説明

アルミニウム−マグネシウム合金の電着用電解質

本発明は、少なくとも一つの式MAlR4の有機アルミニウム錯体化合物、又はその混合物、及びアルキルマグネシウム化合物を含有し、ここでMはNa、K、Rb又はCsを表し、かつRはC1−C10アルキル基、好ましくはC1−C4アルキル基を表す、アルミニウム−マグネシウム合金の電着用電解質に関する。本発明は、電解質の製造方法、被覆方法、及び電解質にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム−マグネシウム合金の電着(galvanic deposition)用電解質に関し、該電解質は少なくとも一つの有機アルミニウム錯体化合物及びアルキルマグネシウム化合物を含む。本発明はまた、前記電解質の製造方法、被覆方法、その電解質の使用及び電解キットにも関する。
【背景技術】
【0002】
最近、マグネシウム−アルミニウム有機錯体化合物がアルミニウム−マグネシウム合金の電着用に使用されており、これがWO 00/32847A1に記載されている。アルミニウム−マグネシウム層をつけた結果としての優れた耐食保護性故に、そしてその生態的安全性故に、金属加工品のアルミニウム−マグネシウム合金を用いた電解塗装への関心が急速に高まっている。従って、閉鎖系において60から150℃の温度範囲で操作されるマグネシウム−アルミニウム−有機電解質を使用する電気メッキが主要となっており技術的な重要性を高めている。
【0003】
WO 00/32847A1において、一般タイプMAlR4の錯体化合物及びアルキルアルミニウムAlR3を組合せたその混合物が、特に好適な電解質として示唆されている。それらは液状芳香族炭化水素溶液の形で使用される。Mはナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムのようなアルカリ金属であり得て、Rは好ましくは1、2、又は4個の炭素数を有するアルキル残基を表す。
【0004】
しかしながら、そのような電解質系の使用には、致命的に不利な点がある。最新の公知のこれらの系は、要求される有機マグネシウム錯体化合物が電解質中に最初は存在せず、かつ複雑な電気化学的なその場製造が、電解質を使用したい時点で必要となるという特性を有する。従って、使用状態にある出発混合物は、有機アルミニウム化合物のみを含有し、マグネシウム化合物は含まないのである。例えば、そのような出発混合物の典型的な組成としては、M1AlR4とM2AlR4のモル比で1:0.1から0.1:1が挙げられ、ここでM1はM2と異なり、Na、K、Rb、Cs特にNa、Kである。AlR3/(M1AlR4+M2AlR4)/芳香族炭化水素の全成分のモル比は、1:0.1:1から1:2:10、特に1:1:3から1:1:5の範囲である。
【0005】
そのような電解質において、上記のマグネシウムを含まない出発電解質が、塗装に好適な電解セル中に最初に置かれる。その後、別のアルミニウム電極とマグネシウム電極又はアルミニウム−マグシウム混合電極を用い、通電によって、塗装に必要なマグネシウム錯体濃度が電解質中で達成されるまで、要求される有機マグネシウム錯体が電気化学的にその場生成される。
【0006】
更に、系中では必要なマグシウム錯体濃度に到達するより前の時点で既にアルミニウム−マグシウム層の沈着が起こり、そのことは、これらの層が適切なAlとMgの組成を有しない故に望ましくない。それ故に、沈着したアルミニウム−マグシウム層を集めるためのダミーの金属シートを系中に取付けなければならない。ダミーの金属シート上への沈着は、要求されるアルミニウム−マグシウム錯体濃度に到達するまで続けられる。その後、このダミーの金属シートが除去され、かつ望みのアルミニウム−マグシウム組成物、例えば、Al:Mg=75:25モル%を有する望みの層が基板上に沈着される。ダミーの金属シートは廃棄されるか更なる使用のために複雑な洗浄に回されなければならない。
【0007】
上の記述から、この方法が非常に複雑であり、対応する望みのアルミニウム−マグシウム濃度が得られるまでの長い予備的運転時間を要することが容易に分かるであろう。更に、使用されるダミーの金属シートの取付け、取外し及び洗浄によって付加的作業工程が生じる。このため、WO 00/32847A1において特に有効であると認定されているこの電解質溶液は、上記全ての不利な点を有するため、実際の塗装に先立つ調整段階における有機マグネシウム錯体の上記電気化学的製造を介してのみ採用され得る。
【0008】
