説明

アルミナ含有メソポーラス多孔体の合成方法およびアルミナ含有メソポーラス多孔体

【課題】固体酸性、耐熱性、活性等に優れるメソポーラス多孔体の合成方法を提供する。
【解決手段】(1)シリカ源と(2)アルミナ源と(3)アルカリ源と(4)界面活性剤と(5)水との混合物からなるアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物であり、(1)シリカ源のSiOを1モルとしたときに(2)アルミナ源のAlとのモル比、(3)アルカリ源のMOとのモル比、(4)界面活性剤とのモル比、(5)水のHOとのモル比が、Al/SiO=0.005〜0.05、界面活性剤/SiO=0.05〜0.3、MO/SiO=0.1〜1.0、およびHO/SiO=20〜100(但し、MOはアルカリ源を酸化物の形態で示し、MはNa、K、NHから選ばれる少なくとも1種)の範囲にある混合物を80〜160℃で水熱処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミナ含有メソポーラス多孔体の合成方法およびアルミナ含有メソポーラス多孔体とに関する。
さらに詳しくは、シリカのみからなるメソポーラス多孔体に比してアルミナを含有するために固体酸性を有するとともに耐熱性、耐水熱性が向上し、高い活性を有するアルミナ含有メソポーラス多孔体の合成方法およびアルミナ含有メソポーラス多孔体とに関する。
【背景技術】
【0002】
細孔径が約2〜10nmのメソポアを有する多孔体が知られている(非特許文献1:小野嘉夫・八島建明編、ゼオライトの化学と工学、講談社(2000))。
メソポーラス多孔体は、細孔直径が2〜10nmの規則的細孔を有しており、いくつかの構造の異なる多孔体が報告されている。例えば、構造規制剤(SDA)として、臭化トリメチルセチルアンモニウム(以下、CTMABrと略する)を用いるMCM−41、CTMABrおよび非イオン性界面活性剤であるBriJ30(エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーEOPOEO(m=33〜70,n=5〜26))を用いるMCM−48、臭化ジセチルジメチルアンモニウムを用いるSBA−15などがその代表的なものである。
【0003】
これらのメソポーラス多孔体は、ゼオライト(結晶性アルミノシリケート)のミクロ細孔(細孔直径約0.3〜0.8nm)より大きい細孔を有し、高比表面積であるという特徴を有することからこれらの特性を活かした材料として、ゼオライトでは対応できない嵩高い物質の合成が可能な触媒担体、酵素担体、錯体の固定化剤、各種の有機物無機物のホスト、吸着剤、等の新しい用途の開発が期待されてきた。
しかし、メソポーラス多孔体は基本的構造が不定形ガラス構造であり、結晶性がないことから、機械的強度、水熱安定性等が低い等の問題点が明らかになってきた。
【0004】
また、アルミニウムなどの酸性発現物質でメソポーラス材料の合成時にまたは合成後修飾する方法により導入した固体酸性は、固体酸触媒として各種の反応を円滑に進行させるには、酸性度が低すぎる等の問題点があった(非特許文献2:C. T. Kresge, M. E. Leonowicz, W. J. Roth, J. C. Vartuli, J. S. Beck, Nature、1992年、359巻、22号、710頁)。
【0005】
これらのメソポーラス多孔体の問題点を解決するために、メソポーラス多孔体の細孔壁にゼオライト構造を導入する試みが幾つか提案されている。それらの幾つかを列挙すれば次の通りである。
【0006】
(1)ゼオライト構造とメソポーラス多孔体を誘起する2種類の構造誘導剤を導入し、低温でゼオライト前駆体を生成させ、次いでpH調整の後、さらに高温で水熱処理する方法(非特許文献3:A. Sakthivel, S. J. Huang, W. H. Chen, Z. H. Lan, K. H. Chen, H.P. Lin, C. Y. Mou, S. B. Liu, Adv. Funct. Mater.,2005年、15巻、253頁)
(2)ゼオライトのアルカリ溶出により生成したゼオライト前駆体を用いてメソポーラス多孔体を調製する方法(非特許文献4:S. Inagaki, M. Ogura, T.Inami, Y. Sasaki, E. Kikuchi, M. Matsukata, Micropours and Mesoporoua Materials, 2004年、74巻、163頁)
(3)カチオン性界面活性剤を用いてコロイダルフォージャサイト型ゼオライト(FAU)をMCM−41に変換する方法
【0007】
しかし、これらは、調製過程が複雑であり、また、構造規則性の問題がある等、実用的な合成とは言えないものが多い。また、従来の合成方法では結晶化に長時間を要し、この点でも実用性に欠ける点があった。
【0008】
このため、本願出願人は、ゼオライト構造単位(ZBU)を有するMCM−41型メソポーラス多孔体、ゼオライト構造単位(ZBU)を有するMCM−48型メソポーラス多孔体が短時間で簡便に合成できることを開示している。なお、これらメソポーラス多孔体はMCMの壁にゼオライト構造単位(ZBU)が形成されている(特許文献1:特開2010−155759号公報)。
【0009】
また、特許文献2:WO2005/042148号公報には、ミクロ細孔を有する結晶性ミクロ細孔性物質と、内部結合したメゾ細孔を有する非結晶性無機酸化物とからなる新規なゼオライト複合体が開示されており、例えばUSYと比較したクラッキング活性では活性の低下が小さく、重金属(バナジウム)許容度が向上することが開示されている。
また、特許文献3:特開2007−534589号公報には、メソ構造化ゼオライト複合体およびその製造方法が開示されており、完全結晶性無機多孔体内に制御された断面積を有する複数のメソ細孔を形成した無機多孔体は、有機化合物の分解触媒結果(マイクロ活性試験(MAT)でガソリンの選択性が向上することが報告されている。
【0010】
この時の合成方法は、H−Y[MCM−41]では、H−Yと界面活性剤を含有するアンモニア水(pH調整剤)とを混合・撹拌し、150℃で水熱処理し、ついで焼成している。
また、別法としてH−Yと水酸化テトラメチルアンモニウム(TMA−OH)を混合し、これに界面活性剤を添加し、150℃で水熱処理している。
【0011】
しかしながら、従来のメソポーラス多孔体は、アルミナを含有するメソポーラス多孔体であっても、アルミナの含有量が少ないために固体酸性、活性、耐熱性が不充分で触媒、触媒担体としての用法に制限があった。また、ゼオライト構造単位(ZBU)を有するメソポーラス多孔体は、基体のシリカ層にアルミナを含んでないので固体酸性、活性、耐熱性の向上には限界があった。
【0012】
本発明者らは、メソポーラス多孔体のシリカ層のアルミナ含有量を高めるべく鋭意検討した結果、アルミナ源として、Alを1モルとしたときに所定範囲の組成を有する透明性アルミノシリケート溶液を用いると、アルミナ含有量の多いメソポーラス多孔体が得られることを見出して本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010−155759号公報
【特許文献2】WO2005/042148号公報
