方性を同時に測定することによって決定した。2種のペプチド濃度での濁度測定からの結果を図5の左のパネルに示す。方程式1〜4によるデータの非線形最小二乗法分析により、速度定数が得られ(表1に示す)、これらは、開始Aβ1−40濃度に非依存性である可能性が最も高い。速度定数の非依存性は、反応速度論モデルの妥当性の最大限の裏付けを構成する。
【0062】
Aβの活性種が最大になる時点を計算することが可能であるが、単に、自発的に凝集するAβ溶液のアリコートを分取し、そのアリコートをapoE4への結合に利用することもできる。我々の場合、これは、上述された緩衝液条件下で完全に脱凝集した単量体から開始させた場合、約60分でみられた。
【0063】
apoE4およびその他のApoEアイソフォームの作成
本発明の分析を行うために、活性化Aβポリペプチドに関するapoE4結合パートナーを単離することが必要である。apoEアイソフォームの組換え法による作成は記載されている(Morrow JA等(1999年))。本発明において、我々は、結合パートナーとしてのapoE4を作成する手段として適切な手法を説明する。当然のことながら、その他の手段も利便性に劣るとしても適切である。例えば、ヒト血清またはCSFからのapoE4を、原料源として精製、単離してもよい。Morrow等はエシェリキア・コリ(E.coli)で生産した組換え材料を利用しているが、当然のことながら、実質的には、あらゆる組換えタンパク質生産システムが同様に適切である。我々はまた、その他のapoEアイソフォームの作成も説明する。我々が記載する分析法によって、その活性化Aβとの複合体形成における脂質化apoE4の優先的な特異性が示されたことから、このようなその他のアイソフォームは、コントロールポリペプチドとして適切である。
【0064】
下記の実施例2において、我々は、ヒトapoEアイソフォームの高レベルの作成方法を報告する。この方法は、実質的に近年、Morrow等によって説明されているが、唯一の変更点は、超遠心分離工程において、リポタンパク質E分画中の不純物の量を減少させたことである。この方法を用いて、我々は、純度90%超のマテリアルを日常的に得た
。超純粋なマテリアルが必要な場合、我々は、apoEをセファクリル(Sephacryl)カラムに再度通過させることにより、純度約99%のマテリアルが得られる(ただしわずかに回収率が減少する)ことを見出した。
【0065】
実施例2
材料および方法
apoEアイソフォームのクローニング、および、発現ベクターの構築
成熟ヒトapoEに対応する相補DNAを、脾臓cDNA(クロンテック・ラボラトリーズ(Clontech Laboratories),パロアルト,カリフォルニア州)から増幅した。増幅反応液は、10mMのdNTP、脾臓cDNA(2ng)、1×Q溶液(キアゲン社(Qiagen,Inc.),バレンシア,カリフォルニア州)、0.2μMの各プライマー:
フォワード,5’−CATTGGATCCAAGGTGGTGGAGCAAGCGGTGGAG−3’(配列番号3)、
リバース,5’−CGACTCGAGTCAGTGATTGTCGCTGGGCAC−3’(配列番号4)、
タックプラス(TaqPlus)高精度ポリメラーゼ(5U)、および、1×緩衝液(ストラタジーン(Stratagene),ラホヤ,カリフォルニア州)を最終容量50μlに含む。増幅のためのPCR条件は、94℃で1分間、55℃で1分間、72℃で1分間を30サイクル、続いて最後の伸長を72℃で10分間である。増幅産物をpcDNA3.1(インビトロジェン(Invitrogen),カールスバッド,カリフォルニア州)にライゲートした。続いて、プラスミドミニプレップ(Miniprep)DNAサンプルを、DNAシーケンシング・コア・ラボラトリー(DNA Sequencing Core Laboratory)で配列解析した。配列解析の結果から、全長の成熟apoE2、および、apoE3のcDNAクローンが明らかになった。ApoE4のcDNAを製造するために、クイックチェンジ(QuickChange)部位特異的変異誘発キット(ストラタジーン,ラホヤ,カリフォルニア州)を用いた部位特異的変異誘発をapoE3のcDNAで行い、アミノ酸残基112個に対応するコドンをTGC(cys)からCGC(arg)に変化させた。変異誘発反応液は、pcDNA3.1−apoE3(50ng)、10mMのdNTP、1×Q溶液(キアゲン社,バレンシア,カリフォルニア州)、各プライマー(125ng):
フォワード,5’−GACATGGAGGACGTGCGCGGCCGCCTCTGGTGC−3’(配列番号5)、
リバース,5’−GCACCAGAGGCGGCCGCGCACGTCCTCCATGTC−3’(配列番号6)、
Pfuポリメラーゼ(2.5U)、および1×緩衝液を、総容量50μlに含む。サイクルパラメーターは95℃で30秒、続いて、95℃で30秒、55℃で1分間、および68℃で12分間を12サイクルである。この反応液を37℃に冷却し、DPN I(10U)を加え、親DNAの消化を37℃で1時間行った。変異させたDNA(1.5μl)で、DH5αFT細胞(ライフ・テクノロジーズ(Life Technologies),ロックビル,メリーランド州)を形質転換した。それに続くミニプレッププラスミドDNAの配列解析の結果によれば、成熟apoE4をコードするcDNAを含む数種のクローンが示された。
【0066】
次に、成熟apoE2、apoE3、およびapoE4に関するcDNAを、エシェリキア・コリ発現ベクターpET32a(ノバジェン社(Novagen,Inc.),マジソン,ウィスコンシン州)にクローニングし、これを、BamHI制限部位に対して5’側に隣接してトロンビン切断部位が導入されるように、以前に説明された通りに改変した(17)。この改変は、クイックチェンジ(QuickChange)部位特異的変異誘発キット(ストラタジーン,ラホヤ,カリフォルニア州)を用いた2段階工程で達成した。第一に、ヌクレオチドCCA CGC(それぞれproとargをコードする)を、BamHI部位に対して5’側に隣接して挿入し、この挿入に用いられたプライマーは:
5’−CATGGCTGATATCCCACGCGGATCCGAATTCG−3’(配列番号7)、
5’−CGAATTCGGATCCGCGTGGGATATCAGCCATG−3’(配列番号8)、
であり、第二に、ヌクレオチドCTG GTA(それぞれleuとargをコードする)を、挿入したヌクレオチドの第一群に対して5’側に隣接して挿入した。この挿入に用いられたプライマーは:
5’−CATGGCTGATATCCTGGTACCACGCGGATCCG−3’(配列番号9)、
