説明

アルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤の組合せ

本発明はアルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤の組合せを提供することを目的とする。
高血圧症、鬱血性心不全、肝硬変および腹水のような心臓血管疾患を含む循環障害を治療するための、治療的に有効な量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび治療的に有効な量の抗糖尿病剤からなる併用療法が開示されている。好ましい抗糖尿病剤は高い効力および経口または非経口生体利用性を有する化合物である。好ましいアルドステロン受容体アンタゴニストは9α,11α−置換エポキシ部分の存在を特徴とする20−スピロキサンステロイド化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
高血圧症、心臓血管疾患、腎機能障害、脳血管疾患、血管疾患、網膜症、神経障害、高血糖症、高インシュリン血症、インシュリン抵抗性、浮腫、内皮機能障害および圧受容体機能障害のような心臓血管に関連する症状を含む循環障害の治療で使用されるアルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤の組合せについて記載する。特に興味深いのは抗糖尿病剤と組合せてステロイド系アルドステロン受容体アンタゴニスト化合物を使用する治療法である。
【背景技術】
【0002】
アルドステロン
アルドステロンは体内に存在する最も強力な既知の鉱質コルチコイドホルモンである。鉱質コルチコイドなる用語から暗示されるように、このステロイドホルモンはミネラルを調節する活性を有する。それは腎臓だけでなく、それぞれ典型的なアルドステロン−反応性組織である下方胃腸管、唾液腺および汗腺からのナトリウム(Na+)再吸収もまた促進する。アルドステロンは遠位ネフロンでのナトリウムおよび水の再吸収を増加させ、カリウム(K+)およびマグネシウム(Mg2+)の排泄を促進する。
アルドステロンは非上皮細胞でも反応を引き起こすことができる。実際、アルドステロン受容体は脳組織、心臓組織および血管で最近確認されている。
これらのアルドステロンが関与する反応は心臓血管系および他の組織や臓器の構造および機能に対して悪影響を及ぼすことがある。したがって、アルドステロンは多様な理由で臓器損傷の一因となりうる。
【0003】
アルドステロン受容体アンタゴニスト
アルドステロンの作用はアルドステロン受容体アンタゴニストの使用によりブロックすることができる。現時点で商業的に入手できる唯一のアルドステロン受容体アンタゴニストはスピロノラクトン(ALDACTONE(R)としても知られている)である。スピロノラクトンは本態性高血圧症、原発性アルドステロン症、低カリウム血症、並びに例えば鬱血性心不全、肝硬変およびネフローゼ症候群のような浮腫状態の治療に使用される。第21改正米国薬局方(第16版)、米国薬局方協会,メリーランド州ロックビル(1985年)およびこれらのすべての続版。深刻な心不全患者へのスピロノラクトン投与は無作為化アルダクトン評価試験(Randomized Aldactone Evaluation Study:RALES)で評価された。RALESは左心室駆出率が35%に過ぎない深刻な心不全患者であり、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、ループ利尿薬、場合によりジゴキシンおよびβ−ブロッカーを含む標準的治療を受けている参加者を登録した無作為化二重盲検プラセボ比較試験であった。スピロノラクトンで処置したRALES被験者はプラセボで処置した被験者と比べて死亡率および入院率が統計的に有意に減少した。New England Journal of Medicine 341, 709〜717(1999年)。エポキシを含有するスピロラクトン誘導体により例示される一連のステロイド型アルドステロン受容体アンタゴニストはGrobらに発行された米国特許第4,559,332号に開示されている。この特許は高血圧症、心不全および肝硬変の治療において有用なアルドステロン受容体アンタゴニストとして9α,11α−エポキシ含有スピロラクトン誘導体を開示している。米国特許第4,559,332号に開示されているエポキシ−ステロイド型アルドステロン受容体アンタゴニスト化合物の1つはエプレレノン(エポキシメキシレノンとしても知られている)である。エプレレノンはアルドステロン受容体に対して例えばスピロノラクトンより大きい選択性を有するアルドステロン受容体アンタゴニストである。
【0004】
WO 01/95892およびWO 01/95893はアルドステロン受容体アンタゴニスト(スピロノラクトンおよび/またはエプレレノンを含む)を使用して患者のアルドステロンが関与する病
的症状を治療する方法を開示している。
WO 02/09683は患者の炎症を治療するためにアルドステロン受容体アンタゴニスト(エプレレノンおよび/またはスピロノラクトンを含む)を使用する方法を開示している。
【0005】
抗糖尿病剤
糖尿病あるいは糖尿病に関連する症候群または症状を治療するための薬剤は多く知られている。例えば、The New England Journal of Medicine, 第342巻, 第3号, 第145〜153頁(2000年1月20日)に記載されているSalim Yusef博士らの論文は心臓血管系疾患の危険性が高い患者(糖尿病患者を含む)に対するアンギオテンシン変換酵素阻害剤ラミプリルの効果を開示している。
【0006】
The Lancet第352巻, 第837〜853頁, (1998年9月12日)に記載されているRobert C. Turnerらの論文は2型糖尿病患者において従来の治療法でのスルホニル尿素またはインシュリンによる集中的な血糖コントロールの効果を比較している。
【0007】
JAMA, 第285巻, 第19号, 第2486〜2497頁(2001年5月16日)に記載されているJames I. Cleeman博士の論文はどの血中コレステロール値でも心臓血管系疾患の発病および死亡の危険性が特に高い成人の糖尿病患者における高コレステロール血症の発見および治療を開示している。
【0008】
糖尿病、高血圧症、左心室肥大および糖尿病性腎症の患者における心臓血管系および腎臓の危険因子の治療はHypertension, 第40巻, 第781〜788頁(2002年)に記載されているJames R. SowersおよびSteven Haffnerの論文に開示されている。治療法の理論的根拠は従来の臨床試験に基づく「レニン−アンギオテンシン系降圧療法」と題して第784頁で議論されている。
【0009】
Bo Isomaaの論文は代謝症候群と過度の心臓血管系疾患の死亡率/発病率との関係を開示している。「代謝症候群と関連する心臓血管系疾患の死亡率/発病率」, Diabetes Care, 第24巻, 第4号(2001年4月)。
【0010】
併用療法
アルドステロン受容体アンタゴニストを幾つかの他の薬理学的に活性な化合物と組合せて投与する治療法が文献で報告されている。
WO 96/40255(全体として本明細書に組み入れられる)は心筋線維症を治療するためにエポキシ−ステロイド型アルドステロン受容体アンタゴニストおよびアンギオテンシンIIアンタゴニストを使用する併用療法を開示している。
WO 96/40257(全体として本明細書に組み入れられる)は鬱血性心不全を治療するためにエポキシ−ステロイド型アルドステロン受容体アンタゴニストおよびアンギオテンシンIIアンタゴニストを使用する併用療法を開示している。
PerezらのWO 00/27380(全体として本明細書に組み入れられる)は心臓血管系疾患の発病率および死亡率を減少させるためにアンギオテンシン変換酵素阻害剤およびアルドステロン受容体アンタゴニストを使用する併用療法を開示している。
AlexanderらのWO 00/51642(全体として本明細書に組み入れられる)は心臓血管系疾患を治療するためにアンギオテンシン変換酵素阻害剤およびエポキシ−ステロイド型アルドステロン受容体アンタゴニストを使用する併用療法を開示している。
【0011】
AlexanderらのWO 02/09760(全体として本明細書に組み入れられる)は高血圧症、鬱血性心不全、肝硬変および腹水のような心臓血管障害を含む循環障害を治療するためにエポキシ−ステロイド型アルドステロン受容体アンタゴニストおよびβアドレナリン作動性アンタゴニストを使用する併用療法を開示している。
SchuhのWO 02/09761(全体として本明細書に組み入れられる)は高血圧症、鬱血性心不全、肝硬変および腹水を治療するためにエポキシ−ステロイド型アルドステロン受容体アンタゴニストおよびカルシウムチャンネルブロッカーを使用する併用療法を開示している。
RochaのWO 02/09759(全体として本明細書に組み入れられる)は炎症と関係がある心臓血管障害を治療するためにエポキシ−ステロイド型アルドステロン受容体アンタゴニストおよびシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤を使用する併用療法を開示している。
J. B. Marksらの「糖尿病における心臓血管系疾患のリスク:簡単な概説」, Journal of Diabetes and Its Complications 14, 108〜115(2000年)は糖尿病と関係がある心臓血管系疾患の知られている改善可能な危険因子;一次および二次予防の潜在的標的について焦点を当てている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
病的状態にかかっているまたはかかりやすい患者を治療するためには改善された薬物療法が非常に望ましい。特に、(1)病的状態をより良くコントロールする、(2)さらに病気の危険因子を減少させる、(3)病的状態の改善された治療および/または予防をもたらす、(4)より多くの病的状態にかかっているまたはかかりやすい患者、特に従来の薬物療法に満足に反応しない患者に対して有効である、および/または(5)従来の薬物療法と比べて改善された副作用プロファイルをもたらす薬物療法がまだ必要である。
例えば、心臓血管に関連する症状にかかっているまたはかかりやすい患者を治療するためには改善された薬物療法が非常に望ましい。特に、(1)心臓血管に関連する症状をより良くコントロールする、(2)さらに心臓血管に関連する症状の危険因子を減少させる、(3)心臓血管に関連する症状の改善された治療および/または予防をもたらす、(4)より多くの心臓血管に関連する症状にかかっているまたはかかりやすい患者、特に従来の薬物療法に満足に反応しない患者に対して有効である、および/または(5)従来の薬物療法と比べて改善された副作用プロファイルをもたらす薬物療法がまだ必要である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
治療的に有効な量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび治療的に有効な量の抗糖尿病剤からなる併用療法は高血圧症、心臓血管疾患、腎機能障害、肝疾患、脳血管疾患、血管疾患、網膜症、神経障害、高血糖症、高インシュリン血症、インシュリン抵抗性、浮腫、内皮機能障害および圧受容体機能障害のような心臓血管障害を含む循環障害を治療するのに有用である。
心臓血管に関連する症状にかかりやすいまたはかかっている患者に第1量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび第2量の抗糖尿病剤を投与することからなり、第1量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび第2量の抗糖尿病剤は一緒になって治療的に有効な量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤を構成する、このような症状を予防または治療する方法。
【0014】
特に断りがなければ、次の定義または用語が本明細書全体を通して使用される。
「治療」、「処置」または「治療する」なる用語は治療の必要な、または心臓血管に関連する症状にかかりやすい人に所定量のアルドステロンアンタゴニストおよび抗糖尿病剤を心臓血管の病的状態の発症を予防し、その進行を阻害または改善する組合せで投与することを包含する。
「予防」、「防止」または「予防する」なる用語は臨床的に明らかな1種またはそれ以上の心臓血管に関連する症状の発症を完全に予防すること、あるいは前臨床的に明らかな段階の1種またはそれ以上の心臓血管に関連する症状の発症を個々の場合に応じて予防することを包含する。これは1種またはそれ以上の心臓血管に関連する症状を発現する恐れがある人の予防的処置を包含する。
「治療的に有効な」なる表現は心臓血管に関連する症状の程度および発生頻度において有害な副作用を回避しながら目標とする改善を達成する組合せで投与される2種の薬剤の量を満たすことを意味する。
【0015】
治療を目的とした「患者」なる用語は1種またはそれ以上の心臓血管に関連する症状にかかりやすいまたはかかっているヒトまたは動物の患者、好ましくはヒトの患者を包含する。患者は例えば食餌療法、細菌またはウイルス感染への暴露、共通マーカーの存在、1種またはそれ以上の心臓血管に関連する症状に遺伝的にかかりやすいことによりリスクが高い場合もある。
本明細書で使用される「インシュリン」なる用語は現在知られている野生型または突然変異型のインシュリン注射剤、経口インシュリン、吸入インシュリンまたは他のタイプのインシュリン製剤を包含するが、これらに限定されない。Remington's Pharmaceutical Sciences, 第16版, Arthur Osol(編), Mack出版社, ペンシルベニア州イーストン(1980年)およびこれらのすべての続版を参照。さらにThe Merck Index, 第12版, S. Budavari(編), Merck & Co.社, ニュージャージー州ホワイトハウスステーション(1996年)およびこれらのすべての続版を参照。
(抗糖尿病剤のような本明細書で開示された)薬剤はその標準型および持続放出型製剤(例えばメトホルミン対メトホルミンHCl徐放性錠剤−1日1回の投与)を包含する。
【0016】
アルドステロン受容体アンタゴニスト
「アルドステロン受容体アンタゴニスト」なる用語は受容体部位でアルドステロンそのものの作用の競合的阻害剤としてアルドステロン受容体と結合してアルドステロンの受容体が関与する活性を調節することができる化合物を意味する。
本発明の組合せおよび方法で使用されるアルドステロン受容体アンタゴニストは一般にスピロラクトン型ステロイド化合物である。「スピロラクトン型」なる用語は典型的にはステロイド“D”環でスピロ結合配置を通してステロイド核と結合したラクトン部分からなる構造を意味する。サブクラスのスピロラクトン型アルドステロン受容体アンタゴニスト化合物はエプレレノンのようなエポキシ−ステロイドアルドステロン受容体アンタゴニスト化合物からなる。他のサブクラスのスピロラクトン型アンタゴニスト化合物はスピロノラクトンのような非エポキシ−ステロイドアルドステロン受容体アンタゴニスト化合物からなる。
【0017】
本発明の組合せおよび方法で使用されるエポキシ−ステロイドアルドステロン受容体アンタゴニスト化合物は一般にエポキシ型部分で置換されたステロイド核を有する。「エポキシ型部分」なる用語は2個の炭素原子間のブリッジとして酸素原子を有することを特徴とする部分を包含し、その例として次の部分が挙げられる:
【化1】