更に、対応するマグネシウム化合物を電解質に直接添加することは、先行技術WO 00/32847A1から公知であり、それによると上記調整段階が省略できる。ここでは、マグネシウム−アルキルアルミニウム錯体、Mg[Al(Et)42が電解質中に採用される。この方法は上記錯体が工業的に入手できず、その製造が非常に複雑かつ高価であるため、実験室規模では実施され得る一方、工業規模では実施できないという欠点を有する。
【0009】
経済的かつ効果的に実施できる、基板をAl−Mgで塗装するための工業的方法のための適切な電解質は、今日まで知られていない。アルミニウム−マグネシウム合金の電着用電解質の更なる開発が経済的かつ生態的問題において、大きな技術的重要性を有し、かつ、大きな関心の的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の技術的目的は、好ましくは簡単に、効率的にかつ安価に製造できそして、アルミニウム−マグネシウムの被覆方法の商業的導入を可能ならしめ、かつ、有機Mg錯体を形成するための上記調整段階の必要がない電解質を供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
少なくとも一つの式MAlR4の有機アルミニウム錯体化合物、又はその混合物、及びアルキルマグネシウム化合物を含有し、ここでMはナトリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウムを表し、かつRはC1−C10アルキル基、好ましくはC1−C4アルキル基を表す、アルミニウム−マグネシウム合金の電着用電解質の手段によって、上記の技術的目的が達成される。特に、好ましい態様においては、本電解質がトリアルキルアルミニウム化合物を追加して含有する。
【0012】
特に好ましい態様においては、AlR3、M1AlR4、M2AlR4及びMg(R1x(R2yを含み、ここでM1とM2は互いに異なり、Na、K、Rb又はCsを表し、RはC1−C10アルカリ基、好ましくはC1−C4アルカリ基を表し、R1とR2は独立してC1−C20、好ましくはC2−C10アルカリ基を表し、かつx=0から2、かつy=0から2、かつx+y=2である、電解質が使用される。
【発明の効果】
【0013】
驚くべきことに、本発明の電解質が、実際の被覆プロセスの前の、時間がかかりかつ高価な調製段階において、有機マグネシウム錯体のその場製造を必要としないで、アルミニウム−マグネシウム合金による材料の被覆に使用できることが分かった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
好ましい態様においては、アルキルマグネシウム化合物が、アルミニウム錯体に対して0.01から10モル%、好ましくは0.1から1モル%の量で電解質中に含まれる。特に好ましくは、電解質中で使用されるアルキルマグネシウム化合物が、ブチル1.5オクチル0.5マグネシウム、ブチル1.0エチル1.0マグネシウム、sec−ブチル1.0n−ブチル1.0マグネシウム又はそれらの混合物のグループから選ばれる。
【0015】
この有機アルミニウム錯体化合物とアルキルマグネシウム化合物は好ましくは有機溶媒中に存在する。特に好ましい態様においては、この有機溶媒が芳香族溶媒であり、その場合ベンゼン、トルエン又はキシレン又はそれらの混合物のような溶媒が使用できる。
【0016】
上記のマグネシウム−エチルアルミニウム錯体、Mg[Al(Et)42と比較して、上記特定のアルキルマグネシウム化合物は、工業的に入手でき、かつ容易にかつ安価に製造できるという利点を有する。この電解質の製造は、以下の工程に従って進行する。最初、式MgAlR4の有機アルミニウム錯体化合物又はその混合物が、所望ならばトリアルキルアルミニウムと組合せて供給される。次いで、上記のようにアルキルマグネシウム化合物が添加される。MとRは上記と同じ意味を有する。電解質の製造中にアルキルマグネシウム化合物を秤量供給することは、マグネシウムとアルミニウム必要な濃度が直接調整でき、上記特定された調整段階なしで完全に実施できるという利点を有する。更に、被覆段階中においてさえも、被覆に望ましくかつ必要な適切なマグネシウム濃度を維持するためにアルキルマグネシウム化合物を添加することが可能である。
【0017】
