説明

アルファ−2−デルタリガンドとセロトニン/ノルアドレナリン再取込み阻害薬を含む組合せ

【課題】疼痛、特に神経因性疼痛の一般的治療方法の提供。
【解決手段】アルファ−2−デルタリガンドであるプレガバリンと、ベンラファキシン、ベンラファキシンの代謝産物O−デスメチルベンラファキシン、クロミプラミン、クロミプラミンの代謝産物デスメチルクロミプラミン、デュロキセチン、ミルナシプラン、及びイミプラミンから選択されるデュアルセロトニン−ノルアドレナリン再取込み阻害薬を併用すると、相乗的に相互作用して疼痛をコントロールすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疼痛治療のための、アルファ−2−デルタリガンドとデュアルセロトニン−ノルアドレナリン再取込み阻害薬(DSNRI)か又は選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)及び選択的ノルアドレナリン再取込み阻害薬(SNRI)の片方又は両方との相乗的組合せに関する。本発明はまた、有効量のアルファ−2−デルタリガンドとDSNRIか又はSSRI及びSNRIの片方又は両方との相乗的組合せの使用による疼痛の治療法にも関する。
【背景技術】
【0002】
アルファ−2−デルタ受容体リガンドは、ヒトカルシウムチャンネルのいずれかのサブタイプのアルファ−2−デルタサブユニットに結合する任意の分子である。カルシウムチャンネルのアルファ−2−デルタサブユニットはいくつかの受容体サブタイプを含む。これらについては文献に記載されている。例えば、N.S.Gee,J.P.Brown,V.U.Dissanayake,J.Offord,R.Thurlow,及びG.N.Woodruff,J−Biol−Chem 271(10):5768−76,1996(タイプ1);Gong,J.Hang,W.Kohler,Z.Li,及びT−Z.Su,J.Membr.Biol.184(1):35−43,2001,(タイプ2及び3);E.Marais,N.Klugbauer,及びF.Hofmann,Mol.Pharmacol.59(5):1243−1248,2001.(タイプ2及び3);並びにN.Qin,S.Yagel,M.L.Momplaisir,E.E.Codd,及びM.R.D’Andrea.Mol.Pharmacol.62(3):485−496,2002,(タイプ4)などの文献である。それらはGABA類似体としても知られている。
【0003】
アルファ−2−デルタリガンドはいくつかの適応について記載されている。最もよく知られているアルファ−2−デルタリガンドのガバペンチン(Neurontin(登録商標))、1−(アミノメチル)−シクロヘキシル酢酸は、US4024175を含むパテントファミリーの特許文献に最初に記載された。この化合物は、てんかん及び神経因性疼痛の治療用として認可されている。
【0004】
第二のアルファ−2−デルタリガンドのプレガバリン、(S)−(+)−4−アミノ−3−(2−メチルプロピル)ブタン酸は、欧州特許出願公開番号EP641330にてんかんの治療に有用な抗痙攣治療薬として、及びEP0934061に疼痛の治療薬として記載されている。
【0005】
さらに、国際特許出願公開番号WO0128978に、式:
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、nは1〜4の整数であり、立体中心がある場合、各中心は独立してR又はSである)の一連の新規二環式アミノ酸、それらの製薬学的に許容しうる塩、及びそれらのプロドラッグが記載されている。好適な化合物は上記式I〜IV(式中、nは2〜4の整数)のものである。
【0008】
最近、国際特許出願公開番号WO02/85839に、以下の式:
【0009】
【化2】

【0010】
{式中、R1及びR2は、H、1〜6個の炭素原子の直鎖又は分枝アルキル、3〜6個の炭素原子のシクロアルキル、フェニル及びベンジルからそれぞれ独立して選ばれるが、ただし、式(XVII)のトリシクロオクタン化合物の場合を除いてR1及びR2は同時に水素でない}のアルファ−2−デルタリガンドを、選択的セロトニン再取込み阻害薬、例えばフルオキセチン、パロキセチン、シタロプラム及びセルトラリン;混合セロトニン−ノルアドレナリン再取込み阻害薬、例えばミルナシプラン、ベンラファキシン及びデュロキセチン;及び選択的ノルアドレナリン再取込み阻害薬、例えばレボキセチンと一緒に組み合わせて、疼痛を含むいくつかの適応の治療に使用することが記載されている。
【0011】
国際特許出願番号PCT/IB03/00976(本発明の出願日時点で未公開)に、以下の式I:
【0012】
【化3】

【0013】
{式中、R1は、水素又は所望により1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよい(C1−C6)アルキルであり;
2は、水素又は所望により1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよい(C1−C6)アルキルであるか;又は
1及びR2は、それらが結合している炭素と一緒になって、3〜6員のシクロアルキル環を形成し;
3は、(C1−C6)アルキル、(C3−C6)シクロアルキル、(C3−C6)シクロアルキル−(C1−C3)アルキル、フェニル、フェニル−(C1−C3)アルキル、ピリジル、ピリジル−(C1−C3)アルキル、フェニル−N(H)−、又はピリジル−N(H)−であり、前記アルキル部分のそれぞれは、所望により1〜5個のフッ素原子、好ましくは0〜3個のフッ素原子で置換されていてもよく、前記フェニル及び前記ピリジル及び前記フェニル−(C1−C3)アルキル及び前記ピリジル−(C1−C3)アルキルのそれぞれフェニル及びピリジル部分は、所望により、クロロ、フルオロ、アミノ、ニトロ、シアノ、(C1−C3)アルキルアミノ、所望により1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい(C1−C3)アルキル及び所望により1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい(C1−C3)アルコキシから独立して選ばれる1〜3個の置換基、好ましくは0〜2個の置換基で置換されていてもよく;
4は、水素又は所望により1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよい(C1−C6)アルキルであり;
5は、水素又は所望により1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよい(C1−C6)アルキルであり;そして
6は、水素又は(C1−C6)アルキルである}の化合物、又はその製薬学的に許容しうる塩が記載されている。
【0014】
多くのタイプの神経障害は、ある種のモノアミン神経伝達物質を用いてシグナルを伝送する脳回路の乱れが原因で起こる。モノアミン神経伝達物質は、例えば、セロトニン(5−HT)、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、及びドパミンなどである。これらの神経伝達物質は、ニューロン終末から小ギャップ(すなわちシナプス間隙)を越えて移動し、第二のニューロン表面上の受容体分子と結合する。この結合によって、シナプス後ニューロンで応答又は変化を開始又は活性化する細胞内変化が誘発される。不活性化は、主に神経伝達物質をシナプス前ニューロンに戻す輸送(すなわち再取込み)によって発生する。
【0015】
選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)は、求心性ニューロンによるセロトニンの再取込みを阻害することによって機能する。当該技術分野で周知のSSRIは、セルトラリン(Zoloft(登録商標))、セルトラリン代謝産物のデメチルセルトラリン、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、ノルフルオキセチン(フルオキセチンのデスメチル代謝産物)、フルボキサミン(Luvox(登録商標))、パロキセチン(Seroxat(登録商標)、Paxil(登録商標))及びその代替製剤のPaxil−CR(登録商標)、シタロプラム(Celexa(登録商標))、シタロプラム代謝産物のデスメチルシタロプラム、エスシタロプラム(Lexapro(登録商標))、d,l−フェンフルラミン(Pondimin(登録商標))、フェモキセチン、イフォキセチン、シアノドチエピン、リトキセチン、ダポキセチン、ネファゾドン(Serxone(登録商標))、セリクラミン及びトラゾドン(Desyrel(登録商標))などであるが、これらに限定されない。
【0016】
選択的ノルアドレナリン(又はノルエピネフリン)取込み阻害薬(SNRI)は、ノルアドレナリンレベルを増加することによって機能する。当該技術分野で周知のSNRIは、レボキセチン(Edronax(登録商標))及びレボキセチンのすべての鏡像異性体、すなわち(R/R、S/S、R/S、S/R)、デシプラミン(Norpramin(登録商標))、マプロチリン(Ludiomil(登録商標))、ロフェプラミン(Gamanil(登録商標))、ミルタゼピン(Remeron(登録商標))、オキサプロチリン、フェゾラミン、トモキセチン、ミアンセリン(Bolvidon(登録商標))、ブプロプリオン(Wellbutrin(登録商標))、ブプロプリオン代謝産物のヒドロキシブプロプリオン、ノミフェンシン(Merital(登録商標))及びビロキサジン(Vivalan(登録商標))などであるが、これらに限定されない。
【0017】
デュアルセロトニン−ノルアドレナリン再取込み阻害薬(DSNRI)は、セロトニンとノルエピネフリンの両方の再取込みを阻害し、ベンラファキシン(Effexor(登録商標))、ベンラファキシン代謝産物のO−デスメチルベンラファキシン、クロミプラミン(Anafranil(登録商標))、クロミプラミン代謝産物のデスメチルクロミプラミン、デュロキセチン(Cymbalta(登録商標))、ミルナシプラン及びイミプラミン(Tofranil(登録商標)又はJanimine(登録商標))などである。
【0018】
本願に引用したすべての特許及び出版物の内容は、引用によって本明細書に援用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
【課題を解決するための手段】
【0020】
今般、アルファ−2−デルタリガンドと、デュアルセロトニン−ノルアドレナリン再取込み阻害薬(DSNRI)か又は選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)及び選択的ノルアドレナリン再取込み阻害薬(SNRI)の片方又は両方のいずれかとの併用療法が疼痛の治療に改善をもたらすことを見出した。さらに、同時、順次又は別個に投与すると、アルファ−2−デルタリガンドとDSNRIか又はSSRI及びSNRIの片方又は両方のいずれかとは、相乗的に相互作用して疼痛をコントロールすることができる。この相乗作用のために各化合物の所要量の削減が可能となり、副作用の軽減と該化合物の臨床的有用性の向上がもたらされる。
【0021】
そこで本発明は、第一の側面として、アルファ−2−デルタリガンドと、デュアルセロトニン−ノルアドレナリン再取込み阻害薬(DSNRI)か又は選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)及び選択的ノルアドレナリン再取込み阻害薬(SNRI)の片方又は両方、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩とを含む組合せ製品を提供する。ただし、WO02/85839の化合物(i)〜(xxv)とセロトニン再取込み阻害薬、特にフルオキセチン、パロキセチン、シタロプラム及びセルトラリン、混合セロトニン−ノルアドレナリン再取込み阻害薬、特にミルナシプラン、ベンラファキシン及びデュロキセチン、及びノルアドレナリン再取込み阻害薬、特にレボキセチンとの組合せは除外する。
【0022】
代替又は更なる側面として、本発明は、アルファ−2−デルタリガンドとDSNRIか又はSSRI及びSNRIの片方又は両方、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩とを含む相乗的組合せ製品を提供する。
【0023】
本発明の有用な環状アルファ−2−デルタリガンドは、以下の式(I):
【0024】
【化4】

【0025】
(式中、Xはカルボン酸又はカルボン酸の生物学的等価体であり;
nは、0、1又は2であり;そして
1、R1a、R2、R2a、R3、R3a、R4及びR4aは、H及びC1−C6アルキルから独立して選ばれるか、又はR1とR2又はR2とR3は、一緒になってC3−C7シクロアルキル環を形成し、それは所望によりC1−C6アルキルから選ばれる1又は2個の置換基で置換されていてもよい)、又はその製薬学的に許容しうる塩によって示される。
【0026】
式(I)において、適切には、R1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aはHであり、R2及びR3はH及びメチルから独立して選ばれ、又はR1a、R2a、R3a及びR4aはHであり、R1とR2又はR2とR3は、一緒になってC3−C7シクロアルキル環を形成し、それは所望により1又は2個のメチル置換基で置換されていてもよい。適切なカルボン酸の生物学的等価体はテトラゾリル及びオキサジアゾロニルから選ばれる。Xは好ましくはカルボン酸である。
【0027】
式(I)において、好ましくは、R1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aはHで、R2及びR3はH及びメチルから独立して選ばれ、又はR1a、R2a、R3a及びR4aはHで、R1とR2又はR2とR3は、一緒になってC4−C5シクロアルキル環を形成し、又はnが0の場合、R1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aはHで、R2とR3はシクロペンチル環を形成し、又はnが1の場合、R1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aはHで、R2とR3はどちらもメチルであるか、又はR1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aはHで、R2とR3はシクロブチル環を形成し、又はnが2の場合、R1、R1a、R2、R2a、R3、R3a、R4及びR4aはHであり、又はnが0の場合、R1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aはHで、R2とR3はシクロペンチル環を形成する。
【0028】
本発明の有用な非環状アルファ−2−デルタリガンドは、以下の式(II):
【0029】
【化5】

