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アルドースレダクターゼ阻害剤
説明

アルドースレダクターゼ阻害剤

【課題】優れたアルドースレダクターゼ阻害作用を有し、かつ安全性の高いアルドースレダクターゼ阻害剤を提供する。
【解決手段】ピーナッツ種皮、アイブライト、樺木葉、カツアバ、リンデン、及びカツミレからなる群より選択される少なくともいずれか1種の加工物を有効成分として含有する、アルドースレダクターゼ阻害剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然物の抽出物またはその成分を有効成分として含有するアルドースレダクターゼ阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
通常グルコースはヘキソキナーゼにより解糖系へと代謝されるが,高血糖状態が持続する糖尿病時には、アルドースレダクターゼ活性が亢進し、ポリオール経路での代謝が促進する。その際産生されるD‐ソルビトールは比較的安定で,いったん産生されると細胞内に蓄積する。このソルビトールの蓄積により細胞内浸透圧が上昇し、細胞浮腫や神経細胞変性などが起こり組織障害を引き起こす。その結果として糖尿病性合併症である網膜症、末梢神経障害、腎症等が発症すると考えられている。これら合併症は糖尿病患者のQOL(quolity of life)を著しく低下させるため、糖尿病治療にはこれら合併症を抑えることが重要となる。このような背景から、糖尿病合併症の予防および治療にはアルドースレダクターゼを抑制する必要があると考えられている(非特許文献1、2)。
【0003】
これまでにも、アルドースレダクターゼ阻害剤が開発されており、新しい糖尿病合併症治療薬として臨床においても使用されている。例えば、アルドースレダクターゼを阻害することを目的とした医薬品としては、従来、キネダック(登録商標、一般名:エパルレスタット、小野薬品工業株式会社)が知られている。しかしながら、キネダックには、血小板減少や肝機能障害などの副作用があり、また医師による処方が必要であることなどから、一般に使用できるものではないという問題がある。このため、副作用が軽減され、また医師による処方を必要としないアルドースレダクターゼ阻害剤が求められている。
【0004】
これまでに、西洋人参がアルドースレダクターゼ阻害作用を有することが報告されており、西洋人参が、糖尿病合併症などの予防に有用であることが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特許第3803054号公報
【非特許文献1】AGEs研究の最前線 今泉勉 メディカルレビュー社 2004年5月20日発行 P69−71
【非特許文献2】糖尿病合併症と薬物治療 矢部千尋 松仁会医学誌 2001年 40(2)号 P81
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、天然物の加工物を有効成分として含有するアルドースレダクターゼ阻害剤、該アルドースレダクターゼ阻害剤を有効成分として含有する医薬組成物及び飲食品組成物を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の植物の加工物が、高いアルドースレダクターゼ阻害作用を有することを見出した。本発明は上記知見に基づきさらに検討を重ねた結果完成されたものであり、下記に掲げるものである。
【0007】
本発明は、以下のアルドースレダクターゼ阻害剤、医薬品組成物及び飲食品組成物を提供するものである。
項1. ピーナッツ、アイブライト、樺木、カツアバ、リンデン、及びカツミレからなる群より選択される少なくともいずれか1種の植物の加工物を有効成分として含有する、アルドースレダクターゼ阻害剤。
項2. ピーナッツの加工物と、アイブライト、樺木、カツアバ、リンデン及びカミツレからなる群より選択される少なくともいずれか1種の植物の加工物とを有効成分として含有する、項1に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
項3. 少なくともアイブライト、樺木、カツアバ、リンデン及びカミツレからなる群より選択される2種以上の植物の加工物を有効成分として含有する、項1に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
項4. 項1〜項3に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤を有効成分として、薬学的に許容される担体及び/または添加剤と共に含有する、医薬組成物。
項5. 糖尿病合併症の予防用及び/または改善用である、項3に記載の医薬組成物。
項6. 項1〜項3に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤を有効成分として含有する飲食品組成物。