5’−CGGATCCGCGTGGTACCAGGATATCAGCCATG−3’(配列番号10)、
であり、上記挿入それぞれのための変異誘発反応液は、pET32aプラスミド(10ng)、10mMのdNTP、各プライマー(125ng)、Pfuポリメラーゼ(2.5U)、および、1×緩衝液を、総容量50μlに含む。サイクルパラメーターは、95℃で30秒、続いて、95℃で30秒、55℃で1分間、および、68℃で12分間を18サイクルである。各反応液を37℃に冷却し、DPN I(10U)を加え、この反応液を37℃で1時間インキュベートした。変異させたDNA(1.5μl)で、DH5αFT細胞を形質転換した。続いて、コア・シーケンシングで、正しく挿入されたトロンビン認識配列を含む数種のクローンが同定された。次に、apoE2、apoE3、および、apoE4に関するcDNAを、改変されたpET32aベクターのBamHIおよびXhoI制限部位でライゲートした。
【0067】
ヒト組換えApoEアイソフォームの発現
ApoE2、apoE3、およびapoE4のDNAで、BL21(DE3)細胞を形質転換した。大量発現と精製のために、100μg/mlアンピシリンを含むLB培地(100ml)に各クローンを播種し、OD600が0.6に達するまで振盪器で37℃でインキュベートし、上記ODに達した時点で細胞を氷上で冷却し、4℃で一晩保持した。翌朝に細胞を、SLA−1500ローターを用いて4000rpmで5分間遠心分離し、ペレットを100μg/mlアンピシリンを含む新しいLB培地(100ml)中で再懸濁した。100μg/mlアンピシリンを含む新しいLB培地(2リットル)に、再懸濁した細胞(35ml)を播種し、OD600が0.6に達するまで振盪器で37℃でインキュベートした。次に、細胞をIPTG(最終濃度100mg/ml)で2時間誘導した。細胞を再度遠心分離し、得られたペレットを必要になるまで−80℃で保存した。
【0068】
ApoEアイソフォームの単離および精製
上述した通りに得られた細胞ペレットを再懸濁し(これを、以下、懸濁緩衝液という(50mMのトリス−HCl(pH8.0)、および、それぞれ10mg/mlのアプロチニン、ベスタチン、ロイペプチンおよび1Mベンズアミジンを含む0.5MのNaCl))、次に、フレンチプレスを用いて溶解させた。得られた溶解産物のpHを2Mトリスを用いて8.0に調節し、このサンプルを11000×gで50分間で遠心分離した。上清を分離し、予め懸濁緩衝液で平衡化したNi−IMACカラム(20ml)にローディングした。次に、このカラムを、溶出液のOD280が0.8未満に下がるまで懸濁緩衝液で洗浄した。その時点で、75mMイミダゾールを含む懸濁緩衝液を用いて、カラムを洗浄し、溶出液のOD280が0.7未満に下がるまで洗浄を続けた。次に、このカラムを、カラム容量の2倍量のイミダゾール非含有懸濁緩衝液で洗浄し、その後、ApoE融合タンパク質を、300mMイミダゾールを含む懸濁緩衝液を用いて溶出させた。50滴分の画分を回収し、OD280値が1.8超の画分をプールし、20mMのNH4HCO3中で透析した。
プールのタンパク質濃度をBCA分析法で測定し、トロンビン切断用に準備するまでサンプルを−80℃で保存した。
【0069】
apoEアイソフォームのトロンビンによる切断
融合タンパク質をトロンビンで切断する前に、apoE配列中に存在する天然に生じるトロンビン切断部位を保護する必要があった。これは、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)(シグマ,セントルイス,ミズーリ州)の小さい単一膜小胞と共に融合タンパク質をインキュベートすることによって達成された。DMPC(120mg)を、50mlガラス製コニカルチューブ中でクロロホルム(3ml)に溶解させた。窒素流下でチューブの壁で脂質を乾燥させた。脂質が乾燥したように見えたら、チューブを50℃の水浴で交替で加熱し、溶媒が完全に蒸発するまでN2でフラッシングした。溶媒が除去された後、20mM炭酸水素アンモニウム(12ml)を加え、チューブを50℃の水浴で1時間インキュベートし、超音波破砕水浴に10分間置いた。これにより、リン脂質をチューブ壁から分散させ、極めて大きな多重膜小胞(MLV)の乳状の懸濁液を調製した。ヒート・システムズ(Heat Systems)ソニケーター・モデルXL−2020(ミソニックス(Misonix),ファーミングデール,ニューヨーク州)を、パワー90Wで45分間、1.5分のインターバルで3分のバースト、プローブ浸漬4分で稼動させて用いてMLV分散液を超音波破砕することによって、小さい単一膜小胞(SUV)を調製した。超音波破砕容器を氷水で冷却し、マテリアルの過熱を防いだ。超音波破砕後、金属断片(プローブから)を、40,000rpmで、15℃で20分間の遠心分離によって除去した。DMPC−SUVを、即座に、約3.8/1(脂質/タンパク質,w/w)の割合で上述の融合タンパク質調製物に加え、24℃で一晩インキュベートした。次に、トロンビンを、脂質タンパク質複合体に、1/1000(トロンビン/融合タンパク質,w/w)の割合で加え、切断反応を室温で30分間進行させた。β−メルカプトエタノール(最終濃度0.1%)の添加によって反応を止め、この混合物を固体KBrで密度1.225に調節し、TLS−55ローター(ベックマンインスツルメンツ社(Beckman Instruments Inc.),パロアルト,カリフォルニア州)を用いて、55,000rpmで44時間遠心分離することによってリポタンパク質分画を単離した。チューブをスライスすることによって上部の0.3mlを除去し、このようにして得られたリポタンパク質分画を、20mM炭酸水素アンモニウムに対して透析し、凍結乾燥した。
【0070】
FPLCによるapoEの精製
2:1のクロロホルム:メタノールを用いて凍結乾燥したリポタンパク質を脱脂化した。タンパク質ペレットを、6Mグアニジン−HCl、0.1Mトリス(pH7.4)緩衝液(0.01%EDTA、および、1%β−メルカプトエタノールを含む)に一晩可溶化し、このタンパク質溶液を0.45ミクロンのミリポア(Millipore)フィルターでろ過し、4Mグアニジン−HCl、0.1Mトリス(pH7.4)緩衝液(0.01%EDTA、および、0.1%β−メルカプトエタノールを含む)で平衡化した、直列に(底と底で)連結させた2つの2.6×60cm ハイプレップ(HiPrep)セファクリルS−300カラム(アマシャム・ファルマシア・バイオテク(Amersham Pharmacia Biotech),ピスカタウェイ,ニュージャージー州)にかけた。カラムクロマトグラフィーをFPLCシステム(アマシャム・ファルマシア・バイオテク)で行った。このカラムにサンプルを12ml/時間で注入し、カラム流速を30ml/時間とした。カラム溶出液の吸光度を280nmでモニターした。所定の吸光度ピークを形成する分画を個々に100mM炭酸水素アンモニウムに対して透析し、タンパク質濃度をBCA方法(ピアース(Pierce),ロックフォード,イリノイ州)で測定し、分画の純度をSDS−PAGEとウェスタン分析で測定した。