【0018】
「エポキシ−ステロイド」なる表現で使用される「ステロイド」なる用語は従来の“A”、“B”、“C”および“D”環を有するシクロペンテノ−フェナントレン部分がもたらす核を意味する。エポキシ型部分はシクロペンテノフェナントレン核に何れかの結合または置換可能な位置で結合している、すなわちステロイド核の環の1つと縮合しているか、あるいは当該部分は環系の環員上で置換される。「エポキシ−ステロイド」なる表現はそれに結合した1個または複数のエポキシ型部分を有するステロイド核を包含する。
【0019】
本発明の組合せおよび方法で使用するのに適したエポキシ−ステロイドアルドステロン受容体アンタゴニストはステロイド核の“C”環と縮合したエポキシ部分を有する化合物群を包含する。特に好ましいのは9α,11α−置換エポキシ部分の存在を特徴とする20−スピロキサン化合物である。下記の化合物1〜11は本発明の方法で使用される代表的な9α,11α−エポキシ−ステロイド化合物である。エプレレノンのようなエポキシ−ステロイドアルドステロン受容体アンタゴニストを使用する特定の利点はこのアルドステロン受容体アンタゴニスト群の鉱質コルチコイド受容体に対する高い選択性である。エプレレノンの優れた選択性はアンドロゲンおよびプロゲステロン受容体のような他のステロイド受容体との非選択的結合を示すアルドステロン受容体アンタゴニストにより生じる副作用の減少をもたらす。
これらのエポキシステロイドはGrobらの米国特許第4,559,332号に記載の方法により製造することができる。9,11−エポキシステロイド化合物およびそれらの塩を製造するための別法はNgらのWO97/21720およびNgらのWO98/25948に開示されている。
【0020】
【表1】

【0021】
【表2】

【0022】
特に重要なのは上記で化合物1として示された化合物エプレレノン(エポキシメキシレノンとしても知られている)である。エプレレノンはアルドステロン受容体アンタゴニストであり、アルドステロン受容体に対して例えばスピロノラクトンよりも高い選択性を有する。本発明の方法におけるアルドステロン受容体アンタゴニストとしてのエプレレノンの選択は低い選択性を有するアルドステロン受容体アンタゴニストの使用により生じる女性化乳房、月経異常およびインポテンスのような特定の副作用を減らすのに有益である。
【0023】
本発明の方法で使用するのに適した非エポキシ−ステロイドアルドステロン受容体アンタゴニストは式I
【化2】

(式中、
【化3】


【化4】

であり、Rは5個以下の炭素原子の低級アルキルであり、そして
【化5】


【化6】

である)により定義されるスピロラクトン型化合物群を包含する。
【0024】
低級アルキル基は分枝鎖状および非分枝鎖状基、好ましくはメチル、エチルおよびn−プロピルである。
重要な特定の式Iの化合物は次の化合物である:
7α−アセチルチオ−3−オキソ−4,15−アンドロスタジエン−[17(β−1')−スピロ−5']ペルヒドロフラン−2'−オン;
3−オキソ−7α−プロピオニルチオ−4,15−アンドロスタジエン−[17((β−1')−スピロ−5']ペルヒドロフラン−2'−オン;
6β,7β−メチレン−3−オキソ−4,15−アンドロスタジエン−[17((β−1')−スピロ−5']ペルヒドロフラン−2'−オン;
15α,16α−メチレン−3−オキソ−4,7α−プロピオニルチオ−4−アンドロステン[17(β−1')−スピロ−5']ペルヒドロフラン−2'−オン;
6β,7β,15α,16α−ジメチレン−3−オキソ−4−アンドロステン[17(β−1')−スピロ−5']−ペルヒドロフラン−2'−オン;
7α−アセチルチオ−15β,16β−メチレン−3−オキソ−4−アンドロステン−[17(β−1')−スピロ−5']ペルヒドロフラン−2'−オン;
15β,16β−メチレン−3−オキソ−7β−プロピオニルチオ−4−アンドロステン−[17(β−1')−スピロ−5']ペルヒドロフラン−2'−オン;および
6β,7β,15β,16β−ジメチレン−3−オキソ−4−アンドロステン−[17(β−1')−スピ
ロ−5']ペルヒドロフラン−2'−オン。
【0025】
式Iの化合物を製造する方法は1978年12月12日に発行された Wiechartらの米国特許第4,129,564号に開示されている。
【0026】
他の重要な非エポキシ−ステロイド化合物群は式II
【化7】

(式中、R1はC1-3−アルキルまたはC1-3アシルであり、そしてR2はHまたはC1-3−アルキルである)により定義される。
【0027】
重要な特定の式IIの化合物は次の化合物である:
1α−アセチルチオ−15β,16β−メチレン−7α−メチルチオ−3−オキソ−17α−プレグナ−4−エン−21,17−カルボラクトン;および
15β,16β−メチレン−1α,7α−ジメチルチオ−3−オキソ−17α−プレグナ−4−エン−21,17−カルボラクトン。
【0028】
式IIの化合物を製造する方法は1988年12月6日に発行されたNickischらの米国特許第4,789,668号に開示されている。
さらに他の重要な非エポキシ−ステロイド化合物群は式III
【化8】

(式中、Rは低級アルキルであり、好ましい低級アルキル基はメチル、エチル、プロピルおよびブチルである)の構造式により定義される。
【0029】
重要な特定の化合物は次の化合物である:
3β,21−ジヒドロキシ−17α−プレグナ−5,15−ジエン−17−カルボン酸γ−ラクトン;
3β,21−ジヒドロキシ−17α−プレグナ−5,15−ジエン−17−カルボン酸γ−ラクトン3−アセテート;
3β,21−ジヒドロキシ−17α−プレグナ−5−エン−17−カルボン酸γ−ラクトン;
3β,21−ジヒドロキシ−17α−プレグナ−5−エン−17−カルボン酸γ−ラクトン3−アセテート;
21−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プレグナ−4−エン−17−カルボン酸γ−ラクトン;
21−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プレグナ−4,6−ジエン−17−カルボン酸γ−ラクトン;
21−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プレグナ−1,4−ジエン−17−カルボン酸γ−ラクトン;
7α−アシルチオ−21−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プレグナ−4−エン−17−カルボン酸γ−ラクトン;および
7α−アセチルチオ−21−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プレグナ−4−エン−17−カルボン酸γ−ラクトン。
【0030】
式IIIの化合物を製造する方法は1966年6月21日に発行されたPatchettらの米国特許第3,257,390号に開示されている。
【0031】
さらに他の重要な非エポキシ−ステロイド化合物群は式IV
【化9】

(式中、E’はエチレン、ビニレンおよび(低級アルカノイル)チオエチレン基からなる群より選択され、E"はエチレン、ビニレン、(低級アルカノイル)チオエチレンおよび(低級アルカノイル)チオプロピレン基からなる群より選択され、RはE'およびE"がそれぞれエチ
レンおよび(低級アルカノイル)チオエチレン基である場合を除きメチル基であり、その場合のRは水素およびメチル基からなる群より選択され、そしてE'およびE"は少なくとも1個の(低級アルカノイル)チオ基が存在するように選択される)により表される。
【0032】
好ましい式IVの非エポキシ−ステロイド化合物群は式V
【化10】

により表される。
【0033】
より好ましい式Vの化合物は1−アセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−アンドロスト−4−エン−3−オンラクトンである。
【0034】
他の好ましい式IVの非エポキシ−ステロイド化合物群は式VI
【化11】

により表される。
【0035】
より好ましい式VIの化合物は次の化合物である:
7α−アセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−アンドロスト−4−エン−3−オンラクトン;
7β−アセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−アンドロスト−4−エン−3−オンラクトン;
1α,7α−ジアセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−アンドロスタ−4,6−ジエン−3−オンラクトン;
7α−アセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−3−オンラクトン;
7α−アセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−19−ノルアンドロスト−4−エン−3−オンラクトン;および
7α−アセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−6α−メチルアンドロスト−4−エン−3−オンラクトン。
【0036】
式IV〜VIにおいて、「アルキル」なる用語は1〜約8個の炭素を含有する直鎖状および分枝鎖状アルキル基を包含する。「(低級アルカノイル)チオ」なる用語は式
【化12】

の基を包含する。
【0037】
特に重要なのは次の構造式
【化13】

を有し、正式名称が“スピロノラクトン":17−ヒドロキシ−7α−メルカプト−3−オキソ−17α−プレグナ−4−エン−21−カルボン酸γ−ラクトンアセテートであるスピロノラクトン化合物である。
【0038】
式IV〜VIの化合物を製造する方法は1961年12月12日に発行されたCellaらの米国特許第3,013,012号に開示されている。スピロノラクトンはG. D. Searle & Co.社(イリノイ州スコーキー)により1錠あたり25mg、50mgおよび100mgの投与量の錠剤投与形態で“ALDACTONE"という商品名で販売されている。
他のステロイドアルドステロン受容体アンタゴニスト群の例はドロスピレノン:[6R−(6α,7α,8β,9α,10β,13β,14α,15α,16α,17β)]−1,3',4',6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,20,21−ヘキサデカヒドロ−10,13−ジメチルスピロ[17H−ジシクロプロパ[6,7:15,16]シクロペンタ[a]フェナントレン−17,2'(5'H)−フラン]−3,5'(2H)−ジオン(CAS登録番号67392−87−4)である。ドロスピレノンを製造し、使用する方法はGB特許1550568 1979(優先DE2652761 1976)に開示されている。
【0039】
抗糖尿病剤
抗糖尿病剤は経口抗糖尿病剤;低血糖治療剤およびインシュリンを包含する。下記の表2〜10に併用療法で使用される様々な薬剤を記載する。表中で挙げたそれぞれの公開された特許文献には関連する抗糖尿病剤の製造法およびこのような化合物の生物学的特性が記載されている。これらの特許文献のそれぞれの内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0040】
一つの実施態様は表2の抗糖尿病剤および薬剤を含有する。
【表3】

【0041】
別の実施態様は表3の抗糖尿病剤および薬剤を含有する。
【表4】

【0042】
別の実施態様は表4の開発中の抗糖尿病剤および薬剤を含有する。
【表5】

【0043】
【表6】

【0044】
【表7】

【0045】
【表8】

【0046】
他の実施態様は表5の製品を含有する。
【0047】
【表9】

【0048】
他の実施態様は表6および7のジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)阻害剤を含有する。
【表10】

【0049】
【表11】

【0050】
【表12】

【0051】
【表13】

【0052】
【表14】

【0053】
【表15】

【0054】
【表16】

【0055】
【表17】

【0056】
【表18】

【0057】
他の実施態様は表8のプロテインチロシンホスファターゼ1B(PTP 1B)阻害剤を含有する。
【表19】

【0058】
【表20】

【0059】
【表21】

【0060】
【表22】

【0061】
【表23】

【0062】
他の実施態様は表9のグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)モジュレーターを含有する。
【0063】
【表24】

