説明

アルミニウムおよびSiOz(z=0.7〜2.0)をベースとするフレーク状顔料を製造する方法

本発明は、面平行な小板を製造する方法に関し、方法は、a)キャリヤーに分離剤を蒸着させて分離剤5層を生成する工程と、b)少なくとも1つの生成物層を分離剤層に蒸着させる工程と、c)分離剤層を溶剤中に溶解させ、面平行な小板の形態で少なくとも1つの生成物層が存在する懸濁液を生成する工程を含み、分離剤が、アントラセン、アントラキノン、アセトアミドフェノール、アセチルサリチル酸、ショウノウ酸無水物、ベンズイミダゾール、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、ビフェニール−2,2−ジカルボン酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ジヒドロキシアントラキノン、ヒダントイン、3−ヒドロキシ安息香酸、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸一水和物、4−ヒドロキシクマリン、7−ヒドロキシクマリン、3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、イソフタル酸、4,4−メチレン−ビス−3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、ナフタレン−1,8−ジカルボン酸無水物、フタルイミドおよびそのカリウム塩、フェノールフタレイン、フェノチアジン、サッカリンおよびその塩、テトラフェニルメタン、トリフェニレン、トリフェニルメタノール、ならびにこれらの物質の少なくとも2種からなる混合物、特にペンタエリスリトール(C(CHOH))、トリメシン酸(=1,3,5ベンゼントリカルボン酸)、DL−アラニン、DL−バリン、2,6−20ジアミノプリン、アスコルビン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、o−アセチルサリチル酸、ジフェン酸、テレフタル酸、ピロガロール、シアヌル酸、ヘキサメチルテトラミン(ウロトロピン)、フマル酸、および4−アセチル安息香酸、ならびにこれらの物質の少なくとも2種からなる混合物からなる群より選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面平行な小板の製造方法に関し、
その方法は、
a) キャリヤーに分離剤を蒸着させて分離剤層を生成する工程と、
b) 少なくとも1つの生成物層を分離剤層に蒸着させる工程と、
c) 分離剤層を溶剤中に溶解させ、面平行な小板の形態で少なくとも1つの生成物層が存在する懸濁液を生成する工程とを含み、その特徴とするところは、特定の分離剤を使用することである。この方法によって得られるアルミニウムフレークは、ペイント、静電塗装、インクジェット印刷、化粧品、コーティング、印刷用インク、プラスチック材料、セラミックおよびガラスの艶出し、セキュリティ印刷、および干渉顔料の製造で使用することができる。
【0002】
PVD(物理蒸着)によりSiOまたはSiO保護層を上に蒸着したアルミニウムフレークは、公知である。
【0003】
国際公開公報第00/69975号には、
(a)誘電体材料、例えば、一酸化ケイ素または二酸化ケイ素の層、
(b)金属、例えば、アルミニウムの層、
(c)誘電体材料、例えば、一酸化ケイ素または二酸化ケイ素の層を含むアルミニウムフレークが開示されている。誘電体の層の厚さは、金属の光学特性が有意な影響を受けないような厚さ、すなわち10〜20nmの範囲にある。
【0004】
US−A−6,013,370には、
(a)誘電体材料、例えば、一酸化ケイ素または二酸化ケイ素の層、
(b)金属、例えば、アルミニウムの層、
(c)誘電体材料、例えば、一酸化ケイ素または二酸化ケイ素の層を含むアルミニウムフレークが開示されている。誘電体の層の厚さは、金属の光学特性が有意な影響を受けないような厚さ、すなわち50〜200nmの範囲にある。
【0005】
国際公開公報00/24946号の実施例2において、SiO被覆アルミニウムフレークの製造が記載されている。詳細な説明によれば、SiO保護層の厚さは15nm以下である。
【0006】
別の、不連続的な多段階方法は、偽造に対する紙幣の安全性を高めるために使用されるものなどのための、光学的に変化する顔料小板の製造に使用される(EP227423)。米国特許第5278590号が類似の方法を記載している。米国特許第4168985号(Venis)、第3123489号(Bolomeyら)および第5156720号(Rosenfeld)では、使用される分離剤が無機塩であり、これらの塩が後続の工程で溶剤として水を使用して溶解される結果、生成物層が水性懸濁液中にフレークの形態で存在する。
【0007】
国際公開公報99/65618号(Kittler)によれば、ワックス状の物質を蒸発させたのち、同じ真空下で、生成物層を蒸着またはスパッタリングする。通常は回転する円筒であるキャリヤーを数多く回転させたのち、n枚の層(ワックス/金属)の配列を掻き落とす。さらなる工程で、真空装置の外側で、集めたペーストからワックスを溶剤によって洗い流す。いずれの場合も、後で再処理または廃棄する必要がある大量の溶剤が生成物の洗浄に必要である。
【0008】
PVD法によるそのような層のための有機物質の蒸発性の例は、US6101316(Nagashimaら)、DE−OS2706392(Ikedaら)、DE−OS2009080(Daviesら)およびUS3547683(Williams, Hayes)に記載されている。
【0009】
これらの刊行物によれば、付加ポリマーおよび縮合ポリマー、シリコーン樹脂、フタロシアニン染料ならびに天然物質、例えばコロホニーを蒸発させている。PVD法を使用して有機ポリマー層を製造するさらなる方法がUS5440446(Shaw)に記載されているが、そこでは液体モノマーを蒸発させ、冷却したローラー上を通過するフィルムキャリヤー上で濡れ形態で凝縮させ、同じローラー上で、電子線照射により直ちに重合させることにより、固体フィルムを形成する。続いて、金属層、通常はアルミニウムを蒸着させる。
【0010】
US4382985は、フルオロアルキルアクリレートモノマーのプラズマ重合により基材にポリマーフィルムを付着させる方法を開示している。US5904958からは、真空法により有機モノマーを基材に付着させたのち、重合を実施する方法が公知である。JP11−140626A(Patent Abstracts of Japan)からは、トリアジンモノマーの薄膜を、例えば真空法により、基材に塗布したのち、重合を実施する方法が公知である。
【0011】
これらすべての方法の目的は、堅く付着した保護層を製造することである。溶剤中での急速な溶解は好ましくなく、損傷をもたらすことさえある。
【0012】
ドイツ特許第19933230A1号およびドイツ特許第19935181A1号(Moosheimerら)は、好ましくは水溶性である有機モノマー、特にトリアジンモノマーを含む剥離層または保護層を開示している。このような層は、温水を使用して溶解させ、除去することができるが、本発明で使用する金属との反応性(H発生)のため、その残留酸素含有量(漸増的酸化)のため、および生成物から除去するのが困難であるため、本発明の方法には適していない。
【0013】
国際公開公報第02/094945号は、
面平行な小板を製造する方法であって、
a) 大気圧を下回る圧力においてキャリヤーに分離剤を蒸着させて分離剤層を生成する工程と、
b) 大気圧を下回る圧力において少なくとも1つの生成物層を分離剤層に蒸着させる工程と、
c) 分離剤層を溶剤中に溶解させ、少なくとも1つの生成物層が面平行な小板の形態で存在する懸濁液を生成する工程を含み、
分離剤は、アントラセン、アントラキノン、アセトアミドフェノール、アセチルサリチル酸、ショウノウ酸無水物、ベンズイミダゾール、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、ビフェニール−2,2−ジカルボン酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ジヒドロキシアントラキノン、ヒダントイン、3−ヒドロキシ安息香酸、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸一水和物、4−ヒドロキシクマリン、7−ヒドロキシクマリン、3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、イソフタル酸、4,4−メチレン−ビス−3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、ナフタレン−1,8−ジカルボン酸無水物、フタルイミドおよびそのカリウム塩、フェノールフタレイン、フェノチアジン、サッカリンおよびその塩、テトラフェニルメタン、トリフェニレン、トリフェニルメタノール、ならびにこれらの物質の少なくとも2種からなる混合物からなる群より選択される。
【0014】
したがって、本発明の課題は、例えば生成物の表面特性が改良されるなど、上記の先行技術に比較して実質的に改良された、PVD法を用いて面平行な小板を製造するための方法を提供することである。
【0015】
適切な分離剤は、好ましくは連続PVD法で使用でき、特に、工業的に熱分解をほとんど起こすことなく1kg/hを超える量で蒸発させることができるべきである。発生する非凝縮性の分解されたガスの量は、このような方法に通常使用される高真空ポンプの容量よりも実質的に少なくあるべきである。最適な分離剤は、融点を下回る少なくとも5ミリバール、好ましくは10ミリバールの蒸気圧を有するようにすべきである。
【0016】
分離剤は、連続的に通過するキャリヤー上で、0℃〜約50℃、好ましくは室温で滑らかな層の状態で凝縮し得るべきである。分離剤は、本発明により分離剤層に蒸着された生成物層と、可能な限り反応しないようにすべきである。
【0017】
キャリヤーと生成物層(生成物層から面平行な小板が得られる)との間にある分離剤層は、できるだけ急速に溶解し得るべきである。また、分離剤層の溶解に必要な溶剤は、細かいフレークに分解することになる生成物層と化学的に反応してはならない。使用できる時間は、溶解区域における最大滞留時間により決定される。50〜250m/分の工業的なキャリヤー速度の場合、この時間は、通常5〜20秒、特に5〜10秒である。
【0018】
したがって、本発明は、
a) キャリヤーに分離剤を蒸着させて分離剤層を生成する工程と、
b) 少なくとも1つの生成物層を分離剤層に蒸着させる工程と、
c) 分離剤層を溶剤中に溶解させ、少なくとも1つの生成物層が面平行な小板の形態で存在する懸濁液を生成する工程とを含む、面平行な小板を製造する方法に関するものである。この方法において、分離剤は、アントラセン、アントラキノン、アセトアミドフェノール、アセチルサリチル酸、ショウノウ酸無水物、ベンズイミダゾール、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、ビフェニール−2,2−ジカルボン酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ジヒドロキシアントラキノン、ヒダントイン、3−ヒドロキシ安息香酸、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸一水和物、4−ヒドロキシクマリン、7−ヒドロキシクマリン、3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、イソフタル酸、4,4−メチレン−ビス−3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、ナフタレン−1,8−ジカルボン酸無水物、フタルイミドおよびそのカリウム塩、フェノールフタレイン、フェノチアジン、サッカリンおよびその塩、テトラフェニルメタン、トリフェニレン、トリフェニルメタノール、ならびにこれらの物質の少なくとも2種からなる混合物、特にペンタエリスリトール(C(CHOH))、トリメシン酸(=1,3,5ベンゼントリカルボン酸)、DL−アラニン、DL−バリン、2,6−ジアミノプリン、アスコルビン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、o−アセチルサリチル酸、ジフェン酸、テレフタル酸、ピロガロール、シアヌル酸、ヘキサメチルテトラミン(ウロトロピン)、フマル酸、および4−アセチル安息香酸、ならびにこれらの物質の少なくとも2種からなる混合物からなる群より選択される。本発明によれば、「分離剤層を溶剤中に溶解させる」という文言は、分離剤層が溶剤中に溶解できるかまたは溶かし得ることを意味する。
【0019】
有機分離剤は真空下で昇華可能なようにするとよく、50℃〜600℃の間、特に約150℃よりも高い、とりわけ200℃よりも高い、最も好ましくは250℃〜500℃の間の融点を有していることが望ましい。真空下での(1*10−3ミリバール以下の圧力での)分離剤の昇華によって得られる層は、有機溶剤、好ましくはアセトンのようなケトン、またはメタノールやエタノールのようなアルコール中に溶解できることが望ましく、最も好ましくは水溶性であることが望ましい。
【0020】
好ましい分離剤の例は、シアヌル酸、特にペンタエリスリトール、トリメシン酸(=1,3,5ベンゼントリカルボン酸)、DL−アラニン、DL−バリン、2,6−ジアミノプリン、アスコルビン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、o−アセチルサリチル酸、ジフェン酸、テレフタル酸、ピロガロール、ヘキサメチルテトラミン(ウロトロピン)、フマル酸、および4−アセチル安息香酸、ならびにこれらの物質の少なくとも2種からなる混合物である。1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、テレフタル酸、ヘキサメチルテトラミン(ウロトロピン)、および4−アセチル安息香酸が特に好ましく、ペンタエリスリトールが最も好ましい。
【0021】
好ましい分離剤は水溶性であり、場合により、pHを上げることで、例えば塩基を添加することでその溶解度を高めることができる。上記の分離剤は、下記の条件に合致する。
【0022】
すなわち、分離剤は、蒸気圧が25℃で10−3Pa未満である固体で非重合性の有機化合物である(0.1Pa未満の真空中室温で自己蒸発せずに材料を使用可能とするための基本的な必要条件)。
【0023】
分離剤層は、場合により塩基の存在下で水中に可溶性であり、または例えばイソプロパノール、酢酸エチル、ブタノール、エタノール、ペトロリウムスピリット、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタンなどの工業用溶剤中に可溶性である。
【0024】
分離剤は、それらの融点未満で、蒸気圧が10〜1000Paである。その結果、本発明の分離剤を使用することにより、物質の三重点未満で昇華的蒸発が起こり、技術的に不都合なスパッター形成が避けられる。
【0025】
その上分離剤は、熱安定性が高い。
【0026】
さらに、これらの物質はアモルファス状態で凝縮する。これは、分離剤層に蒸着される高反射性の金属層を得るのに重要である。生成物層は、真空下で昇華可能である任意の金属からなることができ、本発明の方法により処理することができる。生成物層は、複数材料の混合物からなることができる(国際公開公報第04/065492を参照)。物理蒸着法(PVD)によって蒸着される生成物は、複数の層、例えば2つ、3つ、または5つの層からなることができる(国際公開公報04/052999)。本発明の好ましい態様においては、方法の生成物は、場合によりさらなる層を含む面平行な金属小板、または場合によりさらなる層を含む、「高い」または「低い」屈折率を有する誘電体の面平行な小板である。
【0027】
金属の好ましい例は、Al、Cu、Mo、V、Ag、Cr、Zr、Nb、Ni、Fe、Co、Ti、Au、Pd、W、Hf、Rh、Ir、Pt、Cd、またはクロムニッケル、鉄−ニッケル、鉄−クロム、ニッケルコバルトといった、これらの金属の合金である。ここで、Alまたはその合金が最も好ましい。複数の層を含む生成物の例は下記のとおりである。「高い」または「低い」屈折率を有し、真空下で昇華可能である誘電体の例は下記のとおりである。MgFフレークが好ましい。SiOフレークが最も好ましい。