特に好ましい態様においては、このアルキルマグネシウム化合物は、式Mg(R1x(R2yのアルキルマグネシウム化合物の混合物であり、ここでR1とR2は独立してC1−C20、好ましくはC2−C10アルカリ基を表し、かつx=0から2、かつy=0から2、かつx+y=2を表す。特に好ましい態様においては、このアルキルマグネシウム化合物が炭化水素中に溶解されて添加され、かつこのアルキルアルミニウム錯体が芳香族炭化水素中に溶解されて添加される。このアルミニウム化合物用の炭化水素は、i−ペンタン、n−ペンタン、ヘキサン、n−ヘキサン、ヘプタン、n−ヘプタン、トルエン及びキシレンのグループから選ばれる。
【0018】
本発明に従う電解質を使用すると、一連の種々の濃度のアルミニウムとマグネシウムのアルミニウム−マグネシウム層が、有機マグネシウム化合物の添加量を簡単に自由に選択することにより、一つの操作で製造できる。アルミニウム−マグネシウムの適切な濃度は、有機マグネシウム化合物の添加量を介して調節される。本発明に従う電解質は、良好な導電性と均一電着性という利点も有する。
【0019】
本発明に従う電解質は、幾何学的に複雑な形状の部品の被覆に使用される不関陽極(indifferent anode)を用いる操作を可能ならしめる。不関陽極とは、被覆段階で溶出しない、つまり、Al又はMg又はそれらの合金から成らない電極である。不関陽極を用いて被覆する場合、有機マグネシウム化合物及び有機アルミニウム化合物は、従って電解質溶液中に秤量供給されねばならない。アルミニウム−マグネシウムの適切な濃度は、有機マグネシウム化合物と有機アルミニウム化合物の添加量を介して調節される。従来技術に従えば、有機マグネシウム錯体のその場製造において不関陽極を用いて作業することは概ね除外されており、これは種々のアルミニウム−マグネシウム組成物の層の単一操作における製造に対してもいえる。電解質中のマグネシウム濃度を付与するための調整工程を用いる上記その場方法においてもこれは不可能である。
【0020】
本発明は、(a)請求項1から3及び1、3、5、6記載の有機アルミニウム錯体化合物又はアルキルアルミニウム化合物;及び(b)請求項1、3、5、6記載のアルキルマグネシウム化合物を含む、導電性の材料又は導電性の層の上でのアルミニウム−マグネシウム合金の電着用電解キットにも関する。
【0021】
好ましい態様においては、本化合物(a)と(b)は有機溶媒中に溶解される。
【0022】
本発明は、請求項1から9記載の電解質を使用して、導電性の材料又は層をアルミニウム−マグネシウム合金で被覆する方法にも関し、該方法において、望みのマグネシウム及びアルミニウム濃度を得て維持するために、請求項1、3、5及び6記載アルキルマグネシウム化合物が被覆段階において望みの量に秤量供給される。
【0023】
本発明は、導電性の材料又は導電性の層の上でアルミニウム合金の層を製造するための、本発明に従う電解質の使用にも関する。
【実施例】
【0024】
本発明を以下の実施例を用いてより詳細に説明する。
【0025】
[実施例1]
ブチル1.5オクチル0.5マグネシウムの20%ヘプタン溶液(Crompton社の製品、BOMAG(登録商標))の使用
【0026】
本反応は全てアルゴン保護ガス下で実施された。
【0027】
工程1:凝縮によるヘプタンの除去に続いて、トルエンを用いてBOMAG(登録商標)/ヘプタン溶液を含有量0.32mmol/gに調整した。
【0028】
工程2:次の組成:0.8K[Al(Et)4]+0.2Na[Al(Et)4]+1.17Al(Et)3+3.85トルエン、を有する電解質55.4gに2.85gのBOMAG/トルエン溶液(電解質配合に対して約1.0モル%)を添加した。
【0029】
約58gの電解質が得られた。
被覆試験
一般条件:
全ての沈積試験は標準条件下で実施された。マグネシウム成分は電解質中に直接ピペットで注入された。
陽極材料:2合金電極、AlMg、25.55×10×5mm
陰極:六角形ねじ、8.8、M8×25
陰極前処理:超音波浴中で8%HClを用いて脱脂、スケール除去、水洗、真空乾燥、アルゴン下で貯蔵
陰極浸漬深さ:完全
陰極回転数:60rpm
陽極までの距離:10mm
有効陰極面積:約10cm2
浴撹拌:ガラスジャケット中、2cmマグネットで250rpm
浴温度:94−98℃
【0030】
0.05A/dm2の電流密度で沈積を開始した。数分後、被覆されるべき部品上に明色オーバーレイが見られた。電流密度を徐々に3.0A/dm2まで上げた。5μmの層厚に対応する1.499mFの電流量になった後、沈積を終了
した。その層は明るい銀色である。
層のRF解析:26.79重量%のMg、73.21重量%のAl
【0031】
[実施例2]
エチル1.0ブチル1.0マグネシウムの20%ヘプタン溶液(BEM、Akzo−Nobel社製)の使用