【0064】
【表25】

【0065】
【表26】

【0066】
他の実施態様は糖尿病に関連する症状を治療するのに使用される表10のAcrp30物質を含有する。
【0067】
【表27】

【0068】
【表28】

【0069】
ある一つの実施態様において、アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンであり、そして抗糖尿病剤はメトホルミン(持続放出型などを含む何れかの形態);スルホニル尿素;場合により付加的なPPARαアゴニスト活性を有するPPARγアゴニスト;インシュリン注射剤;またはメグリチニド類似体および他の非スルホニル尿素、即効型インシュリン分泌促進剤(レパグリニド/プランジン;ナテグリニド/スターリックス;ミチグリニド)である。エプレレノンは物理的に注射剤と組合せることができず、別々に投与されることは知られている。
【0070】
他の実施態様において、アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンであり、そして抗糖尿病剤はGLP−1受容体(GLP−1および関連する類似体、例えばエキセンディン4)のアゴニスト;DPP−IV阻害剤;PPARα/γデュアルアゴニスト;吸入インシュリン;インシュリン;PTP−1B阻害剤;またはフルクトース−1,6−ビスホスファターゼ阻害剤(例えばMetabasis社のCS−917)である。
【0071】
他の実施態様において、アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンであり、そして抗糖尿病剤は糖質コルチコイドアンタゴニスト;グルカゴンアンタゴニスト;アディポネクチン/APM1/acrp30または関連する類似体またはそのフラグメント;11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1阻害剤;またはインシュリン受容体活性化剤(例えばMerck社のL−783281)である。
【0072】
本発明の併用療法は限定されないが循環障害、例えば高血圧症、鬱血性心不全、心筋線維症および心臓肥大のような心臓血管障害を含む糖尿病および前糖尿病状態の様々な合併
症を治療するのに有用である。また、併用療法は補助療法と共に有用である。例えば、併用療法は高血圧症の治療を補助するために利尿剤のような他の薬剤と組合せて使用することができる。1種またはそれ以上の抗糖尿病剤から選択される3種またはそれ以上の化合物を1種またはそれ以上のアルドステロン受容体アンタゴニストと組合せた併用療法は補助療法と共に有用である。
【0073】
アルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤の他に、レニン阻害剤、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、α−アドレナリン作動性受容体ブロッカー、β−アドレナリン作動性受容体ブロッカー、カルシウムチャンネルブロッカー、エンドセリン受容体アンタゴニスト、エンドセリン変換酵素阻害剤、血管拡張薬、利尿剤、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、アピカルナトリウム胆汁酸輸送阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、ナイアシン、スタチン、コレステリルエステル転送蛋白阻害剤、胆汁酸抑制剤、抗酸化剤、ビタミンE、プロブコール、IIb/IIIaアンタゴニスト、例えばキセミロフィバン、およびオルボフィバンからなる群より選択される第3化合物を併用療法に加えることができる。
【0074】
適当なアンギオテンシン変換酵素阻害剤はベナザプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キノプリル、ラミプリル、トランドラプリル、並びにその薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグである。
【0075】
適応症
併用療法は糖尿病および前糖尿病状態の合併症を治療または予防するのに使用される。これらの合併症には冠動脈疾患、高血圧症、心臓血管疾患、腎機能障害、脳血管疾患、血管疾患、網膜症、神経障害(例えば末梢神経障害)、高血糖症、高インシュリン血症、インシュリン抵抗性、浮腫、内皮機能障害、圧受容体機能障害などがあるが、これらに限定されない。心臓血管疾患には冠動脈疾患、心不全(例えば鬱血性心不全)、不整脈、拡張機能不全(例えば左室拡張機能不全、拡張期心不全および拡張期充満異常)、収縮機能障害、虚血、突然心臓死、心筋および血管線維症、動脈コンプライアンスの低下、心筋壊死病斑、血管損傷、心筋梗塞、左心室肥大、駆出分画率の減少、心疾患、血管壁肥大、内皮の肥厚、冠動脈のフィブリノイド壊死などがあるが、これらに限定されない。腎機能障害には糸球体硬化症、末期腎疾患、糖尿病性腎症、腎血流の減量、糸球体ろ過率の増加、タンパク尿、糸球体ろ過率の減少、クレアチニンクリアランスの低下、微量アルブミン尿、腎動脈疾患、虚血性病変、血栓性病変、全節性フィブリノイド壊死、糸球体毛細血管の局所性血栓症、毛細管内細胞(内皮およびメサンギウム)および/または毛細管外細胞(半月)の膨潤および増殖、場合により有意な過形成を伴なう網状メサンギウムマトリックスの膨張、悪性腎硬化症(例えば虚血性収縮、毛細血管網の血栓壊死、細動脈フィブリノイド壊死、並びに糸球体および微小血管に影響を与える血栓性微小血管症性病変)などがあるが、これらに限定されない。脳血管疾患には卒中があるが、これに限定されない。血管疾患には血栓性血管疾患(例えば壁在フィブリノイド壊死、赤血球の溢出および破砕、並びに内腔および/または壁在血栓症)、増殖性動脈疾患(例えば粘液性細胞外マトリックスにより囲まれる膨張した筋内膜細胞および結節性肥厚)、アテローム性動脈硬化症、減少した血管コンプライアンス(例えば硬直、心室コンプライアンス低下および血管コンプライアンス低下)、内皮機能不全などがあるが、これらに限定されない。浮腫には末梢組織浮腫、肝鬱血、脾鬱血、肝性腹水、呼吸器または肺の鬱血などがあるが、これらに限定されない。高血糖症、高インシュリン血症およびインシュリン抵抗性にはインシュリン抵抗性、I型糖尿病、II型糖尿病、耐糖能異常、前糖尿病状態、代謝症候群などがあるが、これらに限定されない。
【0076】
併用療法は冠動脈疾患、高血圧症、心臓血管疾患、腎機能障害、浮腫、脳血管疾患、高
血糖症、高インシュリン血症およびインシュリン抵抗性からなる群より選択される適応症において特に有用であり;より好ましくは病的状態は冠動脈疾患、高血圧症、心臓血管疾患、卒中およびII型糖尿病からなる群より選択され;さらにより好ましくは病的状態は冠動脈疾患、高血圧症、心不全(特に心筋梗塞後の心不全)、左心室肥大および卒中からなる群より選択される。
【0077】
したがって、本発明の一態様において、本法は正常以下の内因性アルドステロン値を有し、病的状態(複数可)にかかっているまたはかかりやすいヒト患者に1種またはそれ以上のアルドステロンが関与する病的状態を治療または予防するためにアルドステロン受容体アンタゴニストである治療的に有効な量の1種またはそれ以上のエポキシ−ステロイド化合物を投与することからなる。病的状態(複数可)は好ましくは高血圧症、心臓血管疾患、脳血管疾患およびII型糖尿病からなる群より選択され;さらにより好ましくは病的状態は高血圧症、心不全(特に心筋梗塞後の心不全)、左心室肥大および卒中からなる群より選択される。エポキシ−ステロイド化合物は好ましくはエプレレノンである。
【0078】
治療する患者または被験者
本発明の治療または予防の対象である患者または被験者は糖尿病(I型およびII型)患者、耐糖能が異常な被験者、空腹時血糖が異常な被験者、代謝症候群(X症候群)の被験者、糖尿病の家族歴を持つ被験者およびインシュリンで十分に血糖値をコントロールできない糖尿病患者を包含する。
【0079】
代謝症候群の症状は肥満/腹部肥満、明らかな糖尿病、高血圧症、異常脂質血症(トリグリセリド過剰血、低HDL−コレステロールおよび/または小さい、よりアテローム生成形態のLDL−コレステロールなど)、インシュリン抵抗性、微量アルブミン尿および凝固能亢進状態を包含する。さらに、患者または被験者は食塩感受性を有し、そして/または食事によるナトリウム摂取が高いものを包含する。例えば、Earl S. FordらのJAMA, 第287巻, 第3号, 第356〜359頁(2002年1月16日)を参照。さらに、L. Groopらの「代謝異常症候群」, Journal of Internal Medicine, 250, 105〜120(2001年)を参照。
【0080】
定義
「ヒドリド」なる用語は単一の水素原子(H)を示す。このヒドリド基は例えば酸素原子に結合してヒドロキシル基を形成することができ;または別の例として1個のヒドリド基が炭素原子に結合して>CH−基を形成することができ;または別の例として2個のヒドリド基が炭素原子に結合して−CH2−基を形成することができる。「アルキル」なる用語が単独で、または「ハロアルキル」および「ヒドロキシアルキル」のような他の用語で使用される場合、「アルキル」なる用語は1〜約20個、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の基を包含する。より好ましいアルキル基は1〜約10個の炭素原子を有する「低級アルキル」基である。最も好ましくは1〜約5個の炭素原子を有する低級アルキル基である。「シクロアルキル」なる用語は3〜約10個の環炭素原子、好ましくは3〜約6個の炭素原子を有する環状基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを包含する。「ハロアルキル」なる用語はアルキル炭素原子の何れか1個またはそれ以上が1個またはそれ以上のハロ基、好ましくはブロモ、クロロおよびフルオロから選択されるハロ基で置換された基を包含する。特に、「ハロアルキル」なる用語はモノハロアルキル、ジハロアルキルおよびポリハロアルキル基を包含する。モノハロアルキル基は例えばその基にブロモ、クロロまたはフルオロ原子を有することができる。ジハロアルキルおよびポリハロアルキル基は2個またはそれ以上の同一ハロ基で置換されてもよく、または異なるハロ基の組合せを有することができる。ジハロアルキル基は例えばジフルオロメチルおよびジフルオロブチル基のように2個のフルオロ原子を、またはジクロロメチル基のように2個のクロロ原子を、またはフルオロ−クロロメチル基のように1個のフルオロ原子および1個のクロロ原子を有することができる。ポリハロアルキルの例はトリフルオロメチル、1,1−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペルフルオロエチルおよび2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基である。「ジフルオロアルキル」なる用語はアルキル基炭素原子の何れか1個または2個において置換された2個のフルオロ原子を有するアルキル基を包含する。「アルキロール」および「ヒドロキシアルキル」なる用語は1〜約10個の炭素原子を有し、その何れか1個が1個またはそれ以上のヒドロキシル基で置換されてもよい直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を包含する。「アルケニル」なる用語は2〜約20個の炭素原子、好ましくは3〜約10個の炭素原子を有し、そして少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有し、その炭素−炭素二重結合はアルケニル部分でシスまたはトランス配置を有する直鎖状または分枝鎖状の基を包含する。「アルキニル」なる用語は2〜約20個の炭素原子、好ましくは2〜約10個の炭素原子を有し、そして少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含有する直鎖状または分枝鎖状の基を包含する。「シクロアルケニル」なる用語は3〜約10個の環炭素原子を有し、隣接する環炭素に関して1個またはそれ以上の二重結合を含有する環状基を包含する。「アルコキシ」および「アルコキシアルキル」なる用語はそれぞれ1〜約10個の炭素原子のアルキル部分を有する直鎖状または分枝鎖状のオキシ含有基、例えばメトキシ基を包含する。「アルコキシアルキル」なる用語はまた、アルキル基に結合した2個またはそれ以上のアルコキシ基を有し、すなわちモノアルコキシアルキルおよびジアルコキシアルキル基を形成するアルキル基を包含する。「アルコキシ」または「アルコキシアルキル」基はさらに1個またはそれ以上のハロ原子、例えばフルオロ、クロロまたはブロモで置換してハロアルコキシまたはハロアルコキシアルキル基を与えることができる。
【0081】
「アルキルチオ」なる用語は2価の硫黄原子に結合した1〜約10個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、例えばメチルチオ基を包含する。好ましいアリール基は1個、2個または3個のベンゼン環からなるものである。「アリール」なる用語は芳香族基、例えばフェニル、ナフチルおよびビフェニルを包含する。「アラルキル」なる用語はアリール置換アルキル基、例えばベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェニルエチル、フェニルブチルおよびジフェニルエチルを包含する。「ベンジル」および「フェニルメチル」なる用語は互いに交換可能である。「フェナルキル」および「フェニルアルキル」なる用語は互いに交換可能である。「フェナルキル」の例は「フェネチル」であり、それは「フェニルエチル」と交換可能である。「アルキルアリール」、「アルコキシアリール」および「ハロアリール」なる用語はそれぞれ「アリール」核、例えばフェニル部分が1個またはそれ以上の「アルキル」、「アルコキシ」および「ハロ」で置換された基を示す。「アリールオキシ」および「アリールチオ」なる用語はそれぞれ酸素または硫黄原子(これを通して基が核に結合している)を有するアリール基により与えられる基を示し、その例はフェノキシおよびフェニルチオである。「スルフィニル」および「スルホニル」なる用語は単独で、または他の用語と結び付いて使用されるかどうかに関らず、それぞれ2価の基SOおよびSO2を示す。「アラルコキシ」なる用語は単独で、または別の用語の中で、アルコキシ基に結合して例えばベンジルオキシを形成するアリール基を示す。「アシル」なる用語は単独で、またはアシルオキシのような用語の中で使用されるかどうかに関らず、有機酸からヒドロキシルを除去した後の残基により与えられる基を示し、このような基の例はアセチルおよびベンゾイルである。「低級アルカノイル」はより好ましいサブクラスのアシルの例である。「アミド」なる用語はカルボニル基に結合した窒素原子からなる基を示し、この基は本明細書で記載したようにさらに置換されてもよい。「モノアルキルアミノカルボニル」なる用語は「N−アルキルアミド」と交換可能である。「ジアルキルアミノカルボニル」なる用語は「N,N−ジアルキルアミド」と交換可能である。「アルケニルアルキル」なる用語は2個の炭素間に二重結合の不飽和部位を有する基を示し、この基は2個の炭素だけで構成されてもよく、または場合により追加の二重結合不飽和を含有するアルキル基でさらに置換されてもよい。「ヘテロアリール」なる用語は上記で特に断りがなければ、5個または6個の環員を有する環系に酸素、窒素および硫黄から選択される1個または2個のヘテロ原子を含有する芳香族環系を包含し、その例はチエニル、フラニル、ピリジニル、チアゾリル、ピリミジルおよびイソキサゾリルである。このようなヘテロアリールは置換基としてヘテロアリール環系の炭素原子を通して結合してもよく、またはヘテロアリール環員の炭素原子上で置換された部分の炭素原子を通して、例えばイミダゾールメチル部分のメチレン置換基を通して結合してもよい。また、このようなヘテロアリールは結合後もヘテロアリール部分の芳香族性が保存される限り、環窒素原子を通して結合してもよい。上記で定義した基の何れについても好ましい基は1〜約10個の炭素原子を含有するものである。