【0028】
Alフレーク、SiO被覆アルミニウムフレーク、およびSiOフレークに基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
【0029】
好ましい態様においては、本発明の方法を用いてアルミニウムフレークを製造する。
【0030】
アルミニウムフレークは好ましくは、
a) 分離剤をキャリヤーに蒸着させて分離剤層を生成する工程と、
b) Al層を分離剤層に蒸着させる工程と、
c) 分離剤層を溶剤中に溶解させる工程と、
d) 溶剤からアルミニウムフレークを分離する工程とを含む方法を用いて得られる。
【0031】
分離剤は好ましくは、有機溶剤に容易に溶解可能で、かつアルミニウムと反応しない分離剤である。
【0032】
上記の方法は、高い面平行度を備え、かつ平均厚さの±10%、好ましくは±5%の範囲の規定厚さを有するアルミニウムフレークを可能にする。
【0033】
アルミニウムフレークは、少なくとも2μm、特に2〜20μm、とりわけ3〜15μm、最も好ましくは5〜15μmの平均直径を有している。アルミニウムフレークの厚さは、概ね10〜150nm、特に10〜100nm、とりわけ30〜60nmである。
【0034】
さらなる層をアルミニウム基材に施すことで、そのアルミニウムフレークをさらに処理して、光学的変化特性を備える顔料を得ることができる。
【0035】
アルミニウムフレークの表面全体をFeで被覆することができる。ここで、Feは好ましくは、10〜50nmの厚さを有する。または、アルミニウムフレークをSiO(厚さ=250〜700nm)およびFe(厚さ=10〜40nm)の層で連続的に被覆することができる。
【0036】
好ましい態様においては、本発明は、
アルミニウム(アルミニウム)フレークの面平行な小板を製造する方法に関し、
面平行な小板は、
(A1)SiOからなる層と、
(B)層(A1)上のアルミニウムからなる層と、
(A2)層(B)上のSiOからなる層を含み、ここで0.70≦z≦2.0であり、
a) キャリヤーに分離剤を蒸着させて分離剤層を生成する工程と、
b1) SiO層を分離剤層に蒸着させる工程と、
b2) Al層をSiO層に蒸着させる工程と、
b3) SiO層をAl層に蒸着させる工程と、
c) 分離剤層を溶剤中に溶解させる工程と、
d) SiOで被覆されたアルミニウムフレークを溶剤から分離する工程とを含み、ここで0.70≦y≦1.95、好ましくは1.0≦y≦1.80、最も好ましくは1.10≦y≦1.80であり、および、その方法によって得られるアルミニウムフレークに関し、
アルミニウムフレークは、
(A1)SiOからなる層と、
(B)層(A1)上のアルミニウムからなる層と、
(A2)層(B)上のSiOからなる層とを含み、ここで0.70≦z≦2.0である。
【0037】
分離剤は好ましくはペンタエリスリトールであり、溶剤は好ましくは水である。
【0038】
SiO層(A1)および(A2)の層厚さは10〜50nm、特に20〜30nmである。
【0039】
アルミニウムからなる層(B)の層厚さは10〜100nm、好ましくは30〜50nmである。
【0040】
SiOで被覆されたアルミニウムフレークは、例えば米国特許第B−6,270,840号、国際公開公報第00/18978号、国際公開公報第02/090613号、国際公開公報第03/90613号に記載されている製造の方法によって本質的に得ることができる。本発明の方法の特徴は、特定の分離剤を用いるということである。
【0041】
酸化ケイ素層(SiO)は好ましくは、1300℃を上回る温度でのSiとSiOの混合物の反応によって蒸発器中で生成される一酸化ケイ素蒸気から形成される。0.70≦y≦0.99であるSiO層は好ましくは、20重量%のケイ素を含有する一酸化ケイ素を、1300℃を上回る温度で蒸発させることにより形成される。
【0042】
Alは、1000℃を上回る温度で蒸発される。
【0043】
上記の方法では、面平行度が高く、所定の厚さが平均厚さの±10%、好ましくは±5%の範囲内にある反射の低い、酸化ケイ素で被覆されたアルミニウムフレークが得られる。
【0044】
SiO層は、例えばドイツ特許第43 42 574 C1号および米国特許第A−6 202 591号に記載されている蒸発器中で、好ましくはケイ素微粉末と石英(SiO)粉末の化学量論的混合物を、高真空下で1300℃を上回る温度に加熱することで得られる。反応生成物は一酸化ケイ素ガスであり、真空下で、通過するキャリヤーに直接導き、そこでSiOとして凝縮させる。非化学量論的混合物を用いてもよい。蒸発器は、SiとSiOの混合物、SiO、またはその混合物を含む装入物を含有し、互いに反応する物質(SiおよびSiO)の粒子サイズが0.3mm未満であれば有利である。SiとSiOの重量比が0.15:1〜0.75:1(重量部)の範囲であれば有利であり、好ましくは化学量論的混合物が存在する。蒸発器内に存在するSiOが直接蒸発する。SiおよびSiOが1300℃を上回る温度で反応して、一酸化ケイ素蒸気を形成する。
【0045】
工程d)は通常、工程a)およびb)における圧力よりも高くかつ大気圧よりも低い圧力で実施される。
【0046】
(可動)キャリヤーは好ましくは、ポリマーで被覆されたもしくは被覆されない1以上の連続金属ベルト、あるいは1以上のポリイミドまたはポリエチレンテレフタレートのベルを含んでいる。可動キャリヤーはさらに、軸の周りを回転する1以上のディスク、シリンダ、またはその他の回転対称体を含んでもよい。
【0047】
SiOで被覆されたアルミニウムフレークは、好ましくは洗い落としおよびその後のろ過、沈降、遠心分離、デカンテーション、または蒸発によって分離剤の溶剤から分離される。さらに、溶剤に含まれる溶解分離剤を洗い落とした後、SiOで被覆されたアルミニウムフレークを溶剤とともに凍結し、次いで凍結乾燥処理を行い、その間に、三重点を下回る昇華の結果、溶剤が分離し、乾燥したフレークが個々の面平行な構造の形態で後に残る。
【0048】
凝縮した亜酸化ケイ素は、0.95≦y≦1.8、好ましくは約1.0≦y≦1.6の式SiOyに相当し、y値1未満は蒸発器材料中の過剰なケイ素によって得られる。超高真空以外の数10-2Paの工業用の真空中では、蒸発したSiOは常に、1≦y≦1.8、特に1.1≦y≦1.6のSiOyとして凝縮するが、それは高真空装置は、表面からガスが放出する結果、蒸発温度でSiOと容易に反応する水蒸気を常に微量含有するからである。
【0049】
詳細には、分離剤、例えばペンタエリスリトールに続いて、亜酸化ケイ素(SiO)、Al、およびSiOの各層が、連続してキャリヤーに蒸着される。このキャリヤーは、0.5Pa未満、特に0.05Pa未満の真空下で蒸発器を通過する連続金属ベルトであることができる。分離剤の蒸着厚さは約20〜500nm、好ましくは300〜500nmであり、SiOの蒸着厚さは、生成物の使用目的に応じて10〜500nmであり、アルミニウムの蒸着厚さは10〜100nm、特に30〜50nmである。さらなる過程において、閉じてループを形成するベルト状のキャリヤーが、公知の構造の動的真空封止室(米国特許第6 270 840号を参照)を通り抜けて、1〜5x10Paの圧力、好ましくは600〜10Paの圧力、特に10〜5x10Paの圧力の領域に入り、そこで分離槽と接触する。例えば水などの溶剤の温度は、その蒸気圧が上記の圧力範囲に収まるように選択することが望ましい。機械的補助を用いて、分離剤層が迅速に溶解し、生成物層がフレークに分かれ、次にフレークが溶剤中で懸濁状態になる。さらなる過程において、ベルトが乾燥され、ベルトに付着していた不純物がすべて取り除かれる。ベルトは第2の動的真空封止室群を通り抜けて蒸発室に戻り、そこで分離剤と生成物層の被覆方法が繰り返される。
【0050】
次に両方の場合に、生成物構造を含む懸濁液が得られ、分離剤が溶解している溶剤が、公知の技術に従うさらなる処理において分離される。そのために、生成物構造がまずこの液体において濃縮され、溶解した分離剤を洗い落とすために新鮮な溶剤で数回すすぎ洗いされる。次に、まだ湿っている固体の状態の生成物が、ろ過、沈降、遠心分離、デカンテーション、または蒸発によって分離され、乾燥される。
【0051】
大気圧での洗い落とし後の平面平行構造の分離は、約50%の固形分に濃縮されている懸濁液を凍結させ、約−10℃、および50Paの圧力で冷凍乾燥を既知の方法で施すことによって、適度な条件下で実施することができる。乾燥した物質が生成物として残留するが、これを被覆または化学変換によって、さらなる処理工程にかけることができる。
【0052】
ドイツ特許第A−199 52 032号に従って、分離剤とSiO、Al、およびSiOを蒸着させる工程と、キャリヤーを分離する工程と、キャリヤーを乾燥させる工程とを実施することで、連続ベルトを用いる代わりに回転体を用いて生成物を生成することが可能である。この回転体は、1以上の円板、円筒、または任意のその他の回転対称体であることができる。
【0053】
場合により、フレークに酸化熱処理を施すことができる。例えば、200℃を上回る温度、好ましくは400℃を上回る温度、特に400℃〜600℃の温度で、遊離した物質の状態で存在する、または流動層にある小板に空気またはその他の酸素含有ガスを通過させられる。
【0054】
顔料サイズへの薄膜断片の粉砕は、例えば、液状媒体において高速攪拌機を用いて、あるいは断片の乾燥後に回転分級器を備えるエアジェットミルにおいて、超音波手段または機械的手段によって実施することができる。顔料の粉砕を液状媒体において実施するのか、あるいは乾燥状態で実施するのかに応じて、粉砕処置の間または粉砕処置の後で、アルミニウム顔料の遊離金属表面の不動態化が上記の方法のいずれかによって実施される。
【0055】
また、アルミニウムフレークまたはアルミニウム顔料にアフターコーティングまたは後処理を施すことも可能である。これにより、光安定性、耐侯安定性、および化学安定性がさらに向上し、顔料の処理、特に各種媒体への混和が容易になる。例えば、欧州特許第A−1084198号、欧州特許第A−826745号、ドイツ特許第A−22 15 191号、ドイツ特許第A−31 51 354号、ドイツ特許第A−32 35 017号、またはドイツ特許第A−33 34 598号に記載されている方法が、後処理またはアフターコーティングとして適している。
【0056】
必要に応じて、SiO保護層を施すことができる。そのために、ソーダ水ガラス溶液を計量して、約50℃〜100℃、特に70℃〜80℃に加熱されている、被覆される材料の懸濁液に添加するという方法を用いてもよい。同時に10%の塩酸を添加することで、pHが4〜10、好ましくは6.5〜8.5に保たれる。水ガラス溶液の添加後、30分間攪拌が実施される。
【0057】
本発明による顔料の際立った特徴は、非常に均一な厚さを有していることである。
【0058】
また、本発明は、本発明の方法によって得られる、1以上のアルミニウムフレークにも関し、このアルミニウムフレークは、
(A1)SiOからなる層と、
(B)層(A1)上のアルミニウムからなる層と、
(A2)層(B)上のSiOからなる層とを含み、
ここで、0.70≦z≦2.0、好ましくは1.4≦z≦2.0である。
【0059】
好ましい態様においては、アルミニウムフレークは、
(D1)SiOからなる層と、
(B)層(D1)上のアルミニウムからなる層と、
(D2)層(B)上のSiOからなる層とを含む。
【0060】
SiO層またはSiO層の層厚さは10〜50nm、好ましくは20〜30nm、または50〜100nmであり、同じ厚さが好ましい範囲に収まるとは限らない。
【0061】
アルミニウムからなる層(B)の層厚さは概ね10〜100nm、好ましくは30〜50nmである。
【0062】
さらなる好ましい態様においては、アルミニウムからなる層(B)の層厚さは40〜150nm、好ましくは約100nmであり、SiO層(A1)および(A2)の層厚さは50〜200nm、特に約100nmである。
【0063】
「0.70≦z≦2.0であるSiO」という表現は、酸化ケイ素層の平均値におけるケイ素に対する酸素のモル比が0.70〜2.0であることを意味する。酸化ケイ素層の組成は、ESCA(lectron pectroscopy for hemical nalysis:X線電子分光法)によって特定することができる。酸化ケイ素基材のケイ素および酸素の化学量論は、RBS(utherford−ackcattering:ラザフォード後方散乱)によって特定することができる。
【0064】
「0.70≦y≦1.95であるSiO」という表現は、酸化ケイ素層の平均値におけるケイ素に対する酸素のモル比が0.70〜1.95であることを意味する。酸化ケイ素層の組成は、ESCA(lectron pectroscopy for hemical nalysis:X線電子分光法)によって特定することができる。酸化ケイ素基材のケイ素および酸素の化学量論は、RBS(utherford−ackcattering:ラザフォード後方散乱)によって特定することができる。
【0065】
本発明によれば、「アルミニウム」という用語はアルミニウムおよびアルミニウムの合金を含んでいる。アルミニウムの合金は、例えば、ウルマンの工業化学百科事典第4版(ヴァインハイムのVerlag Chemie社)第7巻281〜292ページのG.Wassermannに記載されている。特に適しているのは、国際公開公報第00/12634号の10〜12ページに記載されている腐食安定性アルミニウム合金であり、これには、アルミニウムの他に、20重量%未満、好ましくは10%重量未満の量のケイ素、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、ニッケル、バナジウム、鉛、アンチモン、スズ、カドミウム、ビスマス、チタン、クロムおよび/または鉄が含まれる。
【0066】
アルミニウムフレークは、実質的に平行である2つの面を備えるアルミニウムコアを有しており、この面間の距離がコアの最短軸であり、側面ではなく平行な面が酸化ケイ素で被覆される。さらに、酸化ケイ素で被覆されたアルミニウムフレークは、2μm〜5mmの長さ、2μm〜2mmの幅、および30〜800nmの厚さを有しており、長さと厚さの比率は少なくとも2:1である。アルミニウムフレークは、1〜60μm、好ましくは2〜40μm、最も好ましくは5〜20μmの長さおよび幅を有していることが好ましい。長さと厚さの比率は、約2:1〜約800:1である。長さと幅の比率は、3:1〜1:1である。
【0067】
酸化ケイ素/アルミニウムフレークは、均一な形状ではない。それにもかかわらず、簡潔にするため、フレークが「直径」を有していると表現する。酸化ケイ素/アルミニウムフレークは、高い面平行度を備えており、かつ平均厚さの±10%、特に±5%の範囲の規定厚さを有している。酸化ケイ素/アルミニウムフレークは、30〜800nm、とりわけ70〜110nmの厚さを有している。現在では、フレークの直径は、好ましくは約2〜40μm、より好ましくは約5〜20μmの範囲であることが好ましい。このため、本発明のフレークのアスペクト比は約40〜290という好ましい範囲に収まる。
【0068】
耐侯安定性および耐光堅牢度を高めるために、200℃を上回り、より好ましくは400℃を上回りかつ600℃を下回る温度で、空気またはその他の酸素含有ガスを用いて、0.70≦y≦1.8であるSiO層を酸化するか、またはSiO層に変換することができる。例えば、酸素含有雰囲気中で数時間、500℃以下で加熱することで、SiO(y=1)で被覆されたアルミニウムフレークをSiO(z=1.40〜2.00)で被覆されたアルミニウムフレークに変換することができる。この方法においては、SiOがSiOに完全に変換されるわけではない場合、SiO層がSiO層の表面に形成され、アルミニウム層に向かうにつれてyが漸減する。
【0069】
したがって、本発明のさらなる好ましい態様は、
(C1)SiOからなる層と、
(A1)層(C1)上のSiOからなる層と、
(B)層(A1)上のアルミニウムからなる層と、
(A2)層(B)上のSiOからなる層と、
(C2)層(A2)上のSiOからなる層を含むアルミニウムフレークに関するものであって、
ここで、0.70≦y≦1.95、好ましくは1.0≦y≦1.8、最も好ましくは1.4≦y≦1.8である。