項7. 糖尿病合併症の予防用及び/または改善用である、項6に記載の飲食品組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明のアルドースレダクターゼ阻害剤は、これまでにアルドースレダクターゼ阻害作用を有し、糖尿病合併症の予防に有用であると知られていた西洋人参由来のアルドースレダクターゼ阻害剤よりも、優れたアルドースレダクターゼ阻害作用を有する。また、本発明のアルドースレダクターゼ阻害剤の有効成分は植物の加工物であり、これらの植物はすでに食用可能であると知られていることから安全である。
【0009】
このような本発明のアルドースレダクターゼ阻害剤を含有する医薬組成物を投与することにより、体内でのアルドースレダクターゼによる反応を阻害することができ、これによってポリオール経路における代謝促進が抑制されることから、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害等の糖尿病合併症を予防及び/または改善することができる。
【0010】
また、本発明のアルドースレダクターゼ阻害剤を含有する飲食品組成物は、日常的に容易に摂取することができることから、継続的に体内でのアルドースレダクターゼ活性を阻害することができ、これによって継続的かつ効果的にポリオール経路における代謝活性を抑制することができ、より簡便かつ患者に不快感を与えることなく、前記糖尿病合併症を予防及び/または改善することができる。
【0011】
このように、本発明のアルドースレダクターゼ阻害剤、該アルドースレダクターゼ阻害剤を有効成分とする医薬組成物及び飲食品組成物は、いずれもアルドースレダクターゼにより引き起こされる糖尿病合併症の予防及び/または改善に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
アルドースレダクターゼ阻害剤
アルドースレダクターゼは、ポリオール経路において、NADPHを補酵素として、グルコースをソルビトールへと変換できる酵素である。本発明において、アルドースレダクターゼ阻害剤とは、このアルドースレダクターゼの働きを阻害するものを指す。
【0013】
以下、本発明のアルドースレダクターゼ阻害剤の各成分について説明する。
【0014】
(1)各種加工物
本発明のアルドースレダクターゼ阻害剤に有効成分として含まれる植物の加工物の原料としては、ピーナッツ、アイブライト、樺木、カツアバ、リンデン、及びカツミレが挙げられる。
【0015】
これらの植物であれば、使用部位は特に限定されないが、好ましくはピーナッツ種皮、アイブライトの地上部、樺木の葉、カツアバの樹皮、リンデンの花、カツミレの花である。
【0016】
本発明のアルドースレダクターゼ阻害剤の有効成分としては、上記植物の加工物を1種単独で用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記植物の加工物を2種以上を組み合わせて使用する場合、これらの組合わせは特に限定されず、また、それぞれの植物の使用部位も限定されない。
【0017】
例えば、2種を組合わせて使用する場合、ピーナッツと、アイブライト、樺木、カツアバ、リンデン及びカツミレからなる群から選択されるいずれか一つの植物を組合わせることが好ましい。より好ましくは、ピーナッツ種皮と、アイブライトの地上部、樺木の葉、カツアバの樹皮、リンデンの花及びカツミレの花からなる群から選択されるいずれか一つの植物との組合わせであり、さらに好ましくは、ピーナッツ種皮とアイブライトの地上部、ピーナッツ種皮とリンデンの花、またピーナッツ種皮とカツミレの花との組合わせである。
【0018】
また、これらの2種以上を組合わせて使用する場合、その加工物の重量比は特に制限されないが、例えば2種を組合わせて使用する場合、一方の加工物1重量部に対して、もう一方は0.05〜100重量部、好ましくは0.3〜50重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。
【0019】
具体的には、ピーナッツ種皮とアイブライトの地上部の場合、ピーナッツ種皮1重量部に対してアイブライトの地上部0.5〜10重量部、好ましくは0.5〜3重量部、より好ましくは0.5〜1重量部である。ピーナッツ種皮とリンデンの花の場合、例えば0.5〜10重量部、好ましくは0.5〜3重量部、より好ましくは0.5〜1重量部である。ピーナッツ種皮とカミツレの花の場合、0.5〜10重量部、好ましくは3〜10重量部、より好ましくは5〜10重量部である。
【0020】
このように、2種以上の植物の加工物を適宜組み合わせ、また配合することにより、これらの化合物を1種単独で使用した場合より優れたアルドースレダクターゼ阻害効果が得られる。
【0021】