【0071】
SDS−PAGE分析は、MES泳動緩衝液中でノヴェックス(Novex)NuPA
GE4−12%ビス−トリスゲルを用いて行われた。ゲルを200ボルトで35分間泳動した。ゲルを固定し、ノヴェックスのコロイダルブルー染色キットを用いて染色した。ウェスタン分析のために、タンパク質を、NuPAGEトランスファー緩衝液中でニトロセルロース(0.2μm孔サイズ;ノヴェックス,カールスバッド,カリフォルニア州)に移した。このトランスファーを30ボルトで1時間泳動した。メンブレンを、振盪しながら、室温で1時間、ブロッキング緩衝液(50mMトリス(pH8.0),2mMのCaCl2、80mMのNaCl、5%乾燥脱脂乳、0.2%ノニデット(Nonidet)P−40、および、0.01%アンチフォームA)に置いた。メンブレンを、ヤギ抗カニクイザルapoE(12)(ブロッキング緩衝液で1:1000に希釈)と共に、室温で1時間インキュベートした。メンブレンを、ブロッキング緩衝液で15、5および5分間連続的に3回洗浄し、続いて、HRP標識マウス抗ヤギIgG(ブロッキング緩衝液で1:5000に希釈)の存在下で、50分間インキュベートした。メンブレンを、ブロッキング緩衝液で15、5、5および5分間連続的に4回洗浄し、続いて、ECL検出試薬(アマシャム・ファルマシア・バイオテク)の存在下で1分間浸し、その後、ハイパーフィルム(Hyperfilm)ECL(アマシャム・ファルマシア・バイオテク)に露光した。
【0072】
精製したApoEの脂質化
精製したapoEアイソフォームを上述した通りに得た。1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC)の小さな単一膜小胞(アバンティ・ポーラー・リピッド(Avanti Polar Lipids),カタログ番号850457)と共に、精製したapoEアイソフォームをインキュベートすることによって、apoEの脂質化を行った。40mlガラス製コニカルチューブ中でPOPC(120mg)をクロロホルム3mlに溶解させた。窒素流下で、チューブ壁上で脂質を乾燥させた。脂質が乾燥したように見えたら、チューブを50℃の水浴で加熱し、溶媒が完全に蒸発するまでN2でフラッシングした。溶媒を除去した後、20mMのNH4HCO3(12ml)を加え、チューブを50℃の水浴中で1時間インキュベートし、次に、超音波破砕の水浴に10分間置いた。次に、このインキュベート手法を1回繰り返した。これにより、リン脂質をチューブ壁から分散させ、極めて大きな多層小胞(MLV)の乳状の懸濁液を調製した。ヒート・システムズのソニケーターモデルXL−2020(ミソニックス)を、パワー90Wで45分間、1.5分のインターバルで3分のバースト、プローブ浸漬4分間で稼動させて用いてMLV分散液を超音波破砕することにより、小さい単一膜小胞(SUV)を調製した。超音波破砕の容器を氷水で冷却し、マテリアルの過熱を防いだ。超音波破砕後、金属断片(プローブから)を、40,000rpmで20分間、15℃の遠心分離によって除去した。即座に、POPC−SITVを、apoE、または、コントロールとしてウシ血清アルブミン(シグマ,カタログ番号A7030)に約3〜8/1(脂質/タンパク質,w/w)の割合で加え、24℃で17.5時間インキュベートした。サンプルを4℃で保存し、24時間後にAβ1−40との相互作用研究に用いた。
【0073】
実施例3
調整細胞培地からのApoEの単離
ネオマイシン耐性下で選択した、ヒトapoE2、apoE3、またはapoE4のpcDNAで安定してトランスフェクトしたヒト星状細胞腫細胞からヒトapoEを含む培地を分離した。細胞が50%および80%密度になったら培地交換して、その3日間後に血清非含有培地を回収し、タンパク質分解を防ぐために培地にプロテアーゼ阻害剤(完全プロテアーゼ阻害剤カクテルタブレット,1タブレット/50ml培地,ロシュ(Roche))を添加した。サンプルを−20℃で保存した。MWカットオフが10kDaのセントリコン・プラス(Centricon Plus)−80遠心分離フィルター(アミコン社(Amicon Inc.))で、大量の培地の濃縮を行った。調整培地中でapoE2が低レベルであったため、同様にMWカットオフが10kDaの小量用のセントリコンYM−10遠心分離フィルター(Amicon Inc.)でapoE2培地をさらに濃縮した。ApoE3およびapoE4培地を30〜50倍に濃縮し、apoE2は約100倍に濃縮した。トランスフェクトされていない星状細胞腫細胞調整培地も同じ方法で濃縮し、バックグラウンド決定に用いた。脂質フロテーション超遠心分離に必要になるまで培地を−20℃で保存した。
【0074】
超遠心による調整培地脂質フロテーション
調整培地中で脂質化されたapoEを得るための超遠心分離手法をHavel(1987年)の改変プロトコールを用いて行った。濃縮調整培地を、固体KBrで密度1.225に調節した(固体KBr0.706gを培地2mlに加え、NaCl塩溶液(1.225g/ml)2.3mlを加えて、液体の高さを高めた)。TLS−55ローター(ベックマン・インスツルメンツ(Beckman Instruments))を用いて、24時間、15℃で、55,000rpmで遠心分離することによってリポタンパク質画分を単離した。チューブをセントリチューブ・スライサー(ベックマン・インスツルメンツ)でスライスすることによって、上部の0.3mlを除去した。MWカットオフが10kDaのスライド−A−ライザー透析カセット(Slide−A−Lyzer Dialysis Cassettes)(ピアース)を用いて、脂質に結合したapoE粒子を含む上層と、脂質化されていないapoEを含む底の層を、DPBSに対して透析した。我々は、組織培養由来のapoE4は、新鮮なもの用いることが好ましく、マテリアルを凍結すると活性が失われることを見出した。
【0075】
活性化ベータアミロイドペプチド種と、脂質化apoE4由来ポリペプチドとの結合を評価する分析法