【0070】
アルミニウムからなる層(B)の層厚さは概ね10〜100nm、好ましくは30〜50nmである。
【0071】
SiOからなる層(A1)および(A2)の層厚さ、SiOからなる層(D1)および(D2)の層厚さ、SiOからなる層(A1)の層厚さ、SiOからなる層(C1)の層厚さ、SiOからなる層(A2)の層厚さ、およびSiOからなる層(C2)の層厚さは、アルミニウムフレークが最終生成物である場合、10〜50nm、好ましくは20〜30nm、または50〜200nmであり、アルミニウムフレークが干渉顔料の中間物である場合、200〜500nmである。
【0072】
本発明によるアルミニウムフレークは、公知のアルミニウムフレークについて慣例的である応用で使用することができる。本発明によるアルミニウムフレークの用途として例えば、塗料、静電塗装、インクジェット印刷、化粧品、コーティング、印刷用インク、プラスチック材料、セラミックおよびガラスの艶出し、およびセキュリティ印刷を挙げることができる。
【0073】
また、仕上がったアルミニウムフレークにアフターコーティングまたは後処理を施すことも可能である。これにより、光安定性、耐侯安定性、および化学安定性がさらに向上し、顔料の処理、特に各種媒体への混和が容易になる。例えば欧州特許第A−477433号、欧州特許第A−826745号、または欧州特許第A−1084198号に記載されている方法が、後処理またはアフターコーティングとして適している。
【0074】
さらなる層で被覆することで、アルミニウムフレークをさらに干渉顔料に変換することができる。その顔料の基本構造が、例えば欧州特許第A−571836号、欧州特許第A−708154号、欧州特許第A−768343号、欧州特許第A−1025168号、および国際公開公報第00/34395号に記載されている。
【0075】
水性組成物中でアルミニウムフレーク(フレーク状のアルミニウム)を使用するには、これらの顔料を水による腐食から保護する必要がある。R.Besoldによれば(水性コーティング用のアルミニウム顔料−可能か不可能か、顔料+ラッカー97(Aluminiumpigmente fur wassrige Beschichtungen-Widerspruch oder Wirklichkeit?, Fare + Lack 97)(1991年)311〜314)アルミニウム顔料の安定化のための多数の手順が公知であり、これらは次の2つの群に分類することができる。
−顔料表面への腐食防止剤の吸着
−リン酸エステル:ドイツ特許第A−3020073号、欧州特許第A−170474号、欧州特許第A−133644号、米国特許第A−4,565,716号、米国特許第A−4,808,231号、
−リン酸塩および亜リン酸塩:米国特許第A−4,565,716号、米国特許第A−4,808,231号、欧州特許第A−240367号、
−バナジウム酸塩:欧州特許第A−305560号、欧州特許第A−104075号、
−クロム酸塩:米国特許第A−2,904,523号、米国特許第A−4,693,754号、欧州特許第A−259592号、
−二量体酸:ドイツ特許第A−3002175号、
−連続した有機保護層による顔料の封入
−SiO:米国特許第A−2,885,366号、米国特許第A−3,954,496号、
−Fe:ドイツ特許第A−3003352号、
−TiO:ドイツ特許第A−3813335号、
または有機保護層による顔料の封入
−ドイツ特許第A−3630356号、ドイツ特許第A−3147177号、欧州特許第A−477433号、特にリン酸で改質された樹脂:欧州特許第A−170474号、カナダ特許第A−1,273,733号、オーストリア特許第A−372696号、ドイツ特許第A−3807588号、欧州特許第A−319971号。
【0076】
特に好ましい態様においては、酸化ケイ素/金属基材をベースとする干渉顔料は、「高い」屈折率、すなわち約1.65を上回る屈折率、好ましくは約2.0を上回る屈折率、最も好ましくは約2.2を上回る屈折率を有する誘電体のさらなる層を含んでおり、この層が酸化ケイ素/アルミニウム基材の表面全体に施される。その誘電体の例は、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化チタン(TiO)、炭素、酸化インジウム(In)、インジウムスズ酸化物(ITO)、五酸化タンタル(Ta)、酸化クロム(Cr)、酸化セリウム(CeO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ユウロピウム(Eu)、酸化鉄(II)/酸化鉄(III)(Fe)や酸化鉄(III)(Fe)などの酸化鉄、窒化ハフニウム(HfN)、炭化ハフニウム(HfC)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ランタン(La)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ネオジム(Nd)、酸化プラセオジム(Pr11)、酸化サマリウム(Sm)、三酸化アンチモン(Sb)、一酸化ケイ素(SiO)、三酸化セレン(Se)、酸化スズ(SnO)、三酸化タングステン(WO)、またはこれらの組み合わせである。誘電体は好ましくは金属酸化物である。この金属酸化物は、吸収特性を備えるまたは備えない、単一の酸化物または複数酸化物の混合物、例えばTiO、ZrO、Fe、Fe、Cr、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン、またはZnOであることが可能であり、TiOが特に好ましい。TiO層の上に、低屈折率の金属酸化物の層を施すことができる。使用することができる、適切な低屈折率誘電体の限定されない例には、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、およびフッ化マグネシウム(MgF)、フッ化アルミニウム(AlF)、フッ化セリウム(CeF)、フッ化ランタン(LaF)、フッ化アルミニウムナトリウム(例えばNaAlFまたはNaAl14)、フッ化ネオジム(NdF)、フッ化サマリウム(SmF)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化リチウム(LiF)などの金属フッ化物およびこれらの組み合わせ、または約1.65以下の屈折率を有するその他の任意の低屈折率材料が含まれる。例えば、有機モノマーおよび有機ポリマーを低屈折率材料として利用することができる。これらの材料には、アクリレート(例えばメタクリル酸塩)などのジエンまたはアルケン、ペルフルオロアルケンのポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)のポリマー、パリレン、p−キシレン、これらの組み合わせなどが含まれる。さらに、上記の材料には、その開示が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,877,895号または欧州特許第A−733,919号に記載されている方法によって蒸着することができる、蒸発、凝縮、架橋結合された透明なアクリレート層が含まれる。SiO、Al、AlOOH、B、またはこれらの混合物が好ましい。SiOが最も好ましい。
【0077】
金属酸化物層は、CVD(hemical apour eposition:化学蒸着法)または湿式化学コーティングによって施すことができる。金属酸化物層は、水蒸気の存在下(磁鉄鉱など比較的低分子量の金属酸化物)、または酸素および必要に応じて水蒸気の存在下(例えば酸化ニッケルおよび酸化コバルト)における金属カルボニルの分解によって得ることができる。金属酸化物層は特に、金属カルボニル(例えば、鉄ペンタカルボニル、ヘキサカルボニルクロム;欧州特許第A−45 851号)の酸化的気相分解によって、金属アルコラート(例えば、チタンおよびジルコニウムテトラ−n−および−イソ−プロパノラート、ドイツ特許第A−41 40 900号)または金属ハロゲン化物(例えば、四塩化チタン;欧州特許第A−338 428号)の加水気相分解によって、オルガニルスズ化合物(特に、テトラブチルスズおよびテトラメチルスズ
などのアルキルスズ化合物;ドイツ特許第A−44 03 678号)の酸化分解によって、または欧州特許第A−668 329号に記載さているオルガニルケイ素化合物(特に、ジ−tert−ブトキシアセトキシシラン)の気相加水分解によって施され、コーティング作業は、流動床反応器において実施することが可能である(欧州特許第A−045 851号および欧州特許第A−106 235号)。
【0078】
ドイツ特許第A−42 36 332号、欧州特許第A−678 561号、および欧州特許第A−826 745号に記載さている不動態化法に従って、金属の酸化物−ハロゲン化物(例えば、CrOCl、VOCl)、特に酸ハロゲン化リン(例えば、POCl)、リン酸エステルおよびホスホン酸エステル(例えば、亜リン酸ジメチル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸ジエチル、および亜リン酸トリエチル)、ならびにアミノ基を含有するオルガニルケイ素化合物(例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシランおよび3−アミノプロピルトリメトキシシラン)の加水気相分解または酸化気相分解によって、リン酸塩、クロム酸塩、および/またはバナジウム酸塩を含有する金属酸化物層およびSiO2を含有する金属酸化物層を施すことができる。
【0079】
ジルコニウム、チタン、鉄、および亜鉛の金属酸化物、これらの金属の酸化水和物、チタン酸鉄、亜酸化チタン、またはこれらの組み合わせの層を湿式化学法による沈殿によって施すことが好ましく、必要に応じて金属酸化物を還元することが可能である。湿式化学コーティングの場合、真珠光沢顔料の製造用に開発された湿式化学コーティングを用いてもよい。これらの湿式化学コーティングは例えば、ドイツ特許第A−14 67 468号、ドイツ特許第A−19 59 988号, ドイツ特許第A−20 09 566号、ドイツ特許第A−22 14 545号、ドイツ特許第A−22 15 191号、ドイツ特許第A−22 44 298号、ドイツ特許第A−23 13 331号、ドイツ特許第A−25 22 572号、ドイツ特許第A−31 37 808号、ドイツ特許第A−31 37 809号、ドイツ特許第A−31 51 343号、ドイツ特許第A−31 51 354号、ドイツ特許第A−31 51 355号、ドイツ特許第A−32 11 602号、およびドイツ特許第A−32 35 017号、ドイツ特許第195 99 88号、国際公開公報第93/08237号、国際公開公報第98/53001号、ならびに国際公開公報第03/6558号に記載されている。
【0080】
高屈折率の金属酸化物は好ましくはTiOおよび/または酸化鉄であり、低屈折率の金属酸化物は好ましくはSiOである。TiOの層はルチル型またはアナターゼ型であることができるが、ルチル型が好ましい。また、例えば、欧州特許第A−735,114号、ドイツ特許第A−3433657号、ドイツ特許第A−4125134号、欧州特許第A−332071号、欧州特許第A−707,050号、または国際公開公報第93/19131号に記載されている、アンモニア、水素、炭化水素蒸気、もしくはこれらの組み合わせ、または金属粉末など、公知の手段によってTiO層を還元することができる。
【0081】
コーティングのためには、基材粒子を水に懸濁させ、1種以上の加水分解性金属塩を、金属酸化物又は金属酸化水和物が副次的な沈殿を発生させることなく粒子上に直接沈殿するように選択される、加水分解に適したpHで加える。pHは通常、同時に塩基を計量供給することによって一定に維持される。そして、顔料を分離し、洗浄し、乾燥させ、適切な場合にはか焼するが、そのコーディングに対してか焼温度を最適化することが可能である。望むならば、個々のコーディングを適用したのち、顔料を分離し、乾燥させ、適切な場合にはか焼し、その後、さらなる層を沈殿させるために再懸濁させることもできる。
【0082】
また、例えば、ドイツ特許第A−195 01 307号に記載されている方法と同様に、必要に応じて有機溶剤および塩基性触媒の存在下でソルゲル法を用いた1種以上の金属酸エステルの制御加水分解によって金属酸化物層を生成することで、金属酸化物層を得ることができる。適切な塩基性触媒は例えば、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、およびメトキシプロピルアミンなどのアミンである。有機溶剤は、C1−4アルコール、特にイソプロパノールなどの水混和性溶剤である。
【0083】
適切な金属塩エステルは、アルキルアおよびアリールアルコラート、カルボン酸塩、およびカルボキシルラジカル置換またはアルキルラジカル置換またはアリールラジカル置換アルキルアルコラート、あるいはバナジウム、チタン、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウム、およびホウ素のカルボン酸塩から選択される。トリイソプロピル、アルミン酸塩、チタン酸テトライソプロピル、ジルコン酸テトライソプロピル、オルトケイ酸テトラエチル、およびホウ酸トリエチルを用いることが好ましい。また、上記の金属のアセチルアセトネートおよびアセトアセチルアセトネートを用いてもよい。この種の金属塩エステルの好ましい例は、ジルコニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート、およびジイソブチルオレイルアセトアセチルアルミン酸塩またはジイソプロピルオレイルアセトアセチルアセトネート、ならびに金属塩エステルの混合物、例えばDynasil(登録商標)(Huls社)、混合アルミニウム/ケイ素金属塩エステルである。
【0084】
高い屈折率を有する金属酸化物として、二酸化チタンを用いることが好ましく、二酸化チタン層を施すために、本発明の態様に従って米国特許第B−3 553 001号に記載されている方法が用いられる。
【0085】
約50℃〜100℃、特に70℃〜80℃に加熱しておいた、コーティングされる材料の懸濁液にチタン塩水溶液をゆっくりと加え、同時に塩基、たとえばアンモニア水溶液又はアルカリ金属水酸化物水溶液を計量供給することにより、約0.5〜5、特に約1.2〜2.5の実質的に一定のpH値を維持する。沈殿したTiO2の所望の層厚さが達成されるとただちに、チタン塩溶液及び塩基の添加を止める。
【0086】
滴定法とも呼ばれるこの方法の際立った特徴は、チタン塩が過剰になることが避けられるということである。これは、水和TiOによる均一な被覆に必要とされ、かつ被覆される粒子の有効表面に単位時間当たりに取り込まれることができる量のみ、加水分解のために単位時間当たりに供給することで達成される。原則として、アナターゼ型のTiOが開始顔料の表面上に形成される。但し、少量のSnOを添加することで、ルチル構造の形成を強制することが可能になる。
【0087】
TiO層の厚さは、概ね5nm〜100nmの範囲である。
【0088】
必要に応じて、SiO(保護)層を二酸化チタン層の上に施すことができる。そのために、ソーダ水ガラス溶液を計量して、約50℃〜100℃、特に70℃〜80℃に加熱されている、被覆される材料の懸濁液に添加するという方法を用いてもよい。同時に10%の塩酸を添加することで、pHが4〜10、好ましくは6.5〜8.5に保たれる。水ガラス溶液の添加後、30分間攪拌が実施される。
【0089】
干渉顔料は、好ましくは、SiO被覆またはSiO被覆のアルミニウムフレークを水中に懸濁し、従来の方法を用いた、対応する水溶性金属化合物の添加および加水分解によって、高い屈折率を有する金属酸化物水和物および必要に応じて低い屈折率を有する金属酸化物水和物で被覆し、次に、被覆されたキャリヤー材料を水性懸濁液から分離し、乾燥し、必要に応じてか焼することで得られる。ここで、その金属酸化物水和物の沈殿のために求められるpHは、酸または塩基を同時に添加することで一定に保たれる(例えば、ドイツ特許第1959988号、ドイツ特許第2215191号、ドイツ特許第2244298号、ドイツ特許第2313331号、ドイツ特許第2522572号、ドイツ特許第3137808号、ドイツ特許第3137809号、ドイツ特許第3151343号、ドイツ特許第3151355号、ドイツ特許第3211602号、ドイツ特許第3235017号、国際公開公報第93/08237号、および国際公開公報第98/53011号を参照)。