本発明において上記植物の加工物とは、前記植物の各部位の粉砕物、乾燥物、それらの抽出物等が挙げられ、通常、乾燥後、その形態や目的とする剤型に応じて、粉砕処理、抽出処理、精製処理、濃縮処理、乾燥処理(スプレードライ処理、凍結乾燥処理を含む)等の種々の加工処理に供し、加工物として調製されたものを指す。本発明が対象とする加工物を、『植物の加工物』、『植物由来の加工物』又は『加工物』ということがある。
【0022】
本発明において加工物としては、例えば、粉砕加工物(粗紛状、細紛状のいずれでもよい)、乾燥加工物、各種溶媒で抽出された抽出物、その乾燥物(乾燥抽出物)、さらにこれを粉末にした粉末乾燥抽出物等を挙げることができる。
【0023】
本発明が対象とする加工物が粉砕加工物である場合、その調整方法は従来公知の方法に従えばよい。例えば、前記植物の各部位を、そのままジェットミル等の当該分野で公知の粉砕器等に供し、粉砕加工物として調製することができる。また、例えば、前記植物の各部位を、恒温乾燥(恒温器等を用いた乾燥)、熱風乾燥、凍結乾燥等によって乾燥したのち、得られた乾燥物を粉砕器等に供し、粉砕加工物として調製することができる。
【0024】
また、本発明の加工物が乾燥加工物である場合、該乾燥加工物は、上記植物を生のまま乾燥させることにより得ることができる。ここで、乾燥加工物は、天日乾燥、遠赤外線照射、乾燥機(熱風乾燥、冷風乾燥、真空凍結乾燥)等の従来公知の方法に従って調製することができる。また、乾燥加工物中の水分量としては、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。本発明において乾燥加工物の形態は問わず、植物体そのものの乾燥物、該乾燥物の粉砕物等のいずれであってもよい。前記乾燥物の粉砕物の場合であれば、該粉砕物は上記粉砕加工物と同様の方法に従って得ることができる。また、乾燥物として、原料となる植物体を発酵処理や酵素処理した後に乾燥して得られたものを使用することもできる。
【0025】
また、本発明の加工物が抽出物である場合、その製造方法(抽出方法)及び抽出条件等は特に限定されず、従来公知の方法に従えばよい。上記植物の各部位(全草、花、果実、葉、枝、樹皮、根茎、種子、種皮等)をそのまま又は裁断、粉砕等したのち、搾取又は溶媒抽出によって抽出物を得ることができる。溶媒抽出の方法としては、当該技術分野において公知の方法を採用すればよく、例えば、水抽出、熱水抽出、温水抽出、アルコール抽出、超臨界抽出等の従来公知の抽出方法を利用することができる。
【0026】
溶媒抽出を行う場合、溶媒としては例えば水;メタノール、無水エタノール、エタノール等の低級アルコールや、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール等のアルコール類(無水、含水の別を問わない);アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチルエステル等のエステル類、キシレン、ベンゼン、クロロホルム等が挙げられ、好ましくは水、エタノール等である。これらの溶媒を1種単独で用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
得られた抽出物をそのままの状態で使用することもできるが、乾燥させて粉末状のものを用いてもよい。また、必要に応じて得られた抽出物に精製、濃縮処理等を施してもよい。精製処理としては、濾過又はイオン交換樹脂や活性炭カラム等を用いた吸着、脱色といった処理を行うことができる。また、濃縮処理としては、エバポレーター等の常法を利用できる。
【0028】
あるいは、得られた抽出物(又は精製処理物若しくは濃縮物)を凍結乾燥処理に供して粉末化する方法、デキストリン、コーンスターチ、アラビアゴム等の賦形剤を添加してスプレードライ処理により粉末化する方法等、従来公知の方法に従って粉末化し、本発明で用いる加工物としてもよい。また、該加工物を、必要に応じて純水、エタノール等に溶解して用いてもよい。
【0029】
好ましくは、植物の加工物は、原料となる植物を乾燥、破砕し、好適な溶媒を使用して抽出、ろ過して、得られた抽出液を乾燥させることにより得られる。
【0030】
本発明のアルドースレダクターゼ阻害剤における前記加工物の配合量は、本発明の所期の効果が奏される限り特に限定されない。例えば、加工物の乾燥重量換算で0.001〜100重量%程度、好ましくは0.01〜80重量%程度、より好ましくは0.1〜50重量%程度である。なお、前記配合量は原料乾燥物の重量に換算した値で示したものである。本明細書中において「原料乾燥物」とは、加工物として用いる原料植物の乾燥物を指す。
【0031】
(2)その他の成分
本発明のアルドースレダクターゼ阻害剤には、上記有効成分を単独で使用することもできるが、上記成分以外に従来公知の賦形剤、香料、着色料、乳化剤、安定化剤、増粘剤、酵素、防腐剤、滑沢剤、界面活性剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、結合剤、吸収促進剤、吸着剤、保湿剤、可溶化剤、保存剤、風味剤、甘味剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて配合することができる。
