説明

アルファ7正のアロステリックモジュレーターとしてのモルホリノチアゾール

本発明は、モルホリノチアゾール誘導体およびこれらの製薬学的に許容される塩、それらの製造方法、それらを含有させた製薬学的組成物およびそれらを治療で用いることに関する。本発明は、特に、ニコチン性アセチルコリン受容体の正のアロステリックモジュレーターに関し、そのような正のアロステリックモジュレーターは、ニコチン性受容体の作動薬が示す効力を向上させる能力を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モルホリノチアゾール誘導体およびこれらの製薬学的に許容される塩、それらの製造方法、それらを含有させた製薬学的組成物およびそれらの治療上の使用に関する。本発明は、特に、ニコチン性アセチルコリン受容体の正のアロステリックモジュレーター(positive allosteric modulators)に関し、そのような正のアロステリックモジュレーターは、ニコチン性受容体の作動薬が示す効力を向上させる能力を有する。
【背景技術】
【0002】
キナーゼ、特にTie−2を阻害、調節および/またはモジュレートすることで癌および癌関連疾患の治療または予防で有用であり得るトリアゾール誘導体が特許文献1に開示されている。
【0003】
コリン作動性受容体は、一般に、内因性神経伝達物質であるアセチルコリン(ACh)と結合し、それがイオンチャンネルの開口の引き金になる。哺乳動物の中枢神経系におけるACh受容体は、ムスカリンおよびニコチンそれぞれの作動活性を基にしてムスカリン(mAChR)サブタイプおよびニコチン(nAChR)サブタイプに分類分け可能である。そのようなニコチン性アセチルコリン受容体は5サブユニットを含有するリガンド依存性イオンチャンネルである。nAChRサブユニット遺伝子ファミリーのメンバーはアミノ酸配列を基にして2グループ、即ちいわゆるアルファサブユニットを含有する1グループとベータサブユニットを含有する2番目のグループに分類分けされる。3種類のアルファサブユニット、即ちアルファ7、アルファ8およびアルファ9は、単独で発現した時に機能的受容体を形成することが知られており、従って、ホモオリゴマー状の五量体受容体を形成すると思われている。
【0004】
nAChRのアロステリック転移状態モデルが開発され、それは少なくとも休止状態、活性化状態および「脱感作」閉口チャンネル状態、即ち受容体が作動薬に対して敏感でなくなる過程を伴う。いろいろなnAChRリガンドがこれらが優先的に結合する受容体の立体配座状態を安定にし得る。例えば、作動薬であるAChおよび(−)−ニコチンはそれぞれその活性状態および脱感作状態を安定にする。
【0005】
ニコチン性受容体が示す活性の変化がいろいろな病気に関係していると思われている。それらのいくつか、例えば重症筋無力症および常染色体優性夜行性前頭葉てんかん(ADNFLE)などはニコチン性伝達の活性の低下に関連している、と言うのは、受容体の数が減少するか或は脱感作の度合が高くなるからである。
【0006】
また、ニコチン性受容体の減少がアルツハイマー病および統合失調症などの如き病気に見られる認知障害を媒介するとも仮定されている。
【0007】
ニコチン性受容体はまたタバコによるニコチンの影響も媒介し、そしてそのニコチンの影響は脱感作状態の受容体を安定にする効果であることから、ニコチン性受容体の活性が高くなると喫煙の欲望が低下する可能性がある。
【0008】
nAChRと結合する化合物はコリン作動性機能の低下を伴うある範囲の障害、例えば学習障害、認知欠損、注意力欠如または記憶喪失などの治療に適することが示唆されている。アルファ7ニコチン性受容体の活性のモジュレーション(modulation)は
いろいろな病気に有益であると期待されており、そのような病気には、アルツハイマー病、レヴィー小体認知症、注意欠陥多動性障害、不安、統合失調症、躁病、双極性障害、パーキンソン病、ハンチントン病、トゥレットシンドローム、脳外傷、およびコリン作動性シナプスが欠損している他の神経学的、変性および精神病性障害(時差ボケ、ニコチン中毒および痛みを包含)が含まれる。
【0009】
しかしながら、AChと同じ部位に作用するニコチン性受容体作動薬を用いた治療には問題がある、と言うのは、AChが活性化するばかりでなくまた脱感作および非競合的封鎖を包含するプロセスによって受容体の活性が妨害されるからである。その上、活性化が長引くと長期不活性化が誘発されると思われる。従って、AChの作動薬は長期投与された時に効果を失うと予測することができる。
【0010】
一般にニコチン性受容体、特に注目すべきはアルファ7ニコチン性受容体の所に脱感作が起こると投与された作動薬の作用が持続する時間が制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO−2004/091480
【発明の概要】
【0012】
発明の説明
我々は、新規な特定のモルホリノチアゾール誘導体がニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)において作動薬が示す効能を向上させ得ることを見いだした。この種類の作用を示す化合物(本明細書では以降「正のアロステリックモジュレーター」と呼ぶ)はニコチン性伝達の低下に関連した病気の治療に有用である可能性がある。治療環境において、そのような化合物は活性化の一時的プロファイルに影響を与えることなく正常なニューロン間伝達を回復させる可能性がある。加うるに、正のアロステリックモジュレーターは、作動薬を長期間投与した時に起こり得る如き受容体の長期不活性化をもたらすこともないと期待される。
【0013】
本発明の積極的nAChRモジュレーターは、アルファ7ニコチン性受容体のモジュレーションが有益である精神病性障害、知能障害性障害および疾患、炎症性疾患および病気の治療または予防で用いるに有用である。
【0014】
本発明は、正のアロステリックモジュレーター特性を有する、特にアルファ7ニコチン性受容体において作動薬が示す効能を向上させるモルホリノチアゾール誘導体に関する。本発明は、更に、それらの製造方法およびそれらを含有させた製薬学的組成物にも関する。本発明は、また、そのような誘導体をアルファ7ニコチン性受容体のモジュレーションが有益である精神病性障害、知能障害性障害および疾患、炎症性疾患および病気を治療および予防する薬剤を製造する目的で用いることにも関する。本発明は、更に、そのような誘導体をアルファ7ニコチン性受容体のモジュレーションが有益である精神病性障害、知能障害性障害および疾患、炎症性疾患および病気を治療および予防する時に用いることにも関する。
【0015】
本発明の化合物は、構造的に従来技術の化合物とは異なり、キナーゼ活性を示さない。
【0016】
1番目の面において、本発明は、式(I)
【0017】
【化1】

【0018】
[式中、
は、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、1、2、3または4個のメチル基で置換されているC3−6シクロアルキル、(C3−6シクロアルキル)C1−6アルキル、(C1−6アルキルオキシ)C1−6アルキル、テトラヒドロフリル、アリールまたはヘテロアリールであり、
アリールは、2,2−ジフルオロベンゾジオキサニル;フェニル;またはハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、C1−6アルキル、C1−4アルキルオキシおよびアミノスルホニルから選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルであり、
ヘテロアリールは、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有しかつ場合によりC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C3−6シクロアルキルまたはトリフルオロメチルから選択される1、2または可能ならば3個の置換基で置換されていてもよい単環式もしくは二環式芳香複素環式基であり、
およびRは、独立して、HまたはC1−4アルキルであり、
Arは、
【0019】
【化2】

【0020】
であり、
およびRは、独立して、H、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキルまたはC1−4アルキルオキシである]
で表される化合物またはこれの立体化学異性体もしくは酸付加塩もしくは溶媒和物に関する。
【0021】
一例として、RはC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、1、2、3または4個のメチル基で置換されているシクロプロピル、(C3−6シクロアルキル)C1−2アルキルまたはメトキシメチルであり、
アリールはフルオロ、クロロ、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノおよびアミノスルホニルから選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルであり、
ヘテロアリールは各々がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、シクロプロピル、メトキシまたはトリフルオロメチルから選択される1、2または可能ならば3個の置換基で置換されているか或は置換されていないフラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルまたはベンゾイソオキサゾリ
ルである。
【0022】
別の例として、Rは水素またはメチルである。
【0023】
別の例として、Rはメチルである。
【0024】
別の例として、Rは水素、メチル、シクロプロピルまたはメトキシである。
【0025】
別の例として、Rは水素またはメチルである。
【0026】
別の例として、Rはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、シクロプロピル、1−メチルシクロプロピル、2,2,3,3−テトラメチルプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、(シクロプロピル)エチル、(シクロプロピル)メチル、(シクロブチル)メチルであり、
Hetは3−メチル−イソオキサゾール−5−イル、3−メチル−イソオキサゾール−4−イル、5−メチル−イソオキサゾール−3−イル、2−メチル−5−トリフルオロメチル−オキサゾール−4−イル、2−メチル−オキサゾール−4−イルである。
【0027】
別の例として、RおよびRはメチルでありかつシス型立体配置を有する。
【0028】
別の例として、Rは水素、メチル、シクロプロピルまたはメトキシである。
【0029】
別の例として、Rはメチルである。
【0030】
特別な化合物は下記である:
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−シクロプロパンアセトアミド、
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−3−メチル−4−イソオキサゾールカルボキサミド、
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−3−メチル−5−イソオキサゾールカルボキサミド、および
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−アセトアミド。
【0031】
2番目の面において、本発明は、式(I)
【0032】
【化3】

【0033】
[式中、
は、C1−6アルキル、1、2または3個のハロゲン置換基で置換されているC1−6アルキル、1個のシアノ基で置換されているC1−6アルキル、1個のヘテロアリール基で置換されているC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、1、2、3または4個のメチル基で置換されているC3−6シクロアルキル、1個のヒドロキシ基で置換されているC3−6シクロアルキル、(C3−6シクロアルキル)C1−6アルキル、(C1−6アルキルオキシ)C1−6アルキル、(ハロC1−4アルキルオキシ)C1−6アルキル、テトラヒドロフリル、アリール、ヘテロアリール、ピロリジニル、1個のC1−4アルキルで置換されているピロリジニル、またはメチルおよびオキソから選択される1、2または3個の置換基で置換されているテトラヒドロフリルであり、
アリールは、2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソリル;フェニル;またはハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、C1−6アルキル、C1−4アルキルオキシおよびアミノスルホニルから選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルであり、
ヘテロアリールは、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有しかつ場合によりC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C3−6シクロアルキルおよびトリフルオロメチルから選択される1、2または可能ならば3個の置換基で置換されていてもよい単環式もしくは二環式芳香複素環基であり、
およびRは、独立して、H、C1−4アルキルまたはトリフルオロメチルであるか、或は
とRが一緒になって1,2−エタンジイルまたは1,3−プロパンジイルを形成しており、
Arは、
【0034】
【化4】

【0035】
であり、
およびRは、独立して、H、C1−4アルキル、トリフルオロメチル、C3−6シクロアルキルまたはC1−4アルキルオキシである]
で表される化合物またはこれの立体化学異性体もしくは酸付加塩もしくは溶媒和物に関する。
【0036】
一例として、RはC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、1、2、3または4個のメチル基で置換されているシクロプロピル、(C3−6シクロアルキル)C1−2アルキルまたはメトキシメチルであり、
アリールはフルオロ、クロロ、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノおよびアミノスルホニルから選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルであり、
ヘテロアリールは各々がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、シクロプロピル、メトキシおよびトリフルオロメチルから選択される1、2または可能ならば3個の置換基で置換されているか或は置換されていないフラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルまたはベンゾイソオキサゾリルである。
【0037】
別の例として、
はC1−6アルキル、3個のフルオロ置換基で置換されているC1−4アルキル、1個のシアノ基で置換されているメチル、3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリルで置換されているメチル、3−メチル−5−イソオキサゾリルで置換されているメチル、C3−6シクロアルキル、1、2、3または4個のメチル基で置換されているシクロプロピル、1個のヒドロキシ基で置換されているシクロプロピル、(C3−6シクロアルキル)C1−2アルキル、メトキシメチル、メトキシエチル、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メチル、テトラヒドロフリル、アリール、ヘテロアリール、1個のメチル基で置換されているピロリジニル、またはメチルおよびオキソから選択される3個の置換基で置換されているテトラヒドロフリルであり、
アリールは2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−4−イル、フェニル;またはフルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、メチル、メトキシおよびアミノスルホニルから選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルであり、特にアリールはフルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、メチル、メトキシおよびアミノスルホニルから選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルであり、
ヘテロアリールは各々がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、シクロプロピル、メトキシおよびトリフルオロメチルから選択される1、2または可能ならば3個の置換基で置換されているか或は置換されていないフラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、チエニル、1,2,3−チアジアゾリル、チアゾリルまたはベンゾイソオキサゾリルであり、特にヘテロアリールは各々がメチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロプロピル、メトキシおよびトリフルオロメチルから選択される1、2または可能ならば3個の置換基で置換されているか或は置換されていないフラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、チエニル、1,2,3−チアジアゾリル、チアゾリルまたはベンゾイソオキサゾリルである。
【0038】
別の例として、
はC1−6アルキル、3個のフルオロ置換基で置換されているC1−4アルキル、1個のシアノ基で置換されているメチル、3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリルで置換されているメチル、3−メチル−5−イソオキサゾリルで置換されているメチル、C3−6シクロアルキル、1、2、3または4個のメチル基で置換されているシクロプロピル、1個のヒドロキシ基で置換されているシクロプロピル、(C3−6シクロアルキル)C1−2アルキル、メトキシメチル、メトキシエチル、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メチル、テトラヒドロフリル、アリール、ヘテロアリール、1個のメチル基で置換されているピロリジニル、またはメチルおよびオキソから選択される3個の置換基で置換されているテトラヒドロフリルであり、
アリールは2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−4−イル、フェニル;またはフルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、メチル、メトキシおよびアミノスルホニルから選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルであり、特にアリールはフルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、メチル、メトキシおよびアミノスルホニルから選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルであり、
ヘテロアリールは各々がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、シクロプロピル、メトキシおよびトリフルオロメチルから選択される1、2または可能ならば3個の置換基で置換されているか或は置換されていないフラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、チエニル、1,2,3−チ
アジアゾリル、チアゾリルまたはベンゾイソオキサゾリルであり、特にヘテロアリールは各々がメチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロプロピル、メトキシおよびトリフルオロメチルから選択される1、2または可能ならば3個の置換基で置換されているか或は置換されていないフラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、チエニル、1,2,3−チアジアゾリル、チアゾリルまたはベンゾイソオキサゾリルである。
【0039】
およびRは、独立して、H、メチルまたはトリフルオロメチルであるか、或はRとRが一緒になって1,2−エタンジイルを形成している。
【0040】
Arは、
【0041】
【化5】