【0090】
例えば米国特許第B−6,524,381号に記載されているプラズマアシスト真空法(振動コンベヤー、回転ドラムコーター、振動ドラムコーター、および自由落下室を用いた)によって、高い屈折率を有する金属酸化物の層の代わりに、ダイヤモンド状炭素や非晶質炭素などの米国特許第B−6,524,381号の材料をSiO被覆金属基材に蒸着させることができる。
【0091】
したがって本発明は、炭素層、特に、5〜150nm、特に20〜70nm、とりわけ30〜70nmの厚さを有するダイヤモンド状炭素層をその表面に有する酸化ケイ素/アルミニウム基材をベースとする面平行な構造(顔料)にも関するものである。
【0092】
例えば米国特許第B−6,015,597号に記載されている方法においては、例えばアセチレン、メタン、ブタジエン、およびこれらの組み合わせ、ならびに場合によりAr、さらには場合により追加成分を含むガスなどの炭素含有ガスから、粒子上にダイヤモンド状ネットワーク(DLN)被覆がプラズマ蒸着によって蒸着される。蒸着は低い圧力(大気圧に比べ)で制御環境において生じる。カーボンリッチプラズマが、電界を炭素含有ガスに印加することで反応室において生成される。被覆される粒子は反応器内の容器または入れ物に保持され、プラズマに近接している間に攪拌される。プラズマ内の化学種が粒子表面と反応して共有結合を形成し、その結果、粒子表面にDLNが生成される。
【0093】
「ダイヤモンド状ネットワーク」(DLN)という用語は、炭素からなる非晶質膜または非晶質被覆、ならびに場合により、水素、窒素、酸素、フッ素、ケイ素、硫黄、チタン、および銅からなる群から選択される1種以上の追加成分を含む非晶質膜または非晶質被覆を指す。ダイヤモンド状ネットワークは、約30〜100の原子百分率を有する炭素からなり、場合により追加成分が残りをなす。
【0094】
ダイヤモンド状層またはダイヤモンド状ネットワークによるSiO被覆フレークのコーティングが、例えば、米国特許第B−6,241,858号または欧州特許第A−1034320号に記載されている、
排気可能反応室内の2つの電極を含む、容量結合反応器システムを提供する工程と、
多数の粒子を電極のいずれかの近くに配置する工程と、
反応室を排気する工程と、
高周波エネルギーが粒子の近くの電極に作用できるようにし、他方の電極を接地する工程と、
炭素含有ソース、例えば、アセチレン、メタン、ブタジエン、またはこれらの混合物などの炭化水素ガスを反応室に導入し、それにより、反応種を含むプラズマを多数の粒子の近くに形成する工程と、
接地された電極の周りにイオン雲をさらに形成する工程と、
粒子が実質的にイオン雲内に保持されている間、フレークの表面がプラズマ内の反応種にさらされるようにフレークを攪拌する工程を含む方法および装置によって実施される。
【0095】
ダイヤモンド状ネットワークは炭素からなることができ、必要に応じて、水素、窒素、酸素、フッ素、ケイ素、硫黄、チタン、または銅からなる1種以上の成分を含むことができる。
【0096】
したがって、本発明は、層(A1)および(A2)の上、または層(C1)および(C2)の上、好ましくはアルミニウムフレークの表面全体にわたって、「高い」屈折率を有する誘電体、特にTiOの層、または炭素、好ましくはダイヤモンド状炭素の層からなる層(E)を含む、本発明によるアルミニウムフレークをベースとする顔料と、層(D1)および(D2)の上、好ましくはアルミニウムフレークの表面全体にわたって、「高い」屈折率を有する誘電体、特にTiO、または炭素、特にダイヤモンド状炭素からなる層(E)を含む、本発明によるアルミニウムフレークをベースとする顔料とにも関するものである。
【0097】
この炭素層の厚さは概ね5〜150nm、好ましくは30〜70nmである。
【0098】
さらに、SiO被覆アルミニウムフレークは、欧州特許第A−0 982 376号に記載されているように、窒素ドープ炭素層で被覆することができる。欧州特許第A−0 982 376号に記載されている方法は、
(a)酸化ケイ素で被覆されたアルミニウムフレークを液体中に懸濁する工程と、
(b)必要に応じて、表面改質剤および/または重合触媒を添加する工程と、
(c)工程(b)の前または後に、窒素原子および炭素原子を含む1種以上のポリマー、またはそのポリマーを形成することができる1種以上のモノマーを添加する工程と、
(d)フレークの表面に高分子被覆を形成する工程と、
(e)被覆されたフレークを分離する工程と、
(f)被覆されたフレークを気体雰囲気中で100℃〜600℃の温度に加熱する工程とを含んでいる。
【0099】
このポリマーは、ポリピロール、ポリアミド、ポリアニリン、ポリウレタン、ニトリルゴム、またはメラミンホルムアルデヒド樹脂、好ましくはポリアクリロ二トリルであることができ、モノマーは、ピロール誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、またはクロトナミド、好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、またはクロトニトリル、最も好ましくはアクリロニトリルである。
【0100】
好ましくは、フレークは工程(f)において酸素含有雰囲気中でまず100℃〜300℃に加熱され、次に不活性ガス雰囲気中で200℃〜600℃に加熱される。
【0101】
したがって、本発明は、酸化ケイ素で被覆されたアルミニウムフレークの表面全体にわたって、50〜95重量%の炭素と、5〜25重量%の窒素と、0〜25重量%の水素、酸素、および/または硫黄とからなる層(F)を含む、本発明によるアルミニウムフレークをベースとする顔料にも関するものである。ここで、重量百分率データは層(F)の総重量を基準としている。
【0102】
この窒素ドープ炭素層の厚さは概ね10〜150nm、好ましくは30〜70nmである。
【0103】
SiO被覆アルミニウムフレークをベースとする干渉顔料は、本発明の方法によって提供されるし、さらなる層を有する本発明の方法によって得られるSiO被覆アルミニウムフレークを被覆することでも提供される(上記参照)。その顔料は好ましくは、C/X/Al/X/C、Al/X/Al/X/Al、Cr(5〜40nm)/X(100〜600nm)/Al(50〜100nm)/X(100〜600nm)/Cr(5〜40nm)、MoS/X/Al/X/MoS、Fe/X/Al/X/Feという層構造を有している。ここで、XはSiOであり、0.70≦z≦2.0、好ましくは1.0≦z≦2.0、最も好ましくは1.4≦z≦2.0である。
【0104】
別の態様においては、本発明は、酸化ケイ素(またはアルミニウム)膜で被覆された金属、特にアルミニウムのコアを含むフレーク状(小板状)の顔料に関するものであって、基材がその表面全体にわたって、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化スズ、酸化亜鉛、および酸化セリウムから選択される酸化金属で被覆され、半透明の金属薄膜でさらに被覆され、この顔料はカラーフロップ効果を呈する。
【0105】
SiO/Al/SiOフレークが「基材」として用いられる場合、SiO層は、アルミニウムコアの側面ではなく、アルミニウムコアの上の面と下の面の上に施される。シリカまたはアルミナがゾルゲル法によって施される場合、アルミニウムフレークの表面全体がシリカまたはアルミナの保護層で被覆される。ゾルゲル法は、金属有機化合物などの溶液の加水分解および重縮合によってゾルを形成する工程と、次にそれをゲル化する工程を含んでいる。次に、生成されたゲルが加熱されて金属酸化物が形成される。この金属有機化合物には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどの、シリコンメトキシド、シリコンエトキシド、シリコンプロポキシドなど、およびアルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムポロポキシドなど、例えばトリメトキシアルミン酸塩、トリエトキシアルミン酸塩、トリプロポキシアルミン酸塩などが含まれる。保護膜の量は、保護膜によって被覆される金属(コア)の0.1〜10重量%であることができる。
【0106】
好ましくは、フレーク状基材の表面全体が金属酸化物で被覆され、金属酸化物で被覆されたフレーク状顔料の表面全体が、半透明の金属薄膜で被覆される。金属酸化物の被覆を施すには、ゾルゲル法も好ましい。例えば、二酸化チタン膜を形成する場合、金属有機化合物として、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラブトキシドなどのチタンアルコキシドを使用することができる。酸化ジルコニウム膜を形成する場合は、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラポロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシドなどのジルコニウムテトラアルコキシドを使用することができる。酸化セリウム膜を形成する場合は、セリウムテトラメトキシド、セリウムテトラプロポキシドなどのセリウムテトラアルコキシドを使用することができる。酸化スズ膜を形成する場合は、オクチル酸スズ、ジブチルスズジラウレート、ジオクチル酸化スズなどを使用することができる。
【0107】
この半透明の金属薄膜は50nm未満の厚さを有している。半透明の金属薄膜は、Ni、Zn、Cr、Co、Cu、Pt、Ag、Au、およびこれらの合金から選択される1種以上の金属から形成される。合金の例はNi−Co、Ni−Fe、またはCo−Feである。金属酸化物被覆の厚さは90〜360nmである。半透明の金属薄膜は好ましくは、活性化のために前処理を必要としない化学めっき法によって施される(色材協会誌(「色材協会」)69(6)、370〜377(1996年))。これにおいては、アセチルアセトナート金属錯体が有機溶剤中で還元され、その結果、この錯体から生じる金属で基材がめっきされる。例えば、極性非プロトン性溶媒ジメチルスルホキシド(DMSO)中で還元剤としてビス(アセチルアセトナート)ニッケル(II)およびヒドラジンを用いて、このめっき法に従って、金属酸化物で被覆されたフレーク状顔料基材上にニッケル膜を形成する場合、濃いニッケル膜を基材上に形成することができる。本発明のその概念においては、Ni/TiO/SiOまたはNi/TiO/SiOのアルミニウムフレークが好ましい。
【0108】
別の好ましい態様においては、本発明は、回折顔料フレークの製造に関する。この回折顔料フレークは、その表面上に形成される回折構造を有する単一または複数の層を含んでいる。複数層のフレークは、反射コア層の向かい合う両側面に対称の積層被覆構造を有することができるし、反射コア層の周りの封止被覆によって形成することもできる。回折顔料フレークは、その上に様々な回折構造を載せて、選択された光学効果を生成するように形成することができる。特に、回折顔料フレークは、高度な光学効果を提供する物理特性および微小機械特性と共に特定の回折表面微細構造を有するように製造される。フレーク上のこの回折構造は、回折格子やホログラフィー像パターンなどの光学干渉パターンであることができる。所望の光学効果に応じて、最適な回折効果を備えるフレークの製造に適した格子状微細構造が選択される。その光学効果は、回折光学素子および反射光学素子を正しく組み合わせて、例えば、見る人の位置が変わるにつれて変化しきらめく、強力で目立つ光学効果を生成することでもたらされる。例えば、顔料フレークは、1mm当たりの格子線数(ln/mm)が約1100を超える回折格子パターンなど、広範な光学効果を生み出す高頻度回折格子微細構造を含むことができる。すなわち、このような回折効果は紫外線(UV)波長域または赤外線(IR)波長域においてのように、可視光波長域の外側でのみ知覚可能である。この隠れた特徴は、UV波長域またはIR波長域における回折効果を優先的に生み出す格子を用いることでもたらされる。例えば、法線入射において、約2500ln/mmを上回る格子頻度を有するフレークは、約100nm〜約400nmの波長域においてのみ知覚可能な回折効果をもたらす。このため、その回折フレークの存在を迅速かつ正確に検出するように従来型のUV検出装置を構成することができる。一方、人間の肉眼では、このような回折構造の存在を検知することはできない。
【0109】
回折フレークは、約500nm〜約2ミクロン(2,000nm)、好ましくは800nm〜1400nm(1.4ミクロン)の物理的厚さを有するように形成することができる。フレーク上の回折構造の線頻度は、好ましくは約1,200ln/mmである。これにより、法線入射から少なくとも約60度まで、法線入射において照らされるときに、一次または高次の回折ビームにおける可視光波長域に対応する光が、高次の回折ビームにおける同じ波長域から実質的に角度分離されるようになる。回折構造は、少なくとも約1,400ln/mmの頻度と約160nmを上回る溝深さとを有する線形ブレーズされた(すなわち鋸歯状)格子であるか、または少なくとも約2,000ln/mmの頻度と約160nmを上回る溝深さとを有する線形正弦格子であることができる。
【0110】
回折フレークの好ましい一態様においては、フッ化マグネシウム(MgF)やSiOなど透明な誘電体を第1層および第3層として蒸着し、不透明な第2(中間)アルミニウム層を覆う補強保護層を形成することができる。MgF層またはSiO層は好ましくはそれぞれ約250nm〜約450nmの厚さであり、アルミニウム層は好ましくは約80nm〜約160nmの厚さである。回折フレークは、約1,400nm未満の合計厚さ、好ましくは約500nm〜約900nmの合計厚さを有している。
【0111】
回折構造は、フレークの主表面の一方または両方の少なくとも一部の上に形成される。フレーク上の回折構造は、少なくとも約1,400ln/mmの格子と少なくとも約150nmの格子深さとを有する回折格子パターンであることができる。好ましくは、この回折格子パターンは、約1400〜約3500ln/mmの格子と約150nm〜約230nmの格子深さとを有することができ、より好ましくは、この回折格子パターンは、約1400〜約1700ln/mmの格子と約160nm〜約220nmの格子深さとを有することができる。
【0112】
回折フレークが単一層からなる場合、反射材料を用いてその層を形成することができる。現在好ましい反射材料には、各種の金属または金属合金が含まれる。その理由は、金属または金属合金は反射率が高くかつ使いやすいからである。但し、非金属反射材料も使用することができる。適切な金属材料の限定されない例には、アルミニウム、銀、銅、金、白金、スズ、チタン、パラジウム、ニッケル、コバルト、ロジウム、ニオブ、クロム、およびこれらの化合物、組み合わせ、または合金が含まれる。単一層からなるフレークは、約500nm〜約1400nm、好ましくは約700nm〜約1200nmの物理的厚さを有することができる。
【0113】
回折フレークは、中央の反射体層と、その反射体層の少なくとも1つの側面ではなく反射体層の向かい合う主表面の上の向かい合う誘電体層を含む、概ね対称的な薄膜構造を備える3層構成を有することができる。反射体層は、単一層フレークについて前述したものと同じ反射材料からなることができる。誘電体層は、約1.65以下の屈折率、好ましくは約1.5以下の屈折率を有するような各種誘電体からなることができる。適切な誘電体の限定されない例には、フッ化マグネシウム、SiO、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、フッ化アルミニウム、フッ化セリウム、フッ化ランタン、フッ化ネオジム、フッ化サマリウム、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、およびこれらの組み合わせが含まれる。反射体層は、約40nm〜約200nm、好ましくは約80nm〜約160nmの物理的厚さを有することができる。誘電体層はそれぞれ、約1ミクロン未満、好ましくは約200nm〜約600nm、より好ましくは約250nm〜約450nmの物理的厚さを有することができる。
【0114】