【0032】
医薬組成物
本発明は、前記アルドースレダクターゼ阻害剤を、薬学的に許容される担体及び/又は添加剤と共に含有する医薬組成物を提供するものである。
【0033】
本発明の医薬組成物は、経口又は非経口の別を問わず各種の製剤剤型に調製することができ、例えば、液剤(シロップ等を含む)等の液状製剤や、粉剤、粒剤、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)等の固形製剤形態の経口製剤;液剤、点滴剤、注射剤、点眼剤等の液状製剤や、錠剤、丸剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)等の固形製剤形態の非経口製剤が挙げられる。本発明の医薬組成物としては、経口製剤であることが好ましい。
【0034】
本発明の医薬組成物が液状製剤である場合は、凍結保存することもでき、また凍結乾燥等により水分を除去して保存してもよい。凍結乾燥製剤やドライシロップ等は、使用時に注射用蒸留水、滅菌水等を加え、再度溶解して使用される。
【0035】
例えば、本発明の医薬組成物が注射剤、点滴等として調製される場合、希釈剤として例えば水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を使用することができる。なお、この場合、体液と等張な溶液を調整するに充分な量の食塩、ブドウ糖あるいはグリセリンを本発明の医薬組成物中に含有させてもよい。また、当分野において一般的に使用されている溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。
【0036】
固形剤として本発明の医薬組成物を調製する場合、例えば、錠剤の場合であれば、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用することができる。このような担体としては、例えば乳糖、白糖、麦芽糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤;乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の崩壊剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン、デンプン等の保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。さらに錠剤は、必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。
【0037】
また、丸剤の形態に調製する場合は、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用できる。その例としては、例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。
【0038】
上記以外に、添加剤として、例えば、界面活性剤、吸収促進剤、吸着剤、充填剤、防腐剤、安定剤、乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節する塩を、得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜選択し使用することができる。また、他の活性成分(例えば、アスコルビン酸、ビタミンB6、ビタミンB1、ビタミンB2、ニコチン酸アミド等のビタミン類;塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩や、クエン酸塩、酢酸塩、リン酸塩等の無機塩類)を含有させてもよい。さらに、他の薬効成分と組み合わせて用いてもよい。また、本発明の医薬組成物中には、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等を配合し、調製することもできる。
【0039】
本発明の医薬組成物の投与量は、本発明の効果が奏される限り特に限定されず、患者の年齢、体重、症状の程度等によって適宜設定され得るが、例えば、加工物の乾燥重量換算で大人一人(体重60kg)あたり500〜4000mg/日程度である。
【0040】
本発明の医薬組成物は、生体内において高いアルドースレダクターゼ阻害作用を発揮し得ることから、生体内におけるアルドースレダクターゼ活性促進やポリオール経路の代謝促進が原因とされている疾患、例えばソルビトールの蓄積、NADPHの過剰消費、さらにはNADPHの過剰消費に起因する一酸化窒素の合成低下やグルタチオン還元酵素反応の低下等が原因とされている疾患の予防や改善を目的として使用することができる。前記疾患としては、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害等の糖尿病合併症が挙げられる。
【0041】