【0042】
である。
【0043】
およびRは、独立して、H、メチル、トリフルオロメチル、シクロプロピルまたはメトキシである。
【0044】
別の例として、Rは水素またはメチルである。
【0045】
別の例として、Rはメチルである。
【0046】
別の例として、Rは水素、メチル、シクロプロピルまたはメトキシである。
【0047】
別の例として、Rは水素またはメチルである。
【0048】
別の例として、Rはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、シクロプロピル、1−メチルシクロプロピル、2,2,3,3−テトラメチルプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、(シクロプロピル)エチル、(シクロプロピル)メチル、(シクロブチル)メチルであり、
Hetは3−メチル−イソオキサゾール−5−イル、3−メチル−イソオキサゾール−4−イル、5−メチル−イソオキサゾール−3−イル、2−メチル−5−トリフルオロメチル−オキサゾール−4−イル、2−メチル−オキサゾール−4−イルである。
【0049】
別の例として、Rはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、シクロプロピル、1−メチルシクロプロピル、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、(シクロプロピル)エチル、(シクロプロピル)メチル、(シクロブチル)メチルであり、
Hetは3−メチル−イソオキサゾール−5−イル、3−メチル−イソオキサゾール−4−イル、5−メチル−イソオキサゾール−3−イル、2−メチル−5−トリフルオロメチル−オキサゾール−4−イル、2−メチル−オキサゾール−4−イルである。
【0050】
別の例として、Rはシクロプロピルまたは3−メチル−4−イソオキサゾリル、特に3−メチル−4−イソオキサゾリルである。
【0051】
別の例として、Rは、C1−6アルキル、1、2または3個のハロゲン置換基で置換されているC1−6アルキル、1個のシアノ基で置換されているC1−6アルキル、1個のヘテロアリール基で置換されているC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、1、2、3または4個のメチル基で置換されているC3−6シクロアルキル、1個のヒドロキシ基で置換されているC3−6シクロアルキル、(C3−6シクロアルキル)C1−6アルキル、(C1−6アルキルオキシ)C1−6アルキル、(ハロC1−4アルキルオキシ)C1−6アルキル、テトラヒドロフリル、アリール、ヘテロアリール、ピロリジニル、1個のC1−4アルキルで置換されているピロリジニル、または1個のオキソと1または2個のメチル基で置換されているテトラヒドロフリルである。
【0052】
別の例として、RおよびRはメチルでありかつシス型立体配置を有する。
【0053】
別の例として、RおよびRはメチルでありかつトランス型立体配置を有する。
【0054】
別の例として、RおよびRは独立してH、C1−4アルキルまたはトリフルオロメチルであり、特にRおよびRは独立してH、メチルまたはトリフルオロメチルである。
【0055】
別の例として、RおよびRは独立してH、C1−4アルキルまたはトリフルオロメチルであるか或はRとRが一緒になって1,2−エタンジイルを形成しており、特にRおよびRは独立してH、メチルまたはトリフルオロメチルであるか或はRとRが一緒になって1,2−エタンジイルを形成している。
【0056】
別の例として、RおよびRは独立してH、メチル、トリフルオロメチル、シクロプロピルまたはメトキシである。
【0057】
別の例として、RおよびRは独立してH、メチルまたはトリフルオロメチルでありかつRおよびRは独立してH、メチル、トリフルオロメチル、シクロプロピルまたはメトキシである。
【0058】
別の例として、RおよびRは独立してH、メチルまたはトリフルオロメチルであるか或はRとRが一緒になって1,2−エタンジイルを形成しており、かつRおよびRは独立してH、メチル、トリフルオロメチル、シクロプロピルまたはメトキシである。
【0059】
別の例として、RはH、メチル、トリフルオロメチル、シクロプロピルまたはメトキシ、特にH、メチル、シクロプロピルまたはメトキシである。
【0060】
別の例として、Rはメチルである。
【0061】
別の例として、RおよびRはメチルである。
【0062】
別の例として、Arは
【0063】
【化6】

【0064】
である。
【0065】
別の例として、Arは
【0066】
【化7】

【0067】
である。
【0068】
別の例として、ヘテロアリールは、各々がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、シクロプロピル、メトキシおよびトリフルオロメチルから選択される1、2または可能ならば3個の置換基で置換されているか或は置換されていないフラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、チエニル、1,2,3−チアジアゾリル、チアゾリルまたはベンゾイソオキサゾリルであり、より特別には、ヘテロアリールは、各々がメチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロプロピル、メトキシおよびトリフルオロメチルから選択される1、2または可能ならば3個の置換基で置換されているか或は置換されていないフラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、チエニル、1,2,3−チアジアゾリル、チアゾリルまたはベンゾイソオキサゾリルである。
【0069】
別の例として、
はシクロプロピルまたは3−メチル−4−イソオキサゾリル、特に3−メチル−4−イソオキサゾリルであり、
およびRはメチルでありかつシス型立体配置を有し、
Arは
【0070】
【化8】

【0071】
である。
【0072】
特別な化合物は、如何なる立体化学異性体形態物および酸付加塩および溶媒和物をも包含する、
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6
−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−シクロプロパンアセトアミド、
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−3−メチル−4−イソオキサゾールカルボキサミド、
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−3−メチル−5−イソオキサゾールカルボキサミド、および
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−アセトアミド、
である。
【0073】
特別な化合物は下記のものである:
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−シクロプロパンアセトアミド、
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−3−メチル−4−イソオキサゾールカルボキサミド、
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−3−メチル−5−イソオキサゾールカルボキサミド、および
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−アセトアミド。
【0074】
特別な化合物は下記のものである:
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−シクロプロパンアセトアミド、および
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−3−メチル−4−イソオキサゾールカルボキサミド。
【0075】
特別な化合物は、如何なる立体化学異性体形態物および酸付加塩および溶媒和物をも包含する、
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−3−メチル−4−イソオキサゾールカルボキサミド、
である。
【0076】
特別な化合物は下記のものである:
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−3−メチル−4−イソオキサゾールカルボキサミド。
【0077】
この上に示した興味の持たれる態様の可能な組み合わせの全部が本発明の範囲内に含まれると見なす。
【0078】
本発明の化合物を説明する時に用いる用語は、特に明記しない限り、以下の定義に従って解釈されるべきである。
【0079】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、基または基の一部として、特に明記しないか或は内容から明らかでない場合、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードの総称である。
【0080】
用語「C1−6アルキル」は、基または基の一部として、式C2n+1[式中、nは1から6の範囲の数である]で表されるヒドロカルビル基を指す。C1−6アルキル基の炭素原子数は1から6、好適には炭素原子数は1から4、より好適には炭素原子数は1から3、更により好適には炭素原子数は1から2である。アルキル基は直鎖または分枝であり得、かつ本明細書に示すように置換されていてもよい。本明細書で炭素原子の後に下つき文字を用いる場合、その下つき文字はその記述した基が含有し得る炭素原子の数を指す。このように、例えばC1−6アルキルには炭素原子数が1から6の範囲内の直鎖もしくは分枝アルキル基の全部が含まれ、従って、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、2−メチル−エチル、ブチルおよびこれの異性体(例えばn−ブチル、イソブチルおよびt−ブチル)、ペンチルおよびこれの異性体、ヘキシルおよびこれの異性体などが含まれる。
【0081】
用語「C1−4アルキル」は、基または基の一部として、式C2n+1[式中、nは1から4の範囲の数である]で表されるヒドロカルビル基を指す。C1−4アルキル基の炭素原子数は1から4、好適には炭素原子数は1から3、より好適には炭素原子数は1から2である。C1−4アルキルには炭素原子数が1から4の範囲内の直鎖もしくは分枝アルキル基の全部が含まれ、従って、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、2−メチル−エチル、ブチルおよびこれの異性体(例えばn−ブチル、イソブチルおよびt−ブチル)などが含まれる。
【0082】
用語「C1−6アルキルオキシ」は、基または基の一部として、式−OR[式中、RはC1−6アルキルである]で表される基を指す。適切なアルキルオキシの非限定例には、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、イソブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシが含まれる。
【0083】
用語「C1−4アルキルオキシ」は、基または基の一部として、式−OR[式中、RはC1−4アルキルである]で表される基を指す。適切なC1−4アルキルオキシの非限定例には、メチルオキシ(またメトキシ)、エチルオキシ(またエトキシ)、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、イソブチルオキシ、s−ブチルオキシおよびt−ブチルオキシが含まれる。
【0084】
用語「ハロC1−4アルキルオキシ」は、基または基の一部として、C1−4アルキルオキシ基が更に1、2または3個のハロ原子で置換されているC1−4アルキルオキシ基を指す。適切なハロC1−4アルキルオキシの非限定例には、トリフルオロメチルオキシ、トリフルオロエチルオキシ、トリフルオロプロピルオキシおよびトリフルオロブチルオキシが含まれる。
【0085】
用語「C3−6シクロアルキル」は、単独または組み合わせとして、炭素原子数が3から6の環式飽和炭化水素基を指す。適切なシクロC3−6アルキルの非限定例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。
【0086】
式(I)に従う化合物およびこれらの付加塩、水化物および溶媒和物の中の数種はキラリティー中心を1個以上含有する可能性があることで立体化学的異性体形態物として存在し得ることは理解されるであろう。
【0087】
本明細書の上または本明細書の以下で用いる如き用語「立体異性体形態物」は、式(I)に従う化合物およびこれらの付加塩が持ち得る可能性のある立体異性体形態物の全部を定義するものである。特に記述も指示もしない限り、化合物の化学的表示は、可能なあらゆる立体化学的異性体形態物の混合物を表し、前記混合物は基本的な分子構造を有するあらゆるジアステレオマーおよび鏡像異性体を含有するばかりでなく式(I)に従う個々の異性体形態およびこれらの塩、溶媒和物の各々を含有し、その他の異性体を実質的に含有しない、即ち伴う他の異性体の量は10%未満、好適には5%未満、特に2%未満、最も好適には1%未満である。
【0088】
治療用途の場合、式(I)に従う化合物の塩は、対イオンが製薬学的に許容される塩である。しかしながら、薬学的に受け入れられない酸および塩基の塩もまた例えば製薬学的に許容される化合物の調製または精製などでは使用可能である。塩が製薬学的に許容されるか或は受け入れられないかに拘らず、あらゆる塩が本発明の範囲内に含まれる。
【0089】
本明細書の上または本明細書の以下に挙げる如き製薬学的に許容される酸および塩基付加塩は、これに式(I)に従う化合物が形成し得る治療的に活性のある無毒の酸および塩基付加塩形態を包含させることを意味する。製薬学的に許容される酸付加塩は便利に塩基形態物をそのような適切な酸で処理することで得ることができる。適切な酸には、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸または臭化水素酸など、硫酸、硝酸、燐酸など、または有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、しゅう酸(即ちエタン二酸)、マロン酸、こはく酸(即ちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸などが含まれる。逆に、前記塩形態物を適切な塩基で処理することで遊離塩基形態物に変化させることも可能である。
【0090】
用語「溶媒和物」は、式(I)に従う化合物ばかりでなくこれらの塩が形成し得る水化物およびアルコラートを指す。
【0091】
本発明の化合物の化学名は、Chemical Abstracts Serviceが同意する命名規則に従ってAdvanced Chemical Development,Inc.の命名ソフトウエア(ACD/Nameプロダクトバージョン10.01;Build 15494、2006年12月1日)を用いて引き出した化学名である。
【0092】
式(I)に従う化合物の数種はまた互変異性体形態としても存在し得る。そのような形態を前記式の中に明らかには示していないが、それらも本発明の範囲内に含めることを意図する。
【0093】
本化合物の製造
式(I)で表される化合物の製造は、式(II)
【0094】
【化9】

【0095】
[式中、Ar、RおよびRは、式(I)で定義した通りである]
で表される化合物と式(III)
−CO
(III)
[式中、Rは、式(I)で定義した通りである]
で表される化合物を適切なアミドカップリング剤、例えばHBTUなど、適切な塩基、例えばDIPEAなどの存在下の適切な溶媒、例えばDCMなど中で適切な温度、例えば室温などで反応させることで実施可能である。別法として、その(II)のアシル化反応をカルボン酸(III)の対称もしくは非対称無水物またはアシルハライドを用いて実施することも可能である。
【0096】
式(II)で表される化合物の製造は、式(IV)
【0097】
【化10】