【0030】
{式中、
nは、0又は1であり、R1は水素又は(C1−C6)アルキルであり;R2は水素又は(C1−C6)アルキルであり;R3は水素又は(C1−C6)アルキルであり;R4は水素又は(C1−C6)アルキルであり;R5は水素又は(C1−C6)アルキルであり、そしてR2は水素又は(C1−C6)アルキルである}、又はその製薬学的に許容しうる塩で示される。
【0031】
式(II)に従って、適切には、R1はC1−C6アルキルであり、R2はメチルであり、R3〜R6は水素であり、nは0又は1である。さらに適切には、R1はメチル、エチル、n−プロピル又はn−ブチルであり、R2はメチルであり、R3〜R6は水素であり、nは0又は1である。R2がメチル、R3〜R6が水素、及びnが0の場合、R1は、適切には、エチル、n−プロピル又はn−ブチルである。R2がメチル、R3〜R6が水素、及びnが1の場合、R1は、適切には、メチル又はn−プロピルである。式(II)の化合物は、適切には、3S,5R配置である。
【0032】
本発明で使用するアルファ−2−デルタリガンドの例は、下記の文献に一般的又は具体的に開示されているような化合物、例えば、US4024175、特にガバペンチン、EP641330、特にプレガバリン、US5563175、WO9733858、WO9733859、WO9931057、WO9931074、WO9729101、WO02085839、特に[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル]酢酸、WO9931075、特に3−(1−アミノメチル−シクロヘキシルメチル)−4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン及びC−[1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−シクロヘプチル]−メチルアミン、WO9921824、特に(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸、WO0190052、WO0128978、特に(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸、EP0641330、WO9817627、WO0076958、特に(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−オクタン酸、PCT/IB03/00976、特に(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸及び(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸、EP1178034、EP1201240、WO9931074、WO03000642、WO0222568、WO0230871、WO0230881、WO02100392、WO02100347、WO0242414、WO0232736及びWO0228881、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩である。これらはいずれも引用によって本明細書に援用する。
【0033】
本発明の好適なアルファ−2−デルタリガンドは、ガバペンチン、プレガバリン、[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル]酢酸、3−(1−アミノメチル−シクロヘキシルメチル)−4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン、C−[1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−シクロヘプチル]−メチルアミン、(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸、(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−オクタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸及び(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩などである。本発明の特に好適なアルファ−2−デルタリガンドは、ガバペンチン、プレガバリン、[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル]酢酸及び(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩から選ばれる。
【0034】
本発明に従って有用なSSRIは、US4536518の開示内に含まれるもの、すなわち、式(III):
【0035】
【化6】

【0036】
{式中、R1は水素及び1〜3個の炭素原子の直鎖アルキルからなる群から選ばれ、R2は1〜3個の炭素原子の直鎖アルキルであり、Zは、
【0037】
【化7】

【0038】
(式中、X及びYは、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、1〜3個の炭素原子のアルコキシ及びシアノからなる群からそれぞれ選ばれるが、少なくとも1個のX及びYは水素以外である)であり、そしてWは、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル及び1〜3個の炭素原子のアルコキシからなる群から選ばれる}のシス異性体化合物{“シス異性体”という用語は、シクロヘキセン環上のNR12とZ部分の相対配置のことを言い、前記化合物は、(1S)−鏡像異性体又は(1S)−鏡像異性体と対応する(1R)−鏡像異性体とのラセミ混合物である}、又はそのプロドラッグ又はそのもしくは前記プロドラッグの製薬学的に許容しうる塩などである。式(III)の特に好適な化合物はセルトラリンである。
【0039】
本発明で使用するSSRIの例は、下記の文献に一般的及び具体的に開示されている化合物、例えば、U.S.4,536,518、特にセルトラリン、U.S.4,943,590[RE34,712]、U.S.4,650,884、特にシタロプラム、U.S.3,198,834、特にd,l−フェンフルラミン、U.S.3,912,743、4,571,424、特にフェモキセチン、U.S.4,314,081、4,626,549、特にフルオキセチン、U.S.4,085,225、特にフルボキセチン、U.S.3,912,743、4,007,196、特にパロキセチン、イフォキセチン、シアノドチエピン及びリトキセチン、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩である。これらはいずれも引用によって本明細書に援用する。
【0040】
本発明で使用するのに適切なSSRIは、セルトラリン、セルトラリン代謝産物のデメチルセルトラリン、フルオキセチン、ノルフルオキセチン(フルオキセチンのデスメチル代謝産物)、フルボキサミン、パロキセチン及びその代替製剤のPaxil−CR(登録商標)、シタロプラム、シタロプラム代謝産物のデスメチルシタロプラム、エスシタロプラム、d,l−フェンフルラミン、フェモキセチン、イフォキセチン、シアノドチエピン、リトキセチン、ダポキセチン、ネファゾドン、セリクラミン及びトラゾドン、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩などである。好ましくは、SSRIはセルトラリン、又はその製薬学的に許容しうる塩である。
【0041】
本発明に従って有用なSNRIは、US4229449に開示されている化合物、すなわち、式(IV):
【0042】
【化8】

【0043】
の化合物に対応するラセミ化合物及び光学異性体、好ましくは式(IV)に対応する置換プロパノールアミン及びモルホリン誘導体などである。上記式中、
n及びn1は、独立して1、2又は3であり;
基R及びR1のそれぞれは、同じでも異なっていてもよいが、水素;ハロゲン;ハロ−C1−C6アルキル;ヒドロキシ;C1−C6アルコキシ;所望により置換されていてもよいC1−C6アルキル;所望により置換されていてもよいアリール−C1−C6アルキル;所望により置換されていてもよいアリール−C1−C6アルコキシ;−NO2
【0044】
【化9】

【0045】
(式中、R5及びR6は、独立して水素又はC1−C6アルキルである)であるか、又は2個の隣接するR基又は2個の隣接するR1基は、一緒になって−O−CH2−O−ラジカルを形成し;
2は、水素;所望により置換されていてもよいC1−C12アルキル、又はアリール−C1−C6アルキルであり;
基R3及びR4のそれぞれは、同一でも異なっていてもよいが、水素、所望により置換されていてもよいC1−C6アルキル、C2−C4アルケニル、C2−C4アルキニル、所望により置換されていてもよいアリール−C2−C4アルキル、所望により置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル、又はR3及びR4はそれらが結合している窒素原子と共に5原子又は6原子の飽和又は不飽和の、所望により置換されていてもよいヘテロ単環式ラジカル(所望により、O、S及びNのクラスに属する他のヘテロ原子を含有していてもよい)を形成し;又はR2及びR4は、一緒になって、−CH2−CH2−ラジカルを形成する。式(IV)の好適な化合物はレボキセチンによって表される。
【0046】
本発明で使用するSNRIの例は、下記の文献に一般的及び具体的に開示されている化合物、例えば、U.S.4,229,449、5,068,433、5,391,735、特にレボキセチン、BP908,788、980,231、U.S.3,454,554、特にデシプラミン、U.S.3,399,201、特にマプロチリン、BP1,177,525、U.S.3,637,660、特にロフェプラミン、オランダ特許出願第6,603,256号、U.S.3,534,041、特にミアンセリン、U.S.4,062,843、特にミルタゼピン;U.S.4,314,081、4,018,895、4,194,009、特にトモキセチン、U.S.4,535,186、4,611,078、特にベンラファキシン、及びU.S.3,819,706、3,885,046、特にブプロプリオン、並びにオキサプロチリン及びフェゾラミン、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩である。これらはいずれも引用によって本明細書に援用する。
【0047】
本発明によるSNRIの具体例は、レボキセチン及びレボキセチンのすべての鏡像異性体、すなわち(R/R、S/S、R/S、S/R)、デシプラミン、マプロチリン、ロフェプラミン、ミルタゼピン、ベンラファキシン(米国特許第4,761,501号に記載)、オキサプロチリン、フェゾラミン、トモキセチン、ミアンセリン及びブプロプリオン、ブプロプリオン代謝産物のヒドロキシブプロプリオン、ノミフェンシン又はビロキサジン、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩などである。好ましくは、SNRIは、マプロチリン、デシプラミン、ブプロプリオン、レボキセチン及びS,S−レボキセチン、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩から選ばれる。
【0048】
本発明に従って有用なDSNRIは、式(V):
【0049】
【化10】