【特許文献3】特開2007−534589号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】小野嘉夫・八島建明編、ゼオライトの化学と工学、講談社(2000)
【非特許文献2】C. T. Kresge, M. E. Leonowicz, W. J. Roth, J. C. Vartuli, J. S. Beck, Nature 1992年、359巻、22号、710頁
【非特許文献3】A. Sakthivel, S. J. Huang, W. H. Chen, Z. H. Lan, K. H. Chen, H.P. Lin, C. Y. Mou, S. B. Liu, Adv. Funct. Mater.,2005年、15巻、253頁
【非特許文献4】S. Inagaki, M. Ogura, T.Inami, Y. Sasaki, E. Kikuchi, M. Matsukata, Micropours and Mesoporoua Materials, 2004年、74巻、163頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、シリカ層のアルミナ含有量を高めた、固体酸性、耐熱性、活性等に優れるメソポーラス多孔体の合成方法およびメソポーラス多孔体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るアルミナ含有メソポーラス多孔体の合成方法は、(1)シリカ源と(2)アルミナ源と(3)アルカリ源と(4)界面活性剤と(5)水との混合物からなるアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物であり、(1)シリカ源のSiOを1モルとしたときに(2)アルミナ源のAlとのモル比、(3)アルカリ源のMOとのモル比、(4)界面活性剤とのモル比、(5)水のHOとのモル比が下記の範囲にある混合物を80〜160℃で水熱処理することを特徴としている。
Al/SiO=0.005〜0.05
界面活性剤/SiO=0.05〜0.3
O /SiO=0.1〜1.0
O /SiO=20〜100
(但し、MOはアルカリ源を酸化物の形態で示し、MはNa、K、NHから選ばれる少なくとも1種)
【0017】
前記アルミナ源が、Alを1モルとしたときに下記の組成を有する透明性アルミノシリケート溶液に由来するアルミナ源を含むことが好ましい。
NaO/Al =13〜20
SiO/Al =12〜18
O /Al =150〜400
【0018】
前記シリカ源が、シリカゾルおよび/または珪酸塩(珪酸アルカリ、珪酸4級アルキルアンモニウム塩等)であることが好ましい。
前記界面活性剤が、下記式(1)で表されるものであることが好ましい。
2n+1(CH・X ・・・・・(1)
(但し、nは10〜18の整数、Xは1価の陰イオン)
【0019】
本発明に係るアルミナ含有メソポーラス多孔体は、シリカおよびアルミナからなり、アルミナ含有量が0.5〜10重量%の範囲にあることを特徴としている。
前記アルミナ含有メソポーラス多孔体は、MCM−41またはMCM−48であることが好ましい。
前記アルミナ含有メソポーラス多孔体は、細孔容積が0.2〜0.9ml/gの範囲にあり、比表面積が800〜1200m/gの範囲にあることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、シリカ層のアルミナ含有量を高め、固体酸性、耐熱性が向上した触媒担体、水素化処理触媒、水素化分解触媒、接触分解触媒等として有用なメソポーラス多孔体の合成方法およびメソポーラス多孔体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1はアルミナ含有メソポーラス多孔体(1)のX線回折スペクトルである。
【図2】図2はアルミナ含有メソポーラス多孔体(1)の吸着脱着等温線である。
【図3】図3はアルミナ含有メソポーラス多孔体(1)のFT−IRスペクトルである。
【図4】図4はメソポーラス多孔体(R1)のX線回折スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
まず、メソポーラス多孔体の合成方法について説明する。
【0023】
メソポーラス多孔体の合成方法
本発明に係るアルミナ含有メソポーラス多孔体の合成方法は、(1)シリカ源と(2)アルミナ源と(3)アルカリ源と(4)界面活性剤と(5)水との混合物からなるアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物であり、(1)シリカ源のSiOを1モルとしたときに(2)アルミナ源のAlとのモル比、(3) アルカリ源のMOとのモル比、(4)界面活性剤とのモル比、(5)水のHOとのモル比が下記の範囲にある混合物を80〜160℃で水熱処理することを特徴としている。
Al/SiO=0.005〜0.05
界面活性剤/SiO=0.05〜0.3
O /SiO=0.1〜1.0
O /SiO=20〜100
(但し、MOはアルカリ源を酸化物の形態で示し、MはNa、K、NHから選ばれる少なくとも1種)
【0024】
シリカ源
本発明に用いる(1)シリカ源としては、後述するアルミナ含有メソポーラス多孔体が得られれば特に制限はないが、シリカ微粉末、シリカゾル、珪酸塩等が好適に用いられる。
シリカ微粉末、シリカゾルは、平均粒子径が小さいものが好ましく、概ね50nm以下のものが好ましい。
これらのシリカ源を用いるとアルミナ含有量が多く、比表面積の高いアルミナ含有メソポーラス多孔体を得ることができる。
珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等の他、珪酸4級アルキルアンモニウム等が好ましい。このような珪酸塩もアルミナ含有量が多く、比表面積の高いアルミナ含有メソポーラス多孔体が得られる点で好適に用いることができる。
【0025】
アルミナ源
アルミナ源としては、後述するアルミナ含有メソポーラス多孔体が得られれば特に制限はなく、アルミナゾル、アルミン酸アルカリ水溶液、アルミノシリケート溶液等を用いることもできるが、本発明では、アルミナ源が、Alを1モルとしたときに下記の組成を有する透明性アルミノシリケート溶液に由来するアルミナ源を含むことが好ましい。
NaO/Al =13〜20
SiO/Al =12〜18
O /Al =150〜400
なお、透明性アルミノシリケート溶液の使用量は、シリカ源と界面活性剤とアルカリ源と水との混合物の組成が前記した範囲となるように使用する。
【0026】
透明性アルミノシリケート溶液のNaO/Alモル比は13〜20、さらには14〜18の範囲にあることが好ましい。
透明性アルミノシリケート溶液のNaO/Alモル比が13未満の場合は、透明性アルミノシリケート溶液の透明性が低く、大きなゲル状粒子が残存することがあり、このような透明性アルミノシリケート溶液を用いると、透明性アルミノシリケート溶液の混合量によっても異なるが、得られるアルミナ含有メソポーラス多孔体の比表面積が不充分になったり、耐熱性、耐水熱性の向上効果が充分得られない場合がある。
【0027】