上述したように、apoEは、直接的なタンパク質−タンパク質相互作用によってAβの沈着またはクリアランスに関与すると考えられている。直接サンドイッチELISAにより、3種の主要なapoEアイソフォーム(apoE2、apoE3、apoE4)と、自発的凝集の様々なフェーズで得られたAβ1−40との相互作用が検出された。しかしながら、精製した脱脂質化apoEは、0分でAβの中間凝集型とのみ結合する相互作用を示し、アイソフォーム特異的な差はみられなかった。しかしながら、apoEが生物学的な脂質のパルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(生物学的に活性な型のapoE)と結合すると、apoE4は、apoE2およびapoE3よりも高い結合活性で中間活性Aβに結合した。この相互作用を、apoEのN末端に対するエピトープを有するELISAキャプチャーapoE抗体で検出した。キャプチャーにC末端apoE抗体を用いたところ、検出可能な結合がないことを実証した。以下に述べるように、これらは(用いられた抗体の既知の結合特異性の観点で)、apoE4の、Aβ活性型との相互作用は、apoE4のアミノ酸残基243〜272の周辺に属することを示す。
【0076】
apoE遺伝子型に関して識別されるADの危険性は、apoE4のAβの中間活性型への結合能力が高められた結果という可能性がある。そのようなものとして、この相互作用の崩壊は、ADに罹りやすいapoE4キャリアーで蓄積された脳のAβ斑を減少させる可能性がある。apoE4とAβとの相互作用を止めさせることは、AD治療のための代替の治療的アプローチを提供することになり、薬物の介入またはapoE4への免疫化によって達成することができる。
【0077】
実施例4
Aβ1−40の凝集型とのApoE複合体形成
LaDuによって行われたペプチドの濃度比率と同様にして結合反応を行った。精製し、POPC脂質化apoEしたアイソフォームを100nMに希釈した DPBS(改変ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(0.015Mリン酸ナトリウム,0.003Mリン酸カリウム,0.29M塩化ナトリウム,0.01M塩化カリウム,pH7.4)、および、各調製物500μlを別個の14ml滅菌ポリスチレン丸底チューブ(ファルコン(Falcon))に入れた。コントロール条件は、精製したapoE媒体(20mMのNH4HCO3)、および、BSA POPC(いずれもDPBSで希釈)を利用した。凝集Aβの14〜18ウェルの内容物をそれぞれ0分、60分、80分、および110分の凝集インターバルでプールした。Aβ(500μl)を、即座に、apoEおよびコントロールに加え、インキュベート混合物中で最終濃度をAβ1−40は25μM、apoEは50nMにした。ニューテーター(Nutator)(クレイ・アダムス(Clay Adams))で、混合物を室温で2時間おだやかに揺すった。サンプルを、即座に、複合体形成を検出するための直接サンドイッチELISAに加えた。
【0078】
直接サンドイッチELISAを用いたAβ1−40の凝集型とのApoE複合体形成の検出
液相直接サンドイッチELISAで、脂質化apoEとAβ1−40との相互作用を評価した。この相互作用を様々な抗apoE抗体で特徴付けた。apoEの299個のアミノ酸残基のN末端を認識する抗体は、残基1〜15を認識するマウスモノクローナル抗体6C5(オタワ・ハート・インスティテュート・リサーチ社(Ottawa Heart
Institute Research Corp.),オタワ,オンタリオ)、および、N末端ドメイン中の非特異化エピトープを認識するマウスモノクローナル抗体9H8−G5.F2(バイオデザイン・インターナショナル(Biodesign International))である。C末端の認識のために、マウスモノクローナル抗体3H1(オタワ・ハート・インスティテュート・リサーチ社,オタワ,オンタリオ)は、残基243〜272内のエピトープと結合する。apoEを50μl/ウェルで捕獲するために、ELISAの1/2ウェルの平底96ウェルプレート(コーニング)を、3種のマウスモノクローナル抗体(6C5[2μg/ml]、9H8.G5.R2[2μg/ml]、および、3H1[1μg/ml])のうち一種でコーティングした。全ての抗体を100mMのNH4HCO3で調整し、4℃で一晩インキュベートした。DPBS中;100μl/ウェルで1%BSAを用いてプレートを4℃で一晩ブロックした。複合体反応が完了した後、Aβ1−40の凝集型を用いたApoEおよび媒体コントロール反応液を、抗apoE抗体をコーティングしたELISAプレートに加え、プレートを4℃で一晩インキュベートした(50μl/ウェル)。結合したAβ1−40を、DPBS中の1%BSAで希釈したビオチン化マウスモノクローナル抗Aβ抗体4G8(0.5μg/ml,Aβ1−40の残基17〜24を認識,シグネット(Signet))で検出し、室温で2時間インキュベートした(50μl/ウェル)。ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP,[0.1μg/ml],ピアース)に結合したニュートラビジン(Neutravidin)を、ビオチンと60分間反応させた(50μl/ウェル)。50μl/ウェルのTMB基質(キルケゴール&ペリー(Kirkegaard & Perry))を2〜5分間添加して、HRPで変換されて着色した最終産物が生成され、1MのH3PO4(25μl/ウェル)を用いて反応を止めた。着色した終点を、450nmの吸光度で、モレキュラー・デバイスのVmaxプレートリーダーを用いて検出した。ELISAに新しい層を加える前に、スカトロン(Skatron)自動化プレートウォッシャーを用いてウェルをBupH改変ダルベッコPBS(ピアース)で洗浄した。各処理群を3重複のウェルで行い、非脂質化apoEは3〜4回、脂質結合apoEは4〜5回、実験を繰り返した。
【0079】
様々なAβ1−40凝集型と、非脂質化、および、脂質結合ApoEアイソフォームとの結合相互作用