【0050】
[式中、フェニル環A及びフェニル環Bは、それぞれ独立してナフチル基に置き換えてもよく、フェニル環Aがナフチル基に置き換えられている場合、構造Iのエーテル酸素とR3、R4及びNR12が結合している炭素は、ナフチル基の隣接する環炭素原子に結合し、前記隣接環炭素原子のいずれも前記ナフチル基の縮合環炭素原子に隣接しておらず;
n及びmは、独立して、1、2及び3から選ばれ;
1及びR2は、独立して、水素、(C1−C4)アルキル、(C2−C4)アルケニル、及び(C2−C4)アルキニルから選ばれるか、又はR1とR2は、それらが結合している窒素と一緒になって、R1とR2が結合している窒素を含めて1又は2個のヘテロ原子を含有する4〜8員の飽和環を形成し、第二のヘテロ原子が存在する場合、それは、酸素、窒素及び硫黄から選ばれるが、ただし、前記環は2個の隣接する酸素原子又は2個の隣接する硫黄原子を含有できず、また、前記環は、所望により、利用可能な結合部位で、ヒドロキシ及び(C1−C6)アルキルから独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
3及びR4は、独立して、水素及び所望により1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい(C1−C4)アルキルから選ばれるか、又はR3とR4はそれらが結合している炭素と一緒になって4〜8員の飽和炭素環を形成し、前記環は、所望により、利用可能な結合部位で、ヒドロキシ及び(C1−C6)アルキルから独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
又はR2とR3は、R2が結合している窒素及びR3が結合している炭素と一緒になって、R2が結合している窒素を含めて1又は2個のヘテロ原子を含有する4〜8員の飽和環を形成し、第二のヘテロ原子が存在する場合、それは、酸素、窒素及び硫黄から選ばれるが、ただし、前記環は2個の隣接する酸素原子又は2個の隣接する硫黄原子を含有できず、また、前記環は、所望により、利用可能な結合部位で、ヒドロキシ及び(C1−C6)アルキルから独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
各Xは、独立して、水素、ハロ(すなわち、クロロ、フルオロ、ブロモ又はヨード)、所望により1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい(C1−C4)アルキル、所望により1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい(C1−C4)アルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、(C1−C4)アルキルアミノ、ジ−[(C1−C4)アルキル]アミノ、NR5(C=O)(C1−C4)アルキル、SO2NR56及びSOp(C1−C6)アルキル{式中、R5及びR6は、独立して、水素及び(C1−C6)アルキルから選ばれ、pは0、1又は2である}から選ばれ;そして
各Yは、独立して、水素、(C1−C6)アルキル及びハロから選ばれ;
ただし、(a)NR12、CR34及びR2NCR3の一つしか(no more than
one)環を形成できず;そして(b)(i)R3及びR4がどちらも水素の場合、(ii)R1及びR2が、独立して、水素及び(C1−C4)アルキルから選ばれる場合、及び(iii)環Bが、1又は2個のハロ基でそれぞれ置換されているモノ又はジ置換の場合、少なくとも1個のXは水素以外でなくてはならない]の化合物、及びその製薬学的に許容しうる塩によって表すことができる。式(V)による化合物はWO00/50380に記載されている。
【0051】
本発明に従って適切なDSNRIは、ベンラファキシン、ベンラファキシン代謝産物のO−デスメチルベンラファキシン、クロミプラミン、クロミプラミン代謝産物のデスメチルクロミプラミン、デュロキセチン、ミルナシプラン及びイミプラミン、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩から選ばれる。本発明に従って好適なDSNRIは、ミルナシプラン、デュロキセチン及びベンラファキシン、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩から選ばれる。
【0052】
いずれか特定のDSNRI、SSRI又はSNRIの適性は、文献法を用いてその効力及び選択性を評価し、次いでその毒性、吸収、代謝、薬物動態などを標準の製薬学的実施基準に従って評価することによって容易に判定できる。
【0053】
本発明の代替又は更なる側面として、ガバペンチン、又はその製薬学的に許容しうる塩と、ベンラファキシン、ベンラファキシン代謝産物のO−デスメチルベンラファキシン、クロミプラミン、クロミプラミン代謝産物のデスメチルクロミプラミン、デュロキセチン、ミルナシプラン、及びイミプラミンから選ばれるDSNRIか、又は、セルトラリン、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、d,l−フェンフルラミン、フェモキセチン、トラゾドン、セリクラミン、イフォキセチン、シアノドチエピン及びリトキセチン、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩から選ばれるSSRI、及びレボキセチン、S,S−レボキセチン、デシプラミン、マプロチリン、ロフェプラミン、ミアンセリン、ミルタゼピン、オキサプロチリン、フェゾラミン、トモキセチン又はブプロプリオン、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩から選ばれるSNRIの片方又は両方を含む組合せ、及びそれらの製薬学的に許容しうる塩を提供する。特に好適な組合せは、ガバペンチンと、セルトラリン、ミルナシプラン、デュロキセチン、ベンラファキシン、マプロチリン、デシプラミン、ブプロプリオン、レボキセチン又はS,S−レボキセチンの一つ、及びそれらの製薬学的に許容しうる塩を含む。
【0054】
本発明の代替又は更なる側面として、プレガバリンと、ベンラファキシン、ベンラファキシン代謝産物のO−デスメチルベンラファキシン、クロミプラミン、クロミプラミン代謝産物のデスメチルクロミプラミン、デュロキセチン、ミルナシプラン、及びイミプラミンから選ばれるDSNRIとを含む組合せか、又は、セルトラリン、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、d,l−フェンフルラミン、フェモキセチン、トラゾドン、セリクラミン、イフォキセチン、シアノドチエピン及びリトキセチン、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩から選ばれるSSRI、及びレボキセチン、S,S−レボキセチン、デシプラミン、マプロチリン、ロフェプラミン、ミアンセリン、ミルタゼピン、オキサプロチリン、フェゾラミン、トモキセチン又はブプロプリオン、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩から選ばれるSNRIの片方又は両方との組合せ、及びそれらの製薬学的に許容しうる塩を提供する。特に好適な組合せは、プレガバリンと、セルトラリン、ミルナシプラン、デュロキセチン、ベンラファキシン、マプロチリン、デシプラミン、ブプロプリオン、レボキセチン又はS,S−レボキセチンの一つ、及びそれらの製薬学的に許容しうる塩を含む。
【0055】
本発明のさらに代替の又は更なる側面として、(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸又はその製薬学的に許容しうる塩と、DSNRIか又はSSRI及びSNRIの片方又は両方とを含む組合せを提供する。適切には、(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸又はその製薬学的に許容しうる塩と、ベンラファキシン、ベンラファキシン代謝産物のO−デスメチルベンラファキシン、クロミプラミン、クロミプラミン代謝産物のデスメチルクロミプラミン、デュロキセチン、ミルナシプラン、及びイミプラミンから選ばれるDSNRIか、又は、セルトラリン、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、d,l−フェンフルラミン、フェモキセチン、トラゾドン、セリクラミン、イフォキセチン、シアノドチエピン及びリトキセチン、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩から選ばれるSSRI、及びレボキセチン、S,S−レボキセチン、デシプラミン、マプロチリン、ロフェプラミン、ミアンセリン、ミルタゼピン、オキサプロチリン、フェゾラミン、トモキセチン又はブプロプリオン、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩から選ばれるSNRIの片方又は両方とを含む組合せ、及びそれらの製薬学的に許容しうる塩を提供する。特に好適な組合せは、(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸と、セルトラリン、ミルナシプラン、デュロキセチン、ベンラファキシン、マプロチリン、デシプラミン、ブプロプリオン、レボキセチン又はS,S−レボキセチンの一つ、及びそれらの製薬学的に許容しうる塩を含む。
【0056】
本発明のなおさらに好適な側面として、該組合せは、
ガバペンチンとセルトラリン;
ガバペンチンとミルナシプラン;
ガバペンチンとデュロキセチン;
ガバペンチンとベンラファキシン;
ガバペンチンとマプロチリン;
ガバペンチンとデシプラミン;
ガバペンチンとブプロプリオン;
ガバペンチンとレボキセチン;
ガバペンチンとS,S−レボキセチン;
プレガバリンとセルトラリン;
プレガバリンとミルナシプラン;
プレガバリンとデュロキセチン;
プレガバリンとベンラファキシン;
プレガバリンとマプロチリン;
プレガバリンとデシプラミン;
プレガバリンとブプロプリオン;
プレガバリンとレボキセチン;
プレガバリンとS,S−レボキセチン;
[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル]酢酸とセルトラリン;
[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル]酢酸とミルナシプラン;
[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル]酢酸とデュロキセチン;
[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル]酢酸とベンラファキシン;
[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル]酢酸とマプロチリン;
[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル]酢酸とデシプラミン;
[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル]酢酸とブプロプリオン;
[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル]酢酸とレボキセチン;
[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル]酢酸とS,S−レボキセチン;
(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸とセルトラリン;
(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸とミルナシプラン;
(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸とデュロキセチン;
(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸とベンラファキシン;
(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸とマプロチリン;
(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸とデシプラミン;
(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸とブプロプリオン;
(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸とレボキセチン;
(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸とS,S−レボキセチン;
(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸とセルトラリン;
(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸とミルナシプラン;
(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸とデュロキセチン;
(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸とベンラファキシン;
(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸とマプロチリン;
(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸とデシプラミン;
(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸とブプロプリオン;
(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸とレボキセチン;及び
(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸とS,S−レボキセチン;
又はそれらの製薬学的に許容しうる塩から選ばれる。
【実施の形態】
【0057】
単一剤形の本発明の組合せは、あらゆる哺乳動物患者、特にヒトへの投与に適している。投与は、1日に1回(o.d.)、2回(b.i.d.)又は3回(t.i.d.)、適切にはb.i.d.又はt.i.d.、さらに適切にはb.i.d.、最も適切にはo.d.であろう。
【0058】
従って、本発明の更なる側面として、アルファ−2−デルタリガンドとDSNRIか又はSSRI及びSNRIの片方又は両方との組合せ、特に相乗的組合せを、疼痛の治癒的、予防的又は対症的治療用の1日1回、2回又は3回、適切には2回又は3回、さらに適切には2回、最も適切には1回投与用医薬品の製造に使用することを提供する。
【0059】
あるいは、アルファ−2−デルタリガンドとDSNRIか又はSSRI及びSNRIの片方又は両方との効果的な、特に相乗効果的な組合せを、1日1回、2回又は3回、適切には2回又は3回、さらに適切には2回、最も適切には1回投与することを含む哺乳動物患者における疼痛の治癒的、予防的又は対症的治療法を提供する。
【0060】
一つ以上の成分間の相乗的相互作用を判定するには、治療を必要とする患者に該成分を異なるw/w比率範囲及び用量にわたって投与することにより、効果のための最適範囲及びその効果を得るのに必要な各成分の絶対的用量範囲を正確に測定すればよい。ヒトの場合、患者に臨床試験を実施することの複雑さとコストから、この形態の試験法を相乗効果の一次モデルとして使用することは実際的でない。しかしながら、一つの種で観察される相乗効果から他の種における効果が予測できるので、本明細書中に記載のように、相乗効果を測定するための動物モデルが存在する。そして、そのような試験の結果を用いれば、他の種で必要とされる効果的用量及び血漿中濃度の比率範囲及び絶対的用量及び血漿中濃度を、薬物動態/薬力学的方法の適用によって予測することもできる。動物モデルとヒトでみられる効果との間には相関関係が確立されていることから、動物における相乗効果は、異痛を誘発する外科的(例えば慢性絞扼性神経損傷)又は化学的(例えばストレプトゾシン)処置を受けた齧歯類で静的及び動的異痛測定を用いて最もよく示されることが示唆される。そのようなモデルにはプラトー効果がみられるため、それらの価値は相乗作用に関して最もよく評価される。この相乗作用は、神経因性疼痛患者では用量節約利益に形を変えることになろう。神経因性疼痛の治療に使用される既存薬では部分的応答しか示さないような他のモデルは、併用の相乗作用、すなわち二つの成分の最大耐量で最大効果の増大を生じる可能性を予測するのにさらに適している。
【0061】
従って、本発明の更なる側面として、アルファ−2−デルタリガンドとDSNRI、SSRI又はSNRIの一つ、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩をw/wの組合せ範囲で含むヒトへの投与用の相乗的組合せを提供する。このw/wによる組合せの範囲は、最初に相乗的相互作用を確認するのに使用されたヒト以外の動物モデル、好ましくはラットモデルで観察された絶対範囲に対応している。適切には、ヒトにおける比率範囲は、1:50〜50:1重量部、1:50〜20:1、1:50〜10:1、1:50〜1:1、1:20〜50:1、1:20〜20:1、1:20〜10:1、1:20〜1:1、1:10〜50:1、1:10〜20:1、1:10〜10:1、1:10〜1:1、1:1〜50:1、1:1〜20:1及び1:1〜10:1から選ばれるヒト以外の範囲に対応する。より適切には、ヒトの範囲は1:10〜20:1重量部のヒト以外の範囲に対応する。好ましくは、ヒトの範囲は1:1〜10:1重量部の大きさの相乗的なヒト以外の範囲に対応する。
【0062】
ヒトの場合、いくつかの実験的疼痛モデルをヒトに使用して、動物で証明された相乗効果を有する薬剤がヒトでもその相乗効果と矛盾しない効果を持つかどうかを示すことができる。この目的に適合しうるヒトモデルの例は、熱/カプサイシンモデル(Petersen,K.L.& Rowbotham,M.C.(1999)Neuro Report 10,1511−1516)、i.dカプサイシンモデル(Andersen,O.L.,Felsby,S.,Nicolaisen,L.,Bjerring,P.,Jsesn,T.S.& Arendt−Nielsen,L.(1996)Pain 66,51−62){反復カプサイシン外傷(Witting,N.,Svesson,P.,Arendt−Nielsen,L.& Jensen,T.S.(2000)Somatosensory Motor Res.17,5−12)の使用を含む}、及び加重又はワインドアップ応答(Curatolo,M.ら(2000)Anesthesiology 93,1517−1530)などである。これらのモデルでは、疼痛強度又は痛覚過敏面積の主観的評価をエンドポイントとして用いることができる。あるいは電気生理学的又は画像化技術(例えば機能的磁気共鳴画像法)に頼る、より客観的なエンドポイントを使用することもできる(Bornhovd,K.,Quante,M.,Glauche,V.,Bromm,B.,Weiller,C.& Buchel,C.(2002)Brain 125,1326−1336)。そのようなモデルはいずれも、客観的妥当性を証明して初めて動物試験で観察された組合せの相乗作用を裏付ける証拠がヒトでも提供されると結論づけることができる。
【0063】
ヒトにおける本発明の場合、適切なアルファ−2−デルタリガンド:DSNRI、SSRI又はSNRIの比率範囲は、1:50〜50:1重量部、1:50〜20:1、1:50〜10:1、1:50〜1:1、1:20〜50:1、1:20〜20:1、1:20〜10:1、1:20〜1:1、1:10〜50:1、1:10〜20:1、1:10〜10:1、1:10〜1:1、1:1〜50:1、1:1〜20:1及び1:1〜10:1、より適切には1:10〜20:1、好ましくは1:1〜10:1から選ばれる。
【0064】
相乗効果のための各成分の最適用量は、動物モデルでは公表されている方法に従って決定できる。しかしながら、ヒトの場合(疼痛の実験モデルでも)、組合せの各成分のすべての治療関連用量で、全部の暴露−応答関係を調べる試験はコストが非常にかかる可能性がある。そこで、少なくとも最初は、動物で最適な相乗効果を発揮する用量から外挿した用量で相乗効果と一致する効果が観察できるかどうかを推定することが必要であろう。用量を動物からヒトに拡大するに当たっては、相対体重/体表面積、各成分の相対吸収、分布、代謝及び排出、並びに相対的な血漿タンパク質結合といった因子を考慮する必要がある。また、こうした理由のために、ヒト(及び患者)について予測される最適な用量比は動物で最適であることが示されている用量比とは同一にはならないかもしれない。しかしながら、両者間の関係は、動物及びヒトの薬物動態の専門家であれば、理解し計算できるはずである。動物とヒトの効果間の関係を確立するに当たって重要なものは、動物試験で使用された各成分について得られた血漿中濃度である。なぜならば、これらはヒトでも効能を発揮することが期待されるであろう各成分の血漿中濃度と関連しているからである。薬物動態/薬力学的モデリング(アイソボログラム、相互作用指数及び応答表面モデリングのような方法を含む)及びシミュレーションが、特にこれらの成分のいずれか又は両方が既にヒトで試験されている場合、ヒトにおける相乗的用量比を予測するのに役立つであろう。
【0065】
動物又はヒトで観察された、相乗効果と結論づけられた何らかの効果が、薬物動態的相互作用のみによるものであるかどうかを確認するのは重要なことである。例えば、一つの化合物の代謝を別の化合物が阻害しているような場合、薬力学的相乗効果という誤った印象を与えることがある。
【0066】
そこで、本発明の更なる側面に従って、アルファ−2−デルタリガンドとDSNRIか又はSSRI及びSNRIの片方又は両方、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩を含む、ヒトへの投与用の相乗的組合せを提供する。この場合、各成分の用量範囲は、最初に相乗的相互作用を確認するのに使用されたヒト以外の動物モデル、好ましくはラットモデルで観察された絶対的範囲に対応する。
【0067】
適切には、ヒトに使用するためのアルファ−2−デルタリガンドの用量は、1〜1200mg、1〜500mg、1〜100mg、1〜50mg、1〜25mg、500〜1200mg、100〜1200mg、100〜500mg、50〜1200mg、50〜500mg、又は50〜100mg、適切には50〜100mg、b.i.d又はt.i.d、適切にはt.i.dから選ばれる範囲にあり、SSRI及び/又はSNRIの用量は、1〜200mg、1〜100mg、1〜50mg、1〜25mg、10〜100mg、10〜50mg又は10〜25mg、適切には10〜100mg、b.i.d又はt.i.d、適切にはt.i.dから選ばれる範囲にある。
【0068】
治療効果を得るのに必要な本発明のアルファ−2−デルタリガンドとDSNRIか又はSSRI及びSNRIの片方又は両方との組合せの血漿中濃度範囲は、治療される種、及び使用される成分によって異なることは専門の読者には明白であろう。例えば、ラットにおけるガバペンチンの場合、Cmax値は0.520μg/ml〜10.5μg/mlの範囲である。
【0069】
標準のPK/PD及び相対成長法を用いれば、動物モデルで観察される血漿中濃度の値を外挿して異なる種、特にヒトにおける値を予測するのは可能である。
そこで、本発明の更なる側面として、アルファ−2−デルタリガンドとDSNRIか又はSSRI及びSNRIの片方又は両方を含む、ヒトへの投与用の相乗的組合せを提供する。この場合、各成分の血漿中濃度範囲は、最初に相乗的相互作用を確認するのに使用されたヒト以外の動物モデル、好ましくはラットモデルで観察された絶対的範囲に対応する。適切には、ヒトにおける血漿中濃度範囲は、アルファ−2−デルタリガンドの場合、ラットモデルにおける0.05μg/ml〜10.5μg/mlの範囲に対応する。
【0070】
本発明の特に好適な組合せは、組合せの各変数が各変数の適切なパラメータから選ばれるものを含む。本発明のさらに好適な組合せは、組合せの各変数が、各変数のさらに適切な、最も適切な、好適な又はさらに好適なパラメータから選ばれるものを含む。
【0071】
発明の詳細な説明
本発明の化合物は、当業者に周知の方法によって製造される。具体的には、本明細書の上文に記載した特許、特許出願及び公開(これらはいずれも引用によって本明細書に援用する)に、本発明による組合せ、医薬組成物、方法及びキットに使用できる化合物が例示され、それらの化合物の製造法が言及されている。
【0072】
本組合せ発明の化合物は、非溶媒和形並びに水和物形を含む溶媒和形で存在しうる。一般的に、同位体置換(例えば、D2O、d6−アセトン、d6−DMSO)を含有しうる水和物形を含む溶媒和形は非溶媒和物形と等価であり、本発明の範囲内に包含される。
【0073】
本発明のある種の化合物は一つ以上のキラル中心を有し、各中心はR又はS配置で存在しうる。本発明はすべての鏡像異性体形及びエピマー形、並びにそれらの適当な混合物を含む。ジアステレオ異性体又はシス及びトランス異性体の分離は従来技術によって、例えば、本発明の化合物又はその適切な塩もしくは誘導体の立体異性体混合物の分別結晶、クロマトグラフィー又はH.P.L.C.によって達成できる。
【0074】
本発明のいくつかのアルファ−2−デルタリガンドはアミノ酸である。アミノ酸は両性なので、薬理学的に適合性のある塩は、適当な非毒性の無機又は有機酸又は塩基の塩でありうる。適切な酸付加塩は、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、硫酸水素塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、ヒベンズ酸塩、、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、リン酸水素塩、イセチオン酸塩、D−及びL−乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、パモエート(palmoate)、リン酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、D−及びL−酒石酸塩、及びトシル酸塩の各塩である。適切な塩基性塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。例としては、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、コリン、ジオラミン、オラミン、アルギニン、グリシン、トロメタミン、ベンザチン、リシン、メグルミン及びジエチルアミン塩である。第四級アンモニウムイオンとの塩も、例えばテトラメチルアンモニウムイオンとで製造できる。本発明の化合物は双性イオンとしても形成できる。
【0075】
本発明のアミノ酸化合物の適切な塩は塩酸塩である。適切な塩に関する概説については、Stahl及びWermuthのHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use(医薬用塩のハンドブック:性質、選択及び使用)、Wiley−VCH、ドイツ・ワインハイム(2002)参照。
【0076】
包接化合物、薬物−ホスト包接複合体も本発明の範囲内に含まれる。これらは前述の溶媒和物とは対照的に、薬物とホストが非化学量論量で存在する。そのような複合体の概説については、HaleblianによるJ Pharm Sci,64(8),1269−1288(1975年8月)参照。
【0077】
以後、本発明の化合物について言及するときは常にその塩並びに本発明の化合物及びその塩の溶媒和物及び包接化合物への言及も含む。
本発明の化合物の範囲内にはその多形も含まれる。
【0078】
本発明の上記化合物のプロドラッグも本発明の範囲に含まれる。化学的に修飾された薬物、又はプロドラッグは、親化合物とは異なる薬物動態プロフィールを持つはずで、粘膜上皮を越える吸収を容易にし、塩の形成及び/又は溶解性を良好にし、全身的安定性を改善する(例えば血漿中半減期が増大するため)ことができる。このような化学修飾は、(1)例えばエステラーゼ又はリパーゼによって切断されうるエステル又はアミド誘導体。エステル誘導体の場合、エステルは薬物分子のカルボン酸部分から公知手段によって誘導される。アミド誘導体の場合、アミドは薬物分子のカルボン酸部分又はアミン部分から公知手段によって誘導されうる。
(2)特異的又は非特異的プロテイナーゼによって認識されうるペプチド。ペプチドは、薬物分子に、公知手段によって薬物分子のアミン又はカルボン酸部分とアミド結合を形成することによって結合できる。
(3)プロドラッグ形又は修飾プロドラッグ形の膜選別を通じて作用部位に蓄積する誘導体。
(4)1〜3の任意の組合せ。
でありうる。
【0079】
アミノアシル−グリコール酸及び−乳酸エステルはアミノ酸のプロドラッグとして知られている(Wermuth C.G.,Chemistry and Industry,1980:433−435)。アミノ酸のカルボニル基は公知手段によってエステル化できる。プロドラッグ及びソフトドラッグは当該技術分野で公知である(Palomino E.,Drugs of the Future,1990;15(4):361−368)。この二つの引用文献は、参照により本明細書に援用する。
【0080】
本発明の組合せは、疼痛、特に神経因性疼痛の一般的治療に有用である。生理的痛みは、外部環境からの有害刺激の恐れあるものによる危険を警告するために設計された重要な防御機構である。このシステムは、特定の一次感覚ニューロンのセットを通じて働き、もっぱら末梢変換機構を経由した侵害刺激によって活性化される(包括的概説について、Millan 1999 Prog.Neurobio.57:1−164)。これらの感覚線維は侵害受容器として知られており、伝導速度の遅い小径軸索によって特徴づけられる。侵害受容器は、侵害刺激の強度、持続時間及び質をコード化し、脊髄に向かって伸びたトポグラフィー的に組織化されたそれらの突起によって刺激の場所をコード化する。侵害受容器は侵害受容神経線維上にみられる。この線維にはA−デルタ線維(有髄)及びC線維(無髄)の2大タイプがある。侵害受容器入力によって生じた活動は、後角における複雑な処理後、直接的に又は脳幹中継核を経由して視床腹側基底核に伝達され、次いで皮質に伝えられ、そこで痛覚が発生する。
【0081】
強い急性痛と慢性痛は、病態生理学的過程によって駆動される同じ経路が関与しているようである。そして、痛みそのものが防御機構の提供をやめ、代わりに広範囲の疾患状態に伴う衰弱性の症状に寄与している。痛みは多くの外傷及び疾患状態の特徴である。疾患又は外傷によって実質的な傷害が体組織に発生すると、侵害受容器活性化の特徴が変化する。末梢に、傷害の周辺で局所的に、そして侵害受容器の終末で中枢的に増感が起こる。これは、損傷部位及び周辺の正常組織に過敏性をもたらす。急性痛ではこの機構は有用で、修復プロセスが起こるのを可能にさせる。そしてひとたび傷害が治癒すると過敏性は正常に戻る。しかしながら、多くの慢性痛状態では、過敏性が治癒プロセスよりずっと長引く。これは通常、神経系の損傷のためである。この損傷はしばしば求心性線維の不適応をもたらす(Woolf & Salter 2000 Science 288:1765−1768)。臨床上の痛みは、患者の症状の中に不快感及び異常過敏があれば、存在する。患者は極めて多様な傾向にあり、様々な疼痛の症状が存在しうる。いくつかの典型的な疼痛サブタイプがある。1)鈍痛、灼熱痛、又は刺痛でありうる自発痛;2)侵害刺激に対する疼痛応答が増強されている(痛覚過敏);3)通常は無害の刺激によって起こる痛み(異痛)(Meyerら、1994 Textbook of Pain 13−44)。背痛、関節炎痛、CNS外傷、又は神経因性疼痛のある患者も同様の症状を有しうるが、基礎にある機構は異なっているので、異なる治療対策を必要としうる。従って、疼痛は病態生理が異なるため、いくつかの異なる領域に分けることができる。これらには、侵害受容痛、炎症痛、神経因性疼痛などが含まれる。一部のタイプの疼痛は、複数の病因を有するので、二つ以上の領域に分類できることに注意する。例えば、背痛、がん性疼痛は侵害受容的成分と神経因性成分の両方を有する。
【0082】
侵害受容痛は、組織傷害によって、又は傷害を起こす可能性を有する強い刺激によって誘導される。痛みの求心性神経は侵害受容器による刺激の変換によって傷害の部位で活性化され、脊髄をその末端レベルで増感する。次にこれが脊髄路を伝って脳に中継され、そこで痛みが知覚される(Meyerら、1994 Textbook of Pain 13−44)。侵害受容器の活性化は、2種類の求心性神経線維を活性化する。有髄のA−デルタ線維は伝達が迅速で、鋭く刺す痛みの感覚に関与するが、無髄のC線維は伝達速度が遅く、鈍痛又はうずく痛みを伝達する。中等度〜重度の急性侵害受容痛は、挫傷/捻挫、術後痛(あらゆる種類の外科的処置後の痛み)、外傷後疼痛、火傷、心筋梗塞、急性膵炎、及び腎石疝痛による痛みの顕著な特徴であるが、これらに限定されない。また、がん関連の急性痛症候群も、一般に、化学療法毒性、免疫療法、ホルモン療法及び放射線療法のような療法的相互作用によるものである。中等度〜重度の急性侵害受容痛は、腫瘍関連痛(例えば、骨痛、頭痛及び顔面痛、内臓痛)でありうる又はがん療法(例えば、化学療法後症候群、慢性術後痛症候群、照射後症候群)に伴うがん性疼痛、椎間板ヘルニアもしく破損椎間板又は腰椎椎間関節、仙腸関節、傍脊柱筋群もしくは後縦靱帯の異常によると思われる背痛の顕著な特徴であるが、これらに限定されない。
【0083】
神経因性疼痛は、原発病変又は神経系の障害によって開始又は発生する疼痛と定義される(IASP定義)。神経損傷は外傷及び疾患によって発生しうるので、‘神経因性疼痛’という用語は様々な病因による多くの障害を包含する。これらには、糖尿病性ニューロパシー、帯状疱疹後神経痛、背痛、がん性ニューロパシー、HIV性ニューロパシー、幻肢痛、手根管圧迫症候群、慢性アルコール中毒、甲状腺機能低下症、三叉神経痛、尿毒症、又はビタミン欠乏症などが含まれるが、これらに限定されない。神経因性疼痛は防御的役割を持たないので病的な状態である。それは元の原因がとうに消失した後にも存続することが多く、一般に数年間続き、患者の生活の質(クオリティオブライフ)を著しく低下させる(Woolf及びMannion 1999 Lancet 353:1959−1964)。神経因性疼痛の症状は、同一疾患を有する患者間でさえも同質でないことが多いので、治療が困難である(Woolf & Decosterd 1999 Pain Supp.6:S141−S147;Woolf及びMannion 1999 Lancet 353:1959−1964)。それらには自発痛(持続性でありうる)、又は発作性及び異常誘発痛、例えば痛覚過敏(侵害刺激に対する感受性の増大)及び異痛(通常は無害な刺激に対する感受性)が含まれる。