透明性アルミノシリケート溶液のNaO/Alモル比が20を越えると、透明性アルミノシリケート溶液の混合量によっても異なるが、アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物のMO /SiOモル比が1.0を越える場合があり、これを酸で中和することもできるが、中和した場合にアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物が過度にゲル化、高粘度化し、得られるアルミナ含有メソポーラス多孔体の比表面積が不充分になったり、耐熱性、耐水熱性の向上効果が充分得られない場合がある。
【0028】
つぎに、透明性アルミノシリケート溶液のSiO/Alモル比は12〜18、さらには13〜17の範囲にあることが好ましい。
透明性アルミノシリケート溶液のSiO/Alモル比が前記範囲にない場合は、すなわち、アルミナ源が多すぎるかシリカ源が多すぎると、メソポーラス多孔体の生成が抑制されたり、得られたとしてもメソポーラス多孔体の耐熱性、耐水熱性が不充分となる場合がある。
【0029】
つぎに、透明性アルミノシリケート溶液のHO/Alモル比は150〜400、さらには180〜350の範囲にあることが好ましい。
透明性アルミノシリケート溶液のHO/Al モル比が150未満の場合は透明性アルミノシリケート溶液の透明性が低く、大きなゲル状粒子が残存することがあり、このような透明性アルミノシリケート溶液を用いると、透明性アルミノシリケート溶液の混合量によっても異なるが、得られるアルミナ含有メソポーラス多孔体の比表面積が不充分になったり、耐熱性、耐水熱性の向上効果が充分得られない場合がある。
透明性アルミノシリケート溶液のHO/Al モル比が400を越えると、混合割合によっては、アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物のHOが過剰となり、アルミナ含有メソポーラス多孔体の生成に長時間を要したり、収率が大きく低下する場合がある。
【0030】
このような透明性アルミノシリケート溶液は下記の方法により調製することが好ましい。
透明性アルミノシリケート溶液を調製するには、前記酸化物モル比の範囲内にあり、透明性を有する溶液が得られれば特に制限はないが、アルカリ源としては、水酸化ナトリウムが常用され、アルミナ源としてはアルミン酸ソーダ、アルミナゾル、アルミナゲル、アルミナ微粉末等、シリカ源としてはケイ酸ソーダ、シリカゾル、シリカゲル、シリカ微粉末等が好適に用いられる。アルミナゾル、アルミナゲル、アルミナ微粉末を用いる場合は予め水酸化アルカリ水溶液に溶解して用いることが好ましい。また、シリカゾル、シリカゲル、シリカ微粉末を用いる場合も予め水酸化アルカリ水溶液に溶解して用いることが好ましい。
【0031】
混合順序は特に制限はなく、通常、水酸化アルカリ水溶液にアルミン酸ナトリウム水溶液を加え攪拌溶解・冷却を行い、水酸化アルカリ・アルミン酸ナトリウム混合水溶液とする。ついで、この水溶液を珪酸アルカリ水溶液に混合する。
このとき、アルミン酸ナトリウムを水酸化アルカリで溶解して水酸化アルカリ・アルミン酸ナトリウム混合水溶液を調製して用いることが好ましい。
【0032】
混合液は、混合後、直ちに使用することもできるが、アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物の調製に使用する前に、0〜50℃、さらには10〜40℃で100〜1000時間熟成することが好ましい。
このような熟成を行うことによって、混合時に生じるゲル状物が溶解し、混合物は透明性を増し、再現性よくアルミナ含有メソポーラス多孔体を得ることができる。
【0033】
上記した透明性アルミノシリケート溶液を使用すると、得られるアルミナ含有メソポーラス多孔体は、比表面積、固体酸性が高く、耐熱性、耐水熱性に優れ、このため活性に優れたアルミナ含有メソポーラス多孔体を得ることができる。なお、この理由は明らかではないが、アルミナ含有メソポーラス多孔体のシリカ層に均一にAlが組み込まれたシリカ・アルミナ層が形成されることが考えられる。
【0034】
界面活性剤
本発明に用いる界面活性剤としては、アルミナ含有メソポーラス多孔体が生成すれば特に制限はなく従来公知のカチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の界面活性剤およびこれらの混合物を使用することができる。
例えば、グリセロール、ジエチレングリコール、トリエタノールアミン等の他、特に下記式(1)で表される第4級アンモニウム塩または水酸化物である界面活性剤が好ましい。
2n+1(CH・X ・・・・・(1)
(但し、nは10〜18の整数、Xは1価の陰イオン)
【0035】
例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド([C1633N(CH)]Br : HTABr)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド([C1633N(CH)]OH : HTAOH)等が例示される。
また、RMeNXには、カプリルトリメチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ミリスチルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム等の天然に存在する脂肪酸から誘導される長鎖アルキル基を持つものが好ましいが、これら天然由来の置換基に限定されるものではない。
上記した界面活性剤を使用するとメソポーラス物質としてMCM−41が生成する傾向がある。
【0036】
また、上記以外のジメチルジセチルアンモニウム、ジメチルジステアリルアンモニウム、ジメチルジミリスチルアンモニウム等のハロゲン化水素酸塩、硫酸塩、カルボン塩および水酸化物等から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。このような界面活性剤として、より具体的には、ジメチルジオクチルアンモニウムブロマイド、ジメチルジオクチルアンモニウムサルフェート、ジメチルジオクチルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。この場合、メソポーラス物質としてMCM−48が生成する傾向がある。
【0037】
アルカリ源
本発明で用いるアルカリ源としては、アルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウムおよびこれらの混合物を用いることが好ましい。なお、前記した透明性アルミノシリケート溶液のアルカリが含まれている。
本発明ではNaOHあるいはNaOHと水酸化アンモニウムとの混合物を用いることが好ましい。
これらNaOH、NHOHを用いると、比表面積、固体酸性の高いメソポーラス多孔体が得られる傾向がある。
【0038】
上記した(1)シリカ源と(2)アルミナ源と(3)アルカリ源と(4)界面活性剤と(5)水との混合物からなり、モル比が下記の範囲にあるアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物を調製する。
Al/SiO=0.005〜0.05
界面活性剤/SiO=0.05〜0.3
O /SiO=0.1〜1.0
O /SiO=20〜100
