説明

アルミニウム、オリゴヌクレオチドおよびポリカチオンを含むアジュバント

免疫学的アジュバントは、アルミニウム塩、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびポリカチオン性ポリマーを含み、ここで、そのオリゴヌクレオチドおよびポリマーは、理想的には、互いに会合することにより複合体を形成する。そのアジュバントは、例えば、細菌性疾患または真菌性疾患を防御する免疫応答を誘発するために、免疫原を含む組成物中に含められ得る。本発明はまた、(i)本発明のアジュバントおよび(ii)免疫原を含む免疫原性組成物も提供する。その免疫原は:そのアジュバント中のアルミニウム塩に吸着され得るか;そのアジュバント中のオリゴヌクレオチド/ポリマー複合体に吸着され得るか;および/またはアルミニウム塩にも複合体にも吸着されない場合がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年8月27日に出願された米国仮出願第61/237,595号の利益を主張し、上記米国仮出願の全容は、本明細書によって、全ての目的について、参照によって本明細書に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、ワクチンアジュバントおよびそれらの組み合わせの分野におけるものである。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
アジュバントは、現在多くのワクチンに含まれている。アルミニウム塩、代表的には、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムが、間違いなく最も一般的なアジュバントである。それらは、通常、単一のアジュバントとして使用されるが、さらに、他の非アルミニウムアジュバントと組み合わされており、例えば、FENDRIXTM製品は、リン酸アルミニウム+3d−MPLのアジュバントを含み、CERVARIXTM製品のアジュバントは、水酸化アルミニウム+3d−MPLである。
【0004】
アルミニウム塩を含む改変および改善された組み合わせアジュバントを提供することが、本発明の目的である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の開示)
本発明は、アルミニウム塩、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびポリカチオン性ポリマーを含む免疫学的アジュバントを提供する。そのオリゴヌクレオチドおよびポリマーは、理想的には、互いに会合することにより複合体を形成する。
【0006】
本発明はまた、(i)本発明のアジュバントおよび(ii)免疫原を含む免疫原性組成物も提供する。その免疫原は:そのアジュバント中のアルミニウム塩に吸着され得るか;そのアジュバント中のオリゴヌクレオチド/ポリマー複合体に吸着され得るか;および/またはアルミニウム塩にも複合体にも吸着されない場合がある。
【0007】
本発明はまた、本発明の免疫学的アジュバントを調製するためのプロセスも提供し、そのプロセスは、アルミニウム塩を免疫刺激性オリゴヌクレオチドとポリカチオン性ポリマーとの複合体と混合する工程を包含する。代替の方法では、アルミニウム塩、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびポリカチオン性ポリマーは、複合体が形成される前に混合される。例えば、アルミニウム塩は、オリゴヌクレオチドと混合され得、次いで、ポリマーが加えられるか;またはアルミニウム塩は、ポリマーと混合され得、次いで、オリゴヌクレオチドが加えられる。複合体は、オリゴヌクレオチドとポリマーとが出会った後に形成され得る。
【0008】
本発明はまた、免疫原性組成物を調製するためのプロセスも提供し、そのプロセスは、(i)本発明のアジュバントおよび(ii)免疫原を混合する工程を包含する。
【0009】
その免疫原、アルミニウム塩、オリゴヌクレオチドおよびポリマーは、任意の順序で混合され得る。例えば、本発明は、(i)アルミニウム塩および(ii)免疫原を混合する工程;次いでその塩/免疫原混合物を免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびポリカチオン性ポリマーと混合する工程を包含する、本発明の免疫原性組成物を調製するためのプロセスを提供する。本発明はまた、(i)代表的には複合体の形態での、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびポリカチオン性ポリマー、ならびに(ii)免疫原を混合する工程;次いでそのオリゴヌクレオチド/ポリマー/免疫原混合物をアルミニウム塩と混合する工程を包含する、本発明の免疫原性組成物を調製するためのプロセスも提供する。1つの好ましい実施形態において、免疫原は、アルミニウム塩(例えば、水酸化アルミニウムアジュバント)に吸着され、次いで、その吸着された免疫原は、オリゴヌクレオチド/カチオン性ポリマー複合体と混合される。
【0010】
本発明はまた、(i)本発明のアジュバントを含む第1の容器;ならびに(ii)免疫原および/またはさらなるアジュバントを含む第2の容器を備えるキットも提供する。本発明はまた、(i)アルミニウム塩を含む第1の容器;および(ii)免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびポリカチオン性ポリマーを含む第2の容器を備えるキットも提供する。その第1および第2の容器の一方または両方が、免疫原を含み得る。したがって、その2つの容器の内容物が組み合わされることにより(例えば、使用時に)、本発明のアジュバントまたは免疫原性組成物が形成され得る。これらのキットは、免疫原および/またはさらなるアジュバントを含む第3の容器を備えてもよい。
【0011】
(アルミニウム塩)
本発明のアジュバントは、少なくとも1つのアルミニウム塩を含む。適当なアルミニウム塩としては、水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムとして個別に知られているアジュバントが挙げられる。これらの名称は、慣例に則ったものであり、それらの両方は、存在する実際の化合物の正確な説明ではないので、便宜のためだけに使用される[例えば、参考文献1の第9章を参照のこと]。本発明は、アジュバントとして一般に使用されている任意の「水酸化物」または「リン酸塩」アジュバントを使用し得る。水酸化アルミニウムアジュバントの使用が、好ましい。
【0012】
「水酸化アルミニウム」として知られているアジュバントは、代表的には、オキシ水酸化アルミニウム塩であり、それは通常、少なくとも部分的に結晶性である。式AlO(OH)によって表され得るオキシ水酸化アルミニウムは、赤外(IR)分光法によって、特に、1070cm−1における吸着帯(adsorption band)および3090〜3100cm−1における強い肩(strong shoulder)の存在によって、水酸化アルミニウムAl(OH)などの他のアルミニウム化合物と区別され得る[参考文献1の第9章]。水酸化アルミニウムアジュバントの結晶化度は、半分の高さにおける回折バンドの幅(width of the diffraction band at half height)(WHH)によって反映され、結晶性の低い粒子は、より小さい結晶子サイズに起因して、より大きな線の広がりを示す。WHHが大きいほど表面積は大きく、アジュバントのWHH値が大きいほど抗原吸着能が高いことが判明している。繊維状の形態(例えば、透過型電子顕微鏡像において見られるような形態)が、水酸化アルミニウムアジュバントにとって代表的である。1〜10μmの範囲の平均粒子直径が、参考文献2に報告されている。水酸化アルミニウムアジュバントのpIは、代表的には約11であり、すなわち、そのアジュバント自体が、生理学的pHにおいて正の表面電荷を有する。pH7.4における1.8〜2.6mgタンパク質/mg Al+++という吸着能が、水酸化アルミニウムアジュバントについて報告されている。
【0013】
「リン酸アルミニウム」として知られているアジュバントは、代表的には、しばしば少量の硫酸塩(すなわち、ヒドロキシリン酸アルミニウム硫酸塩)も含む、ヒドロキシリン酸アルミニウムである。それらは、沈殿によって得られることがあり、沈殿中の反応条件および濃度は、その塩におけるヒドロキシルからリン酸への置換の程度に影響する。ヒドロキシリン酸塩は、通常、0.3〜1.2のPO/Alモル比を有する。ヒドロキシリン酸塩は、ヒドロキシル基の存在によって厳密なAlPOと区別され得る。例えば、3164cm−1におけるIRスペクトル帯(例えば、200℃に加熱されたとき)は、構造的ヒドロキシルの存在を示す[参考文献1の第9章]。リン酸アルミニウムアジュバントのPO/Al3+モル比は、通常、0.3〜1.2、好ましくは、0.8〜1.2、より好ましくは、0.95±0.1である。そのリン酸アルミニウムは、一般に非晶質であり、特にヒドロキシリン酸塩の場合、非晶質である。代表的なアジュバントは、0.6mgAl3+/mlで含められ、0.84〜0.92のPO/Alモル比を有する非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムである。そのリン酸アルミニウムは、一般に、微粒子である(例えば、透過型電子顕微鏡像において見られるような板状の形態)。それらの粒子の代表的な直径は、任意の抗原が吸着した後、0.5〜20μm(例えば、約5〜10μm)の範囲内である。pH7.4における0.7〜1.5mgタンパク質/mgAl+++という吸着能が、リン酸アルミニウムアジュバントについて報告されている。リン酸アルミニウムのゼロ電荷点(PZC)は、ヒドロキシルからリン酸への置換の程度に反比例し、この置換の程度は、沈殿によって塩を調製するために用いられる反応条件および反応体の濃度に応じて変化し得る。PZCは、溶液中の遊離リン酸イオン濃度を変更することによって(より多いリン酸=より酸性のPZC)、またはヒスチジン緩衝液などの緩衝液を加えることによっても(PZCをより塩基性にする)変化する。本発明に従って使用されるリン酸アルミニウムは、一般に、4.0〜7.0、より好ましくは、5.0〜6.5、例えば、約5.7のPZCを有する。
【0014】
水酸化アルミニウムとリン酸アルミニウムの両方の混合物もまた使用され得る。この状況では、水酸化アルミニウムよりも多いリン酸アルミニウムが存在し得、例えば、少なくとも2:1、例えば、≧5:1、≧6:1、≧7:1、≧8:1、≧9:1などの重量比で存在し得る。
【0015】
したがって、本発明のアジュバントは:(i)水酸化アルミニウム、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびポリカチオン性ポリマー;(ii)リン酸アルミニウム、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびポリカチオン性ポリマー;または(iii)水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびポリカチオン性ポリマーを含み得る。
【0016】
本発明の薬学的組成物中のAl+++の濃度は、通常、<10mg/ml、例えば、≦5mg/ml、≦4mg/ml、≦3mg/ml、≦2mg/ml、≦1mg/mlなどである。好ましい範囲は、0.3〜1mg/mlである。
【0017】
(免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびポリカチオン性ポリマー)
本発明は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびポリカチオン性ポリマーを使用する。これらは、理想的には、互いに会合することにより、有用なことにTLR9アゴニストである微粒子複合体を形成する。
【0018】
免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、有用なアジュバントとして知られている。それらはしばしば、CpGモチーフ(グアノシンに連結されたメチル化されていないシトシンを含むジヌクレオチド配列)を含み、それらのアジュバントの作用は、参考文献3〜8において考察されている。TpGモチーフ、パリンドローム配列、複数の連続したチミジンヌクレオチド(例えば、TTTT)、複数の連続したシトシンヌクレオチド(例えば、CCCC)またはポリ(dG)配列を含むオリゴヌクレオチドもまた、二本鎖RNAと同様、公知の免疫刺激剤である。これらの様々な免疫刺激性オリゴヌクレオチドのいずれかを、本発明とともに使用することができるが、デオキシイノシンおよび/またはデオキシウリジンを含むオリゴデオキシヌクレオチド[9]、ならびに理想的にはデオキシイノシンおよびデオキシシトシンを含むオリゴデオキシヌクレオチドを使用することが好ましい。イノシン含有オリゴデオキシヌクレオチドは、CpIモチーフ(イノシンに連結されたシトシンを含むジヌクレオチド配列)を含み得る。オリゴデオキシヌクレオチドは、1つより多い(例えば、2、3、4、5、6つまたはそれ以上の)CpIモチーフを含み得、これらは、直接反復され得るか(例えば、配列(CI)を含む(ここで、xは2、3、4、5、6またはそれ以上である))、または互いから分断され得る(例えば、配列(CIN)を含む(ここで、xは2、3、4、5、6またはそれ以上であり、各Nは、独立して1つ以上のヌクレオチドを表す))。シトシン残基は、理想的にはメチル化されていない。