【0084】
炎症プロセスは、組織傷害又は異物の存在に応答して活性化された一連の複雑な生化学的事象及び細胞事象であり、腫脹及び疼痛をもたらす(Levine及びTaiwo 1994:Textbook of Pain 45−56)。関節炎痛は炎症痛人口の大半を占める。リウマチ様疾患は先進国における最もありふれた慢性炎症状態の一つであり、リウマチ様関節炎は身体障害のありふれた原因である。RA(リウマチ様関節炎)の正確な病因は不明であるが、最近の仮説によれば、遺伝的因子と微生物学的要因の両方とも重要なようである(Grennan & Jayson 1994 Textbook of Pain 397−407)。およそ1600万人の米国人が症候性骨関節炎(OA)又は変形性関節疾患を有すると推定されている。彼らのほとんどが60代以上であるので、人口の高齢化が進むにつれて4000万人に増加すると予測されており、非常に大きな公衆衛生問題となっている(Houge & Mersfelder 2002 Ann Pharmacother.36:679−686;McCarthyら、1994 Textbook of Pain 387−395)。大部分のOA患者は痛みのために医療を求めている。関節炎は心理社会的機能及び身体機能に著しい影響を及ぼすので、晩年の身体障害の主要原因であることが知られている。その他の種類の炎症痛は炎症性腸疾患(IBD)などであるが、これだけに限定されない。
【0085】
その他の種類の疼痛は以下のものなどであるが、これらに限定されない。
−筋骨格障害、例えば、筋痛、線維筋痛、脊椎炎、血清陰性(非リウマチ様)関節症、関節外リウマチ、ジストロフィン異常症、グリコーゲン分解、多発性筋炎、化膿性筋炎などであるが、これらに限定されない。
【0086】
−神経系の病変又は障害によって起こる痛みと定義される中枢痛又は‘視床痛’、例えば、脳卒中後の中枢痛、多発性硬化症、脊髄損傷、パーキンソン病及びてんかんなどであるが、これらに限定されない。
【0087】
−心臓及び血管痛、例えば、アンギナ、心筋梗塞、僧帽弁狭窄症、心膜炎、レイノー現象、水腫性硬化症、骨格筋虚血などであるが、これらに限定されない。
−内臓痛、及び胃腸障害。内臓は腹腔内の臓器を包含する。これらの臓器には、性器、脾臓及び消化器系の一部が含まれる。内臓に伴う痛みは消化器系の内臓痛と非消化器系の内臓痛に分けられる。一般にみられる消化管(GI)障害は、機能性腸疾患(FBD)と炎症性腸疾患(IBD)を含む。これらのGI障害は、現在は中等度にしかコントロールされていない広範な疾患状態を含む。例えば、FBDについては、胃食道逆流、消化不良、過敏性腸症候群(IBS)及び機能性腹痛症候群(FAPS)、IBDについては、クローン病、回腸炎、及び潰瘍性大腸炎などであるが、いずれも恒常的に内臓痛を生ずる。その他の内臓痛としては、月経困難、骨盤痛、膀胱炎及び膵臓炎に伴う痛みなどである。
【0088】
−頭痛、例えば、片頭痛、前兆を伴う片頭痛、前兆を伴わない片頭痛、群発頭痛、緊張性頭痛などであるが、これらに限定されない。
−口腔顔面痛、例えば、歯痛、顎関節性筋筋膜疼痛などであるが、これらに限定されない。
【0089】
本発明の組合せは尿失禁の治療にも有用である。例えば、真性緊張性失禁(GSI)、緊張性尿失禁(SUI)又は高齢者の尿失禁;過活動膀胱(OAB)、例えば特発性排尿筋不安定、神経疾患(例えば、パーキンソン病、多発性硬化症、脊髄損傷及び脳卒中)後の排尿筋過活動及び膀胱流出路閉塞(例えば、良性前立腺肥大症(BPH)、尿道狭窄症又は狭窄症)後の排尿筋過活動;夜尿症;上記状態の組合せによる尿失禁(例えば過活動膀胱に伴う真性緊張性失禁);並びに頻尿及び尿意切迫といった尿症状などである。
【0090】
本組合せは便失禁の治療にも有用である。
更なる側面として、アルファ−2−デルタリガンドとDSNRIか又はSSRI及びSNRIの片方又は両方を、疼痛、特に神経因性疼痛の治癒的、予防的又は対症的治療用医薬品の製造に使用することを提供する。ただし、WO02/85839の化合物(i)〜(xxv)とセロトニン再取込み阻害薬、特にフルオキセチン、パロキセチン、シタロプラム及びセルトラリン、混合セロトニン−ノルアドレナリン再取込み阻害薬、特にミルナシプラン、ベンラファキシン及びデュロキセチン、及びノルアドレナリン再取込み阻害薬、特にレボキセチンとの組合せは除外する。
【0091】
代替の特徴として、本発明は、相乗効果量のアルファ−2−デルタリガンドとDSNRIか又はSSRI及びSNRIの片方又は両方を、疼痛、特に神経因性疼痛の治癒的、予防的又は対症的治療用医薬品の製造に使用することを提供する。
【0092】
代替の側面として、疼痛、特に神経因性疼痛の治癒的、予防的又は対症的治療法を提供する。該方法は、治療上効果的な量のアルファ−2−デルタリガンドとDSNRIか又はSSRI及びSNRIの片方又は両方を、前記治療を必要とする哺乳動物に同時、順次又は別個に投与することを含む。ただし、WO02/85839に開示された組合せ、すなわち式(i)〜(xxv)の化合物と、セロトニン再取込み阻害薬、例えばフルオキセチン、パロキセチン、シタロプラム及びセルトラリン;混合セロトニン−ノルアドレナリン再取込み阻害薬、例えばミルナシプラン、ベンラファキシン及びデュロキセチン;又はノルアドレナリン再取込み阻害薬、例えばレボキセチンとの組合せは除外する。
【0093】
代替の特徴として、疼痛、特に神経因性疼痛の治癒的、予防的又は対症的治療法を提供する。該方法は、治療上相乗効果量のアルファ−2−デルタリガンドとDSNRIか又はSSRI及びSNRIの片方又は両方を、前記治療を必要とする哺乳動物に同時、順次又は別個に投与することを含む。
【0094】
本発明のアルファ−2−デルタリガンドの生物活性は、[3H]ガバペンチン及びブタ脳組織由来のα2δサブユニットを用いる放射性リガンド結合アッセイで測定できる(Gee N.S.,Brown J.P.,Dissanayake V.U.K.,Offord J.,Thurlow R.,Woodruff G.N.,J.Biol.Chem.,1996;271:5879−5776)。結果は、μM又はnMで表したα2δ結合親和性で示されうる。
【0095】
本発明の化合物が選択的セロトニン再取込み阻害薬として働く能力は、確立された方法に従って、例えばUS4536518の実施例68に従ってインビボで測定できる。
本発明の化合物がデュアルセロトニン−ノルアドレナリン又は選択的ノルアドレナリン再取込み阻害薬として働く能力は、確立された方法に従って、特に上記文献の方法に従って測定できる。
【0096】
本発明の組合せのエレメントは、疼痛を治療するために、別個に、同時に又は順次投与できる。該組合せは所望により、一つ以上のその他の薬理活性薬と共に投与することもできる。適切な任意の薬剤は、
(i)オピオイド鎮痛薬、例えば、モルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、レボルファノール、レバロルファン、メタドン、メペリジン、フェンタニール、コカイン、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、プロポキシフェン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン及びペンタゾシン;
(ii)非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、例えば、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルシナール(diflusinal)、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサール、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、ゾメピラック、及びそれらの製薬学的に許容しうる塩;
(iii)バルビツレート鎮静薬、例えば、アモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール(butabital)、メフォバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、タルブタール、テアミラール(theamylal)、チオペンタール及びそれらの製薬学的に許容しうる塩;
(iv)鎮静作用を有するベンゾジアゼピン類、例えば、クロルジアゼポキシド、クロラゼペート、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、及びそれらの製薬学的に許容しうる塩;
(v)鎮静作用を有するH1アンタゴニスト、例えば、ジフェンヒドラミン、ピリラミン、プロメタジン、クロルフェニラミン、クロルシクリジン、及びそれらの製薬学的に許容しうる塩;
(vi)その他の鎮静薬、例えば、グルテチミド、メプロバメート、メタカロン、ジクロラールフェナゾン、及びそれらの製薬学的に許容しうる塩;
(vii)骨格筋弛緩薬、例えば、バクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メトカルバモール、オルフレナジン(orphrenadine)、及びそれらの製薬学的に許容しうる塩;
(viii)NMDA受容体アンタゴニスト、例えば、デキストロメトルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルヒナン)及びその代謝産物のデキストロルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルヒナン)、ケタミン、メマンチン、ピロロキノリンキノン及びシス−4−(ホスホノメチル)−2−ピペリジンカルボン酸、及びそれらの製薬学的に許容しうる塩;
(ix)アルファ−アドレナリン作動性化合物、例えば、ドキサゾシン、タムスロシン、クロニジン、及び4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノール−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリン;
(x)三環系抗うつ薬、例えば、デシプラミン、イミプラミン、アミトリプチリン、及びノルトリプチリン;
(xi)抗痙攣薬、例えば、カルバマゼピン及びバルプロエート;
(xii)タキキニン(NK)アンタゴニスト、特に、NK−3、NK−2及びNK−1アンタゴニスト、例えば、(αR,9R)−7−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−8,9,10,11−テトラヒドロ−9−メチル−5−(4−メチルフェニル)−7H−[1,4]−ジアゾシノ[2,1−g][1,7]ナフチリジン−6−13−ジオン(TAK−637)、5−[[(2R,3S)−2−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ−3−(4−フルオロフェニル)−4−モルホリニル]メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(MK−869)、ラネピタント(lanepitant)、ダピタント(dapitant)、及び3−[[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチルアミノ]−2−フェニル−ピペリジン(2S,3S);
(xiii)ムスカリン様アンタゴニスト、例えば、オキシブチン(oxybutin)、トルテロジン、プロピベリン、塩化トロプシウム(tropsium chloride)、及びダリフェナシン;
(xiv)COX−2阻害薬、例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ及びバルデコキシブ;
(xv)非選択的COX阻害薬(好ましくはGI保護を有する)、例えば、ニトロフルルビプロフェン(nitroflurbiprofen)(HCT−1026);
(xvi)コールタール鎮痛薬、特に、パラセタモール;
(xvii)神経弛緩薬、例えばドロペリドール;
(xviii)バニロイド受容体アゴニスト、例えばレシンフェラトキシン(resinferatoxin);
(xix)ベータ−アドレナリン作動性化合物、例えばプロプラノロール;
(xx)局所麻酔薬、例えばメキシレチン;
(xxi)コルチコステロイド、例えばデキサメタゾン;
(xxii)セロトニン受容体アゴニスト及びアンタゴニスト;
(xxiii)コリン作動性(ニコチン性)鎮痛薬;
(xxiv)その他の薬剤、例えばTramadol(登録商標);
(xxv)PDEV阻害薬、例えば、シルデナフィル、バルデナフィル又はタラダフィル(taladafil)
などである。
【0097】
本発明は、アルファ−2−デルタリガンド、DSNRI又はSSRI及びSNRIの片方又は両方、及び上に掲載したような一つ以上のその他の治療薬を含む、疼痛、特に神経因性疼痛の治癒的、予防的治療に同時、別個又は順次使用するための製品に拡大される。
【0098】
本発明の組合せは単独でも投与できるが、一般的には一つ又は両方のエレメントを、意図する投与経路及び標準的製薬実施基準に関して選択された適切な製薬学的賦形剤、希釈剤又は担体と混合して投与することになろう。適当であれば助剤を加えることもできる。助剤とは、保存剤、抗酸化剤、フレーバー又は着色剤である。本発明の化合物は、即時、遅延、修飾、持続、拍動又は制御放出タイプであってよい。
【0099】
本発明の組合せのエレメントは、例えば下記の経路で投与できるが、これらに限定されない。錠剤、カプセル、マルチ及びナノ粒子、ゲル、フィルム(粘膜付着性を含む)、散剤、オビュール、エリキシル、ロゼンジ(液体充填を含む)、咀嚼錠、溶液、懸濁液及びスプレーの形態で経口、頬内又は舌下投与できる。本発明の化合物は、浸透剤形として、又は高エネルギー分散物の形態で、又は被覆粒子として、又はLiang及びChenによるAshley Publications 2001に記載のような速溶解、速崩壊剤形として投与することもできる。本発明の化合物は、凍結乾燥又は噴霧乾燥された結晶又は非晶質製品として投与することもできる。本発明の化合物の適切な製剤は、所望に応じて、親水性又は疎水性マトリックス、イオン交換樹脂複合体、被覆又は非被覆形及びUS6,106,864に記載のようなその他のタイプに配合されて製剤化できる。そのような医薬組成物、例えば錠剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、グリシン及びデンプン(好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモ又はタピオカデンプン)、マンニトールのような賦形剤、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム及びある種の複合ケイ酸塩のような崩壊剤、及びポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、トリグリセリド、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ベントナイト、スクロース、ソルビトール、ゼラチン及びアカシアのような造粒結合剤を含有してもよい。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、PEG及びタルクのような滑沢剤、又はラウリル硫酸ナトリウムのような湿潤剤も固体組成物に加えてよい。さらに、炭水化物、リン脂質及びタンパク質のようなポリマーを含めてもよい。
【0100】
速分散又は速溶解製剤(FDDF)は下記成分を含有することができる。アスパルテーム、アセスルファムカリウム、クエン酸、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ジアスコルビン酸、アクリル酸エチル、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、メタクリル酸メチル、ミント着香剤、ポリエチレングリコール、フュームド・シリカ、二酸化ケイ素、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ソルビトール又はキシリトール。FDDFの説明をするために本明細書中で使用した分散又は溶解という用語は、使用される薬物物質の溶解度に左右される。すなわち、薬物物質が不溶性の場合、速分散剤形が製造でき、薬物物質が可溶性の場合、速溶解剤形が製造できる。
【0101】
錠剤のような固体剤形は標準的プロセス、例えば、直接圧縮又は湿式、乾式もしくは溶融造粒、溶融凝固及び押出しプロセスによって製造される。単層又は多層でありうる錠剤コアは当該技術分野で公知の適当なオーバーコートで被覆してもよい。
【0102】
同様のタイプの固体組成物を、ゼラチン、デンプン又はHPMCカプセルの充填剤として使用することもできる。これに関する好適な賦形剤は、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖又は高分子量ポリエチレングリコールなどである。液体組成物は、ゼラチンカプセルのような軟質又は硬質カプセルの充填剤として使用することができる。水性及び油性の懸濁液、溶液、シロップ及び/又はエリキシルの場合、本発明の化合物は、様々な甘味剤又は着香剤、着色物質又は色素、乳化剤及び/又は懸濁化剤、及び水、エタノール、プロピレングリコール、メチルセルロース、アルギン酸又はアルギン酸ナトリウム、グリセリン、油類、親水コロイド剤及びそれらの組合せのような希釈剤と組み合わせることができる。さらに、これらの化合物及び賦形剤を含有する製剤は、使用前に水又はその他の適切なビヒクルで構成(還元)するための乾燥製品として提供してもよい。
【0103】
液体形の製剤は、溶液、懸濁液、及びエマルジョン、例えば、水又は水プロピレングリコール溶液を含む。非経口注射の場合、液体製剤はポリエチレングリコール水溶液中の溶液として製剤化できる。経口使用に適切な水溶液は、活性成分を水に溶解し、適切な着色剤、着香剤、安定化剤及び増粘剤を所望に応じて添加することによって製造できる。経口使用に適切な水性懸濁液は、微粉末の活性成分を、粘性材料、例えば天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、及びその他の周知の懸濁化剤と共に水中に分散することによって製造できる。
【0104】
本発明の組合せのエレメントは、注射によって投与することもできる。すなわち、静脈内、筋肉内、皮内、十二指腸内、又は腹腔内、動脈内、髄腔内、心室(脳室)内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、脊髄内又は皮下注射による投与である。あるいは、注入、無針注射器又はインプラント注射技術によって投与してもよい。そのような非経口投与の場合、それらは無菌水溶液、懸濁液又はエマルジョンの形態(又はミセルを含むことができるような系)で使用されるのが最良である。これらは、当該技術分野で知られているその他の物質、例えば該溶液を血液と等張にするのに足る塩又はグルコースのような炭水化物を含有することもできる。水溶液は必要であれば適切に緩衝化(好ましくはpH3〜9に)すべきである。一部の非経口投与用の形態については、モノ又はジグリセリドなどの不揮発性油、及びオレイン酸などの脂肪酸のような無菌の非水性系の形態で使用することもできる。無菌条件下での適切な非経口用製剤の製造、例えば凍結乾燥は、当業者に周知の標準的製薬技術によって容易に達成される。あるいは、活性成分を粉末形にして使用前に適切なビヒクル(例えば無菌の発熱物質除去水)で構成(還元)するようにしてもよい。
【0105】
また、本発明の組合せのエレメントは、鼻腔内又は吸入による投与もできる。それらは乾燥粉末吸入器から乾燥粉末の形態で(単独で、混合物、例えばラクトースとの乾燥ブレンド、又は例えばリン脂質との混合成分粒子としてのいずれかで)、又は加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザ(好ましくは電気流体力学を用いて微細ミストを発生するアトマイザ)又はネブライザからエアゾールスプレーの形態で(適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、ヒドロフルオロアルカン、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134A[登録商標])又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EA[登録商標])、二酸化炭素、更なる過フッ素化炭化水素、例えばPerflubron(登録商標)又はその他の適切なガスを使用して、又は使用せずに)都合よく送達される。加圧エアゾールの場合、用量単位は計測量を送達するためのバルブを設けることによって決定できる。加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザ又はネブライザには、例えば、溶媒としてエタノール(所望により水性エタノール)又は分散、可溶化もしくは持続放出用の適切な薬剤及び噴射剤の混合物を用いた活性化合物の溶液又は懸濁液を入れることができる。これにはさらにトリオレイン酸ソルビタンのような滑沢剤を加えてもよい。吸入器又は吹入器に使用するカプセル、ブリスター及びカートリッジ(例えばゼラチン又はHPMC製)は、本発明の化合物の粉末ミックス、適切な散剤基剤、例えばラクトース又はデンプン、及び性能修飾剤、例えばl−ロイシン、マンニトール又はステアリン酸マグネシウムを収容するように形成できる。
【0106】
本発明の組合せのエレメントは、吸入用の乾燥粉末製剤又は懸濁液製剤に使用する前に、吸入による送達に適したサイズに微粉化される(典型的には5ミクロン未満と考えられる)。微粉化は、一連の方法、例えば、スパイラルジェットミリング、流動床ジェットミリング、超臨界流体結晶化の使用によって、又は噴霧乾燥によって達成できる。
【0107】
電気流体力学を用いて微細ミストを発生するアトマイザに使用するための適切な溶液製剤は、1作動につき本発明の化合物を1μg〜10mg含有しうる。作動体積は1〜100μlの範囲で変動しうる。典型的な製剤は、本発明の組合せのエレメント、プロピレングリコール、無菌水、エタノール及び塩化ナトリウムを含むことになろう。代替の溶媒として、プロピレングリコールの代わりに、例えばグリセロール又はポリエチレングリコールを使用してもよい。
【0108】
あるいは、本発明の組合せのエレメントは、皮膚、粘膜に、皮膚上又は経皮的に局所投与してもよい。その場合の投与形態は、例えば、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散布剤、包帯、泡沫、フィルム、皮膚パッチ、カシェ剤、インプラント、スポンジ、ファイバー、帯具、マイクロエマルジョン及びそれらの組合せである。そのような適用法の場合、本発明の化合物は、例えば下記の一つ以上との混合物中に懸濁又は溶解できる。すなわち、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ろう、不揮発性油(合成モノ又はジグリセリドを含む)、及び脂肪酸(オレイン酸を含む)、水、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、エタノールのようなアルコール類。あるいは、浸透促進剤を使用してもよい。下記のものも使用できる。すなわち、ナノ粒子の形態(例えばニオソーム又はリポソーム)又は懸濁もしくは溶解状態のポリマー、炭水化物、タンパク質、リン脂質。さらに、それらは、イオントフォレーゼ(イオン導入)、エレクトロポレーション、フォノフォレシス(超音波導入)及びソノフォレシス(超音波導入)を用いて送達してもよい。
【0109】
あるいは、本発明の組合せのエレメントは、例えば坐剤又はペッサリーの形態で直腸投与することもできる。それらは膣経路で投与してもよい。例えば、これらの組成物は、薬物を適切な非刺激性賦形剤、例えばカカオバター、合成グリセリドエステル又はポリエチレングリコールと混合して製造することができる。これらの賦形剤は常温では固体であるが、腔内では液化及び/又は溶解して薬物を放出する。
【0110】
本発明の組合せのエレメントは眼内経路で投与してもよい。眼用の場合、化合物は、等張のpH調整された無菌生理食塩水中の微粉化懸濁液として、又は好ましくは等張のpH調整された無菌生理食塩水中の溶液として製剤化すればよい。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース)、又はヘテロ多糖ポリマー(例えばゲランゴム(gelan gum))のようなポリマーを加えてもよい。あるいは、それらは、ワセリン又は鉱油のような軟膏に製剤化しても、生分解性(例えば吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)又は非生分解性(例えばシリコーン)インプラント、カシェ剤、滴剤、レンズに配合しても、又はニオソームもしくはリポソームのような粒子又は小胞系によって送達してもよい。製剤は、所望により、塩化ベンザルコニウムのような保存剤と組み合わせてもよい。また、イオントフォレーゼを用いて送達してもよい。それらは、例えば滴剤(これに限定されない)を用いて耳内に投与することもできる。
【0111】
本発明の組合せのエレメントはシクロデキストリンと組み合わせて使用してもよい。シクロデキストリンは、薬物分子と包接及び非包接複合体を形成することが知られている。薬物−シクロデキストリン複合体を形成することで、薬物分子の溶解度、溶解速度、味マスキング、バイオアベイラビリティ及び/又は安定性といった性質を変更できる。薬物−シクロデキストリン複合体は、一般的にほとんどの剤形及び投与経路に有用である。薬物との直接的な複合体化の代わりに、シクロデキストリンは補助添加剤、例えば担体、希釈剤又は可溶化剤として使用することもできる。アルファ−、ベータ−及びガンマ−シクロデキストリンが最も一般的に使用され、適切な例がWO−A−91/11172、WO−A−94/02518及びWO−A−98/55148に記載されている。
【0112】
‘投与される’という用語には、ウィルス又は非ウィルス技術による送達も含まれる。ウィルス送達機構は、アデノウィルスベクター、アデノ随伴ウィルス(AAV)ベクター、ヘルペスウィルスベクター、レトロウィルスベクター、レンチウィルスベクター、及びバキュロウィルスベクターなどであるが、これらに限定されない。非ウィルス送達機構は、脂質媒介トランスフェクション、リポソーム、イムノリポソーム、リポフェクチン、カチオン性表面両親媒性(cationic facial amphiphiles,CFA)及びそれらの組合せなどである。そのような送達機構の経路は、粘膜、鼻腔内、経口、非経口、消化管、局所又は舌下経路などであるが、これらに限定されない。
【0113】
そこで、本発明の更なる側面として、アルファ−2−デルタリガンド、DSNRIか又はSSRI及びSNRIの片方又は両方、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩を含む組合せ(ただし、WO02/85839の化合物(i)〜(xxv)とセロトニン再取込み阻害薬、特にフルオキセチン、パロキセチン、シタロプラム及びセルトラリン、混合セロトニン−ノルアドレナリン再取込み阻害薬、特にミルナシプラン、ベンラファキシン及びデュロキセチン、及びノルアドレナリン再取込み阻害薬、特にレボキセチンとの組合せは除外する)、及び適切な賦形剤、希釈剤又は担体を含む医薬組成物を提供する。適切には、該組成物は、疼痛、特に神経因性疼痛の治療に使用するのに適している。
【0114】
本発明の代替の側面として、アルファ−2−デルタリガンド、DSNRIか又はSSRI及びSNRIの片方又は両方、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩を含む相乗的組合せ、及び適切な賦形剤、希釈剤又は担体を含む医薬組成物を提供する。適切には、該組成物は、疼痛、特に神経因性疼痛の治療に使用するのに適している。
【0115】
ヒト以外の動物への投与の場合、本明細書で使用している‘医薬(製薬)学的’という用語は‘獣医薬学的’という用語に置き換えればよい。
医薬製剤のエレメントは好ましくは単位剤形に配合される。そのような形態の場合、製剤は、適量の活性成分を含有する単位用量に小分割される。単位剤形は、パックされた錠剤、カプセル、及びバイアル又はアンプル入り散剤のような包装製剤になっており、各包装に個別量の製剤が含まれている。単位剤形は、カプセル、錠剤、カシェ剤、又はロゼンジそのものであってもよく、又はこれらのいずれかが適当な数で包装された形態であってもよい。単位用量製剤中の活性成分の量は、特定の用途及び活性成分の効力に応じて0.1mg〜1gの範囲で変動又は調整できる。医学的使用の場合、薬物は1日3回、例えば100又は300mgのカプセルとして投与されうる。治療的使用の場合、本発明の医薬学的方法で利用される化合物は、初期用量として1日約0.01mg〜約100mg/kg投与される。1日の用量範囲としては約0.01mg〜約100mg/kgが好適である。しかしながら、用量は、患者の要件、治療される状態の重症度、及び使用する化合物によって変動しうる。特定の状況についての適正な用量の決定は専門家の範囲内である。一般的に、治療は、化合物の最適用量より少ない用量で開始する。その後、その状況下で最適な効果に達するまで用量を少量ずつ増やす。便宜上、所望であれば、総日用量を分割し、その日の間に何回かに分けて投与してもよい。
【0116】
動物用の場合、本発明による組合せ又はその獣医薬学的に許容しうる塩又は溶媒和物を、通常の獣医薬学的実施基準に従って適切に許容しうる製剤として投与する。獣医は特定の動物に最適な投与計画及び投与経路を決定することになろう。
【実施例】
【0117】
生物学的実施例
方法
動物
Charles River(英国ケント州マーゲート)から入手した雄のSprague Dawleyラット(200〜250g)を6匹の群にしてケージに収容した。全動物は12時間の明/暗サイクル(07時00分に点灯)下に維持し、餌と水は自由に与えた。全実験とも薬物処置について知らされていない観察者によって行われた。
【0118】
ラットのCCI手術
動物をイソフルランで麻酔した。以前Bennett及びXieによって1988年に報告された通りに坐骨神経を結紮した。処置中、動物は保温毛布上に置いた。手術の準備後、総坐骨神経を大腿中央部で大腿2頭筋の鈍的切開によって露出した。坐骨神経3分岐の近位で約7mmの神経を付着組織から遊離し、その周囲を約1mmの間隔で4回緩く結紮(4−0絹糸)した。切開部を層ごとに閉じ、傷口を局所抗生物質で処置した。
【0119】
CCIで誘発された静的及び動的異痛の維持に及ぼす組合せの効果
最初に、ガバペンチン、DSNRI、SSRI及びSNRIに対する用量反応試験を単独でCCIモデルで実施した。組合せは策定した固定比に従って調べた。固定された用量比の各組合せに対する用量反応試験を実施した。試験日ごとに薬物処置前に、von Frey毛に対するベースラインの足底逃避閾値(PWT)及び綿棒刺激に対する足底逃避までの潜伏時間(PWL)を測定した。
【0120】
異痛の評価
静的異痛は、Semmes−Weinstein von Frey毛(米国イリノイ州Stoelting)を用いて測定した。動物を金網底のケージに入れ、動物の足底面から接近できるようにした。動物をこの環境に慣れさせてから実験を開始した。静的異痛は、動物の右後肢の足底面をvon Frey毛で最大6秒間、昇順の力(0.7、1.2、1.5、2、3.6、5.5、8.5、11.8、15.1及び29g)で触れることにより試験した。逃避反応が確立されたら、その下の力のvon Frey毛から降順に反応が見られなくなるまで再試験した。最大の29gの力で足を持ち上げ、反応が引き出されたので、これを終止点とした。反応を引き出すのに要した最低量の力をPWTとしてグラムで記録した。
【0121】
動的異痛は、後肢の足底面を綿棒で軽く撫でることによって評価した。この操作は、一般的な運動活性が記録されないように十分に慣れた非活動的なラットで実施するよう注意を払った。各時点で少なくとも3回測定し、その平均を足底逃避までの潜伏時間(PWL)とした。15秒以内に何の反応も示さなかったら、この操作を終了し、動物にはこの逃避時間を割り当てた。従って、15秒というのは事実上逃避なしを表す。逃避反応には反復する尻込み又は足舐めを伴うことが多かった。動物が綿刺激に8秒間の撫で時間より早く反応したら動的異痛があるとみなした。
【0122】
組合せ試験
用量反応試験はまず、アルファ−2−デルタリガンド(p.o.)とDSNRI又はSSRI及び/又はSNRI(s.c.又はp.o.)の両方に対して単独で実施する。次にいくつかの固定用量比の組合せについて試験できる。各固定用量比に対する用量反応試験は、各個別比率の抗異痛作用の持続時間によって決定された各実験の時間経過について実施した。重量による様々な固定用量比の組合せが試験できる。
【0123】
本発明の適切なDSNRI又はSSRI及び/又はSNRI化合物は、参照文献に記載のようにして製造できる、又はこれらの文献に基づいて当業者には自明である。
本発明の適切なアルファ−2−デルタリガンド化合物は、本明細書の以下に記載のように、又は前述の参照特許文献に記載のようにして製造できる。これを以下の非制限的実施例及び中間体によって説明する。
化学的実施例
実施例1.(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸ヒドロクロリド
(R)−2,6−ジメチル−ノナ−2−エン。 THF(800mL)中の(S)−シトロネリルブロミド(50g、0.228mol)に0℃でLiCl(4.3g)、次いでCuCl2(6.8g)を加えた。30分後、塩化メチルマグネシウム(THF中3M溶液152mL、Aldrich)を加え、該溶液を室温に温めた。10時間後、該溶液を0℃に冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液を注意深く加えた。得られた2層を分離し、水性相をエーテルで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(MgSO4)、濃縮して(R)−2,6−ジメチル−ノナ−2−エンを得た。32.6g;93%。それ以上精製せずに使用した。
【0124】
【数1】