【0098】
[式中、Ar、RおよびRは、式(I)で定義した通りである]
で表される化合物と適切な還元剤、例えば水素などを適切な触媒、例えばラネーニッケルなどの存在下の適切な溶媒、例えばメタノール中7Mのアンモニアなど中で適切な温度、例えば室温などで反応させることで実施可能である。
【0099】
式(IV)で表される化合物の製造は、式(V)
【0100】
【化11】

【0101】
[式中、RおよびRは、式(I)で定義した通りである]
で表される化合物と式(VI)
Ar−B(OH)
(VI)
[式中、Arは、式(I)で定義した通りである]
で表される化合物を適切な触媒、例えばPd(PPhなどの存在下で適切な塩基、例えば炭酸ナトリウムなどを用いて適切な溶媒、例えば1,4−ジオキサンおよびエタノール/水(1:1)など中で適切な温度、例えば密封型管中130℃などで反応させることで実施可能である。
【0102】
式(V)で表される化合物の製造は、式(VII)
【0103】
【化12】

【0104】
[式中、RおよびRは、式(I)で定義した通りである]
で表される化合物とN−ブロモスクシニミドを適切な溶媒、例えばDMFなど中で適切な温度、例えば室温などで反応させることで実施可能である。
【0105】
式(VII)で表される化合物の製造は、式(VIII)
【0106】
【化13】

【0107】
[式中、RおよびRは、式(I)で定義した通りである]
で表される化合物とシアン化亜鉛を適切な触媒、例えば炭素に10%担持されているPdとトリフェニルホスフィンと塩化トリメチルシリルの混合物、またはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムとトリフェニルホスフィンの混合物などの存在下の適切な溶媒、例えばDMFまたはアセトニトリルなど中で適切な温度、例えば80℃などで反応させることで実施可能である。
【0108】
式(VIII)で表される化合物の製造は、式(IX)
【0109】
【化14】