【0019】
上記オリゴヌクレオチドは、代表的には、10〜100ヌクレオチド、例えば、15〜50ヌクレオチド、20〜30ヌクレオチドまたは25〜28ヌクレオチドを有する。それは、代表的には一本鎖である。
【0020】
上記オリゴヌクレオチドは、もっぱら天然のヌクレオチド、もっぱら非天然のヌクレオチド、またはその両方の混合物を含み得る。例えば、上記オリゴヌクレオチドは、1つ以上のホスホロチオエート結合を含み得、そして/または1つ以上のヌクレオチドは、2’−O−メチル改変を有し得る。
【0021】
本発明とともに使用するために好ましいオリゴヌクレオチドは、26merの配列5’−(IC)13−3’(配列番号1)を含む一本鎖デオキシヌクレオチドである。このオリゴデオキシヌクレオチドは、ポリカチオン性ポリマーと安定な複合体を形成することにより、良好なアジュバントをもたらす。
【0022】
そのポリカチオン性ポリマーは、理想的には、カチオン性の抗菌性ペプチドなどのポリカチオン性ペプチドである。そのポリマーは、1つ以上のロイシンアミノ酸残基および/または1つ以上のリジンアミノ酸残基を含み得る。そのポリマーは、1つ以上のアルギニンアミノ酸残基を含み得る。そのポリマーは、これらのアミノ酸のうちの1つの少なくとも1つのダイレクトリピート、例えば、1つ以上のLeu−Leuジペプチド配列、1つ以上のLys−Lysジペプチド配列または1つ以上のArg−Argジペプチド配列を含み得る。そのポリマーは、少なくとも1つの(好ましくは、複数の、例えば2つまたは3つの)Lys−Leuジペプチド配列および/または少なくとも1つの(好ましくは、複数の、例えば2つまたは3つの)Lys−Leu−Lysトリペプチド配列を含み得る。
【0023】
上記ペプチドは、配列R−XZXZXZX−Rを含み得、ここで:xは、3、4、5、6または7であり;各Xは、独立して、正電荷を持つ天然および/または非天然のアミノ酸残基であり;各Zは、独立して、アミノ酸残基L、V、I、FまたはWであり;そしてRおよびRは、独立して、−H、−NH、−COCHまたは−COHからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、X−Rは、ペプチドのC末端のアミノ酸残基のアミド、エステルまたはチオエステルであり得る。参考文献10も参照のこと。
【0024】
ポリカチオン性ペプチドは、代表的には、5〜50アミノ酸、例えば、6〜20アミノ酸、7〜15アミノ酸または9〜12アミノ酸を有する。
【0025】
ペプチドは、もっぱら天然のアミノ酸、もっぱら非天然のアミノ酸またはその両方の混合物を含み得る。ペプチドは、L−アミノ酸および/またはD−アミノ酸を含み得る。L−アミノ酸が、代表的である。
【0026】
ペプチドは、天然のN末端(NH−)または改変されたN末端、例えば、ヒドロキシル、アセチルなどを有し得る。ペプチドは、天然のC末端(−COOH)または改変されたC末端、例えば、ヒドロキシル、アセチルなどを有し得る。そのような改変は、ペプチドの安定性を改善し得る。
【0027】
本発明ともに使用するために好ましいペプチドは、すべてがL−アミノ酸である11merのKLKLLLLLKLK(配列番号2;参考文献11)である。そのN末端は、脱アミノ化されてもよく、C末端は、ヒドロキシル化されてもよい。好ましいペプチドは、すべてがL−アミノ酸であるH−KLKLKLK−OHである。このオリゴペプチドは、公知の抗菌薬[12]、好中球アクチベーター[13]およびアジュバント[14]であり、免疫刺激性オリゴヌクレオチドと安定な複合体を形成することにより、優れたアジュバントをもたらす。
【0028】
免疫刺激性オリゴヌクレオチドとポリカチオン性ポリマーとの最も好ましい混合物は、IC31TMとして知られているTLR9アゴニストであり[15〜17]、これは、オリゴデオキシヌクレオチド配列番号1とポリカチオン性オリゴペプチド配列番号2との吸着複合体である。
【0029】
上記オリゴヌクレオチドおよびオリゴペプチドは、様々な比で共に混合され得るが、それらは、通常、ペプチドが過剰なモル比で混合される。その過剰なモル比は、少なくとも5:1、例えば、10:1、15:1、20:1、25:1、30;1、35:1、40:1などであり得る。約25:1のモル比が、理想的である[18,19]。この過剰なモル比での混合によって、オリゴヌクレオチドとオリゴペプチドとの不溶性の微粒子複合体が形成され得る。それらの複合体は、本明細書中に記載されるようなアルミニウム塩と組み合わされ得る。
【0030】
上記オリゴヌクレオチドおよびオリゴペプチドは、代表的には、水性条件下において混合され、例えば、そのオリゴヌクレオチドの溶液が、オリゴペプチドの溶液と所望の比で混合され得る。それらの2つの溶液は、乾燥された(例えば、凍結乾燥された)材料を水または緩衝液に溶解し、その後混合され得るストック溶液を形成することによって調製され得る。
【0031】
上記複合体は、参考文献20に開示されている方法を用いて分析され得る。1μm〜20μmの範囲の平均直径を有する複合体が代表的である。
【0032】
ポリアルギニンおよびCpGオリゴデオキシヌクレオチドも同様に複合体を形成する[21]。
【0033】
上記複合体は、水性懸濁物、例えば、水または緩衝液中に維持され得る。それらの複合体とともに使用するための代表的な緩衝液は、リン酸緩衝液(例えば、リン酸緩衝食塩水)、Tris緩衝液、Tris/ソルビトール緩衝液、ホウ酸緩衝液、コハク酸緩衝液、クエン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液などである。代案として、複合体は時折、凍結乾燥され得る。
【0034】
水性懸濁物中の複合体は、遠心分離されることにより、バルク媒質(bulk medium)から(例えば、吸引、デカントなどによって)分離され得る。次いで、これらの複合体は、所望であれば、代替の媒質に再懸濁され得る。
【0035】
(アルミニウム塩、オリゴヌクレオチドおよびポリマーの混合)
本発明のアジュバント組成物は、アルミニウム塩の水性懸濁物をオリゴヌクレオチド/ポリマー複合体の水性懸濁物と混合することによって都合よく調製され得る。その塩および複合体は各々、代表的には液体の形態で維持されるので、それらを共処方(co−formulate)する簡便な方法が提供される。
【0036】
いくつかの実施形態において、上記懸濁物の一方または両方が、免疫原を含み、その混合により、本発明の免疫原性組成物が提供される。他の実施形態では、いずれの液体も免疫原を含まないので、その混合生成物(すなわち、本発明のアジュバント組成物)が、後で免疫原と組み合わされることにより、本発明の免疫原性組成物が提供され得る。
【0037】
2つの液体が混合される場合、その混合の容積比は、変動し得る(例えば、20:1〜1:20、10:1〜1:10、5:1〜1:5、2:1〜1:2など)が、理想的には、約1:1である。上記2つの懸濁物中の構成要素の濃度は、所望の最終濃度が混合後に達成されるように選択され得る(例えば、両方が2×濃度で調製されて、1:1の混合により最終的な所望の濃度が提供され得る)。
【0038】
他の方法で、例えば、アルミニウム塩を遠心分離し、次いで、ペレットを複合体の懸濁物に再懸濁すること、複合体を遠心分離し、次いで、ペレットをアルミニウム塩の懸濁物に再懸濁することなどによって、アジュバント組成物を調製することも可能である。
【0039】
様々な濃度のオリゴヌクレオチドおよびポリカチオン性ポリマーが使用され得る(例えば、参考文献15、18、19または22において使用されている濃度のいずれか)。例えば、ポリカチオン性のオリゴペプチドは、1100μM、1000μM、350μM、220μM、200μM、110μM、100μM、11μM、10μM、1μM、500nM、50nMなどで存在し得る。オリゴヌクレオチドは、44nM、40nM、20nM、14nM、4.4nM、4nM、2nMなどで存在し得る。2000nM未満のポリカチオン性オリゴペプチド濃度が代表的である。ゆえに、1:25のモル比で混合された配列番号1および2の場合、本発明の3つの実施形態における濃度(単位はmg/mL)は、0.311および1.322または0.109および0.463または0.031および0.132であり得る。
【0040】
アルミニウム塩、および免疫刺激性オリゴヌクレオチドとポリカチオン性ポリマーとの複合体は、代表的には、両方とも微粒子である。アルミニウム塩アジュバントの平均粒子直径は、代表的には、ほぼ1〜20μm程度の大きさである[2,23]。これは、IC31TMに見られる複合体についてのサイズ範囲でもある。そのような粒子が組み合わされるとき、塩粒子の平均直径は、複合体の平均直径と実質的に同じであり得る。しかしながら、他の実施形態において、塩粒子の平均直径は、複合体の平均サイズより小さいことがある。他の実施形態において、塩粒子の平均直径は、複合体の平均サイズより大きいことがある。平均直径が異なる場合、大きいほうの直径は、少なくとも1.05×、例えば、1.1×、1.2×、1.3×、1.4×、1.5×、2×、2.5×、3×またはそれ以上だけ大きい可能性がある。その塩または複合体が、ある範囲の直径を有する粒子を有するがその平均直径が異なる場合、その範囲は、重複していてもよいし、していなくてもよい。ゆえに、最も大きい塩粒子は、最も小さい複合体粒子よりも小さいことがあるか、または最も大きい複合体粒子は、最も小さい塩粒子よりも小さいことがある。
【0041】
上記粒子は通常、大きすぎて濾過滅菌できないので、本発明のアジュバント組成物の滅菌は、代表的には、アルミニウム塩および複合体を滅菌条件下で調製し、次いで、それらを滅菌条件下で混合することによって、達成される。例えば、複合体の構成要素が、濾過滅菌され、次いで、滅菌条件下で混合されることにより、滅菌複合体が形成され得る。次いで、これらの滅菌複合体が、オートクレーブされた(滅菌された)アルミニウム塩アジュバントと混合されることにより、滅菌されたアジュバント組成物が提供され得る。次いで、この滅菌されたアジュバントは、滅菌された免疫原と混合されることにより、患者への投与に適した免疫原性組成物をもたらし得る。
【0042】
アルミニウム塩粒子の密度は、代表的には、免疫刺激性オリゴヌクレオチドとポリカチオン性ポリマーとの複合体の密度と異なる(このことは、これら2つの粒子が、例えばスクロース勾配によって、密度に基づいて分離され得ることを意味する)。
【0043】
アルミニウム塩と免疫刺激性オリゴヌクレオチドとポリカチオン性ポリマーとの混合物を含む組成物は、(i)緩衝液(例えば、ヒスチジン緩衝液、例えば、10mMヒスチジン緩衝液)および/または(ii)5〜15mg/mlの塩化ナトリウム、例えば、9mg/mlの塩化ナトリウムも有用に含み得る。ヒスチジン緩衝液を含む組成物は、6.0〜7.4の範囲、例えば、6.3〜7.0、または約6.5のpHを有用に有し得る。
【0044】
(薬学的組成物)
本発明のアジュバント組成物は、通常、アルミニウム塩、オリゴヌクレオチドおよびポリマーに加えて、構成要素を含み、例えば、代表的には、1つ以上の薬学的に許容され得る構成要素を含む。そのような構成要素は、本発明の免疫原性組成物中にも存在し得、アジュバント組成物または別の組成物から生じる。そのような構成要素の徹底的な考察は、参考文献24において入手可能である。
【0045】
組成物は、チオメルサールまたは2−フェノキシエタノールなどの保存剤を含み得る。ワクチンは、水銀材料を実質的に含まないようにすべきであり(例えば、<10μg/ml)、例えば、チオメルサールフリーであることが好ましい。水銀を含まないワクチンが、より好ましい。保存剤フリーのワクチンが、特に好ましい。コハク酸α−トコフェロールは、水銀の化合物に対する代替物としてインフルエンザワクチンに含められ得る。
【0046】
張度を調節するために、組成物は、ナトリウム塩などの生理学的塩を含み得る。塩化ナトリウム(NaCl)が好ましく、これは、1〜20mg/mlで存在し得る。存在してもよい他の塩としては、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウムおよび/または塩化マグネシウムなどが挙げられる。