飲食品組成物
本発明のアルドースレダクターゼ阻害剤は、食品として許容される担体や添加剤を含む飲食品形態に調製することができる。
【0042】
本発明の飲食品の種類としては、特に限定されないが、例えば、飲料(乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、野菜飲料、野菜・果実飲料、アルコール飲料、コーヒー飲料、スポーツ飲料、粉末飲料、紅茶飲料、緑茶飲料、ブレンド茶飲料等の茶飲料)、菓子類(チューイングガム、風船ガム等のガム類(板ガム、糖衣粒状ガムを含む));イチゴチョコレート、ブルベリーチョコレート等の風味を付加したチョコレート類;ハードキャンディー(ボンボン、バターボール、マーブル等を含む)、ソフトキャンディー(キャラメル、ヌガー、グミキャンディー、マシュマロ等を含む)、フィルム状キャンディー(可食性フィルム);ハードビスケット、クッキー、おかき、煎餅等の焼き菓子);パン類;スープ類(粉末スープ等を含む)等の各種飲食品が挙げられる。
【0043】
これらの飲食品の製造方法は、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されず、各用途で当業者によって使用されている方法に従えばよい。
【0044】
また、生体内のアルドースレダクターゼ活性を阻害し、ポリオール経路の代謝の促進によって引き起こされる疾患を予防または改善することを目的とする健康食品(栄養機能食品、特定保健用食品等)、サプリメント、病者用食品等として本発明の飲食品組成物を調製することもできる。
【0045】
例えば、このような飲食品として本発明の飲食品組成物を調製する場合は、継続的な摂取が行いやすいように、例えば顆粒、カプセル、錠剤(チュアブル剤等を含む)、飲料(ドリンク剤)等の形態で調製することが望ましく、なかでも錠剤の形態が好ましい。錠剤形態の本発明の飲食品組成物は、前記の薬学的に許容される担体を用いて、常法に従って適宜調製することができる。また、他の形態に調製する場合であっても、従来公知の方法に従えばよい。
【0046】
なお、特定保健用食品(条件付き特定保健用食品を含む)、病者用食品は、例えば、生体内におけるアルドースレダクターゼ活性促進やポリオール経路の代謝促進によって引き起こされる糖尿病合併症(例えば、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害等)疾患に対する該食品の機能・効果に関する記載を、その包装容器等に表示することが可能な食品である。その場合の本発明の投与量は、本発明の効果が奏される限り特に限定されず、患者の年齢、体重、症状の程度等によって適宜設定され得るが、例えば、加工物の乾燥重量換算で大人一人(体重60kg)あたり500〜4000mg/日程度である。
【0047】
本発明の飲食品組成物への本発明のアルドースレダクターゼ阻害剤の配合量としては、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、例えば、加工物の乾燥重量換算で0.001〜100重量%程度、好ましくは0.01〜80重量%程度、より好ましくは0.1〜30重量%程度である。
【0048】
本発明の飲食品組成物を日常的に摂取することによって、生体内でのアルドースレダクターゼの活性促進によって引き起こされる前記疾患の予防及び/または改善効果が期待できる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0050】
試験例1:アルドースレダクターゼに対する阻害活性
植物の加工物の製造方法
本実施例では、アルドースレダクターゼ阻害剤に有効成分として含まれる植物の加工物の原料として、ピーナッツの種皮、アイブライトの地上部、樺木の葉、カツアバの樹皮、リンデンの花及びカツミレの花を使用した。また、比較例として、植物として西洋人参の根部を使用した。これらの植物を以下の手順に従い処理し、各植物の加工物(抽出物)を得た。
(調製例1)
乾燥させたピーナッツの種皮(水分含有量5%以下)50gを破砕し、50%エタノール500mLに加えて室温で3時間攪拌抽出した後、ろ過して抽出液451mLを回収した。得られた抽出液をロータリーエバポレーターにて乾固し、ピーナッツの種皮の加工物14.5gを得た。得られた加工物を実施例1とする。
(調製例2)
乾燥させたアイブライトの地上部(水分含有量5%以下)50gを破砕し、水500mLに加えて室温で3時間攪拌抽出した後、ろ過して抽出液467mLを回収した。得られた抽出液をロータリーエバポレーターにて乾固し、アイブライトの地上部の加工物12.3gを得た。得られた加工物を実施例2とする。
(調製例3)
乾燥させた樺木の葉(水分含有量5%以下)50gを破砕し、水500mLに加えて室温で3時間攪拌抽出した後、ろ過して抽出液435mLを回収した。得られた抽出液をロータリーエバポレーターにて乾固し、樺木の葉の加工物8.1gを得た。得られた加工物を実施例3とする。