【0032】
本反応はアルゴン保護ガス下で実施された。
【0033】
工程1:凝縮によるヘプタンの除去に続いて、トルエンを用いてBEM/ヘプタン溶液を含有量0.41mmol/gに調整した。
【0034】
工程2:次の組成:0.8K[Al(Et)4]+0.2Na[Al(Et)4]+1.17Al(Et)3+3.85トルエン、を有する電解質60.6gに2.0mlのBEM/トルエン溶液(電解質配合に対して約0.9モル%)を添加した。約62gの電解質が得られた。
【0035】
被覆試験
沈積条件は実施例1においてと同じであった。2.0A/dm2の電流密度で沈積を直接開始し、全電解中その値を変えずに保持した。即座にAl/Mgの明色沈積があった。11μmの層厚に対応する3.38mFの電流量になった後で沈積を終了した。認知できる欠陥が全くなく、優れた高度に均一な銀層が得られた。
層のRF解析:26.78重量%のMg、73.22重量%のAl
【0036】
[実施例3]
エチル1.0ブチル1.0マグネシウムの20%イソペンタン溶液(Albemarle社製のBEM)の使用
【0037】
本反応はアルゴン保護ガス下で実施された。
【0038】
工程1:1.85mmol/gのMg成分含有量のBEM/イソペンタン溶液を、更に前処理せずに使用する。
【0039】
工程2:次の組成:0.8K[Al(Et)4]+0.15Na[Al(Et)4]+1.08Al(Et)3+3.15トルエン、を有する電解質70.04gに0.5gのBEM/イソペンタン溶液(電解質配合に対して約0.8モル%)を添加した。
【0040】
被覆試験
沈積条件は実施例1においてと同じであった。1.0から3.0A/dm2の電流密度で沈積を実施した。20μmの層厚に対応する6.8mFの電流量になった後で沈積を終了した。高度に均一な銀層が得られた。
層のRF解析:41.4重量%のMg、58.9重量%のAl
【0041】
[比較例1]
アルキルマグネシウム溶液(調整用電解質)を直接添加しない、Albemarle社製のAl−Mg沈積用電解質の使用
【0042】
次の組成:0.8K[Al(Et)4]+0.2Na[Al(Et)4]+1.17Al(Et)3+3.85トルエン、を有する電解質65.0gを、上記一般的条件下で予備調整をして使用した。ただし、従来技術に従って要求される如く、Al−Mg合金の沈積において電解質が使用できる状態に準備される前の調整段階において、Mg錯体化合物が電気化学的に生成されねばならないが、そのようなアルキルマグネシウム溶液の予備添加は実施しなかった。
【0043】
調整工程1:初期電流密度0.05A/dm2で開始し、最大可能な値である1.0A/dm2まで電流密度を上げながら電解を行った。電流量が7.20mFになった後、均一電着性が悪い状態で、鈍い灰色の塗膜が得られた。
【0044】
調整工程2:陰極を交換した後、1.0から1.2A/dm2で調整を続けた。電流量が7.24mFになった後、均一電着性が全く改善されることなく、著しくより明るく、かすかに光沢がある層が得られた。
【0045】
調整工程3:再度、陰極を交換した後、ただし今度は電流密度を最大可能な1.23A/dm2を大きく越えて1.5そして2.0A/dm2まで上げ、均一で光沢があり、均一電着性が著しく改善された塗膜を得た。使用電流量は4.96mFであった。
【0046】
調整工程4:電流密度3.0A/dm2を使用して最終条件に達すると、均一電着性は工程3と比較して変わらずに、光沢ある塗膜が得られた。電流量は3.73mFであった。
【0047】
電解質は、この手順の後でのみ調整されて操作状態になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの式MAlR4の有機アルミニウム錯体化合物、又はその混合物、及びアルキルマグネシウム化合物を含有し、ここでMはNa、K、Rb又はCsを表し、かつRはC1−C10アルキル基、好ましくはC1−C4アルキル基を表す、アルミニウム−マグネシウム合金の電着用電解質。
【請求項2】
前記電解質がトリアルキルアルミニウムを追加して含有することを特徴とする請求項1記載の電解質。
【請求項3】
前記電解質がAlR3、M1AlR4、M2AlR4及びMg(R1x(R2yを含み、ここでM1とM2は互いに異なり、Na、K、Rb又はCsを表し、RはC1−C10アルカリ基、好ましくはC1−C4アルカリ基を表し、R1とR2は独立してC1−C20、好ましくはC2−C10アルカリ基を表し、かつx=0から2、かつy=0から2、かつx+y=2である、ことを特徴とする請求項1又は2記載の電解質。