【0047】
組成物は、200mOsm/kg〜400mOsm/kg、例えば、240〜360mOsm/kgの重量オスモル濃度を有し得、280〜330mOsm/mgまたは290〜310mOsm/kgの範囲内であり得る。
【0048】
組成物のpHは、通常、5.0〜8.1、より代表的には、6.0〜8.0、例えば、6.5〜7.5または7.0〜7.8である。
【0049】
組成物は、好ましくは、滅菌されている。組成物は、好ましくは、発熱性でなく、例えば、1用量あたり<1EU(標準的な尺度であるエンドトキシン単位)、好ましくは、1用量あたり<0.1EUを含む。組成物は、好ましくは、グルテンフリーである。
【0050】
有用な組成物は、ヒスチジン緩衝液(例えば、10mMヒスチジン緩衝液)、塩化ナトリウム(例えば、9mg/mlの塩化ナトリウム)および水酸化アルミニウムアジュバント(例えば、2mg/mlのAl+++)を含む。
【0051】
免疫原性組成物は、1回の免疫化のための材料を含んでもよいし、複数回の免疫化のための材料を含んでもよい(すなわち、「マルチドーズ(multidose)」キット)。保存剤を含んでいることは、マルチドーズの準備において有用である。マルチドーズ用組成物に保存剤を含めることに対する代替法として(またはそれに加えて)、本組成物は、材料を取り出すための無菌のアダプターを有する容器に含められ得る。
【0052】
組成物は通常、投与時には水性の形態である。ワクチンは、代表的には、約0.5mlの投薬容積で投与されるが、半用量(すなわち、約0.25ml)も時折、例えば小児に投与され得る。本発明のいくつかの実施形態において、組成物は、より高用量、例えば、約1mlで(例えば、2つの0.5ml容積を混合した後)投与され得る。
【0053】
(免疫原)
本発明のアジュバント組成物は、免疫原とともに動物に投与されることにより、免疫応答を誘導し得る。本発明は、広範囲の疾患を処置するためかまたは防御するために広範囲の免疫原とともに使用され得る。その免疫原は、ウイルス性疾患(例えば、エンベロープウイルスまたは非エンベロープウイルスに起因する疾患)、細菌性疾患(例えば、グラム陰性菌またはグラム陽性菌に起因する疾患)、真菌性疾患、寄生虫病、自己免疫疾患または他の任意の疾患を防御する免疫応答を誘発し得る。その免疫原は、例えば、腫瘍/がん、アルツハイマー病または嗜癖を処置するための、免疫療法においても有用であり得る。
【0054】
免疫原は、様々な形態、例えば、生物体全体、外膜小胞、タンパク質、サッカライド、リポサッカライド、結合体(例えば、キャリアとハプテンとの結合体、またはキャリアとサッカライドもしくはリポサッカライドとの結合体)などをとり得る。
【0055】
免疫原は、インフルエンザAおよびBウイルスを含むインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘発し得る。様々な形態のインフルエンザウイルス免疫原、代表的には、生ウイルスまたは不活性化ウイルスに基づくものが、現在入手可能である。不活性化ワクチンは、全ビリオン(whole virion)、分割ビリオン(split virion)または精製された表面抗原に基づき得る。インフルエンザ抗原は、ビロソームの形態でも提供され得る。赤血球凝集素は、現用の不活性化ワクチンにおける主要な免疫原であり、ワクチン用量は、代表的にはSRIDによって測定されるHAレベルを参照することにより標準化される。既存のワクチンは、代表的には、1株あたり約15μgのHAを含むが、より低用量も、例えば、小児に対して、またはパンデミックの状況において、またはアジュバントを用いるとき、使用され得る。分数用量(例えば、1/2(すなわち、1株あたり7.5μgのHA)、1/4および1/8)が使用されており、同様に、より高用量(例えば、3×または9×の用量[25,26])も使用されている。したがって、組成物は、1インフルエンザ株あたり0.1〜150μgのHA、好ましくは、0.1〜50μg、例えば、0.1〜20μg、0.1〜15μg、0.1〜10μg、0.1〜7.5μg、0.5〜5μgなどを含み得る。特定の用量としては、例えば、1株あたり約45、約30、約15、約10、約7.5、約5、約3.8、約3.75、約1.9、約1.5などが挙げられる。ワクチンに含められる各株に対して実質的に同じHA質量を含むことが通常であり、例えば、各株に対するHA質量は、1株あたりの平均HA質量の10%以内、好ましくは、その平均値の5%以内である。生ワクチンの場合、投与量は、HA含有量ではなく50%組織培養感染量(TCID50)によって測定され、1株あたり10〜10(好ましくは、106.5〜107.5)のTCID50が代表的である。SPF卵をウイルス増殖用の基材として使用するのではなく(ここでは、ウイルスは鶏卵の感染尿膜腔液から収集される)、インフルエンザウイルス複製を支持する細胞株が使用され得る。その細胞株は、代表的には、哺乳動物起源のもの、例えば、MDCKである。インフルエンザAウイルス免疫原は、任意の適当なHAサブタイプの株、例えば、H1、H3、H5、H7、H9など、例えば、H1N1、H3N2および/またはH5N1株由来であり得る。
【0056】
免疫原は、C.albicansなどのCandida真菌に対する免疫応答を誘発し得る。例えば、その免疫原は、β−グルカンであり得、それは、キャリアタンパク質に結合体化され得る。そのグルカンは、β−1,3結合および/またはβ−1,6結合を含み得る。適当な免疫原としては、参考文献27および28に開示されている免疫原が挙げられる。
【0057】
免疫原は、S.agalactiae、S.pneumoniaeおよびS.pyogenesを含むStreptococcus菌に対する免疫応答を誘発し得る。例えば、その免疫原は、莢膜サッカライドであり得、それは、キャリアタンパク質に結合体化され得る。S.agalactiaeの場合、そのサッカライドは、血清型Ia、Ib、II、IIIおよび/またはVのうちの1つ以上に由来し得る。S.pneumoniaeの場合、そのサッカライドは、血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび/または23Fのうちの1つ以上に由来し得る。莢膜サッカライド免疫原に加えて(またはその代わりに)、参考文献29に開示されているように、防御性の抗連鎖球菌免疫応答を誘発するためにポリペプチド免疫原(例えば、RrgBを含む)を使用してもよい。
【0058】
免疫原は、S.aureusまたはS.epidermidisを含むStaphylococcus菌に対する免疫応答を誘発し得る。例えば、その免疫原は、IsdA抗原、IsdB抗原、ClfA抗原、ClfB抗原、SdrD抗原、Spa抗原、EsxA抗原、EsxB抗原、Sta006抗原、溶血素および/またはSta011抗原を含み得る。適当なS.aureus免疫原およびそれらの組み合わせは、参考文献30に開示されている。
【0059】
免疫原は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)に対する免疫応答を誘発し得る。例えば、その免疫原は、莢膜サッカライドであり得、それは、キャリアタンパク質に結合体化され得る。莢膜サッカライドは、髄膜炎菌血清群A、C、W135および/またはYを防御するために特に有用である。莢膜サッカライド免疫原に加えて(またはその代わりに)、特に血清群Bに対して使用するために、例えば、参考文献31に開示されているように、防御性の抗髄膜炎菌免疫応答を誘発するために、ポリペプチド免疫原および/または外膜小胞を使用してもよい。有用な血清群B抗原のさらなる詳細は、下に記載される。
【0060】
免疫原は、肝炎ウイルス(例えば、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルスおよび/またはC型肝炎ウイルス)に対する免疫応答を誘発し得る。例えば、その免疫原は、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)であり得る。しかし、いくつかの実施形態において、その免疫原は、HBsAgではない(参考文献32を参照のこと)。
【0061】
免疫原は、RSウイルスに対する免疫応答を誘発し得る。免疫原は、A群RSVおよび/またはB群RSV由来であり得る。適当な免疫原は、例えば、参考文献33および34に開示されているような、Fおよび/もしくはG糖タンパク質またはそれらのフラグメントを含み得る。
【0062】
免疫原は、C.trachomatisおよびC.pneumoniaeを含むChlamydia菌に対する免疫応答を誘発し得る。適当な免疫原としては、参考文献35〜41に開示されている免疫原が挙げられる。
【0063】
免疫原は、腸外病原性株を含む大腸菌に対する免疫応答を誘発し得る。適当な免疫原としては、参考文献42〜45に開示されている免疫原が挙げられる。
【0064】
免疫原は、ヒトSARSコロナウイルスなどのコロナウイルスに対する免疫応答を誘発し得る。適当な免疫原は、スパイク糖タンパク質を含み得る。
【0065】
免疫原は、ヘリコバクターピロリ菌に対する免疫応答を誘発し得る。適当な免疫原としては、CagA[46〜49]、VacA[50,51]および/またはNAP[52〜54]が挙げられる。
【0066】
免疫原は、狂犬病ウイルスに対する免疫応答を誘発し得る。適当な免疫原は、不活性化狂犬病ウイルス[55,RabAvertTM]である。
【0067】
免疫原は、ヒトパピローマウイルスに対する免疫応答を誘発し得る。有用な免疫原は、L1キャプシドタンパク質であり、これは、集合することにより、ウイルス様粒子(VLP)として知られている構造を形成し得る。このVLPは、酵母細胞(例えば、S.cerevisiae)または昆虫細胞(例えば、Spodoptera細胞、例えば、S.frugiperdaまたはDrosophila細胞)におけるL1の組換え発現によって生成され得る。酵母細胞の場合、プラスミドベクターが、L1遺伝子を有し得;昆虫細胞の場合、バキュロウイルスベクターが、L1遺伝子を有し得る。より好ましくは、本組成物は、HPV−16株とHPV−18株の両方に由来するL1 VLPを含む。この二価の組み合わせは、非常に有効であると示されている[56]。HPV−16株およびHPV−18株に加えて、HPV−6株およびHPV−11株由来のL1 VLPを含めることも可能である。
【0068】
免疫原は、腫瘍抗原(例えば、MAGE−1、MAGE−2、MAGE−3(MAGE−A3)、MART−1/MelanA、チロシナーゼ、gp100、TRP−2など)に対する免疫応答を誘発し得る。その免疫原は、肺がん、メラノーマ、乳がん、前立腺がんなどに対する免疫療法応答を誘発し得る。
【0069】
免疫原は、キャリアタンパク質に結合体化されたハプテンに対する免疫応答を誘発し得、ここで、そのハプテンは、乱用薬物である[57]。例としては、オピエート類、マリファナ、アンフェタミン類、コカイン、バルビツエート類、グルテチミド、メチプリロン、抱水クロラール、メタクワロン、ベンゾジアゼピン類、LSD、ニコチン、抗コリン作用薬、抗精神病薬、トリプタミン、他の精神作用薬、鎮静薬、フェンシクリジン、サイロシビン、揮発性ニトレート、ならびに身体依存および/または精神依存を誘導する他の薬物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
他の様々な免疫原を使用してもよい。
【0071】
(B血清群髄膜炎菌)
本発明のアジュバントは、髄膜炎菌、特に、B血清群髄膜炎菌(「NmB」)に対する免疫応答を増強するために有用である。抗NmB応答を誘発するのに適した免疫原としては、ポリペプチド抗原、リポオリゴ糖および/または膜小胞が挙げられる。
【0072】
(髄膜炎菌ポリペプチド抗原)
組成物は、1つ以上の髄膜炎菌ポリペプチド抗原を含み得る。例えば、組成物は、287、NadA、NspA、HmbR、NhhA、App、Omp85および/またはfHBPからなる群より選択されるポリペプチド抗原を含み得る。これらの抗原は、精製されたポリペプチド、例えば、組換えポリペプチドとして有用に存在する。その抗原は、好ましくは、被験体への投与後に殺菌性の抗髄膜炎菌抗体を誘発する。
【0073】