(但し、MOはアルカリ源を酸化物の形態で示し、MはNa、K、NHから選ばれる少なくとも1種)
【0039】
Al/SiOモル比は0.005〜0.05、さらには0.01〜0.04の範囲にあることが好ましい。
前記Al/SiOモル比が0.005未満の場合はアルミナ含有メソポーラス多孔体が生成しない場合があり、生成しても比表面積、固体酸量が低く、同時に耐熱性、耐水熱性が不充分となり、触媒としての充分な性能が得られない場合がある。
前記Al/SiOモル比が0.05を越えると、アルミナ源が多すぎ、メソポーラス多孔体のシリカ層に組み込まれないアルミナが生じるためか、得られるアルミナ含有メソポーラス多孔体の比表面積が不充分となる場合がある。
【0040】
界面活性剤の使用量は、界面活性剤/SiOモル比が0.05〜0.3、さらには0.08〜0.2の範囲となるように使用することが好ましい。
界面活性剤/SiOモル比が前記範囲にない場合は、界面活性剤の種類によっても異なるが、アルミナ含有メソポーラス多孔体が生成しない場合がある。生成した場合でも比表面積が小さく、触媒として用いた場合に、充分な活性が得られない場合がある。
【0041】
つぎに、アルカリの使用量はMO/SiO=0.1〜1.0、さらには0.15〜0.8の範囲となるように使用することが好ましい。
アルカリの使用量がMO/SiOモル比で前記範囲にない場合は、アルミナ含有メソポーラス多孔体の生成に長時間を要したり、生成が不充分となる場合がある。
【0042】

水の使用量は、前記主原料の混合物、あるいは必要に応じて透明性アルミノシリケート溶液を混合した後の水のモル比がHO/SiOモル比として20〜100、さらには25〜80の範囲にあることが好ましい。
O/SiOモル比が20未満の場合は、アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物の濃度が高く、粘度が高くなり過ぎて界面活性剤によるミセルが形成されないためかアルミナ含有メソポーラス多孔体が生成しない場合があり、得られたとしても過度に凝集したアルミナ含有メソポーラス多孔体が得られる場合がある。
O/SiOモル比が100を越えても界面活性剤の濃度が低くなり、界面活性剤によるミセルが形成が不充分となるためかアルミナ含有メソポーラス多孔体の生成が不充分となる場合がある。
【0043】
上記した各原料の混合順序は特に制限はなく、用いる原料の種類、使用量によっても異なるが、水、シリカ源、アルカリ源、界面活性剤を順次混合した後、本発明ではアルミナ源として前記した透明性アルミノシリケート水溶液を混合することが好ましい。
さらに、アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物の組成を前記範囲に調整するために、例えばアルカリ源が過剰の場合は酸を混合して中和することもできる。
【0044】
アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物は、混合時あるいは混合後、必要に応じてpHを調整することもできる。
この時のpH範囲は、概ね9.5〜11.5、さらには10〜11の範囲にあることが好ましい。pH調整には、NaOH、KOH、アンモニアなどの塩基性化合物、塩酸、硫酸、硝酸などの鉱酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等の有機酸を用いることができる。なお、これらpH調整用の塩基性化合物、酸性化合物は通常微量であることから前記アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物の原料、組成範囲には含まれていない。
【0045】
アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物は自圧下、80〜160℃、好ましくは90〜140℃で水熱処理する。
水熱処理温度が80℃未満の場合は、アルミナ含有メソポーラス多孔体が生成しない場合があり、生成したとしても長時間を要したり、比表面積が低く固体酸性、耐熱性、耐水熱性、活性等が不充分となる場合がある。
水熱処理温度が160℃を越えてもアルミナ含有メソポーラス多孔体が生成しない場合があり、生成したとしても比表面積が低く固体酸性、耐熱性、耐水熱性、活性等が不充分となる場合がある。
また、水熱処理時間は、水熱処理温度によっても異なるが、概ね10〜240時間である。
【0046】
水熱処理した後、冷却し、固形分を濾過分離し、洗浄し、乾燥し、必要に応じて加熱処理してアルミナ含有メソポーラス多孔体を合成することができる。
このようにして得られるアルミナ含有メソポーラス物質は、MCM−41構造またはMCM−48構造を有していることが好ましい。
アルミナ含有メソポーラス多孔体の確認は、X線回折により、MCM−41構造の場合は2θ=1.5〜3.0°付近に主ピークが観察され、MCM−48構造の場合は2θ=2.0°付近に主ピークが観察される。
また、MCM−41構造、MCM−48構造を有していると窒素吸着・脱着等温線において、窒素の相対圧(P/P)が0.3〜0.4において窒素の著しい吸着および脱着特性を示す。
【0047】
つぎに、本発明に係るアルミナ含有メソポーラス多孔体について説明する。
アルミナ含有メソポーラス多孔体
本発明に係るアルミナ含有メソポーラス多孔体は、シリカおよびアルミナからなり、アルミナ含有量が0.5〜10重量%の範囲にあることを特徴としている。
アルミナ含有メソポーラス多孔体のアルミナ含有量が0.5重量%未満の場合は、固体酸量も少なく、耐熱性、耐水熱性が不充分となり、触媒担体、触媒等に使用した場合に充分な性能が得られず、使用するに際して使用条件、使用方法等が制限される場合がある。
アルミナ含有メソポーラス多孔体のアルミナ含有量が10重量%を超えるものは、主成分であるシリカ層中にアルミナを含有するものとしては本発明の方法によっても得ることが困難であり、得られたとしても比表面積が低くなり、充分な触媒性能が得られない場合がある。
【0048】
前記アルミナ含有メソポーラス多孔体は、MCM−41構造またはMCM−48構造を有していることが好ましい。
MCM−41構造またはMCM−48構造以外の構造を有するアルミナ含有メソポーラス多孔体は、前記した本発明の方法では、比表面積が高く固体酸性、耐熱性、耐水熱性等に優れたアルミナ含有メソポーラス多孔体として得ることが困難である。
【0049】
アルミナ含有メソポーラス多孔体の細孔容積が0.2〜0.9ml/g、さらには0.3〜0.9ml/gの範囲にあることが好ましい。
アルミナ含有メソポーラス多孔体の細孔容積が0.2ml/g未満の場合は、比表面積および固体酸量も少なく、充分な触媒性能が得られない場合がある。
アルミナ含有メソポーラス多孔体の細孔容積が0.9ml/gを越えるものは得ることが困難である。
【0050】
前記細孔容積の測定は、窒素自動吸着装置(ベルソープ社製:Auto Sorb-mini)を用い、アルミナ含有メソポーラス多孔体約0.1gを300℃で2時間真空排気処理した後、液体窒素温度(−196℃)で窒素吸着を行って吸着等温線を求め、相対圧(P/P)=0.7以下のアルミナ含有メソポーラス多孔体1g当たりの窒素吸着量(容積)を細孔容積として求めた。
【0051】