【0125】
(R)−4−メチル−ヘプタン酸。 アセトン(433mL)中の(R)−2,6−ジメチル−ノナ−2−エン(20g、0.13mol)に、CrO3(39g、0.39mol)のH2SO4(33mL)/H2O(146mL)中溶液を50分間かけて加えた。6時間後、更なる量のH2SO4(22mL)/H2O(100mL)中CrO3(26g、0.26mol)を加えた。12時間後、該溶液を食塩水で希釈し、エーテルで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(MgSO4)、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAcの6:1から2:1への傾斜)により、(R)−4−メチル−ヘプタン酸を油として得た。12.1g;65%。MS,m/z(相対強度):143[M−H,100%]。
【0126】
(4R,5S)−4−メチル−3−((R)−4−メチル−ヘプタノイル)−5−フェニル−オキサゾリジン−2−オン。 THF(500mL)中の(R)−4−メチル−ヘプタン酸(19g、0.132mol)及びトリエチルアミン(49.9g、0.494mol)に、0℃でトリメチルアセチルクロリド(20g、0.17mol)を加えた。1時間後、LiCl(7.1g、0.17mol)を加え、次いで(4R,5S)−(+)−4−メチル−5−フェニル−2−オキサゾリジノン)3(30g、0.17mol)を加えた。該混合物を室温に温め、16時間後、ろ液をろ過によって取り出し、溶液を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(7:1のヘキサン/EtOAc)により(4R,5S)−4−メチル−3−((R)−4−メチル−ヘプタノイル)−5−フェニル−オキサゾリジン−2−オンを油として得た。31.5g;79%。[α]D=+5.5(c1、CHCl3中)。MS,m/z(相対強度):304[M+H,100%]。
【0127】
(3S,5R)−5−メチル−3−((4R,5S)−4−メチル−2−オキソ−5−フェニル−オキサゾリジン−3−カルボニル)−オクタン酸tert−ブチルエステル。
THF(200mL)中の(4R,5S)−4−メチル−3−((R)−4−メチル−ヘプタノイル)−5−フェニル−オキサゾリジン−2−オン(12.1g、0.04mol)に、−50℃でナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1M溶液48mL)を加えた。30分後、t−ブチルブロモアセテート(15.6g、0.08mol)を加えた。該溶液を−50℃で4時間撹拌し、次いで室温に温めた。16時間後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、2層に分離させた。水性相をエーテルで抽出し、合わせた有機相を乾燥させ(MgSO4)、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(9:1のヘキサン/EtOAc)により、(3S,5R)−5−メチル−3−((4R,5S)−4−メチル−2−オキソ−5−フェニル−オキサゾリジン−3−カルボニル)−オクタン酸tert−ブチルエステルを白色固体として得た。12g;72%。[α]D=+30.2(c1、CHCl3中)。
【0128】
【数2】