本発明の組成物は、287抗原を含み得る。この287抗原は、遺伝子NMB2132(GenBankアクセッション番号GI:7227388;本明細書中の配列番号3)として髄膜炎菌のB血清群株MC58[58]についての公開ゲノム配列内に含まれていた。多くの株由来の287抗原の配列が、それ以後公開されている。例えば、287の対立遺伝子型は、参考文献59の図5および15ならびに参考文献60の実施例13および図21(その文献内の配列番号3179〜3184)に見られる。その287抗原の様々な免疫原性フラグメントも報告されている。本発明とともに使用するための好ましい287抗原は、(a)配列番号3に対して50%またはそれ以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有するアミノ酸配列;および/または(b)配列番号3の少なくとも「n」個連続したアミノ酸のフラグメントを含むアミノ酸配列(ここで、「n」は、7またはそれ以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号3由来のエピトープを含む。本発明の最も有用な287抗原は、被験体への投与後に、アミノ酸配列の配列番号3からなる髄膜炎菌ポリペプチドに結合し得る抗体を誘発し得る。本発明とともに使用するための都合のよい287抗原は、被験体への投与後に、殺菌性の抗髄膜炎菌抗体を誘発し得る。
【0074】
本発明の組成物は、NadA抗原を含み得る。このNadA抗原は、遺伝子NMB1994(GenBankアクセッション番号GI:7227256;本明細書中の配列番号4)として髄膜炎菌のB血清群株MC58[58]についての公開ゲノム配列内に含まれていた。多くの株由来のNadA抗原の配列が、それ以後公開されており、ナイセリアのアドヘシンとしてのそのタンパク質の活性が、よく実証されている。NadAの様々な免疫原性フラグメントも報告されている。本発明とともに使用するための好ましいNadA抗原は、(a)配列番号4に対して50%またはそれ以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有するアミノ酸配列;および/または(b)配列番号4の少なくとも「n」個連続したアミノ酸のフラグメントを含むアミノ酸配列(ここで、「n」は、7またはそれ以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号4由来のエピトープを含む。本発明の最も有用なNadA抗原は、被験体への投与後に、アミノ酸配列の配列番号4からなる髄膜炎菌ポリペプチドに結合し得る抗体を誘発し得る。本発明とともに使用するための都合のよいNadA抗原は、被験体への投与後に、殺菌性の抗髄膜炎菌抗体を誘発し得る。配列番号6は、そのようなフラグメントの1つである。
【0075】
本発明の組成物は、NspA抗原を含み得る。このNspA抗原は、遺伝子NMB0663(GenBankアクセッション番号GI:7225888;本明細書中の配列番号5)として髄膜炎菌のB血清群株MC58[58]についての公開ゲノム配列内に含まれていた。この抗原は、参考文献61および62によって以前から知られていた。多くの株由来のNspA抗原の配列が、それ以後公開されている。NspAの様々な免疫原性フラグメントも報告されている。本発明とともに使用するための好ましいNspA抗原は、(a)配列番号5に対して50%またはそれ以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有するアミノ酸配列;および/または(b)配列番号5の少なくとも「n」個連続したアミノ酸のフラグメントを含むアミノ酸配列(ここで、「n」は、7またはそれ以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号5由来のエピトープを含む。本発明の最も有用なNspA抗原は、被験体への投与後に、アミノ酸配列の配列番号5からなる髄膜炎菌ポリペプチドに結合し得る抗体を誘発し得る。本発明とともに使用するための都合のよいNspA抗原は、被験体への投与後に、殺菌性の抗髄膜炎菌抗体を誘発し得る。
【0076】
本発明の組成物は、髄膜炎菌HmbR抗原を含み得る。完全長HmbR配列は、遺伝子NMB1668(本明細書中の配列番号12)として髄膜炎菌のB血清群株MC58[58]についての公開ゲノム配列内に含まれていた。本発明は、完全長HmbR配列を含むポリペプチドを使用し得るが、しばしば、部分的なHmbR配列を含むポリペプチドを使用する。したがって、いくつかの実施形態において、本発明に従って使用されるHmbR配列は、配列番号12に対して少なくともi%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る(ここで、iの値は、50、60、70、80、90、95、99またはそれ以上である)。他の実施形態において、本発明に従って使用されるHmbR配列は、配列番号12由来の少なくともj個連続したアミノ酸のフラグメントを含み得る(ここで、jの値は、7、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上である)。他の実施形態において、本発明に従って使用されるHmbR配列は、(i)配列番号12に対して少なくともi%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/または(ii)配列番号12由来の少なくともj個連続したアミノ酸のフラグメントを含むアミノ酸配列を含み得る。j個のアミノ酸の好ましいフラグメントは、配列番号12由来のエピトープを含む。そのようなエピトープは、通常、HmbRの表面上に位置するアミノ酸を含む。有用なエピトープは、HmbRがヘモグロビンに結合するのに関わるアミノ酸を含むエピトープを含み、これらのエピトープに結合する抗体は、細菌が宿主のヘモグロビンに結合する能力を阻止し得る。HmbRのトポロジーおよび重要な機能性残基は、参考文献63において調べられた。本発明の最も有用なHmbR抗原は、被験体への投与後に、アミノ酸配列の配列番号12からなる髄膜炎菌ポリペプチドに結合し得る抗体を誘発し得る。本発明とともに使用するための都合のよいHmbR抗原は、被験体への投与後に、殺菌性の抗髄膜炎菌抗体を誘発し得る。
【0077】
本発明の組成物は、NhhA抗原を含み得る。このNhhA抗原は、遺伝子NMB0992(GenBankアクセッション番号GI:7226232;本明細書中の配列番号6)として髄膜炎菌のB血清群株MC58[58]についての公開ゲノム配列内に含まれていた。多くの株由来のNhhA抗原の配列が、例えば、参考文献59および64以後公開されており、NhhAの様々な免疫原性フラグメントが報告されている。それは、Hsfとしても知られる。本発明とともに使用するための好ましいNhhA抗原は、(a)配列番号6に対して50%またはそれ以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有するアミノ酸配列;および/または(b)配列番号6の少なくとも「n」個連続したアミノ酸のフラグメントを含むアミノ酸配列(ここで、「n」は、7またはそれ以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号6由来のエピトープを含む。本発明の最も有用なNhhA抗原は、被験体への投与後に、アミノ酸配列の配列番号6からなる髄膜炎菌ポリペプチドに結合し得る抗体を誘発し得る。本発明とともに使用するための都合のよいNhhA抗原は、被験体への投与後に、殺菌性の抗髄膜炎菌抗体を誘発し得る。
【0078】
本発明の組成物は、App抗原を含み得る。このApp抗原は、遺伝子NMB1985(GenBankアクセッション番号GI:7227246;本明細書中の配列番号7)として髄膜炎菌のB血清群株MC58[58]についての公開ゲノム配列内に含まれていた。多くの株由来のApp抗原の配列が、それ以後公開されている。Appの様々な免疫原性フラグメントも報告されている。本発明とともに使用するための好ましいApp抗原は、(a)配列番号7に対して50%またはそれ以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有するアミノ酸配列;および/または(b)配列番号7の少なくとも「n」個連続したアミノ酸のフラグメントを含むアミノ酸配列(ここで、「n」は、7またはそれ以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号7由来のエピトープを含む。本発明の最も有用なApp抗原は、被験体への投与後に、アミノ酸配列の配列番号7からなる髄膜炎菌ポリペプチドに結合し得る抗体を誘発し得る。本発明とともに使用するための都合のよいApp抗原は、被験体への投与後に、殺菌性の抗髄膜炎菌抗体を誘発し得る。
【0079】
本発明の組成物は、Omp85抗原を含み得る。このOmp85抗原は、遺伝子NMB0182(GenBankアクセッション番号GI:7225401;本明細書中の配列番号8)として髄膜炎菌のB血清群株MC58[58]についての公開ゲノム配列内に含まれていた。多くの株由来のOmp85抗原の配列が、それ以後公開されている。Omp85についてのさらなる情報は、参考文献65および66に見出され得る。Omp85の様々な免疫原性フラグメントも報告されている。本発明とともに使用するための好ましいOmp85抗原は、(a)配列番号8に対して50%またはそれ以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有するアミノ酸配列;および/または(b)配列番号8の少なくとも「n」個連続したアミノ酸のフラグメントを含むアミノ酸配列(ここで、「n」は、7またはそれ以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号8由来のエピトープを含む。本発明の最も有用なOmp85抗原は、被験体への投与後に、アミノ酸配列の配列番号8からなる髄膜炎菌ポリペプチドに結合し得る抗体を誘発し得る。本発明とともに使用するための都合のよいOmp85抗原は、被験体への投与後に、殺菌性の抗髄膜炎菌抗体を誘発し得る。
【0080】
本発明の組成物は、少なくとも1つの髄膜炎菌H因子結合タンパク質(fHBP)を含み得る。このfHBP抗原は、詳細に特徴づけられている。この抗原は、タンパク質「741」[参考文献60における配列番号2535および2536]、「NMB1870」、「GNA1870」[参考文献67〜69]、「P2086」、「LP2086」または「ORF2086」[70〜72]とも呼ばれている。この抗原は、天然にはリポタンパク質であり、すべての髄膜炎菌血清群において発現される。fHBP抗原は、3つの異なるバリアントに分類され[73]、所与のファミリーに対する血清は、同じファミリー内では殺菌性であるが、他の2つのファミリーのうちの1つを発現する株に対しては活性ではなく、すなわち、ファミリー内の交差保護は存在するが、ファミリー間の交差保護は存在しないことが見出されている。本発明の組成物は、単一のfHBPバリアントを含み得るが、2つまたは3つのバリアント由来のfHBPを都合よく含み得る[73]。本発明とともに使用するための都合のよいfHBP抗原は、被験体への投与後に、殺菌性の抗髄膜炎菌抗体を誘発し得る。
【0081】
組成物が、単一のfHBPバリアントを含む場合、以下のうちの1つを含み得る:
(a)第1のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド(ここで、第1のアミノ酸配列は、(i)配列番号9に対して少なくともa%の配列同一性を有するアミノ酸配列および/または(ii)配列番号9由来の少なくともx個連続したアミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む);
(b)第2のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド(ここで、第2のアミノ酸配列は、(i)配列番号10に対して少なくともb%の配列同一性を有するアミノ酸配列および/または(ii)配列番号10由来の少なくともy個連続したアミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む);
(c)第3のアミノ酸配列を含む第3のポリペプチド(ここで、第3のアミノ酸配列は、(i)配列番号11に対して少なくともc%の配列同一性を有するアミノ酸配列および/または(ii)配列番号11由来の少なくともz個連続したアミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む)。
【0082】
組成物が、2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原を含む場合、その抗原は、(i)上で定義されたような第1および第2のポリペプチド;(ii)上で定義されたような第1および第3のポリペプチド;または(iii)上で定義されたような第2および第3のポリペプチドの組み合わせを含み得る。第1および第3のポリペプチドの組み合わせが好ましい。第1および第2のポリペプチドは、第1および第2のアミノ酸配列を含む単一ポリペプチド(融合タンパク質)の一部であり得る。