【0082】
特定のアルキル基の例はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、メチルブチル、ジメチルブチルおよびネオペンチルである。典型的なアルケニルおよびアルキニル基はアリル基のように1個の不飽和結合を有してもよく、あるいは複数の不飽和結合を有してもよく、このような複数の結合はアレン型構造のように隣接しているか、または共役しているか、または数個の飽和炭素により隔てられている。
【0083】
そのラセミ体、立体異性体および塩
上記したように、本発明の併用療法で有用なアルドステロン受容体アンタゴニストおよび坑糖尿病剤はまた、このような薬剤のラセミ体および立体異性体、例えばジアステレオマーおよびエナンチオマーを包含する。このような立体異性体は慣用の方法を使用して、例えばエナンチオマー出発物質を反応させるか、または本発明の化合物の異性体を分離することにより製造および分離することができる。異性体には幾何異性体、例えば二重結合をはさんだシス異性体またはトランス異性体がある。このような異性体はすべて本発明の化合物に包含される。このような異性体は純粋な形態で、または上記薬剤と混合して使用することができる。このような立体異性体は慣用の方法を使用して、例えばエナンチオマー出発物質を反応させるか、または本発明の化合物の異性体を分離することにより製造することができる。
【0084】
異性体には幾何異性体、例えば二重結合をはさんだシス−異性体またはトランス−異性体がある。このような異性体はすべて本発明で有用な化合物に包含される。
【0085】
下記のような本発明で有用な化合物はそれらの塩、溶媒和物およびプロドラッグを包含する。本発明で有用な化合物は互変異性体もまた包含する。「薬学的に許容しうる塩」なる用語はアルカリ金属塩および遊離酸または遊離塩基の付加塩を生成するのに一般に使用される塩を包含する。塩の性質はそれが薬学的に許容しうる限り重要ではない。好適な薬学的に許容しうる酸付加塩は無機酸または有機酸から製造することができる。このような無機酸の例は塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸およびリン酸である。適当な有機酸は脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボン酸およびスルホン酸類の有機酸から選択することができ、その例はギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファニル酸、メシル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、b−ヒドロキシ酪酸、マロン酸、ガラクタル酸およびガラクツロン酸である。好適な薬学的に許容しうる塩基付加塩はアルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛から製造される金属塩、またはN,N'−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)およびプロカインから製造される有機塩を包含する。すべてのこれらの塩は相当する化合物から慣用方法により、例えばこのような化合物を適当な酸または塩基と反応させることにより製造することができる。
【0086】
作用機構
多数の広い疫学的研究は明らかな糖尿病が存在しなくてもインシュリン抵抗性が冠動脈疾患の指標であることを示唆している(JE ReuschのAm. J. Cardiol. 90(追補):19G〜26G,2002)。一般に、これらの研究は血漿インシュリン濃度(インシュリン抵抗性の代理マーカー)と心臓血管疾患の関係を示している。例えば、Helsinki Policemen Study(Balkau B. Shipley M. Jarrett RJ. Pyorala K. Pyorala M. Forhan A. Eschwege E.のDiabetes Care.21(3):360〜7(1998年3月))は心臓血管死亡の発生率(非致死性MI)および他の心臓血管イベントは血漿インシュリン濃度の増加と関係があることを明らかにしている。
【0087】
代謝症候群は多数の心臓血管疾患の危険因子と肥満、高インシュリン血、高トリグリセリド血、HDL−コレステロールの低下および高血圧のような代謝異常の存在を特徴とする。正常な耐糖能を有する個体と比較して、耐糖能異常または空腹時血糖異常の患者において代謝症候群の罹患率が増加しており、2型糖尿病の患者ではさらに一般的である。代謝症候群の存在は心臓血管疾患および心臓血管死亡を発生するリスクを増加する(B IsomaaらのDiabetes Care 24:683〜689(2001年))。代謝症候群を示す個体において、その症状を示さないものと比べてCHD、MIおよび卒中の罹患率はすべて実質的に増加している。インシュリン抵抗性、高血圧および微量アルブミン尿はこの症候群において心臓血管疾患の発病および死亡の重要な指標の1つである。
【0088】
明らかな糖尿病の存在は実質的に心臓血管疾患の発病および死亡のリスクを増加する(J
B MarksおよびP RaskinのJournal of Diabetes and its Complications 14:108〜115(2000年))。I型およびII型糖尿病において、心臓血管疾患は糖尿病にかかっていない集団と比べて増加し、心臓血管疾患の重症度は高血糖の程度と関係がある。糖尿病患者の主要な死因は心臓血管疾患である。
【0089】
高血圧は収縮期高血圧の発生率のように糖尿病にかかっていない集団と比べて糖尿病患者では約2倍多く見られる。重要なことに、糖尿病および高血圧は心臓血管疾患の死亡の独立した指標である。血圧の厳しい管理は糖尿病にかかっていない集団と比べて糖尿病患者において心臓血管疾患のリスクをかなりの程度まで減少させる。高血圧患者において、糖尿病はさらに心不全を発生するリスクを増加する。糖尿病により患者は高血圧および冠動脈疾患のようなよく知られている心臓血管疾患の危険因子の存在下で心不全にかかりやすくなる。
【0090】
心臓血管疾患の発生を促進するインシュリン抵抗性または糖尿病の独立した作用および高血圧の作用を前提として、アルドステロン受容体遮断の作用を標準的な抗糖尿病療法と組合せることはそれぞれの治療を単独で行なった場合の効果と比較してインシュリン抵抗性または糖尿病状態における心臓血管疾患の合併症の進行を改善することが予想される。今般、糖尿病の管理と合併症に関する試験およびUnited Kingdom Prospective Diabetes Studyのような大規模の介入試験により、インシュリン強化療法または経口抗糖尿病剤を使用する治療を通してI型およびII型糖尿病における高血糖の低下は糖尿病の合併症を減少させることが十分に立証された。特に、長期間の血糖コントロールの改善は糖尿病性神経障害および微小血管性合併症、例えば腎症および網膜症の発症および進行を有意に軽減することが証明された。大血管性合併症における強化血糖コントロールの効果は立証するのがより困難であった。微小血管だけでなく大血管でも有益な効果が立証されたアルドステロン受容体アンタゴニストを使用する併用療法は糖尿病患者において臨床的に重要になるであろう。降圧剤が一般集団、特に糖尿病患者において腎症および心臓血管疾患の進行を軽減することは十分に認められている。前臨床および臨床試験はさらにアルドステロン受容体遮断が糖尿病の合併症を改善できることを示唆している。例えば、実験的に誘発された糖尿病において、アルドステロン受容体アンタゴニストのスピロノラクトンを使用す
る治療は抗糖尿病療法を伴わなくても心臓、腎臓および血管におけるコラーゲンおよびフィブロネクチンの有害な蓄積を減少させ、受動的拡張期スティフネスの発現を軽減する(P. E. WhiteらのEndocrine Reviews, 第18巻, 第1号, 第135〜156頁(1997年))。
【0091】
現在入手できるデータはアルドステロン受容体遮断が糖尿病において既存の降圧療法よりも有意な利点を与えることを示唆している。アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACEi)は現在、非糖尿病および糖尿病患者において腎症の進行を遅らせるために使用されている。有意な数の患者において、ACEiによる慢性治療は時間の経過でレニン−アンギオテンシン−アルドステロン系をブロックする能力を減少し、それにより継続した薬物治療にも関らずアルドステロン濃度が時間とともに上昇し始める(一般に“アルドステロンエスケープ現象”と呼ばれる)。初期の腎臓病を伴なう糖尿病患者の最近の研究はアルドステロンエスケープ現象が相当な割合の糖尿病患者に起こり、エスケープ現象が現れる患者は腎機能の指標でより深刻な低下を示すことを明らかにしている(A. SatoらのHypertension 41:64〜68(2003年))。アルドステロンエスケープ現象が現れる患者の治療計画に(すなわち継続するACEi療法の存在下で)スピロノラクトンを引き続いて加えると左心室肥大および腎症の両方の指標が相当低下した。これらの変化はACEi単独の効果と比較して血圧が下がることなく観察され、このことはアルドステロン受容体遮断が潜在的に大血管および微小血管で降圧作用と無関係に有益な効果を与えることを明らかにしている。
【0092】
腎臓において、鉱質コルチコイド受容体は鉱質コルチコイド(例えばアルドステロン)または糖質コルチコイド(例えばコルチゾール)により活性化されうる。通常、コルチゾール(循環中にアルドステロンよりかなり高い濃度で存在する)は腎臓に酵素11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−2型(11βHSD2)が存在するため鉱質コルチコイド受容体を活性化しない。11βHSD2は鉱質コルチコイドを代謝および不活性化し、それらが鉱質コルチコイド受容体と結合するのを防ぐ。稀ではあるが臨床的に重要な症状の鉱質コルチコイド過剰症候群において、その活性を減少する11βHSD2の突然変異はコルチゾールの鉱質コルチコイド受容体への接近を可能にし、ナトリウム貯留、低カリウム血および高血圧をもたらす(P.M.StewartらのJ.Clin.Invest.82:340〜349(1988年))。血圧の上昇を特徴とする糖尿病の実験モデルにおいて、腎臓の11βHSD2濃度は減少した。インシュリン療法は血圧を正常なレベルまで下げ、腎臓の11βHSD2濃度を元に戻 した(Y.J. LiuらのHypertension 31:885〜889(1998年))。このことは11βHSD2活性の減少が循環するコルチゾールにより腎臓の鉱質コルチコイド受容体の異常な活性化をもたらすことを示唆している。アルドステロン受容体遮断は実験的糖尿病において抗糖尿病療法を伴なわなくても血圧および11βHSD2濃度を平常値に戻す(Y.J. LiuらのKid. Intl. 57:2064〜2071(2000年))。抗糖尿病療法およびアルドステロン受容体遮断の作用は糖尿病状態の血圧を下げるのに相乗的であると示唆することは妥当である。
【0093】
心臓肥大のインビトロモデルにおいて、アルドステロンは鉱質コルチコイド受容体が関与するプロセスで肥大の代用モデルを刺激することが証明されている(A.SatoおよびJ.W.FunderのEndocrinology 137:4145〜4153(1996年))。この設定で、高血糖は単独で肥大を刺激しないが、アルドステロンと相乗的に相互作用して肥大を促進する。この相乗効果はアルドステロン受容体遮断により防止することができる。大血管疾患を促進する糖尿病および高血圧症の相互作用は血糖値を下げる抗糖尿病療法を選択的なアルドステロン受容体遮断と併用することにより相乗的に防止することができることは妥当である。
【0094】
アテローム硬化性疾患の進行は一つには前炎症性状態によるものと考えられている(P M
RidkerらのNew Eng. J. Med. 347:1557〜1565(2002年))。現在、肥満症、インシュリン抵抗性および糖尿病の状態は増大した酸化的ストレスおよび炎症を特徴とすることもまた認識されている。糖尿病の前炎症性状態は進展したアテローム性動脈硬化症および腎機不全だけでなく、インシュリン抵抗性の発症の一因にもなりうる(M YuanらのScience 293:
1673〜1677(2001年))。近年、脂質を低下させるスタチン類の薬剤(HMG−CoAレダクターゼの阻害剤)および抗糖尿病性PPARγアゴニストの心臓血管疾患に対する幾つかの有益な効果はそれらの付加的な抗炎症作用によるものだとされている(P DandonaおよびA AljadaのAm. J. Cardiol. 90(追補):27G〜33G(2002年))。アルドステロン拮抗作用が末梢血管系、腎臓および心臓のような糖尿病性合併症にかかりやすい組織において顕著な抗炎症効果を示すことがわかっている場合、アルドステロン拮抗作用は特に糖尿病性血管合併症の進行を阻害するのに適していることが予想される。
【0095】
近年、脂肪組織が血管系で作用する幾つかのタンパク質、例えばプラスミノーゲン活性化抑制因子−1(B E SobelのAm. J. Med. 113(6A):12S〜22S(2002年))、アンギオテンシノーゲン(S EngaliらのHypertension 35:1270〜1277(2000年))およびアディポネクチン(T YamauchiらのJ. Biol. Chem. 278:2461〜2468(2003年))を合成し、分泌することが明らかになっている。これらのタンパク質の脂肪組織の発現は肥満症および糖尿病状態において無調節である。さらに、脂肪組織はレニン−アンギオテンシン系の主要な成分を発現すると思われる。アンギオテンシンの脂肪組織産生は肥満症およびII型糖尿病でしばしば見られる高血圧の一因となりうることを仮説として取り上げられている(K GorzelniakらのJ. Hypertension 20:965〜973(2002年))。RAS系がアルドステロン合成を活性化する場合、アルドステロン受容体アンタゴニストはインシュリン抵抗性および糖尿病の状態においてRAS系の脂肪組織の活性化の副作用を中和するのに有益であることがわかる。
【0096】
併用療法の利点