【0129】
(S)−2−((R)−2−メチル−ペンチル)−コハク酸4−tert−ブチルエステル。2O(73mL)及びTHF(244mL)中の(3S,5R)−5−メチル−3−((4R,5S)−4−メチル−2−オキソ−5−フェニル−オキサゾリジン−3−カルボニル)−オクタン酸tert−ブチルエステル(10.8g、0.025mol)に0℃で予備混合したLiOH(0.8M溶液51.2mL)とH22(30%溶液14.6mL)の溶液を加えた。4時間後、さらに12.8mLのLiOH(0.8M溶液)と3.65mLのH22(30%溶液)を加えた。30分後、亜硫酸水素ナトリウム(7g)、亜硫酸ナトリウム(13g)及び水(60mL)を加え、次いでヘキサン(100mL)及びエーテル(100mL)を加えた。2層を分離させ、水性層をエーテルで抽出した。合わせた有機相を濃縮して油にし、それをヘプタン(300mL)に溶解した。得られた固体をろ過除去し、ろ液を乾燥させ(MgSO4)、濃縮して(S)−2−((R)−2−メチル−ペンチル)−コハク酸4−tert−ブチルエステル(6g、93%)を得た。これをそれ以上精製せずそのまま使用した。MS,m/z(相対強度):257[M+H,100%]。
【0130】
(3S,5R)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−5−メチル−オクタン酸,tert−ブチルエステル。 (S)−2−((R)−2−メチル−ペンチル)−コハク酸4−tert−ブチルエステル(6.0g、23.22mmol)とトリエチルアミン(3.64mL、26.19mmol)のトルエン(200mL)中溶液を、ジフェニルホスホリルアジド(5.0mL、23.22mL)で処理し、室温で0.5時間撹拌した。その後、該反応混合物を3時間加熱還流し、短時間冷却してベンジルアルコール(7.2mL、69.7mmol)を加え、該溶液をさらに3時間加熱した。反応混合物を放冷した後、エチルエーテル(200mL)で希釈し、合わせた有機層を飽和NaHCO3及び食塩水で相次いで洗浄し、乾燥させた(Na2SO4)。濃縮した有機成分をクロマトグラフィー(MPLC)により8:1のヘキサン:酢酸エチルで溶離して精製し、(3S,5R)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−5−メチル−オクタン酸,tert−ブチルエステル(6.4g、75.8%)を得た。MS:M+1:364.2,308.2。
【0131】
(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸,tert−ブチルエステル。 (3S,5R)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−5−メチル−オクタン酸,tert−ブチルエステル(2.14g、5.88mmol)のTHF(50mL)中溶液をPD/C(0.2g)及び50psiのH2で2時間処理した。次いで、反応混合物をろ過及び真空下で濃縮して油にし、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸,tert−ブチルエステルを定量的収率で得た。MS:M+1:230.2,174.1。
【0132】
(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸ヒドロクロリド。 6N HCl(100mL)中の(3S,5R)−アミノ−5−メチル−オクタン酸,tert−ブチルエステル(2.59g、11.3mmol)のスラリーを還流下で18時間加熱し、冷却し、セライト上でろ過した。ろ液を真空下で濃縮して25mLにし、得られた結晶を回収して乾燥し、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸ヒドロクロリドを得た。mp 142.5〜142.7℃(1.2g、50.56%)。ろ液から2回目の収量(0.91g)を得た。
【0133】
【数3】