【0110】
で表される化合物と式(X)
【0111】
【化15】

【0112】
[式中、RおよびRは、式(I)で定義した通りである]
で表される化合物を適切な不活性雰囲気、例えばアルゴン下などで適切な塩基、例えばDIPEAなどを存在させて適切な溶媒、例えばDMFなど中で適切な温度、例えば75℃などで反応させることで実施可能である。
【0113】
薬理学
本発明の化合物はアルファ7ニコチン性受容体の正のアロステリックモジュレーターであることを見いだした。アルファ7ニコチン性受容体(アルファ7 nAChR)は、シス−ループ(cys−loop)イオンチャンネル型のリガンド依存性イオンチャンネルのスーパーファミリーに属し、それには5−HT、GABAおよびグリシン受容体ファミリーが含まれる。それはアセチルコリンおよびこれの分解生成物であるコリンで活性化され、そしてアルファ7 nAChRの主要な特徴は、作動薬を持続的に存在させると急速に脱感作を起こす点にある。これは脳の中に2番目に最も豊富に存在するニコチン性受容体サブタイプであり、これはいろいろな神経伝達物質の重要な放出調節因子である。それは注意および認知過程に関連して脳のいくつかの構造物、例えば海馬および前頭前皮質などの中に離散的に分布しており、ヒトにおけるいろいろな精神病学的および神経学的障害に関係していると思われている。それはまたコリン作動性免疫経路にも関係していると思われている。
【0114】
それが統合失調症に関連していることに関する遺伝的証拠は、統合失調症マーカー[感覚ゲーティング欠陥(sensory gating deficit)]と15q13−14上のアルファ7座の間の関係が強力であることとアルファ7遺伝子の中心プロモーター領域が多型性であることの形態で見られる。
【0115】
パーキンソン病およびアルツハイマー病における統合失調症脳の海馬、前頭および帯状皮質および自閉症における視床下部傍室核および結合核の中のアルファ7免疫反応性およびα−バンガロトキシン(Btx)結合が損失していることを指摘する病理学的証拠が存在する。
【0116】
患者がアルファ7ニコチン作動性伝達の欠陥を補充する目的で自分で治療する試みとし
て、統合失調症患者の方が正常なヒトに比べて顕著に喫煙する習慣があることの如き薬理学的証拠が説明された。動物モデルおよびヒトの両方においてニコチンを投与すると感覚ゲーティング(プレパルス抑制PPI)における欠陥が一時的に正常化することと統合失調症患者の前脳コリン作動活性を低くする(例えば段階2の睡眠)と正常な感覚ゲーティングが一時的に回復することの両方ともアルファ7ニコチン性受容体が一時的に活性化した後に脱感作を起こすことの結果であると説明された。
【0117】
従って、アルファ7 nAChRを活性化させることができればいろいろなCNS(精神病学的および神経学的)障害に治療的に有益な効果がもたらされるであろうことを裏付けする良好な理由が存在する。
【0118】
既に述べたように、天然の伝達物質であるアセチルコリンばかりでなく外因性のリガンド、例えばニコチンなどを持続的に存在させるとアルファ7 nAChRが急速に脱感作を起こす。その脱感作を起こした状態の時の前記受容体はリガンドと結合したままであるが、機能的には不活性である。このことは天然の伝達物質、例えばアセチルコリンおよびコリンなどにとってはあまり問題ではない、と言うのは、それらは非常に強力な分解(アセチルコリンエステラーゼ)およびクリアランス(コリン輸送)機構の基質であるからである。そのような伝達物質の分解/クリアランス機構によって、活性化し得るアルファ7
nAChRと脱感作したアルファ7nAChRの間の均衡が生理学的に有益な範囲内に維持される可能性がある。しかしながら、天然の分解およびクリアランス機構の基質ではない合成の作動薬は過剰刺激およびまたアルファ7 nAChR集団の平衡状態を持続的に脱感作した状態に押しやることの両方が理由で不利になる可能性があると考えており、これはアルファ7 nAChR発現もしくは機能の欠陥がある役割を果たす障害にとって望ましいことではない。作動薬は、これの性質から、ACh結合ポケット(これはいろいろなニコチン性受容体サブタイプに渡って高度に保存される)を標的にするはずであり、それによって、他のニコチン性受容体サブタイプが非特異的に不活性化されることで副作用がもたらされる可能性がある。従って、そのような潜在的不利益を回避するためのアルファ7作動性に対する代替治療方策は、正のアロステリックモジュレーター(PAM)を用いて受容体が天然の作動薬に対して示す反応性を高める方策である。PAMは、作動薬が結合する部位とは異なる部位と結合する因子であると定義され、従って、作動性も脱感作性も示さないと予測されるが、アルファ7 nAChRが天然の伝達物質に対して示す反応性を高める。このような方策の価値は、伝達物質の量が決まっている時にPAMを存在させるとそれが存在しない時に起こり得る伝達のレベルに比べてアルファ7 nAChR反応の大きさが向上することにある。加うるに、また、PAMは天然の伝達物質が示す効力も高める可能性がある。このように、アルファ7 nAChR蛋白質が欠乏している障害の場合、PAMで誘発させてアルファ7ニコチン作動性伝達を向上させることは有益であり得る。PAMは天然の伝達物質の存在に頼っていることから、過剰刺激の可能性は、天然の伝達物質が示す分解/クリアランス機構によって制限される。
【0119】
本発明の化合物は、全細胞電圧クランプ記録計(whole−cell voltage−clamp recordings)で測定した時の定性的力学的特性を基にしてタイプ1−4であると分類分けする。この分類分けは、本明細書の上に記述した如きアルファ7PAM化合物が作動薬を用いた時に現れるシグナルに対して示す効果が基になっている。特に、前記作動薬は濃度が1mMのコリンである。好適な実験設定では、前記アルファ7PAM化合物とコリンを本明細書の以下に記述する如き細胞に同時に加える。脱感作は、当該作動薬を加えている間に活性化によって当該受容体が封鎖されるとして定義され、それは、全細胞電圧クランプ電気生理学的測定において当該作動薬で最初に活性化させた後に外向き電流が減少するとして観察される。
【0120】
PAMタイプ1−4の定義を本明細書の以下に記述する:
タイプ0の化合物は、コリンを1mM用いた時に現れる電流のエフェクトサイズを向上さ
せる度合が最小限の化合物である。
タイプ1の化合物は、コリンを1mM用いた時に現れる電流のエフェクトサイズを向上さ
せはするが、当該受容体が示す反応速度を変える度合が最小限である化合物であ
る。特に、当該作動薬を用いた時に現れる当該受容体の脱感作および失活の速度
および度合は影響を受けない。従って、この化合物によってモジュレートされて
1mMのコリンに対して起こる反応は、アルファ7PAM化合物が存在しない時
に1mMのコリンに対して起こる線形スケーリングの反応に近い。
タイプ2の化合物は、コリンを1mM用いた時に現れる電流のエフェクトサイズを向上さ
せると同時に脱感作の速度および度合を低下させる化合物である。当該受容体の
失活は一般に影響を受けない。
タイプ3の化合物は、コリンを1mM用いた時に現れる電流のエフェクトサイズを向上さ
せる化合物である[試験を10μMに及ぶ高濃度で行うと、それらは脱感作を完
全に抑制、特にコリンを1mM加えた時に250ミリ秒で抑制する]。当該受容
体の失活が遅くなる可能性がある。
タイプ4の化合物は、最初に当該受容体の脱感作を起こさせた後に作動薬を加えている時
にその受容体の再開口を起こさせる化合物である。アルファ7PAM化合物を低
効力濃度にすると、当該作動薬によって誘発された活性化の後に脱感作が起こる
が、それでもその活性化は初期内向き電流最大値として当該化合物によって誘発
される再開口から切り離し可能である。アルファ7PAM化合物の効力がより高
くなる濃度にすると、脱感作による封鎖よりも再開口の方が速く起こり、その結
果として初期の電流最大値が消失する。
【0121】
ピーク電流の増強度が対照コリン反応(=100%)に比べて少なくとも200%であるならば、そのような化合物は興味の持たれるPAM様活性を示すと見なす。そのような化合物は実験部分に示す個々のPAMタイプに属すると分類分けする。そのような条件に合致しない化合物は個々のPAMタイプには属さないと分類分けする。
【0122】
本発明に従う数多くの化合物は聴性誘発電位試験で活性を示すことを確認した。この試験で用いたDBA/2近交系マウス株が示す感覚処理欠陥は統合失調症患者のそれに類似しており、このことはまた海馬中のニコチン性アルファ7受容体が減少することと相互に関連している。DBA/2マウスは統合失調症様感覚処理欠陥の有用なモデルであることが確かめられている。ニコチンが感覚処理に対して示す影響をヒトに関して調べる試験によってDBA/2マウスにおける結果が予測されそして選択的アルファ7作動薬GTS−21をDBA/2マウスで用いた試験によってヒトにおける効果が予測された。従って、そのような感覚ゲーティング能力のモデルは高い翻訳関連性を有する。
【0123】
従って、本発明の目的は治療方法を提供することにあり、この方法は、正のアロステリックモジュレーターを単独の活性物質として投与することで内因性のニコチン性受容体作動薬、例えばアセチルコリンまたはコリンなどの活性をモジュレートするか、或は正のアロステリックモジュレーターをニコチン性受容体作動薬と一緒に投与することを包含する。本発明のこの面の特別な形態における治療方法は、本明細書に記述する如きアルファ7ニコチン性受容体の正のアロステリックモジュレーターおよびアルファ7ニコチン性受容体の作動薬または部分的作動薬を用いた治療を包含する。アルファ7ニコチン性受容体作動活性を示す適切な化合物の例には下記が含まれる:
− 1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン−4−カルボン酸4−ブロモフェニ
ルエステルの一塩酸塩(SSR180711A)、
− (−)−スピロ[1−アザビシクロ[2.2.2.]オクタン−3,5’−オキサ
ゾリジン]−2’−オン、
− 3−[(2,4−ジメトキシ)ベンジリデン]−アナバセインの二塩酸塩(GTS
−21)、
− [N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]−4−ク
ロロベンズアミドの塩酸塩]PNU−282987、
− ニコチン、
− バレニクリン、
− MEM3454、
− AZD−0328、
− MEM63908、
− (+)−N−(1−アザビシクロ[2.2.2.]オクト−3−イル)ベンゾ[b
]フラン−2−カルボキサミド、
− A−582941、
− AR−R17779、
− TC−1698、
− PHA−709829、
− トロピセトロン、
− WAY−317538、
− EVP−6124、および
− TC−5619。
【0124】
特に、α7ニコチン性受容体作動活性を示す適切な化合物の例には、1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン−4−カルボン酸4−ブロモフェニルエステルの一塩酸塩(SSR180711A)、(−)−スピロ[1−アザビシクロ[2.2.2.]オクタン−3,5’−オキサゾリジン]−2’−オン、3−[(2,4−ジメトキシ)ベンジリデン]−アナバセインの二塩酸塩(GTS−21)、[N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]−4−クロロベンズアミドの塩酸塩]PNU−282987、ニコチン、バレニクリン、MEM3454、AZD−0328およびMEM63908が含まれる。
【0125】
本発明の正のnAChRモジュレーターは、精神病学的障害、知能障害またはアルファ7ニコチン性受容体の活性のモジュレーションが有益である病気もしくは疾患の治療または予防で用いるに有用である。本発明の方法の特別な面は、学習欠陥、認知欠陥、注意欠陥または記憶喪失を治療する方法であり、いろいろな病気でアルファ7ニコチン性受容体の活性のモジュレーションが有益であると期待され、そのような病気には、アルツハイマー病、レヴィー小体認知症、注意欠陥多動性障害、不安、統合失調症、躁病、躁鬱病、パーキンソン病、ハンチントン病、トゥレットシンドローム、脳外傷、またはコリン作動性シナプシスの損失が存在する他の神経学的、変性または精神病学的障害(時差ボケ、ニコチン中毒、痛みを包含)が含まれる。
【0126】
また、本化合物を抗炎症薬として治療で用いることも可能である、と言うのは、コリン作動性炎症経路によるサイトカイン合成を阻害するにはニコチン性アセチルコリン受容体アルファ7サブユニットが必須であるからである。本化合物を用いて治療可能な適応症の例は、内毒素血症、内毒素性ショック、敗血症、関節リウマチ、喘息、多発性硬化症、乾癬、蕁麻疹、炎症性腸疾患、炎症性胆疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、術後腸閉塞、膵炎、心不全、急性肺障害および同種移植の拒絶反応である。
【0127】
本発明の化合物は統合失調症における認知症、アルツハイマー病における認知症、軽度認識障害、パーキンソン病、注意欠陥多動性障害、潰瘍性大腸炎、膵炎、関節炎、敗血症、術後腸閉塞および急性肺障害の如き適応症の治療で使用可能である。
【0128】
225種類以上の様々なキナーゼを含めた検定において化合物22が示したキナーゼ活
性の概略を記述するが、この化合物は、その試験したキナーゼのいずれに対しても活性を示さなかった。
【0129】
前記式(I)に従う化合物またはこれのサブグループのいずれか、これらの製薬学的に許容される付加塩、溶媒和物および立体化学的異性体形態物は、この上に記述した薬理学的特性を有することを鑑み、薬剤として使用可能である。特に、本化合物は、精神病学的障害、知能障害またはアルファ7ニコチン性受容体のモジュレーションが有益である病気もしくは状態を治療または予防する薬剤の製造で使用可能である。
【0130】
1つの態様において、本発明は、前記式(I)に従う化合物を精神病学的障害、知能障害性疾患またはα7ニコチン性受容体のモジュレーションが有益である病気もしくは状態を治療または予防、特に治療する時に用いることにも関する。
【0131】
1つの態様において、本発明は、前記式(I)に従う化合物を精神病学的障害、知能障害性疾患または炎症性疾患を治療または予防、特に治療する時に用いることにも関する。
【0132】
1つの態様において、本発明は、前記病気または状態を治療または予防、特に治療するための前記式(I)に従う化合物に関する。
【0133】
前記式(I)に従う化合物の有用性を鑑み、アルファ7ニコチン性受容体のモジュレーションが有益である病気、例えば統合失調症、躁病および躁鬱病、不安、アルツハイマー病、学習欠陥、認知欠陥、注意欠陥、記憶喪失、レヴィー小体認知症、注意欠陥多動性障害、パーキンソン病、ハンチントン病、トゥレットシンドローム、脳外傷、時差ボケ、ニコチン中毒および痛みなどに苦しんでいる温血動物(ヒトを包含)を治療または予防する方法を提供する。前記方法は、式(I)に従う化合物、これの立体化学異性体形態物、製薬学的に許容される付加塩または溶媒和物を温血動物(ヒトを包含)に有効量で投与、即ち全身または局所投与、好適には経口投与することを含んで成る。
【0134】
当業者は、本発明のPAMの治療的に有効な量はアルファ7ニコチン性受容体の活性をモジュレートするに充分な量であることとそのような量はとりわけ病気の種類、治療用製剤に入れる本化合物の濃度および当該患者の状態に応じて変わることを認識するであろう。一般に、主治医はアルファ7ニコチン性受容体のモジュレーションが有益である病気、例えば統合失調症、躁病および躁鬱病、不安、アルツハイマー病、学習欠陥、認知欠陥、注意欠陥、記憶喪失、レヴィー小体認知症、注意欠陥多動性障害、パーキンソン病、ハンチントン病、トゥレットシンドローム、脳外傷、時差ボケ、ニコチン中毒および痛みなどを治療するための治療薬として投与すべきPAMの量をケースバイケースで決定するであろう。
【0135】
適切な投薬量は、一般に、処置部位の所のPAMの濃度が結果として0.5nMから200μM、より一般的には5nMから50μMの範囲内になるような量である。そのような処置濃度を得ようとして、そのような処置が必要な患者に投与する量は体重1kg当たり0.01mgから2.50mg、特に体重1kg当たり0.1mgから0.50mgの範囲であろう。治療効果を達成するに必要な本発明に従う化合物(ここではまた有効成分とも呼ぶ)の量は、勿論、ケースバイケースで異なり、個々の化合物、投与経路、受益者の年齢および状態および治療すべき個々の障害または病気に伴って変わるであろう。治療方法に、また、本有効成分を1日当たり1回から4回の範囲の投与計画で投与することを含めることも可能である。そのような治療方法の場合、好適には、本発明に従う化合物を投与に先立って調合しておく。本明細書の以下に記述するように、適切な製薬学的製剤の調製を良く知られていて容易に入手可能な材料を用いて公知手段で実施する。
【0136】
製薬学的組成物
本発明は、また、アルファ7ニコチン性受容体のモジュレーションが有益である病気、例えば統合失調症、躁病および躁鬱病、不安、アルツハイマー病、学習欠陥、認知欠陥、注意欠陥、記憶喪失、レヴィー小体認知症、注意欠陥多動性障害、パーキンソン病、ハンチントン病、トゥレットシンドローム、脳外傷、時差ボケ、ニコチン中毒および痛みなどを予防または治療するための組成物も提供する。前記組成物は治療的に有効な量の式(I)に従う化合物および製薬学的に許容される担体または希釈剤を含有して成る。
【0137】
本有効成分を単独で投与することも可能ではあるが、それを製薬学的組成物として存在させる方が好適である。従って、本発明は、更に、本発明に従う化合物を製薬学的に許容される担体または希釈剤と一緒に含有して成る製薬学的組成物も提供する。そのような担体または希釈剤は本組成物に含める他の材料と適合しかつそれの受益者にとって有害ではない意味で「許容される」べきである。
【0138】
本発明の製薬学的組成物の調製は薬学的技術で良く知られている方法のいずれか、例えばGennaro他、Remington’s Pharmaceutical Sciences(18版、Mack Publishing Company、1990、特にパート8:Pharmaceutical preparations and their Manufactureを参照)に記述されている方法などを用いて実施可能である。治療的に有効な量の個々の化合物を有効成分として塩基形態または付加塩形態で製薬学的に許容される担体との密な混合物として一緒にするが、前記担体に持たせる形態は投与に望まれる製剤の形態に応じて幅広く多様であり得る。本製薬学的組成物を好ましくは単位投薬形態物、好適には全身投与、例えば経口、経皮または非経口投与など、または局所投与、例えば吸入、鼻スプレー、点眼液など、またはクリーム、ゲル、シャンプーなどの形態にする。例えば、本組成物を経口投薬形態物として調製する時、通常の製薬学的媒体のいずれも使用可能であり、例えば液状の経口用製剤、例えば懸濁液、シロップ、エリキシルおよび溶液などの場合には水、グリコール、油、アルコールなど、または粉末、ピル、カプセルおよび錠剤の場合には固体状担体、例えば澱粉、糖、カオリン、滑剤、結合剤、崩壊剤などを用いてもよい。投与が容易なことから錠剤およびカプセルが最も有利な経口投薬単位形態物に相当し、この場合には明らかに固体状の製薬学的担体を用いる。非経口用組成物の場合の担体は少なくとも大部分が一般に無菌水を含んで成るが、他の材料、例えば溶解性を補助する材料などを含有させることも可能である。例えば、注射可能溶液を調製することも可能であり、その場合の担体は食塩水溶液、グルコース溶液、または食塩水とグルコース溶液の混合物を含んで成る。また、注射可能懸濁液を調製することも可能であり、この場合には適切な液状担体、懸濁剤などを用いてもよい。経皮投与に適した組成物の場合、その担体に場合により浸透促進剤および/または適切な湿潤剤を含めてもよく、それらを場合によりいずれかの性質を有する適切な添加剤と少しの比率で組み合わせてもよく、そのような添加剤は、皮膚に対して有害な影響を大きな度合では引き起こさない添加剤である。前記添加剤は皮膚への投与を助長しそして/または所望組成物の調製に役立ち得る。そのような組成物はいろいろな様式で投与可能であり、例えば経皮パッチ、スポットオン(spot−on)、軟膏などとして投与可能である。
【0139】
上述した製薬学的組成物を投薬単位形態に構築するのが特に有利である、と言うのは、その方が投与が容易でありかつ投薬が均一であるからである。本明細書および本明細書の請求項で用いる如き「投薬単位形態物」は、各単位が要求される製薬学的担体と一緒に所望治療効果をもたらすように計算して前以て決めておいた量の有効成分を含有する単位投薬物として用いるに適した物理的に個々別々の単位を指す。そのような投薬単位形態物の例は錠剤(切り目が入っている錠剤または被覆されている錠剤を包含)、カプセル、ピル、粉末パケット、ウエハース、注射可能溶液もしくは懸濁液、茶サジ1杯、テーブルスプーン1杯など、そしてそれらを複数に分割したものである。
【0140】
投与の正確な用量および頻度は、当業者に良く知られているように、使用する前記式(I)で表される個々の化合物、治療すべき個々の状態、治療すべき状態のひどさ、個々の患者の年齢、体重、性、障害の度合および一般的身体状態ばかりでなく個人が服用している可能性のある他の薬剤にも依存する。その上、1日当たりの有効量をその治療を受けさせる被験体の反応に応じてそして/または本発明の化合物を処方する医者の評価に応じて少なくするか或は多くしてもよいことも明らかである。
【0141】
本製薬学的組成物の有効成分含有量を投与様式に応じて0.05から99重量%、好適には0.1から70重量%、より好適には0.1から50重量%にしかつ製薬学的に許容される担体の含有量を1から99.95重量%、好適には30から99.9重量%、より好適には50から99.9重量%にする(パーセントは全部当該組成物の総重量を基準)。
【0142】
単一の投薬形態物を生じさせる目的で担体材料と一緒にすることが可能な式(I)で表される化合物の量は、治療すべき病気、哺乳動物種および個々の投与様式に応じて変わるであろう。しかしながら、一般的指針として、本発明の化合物の適切な単位用量に含める活性化合物の量は好適には例えば0.1mgから約1000mgであり得る。好適な1単位用量は1mgから約500mgの範囲である。より好適な1単位用量は1mgから約300mgの範囲である。更により好適な1単位用量は1mgから約100mgの範囲である。そのような単位用量を日に2回以上、例えば日に2、3、4、5または6回、好適には日に1または2回投与することで70kgの成人の総投薬量が被験者の体重1kg当たり投与毎に0.001から約15mgの範囲内になるようにしてもよい。好適な投薬量は被験者の体重1kg当たり投与毎に0.01から約1.5mgであり、そのような治療を数週間または数カ月、ある場合には数年延長してもよい。しかしながら、個々の患者いずれかに特定の投与量は様々な要因に依存すると理解し、そのような要因には、当該分野の技術者が充分に理解するように、用いる具体的化合物が示す活性、治療すべき個人の年齢、体重、一般的健康状態、性および食事、投与時間および経路、排泄率、以前に投与されていた他の薬剤、および治療を行う個々の病気のひどさが含まれる。典型的な投薬量は、1mgから約100mgの錠剤が1個の量、または1mgから約300mgを日に1回または日に数回服用する量、または有効成分の含有量を比例して高くしておいた1個の徐放性カプセルまたは錠剤を日に1回服用する量であってもよい。様々なpH値で溶解するカプセル材料、浸透圧によって放出をゆっくり起こすカプセル、または他のいずれか公知制御放出手段を用いることで、そのような徐放効果を得ることができる。
【0143】
当業者に明らかであろうように、ある場合には前記範囲外の投薬量を用いる必要もあり得る。その上、臨床医または治療を行う医者は個々の患者の反応に関連させて治療を開始、中断、調整または終える方法および時を認識するであろうことを特記する。
【0144】
本化合物は全身投与、例えば経口、経皮または非経口投与など、または局所投与、例えば吸入、鼻スプレー、点眼液など、またはクリーム、ゲル、シャンプーなどで使用可能である。本化合物を好適には経口投与する。投与の正確な用量および頻度は、当業者に良く知られているように、使用する前記式(I)に従う個々の化合物、治療すべき個々の状態、治療すべき状態のひどさ、個々の患者の年齢、体重、性、障害の度合および一般的身体状態ばかりでなく個人が服用している可能性のある他の薬剤にも依存する。その上、1日当たりの有効量をその治療を受けさせる被験体の反応に応じてそして/または本発明の化合物を処方する医者の評価に応じて少なくするか或は多くしてもよいことも明らかである。
【0145】
また、式(I)に従う化合物を他の通常のアルファ7ニコチン性受容体作動薬、例えば
1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン−4−カルボン酸4−ブロモフェニルエステルの一塩酸塩(SSR180711A)、(−)−スピロ[1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3,5’−オキサゾリジン]−2’−オン、3−[(2,4−ジメトキシ)ベンジリデン]−アナバセインの二塩酸塩(GTS−21)、[N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]−4−クロロベンズアミドの塩酸塩]PNU−282987)、ニコチン、バレニクリン、MEM3454、AZD−0328およびMEM63908などと組み合わせて用いることも可能である。
【0146】
また、式(I)に従う化合物を他の通常のα7ニコチン性受容体作動薬、例えば1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン−4−カルボン酸4−ブロモフェニルエステルの一塩酸塩(SSR180711A)、(−)−スピロ[1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3,5’−オキサゾリジン]−2’−オン、3−[(2,4−ジメトキシ)ベンジリデン]−アナバセインの二塩酸塩(GTS−21)、[N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]−4−クロロベンズアミドの塩酸塩]PNU−282987)、ニコチン、バレニクリン、MEM3454、AZD−0328、MEM63908、(+)−N−(1−アザビシクロ[2.2.2.]オクト−3−イル)ベンゾ[b]フラン−2−カルボキサミド、A−582941、AR−R17779、TC−1698、PHA−709829、トロピセトロン、WAY−317538、EVP−6124およびTC−5619などと組み合わせて用いることも可能である。
【0147】
従って、本発明は、また、式(I)に従う化合物とアルファ7ニコチン性受容体作動薬の組み合わせにも関する。前記組み合わせを薬剤として用いることができる。本発明は、また、(a)式(I)に従う化合物と(b)アルファ7ニコチン性受容体作動薬をアルファ7ニコチン性受容体のモジュレーションが有益である病気を治療する時に同時、個別または逐次的に用いるための組み合わせ製剤として含有させた製品にも関する。そのいろいろな薬剤を単一の製剤の中に製薬学的に許容される担体と一緒に組み合わせてもよい。
【0148】
実験部分
本発明の化合物を生じさせるに適したいくつかの方法を以下の実施例に示す。特に明記しない限り、出発材料の全部を商業的供給業者から入手してさらなる精製無しに用いた。
【0149】
本明細書の以下または本明細書の上に示す「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを意味し、「min」は分を意味し、「MeOH」はメタノールを意味し、「EtOH」はエタノールを意味し、「EtO」はジエチルエーテルを意味し、「TFA」はトリフルオロ酢酸を意味し、「iPrNH」はイソプロピルアミンを意味し、「NHOAc」は酢酸アンモニウムを意味し、「SFC」は超臨界液クロを意味し、「HBTU」はヘキサフルオロ燐酸O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニイウムを意味し、「DIPEA」はジイソプロピルエチルアミンを意味し、「DCM」はジクロロメタンを意味し、「DIPE」はジイソプロピルエーテルを意味する。
【0150】
マイクロ波補助反応を単様式反応槽:Initiator(商標)Sixty EXPマイクロ波反応槽(Biotage AB)または多様式反応槽:Micro−SYNTH Labstation(Milestone,Inc.)内で実施した。
【0151】
いくつかの化合物が示す絶対立体化学配置を振動円二色性(VCD)を用いて決定した。絶対配置の決定に関してVCDを用いることに関する説明をDyatkin A.B.他、「Chirality」、14:215−219(2002)の中に見ることができる。
【0152】
以下の実施例は例示を意図したものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものでない。
【0153】
A.中間体の製造
4−(4−ブロモ−チアゾール−2−イル)−シス−2,6−ジメチル−モルホリン(中間体1)
【0154】
【化16】