【0083】
組成物が、3つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原を含む場合、その抗原は、上で定義されたような第1および第2および第3のポリペプチドの組み合わせを含み得、これらは、第1および第2および第3のアミノ酸配列を含む単一ポリペプチド(融合タンパク質)の一部であり得る。そのような3重のfHBP融合タンパク質は、参考文献74および75に開示されている(例えば、本明細書中の配列番号17)。
【0084】
組成物が、2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原を含む場合、これらは、共通していくつかの配列を共有し得るが、上記の第1、第2および第3のポリペプチドは、異なるfHBPアミノ酸配列を有する。
【0085】
上記の第1のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、被験体に投与されると、アミノ酸配列の配列番号9を有する野生型の髄膜炎菌タンパク質(MC58)に結合する抗体を含む抗体応答を誘発する。いくつかの実施形態において、これらの抗体の一部または全部は、アミノ酸配列の配列番号10を有する野生型の髄膜炎菌タンパク質またはアミノ酸配列の配列番号11を有する野生型の髄膜炎菌タンパク質に結合しない。
【0086】
上記の第2のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、被験体に投与されると、アミノ酸配列の配列番号10を有する野生型の髄膜炎菌タンパク質(2996)に結合する抗体を含む抗体応答を誘発する。いくつかの実施形態において、これらの抗体の一部または全部は、アミノ酸配列の配列番号9を有する野生型の髄膜炎菌タンパク質またはアミノ酸配列の配列番号11を有する野生型の髄膜炎菌タンパク質に結合しない。
【0087】
上記の第3のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、被験体に投与されると、アミノ酸配列の配列番号11を有する野生型の髄膜炎菌タンパク質(M1239)に結合する抗体を含む抗体応答を誘発する。いくつかの実施形態において、これらの抗体の一部または全部は、アミノ酸配列の配列番号9を有する野生型の髄膜炎菌タンパク質またはアミノ酸配列の配列番号10を有する野生型の髄膜炎菌タンパク質に結合しない。
【0088】
いくつかの実施形態において、配列番号9由来の少なくともx個連続したアミノ酸のフラグメントは、配列番号10内にも配列番号11内にも存在しない。同様に、配列番号10由来の少なくともy個連続したアミノ酸のフラグメントは、配列番号9内にも配列番号11内にも存在しない場合がある。同様に、配列番号11由来の少なくともz個連続したアミノ酸のフラグメントは、配列番号9内にも配列番号10内にも存在しない場合がある。いくつかの実施形態において、配列番号9〜11のうちの1つ由来の前記フラグメントが、他の2つの配列番号に対して連続した配列としてアラインメントされるとき、そのフラグメントとその他の2つの配列番号の各々との間の同一性は、75%未満、例えば、70%未満、65%未満、60%未満などである。
【0089】
aの値は、少なくとも80、例えば、82、84、86、88、90、92、94、95、96、97、98、99またはそれ以上である。bの値は、少なくとも80、例えば、82、84、86、88、90、92、94、95、96、97、98、99またはそれ以上である。cの値は、少なくとも80、例えば、82、84、86、88、90、92、94、95、96、97、98、99またはそれ以上である。a、bおよびcの値は、同じであってもよいし、異なってもよい。いくつかの実施形態において、a、bおよびcは、同一である。
【0090】
xの値は、少なくとも7(例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250)である。yの値は、少なくとも7(例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250)である。zの値は、少なくとも7(例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250)である。x、yおよびzの値は、同じであってもよいし、異なってもよい。いくつかの実施形態において、x、yおよびzは、同一である。
【0091】
フラグメントは、好ましくは、それぞれの配列番号の配列由来のエピトープを含む。他の有用なフラグメントは、それぞれの配列番号の少なくとも1つのエピトープを保持しつつ、そのそれぞれの配列番号のC末端から1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれ以上)および/またはN末端から1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれ以上)を欠く。
【0092】
いくつかの実施形態において、fHBPポリペプチドは、例えば、N末端のシステインにおいて、脂質付加される。脂質付加されたfHBPについて、システインに付けられた脂質は、通常、パルミトイル残基を、例えば、トリパルミトイル−S−グリセリル−システイン(Pam3Cys)、ジパルミトイル−S−グリセリルシステイン(Pam2Cys)、N−アセチル(ジパルミトイル−S−グリセリルシステイン)などとして含む。
【0093】
組成物は、1つより多い髄膜炎菌ポリペプチド抗原を含み得る。例えば、その組成物は、3つのポリペプチドを含み得る:1つは、配列番号13を含み、1つは、配列番号14を含み、第3のものは、配列番号15または26を含む(参考文献31および76を参照のこと)。5つの抗原にわたるこの3つのポリペプチドの組み合わせは、B血清群髄膜炎菌を防御するために特に都合がよい。代替の組成物は:配列番号13を含む第1のポリペプチド、配列番号15を含む第2のポリペプチド、および配列番号17を含む第3のものを含み得る。代替の組成物は:配列番号13を含む第1のポリペプチド、配列番号15を含む第2のポリペプチド、および配列番号18を含む第3のものを含み得る。代替の組成物は:配列番号13を含む第1のポリペプチド、配列番号26を含む第2のポリペプチド、および配列番号17を含む第3のものを含み得る。代替の組成物は:配列番号13を含む第1のポリペプチド、配列番号26を含む第2のポリペプチド、および配列番号18を含む第3のものを含み得る。
【0094】
(髄膜炎菌リポオリゴ糖)
組成物は、1つ以上の髄膜炎菌リポオリゴ糖(LOS)抗原を含み得る。髄膜炎菌LOSは、その細菌の外膜の外側の単層に見られるグルコサミンベースのリン脂質である。髄膜炎菌LOSは、リピドA部分およびコアオリゴ糖領域を含み、そのリピドA部分は、その膜において疎水性アンカーとして作用する。そのオリゴ糖コア内の不均一性により、異なる髄膜炎菌株の間に構造および抗原性の多様性が生じ、このことは、それらの株を12種類の免疫型(L1〜L12)に細分するために用いられてきた。本発明は、任意の免疫型由来、例えば、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7および/またはL8由来のLOSを使用し得る。
【0095】
L2およびL3のα鎖は、天然ではラクト−N−ネオテトラオース(LNnT)を含む。本発明が、L2またはL3免疫型由来のLOSを使用する場合、このLNnTは、存在しない場合がある。この非存在は、α鎖内のLNnTテトラサッカライドを合成する能力を破壊するように操作された変異体株を使用することによって、都合よく達成され得る。関連性のある生合成付加に関与する酵素のノックアウトによって、この目標が達成されると知られている[77,107]。例えば、LgtB酵素のノックアウトによって、LNnTの末端のガラクトースの付加が妨げられ、ならびにα鎖の末端のシアル酸の下流の付加も妨げられる。LgtA酵素のノックアウトによって、LNnTのN−アセチル−グルコサミンの付加および下流の付加も妨げられる。LgtAノックアウトは、LgtCノックアウトに付随してもよい。同様に、LgtEおよび/またはGalE酵素のノックアウトによって、内部のガラクトースの付加が妨げられ、LgtFのノックアウトによって、Hep残基へのグルコースの付加が妨げられる。これらのノックアウトのうちの任意のものが、個々にまたは組み合わせて用いられることにより、L2、L3、L4、L7またはL9免疫型株においてLNnTテトラサッカライドが破壊され得る。LgtBのノックアウトは、LNnTエピトープを除去しつつ有用な免疫原性を保持するLOSを提供するので、少なくともLgtBのノックアウトが好ましい。
【0096】
LNnTエピトープを破壊する変異に加えて、またはその代わりに、galE遺伝子のノックアウトもまた有用な改変されたLOSを提供する。リピドA脂肪トランスフェラーゼ(lipid A fatty transferase)遺伝子を同様にノックアウトしてもよい[78]。少なくとも1つの第1のO結合脂肪酸が、LOSから除去され得る[79]。LOS分子1つあたり少数の第2のアシル鎖を有するLOSもまた使用され得る[80]。そのLOSは、代表的には、少なくともGlcNAc−Hepホスホエタノールアミン−KDO−リピドA構造を含む[81]。そのLOSは、LNnTテトラサッカライドを欠くのと同時にGlcNAcβ1−3Galβ1−4Glcトリサッカライドを含み得る。
【0097】
LOSは、様々な形態で含められ得る。LOSは、精製された形態そのままで使用され得る。LOSは、キャリアタンパク質に結合体化され得る。LOSが結合体化されるとき、結合体化は、LOSのリピドA部分を介して、または他の任意の適当な部分、例えば、そのKDO残基によって、行われ得る。LOSのリピドA部分が存在しない場合、そのような代替の結合が必要とされる。LOSに対する結合体化技術は、例えば、参考文献79、81、82、83などから公知である。これらの結合体についての有用なキャリアタンパク質としては、例えば、細菌トキシン(例えば、ジフテリアトキシンまたは破傷風トキシン)もしくはトキソイドまたはそれらの変異体が挙げられる。
【0098】
上記LOSは、参考文献84に記載されているような固定された(すなわち、相が変わりやすくない)LOS免疫型を有する株(例えば、遺伝子操作された髄膜炎菌株)由来であり得る。例えば、L2およびL3のLOS免疫型が、固定され得る。そのような株は、元の野生型株と比べて2倍超(>50倍も)低い免疫型間のスイッチングの割合を有し得る。参考文献84には、lgtAおよび/またはlgtG遺伝子産物の改変によって、どのようにしてこの結果が達成され得るかが開示されている。
【0099】
LOSは、例えばL3の場合、そのヘプトースII残基に付けられたGlcNac残基においてO−アセチル化され得る[85]。
【0100】
免疫原性組成物は、1タイプより多いLOS、例えば、髄膜炎菌免疫型L2およびL3由来のLOSを含み得る。例えば、参考文献86に開示されているLOSの組み合わせが使用され得る。
【0101】
LOS抗原は、好ましくは、被験体への投与後に、殺菌性の抗髄膜炎菌抗体を誘発し得る。
【0102】
(膜小胞)
組成物は、髄膜炎菌の外膜小胞を含み得る。これらの外膜小胞には、髄膜炎菌の外膜の破壊または髄膜炎菌の外膜からのブレブ形成(blebbling)(これらから、外膜のタンパク質構成要素を含む小胞を形成する)によって得られる任意のプロテオリポソーム(proteoliposomic)小胞が含まれる。したがって、この用語は、OMV(時折「ブレブ」と称される)、微小胞(MV[87])および「ネイティブOMV」(「NOMV」[88])を包含する。
【0103】
MVおよびNOMVは、細菌増殖中に自然に形成して培養液中に放出される天然に存在する膜小胞である。MVは、ブロス培養液中でNeisseriaを培養し、そのブロス培養液中のより小さいMVから細胞全体を分離し(例えば、濾過によって、またはより小さい小胞ではなく細胞だけをペレットにする低速遠心分離によって)、次いで、その細胞枯渇培地からMVを収集することによって(例えば、濾過によって、MVの差次的沈殿または凝集によって、MVをペレットにする高速遠心分離によって)得ることができる。MVを生成する際に使用するための株は、通常、培養液中に生成されるMVの量に基づいて選択され得、例えば、参考文献89および90には、MVを多く生成するNeisseriaが記載されている。
【0104】