凝集プロセス中の様々な時点で取られたAβ1−40のアリコートをapoEアイソフォームへの結合に関して評価した。これらのAS形態のいずれか1つの濃度のみが、凝集の全時間経過中最大値を記録したことを示した。apoEとAβ1−40との相互作用を、0分の開始時の形態と、60分の凝集したAβ1−40を用いて観察した。ApoEのN末端の抗体6C5、および、9H8.G5.F2により、脂質化apoEの、60分の凝集したAβアリコートへの結合の、アイソフォーム特異的な差が検出された(図6Aおよび6C)。これら抗体により、apoE2およびapoE3に比べて2.2〜3.3倍高い親和性の、apoE4の60分の混合物への結合が検出された(p<0.05)。これらアイソフォーム特異的な差は、非脂質化apoEアイソフォームが、60分の凝集したAβと相互作用した際は失われた(p>0.05)(図6Bおよび6D)。それに比べて、apoEのC末端の抗体3H1により、脂質に結合したapoEの、60分の凝集したAβ1−40に結合する相互作用は、ごくわずかしか検出されなかった(図7A)。これらの観察もまた、アイソフォーム非特異的な相互作用が観察された非脂質化apoEでも実証された(図7B)。興味深いことに、非脂質化apoEの、Aβ1−40の60分の凝集した形態への結合は、6C5,9H8.G5.F2および3H1抗体を用いて、apoE3およびapoE4よりもapoE2の結合が高いという傾向を示した(図7B、7Dおよび7B)。しかしながら、これらの差異は有意ではなかった(p>0.05)。また、注目すべきは、6C5により、脂質に結合したapoE、および、非脂質化apoEの両方と、0分のAβ1−40形態(図6Aおよび6B)との相互作用が検出され、apoEアイソフォーム特異的な差は観察されなかったことである。さらに、脂質化apoEアイソフォームと、非脂質化apoEアイソフォームとの結合の強さが類似していることを実証した(p>0.05)。脂質化apoEの、0分のAβ1−40形態への結合も3H1で検出されたが(図7A)、6C5の検出よりもわずかに低い規模であった。3H1抗体を用いて、0分のAβ1−40の相互作用がわずかか、または、起こらないことを、非脂質化apoEアイソフォームで検出した(図7B)。
【0080】
脂質化ApoE4−活性化Aβ相互作用の阻害剤の同定
上記実施例でELISA分析システムを説明したが、その他の多数のシステムがこの相互作用の測定に適している。この目的のために、複合体中のパートナーの少なくとも1つに関して簡易検出システムが利用可能であるべきである;このような検出システムとしては、抗体に基づくもの、または、マーカー分子または放射活性で標識したタンパク質に基づくものが可能である。二択的なこの分析法の使用としては、ApoE4と活性化Aβとの相互作用を調節し得る物質に関して化合物コレクションをスクリーニングことが可能である。
【0081】
溶液分析において、本発明の方法は、(a)ApoE4またはAβポリペプチドと、1またはそれ以上の候補阻害剤化合物とを接触させる工程、および、(b)ApoE4−Aβ複合体を減少させる化合物を同定する工程を含む。上記結合を減少させる物質。ApoE4−活性化Aβの複合体を形成する性質を調節する化合物の選択性は、その他のタンパク質−タンパク質相互作用に対するその効果を比較することによって評価することができる。
【0082】
ApoE4−活性化Aβ複合体形成の阻害剤は、正常または異常なアミロイド沈着が関与する病気および生理学的な症状の治療において、治療上有用である可能性がある。
【0083】
ApoE4−活性化Aβの相互作用を測定するのに有用なことが証明できる分析法は当業界周知であり、例えば、ただしこれらに限定されないが、以下のものが挙げられる:平衡またはメンブレンフロー透析、抗体結合分析、ゲルシフト分析、インビトロの結合分析、フィルター結合分析、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)、ウェスタンブロット、共免疫沈降反応、イムノゴールド共免疫沈降反応、共免疫定位、共結晶化、蛍光エネルギー移動、競合結合分析、化学的な架橋、および、親和性による精製。
【0084】
ApoE4−活性化Aβ相互作用に作用する抗体などの化合物は、以下の病状:アルツハイマー病、パーキンソン病気、多発性硬化症,ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、
頭部の外傷によるダメージ、ピック病、前頭葉型痴呆、小脳の変質、虚血再潅流の障害、卒中、虚血性障害、および、統合失調症を含む病気の治療に有用な治療剤である。
【0085】
実施例5
阻害剤を検出するためのインビトロの結合分析法
ApoE4−活性化Aβ複合体形成をモニターする分析法は、その相互作用の阻害剤をスクリーニングするのに有用である。結合分析は、理論上、2つの形態の一方をとる:Aβポリペプチドは、ApoE4ポリペプチドへの結合に用いることができ、また逆に、ApoE4ポリペプチドは、Aβポリペプチドへの結合に用いることができる。いずれの場合においても、加えられる物質の非存在下でポリペプチドの特異的な結合により複合体を形成することができる条件下で、他方のポリペプチドが、固定化したポリペプチドと接触する。特定の水性条件は、従来の方法に従って専門家によって選択することができる。一般的な指示に従って、改変ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(0.015Mリン酸ナトリウム、0.003Mリン酸カリウム、0.29M塩化ナトリウム、0.01M塩化カリウム、pH7.4)に、ニ価カチオン、および/または、金属キレート化剤、および/または、非イオン性界面活性剤、および/または、膜分画を必要に応じて添加した。付加、欠失、改変(例えばpH)、および、変更(例えばKClのNaClへの変更、または、緩衝液の変更)を、これら基本条件に対して行ってもよい。コントロール反応でAβのApoE4への特異的な結合が生じる範囲で、改変を基本的な結合反応条件に対して行ってもよい。このような反応において、典型的には、少なくとも1つのポリペプチド種が検出可能なマーカーで標識される。適切な標識としては、これらに限定されないが、放射標識されたアミノ酸(例えば、14Cで標識されたロイシン、3Hで標識されたグリシン、35Sで標識されたメチオニン)の取り込みによる放射標識、翻訳後の125Iもしくは131Iでの放射性ヨウ素化による放射標識(例えば、ボルトン−ハンター反応、および、クロラミンT)、32P(例えば、ホスホリラーゼおよび無機の放射標識されたリン酸)での翻訳後のリン酸化による標識、蛍光標識(例えば、フルオレセインまたはローダミン)取り込みによる蛍光標識、または、その他の当業界既知の従来の方法による標識が挙げられる。ポリペプチド種の1種が基質への連結により固定化されている実施形態において、一般的に、その他のポリペプチドは、検出可能なマーカーで標識される。
【0086】