【0155】
機械的撹拌機と温度計を取り付けておいた1Lのフラスコに2,4−ジブロモチアゾール(60g、0.247モル)およびDMF(480mL)を仕込んだ。溶解後、シス−2,6−ジメチルモルホリン(33.65mL、0.272モル)およびDIPEA(61.23mL、0.37モル)を窒素流下で加えた。その反応混合物を窒素下で70℃に加熱して一晩撹拌した。その反応混合物を氷/水浴内で10℃に冷却した。次に、水(1L)を10−20℃の範囲の温度で滴下した。若干の発熱反応を観察し、それに伴ってオフホワイトの沈澱物が生じた。添加後の反応混合物を30分間撹拌した。次に、沈澱物を濾過で取り出した後、水(50ml)で洗浄した。固体を集めて50℃の真空オーブン内で乾燥させることで中間体1をオフホワイトの固体として52.8g(77%)得た。
【0156】
2−(シス−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−チアゾール−4−カルボニトリル(中間体2)
【0157】
【化17】

【0158】
中間体1(52.8g、190.49ミリモル)とトリフェニルホスフィン(4.99g、19.05ミリモル)とシアン化亜鉛(22.37g、190.49ミリモル)と無水アセトニトリル(360mL)の混合物を圧力管に入れた後、それに窒素を用いた脱気を5分間受けさせた。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(11g、9.52ミリモル)を加えた後の混合物に更に脱気を5分間受けさせた。その管を密封した後、反応混合物を140℃で3時間撹拌した。懸濁液に蒸発を受けさせた後、水/DCMで取り上げた。有機層を一緒にして分離し、ケイソウ土の詰め物の上に置いて濾過し、MgSOで乾燥させ、濾過した後、蒸発させた。その残留物を800gのEasyVarioPrep(Merck)カラム(溶離剤:DCM)で精製した。所望画分を真空下で濃縮した後、50℃の真空オーブン内で一晩乾燥させることで中間体2を黄色固体として25.6g(60%)得た。
【0159】
5−ブロモ−2−(シス−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−チアゾール−4−カルボニトリル(中間体3)
【0160】
【化18】

【0161】
中間体2(25.61g、114.69ミリモル)とDMF(250mL)を仕込んでおいたフラスコを氷/水浴内で冷却した。N−ブロモスクシニミド(24.49g、137.63ミリモル)を分割して加えた(若干の発熱反応)。その反応混合物を室温で10分間撹拌した。次に、水(400mL)を滴下すると黄色の沈澱物が生じ、次に1Mの水酸化ナトリウム(115mL)を滴下した。沈澱物を濾過で取り出し、水(50mL)そしてDIPE(10mL)で洗浄した。固体をアセトニトリルから再結晶化させた。濾過そして乾燥を50℃の真空オーブン内で一晩実施することで中間体3を黄色の固体として25.5g(73%)得た。
【0162】
2−(シス−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−5−(2,6−ジメチル−ピリジン−4−イル)−チアゾール−4−カルボニトリル(中間体4)
【0163】
【化19】

【0164】
中間体3(20g、66.18ミリモル)と2,6−ジメチルピリジン−4−ボロン酸のピナコールエステル([325142−95−8]、20g、85.79ミリモル)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(4.59g、3.97ミリモル)と1,4−ジオキサン(120mL)と炭酸ナトリウム(21.04g、198.55ミリモル)を1/1のエタノール/水(120mL)に入れることで生じさせた混合物を窒素雰囲気下で撹拌しながら130℃に6時間加熱した。溶媒を蒸発させた。残留物をDCMで取り上げた後、水で2回洗浄した。有機層を分離し、MgSOで乾燥させた後、蒸発させた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(100%のDCMから98/2のDCM/MeOHに至らせる溶離勾配)で精製した。所望画分を集めた後、蒸発させた。その結果として得た残留物をDIPE/CHCNで再結晶化させ、真空下50℃で一晩燥させることで中間体4を18.5g(85%)得た。
【0165】
[2−(シス−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−5−(2,6−ジメチル−ピリジン−4−イル)−チアゾール−4−イル]−メチルアミン(中間体5)
【0166】
【化20】

【0167】
ラネーニッケル(2g)をMeOH中7Nのアンモニア溶液(250mL)に入れることで生じさせた懸濁液に中間体4(18.5g、56.33ミリモル)を加えた。その反応混合物を水素雰囲気下14℃で水素が2当量吸収されるまで撹拌した。触媒をケイソウ土を用いた濾過で除去した。溶媒を蒸発されることで中間体5を定量的に得た。中間体5をさらなる精製無しに用いた。
【0168】
2−メトキシ−6−メチル−ピリジン−4−ボロン酸(中間体6)
【0169】
【化21】

【0170】
2−メトキシ−6−メチルピリジン(4.9g、39.79ミリモル)とビス(ピナコラト)ジホウ素([73183−34−3]、10.1g、39.79ミリモル)と4,4−ジ−t−ブチル−2,2−ジピリジル([72914−19−3]、64mg、0.24ミリモル)を無水オクタン(75mL)に入れることで生じさせた混合物を室温で撹拌しながらその混合物の中に窒素を15分間吹き込んだ。ビス(1,5−シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)の二塩化物([12112−67−3]、80mg、0.12ミリモル)を加えた後の反応混合物を還流にまでもっていった後、4時間還流させた。その反応混合物を冷却し、DCM(100mL)で希釈した後、磁気撹拌子を入れておいたビーカーに移した。撹拌を行いながら水(125mL)を分割して加え(気体が発生)た後の混合物を15分間激しく撹拌した。有機層を分離した後、水層にDCMを用いた抽出を3回受けさせた。その有機層を一緒にしてMgSOで乾燥させ、濾過した後、濃縮した。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(100%のDCMから95/5のDCM/MeOHに至らせる溶離勾配を使用)で精製することで相当するボロン酸エステル([1083168−87−9])を得た。そのエステルを室温で数週間放置すると中間体6への完全な変換が起こり(3.5g、52%)、それをさらなる精製無しに用いた。
【0171】
2,5−ジメチルピリジン−4−ボロン酸のピナコールエステル(中間体7)
【0172】
【化22】

【0173】
2,5−ルチジン(5g、46.66ミリモル)とビス(ピナコラト)ジホウ素([73183−34−3]、11.85g、46.66ミリモル)と4,4−ジ−t−ブチル−2,2−ジピリジル([72914−19−3]、50mg、0.19ミリモル)を無水オクタン(50mL)に入れることで生じさせた混合物を室温で撹拌しながらその混合物の中に窒素を10分間吹き込んだ。ビス(1,5−シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)の二塩化物([12112−67−3]、63mg、0.09ミリモル)を加えた後の反応混合物を還流にまでもっていった後、一晩還流させた。その反応混合物を冷却し、DCM(600mL)で希釈した後、磁気撹拌子を入れておいたビーカーに移した。撹拌を行いながら氷冷水(400mL)を注意深く加え(気体が発生)た後の混合物を15分間激しく撹拌した。その混合物をケイソウ土の上に置いて濾過した。有機層を分離した後、水層にDCMを用いた抽出を2回受けさせた。その有機層を一緒にして水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過した後、濃縮することで中間体7を2.1g(17%)得て、それをさらなる精製無しに用いた。
【0174】
2−シクロプロピル−6−メチルピリジン−4−ボロン酸のピナコールエステル(中間体8)
【0175】
【化23】

【0176】
2−シクロプロピル−6−メチルピリジン([41765−00−8]、1.1g、8.26ミリモル)とビス(ピナコラト)ジホウ素([73183−34−3]、2.09g、8.26ミリモル)と4,4−ジ−t−ブチル−2,2−ジピリジル([72914−19−3]、9mg、0.03ミリモル)を無水オクタン(20mL)に入れることで生じさせた混合物を室温で撹拌しながらその混合物の中に窒素を15分間吹き込んだ。ビス(1,5−シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)の二塩化物([12112−67−3]、11mg、0.02ミリモル)を加えた後の反応混合物を還流にまでもっていった後、一晩還流させた。その反応混合物を冷却し、DCM(50mL)で希釈した後、磁気撹拌子を入れておいたビーカーに移した。撹拌を行いながら水(50mL)を分割して加え(気体が発生)た後の混合物を15分間激しく撹拌した。その有機層を分離した後、水層にDCMを用いた抽出を3回受けさせた。その有機層を一緒にしてMgSOで乾燥させ、濾過した後、濃縮することで中間体8(2.01g、91%)を得て、それをさら
なる精製無しに用いた。
【0177】
シス−2−トリフルオロメチル−6−メチルモルホリン(中間体29)
【0178】
【化24】

【0179】
10%のPd/C(1g)をメタノール(150mL)に入れることで生じさせた懸濁液にN−ベンジル−シス−2−トリフルオロメチル−6−メチルモルホリン[679839−97−5](6.2g、23.91ミリモル)を加えた。この反応混合物を水素雰囲気下室温で水素が1当量吸収されるまで撹拌した。ケイソウ土を用いた濾過で触媒を除去した。溶媒を蒸発されることで中間体29を油として得て(3.1g、77%)、それをさらなる精製すること無く用いた。
【0180】
トランス−2−トリフルオロメチル−6−メチルモルホリン(中間体30)
【0181】
【化25】

【0182】
10%のPd/C(1g)をメタノール(150mL)に入れることで生じさせた懸濁液にN−ベンジル−トランス−2−トリフルオロメチル−6−メチルモルホリン[1223452−62−7](7.5g、28.93ミリモル)を加えた。この反応混合物を水素雰囲気下室温で水素が1当量吸収されるまで撹拌した。ケイソウ土を用いた濾過で触媒を除去した。溶媒を蒸発されることで中間体30を油として得て(3.3g、67%)、それをさらなる精製無しに用いた。
【0183】
【表1】

【0184】
【表2−1】

【0185】
【表2−2】

【0186】
【化26】

【0187】
中間体18(R)および19(S)の製造を2,6−ジメチルモルホリンの代わりに2−メチルモルホリンを用いて出発して中間体4で用いた手順に従って実施した。2種類の鏡像異性体にChiralpak Diacel AD 30x250mmカラム使用調製用超臨界液クロマトグラフィー(SFC)を用いた分離をCOが81%でMeOHが19%でiPrNHが0.2%の相を移動相として用いて受けさせた。
【0188】
【化27】