(調製例4)
乾燥させたカツアバの樹皮(水分含有量5%以下)50gを破砕し、水500mLに加えて室温で3時間攪拌抽出した後、ろ過して抽出液460mLを回収した。得られた抽出液をロータリーエバポレーターにて乾固し、カツアバの樹皮の加工物9.9gを得た。得られた加工物を実施例4とする。
(調製例5)
乾燥させたリンデンの花(水分含有量5%以下)50gを破砕し、70%エタノール500mLに加えて室温で3時間攪拌抽出した後、ろ過して抽出液442mLを回収した。得られた抽出液をロータリーエバポレーターにて乾固し、リンデンの花の加工物11.0gを得た。得られた加工物を実施例5とする。
(調製例6)
乾燥させたカミツレの花(水分含有量5%以下)50gを破砕し、50%エタノール500mLに加えて室温で3時間攪拌抽出した後、ろ過して抽出液448mLを回収した。得られた抽出液をロータリーエバポレーターにて乾固し、カミツレの花の加工物12.9gを得た。得られた加工物を実施例6とする。
(調製例7)
乾燥させた西洋人参の根部(水分含有量5%以下)50gを破砕し、水500mLに加えて室温で3時間攪拌抽出した後、ろ過して抽出液452mLを回収した。得られた抽出液をロータリーエバポレーターにて乾固し、西洋人参の根部の加工物15.2gを得た。得られた加工物を比較例1とする。
【0051】
アルドースレダクターゼに対する阻害活性の測定方法
得られた植物の加工物について、以下の方法によってアルドースレダクターゼ阻害作用を測定した。
【0052】
アルドースレダクターゼの活性測定はハイマンとキノシタ(Hayman and kinoshita)の方法(the journal of Biological Chemistry、240、877、1965)に基づいて、一部改変して行った。200mM リン酸緩衝液(pH6.2)、1.5mM NADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸還元型)、0.03Unit/mL アルドースレダクターゼ(和光純薬製)、及び0.005〜2.5mg/mLの被検液を入れ、最後に100mM DL−glyceraldehydeを加え、25℃で反応させた。基質添加直後及び30分後の340nmにおける吸光度を分光光度計によって測定した。アルドースレダクターゼ阻害率は、以下のアルドースレダクターゼ阻害活性算出式に当てはめることにより算出した。被検液は、実施例1〜6及び比較例1の加工物を、200mMのリン酸緩衝液(pH6.2)によって懸濁し、得られた可溶部分である。また、被検液の代わりに同量のリン酸緩衝液(pH6.2)を加えたものを対照とした。被検液における吸光度の減少幅が対照に近いほどアルドースレダクターゼ阻害活性が弱いことを示す。その結果を表1に示す。
反応液の組成:
リン酸緩衝液(200mM pH6.2) 60μL;
NADPH(1.5mM) 10μL;
被検液(対照ではリン酸緩衝液) 10μL;
DL−glyceraldehyde(100mM) 10μL;
アルドースレダクターゼ(0.03Unit/mL) 10μL;
(全体量、100μL)
アルドースレダクターゼ阻害活性算出式
アルドースレダクターゼ阻害活性%
={1−(反応前の試料の吸光値−反応後の試料の吸光値)/(反応前の対照の吸光値−反応後の対照の吸光値)}×100
結果
結果を以下の表1及び図1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
アルドースレダクターゼ阻害活性が報告されている西洋人参(比較例1、前記特許文献1)のIC50(酵素活性の50%阻害濃度)と比較したところ、ピーナッツの種皮(実施例1)、アイブライトの地上部(実施例2)、樺木の葉(実施例3)、カツアバの樹皮(実施例4)、リンデンの花(実施例5)、カミツレの花(実施例6)のIC50は、それぞれ比較例1の2.6倍、1.42倍、1,31倍、1.38倍、1.36倍、1.25倍であり、実施例1〜6ではいずれも高いアルドースレダクターゼ阻害活性が認められた。
【0055】
試験例2:アルドースレダクターゼの阻害活性における植物の併用作用
試験例1よりピーナッツ、アイブライト、樺木、カツアバ、リンデン、カミツレに高いアルドースレダクターゼ阻害活性が認められ、特にピーナッツが高い活性を有することがわかった。そこでピーナッツと他の植物における相互作用を検討した。試験は試験例1と同様の手法で、反応液の組成を変えて行った。被検液は、ピーナッツの種皮の加工物と他の植物の加工物を重量比で1:0.5から1:10で混合し、20mMのリン酸緩衝液(pH6.2)で懸濁し、可溶成分を添加した。また、被検液の代わりに同量のリン酸緩衝液(pH6.2)を加えたものを対照とした。その結果を表2に示す。
反応液の組成:
リン酸緩衝液(200mM pH6.2) 50μL;
NADPH(1.5mM) 10μL;
被検液(対照ではリン酸緩衝液) 20μL;
DL−glyceraldehyde(100mM) 10μL;