OMVは、細菌から人工的に調製され、洗浄剤処理(例えば、デオキシコレートを用いた処理)を用いて、または非洗浄剤手段(例えば、参考文献91を参照のこと)によって、調製され得る。OMVを形成するための手法としては、洗浄剤が沈殿しないように十分に高いpHにおいて[94]、胆汁酸塩洗浄剤(例えば、リトコール酸、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、デオキシコール酸、コール酸、ウルソコール酸(ursocholic acid)などの塩、Neisseriaを処理するためにはデオキシコール酸ナトリウム[92および93]が好ましい)で細菌を処理することが挙げられる。他の手法は、超音波処理、均質化、マイクロフルイダイゼーション(microfluidisation)、キャビテーション、浸透圧ショック、粉砕、フレンチプレス、調合などのような手法を用いて、実質的に洗浄剤の非存在下において[91]行われ得る。洗浄剤を用いないかまたは少量の洗浄剤を用いる方法によって、NspAなどの有用な抗原が保持され得る[91]。したがって、ある方法は、約0.5%のデオキシコレートまたはそれより低い、例えば、約0.2%、約0.1%、<0.05%またはゼロのデオキシコレートを含むOMV抽出緩衝液を使用し得る。
【0105】
OMV調製のための有用なプロセスは、参考文献95に記載されており、高速遠心分離の代わりに粗OMVに対する限外濾過を含む。そのプロセスは、限外濾過を行った後の超遠心分離工程を含み得る。
【0106】
本発明とともに使用するための小胞は、任意の髄膜炎菌株から調製され得る。その小胞は、通常、血清群B株由来であるが、その小胞をB以外の血清群(例えば、A、C、W135またはY)から調製することも可能である(例えば、参考文献94には、血清群Aについてのプロセスが開示されている)。その株は、任意の血清型(例えば、1、2a、2b、4、14、15、16など)、任意の血清亜型および任意の免疫型(例えば、L1;L2;L3;L3,3,7;L10;など)であってよい。その髄膜炎菌は、超侵襲性および超毒性の系統をはじめとした任意の適当な系統、例えば、以下の7つの超毒性の系統:サブグループI;サブグループIII;サブグループIV−1;ET−5複合体;ET−37複合体;A4クラスター;系統3のうちのいずれかに由来し得る。これらの系統は、多座位酵素電気泳動(MLEE)によって定義されているが、多座位配列タイピング(MLST)を使用することによっても髄膜炎菌は分類されている[参考文献96](例えば、ET−37複合体は、MLSTによってST−11複合体であり、ET−5複合体は、ST−32(ET−5)であり、系統3は、ST−41/44であるなど)。小胞は、以下のサブタイプ:P1.2;P1.2,5;P1.4;P1.5;P1.5,2;P1.5,c;P1.5c,10;P1.7,16;P1.7,16b;P1.7h,4;P1.9;P1.15;P1.9,15;P1.12,13;P1.13;P1.14;P1.21,16;P1.22,14のうちの1つを有する株から調製され得る。
【0107】
本発明とともに使用される小胞は、野生型の髄膜炎菌株または変異体の髄膜炎菌株から調製され得る。例えば、参考文献97には、改変されたfur遺伝子を有するN.meningitidisから得られる小胞の調製法が開示されている。参考文献105には、porAとcpsを共にノックアウトすることによってnspA発現がアップレギュレートされるであろうことが教示されている。OMV生成のためのN.meningitidisのさらなるノックアウト変異体が、参考文献105〜107に開示されている。参考文献98には、fHBPがアップレギュレートされている小胞が開示されている。参考文献99には、6つの異なるPorAサブタイプを発現するように改変された株からの小胞の構築が開示されている。LPS生合成に関わる酵素のノックアウトによって達成された低エンドトキシンレベルの変異体Neisseriaもまた使用され得る[100,101]。これらまたは他の変異体のすべてが、本発明とともに使用され得る。
【0108】
したがって、本発明とともに使用される株は、いくつかの実施形態において、1つより多いPorAサブタイプを発現し得る。6価および9価のPorA株が、以前に構築されている。その株は、PorAサブタイプ:P1.7,16;P1.5−1,2−2;P1.19,15−1;P1.5−2,10;P1.12−1,13;P1.7−2,4;P1.22,14;P1.7−1,1および/またはP1.18−1,3,6のうちの2、3、4、5、6、7、8または9つを発現し得る。他の実施形態において、ある株は、PorA発現についてダウンレギュレートされている可能性があり、例えば、ここで、PorAの量は、野生型のレベルと比べて(例えば、参考文献108に開示されているようなH44/76株と比べて)、少なくとも20%(例えば、≧30%、≧40%、≧50%、≧60%、≧70%、≧80%、≧90%、≧95%など)減少しているか、またはさらにノックアウトされている。
【0109】
いくつかの実施形態において、ある株は、ある特定のタンパク質を高発現し得る(対応する野生型の株と比べて)。例えば、ある株は、NspA、タンパク質287[102]、fHBP[98]、TbpAおよび/またはTbpB[103]、Cu,Zn−スーパーオキシドジスムターゼ[103]、HmbRなどを高発現し得る。
【0110】
いくつかの実施形態において、ある株は、参考文献104〜107に開示されているノックアウト変異および/または高発現変異のうちの1つ以上を含み得る。ダウンレギュレーションおよび/またはノックアウトのための好ましい遺伝子としては:(a)Cps、CtrA、CtrB、CtrC、CtrD、FrpB、GalE、HtrB/MsbB、LbpA、LbpB、LpxK、Opa、Opc、PilC、PorB、SiaA、SiaB、SiaC、SiaD、TbpAおよび/またはTbpB[104];(b)CtrA、CtrB、CtrC、CtrD、FrpB、GalE、HtrB/MsbB、LbpA、LbpB、LpxK、Opa、Opc、PhoP、PilC、PmrE、PmrF、SiaA、SiaB、SiaC、SiaD、TbpAおよび/またはTbpB[105];(c)ExbB、ExbD、rmpM、CtrA、CtrB、CtrD、GalE、LbpA、LpbB、Opa、Opc、PilC、PorB、SiaA、SiaB、SiaC、SiaD、TbpAおよび/またはTbpB[106];ならびに(d)CtrA、CtrB、CtrD、FrpB、OpA、OpC、PilC、PorB、SiaD、SynA、SynBおよび/またはSynC[107]が挙げられる。
【0111】
変異株が使用される場合、いくつかの実施形態において、その変異株は、以下の特徴のうちの1つ以上またはすべてを有し得る:(i)髄膜炎菌LOSを切断する(truncate)ダウンレギュレートまたはノックアウトされたLgtBおよび/またはGalE;(ii)アップレギュレートされたTbpA;(iii)アップレギュレートされたNhhA;(iv)アップレギュレートされたOmp85;(v)アップレギュレートされたLbpA;(vi)アップレギュレートされたNspA;(vii)ノックアウトされたPorA;(viii)ダウンレギュレートまたはノックアウトされたFrpB;(ix)ダウンレギュレートまたはノックアウトされたOpa;(x)ダウンレギュレートまたはノックアウトされたOpc;(xii)欠失させられたcps遺伝子複合体。切断されたLOSは、シアリル−ラクト−N−ネオテトラオースエピトープを含まないLOSであり得、例えば、それは、ガラクトース欠損LOSであり得る。そのLOSは、α鎖を有しないことがある。
【0112】
LOSが小胞内に存在する場合、そのLOSおよびタンパク質構成要素を連結するようにその小胞を処理することが可能である(「ブレブ内(intra−bleb)」結合体化[107])。
【0113】
本発明は、異なる株由来の小胞の混合物とともに使用され得る。例えば、参考文献108には、多価の髄膜炎菌小胞組成物を含むワクチンが開示されており、そのワクチンは、使用する国で流行している血清亜型を有する髄膜炎菌株に由来する第1の小胞、および使用する国において流行している(prevent)血清亜型を必ずしも有していない株に由来する第2の小胞を含む。参考文献109もまた、種々の小胞の有用な組み合わせを開示している。L2およびL3免疫型の各々における株由来の小胞の組み合わせが、いくつかの実施形態において使用され得る。
【0114】
(吸着)
アルミニウム塩アジュバントは吸着性であり、すなわち、免疫原は、種々の機序によってその塩に吸着され得る。しかしながら、いくつかの状況では、免疫原とアルミニウム塩アジュバントの両方が、その免疫原固有の特性によって、または処方中に行われる工程(例えば、吸着が生じるのを防ぐ処方中の適切なpHの使用)によって、吸着せずに組成物に存在し得る。
【0115】
免疫刺激性オリゴヌクレオチドとポリカチオン性ポリマーとの好ましい複合体もまた吸着性である。
【0116】
それゆえ、アルミニウム塩と複合体との混合物において、免疫原に対する複数の吸着機会が存在し得る:免疫原は、アルミニウム塩、オリゴヌクレオチド/ポリマー複合体、その両方(様々な比率で)に吸着し得るか、またはいずれにも吸着しない。本発明は、そのようなすべての準備を包含する。例えば、1つの実施形態において、免疫原は、アルミニウム塩に吸着され得、次いで、吸着された免疫原/塩は、オリゴヌクレオチド/ポリマー複合体と混合され得る。別の実施形態では、免疫原は、オリゴヌクレオチド/ポリマー複合体に吸着され得、次いで、吸着された免疫原/複合体は、アルミニウム塩と混合され得る。別の実施形態では、2つの免疫原(同じまたは異なる)が、別々にオリゴヌクレオチド/ポリマー複合体およびアルミニウム塩に吸着され得、次いで、その吸着された2つの構成要素が、混合され得る。
【0117】
いくつかの状況において、免疫原は、例えば、pHもしくは温度の変化によって、または構成要素の混合後に、その吸着状態を変化させ得る。インビトロ[110]およびインビボ[111]におけるアルミニウム塩からの抗原の脱着が知られている。1つの吸着性粒子からの脱着の後に異なる吸着性粒子への再吸着が生じることにより、例えば、アルミニウム塩アジュバントから複合体への免疫原の移動またはその逆が生じ得る。いくつかの実施形態において、単一の抗原分子または複合体が、アルミニウム塩と複合体の両方に吸着され得ることにより、それら2つの吸着性粒子間が架橋され得る。
【0118】
免疫原が、吸着性の構成要素に吸着する場合、その免疫原のすべてが吸着する必要はない。吸着相と可溶性の相との間の免疫原の固有の平衡状態を理由に、または吸着性の表面が飽和されていることで、この状況が生じ得る。ゆえに、組成物中の免疫原は、完全にまたは部分的に吸着され得、その吸着された画分は、1つ以上の異なる吸着性構成要素(例えば、アルミニウム塩および/またはオリゴヌクレオチド/ポリマー複合体)上に存在し得る。この状況において、吸着された画分は、その組成物中の免疫原の総量の少なくとも10(重量)%、例えば、>20%、>30%、>40%、>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>95%、>98%またはそれ以上であり得る。いくつかの実施形態において、免疫原は、完全に吸着され、すなわち、バルク液体媒質から複合体を分離する遠心分離後の上清中に検出可能なものはない。しかし、他の実施形態において、特定の免疫原が、吸着されない場合がある。
【0119】
いくつかの状況において、複合体の免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはポリカチオン性ポリマー構成要素が、アルミニウム塩に吸着し得る可能性がある。しかし、好ましくは、その複合体は、アルミニウム塩と混合された後もインタクトのままである。また、複合体がアルミニウム塩に吸着する(およびその逆)のを回避するために、そのアルミニウム塩および複合体が、類似のゼロ電荷点(等電点)(例えば、互いに1pH単位以内)を有することが有用である。したがって、有用な複合体は、10〜12のPZCを有し、これは、約11のPZCを有する水酸化アルミニウムアジュバントと組み合わせるために有用である。
【0120】
(組成物またはキット構成要素のパッケージング)
本発明のアジュバント組成物、免疫原性組成物およびキット構成要素に適した容器としては、バイアル、注射器(例えば、使い捨て注射器)などが挙げられる。これらの容器は、滅菌されているべきである。それらの容器は、一緒にパッケージングされることにより、例えば同じ箱に入れられた、キットを形成し得る。
【0121】
ある構成要素が、バイアルに入れられている場合、そのバイアルは、ガラス材料またはプラスチック材料で作製されたものであり得る。そのバイアルは、好ましくは、それに組成物が加えられる前に滅菌される。ラテックス感受性の被験体に関連する問題を回避するために、バイアルは、好ましくは、ラテックスフリーの栓で密閉され、すべてのパッケージング材料にラテックスが存在しないことが好ましい。バイアルは、単一用量のワクチンを含んでもよいし、1より多い用量(「マルチドーズ」バイアル)、例えば10用量を含んでもよい。有用なバイアルは、無色ガラスで作製されたものである。ホウケイ酸ガラスが、ソーダ石灰ガラスよりも好ましい。バイアルは、ブチルゴムで作製された栓を有し得る。