【0189】
中間体20(R)および21(S)の製造をそれぞれ中間体18および19を用いて出発して中間体5で用いた手順に従って実施した。
【0190】
B.最終的化合物の製造
B1)
【実施例1】
【0191】
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−シクロプロパンアセトアミド(化合物1)
【0192】
【化28】

【0193】
シクロプロピル酢酸(5g、49.94ミリモル)とHBTU(19.16g、50.53ミリモル)とDIPEA(15.31mL、92.64ミリモル)を250mlのジクロロメタンに入れることで生じさせた混合物を室温で15分間撹拌した。中間体5(14g、42.11ミリモル)を80mlのジクロロメタンに入れて滴下した後、撹拌を室温で2時間継続した。その反応混合物を1NのNaOHで処理した後、有機層を水で3回洗浄した。その有機層を分離し、MgSOで乾燥させた後、減圧下で濃縮した。その残留物にシリカカラムを用いた精製を100%のDCMから98/2のDCM/MeOHに至らせる溶離剤勾配を用いて受けさせた。相当する高純度画分を集めた後、蒸発させた。生成物をEtOで処理し、濾過した後、真空下で乾燥させることで化合物1を11.8g(68%)得た。
【0194】
B2)
【実施例2】
【0195】
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−3−メチル−5−イソオキサゾールカルボキサミド(化合物4)
【0196】
【化29】

【0197】
中間体5(150mg、0.45ミリモル)をDCM(6mL)に入れることで生じさせた溶液にDIPEA(0.16mL、0.97ミリモル)を加えた。その反応混合物を窒素雰囲気下で0℃に冷却した。次に、3−メチルイソオキサゾール−5−カルボニルクロライド(79mg、0.54ミリモル)を滴下した後、撹拌を室温で1時間継続した。その反応物を重炭酸ナトリウムに続いて水で2回洗浄した。その有機層を硫酸マグネシウム詰め物の上に置いて乾燥させた後、蒸発させた。その残留物を調製用HPLC(RP Shandon Hyperprep C18 BDS−8μm、250g、5cm;移動相(水中0.25%のNHHCO溶液、CHCN))で精製することで化合物4を127mg(64%)得た。
【0198】
B3)
【実施例3】
【0199】
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−アセトアミド(化合物60)
【0200】
【化30】

【0201】
中間体5(150mg、0.45ミリモル)とトリエチルアミン(0.063mL、0.54ミリモル)の混合物をジクロロメタン(6mL)に入れて室温で撹拌した。無水酢酸(0.051mL、0.54ミリモル)を加えた後の反応混合物を室温で2時間撹拌した。その反応混合物を炭酸カリウム溶液で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥させ、濾過した後、蒸発させた。その残留物を調製用HPLC(RP Shandon Hyperprep C18 BDS−8μm、250g、5cm;移動相(水中0.25%のNHHCO溶液、MeOH+CHCN))で精製することで化合物60を100mg(59%)得た。
【0202】
B4)
【実施例4】
【0203】
N−[[5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−2−[(2R,6R)−2−メチル−6−(トリフルオロメチル)−4−モルホリニル]−4−チアゾリル]メチル]−シクロプロパンアセトアミド(化合物203)および
N−[[5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−2−[(2S,6S)−2−メチル−6−(トリフルオロメチル)−4−モルホリニル]−4−チアゾリル]メチル]−シクロプロパンアセトアミド(化合物204)
【0204】
【化31】

【0205】
化合物202(B1に記述した手順と同様な手順で得た)を調製用SFC(Chiralpak(商標)Daicel AD 30x250mmをAD 20x250mmと連結させて使用;移動相:CO、iPrNHが0.2%のEtOH)で精製することでそれの鏡像異性体を得た。2種類の生成物画分を集めた後、両方の場合とも溶媒を蒸発させた。その残留物をMeOHに溶解させた後、両方の場合とも溶媒を再び蒸発させた。前記段階後の化合物203は高純度であったが、化合物204はそれでも他の異性体をある量で含有していたことで、その化合物に同じ方法に従う精製を再び受けさせることで高純度の化合物204を得た。
【0206】
B5)
【実施例5】
【0207】
N−[[5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−2−[2−メチル−6−(トリフルオロメチル)−4−モルホリニル]−4−チアゾリル]メチル]−シクロプロパンアセトアミド(トランスA鏡像異性体)(化合物206)
N−[[5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−2−[2−メチル−6−(トリフルオロメチル)−4−モルホリニル]−4−チアゾリル]メチル]−シクロプロパンアセトアミド(トランスB鏡像異性体)(化合物133)
【0208】
【化32】

【0209】
化合物205(B1に記述した手順と同様な手順で得た)を調製用SFC(Chiralpak(商標)Daicel AD 30x250mmをAD 20x250mmと連結させて使用;移動相:CO、iPrNHが0.2%のMeOH)で精製することでそれの鏡像異性体を得た。2種類の生成物画分を集めた後、両方の場合とも溶媒を蒸発させた。その残留物をMeOHに溶解させた後、両方の場合とも溶媒を再び蒸発させることで化合物206および化合物133を得た。
【0210】
B6)
【実施例6】
【0211】
N−[[5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−2−[(2R)−2−(トリフルオロメチル)−4−モルホリニル]−4−チアゾリル]メチル]−シクロプロパンアセトアミド(化合物191)
N−[[5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−2−[(2S)−2−(トリフルオロメチル)−4−モルホリニル]−4−チアゾリル]メチル]−シクロプロパンアセトアミド(化合物192)
【0212】
【化33】

【0213】
化合物190(B1に記述した手順と同様な手順で得た)を調製用SFC(Chiralpak(商標)Daicel AD 20x250mmを使用;移動相:CO、iPrNHが0.2%のMeOH)で精製することで鏡像異性体を得た。2種類の生成物画分を集めた後、両方の場合とも溶液を蒸発させた。その残留物をMeOHに溶解させた後、両方の場合とも溶媒を再び蒸発させることで化合物191(白色粉末)を得た。化合物192はまだ高純度ではなく、それを再び調製用SFC(Chiralpak(商標)Daicel AD 20x250mmを使用;移動相:CO、iPrNHが0.2%のMeOH)で精製した。所望画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をMeOHに溶解させた後再び蒸発させることで化合物192(白色粉末)を得た。
【0214】
【表3−1】

【0215】
【表3−2】

【0216】
【表3−3】

【0217】
【表3−4】

【0218】
【表3−5】

【0219】
【表3−6】

【0220】
【表3−7】

【0221】
【表3−8】

【0222】
【表3−9】

【0223】
【表3−10】

【0224】
【表3−11】

【0225】
【表4−1】

【0226】
【表4−2】

【0227】
【表4−3】

【0228】
【表4−4】

【0229】
【表4−5】

【0230】
【表4−6】

【0231】
【表4−7】

【0232】
【表4−8】

【0233】
【表5−1】

【0234】
【表5−2】

【0235】
【表5−3】

【0236】
【表5−4】

【0237】
【表5−5】

【0238】
【表5−6】

【0239】
【表5−7】

【0240】
【表6】

【0241】
【表7】

【0242】
分析部分
LCMS
LCMSの一般的手順A
2式ポンプ、サンプルオーガナイザー、カラムヒーター(55℃に設定)、ダイオードアレイ検出器(DAD)および以下の個々の方法に指定する如きカラムを含有して成るAcquity UPLC(Waters)装置を用いてLC測定を実施した。カラムから出る流れを分割してMS分光器に送った。MS検出器にはエレクトロスプレーイオン化源が備わっていた。0.02秒のドウェル時間を用いて0.18秒間に100から1000まで走査することで質量スペクトルを取得した。毛細管針の電圧を3.5kVにしそして源の温度を140℃に維持した。窒素をネブライザーガスとして用いた。データの取得をWaters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いて実施した。
【0243】
LCMSの一般的手順B
脱気装置が備わっている4式ポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン(特に明記しない限り40℃に設定)、ダイオードアレイ検出器(DAD)および以下の個々の方法に指定する如きカラムを含有して成るAlliance HT 2790(Waters)装置を用いてHPLC測定を実施した。カラムから出る流れを分割してMS検出器に送った。MS検出器にはエレクトロスプレーイオン化源が備わっていた。0.1秒のドウェル時間を用いて1秒間に100から1000まで走査することで質量スペクトルを取得した。毛細管針の電圧を3kVにしそして源の温度を140℃に維持した。窒素をネブライザーガスとして用いた。データの取得をWaters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いて実施した。
【0244】
LCMS−方法1
一般的手順Aに加えて、逆相UPLC(超高性能液体クロマトグラフィー)を橋かけ型エチルシロキサン/シリカハイブリッド(BEH)C18カラム(1.7μm、2.1x50mm;Waters Acquity)を用いて0.8ml/分の流量で実施した。2種類の移動相(移動相A:HO中0.1%の蟻酸/メタノールが95/5;移動相B:メタノール)を用いて1.3分間かけてAが95%でBが5%からAが5%でBが95%に至らせて0.2分間保持する勾配条件で流した。0.5μlの注入体積を用いた。コーン電圧を正イオン化モードの場合には10Vにしそして負イオン化モードの場合には20Vにした。
【0245】
LCMS−方法2
一般的手順Aに加えて、逆相UPLC(超高性能液体クロマトグラフィー)を橋かけ型エチルシロキサン/シリカハイブリッド(BEH)C18カラム(1.7μm、2.1x50mm;Waters Acquity)を用いて0.8ml/分の流量で実施した。2種類の移動相(HO中25mMの酢酸アンモニウム/アセトニトリルが95/5;移動相B:アセトニトリル)を用いて1.3分間かけてAが95%でBが5%からAが5%でBが95%に至らせて0.3分間保持する勾配条件で流した。0.5μlの注入体積を用いた。コーン電圧を正イオン化モードの場合には30Vにしそして負イオン化モードの場合には30Vにした。
【0246】
LCMS−方法3
一般的手順Aに加えて、逆相UPLC(超高性能液体クロマトグラフィー)を橋かけ型エチルシロキサン/シリカハイブリッド(BEH)C18カラム(1.7μm、2.1x50mm;Waters Acquity)を用いて0.8ml/分の流量で実施した。2種類の移動相(HO中25mMの酢酸アンモニウム/アセトニトリルが95/5;移動相B:アセトニトリル)を用いて1.3分間かけてAが95%でBが5%からAが5%でBが95%に至らせて0.3分間保持する勾配条件で流した。0.5μlの注入体積を用いた。コーン電圧を正イオン化モードの場合には10Vにしそして負イオン化モードの場合には20Vにした。
【0247】
LCMS−方法4
一般的手順Bに加えて、カラムヒーターを45℃に設定した。逆相HPLCをAtlantis C18カラム(3.5μm、4.6x100mm)を用いて1.6ml/分の流量で実施した。2種類の移動相(移動相A:メタノールが70%+HOが30%;移動相B:HO中1%の蟻酸/メタノールが95/5)を用いて9分間かけてBが100%からBが5%+Aが95%にしてその条件を3分間保持する勾配条件で流した。10μlの注入体積を用いた。コーン電圧を正イオン化モードの場合には10Vにしそして負イオン化モードの場合には20Vにした。
【0248】
LCMS−方法5
一般的手順Aに加えて、逆相HPLCをXterra MS C18カラム(3.5μm、4.6x100mm)を用いて1.6ml/分の流量で実施した。3種類の移動相(移動相A:25mMの酢酸アンモニウムが95%+アセトニトリルが5%;移動相B:アセトニトリル;移動相C:メタノール)を用いて6.5分間かけてAが100%からAが1%でBが49%でCが50%に至らせ、1分かけてAが1%でBが99%に至らせてその状態を1分間保持した後、再びAが100%の平衡状態に1.5分間置く勾配条件で流した。10μlの注入体積を用いた。コーン電圧を正イオン化モードの場合には10Vにしそして負イオン化モードの場合には20Vにした。
【0249】
LCMS−方法6
一般的手順Bに加えて、逆相HPLCをXterra MS C18カラム(3.5μm、4.6x100mm)を用いて1.6ml/分の流量で実施した。3種類の移動相(移動相A:25mMの酢酸アンモニウムが95%+アセトニトリルが5%;移動相B:アセトニトリル;移動相C:メタノール)を用いて6.5分間かけてAが100%からAが1%でBが49%でCが50%に至らせ、0.5分かけてAが1%でBが99%に至らせてその状態を1分間保持する勾配条件で流した。10μlの注入体積を用いた。コーン電圧を正イオン化モードの場合には10Vにしそして負イオン化モードの場合には20Vにした。
【0250】
融点
いろいろな化合物が示す融点の測定をMettler−ToledoのDSC823eを用いて実施した。融点の測定を30℃/分の温度勾配で実施した。値はピーク値である。
【0251】
【表8−1】