アルドースレダクターゼ(0.03Unit/mL) 10μL;
(全体量、100μL)
【0056】
【表2】

【0057】
求めたIC50値を加工物の重量比で換算し、各素材での単独の量を算出した。更にその単独での阻害活性を求め、2種の素材単独での阻害活性を合計(これを「理論値」とした)すると、いずれも阻害活性50%に至っていなかった。この結果からピーナッツと、アイブライト、樺木、カツアバ、リンデンまたはカミツレとを併用した場合の方が、単独で使用した場合よりも阻害活性が上昇することが確認された。その中でもピーナッツとアイブライト、ピーナッツとリンデン、ピーナッツとカミツレに高い活性上昇が見られ、その中でも特にピーナッツとアイブライトに最も高い活性上昇が確認された。
【0058】
また、ピーナッツとアイブライトとを併用した場合の活性上昇率は、ピーナッツ種皮1重量部に対してアイブライトの地上部10重量部を混合した場合に効果的に上昇したが、ピーナッツ種皮1重量部に対してアイブライトの地上部1重量部を混合した場合のほうが、さらにピーナッツ種皮1重量部に対してアイブライトの地上部0.5重量部を混合した場合のほうが一層効果的に上昇した。このことから、例えばピーナッツ種皮1重量部に対してアイブライトの地上部3重量部を混合した場合には、アイブライトの地上部10重量部を混合した場合より、その活性上昇率は高いと判断できる。
【0059】
また、ピーナッツとリンデンとを併用した場合の活性上昇率は、ピーナッツ種皮1重量部に対してリンデンの花10重量部を混合した場合に効果的に上昇したが、ピーナッツ種皮1重量部に対してリンデンの花1重量部を混合した場合のほうが、さらにピーナッツ種皮1重量部に対してリンデンの花0.5重量部を混合した場合のほうが一層効果的に上昇した。このことから、例えばピーナッツ種皮1重量部に対してリンデンの花3重量部を混合した場合には、リンデンの花10重量部を混合した場合より、その活性上昇率は高いと判断できる。
【0060】
また、ピーナッツとカミツレ併用した場合の活性上昇率は、ピーナッツ種皮1重量部に対してカミツレの花0.5重量部を混合した場合に効果的に上昇したが、ピーナッツ種皮1重量部に対してカミツレの花1重量部を混合した場合のほうが、さらにピーナッツ種皮1重量部に対してカミツレの花10重量部を混合した場合のほうが一層効果的に上昇した。このことから、例えばピーナッツ種皮1重量部に対してカミツレの花3重量部を混合した場合には、カミツレの花0.5重量部を混合した場合より、その活性上昇率は高いと判断できる。
【0061】
さらに、アイブライトの地上部と、樺木の葉、カツアバの樹皮、リンデンの花またはカミツレの花とを併用した場合、樺木の葉と、カツアバの樹皮、リンデンの花またはカミツレの花とを併用した場合、カツアバの樹皮と、リンデンの花またはカミツレの花とを併用した場合およびリンデンの花と、カミツレの花とを併用した場合についても同様に阻害活性の上昇が見られた。
【0062】
以下に示す処方例に従って、それぞれ散剤および錠剤を定法どおり製造した。得られた散剤および錠剤についても同様のアルドースレダクターゼ阻害効果を示した。
[医薬品組成物の処方例]
処方例1〜24.散剤 (単位:mg)
【0063】
【表3】

【0064】
【表4】

【0065】
[飲食品組成物の処方例]
処方例25〜48.錠剤(単位:mg)
【0066】
【表5】

【0067】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピーナッツ、アイブライト、樺木、カツアバ、リンデン、及びカツミレからなる群より選択される少なくともいずれか1種の植物の加工物を有効成分として含有する、アルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項2】
ピーナッツの加工物と、アイブライト、樺木、カツアバ、リンデン及びカミツレからなる群より選択される少なくともいずれか1種の植物の加工物とを有効成分として含有する、請求項1に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤を有効成分として、薬学的に許容される担体及び/または添加剤と共に含有する、医薬組成物。
【請求項4】
糖尿病合併症の予防用及び/または改善用である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
請求項1または2に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤を有効成分として含有する食品組成物。

【公開番号】特開2009−84198(P2009−84198A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255444(P2007−255444)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】