つぎに、アルミナ含有メソポーラス多孔体の比表面積は800〜1200m/g、さらには850〜1200m/gの範囲にあることが好ましい。
比表面積が800m/g未満の場合は、触媒、触媒担体として用いた場合に活性が不充分となる場合がある。
比表面積が1200m/gを越えるものは得ることが困難である。
このような、比表面積は、ユアサ・アイオニクス社製:マルチソーブ16を用い、アルミナ含有メソポーラス多孔体約0.1gを300℃で2時間真空排気処理した後、BET法により測定した。なお、この時の相対圧P/Pは0.9とした。
【0052】
また、アルミナ含有メソポーラス多孔体の生成量は、後述する比較例1で合成したMCM−41(R1)についてX線回折装置で測定したX線回折スペクトルの2θ=1.5〜2.5°のピーク高さ(H)を求め、アルミナ含有メソポーラス多孔体の2θ=1.5〜2.5°のピーク高さ(H)と対比し、下記式により相対生成量として評価した。
相対生成量=H/HX100(%)
【実施例】
【0053】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0054】
[実施例1]
透明性アルミノシリケート溶液(S1)の調製
Al2O3濃度22重量%、NaO濃度17重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液139gを、濃度40.8重量%の水酸化ナトリウム水溶液591gに撹拌しながら加えて溶解し、30℃まで冷却した。この溶液を、SiO濃度24重量%、NaO濃度7.7重量%の珪酸ナトリウム水溶液1103gに撹拌しながら添加した。このときの組成はモル比で
NaO/Al =15.9
SiO/Al =14.7
O /Al =230
であった。
ついで、この溶液を30℃で15時間静置して透明性アルミノシリケート溶液を調製し、ついで、この溶液を5℃まで冷却して透明性アルミノシリケート溶液(S1)を調製した。
【0055】
アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(1)の調製
ポリ容器に、水536gにシリカ源としてSiO濃度24重量%、NaO濃度7.7重量%の珪酸ナトリウム水溶液231g、界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HTABr)([C1633N(CH)]Br)73gを混合し、攪拌溶解した。この溶液に濃度15重量%のNHOH水溶液14gと透明性アルミノシリケート溶液(1)115gとを添加し、ついで、濃度25重量%の硫酸112gを添加した後、室温で3時間攪拌熟成してアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(1)を調製した。
アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(1)の組成は酸化物モル比で
Al/SiO=0.016
界面活性剤/SiO=0.167
O/SiO=0.25+0.025=0.275
O/SiO=41.7
であった。
なお、上記MO/SiOモル比は硫酸により中和されたアルカリのMOとしてのモル数を減じた数値で示している。
【0056】
アルミナ含有メソポーラス多孔体(1)の合成
ついで、アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(1)入りポリ容器を水熱処理槽に移し、97℃で96時間水熱処理した。その後固形分を濾過分離し、純水で洗浄し、硫酸アンモニウム水溶液にてイオン交換し、濾過、洗浄、ついで130℃で乾燥し、粉砕し、ついで窒素ガス中で600℃、3時間焼成し、さらに空気に換えて4時間焼成して界面活性剤を除去してアルミナ含有メソポーラス多孔体(1)を合成した。
得られたアルミナ含有メソポーラス多孔体(1)について、X線回折装置でX線回折スペクトルを測定し、MCMのタイプおよび相対生成量を評価し、結果を図1、表に示す。
【0057】
なお、相対生成量は後述する比較例1のメソポーラス多孔体(R1)のX線回折における2θ=2゜のピーク高を1とした比で示した。
さらに、アルミナ含有量、固体酸量、比表面積、細孔容積を測定するとともに性能評価を行い、結果を表に示す。
さらに、図2に、先に述べた細孔分布測定装置で測定した吸着脱着等温線を示した。図2において、横軸は相対圧(P/P)を示し、縦軸は標準状態(STP)での窒素吸着量(容積)である。
【0058】
固体酸の確認および固体酸量の測定は下記の方法によった。
固体酸の確認
アルミナ含有メソポーラス多孔体(1)20mgを500kg/cm2の圧力でウェハ状に成型し、真空セルに充填し、1時間で600℃まで昇温し、1時間真空排気処理した。
ついで、真空セルに100℃で10分間NHガスを導入し、ついで、10分間真空排気した後、室温にて分解能4cm-1、積算回数100回の条件にてNHガス吸着後のFT−IRスペクトルを測定した。
この時のIRスペクトルを図3に示す。波数1625cm-1付近、および1450cm-1付近にピークが認められ、前者がアルミナ含有メソポーラス多孔体(1)に配位結合したNHによるピークでルイス酸(L酸)であり、後者がプロトン和したNHによるピークでブレンステッド酸(B酸)である。
【0059】
固体酸量の測定
アルミナ含有メソポーラス多孔体(1)50mgをアンモニア吸着量測定装置(日本ベル社製:BELCAT)のカラムに充填し、アルゴンガスを供給しながら500℃に昇温し、1時間前処理した。ついで、50℃に降温し、アルゴンガスで稀釈した濃度1体積%のアンモニアガスを30cc/minで1時間供給してアンモニアを吸着させた。ついで、アルゴンガスを供給しながら200℃に昇温し、1時間、過剰のアンモニアの脱離を行い、ついで、200〜700℃に、10℃/minの速度で昇温し、その間に脱離したアンモニアの量をThermal Conductivity Detector(TCD)で検出し、アルミナ含有メソポーラス多孔体(1)1g当たりのアンモニアの脱離量を算出して表に示す。
【0060】
また、性能評価を下記の方法で実施し、結果を表に示した。
性能評価
アルミナ含有メソポーラス多孔体(1)の粉末を加圧成型し、これを粉砕し、分級し、粒子径が0.35〜0.71mmの性能評価用触媒(1)を調製した。
性能評価用触媒(1)0.2g、反応原料としてジフェニルメタン(DPM)10mlを振盪式圧力容器に充填し、ついで、容器を封じた後、窒素ガスで空気をパージした後、水素ガスを6.9MPaとなるまで充填し、振盪しながら360℃に昇温した。360℃で1時間反応させた後、常温に冷却し、触媒を分離して生成油を得た。
生成油は、キャピラリーガスクロマトグラフ(島津製作所製:GC−9A)で、未反応ジフェニルメタン(DPM)、ベンゼン、トルエンを分析し、これらの生成量から水素化分解活性を求め、水素化分解率(%)として結果を表に示した。
なお、採用した反応は下記[化1]に示すスキームである。
【0061】
【化1】

【0062】
[実施例2]
アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(2)の調製
実施例1において、透明性アルミノシリケート溶液(S1)58gを添加した以外は、実施例1と同様に操作してアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(2)を調製した。
このときのアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(2)の組成は酸化物モル比で
Al/SiO=0.008
界面活性剤/SiO=0.167
O/SiO=0.150
O/SiO=41.7
であった。
【0063】
アルミナ含有メソポーラス多孔体(2)の合成
実施例1において、アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(2)を用いた以外は同様にしてアルミナ含有メソポーラス多孔体(2)を合成した。
得られたアルミナ含有メソポーラス多孔体(2)について、MCMのタイプおよび相対生成量を評価し、結果を表に示す。
さらに、アルミナ含有量、固体酸量、比表面積、細孔容積を測定するとともに性能評価を行い、結果を表に示す。
【0064】
[実施例3]
アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(3)の調製
実施例1において、透明性アルミノシリケート溶液(S1)231gを添加した以外は、実施例1と同様に操作してアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(3)を調製した。
このときのアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(3)の組成は酸化物モル比で
Al/SiO=0.031
界面活性剤/SiO=0.167
O/SiO=0.525
O/SiO=41.7
であった。
【0065】
アルミナ含有メソポーラス多孔体(3)の合成
実施例1において、アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(3)を用いた以外は同様にしてアルミナ含有メソポーラス多孔体(3)を合成した。
得られたアルミナ含有メソポーラス多孔体(3)について、MCMのタイプおよび相対生成量を評価し、結果を表に示す。
さらに、アルミナ含有量、固体酸量、比表面積、細孔容積を測定するとともに性能評価を行い、結果を表に示す。
【0066】
[実施例4]
透明性アルミノシリケート溶液(S2)の調製
実施例1において、珪酸ナトリウム水溶液938gを用いた以外は同様にして透明性アルミノシリケート溶液(S2)を調製した。
このときの組成はモル比で
NaO/Al= 15.9
SiO/Al= 12.5
O /Al = 230
であった。
【0067】
アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(4)の調製
実施例1において、透明性アルミノシリケート溶液(S2)113gを添加した以外は、実施例1と同様に操作してアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(4)を調製した。
このときのアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(4)の組成は酸化物モル比で
Al/SiO=0.016
界面活性剤/SiO=0.167
O/SiO=0.275
O/SiO=41.7
であった。
【0068】
アルミナ含有メソポーラス多孔体(4)の合成
実施例1において、アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(4)を用いた以外は同様にしてアルミナ含有メソポーラス多孔体(4)を合成した。
得られたアルミナ含有メソポーラス多孔体(4)について、MCMのタイプおよび相対生成量を評価し、結果を表に示す。
さらに、アルミナ含有量、固体酸量、比表面積、細孔容積を測定するとともに性能評価を行い、結果を表に示す。
【0069】
[実施例5]
透明性アルミノシリケート溶液(S3)の調製
実施例1において、珪酸ナトリウム水溶液1260gを用いた以外は同様にして透明性アルミノシリケート溶液(S3)を調製した。
このときの組成はモル比で
NaO/Al=15.9
SiO/Al=16.8
O /Al=230
であった。
【0070】
アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(5)の調製
実施例1において、透明性アルミノシリケート溶液(S3)118gを添加した以外は、実施例1と同様に操作してアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(5)を調製した。
このときのアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(5)の組成は酸化物モル比で
Al/SiO=0.016
界面活性剤/SiO=0.167
O/SiO=0.275
O/SiO=41.7
であった。
【0071】
アルミナ含有メソポーラス多孔体(5)の合成
実施例1において、アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(5)を用いた以外は同様にしてアルミナ含有メソポーラス多孔体(5)を合成した。
得られたアルミナ含有メソポーラス多孔体(5)について、MCMのタイプおよび相対生成量を評価し、結果を表に示す。
さらに、アルミナ含有量、固体酸量、比表面積、細孔容積を測定するとともに性能評価を行い、結果を表に示す。
【0072】
[実施例6]
アルミナ含有メソポーラス多孔体(6)の合成
実施例1において、水熱処理温度を85℃とした以外は実施例1と同様に操作してアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(6)を調製した。
得られたアルミナ含有メソポーラス多孔体(6)について、MCMのタイプおよび相対量を評価し、結果を表に示す。
さらに、アルミナ含有量、固体酸量、比表面積、細孔容積を測定するとともに性能評価を行い、結果を表に示す。
【0073】
[実施例7]
アルミナ含有メソポーラス多孔体(7)の合成
実施例1において、水熱処理温度を140℃とした以外は実施例1と同様に操作してアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(7)を調製した。
得られたアルミナ含有メソポーラス多孔体(7)について、MCMのタイプおよび相対生成量を評価し、結果を表に示す。
さらに、アルミナ含有量、固体酸量、比表面積、細孔容積を測定するとともに性能評価を行い、結果を表に示す。
【0074】
[実施例8]
アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(8)の調製
実施例1において、水341gと、界面活性剤として濃度25重量%のヘキサデシルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド([C1633N(CH)]OH)のメタノール溶液241gを用いた以外は、同様にしてアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(8)を調製した。
アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(8)の組成は酸化物モル比で