【0252】
【表8−2】

【0253】
【表8−3】

【0254】
【表8−4】

【0255】
旋光(OR)
旋光の測定をPerkin Elmer 341偏光計を用いて実施した。[α]20は、589nmの波長(λ)の光を用いて20℃の温度のMeOH中で測定した偏光を示す。セルの路長を1dmにする。実際の値の後に旋光の測定で用いた濃度を記述する。化合物206:+21.3゜(0.3428%(重量/体積))
化合物133:−21.83゜(0.3756%(重量/体積))
化合物203:+21.35゜(0.2248%(重量/体積))
化合物204:−21.67゜(0.1846%(重量/体積))
【0256】
NMR(核磁気共鳴)
いろいろな化合物が示すH NMRスペクトルを標準的パルスシーケンスが備わっているBruker DPX−360、Bruker DPX−400またはBruker
Avance 600分光計を用いてそれらをそれぞれ360MHz、400MHzおよび600MHzで操作することで記録したが、ここでは、クロロホルム−d(重水素化クロロホルム、CDCl)またはDMSO−d(重水素化DMSO、ジメチル−d6スルホキサイド)を溶媒として用いた。化学シフト(δ)を内部標準として用いたテトラメチルシラン(TMS)を基準としたppm(parts per million)で報告する。
化合物133:H NMR(360MHz,DMSO−d)δppm0.06−0.17(m,2H),0.35−0.44(m,2H),0.89−1.00(m,1H),1.24(d,J=6.2Hz,3H),2.01(d,J=7.0Hz,2H),2.42(s,6H),3.18(dd,J=12.6,7.1Hz,1H),3.65(dd,J=13.2,3.3Hz,1H),3.68(dd,J=13.5,5.5Hz,1H),3.78(dd,J=13.5,4.4Hz,1H),4.15−4.24(m,1H),4.27(d,J=5.5Hz,2H),4.52−4.81(m,1H),7.08(s,2H),8.13(t,J=5.3Hz,1H).
化合物184:H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm1.26(d,J=6.7Hz,3H),2.35(s,3H),2.43(s,6H),3.28−3.38(m,1H),3.47−3.57(m,2H),3.63(dd,J=11.7,2.8Hz,1H),3.70(d,J=11.3Hz,1H),3.89−3.95(m,1H),3.99(qd,J=6.7,2.8Hz,1H),4.45(d,J=5.5Hz,2H),7.03(td,J=8.6,2.7Hz,1H),7.06−7.11(m,3H),7.32(dd,J=8.5,6.1Hz,1H),8.61(t,J=5.4Hz,1H).
化合物185:H NMR(360MHz,DMSO−d)δppm1.25(d,J=6.7Hz,3H),2.37(s,3H),2.41(s,6H),3.27−3
.36(m,1H),3.45−3.59(m,2H),3.63(dd,J=11.3,2.9Hz,1H),3.70(d,J=11.3Hz,1H),3.88−3.99(m,2H),4.37−4.48(m,2H),7.08(s,2H),8.72(t,J=5.3Hz,1H),9.25(s,1H).
化合物190:H NMR(360MHz,クロロホルム−d)δppm0.14−0.30(m,2H),0.53−0.68(m,2H),0.91−1.07(m,1H),2.21(d,J=7.3Hz,2H),2.56(s,6H),3.20(t,J=11.5Hz,1H),3.32(td,J=12.1,3.3Hz,1H),3.70(d,J=13.2Hz,1H),3.81(t,J=11.7Hz,1H),3.96−4.21(m,3H),4.51(d,J=4.0Hz,2H),6.82(br.s.,1H),6.98(s,2H).
化合物191:H NMR(600MHz,DMSO−d)δppm0.09−0.13(m,2H),0.37−0.42(m,2H),0.90−0.98(m,1H),2.01(d,J=7.1Hz,2H),2.43(s,6H),3.18(dd,J=12.5,10.6Hz,1H),3.28(ddd,J=12.5,11.7,3.5Hz,1H),3.66(d,J=12.7Hz,1H),3.77(td,J=11.6,2.9Hz,1H),4.06−4.10(m,1H),4.08−4.12(m,1H),4.28(d,J=5.3Hz,2H),4.39−4.48(m,1H),7.09(s,2H),8.09(t,J=5.3Hz,1H).
化合物192:H NMR(600MHz,DMSO−d)δppm0.09−0.13(m,2H),0.37−0.42(m,2H),0.90−0.98(m,1H),2.01(d,J=7.1Hz,2H),2.43(s,6H),3.18(dd,J=12.5,10.6Hz,1H),3.28(ddd,J=12.5,11.7,3.5Hz,1H),3.66(d,J=12.7Hz,1H),3.77(td,J=11.6,2.9Hz,1H),4.06−4.10(m,1H),4.08−4.12(m,1H),4.28(d,J=5.3Hz,2H),4.39−4.48(m,1H),7.09(s,2H),8.09(t,J=5.3Hz,1H).
化合物193:H NMR(360MHz,クロロホルム−d)δppm2.49(s,3H),2.56(s,6H),3.19(dd,J=12.1,10.6Hz,1H),3.31(td,J=12.3,3.3Hz,1H),3.81(td,J=11.7,2.9Hz,1H),3.71(d,J=13.2Hz,1H),3.98−4.21(m,3H),4.66(d,J=4.8Hz,2H),6.52(br.s.,1H),6.85−6.98(m,2H),7.00(s,2H),7.41(dd,J=8.4,5.9Hz,1H).
化合物194:H NMR(360MHz,クロロホルム−d)δppm1.18(d,J=7.0Hz,6H),2.42(spt,J=6.8Hz,1H),2.54(s,6H),3.20(dd,J=12.4,10.6Hz,1H),3.31(td,J=12.3,3.7Hz,1H),3.81(td,J=11.6,2.7Hz,1H),3.72(d,J=13.5Hz,1H),4.01−4.20(m,3H),4.48(d,J=5.1Hz,2H),6.25(br.s.,1H),6.94(s,2H).
化合物195:H NMR(360MHz,クロロホルム−d)δppm2.48(s,3H),2.55(s,6H),3.21(dd,J=13.1,11.2Hz,1H),3.25−3.35(m,1H),3.66−3.86(m,2H),3.97−4.11(m,2H),4.11−4.26(m,1H),4.63(d,J=5.1Hz,2H),6.46(s,1H),6.98(s,2H),7.47(t,J=4.8Hz,1H).
化合物196:H NMR(360MHz,クロロホルム−d)δppm2.54(s,3H),2.55(s,6H),3.21(t,J=11.5Hz,1H),3.33(td,J=12.3,3.5Hz,1H),3.71(d,J=12.4Hz,1H)
,3.82(td,J=11.7,2.6Hz,1H),4.01−4.14(m,2H),4.18(dd,J=11.5,2.7Hz,1H),4.62(d,J=4.4Hz,2H),6.72(br.s.,1H),6.96(s,2H),8.73(s,1H).
化合物203:H NMR(360MHz,DMSO−d)δppm0.06−0.13(m,2H),0.35−0.42(m,2H),0.89−1.00(m,1H),1.23(d,J=6.2Hz,3H),2.01(d,J=7.0Hz,2H),2.42(s,6H),2.90(dd,J=12.4,11.0Hz,1H),3.08(t,J=11.7Hz,1H),3.75(d,J=12.5Hz,1H),3.84−3.93(m,1H),4.09(d,J=12.2Hz,1H),4.27(d,J=5.1Hz,2H),4.44−4.54(m,1H),7.09(s,2H),8.14(t,J=5.3Hz,1H).
化合物204:H NMR(360MHz,DMSO−d)δppm0.06−0.13(m,2H),0.35−0.42(m,2H),0.89−1.00(m,1H),1.23(d,J=6.2Hz,3H),2.01(d,J=7.0Hz,2H),2.42(s,6H),2.90(dd,J=12.4,11.0Hz,1H),3.08(t,J=11.7Hz,1H),3.75(d,J=12.5Hz,1H),3.84−3.93(m,1H),4.09(d,J=12.2Hz,1H),4.27(d,J=5.1Hz,2H),4.44−4.54(m,1H),7.09(s,2H),8.14(t,J=5.3Hz,1H).
化合物205:H NMR(360MHz,DMSO−d)δppm0.06−0.17(m,2H),0.35−0.44(m,2H),0.89−1.00(m,1H),1.24(d,J=6.2Hz,3H),2.01(d,J=7.0Hz,2H),2.42(s,6H),3.18(dd,J=12.6,7.1Hz,1H),3.65(dd,J=13.2,3.3Hz,1H),3.68(dd,J=13.5,5.5Hz,1H),3.78(dd,J=13.5,4.4Hz,1H),4.15−4.24(m,1H),4.27(d,J=5.5Hz,2H),4.52−4.81(m,1H),7.08(s,2H),8.13(t,J=5.3Hz,1H).
化合物206:H NMR(360MHz,DMSO−d)δppm0.06−0.17(m,2H),0.35−0.44(m,2H),0.89−1.00(m,1H),1.24(d,J=6.2Hz,3H),2.01(d,J=7.0Hz,2H),2.42(s,6H),3.18(dd,J=12.6,7.1Hz,1H),3.65(dd,J=13.2,3.3Hz,1H),3.68(dd,J=13.5,5.5Hz,1H),3.78(dd,J=13.5,4.4Hz,1H),4.15−4.24(m,1H),4.27(d,J=5.5Hz,2H),4.52−4.81(m,1H),7.08(s,2H),8.13(t,J=5.3Hz,1H).
【0257】
D.薬理学的実施例
実施例D.1:Ca2+フラックスイメージング(FDSS)(プロトコルB)
材料
a)検定用緩衝液
HEPES(Invitrogen、ベルギー)を10mM、CaClを最終濃度が5mMになる量、ウシ血清アルブミン(Sigma−Aldrich NV、ベルギー)を0.1%補充したハンクス緩衝食塩溶液(HBSS、Invitrogen、ベルギー)。
b)カルシウム感受性色素−Fluo−4AM
Fluo−4AM(Molecular Probes、米国)をプルロン酸(Molecular Probes、米国)を10%含有させておいたDMSOに溶解させることでストック溶液を生じさせ、これをプロベネシド(Sigma−Aldrich NV、ベルギー)を5mM補充しておいた検定用緩衝液で最終濃度が2μMになるように希釈
した。
c)384穴プレート
ポリ−D−リシン(PDL)で前以て被覆しておいた側面が黒色で底が透明な384穴プレート(Corning,Incorporated、米国)。
d)カルシウムフラックス測定。
【0258】
機能的薬剤選別装置(FDSS、Hamamatsu)を用いて細胞内遊離カルシウムフラックスシグナルを測定した。
【0259】
方法
ヒトアルファ7−wt nAChRを発現する細胞の単層をPDLで被覆しておいた384穴プレート(側面が黒色で底が透明)内で24時間増殖させた後、蛍光カルシウム指示液であるfluo−4AMを充填して120分間置いた。
【0260】
FDSS中の細胞蛍光を絶えず監視しながら試験を受けさせるべき化合物を前記充填を受けさせておいた細胞にアルファ7ニコチン性受容体作動薬と一緒に加えることでPAM活性を実時間で検出した。化合物が示すピーク蛍光反応の方が作動薬単独による反応よりも大きい場合、そのような化合物はアルファ7 nAChR PAMであると見なした。コリンはアルファ7ニコチン性受容体作動薬であり、それを最大濃度以下の100μMの濃度で加えた。本発明のさらなる設定では、化合物の添加をアルファ7ニコチン性受容体作動薬を添加する前、特に前記作動薬を添加する10分前に実施した。
【0261】
コリンまたは検定用緩衝液を単独で加えた穴が示したピーク蛍光における差からコリンに対する対照反応を各プレート毎に計算した。本発明の化合物に試験を0.01μMから30μMの範囲の濃度で受けさせた。化合物に試験を30μMの濃度で受けさせた時にコリンのシグナルを少なくとも200%高くする場合、そのような化合物は興味の持たれる活性を示すと見なした(PAMが存在しない時に100μMのコリンが示す効力を100%として定義した)。上部高原部を伴う明確なS字形曲線が得られた時の最大効果の半分に関係した濃度としてEC50(またはpEC50)を測定した。当該化合物が最大濃度の時に示す活性が上部高原部に到達しなかった場合、EC50(またはpEC50)はその最大濃度より低いとして定義した(表9に「<5」として示した)。
【0262】
本化合物は、また、ヒト野生型アルファ7受容体を安定に過剰発現するGH4Cl細胞における全細胞パッチクランプ電気生理学で測定した時にコリンに対する反応を増強する効果も有する。
【0263】
実施例D.2:パッチクランプ電流記録
哺乳動物細胞を用いたパッチクランプ記録は、リガンド依存性イオンチャンネルのサブユニットであると考えられる膜結合蛋白質の機能を評価する有力な手段を与えるものである。前記蛋白質を内因性もしくは外因性リガンドで活性化させると受容体に関連した孔が開口されて、その中を通ってイオンが電気化学的勾配を下流に流れる。ヒトアルファ7−wt nAChRを発現するGH4Cl組換え型細胞株の場合にカルシウムが前記受容体を優先的に通り抜けることは、ACh、コリンおよび他のニコチン性リガンドによって活性化した時にカルシウムが細胞の中に流れ込むことでカルシウムの流れがもたらされることを意味する。前記受容体は作動薬の存在下で急速に脱感作を起こすことから、作動薬を加えると同時に受容体の反応がある程度または完全に脱感作を起こすことがないように、溶液の切り替えを非常に迅速(<100ミリ秒)に行うことを可能にする添加装置を用いることが重要である。従って、ニコチン性効力の増強を評価するに便利な2番目の技術は、ヒトアルファ7−wt nAChR発現GH4Cl細胞を用いたパッチクランプ記録を迅速添加装置と一緒に用いる技術である。
【0264】
材料
a)検定用緩衝液
外部記録用溶液を152mMのNaCl、5mMのKCl、1mMのMgCl、1mMのカルシウム、10mMのHEPES、pH7.3で構成させた。内部記録用溶液を140mMのCsCl、10mMのHEPES、10mMのEGTA、1mMのMgCl、pH7.3で構成させた。
b)パッチクランプ記録をパッチクランプ増幅器(Multiclamp 700A、Axon Instruments、CA、米国)を用いて実施した。ヒトアルファ7−wt nAChR発現GH4Cl細胞にパッチクランプを内部記録用溶液を充填した時の先端抵抗が1.5−3MΩのホウケイ酸塩ガラス電極を用いて全細胞形態(Hamill他、1981)で受けさせた。膜抵抗が>500MΩ、より好適には1GΩになるようにしそして直列抵抗が<15MΩになるようにすることに加えて直列抵抗を少なくとも60%補うことで細胞に関する記録を実施した。膜電位を−70mVに固定した。
c)作動薬
ACh、コリンをSigma−Aldrich NV(ベルギー)から購入した。
d)化合物の添加
対照、作動薬およびPAM化合物をヒトアルファ7−wt nAChR発現GH4Cl細胞に加える目的で溶液を迅速に切り替えるに適した(切り替え解像時間が<100ミリ秒の)16チャンネルDynflow DF−16マイクロ流体工学装置(Cellectricon、スゥエーデン)を用いた。
【0265】
方法
ヒトアルファ7−wt nAChR発現GH4Cl細胞をDynaflow潅流チャンバ内で外部記録用溶液に入れた後、20分間に及んで沈降させた。個々の細胞に全細胞パッチを受けさせ(whole−cell patched)た後、パッチピペットを用いてそれをチャンバの底から穏やかに吸い上げて外部記録用溶液の連続的に流れる潅流(12μl/分)の中に入れた。化合物をその充填した細胞に前以て加えておいた後に細胞膜の電流を絶えず監視しながらアルファ7ニコチン性受容体作動薬を加えることでPAMの活性を実時間で検定した。化合物が示す電流反応の方が作動薬単独による反応よりも大きい場合、そのような化合物はアルファ7 nAChR PAMであると見なした。アルファ7ニコチン性受容体を非選択的ニコチン性作動薬であるコリンで活性化させたが、コリンを最大濃度以下の1mMの濃度で加えた。本発明のさらなる設定では、化合物の添加をアルファ7ニコチン性受容体作動薬を添加する前、即ち前記作動薬を添加する30秒前または前記作動薬を添加する5秒前に実施した。コリンを最大量以下の量で加えた時に各細胞の中に誘発された電流の曲線下の面積(250ミリ秒間)から対照反応を計算した。その曲線下の面積は経時的な正味の電流の積分値であり、チャンネルを通る全イオンフラックスの一般的代表例である。正のアロステリックモジュレーターによって誘発された作動薬効力向上の計算を作動薬の反応の「曲線下の面積」(AUC)の増強パーセントとして実施した。本発明の化合物によってAUCが対照のAUCよりも大きくなるように増強されることは、それらが有用な治療活性を有すると予測されることを示している。GraphPad Prism(GraphPad Software,Inc.、サンディエゴ、CA)を用いてデータをロジスティック方程式に適合させることでEC50値(効力)、最大効果(効力%)および勾配の傾きを推定した。
【0266】
【表9−1】