本発明の選択されたアルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤は共同して作用して1つ以上の追加的な利益をもたらす。例えば、アルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤の組合せの投与は腎症およびアテローム性動脈硬化症のような糖尿病性合併症の多数の危険因子の病的症状のほぼ同時の軽減をもたらすことができる。例えば、組合せ薬剤はアテローム性動脈硬化症の幾つかの危険因子、例えば高いアルドステロン値、高血圧、内皮機能不全、高血糖、インシュリン抵抗性、糖化タンパク質およびリポタンパク質、低いHDL−コレステロール、高い血漿トリグリセリド、よりアテローム生成的なサブフラクションのLDL−コレステロール、血管炎症、プロトロンビン状態などを軽減することができる。それぞれの組合せ薬剤の影響を受ける異なる危険因子は所定の抗糖尿病剤の作用機序に依存する。アルドステロンの有害な作用の幾つかが糖尿病状態により増強される場合、例えば酵素11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−2型の量が糖尿病状態で減少する場合、またはアルドステロンの心臓肥大を刺激する作用が高血糖により増強される場合、併用療法により相乗効果が得られる。同時の11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−2型活性の改善(または血糖低下)およびアルドステロン受容体遮断は相乗効果をもたらす。
【0097】
本発明の方法はまた、当該技術分野で知られている慣用の方法と比べて副作用が減少した病的症状の有効な予防および/または治療を提供する。例えば、抗糖尿病剤の投与は低血糖、肝損傷、浮腫、脂肪蓄積の増加、吐き気および胃腸障害のような副作用をもたらすが、これらに限定されない。本発明の併用療法において抗糖尿病剤の投与量を慣用の単剤療法の投与量より低くすることは例えば単剤療法による抗糖尿病剤の投与に伴なう副作用プロファイルと比べて本発明の併用療法に伴なう副作用プロファイルを最小限にする、または無くすこともある。抗糖尿病剤に伴なう副作用は典型的に投与量に依存するため、それらの発生率はより高い投与量で増加する。したがって、より低い有効量の抗糖尿病剤は単剤療法のより高い投与量の抗糖尿病剤で観察されるものより少ない副作用をもたらし、またはこのような副作用の程度を軽減する。
【0098】
本発明の併用療法の他の利点には比較的早い治療効果発現および比較的長い作用時間をもたらす選択されたアルドステロン受容体アンタゴニスト群の使用があるが、これらに限
定されない。例えば、選択されたアルドステロン受容体アンタゴニストの1つの単独投与はアルドステロン受容体活性化の持続した遮断をもたらすようにアルドステロン受容体と結合したままである。糖尿病性合併症は高血圧および高血糖のような危険因子に長期間さらされることによって生じるため、危険因子プロファイルのより持続的な減少は治療効果を高めることが予想される。本発明の併用療法の他の利点には非鉱質コルチコイド受容体、例えばアンドロゲンおよびプロゲステロン受容体との非選択的結合を示すアルドステロン受容体アンタゴニストにより引き起こされる副作用が減少した、非常に選択的なアルドステロン受容体アンタゴニストとして作用するエプレレノンなどのエポキシ−ステロイドアルドステロン受容体アンタゴニストのような選択されたアルドステロン受容体アンタゴニスト群の使用があるが、これらに限定されない。選択的なアルドステロン遮断剤の使用はインポテンス、女性化乳房および乳房痛のような副作用の発生率を減少させることが予想される。
【0099】
さらに本発明の併用療法の利点には特に開示した治療方法に対して反応性である1つまたはそれ以上の特定の人種または民族に属する個体を治療するための本発明の方法の使用があるが、これらに限定されない。このように、例えばアフリカ系、アメリカ先住民またはヒスパニック系の個体は特に糖尿病性血管合併症を治療または予防するためのアルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤の併用療法から恩恵を受けることができる。糖尿病性合併症の発生率と有病率は異なる人種および民族の間で変動する(参考文献:Diabetes 2001:人口動態統計、米国糖尿病協会発行、著作権2001)。例えば、糖尿病末期腎疾患の発生率は非ヒスパニック系白人よりアフリカ系アメリカ人、アメリカ先住民およびメキシコ系アメリカ人の方が4〜6倍高い。糖尿病が関連する抹消血管疾患は非ヒスパニック系白人よりメキシコ系アメリカ人の方が高い有病率であり、そして糖尿病が関連する手足の切断は白人よりアフリカ系アメリカ人の方が高い。糖尿病性網膜症の有病率は非ヒスパニック系白人のアメリカ人と比べてアフリカ系アメリカ人およびメキシコ系アメリカ人の方が高く、失明に至るケースはアフリカ系アメリカ人が白人の2倍である。全体として、年齢調整した糖尿病の死亡率は非ヒスパニック系白人と比べてアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系アメリカ人およびアメリカ先住民の方が高い。アルドステロン受容体遮断はこれらの同じ人種/民族の幾つか、例えばアフリカ系アメリカ人において高血圧をコントロールするのにより有効であるため、併用療法は糖尿病が関連する合併症およびそれらの発病および死亡をコントロールするのにより有効であると予想することは妥当である。Pratt JH, Flack JMらの「はっきりした高血圧患者におけるエプレレノンおよびロサルタンの有効性および耐性」, J Am Coll Cardiol;41:1148〜1155(2003年)を参照。
【0100】
キット
本発明はさらに上記の治療法および/または予防法の実施で使用するのに適したキットを包含する。ある実施態様において、キットは表1記載の1種またはそれ以上のアルドステロン受容体アンタゴニストからなる第1投与形態および表2〜10に記載の糖尿病に伴なう症候群や症状を治療するのに使用される抗糖尿病剤(複数可)からなる第2投与形態を本発明の方法を実施するのに十分な量で含有する。好ましくは、第1投与形態および第2投与形態は一緒になって糖尿病の症状を治療または予防するための治療的に有効な量の阻害剤を構成する。
【0101】
他の実施態様において、キットはアルドステロン受容体アンタゴニストのスピロノラクトンからなる第1投与形態および表2〜10に記載の糖尿病に伴なう症候群や症状を治療するのに使用される抗糖尿病剤からなる第2投与形態を本発明の方法を実施するのに十分な量で含有する。
【0102】
他の実施態様において、キットはアルドステロン受容体アンタゴニストのエプレレノンからなる第1投与形態および表2〜10に記載の糖尿病に伴なう症候群や症状を治療する
のに使用される抗糖尿病剤からなる第2投与形態を本発明の方法を実施するのに十分な量で含有する。
【0103】
生物学的評価
糖尿病および関連する症状や症候群に対する併用療法の予想される有効性を定量するには、成分の効力を幾つかのアッセイで定量することが重要である。したがって、アッセイ“A”では抗糖尿病剤の活性を定量することができる。アッセイ“B”には本発明の併用療法、すなわち抗糖尿病剤およびエポキシ−ステロイドアルドステロン受容体アンタゴニストを評価するための方法を記載する。様々な投与量における個々の薬剤、すなわちエプレレノンおよび抗糖尿病剤の効力、並びに一緒に投与されるこれらの薬剤の効力は高血圧症、糖尿病および関連する症状や症候群のげっ歯類モデルにおいて評価される。
【0104】
療法のプロトコル
エプレレノンおよび抗糖尿病剤の組合せの前臨床および臨床評価には例えば血圧測定、腎機能測定および血糖コントロール測定(血漿グルコース、HbA1cおよびインシュリン)がある。
【0105】
前臨床試験
動物モデル:糖尿病性合併症の特徴もまた示す肥満症、インシュリン抵抗性および糖尿病の異なる動物モデルが幾つか知られている。例えば、db/dbマウス(例えばM.P.CohenらのExp. Nephrol.4:166〜171(1996年))およびKKAyマウス(K InaらのDiabetes Research
and Clinical Practice 44:1〜8(1999年))は自然発症的な肥満症および糖尿病であり、そして高トリグリセリド血症、高コレステロール血症および糖尿病性腎症によく似ている腎臓の合併症を発現する。肥満Zucker(fa/fa)ラットは肥満症、インシュリン抵抗性および高血圧症であり、そして高血圧症は動物に塩分の多い食事を与えることにより悪化させることができる(S H CarlsonらのHypertension 35(1,パート2)(追補):403(2000年))。自然発症高血圧心不全(SHHF)ラットは肥満症、インシュリン抵抗性および高脂血症であり、そして高血圧症および心不全を発現する(S. A. McCuneらの「SHHF/Mcc−cpラットの腎臓および心臓機能」, E Shafrir(編):Frontiers in diabetes research−動物のIII型糖尿病から得られる教訓−, Smith Gordon, ロンドン, 第397〜401頁(1990年))。
【0106】
非糖尿病または糖尿病の動物を場合により療法で数ヶ月間治療し、糖尿病の指標(血漿グルコースおよびインシュリン値、ヘモグロビンA1c値)における療法の効果を糖尿病性腎疾患、例えばタンパク尿、腎臓のメサンギウム拡大、並びに糖尿病で起こる腎臓でのフィブロネクチンおよびIV型コラーゲンの増大した発現に従って測定する。次の実験グループを試験して糖尿病性腎疾患に対して併用療法が単剤療法よりも有効であるかどうかを確認することができる:
ビヒクルで処置した糖尿病マウス
血糖降下剤(例えばPPARγアゴニスト)で処置した糖尿病マウス
エプレレノンで処置した糖尿病マウス
血糖降下剤およびエプレレノンの組合せで処置した糖尿病マウス
【0107】
臨床試験
さらに、臨床試験を使用してヒトにおけるアルドステロン受容体アンタゴニスト療法を評価することができる。このような療法の試験の例は多数公開されており、例えばAmerican Journal of Cardiology 78,902〜907(1996年)に記載のRALES 003試験およびNew England Journal of Medicine 341, 709〜717(1999年)に記載のRALES 004試験がある。
ヒトにおける抗糖尿病剤を評価するために使用される臨床試験もまた公開されている。血圧測定のプロトコルはReddiらのHypertension 233〜238(2000年8月)に記載されている。腎機能のプロトコルはEpsteinらの「エプレレノンはII型糖尿病のタンパク尿を減少さ
せる:腎機能不全の病因にアルドステロンが関与する(021)」, J Am Coll Cardiol;39(5):追補A(2002年)に記載されている。Dr. Edmund J. LewisらのN Engl J. Med, 第345巻,
第12号 (2001年9月20日)においても同様の試験を行なったが、長期間の治療であり、腎疾患の悪化の軽減についてのサロゲートエンドポイント(微量アルブミン尿の減少)の代りにハードエンドポイント(ベースラインのクレアチンの倍増および末期腎疾患の発現)を測定した。
【0108】
他の文献にはM. Epstein, G. Williams, V. Buckalew, J. Altamirano, B. Roniker, S. KrauseおよびJ. Kleimanの「選択的なアルドステロン遮断剤のエプレレノンはII型糖尿病を有する高血圧患者のタンパク尿を減少させる」(本出願で情報開示陳述書として提出された前刷り)およびLewisらの「糖尿病性腎症におけるアンギオテンシン変換酵素阻害の効果」,New England Journal of Medicine 第329巻:第20号:1456〜1462(1993年11月11日)がある。
【0109】
基本的な抗糖尿病療法の後、患者を場合によりエプレレノンで治療する。その結果を評価して抗糖尿病療法を単独で行なうよりも抗糖尿病療法にエプレレノンを加えることが合併症を軽減するかどうかを決定する。効力の指標にはタンパク尿(尿アルブミン対クレアチン比)、血圧、血漿中のグルコースおよびインシュリン、並びにHbA1cがある。
【0110】
投与
抗糖尿病剤およびアルドステロン受容体アンタゴニストの投与は別個の製剤として連続的に行なうことができ、あるいは単一製剤または別個の製剤の同時投与により達成することができる。投与は経口経路により、あるいは静脈内、筋肉内または皮下注射により達成することができる。製剤はボーラス形態、あるいは水性または非水性の等張性で無菌の注射溶液または懸濁液の形態であってよい。これらの溶液および懸濁液は1種またはそれ以上の薬学的に許容しうる担体または希釈剤、あるいはゼラチンまたはヒドロキシプロピル−メチルセルロースのような結合剤を1種またはそれ以上の潤滑剤、保存剤、界面活性剤または分散剤と一緒に含有する無菌の粉末または顆粒から製造することができる。
【0111】
典型的には、アルドステロン受容体アンタゴニストは約0.1〜2000mgの範囲の1日量で投与され、そして抗糖尿病剤は約0.1〜1000mgの範囲の1日量で投与される。含まれる場合、アンギオテンシン変換酵素阻害剤は約0.1〜1000mgの範囲の1日量で投与される。
経口投与の場合、医薬組成物は例えば錠剤、カプセル剤、懸濁剤または液剤の形態である。医薬組成物は好ましくは特定量の活性成分を含有する投与単位の形態で製造される。このような投与単位の例は錠剤またはカプセル剤である。これらは有利に各活性成分を例えば約1〜250mg、好ましくは約25〜150mgの量で含有することができる。哺乳動物に適した1日量は患者の症状および他の要因に応じて広く変動する。しかしながら、約0.01〜30mg/kg体重、特に約1〜15mg/kg体重の投与量が適当である。
【0112】
活性成分は組成物として注射により投与することもでき、例えば生理食塩水、デキストロースまたは水を好適な担体として使用することができる。各活性成分の好適な1日量は約0.01〜15mg/kg体重であり、治療する疾患に応じて1日に多数回投与で注射される。好ましい1日量は約1〜10mg/kg体重である。予防的治療に適応される化合物は好ましくは一般に1日あたり約0.1mg〜約15mg/kg体重の範囲の1日量で投与される。より好ましい投与量は約1〜約15mg/kg体重の範囲である。最も好ましくは、1日あたり約1〜約10mg/kg体重の範囲の投与量である。好適な投与量は1日あたり複数のサブ投与量で投与することができる。これらのサブ投与量は単位投与形態で投与することができる。典型的には、投与量またはサブ投与量は単位投与形態あたり約1mg〜約100mgの活性化合物を含有することができる。より好ましい投与量は単位投与形態あたり約2mg〜約50mgの活性化合物を含有する。最も好ましくは、単位投与量あたり約3mg〜約25mgの活性化合物を含有する投与形態である。
【0113】
併用療法において、抗糖尿病剤は使用される特定の薬剤、固有の効力、組成物の生体利用性および代謝安定性、並びにそれが即時放出または持続放出型として製剤化されているかどうかに応じて様々な投与量で存在することができる。特定の抗糖尿病剤に関する投与形態の例を下記に挙げるが、これらに限定されない:
【0114】
【表29】