本発明で説明されたような水性条件下で、標識されたポリペプチドと、固定化ポリペプチドと接触させる。結合反応のインキュベートの時間と温度は、薬剤を存在させないコントロール反応で特異的な結合が生じるように選択された条件で、必要に応じて変化させる。好ましい実施形態では、反応温度は、少なくとも約15℃、より好ましくは30〜42℃、インキュベート時間は、少なくとも約15秒を用いるが、いくつかの実施形態においては、結合平衡が達成させるように、より長いインキュベート時間、30秒〜1分〜数分間またはそれ以上も好ましい。結合したApoE4−活性化Aβ複合体の結合カイネティクスおよび熱力学的な安定性によって、時間、温度、塩、pH、および、その他の反応条件の可変範囲が決定される。しかしながら、いずれの特定の実施形態においても、望ましい結合反応条件は、当業界の従来の方法を用いて専門家によって容易に較正することができ、例えば、スキャッチャード分析を用いた結合分析、ヒル分析、およびその他の標準的な分析方法が挙げられる(Protein,Structures and Molecular Principles,(1984年)Creighton(編),W.H.Freeman and Company,ニューヨーク)。
【0087】
標識されたAβまたはApoE4ポリペプチドの、それぞれ固定化されたAβまたはApoE4への特異的な結合は、標識されていない競合タンパク質(例えば、アルブミン)を含ませることによって測定される。同様に、標識されたAβまたはApoE4それぞれの特異的な結合は、標識されていない競合タンパク質(例えば、アルブミン)を含ませることによって測定される。結合反応が完了した後、固定化ポリペプチドに特異的に結合し
た標識したポリペプチドが検出される。例えば(ただし限定されない)、結合のための適切なインキュベート時間の後、固定化されていないタンパク質を含む水相が除去され、固定化ポリペプチド種を含む基質、および、それに結合したあらゆる標識されたタンパク質は、適切な緩衝液(必要に応じて非標識ブロッキング剤を含む)で洗浄され、洗浄緩衝液を除去する。洗浄後、残存した、特に固定化ポリペプチドに結合した検出可能な標識の量を測定する(例えば、光学的、酵素的、オートラジオグラフィーによる、または、その他の放射化学的方法によって)。
【0088】
いくつかの実施形態において、非特異的な結合を阻害する非標識ブロッキング剤の添加が含まれ、このようなブロッキング剤の例としては、ただしこれらに限定されないが、以下のが挙げられる:子ウシ胸腺DNTA、サケ精子DNA,酵母RNA、様々な長さの混合型配列(ランダムまたは偽ランダム配列)オリゴヌクレオチド、ウシ血清アルブミン、非イオン性界面活性剤(NP−40,トゥイーン(Tween)、トリトン(Triton)X−100など)、乾燥脱脂乳タンパク質、デンハルト試薬、ポリビニルピロリドン、フィコール、および、その他のブロッキング剤。専門家は、それらの選択において、結合分析で用いるのに適切な濃度でブロッキング剤を選択することができる;しかしながら、反応条件は、コントロール結合反応でApoE4−活性化Aβの特異的な結合が可能になるように選択される。ブロッキング剤は、標識されたタンパク質の固定化タンパク質への非特異的な結合を阻害し、および/または、標識されたポリペプチドの固定化基質への非特異的な結合を阻害するために含める。当然のことながら、反応の特異性を評価するために、コントロール反応でその他のapoEアイソフォームを用いてもよい。
【0089】
ポリペプチドが固定化される実施形態において、基質への共有結合または非共有結合を用いてもよい。共有結合の化学としては、ただしこれらに限定されないが、よく特徴付けられた当業界既知の方法(KadonagaおよびTjian(1986年)Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)83:5889)が挙げられる。一例(ただし限定されない)としては、ブロモシアンで誘導体化された基質(例えばCNBrで誘導体化された セファロース(Sepharose)4B)への共有結合が挙げられる。基質による可能性のある立体障害を減少させるスペーサーを用いることも望ましい場合がある。基質へのタンパク質の非共有結合としては、ただしこれらに限定されないが、帯電した表面(例えばビーズ上)へのタンパク質の接着、および、特異的な抗体との結合が挙げられる。
【0090】
実施形態の1つの分類において、並行した結合反応が行われ、この反応において、反応の1セットがコントロールとして作用し、少なくとも1つの他方の反応のセットに、ApoE4−活性化Aβ複合体の結合または形成を阻害する能力に関して試験しようとする様々な量の薬剤、薬剤の混合物または生物学的な抽出物を含む。それによって、結合反応に加えた場合に、ApoE4−活性化Aβ複合体形成を阻害する物質が阻害剤として同定される。
【0091】
好ましい実施形態において、数種の結合反応が、例えば、数種のサンプルの同時の分析を可能にする様式(マイクロタイタープレートなど)を用いて、同時にモニターされる。好ましい実施形態において、このような分析は、例えば、サンプルをマイクロタイタープレートにピペッティングするためのロボット技術を用いて、自動化される。
【0092】
ApoE4またはAβの、そのパートナーへの結合を検出するための1つの手段は、脂質化ApoE4で誘導されたポリペプチド、または、Aβポリペプチドのいずれかを、例えば固体支持体への共有結合または非共有結合的な化学結合によって固定化すること、および、固定化脂質化ApoE4またはAβポリペプチドのいずれかと、検出可能なマーカーで標識された(例えば、放射標識されたアミノ酸の取り込み、蛍光標識された抗−エピトープタグ抗体を用いたエピトープタギングおよびレポーティングなどによって)脂質化ApoE4またはAβ(必要に応じて)と接触させることである。このようにして接触させることは、典型的には、ApoE4のAβへの結合が可能な水性条件で行われる。標識された成分の固定化成分への結合は、標識された成分が、特異的な結合の相互作用の結果として固定化される程度を測定することによって測定される。このような特異的な結合は、可逆的でもよいし、または、場合よっては、架橋剤が適切な実験条件で加えられる場合は不可逆的でもよい。
【0093】
それによって、結合した複合体の形成を阻害する物質は、物質を含まないコントロール結合反応と比較して阻害剤として同定され、これは治療剤候補である。
【0094】
一実施形態において、結合した標識された複合体と表面との物理的な相互作用が、報告されており、例えば、表面が光体またはシンチラントであり、結合した標識された複合体中の標識が、表面の蛍光体またはシンチラントの活性化に適した放射線を放出する;表面から放出された光が、結合した標識された複合体の相対的な量をレポートする。適切なシステムは、シンチレーション近接分析(アマシャム(Amersham))であり、これにおいて、標識されていない成分が蛍光体を含むビーズに結合する。その他のシステムとしては、「フラッシュプレート」システム(LKB)が挙げられる。