Al/SiO=0.016
界面活性剤/SiO=0.167
O/SiO=0.275
O/SiO=41.7
であった。
【0075】
アルミナ含有メソポーラス多孔体(8)の合成
実施例1において、アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(8)を用いた以外は同様にしてアルミナ含有メソポーラス多孔体(8)を合成した。
得られたアルミナ含有メソポーラス多孔体(8)について、MCMのタイプおよび相対生成量を評価し、結果を表に示す。
さらに、アルミナ含有量、固体酸量、比表面積、細孔容積を測定するとともに性能評価を行い、結果を表に示す。
【0076】
[実施例9]
アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(9)の調製
実施例1において、界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HTABr)([C1633N(CH)]Br)55gを混合した以外は、実施例1と同様に操作してアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(9)を調製した。
このときのアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(9)の組成は酸化物モル比で
Al/SiO=0.016
界面活性剤/SiO=0.125
O/SiO=0.275
O/SiO=41.7
であった。
【0077】
アルミナ含有メソポーラス多孔体(9)の合成
実施例1において、アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(9)を用いた以外は同様にしてアルミナ含有メソポーラス多孔体(9)を合成した。
得られたアルミナ含有メソポーラス多孔体(9)について、MCMのタイプおよび相対生成量を評価し、結果を表に示す。
さらに、アルミナ含有量、固体酸量、比表面積、細孔容積を測定するとともに性能評価を行い、結果を表に示す。
【0078】
[実施例10]
アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(10)の調製
実施例1において、界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HTABr)([C1633N(CH)]Br)87gを混合した以外は、実施例1と同様に操作してアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(10)を調製した。
このときのアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(10)の組成は酸化物モル比で
Al/SiO=0.016
界面活性剤/SiO=0.200
O/SiO=0.275
O/SiO=41.7
であった。
【0079】
アルミナ含有メソポーラス多孔体(10)の合成
実施例1において、アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(10)を用いた以外は同様にしてアルミナ含有メソポーラス多孔体(10)を合成した。
得られたアルミナ含有メソポーラス多孔体(10)について、MCMのタイプおよび相対生成量を評価し、結果を表に示す。
さらに、アルミナ含有量、固体酸量、比表面積、細孔容積を測定するとともに性能評価を行い、結果を表に示す。
【0080】
[実施例11]
アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(11)の調製
ポリ容器に、水787g、シリカ源として(日揮触媒化成製:Cataloid SI-30、SiO濃度30重量%)185g、界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HTABr)([C1633N(CH)]Br)73gを混合し、攪拌溶解した。
この溶液に濃度15重量%のNH4OH水溶液14gと透明性アルミノシリケート溶液(1)115gとを添加した後、室温で3時間攪拌熟成してアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(11)を調製した。
アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(11)の組成は酸化物モル比で
Al/SiO=0.016
界面活性剤/SiO=0.167
O/SiO=0.25+0.025=0.275
O/SiO=41.7
であった。
【0081】
[実施例12]
アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(12)の調製
実施例1において、界面活性剤としてジメチルジオクチルアンモニウムブロマイド(C1840BrN:DDABr)70gを混合した以外は、実施例1と同様に操作してアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(10)を調製した。
このときのアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(10)の組成は酸化物モル比で
Al/SiO=0.016
界面活性剤/SiO=0.167
O/SiO=0.275
O/SiO=41.7
であった。
【0082】
アルミナ含有メソポーラス多孔体(10)の合成
実施例1において、アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(10)を用いた以外は同様にしてアルミナ含有メソポーラス多孔体(10)を合成した。
得られたアルミナ含有メソポーラス多孔体(10)について、MCMのタイプおよび相対生成量を評価し、結果を表に示す。
さらに、アルミナ含有量、固体酸量、比表面積、細孔容積を測定するとともに性能評価を行い、結果を表に示す。
【0083】
[比較例1]
メソポーラス多孔体(R1)の合成
ポリ容器に、水532g、シリカ源としてSiO2濃度24重量%、Na2O濃度7.7重量%の珪酸ナトリウム水溶液300gと界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HTABr)([C1633N(CH)]Br)73gとを混合し、攪拌溶解した。この溶液に濃度48重量%のNaOH水溶液50gと濃度15重量%のNH4OH水溶液14gとを添加し、室温で3時間攪拌熟成してメソポーラス多孔体合成用混合物(R1)を調製した。このときの組成は酸化物モル比で
Al/SiO=0.000
界面活性剤/SiO=0.167
O/SiO=0.275
O/SiO=41.7
であった。
【0084】
ついで、メソポーラス多孔体合成用混合物(R1)入りポリ容器を水熱処理槽に移し、97℃で96時間水熱処理した。その後固形分を濾過分離し、純水で洗浄し、硫酸アンモニウム水溶液にてイオン交換し、濾過、洗浄、ついで130℃で乾燥し、塊砕し、ついで窒素ガス中で600℃、3時間焼成し、さらに空気に換えて4時間焼成して界面活性剤を除去してメソポーラス多孔体(R1)を合成した。