【0115】
【表30】

【0116】
併用療法において、アルドステロン受容体アンタゴニストは約5mg〜約400mgの範囲の量で存在し、抗糖尿病剤は約1mg〜約10,000mgの範囲の量で存在し、そしてアルドステロン受容体アンタゴニストと抗糖尿病剤の割合は約400:1〜約1:2,000の範囲である。
好ましい併用療法において、アルドステロン受容体アンタゴニストは約10mg〜約200mgの範囲の量で存在し、抗糖尿病剤は約5mg〜約5,000mgの範囲の量で存在し、そしてアルドステロン受容体アンタゴニストと抗糖尿病剤の割合は約40:1〜約1:500の範囲である。
より好ましい併用療法において、アルドステロン受容体アンタゴニストは約20mg〜約100mgの範囲の量で存在し、抗糖尿病剤は約4,000mg〜約80mgの範囲の量で存在し、そしてアルドステロン受容体アンタゴニストと抗糖尿病剤の割合は約10:1〜約1:200の範囲である。
【0117】
他の典型的な抗糖尿病剤の投与量は前の段落で特定された上記アルドステロンアンタゴニストの投与量範囲の何れかでアルドステロンアンタゴニストと組合せてそれぞれ9,500mg、8,000mg、7,000mg、6,000mg、5,000mg、4,000mg、3,000mg、2,000mg、1,500mg、1,000mg、500mg、400mg、300mg、200mg、100mgであるが、これらに限定されない。
【0118】
本発明の併用療法により疾患状態を治療するための投薬計画は患者の種類、年齢、体重、性別および病的症状、疾患の重症度、投与経路、並びに使用する特定の化合物を含む様々な要因に従って選択され、幅広く変動する。
【0119】
治療を目的として、本発明の併用療法の活性成分は通常、指示された投与経路に適した1種またはそれ以上の補助剤と組み合わされる。経口投与の場合、成分はラクトース、スクロース、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウムおよびカルシウム塩、ゼラチン、アカシアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルアルコールと混合し、次に投与するのに都合良く錠剤化またはカプセル封入することができる。このようなカプセル剤または錠剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース中に活性化合物を分散させたもののように制御放出製剤であってよい。非経口投与用製剤は水性または非水性の等張性で無菌の注射溶液または懸濁液の形態であってよい。これらの溶液および懸濁液は経口投与用製剤で使用される1種またはそれ以上の担体または希釈剤を含有する無菌の粉末または顆粒から製造することができる。成分は水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウムおよび/または様々な緩衝液に溶解することができる。他の補助剤および投与態様は製薬分野でかなり幅広く知られている。
【0120】
本発明はさらに上記の治療法および/または予防法の実施で使用するのに適したキットを包含する。ある態様において、キットは1種またはそれ以上の前記エポキシ−ステロイド型アルドステロン受容体アンタゴニストからなる第1投与形態および表2に記載の抗糖
尿病剤からなる第2投与形態を本発明の方法を実施するのに十分な量で含有する。好ましくは、第1投与形態および第2投与形態は一緒になって治療的に有効な量の阻害剤を構成する。
【0121】
活性化合物の結晶性形態
アルドステロンアンタゴニストのエプレレノンについて、取り扱いが容易な再現性のある形態であり、容易に製造される安定した非吸湿性形態である結晶性形態が確認されている。これらにはH型、L型、様々な結晶性溶媒和物および非晶質のエプレレノンがある。これらの形態、これらの形態を製造する方法、並びに組成物および薬剤の製造におけるこれらの形態の使用はBartonらのWO 01/41535およびBartonらのWO 01/42272に開示されており、これらは全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【0122】
本発明の一実施態様において、使用されるアルドステロン受容体アンタゴニストはL型エプレレノンである。
本発明の他の実施態様において、使用されるアルドステロン受容体アンタゴニストはH型エプレレノンである。
本発明を実施するための好ましい態様を含む特定の例に関して本発明を詳しく説明したが、当業者ならば本発明の精神および範囲に入る上記の態様および技術についての数多くの変更および置換が存在することは理解されよう。
【0123】
追加の典型的な実施態様
追加の実施態様は次の通りである:
1.このような処置が必要である、心臓血管に関連する症状にかかりやすいまたはかかっている患者に第1量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび第2量の抗糖尿病剤を投与することからなり、第1量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび第2量の抗糖尿病剤は一緒になって治療的に有効な量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤を構成する、心臓血管に関連する症状を予防または治療する方法。
2.心臓血管に関連する症状は冠動脈疾患、高血圧症、心臓血管疾患、腎機能障害、脳血管疾患、血管疾患、網膜症、神経障害、高血糖症、高インシュリン血症、インシュリン抵抗性、浮腫、内皮機能障害および圧受容体機能障害からなる群より選択される実施態様1記載の方法。
3.心臓血管に関連する症状は高血圧症である実施態様1記載の方法。
4.心臓血管に関連する症状は心臓血管疾患である実施態様1記載の方法。
5.心臓血管疾患は冠動脈疾患、心不全、不整脈、拡張機能不全、収縮機能障害、虚血、突然心臓死、心筋線維症、血管線維症、動脈コンプライアンスの低下、心筋壊死病斑、血管損傷、心筋梗塞、左心室肥大、駆出率の減少、心疾患、血管壁肥大、内皮の肥厚、および冠動脈のフィブリノイド壊死からなる群より選択される実施態様4記載の方法。
【0124】
6.心臓血管疾患は心不全である実施態様4記載の方法。
7.心臓血管に関連する症状は腎機能障害である実施態様1記載の方法。
8.腎機能障害は糸球体硬化症、末期腎疾患、糖尿病性腎症、腎血流の減量、糸球体ろ過率の増加、タンパク尿、糸球体ろ過率の減少、クレアチニンクリアランスの低下、微量アルブミン尿、腎動脈疾患、虚血性病変、血栓性病変、全節性フィブリノイド壊死、糸球体毛細血管の局所性血栓症、毛細管内細胞の膨潤および増殖、毛細管外細胞の膨潤および増殖、場合により有意な過形成を伴なう網状メサンギウムマトリックスの膨張、並びに悪性腎硬化症からなる群より選択される実施態様7記載の方法。
9.心臓血管に関連する症状は脳血管疾患である実施態様1記載の方法。
10.脳血管疾患は卒中である実施態様9記載の方法。
11. 心臓血管に関連する症状は血管疾患である実施態様1記載の方法。
12. 血管疾患は血栓性血管疾患、増殖性動脈疾患、アテローム性動脈硬化症、減少した血
管コンプライアンスおよび内皮機能不全からなる群より選択される実施態様11記載の方法。
13. 心臓血管に関連する症状は浮腫である実施態様1記載の方法。
14. 浮腫は末梢組織浮腫、肝鬱血、脾鬱血、肝性腹水、呼吸器鬱血および肺鬱血からなる群より選択される実施態様13記載の方法。
15. 心臓血管に関連する症状は高血糖症、高インシュリン血症またはインシュリン抵抗性である実施態様1記載の方法。
【0125】
16. 高血糖症、高インシュリン血症またはインシュリン抵抗性はインシュリン抵抗性、I型糖尿病、II型糖尿病、耐糖能異常、前糖尿病状態および代謝症候群からなる群より選択される実施態様15記載の方法。
17. 心臓血管に関連する症状は冠状動脈性心臓病、高血圧症、心臓血管疾患、卒中およびII型糖尿病からなる群より選択される実施態様1記載の方法。
18. 心臓血管に関連する症状は冠状動脈性心臓病、高血圧症、心不全、左心室肥大および卒中からなる群より選択される実施態様17記載の方法。
19. アルドステロン受容体アンタゴニストは9α,11α−置換エポキシ部分を有することを特徴とするエポキシ−ステロイド型化合物である実施態様1記載の方法。
20. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様1記載の方法。21. アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロラクトン型化合物である実施態様1記載の方法。
22. アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロノラクトンである実施態様1記載の方法。
【0126】
23. アルドステロン受容体アンタゴニストは
プレグナ−4−エン−7,21−ジカルボン酸,9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−, g−ラクトン,メチルエステル, (7a,11a,17a)−;
プレグナ−4−エン−7,21−ジカルボン酸,9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−ジメチルエステル, (7a,11a,17a)−;
3'H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸,9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,g−ラクトン, (6b,7b,11b,17b)−;
プレグナ−4−エン−7,21−ジカルボン酸,9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,7−(1−メチルエチル)エステル,モノカリウム塩, (7a,11a,17a)−;
プレグナ−4−エン−7,21−ジカルボン酸,9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,7−メチルエチルエステル,モノカリウム塩, (7a,11a,17a)−;
3'H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−1,4,6−トリエン−21−カルボン酸,9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,g−ラクトン,(6a,7a,11a)−;
3'H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸,9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,メチルエステル, (6a,7a,11a,17a)−;
3'H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸,9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,モノカリウム塩, (6a,7a,11a,17a)−;
3'H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸,9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,g−ラクトン,(6a,7a,11a,17a)−;
プレグナ−4−エン−7,21−ジカルボン酸,9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,g−ラクトン,エチルエステル, (7a,11a,17a)−;および
プレグナ−4−エン−7,21−ジカルボン酸,9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,g−ラクトン,1−メチルエチルエステル,(7a,11a,17a)−
からなる群より選択される実施態様1記載の方法。
【0127】
24. 抗糖尿病剤はアカルボース、アセトヘキサミド、ブホルミン、1−ブチル−3−メタニル尿素、カルブタミド、クロルプロパミド、シグリタゾン、グリボルヌリド、グリクラジ
ド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、グリブリド、グリブチアゾール、グリブゾール、グリヘキサミド、グリミジン、グリピナミド、メトホルミン、ミグリトール、ナテグリニド、フェンブタミド、フェンホルミン、ピオグリタゾン、プロインシュリン、レパグリニド、ロシグリタゾン、トラザミド、トルブタミド、トルシクラミド、トログリタゾン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様1記載の方法。
【0128】
25. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様24記載の方法。26. 抗糖尿病剤はメトホルミン、あるいはその薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸またはプロドラッグである実施態様1記載の方法。
27. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様26記載の方法。28. 抗糖尿病剤はスルホニル尿素、あるいはその薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸またはプロドラッグである実施態様1記載の方法。
29. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様28記載の方法。30. 抗糖尿病剤はPPARγアゴニスト、あるいはその薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸またはプロドラッグである実施態様1記載の方法。
31. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様30記載の方法。32. 抗糖尿病剤はインシュリン注射剤、あるいはその薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸またはプロドラッグである実施態様1記載の方法。
33. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様32記載の方法。34. 抗糖尿病剤はメグリチニド類似体または他の非スルホニル尿素インシュリン分泌促進剤である実施態様1記載の方法。
35. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様34記載の方法。
【0129】
36. 抗糖尿病剤はGLP−1受容体のアゴニスト、DPP−IV阻害剤、PPARα/γデュアルアゴニスト、吸入インシュリン、経口インシュリン、PTP−1B阻害剤およびフルクトース−1,6−ビスホスファターゼ阻害剤、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様1記載の方法。
37. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様36記載の方法。38. 抗糖尿病剤は糖質コルチコイドアンタゴニスト、グルカゴンアンタゴニスト、アディポネクチン/APM1/acrp30および関連する類似体、11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1阻害剤およびインシュリン受容体活性化剤、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様1記載の方法。
39. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様38記載の方法。
【0130】
40. アルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤は連続して投与される実施態様1記載の方法。
41. アルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤は実質的に同時に投与される実施態様1記載の方法。
42. アルドステロン受容体アンタゴニストは約0.1〜2000mgの範囲の1日量で投与され、そして抗糖尿病剤は約0.1〜1000mgの範囲の1日量で投与される実施態様1記載の方法。
43. 第1量のアルドステロン受容体アンタゴニストは患者に対して実質的な利尿または降圧効果をもたらさない実施態様1記載の方法。
【0131】
44. レニン阻害剤、アンギオテンシンIアンタゴニスト、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、α−アドレナリン作動性受容体ブロッカー、β−アドレナリン作動性受容体ブロッカー、カルシウムチャンネルブロッカー、エンドセリン受容体アンタゴニスト、エンドセリン変換酵素阻害剤、血管拡張薬、利尿剤、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、アピカルナトリウム胆汁酸輸送阻害剤、コレステロール吸収阻
害剤、フィブラート、ナイアシン、スタチン、コレステリルエステル転送蛋白阻害剤、胆汁酸抑制剤、抗酸化剤、ビタミンE、プロブコール、IIb/IIIaアンタゴニスト、キセミロフィバンおよびオルボフィバンからなる群より選択される第3量の化合物をさらに投与する実施態様1記載の方法。
45. さらに第3量のアンギオテンシン変換酵素阻害剤を投与する実施態様1記載の方法。
46. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンおよびスピロノラクトンからなる群より選択される実施態様45記載の方法。
47. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様45記載の方法。48. アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロノラクトンである実施態様45記載の方法。
【0132】
49. 抗糖尿病剤はアカルボース、アセトヘキサミド、ブホルミン、1−ブチル−3−メタニル尿素、カルブタミド、クロルプロパミド、シグリタゾン、グリボルヌリド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、グリブリド、グリブチアゾール、グリブゾール、グリヘキサミド、グリミジン、グリピナミド、メトホルミン、ミグリトール、ナテグリニド、フェンブタミド、フェンホルミン、ピオグリタゾン、プロインシュリン、レパグリニド、ロシグリタゾン、トラザミド、トルブタミド、トルシクラミド、トログリタゾン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様45記載の方法。
50. アンギオテンシン変換酵素阻害剤はベナザプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キノプリル、ラミプリル、トランドラプリル、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様45記載の方法。
【0133】
51. 抗糖尿病剤はアカルボース、アセトヘキサミド、ブホルミン、1−ブチル−3−メタニル尿素、カルブタミド、クロルプロパミド、シグリタゾン、グリボルヌリド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、グリブリド、グリブチアゾール、グリブゾール、グリヘキサミド、グリミジン、グリピナミド、メトホルミン、ミグリトール、ナテグリニド、フェンブタミド、フェンホルミン、ピオグリタゾン、プロインシュリン、レパグリニド、ロシグリタゾン、トラザミド、トルブタミド、トルシクラミド、トログリタゾン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択され、そしてアンギオテンシン変換酵素阻害剤はベナザプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キノプリル、ラミプリル、トランドラプリル、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様45記載の方法。
【0134】
52. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様51記載の方法。
53. アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロノラクトンである実施態様51記載の方法。
54. アルドステロン受容体アンタゴニスト、抗糖尿病剤およびアンギオテンシン変換酵素阻害剤は連続して投与される実施態様45記載の方法。
55. アルドステロン受容体アンタゴニスト、抗糖尿病剤およびアンギオテンシン変換酵素阻害剤は実質的に同時に投与される実施態様45記載の方法。
56. アルドステロン受容体アンタゴニストは約0.1〜2000mgの範囲の1日量で投与され、抗糖尿病剤は約0.1〜1000mgの範囲の1日量で投与され、そしてアンギオテンシン変換酵素阻害剤は約0.1〜1000mgの範囲の1日量で投与される実施態様45記載の方法。
【0135】
57. 第1量のアルドステロン受容体アンタゴニストは患者に対して実質的な利尿または降圧効果をもたらさない実施態様45記載の方法。
58. アルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤からなる組合せ。
59. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様58記載の組合せ。
60. アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロノラクトンである実施態様58記載の組合せ。
61. 第1量のアルドステロン受容体アンタゴニスト、第2量の抗糖尿病剤および薬学的に許容しうる担体を含有する医薬組成物。
【0136】
62. 第1量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび第2量の抗糖尿病剤は一緒になって治療的に有効な量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤を構成する実施態様61記載の組成物。
63. アルドステロン受容体アンタゴニストは9α,11α−置換エポキシ部分を有することを特徴とするエポキシ−ステロイド型化合物である実施態様61記載の組成物。
64. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様61記載の組成物。
65. アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロラクトン型化合物である実施態様61記載の組成物。
66. アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロノラクトンである実施態様61記載の組成物。
【0137】
67. アルドステロン受容体アンタゴニストは
プレグナ−4−エン−7,21−ジカルボン酸,9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−, g−ラクトン,メチルエステル, (7a,11a,17a)−;
プレグナ−4−エン−7,21−ジカルボン酸,9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−ジメチルエステル, (7a,11a,17a)−;
3'H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸,9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,g−ラクトン, (6b,7b,11b,17b)−;
プレグナ−4−エン−7,21−ジカルボン酸,9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,7−(1−メチルエチル)エステル,モノカリウム塩, (7a,11a,17a)−;
プレグナ−4−エン−7,21−ジカルボン酸,9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,7−メチルエチルエステル,モノカリウム塩, (7a,11a,17a)−;
3'H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−1,4,6−トリエン−21−カルボン酸,9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,g−ラクトン,(6a,7a,11a)−;
3'H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸,9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,メチルエステル, (6a,7a,11a,17a)−;
3'H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸,9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,モノカリウム塩, (6a,7a,11a,17a)−;
3'H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸,9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,g−ラクトン,(6a,7a,11a,17a)−;
プレグナ−4−エン−7,21−ジカルボン酸,9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,g−ラクトン,エチルエステル, (7a,11a,17a)−;および
プレグナ−4−エン−7,21−ジカルボン酸,9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,g−ラクトン,1−メチルエチルエステル,(7a,11a,17a)−
からなる群より選択される実施態様61記載の組成物。
【0138】
68. 抗糖尿病剤はアカルボース、アセトヘキサミド、ブホルミン、1−ブチル−3−メタニル尿素、カルブタミド、クロルプロパミド、シグリタゾン、グリボルヌリド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、グリブリド、グリブチアゾール、グリブゾール、グリヘキサミド、グリミジン、グリピナミド、メトホルミン、ミグリトール、ナテグリニド、フェンブタミド、フェンホルミン、ピオグリタゾン、プロインシュリン、レパグリニド、ロシグリタゾン、トラザミド、トルブタミド、トルシクラミ
ド、トログリタゾン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様61記載の組成物。
【0139】
69. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様68記載の組成物。
70. 抗糖尿病剤はメトホルミン、あるいはその薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸またはプロドラッグである実施態様61記載の組成物。
71. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様70記載の組成物。
72. 抗糖尿病剤はスルホニル尿素、あるいはその薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸またはプロドラッグである実施態様61記載の組成物。
73. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様72記載の組成物。
74. 抗糖尿病剤はPPARγアゴニスト、あるいはその薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸またはプロドラッグである実施態様61記載の組成物。
75. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様74記載の組成物。
76. 抗糖尿病剤はインシュリン注射剤、あるいはその薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸またはプロドラッグである実施態様61記載の組成物。
77. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様76記載の組成物。
78. 抗糖尿病剤はメグリチニド類似体または他の非スルホニル尿素インシュリン分泌促進剤である実施態様61記載の組成物。
79. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様78記載の組成物。
【0140】
80. 抗糖尿病剤はGLP−1受容体のアゴニスト、DPP−IV阻害剤、PPARα/γデュアルアゴニスト、吸入インシュリン、経口インシュリン、PTP−1B阻害剤およびフルクトース−1,6−ビスホスファターゼ阻害剤、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様61記載の組成物。
81. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様80記載の組成物。
82. 抗糖尿病剤は糖質コルチコイドアンタゴニスト、グルカゴンアンタゴニスト、アディポネクチン/APM1/acrp30および関連する類似体、11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1阻害剤およびインシュリン受容体活性化剤、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様61記載の組成物。
83. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様82記載の組成物。
84. 第1量のアルドステロン受容体アンタゴニストは患者に対して実質的な利尿または降圧効果をもたらさない実施態様61記載の組成物。
【0141】
85. レニン阻害剤、アンギオテンシンIアンタゴニスト、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、α−アドレナリン作動性受容体ブロッカー、β−アドレナリン作動性受容体ブロッカー、カルシウムチャンネルブロッカー、エンドセリン受容体アンタゴニスト、エンドセリン変換酵素阻害剤、血管拡張薬、利尿剤、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、アピカルナトリウム胆汁酸輸送阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、ナイアシン、スタチン、コレステリルエステル転送蛋白阻害剤、胆汁酸抑制剤、抗酸化剤、ビタミンE、プロブコール、IIb/IIIaアンタゴニスト、キセミロフィバンおよびオルボフィバンからなる群より選択される第3量の化合物をさらに含有す
る実施態様61記載の組成物。
86. さらに第3量のアンギオテンシン変換酵素阻害剤を含有する実施態様61記載の組成物。
87. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンおよびスピロノラクトンからなる群より選択される実施態様86記載の組成物。
88. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様86記載の組成物。
【0142】
89. アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロノラクトンである実施態様86記載の組成物。
90. 抗糖尿病剤はアカルボース、アセトヘキサミド、ブホルミン、1−ブチル−3−メタニル尿素、カルブタミド、クロルプロパミド、シグリタゾン、グリボルヌリド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、グリブリド、グリブチアゾール、グリブゾール、グリヘキサミド、グリミジン、グリピナミド、メトホルミン、ミグリトール、ナテグリニド、フェンブタミド、フェンホルミン、ピオグリタゾン、プロインシュリン、レパグリニド、ロシグリタゾン、トラザミド、トルブタミド、トルシクラミド、トログリタゾン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様86記載の組成物。
【0143】
91. アンギオテンシン変換酵素阻害剤はベナザプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キノプリル、ラミプリル、トランドラプリル、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様86記載の組成物。
【0144】
92. 抗糖尿病剤はアカルボース、アセトヘキサミド、ブホルミン、1−ブチル−3−メタニル尿素、カルブタミド、クロルプロパミド、シグリタゾン、グリボルヌリド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、グリブリド、グリブチアゾール、グリブゾール、グリヘキサミド、グリミジン、グリピナミド、メトホルミン、ミグリトール、ナテグリニド、フェンブタミド、フェンホルミン、ピオグリタゾン、プロインシュリン、レパグリニド、ロシグリタゾン、トラザミド、トルブタミド、トルシクラミド、トログリタゾン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択され、そしてアンギオテンシン変換酵素阻害剤はベナザプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キノプリル、ラミプリル、トランドラプリル、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様86記載の組成物。
【0145】
93. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様92記載の組成物。
94. アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロノラクトンである実施態様92記載の組成物。
95. 第1量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび第2量の抗糖尿病剤を含有するキット。
96. 第1量の単位投与形態のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび第2量の単位投与形態の抗糖尿病剤を含有する実施態様95記載のキット。
97. アルドステロン受容体アンタゴニストは9α,11α−置換エポキシ部分を有することを特徴とするエポキシ−ステロイド型化合物である実施態様95記載のキット。
98. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様95記載のキット。
99. アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロラクトン型化合物である実施態様95記
載のキット。
100. アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロノラクトンである実施態様95記載のキット。
【0146】
101. アルドステロン受容体アンタゴニストは
プレグナ−4−エン−7,21−ジカルボン酸,9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−, g−ラクトン,メチルエステル, (7a,11a,17a)−;
プレグナ−4−エン−7,21−ジカルボン酸,9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−ジメチルエステル, (7a,11a,17a)−;
3'H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸,9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,g−ラクトン, (6b,7b,11b,17b)−;
プレグナ−4−エン−7,21−ジカルボン酸,9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,7−(1−メチルエチル)エステル,モノカリウム塩, (7a,11a,17a)−;
プレグナ−4−エン−7,21−ジカルボン酸,9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,7−メチルエチルエステル,モノカリウム塩, (7a,11a,17a)−;
3'H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−1,4,6−トリエン−21−カルボン酸,9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,g−ラクトン,(6a,7a,11a)−;
3'H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸,9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,メチルエステル, (6a,7a,11a,17a)−;
3'H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸,9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,モノカリウム塩, (6a,7a,11a,17a)−;
3'H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸,9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,g−ラクトン,(6a,7a,11a,17a)−;
プレグナ−4−エン−7,21−ジカルボン酸,9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,g−ラクトン,エチルエステル, (7a,11a,17a)−;および
プレグナ−4−エン−7,21−ジカルボン酸,9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−,g−ラクトン,1−メチルエチルエステル,(7a,11a,17a)−
からなる群より選択される実施態様95記載のキット。
【0147】
102. 抗糖尿病剤はアカルボース、アセトヘキサミド、ブホルミン、1−ブチル−3−メタニル尿素、カルブタミド、クロルプロパミド、シグリタゾン、グリボルヌリド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、グリブリド、グリブチアゾール、グリブゾール、グリヘキサミド、グリミジン、グリピナミド、メトホルミン、ミグリトール、ナテグリニド、フェンブタミド、フェンホルミン、ピオグリタゾン、プロインシュリン、レパグリニド、ロシグリタゾン、トラザミド、トルブタミド、トルシクラミド、トログリタゾン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様95記載のキット。
【0148】
103. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様102記載のキット。
104. 抗糖尿病剤はメトホルミン、あるいはその薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸またはプロドラッグである実施態様95記載のキット。
105. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様104記載のキット。
106. 抗糖尿病剤はスルホニル尿素、あるいはその薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸またはプロドラッグである実施態様95記載のキット。
107. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様106記載のキット。
108. 抗糖尿病剤はPPARγアゴニスト、あるいはその薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸またはプロドラッグである実施態様95記載のキット。
109. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様108記載のキット。
【0149】
110. 抗糖尿病剤はインシュリン注射剤、あるいはその薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸またはプロドラッグである実施態様95記載のキット。
111. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様110記載のキット。
112. 抗糖尿病剤はメグリチニド類似体または他の非スルホニル尿素インシュリン分泌促進剤である実施態様95記載のキット。
113. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様112記載のキット。
114. 抗糖尿病剤はGLP−1受容体のアゴニスト、DPP−IV阻害剤、PPARα/γデュアルアゴニスト、吸入インシュリン、経口インシュリン、PTP−1B阻害剤およびフルクトース−1,6−ビスホスファターゼ阻害剤、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様95記載のキット。
115. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様114記載のキット。
【0150】
116. 抗糖尿病剤は糖質コルチコイドアンタゴニスト、グルカゴンアンタゴニスト、アディポネクチン/APM1/acrp30および関連する類似体、11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1阻害剤およびインシュリン受容体活性化剤、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様95記載のキット。
117. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様116記載のキット。
118. さらに第3量のアンギオテンシン変換酵素阻害剤を含有する実施態様95記載のキット。
119. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンおよびスピロノラクトンからなる群より選択される実施態様118記載のキット。
120. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様118記載のキット。
121. アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロノラクトンである実施態様118記載のキット。