【0122】
バイアルは、注射器がキャップに挿入され得るように適合されたキャップ(例えば、Luerロック)を有し得る。バイアルのキャップは、シールまたはカバーの内側に位置し得、そのシールまたはカバーは、キャップに到達し得る前に除去されなければならない。バイアルは、特にマルチドーズバイアルの場合、その内容物を無菌的に取り出すことを可能にするキャップを有し得る。
【0123】
構成要素が注射器にパッケージングされる場合、その注射器は、それに取り付けられた針を有し得る。針が取り付けられていない場合、別個の針が、組み立ておよび使用のためにその注射器とともに供給され得る。そのような針は、さやに納められていることがある。注射器におけるプランジャーは、そのプランジャーが吸引中に誤って外れるのを防ぐために、ストッパーを有し得る。その注射器は、ラテックスゴムのキャップおよび/またはプランジャーを有し得る。使い捨て注射器は、単一用量のワクチンを含む。その注射器は、通常、針が取り付けられる前に先端を密閉する先端キャップを有し、その先端キャップは、ブチルゴムで作製されていることがある。その注射器および針が別個にパッケージングされている場合、その針は、好ましくは、ブチルゴム保護物に取り付けられている。有用な注射器は、商品名「Tip−Lok」TMとして販売されている注射器である。
【0124】
容器は、例えば、小児への送達を容易にするために、半用量の容積を示すマークが付けられていることがある。例えば、0.5ml用量を含む注射器が、0.25ml容積を示すマークを有することがある。
【0125】
材料を移す際にいかなる非効率さがあろうとも完全な最終用量容積が得られるように、被験体への投与に必要とされる材料よりも多い材料を含むことが、複数構成要素製品では通常である。したがって、個別の容器が、例えば、5〜20容積%過剰な充填(overfill)を含み得る。
【0126】
(処置方法および免疫原性組成物の投与)
本発明の組成物は、ヒト被験体への投与に適しており、本発明は、本発明の免疫原性組成物を被験体に投与する工程を包含する、被験体において免疫応答を惹起する方法を提供する。
【0127】
本発明はまた、本発明のキットの容器の内容物を混合する工程、およびその混合された内容物を被験体に投与する工程を包含する、被験体において免疫応答を惹起する方法を提供する。
【0128】
本発明はまた、例えば、被験体において免疫応答を惹起する際に使用するための、医薬として使用するための本発明の組成物またはキットも提供する。
【0129】
本発明はまた、被験体において免疫応答を惹起するための医薬を製造する際のアルミニウム塩、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびポリカチオン性ポリマーの使用も提供する。この医薬は、免疫原と組み合わせて投与され得る。
【0130】
本発明はまた、被験体において免疫応答を惹起するための医薬を製造する際のアルミニウム塩、免疫刺激性オリゴヌクレオチド、ポリカチオン性ポリマーおよび免疫原の使用も提供する。
【0131】
これらの方法および使用は、通常、抗体応答、好ましくは、防御性の抗体応答をもたらすために用いられる。
【0132】
本発明の組成物は、様々な方法で投与され得る。通常の免疫化経路は、筋肉内注射(例えば、腕または脚への注射)によるものであるが、他の利用可能な経路としては、皮下注射、鼻腔内、経口、頬側、舌下、皮内、経皮(transcutaneous)、経皮(transdermal)などが挙げられる。
【0133】
本発明に従って調製される免疫原性組成物は、小児と成人の両方を処置するワクチンとして使用され得る。被験体は、1歳未満、1〜5歳、5〜15歳、15〜55歳または少なくとも55歳であり得る。これらのワクチンを受ける被験体は、高齢者(例えば、≧50歳、≧60歳および好ましくは、≧65歳)、幼若者(例えば、≦5歳)、入院している被験体、医療従事者、軍人および兵士、妊娠中の女性、慢性疾患患者、免疫不全被験体、外国渡航者などであり得る。アルミニウム塩アジュバントは、乳児の集団において日常的に使用されており、IC31TMもまた、この年齢群において有効である[22,112]。しかしながら、上記ワクチンは、これらの群に対してのみ適しているのではなく、より一般的に集団において使用され得る。
【0134】
処置は、単回投与スケジュールまたは複数投与スケジュールによるものであり得る。複数投与は、初回の免疫化スケジュールおよび/または追加の免疫化スケジュールにおいて用いられ得る。複数投与スケジュールでは、同じ経路または異なる経路によって、例えば、初回は非経口、追加は経粘膜、初回は経粘膜、追加は非経口などによって、様々な投与が行われ得る。1回より多い(代表的には、2回の)投与が、免疫学的にナイーブな被験体において特に有用である。複数投与は、代表的には、少なくとも1週間(例えば、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約8週間、約12週間、約16週間など)あけて投与される。
【0135】
(一般)
用語「〜を含む(comprising)」は、「〜を含む(including)」ならびに「〜からなる(consisting)」を包含し、例えば、X「を含む(comprising)」組成物は、もっぱらXからなり得るか、または追加のもの、例えば、X+Yを含み得る。
【0136】
単語「実質的に」は、「完全に」を除外せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まない可能性がある。必要ならば、単語「実質的に」は、本発明の定義から省略されてもよい。
【0137】
数値xに関する用語「約」は、随意であり、例えば、x±10%を意味する。
【0138】
具体的に述べられていない限り、2つ以上の構成要素を混合する工程を包含するプロセスは、任意の特定の混合順序を要求しない。したがって、構成要素は、任意の順序で混合され得る。3つの構成要素が存在する場合、2つの構成要素が互いに組み合わされ得、次いで、その組み合わされたものが、第3の構成要素と組み合わされ得るなど。
【0139】
動物(特に、ウシ)の材料が、細胞の培養において使用される場合、それらは、感染性海綿状脳症(TSE)を含まない、特に、ウシ海綿状脳症(BSE)を含まない供給源から得るべきである。総じて、動物由来の材料が全く存在しない状況で細胞を培養することが好ましい。
【0140】
化合物が組成物の一部として身体に投与される場合、その化合物は、代わりに、適当なプロドラッグによって置き換えられてもよい。
【0141】
再集合(reassortment)もしくは逆遺伝学の手順またはウイルス増殖のために細胞培養基が使用される場合、それは、好ましくは、例えば、Ph Eurの総則5.2.3章におけるように、ヒトワクチンの作製において使用が認められたものである。
【0142】
いくつかの実施形態において、本発明は、アミノ酸配列の配列番号16[113]を含む免疫原を含む組成物を含まないかまたは使用しない。アミノ酸配列の配列番号16を含む免疫原が組成物中に存在する実施形態において、アルミニウム塩は、代表的には、水酸化アルミニウムであり得、そして/またはその組成物は、少なくとも1つのさらなるおよび異なる髄膜炎菌免疫原を含み得る。
【発明を実施するための形態】
【0143】
(本発明を実施するための様式)
(アジュバント)
水酸化アルミニウムアジュバント懸濁物を、標準的な方法によって調製する。IC31複合体を、参考文献19に開示されているように調製した。水酸化アルミニウムアジュバントをIC31複合体と混合することによって、アジュバント組み合わせを作製した。その個別のアジュバント(Al−H、IC31)およびそれらの混合物(Al−H+IC31)は、様々な病原体由来の抗原と組み合わされて、様々な動物モデルにおいて試験されている。Al−H、IC31および抗原の様々な混合順序が用いられている。
【0144】
今までに試験された抗原は、N.meningitidisの血清群A/B/C/W135/Y、腸外病原性大腸菌、Streptococcus pyogenes、Candida albicans、RSウイルスおよびS.aureusを含む病原体に由来する。これらの研究では、主にポリペプチド抗原が使用されていたが、サッカライド抗原(髄膜炎菌血清群A、C、W135およびYならびにC.albicans)も使用された。
【0145】
(髄膜炎菌(i))
参考文献31に開示されている「5CVMB」ワクチンを構成する3つのポリペプチドを、アジュバントとしての水酸化アルミニウムおよび/またはIC31とともに用いた。コードされるポリペプチドは、アミノ酸配列の配列番号13、配列番号14および配列番号15を有する(参考文献31および76を参照のこと)。
【0146】
第1の実験セットでは、9群のマウスに10μgの抗原、3mg/mlの水酸化アルミニウムおよび様々な用量のIC31を投与した。群に、以下の9つの組成物を投与し、群7〜9には、1〜6と同じであるが異なって処方された抗原を投与した。
【0147】
【表1】

標準的なIC31懸濁物を使用した。この懸濁物の100μlが完全な強度(strength)を与えた。より少ない容積は、より低い強度を与えた。より低い強度の組成物に対しては容積を保つために、緩衝液を100μlまで加えた。
【0148】
それらのマウスからの血清を、髄膜炎菌株のパネルに対して殺菌性の活性について試験した。
【0149】
6つの異なる株A〜Fに対する実験MP03からの殺菌性の力価は、以下のとおりだった。
【0150】
【表2】

このように、唯一のアジュバントとしてAl−Hを用いて得られた力価(群5)は、様々な比でIC31を加えることによってパネル全体にわたって概して改善された(群1〜4)。異なる抗原の処方において同じ効果が見られた(群7および8を比較のこと)。
【0151】
より広範囲のパネルに対するさらなる研究から、IC31を加えることにより、Al−H単独で使用したときと比べて、力価が改善されることが確かめられた。例えば、16個の株のパネル(上記のA〜Fを含む)に対する群1、3および5由来の血清を用いたときの殺菌性の力価は、以下のとおりであり、群5内の株の50%が、≧1:1024の力価を有したが、群1および3では56.25%だった。
【0152】
【表3】

上記9つの組成物をpHおよび重量オスモル濃度について試験した。組成物1〜5、7および8については、pHは、6.2〜6.6の範囲内であり;組成物6および9は、6.9〜7.3の範囲のわずかに高いpHを有した。すべての組成物の重量オスモル濃度は、280〜330mOsm/kgの範囲内だった。
【0153】
上記組成物の上清および抗原を脱着するように処理された組成物のSDS−PAGE分析から、抗原が、Al−H単独と同様にAl−H+IC31の混合物に吸着したこと:Al−Hを含むすべての組成物について、94〜100%の各抗原が吸着されたことが示された。
【0154】
(髄膜炎菌(ii))
II−III−Iの順でfHBPの3つのバリアントを含む3重融合ポリペプチド(参考文献17に開示されているような;本明細書中の配列番号17)を、アジュバントとしての水酸化アルミニウムおよび/またはIC31とともに用いた。
【0155】
第1の実験セットでは、6群のマウスに20μgの抗原(精製タグありまたはなし)、3mg/mlの水酸化アルミニウムおよび100μlのIC31を投与した。群に以下を投与した。
【0156】
【表4】

それらのマウスからの血清を、髄膜炎菌株のパネルに対して殺菌性の活性について試験した。
【0157】
実験MP05からの殺菌性の力価を、株のパネル(合計25個)に対して再度試験した。群5(Al−H、タグなし)における株の64%が、≧1:128の力価を有し、36%が、≧1:1024の力価を有したが、IC31を加えることによって(群3)、これらの数字がそれぞれ76%および56%まで上昇した。同様に、群6(Al−H、タグ)における株の76%が、≧1:128の力価を有し、64%が、≧1:1024の力価を有したが、IC31を加えることによって(群4)、これらの数字がそれぞれ80%および68%まで上昇した。23/25株について、群3において力価は、群5と同じであるかまたは群5よりも良く;22/25株について、群4において力価は、群6と同じであるかまたは群6よりも良かった。NM008株およびM4287株に対して特に良好な改善が見られ、ここで、≦1:32という非常に低い力価が、1:256〜1:4096に改善された。
【0158】