【0134】
(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸ヒドロクロリド。 30mLのメチルtert−ブチルエーテルに含有された5.3gの2S−(2R−メチル−ペンチル)−コハク酸tert−ブチルエステルを室温で3.5mLのトリエチルアミン、次いで6.4gのジフェニルホスホリルアジドと反応させる。反応を発熱させて45℃にし、少なくとも4時間撹拌した後、該反応混合物を室温に放冷し、相分離する間放置する。下層を廃棄し、上層を水、次いで希HCl水溶液で洗浄する。次に、上層を10mLの6N HCl水溶液と合わせ、45〜65℃で撹拌する。該反応混合物を真空蒸留によって約10〜14mLに濃縮し、約5℃に冷却しながら結晶化させる。生成物をろ過により回収した後、該生成物をトルエンで洗浄し、トルエン中で再スラリー化する。該生成物を真空下で加熱して乾燥させ、2.9g(67%)の白色結晶生成物を得る。生成物はHCl水溶液から再結晶化してもよい。mp 137℃。
【0135】
実施例2.(3S,5R)−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸
メタンスルホン酸(S)−3,7−ジメチル−オクタ−6−エニル−エステル。 CH2Cl2(800mL)中のS−(−)−シトロネロール(42.8g、0.274mol)及びトリエチルアミン(91mL、0.657mol)に、0℃でCH2Cl2(200mL)中のメタンスルホニルクロリド(26mL、0.329mol)を加えた。0℃で2時間置いた後、該溶液を1NのHCl、次いで食塩水で洗浄した。有機相を乾燥させ(MgSO4)、濃縮して標記化合物を油として得た(60.5g、94%)。これをそれ以上精製せずに使用した。MS,m/z(相対強度):139[100%],143[100%]。
【0136】
(R)−2,6−ジメチル−オクタ−2−エン。 THF(1L)中のメタンスルホン酸(S)−3,7−ジメチル−オクタ−6−エニル−エステル(60g、0.256mol)に、0℃で水素化アルミニウムリチウム(3.8g、0.128mol)を加えた。7時間後、さらに3.8gの水素化アルミニウムリチウムを加え、溶液を室温に温めた。18時間後、さらに3.8gの水素化アルミニウムリチウムを加えた。さらに21時間後、反応を1Nのクエン酸で注意深くクエンチングし、溶液をさらに食塩水で希釈した。得られた二つの相を分離し、有機相を乾燥させ(MgSO4)、濃縮して標記化合物を油として得た。これをそれ以上精製せずに使用した。MS,m/z(相対強度):139[M+H,100%]。
【0137】
(R)−4−メチル−ヘキサン酸。 (R)−4−メチル−ヘプタン酸の合成と類似の方法を利用し、標記酸を油として得た(9.3g、56%)。MS,m/z(相対強度):129[M−H,100%]。
【0138】
(4R,5S)−4−メチル−3−((R)−4−メチル−ヘキサノイル)−5−フェニル−オキサゾリジン−2−オン。 (4R,5S)−4−メチル−3−((R)−4−メチル−ヘプタノイル)−5−フェニル−オキサゾリジン−2−オンの合成と類似の方法を利用し、標記化合物を油として得た(35.7g、95%)。MS,m/z(相対強度):290[M+H,100%]。
【0139】
(3S,5R)−5−メチル−3−[1−((4R,5S)−4−メチル−2−オキソ−5−フェニル−オキサゾリジン−3−イル)−メタノイル]−ヘプタン酸tert−ブチルエステル。 (3S,5R)−5−メチル−3−((4R,5S)−4−メチル−2−オキソ−5−フェニル−オキサゾリジン−3−カルボニル)−オクタン酸tert−ブチルエステルの製造と類似の方法に従って標記化合物を油として得た(7.48g、31%)。MS,m/z(相対強度):178[100%]、169[100%];[α]D=+21.6(c1、CHCl3中)。
【0140】
(S)−2−((R)−2−メチル−ブチル)−コハク酸4−tert−ブチルエステル。2O(53mL)及びTHF(176mL)中の(3S,5R)−5−メチル−3−[1−((4R,5S)−4−メチル−2−オキソ−5−フェニル−オキサゾリジン−3−イル)−メタノイル]−ヘプタン酸tert−ブチルエステル(7.26g、0.018mol)に0℃で予備混合したLiOH(0.8M溶液37mL)とH22(30%溶液10.57mL)の溶液を加え、該溶液を室温に温めた。2時間後、亜硫酸水素ナトリウム(7g)、亜硫酸ナトリウム(13g)、及び水(60mL)を加え、2層を分離させ、水性層をエーテルで抽出した。合わせた有機相を濃縮して油にし、それをヘプタン(200mL)に溶解した。得られた固体をろ過除去し、ろ液を乾燥させ(MgSO4)、濃縮して標記化合物を油(4.4g)として得た。これをそれ以上精製せずに使用した。MS,m/z(相対強度):243[100%]。
【0141】
(3S,5R)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−5−メチル−ヘプタン酸,tert−ブチルエステル。 この化合物は、(S)−2−((R)−2−メチル−ブチル)−コハク酸,4−tert−ブチルエステルを出発物質として上記のように製造し、(3S,5R)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−5−メチル−ヘプタン酸,tert−ブチルエステルを油として得た(収率73.3%)。
【0142】
【数4】