【0151】
122. 抗糖尿病剤はアカルボース、アセトヘキサミド、ブホルミン、1−ブチル−3−メタニル尿素、カルブタミド、クロルプロパミド、シグリタゾン、グリボルヌリド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、グリブリド、グリブチアゾール、グリブゾール、グリヘキサミド、グリミジン、グリピナミド、メトホルミン、ミグリトール、ナテグリニド、フェンブタミド、フェンホルミン、ピオグリタゾン、プロインシュリン、レパグリニド、ロシグリタゾン、トラザミド、トルブタミド、トルシクラミド、トログリタゾン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様118記載のキット。
123. アンギオテンシン変換酵素阻害剤はベナザプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キノプリル、ラミプリル、トランドラプリル、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様118記載のキット。
【0152】
124. 抗糖尿病剤はアカルボース、アセトヘキサミド、ブホルミン、1−ブチル−3−メタニル尿素、カルブタミド、クロルプロパミド、シグリタゾン、グリボルヌリド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、グリブリド、グリブチ
アゾール、グリブゾール、グリヘキサミド、グリミジン、グリピナミド、メトホルミン、ミグリトール、ナテグリニド、フェンブタミド、フェンホルミン、ピオグリタゾン、プロインシュリン、レパグリニド、ロシグリタゾン、トラザミド、トルブタミド、トルシクラミド、トログリタゾン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択され、そしてアンギオテンシン変換酵素阻害剤はベナザプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キノプリル、ラミプリル、トランドラプリル、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様118記載のキット。
【0153】
125. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様124記載のキット。
126. アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロノラクトンである実施態様124記載のキット。
【0154】
他の実施態様
127. 心臓血管に関連する症状にかかりやすいまたはかかっている患者に第1量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび第2量の抗糖尿病剤を投与することからなり、第1量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび第2量の抗糖尿病剤は一緒になって治療的に有効な量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤を構成する、このような症状の治療法。
128. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様127記載の方法。
129. エプレレノンは約1mg〜約250mgの範囲の1日量で投与される実施態様128記載の方法。
130. 心臓血管に関連する症状は冠動脈疾患、高血圧症、心臓血管疾患、腎機能障害、糖尿病性腎症、心不全、脳血管疾患、血管疾患、網膜症、神経障害、高血糖症、高インシュリン血症、インシュリン抵抗性、浮腫、内皮機能障害および圧受容体機能障害からなる群より選択される実施態様128記載の方法。
131. 心臓血管に関連する症状は高血圧症である実施態様130記載の方法。
132. 心臓血管に関連する症状は糖尿病性腎症である実施態様130記載の方法。
133. 心臓血管に関連する症状は心不全である実施態様130記載の方法。
【0155】
134. 抗糖尿病剤はα−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアニド、インシュリン、メグリチニド、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様128記載の方法。
135. 抗糖尿病剤はミグリトール、アカルボース、メトホルミン、インシュリン、ナテグリニド、レパグリニド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリメピリド、グリブリド、グリピジド、グリクラジド、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様128記載の方法。
136. 抗糖尿病剤はミグリトールである実施態様128記載の方法。
137. 抗糖尿病剤はグリピジドである実施態様128記載の方法。
138. 抗糖尿病剤はグリブリドである実施態様128記載の方法。
139. 抗糖尿病剤はメトホルミンである実施態様128記載の方法。
140. アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロノラクトンである実施態様127記載の方法。
【0156】
141. 心臓血管に関連する症状は冠動脈疾患、高血圧症、心臓血管疾患、腎機能障害、糖尿病性腎症、心不全、脳血管疾患、血管疾患、網膜症、神経障害、高血糖症、高インシュ
リン血症、インシュリン抵抗性、浮腫、内皮機能障害および圧受容体機能障害からなる群より選択される実施態様140記載の方法。
142. 抗糖尿病剤はα−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアニド、インシュリン、メグリチニド、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様140記載の方法。
【0157】
143. 抗糖尿病剤はミグリトール、アカルボース、メトホルミン、インシュリン、ナテグリニド、レパグリニド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリメピリド、グリブリド、グリピジド、グリクラジド、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様140記載の方法。
144. 抗糖尿病剤はミグリトールである実施態様140記載の方法。
145. 抗糖尿病剤はグリピジドである実施態様140記載の方法。
【0158】
146. 抗糖尿病剤はグリブリドである実施態様140記載の方法。
147. 抗糖尿病剤はメトホルミンである実施態様140記載の方法。
148. アルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤は連続して投与される実施態様127記載の方法。
149. アルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤は実質的に同時に投与される実施態様127記載の方法。
150. 第1量のアルドステロン受容体アンタゴニスト、第2量の抗糖尿病剤および薬学的に許容しうる担体を含有する医薬組成物。
151. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様150記載の組成物。
152. エプレレノンは約1mg〜約250mgの範囲の1日量で投与される実施態様151記載の組成物。
【0159】
153. 心臓血管に関連する症状は冠動脈疾患、高血圧症、心臓血管疾患、腎機能障害、糖尿病性腎症、心不全、脳血管疾患、血管疾患、網膜症、神経障害、高血糖症、高インシュリン血症、インシュリン抵抗性、浮腫、内皮機能障害および圧受容体機能障害からなる群より選択される実施態様151記載の組成物。
154. 心臓血管に関連する症状は高血圧症である実施態様153記載の方法。
155. 心臓血管に関連する症状は糖尿病性腎症である実施態様153記載の方法。
156. 心臓血管に関連する症状は心不全である実施態様153記載の方法。
157. 抗糖尿病剤はα−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアニド、インシュリン、メグリチニド、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様151記載の組成物。
【0160】
158. 抗糖尿病剤はミグリトール、アカルボース、メトホルミン、インシュリン、ナテグリニド、レパグリニド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリメピリド、グリブリド、グリピジド、グリクラジド、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様151記載の組成物。
159. 抗糖尿病剤はミグリトールである実施態様151記載の組成物。
160. 抗糖尿病剤はグリピジドである実施態様151記載の組成物。
161. 抗糖尿病剤はグリブリドである実施態様151記載の組成物。
162. 抗糖尿病剤はメトホルミンである実施態様151記載の組成物。
163. アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロノラクトンである実施態様150記載の組成物。
【0161】
164. 心臓血管に関連する症状は冠動脈疾患、高血圧症、心臓血管疾患、腎機能障害、糖尿病性腎症、心不全、脳血管疾患、血管疾患、網膜症、神経障害、高血糖症、高インシュリン血症、インシュリン抵抗性、浮腫、内皮機能障害および圧受容体機能障害からなる群より選択される実施態様163記載の組成物。
165. 抗糖尿病剤はα−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアニド、インシュリン、メグリチニド、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様163記載の組成物。
166. 抗糖尿病剤はミグリトール、アカルボース、メトホルミン、インシュリン、ナテグリニド、レパグリニド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリメピリド、グリブリド、グリピジド、グリクラジド、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様163記載の組成物。
167. 抗糖尿病剤はミグリトールである実施態様163記載の組成物。
168. 抗糖尿病剤はグリピジドである実施態様163記載の組成物。
169. 抗糖尿病剤はグリブリドである実施態様163記載の組成物。
170. 抗糖尿病剤はメトホルミンである実施態様163記載の組成物。
171. 第1量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび第2量の抗糖尿病剤を含有するキット。
172. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様171記載のキット。
173. 抗糖尿病剤はα−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアニド、インシュリン、メグリチニド、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様172記載のキット。
【0162】
174. 抗糖尿病剤はミグリトール、アカルボース、メトホルミン、インシュリン、ナテグリニド、レパグリニド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリメピリド、グリブリド、グリピジド、グリクラジド、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様172記載のキット。
175. アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロノラクトンである実施態様171記載のキット。
176. 抗糖尿病剤はα−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアニド、インシュリン、メグリチニド、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様175記載のキット。
177. 抗糖尿病剤はミグリトール、アカルボース、メトホルミン、インシュリン、ナテグリニド、レパグリニド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリメピリド、グリブリド、グリピジド、グリクラジド、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様175記載のキット。
【0163】
他の追加の典型的な実施態様
178. 心臓血管に関連する症状にかかりやすいまたはかかっている患者を治療するために抗糖尿病剤と同時投与する医薬組成物の製造におけるアルドステロン受容体アンタゴニストの使用。
179.本組成物はさらに抗糖尿病剤を含有することを特徴とし、アルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤は一緒になって治療的に有効な量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤を構成する実施態様178記載の使用。
180. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様178または179記載の使用。
181. アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロノラクトンである実施態様178または179記載の使用。
182. 抗糖尿病剤はα−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアニド、インシュリン、メグリチニド、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様178〜181の何れかに記載の使用。
【0164】
183. 抗糖尿病剤はミグリトール、アカルボース、メトホルミン、インシュリン、ナテグリニド、レパグリニド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリメピリド、グリブリド、グリピジド、グリクラジド、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様178〜181の何れかに記載の使用。
184. アルドステロン受容体アンタゴニストは約1mg〜約250mgの範囲の1日量で投与される実施態様178〜183の何れかに記載の使用。
185. 心臓血管に関連する症状は冠動脈疾患、高血圧症、心臓血管疾患、腎機能障害、糖尿病性腎症、心不全、脳血管疾患、血管疾患、網膜症、神経障害、高血糖症、高インシュリン血症、インシュリン抵抗性、浮腫、内皮機能障害および圧受容体機能障害からなる群より選択される実施態様178〜184の何れかに記載の使用。
186. 第1量のアルドステロン受容体アンタゴニスト、第2量の抗糖尿病剤および薬学的に許容しうる担体を含有する医薬組成物。
【0165】
187. アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである実施態様186記載の組成物。
188. アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロノラクトンである実施態様186記載の組成物。
189. 抗糖尿病剤はα−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアニド、インシュリン、メグリチニド、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様186〜188の何れかに記載の組成物。
190. 抗糖尿病剤はミグリトール、アカルボース、メトホルミン、インシュリン、ナテグリニド、レパグリニド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリメピリド、グリブリド、グリピジド、グリクラジド、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される実施態様186〜188の何れかに記載の組成物。
【0166】
191. アルドステロン受容体アンタゴニストは約1mg〜約250mgの範囲の1日量で投与される実施態様186〜190の何れかに記載の組成物。
192. 第1量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび第2量の抗糖尿病剤を含有するキット。
本明細書で引用された書籍、雑誌、学術論文、特許または他の刊行物などはすべて参照により本明細書に組み入れられる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓血管に関連する症状にかかりやすいまたはかかっている患者を治療するために抗糖尿病剤と同時投与する医薬組成物の製造におけるアルドステロン受容体アンタゴニストの使用。
【請求項2】
組成物はさらに抗糖尿病剤を含有することを特徴とし、アルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤は一緒になって治療的に有効な量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび抗糖尿病剤を構成する請求項1記載の使用。
【請求項3】
アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである請求項1または2記載の使用。
【請求項4】
アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロノラクトンである請求項1または2記載の使用。
【請求項5】
抗糖尿病剤はα−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアニド、インシュリン、メグリチニド、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される請求項1〜4の何れかの項記載の使用。
【請求項6】
抗糖尿病剤はミグリトール、アカルボース、メトホルミン、インシュリン、ナテグリニド、レパグリニド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリメピリド、グリブリド、グリピジド、グリクラジド、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される請求項1〜4の何れかの項記載の使用。
【請求項7】
アルドステロン受容体アンタゴニストは約1mg〜約250mgの範囲の1日量で投与される請求項1〜6の何れかの項記載の使用。
【請求項8】
心臓血管に関連する症状は冠動脈疾患、高血圧症、心臓血管疾患、腎機能障害、糖尿病性腎症、心不全、脳血管疾患、血管疾患、網膜症、神経障害、高血糖症、高インシュリン血症、インシュリン抵抗性、浮腫、内皮機能障害および圧受容体機能障害からなる群より選択される請求項1〜7の何れかの項記載の使用。
【請求項9】
第1量のアルドステロン受容体アンタゴニスト、第2量の抗糖尿病剤および薬学的に許容しうる担体を含有する医薬組成物。
【請求項10】
アルドステロン受容体アンタゴニストはエプレレノンである請求項9記載の組成物。
【請求項11】
アルドステロン受容体アンタゴニストはスピロノラクトンである請求項9記載の組成物。
【請求項12】
抗糖尿病剤はα−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアニド、インシュリン、メグリチニド、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される請求項9〜11の何れかの項記載の組成物。
【請求項13】
抗糖尿病剤はミグリトール、アカルボース、メトホルミン、インシュリン、ナテグリニド、レパグリニド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、
グリメピリド、グリブリド、グリピジド、グリクラジド、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩、エステル、共役酸およびプロドラッグからなる群より選択される請求項9〜12の何れかの項記載の組成物。
【請求項14】
アルドステロン受容体アンタゴニストは約1mg〜約250mgの範囲の1日量で投与される請求項9〜13の何れかの項記載の組成物。
【請求項15】
第1量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび第2量の抗糖尿病剤を含有するキット。

【公表番号】特表2007−525440(P2007−525440A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508973(P2006−508973)
【出願日】平成16年3月2日(2004.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/006277
【国際公開番号】WO2004/082599
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(502427323)ファルマシア・コーポレーション (67)
【Fターム(参考)】