【0095】
変形法において、固定化は必要ではない;脂質化ApoE4−またはAβのいずれかが、第一の蛍光体で標識され(その第一の蛍光体が放射線(粒子または波動)を吸収し第一の波長で発光または蛍光を放出する)、さらに、他方の成分が、第二の蛍光体で標識される(その第二の蛍光体が、前記第一の波長で放射線を吸収し、それによって第二の波長で蛍光または発光放射線を放出する)。標識された脂質化ApoE4またはAβ、および、適切な結合パートナーは、適切な結合条件下で、適切な反応濃度でインキュベートされ(第二の波長の放射線の量は、ApoE4−活性化Aβ複合体の量にほぼ比例する)、第一の波長の放射線(または粒子タイプ)で励起され、および、第二の波長の放出された放射線量が検出される。第二の波長の相対的な放射線量は、脂質化ApoE4−活性化Aβ複合体の相対的な量を示す。適切なシステムの例は、色素−色素(dye−dye)トランスファーシステム(パッカード(Packard))である。
【0096】
もちろん、これら分析は、単なる例として示されたものであり、これら方法は改変することが可能であり、また、ApoE4−活性化Aβ相互作用を分析するその他の方法も当業者には明白であることと認識されるべきである。
【0097】
本発明はまた、脂質化ApoE4−活性化Aβ相互作用を阻害する化合物を同定するためのハイスループットスクリーニング(HTS)分析を含む。HTS分析により、多数の化合物を効率的な方法でスクリーニングすることができる。apoE4−活性化Aβ相互作用を試験するために、細胞ベースのHTSシステムが考慮される。HTS分析は、望ましい特性を有する「ヒット」または「リード化合物」を同定するように設計され、それから望ましい特性が改善されるように修飾を設計することができる。
【0098】
本発明の分析と本発明で説明された分析で発見された治療剤の代表的な例としては、ただしこれらに限定されないが、タンパク質複合体と結合するタンパク質の欠損型(人工的に加工した、または天然に存在するもののいずれか)、抗体、タンパク質の阻害フラグメント、結合を破壊するタンパク質をコードする野生型および改変遺伝子,小さい有機分子、アンチセンス核酸配列、トリプレックス機構により発現または活性を阻害するオリゴヌクレオチド、ペプチド、アプタマーオリゴヌクレオチドなどが挙げられる。より特定には、人工的に加工したタンパク質の例としては、ただしこれらに限定されないが、保存された活性部位(例えば、ATP結合モチーフ、DNAまたはタンパク質結合ドメイン、触媒部位など)が不活性化された突然変異、少なくとも1つの阻害ドメインを含む融合タンパク質などを含むタンパク質が挙げられる。
【0099】
上記薬剤は、多種多様な源から得ることができる。例えば、有機合成の標準的な方法を用いて、特に関連するタンパク質−タンパク質相互作用破壊する小さい有機分子を製造することができる。加えて、莫大な数の化合物(有機、ペプチド、または、核酸であり、Gallop等,1994年,J.Med.Chem.37(9):1233〜1251;Gordon等,1994年,J.Med.Chem.37(10):1385〜1401;および、米国特許第5,424,186号で総説されており、これら全て、参照により本発明に加入させる)を含むコンビナトリアルライブラリーを、ApoE4−活性化Aβ結合に関与するタンパク質−タンパク質相互作用を結合および阻害する能力に関してスクリーニングしてもよい。
【0100】
詳細な説明などの本願の全内容から、本発明のさらなる特徴および変形は、当業者には明白と思われ、このような特徴は全て、本発明の態様とみなされる。同様に、ここで説明された本発明の特徴は、さらなる実施形態に再構成することもでき、これらも、特徴の組み合わせが、本発明の態様または実施形態として特に上述されているかどうかに関係なく本発明の態様とみなされる。また、本発明で本発明にとって重要である説明された限定のみこのようにみなされるべきであり、本発明で重要と説明されていない限定を含まない本発明の変形は、本発明の態様とみなされる。当然ながら、本発明は、上述の説明および実施例で特に説明されたものとは別の方法で実施してもよい。
【0101】
上記の教示から本発明の多数の改変および 変形が可能であり、それゆえに、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】濁度検出による代表的なAβ1−40振盪凝集実験である。
【図2】濁度およびペプチド濃度の時間依存性である。
【図3】CD検出による自発凝集のカイネティクスである。
【図4】凝集時間の関数としてのAβ1−40のCDスペクトルにおける変化である。
【図5】凝集に対するペプチド濃度の効果である。
【図6】抗apoEのN末端キャプチャー抗体を用いたELISAによる、様々な形態のAβ1−40への、脂質化した、および、脂質化されていないapoEの結合の検出である。
【図7】抗apoEのC末端キャプチャー抗体3H1を用いたELISAによる、様々な形態のAβ1−40への、脂質化した、および、脂質化されていないapoEの結合の検出である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂質化ApoE4由来ポリペプチドと活性化Aβとの複合体形成阻害剤化合物を同定する方法であって、
(a)試験化合物の存在下で、脂質化apoE4由来ポリペプチドと、活性化Aβポリペプチドとを接触させる工程;および、
(b)ApoE4−活性化Aβ複合体の形成を減少させる試験化合物を同定する工程
を含み、脂質化ApoE4由来ポリペプチドと活性化Aβとの複合体の形成を減少させる試験化合物が、複合体形成阻害剤化合物である、上記方法。
【請求項2】
脂質化apoE4由来ポリペプチドは、該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドで形質転換またはトランスフェクトされた細胞から単離した組換えポリペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
細胞はエシェリキア・コリである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
細胞はヒト星状細胞腫細胞である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
活性化Aβポリペプチドは、該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドで形質転換またはトランスフェクトされた細胞から精製および単離した組換えポリペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