【0143】
(3S,5R)−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸,tert−ブチルエステル。 この化合物は、(3S,5R)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−5−メチル−オクタン酸,tert−ブチルエステルの代わりに(3S,5R)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−5−メチル−ヘプタン酸,tert−ブチルエステルを出発物質として上記のように製造し、標記化合物を得た。
【0144】
【数5】

【0145】
(3S,5R)−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸ヒドロクロリド。 3NのHCl中(3S,5R)−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸,tert−ブチルエステル(1.44g、6.69mmol)のスラリーを3時間加熱還流し、熱いままセライト上でろ過し、濃縮乾燥させた。得られた固体をエチルエーテル中で粉砕し、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸ヒドロクロリド(0.95g、85%)を得た。mp 126.3〜128.3℃。
【0146】
実施例3.(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸
(R)−4−メチル−オクタン酸。 塩化リチウム(0.39g、9.12mmol)と塩化銅(I)(0.61g、4.56mmol)を周囲温度で45mlのTHF中で合わせ、15分間撹拌して0℃に冷却し、その時点で臭化エチルマグネシウム(THF中1M溶液、45mL、45mmol)を加えた。(S)−シトロネリルブロミド(5.0g、22.8mmol)を滴下添加し、該溶液を一晩撹拌しながら周囲温度にゆっくり温まらせた。反応を飽和NH4Cl(水溶液)を注意深く添加してクエンチングし、Et2O及び飽和NH4Cl(水溶液)と共に30分間撹拌した。相分離したので、有機相を乾燥(MgSO4)及び濃縮した。粗(R)−2,6−ジメチル−デカ−2−エンを精製せずに使用した。(R)−2,6−ジメチル−デカ−2−エン(3.8g、22.8mmol)の50mLアセトン中溶液に0℃でJones試薬(H2SO4(水溶液)中2.7M、40mL、108mmol)を加え、該溶液を一晩撹拌しながら周囲温度にゆっくり温まらせた。混合物をEt2OとH2Oの間で分配させて相分離させ、有機相を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)及び濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(8:1のヘキサン:EtOAc)で精製して2.14g(59%)の標記化合物を無色油として得た。LRMS:m/z 156.9(M+)。Jones試薬は、26.7gのCrO3、23mLのH2SO4を合わせ、H2Oで希釈して100mLにすることによって2.7M溶液として調製した。
【0147】
(4R,5S)−4−メチル−3−((R)−4−メチル−オクタノイル)−5−フェニル−オキサゾリジン−2−オン。 25mLのCH2Cl2中の(R)−4−メチル−オクタン酸(2.14g、13.5mmol)に、0℃で3滴のDMF、次いで塩化オキサリル(1.42mL、16.2mmol)を加えたところ、激しくガスが発生した。溶液を周囲温度に直接温め、30分間撹拌し、濃縮した。一方、オキサゾリジノン(2.64g、14.9mmol)の40mLTHF中溶液に、−78℃でn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M溶液、9.3mL、14.9mmol)を滴下添加した。該混合物を10分間撹拌し、その時点で10mLのTHF中の酸塩化物を滴下添加した。該反応を−78℃で30分間撹拌し、次いで周囲温度に直接温め、飽和NH4Clでクエンチングした。該混合物をEt2Oと飽和NH4Cl(水溶液)の間で分配させて相分離させ、有機相を乾燥(MgSO4)及び濃縮して3.2gの標記化合物を無色油として得た。LRMS:m/z 318.2(M+)。
【0148】
(3S,5R)−5−メチル−3−((4R,5S)−4−メチル−2−オキソ−5−フェニル−オキサゾリジン−3−カルボニル)−ノナン酸tert−ブチルエステル。 ジイソプロピルアミン(1.8mL、12.6mmol)の30mLTHF中溶液に、−78℃でn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M溶液、7.6mL、12.1mmol)を添加し、該混合物を10分間撹拌し、その時点で10mLのTHF中(4R,5S)−4−メチル−3−((R)−4−メチル−オクタノイル)−5−フェニル−オキサゾリジン−2−オン(3.2g、10.1mmol)を滴下添加した。該溶液を30分間撹拌し、t−ブチルブロモアセテート(1.8mL、12.1mmol)を−50℃で迅速に滴下添加し、該混合物を3時間かけて10℃にゆっくり温まらせた。該混合物をEt2Oと飽和NH4Cl(水溶液)の間で分配させて相分離させ、有機相を乾燥(MgSO4)及び濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(16:1から8:1のヘキサン:EtOAc)によって精製し、2.65g(61%)の標記化合物を無色結晶固体として得た。mp=84〜86℃。[δ]D23 +17.1(c=1.00,CHCl3)。
【0149】
(S)−2−((R)−2−メチル−ヘキシル)−コハク酸4−tertブチルエステル。 (3S,5R)−5−メチル−3−((4R,5S)−4−メチル−2−オキソ−5−フェニル−オキサゾリジン−3−カルボニル)−ノナン酸tert−ブチルエステル(2.65g、6.14mmol)の20mLTHF中溶液に、0℃で、予冷された(0℃)LiOH一水和物(1.0g、23.8mmol)と過酸化水素(30wt%水溶液、5.0mL)の10mLH2O中溶液を加えた。該混合物を90分間激しく撹拌し、次いで周囲温度に温めて90分間撹拌した。反応を0℃で100mLの10%NaHSO3(水溶液)を添加してクエンチングし、次いでEt2Oで抽出した。相を分離させ、有機相を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)及び濃縮した。標記化合物はそれ以上精製せずに使用した。
【0150】
(3S,5R)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−5−メチルノナン酸,tert−ブチルエステル。 この化合物は、(S)−2−((R)−2−メチルペンチル)コハク酸4−tertブチルエステルの代わりに(S)−2−((R)−2−メチルヘキシル)コハク酸4−tertブチルエステルを出発物質として上記方法と同様に製造し、標記化合物を油として得た(収率71.6%)。
【0151】
【数6】

【0152】
(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸,tert−ブチルエステル。 この化合物は、(3S,5R)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−5−メチル−オクタン酸,tert−ブチルエステルの代わりに(3S,5R)−ベンジルオキシカルボニルアミノ−5−メチル−ノナン酸,tert−ブチルエステルを出発物質として上記のように製造した。収率=97%。
【0153】
【数7】

【0154】
(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸ヒドロクロリド。 (3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸,tert−ブチルエステル(1.50g、6.16mmol)の3N HCl(100mL)中混合物を3時間加熱還流し、熱いままセライト上でろ過し、真空下で30mLに濃縮した。得られた結晶を回収し、追加の3N HClで洗浄し、乾燥させて標記化合物を得た。mp 142.5〜143.3℃。ろ液から追加の収量1.03gを得た(70.4%)。
【0155】
【数8】

【0156】
医薬組成物実施例
以下の実施例において、‘活性化合物’又は‘活性成分’という用語は、本発明に従ってアルファ−2−デルタリガンドとDSNRI又はSSRI及びSNRIの片方又は両方及び/又は製薬学的に許容しうる塩の適切な組合せ又は個々のエレメントのことを言う。
(i)錠剤組成物
以下の組成物A及びBは、成分(a)〜(c)及び(a)〜(d)とポビドン溶液との湿式造粒、次いでステアリン酸マグネシウムの添加、そして圧縮によって製造できる。
【0157】
【表1】

【0158】
以下の組成物D及びEは、混合した成分の直接圧縮によって製造できる。製剤Eで使用されているラクトースは直接圧縮タイプのものである。
【0159】
【表2】

【0160】
組成物は、成分(a)〜(c)とポビドン溶液との湿式造粒、次いでステアリン酸マグネシウムの添加、そして圧縮によって製造できる。
組成物G(腸溶錠)
組成物Cの腸溶錠は、錠剤を25mg/錠の腸溶ポリマー、例えば、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチル−セルロースフタレート、又はメタクリル酸とメタクリル酸メチルエステルのアニオンポリマー(Eudragit L)などでコーティングすることによって製造できる。Eudragit Lを除き、これらのポリマーには10%(使用したポリマーの量の重量%)の可塑剤を加えてコーティング時又は貯蔵時の膜のひび割れを防止しなければならない。適切な可塑剤は、ジエチルフタレート、クエン酸トリブチル及びトリアセチンなどである。
組成物H(腸溶性の制御放出錠)
組成物Fの腸溶錠は、錠剤を50mg/錠の腸溶ポリマー、例えば、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチル−セルロースフタレート、又はメタクリル酸とメタクリル酸メチルエステルのアニオンポリマー(Eudragit L)などでコーティングすることによって製造できる。Eudragit Lを除き、これらのポリマーには10%(使用したポリマーの量の重量%)の可塑剤を加えてコーティング時又は貯蔵時の膜のひび割れを防止しなければならない。適切な可塑剤は、ジエチルフタレート、クエン酸トリブチル及びトリアセチンなどである。
(ii)カプセル組成物
組成物A
カプセルは上記組成物Dの成分を混合し、得られた混合物を2部式の硬質ゼラチンカプセルに詰めることによって製造できる。組成物B(下記)も同様にして製造できる。
【0161】
【表3】

【0162】
カプセルは、マクロゴール4000BPを溶融し、活性成分を該溶融物に分散させ、それを2部式硬質ゼラチンカプセルに詰めることによって製造できる。
【0163】
【表4】

【0164】
カプセルは、活性成分をレシチンと落花生油に分散させ、該分散物を軟質ゼラチンカプセルに詰めることによって製造できる。
【0165】
【表5】

【0166】
制御放出カプセル剤は、混合した(a)〜(c)の成分を押出機を用いて押出し、次いで押出物を球形にし乾燥させることによって製造できる。乾燥ペレットを放出制御膜(d)でコーティングし、2部式硬質ゼラチンカプセルに詰める。
【0167】
【表6】

【0168】
腸溶カプセル組成物は、混合した(a)〜(c)の成分を押出機を用いて押出し、次いで押出物を球形にし乾燥させることによって製造できる。乾燥ペレットを可塑剤(e)を含有する腸溶膜(d)でコーティングし、2部式硬質ゼラチンカプセルに詰める。
組成物G(腸溶性の制御放出カプセル)
組成物Eの腸溶カプセルは、制御放出ペレットを50mg/カプセルの腸溶ポリマー、例えば、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、又はメタクリル酸とメタクリル酸メチルエステルのアニオンポリマー(Eudragit L)などでコーティングすることによって製造できる。Eudragit Lを除き、これらのポリマーには10%(使用したポリマーの量の重量%)の可塑剤を加えてコーティング時又は貯蔵時の膜のひび割れを防止すべきである。適切な可塑剤は、ジエチルフタレート、クエン酸トリブチル及びトリアセチンなどである。
(iii)静脈内注射用組成物
【0169】
【表7】

【0170】
活性成分をリン酸緩衝液の大部分に35〜40℃で溶解した後、容積の不足分を補い、無菌のミクロポアフィルタを通して無菌の10mlガラスバイアル(タイプ1)にろ過して入れ、それを無菌クロージャー及びオーバーシールで密封する。
(iv)筋肉内注射用組成物
【0171】
【表8】

【0172】
活性成分をグリコフロールに溶解する。次にベンジルアルコールを加えて溶解し、水を加えて3mlにする。次に、該混合物を無菌のミクロポアフィルタを通してろ過し、3mlガラスバイアル(タイプ1)に入れて密封する。
(v)シロップ組成物
【0173】
【表9】

【0174】
安息香酸ナトリウムを純水の一部に溶解し、ソルビトール溶液を加える。活性成分を加え、溶解する。得られた溶液をグリセロールと混合し、所要容積になるまで純水を補う。
(vi)坐剤組成物
【0175】
【表10】

【0176】
1/5のウィテップゾールH15を蒸気ジャケット付きパンで最高45℃で融解する。活性成分を200lmのふるいを通して溶融基剤にふるい入れ、なめらかな分散が達成されるまでカッティングヘッドを備えたSilverson製ミキサを用いて混合する。該混合物を45℃に維持しながら、残りのウィテップゾールH15を懸濁物に加え、それを撹拌して確実に均質な混合物にする。次に、全部の懸濁物を撹拌を継続しながら250lmのステンレススチール製スクリーンに通し、40℃に放冷する。38〜40℃の温度で2.02gの分量の混合物を適切なプラスチック製鋳型に充填し、該坐剤を室温に放冷する。
(vii)ペッサリー組成物
【0177】
【表11】

【0178】
上記成分を直接混合し、得られた混合物を圧縮することによってペッサリーを製造する。
(viii)経皮組成物
【0179】
【表12】

【0180】
活性成分とアルコールUSP(米国薬局方)をヒドロキシエチルセルロースとゲル化し、表面積10cm2の経皮デバイスに詰める。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相乗効果量のプレガバリンと、ベンラファキシン、ベンラファキシンの代謝産物O−デスメチルベンラファキシン、クロミプラミン、クロミプラミンの代謝産物デスメチルクロミプラミン、デュロキセチン、ミルナシプラン、及びイミプラミンから選択されるデュアルセロトニン−ノルアドレナリン再取込み阻害薬(DSNRI)又はそれらの製薬学的に許容しうる塩を含む、疼痛の治癒的、予防的又は対症的治療のための医薬組成物であって、当該疼痛が線維筋痛である組成物。
【請求項2】
DSNRIが、ミルナシプラン、デュロキセチン及びベンラファキシン、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
疼痛の治癒的、予防的又は対症的治療のための医薬製造における、相乗効果量のプレガバリンと、ベンラファキシン、ベンラファキシンの代謝産物O−デスメチルベンラファキシン、クロミプラミン、クロミプラミンの代謝産物デスメチルクロミプラミン、デュロキセチン、ミルナシプラン、及びイミプラミンから選択されるDSNRI又はそれらの製薬学的に許容しうる塩の使用であって、当該疼痛が神経因性疼痛である使用。

【公開番号】特開2012−144545(P2012−144545A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−49988(P2012−49988)
【出願日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【分割の表示】特願2006−525924(P2006−525924)の分割
【原出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】