回折フレークを製造する方法においては、分離剤層、反射体層、および場合により誘電体層が、その表面に回折格子を有する(可動)キャリヤーに、所望のフレーク構成に従って順次、蒸着される。回折フレークは、分離剤を適切な溶剤中に溶解させることでキャリヤーから分離される。キャリヤーは、金属ベルト、回転円板、または円筒など、型押し金属キャリヤーであることができる。回折格子はエッチングによって生成することができる。金属の代わりに、Capton(登録商標)などの耐熱プラスチックを用いることができる。
【0115】
本発明は、塗料、織物(例えば国際公開公報第04/035911号を参照)、インクジェット印刷(例えば国際公開公報第04/035684号を参照)、化粧品(例えば国際公開公報第04/020530号を参照)、印刷用インク、プラスチック材料、コーティング、特に自動車仕上げ、セラミックおよびガラスの艶出し、およびセキュリティ印刷における、本発明によるアルミニウムフレークをベースとする顔料の使用にも関するものである。
【0116】
アルミニウムコア上に層がPVDによって施される場合、これらの層はコアの平行面上にのみ施され、側面上には施されない。(さらなる)層が湿式化学沈殿によって施される場合、これらの層はフレークの表面全体を覆う。
【0117】
金属または非金属の小板状無機粒子または顔料はエフェクト顔料(特に金属エフェクト顔料または干渉顔料)、すなわち、塗布媒体に色を与えるだけでなく、追加特性、例えば色の角度依存性(フロップ)、艶(表面光沢ではない)、または質感を与える顔料である。金属エフェクト顔料(アルミニウムフレーク)上では、実質的に指向的な反射が配向顔料粒子において生じる。干渉顔料(顔料)の場合、色を与えるという効果は、高屈折薄層における光の干渉現象が原因で生じる。
【0118】
本発明による顔料は、例えば、ポリマー全体の着色、コーティング(自動車部門における効果仕上げなど)、および印刷用インク(オフセット印刷、凹版、ブロンジング、フレキソ印刷など)、さらに例えば、化粧品、インクジェット印刷、織物の染色、セラミックおよびガラスの艶出し、および紙・プラスチックのレーザーマーキングにおける応用など、あらゆる通例の目的で用いることができる。その応用は、参考資料、例えば「工業有機顔料(Industrielle Organische Pigmente)」(W.HerbstおよびK.Hunger、VCH Verlagsgesellshaft mbH、ヴァインハイム/ニューヨーク、第2完全改訂版、1995年)から公知である。
【0119】
本発明による顔料が干渉顔料(エフェクト顔料)である場合、本発明の顔料は、ゴニオクロマチックであり、鮮やかで高彩度の光沢のある色を生じさせる。したがって、これらの顔料は、従来の透明顔料、例えばジケトピロロピロール、キナクリドン、ジオキサジン、ペリレン、イソインドリノンなどの有機顔料との組み合わせに非常に適し、透明顔料がエフェクト顔料と類似した色を有することが可能になる。しかし、例えば欧州特許第A−388 932号または欧州特許第A−402 943号と同様に、透明顔料の色とエフェクト顔料の色が補色である場合に特に興味深い組み合わせ効果が得られる。本発明による顔料を高分子量有機材料の着色に用いると、優れた結果を得ることができる。
【0120】
本発明による顔料または顔料組成物を用いて着色できる高分子量有機材料は、天然起源であっても合成起源であってもよい。高分子量有機材料は通常、10〜10g/モル以上の分子量を有している。高分子量有機材料は例えば、天然樹脂、乾性油、ゴム、もしくはカゼイン、またはこれらに由来する天然物質、例えば塩化ゴム、油変性アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテル、もしくはセルロースエステルなど、例えばエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオン酸セルロース、セルロースアセトブチラート、またはニトロセルロールなどであることができるが、特に、重合、重縮合、または重付加によって得られるような、完全に合成的な有機ポリマー(熱硬化性プラスチックおよび熱可塑性プラスチック)であることができる。重合樹脂の種類の中から、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリイソブチレンなどのポリオレフィン、および塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、またはブタジエンの重合生成物など置換ポリオレフィン、および特にABSまたはEVAなどのそのモノマーの共重合生成物を挙げることができる。
【0121】
一連の重付加樹脂および重縮合樹脂の中から、例えば、フェノール樹脂と呼ばれる、ホルムアルデヒドとフェノールとの縮合生成物、およびアミノ樹脂と呼ばれる、ホルムアルデヒドと尿素、チオ尿素、またはメラミンとの縮合生成物、およびアルキド樹脂などの飽和樹脂またはマレイン酸樹脂などの不飽和樹脂のいずれかの表面被覆樹脂として用いられるポリエステル、さらに線状ポリエステル、線状ポリアミド、ポリウレタン、またはシリコーンが挙げられる。
【0122】
その高分子量化合物は、プラスチックの塊または溶融液の状態で、単独で存在してもよいし、混合物内に存在してもよい。また、これらの高分子量化合物は、そのモノマーの形で存在してもよいし、例えばボイル亜麻仁油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ユリアホルムアルデヒド樹脂、またはアクリル樹脂など、コーティングまたは印刷用インク向けの皮膜形成剤または結合剤として溶解された重合状態で存在してもよい。
【0123】
使用目的によっては、本発明による(エフェクト)顔料または(エフェクト)顔料組成物をトナーまたは調剤として用いれば有利であることが判明している。状態調節方法または用途によっては、状態調節方法の前または後に質感を向上させる薬剤を一定量、エフェクト顔料に添加すれば有利である場合がある。但し、エフェクト顔料を用いて高分子量有機材料、特にポリエチレンを着色する際に、この添加が悪影響を及ぼさないことが条件である。適切な薬剤は、特に、少なくとも18個の炭素原子を含む脂肪酸、例えば、ステアリン酸もしくはベヘン酸、またはこれらのアミドもしくは金属塩、特に、マグネシウム塩、および可塑剤、蝋、樹脂酸、例えばアビエチン酸、ロジンせっけん、アルキルフェノール、もしくはステアリルアルコールなどの脂肪族アルコールなど、または8〜22個の炭素原子を含む、1,2−ドデカンジオールなどの脂肪族1,2−ジヒドロキシ化合物、ならびに改質コロフォニーマレイン酸樹脂、またはフマル酸コロフォニー樹脂である。質感を向上させる薬剤は、最終生成物を基準とした0.1〜30重量%、特に2〜15重量%の量で添加される。
【0124】
本発明による(エフェクト)顔料は、着色効果を発揮できる任意の量、着色される高分子量有機材料に添加することができる。高分子量有機材料と、高分子量有機材料を基準とした0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜30重量%の本発明による顔料とからなる着色組成物が有利である。実際には、1〜20重量%、特に約10重量%の濃度を使用できる場合が多い。
【0125】
例えば30重量%を上回る高濃度は通常、顔料の含有量が比較的低い着色材料を生成するための着色剤として用いることができるコンセントレート(「マスターバッチ」)の状態であり、本発明による顔料は通例の配合において非常に低い粘性を有するため、十分に処理することができる。
【0126】
有機材料の着色を目的として、本発明によるエフェクト顔料を単独で用いてもよい。但し、様々な色相または色彩効果を達成するために、本発明によるエフェクト顔料に加え、白色顔料、有色顔料、黒色顔料、またはエフェクト顔料など、色を与える他の物質を所望量、高分子量有機物質に添加することも可能である。有色顔料を本発明のエフェクト顔料と混合して使用する場合、総量は好ましくは、高分子量有機材料を基準とした0.1〜10重量%である。特に優れた角度依存呈色性が、別の色、特に補色の有色顔料と本発明によるエフェクト顔料との好ましい組み合わせによってもたらされる。エフェクト顔料を用いて着色された色と有色顔料を用いて着色された色は、測定角度10°において20〜340、特に150〜210の色相差(ΔH*)を有する。
【0127】
好ましくは、本発明によるエフェクト顔料は、透明な有色顔料と組み合わされる。この透明な有色顔料は、本発明によるエフェクト顔料と同じ媒体中、または隣接する媒体中のいずれかに存在することが可能である。エフェクト顔料と有色顔料が、隣接する媒体中に有利に存在する構成の例は、多層効果被覆である。
【0128】
本発明による顔料による高分子量有機物質の着色は、例えば、ロールミル、混合装置、または研削装置を用いてその顔料を必要に応じてマスターバッチの形態で基材に混合することで実施される。次に、圧延、圧縮成形、押し出し、コーティング、流し込み、または射出成形など、それ自体が公知である方法を用いて、着色された材料が所望の最終形態にされる。顔料の混和の前または後に、可塑剤、充填剤、または安定剤など、プラスチック工業で慣例の任意の添加剤を、通例の量、ポリマーに添加することができる。特に、軟質物品を製造するため、またはその物品の脆性を低減するためには、成形に先立って、可塑剤、例えばリン酸エステル、フタル酸エステル、またはセバシン酸エステルを高分子量化合物に添加することが望ましい。
【0129】
コーティングおよび印刷用インクを着色するために、高分子量有機材料と本発明によるエフェクト顔料が、必要に応じて例えば充填剤、その他の顔料、乾燥剤、または可塑剤など慣例の添加剤と共に、同じ有機溶剤または溶剤混合液の中に細かく分散または溶解される。また、個々の成分を別々に分散または溶解させるか、あるいは複数の成分を一緒に分散または溶解させ、その後でのみ、すべての成分を一緒にすることが可能である。
【0130】
着色される高分子量有機材料中への本発明によるエフェクト顔料の分散と、本発明による顔料組成物の処理は、エフェクト顔料が小さい部分に分かれないように、比較的弱いせん断力しか発生しないような状況下で実施される。
【0131】
プラスチックは、0.1〜50重量%、特に0.5〜7重量%の量の本発明の顔料を含んでいる。コーティング部門で採用される、本発明の顔料の量は0.1〜10重量%である。バインダーシステムの着色においては、例えば、コーティング、および凹版、オフセット印刷、またはスクリーン印刷の印刷用インクの場合、0.1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、特に8〜15重量%の量の顔料が印刷用インクに混和される。
【0132】
例えばプラスチック、コーティング、または印刷インク、特にコーティングまたは印刷用インク、とりわけコーティングで得られる着色は、優れた性質、特に非常に高い彩度、抜群の堅牢性、高い角度依存呈色性によって際立つ。
【0133】
着色される高分子量材料がコーティングである場合、そのコーティングは、特に特殊コーティング、とりわけ自動車仕上げである。
【0134】
本発明によるエフェクト顔料は、唇もしくは肌の化粧または毛髪もしくは爪の染色にも適している。
【0135】
したがって、本発明は、化粧品または化粧料の総重量を基準とした0.0001〜90重量%の顔料、特に本発明によるエフェクト顔料と、10〜99.9999重量%の化粧に適したキャリヤー材料を含む、化粧品または化粧料にも関するものである。
【0136】
その化粧品または化粧料は、例えば口紅、ほお紅、ファンデーション、マニキュア液、およびシャンプーである。
【0137】
顔料は単独で用いてもよいし、混合物の形態で用いてもよい。さらに、本発明による顔料を他の顔料および/または着色剤と共に、例えば上述の組み合わせまたは化粧品において公知の組み合わせで使用することが可能である。
【0138】
本発明による化粧品調製物および配合物は好ましくは、化粧品の総重量を基準とした0.005〜50重量%の量の本発明による顔料を含んでいる。
【0139】
本発明による化粧品調製物および配合物に適したキャリヤー材料には、その組成物で用いられる慣例の材料が含まれる。
【0140】
本発明による化粧品調製物および配合物は、例えばスティック、軟膏、クリーム、乳液、懸濁液、分散液、パウダー、または溶液の形態であることができる。本発明による化粧品調製物および配合物は、例えば口紅、マスカラ、ほお紅、アイシャドー、ファンデーション、アイライン、パウダー、またはマニキュア液である。
【0141】
化粧品が、例えば口紅、アイシャドー、ほお紅、またはファンデーションの形態である場合、化粧品はかなりの部分が、1種以上の蝋、例えばオゾケライト、ラノリン、ラノリンアルコール、水添ラノリン、アセチル化ラノリン、ラノリンワックス、蜜蝋、カンデリラ蝋、微結晶蝋、カルナウバ蝋、セチルアルコール、ステアリルアルコール、カカオ脂、ラノリン脂肪酸、ペトロラタム、石油ゼリー、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、または25℃で固体であるこれらの脂肪酸エステル、シリコーンワックス、例えばメチルオクタデカン−オキシポリシロキサンやポリ(ジメチルシロキシ)−ステアロキシシロキサン、ステアリン酸モノエタノールアミン、コロフォニー、およびこれらの誘導体など、例えばアビエチン酸グリコールやアビエチン酸グリセロール、25℃で固体である硬化油、糖グリセリドなど、ならびにカルシウム、マグネシウム、およびアルミニウムのオレイン酸塩、ミリスチン酸塩、ラノリン脂肪酸塩、ステアリン酸塩、およびヒドロキシステアリン酸塩からなることができる脂肪成分からなる。
【0142】
また、この脂肪成分は、少なくとも1つの蝋と少なくとも1つの油の混合物からなっていてもよい。この場合、例えば、パラフィン油、パーセリン油、ペルヒドロスクアレン、甘扁桃油、アボカド油、カロフィラム油、ヒマシ油、ゴマ油、ホホバ油、約310℃〜410℃の沸点を有する鉱油、シジメチルポリシロキサンなどのシリコーン油、リノリルアルコール、リノレニルアルコール、オレイルアルコール、小麦胚芽油などの穀物油、ラノリン脂肪酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、アセチルグリセリド、アルコールおよび多価アルコールのオクタン酸塩およびデカン酸塩、例えばグリコールやグリセロール、アルコールおよび多価アルコールのリシノール酸塩、例えばセチルアルコールおよびイソステアリルアルコールのリシノール酸塩、ラノリン脂肪酸イソセチル、アジピン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、およびオクチルドデカノールが適切である。
【0143】
スティックの形態のその化粧品における脂肪成分の最大量は概ね、化粧品の総重量の99.91重量%であることができる。
【0144】
本発明による化粧品調製物および配合物はさらに、例えばグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノアルカノールアミド、無色のポリマー充填剤、無機充填剤、または有機充填剤、防腐剤、化粧品で慣例のUVフィルタまたはその他の補助剤および添加剤、例えば、天然の、または合成の、または部分的に合成のジグリセリドまたはトリグリセリド、鉱油、シリコーン油、蝋、脂肪アルコール、Guerbetアルコールまたはそのエステル、日焼け防止フィルタなどの親油性機能化粧有効成分、またはその物質の混合物などのさらなる成分を含むことができる。
【0145】
スキン化粧品に適した親油性機能化粧有効成分、有効成分組成物、または有効成分エキスは、皮膚適用または局所適用が認められている成分または混合物である。例として、以下のものを挙げることができる。
- 皮膚表面および毛髪に対する洗浄作用を有する成分。これには、油、石鹸、合成洗剤、および固形物質など、皮膚を洗浄する役割を果たすすべての物質が含まれる。
- 脱臭作用および制汗作用を有する有効成分。これには、アルミニウム塩または亜鉛塩をベースとする制汗剤、殺菌性または静菌性を有する脱臭物質、例えばトリクロサン、ヘキサクロロフェン、アルコール、および第四アンモニウム塩などのカチオン物質、ならびに吸臭剤、例えば(登録商標)Grillocin(リシノール酸亜鉛と各種添加剤との組み合わせ)またはクエン酸トリエチル(場合により、例えばブチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤と組み合わせて)、またはイオン交換樹脂が含まれる。