【請求項4】
前記アルキルマグネシウム化合物が、アルミニウム錯体に対して0.01から10モル%、好ましくは0.1から1モル%の量で含まれることを特徴とする請求項1から3の一つ以上に記載の電解質。
【請求項5】
前記アルキルマグネシウム化合物がブチル1.5オクチル0.5マグネシウム、ブチル1.0エチル1.0マグネシウム、sec−ブチル1.0n−ブチル1.0マグネシウム又はそれらの混合物のグループから選ばれることを特徴とする請求項1から4の一つ以上に記載の電解質。
【請求項6】
前記電解質が有機溶媒を含むことを特徴とする請求項1から5の一つ以上に記載の電解質。
【請求項7】
前記有機溶媒が芳香族溶媒であることを特徴とする請求項6記載の電解質。
【請求項8】
前記芳香族溶媒がベンゼン、トルエン又はキシレン又はそれらの混合物であることを特徴とする請求項7記載の電解質。
【請求項9】
以下の工程:
−所望ならばトリアルキルアルミニウムと組合せて、式MAlR4の有機アルミニウム錯体化合物又はその混合物を供給する、
−アルキルマグネシウム化合物を添加する、
ここで、MはNa、K、Rb又はCsを表し、かつRはC1−C10アルキル基、好ましくはC1−C4アルキル基を表す、
によって特徴付けられる、請求項1から8記載の電解質の製造方法。
【請求項10】
前記有機アルミニウム錯体化合物がM1AlR4とM2AlR4の混合物であり、ここで、M1とM2は互いに異なり、Na、K、Rb又はCsを表し、かつRはC1−C10アルキル基、好ましくはC1−C4アルキル基を表すことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記アルキルマグネシウム化合物がMg(R1x(R2yであり、ここでR1とR2は独立してC1−C20、好ましくはC2−C10アルカリ基を表し、かつx=0から2、かつy=0から2、かつx+y=2であることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記アルキルマグネシウム化合物が炭化水素中に溶解されて添加されることを特徴とする請求項9から11の一つ以上に記載の方法。
【請求項13】
前記アルキルアルミニウム錯体が芳香族炭化水素中に溶解されて供給されることを特徴とする請求項9から11の一つ以上に記載の方法。
【請求項14】
前記炭化水素が飽和又は不飽和の炭化水素であることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記炭化水素がi−ペンタン、n−ペンタン、ヘキサン、n−ヘキサン、ヘプタン、n−ヘプタン、トルエン、キシレンのグループから選ばれることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
請求項9から15記載の方法に従って製造でき、導電性材料又は導電性層の上でアルミニウム−マグネシウム合金を製造するための電解質。
【請求項17】
請求項1から8記載の電解質を使用して、導電性の材料又は層をアルミニウム−マグネシウム合金で被覆する方法であって、該アルキルマグネシウム化合物が、被覆中に秤量供給される被覆方法。
【請求項18】
導電性の材料又は層の上でアルミニウム−マグネシウム合金の層を製造するための、請求項1から8及び16記載の電解質の使用。
【請求項19】
(a)請求項1から3記載の有機アルミニウム錯体化合物、又はアルキルアルミニウム化合物;及び
(b)請求項1、3、5記載のアルキルマグネシウム化合物
を含む、導電性の材料又は層の上でアルミニウム−マグネシウム合金を電着するための電解キット。
【請求項20】
化合物(a)及び(b)が有機溶媒中に存在することを特徴とする請求項19記載の電解キット。

【公表番号】特表2007−506862(P2007−506862A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527396(P2006−527396)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052113
【国際公開番号】WO2005/033374
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(504440591)アルミナル オーベルフレッヒェンテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (5)
【Fターム(参考)】