【0267】
【表9−2】

【0268】
【表9−3】

【0269】
【表9−4】

【0270】
【表9−5】

【0271】
【表9−6】

【0272】
実施例D.3:DBA/2マウスを用いた聴性誘発電位試験
用いた媒体は、酒石酸を数滴滴下することで若干酸性にしておいた水中20%のヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)であった。薬剤の溶液および媒体の両方を4ml/kgの体積でs.c.投与した。オスDBA/2マウス(18−25g)をHarlan SD(Indianapolis、IN)から入手して、実験開始までグループに分けてケージに入れておいた。餌(Purina Rodent Chow)および水を随意摂取できるようにしそして明かりを12時間の間隔で定期的に点けた(6:00amに明かりを点けた)。クロラール水化物(400mg/kg、i.p.)およびクロラール水化物の代謝を遅らせるためのピラゾール(400mg/kg、i.p.)を用いて前記マウスに麻酔をかけた。手術面を麻酔状態に維持する目的で麻酔を定期的に補った(必要に応じてクロラール水化物およびピラゾールを80mg/kg、i.p.)。前記動物をKopf定位固定装置(Kopf Instruments、Tuj
unga、CA)用のマウスアダプタ(Neuroprobe、Cabin John、MD)に入れた。音増幅器(RadioShack)に連結している小型イヤフォンに取り付けておいた耳用中空棒を外耳道の外面に隣接させて位置させた。聴性誘発電位は温度が安定して36℃の時の方が一貫性があることから、体温を加熱用パッドで前記レベルに維持した。頭蓋骨から皮膚を排除する目的で頭皮を切開しそして穿頭孔を海馬のCA3領域[ブレグマの前後−1.8mm、中心線の中間側面+2.70mm]の上に開けた。テフロン被覆ステンレス鋼製ワイヤーである微小電極を海馬のCA3錐体細胞層(背側脳表面の下方1.65−1.70mm)の中に挿入した。海馬の錐体ニューロンに典型的な複雑な作用電位の存在によって最終的な電極位置を同定した。外科手術の後、基準電極を記録用電極の対側になるようにブレグマの前側硬膜に取り付けた。1から500Hzの帯域通過を用いて電気的活動を1000倍増幅しそしてアナログ・デジタルコンバーター(RC Electronics、Bakersfield、CA)に導くことでコンピューターによる平均化を実施した。3000Hz、10ミリ秒の持続時間および72dB SPL(音圧レベル)の発信を正弦波として生じさせ、それらを対として表し、対内の間隔を500ミリ秒にしそして対間の間隔を10秒にした。DBA/2マウスは老化に伴って難聴に苦しむようになるが、前記発信はマウスの可聴範囲内であった。
【0273】
2回目(試験)刺激に対する反応をP20−N40増幅した値と1回目(条件付け)刺激に対するそれの比率によって知覚阻害の尺度がもたらされ、大部分の齧歯株および通常のヒトが示す条件付け増幅値に対する試験増幅値の比率(TC比)は0.5以下である。AEPモデルの対クリックバージョンでは、16対の発信に対する反応を5分の間隔で平均化した。各平均値を10から250Hzの範囲の帯域通過を用いてデジタル的にフィルターにかけた。前記2種類の刺激を与えてから20から60ミリ秒の範囲の最大負値をN40波として選択し、先行する正値であるP20波を基準に測定した。P20からN40波への増幅を条件付け反応と試験反応の両方に関して測定した。ベースラインの知覚処理性能を確立する目的で、化合物を注入する前に5回の記録値(各々16対の刺激を含有する5分間)を得た。実験時の各マウスは薬剤未投与であった。化合物を投与した後、全体で95分間に渡って5分間の記録値を得た。
【0274】
データ分析
あらゆるデータの分析を測定を繰り返すことによる多変量分散分析で実施した。ベースラインスコアと対比させた有意さレベルがp<0.05である状態が分析全体に渡って維持された時にフィッシャーのLSDである帰納的解析を実施することで、どの時間点が平均ベースライン値に比べて有意であるかを決定した。
有効投薬量が最も低い化合物は下記であった:
化合物18:0.04mg/kg s.c.
化合物1:0.63mg/kg s.c.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
は、C1−6アルキル、1、2または3個のハロゲン置換基で置換されているC1−6アルキル、1個のシアノ基で置換されているC1−6アルキル、1個のヘテロアリール基で置換されているC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、1、2、3または4個のメチル基で置換されているC3−6シクロアルキル、1個のヒドロキシ基で置換されているC3−6シクロアルキル、(C3−6シクロアルキル)C1−6アルキル、(C1−6アルキルオキシ)C1−6アルキル、(ハロC1−4アルキルオキシ)C1−6アルキル、テトラヒドロフリル、アリール、ヘテロアリール、ピロリジニル、1個のC1−4アルキルで置換されているピロリジニル、またはメチルおよびオキソから選択される1、2または3個の置換基で置換されているテトラヒドロフリルであり、
アリールは、2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソリル;フェニル;またはハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、C1−6アルキル、C1−4アルキルオキシおよびアミノスルホニルから選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルであり、
ヘテロアリールは、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有しかつ場合によりC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C3−6シクロアルキルおよびトリフルオロメチルから選択される1、2または可能ならば3個の置換基で置換されていてもよい単環式もしくは二環式芳香複素環基であり、
およびRは、独立して、H、C1−4アルキルまたはトリフルオロメチルであるか、或は
とRが一緒になって1,2−エタンジイルまたは1,3−プロパンジイルを形成しており、
Arは、
【化2】

であり、
およびRは、独立して、H、C1−4アルキル、トリフルオロメチル、C3−6シクロアルキルまたはC1−4アルキルオキシである]
で表される化合物またはこれの立体化学異性体もしくは酸付加塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
がC1−6アルキル、3個のフルオロ置換基で置換されているC1−4アルキル、1個のシアノ基で置換されているメチル、3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリルで置換されているメチル、3−メチル−5−イソオキサゾリルで置換されているメチル、C
−6シクロアルキル、1、2、3または4個のメチル基で置換されているシクロプロピル、1個のヒドロキシ基で置換されているシクロプロピル、(C3−6シクロアルキル)C1−2アルキル、メトキシメチル、メトキシエチル、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メチル、テトラヒドロフリル、アリール、ヘテロアリール、1個のメチル基で置換されているピロリジニル、またはメチルおよびオキソから選択される3個の置換基で置換されているテトラヒドロフリルであり、
アリールが2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−4−イル、フェニル;またはフルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、メチル、メトキシおよびアミノスルホニルから選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニルであり、
ヘテロアリールが各々がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、シクロプロピル、メトキシまたはトリフルオロメチルから選択される1、2または可能ならば3個の置換基で置換されているか或は置換されていないフラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、チエニル、1,2,3−チアジアゾリル、チアゾリルまたはベンゾイソオキサゾリルである、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が水素またはメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項4】
がメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項5】
がH、メチル、トリフルオロメチル、シクロプロピルまたはメトキシである請求項1記載の化合物。
【請求項6】
が水素またはメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項7】
がメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、シクロプロピル、1−メチルシクロプロピル、2,2,3,3−テトラメチルプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、(シクロプロピル)エチル、(シクロプロピル)メチル、(シクロブチル)メチルであり、
Hetが3−メチル−イソオキサゾール−5−イル、3−メチル−イソオキサゾール−4−イル、5−メチル−イソオキサゾール−3−イル、2−メチル−5−トリフルオロメチル−オキサゾール−4−イル、2−メチル−オキサゾール−4−イルである、
請求項1記載の化合物。
【請求項8】
およびRがメチルでありかつシス型立体配置を有する請求項1記載の化合物。
【請求項9】
がメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項10】
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−シクロプロパンアセトアミド(化合物1)、
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−3−メチル−4−イソオキサゾールカルボキサミド(化合物18)、
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−3−メチル−5−イソオキサゾールカルボキサミド(化合物4)、および
N−[[2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−4−モルホリニル]−5−(2,6
−ジメチル−4−ピリジニル)−4−チアゾリル]メチル]−アセトアミド(化合物60)、
である請求項1記載の化合物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項記載の化合物を有効成分として含有して成る製薬学的組成物。
【請求項12】
(a)請求項1記載の式(I)で表される化合物、および
(b)1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン−4−カルボン酸4−ブロモフェニルエステルの一塩酸塩(SSR180711A)、(−)−スピロ[1−アザビシクロ[2.2.2.]オクタン−3,5’−オキサゾリジン]−2’−オン、(+)−N−(1−アザビシクロ[2.2.2.]オクト−3−イル)ベンゾ[b]フラン−2−カルボキサミド、3−[(2,4−ジメトキシ)ベンジリデン]−アナバセインの二塩酸塩(GTS−21)、[N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]−4−クロロベンズアミドの塩酸塩]PNU−282987、ニコチン、バレニクリン、A−582941、AR−R17779、TC−1698、PHA−709829、トロピセトロン、WAY−317538、MEM3454、EVP−6124、TC−5619、MEM−63908およびAZD−0328から選択されるα7ニコチン性受容体作動薬、
を精神病性障害、知能障害性疾患または炎症性疾患を予防または治療する時に同時、個別または逐次的に用いるための組み合わせ製剤として含有して成る製品。
【請求項13】
薬剤として用いるための請求項1から10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
アルツハイマー病、レヴィー小体認知症、注意欠陥多動性障害、不安、統合失調症、躁病、躁鬱病、パーキンソン病、ハンチントン病、トゥレットシンドローム、脳外傷、時差ボケ、ニコチン中毒、痛み、内毒素血症、内毒素性ショック、敗血症、関節リウマチ、喘息、多発性硬化症、乾癬、蕁麻疹、炎症性腸疾患、炎症性胆疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、術後腸閉塞、膵炎、心不全、急性肺障害または同種移植の拒絶反応、統合失調症における認知症、アルツハイマー病における認知症、軽度認識障害、パーキンソン病、注意欠陥多動性障害、潰瘍性大腸炎、膵炎、関節炎、敗血症、術後腸閉塞または急性肺障害の治療で用いるための請求項1から10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
請求項11記載の製薬学的組成物の製造方法であって、製薬学的に許容される担体を治療的に有効な量の請求項1から10のいずれか1項記載の化合物と密に混合する段階を含んで成る方法。

【公表番号】特表2013−512218(P2013−512218A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540425(P2012−540425)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068193
【国際公開番号】WO2011/064288
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】