- 日光から保護する有効成分(UVフィルタ)。適切な有効成分は、日光からの紫外線を吸収して熱に変換することができるフィルタ物質(日焼け防止剤)である。所望の作用に応じて、以下の紫外線防護剤が好ましい。日焼けを引き起こす、約280〜315nmの範囲の高エネルギー紫外線は選択的に吸収し(UV−B吸収剤)、例えば315〜400nmの長波長域(UV−A領域)は通す紫外線防護剤と、315〜400nmのUV−A領域の長波長紫外線のみ吸収する紫外線防護剤(UV−A吸収剤)。適切な紫外線防護剤は、例えば、パラアミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ジフェニルアクリレート誘導体、ベンゾフラン誘導体の類からの有機紫外線吸収剤、1種以上の有機ケイ素ラジカル、桂皮酸誘導体、ショウノウ誘導体、トリアニリノ−s−トリアジン誘導体、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸およびその塩、アントラニル酸メンチル、ベンゾトリアゾール誘導体を含む高分子紫外線吸収剤、および/または酸化アルミニウムまたは二酸化ケイ素で被覆されたTiO 酸化亜鉛、または雲母から選択される無機マイクロ顔料である。
- 虫を防ぐ有効成分(防虫剤)は、虫が皮膚に接触して活動するのを防止する薬剤である。この有効成分は虫を追い払い、ゆっくりと蒸発する。最も頻繁に用いられる防虫剤はジエチルトルアミド(DEET)である。その他の一般的な防虫剤は、例えば「Pflegekosmetik」(W.RaabおよびU.Kindl、Gustav−Fischer−Verlag シュトゥットガルト/ニューヨーク、1991年)の161ページに記載されている。
- 化学的影響および機械的影響から保護するための有効成分。これには、皮膚と外部の有害物質の間に保護層を形成するすべての物質が含まれる。例えば、水溶液から保護するためのパラフィン油、シリコーン油、野菜油、PCL生成物、およびラノリン、有機溶剤の影響から保護するためのアルギン酸ナトリウム、アルギン酸トリエタノールアミン、ポリアクリル酸塩、またはセルロースエステルなどの皮膜剤、または強い機械的応力から皮膚を保護する「潤滑剤」としての、鉱油、野菜油、またはシリコーン油をベースとする
物質などである。
- 保湿物質。例えば、乳酸ナトリウム、尿素、アルコール、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール、コラーゲン、エラスチン、およびヒアルロン酸が保湿剤(モイスチャライザー)として用いられる。
- 過酸化ベンゾイル、レチノイン酸、コロイド硫黄、およびレソルシノールなど、角質新生効果を有する有効成分。
- トリクロサンまたは第四アンモニウム化合物などの抗菌剤。
- 皮膚に塗布できる油性または油溶性のビタミンまたはビタミン誘導体。例えば、ビタミンA(遊離酸の状態のレチノールまたはその誘導体)、パンテノール、パントテン酸、葉酸、およびこれらの組み合わせ、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンF、必須脂肪酸、またはナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)。
- ビタミンベースの胎盤抽出物、特にビタミンA、C、E、B1、B2、B6、B12、葉酸及びビオチンを含む有効成分組成物、アミノ酸及び酵素ならびに微量元素マグネシウム、ケイ素、リン、カルシウム、マンガン、鉄又は銅の化合物。
- ビフィズス族の細菌の不活性化及び壊変培養物から得られる皮膚修復複合体。
- 植物及び植物抽出物、たとえばアルニカ、アロエ、サルオガセ、ツタ、イラクサ、チョウセンニンジン、ヘナ、カミツレ、マリゴールド、ローズマリー、セージ、トクサ又はタイム。
- 動物抽出物。例えば、ロイヤルゼリー、プロポリス抽出物、タンパク質抽出物、または胸腺抽出物。
- 皮膚に塗布できる化粧オイル。Miglyole 812タイプの天然油、杏仁油、アボガド油、ババス油、綿実油、ルリヂサ油、アザミ油、ラッカセイ油、ガンマオリザノール、ローズヒップシード油、大麻油、ヘーゼルナッツ油、ブラックカラント油、ホホバ油、チェリー油、サーモン油、亜麻仁油、コーン油、マカデミアナッツ油、扁桃油、月見草油、ミンク油、オリーブ油、ペカン油、杏仁油、ピスタチオ油、菜種油、ぬか油、ヒマシ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ひまわり油、ティーツリー油、ブドウ油、または小麦胚種油。
【0146】
スティック形態の化粧品は好ましくは無水であるが、場合により、一定量の水を含むことができる。但し、この水は一般に、化粧品の総重量を基準とした40重量%以下である。
【0147】
本発明による化粧品調製物および配合物が半固形生成物、すなわち軟膏またはクリームの形態である場合、これらの化粧品調製物および配合物は同様に、無水であっても水性であってもよい。その化粧品調製物および配合物は、例えばマスカラ、アイライン、ファンデーション、ほお紅、アイシャドー、または目のくまを処理する組成物である。
【0148】
一方、その軟膏またはクリームが水性である場合、これらの軟膏またはクリームは特に、顔料は別として、1〜98.8重量%の油相、1〜98.8重量%の水相、および0.2〜30重量%の乳化剤を含む、油中水型乳剤または水中油型乳剤である。
【0149】
また、その軟膏およびクリームは、例えば香料、酸化防止剤、防腐剤、ゲル化剤、UVフィルタ、着色剤、顔料、真珠光沢剤、無色のポリマーなど従来型の添加剤、および無機充填剤または有機充填剤をさらに含むことができる。化粧品がパウダーの形態である場合、化粧品は実質的に、例えば滑石粉、カオリン、でんぷん、ポリエチレン粉体などの、鉱物充填剤、無機充填剤、または有機充填剤と、結合剤や着色剤などの補助剤からなる。
【0150】
その化粧品は同様に、香料、酸化防止剤、防腐剤など、従来から化粧品で利用されている各種補助剤を含むことができる。
【0151】
本発明による化粧品調製物および配合物がマニキュア液である場合、化粧品調製物および配合物は基本的に、溶媒系における溶液の形態のニトロセルロースおよび天然ポリマーまたは合成ポリマーからなる。
【0152】
この態様においては、有色のポリマーは約0.1〜5重量%の量である。
【0153】
また、本発明による化粧品調製物および配合物は毛髪の染色に用いてもよい。この場合、化粧品調製物および配合物は、従来から化粧品業界で利用されている基材と本発明による顔料とからなる、シャンプー、クリーム、またはゲルの形態で用いられる。
【0154】
本発明による化粧品調製物および配合物は、例えば、各成分を一緒に混合または攪拌し、場合により、混合物が溶けるように加熱することによって、従来の方法で製造される。
【0155】
さらなる好ましい態様においては、本発明の方法を用いて、SiOフレークから生成されるSiOフレークが生成される。
【0156】
SiOフレークは好ましくは、
a) 分離剤を(可動)キャリヤーに蒸着させて分離剤層を生成する工程と、
b)0.70≦y≦1.8であるSiO層を分離剤層に蒸着させる工程と、
c)分離剤層を溶剤中に溶解させる工程と、
d)溶剤からSiOを分離する工程とを含む方法によって製造される(国際公開公報第03/68868号)。
【0157】
y>1.0であるSiOは、酸素の存在下でSiOを蒸発させることで得ることができる。蒸発中に、成長するSiO層が紫外線で照射されると、基本的に吸収を免れる層を得ることができる(ドイツ特許第A−1621214号)。純酸素雰囲気中でのSiOのいわゆる「反応性蒸着」によって、可視領域においては吸収せず550nmで1.55の屈折率を有するSiO1.5を得ることが可能である(E.Ritter、J.Vac. Sci. Technol.3(1966年)225)。
【0158】
SiOフレークは、流動層において、少なくとも200℃、特に400℃を上回る温度で、好ましくは遊離した物質の形態で、空気などの酸素含有ガスを用いて酸化するか、または、好ましくは500℃〜1000℃の範囲の温度で酸化炎の中に入れて、面平行な構造のSiOを形成することができる(国際公開公報第03/068868号)。
【0159】
SiOフレークに、例えばさらなる層を施すことで干渉顔料を得ることができる。
【0160】
その顔料の粒子は一般に、2μm〜5mmの長さ、2μm〜2mmの幅、および20nm〜2μmの厚さを有しており、長さと厚さの比率が2:1である。これらの粒子は、0.70≦z≦2.0、特に1.1≦z≦2.0、最も好ましくは1.4≦z≦2.0であるSiOzのコアを含んでおり、このコアは実質的に平行な2つの面を有しており、それらの面間の距離はコアの最短軸(厚さ)であり、(a)高い屈折率を有する材料、特に金属酸化物を含み、またはその顔料は、(a)(薄い半透明の)金属層を含む。
【0161】
半透明の金属層に適した金属は、例えばCr、Ti、Mo、W、Al、Cu、Ag、Au、またはNiである。半透明の金属層は通常、5〜25nm、特に5〜15nmの厚さを有している。SiO基材は、平行な面の一方にのみ金属層を有することができるが、好ましくは金属層は、基材の平行な面の両方に存在する。
【0162】
金属/SiO/金属フレークは、PVD法によって製造され、
a)キャリヤーに分離剤を蒸着させて分離剤層を生成する工程と、
b1)金属層を分離剤層に蒸着させる工程と、
b2)0.70≦y≦1.80であるSiO層を金属層に蒸着させる工程と、
b3)金属層をSiO層に蒸着させる工程と、
c)分離剤層を溶剤中に溶解させる工程と、
d)溶剤から金属/SiO/金属フレークを分離する工程とを含む。
【0163】
または、金属層は、湿式化学コーティングまたは化学蒸着法、例えば金属カルボニルの蒸着によって得ることができる。基材が、金属化合物の存在下で、媒体を含む水性溶剤および/または有機溶剤中に懸濁され、還元剤の添加によって金属化合物が基材に堆積される。この金属化合物は、例えば硝酸銀やニッケルアセチルアセトネートである(国際公開公報第03/37993号)。
【0164】
米国特許第B−3,536,520によれば、塩化ニッケルを金属化合物として用いることができ、次亜リン酸塩を還元剤として用いることができる。欧州特許第A−353544号によれば、湿式化学コーティング用の還元剤として、アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンザルアルデヒド)、ケトン(アセトン)、炭酸およびその塩(酒石酸、アスコルビン酸)、レダクトン(イソアスコルビン酸、トリオースレダクトン、レダクチン酸)、および還元糖(グルコース)などの化合物を用いることができる。
【0165】
半透明の金属層が望ましい場合、金属層の厚さは概ね5〜25nm、特に5〜15nmである。
【0166】
金属的な外観を有する顔料が望ましい場合、金属層の厚さは25nm〜100nm、好ましくは30〜50nmである。有色金属効果を有する顔料が望ましい場合、有色または無色の金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、および/または金属を蒸着させることができる。これらの層は透明または半透明である。屈折率が高い層と屈折率が低い層が交互に並ぶか、あるいは1つの層が存在して、その層内で屈折率が徐々に変化することが好ましい。追加被覆によって耐候性を高めることが可能である。これにより同時に、バインダーシステムに対する最適な適応がもたらされる(欧州特許第A−268918号および欧州特許第A−632109号)。
【0167】
本発明の好ましい一態様においては、干渉顔料は、本明細書で約1.65を上回る屈折率として定義される「高い」屈折率を有する材料と、場合により、本明細書で約1.65以下の屈折率として定義される「低い」屈折率を有する材料を含んでいる。金属酸化物、金属亜酸化物、金属フッ化物、金属酸ハロゲン化物、金属硫化物、金属カルコゲニド、金属窒化物、金属酸窒化物、金属炭化物、およびこれらの組み合わせといった無機材料と、有機誘導体など、様々な(誘電)材料を利用することができる。これらの材料は簡単に入手でき、物理蒸着法、化学蒸着法、または湿式化学コーティングの方法によって容易に施すことができる。
【0168】
特に好ましい態様においては、酸化ケイ素基材をベースとする干渉顔料は、「高い」屈折率、すなわち約1.65を上回る屈折率、好ましくは約2.0を上回る屈折率、最も好ましくは約2.2を上回る屈折率を有する誘電体のさらなる層を含んでおり、この層がケイ素/酸化ケイ素基材の表面全体に施される。その誘電体の例は、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化チタン(TiO)、炭素、酸化インジウム(In)、インジウムスズ酸化物(ITO)、五酸化タンタル(Ta)、酸化クロム(Cr)、酸化セリウム(CeO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ユウロピウム(Eu)、酸化鉄(II)/酸化鉄(III)(Fe)や酸化鉄(III)(Fe)などの酸化鉄、窒化ハフニウム(HfN)、炭化ハフニウム(HfC)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ランタン(La)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ネオジム(Nd)、酸化プラセオジム(Pr11)、酸化サマリウム(Sm)、三酸化アンチモン(Sb)、一酸化ケイ素(SiO)、三酸化セレン(Se)、酸化スズ(SnO)、三酸化タングステン(WO)、またはこれらの組み合わせである。誘電体は好ましくは金属酸化物である。この金属酸化物は、吸収特性を備えるまたは備えない、単一の酸化物または複数酸化物の混合物、例えばTiO、ZrO、Fe、Fe、Cr、CeOまたはZnOであることができ、TiOが特に好ましい。
【0169】
SiO、Al、AlOOH、B、またはこれらの組み合わせなど、屈折率が低い金属酸化物、好ましくはSiO、をTiO層の上に施すことで、および、場合により、SiO層等の上にさらにTiO層を施すことで、色がさらに濃い顔料およびさらに透明な顔料を得ることが可能である(欧州特許第A−892832号、欧州特許第A−753545号、国際公開公報第93/08237号、国際公開公報第98/53011号、国際公開公報第9812266号、国際公開公報第9838254号、国際公開公報第99/20695号、国際公開公報第00/42111号、および欧州特許第A−1213330号)。使用することができる、適切な低屈折率誘電体の限定されない例には、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、およびフッ化マグネシウム(MgF)、フッ化アルミニウム(AlF)、フッ化セリウム(CeF)、フッ化ランタン(LaF)、フッ化アルミニウムナトリウム(例えばNaAlFまたはNaAl14)、フッ化ネオジム(NdF)、フッ化サマリウム(SmF)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化リチウム(LiF)などの金属フッ化物およびこれらの組み合わせ、または約1.65以下の屈折率を有するその他の任意の低屈折率材料が含まれる。例えば、有機モノマーおよび有機ポリマーを低屈折率材料として利用することができる。これらの材料には、アクリレート(例えばメタクリル酸塩)などのジエンまたはアルケン、ペルフルオロアルケンのポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)のポリマー、パリレン、p−キシレン、これらの組み合わせなどが含まれる。さらに、上記の材料には、その開示が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,877,895号に記載されている方法によって蒸着することができる、蒸発・凝縮・架橋結合された透明なアクリレート層が含まれる。
【0170】
したがって、好ましい干渉顔料は、(a)高屈折率の金属酸化物に加え、(b)低屈折率の金属酸化物も含んでいる。ここで、両方の屈折率の差は少なくとも0.1である。