得られたメソポーラス多孔体(R1)について、X線回折装置でMCMのタイプおよび相対生成量を評価し、結果を表に示す。
X線回折スペクトルを図4に示すが、MCM−41であった。2θ=2゜におけるピーク高を1とするとともに相対生成量を基準の1とした。
【0085】
さらに、アルミナ含有量、固体酸量、比表面積、細孔容積を測定するとともに性能評価を行い、結果を表に示す。
【0086】
[比較例2]
アルミナ含有メソポーラス多孔体(R2)の合成
実施例1において、70℃で96時間水熱処理した以外は同様にしてアルミナ含有メソポーラス多孔体(R2)を合成した。
得られたアルミナ含有メソポーラス多孔体(R2)について、MCMのタイプおよび相対生成量を評価し、結果を表に示す。
さらに、アルミナ含有量、固体酸量、比表面積、細孔容積を測定するとともに性能評価を行い、結果を表に示す。
【0087】
[比較例3]
アルミナ含有メソポーラス多孔体(R3)の合成
実施例1において、180℃で96時間水熱処理した以外は同様にしてアルミナ含有メソポーラス多孔体(R3)を合成した。
得られたアルミナ含有メソポーラス多孔体(R3)について、MCMのタイプおよび相対生成量を評価し、結果を表に示す。
さらに、アルミナ含有量、固体酸量、比表面積、細孔容積を測定するとともに性能評価を行い、結果を表に示す。
【0088】
[比較例4]
透明性アルミノシリケート溶液(RS1)の調製
実施例1において、珪酸ナトリウム水溶液750gを用いた以外は同様にして透明性アルミノシリケート溶液(RS1)を調製した。
このときの組成はモル比で
NaO/Al=15.9
SiO/Al=10.0
O /Al=230
であった。
【0089】
アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(R4)の調製
実施例1において、透明性アルミノシリケート溶液(RS1)110gを添加した以外は、実施例1と同様に操作してアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(R4)を調製した。
このときのアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(R4)の組成は酸化物モル比で
Al/SiO=0.016
界面活性剤/SiO=0.167
O/SiO=0.275
O/SiO=41.7
であった。
【0090】
アルミナ含有メソポーラス多孔体(R4)の合成
実施例1において、アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(R4)を用いた以外は同様にしてアルミナ含有メソポーラス多孔体(R4)を合成した。
得られたアルミナ含有メソポーラス多孔体(R4)について、MCMのタイプおよび相対生成量を評価し、結果を表に示す。
さらに、アルミナ含有量、固体酸量、比表面積、細孔容積を測定するとともに性能評価を行い、結果を表に示す。
【0091】
[比較例5]
透明性アルミノシリケート溶液(RS2)の調製
実施例1において、珪酸ナトリウム水溶液1500gを用いた以外は同様にして透明性アルミノシリケート溶液(RS2)を調製した。
このときの組成はモル比で
NaO/Al=15.9
SiO/Al =20.0
O /Al =255
であった。
【0092】
アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(R5)の調製
実施例1において、透明性アルミノシリケート溶液(RS2)130gを添加した以外は、実施例1と同様に操作してアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(R5)を調製した。
このときのアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(R5)の組成は酸化物モル比で
Al/SiO=0.016
界面活性剤/SiO=0.167
O/SiO=0.275
O/SiO=41.7
であった。
【0093】
アルミナ含有メソポーラス多孔体(R5)の合成
実施例1において、アルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物(R5)を用いた以外は同様にしてアルミナ含有メソポーラス多孔体(R5)を合成した。
得られたアルミナ含有メソポーラス多孔体(R5)について、MCMのタイプおよび相対生成量を評価し、結果を表に示す。
さらに、アルミナ含有量、固体酸量、比表面積、細孔容積を測定するとともに性能評価を行い、結果を表に示す。
【0094】
【表1】

【0095】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)シリカ源と(2)アルミナ源と(3)アルカリ源と(4)界面活性剤と(5)水との混合物からなるアルミナ含有メソポーラス多孔体合成用混合物であり、(1)シリカ源のSiOを1モルとしたときに(2)アルミナ源のAlとのモル比、(3)アルカリ源のMOとのモル比、(4)界面活性剤とのモル比、(5)水のHOとのモル比が下記の範囲にある混合物を80〜160℃で水熱処理することを特徴とするアルミナ含有メソポーラス多孔体の合成方法。
Al/SiO=0.005〜0.05
界面活性剤/SiO=0.05〜0.3
O /SiO=0.1〜1.0
O /SiO=20〜100
(但し、MOはアルカリ源を酸化物の形態で示し、MはNa、K、NHから選ばれる少なくとも1種)
【請求項2】
前記アルミナ源が、Alを1モルとしたときに下記の組成を有する透明性アルミノシリケート溶液に由来するアルミナ源を含むことを特徴とする請求項1に記載のアルミナ含有メソポーラス多孔体の合成方法。
NaO/Al =13〜20
SiO/Al =12〜18
O /Al =150〜400
【請求項3】
前記シリカ源が、シリカゾルおよび/または珪酸塩であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルミナ含有メソポーラス多孔体の合成方法。
【請求項4】
界面活性剤が、下記式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアルミナ含有メソポーラス多孔体の合成方法。
2n+1(CH・X ・・・・・(1)
(但し、nは10〜18の整数、Xは1価の陰イオン)
【請求項5】
シリカおよびアルミナからなり、アルミナ含有量が0.5〜10重量%の範囲にあることを特徴とするアルミナ含有メソポーラス多孔体。
【請求項6】
MCM−41またはMCM−48であることを特徴とする請求項5に記載のアルミナ含有メソポーラス多孔体。
【請求項7】
細孔容積が0.2〜0.9ml/gの範囲にあり、比表面積が800〜1200m/gの範囲にあることを特徴とする請求項5または6に記載のアルミナ含有メソポーラス多孔体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−47166(P2013−47166A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186631(P2011−186631)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】