Aβポリペプチドは合成である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
試験化合物は抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
試験化合物はヒト化抗体である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
脂質化apoE4由来ポリペプチドは、配列番号1の残基112〜272を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
脂質化apoE4由来ポリペプチドは、配列番号1を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ApoE4−活性化Aβ複合体形成阻害剤化合物を同定する方法であって、
(a)活性化Aβポリペプチドを製造する工程;および、
(b)試験化合物の存在下で、該活性化Aβポリペプチドと、脂質化ApoE4由来ポリペプチドとを接触させる工程;および、
(c)脂質化ApoE4−活性化Aβ複合体の形成を減少させる化合物を同定する工程を含み、脂質化ApoE4由来ポリペプチドと活性化Aβとの複合体の形成を減少させる試験化合物が、複合体形成阻害剤化合物である、上記方法。
【請求項12】
脂質化apoE4由来ポリペプチドは、該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドで形質転換またはトランスフェクトされた細胞から単離した組換えポリペプチドである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
細胞はエシェリキア・コリである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
細胞はヒト星状細胞腫細胞である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
活性化Aβポリペプチドは、該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリ
ヌクレオチドで形質転換またはトランスフェクトされた細胞から精製および単離した組換えポリペプチドである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
Aβポリペプチドは合成である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
試験化合物は抗体である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
試験化合物はヒト化抗体である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
脂質化apoE4で誘導されたポリペプチドは、配列番号1の残基112〜272を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
脂質化apoE4で誘導されたポリペプチドは、配列番号1を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
脂質化ApoE4由来ポリペプチドと活性化Aβとの複合体形成阻害剤化合物を同定する方法であって:
(a)(i)試験物質の存在下で、および、
(ii)該試験物質の非存在下で、
試験化合物の存在下で、脂質化ApoE4由来ポリペプチドと、活性化Aβポリペプチドとを接触させる工程;
(b)(i)試験物質の存在下で、および、
(ii)該試験物質の非存在下で
形成されたapoE4−活性化Aβ複合体の量を測定する工程;ならびに、
(c)形成された脂質化ApoE4由来ポリペプチドと活性化Aβとの複合体の量を、対応する時間で、該試験物質の存在下および非存在下で比較し、形成されたapoE4−活性化Aβ複合体の量を減少させる試験物質を選択する工程、
を含む、上記方法。
【請求項22】
脂質化apoE4由来ポリペプチドは、該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドで形質転換またはトランスフェクトされた細胞から単離した組換えポリペプチドである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
細胞はエシェリキア・コリである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
細胞は、ヒト星状細胞腫細胞である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
活性化Aβポリペプチドは、該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドで形質転換またはトランスフェクトされた細胞から精製および単離した組換えポリペプチドである、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
Aβポリペプチドは合成である、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
試験化合物は抗体である、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
試験化合物はヒト化抗体である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
脂質化apoE4由来ポリペプチドは、配列番号1の残基112〜272を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
脂質化apoE4由来ポリペプチドは、配列番号1を含む、請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−507481(P2006−507481A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−529100(P2004−529100)
【出願日】平成15年8月7日(2003.8.7)
【国際出願番号】PCT/US2003/022496
【国際公開番号】WO2004/016642
【国際公開日】平成16年2月26日(2004.2.26)
【出願人】(504396379)ファルマシア・アンド・アップジョン・カンパニー・エルエルシー (130)
【Fターム(参考)】