【0171】
以下の順序で湿式化学法によって被覆された酸化ケイ素(SiO)基材をベースとする顔料が特に好ましい。TiO(基材:酸化ケイ素、層:TiO、好ましくはルチル型)、(SnO)TiO、Fe、Fe、TiFe、Cr、ZrO、 Sn(Sb)O、BiOCl、Al、Ce、MoS、Fe・TiO(基材:酸化ケイ素、FeとTiOの混合層)、TiO/Fe(基材:酸化ケイ素、第1層:TiO、第2層:Fe)、TiO/ベルリンブルー、TiO/Cr、またはTiO/FeTiO。一般に、層厚さは1〜1000nm、好ましくは1〜300nmである。
【0172】
別の特に好ましい態様においては、本発明は、例えばTiO/SiO/TiO、(SnO)TiO/SiO/TiO、TiO/SiO/TiO/SiO/TiO、またはTiO/SiO/Feのように、高屈折率および低屈折率の交互に並ぶ少なくとも3つの層を含む干渉顔料に関する。好ましくは、この層構造は、
(A)1.65を上回る屈折率を有する被覆と、
(B)1.65以下の屈折率を有する被覆と、
(C)1.65を上回る屈折率を有する被覆と、
(D)場合により、外側の保護層を含んでいる。
【0173】
基材上の高屈折率および低屈折率の個々の層の厚さは、顔料の光学的特性にとって重要である。個々の層、特に金属酸化物層の厚さは使用分野によって異なり、概ね10〜1000nm、好ましくは15〜800nm、特に20〜600nmである。
【0174】
層(A)の厚さは10〜550nm、好ましくは15〜400nm、特に20〜350nmである。層(B)の厚さは10〜1000nm、好ましくは20〜800nm、特に30〜600nmである。層(C)の厚さは10〜550nm、好ましくは15〜400nm、特に20〜350nmである。
【0175】
層(A)に特に適した材料は、TiO、Fe、TiFe、Fe、BiOCl、CoO、Co、Cr、VO、V、Sn(Sb)O、SnO、ZrO、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン(2から4未満の酸化状態を有する還元チタン種)、バナジウム酸ビスマス、アルミン酸コバルトなどの、金属酸化物、金属硫化物、または金属酸化物混合物であり、また、これらの化合物同士または他の金属酸化物との混合物または混合相でもある。金属硫化物被覆は好ましくは、スズ、銀、ランタン、希土類金属、好ましくはセリウム、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト、および/またはニッケルの硫化物から選択される。
【0176】
層(B)に特に適した材料は、SiO、MgF、Al、AlOOH、B、またはこれらの混合物など、金属酸化物またはそれに対応する酸化水和物であり、好ましくはSiOである。
【0177】
層(C)に特に適した材料は、TiO、Fe、TiFe、Fe、BiOCl、CoO、Co、Cr、VO、V、Sn(Sb)O、SnO、ZrO、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン(2〜4の酸化状態を有する還元チタン種)、バナジウム酸ビスマス、アルミン酸コバルトなどの、無色または有色の金属酸化物であり、また、これらの化合物同士または他の金属酸化物との混合物または混合相でもある。TiO層は、炭素、選択的に吸収する着色剤、選択的に吸収する金属カチオンなどの吸収物質をさらに含むことができ、吸収物質で被覆することや、部分的に還元することができる。
【0178】
吸収物質または非吸収物質の中間層は、層(A)、(B)、(C)、(D)の間に存在することができる。中間層の厚さは1〜50nm、好ましくは1〜40nm、特に1〜30nmである。
【0179】
この態様においては、好ましい干渉顔料は次のような層構造を有している。
【0180】
【表1】

【0181】
本発明の顔料は、薄いSiOフレークの厚さが正確に定められており、その表面が平滑であることを特徴としている。
【0182】
金属酸化物層は、CVD(hemical apour eposition:化学蒸着法)または湿式化学コーティングによって施すことができる。金属酸化物層は、水蒸気の存在下(磁鉄鉱など比較的低分子量の金属酸化物)、または酸素および必要に応じて水蒸気の存在下(例えば酸化ニッケルおよび酸化コバルト)における金属カルボニルの分解によって得ることができる。金属酸化物層は特に、金属カルボニル(例えば、鉄ペンタカルボニル、ヘキサカルボニルクロム;欧州特許第A−45 851号)の酸化的気相分解によって、金属アルコラート(例えば、チタンおよびジルコニウムテトラ−n−および−イソ−プロパノラート、ドイツ特許第A−41 40 900号)または金属ハロゲン化物(例えば、四塩化チタン;欧州特許第A−338 428号)の加水気相分解によって、オルガニルスズ化合物(特に、テトラブチルスズおよびテトラメチルスズなどのアルキルスズ化合物;ドイツ特許第A−44 03 678号)の酸化分解によって、または欧州特許第A−668 329号に記載さているオルガニルケイ素化合物(特に、ジ−tert−ブトキシアセトキシシラン)の気相加水分解によって施され、コーティング作業は、流動床反応器において実施することが可能である(欧州特許第A−045 851号および欧州特許第A−106 235号)。Al23層(B)は、好都合にも、他の方法では不活性ガス下で実施される(ドイツ特許第A−195 16 181)アルミニウムコーティングされた顔料の冷却の間の制御された酸化によって得ることができる。
【0183】
ドイツ特許第A−42 36 332号および欧州特許第A−678 561号に記載さている不動態化法に従って、金属の酸化物−ハロゲン化物(例えば、CrOCl、VOCl)、特に酸ハロゲン化リン(例えば、POCl)、リン酸エステルおよびホスホン酸エステル(例えば、亜リン酸ジメチル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸ジエチル、および亜リン酸トリエチル)、ならびにアミノ基を含有するオルガニルケイ素化合物(例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシランおよび3−アミノプロピルトリメトキシシラン)の加水気相分解または酸化気相分解によって、リン酸塩、クロム酸塩、および/またはバナジウム酸塩を含有する金属酸化物層およびSiOを含有する金属酸化物層を施すことができる。
【0184】
ジルコニウム、チタン、鉄、および亜鉛の金属酸化物、これらの金属の酸化水和物、チタン酸鉄、亜酸化チタン、またはこれらの組み合わせの層を湿式化学法による沈殿によって施すことが好ましく、必要に応じて金属酸化物を還元することが可能である。湿式化学コーティングの場合、真珠光沢顔料の製造用に開発された湿式化学コーティングを用いてもよい。これらの湿式化学コーティングは例えば、ドイツ特許第A−14 67 468号、ドイツ特許第A−19 59 988号, ドイツ特許第A−20 09 566号、ドイツ特許第A−22 14 545号、ドイツ特許第A−22 15 191号、ドイツ特許第A−22 44 298号、ドイツ特許第A−23 13 331号、ドイツ特許第A−25 22 572号、ドイツ特許第A−31 37 808号、ドイツ特許第A−31 37 809号、ドイツ特許第A−31 51 343号、ドイツ特許第A−31 51 354号、ドイツ特許第A−31 51 355号、ドイツ特許第A−32 11 602号、およびドイツ特許第A−32 35 017号、ドイツ特許第195 99 88号、国際公開公報第93/08237号、国際公開公報第98/53001号、ならびに国際公開公報第03/6558号に記載されている。
【0185】
高屈折率の金属酸化物は好ましくはTiOおよび/または酸化鉄であり、低屈折率の金属酸化物は好ましくはSiOである。TiOの層はルチル型またはアナターゼ型であることができるが、ルチル型が好ましい。また、例えば、欧州特許第A−735,114号、ドイツ特許第A−3433657号、ドイツ特許第A−4125134号、欧州特許第A−332071号、欧州特許第A−707,050号、または国際公開公報第93/19131号に記載されている、アンモニア、水素、炭化水素蒸気、もしくはこれらの組み合わせ、または金属粉末など、公知の手段によってTiO層を還元することができる。
【0186】
コーティングのためには、基材粒子を水に懸濁させ、1種以上の加水分解性金属塩を、金属酸化物又は金属酸化水和物が副次的な沈殿を発生させることなく粒子上に直接沈殿するように選択される、加水分解に適したpHで加える。pHは通常、同時に塩基を計量供給することによって一定に維持される。そして、顔料を分離し、洗浄し、乾燥させ、適切な場合にはか焼するが、そのコーティングに対してか焼温度を最適化することが可能である。望むならば、個々のコーティングを適用したのち、顔料を分離し、乾燥させ、適切な場合にはか焼し、その後、さらなる層を沈殿させるために再懸濁させることもできる。
【0187】
また、例えば、ドイツ特許第A−195 01 307号に記載されている方法と同様に、必要に応じて有機溶剤および塩基性触媒の存在下でソルゲル法を用いた1種以上の金属酸エステルの制御加水分解によって金属酸化物層を生成することで、金属酸化物層を得ることができる。適切な塩基性触媒は例えば、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、およびメトキシプロピルアミンなどのアミンである。有機溶剤は、C1−4アルコール、特にイソプロパノールなどの水混和性溶剤である。
【0188】
適切な金属塩エステルは、アルキルアおよびアリールアルコラート、カルボン酸塩、およびカルボキシルラジカル置換またはアルキルラジカル置換またはアリールラジカル置換アルキルアルコラート、あるいはバナジウム、チタン、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウム、およびホウ素のカルボン酸塩から選択される。トリイソプロピル、アルミン酸塩、チタン酸テトライソプロピル、ジルコン酸テトライソプロピル、オルトケイ酸テトラエチル、およびホウ酸トリエチルを用いることが好ましい。また、上記の金属のアセチルアセトネートおよびアセトアセチルアセトネートを用いてもよい。この種の金属塩エステルの好ましい例は、ジルコニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート、およびジイソブチルオレイルアセトアセチルアルミン酸塩またはジイソプロピルオレイルアセトアセチルアセトネート、ならびに金属塩エステルの混合物、例えばDynasil(登録商標)(Huls社)、混合アルミニウム/ケイ素金属塩エステルである。
【0189】
高い屈折率を有する金属酸化物として、二酸化チタンを用いることが好ましく、二酸化チタン層を施すために、本発明の態様に従って米国特許第B−3 553 001号に記載されている方法が用いられる。
【0190】
約50℃〜100℃、特に70℃〜80℃に加熱しておいた、コーティングされる材料の懸濁液にチタン塩水溶液をゆっくりと加え、同時に塩基、たとえばアンモニア水溶液又はアルカリ金属水酸化物水溶液を計量供給することにより、約0.5〜5、特に約1.2〜2.5の実質的に一定のpH値を維持する。沈殿したTiO2の所望の層厚さが達成されるとただちに、チタン塩溶液及び塩基の添加を止める。
【0191】
「滴定法」とも呼ばれるこの方法の際立った特徴は、チタン塩が過剰になることが避けられるということである。これは、水和TiOによる均一な被覆に必要とされ、かつ被覆される粒子の有効表面に単位時間当たりに取り込まれることができる量のみ、加水分解のために単位時間当たりに供給することで達成される。原則として、アナターゼ型のTiOが開始顔料の表面上に形成される。但し、少量のSnOを添加することで、ルチル構造の形成を強制することが可能になる。例えば、国際公開公報第93/08237号に記載されているように、二酸化チタンの沈殿の前に二酸化スズを蒸着させることができ、二酸化チタンで被覆された生成物を800℃〜900℃でか焼することができる。
【0192】
場合により、米国特許第B−4,948,631号(NH、750℃〜850℃)、国際公開公報第93/19131号(H、>900℃)、またはドイツ特許第A−19843014号(例えばケイ素などの固形還元剤、>600℃)のような通例の手順によってTiOを還元することができる。
【0193】
必要に応じて、SiO(保護)層を二酸化チタン層の上に施すことができる。そのために、ソーダ水ガラス溶液を計量して、約50℃〜100℃、特に70℃〜80℃に加熱されている、被覆される材料の懸濁液に添加するという方法を用いてもよい。同時に10%の塩酸を添加することで、pHが4〜10、好ましくは6.5〜8.5に保たれる。水ガラス溶液の添加後、30分間攪拌が実施される。
【0194】
SiO、Al、AlOOH、B、またはこれらの組み合わせなど、「低い」屈折率、すなわち約1.65を下回る屈折率を有する金属酸化物、好ましくはSiOをTiO層の上に塗布し、またSiO層の上にさらなるFeおよび/またはTiO層を施すことで、色がさらに濃い顔料およびさらに透明な顔料を得ることが可能である。酸化ケイ素基材と高屈折率および低屈折率の交互に並ぶ金属酸化物層を含む、その多重被覆された干渉顔料は、国際公開公報第98/53011号および国際公開公報第99/20695号に記載されている方法と同様に製造することができる。
【0195】
また、例えば、有色の金属酸化物やベルリンブルー、Fe、Cu、Ni、Co、Crなどの遷移金属の化合物、または染料や染色レーキなどの有機化合物といったさらなる層を施すことで、顔料の粉末色を変更することも可能である。
【0196】
さらに、本発明による顔料は、難溶性および固着性を有する無機着色剤または有機着色剤で被覆することもできる。染色レーキ、特にアルミニウム染色レーキを使用することが好ましい。そのために、水酸化アルミニウムが沈殿させられ、第2工程において染色レーキを用いてレーキ化される(ドイツ特許第A−24 29 762号およびドイツ特許第29 28 287号)。
【0197】
さらに、本発明による顔料は、錯塩顔料、特にシアン化鉄錯体による追加被覆を有することもできる(欧州特許第A−141 173号およびドイツ特許第A−23 13 332号)。
【0198】
耐候性および耐光性を高めるために、応用分野に応じて、多層酸化ケイ素フレークに表面処理を施すことができる。有益な表面処理が、例えば、ドイツ特許第A−2215191号、ドイツ特許第A−3151354号、ドイツ特許第A−3235017号、ドイツ特許第A−3334598号、ドイツ特許第A−4030727号、欧州特許第A−649886号、国際公開公報第97/29059号、国際公開公報第99/57204号、および米国特許第A−5,759,255号に記載されている。その表面処理によって、顔料の処理、特に各種塗布媒体への混和が容易になることもある。
【0199】
本発明の特に好ましい態様においては、SiOフレークは20〜200nm、特に40〜150nm、最も好ましくは60〜120nmの厚さを有している。SiOフレークは高い面平行度を備えており、かつ平均厚さの±30%、特に±10%の範囲の規定厚さを有している。現在では、フレークの直径は、好ましくは約1〜60μm、特に2〜50μm、より好ましくは約5〜40μmの範囲であることが好ましい。したがって、本発明のフレークのアスペクト比は、好ましくは約4〜1250、より好ましくは約42〜670の範囲である。TiO層が高屈折率材料として蒸着される場合、TiO層は20〜200nm、特に50〜200nmの厚さを有する。TiO被覆SiOフレークの全体の厚さは特に150〜450nmである。例えば、90nm±30%の厚さを有するSiOフレーク(y=1.4〜2.0)から始めて、TiO層の厚さを選択することで、赤色(約73nm)、緑色(約150nm)、または青色(約130nm)の干渉顔料を得ることが可能である。SiOフレークの厚さ分布が小さいため、エフェクト顔料によって高い色純度がもたらされる。SiOフレークは、流動層において、少なくとも200℃、特に400℃を上回る温度で、好ましくは遊離した物質の形態で、空気などの酸素含有ガスを用いて酸化するか、または、好ましくは500℃〜1000℃の範囲の温度で酸化炎の中に入れて、面平行な構造のSiOを形成することができる(国際公開公報第03/068868号)。