タグを含まない組成物(1、3および5)をpHおよび重量オスモル濃度について試験した。そのpHは、6.87〜7.00の範囲内だった。重量オスモル濃度は、302〜308mOsm/kgの範囲内だった。
【0159】
上記タグを含まない組成物(1、3および5)の上清および抗原を脱着するように処理された組成物のSDS−PAGE分析から、抗原が、Al−H単独と同様にAl−H+IC31の混合物に吸着することが示された。
【0160】
さらなる免疫原性実験は、同じ群分けおよび株パネルを用いて、実験MP04においてNadAおよび287−953抗原(配列番号13および15)とともにfHBPII−III−I抗原を使用した。群4における力価は、24/25株について群6と同じであるかまたは群6よりも良く;24/25株についても力価は、群3において群5と同じであるかまたは群5よりも良かった。血清が少なくとも1:128の殺菌性の力価を有する株の比率は、群1〜4、群6の各々において100%だったが、群5では84%でしかなかった。しかしながら、≧1:1024というより厳しい閾値の場合、群1〜4由来の血清が、株の88%に対して殺菌性であった一方で、その比率は、群6では80%および群5では56%でしかなかった。したがって、唯一のアジュバントとしてAl−Hを用いて得られた抗髄膜炎菌免疫応答は、IC31を加えることによって上記パネル全体に対して概して改善された。
【0161】
(髄膜炎菌(iii))
参考文献113には、以下のものをはじめとしたfHBPの様々な改変型が開示されている:
PATCH_2S(本明細書中の配列番号19)
PATCH_5bis(本明細書中の配列番号20)
PATCH_5penta(本明細書中の配列番号21)
PATCH_9C(本明細書中の配列番号16)
PATCH_10A(本明細書中の配列番号22)。
【0162】
これらの改変された5つのfHBPタンパク質、ならびにPATCH_9Fおよび2996株由来の野生型の配列を、マウスを免疫するために水酸化アルミニウム(Al−H)、Al−H+IC31、またはIC31単独とともに使用した。10個の異なる髄膜炎菌株のパネルに対して血清を試験した。10個すべての株に対する力価が、PATCH_5BおよびPATCH_9C配列について、Al−H+IC31群において、Al−H群とIC31群の両方と同程度に良好であるかまたはそれらの群よりも高かった。
【0163】
より通常では、本発明は、参考文献113からの配列番号1〜80のうちのいずれか1つを含むタンパク質とともに使用され得る。
【0164】
PATCH_9Cおよび/またはPATCH_10Aおよび/または野生型MC58 fHBP配列(配列番号3を含む)および/または936抗原(配列番号23を含む)を含む融合タンパク質を用いて試験したときもまた、Al−H+IC31の組み合わせが、Al−H単独よりも良好な結果をもたらした(例えば、2コピーのPATCH_10A(配列番号18)に融合された936を含む融合タンパク質を用いたときに、Al−Hを用いたときの1/10株だけに対する効力が、9/10株に対する効力に変換された)。
【0165】
936−10A−10A配列または936−9C−10A配列(配列番号25)を用いたときの、10個の株のパネルに対する殺菌性の力価は、以下だった。
【0166】
【表5】

したがって、IC31を加えることにより、1つだけを例外として、力価が改善された。
【0167】
936−10A−10Aおよび936−9C−10Aポリペプチドは、Al−H+IC31の処方において完全に吸着されることが確かめられた。
【0168】
さらなる研究において、936−10A−10Aポリペプチドを、9mg/mlのNaClおよび10mMヒスチジン,pH6.5を含む組成物においてAl−Hとともに処方した。注射用水およびヒスチジン緩衝液を混合し、次いで、NaClを加えることにより、308mOsm/kgという最終的な重量オスモル濃度が得られた。Al−Hを加えることにより、3mg/mlという最終的なAl+++濃度が得られた。100μg/mlという最終濃度を得るために上記ポリペプチドを加え、室温で撹拌しながら15分間放置し、次いで、4℃で一晩保存した。投与の直前に、IC31(ペプチド:DNAの25:1モル比、1μmolのペプチドを含む)を水性懸濁物として加え、等容積を混合した。最終的な混合物は、等張性であり、生理学的pHだった。ポリペプチドの吸着は、>90%だった(Al−H単独において見られたレベルと類似)。
【0169】
1群あたり8匹の動物(6週齢のCD1雌性マウス)に、0日目に20μgのアジュバントが加えられたポリペプチドを腹腔内投与し、21および35日目に追加投与を行った。分析用の血液サンプルを49日目に採取し、ウサギまたはヒトの補体の存在下において、11個の髄膜炎菌株のパネルに対する殺菌アッセイによって分析した。力価は、以下のとおりだった。
【0170】
【表6】

936−10A−10AポリペプチドがC末端にヘキサヒスチジンタグを有しても有さなくても(配列番号18対24)、同様の結果が見られた。
【0171】
その936−10A−10Aポリペプチドを5CVMB由来の「936−741」ポリペプチドの代わりに用いることにより、配列番号13、15および18/24のアミノ酸配列を有する3つのポリペプチドの混合物が得られた。殺菌性の力価は類似であり、ヒスチジンタグを有しないポリペプチドを用いたときにわずかに優れていた。
【0172】
936−10A−10Aポリペプチドを単独でまたは5CVMB混合物からの他のポリペプチドと組み合わせて使用するとき、Al−H+IC31混合物は、Al−H単独、IC31単独またはMF59と比べて、最も良好な殺菌性株の適用範囲をもたらした。
【0173】
(髄膜炎菌(iv))
参考文献31に開示されている「5CVMB」ワクチンを構成する3つのポリペプチドを、血清群A、C、W135およびYに対する髄膜炎菌結合体の四価の混合物と組み合わせた。その混合物を、アジュバントとしてのAl−Hおよび/またはIC31(高濃度または低濃度)とともに用いた。血清群A、C、W135およびYの各々由来の1つの株を用いたとき、パネルに対する殺菌性の力価は、以下のとおりだった。
【0174】
【表7】

このように、水酸化アルミニウムをIC31と組み合わせて使用したとき、血清群C、W135およびYに対する最も良好な力価が見られた。
【0175】
(大腸菌)
大腸菌のAcfDタンパク質(元々は、参考文献45において配列番号3526として開示された;参考文献44もまた参照のこと)は、有用な免疫原である。この抗原は、様々なアジュバントと組み合わせて、単独でまたは組み合わせてマウスを免疫するために使用された。次いで、免疫化されたマウスを致死量の大腸菌でチャレンジし、生存を評価する。コントロール群における生存は、0〜25%の範囲であったのに対し、アジュバント添加AcfDで免疫した/チャレンジした後の生存は、以下のとおりだった。
【0176】
【表8】

このように、最も良好な結果は、Al−HとIC31との組み合わせにおいて見られた。
【0177】
防御は、感染動物の血液中の細菌量の減少と相関した。
【0178】
本発明が例としてのみ記載されていること、および本発明の範囲内および精神内に留まりつつ改変が行われ得ることが、理解されるだろう。
【0179】
【数1】

【0180】
【数2】

【0181】
【数3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)アルミニウム塩、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびポリカチオン性ポリマーを含む免疫学的アジュバントであって、ここで、該オリゴヌクレオチドおよび該ポリマーは、互いに会合することにより複合体を形成する、免疫学的アジュバント;ならびに
(ii)細菌性疾患または真菌性疾患を防御する免疫応答を誘発する免疫原
を含む、免疫原性組成物。
【請求項2】
アルミニウム塩、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびポリカチオン性ポリマーを含む免疫学的アジュバントであって、ここで、該オリゴヌクレオチドおよび該ポリマーは、互いに会合することにより複合体を形成する、免疫学的アジュバント。
【請求項3】
前記アルミニウム塩が、水酸化アルミニウムである、請求項2に記載のアジュバント。
【請求項4】
前記アルミニウム塩が、リン酸アルミニウムである、請求項2に記載のアジュバント。
【請求項5】
前記オリゴヌクレオチドが、一本鎖であり、10ヌクレオチドから100ヌクレオチドを有する、請求項2から4のいずれか1項に記載のアジュバント。
【請求項6】
前記オリゴヌクレオチドが、5’−(IC)13−3’である、請求項5に記載のアジュバント。
【請求項7】
前記ポリカチオン性ポリマーが、ペプチドである、請求項2から6のいずれか1項に記載のアジュバント。
【請求項8】
前記ペプチドが、1つ以上のLeu−Leuジペプチド配列、1つ以上のLys−Lysジペプチド配列、および/または1つ以上のArg−Argジペプチド配列を含む、請求項7に記載のアジュバント。
【請求項9】
前記ペプチドが、1つ以上のLys−Leuジペプチド配列、および/または1つ以上のLys−Leu−Lysトリペプチド配列を含む、請求項7または請求項8に記載のアジュバント。
【請求項10】
前記ペプチドが、5アミノ酸から50アミノ酸を有する、請求項7〜9のいずれかに記載のアジュバント。
【請求項11】
前記ペプチドが、アミノ酸配列KLKLLLLLKLKを有する、請求項10に記載のアジュバント。
【請求項12】
前記オリゴヌクレオチドおよび前記ポリマーが、モル比1:25で存在する、請求項2から11のいずれか1項に記載のアジュバント。
【請求項13】
前記アルミニウム塩および前記複合体の両方が、1μm〜20μmの平均粒子直径を有する微粒子である、請求項2から12のいずれか1項に記載のアジュバント。
【請求項14】
前記アジュバントが、滅菌されている、請求項2から13のいずれか1項に記載のアジュバント。
【請求項15】
請求項14に記載のアジュバントを調製するためのプロセスであって、該プロセスは:免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびポリカチオン性ポリマーを濾過滅菌する工程;該濾過滅菌された免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびポリカチオン性ポリマーを滅菌条件下において混合することにより、滅菌複合体を形成する工程;および該滅菌複合体を滅菌アルミニウム塩と混合する工程を包含する、プロセス。
【請求項16】
(i)請求項2から14のいずれか1項に記載のアジュバントおよび(ii)免疫原を含む、免疫原性組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の免疫原性組成物を調製するためのプロセスであって、(i)請求項2〜14のいずれかに記載のアジュバントおよび(ii)免疫原を混合する工程を包含する、プロセス。
【請求項18】
前記免疫原が、(a)前記アルミニウム塩に吸着されているか、および/または(b)前記複合体に吸着されている、請求項1もしくは請求項16に記載の組成物または請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
(i)請求項2〜14のいずれかに記載のアジュバントを含む第1の容器、ならびに(ii)免疫原および/またはさらなるアジュバントを含む第2の容器を備える、キット。
【請求項20】
(i)アルミニウム塩を含む第1の容器;および(ii)免疫刺激性オリゴヌクレオチドとポリカチオン性ポリマーとの複合体を含む第2の容器を備える、キット。
【請求項21】
前記第1の容器および前記第2の容器の一方または両方が、免疫原を含む、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
前記免疫原が、B血清群髄膜炎菌由来である、請求項16もしくは18に記載の組成物、または請求項17に記載のプロセス、または請求項19もしくは請求項21に記載のキット。
【請求項23】
(i)ヒスチジン緩衝液などの緩衝液、および/または(ii)5〜15mg/mlの塩化ナトリウムと組み合わせて、請求項2〜14のいずれかに記載のアジュバントを含む、水性組成物。

【公表番号】特表2013−503148(P2013−503148A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526141(P2012−526141)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002259
【国際公開番号】WO2011/024071
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】