【0200】
または、流動層において、少なくとも400℃、特に400℃を上回る温度で、好ましくは900℃〜1100℃の温度で、好ましくは遊離した物質の形態で、アルゴンおよび/またはヘリウムなどの無酸素雰囲気中で、または13Pa(10−1Torr)未満の真空下でSiOフレークを加熱して、ケイ素/酸化ケイ素フレークを形成することができる。SiOの代わりにケイ素/酸化ケイ素フレークをエフェクト顔料の基材として用いることができる(国際公開公報第03/106569号)。
【0201】
または、本発明の方法を用いて、国際公開公報第04/065295号に記載されている多孔性のSiOフレークを製造することができる。
【0202】
本発明の好ましい態様においては、
a)有機分離剤、特にペンタエリスリトールをキャリヤーに蒸着させて分離剤層を生成する工程と、
b)SiOと無機分離剤、特にNaClを分離剤層(a)に同時に蒸着させる工程と、
c)溶剤中に溶解させることで、分離剤からSiOフレークを分離する工程とを含む方法によって多孔性のSiOフレークを得ることができる。ここで、0.70≦y≦1.95である
【0203】
本発明の方法は、(国際公開公報第03/106569号)に記載されている、以下の層を含む顔料を以下の順序で製造するために使用することもできる。
(a2)無酸素雰囲気中で400℃を上回る温度でSiO0.70〜0.99層を加熱することで得られるケイ素/酸化ケイ素層。
(b2)無酸素雰囲気中で400℃を上回る温度でSiO1.00〜1.8層を加熱することで得られるケイ素/酸化ケイ素層。
(c2)無酸素雰囲気中で400℃を上回る温度でSiO0.70〜0.99層を加熱することで得られるケイ素/酸化ケイ素層、および場合によりさらなる層。
【0204】
層(a2)、(b2)、および(c2)を含む顔料は、
a)分離剤を可動キャリヤーに蒸着させて分離剤層を生成する工程と、
b1)0.70≦y≦0.99であるSiO層を分離剤層に蒸着させる工程と、
b2)1.0≦y≦1.8であるSiO層を工程(b1)で得られた層に蒸着させる工程と、
b3)SiO層を工程(b2)で得られた層に蒸着させる工程と、
c)分離剤層を溶剤中に溶解させる工程と、
d)SiO0.70〜0.99/SiO1.0〜1.8/SiO0.70〜0.99粒子を溶剤から分離する工程と、
e)無酸素雰囲気中で400℃を上回る温度にSiO0.70〜0.99/SiO1.0〜1.8/SiO0.70〜0.99粒子を加熱する工程とを含む方法によって製造される。
【0205】
工程(b3)を省略すると、層(a2)および(b2)を含む非対称的な顔料が得られる。
【0206】
工程(b)におけるSiO1.00〜1.8層は好ましくは、1300℃を上回る温度でのSiとSiOの混合物の反応によって蒸発器内で生成される一酸化ケイ素蒸気から形成される。
【0207】
工程b)におけるSiO0.70〜0.99層は好ましくは、最大20重量%のケイ素を含有する一酸化ケイ素を、1300℃を上回る温度で蒸発させることで形成される。
【0208】
1.6以下の屈折率を有する無機誘電体(SiO、SiO(OH)など)の、2〜250nm(好ましくは10〜100nm)の厚さの追加保護層によって耐候性を高めることが可能である。
【0209】
好ましい態様においては、顔料は、「高い」屈折率、すなわち約1.65を上回る屈折率を有する誘電体のさらなる層を含んでいる。この層は上記の顔料の表面全体に施される(上記参照)。この誘電体は好ましくは金属酸化物であり、この金属酸化物は、吸収特性を備えるまたは備えない、単一の酸化物または複数酸化物の混合物、例えばCeO、TiO、ZrO、Fe、Fe、Cr、またはZnOであることができ、CeO、TiO、およびZrOが特に好ましい。
【0210】
層(b2)の厚さは概ね50〜400nm、特に50〜300nmである。
【0211】
層(a2)および(c2)の厚さは概ね50〜200nm、特に50〜100nmである。
【0212】
また、無酸素雰囲気中の加熱処理の後、空気または一部のその他の酸素含有ガス中で200℃を上回る温度、好ましくは400℃を上回る温度、特に500℃〜1000℃の温度でフレークに酸化加熱処理を施すことができる。
【0213】
類似の方法で、以下の層を含む顔料を以下の順序で得ることができる。
(a3)無酸素雰囲気中で400℃を上回る温度でSiO1.00〜1.8層を加熱することで得られるケイ素/酸化ケイ素層。
(b3)無酸素雰囲気中で400℃を上回る温度でSiO0.70〜0.99層を加熱することで得られるケイ素/酸化ケイ素層。
(c3)無酸素雰囲気中で400℃を上回る温度でSiO1.00〜1.8層を加熱することで得られるケイ素/酸化ケイ素層、および場合によりさらなる層(層(b2)の厚さは概ね50〜400nm、特に100〜300nmであり、層(a3)および(c3)の厚さは概ね50〜200nm、特に50〜100nmである)。
【0214】
わずか10−2Paの工業用真空下でSiを蒸発させると、(Si/SiOまたはSiO/Siではなく)酸素含有量が0.70未満の酸化ケイ素、すなわち0.03≦x≦0.69、特に0.05≦x≦0.50、とりわけ0.10≦x≦0.30であるSiOを得ることができる(PCT/欧州特許第03/02196号)。
【0215】
したがって、さらなる好ましい態様においては、以下の層を含む顔料が以下の順序で得られる。
(a4)無酸素雰囲気中で400℃を上回る温度でSiO0.03〜0.69層を加熱することで得られるケイ素/酸化ケイ素層。
(b4)無酸素雰囲気中で400℃を上回る温度でSiO1.00〜1.8層を加熱することで得られるケイ素/酸化ケイ素層。
(c4)無酸素雰囲気中で400℃を上回る温度でSiO0.03〜0.69層を加熱することで得られるケイ素/酸化ケイ素層、および場合によりさらなる層。
または、以下の層を含む顔料が以下の順序で得られる。
(a5)無酸素雰囲気中で400℃を上回る温度でSiO0.03〜0.69層を加熱することで得られるケイ素/酸化ケイ素層。
(b5)無酸素雰囲気中で400℃を上回る温度でSiO0.70〜0.99層を加熱することで得られるケイ素/酸化ケイ素層。
(c5)無酸素雰囲気中で400℃を上回る温度でSiO0.03〜0.69層を加熱することで得られるケイ素/酸化ケイ素層、および場合によりさらなる層。
【0216】
酸素の存在下で150℃〜500℃、好ましくは175℃〜300℃の温度で加熱すると、予想外の結果として、非常に薄い、例えば約20nmの厚さの二酸化ケイ素表層が生成される。これは、SiO/(a4)/(b4)/(c4)/SiO、またはSiO/(a5)/(b5)/(c5)/SiOという層順序を有する構造を生成する非常に便利な方法である。
【0217】
本発明は、塗料、織物、インクジェット印刷、化粧品、印刷用インク、プラスチック材料、コーティング、特に自動車仕上げ、セラミックおよびガラスの艶出し、およびセキュリティ印刷における、本発明によるSiOフレークをベースとする顔料の使用にも関するものである。
【0218】
次の実施例は本発明を例示するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。特に指定のない限り、百分率および部はそれぞれ重量百分率および重量部である。
実施例
【0219】
実施例1
【0220】
真空室において約10−2Paの圧力で、約50nmのペンタエリスリトールの層を金属キャリヤーに蒸着させる。次に、同じ圧力で材料SiO、Al、およびSiOを連続して蒸着させることで、SiO(30nm)/Al(40nm)/SiO(30nm)という層構造を有する薄膜を金属ベルト上に生成する。
【0221】
次に、分離剤を水に溶解させると、すぐにフレークが基材から分離する。その結果生成された懸濁液を大気圧において、ろ過によって濃縮し、存在する分離剤を除去するために脱イオン水で数回すすぎ洗いする。乾燥した後、きらびやかな金属的な色を呈し、先行技術から公知であるアルミニウムフレークよりも明るい外観と強い輝きを有するSiO被覆アルミニウムフレークが得られる。
【0222】
耐候性および耐光性を高めるために、遊離した物質の形態の顔料を、200℃に加熱された空気が通過するオーブンにおいて200℃で2時間加熱してもよい。
【0223】
実施例2
【0224】
ペンタエリスリトールをステンレス鋼基材上で30オングストローム/秒の割合で昇華させる。次に、80nmのAlを、蒸着したばかりのペンタエリスリトールの層上でフラッシュ蒸発させる。実験パラメータを表1にまとめている。次に、基材を真空室から取り出し、ペンタエリスリトールを水に溶解させると、すぐにフレークが基材から分離する。その結果生成された懸濁液を大気圧において、ろ過によって濃縮し、存在する分離剤を除去するために脱イオン水で数回すすぎ洗いする。乾燥した後、明るいアルミニウムフレークが得られる。
【0225】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
面平行な小板の製造方法であって、
a) キャリヤーに分離剤を蒸着させて分離剤層を生成する工程と、
b) 少なくとも1つの生成物層を分離剤層に蒸着させる工程と、
c) 分離剤層を溶剤中に溶解させ、少なくとも1つの生成物層が面平行な小板の形態で存在する懸濁液を生成する工程とを含み、
分離剤層が、アントラセン、アントラキノン、アセトアミドフェノール、アセチルサリチル酸、ショウノウ酸無水物、ベンズイミダゾール、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、ビフェニール−2,2−ジカルボン酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ジヒドロキシアントラキノン、ヒダントイン、3−ヒドロキシ安息香酸、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸一水和物、4−ヒドロキシクマリン、7−ヒドロキシクマリン、3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、イソフタル酸、4,4−メチレン−ビス−3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、ナフタレン−1,8−ジカルボン酸無水物、フタルイミドおよびそのカリウム塩、フェノールフタレイン、フェノチアジン、サッカリンおよびその塩、テトラフェニルメタン、トリフェニレン、トリフェニルメタノール、ならびにこれらの物質の少なくとも2種からなる混合物、特にペンタエリスリトール(C(CHOH))、トリメシン酸(=1,3,5ベンゼントリカルボン酸)、DL−アラニン、DL−バリン、2,6−ジアミノプリン、アスコルビン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、o−アセチルサリチル酸、ジフェン酸、テレフタル酸、ピロガロール、シアヌル酸、ヘキサメチルテトラミン(ウロトロピン)、フマル酸、および4−アセチル安息香酸、ならびにこれらの物質の少なくとも2種からなる混合物からなる群より選択される、面平行な小板の製造方法。
【請求項2】
分離剤が、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、テレフタル酸、ヘキサメチルテトラミン(ウロトロピン)および4−アセチル安息香酸から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
分離剤が、ペンタエリスリトールである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
面平行な小板が、アルミニウムフレークであり、
a) 分離剤をキャリヤーに蒸着させて分離剤層を生成する工程と、
b) Al層を分離剤層に蒸着させる工程と、
c) 分離剤層を溶剤中に溶解させる工程と、
d) 溶剤からアルミニウムフレークを分離する工程とを含み、または、
アルミニウムフレークが、
(A1)SiOからなる層と、
(B)層(A1)上のアルミニウムからなる層と、
(A2)層(B)上のSiOからなる層とを含んでおり、
ここで0.70≦z≦2.0であり、
a) 分離剤をキャリヤーに蒸着させて分離剤層を生成する工程と、
b1) SiO層を分離剤層に蒸着させる工程と、
b2) Al層をSiO層に蒸着させる工程と、
b3) SiO層をAl層に蒸着させる工程と、
c) 分離剤層を溶剤中に溶解させる工程と、
d) SiOで被覆されたアルミニウムフレークを溶剤から分離する工程とを含み、ここで0.70≦y≦1.95、好ましくは1.0≦y≦1.80、最も好ましくは1.10≦y≦1.80である、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
面平行な小板が、0.70≦z≦2.0、好ましくは1.0≦z≦2.0、最も好ましくは1.4≦z≦2.0であるSiOフレークであり、
a) キャリヤーに分離剤を蒸着させて分離剤層を生成する工程と、
b) SiO層を分離剤層に蒸着させる工程と、
c) 分離剤層を溶剤中に溶解させる工程と、
d) SiOフレークを溶剤から分離する工程とを含み、ここで、0.70≦y≦1.95、好ましくは1.0≦y≦1.80、最も好ましくは1.10≦y≦1.80である、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
分離剤が、ペンタエリスリトールであり、溶剤が水である、請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
請求項4または6記載のいずれかの方法により得られる、アルミニウムフレークまたは
(A1)SiOからなる層と、
(B)層(A1)上のアルミニウムからなる層と、
(A2)層(B)上のSiOからなる層とを含み、ここで 0.70≦z≦2.0であるアルミニウムフレーク。
【請求項8】
SiO層(A1)および(A2)の層厚さが、10〜50nm、特に20〜30nmである、請求項7記載のアルミニウムフレーク。
【請求項9】
アルミニウムからなる層(B)の層厚さが、10〜100nm、好ましくは20〜30nmである、請求項7または8記載のアルミニウムフレーク。
【請求項10】
請求項5または6記載のいずれかの方法により得られるSiOフレークであって、0.70≦z≦2.0、好ましくは1.0≦z≦2.0、最も好ましくは1.4≦z≦2.0である、SiOフレーク。
【請求項11】
請求項7〜9のいずれか一項記載のアルミニウムフレーク構造を含む干渉顔料であって、アルミニウムフレーク構造が、好ましくは、C/X/Al/X/C、Al/X/Al/X/Al、Cr/X/Al/X/Cr、MoS/X/Al/X/MoS、Fe/X/Al/X/Fe、という層構造を有しており、ここで、0.70≦z≦2.0、好ましくは1.0≦z≦2.0、最も好ましくは1.4≦z≦2.0である、干渉顔料。
【請求項12】
(a)基材としてのSiOフレークと、
(b)「高い」屈折率を有する誘電体、特にTiO、ZrO、Fe、Fe、Cr、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン、CeOまたはZnOの層とを含む顔料、または
(a)基材としてのSiOフレークと、
(b)(薄い半透明の)金属層とを含む顔料。
【請求項13】
請求項7〜9のいずれか一項記載のアルミニウムフレークまたは請求項11若しくは12記載の顔料の、塗料、インクジェット印刷、化粧品、コーティング、印刷用インク、プラスチック材料、セラミックおよびガラスの艶出し、およびセキュリティ印刷での使用。
【請求項14】
請求項7〜9のいずれか一項記載のアルミニウムフレークまたは請求項11若しくは12記載の顔料を含む組成物。
【請求項15】
請求項1〜3のいずれか一項記載の方法によって得られる面平行な小板。

【公表番号】特表2008−511704(P2008−511704A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528828(P2007−528828)
【出願日】平成17年8月15日(2005.8.15)
【国際出願番号】PCT/EP2005/053994
【国際公開番号】WO2006/021528
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】